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白球と刃狼と大ムカデ

#シルバーレイン #ソフトボール

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#シルバーレイン
#ソフトボール


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●白球を追って
 秋深く、澄み渡るような青空に快音が響く。
 山間の運動公園、アンダースローで投じられた白球が弾き返され外野フェンスに直撃する。
 走れ走れと賑やかに、打者は二塁へとスライディングでセーフを勝ち取る。
 何故か修復された世界結界に守られた世界――人々は神秘の存在を忘れ去ってしまっているが、存在そのものが消えたわけではない。
 人の形をした狼の群れが唸りながら山を駆ける。人々を殺戮せんと、全身に生やした刃を研ぎ澄まし獲物を求め草をかき分けていく。
 運動公園が茜色に染まるとき、オブリビオンの群れは運動公園に辿り着き殺戮を行うのだろう。
 そんな残酷な未来も知らず、人々は楽しく白球を追いかけていた。

 グリモアベース。
「予知を得た。銀の雨降る世界、シルバーレインでの事件となる」
 龍神の水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)は集まった猟兵達にそう切り出す。
「今回我が見た予知は妖獣化オブリビオン……元々この世界に存在しているゴーストの一種、妖獣のようなオブリビオンに関するものじゃ。外見は妖獣ではないものもいるが、共通して暴力衝動に支配されており人間を発見すると瞬く間に襲い掛かり殺戮するという存在である。今回我が見たのは殺戮が起こる現場とそれを引き起こすオブリビオン、事件が起こる前に人々を逃がし、迎撃して欲しい」
 そして龍神の説明は彼の見た予知の詳細に移る。
「現場となるのはとある山間の運動公園で、スポーツを楽しんでおる一般人が多くいる。現場に転移するのは朝でオブリビオンが現れるのは夕方、避難させる時間は十分にある」
 ただ、普通に避難をさせるのは少々難しいかもしれないと龍神は言う。
「世界結界……神秘の存在の認識を阻害するそれが邪魔となる。端的に言うなら普通に危険だからと避難を呼びかけても信じてそれに従ってはくれないだろう。かと言って強引に避難させるのはあまりよろしくない」
 そこで、と多摘が取り出したのはバットと白球――ソフトボール。
「現地ではソフトボール大会が行われている。飛び入りも可能との事で、それに混ざって楽しめばいい感じに誘導しやすくなるじゃろう。単に疲れたから休憩所で休むとか言い出すやもしれぬ……休憩所は少し離れた所にあるからそこに逃がせば戦闘に巻き込む事もないじゃろう」
 とにかく全力で楽しめば結果はきっとついてくると、多摘は真面目な顔で語る。
「夕方までに避難させればオブリビオン達が出現する。体中から刃を生やした人狼型のゴーストの群れと、妖獣化オブリビオンである大ムカデ……後者は妖獣化により強化されているが思考自体は単純じゃからそこを突けば有利に戦えるじゃろう」
 そこまで説明した多摘は宝珠型のグリモアを取り出し転移の準備を開始しする。
「……どこか奇妙な世界ではあるが、これから起こるだろう悲劇を見過ごす訳にはいかぬ。どうか、頼むぞ」
 そう多摘は話を締め括り、銀の雨降る世界へと猟兵達を転移させたのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 まさかまさかの銀の雨の世界。やけにスゴイ一般生徒の妙技とかあった想い出。

 第一章は山間の運動公園で一般人とソフトボールを楽しんでください。
 全力で楽しんで疲れさせて、少し離れた休憩所で休むよう誘導できれば妖獣オブリビオンに襲われることもないでしょう。
 銀誓館OBとかいう訳ではない普通の人達ですがたまーにスーパープレイを魅せてくれることもあるんだとか。

 第二章は『ソードヴォルフ』、第三章は『ムカデ王』とそれぞれ戦う事になります。
 こちらは冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらをご確認下さい。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 日常 『青春ソフトボール』

POW   :    豪腕からの超スピードボールや超飛距離のホームランで決める

SPD   :    テクニカルな変化球や盗塁を繰り出す

WIZ   :    応援や差し入れで仲間の士気を上げる

イラスト:シロタマゴ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

仇死原・アンナ(サポート)
普段はぼんやりですが敵前では獄炎操る処刑人と化します

鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います

UCは指定した物どれでも使用

普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)

ぼんやりしつつ日常を楽しみます。一人で楽しむ事も苦じゃないみたいです
ダークセイヴァー出身なので複雑な機械の操作はかなり苦手ですがキャバリアの操縦はそこそこ(本職に比べたら劣る)
流行には疎いけどまぁそんなモノもあるんだと認識する感じです


四十物・寧々(サポート)
サポートプレイングです。

ひとつの肉体に複数の人格を有し、人格ごとに別々の特性を修得でき、人格を切り替える事で様々な状況に対応できます。(多重人格者の種族説明より抜粋)

そのため、口調は「現在の状況に対応できる人格」です。
シナリオ進行に必要な内容など、喋らせたいことを喋らせて下さい。

使用ユーベルコードの指定はありません。
「成功」の結果で書けそうなものを一つステータス画面からお選び下さい。フラグメント次第で不使用も可です。

多少の怪我は厭わず積極的に行動し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

あとはお任せ致します。
宜しくお願い致します。


禍神塚・鏡吾(サポート)
ヤドリガミの電脳魔術士×咎人殺し、35歳男性

「喋る鏡」のヤドリガミです
いつもニコニコしていて、丁寧な口調で話します
(それ以外の表情が作れません。笑顔が場にそぐわない時には、仮面を被っています)

好奇心は強い方なので、訪れた世界での観光を楽しみます
やるべき仕事がある時には観光しつつも積極的に働きます
電脳魔術を生かした情報収集などで、他の猟兵が動きやすくなるよう、文字通りサポートをします

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
又、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
他はお任せします



 よく晴れた青空に快音が響く。
 運動公園でのソフトボール大会、モノトーンの衣装に身を包んだ仇死原・アンナ(処刑人 魔女 或いは焔の花嫁・f09978)はぼんやりと試合を眺めていた。
 この地にやってくる災厄であるオブリビオンが来るのはまだ先、
 ルールを細かく聞かれるとちょっと怪しいけども、見て楽しめるくらいにはソフトボールも理解できる。
 見ているだけでも楽しめているのだが、実際に参加してみるのも少し興味がわいてきている。
 そんな事を無表情に考える彼女、その眼前では並行していくつもの試合が進んでいた。

 打席に立ち、にこやかにバットを構える男は禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)。
 もう少し顔を引き締めてもいいのだろうけれども、この表情以外ができないのだから仕方がない。
 単純に好奇心が強いから、仕事以外でこの世界の遊戯というものを楽しんでいるという面も当然あるのだけれども。
 仕事。それはこの地にやってくるオブリビオンの撃退、そして人々を傷つけさせない事。
 ソフトボールを行っている人々に紛れ、存分に楽しみ疲れさせて早めに帰らせることができれば彼らに危険はないだろうとここに転移する前に聞いている。
 だから鏡吾も人々に紛れてソフトボールをやっているのだけれども、意外とこれが難しい。
 コースの見極めはできるけれど常識の範囲の力でのバットコントロールは中々に難しく、思った位置に中々当たらない。
 それでも感覚を徐々に調整して最終回、何度目かに回ってきた打席。
 鏡吾は西洋鏡のヤドリガミらしく綺麗に真正面にはじき返した。
 投手の真上、内野の守備の間を抜け外野を転がっていくボール、その間に一塁へと彼は滑り込んだ。
 そして一人出塁している中、
「思いっきり打ち返したるわ!」 
 ちょっと方言混じりに豪快にバットを振り回す青髪の少女は四十物・寧々(あいもの・ねね・f28377)。
 多重人格者の彼女、異なる方言を扱う人格がいくつかあるとのことだけれども、今回はどこか関西風の方言の人格が出ているようだ。
 白球の速度はオブリビオンの攻撃の速度よりは随分遅いけれども、上手く当てて打ち返すのはなかなか難しい。
 何度か打席に立って、空振りや凡打、安打も程々に積み重ねていった最終回。
 ここまで来れば割と目も慣れてきていて、そして投じられた球を全力で打ち返す。
 快音――打ち返された白球はフェンスに直撃し、その間に鏡吾は二塁三塁を蹴り、寧々は一塁を蹴って二塁へと進む。
 外野の処理が予想外に早かったけれどもそれでも寧々の方が早く、そしてその間に本塁へ向かっていた鏡吾が滑り込み、セーフ。
 フェンス外からの歓声と共に試合終了。そして交代で次の試合が行われていく。

 そんな風にして猟兵を交えたソフトボールの試合は順に進んでいき、予定されていた全ての試合が終了した。
 簡単な表彰なども済んで大会も終わりの流れになり、順に帰り支度を始める人々達はとても和やかな様子だ。
 かなり張り切って攻撃に守備にと参加していた寧々が、人々を誘導していく。
 そんな彼女をさりげなく機材の片づけを手伝いつつ、ふと嫌な気配を山の方に感じ振りむくアンナ。
 まだかなり距離がある、けれど少し急いだほうがいいかもしれない。
 そんな事を考えつつ、潜ませた拷問器具に意識を向けつつ人々の帰り支度の手伝いを再開するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ソードヴォルフ』

POW   :    剣狼斬
【日本刀または体から生える刃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    無人刀
【刀に宿る残留思念の励起】によって、自身の装備する【日本刀】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
WIZ   :    剣狼の呼び声
【体から生える刃】で武装した【狼型妖獣「剣オオカミ」】の幽霊をレベル×5体乗せた【巨大「剣オオカミ」】を召喚する。

イラスト:天野 英

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●刃狼来たりて
 日も沈みかけた山中を、血に飢えた狼が走る。
 刃をその身に生やし、目を赤く血走らせながらその身を苛む苦痛を人々の命で和らげんとするかのように山を駆け下りてくる。
 本来であるならば運動公園に行きつき、運動後のクールダウンなどを行っていた人々と遭遇して惨劇を繰り広げた事だろう。
 だが、猟兵達により極々平穏に少し離れた休憩所へと既に人々は移動していた。
 今この運動公園にいるのは猟兵のみ、オブリビオンを狩る事のできる力を持つ者達のみなのだ。
 日が沈み夜が訪れ、そして狩りの時間が訪れる。
推葉・リア(サポート)
色んなゲームで推しキャラを育成して愛でるのが好きな妖狐

基本的に人がいいので命や心を大事に行動し相手の心に寄り添おうとする、例えそれが敵であっても(倒すときはしっかりと倒す)
あと結構関係のないことも考えたりもしたりもするがやるときはやる

各ゲームの推しキャラ達の召喚と自分の狐火を使う戦闘スタイル
基本的には推しキャラ達が戦い自分は狐火での後衛攻撃やサポートに回ることが多い
状況によっては相手の属性や戦闘スタイル又は戦場に有利な推しキャラの選んで喚ぶ
推しキャラが動きやすいように自分を囮にすることも
推しキャラを呼ぶと不利又エログロ場面になりそうなら絶対に喚ばないし自分だけで戦う

共闘OK
過剰なエログロNG


龍見・潤(サポート)
人間のストームブリンガー×雀鬼です。
女性ですが、日常・依頼・戦闘時共に少年~青年の口調・行動です。
本人は性別バレを厭いませんが、
その可能性のある描写は出来る限り控えて頂ければと思います。

平常時は元気活発、礼儀正しく。
戦闘時は戦闘経験の浅さ故に敵の出方を確認し慎重に動きます
但しどんな状況でも「命大事に」
特に危機的状況では口八丁や雀鬼のブラフを使ったり
戦闘時では積極的に身を挺して庇います

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 ソードヴォルフの群が公園へ辿り着くほんの少しだけ前。
「それじゃ、オレがちょっと意識を逸らしてみるね」
 そう言ったのは龍見・潤(少年は夜空を辿る・f35439)というこの世界出身の猟兵。
「お願いするわ」
 推葉・リア(推しに囲まれた色鮮やかな日々・f09767)という妖狐がそう返す。
 この銀の雨の世界のオブリビオン、かつて抗体ゴーストと呼ばれたそれらと同じ姿を取ったそれらは妖獣化オブリビオンの影響を受けているからか凶暴性も戦闘力も極めて高い。
 丁度居合わせた二人が相談して簡単な作戦を立て、訪れるオブリビオンを迎え撃つことにしたのだ。
 先遣隊なのか、少数の刃狼がまず公園に飛び込んできて周囲を見渡した。
 その赤い目が捉えたのは公園の中心に立つ少年のような青年のような人影。
 その存在を認識したと同時、突然公園全体に雨が降り始める。
 銀色の雨、世界結界の綻びより降ってくるそれと同じようなそれは運動公園全体に降り始め、同時に侵入者たる刃狼達に万色の稲妻を降り注がせる。
 十年前ならゴーストを抗体化させていたその稲妻は、けれど狼人達を焦がしダメージを与えていく。
 潤の降らせた銀の雨は公園に飛び込んできた人狼の注意を惹きつけるには十分。
 術者を認識した狼は手にした日本刀に宿る残留思念を励起させ、空に浮かべながら共に潤へと突撃していく。
 その身に生やした刃と爪牙、更に別方向から飛来する遠隔操作された日本刀すべてに対処するのは難しいだろう。
 けれど怒り凶暴性のままに潤を狙う灰狼の群れに、物陰からリアが照準を定めるていた。
(「……気がつかれないように、静かによく狙って……!」)
 彼女は注意を完全に潤へと向けているソードヴォルフへと、その意識の外から狙いを定め銃弾程の大きさの狐火を解き放った。
 刃生やす狼の意識外から放たれたそれは、ユーベルコードの力によってリアの狙い通りその頭部に命中し、燃え上がらせる。
 本体は不意討ちに驚愕し足を止める、しかし日本刀は勢いのまま潤を狙う。
 その凶刃を潤は手にした七支刀で斬り払うと、同時頭部を炎上させたソードヴォルフに飛び込み一閃、胴を両断した。
 仲間を倒された怒りから、他の刃狼が日本刀をリアへと飛ばし、同時に飛び込んでくる。
 けれどリアは戦闘用端末より接近戦に優れた推しキャラクターを召喚、日本刀と刃狼の腕の刃を受け止めさせた。
 自身の推しキャラに護られながらユーベルコードによる狐火を展開し、リアから意識が逸れている刃狼を次々に狙い燃やしていく。
 不意討ちによるダメージや突然降ってくる万色の稲妻に集中を乱されたところに接近戦を得意とする潤や推しキャラクター達が飛び込み、止めを刺していく流れ。
 命大事に、無事生きて帰る事を意識している潤は深入りせず着実に敵に傷を負わせていく。
 反撃による刀傷もあったが、戦場に降りしきる銀の雨により徐々に癒されていた。

 そして、銀の雨が一旦止んだ頃。
 最初に公園に飛び込んだソードヴォルフは一先ず退けられた。
 だが、すぐ次の狼たちがやってくる。
 二人の猟兵は気を緩める事もなく、続く戦いに備えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月夜・玲(サポート)
『さてと、I.S.T起動。お仕事お仕事。』
口調 元気(私、~君、だね、だよ、だよね、なのかな? )


お仕事ついでに研究も出来るんだから、この仕事良いよねぇ
さあ、私の研究成果の実験台になってもらうよ

模造神器という独自の兵器開発を生き甲斐とする研究者
誰にでも気さくに砕けた口調で話しかける
戦いは全て研究の為、楽しみながら戦闘を行う
全ては研究の為、研究と戦闘を楽しめる猟兵生活は結構気に入っている
戦闘スタイルは4本の模造神器から2本を選び、二刀流で敵と戦う形です
UCで遠距離戦闘にも対応したSF剣士

日常ではのんびりと景色を楽しんだり風情を楽しんだり
冒険では考察しながらじっくり進む

あとはお任せ!


西院鬼・織久(サポート)
※過度なギャグ、性的な要素のあるシナリオはNG

【行動】
オブリビオン狩が最優先
口調等ステータス参照

五感と第六感+野生の勘で状況を把握し敵行動を予測
罠や逃走する敵の追跡などは戦闘知識の応用で対処する

「闇器」を場面に応じて使い分ける
武器は怨念の炎(呪詛+生命力吸収)を纏い継続ダメージ付与

先制攻撃を仕掛け狭い場所でも縦横無尽に動き回り死角から攻撃
殺気を抑え暗殺を行う事もできるが、大抵は特攻紛いの攻撃特化

集団にはUCやなぎ払いを範囲攻撃に広げるか、単体を夜砥やUCで拘束して振り回して周囲をなぎ払うなどで攻撃

敵の攻撃は残像などのフェイントや武器受けで受け流しカウンターを行う等全ての行動を攻撃に繋げる



 第二陣、先程と同数かやや多い程度のソードヴォルフが群れ成して夜闇を突っ切って戦場へと飛び込んでくる。
 憎悪と暴力を宿した赤瞳、先程よりも殺意に満ちているのは先に向かった同胞たちが討たれている事を認識しているからか。
 しかし迎え撃つ二人の猟兵はその殺意を意にも介さず武器を構え迎撃態勢を取る。
「さてと、I.S.T起動。お仕事お仕事」
 背中側から覆う様に纏う特製のガジェット【System[Imitation sacred treasure]】より二振りの刃――兵器を選び手にした月夜・玲(頂の探究者・f01605)という猟兵にとって、このオブリビオンがどのような感情を抱こうと関係ない。
 彼女にとって戦いのすべては研究の為。自身の開発した模造神器をより高める為の過程なのだから。
 その上で研究と戦闘の両方を楽しめるこの生活を気に入ってはいる。
 一方、黒きダンピールの西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)も一面では彼女に似た部分もある。
 ただ彼にとっての至上目的はオブリビオンを狩ること。玲のような楽しみ混じりではない、ただ殺意と狂気を以て刃狼共に相対するのだ。
 西院鬼一門に伝わる闇器の一つ、赤黒い槍の形をした【百貌】を構えた織久は、
「我等が血を以て報恩とする」
 ユーベルコードを起動する為の言葉を紡ぐと同時、地を蹴り手近な刃狼へと駆け出した。
 向かってくる猟兵に刃狼たちは刀の残留思念を励起し宙を舞わせ、自身の爪であるかのように織久に刃を突き立てんと遠隔操作する。
 夜闇に紛れ高速で飛来する刃の群れは本来なら視認も対応も困難、しかし織久はその刃を研ぎ澄まされた五感で察知し最小限の動作で回避する。
 残像すら残す速度で距離を詰めてくる黒衣の男に人狼の群れは体術、即ち体より生やした牙や刃で獲物を引き裂かんとするが、織久はそれらを躱すと槍に怨念の炎を纏わせながら串刺しにし、燃え上がらせた刃狼を持ち上げるとそれを鈍器のように振り回し周囲を薙ぎ払う。
 己の血を代価にあらゆる行動を成功させる捧血の儀――熟練の猟兵である彼には然したる困難ではないからか、奪われる血は行動に支障が出る程ではない。
 そして何よりも、殺意と狂気に満ち満ちた織久はそう簡単に止まるものでもない。
 そんな彼に続き玲が刃狼の群れに飛び込んでくる。
「さあ、私の研究成果の実験台になってもらうよ」
 告げる彼女に対し、その身に生やした日本刀で斬りつけようとする人狼。腕だけではなく胴や足にも刃を生やしている上、卓越した身体能力により予想もつかない角度から斬りつけてくる。
 しかし、玲はその斬撃を真っ向からは受けず模造神器により逸らすようにして弾き、刃狼の体勢を崩すとユーベルコードを起動。
「デバイス転送。動力直結。攻勢用外部ユニット、起動完了」
 玲の纏うガジェットが変形し腕型のデバイスを形成、刃狼の腕を掴むと軽々とその身体を持ち上げて投げ飛ばす。
 恐ろしい速度で投げ飛ばされたソードヴォルフは後方から向かってきていた仲間に命中、その勢いのままもつれて転がった。
 転がった刃狼が立ち上がろうとしたその時、織久が音もなく飛び込んで急所を血色の槍で一突き、怨念の炎で焼くと即座に次の獲物へと襲い掛かっていく。
 戦場を駆ける織久の怨念の炎を纏いし槍が次々に刺し貫き、更に玲のアームデバイスで捕獲し投げ飛ばしソードヴォルフ達を撹乱。重ねて二刀の模造神器による斬撃が次々と刃狼を両断しオブリビオン達に終焉を与えていく。
 狂戦士の如く暴れまわる織久とガジェットを駆使し楽し気に戦場を掻き乱す玲。即興の二人のコンビネーションは上々で、次々に飛び込んでくるソードヴォルフ達は容赦なく狩られていく。
 そんな中、狼の遠吠えと共に巨大な何かがやってくる――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

火土金水・明
「それでは次の狼たちの相手をできる限り迎え撃ちましょう。」「ここで食い止めることが最善ですから。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【属性攻撃】と【破魔】を付け【フェイント】を絡めた【ホーリーランス】で、『ソードヴォルフ』と召喚された者達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避できたら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げる事です。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



 遠吠えによく似たそれの直後、巨大な狼が飛び込んでくる。
 どこかソードヴォルフによく似た印象の、けれど四足歩行の全身に刃を生やしたその巨大狼は妖獣『剣オオカミ』という存在だった。
 背に同じ形で小さくしたような妖獣の幽霊を大量に乗せたそれは、巨大な頭部に乗せたソードヴォルフに召喚されし存在。
 召喚手のソードヴォルフが怒りの咆哮を上げると同時、巨大剣オオカミの背から剣オオカミが一斉に飛び降り猟兵達に攻撃を仕掛けてくる。
 ――しかし。
「悪しきものを貫きし槍を」
 闇に女の声が響いたと同時、幾何学的な複雑な軌道を描き飛翔する何かが出現する。
 剣オオカミ達を包囲するかのように空を舞うそれは1190本もの聖槍であり、召喚したのは夜闇に溶け込むような黒を全身に纏う火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)。
「ここで食い止めることが最善ですから」
 ちらりと山の方へと意識を向ける。これ以上刃狼共がやってくる気配もない、どうやらこれ以上の人狼は下ってこないと彼女は判断する。
 元凶はまだ姿を現してはいない、だから今のうちに全てをできる限り迎え撃つのが最善。
 そうして明が聖なる槍の群れを一斉に剣オオカミの群れに降らせる。雨のように降り注ぐ破魔の力を帯びし槍は剣オオカミを的確に貫き消滅させていく。
 それらが乗っていた巨大剣オオカミにも次々に聖槍が刺さり針鼠のような様相になっているが、巨大剣狼は暴れ頭部に乗ったソードヴォルフを狙う槍を弾いていく。
 空を舞っていた聖なる槍が無くなった頃、あれだけいた剣オオカミの群れはすっかり消え失せて召喚手と巨大剣オオカミを残すだけとなっていた。
 血みどろの巨狼が猛スピードで明に突進する。その胴の刃が黒き魔術師を切り裂き――けれどそれはゆらりと霧散する。
「残念、それは残像です」
 ちょっと揶揄うような声色で、けれど周到に二回目の聖なる槍の群れを展開した明が巨大剣オオカミの後ろからそう告げる。
 同時、再びの聖槍の雨が降り注ぐ。
 今度は巨大剣オオカミも逃れられず、召喚種の絶叫と共に全身を刺し貫かれその姿を薄れさせ消失したのであった。

 ソードヴォルフの群れはこうして討たれた。
 だが元凶たる妖獣化オブリビオンは健在であり。
 猟兵達が一先ずの勝利を感じる間もなく、狂気と暴力を抱いた巨大な存在が地を這い山の木々を薙ぎ倒し公園へとやってくる。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ムカデ王』

POW   :    百足蹂躙
【無数の脚による蹂躙突撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    廉貞模倣体
【妖狐七星将「廉貞」を模した霊的存在】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    天空百足嵐
召喚したレベル×1体の【巨大ムカデ】に【空駆ける足】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。

イラスト:8mix

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●狂える大百足
 その妖獣化オブリビオンは大ムカデだった。
 ただのムカデではない。山を七巻きするという大百足の伝説――それ程の巨大さはないものの、伝説が真実だったのではないかと感じてしまう程に巨大な大ムカデだ。
 かつて能力者として戦っていた猟兵の中には酷く苦戦させられた記憶を未だ抱いている者もいるかもしれない。
 その広域破壊能力は苛烈、精鋭である能力者達も容赦なく薙ぎ倒し蹂躙した七星将が一人の尾を形成していたゴーストと同じ姿をしたそれは、かつてどこかで倒されたそれがオブリビオンと化した存在で。
 大ムカデが無数の足を蠢かせ木々を楊枝のようにへし折り、そして猟兵達へと向かってくる。
 ただでさえ強力な存在が妖獣化により強化されたそれは、けれど引き換えに思考が単純化されてしまっている。
 つまりその暴力衝動に従うばかり、それを突いて戦う事ができれば或いは有利に戦えることだろう。
 ――こんな怪物が人里に向かえば大惨事は免れない。
 災害の如き妖獣化オブリビオンに対し、猟兵達は決意を以て武器を取り行動を開始した。
河崎・統治(サポート)
絡み、アドリブ歓迎

戦闘前にイグニッションカードから装備を展開し装着。
味方と連携しつつ周囲を警戒、索敵して進む。暗所では暗視ゴーグルを使用する。
敵と遭遇したらアサルトウェポン、21式複合兵装ユニット2型で攻撃しつつ接近し、白兵戦の間合いまで接近した所で武器を水月に持ち替えて攻撃する。
使用UCは状況に合わせて変更。


ロラン・ヒュッテンブレナー(サポート)
※絡みアドリブOK
※感情が尻尾や耳によく表れる
※人見知りだが【優しい】性格で育ちのいいお坊ちゃま
※戦闘時は魔術器官と電脳空間の演算力を用いて知略で戦う
※「ぼく」「~なの」「~さん

体のあちこちにつけた魔道具の回路を起動し(【高速詠唱】)、
狼の嗅覚聴覚視覚(【聞き耳】【暗視】)を駆使した【情報収集】と、電脳空間からの【ハッキング】で敵戦力を分析(【学習力】)

適切な魔術(UC)を組み合わせたり【乱れ撃ち】する
防御は【結界術】で作る【オーラ防御】壁や、
小柄な体系と狼の機動力(【ダッシュ】【残像】)を使う

仲間を守り、敵には【勇気】をもって容赦ない作戦・攻撃を行う(【全力魔法】)



 大ムカデが長い胴に生やした足を蠢かせ向かってくる中、人狼の少年、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)の耳はやや伏せられていた。
 妖獣化した大ムカデの凄まじいまでの破壊衝動、それに全力で警戒しろと第六感が叫んでいる。
 その警告に従って彼の装備した魔道具の回路を一斉に起動、五感で収集した情報を電脳魔術で処理し敵たる大ムカデの情報を高速で分析していく。
 彼が分析を進める中、一人の猟兵がカードを手にして、
「起動(イグニッション)!!」
 叫びの声と共に重火器と背中に大型回転動力炉が瞬時に装着される。
 彼、河崎・統治(帰って来た能力者・f03854)はかつてこの世界で戦っていた能力者、そしてこのオブリビオンと同じような姿のムカデ王と交戦した記憶もある。
 当時から随分戦いを重ねてきてはいるがそれでも強敵であった記憶は鮮明に残っていて、
 装着した暗視ゴーグルで視界は万全、背の回転動力炉に接続された廃部兵装ユニットよりミサイルとレーザーを連続で発射して大ムカデに命中させていく。
 しかし、大ムカデはその巨体故に甲殻は非常に頑丈、内部へのダメージは少ないようで動きが鈍る様子もない。
 それでもアサルトウェポンから放つ銃弾で大ムカデを牽制する統治に対し、大ムカデはその無数の脚で踏み潰さんと突撃を敢行する。
「おねえちゃん、力を借りるの」
 そのタイミングでロランがユーベルコードを起動。
「――血よ響け。そして夜に輝き、星を駆ける契約を。我が身に降りて道を示せ」
 詠唱が終わると同時、ロランの姿が成長して夜を往く人狼吸血鬼へと変化し、空へと飛翔する。
 大ムカデはその上体を起こし飛翔せんとするロランに噛みつこうとするが、この速度と間合いなら十分回避できると解析したロランを捕える事が出来ず空を切る。
 そうしてそのまま夜闇に舞うロランは月光をその身体より放射、受けたものの能力を弱体化させるそれを大ムカデの全身に浴びせかける。
 それを厭わしく思ったか、大ムカデは暴れ空舞うロランを叩き落そうとする。それをロランは分析と直感を活かし動きを予測して残像で惑わしながら回避していく。
 単純化した思考もあって分析は容易だ。そして人狼吸血鬼が空舞い降らせる月光でムカデ王を弱化させていく中、突撃を回避した統治が大ムカデの胴体の中程に飛び込んでいく。
 手にしているのは重火器から持ち替えた日本刀【水月】、節の部分を見出しつつ刃を構えた彼は同時にユーベルコードを起動する。
 背の大型回転動力炉が全速で稼働し威力を高められた不死鳥のオーラが日本刀を持った逆の手に集中していき、
「遠慮はいらん。受け取れよ!」
 斬撃が大ムカデの甲殻を切り裂くと同時、連続で叩き込まれた不死鳥のオーラがその傷口から浸透していく。
 内側から消えない魔炎で焼かれる苦痛に妖獣化オブリビオンは耳障りに鳴き無数の足を地に叩きつける。
 有効打は与えられたがまだまだ大ムカデを倒すにはダメージを重ねる必要がありそうだ。
 それを認識しつつ、猟兵達は次の攻撃の為の行動へと移っていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

東海林・馨(サポート)
ボス戦の基本は「俺より強い奴に会いに行く」というスタンスで挑みます。
自分より相応しいと感じる猟兵がいたら積極的(というか集団で狩りをする狼の本能的)にサポートします。
武術においては搦め手も技の一つと考えているので、物陰を使用した奇襲や動きを封じるために脚などへの攻撃も正当と考えています。

「武術を極めるというのは相手の全てを出させる」「全てを出させたら後はなんとかなる」という信念から粘り強く攻撃と防御を繰り返します。
その他はお任せです。


アト・タウィル(サポート)
『どうも、アトです。』
『ふふ、それはどうも。』
『私にできることなら、なんなりと。』

ねじくれた魔笛≪Guardian of the Gate≫を携え、ふらっと現れる女性。性質は大人しく、いつも笑顔を浮かべているが、その眼は深く開いた穴のように光を写さない。大体平常心で、驚くということがあまりない。その代わり、空気は読むので、必要に応じて驚いたふりなどはする。

戦闘では、魔笛を用いてUCを使う。音楽系はもちろん演奏で、サモニングガイストもそれに合わせて現れる形。ミレナリオ・リフレクションでは、相手のUCが剣などを使う場合は必要に応じて武器としても使う。

後はお任せします、自由に使ってください



 弱体化の月光と甲殻の内側から燃え広がる魔炎にやられ、大ムカデの耳障りな鳴き声が響く。
 圧倒的に巨大な相手、それを前にした人狼の青年、東海林・馨(探索する者・f33122)は武者震いしていた。
 武を追求する為に彼よりも強い相手を求め続けし技に憑かれた悪霊。人型の相手ではないがその武を発揮しこの強大なオブリビオンを打倒す事は不可能ではない。
「……怖くはないのか?」
 彼が近くで微笑むミレナリィドールの女に問いかける。
「そうですね。あまり驚かない性分ですから」
 微笑みながらアト・タウィル(廃墟に響く音・f00114)が返す。この災害のようなオブリビオンを前にしても笑みを崩さない彼女の瞳は光一つ射さぬ底なしの穴のよう。
 ムカデ王が一際大きく啼けば、その頭部に中華風の姿をした黒い長髪の妖狐の姿が現れた。
 馨がその目で注視すれば輪郭が揺らめいている。実体ではなく霊的な何か――恐らくはこのムカデ王をかつて従えていたという妖狐七星将「廉貞」を模した存在なのだろうと馨は判断する。
 黒髪の妖狐が九尾扇を緩やかにこちらへ向ければ、それに従いムカデ王がその上体を馨に向けて叩きつけてくる。
 寸での所で回避した馨、けれど霊的存在の指示によりムカデ王は自身より遥かな小さな人狼の姿を見失うことなく執拗に追尾してくる。
 加えて空を駆ける巨大ムカデの群がその顎を鳴らし飛びかかり、宿星剣で弾き飛ばすも数が多い。
 ムカデ王の本気、その巨体だけでなく小技も使いこなす厄介さ。全てを引き出す事は出来たけれども切り込む隙が見えない――攻めあぐね、けれど辛抱強く隙を伺う馨の耳に奇妙な笛の音色が聞こえてくる。
 携えた奇妙にねじくれた魔笛により奏でられるメロディはユーベルコードを発動する為のもの。
「私一人では、期待に応えることができないでしょう。ですので……」
 言葉に続いて奇妙な太鼓とフルートの音が重なって響き始める。
 何故か下劣に感じる狂おしき太鼓の連打と呪われたフルートの単調な音色、奏でるのはそれぞれの楽器を持った二体の従者。
 決して目覚めさせてはならない魔王を眠らせ続ける従者たちの、どこか不吉で根源的恐怖を齎し眠りへと誘い続ける単調な音色。それは空駆ける巨大ムカデ、そしてムカデ王の力を弱体化させていく。
 その動きが鈍った香気を見逃さず狼は走る。
「……狩りたてろ 牙はそこにとどく」
 呟き、木々の枝や幹を足場にその陰に身を隠しながらムカデ王との距離を詰めていく。
 それに気づいた頭部に乗った妖狐の模倣体が察知した気配に向けムカデ王を操り真上から押し潰さんとする。
 轟音、けれどその下に馨の姿はない。
「……捉えたぞ」
 ムカデ王の背中から男の声。ユーベルコードにより気配と実体を分離させた馨は気配を囮にムカデ王の背後を取ったのだ。
 巨大なムカデ王の背の節に直剣を捻じ込み何度も突き立てる馨。虚を突かれたその攻撃は三倍強烈なダメージを刻み込んだ。
 全身をのたうたせ背の馨を振り落とすムカデ王。
 弾かれた馨はくるりと着地を決め、剣を構え直す。その光景を見やりながらアトは従者たちの奇怪な演奏に重ねるように魔笛を奏で、オブリビオン達の力を弱めていく。
 変わらず微笑みながら、夜の公園に魔王を眠りへと誘うメロディを響かせ続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

禍神塚・鏡吾
技能:だまし討ち、言いくるめ、演技、悪のカリスマ

アドリブ連携歓迎

「『死と隣り合わせの青春』……でしたっけ」
私も色々な世界を巡ってきましたが、この世界のオブリビオンはどれも強力です
能力者の皆さんは、ずっとこんな相手との戦いに明け暮れていたのですね
驚くべき話ですが……
「私達も負けていられませんね」

ムカデ王が召喚した廉貞模倣体を複製し、本物(?)の廉貞模倣体が出す命令と逆の命令を出して混乱させます
「我こそが真なる汝の主。贋物に惑わされることなかれ」
(……記録にある廉貞氏の口調を真似て喋らせてみましたが、意外と難しいですね)

此方の命令に従わせて自傷させられればベストですが、無理でも立ち往生させましょう



 狂おしき太鼓の音とフルートの奇妙な演奏が響く中、禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)はのたうつムカデ王に静かに忍び寄っていた。
(「『死と隣り合わせの青春』……でしたっけ」)
 十年ほど前、この世界で戦った能力者達。
 当時彼らは大半が学生であり、生命を脅かすゴーストや異なる星からの来訪者と戦いを繰り広げたのだという。
 その来訪者の一種である妖狐、その幹部はこのムカデ王のような強力な存在を尾として大量に従えていたのだという。
 様々な世界を巡ってきた鏡吾であるが、この世界のオブリビオンはどれも強力だと思う。
 能力者はこのオブリビオンの元となった存在との戦いに明け暮れていたのだと考えると驚嘆に値する。
 そして同時に、
「私達も負けていられませんね」
 猟兵として負けていられないと、思うのだ。
 妖獣化オブリビオンの特性でその破壊衝動に呑まれ知性が低下しているムカデ王はその苦痛と痛みを与えた猟兵へと意識が向いていて、鏡吾は完全に視界の外だ。
 射程内にまで接近できた今が攻撃のチャンス――西洋鏡のヤドリガミはユーベルコードを起動する。
「鏡を覗く貴方の瞳は、貴方が見たい貴方を見る。しかし貴方が目を逸らす貴方も、鏡は映しているのです」
 詠唱と共に出現したのはムカデ王の頭部に出現し操っていた廉貞の霊的な模倣体の鏡像の具現体。
『止まれ』
 左右逆転した鏡像は、低い声で静かにムカデ王に向かい告げる。
 すると暴れ回っていたムカデ王が急に停止する。そしてまるで何かに怯えたかのように声の方向へとゆっくりと向いて、硬直。
「我こそが真なる汝の主。贋物に惑わされることなかれ」
 かつて敦賀ではその怒気だけでムカデ王や妖狐精鋭の自由を奪ったというが、主人への絶対的な恐怖が知性を失った状態でも残っているのかもしれない。
(「……記録にある廉貞氏の口調を真似て喋らせてみましたが、意外と難しいですね」)
 ただ、命じさせた鏡吾としては冷や汗もの。いつもの笑顔のままではあるが。
 元より難解な口調であったという廉貞の口調を上手く再現できているか、ムカデ王を騙し切れるか不安は当然ある。
 けれどムカデ王頭部の廉貞が動くように指示しているにも拘らず、知性の低下もあってかどう動くか迷っている様子を見せており効果的に騙せているのだろう。
 だから、念動力で金属板や鏡を密かに操りつつ鏡像に更に命令を重ねさせる。
『伏せよ。そして贋物を排せ』
 それは攻撃させようとしているムカデ王頭部の模倣体とは逆の命令。
 相反する命令を同時に受けたムカデ王は混乱し、その上体をくねらせのたうち回る。
 そしてその内、いつの間にか背に乗っている何かの存在に気付く。
 それは模倣体や鏡像によく似た、けれど色がやや異なる出来の悪い廉貞の贋物のような何か。
 贋物を排する、敵を攻撃する。この背中の明らかな贋物を潰せばどちらが正しくても命令は果たせる。
 そう考えたのか、ムカデ王は体をぐるりと回転させ、背中の偽物へと食らいつき――そして、体液が飛沫いた。
 ムカデ王が食らいついたのは自身の体、背中にいた贋物は鏡吾が念動力で操った鏡に映し出された鏡像の廉貞の更に鏡像。
 既に他の猟兵が刻んでいた傷の位置に合わせ映し出していたそれは、張り付けられた金属板による光学迷彩で別物に見せかけていて、妖獣化オブリビオンは鏡吾による偽装を見抜けなかった。
 鏡吾の狙い通りに全力で傷口に噛みついた結果、ムカデ王の体が真っ二つに分かれ大きな音と共に崩れ落ちる。
 そして僅かにのたうった後にその巨体は空気に溶け込むように消失していく。
 鏡像も消失し、後には猟兵と静寂を取り戻した公園だけがあった。

 かくして妖獣化オブリビオンに夜惨劇を食い止めた猟兵達は、グリモアベースへと帰還したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月23日


挿絵イラスト