●危険な空の旅へ
アルダワ世界、商会同盟には人々の生活を支える重要な『魔導蒸気機械』が存在している。
その中の一つに飛行船とよばれるものが存在した。それは魔導蒸気の力で羽をもたない人々を空へと導くもので、新たな時代のおとずれを人々に期待させている。
そんな飛行船の一つ、それなりに豪華な旅客用の飛行船に一体の災魔が忍び込んだ。
災魔はかつて『探求のオルガノン』という猟書家が魔導蒸気文明を災魔化させるために用いていた災魔の卵を手にし、高空へと至った飛行船の機首へそれを埋め込んでいく。
卵が完全に飛行船に沈み込み、突如衝撃が走る。
客室の前の廊下を高空の冷たい外気が流れ込み、食堂や遊戯室等の大部屋の壁や床が気圧の変化に崩壊して空中に破片を巻き散らしていく。
災魔の手により災魔化した機械は暴走を続け、やがて全ての乗客を空へと投げ出し到着地へと墜落、その周辺住民を皆殺しにしてしまう事だろう。
『どうなってるんだ! これは』
――飛行船の一番底に、一人の竜人がいた。
緋色の鱗を油に汚したジュールという名の青年はこの飛行船を設計したガジェッティア。原因を理解できぬまま暴走を抑え込まんと魔導蒸気機械を操作していくがどうにもならない。
『誰か何が起こっているのか教えてくれ……!』
嘆く彼に応えるものは、今はなかった。
「ちょっといいかな。アルダワ世界で猟書家に関連する事件が予知されたんだ」
グリモアベース、男装のケットシーのクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)が力を貸してほしいと猟兵達に呼びかける。
「場所は商会同盟、飛行船などの魔導蒸気機械が人々の生活を支えてるんだけど、その飛行船が空の上で災魔の卵を埋め込まれ暴走しちゃったみたいでね。墜落する前に皆の力で災魔を倒し暴走を解除してきて欲しいんだ」
そして妖精猫は彼女の見た予知の詳細を語り始める。
「災魔の卵を埋め込まれた飛行船の中は災魔化により中の構造が変化して滅茶苦茶な暴風が吹き荒れている。気圧とかの影響で壁とか色々ぶっ飛んで壁の破片とか調度品が凶器になって飛んでくるみたいだね。幸い乗客とか乗組員は船底側の部屋に籠ってるからまだ安全みたいだけども……事件を起こした災魔は船の舳先の方にいて、そこに辿り着くには上側の暴風のフロアを突破する必要があるだろう」
いきなり舳先に転移できればいいんだけどどうにも難しくて一番後ろ側になりそうだと、残念そうにクーナは言う。
「ただラッキーな事にこの飛行船にはこの船を設計したガジェッティアがいるみたいだ。ジュールって名前らしいけど、彼の力を借りれれば風の影響をなるべく受けないようにして舳先へ向かうルートを教えて貰う事もできるかもしれないね。あと、この事件を起こした災魔は猟書家本人ではなくて、その遺志を継いだスペシャル・ライターって災魔になる。タイプライターみたいな形してるけども、戦闘になると飛行船と融合して何か仕掛けてくるかもしれないから気を付けてね」
説明を終えたクーナは灯篭のようなグリモアに幻の火を灯し、転移の準備を開始する。
「少々寒い空の旅になるかもしれないけど惨劇はどうにか避けたいよね。皆ならきっと大丈夫だと思うけど、油断ないよう頑張ってね」
そう話を微笑み締め括った騎士猫は、猟兵達を災魔化飛行船へと転送したのであった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
とっても危険な空の旅になりそうです。
※このシナリオは猟書家幹部シナリオで二章構成です。
アルダワ世界、商会同盟にて猟書家の遺志を継いで魔導蒸気機械の一つである飛行船を暴走させようとしている災魔を退治するシナリオとなります。
第一章は暴風吹き荒れる危険区域となった飛行船の内部で、事件の元凶である災魔を探す冒険になります。
災魔は飛行船の先端の方にいるようですが、災魔化機械と化して暴走している飛行船の中は暴風が吹き荒れ普通に辿り着くには骨が折れそうです。
この飛行船を設計したガジェッティアのジュールは船底の方にいるらしく、上手く彼の協力を得る事ができれば突破の助けになることでしょう。
性格は真面目で仕事一辺倒、ただし未知の機械には興味津々になる癖があるようです。
第二章は幹部猟書家『探求のオルガノン』の意志を引き継いだオブリビオン『スペシャル・ライター』との戦いになります。
こちらは冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらをご確認下さい。
また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。
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プレイングボーナス(全章共通)……この機械を建造したガジェッティアの助力を得る。
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それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 冒険
『強風迷宮』
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POW : 真正面から強風に立ち向かう
SPD : 風の影響を受けないよう動く
WIZ : 逆に風を利用して突破を図る
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
徳川・家光(サポート)
冒険においては、基本的に「羅刹大伽藍」による力仕事か、名馬「火産霊丸」を召喚し、騎乗技能を駆使した早駆けを利用したスピード勝負を得意としています。
また、冒険では「鎚曇斬剣」をよく使います。頑丈で折れにくいので、鉈や斧、岩盤に打ち込むくさびの代わりに重宝しています。
他には「念動力」技能で離れた場所の物体を動かして驚かせたり、ロープを浮遊させて対岸にくくりつけたりできます。
嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!
グリモアベースより猟兵達は飛行船船尾の船倉へと転送された。
閉ざされた船倉内は無風状態であるが、みしみしと扉が軋んでいる。扉の向こうは暴風域となっていて、開けばこの中も同じような暴風域と化してしまうだろう。
しかし、災魔化した飛行船は人々を皆殺しにする為に暴走している。このまま待っていればより致命的な暴走を引き起こしてしまうだろう。
「それでは一番槍をいただきますね」
扉を開き、暴風荒れ狂う中へと覚悟を決めた赤髪の羅刹、徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)が飛び出しながらユーベルコードを起動する。
「火産霊丸よ、焔の底より出ませい!」
その言霊と共に召喚された燃える白馬の背に騎乗した家光は、まともに立っていられない程の暴風を突っ切り廊下を駆け抜けていく。
壁など存在しないかのように高空の風と飛来物が吹き飛んでくる中を、火産霊丸と家光は巧みな手綱捌きで風の影響を抑え飛来物を躱す。
彼が進むのは飛行船居住部の上側。足場となる床は比較的残っているものの、所々壁が崩壊して一度手を誤れば何もない高空に投げ出されてしまうだろう。
だが将軍にはその程度を恐れぬ覚悟がある。臆病にならず前に進む事に勝機があるとでも示すように、あらゆる角度から暴風吹き付ける領域の中愛馬を走らせていく。
巨大な鉄柱の破片が正面から飛来するも、家光は念動力で明後日の方向に力をかけて軌道をずらし、更に右の手に握った鉄剣で斬り払った。
(「しかし舳先まではまだまだ遠いみたいですね」)
暴風の中をかなりの速度で移動している家光、しかし崩壊した壁の向こうに垣間見える見える景色から、まだ船の中心辺りの位置だろうと推測する。
あまり時間はかけられない。少しでも早く船の先端へと到達せんと火産霊丸の手綱を握る力を強め、家光はさらに加速していくのだった。
成功
🔵🔵🔴
クトゥルティア・ドラグノフ
ルク君(f14346)と共闘!
これは普通に進んだら痛い目に合う風だね……確実に一歩づつ行こう!
ルク君と一緒なら絶対に大丈夫!
ルク君が防壁を作ってくれるなら私は飛んでくる障害を片付けるよ!
【野生の勘】で【見切り】、サイコキネシスで飛来物をキャッチして防ぐね!
ルク君が話してる間も守り続けるよ。間違って二人に当たったら大変だからね!
ルク・フッシー
クーさん(f14438)と
うわあ!もの凄い風です!急いで災魔を倒さないと…
でも焦ってやられる訳にもいきません。着実に素早く前進です
クーさんと一緒なら、できますよねっ
とにかく、まずは安全を確保しましょう!
クーさんが守ってくれてる間に、素早く空中に描くのはふかふかベッド。これを飛び交う調度品を防ぐ盾にします
えっと…ボクもベッドを支えますから!がんばります!
(意外に腕力もある)
安全を確保しつつ、ジュールさんという方に話を聞きます
ボク達がアルダワ魔法学園の生徒である事を話します
信じて貰えないなら目の前でベッドを描き実体化させます
そして風の影響を受けづらいルートを聞きます
飛行船の上層を覚悟と愛馬と共に突っ走る猟兵がいる中、二人の猟兵は慎重に歩を進めていた。
「うわあ! もの凄い風です!」
絵筆が飛ばされないよう大事に抱え込みつつ、ルク・フッシー(ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)は被った帽子を片手で抑えながら叫ぶ。
「これは普通に進んだら痛い目に合う風だね……」
呟くキマイラはクトゥルティア・ドラグノフ(無垢なる月光・f14438)。薄菫色のやや丈のあっていないロングコートが暴風を巻き込んでバサバサと暴れるように靡いている。
「急いで災魔を倒さないと……」
この風の中、時間をかけるのは得策ではないと少々焦る緑鱗の竜人。ただ、焦れば最悪外に放り出されてお空の旅をしてしまう事になるだろう。
確実に一歩ずつ行こうとクトゥルティアはルクに微笑んで、ルクの方も着実に、けれどできるだけ素早く前進しようと返す。
そんな二人を邪魔するように廊下の正面から風に吹き飛ばされた調度品がいくつも飛来してくる。
「とにかく、まずは安全を確保しましょう!」
勘を働かせたクトゥルティアが咄嗟に反応し、ユーベルコードにより見えないサイキックエナジーで纏めて握りこむように受け止め衝撃を殺す。
「優しく暖かく、柔らかく……」
その間にルクのユーベルコードにより素早く描き出されるのはふかふかの空飛ぶベッドだ。
あちこちから飛来してくる調度品を優しく受け止め無害化するベッド。それを盾にして二人は進もうというのだ。
暴風の影響を受けて少々重いけれどもクトゥルティアは念力で支えていて吹き飛ばされる事はない。
「大丈夫、ルク君と一緒なら絶対!」
「えっと……ボクもベッドを支えますから!」
絵描きだけれどもルクも意外と腕力があって、信頼を向けてくれるクトゥルティアに負けずに前に空飛ぶベッドを押し出しながら進んでいく。
「たしか下の方にいるって聞きましたけど……」
二人が目指すのは船底にいるというガジェッティアの居場所。崩壊している場所に足を取られないように慎重に進んでいく。
非常に不安定な場所であるが、互いに信頼し合う二人だから恐怖はない。
風の強い廊下を慎重に進む二人は、とうとう機械室らしき場所を発見する。
扉を開けて二人で滑り込み即座に閉じる。突然の侵入者に緋色の竜人が驚いた顔で迎える。
『こんな状況でどうやって来たんだ……?』
彼こそがこの飛行船を設計したジュールというドラゴニアン、そんな彼に対し、ルクとクトゥルティアはまず簡潔に自己紹介を始めようとする。
「僕たちはアルダワ魔法学園の生徒で……」
その時、ルクの言葉を妨げるように入口の扉が風圧で砕けてしまい、その破片が散弾のように三人に向けて飛来してくる。
「大丈夫! 私がやるよ!」
だがそれを勘で見切っていたクトゥルティアがユーベルコードを起動、見えないサイキックエナジーで纏めて握りこむように受け止め衝撃を殺して真下に落とす。
大切なお話を邪魔される訳にはいかないのだから、彼女の感覚は非常に研ぎ澄まされていた。
そして彼女が破片の対応をしている間にルクがベッドを空中に描き、ふかふかの空飛ぶベッドを扉の位置に押し当てるようにして応急処置、そこから部屋にあった部品を使って補修を行った。
「ええと……信じてくれますか?」
『ああ、信じるさ。そんな事できるのはアルダワの生徒ぐらいだ』
そう言うジュールの目は空に実体を描き出したルクの絵筆に興味津々な様子、とりあえず協力を得る事は出来そうだ。
ルクとクトゥルティアが災魔のいる船首に向かいたいと説明すると、ジュールの表情は難しい顔になる。
『この状況だとかなり形が変わっている可能性もあるから……いや、まてよ?』
何かを思いついた竜人は部屋の奥にあった人がどうにか入れる大きさの扉へと向かい、そっと開けてみる。
それは点検口のようなものなのだろう。その向こうからは風が吹き込んでこない。
『思った通りだ。飛行を続けてる以上動力回りはそう変形させたり壊す事ができない。だからそれを保護する為の空間はちゃんと維持されている』
通路や部屋はともかくその辺りまで壊してしまえば人里離れた場所に真っ逆さま、それでは墜落地点での大量虐殺という災魔の目的が果たせないという事か。
メンテナンス用の通路も兼ねているから人が行き来する事は十分可能だとジュールは言う。
『俺はここでもう少し暴走を抑えてみる。暴走が収まったらすぐに調整しないとならないだろうしな』
災魔の方は頼んだ、と信頼の瞳を緋色の竜人は二人に向けて、メンテナンス用の通路の入口へと二人を促す。
『しっかり守るんだぞ』
と、別れ際に緋色の竜人はクトゥルティアの指に光る指輪をちらっと見て、ルクにこっそりそんな言葉をかける。
その言葉にルクの緑鱗の表情はほんのり赤らみつつ、先に入ったクトゥルティアを追いかけ点検口へと飛び込んだ。
そして二人はジュールに借りた図面を参考にしつつ船首へと向かい走り出す。
少しばかり風は吹いているが通路と比べれば無風に感じてしまう程度。
「急ぎましょう!」
共に走るクトゥルティアの手を取ってルクが言い、二人はジュールの信頼に応えるべく先を急ぐのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『スペシャル・ライター』
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POW : 修正箇所
【修正箇所を確認する目の青白い光】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : 印字作業
【26個のキーから青白い光】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : より良い作品を
対象のユーベルコードに対し【正確に全く同じユーベルコード】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ライラック・エアルオウルズ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●悲劇のプロッター
暴走する飛行船の先頭、操縦室カタカタとキーを打つ音が響き続けていた。
青白い光をもって物語を紙に綴り続けるのは災魔『スペシャル・ライター』、効率的で完璧な修正の必要のない物語を記し続ける存在だ。
それが災魔の卵を埋め込んだ飛行船は予定通りに目的地へ墜落する針路をとっている。そうすれば綴られた"物語"の通りにこの飛行船の乗客と墜落地点一帯の住人を皆殺しにできるだろう。
しかし、そこに猟兵達が現れる。
暴風の通路を抜けて、或いは誰かの助力を得てその悲劇を破壊せんとやってきた彼らは災魔のお話には存在しない存在だ。
そんなものがいては物語に修正が必要になってしまうが、災魔は"物語"を修正しない。
――修正されるべきはこの不要な登場人物だからだ。
無機物めいた災魔の一部が飛行船の操舵部と融合していき、部屋の壁が崩れ外の空へと落ちていって暴風が部屋に吹き荒れ始める。
そして災魔は青白い光を放ち、猟兵達を消し去らんと攻撃を開始した。
マグラ・ユメノミヤ(サポート)
「木戸銭は結構――貴方がたの苦痛と骸さえ頂ければ、十分ですから」
◆口調
・一人称は私、二人称は貴方。持って回ったような物言いで、敵にさえ敬語を用いるものの内容は悪辣
◆癖・習性
・コワモテに反してぬいぐるみや人形を好む
・苦痛を受ける度に気分が高まる性癖
◆行動傾向
・妻と部下をオブリビオンに殺された悲しみから生命の埒外に到達した悲しみの猟兵。胸中に渦巻くのは、復讐心と愛する者を護れなかった罪悪感……
・見えざる魔力のからくり糸で、凶器を仕込んだ球体関節人形を自在に操ってあらゆる試練に挑む。ダークセイヴァーを出自とするだけあって、そのスタイルは冷徹で老獪
・死霊術士であることから、魔導にもいちおう通暁している
徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!
●
壁が破壊されて風の吹き荒れる飛行船の中、騎乗した徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は悪しき災魔へと火の神の如き白馬を走らせる。
「この家光、悪は決して許せぬ!」
ここに至るまでの暴風領域を愛馬と共に突破してきた彼にはこの程度の暴風――それも終点が見えている以上、さしたる困難にはならない。
「木戸銭は結構――貴方がたの苦痛と骸さえ頂ければ、十分ですから」
そしてマグラ・ユメノミヤ(堂巡魔眩の人形師・f35119)という初老の人形遣いは傷だらけの旅行鞄を手にしつつ姿勢を低くしながら周囲を確認する。
災魔の卵により飛行船のパーツが脱落させられて暴風が吹き荒れる状況ではあるが、流石にこの飛行船の運転に支障を来す装置までは放棄できなかったようでいくつかの装置は部屋の中に据え付けられたまま残っている。
(「ここで失速したら目的地で墜落させる事が出来なくなるから、か」)
それらを風よけにしつつ辿っていけば十分災魔に攻撃の届く距離まで接近は出来るだろう。
そして風を真っ向から突破し距離を詰めんとする家光に、突如災魔の目から光が放たれ彼を青白く照らし出す。
『……飛行船内での騎乗を禁止』
その言葉――ルールを聞いた瞬間、咄嗟に家光は火産霊丸より飛び降りる。
対象へのルールの宣告、そして破った場合にダメージを与えるその災魔のユーベルコードはルールを順守する以上は無害だ。
だがそうなるとこの暴風を家光は名馬の助けを受けることなく突破して災魔に攻撃せねばならない。
そこで家光はここまでやってくるのに使っていたのと別のユーベルコードを起動する。
「大伽藍にて、お相手しましょう」
途端、彼の左腕を覆う鋼鉄の『羅刹伽藍手』が変形を開始、家光の背丈の倍はある甲冑めいたロボを形作った。
家光はその重量を活かし、床に足をめり込ませるようにして暴風の中しっかりと踏み止まり、そして前へと踏み出す。
この高空の風と言えど正義に燃える彼を阻むことは出来ず、更なる追加ルールを宣告せんとする災魔。
だが、家光への対応の間に周囲にまだこの部屋に残っていた装置を風よけにしつつ密かに忍び寄っていたマグラが旅行鞄を開き、一体の処刑人形《少女地獄》を飛びかからせる。
不可視の魔力の糸が操る人形は、暴風の中でも正確に災魔から狙いを外さない。
「人はみな『棘』を持つ――多く、するどく、死に至らしめるまでに」
どこか悔やむかのようなマグラの呟きと共にユーベルコードが発動し、
「――自らの内側に備え、そして己を傷つけるように……」
彼のその言葉と同時に処刑人形が『開いて』、その内部空洞が無数の針山地獄に変形してまるで抱擁するかのように喰らいついた。
飛行船と一部一体化している災魔の体全てを飲み込むには至らないが、その上部の大半を取り込み返し付きの針山を突き立てた少女地獄は災魔の抵抗にも離れず動きを制限、そこに家光の纏う羅刹大伽藍の拳が災魔の胴体部分に叩きつけられた。
災魔はその一撃を耐えるが、無数の針山による傷と拳の痕が胴体にくっきりと残るような一撃はダメージになったようで、青白い光を周囲に放ち羅刹大伽藍と処刑人形を牽制する。
まだまだ青白い光を周囲に放ち続ける災魔は完全破壊には程遠いようだが、確かにダメージを刻めている事は間違いないだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」
基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。
探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。
情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。
戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。
彼らに遅れ飛び込んできた数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は計器や舵なのかよく分からない装置の出っ張りに手をかけ握り締め、風に吹き飛ばされぬようにしていた。
飛行船の運転に支障を来す装置はまだ据え付けられたままで壁が脱落した暴風の中でもまだ残っている。
普段の宇宙カブに乗った彼女ならこの暴風の中でも問題なく突破して災魔に仕掛けられるのだろうが、接近するのであれば今回は別の手段を考える必要があるだろう。
(「意志も碌に感じ取れないねぇ」)
テレパスで思考を探ろうともする彼女、しかし感じ取れるのは酷く無機質な修正作業への意志と、この飛行船を墜落させるという殺意。
交渉もへったくれもあったものではない、そう多喜は思案する。
丁度そのタイミングで先に仕掛けた甲冑風のロボと人形が災魔から距離を取り、遅れて26の青白い光線が放たれる。
それはスペシャル・ライターは26のキーから放たれるユーベルコード、一定距離の内にある敵を無差別に撃ち抜く凶悪な光線だ。
だがそれを見て多喜は敢えて光線に身を晒すように飛び出した。
光線の群れは現れた標的を撃ち抜かんとし、そしてそれを多喜はユーベルコードにより掌中に産み出した小規模の次元特異点で受け止める。
「コイツが吸える攻撃で助かったよ……そぉらお返しだ!」
それは受け止めたユーベルコードを複製する力、コピーした力を以て掌の次元特異特異点から敵と同じ光線を発射した。
青白い光条は災魔の金属質の機体を貫きダメージを刻み込む。
しかし異音を発しながらも災魔は稼働を止めない。
もうひと押しを叩き込むため、猟兵達は次の攻撃を仕掛けるのであった。
成功
🔵🔵🔴
クトゥルティア・ドラグノフ
ルク君(f14346)と共闘!
あれが今回の黒幕……でもちょっと、さっきかんばりすぎちゃった
ごめんねルク君、ちょっと甘えるね
ルク君が頑張ってる間は回復に集中
とにかく急いでベッドで……あ、これ快眠しちゃう奴だ
ああああ!寝てる場合じゃない!
回復しきったらルク君が書いたベッドの影に紛れつつ月腕滅崩撃!
【戦闘知識】と【野生の勘】で敵行動を【見切り】、一瞬の隙に叩き込む!
そのまま捕まえてライガーボムを食らわせてあげる!
ルク・フッシー
アレが事件を起こした災魔!?すぐに倒さないと!
…なんですけど、クーさん、体は大丈夫ですか?あんなに重いものをほとんど支えてくれましたし、それから補給の暇はなかったですもんね…
なので今、休憩していただきます!大丈夫、その間はボクが凌ぎますから!
空中にベッドの絵を描いて…いでよ、とびっきりフカフカあったかな最高級ベッド!さあ、魔法のベッドで回復してください!
これだけだと相手のユーベルコードで相殺されてしまいますけど、もっともっと沢山のベッドを描いて実体化させます!これなら相殺に時間がかかるはずです!
おおーっ!凄い技です!クーさんカッコいいーっ!
動力部の通路を抜けてこの船首にやってきたルク・フッシー(ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)とクトゥルティア・ドラグノフ(無垢なる月光・f14438)。
「あれが今回の黒幕……」
青白い光線をあちこちに放つ飛行船と融合したかのような姿の災魔を見遣りクトゥルティアは呟いた。
「アレが事件を起こした災魔!? すぐに倒さないと!」
そんな災魔と交戦している猟兵達の姿を見て、緑鱗のドラゴニアンはあたふたと絵筆を取り出し戦闘の準備に入る。
なのだが、クトゥルティアの方はふらふらしていてどこか心ここに在らずといった状態で。
「……クーさん、体は大丈夫ですか?」
「……ちょっと、さっきかんばりすぎちゃった」
気遣うルクの言葉に苦笑いするクトゥルティアは声の調子からもへばっている様子。それもその筈、船底のガジェッティアに辿り着くまでの多くの障害をその念動力で回避させてきたクトゥルティア。
彼のいた部屋からの通路は平易なものだったが、その分短時間で抜ける事ができたから休憩する暇もなく疲労もピークに達しているのだとルクは推測する。
「……あんなに重いものをほとんど支えてくれましたし、それから補給の暇はなかったですもんね……」
だからルクは特大の絵筆を握る手に力を籠めて、
「なので今、休憩していただきます!」
ユーベルコード【寝台描画】で再び空にベッドを描き出す。
「優しく暖かく、柔らかく描きます……!」
絵筆が空に絵の具を残し、見る見るうちに実在しているかのようなやわらかなベッドの絵が幾つも完成していく。
「いでよ、とびっきりフカフカあったかな最高級ベッド!」
そして、それらは本当に実体化――空飛ぶふかふかのベッド群は周囲に吹き荒れる暴風の影響も受けていないかのようにクトゥルティエの前にふわふわと浮かんでいる。
「さあ、魔法のベッドで回復してください!」
緑鱗の彼の言葉に従ってクトゥルティアがベッドの一つに潜り込めば、ふわっとやわらかで、外の暴風とはまるで違うあまりの暖かさと安らぎの空間
(「……あ、これ快眠しちゃう奴だ」)
意識が一瞬で飛びそうになるキマイラは、とにかく急いで体力回復をと焦るけれども、ルクが彼女を安心させるように言葉をかける。
「大丈夫、その間はボクが凌ぎますから!」
「……ごめんねルク君、ちょっと甘えるね」
愛しい人のそんな頼もしい好意に甘え、クトゥルティエはそのふかふかベッドに飛び込んで体力回復に専念する。
当然自身の脚本の修正を許さない災魔が黙ってみている筈もなく、タイプライターのキーがカタカタと音を立てると同時、青白い光に描き出されたベッドが実体化してルク達――正確には彼の描き出したベッドに飛び掛かってくる。
より良い作品をと放たれたルクのものと全く同じユーベルコードは、ルクが描き出したふかふかベッドと衝突して互いに打ち消し合っていく。
だが、それはルクも想定済みだ。
彼の筆は止まる事無く、新たに新たにふかふかベッドを描き実体化させていく。
絵の具は魔力を供給する限り、筆の中に仕込んだ水晶玉から自在に生み出せる。あとは純粋な数の暴力――スペシャル・ライターの相殺するユーベルコードへの対抗策。
災魔のベッド群とルクのベッド群が空中で衝突して浮力を失って、風に吹き飛ばされて空の藻屑になっていく。
只管描き続ける緑竜とキーを打つだけの災魔、単純に考えれば労力はルクの方が大きい。
それでも、彼が希望を失わずに描き続けるのは絶望を塗り潰す絵筆と意志、そして彼女の存在があるからだ。
「ああああ! 寝てる場合じゃない!」
と、災魔とルクが一歩も退かず互いの具現化させたベッドを相殺し合う中、クトゥルティアが布団を跳ねのけベッドの外へと飛び出す。
完全回復、更に再行動の恩恵も受けた彼女はルクと災魔のベッドの群の飛び交う戦場を走り、災魔との距離を詰めていく。
野生の勘で暴風や敵の飛ばす空飛ぶベッドを利用し足場にもしつつ、ルクの描き出すベッドの影に身を隠しながら暴風の中を突き進む彼女はこれまでの疲労など全く感じさせない。
そんな彼女に向けて災魔は青白い光を照射し、
『……ガガッ……その肉体で殴打する事を禁ずる』
ルールの宣告――出来の悪い三文ライターがこの先の彼女の行動を予想できていたのなら別のルールにしたのだろうが、そうはならなかった。
光線と宣告による隙を見逃さず、そのまま接近したクトゥルティアがユーベルコード【月腕滅崩撃】を起動、彼女の体から放出されたサイキックエナジーが大腕の形に収束していって、
「これでノックダウンだ!!」
彼女自身の肉体ではない、サイキックエナジーの大腕を災魔に連続で叩き込んだ。
攻撃回数重視の大腕の連撃は金属質な災魔の機体を原型留めぬ程に破壊し、止めの強烈なアッパーによって半分融合した飛行船から千切られるようにして分離。
更にそこで終わりではない。再行動により宙に浮いた災魔を両腕で抱え込むように掴み両足を開くようにして災魔を身動きとれぬように固定した状態で軽く飛んで、災魔を背中側から床に叩き落とす。
いわゆるパワーボムの変形、獣神の名を冠するプロレス技だ。
「おおーっ! 凄い技です! クーさんカッコいいーっ!」
愛しき人の雄姿にルクが感嘆の声を上げ、半壊していた災魔は派手に床に叩きつけられバラバラに砕け散り、そのまま風に吹き飛ばされて空の藻屑と化したのであった。
バランスを崩しかけたクトゥルティアに空飛ぶベッドが飛んできて、その身体を支える。
更にルクの描き出したベッドの群が失われた壁を塞いでいって、部屋中に吹き荒れていた暴風が収まっていく。
完全に穴を塞がれる前、外の景色にはうっすらと地上が見えていた。着地の方は竜人のジュールに任せれば大丈夫だろう。
程なく飛行船は目的地に無事に着地、大災害を防いだ猟兵達はガジェッティアの竜人に別れを告げてグリモアベースへと帰還したのであった。
大成功
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