5
【サポート優先】Wrath to Filth

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #クリティアス #ミュータントヒーロー #ヒーローチーム #アトランティス #猟書家

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ヒーローズアース
🔒
#猟書家の侵攻
🔒
#クリティアス
🔒
#ミュータントヒーロー
🔒
#ヒーローチーム
🔒
#アトランティス
🔒
#猟書家


0




 ※ これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

 太平洋の海底を、褐色の巨塊が征く。通りし後に、黒き汚濁を従えながら。
 巨塊の主は、怒っていた。過去より蘇って尚、その身を蝕む穢れ。其を齎せし者共へ。そして、そんな過去を忘れたかのように、彼奴らと馴れ合う海の民共へ。
 思い出させねばならない。海の怒りを。思い出せぬなら、この海に生きる資格など無し。
 穢れへの憤怒を以て蘇った海神は、穢れ宿せし書を携えて、海底を征く。
 目指す先は、海底都市アトランティス。海の怒りを忘れ去りし、罪深き民の都──。



「みんなぁ、アトランティスが猟書家さんに襲われるみたいだから、助けにいってあげてくれないかなぁ」
 グリモア猟兵、ルーディ・レイディアス(リキッドシュガームーン・f17223)が、常と変わらぬ緩い声音で呼びかける。
「襲ってくる猟書家さんは『クリティアス』。これまでにも何回か、アトランティスを襲っている猟書家さんだねぇ」
 かつての侵略者の時代、地上文明の活動によって海を汚染され、その中で滅びた古き海神。海を汚した地上文明への怒りを忘れたアトランティスへ、その代償としての汚染を齎さんとする、怒れる猟書家である。
 曰く、かの猟書家はアトランティスを汚染することによって、その周辺海域を『スナークトライアングル』という超生物スナークを生み出す海域に変えようと企んでいるらしい。
「アトランティスの人達も迎撃しようとはしているんだけどぉ、クリティアスは適応光線を無効化するユーベルコードを持ってるから、溺れさせられちゃって戦いにならないんだよぉ」
 故に、現状かの都市の守りは、海中での活動が可能なミュータントヒーロー達に頼るしかなく、戦況は芳しくない。早急に救援に赴く必要がある。
「何しろあの猟書家さん、クライング・ジェネシスの量産型を手下にしてけしかけてきてるからぁ。普通のヒーローさん達だと、ちょぉっと厳しい感じなんだよねぇ」
 力こそオブリビオン・フォーミュラたるオリジナルには遠く及ばないものの、巨体とそれが齎す威圧感は、猟兵ならぬヒーロー達にとっては十分すぎる脅威である。
 何より、オリジナルが有していた骸の海発射装置を、簡易型ではあるがこの量産型もまた有している。クリティアスの意向に基づき、ここから汚染を撒き散らすつもりなのだ。
「手早くやっつけないと、アトランティスが汚されちゃうし、汚れた水はクリティアスをパワーアップさせちゃうから、できるだけ早く全滅させちゃってねぇ」
 本物のクライング・ジェネシスを討ち取った猟兵達ならば、量産型など恐れるに足りぬ。ミュータントヒーロー達とも連携し、迅速に殲滅すべきであろう。
「汚染を最小限にできれば、クリティアスも大して強くはならないからぁ、皆なら問題なく勝てる相手になると思うよぉ」
 だが逆に言えば、十分な汚染を許してしまった場合、クリティアスは恐るべき敵として猟兵達の前に立ちはだかり得る、ということでもある。その場合は、如何にか汚染の影響を乗り越える術が必要となるだろう。

「あ、それとぉ。戦う時は『秘密結社スナーク』の一員を名乗ると良いと思うよぉ。猟兵さん達の秘密結社、ってヤツだねぇ」
 スナークの名が必ずしも恐怖の対象を意味しない、と知らしめることで、敵がスナークの名の元に恐怖を集める術を妨げることができる。それはヒーローズアースを猟書家の魔手から守る為の、確かな一手となるはずだ。

「と、こんなところかなぁ。それじゃ皆、頑張ってアトランティスを守ってきてねぇ」
 にへっと弛緩した笑みを浮かべるルーディに見送られ、猟兵達は一路、海中のアトランティスへと向かってゆく。


五条新一郎
 海は死なない。
 五条です。

 今回のシナリオは対猟書家戦ヒーローズアース編。
 アトランティスに迫る汚染の手を、皆様の力で退けてやってくださいませ。

●このシナリオについて
 このシナリオは「サポート優先」のシナリオとなります。
 通常参加の方は余裕があれば採用する方向です。

●目的
 猟書家『クリティアス』及び配下オブリビオンの殲滅。

●戦場
 ヒーローズアース、アトランティス都市外縁部。
 オブリビオン達はここから都市中心部へと向かい、汚染を撒き散らそうと企んでいるようです。

●第一章
『量産型クライング・ジェネシス』との「集団戦」です。イラストでの姿に加えて魚のヒレや鱗などが全身に生えてます。
 敵は簡易型骸の海発射装置から汚染物質を吐き出してきますので、汚染が広がる前に素早く撃破しましょう。

●第二章
 猟書家『クリティアス』との「ボス戦」です。
 敵は第一章での海の汚染具合に比例してパワーアップします。汚染具合については第二章開始時の断章にて記述します。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以後からプレイングを受け付けます。
「ミュータントヒーロー達と共闘する」「秘密結社スナークの一員を名乗る」ことでプレイングボーナスがつきます。

●リプレイについて
 書ける時に書いていく方向でおります。少なくとも次の満月までには完結予定。
 通常参加の方の採用はタイミング次第となります。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
194




第1章 集団戦 『量産型クライング・ジェネシス』

POW   :    GAOOOOOH!
全身を【原初の炎に包まれた姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    BAOOOOOM!
【簡易型骸の海発射装置】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【相手と同じ姿と能力の幻影】で攻撃する。
WIZ   :    THEEEEEEND!
【簡易型骸の海発射装置から放つ『過去』】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『神々の時代』の火で包み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 アトランティスの海底都市に迫る、黒き穢れを纏う巨人の群れ。かつてのオブリビオン・フォーミュラ『クライング・ジェネシス』、その姿を模したるオブリビオンが群れを成して攻め来るという悪夢めいた光景。
「GAOOOOOON!」
「BAOOOOOOH!」
 咆哮と共に、胸元の砲口が唸る。クライング・ジェネシスの象徴とも言える骸の海発射装置。吐き出されるは、この海の過去をそのまま映したような穢れに満ちた生物達。
 立ち向かわんとするヒーロー達は、敵のユーベルコードによって適応を奪われ、只々藻掻くばかり。現在戦っているミュータントヒーロー達だけでは明らかに手数が足りず、戦況は防戦一方。
 明確な形を以て迫り来る破滅。人々の心は、今、絶望に染まりきろうとしていた――

 だが、其を見過ごさぬ者達が居た。
 未来示す光の導きのもと、過去を祓う者達――かつて世界を救ったヒーロー達が、此処に現れたのだ。
月詠・莉愛(サポート)
『あの……宜しくお願いしますね。』
 オラトリオのシンフォニア×聖者の女の子です。
 普段の口調は「丁寧口調(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
 独り言は「普通かな(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

大人しくて口数が少ないですけど、心優しく
動物や植物などの自然が好きな少女。
争い事は苦手ですけど、依頼の成功の為なら戦う事も厭わないです。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


エヴィレダ・ハーミ(サポート)
 人間の闇医者×サバイバルガンナー、36歳の女。
口調 粗野で乱暴(アタシ、お前、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)

UDCアースやシルバーレインの人目に付く所ではハンドガン、メスの投擲を使っていくぜ。それ以外はアサルトライフルも使うな。
どっちかっつーと戦闘は苦手だから正面切って戦うより、好機を狙うタイプだな。医療や応急処置は得意だぜ? これでもお医者だかんな。
あとは――薬をちょぉっと盛るのもイケんぜ。
ちったァ口達者だかんな、変装や言いくるめもやってやるよ。
やっべ、こっちに来やがった。ヘイ猟兵、後頼んだぜ!(後衛死守)

◇ギャグ、ギャーギャー騒音要員


緋神・美麗(サポート)
絡み・アドリブ歓迎
技能を駆使して命中と火力を底上げした範囲攻撃UCを選択して使用
数>命中>威力の優先順位でUCを選択


アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPDの方がクリアしやすいと判断したら、そちらを使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使う形です。
主に銃撃UCやヴァリアブル~を使う雰囲気です。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
他人の事は気にしない素振りを見せますが、基本、不器用なので、どう接したらいいのかわからない感じです。
ですが、合せるところは合せたり、守ってあげたりしています。
特に女性は家族の事もあり、守ってあげたい意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。



「其処までです……! 美しき海底都市を、憎悪で穢させはさせません!」
 今まさに海底都市を蹂躙せんとした巨悪、その前に立ちはだかるは月詠・莉愛(銀の月を謳う・f16320)。心中渦巻く怯懦を抑え込み、背後の都市を護るかの如く白き翼を広げてみせる。
「我々は秘密結社スナーク。アトランティスの汚染を企てる猟書家を討伐するべく参上した」
 事態の変化に気付いたヒーロー達の視線に応えるが如く、莉愛の隣に浮上してきたアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)が、猟兵による秘密結社の名と共に告げる。己らの、今此処に来たる理由を。
「私達も、この街を護る為に手伝ってあげる。……別に、この街が汚されちゃったら悲しいとかそういうわけじゃないからね?」
 何やら妙な言い訳と共に、緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)も二人に並ぶ。視線の先、次々と迫り来る巨悪の群れを見据えながら。
「うへぇ、何だありゃあ……何かとんでもない処に来ちまったぜ……」
 そんな三人の一歩後ろ、量産型クライング・ジェネシスの群れを認めたエヴィレダ・ハーミ(隠者の幸運・f32150)は、目にした光景に呆然とした声を漏らす。だがこうして来た以上、逃げるつもりは無い。
「ヘイお仲間さん達! 後ろはアタシが守ってやっから前頼んだぜ!」
 背負っていたアサルトライフルを構えて前の三人に呼びかける。実際彼女は正面切って戦うタイプではないので、援護に回ろうというのだ。
「アンタねえ……。まあ良いけど」
 そんなエヴィレダの言動に呆れた様子の美麗だが、それならばと改めて前方の巨人群を見据え。
「それなら、遠慮なく暴れさせてもらいましょうか!」
 不敵な笑みと共に、その身が蒼き電荷を纏う。彼女の纏うサイキックエナジーが電流となって溢れ出ているのだ。
「承知した。――目標、駆逐する!」
「はい……いきましょう……!」
 アスは拘泥なく頷いて腰から蒼き二丁拳銃を抜き、戦闘態勢を整える。其に莉愛も呼応し。
 以て、戦いが始まった。

「体躯はオリジナルにも見劣りせず、数は多く。簡易型とはいえ骸の海発射装置も健在か」
 水中を飛翔するように泳ぎ、量産型クライング・ジェネシスへと接近するアス。見据える巨人のその姿、体躯、何より胸部の骸の海発射装置。見た目には、かつてアースクライシス2019にて遭遇したオブリビオン・フォーミュラと寸分違わぬ姿だ。
「GAOOOOOON!!」
「だが」
 振るわれる腕が海水を掻き分け迫る。浮力に己の脚力を加えて上昇、大木が如き巨腕を躱すアスの動きには余裕さえ見える。
「力の方は、オリジナルに遠く及ばないな」
 目前とした、かの巨悪の頭部へと双銃を向ける。引鉄を引けば、吐き出されるは青白い熱光線。水中でも減衰することなき高出力の熱線は、量産型クライング・ジェネシスの赤き頭部を過たず捉え、撃ち貫き。
「GWOOO……OOO……OO……」
 致命箇所を撃ち抜かれた巨人の肉体が、断末魔の呻きと共に崩壊を始める。耐久力の方も、十数人の猟兵の総攻撃にさえ耐えてみせたオリジナルとは雲泥の差だ。
「耐久力も大したことないのね! それなら!」
 その戦果を確かめた美麗、片手を頭上に高く掲げる。視線の先には、群れなし迫る量産型クライング・ジェネシスの群れ。
「全部纏めて薙ぎ払ってやるわよ……!」
 己の身に流れるサイキックエナジーを励起し、其が集束するイメージを脳裏に描けば。イメージを再現するかの如く、掌の上へと光が集い、輝きを放つ。その様、海底に生じたる超新星の如し。
「――いっけーっ!!」
 そして美麗の叫ぶと共に、光は爆発、無数の光線となって拡散。迫り来ていた巨人の群れへと降り注ぐ。
「GAAAAAAA……!」
「BWOOOOOO……!」
 全身を眩き光線に撃ち抜かれ、次々倒れゆく巨人達。だが。
「BAOOOOOO!!」
 一部の量産型クライング・ジェネシスは光の雨を耐え凌ぐ。見れば、その身は燃え滾る炎に包まれている。水中であろうと凄まじい熱を感じさせるその炎は、神の領域に在りし原初の炎。量産にあたってこの巨悪へ新たに組み込まれた機能だ。
 原初の炎で身を守る仲間を盾に、更なる量産型クライング・ジェネシスの群れが迫る。その胸の骸の海発射装置が展開され、黒く濁った穢れが吐き出されんとして――
「させませんっ!」
 其処に上がった声は莉愛。決然たる叫びは輝ける光の矢を幾つも呼び寄せ、かの巨悪の群れ目掛けて撃ち放ち、降り注がせる。流星群の只中めいた光景が、一時その場に現出し――その一瞬後。
「GAAAAAAAAH!?」
 悲鳴じみた叫びを上げる巨人達。光の矢は吐き出されようとした汚染物質を撃ち抜き、一つ残らず浄化してゆき。更にその発射源たる量産型クライング・ジェネシスの身をも穿ったのだ。斃れるまでには至らずとも、受けたる傷は深く。
「ハッハァ! ざまぁねぇな! そのままくたばりやがれ!」
 弱った量産型クライング・ジェネシスに対して、エヴィレダのアサルトライフルが火を噴く。放たれたる弾丸は巨体の胴体何か所をも撃ち貫き、以てトドメを刺してゆく。
「ハン、デカいクセしてとんだヘナチョコ共だな! 片っ端から蹴散らして――」
 この程度ならば余裕、と笑いながら次なる弱った量産型を目指そうとするエヴィレダ。だが、そんな彼女に影が差す。
「あん……?」
 振り向くエヴィレダ。其処に居たのは勿論。
「BAOOOOOOOO!!」
 比較的負傷の浅かった量産型の一体が、エヴィレダの側面を取っていたのだ。胸の骸の海発射装置の奥、汚染物質からなる炎が毒々しく燃える。これを己へ撃ち込もうというのか。
「え、いや、ちょっと待ってくれよ。アタシはただのしがない医者だぜ、ほら、戦場で医者を攻撃するのはダメって知らねぇか?」
 引きつった表情で其を見上げるエヴィレダ。何とか制止しようと言葉を並べるも、この巨悪に敵の話を聞くという機能はそもそも無いらしい。燃える汚染炎が、いよいよ撃ち出されようとして――
「やらせん……!」
 その発射口へと撃ち込まれた、二条の光。発射口奥まで届いた熱線は、奥に蟠っていた炎へと命中すると共に、大爆発を引き起こし。巨大な影を炎の中に消し飛ばした。
「大丈夫か」
 爆発の余波からエヴィレダを庇うかのように立つ、その姿はアス。首だけを振り向け、サングラス越しの視線をエヴィレダへ向ける。
「……お、おお。おかげ様で無事だぜ。有難うよ」
 よもやの救いの手に、暫し呆けたような表情を見せてしまうエヴィレダ。だがそのような場合ではない。頷き、迫り来る敵から距離を取る。
「貴様らは、ここから一歩の先には進ませはしない……」
 改めて迫る敵群を見据えるアス、その脚の機会化部位が展開、内部に装填されたマイクロミサイルが一斉に撃ち出される。
「全員纏めて吹き飛ばしてあげるから覚悟なさいっ!」
 ミサイルに混じって飛翔するは、美麗が放つ蒼き雷撃。其が貫いた敵へとミサイルが着弾し、敵群を次々と薙ぎ倒してゆく。
「これで、終わりです……!」
 最後の抵抗とばかりに自爆し汚染を撒き散らさんとした敵も、莉愛の放った聖銃弾にて撃ち抜かれ。
「GYAOOOOO……OOO……!!」
 漏れ出し始めていた穢れも浄化されながら、何も為せぬままに消滅していった。

 以て、オブリビオンの軍勢の第一波を、目立った汚染を為させずして全滅せしめることに成功したのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
厄介な時機でしたが、間に合いましたねぇ。

『スナーク所属』を名乗り『Mヒーロー』の方に接触、猟書家接近時に対処し易い様『周囲の見張り』をお願いしましょう。

『炎』の範囲に入らない遠距離から『戦場全体』に【崇卓】を発動、彼らの足元に【翳華】と同質の『現象』、『対象制御可能なブラックホール』を発生させますねぇ。
彼らは『動けない』以上『足元に発生した陥穽』は躱せませんし、内部に取込んでしまえば、後は『解除せねば動けず出られないが、解除すれば圧潰』の状態になりますぅ。
同時に『汚染』も吸込み無効化しましょう。
後は『無敵』を解除し躱した個体を『F●S』各種と『現象』操作で叩きますねぇ。



「あっちは……猟兵さん達が何とかしてくれたんだね……!」
 都市を挟み、先の猟兵達の交戦域と反対側の戦域。最も危機の迫っていた戦域の打開が成ったことを知り、安堵の声を漏らすミュータントヒーローの少女。下半身が魚の如く変化した、人魚と呼ぶに相応しい姿である。
「でも……」
 然し、その表情は暗い。何故ならば、彼女が視線を向けたその先には。
「GAOOOOOOOH!!」
「BAMOOOOOOO!!」
 此方にも、相当数の量産型クライング・ジェネシスが迫ってきている為だ。猟兵達が戦っている方面程ではないにせよ、猟兵ならぬヒーロー達にとっては脅威である。
 何体かは討ち取ったものの、彼女も共に戦ってきたヒーロー達も消耗著しい。そんな処へ、纏まった数の敵が襲って来たのだ。果たして、今の自分達でこれを退け得るだろうか。
 状況は絶望的。だが彼女達はヒーローである。守るべきものを背にしている以上、逃げるわけにはいかないのだ。
 悲壮な覚悟を決める少女達。其を嘲笑うかのように、巨人達の胸――骸の海発射装置に、穢れたエネルギーが集束して――
 と、そこに。
「やらせませんよぉ」
 緩やかな声が響くのと、降り注いだ無数の砲弾が巨悪の群れを吹き飛ばしたのは、ほぼ同時であった。
「――え!?」
 驚く少女。視線を上向ければ其処には、海中に在って緑の黒髪を靡かす美しき少女の姿。
「厄介な時機ではありましたが……間に合いましたねぇ」
 爆発に伴う大量の水泡に包まれた敵陣と、疲弊した様子のヒーロー達とを交互に見遣り。その少女――夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は呟いた。
 封神武侠界にての戦争の最中に届いた、此度の事件の報。対応が間に合わないかもしれないと思ってはいたが、何とかあちらの大勢が決するのが早かった。
「あ、あなたも猟兵さん……!?」
 その力の程、可能性は高い。驚きと喜びの入り混じった声音で人魚少女が問えば。
「はい。秘密結社スナーク所属の夢ヶ枝るこると申しますぅ」
 かの猟兵秘密結社の肩書と共に名乗るるこる。少女やその仲間達の様子を確かめる。やはり疲労が色濃い。このまま前線で戦い続けるのは厳しいか。ならば。
「ここは私が引き受けますぅ。皆さんは、この後に来る大物に備えて周囲への警戒をお願いしますぅ」
 即ち猟書家接近への備えだ。少女達は最初こそ逡巡したものの、すぐに納得したようで其々に行動を開始する。
「さてぇ……」
 そして改めて、迫り来ていた巨怪軍団へと向き直れば。その大半は殲滅に成功していたものの。一部の個体はその身を原初の炎に包み持ちこたえていた。
 あの状態では、流石のるこると言えど攻撃か通らぬ。どうしたものか。
「なるほどなるほどぉ……でしたら、これで参りましょうかぁ」
 だが、るこるはすぐにその対策を編み出してみせる。奉ずる女神に祈りを捧げれば、生ずるは敵陣の只中への異変。
「「GWOOOOO!?」」
 困惑する量産型クライング・ジェネシス達の身が、一点へ向けて集束するかのように引っ張られてゆく。その一点――中心点に存在するのは、超小型のブラックホール。るこるのユーベルコードによって生み出されたそれは、周辺環境には影響を及ぼさず、かの巨悪らのみをその重力圏に捕らえ引きずり込んでゆく。
 肉体そのものは無敵とはいえ、物理法則による影響からは逃れられない。ユーベルコードを解除しなければ動けないが、解除すれば重力による圧潰を避けられない。その身から溢れる汚染も、全てがブラックホールに飲み込まれて消えてゆく。
 やがてユーベルコードの効果時間が切れたか、一体また一体と重力に押し潰されてゆく巨人達。僅かに逃れたもの達もいたものの。
「それ以上はさせませんよぉ」
 るこるの展開した浮遊兵器群、その砲撃と爆撃とを受けて、一体残らず掃討されていき。

 以て、量産型クライング・ジェネシス軍団は、大した汚染も齎せぬまま全滅の憂き目を見たのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『クリティアス』

POW   :    深海激怒ティマイオス
【海を汚染した地上文明に対する怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    海洋憤懣ヘルモクラテス
自身の【頑健な甲羅】から【大津波と共に汚染に蝕まれた海洋生物たち】を放出し、戦場内全ての【敵を海に沈め、海洋生物以外の水中活動能力】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
WIZ   :    侵略蔵書「ガベッジ・オーシャン」
【猛毒と化した汚染水を垂れ流す姿】に変身する。変身の度に自身の【体から溢れる汚染廃棄物】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はマローネ・ティーフゼーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 量産型クライング・ジェネシス軍団は、猟兵達の手によって排除された。
 周辺への汚染も、皆無ではないが極小。これならば、環境への影響も無視できる程度だろう。
 そして、猟兵達のもとへ、警戒に当たっていたミュータントヒーロー達から更なる敵の襲来が伝えられる。

「おのれ猟兵共……汚らわしき地上の者共!」
 現れたるは、褐色の甲殻を背負う巨大な海亀。その瞳に苛烈なる憤怒と憎悪とを燃やし、現れたる猟兵達を、並び立つアトランティスの防衛戦力とを睨み据える。
 これこそが猟書家『クリティアス』、かつての海洋汚染への恨みと共に蘇った古き海神にして怒れる猟書家。
「かつて海を汚した貴様らの罪、我は決して忘れはせぬ! 其を忘れ、地上の者共と慣れ合おうとする海の者共も、決して赦しはせぬ!」
 背負った甲殻から、黒き穢れが漏れ出る。生前の彼を死に至らしめた汚染は、皮肉にもオブリビオンとしての彼の力となっているのだ。
 周囲の汚染が軽微である故、彼の力がより強化されることは無いが、それでも猟書家、相応の力を持つことは間違いないだろう。猟兵達は身構える。
「諸共に穢し尽くし、藻屑と化さしめてくれるわ! 覚悟せよ!」
 荒れ狂う海流を伴って、海神が襲い来る!
月影・左京(サポート)
アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱改変・その他OK!

「はわっ!?……大丈夫。私も手伝うから♪」

一人称:私
口調:女性的でラフ(〜よね、なの?、あら〜等)
口癖:はわっ!?
性格:おっとりのんびり。「わぁ!頼りにな……る、の?(笑)」な感じ

基本戦法:【忍び足】で敵の死角に入りメイスによる【気絶攻撃/2回攻撃】。【鎧砕き】も狙うわ!

敵の攻撃は【聞き耳/第六感】をフル活用して【見切り】ます。
※不意打ちを受けた時など、「はわーっ!?」と叫ぶ傾向あり。

状況に合わせ、UCを何でも使用。

但し負傷した猟兵がいれば戦況次第で攻撃より【祈り】の力と【医術】及び【救助活動】で治療。

後はお任せ!
よろしくお願いします☆


蒼月・暦(サポート)
 デッドマンの闇医者×グールドライバー、女の子です。

 普段の口調は「無邪気(私、アナタ、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 嘘をつく時は「分かりやすい(ワタシ、アナタ、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で明るい性格をしていて、一般人や他猟兵に対しても友好的。
可愛い動物とか、珍しい植物が好き。
戦闘では、改造ナノブレード(医療ノコギリ)を使う事が多い。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


無明・柘榴(サポート)
 強化人間の戦場傭兵×レトロウィザード、16歳のレディさ。

ワタシはか弱い乙女だからね。後方からの支援を得意としてるよ。
基本的には狙撃と錬金術の組み合わせで盤面を操るように立ち回るのが得意だねぇ。
回復、強化に弱化、足止め、爆撃なんでもござれさ!
まぁ近接戦闘をお望みならある程度はしてあげるけど期待はしては行けないよ?

※アドリブ共闘歓迎です!


アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPDの方がクリアしやすいと判断したら、そちらを使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使う形です。
主に銃撃UCやヴァリアブル~を使う雰囲気です。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
他人の事は気にしない素振りを見せますが、基本、不器用なので、どう接したらいいのかわからない感じです。
ですが、合せるところは合せたり、守ってあげたりしています。
特に女性は家族の事もあり、守ってあげたい意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。



 褐色の甲殻より穢れた海水を吐き出し、海底都市へと迫らんとする猟書家『クリティアス』。なれど、その進撃は止まらざるを得ない。行く手を阻む者達が、其処に居るが故に。
「今を生きる人々の営み。壊させも、穢させもしない」
 語り口は飽くまでもクールに、なれど其処に宿す意志は確かに。量産型クライング・ジェネシスの殲滅を果たしたアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)、猟書家を迎え撃つべく此処に来たる。
 先の戦いに同行していた猟兵達はその場に居ないが、その後を引き継ぐが如く、新たに三人の猟兵が参戦してきた。
「はわっ! また猟書家さんが悪さをしようとしているのね!」
 驚いたような声を上げるのは、清楚な修道服を纏った美しき金髪のエルフ……の仮装をした人間。月影・左京(夫婦ゲーマーのはわっ担当・f06388)。以前にもクリティアスの撃退に参加したことのある彼女、再び遭遇したかの海神を前に気合十分。
「成程、性懲りもないとはこういうことか。速やかにお引き取り頂かねばね」
 銀の髪を海流に靡かす無明・柘榴(深淵の錬金銃士・f36048)は、何処か異様な迫力を伴う視線を海神へと向け。
「私も手伝うよ。こんな綺麗な海と街。台無しになんてさせないんだから」
 幼い貌に決意の色をはっきりと浮かべ、蒼月・暦(デッドマンの闇医者・f27221)もまた、前方に聳える巨いなる海神を確と見据える。
「雁首揃えてやって来たか、下賤なる地上の者共! 貴様らのせいで我は、そして海は、汚れ侵され死に絶えた!」
 猟兵達を視界に認め、クリティアスが怒りに唸り吼え猛る。
「そうだったのね……でも、今のこの海はとっても綺麗よ?」
「確かに! それに、地上の人達だって今は海を汚さないように気を付けてるし」
 対する暦、透き通る蒼の広がるアトランティスの風景を見回して首を傾げる。かつて汚染された海は、どれ程の時を要したかは分からずとも浄化され、元の美しさを取り戻していた。
 そして左京の語る通り、地上の民もまた過去を省み、かつての過ちを繰り返さぬよう努めている。海の民と地上の民、共に手を取り合い生きてゆく未来の為に。
「それが何だ! 何をしようが、地上の者共が海を汚した罪は消えぬ! そして彼奴らの罪を忘れ慣れ合う海の民共もまた同罪!」
 だが海神の怒りは収まらぬ。その矛先は地上の民のみならず、かつての同胞たる海の民にも向けられる。
「海の怒りを忘れた者共に、再びの汚染による罰を! そして地上の者共に、罪の化身たるスナークの恐怖以て裁きを下すのだ!」
 吼えるクリティアスの眼は深い憎悪と憤怒に染まりきり。オブリビオンたる在り方と併せ、最早言葉にて止めることは叶わぬと見える。
「やれやれ、怒り狂った神様ほど質の悪いモノはない」
 その有様に肩を竦めてみせた柘榴、得物たるスナイパーライフルを構え戦闘態勢へと入る。
「過去の過ちが消えないとしても、貴様に其を裁く権利は無い」
 アスもまた愛用の蒼き二丁熱線銃を抜き、眼前に聳える海神を睨み据え。
「――疾く、過去へ還るがいい」
 冷たく、だが力強く言い放つと共に。猟兵達は其々に海中を泳ぎだす。過去の怒りに狂う海神を討ち果たすべく。
 以て、決戦の幕が上がった。

「行け、我が眷属よ! 汝らが怒りを地上の者共に思い知らせるのだ!」
 クリティアスの吼えるに応え、無数のイカじみた生物群がその甲殻より吐き出される。それらは猟兵達を捉えるや否や、一直線に彼ら目掛けて飛翔じみて水中を突き進み始める。さながらミサイルの如き様相。
「はわーっ!? なんかイカさんがいっぱい!」
「しかも何か汚染されてる!」
 優に百匹は超えそうなその数を前に、驚きの声を上げる左京。飛び迫るその全てが、何やら黒い靄のようなものを纏っている。墨だろうかとも見えたが、暦はそれが汚染によるものと見抜く。かの海神同様、あのイカ達もかつて海洋汚染によって死に至り、その汚染を抱えたままオブリビオンとなったのだろう。
「まあ、同情はできなくもないがね」
「だが、黙ってやられるつもりもない」
 その前に進み出るのは柘榴とアスだ。柘榴はライフル持たぬ手に抜いた機関銃を、アスは構えたる二丁熱線銃を、それぞれに迫るイカの群れ目掛けて構え。
 そして両者がトリガーを引けば、吐き出されるのは幾条もの熱線と無数の弾丸。水中でも減衰せぬ高出力の熱線がイカ達を貫き蒸発させ、柘榴謹製の爆発の魔力帯びた弾丸は捉えたイカ達の悉くを爆発させる。
 爆ぜ飛んだイカの身と共に汚染物質が海中へ散り、一時水域を黒に染める。汚染度は然程でもなさそうなので。これがかの猟書家に力を与えることはなさそうだが――
「……! 来るよ皆、避けて!」
 黒く染まる海水の向こうから迫る影。其を認めて暦が声を上げるのと、影の正体たる海神が黒を突き抜け迫り来たのはほぼ同時。巨体を利した体当たりを、四人は散開して辛うじて躱す。
「小癪な! だが我が怒りはこの程度のものではないぞ!」
 手応えの無さに苛立たしげな唸りを上げるクリティアス、即座に次の手を打つ。背負いたる甲殻の至る処で眩い光が弾けたかと思えば、無数の光線が周囲へと乱射され猟兵達を襲う。
「おおっとぉ!? くっ、か弱いレディに随分と手荒なことをするじゃないか」
 その攻勢を前に、回避機動を取りつつ距離を離さんとする柘榴。元より彼女の得手は遠距離支援。接近戦は好むところではないのだ。
「ならば下がっておけ。俺が前に出る」
 猟書家の攻勢を受け、少なからず傷を負った柘榴。彼女を護るかのようにアスが進み出る。彼も決して無傷ではないが、女性が傷つく様を放ってなどはおけぬ。何しろ柘榴のみならず、此度彼と同道している猟兵は全員が女性。なればこそ己が率先して前に出なくてはならない。少なくともアスはそう考える。
「――行くぞ!」
 そして水中を泳ぎ、巨亀の下方へと回り込む。巨大かつ堅固な甲殻の上からでは攻撃の通りも悪い。ならば甲殻の薄い部分を狙うべきだ。
「させるものか……ぐおっ!?」
 だが当然、クリティアスの方もそれは警戒している。深度を上げ、己の下方へ潜り込まんとするアスの動きを牽制せんとするが。其処に伝わった衝撃に、その身を震わせ悶える。
「甲羅が堅くったって、衝撃は逃がせないでしょ!」
 衝撃の源は甲殻の頂上。其処では左京が、携えた杖を振るい甲殻を殴打していた。光線を掻い潜り甲殻へと取り付いた彼女、そこから打撃攻撃を敢行していたのだ。
 その杖は見た目こそ魔術触媒としての意味合いの強い杖――ワンドであるが。その実は、打撃攻撃の為に設計された棍棒――即ちメイス。それを以て打撃を繰り出せば、堅固な甲殻と言えど衝撃は十全に伝わり。かの海神にも無視のできぬダメージを送り込んでゆく。
「その隙……貰うぞ」
 左京の攻撃が齎す衝撃にクリティアスの動きが止まった、その隙を突き。アスは彼の下方へと潜り込む。腹側も甲殻を鎧ってはいるものの、上側に比べれば薄く。熱光線を放てば少しずつ、だが着実に甲殻が穿たれ、熱と痛みとを刻み込んで。
「私もやらせて貰うよ!」
 更に、暦もまた動いていた。露出した鰭足、その付け根へと取り付くと、得物たる改造ナノブレードを取り出す。極小の鋸刃を無数に備えたブレードは、甲殻に比すれば柔らかいがそれでも堅い皮膚をも斬り裂き、中の肉を傷つけてゆく。
「ぐおおおおお! おのれ地上人共! 調子に乗るなああああ!!」
 積み重なる傷、地上の者共にそれを刻まれ続けているという事実。それらが海神の怒りを更に加速させ。
 怒りの咆哮を上げると共に、その肉体がみしみしと音を立てて膨らみ始める。跳び離れた猟兵達の前で、ただでさえ巨大なクリティアスの肉体は、それまでに数倍する程の巨躯へと変貌していた。
「恐れよ、畏れよ! これぞ貴様らの為した罪の報い! 裁きを下す海神の姿である!!」
 猟兵達を睥睨しつつ宣言するクリティアス、更なる巨体と化した体躯に相応しい轟雷を甲殻より迸らせる。
 だが。
「――やれやれ。身体の大きさに対して随分と心の小さいことだ」
「……何だと?」
 不遜な声音。見下ろす海神の視界に、大型の狙撃銃を構えた娘の姿が映る。
「所詮過ぎた事、とまでは言わないがね。それで以て一方的に裁きを下そうとは、古い神様らしい傲慢さだ」
 それは柘榴。銃口が狙うは海神の甲殻、その一角。先程、左京が殴打していた部分。
「人も、技術も。全ては未来へと進歩するものだ――このように、ね!」
 そして放たれる銃弾。クリティアス、ただの銃弾如きは容易く跳ね返せると踏んでか回避行動を取らず――そして。
「――ぐわぁぁああぁぁぁぁぁぁ!?」
 着弾と共に、上がるは海神の悲鳴。命中した弾丸は、漆黒の深淵と化して拡大し。着弾点周辺の空間を丸ごと虚空へ飲み込み、消失せしめた。其処に存在した、クリティアスの肉体と諸共に。
「……な、ば、馬鹿な……こ、こんな……このような……!?」
 呻くクリティアス。その背、銃弾の着弾点周辺部位は、まるで刳り抜かれたように抉り削れ。肉が露出し、汚染された血が漏れ出る無残な様相を呈していた。
「……ふ、どうだい。最古の魔術と最新の化学の融合。その成果の味は……」
 銃を下ろし、荒い息を吐きながらも、不敵に笑う柘榴。これだけの破壊を為した弾丸は、柘榴のユーベルコードにて射出された代物。その威力を発揮する為には、柘榴の有する魔力の大半を注ぎ込む必要がある。故に、今の彼女は満足に動くことすらできぬ魔力欠乏状態となっていたのだ。
「ぐうううう! おのれ、この我に向かってこのような……!」
「はわっ! そうはさせないわよ!」
 呻きながらも態勢を立て直さんとするクリティアスだが、そこへ左京の追撃が降る。ワンド――型のメイスを掲げると共に海上から襲い来るのは、数百本という途方もない数の巨大ハンマー。巨大化を果たしたかの海神に比しても遜色ないサイズの代物。
「がっ!? ぐぉ、き、貴様ぁぁぁぁ!?」
 理不尽といえば理不尽なその攻勢に、怒りの叫びを上げるクリティアス。絶え間なく襲い来るハンマーの齎す衝撃を堪えつつも、海中を飛翔するが如く泳ぎ猟兵達へ迫るが。
「やらせはしないよ……!」
 降り注ぐハンマーの合間を縫って、暦が改めてクリティアスへと向かう。瞬く間に縮む両者の距離。狙うは一点。暦はナノブレードを構える。
「その侵されきった身体、治してあげることはできないけど……」
 闇とはいえ医者である暦、眼前の海神も治療叶うならば為してやりたい処ではあるが。オブリビオンとしての存在と一体化してしまっている上に、其をばら撒かんとする存在とあっては、彼女としても滅ぼすより他に無い。
 ならば、せめてひと思いに。ここまでの交戦で傷つき、流れた血をナノブレードの刀身へと塗り付ける。刃が脈打つように輝き、その刃を不穏に煌めかす。有する殺傷力を、より高め。
「……切除っ!」
 そして激突の寸前。その首筋を狙い刃を一閃。殺戮捕食態となったことで鋭さを増した刃は、海神の強靭な首にも鋭く食い込み、そして振り抜かれれば。戦場にはどす黒い血が溢れ出す。
「もう眠るがいい、古き神よ……」
 姿勢を崩したクリティアスに、改めて引導を渡すかの如く。アスはかの神の頭部へと銃口の狙いを定める。
「――撃ち貫け、イーグルショット!」
 そして引鉄を引く。放たれた熱線が大鷲の如き姿を映し、海中を飛翔。狙い違わず、かの海神の頭部を、撃ち貫いてみせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
嘗ての神の蛮行、止めさせて頂きますねぇ。

Mヒーローさん達のおかげで、早急に対処出来ますぅ。
『FBS』を四肢に嵌め『推進力』に応用し水中での機動性を確保、更に『FGS』の重力結界で『巨体故に重力の影響を受け易い』相手の攻撃を偏向させて防御、『FAS』の翼と『FMS』のバリアで余波を含め防ぎますねぇ。

そして【処檻】を発動、クリティアスさんを『超重力空間』に捕えましょう。
『棘』の強さは『対象の強さに比例する』以上、『怒り』で強化される程威力を増し、拘束を強めることになりますぅ。
後は『甲羅の隙間』を狙い『FRS』『FSS』の[砲撃]を集中させ、[部位破壊]を仕掛け叩きますねぇ。



「ぐおぉぉぉぉ……お、おのれ地上の者共……!」
 猟兵達の攻撃を受け、深く傷ついた猟書家クリティアス。
「神たる我に仇為す貴様らの行い、元より赦す気など無いが、いよいよもって赦し難い!」
 全身から血と汚水とを漏らす、傷だらけの肉体が体積を増す。隆起する筋肉が傷口を塞いでゆく。
「この怒りと貴様らの罪を以て、この都市を壊し、穢し尽くしてくれる……!」
 元に数倍する、山の如き巨体が鳴動する。海水を掻き分け前進するその動きが、嵐の如き唸り音を海域に轟かす。最早、動く災厄にも等しき態となった海神は、その身に宿す汚染を叩きつけんとばかり海中都市に迫り――
「……!? う、ぐ……!?」
 だが、その進攻は中途で停止する。否、させられる。巨大な身体が、主の意に反して深く沈み、海底へと叩きつけられる。まるで、彼の身にかかる重力が異常増大したかのように。
 否、それは比喩ではない。彼の周囲に展開された14本の錫杖、これらが重力結界を展開し、その内側の重力を増大させているのだ。
「その蛮行、止めさせて頂きますねぇ」
 緩やかな声と共に、その業の主が頭上から降りてくる。夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)、別方面からの侵攻に対する防衛に当たっていた彼女であるが、警戒に当たっていたミュータントヒーロー達の連絡により、こうして猟書家の迎撃に間に合ったのだ。
「ぐぬ……お、おのれ、貴様の仕業か……!」
 るこるの姿を認めて唸るクリティアス。その背の甲羅の間から眩い光が生じたかと思えば、無数の稲妻じみた光線が撃ち放たれ、るこるを狙い殺到する。彼女さえ倒せば己を苛む重力から解放されると踏んでのことか。
「当たりはしませんよぉ」
 なれど黙って受けるるこるではない。四肢に嵌めた戦輪の回転を以て生じた推進力により水中を高速移動、迫る光線を躱してゆく。その身を捉えかけた光線も、銀盤の形成する結界の守りに妨げられるこるまでは届かない。
 そうしてクリティアスの攻勢を凌げば、るこるは反撃に転ずる。その手を合わせ、祈り捧げる先は彼女の奉ずる豊饒の女神。
「大いなる豊饒の女神の名に於いて、仇なす者達に厳格なる裁きを――!」
 祈りは波動となって海中を駆け、前方の海神をも包んでゆく。そして。
「――ぐおぉぉあぁぁぁぁぁぁ!!?」
 轟くはかの海神の壮絶なる絶叫。肉体の内と外から襲い来る猛烈な苦痛。
 外からはそれまでの錫によるものに増して凄まじい超重力。最早、その体重は彼の肉体の限界を超える程となり、全身から甲殻の軋む音が響く。
 内からは無数の棘が生じ、全身を引き裂く。形成された棘の持つ力は、クリティアス自身の力の程に比例する。故に、ユーベルコードを以て強化された彼の身には、尚更に鋭く突き刺さる力となるのだ。
「勝負あり、ですよぉ」
 重力に戒められ、全身を引き裂かれ。最早虫の息と見えるクリティアスに向けて、るこるは己の武装たる浮遊兵器群を差し向ける。24の砲塔が、海神の甲羅の至る所に生じた亀裂へと向けられる。
「……まだだ、まだだ……! 我は、未だ終わらぬ……! 大海を汚した地上の者共へ、其を忘れた海の者共へ、裁きを――」
 尚も憤怒と憎悪衰えぬ海神、最早殆ど動かぬ身を強いて、重力の戒めを振り切らんとする。
「いいえ、もう終わりなのですよぉ」
 だが、其を許するこるではない。思念に応えた浮遊砲台群が一斉に砲撃を開始、甲殻崩れたる部位へと無数の砲弾が撃ち込まれ、肉体の内外で爆発と崩壊を齎してゆく。
「否……否だ……! 我が怒りは、海の怒りは……永遠に終わらぬ……! 忘れるな……貴様らの罪は……永遠に、赦さ、れ――」
 最期まで、その憎悪を手放すことなく。怒れる大海の猟書家は、爆発の中でその肉体を完全に崩壊させ。骸の海へと還っていった。



 以て、猟兵達はアトランティスを汚染しようとした猟書家の企みを粉砕。かの海と、そこに生きるもの達を守ることに成功したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月06日


挿絵イラスト