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災禍の鈴音

#クロムキャバリア #技術立国アーキオ #技術立国エバトゥス

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#クロムキャバリア
#技術立国アーキオ
#技術立国エバトゥス


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●災禍の鈴音
 些細な行き違い、小さな不幸、積み重なる、人にはどうしようもない事が、人の運命を決めてしまう事が有る。ありきたりな不幸であっても、ゆっくりと、確実に、うねり、捻れ、波打ち、災禍となって、人々を襲う。
 世界では当たり前の不幸、遺失技術によって建造された資源生産拠点、プラントが隣接していた事。それぞれのプラントを囲む様に、自然と二つの国が興り、文明復興を果たした頃、遺失技術の眠る遺跡が、二国間を結ぶ地点に存在する事が判明した。
 歩兵を随行させた専門の発掘チームによるサンプルの獲得競争が始まり、階層化した遺跡に眠っていた遺失技術、後にユミルの子と呼称されるそれを始め、現在の技術を遙かに凌ぐバイオ・テクノロジーの獲得は、国家の技術力向上に多大な影響を与え、二国間の技術力競争は激化し、発掘特化のワーカー・マシンに、大型機械歩兵、キャバリアを随行させる事となる。
 薄暗い遺跡に、大型銃器の齎す発火炎が間断なく灯る、立ち込める硝煙の匂い、大き過ぎる薬莢の排出が、甲高い音を響かせ、まともで有ろうとする人心を苛み、殺し合いをしている筈の兵隊は、相棒と称するジャイアントキャバリアの両手を血に塗れさせながら、恐ろしい程、気さくに笑う。野心の一つも無ければ狂ってしまう現場で、それでも彼等は、自国の発展と防衛の為に、或いは自身の、何時か齎される安寧の為に、成果を上げ続けた。夥しい死体の山と、自国の疲弊とを引き換えに。そして、友と謳われる、ジャイアントキャバリアと引き換えに。
「それが私達の国が辿って来た歴史。私がこの歳で、大人達に祭り上げられた理由を、貴方も良く知っているでしょう? アーキオ」
「勿論、心得ているとも。聡明な君ならば、僕がこの歳で退かない理由も、分かって居るのだろう? エバトゥス」
 クロスの敷かれた上品なテーブルで、小柄な少女と背の高い老人が向かい合い、給仕がカップに注いだ紅茶を同時に傾ける。
「……分かっているわ。ただ、私の方は原因が分からないの。それと、現場からはせっつかれてばかりだわ。皆、疲弊しきっているの。どう見ても限界よ」
 老人の事情を察して、エバトゥスと呼ばれた少女はそれを悼む様に少しだけ目を伏せ、その表情に、老人は感謝する様に、小さく微笑んだ。
「僕の方も同じさ。皆、疲れてしまっている。これからは、個人的にだけでなく、国としても、仲良くしたいと思っているよ。飽くまで、僕個人はね?」
「積み重なったものが、あっさりと無くなったりはしないものね。彼等は特に。ガスを抜く場所を用意する必要が有るわ」
「それだけでは、駄目だろうけれどね。僕は、あんなことがあった後だから、正気を疑われたよ。だからこそだと言ったんだがね……骨が折れそうだ」
「辛い時は、少しくらいは話してくれて良いのよ、アーキオ……私も尽力するわ」
「尽力するとも。君こそ、頑張り過ぎてはいけないよ。エバトゥス」
 幾つかの書類に判が押され、静かに、正式に交わされる、技術立国アーキオと、技術立国エバトゥス間による軍備縮小条約。その書類には、確かに政治に関わる者達からの、賛成多数の旨が記載されている。国家元首で有る二人が、誰に骨を折っているのかは、それを見れば明らかだった。
 それから二人は、更に奔走し、祈念式典への目処が付く所まで漕ぎ着け、開催日程と場所を決め、開催するに至る。僅かに燻っている小さな火種。鎮火した筈のそれが、災禍の種になるなど、誰が予想出来ただろう。

●グリモアベース
「クロムキャバリアで事件が起きるみてえじゃけー、皆に解決を依頼するな」
 海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)は猟兵に資料を配り終えてから、事件概要の前に、クロムキャバリアと言う世界について、説明を始めた。
「分かっとる人等は、本題まで聞き流してな。クロムキャバリアは無数に分裂した小国家同士がキャバリアって言う大型機械歩兵を使って、プラントって言う遺失技術で造られた資源精製拠点を、ざっと百年くれえ奪い合っとる世界じゃな。キャバリアの大きさは平均5メートルくれえで、プラントは高さ15メートルくれえ。通信網や地理情報は、高速飛翔体を無差別砲撃する暴走衛星、|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》が潰してしもうとるけー、限定的にしか分からんって状況じゃな。これは猟兵も例外じゃねえし、空飛ぶ時は気を払ってな」
 次に、と前置きしてから、鎮は帳面を捲る。
「オブリビオンについてじゃが、この世界では、オブリビオンマシンって呼ばれとるよ。キャバリアの一種なんじゃが、これが性質悪うてな、搭乗者を破滅的な思想に狂わせて、戦火を拡大させる。猟兵以外の一般人は、どれがオブリビオンマシンか分からんから、そう言う状況が認識出来てねえって言うのが現状じゃな。基本的にオブリビオンマシンを破壊すりゃあ、パイロットも正気に戻るけー、成る可く助けてあげてな。猟兵は傭兵として歓迎されるけー、基本的にキャバリアとかも貸してくれるよ。今回の事件現場も、例外じゃねえけど、一寸、貸し出される機体に癖が有るかも知れん」
 伝達漏れが無いか、再度資料を確認してから、鎮は一つ頷いた。
「これで大丈夫かな。うん、待たせたけど、本題じゃ。とある二国が、国の疲弊を理由に軍備縮小条約を結んで、祈念式典を開催する。この時に両国のキャバリアを破棄・破壊するって流れなんじゃが……どうも、その時に全部のキャバリアがオブリビオンマシン化して、暴徒と化すみてえ、これを止めて欲しい」
 両国の名前はアーキオとエバトゥス。祈念式典会場は争いの発端となっていた遺跡周辺で行われ、参列者は遊覧飛行船で上空から様子を見守る、と言う形となっている。
「結構大きい式典じゃけー、要人用の他にも、民間用も沢山飛ばすみてえ、両国の領土内では出店も沢山出るみてえ。両国の個人間の交流は、まだ極力控えようって方針じゃな。時間に余裕が出来る様に送るけー、事が起きるまで、皆は一先ず好きにして良えよ。何時も通り、やり方は皆に任せる」
 猟兵達は事前に国家へ入り込む事になる。街を見て回る、理由を付けて国家元首と面会する、またはそのボディガードを申し出る、今回の事件の発端を探る、普段と変わらない日常を送る等、出来る事は多い。
 祈念式典会場を遊覧する民間の飛行船は、値段に応じて、豪華な物から簡素な物まで様々だ。国を見て回るなら、資産に合わせて、好きなクラスを選ぶと良いだろう。両国の文化は、気候風土がほぼ同様な事から、非常に近しく、各文化の差異は小さい。
「小さくとも、不幸の種が無くなる第一歩じゃけーな。宜しく頼む」
 そう言って、鎮は丁寧に頭を下げ、猟兵を送る準備をし始めた。



●挨拶
 紫と申します。今回はクロムキャバリア。
 双方技術立国で有る【アーキオ】と【エバトゥス】の、平和祈念式典シナリオとなります。

●シナリオ目的
【シナリオ全体】
 両国の平和祈念式典を無事に完遂させる事です。

【1章】
 特に有りません。自由時間なので好きな事をしてみて下さい。祈念式典への参加、両国の食べ歩き、現地民との交流、国家元首との交流、普段の日常の切り取り、情報収集など、やりたい事を思う存分にどうぞ。

●章構成
【日常】→【集団戦】→【ボス戦】です

●ギミック
【自由】
 猟兵は、この章の間の自由が保証されています。好きな事をして構いません。

●その他
・1章毎にopを制作します。
・psw気にせず、好きに動いてみて下さい
・途中参加;歓迎

●最後に
 なるべく一所懸命にシナリオ運営したいと思っております。
 宜しくお願い致します。
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第1章 日常 『遊覧飛行』

POW   :    景色を眺めながら軽く食事をとって楽しむ

SPD   :    眼下に広がる景色を絵や写真に残す

WIZ   :    他の乗客や乗員との会話を楽しむ

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セシル・バーナード
愛しい妻のプラチナちゃんを伴って、出店を巡ろうか。
串焼きとか美味しそうだね。大を二本ちょうだい。
あっちのお店は、果汁ジュースを絵模様の描かれた陶器のマグカップごと売ってる店か。ぼくはブドウにしよう。プラチナちゃんは――オレンジだね。おっけ。買ってくる。

こうして実際に祝典の会場に加わっていると、見えてくるものがあるね。
キャバリアがオブリビオンマシン化したときに、列席した政府要人が襲われるのはもちろんだけど、ジャイアントキャバリアベースだから全部が要人襲撃は出来ない。
飛行船は問題ないとして、敵の次の目標は両国の出店地区だ。

そろそろ刻限が近づいてきた。ぼくらも迎撃準備に行こうか、プラチナちゃん。



●触れ合い
 プラントを中心に、放射状に伸びた無舗装の主要街道には様々な出店が並ぶ。開催を報せる五段雷の昼花火が、小気味の良い音を小国中に響かせ、愛想の良い店主等は、数度手を叩き、朗々と周囲に声を響かせて、商いに精を出す。
「賑やかですねー! セシル様」
「沢山のお店が出回っているみたいだね。あっちの串焼きとか美味しそう。行ってみる?」
「行きましょう!」
 足首まで届く白金色の長髪と、透明感の有る袖無しのワンピースの裾を、乾いた風に踊らせながら、プラチナは元気の良い声で、愛しい人の名を口にする。セシル・バーナード(サイレーン・f01207)は、その仕種を愛らしいと、緑色の瞳を細め、微笑んだ。
「人が多いから、はぐれないようにしないとね」
 自由を謳歌し、浮き足立つプラチナにセシルは手を差し伸べる。それの意味する事を察して、彼女は頬を赤らめて、おずおずと手を重ねた。
「ゆっくりが良い?」
「……はい」
 小さく手を繋ぐ。愛らしい声、甘やかな気遣い。循環する幸福の体温に、プラチナは顔を俯けて、消え入りそうな声で答えた。
 小さくなった歩幅に合わせ、セシルがプラチナの手を引き、ゆっくりと屋台の連なる通りを歩く。良く通る景気の良い声で客を呼び込んでいる店で足を止める。
「いらっしゃい。姉妹かい?」
「んー、ちょっとだけ違うかな。大を二本、お願いするね」
「おっと、こりゃ失礼。坊ちゃんと嬢ちゃんは随分と仲が良いんだねえ。毎度あり!」
 金銭の受領の際に、ほんの僅か、表情に現れた不満が何かを察し、男は直ぐに頭を下げ、言い直した。大体の仲も察して、話の種にと軽く茶化しつつ、肉を焼き上げる。漬け込まれ、染み込んだ液体調味料が程良く焦げて、炙られて気化した油脂と交わり、食欲をそそる香りが周囲に漂う。
「そら、大2本だ。熱いから気を付けて食べるんだよ?」
「ありがとう」
 大きな肉串一本をプラチナに渡す。礼儀作法が一瞬頭を過るが、此所で気にするのも雰囲気にそぐわないと考えて、セシルは焼き立ての肉を唇に寄せ、歯を立てる。歯応えの有る肉の弾力と、甘辛いタレと香辛料の刺激が、咀嚼する毎に口中に広がって行く。
「うん、良い味だね……プラチナちゃん、食べないの?」
「え、あ、ええと!」
 何故か戸惑う彼女に、セシルは悪戯っぽく微笑んで、自分の持っていた串を彼女の口元へ差し出した。
「はい、あーん?」
 小悪魔の様に愛らしく微笑むその仕種に、プラチナは文字通り、目を眩ませた。意識を失い、倒れ込んだ彼女を支えて横抱きにし、セシルは頬に唇を寄せる。
「プラチナちゃんが目を覚ますまで、ちょっとだけ、暇潰しかな」
 付近の休憩所を捜し、木陰で涼みながら、情報を整理する。目から入ってきた物は、白い箱形建築。耳から入る情報は、国家の血塗られた歴史と、端々から感じられる発掘家を始めとした遺跡と、それらの解明、応用を手掛ける研究者達の発言力の高さだ。
 日常的に流れるニュースには、食糧事情の解決について、技術とその可不可、現状の技術力について、軽度に触れられ、休憩所に居る市民が各々の感想を漏らす。懐疑の念に始まり、仮に実用化されたとして、金銭面と優先度に対する不安感。どの道、庶民には関係の無い話だと打ち切って、軽く笑う。
「ん……セシル様、今度は私が……」
 膝に頭を乗せたプラチナの寝言に、白金色の髪を撫でる。
「起きたら、期待しても良いのかな?」
 何となく、鼻先が触れ合う程に顔を近付けて、寝顔を覗き込む。
「……はっ」
 ぱちり。開かれた瞳に、見慣れた愛らしい緑の双眸と、甘さの香るハニーブロンド。
「おはよう、プラチナちゃん?」
「おはよう、御座います?」
「向こうに果実水を売っているお店を見付けたんだけど、プラチナちゃんは何が良い? 」
「えっと、じゃあ……オレンジで、お願いします?」
「それじゃあ、買ってくるから、もう少しだけ、此所で休んでてね?」
 こつんと、軽く鼻先を触れ合わせてから、セシルは立ち上がり、屋台の方に足を向けた。プラチナは数秒後に、起きていた事を理解し、羞恥に顔を両手で覆っていた。陶器製のマグカップには彼女が好きそうな物を選び、ついでに冷えてしまった肉串の代わりを渡す。
「今度はちゃんと一緒に食べようね?」
「は、ははははい!」
 プラチナとのんびりとした時間を過ごしながら、セシルは敵対勢力の狙いを考える。主力はジャイアントキャバリア、もしくはそれを参考に造られた量産型で間違い無いだろう。今回、要人襲撃に必要なのは、ある程度の滞空性能。保持しているかどうかまでは少し情報が不足している。そして、不足していた場合に狙われるとすれば、この地区だろう。
「もう少しゆっくりしたら、準備をしようね?」
「はい……あ、ええっと……対キャバリア戦闘、でしたっけ?」
「頼りにしてるからね? 終わったら、続きをしよう」
「ご期待に添えて見せます!」
 ぐっと両拳を握り、やる気を見せるプラチナに、まだ余裕が有る事を伝えてから、二人はもう一度、屋台を巡る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季


「本来戦乱など鏖殺するのが1番です」
嗤う

「封神武侠は根切り族滅が普通ですから、どうしてもまどろっこしいと感じますが。依頼を失敗扱いされるのも業腹です。一般人は助ける体で動きましょうか」
会場内うろつき屋台や店舗の甘味を10個ずつ購入しては壺中天の時のない部屋へ仕舞う

あまりに人混みが酷い場合は自分も黄巾力士も風火輪と飛来椅で地上3m程度を低速飛行(空中戦+空中機動)
殲禍炎剣の探知に引っ掛からないよう留意しながら会場からの避難経路を模索

「パニックを起こして転倒し数百人圧死が普通にありそうですね」
嗤う

「黄巾力士、戦闘が始まったら、巨大化して人々を会場外へ運搬しなさい。…早く始まりませんかねえ」
嗤う


クゥ・クラウ
飛行船から会場を空から確認
UC【名無し男は手を伸ばす】。AIの力を借りて両国のネットワークにアクセス。
(情報収集、ハッキング)
会場のキャバリアの位置や地形、避難経路など調べる
オブリビオンマシンの大量発生には、感染源がある。できればそれも特定したい

『遺跡の技術を求めるのはどこも同じだね。僕たちの国も変わらない』
AIのジョン・ドゥが話し掛けてくる
『技術は力となる。力の無い国は他国からの侵略に怯えなければならない』
「……だから、お互いにそろって力を廃棄する?」
だけど、普通はそんなこと、こわくてできないと思う

同じ技術立国、それぞれの国と同じ名の国家元首。彼らは、ワタシのようにつくられた存在なのだろうか



●狐が抓む
「本来戦乱など、鏖殺するのが一番です」
外套付きの詰襟を着込んだ黒髪青目鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は、屋台の並ぶ無舗装の街並みをを歩きながら、学生帽を抓んで目元かを隠し、口角を釣り上げた。
 誰にともなく呟いた言葉は、乾いた風が砂礫と共に浚っていく。雑踏の中でも良く通る景気の良い呼び込みに耳を傾け、看板へと雑に目を通し、甘味へと当てを付ければ、差し出される試供品の味を見る。
 乾燥地帯である為か、長期保存を考えた物が多く安価で有り、保存期間の短い物、材料に気を遣っている物は少なく、値が張る傾向に有る。果実や茶葉等は特に、その傾向が顕著だ。
 プラントに頼る国家構造、戦乱によって疲弊した大地、この世界の大半は同じ様な構造だろうと考えながら、味の気に入った物を、店舗毎にきっちり10ずつ仕入れ、式神に命じ、異空間の倉庫へ収納する。
「封神武侠は根切り族滅が普通ですから、どうしてもまどろっこしいと感じますが……失敗したと他者や同郷に伝わるのも業腹です。一般人を助ける体で動きましょうか。黄巾力士」
 冬季は一度、人気の少ない小さな裏路地に入り、宝貝の名を口にする。
 呼び掛けに応え、影から現れたのは、赤と金の装飾が施された人型の機械兵。基礎フレームは細身だが、黒鉄色のマニピュレーターと、無限軌道を備えた両脚は、十分過ぎる程の重量感を機体に与えている。
「避難経路を模索します。それから、戦闘が始まったら、巨大化して人々を会場外へ運搬しなさい。良いですね?」
 自律思考回路を搭載された人型戦車は創造主の命を受諾し、静かに首肯した。冬季は風火輪を自身と黄巾力士に嵌め、低空で、平和祈念式典中の街並みを遊覧する。街には防衛用の大型機械歩兵すら見当たらず、会場と遺跡を行き交う様々な飛行船が見える。其れ等はどうも、遺跡周辺に集められている様だ。
 中心となっているプラント周辺には環状に無舗装の道路が設置され、そこから放射状に、機械的に区画分けがされている。当然ながら、内へ向かえば向かうほど政府や要人の集う施設が多く、一般人の通過は出来ない。幸い環状道路は区画毎に作られており、避難経路は思っていたよりも単純に割り出す事が出来た。
「……早く始まりませんかねえ」
 屋台の配置、人の流入を見張り、幾つかの避難径路を描きながら、冬季は事が起きるのを待ち望む様に、嗤う。

●クラック・ダイヴ
 セミロングに切り揃えた白い髪が微風に揺れる。金の瞳に感情を宿さず、少女は色白の繊手を伸ばし、飛行船の窓に触れ、会場を見下ろした。荒野の中に聳える遺跡周辺に集められたキャバリアは、何れも有機的で有り、区分としてはジャイアントキャバリアに近しい外観だ。
『遺跡の技術を求めるのはどこも同じだね。僕たちの国も変わらない』
「ジョン・ドゥ」
 髪飾りに酷似した有線接続端末機に表示されるシルクハットアイコン。それをトレードマークとしている支援AIの声に少女、クゥ・クラウ(レプリカントのクロムキャバリア・f36345)は、窓から手を離し、飛行船に備え付けられている共有端末に、髪飾りからワイヤを伸ばし、接続する。
「お願い」
『もちろん、お安いご用だよ』
 両国の情報機器は、現状では共有されていない。民間で情報を入手するには、両国の飛行船を乗り継ぐ必要が有る。二人は公開されている膨大な情報の海を掻い潜り、幾重にも分岐し、施錠された細い電脳の道筋を隠蔽し、偽装し、深くまで侵入する。軍事・国家機密となっている情報内容は、動物クローン技術実験場の設立計画書、軍部の不満、運用されている主力キャバリア、マグゥルmk-10の正確なスペックと仕様書。発掘・研究家からの停戦
要請、国家首脳のフルネームから、ある程度のプライベート情報まで。
「……ジョン・ドゥ?」
『知りたそうな顔をしていたからね。彼の本名はルノアード・アーキオ。遺伝子操作もされていない、普通の人間さ。どうも不慮の事故で息子夫婦と死に別れた様だ』
 名前は襲名制を採用しているらしいとジョン・ドゥは付け加え、あえて音声での伝達を続けて行く。
『そんな事情も有って、国家間戦争とは別に、前首脳ロマーク・エバトゥスとは個人的な友好関係にあった。国家の疲弊について、頭を悩ませる事が多かったんだろう。が、今度はそのロマークも行方不明、実質の死亡として、葬儀が行われた。以前から面識のあった一人娘、現国家首脳のリトラ・エバトゥスと変わらぬ友好関係を続け、現状に至るって所さ。ああ、それから、リトラ・エバトゥスの詳細についても探ってみたけど、アーキオの方には、何も無かったよ。エバトゥス側に行かないとね』
 立入禁止区域と定められているマグゥルmk-10への無力化施行区域を除けば、エバトゥス側へのアクセス手段は幾つか発見出来たと、ジョン・ドゥはその方法を共有する。
『技術は力となる。力の無い国は他国からの侵略に怯えなければならない。一方で、そんな事情も抱えてしまう、大切なのはバランスだね』
「……だから、お互いにそろって力を廃棄する?」
 少女は人に宿る恐怖を知るが故に、疑問符を浮かべた。
(……こわく、ないの?)
 同じ様にエバトゥス側の電子の海に、二人は身を浸す。今回の事に関しては、ほぼ同様の資料と計画。此方も採用されている主力キャバリアはマグゥルmk-10で有り、同様の仕様書とスペックの資料が掘り出され、同じく動物クローン技術実験場の設立計画書など、根幹の技術レベルから国家の有り様まで瓜二つだ。
 国家首脳のプライベート情報ではリトラ・エバトゥスが遺伝子操作を受けたアンサー・ヒューマンである事が判明した。実子に遺伝子操作を施した理由は不明。周辺人物もこのことに関して、口外を避けていた。
 リトラは幼いながらも、その才覚を遺憾無く発揮した。発言力の高い穏健派一同が、国家の疲弊を理解している彼女を祭り上げるのは、当然の流れだろう。
『一時凌ぎでも良かったし、実力が足りなければ傀儡にすれば良い、何か不祥事を起こせば子供首脳の限界とかで煽って、今後の自分達の政策についてのイメージアップ。面倒臭そうな大人の事情は、そんな所かな。寧ろ本当に心を許せる人間が、戦時中の、しも敵国側の国家首脳だけなんて、中々愉快な状況だよ。だからこそ、今に至る事が出来たとも言えるしね』
 無力化施行予定の遺跡会場の見取り図は両国共に完全に一致しており、二心は無いが、此方の軍部からも不満が漏れているのが目に付いた。
『お、前首脳、ロマーク・エバトゥス氏が最後に訪れたのは遺跡周辺に作られた簡易軍事拠点だったみたいだよ。どんな用事が有ったんだろうね……?』
 試されている様な問い掛けに、クゥは彼がどの様な答えを求めているのか、分からなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『修復型マグゥルMk10』

POW   :    増殖スル脅威
【同型機】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[同型機]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    進化スル憎悪
【同型機と合体し自ら】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    放タレタ殺意
レベル×5本の【無】属性の【ビーム】を放つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●マグゥルmk-10について
 ユミルの子を素体として建造された量産型大型機械歩兵。古代魔法帝国時代に建造された物で有る。エバトゥス、アーキオに於いて、製作所及び、製造法が発見され、専門家等の尽力によって、短期間でこの製造方法を確立するに至った。
 ただし、研究者等の独自の解釈が含まれている事、素材及び技術力の不足から、記述に有った魔法の様な兵装を持つには至っておらず、ユミルの子、ジャイアントキャバリアとしての運用を主としているのが現状。
 前提として、エバトゥス、アーキオ両国が運用する改修型マグゥルmk-10は、大半のジャイアントキャバリアと同じく、自らの意思を持ち、有機的生命体で有る。極めて人間的であり、幾度かの実験を経た結果、量産型で有りながら、身を預ける物を選ぶ傾向が判明した。 コクピット製造の際には国家が開発、保有している感情測定器、乗り手との相性測定器を設置する事が義務付けらている。
 気に入らない乗り手であった場合、マグゥルmk-10はストレスを覚え、癇癪を起こしたり、出撃を嫌い、格納庫に引き籠もる行動も確認されている。けして、いち道具・いち兵器として扱わず、乗り手は相棒を呼称の基礎とし、個体識別の為、愛称を付ける事が望ましい。
 なお、人道に配慮せず、無個性な兵器として扱いたい場合は、マグゥルmk-10と乗り手の有機的結合が最も望ましいと考えられており、有機型コクピットの基礎理論は遺跡の記述を元に完成した。登場時に乗り手が望む場合は、一部機能を制限した上で、これをマグゥルmk-10のコクピットとして、取り付けてもよい。
 本機の特長はジャイアントキャバリア特有の高い格闘能力と多様な大型兵装の運用であり、最大の特徴は内蔵された自動連携システムとなる。自機と他機の行動を何らかの手段で把握し、最適解を乗り手に提示する、判断が間に合わない場合、自動的にマグゥルmk-10が最適解と考える連携行動を選択する。
 この連携システムの範囲は無際限で有り、どの様な兵装、どの様な部隊を運用しようと、優秀な軍事関係者の人間と相違ない判断力を持つ。元に持っているデータの他に、常にマグゥルmk-10同士で経験を共有していると推測されているが、詳細な原理は未解明となっている。

●無力化施工・告別式について
 前述した通り、マグゥルmk-10は意思を持つ生命体であり、乗り手にとっての相棒である。軍備縮小条約の際に、爆破や解体と言った行為は彼等の暴走を招く可能性が高く、安全性に欠け、何よりも国家守護の一翼を担ってきた生物に対して、余りに敬意を欠く行為である。よって、専用の保護溶液に満たされたカプセルに収納し、再び必要とされる時が来る時まで、安眠の時を用意する事とした。
 乗り手であった者達には、カプセルまでの運搬を終わらせた後、彼等が意識を失うまで、暫し、別離を惜しむ時間を与える物とする。これを告別式と呼称する。

●平和祈念式典・告別式
 此れ等は乗り手の感情に著しく左右される。その事を、国家元首の二人は良く理解していた。だからこそ、軍属の乗り手を相手に、何度も会見を開き、面会を繰り返し、納得するまで、入念に説得を繰り返した。その熱心さは、大半の軍属が耳にタコが出来た。もう顔を見飽きたと揶揄し、呆れる程であった。一切の虚偽は無く、真摯な目で訴えかける姿は、彼等が戦場に出る時と、何一つ変わらず、渋々である者も居たが、乗り手達は全て、平和を願い、国の行く先を憂いている事を理解し、了承した。
 だからこそ、カプセルに入った相棒との最後の告別式の際に、その目に再び光が灯った時、何が起きたのか、理解出来なかった。

●状況進行
 平和祈念式典、軍属の乗り手達がマグゥルmk-10に無力化施工を施した際、彼等は何らかの影響で再起動し、侵略行為を開始した。場所は遺跡周辺の立入禁止区域。小国とは言え、ほぼ二国分の総兵力が集まっていると考えて良い。
 不幸中の幸いではあるが、火器兵装は外され、別所に保管されており、内蔵されてる頭部レーザー砲のみとなる。
 軍勢には、何らかの意思が介在しているらしく、要人の乗る飛行船を完了すれば、勢力を二分し、二国を襲撃する。また、襲撃の際、現場付近に居る二国の乗り手に被害が及ぶ、救出した方が、後々良い結果に繋がるだろう。
 乗り手達は結果的に巻き込まれるだけであり、マグゥルmk-10の襲撃目標では無い。幸い、避難経路については、各猟兵が十二分に考察し、描き終わっている。ある程度距離を取る事が出来れば、避難自体は難しくない。
 マグゥルmk-10は各個体が意思を持つ。精神感応を始めとした彼等との交信で分かる事も有るかも知れない。余裕と能力が有れば、試してみるのも良いだろう。

 要約すれば、猟兵達がやる事は三つだ。
要人、特に国家元首の乗船している飛行船の守護、遺跡付近に居る乗り手達の保護及び救出、そして進行の妨害だ。何れも迅速な行動が求められる。
 猟兵達は状況を頭に入れ、日常に別れを告げ、行動を開始する。
大豪傑・麗刃(サポート)
一人称は『わたし』『麗ちゃん』

どんなシリアスでも一度はネタをやりたい。一応敵を倒す意思はあるので状況が悪化する行為はさすがにやらない。一見悪化するけどネタとして許されるならむしろやりたい。
超どシリアスのためギャグ絶対不可ならシリアスオンリーも一応できなくはないがその時は頭痛が痛くなるのだ(強調表現としての二重表現肯定派)

大軍に無策で挑むのは無謀といろいろ策を考えるが結論は「正面から突っ込んで全員やっつければ(斬れば)いいのだ!」

ユーベルコードが
近接系:何も考えずに突っ込んでって無双狙い
集団系:なるべく多数引き付けて一網打尽狙い
ギャグ系:お手数かけますがなんとかお願いします!
それ以外:まー適当に



●隣の客は良く柿食う客だ。所で柿の種食べる?
「状況は理解したのだ。事情無知、されど麗ちゃんは死生不知、ギャグを知らずはタイ米の炊き方を知らず、なのだ!」
 大豪傑・麗刃(24歳児・f01156)は、使い道の無いコンテナで作った即席のステージに上がり、意味ありげに目を伏せ、為になりそうな言葉を、リズム良く韻を踏み、誰とも無く、口にする。
 国家を外れた荒野に運搬を任せたトラック運転手は良く分からないなりに理解しようと考え、歯を見せて爽やかに笑い、親指を立てて幸運を祈り、国への帰路を辿る。
 麗刃も御礼代わりに親指を立て、帰路の無事を願って片目を瞑ってから、片手に持っていた白の拡声器を口元まで持ち上げた。
「これより先、修羅に入る。締め切り三日前にも関わらず白紙の原稿と見つめ合う作家の心を知らぬ者達に、栄養ドリンクは必要無いのだ。衝撃を笑劇に、麗ちゃんオンステージ、クロキャバ夏の陣、此所に開幕なのだ! 全ての者に告ぐ。あ、でもお茶は注がないのだ。つまり」
 すぅと思い切り息を吸い、肺の中に酸素を溜め、循環させる。活用される事は滅多に無く、描写される事が幾ばくかあろうかと言う、曲がりなりにも武人として鍛えられた、効率的な呼吸法によって全身を活性化させる。
「わたしのネタを聴けぇぇぇぇぇぇッ!」
 大気圏を突破し、暴走衛星にまで届きそうな、空気を震わせる一声。拡声器によって増幅されたそれが、果たして何処まで届いたのか。
 ともあれ、麗刃の一喝は、荒野を音波となって駆け巡る、奇しくも、無力化施工を終えたマグゥルmk-10の目に再び光が灯るのと同時であった。
「定番から行くのだ。隣の客は良く柿食う客だ。だが、塀が出来た所為で柿が食えなくなったのだ。お爺さんの柿を食っていたのだ。次の日から誰かが毎朝、牡蠣を玄関先に送り届ける様になったのだ。とある朝、お隣さんが塀を越えようとしたんだってねえーと噂を聞き、へえーと聞き流し、猟銃をバン。牡蠣を手に持っていたお隣さんに、お爺さんはごん、お前だったのか……と悼むと、アイルビーバックとサムズアップが帰って来たのだ。お爺さんはその言葉を信じて、村の未来の為に戦う決意をしたのであった! めでたしめでたし! 次回作は欧米化、いや不透明感しかないのだ!」
 この作り話を皮切りに、麗刃の滑舌は止まるどころか益々冴えていき、戦場を満たし続ける。原理は不明だが、それ自体が何故か言霊の様な力を持ち、戦場を包囲する力場を作り出し、戦場全体で、彼の言動を楽しんでいない者達の速度を大幅に鈍らせる。勿論、そもそも人語を介さないジャイアントキャバリアの軍勢にも、それは同様に作用する。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳳凰院・ひりょ(サポート)
アドリブ・連携〇

同伴者がいる場合は同伴者をサポートするよう行動
戦い方は遠近両用
接近戦→【破魔】を付与した破魔刀
遠距離→精霊の護符の【乱れ撃ち】
同伴者が苦手な方を受け持つ動きを取ります
単独で戦う場合は相手の苦手とする方での戦い方を主軸に
護衛対象がいる場合は自分の身を挺して【かばう】
何より周りの誰かが傷付く事を嫌う為、仲間達に危害を加えるような行動は取らず
誰かを傷付けるくらいならば自分が傷付く方を選ぶ性格です。
携帯した飴を媒体にUCを発動
【多重詠唱】で複数疑似精霊を召喚し攻防で使用
地や風は守りの壁として火や水は弾として攻撃に使うことが多いです
他に状況に合うUCがあれば変更していただいてOKです



●飴細工
「間に合うかな……いいや、間に合わせる」
 色鮮やかな仙桃飴をばら撒き、凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は目を閉じ、精霊に問い掛ける。
「時に人に寄り添い、照らす者、時に万物の運び手となり、時に生命を育み、時に人に実りを齎す。空に閨を作り、緑を茂らせ、光と共に万物を恵む、森羅万象の子等よ。我が隣人よ、どうか呼び掛けに答え給え」
 呼び掛けの言霊に、小さな光輝が仙桃飴へ宿る。地面に落ちるだけの媒体が、独りでに浮遊し、意思を持って、戯れる様に彼を取り囲む。
「駄目押しも必要かな。ルクス・テネブラエ」
 意味を持つ言葉に呼応して、天使と悪魔の翼を持つ、飛行型の大型機械歩兵が出現し、ひりょを格納部へと導き、飴に宿った疑似精霊達は、キャバリアの翼、その付け根を囲む様にそれぞれ輪を作る。
 ひりょの思う儘、左右非対称の翼を一つはためかせ、宙空へ舞い上がる。周辺の飛行船の位置を、拡張された視野で把握し、すぐに多重詠唱、精霊の加護を受けたテネブラエからも力を借り受け、周辺空域に滞在する全ての飛行船に、精霊による障壁を付与。その代償に、ひりょは極度の頭痛と吐き気を覚え、維持に霊力を摩耗させる度に、全身の神経を引き裂かれる様な痛みに襲われながらも、歯を食い縛り、意識を保ち続けた。
「誰かが、傷付く位なら……」
 途切れそうな意識で、ひりょは譫言の様に呟く。

成功 🔵​🔵​🔴​

セシル・バーナード
始まったみたいだね。プラチナちゃんは、今は聴衆でいてくれればいいよ。

奏鳴楽団召喚。第一ヴァイオリン担当で「楽器演奏」しながら、蠱惑的な歌を「歌唱」する。
その歌に「範囲攻撃」「催眠術」「誘惑」「動物と話す」を使って、マグゥルmk-10の意識に働きかけ、暴走を抑えようと試みる。

大切にされてきたものたちが、何をきっかけにオブリビオンマシンになったのか。まだ話す余地はあるかな? 催眠術が上手く効果をあらわせば、話が聞けるかもしれない。特定の因子か何かを見つけられれば。

完全にオブリビオンマシンになってるなら、かわいそうだけど討滅しなくちゃね。
裁断空間展開。無数の空間の断裂によって切り裂く!


鳴上・冬季
「人の傲岸さが分かる良い話です」
嗤う

「気に入らない操縦者を乗せぬほど思いも命もあるものを、一方的に拘束して沈めようと言うのです。共にあった者に裏切られた失望と焦燥はどれほどか。両手足を縛り刑期の終わりも教えず意思すら奪って地下牢に放置する。貴方達がしたのはそういうことです。オブリビオンに縋ってでも生き足掻こうとするのは当然です」
嗤う

「どうせ長く記録が残ることはないでしょうが。これは全て真剣に彼らの事を考えなかった貴方達の罪。それを忘れぬためにも貴方達は生き残るが宜しかろう」
嗤う

共に飛行しながら黄巾力士にオーラ防御で庇わせつつ敵足元の操縦者逃げ遅れた市民をどんどん坪中天へ
安全圏に到達したら解放


クゥ・クラウ

アインベルに搭乗

要人への襲撃、二国への進攻、巻き込まれる人々
『何を守るのか君が決めるんだ』
AIのジョン・ドゥが言葉を放つ
「……、……進攻を阻止する」

観測機、ゲイザーを会場の上空に配置
UC【オーバーブースト・マキシマイザー】。天翼を起動、低空を高速で飛び回る。
ゲイザーからの情報を元に相手の位置を把握して先回りし、武器の一斉射撃で攻撃。
(瞬間思考力5、推進移動2)

1章で得た情報を元に、周波数を合わせて相手に通信を試みる。
「アナタたちは役割を終えて休眠を命じられている。どういうつもりなの?」

「感情のある兵器。ワタシたち、みたい」
『僕らはもっと高性能だよ。それよりも急ごう。おそらく元凶は遺跡にいる』



●鎮め歌
「始まったみたいだね。プラチナちゃんは、もう少しのんびりしてて良いよ」
 背後から聞こえて来るコメディステージを楽しみながら、セシル・バーナード(サイレーン・f01207)は横に居るプラチナに声を掛けてから、バイオリンを取り出した。
 プラチナは、見覚えおのある楽器を見て不満そうに方頬を膨らませたが、セシルは見透かしていた様に、空いた指で膨らんだ頬を突く。
「突くと割れて、柔らかい。焼き餅みたい?」
「セシル様……ずるい……」
「代わりに、一曲歌ってあげるからね?」
 少しの触れ合いでm照れて視線を逸らす仕種に笑みを深め、セシルは指を鳴らす。余っていた楽器が人の形に変化し、セシルを含め、総勢119名に及ぶ交響楽団が形となる。コンサートマスターであるセシルの奏でた調律の一音に従い、調律を終わらせる。
「それじゃあ、僕等で荒野に花を咲かせよう」
 弦を弾く。曲目は決めていないが、聖歌、歌劇を意識し、即興で作る事にした。楽団はセシルの意図を目と口から読み解きながらも、自由に音を奏で、纏めて音楽へと仕上げていく。蒸気機関式の拡声器が、其れ等の音をつぶさに広い、クリアに楽曲を荒野全体に響かせる。
 前奏は此所までと、セシルは口を開きバイオリンを繰りながら、ゆったりとした曲調に甘やかでありながら、良く通るボーイ・ソプラノを響かせる。荘厳でありながら、何処か蠱惑的な音色が、目覚め始めたマグゥルmk-10の聴覚を刺激する。頭を抱え、悶え苦しみながら、パイロット達から距離を取る姿に彼等は困惑した。
(……この状況は君達が望んだ事じゃない、でも、長く抗うのは難しい。遠慮は必要無い、と)
 望まぬ命令に抗う苦悶の声、抗い切れない理由は彼等の中で沈殿していた、小さな不満が育っている所為だ。意思を持つ生命体である以上、使われた挙げ句、棺桶の中で眠りに就く、と言う行為全てを、肯定できる筈も無い。それでも彼等は、パイロット達の説得で、それを受け入れた。告別式の際の、別れを惜しむ涙も声も表情も、彼等にとっては掛け替えのないものだ。人々が、平和の訪れに歓喜する声も、同様に。
 思念は悲鳴にも似た雄叫びばかり、どれも単体では意味を成さず、断片を繋ぎ合わせ、漸く、輪郭を結ぶ。程なく、マグゥルmk-10はパイロットと距離を保ち、別個体同士での殴り合いを始めた。


●原罪
「人の傲岸さが分かる良い話です」
 目を丸くしているパイロットに、冷ややかな微笑を浮かべながら、鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は嗤う。荒野の砂埃を巻き上げ、低空を高速飛行しながら、式神を操る。妖狐の少年が奏でる荘厳な演奏も、途切れる事無く続く演者による笑い話も、彼にとっては心地良い。
「気に入らない操縦者を乗せぬ程、思いも命もあるものを、拘束して鎮めようと言うのです。共にあった者に無理を押し付けられた時の心持ちはどれほどか。両手足を縛り、刑期の終わりも教えず、意思すら奪って地下牢に放置する。貴方達がしたことは、そういうことです」
 異空間に送られたパイロット達の反論には耳を貸す。幾つか誤解が有った様だが、行いが傲慢である事には変わらない。冬季は揺らぐ事無く、嗤う。
「不満を抱かない訳が無い。そもそも、人が持て余す生命など、作るべきでは無かったのです。現状に抗うのが難しいのは、当然でしょう」
 随分と人が良い兵器も有った物だ。彼等はその様な行為を敷いたと言うのに、パイロット達から距離を取り、尚、自分達同士で殴り合い、抗い、正気を保とうとしている。
「それが貴方達の罪。戒めとして忘れぬためにも、貴方達は生き残るが宜しかろう」
 時間流の違う倉庫へ式神が触れたパイロットを迅速に回収し、それぞれの国ごとに案内先を分ける。危険な距離に居るパイロットは黄巾力士に内蔵した天騒翼、粒子の翼で庇う。倉庫に案内された両国のパイロットが、人員の不足にどよめいていたのを、冬季は頭に入れておき、現状の避難経路に基づき、安全圏で放り出す。

●救済の鈴音一つ(ein-bell)
「懸念事項は、要人の襲撃、二国への進攻」
 白の装甲に、骨格に沿う様に施されたラインに、翠玉色の仄かな魔力光が灯る。アインベルと名付けられた魔導型クロムキャバリアに搭乗したクゥ・クラウ(レプリカントのクロムキャバリア・f36345)は、機体に搭載されている偵察用ドローンを射出し、格納部内でオクラ得てくる情報を処理し、現況を把握する。
 要人の襲撃、協力者らしい機体が空域の飛行船全てに対して障壁を付与。
 二国への進攻、少年と思しき人物の演奏によって、パイロットから距離を取り、同士討ちを開始。其れ等も仕様書に比べれば大幅に減速しており、これは即席の舞台で喋り続けている男性によるものだと推測出来る。
 巻き込まれた一般人、パイロットについては、大型機械歩兵が保護を敢行。
『僕等がやる事はお膳立てされているね。一応、君の意思を聞いておこうかな?』
「……進攻を阻止する」
『バックアップを開始するよ』
 ラインに灯る魔力光の光量が増し、機体背面に翠玉色の光翼が出現する。機体を傾けた前傾姿勢、マニピュレータに接続するのは電磁徹甲弾を弾倉に詰め込んだ短機関銃。乾いた砂埃を巻き上げながら低空を、音を置き去りにして白の機影が駆け抜ける。同士討ちを始めたマグゥルmk-10に周波数を合わせ、通信。
「アナタたちは役割を終えて、休眠を命じられている。どういうつもりなの?」
 ノイズに塗れた苦悶の声、傷ましい程の悲痛な叫び、思考思想を、沈殿していた僅かな悪感情を増幅し、塗り潰される苦痛。思い出すら黒い炎で塗り潰され、自身が変えられて行く中で、彼等は通信を齎したクゥに、訴えた。
(コ・ロ・セ……イ・マ・ノ・ウ・チ……ナ・ガ・ク・ナ・イ)
 無意識に視線でジョン・ドゥに助けを求めるが、彼はシルクハットを静かに左右に揺らし、NOのジェスチャーを取る。するべき事は決まっている。ただ、望む通りに引き鉄を引けば良いだけだ。それなのに、何故か手が震えて動かなかった。すぐにそれが全身に及んでいる事が分かる。胸が苦しい。雫が頬から垂れて、無駄な動作と知りながら、それを拭う。
(ハ・ヤ・ク……)
 訴える音声周波数には、何故か、優しいものだった。持て余す感情を其の儘に、巨人の群体を連装ホーミングレーザーでマルチ・ロック。同時に両腕の短機関銃をフルオートで一斉射、電磁砲特有の高い音を響かせながら、巨体を食い千切る。遅れて照射されたレーザーが焼き切る。敵性存在と認知し、黒い感情に抗いながらも、マッハ9.4で攪乱し、偵察用ドローンを用いた先読みを含め、アインペルが無抵抗の彼等を掃討するまで、そう時間は掛からなかった。
 悲痛とも言える彼等の叫びが一つ消えて行く度に、涙が零れ、殲滅が終わった時に、とうとうクゥは、自分でも分かるほどはっきりと、嗚咽を漏らした。
「ワタシたち、と同じ、なのに」
『僕らはもっと高性能さ。それより、まだ終わっていないよ、クゥ。十中八九、元凶は遺跡の中だ。感情の整理が終わったら、急ぐべきだ。彼等の為にもね』

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『エヴォルグ参號機『Lighting』』

POW   :    雷轟流基本ノ型・集雷
全身を【体を活性化させる雷】で覆い、自身の【速度をレベル倍にする。敵対者への畏敬の念】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    雷轟流奥義・雷迅
【体を雷で活性化する事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【レベル倍の速度で繰り出す武術】で攻撃する。
WIZ   :    雷轟流奥義・雷降
レベル分の1秒で【武術による攻撃と共にレベル発の雷轟弾】を発射できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●平和の代償
「理解は得られたと、思っていたのだけれど」
「結果だけを見れば、より良いものではあるけどね。僕の今後については、既定路線と言っても良いものだから構わないけれど君は別だろう、エバトゥス?」
「いいえ、私も、後の事なんて、どうでも良かったのよ。きっとね」
「それはいけない。思っているよりも、ずっと辛い事が待っているからね」
「……疑わないの?」
「これまで提示してくれた記録に、嘘や隠し事があったのかい? いや、そうだね……此所は素直に行こう」
 わざとらしく驚いた表情を見せ、思案した後に、老人は姿勢を正し、深く頭を下げた
「信じさせて欲しい」
 真摯な声音だった。予想外の言動に、少女は暫し、言葉を失った。潔白である事は事実であり、証明する行為も容易だった。それでも、言葉、表情、目線一つでも、彼の信頼を損ねるものが有れば、今の関係は崩壊すると確信出来た。だから、少女は気を引き締めた。
「……全て事実よ。隠し事もしていないわ。情けない話だけれど、怖くて震える掌を、少しの間だけ、支えてくれないかしら……?」
「勿論、構わないとも」
 少女は未だ震えている掌を、老人に差し出した。壊れ物を扱うように、そっと添えられた温かな両手が、この場では何より、頼もしかった。

●正気であるが故に
 薄暗い遺跡に鳴り響く銃声、瞼を閉じていても感じられる眩い発火炎。
 鼓膜を絶えず苛む、ユミルの子達の叫び。
 昨日、上官と呼び慕っていた友が、無残な死体になって、乗機と共に居なくなる。
 明日には部下と呼び、慕っていた友が、格納部に潰され、二目と見れない死体を晒す。 任務の合間合間に、知識と夢を雄弁に語る発掘チームは時にキャバリアの射出する弾丸に押し潰され、残った者達が恐怖に顔を歪め、喉を引き攣らせた悲鳴を上げながら、結果を必死に持ち帰る。
 遺跡には、ありきたりな悲劇と死が、どうしようもなく満ちていた。長く生き残れば生き残る程、自分が歪んでいくのが分かった。狂気の一つも孕まずに、どうして生き延びる事が出来るだろうか。
 戦友は闘争を願っている、戦友は報復を願っている。生き延びた以上、報復を繰り返さなければならない。この闘争を絶やしてはならない。彼等の為に。
「……」
 狂気に染まりながら、国家元首の正気を疑った。彼も大切な者を失った筈だ。やり切れない怒りと、悲しみを覚えた筈だった。
「だからね、もう繰り返すのは止めようと、思えたんだ」
 特に自分には、何度も何度も面会を繰り返した。心情の吐露を、彼への理不尽な不満も、彼は静かに聞き、冷静に受け止め、言葉を選び、慎重に会話を重ねた。自身の狂気が、少しずつ薄らいでいくのを、実感した。

●悪夢と悲劇
 終わりの無い悪夢だった。夢である事を願いながら、僅かな休息の後、瞼を開く。
 遺跡での技術争奪は血の轍を描き続ける。溜まり黒く濁った血の海に溺れながら、掴み取った成果を、付近の軍事施設へ運搬した後、発掘チームは仲間を称え、同行した軍属にも丁寧に頭を下げた。
 溶液に満たされたカプセルの中で保護された人型は、鉄仮面を付けた細身で、獣毛を生やした有機的なデザインであり、二足歩行の灰色熊を連想させた。マグゥルmk-10と似た組成なのだろう。研究者はマグゥルmk-10が有する細胞組織との比較研究を進めていくらしい。
 また幾人もの戦友が命を散らした。弔いなど願える訳も無く 今回の成果について、努めて冷静に、首脳へ連絡する。
 最早、この闘争を絶やしてはならない。暗い炎が灯り始めたのは何時からだろうか。昨日、上官が死んだ時だろうか、それとも明日、また部下が死に行く予感からか。彼等の命を、無駄にしてはならない。
 ふと、頭に声が響いた気がした。だからだろうか、国を憂いた彼に嘘を付き、成果の前に突き出した。くぐもった笑い声が頭中に響くと、胸部が開き、有機接続式の格納部から伸びた赤黒い肉の蔦が、瞬く間に彼を取り込み、その後、施設を単独で壊滅させた。
 頭に響く声が離れる事は無く、鉄仮面の巨体は、嗤っていた。骨すら残さず自身の一部とした機体に、魅入られてしまった様に、身を差し出した。

●悪醒降雷
 平和祈念式典の開催が決まり、スケジュールが迫った頃に、男は何かに呼ばれる様に、遺跡へと出向いた。小康状態となっている遺跡の中に潜む鉄仮面が、沈殿していた筈の、彼の狂気を呼び覚ました。
 遺跡に潜んでいた悪意の雷光が、平和祈念式典に降り注ぐ。
 
●状況整理
 オブリビオンマシンは遺跡に潜んでいる。
 遺跡は風化した建造物だが、広大な地下階層構造となっており、解析済の浅層までは両国のキャンプ跡や未回収のマグゥルmk-10の遺骸が散見される。敵も浅層に居る。計画が全て崩れた今、オブリビオンマシンが潜む理由も無い。索敵は必要無いだろう。内部の通路は、縦幅はキャバリアが余裕を持って通れる一方で、横幅は1体が限度のが多い。一方で大部屋は余裕を持って動く事の出来る広さがある。壁は脆く、容易く穴を空ける事が出来るだろう。
 オブリビオンマシンは格闘戦に優れた機体である反面、生体、人間に近い性質を持つ。ただし、再生力は高い為、頭部の破壊のみで行動が停止するとは限らない。
 パイロットは洗脳状態且つ、物理的に侵食されている状況で有り、後述する政治背景の為にも、救出を考える場合は、迅速な無力化が望ましい。
 
 現状、現国家元首であるアーキオ、エバトゥスの両名は、状況説明と事態の責任をあらゆる方向から問われる事になる。
 此れ等を避けたい場合は、今回の主犯格を明確にし、事態収拾に努めた事、両国への敵意が無い事、両国に敵対の意思がない事、友好的である事を言葉で示す必要が有る。
 疑惑は尽きない為、戦闘中の生の音声や動画を情報機器を通じて、民衆や有力者に提示する事は有効な手段だ。他にも、思い付いたことが有れば、試してみると良いだろう。
 猟兵は状況を、或いは感情を整理し、行動を開始する。
ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)

ヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れて、なるべく負傷を避けつつ戦います。
オブリビオンに止めを刺すためであれば、猟兵としての責任感が勝り、相討ち覚悟で突撃します。
でも負傷やフレンドファイヤ、代償は避けたいお年頃。


政木・朱鞠(サポート)
ふーん、やっと、ボスのお出ましか…。
もし、貴方が恨みを晴らすためでなく悦に入るために人達を手にかけているのなら、不安撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ。

SPDで戦闘
代償のリスクは有るけど『降魔化身法』を使用してちょっと強化状態で攻撃を受けて、自分の一手の足掛かりにしようかな。
ボス側の弐の太刀までの隙が生まれればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎


アスカ・ユークレース(サポート)
時に敵を救うために倒すという心情で戦う

機動力が欲しいときはフェイルノート、破壊力が欲しいときはbinary starと状況に合わせて武器を使い分ける

動体視力、反射、隠密能力、空間把握認識能力等機動型射手に必要な能力が高いレベルで備わっており射出武器使いとして優秀。

ド派手な弾幕とは裏腹に射程武器の強みを活かした中遠距離からの仲間の援護、連携の穴を埋めるバランサーとしての役割を最も得意とする。

遠距離からの一発必中の、隠密狙撃も行う。

後は状況に合わせて対応可能。



●情報連携・索敵準備
「オブリビオンマシンは、この中に潜んでいるのですね」
 透明感の有るオッドアイで、遺跡の入口を見遣り、アスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)はゴーグルを装着し、Clusterと名付けた愛用の偵察用小型ドローン群を取り出し、映像と音声をゴーグルとリンクさせ、未だ滞空する他猟兵のドローンとのリンク許可を申請した。
「酷い有様だよね。やっと、って感じ」
 アスカの一連の準備の間、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は朱色の瞳で、戦場の状況を把握し、荒野に倒れ伏すジャイアントキャバリアの群れに、率直な感想を述べた。
「皆さんの後を付いて行きますよー、何なら居場所を占ってみましょうか?」
「へえ、占術、得意なの?」
「僕はカード……と併用された、水晶玉のヤドリガミですからね」
 和服姿のティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)が水晶玉を取り出し、目を閉じて集中する。
「許可を頂きました! パイロットの命が掛かっていますし、急ぎましょう」
「オッケー! 残念だけど、占いはまた今度ね!」
「……あれ?」
 得物を携え、遺跡に突入した二人に気付きを、ティモシーが後から追う。

●マッピング
 ドローン群が寄越す複数の動画情報を、アスカは平然と処理し、二人を誘導する。遺跡内部の所々に、放置されたユミルの子の残骸が放置され、時にはコクピットの合間から、回収されていない兵士の屍が容赦なく映り込む。通路の至る所へ、通路、大部屋には、両軍の簡易拠点の跡が幾つも有り、道筋を辿る際の目印になった。複雑ではあるものの、構造自体は高い規則性を有しており、予め、複数人が出入りする事を前提とした建造物である事が窺える。
 老朽化の進んだ壁面は両軍の衝突によって所々穴が空いていたり、研究の為に資料として持ち帰られたのか、所々、不自然に切り取られた様な跡も見える。
 構造は単純だが、階層事に微妙に部屋の配置が違う。予め情報が無ければ、階層を進む度に、方向感覚が徐々に狂う様に設計されている様だ。
 不意に、一体のドローンから送られていた映像が暗転し、途切れた。その地点を中心に、包囲する様にドローン群で道を囲み、万全を期す。
「次の階層の様です」
「道案内ありがとう。それじゃ、私が前に出るね!」
 朱鞠はアスカに片目を瞑って見せ、。手早く印を結ぶ。遺跡に漂う幽鬼の一体を自身に憑依させ、身体能力を跳ね上げ、先陣を切る。

●薔薇手繰り
 侵入者の放った目を潰し、鉄仮面は静かに嗤いながら、迎撃の為に動く。残されたドローンの包囲網を、目に入った物から打ち落とす。
「此所まで来れば、後は気配を辿るだけだからね!」
 3倍は有ろうかと言う巨躯、通路のドローンに伸ばされた鉤爪の様な拳を、放たれた鉄の荊が、絡め取る。朱鞠の跳躍と共に放たれたそれは、着地と同時に強く締め上げられ、棘が獣毛を呆気無く貫通し皮膚下の肉を抉り立て、咎人の血を奪う。
 異変に気付いた敵機が、膂力だけで振り解かれるのに逆らわず、次は雷速で迫る蹴脚を蛇の様に絡め取る。
「そうれ、っと!」
 敵の重心移動と強化された膂力を併用。股の間を駆け抜け、思い切り鎖を引き、巨躯を転倒させる。
「そろそろかな?」
 幽鬼憑依の代償に、毒の回る身体を認識しながら、朱鞠は巨躯と渡り合う。

●バイナリィ・スター
 アスカは電子迷彩回路を起動し、認知を阻害しながら、先駆けた朱鞠の位置を把握し、交戦中の敵との適正距離を測り、位置取りを終わらせるとと共に、大型の弩弓へ、エネルギーの充填を開始する。
 ゴーグルの端に表示されたメーター、ドローンの映像データから現況を把握、照準を定め、コンマ以下まで誤差の無いように常に修正し続け、神経を研ぎ澄ましながら、トリガーに手を掛け、好機を待つ。
 両脚を絡め取られ、転倒した所で、メーターが100%を示す。息を吐き、トリガを引く。
 独特の収束音と共に放たれた一筋の光線が、通路の壁を貫き、敵機の脚部を穿つ。排熱と冷却までのタイムラグを計算しながら、アスカは再度、照準を定める。

●連鎖する不幸
「今です、ね?」
 動作が鈍くなった所に、ティモシーはルーンのあしらわれた刀剣を後方から操作し、抉られた脚部に深々と突き立てる。途端、付近の壁が崩れ、敵の巨躯に瓦礫が降り注ぎ、立ち上がろうとすれば、無事な脚部の床が抜ける。癒えぬ傷が齎す呪い、不慮の事故が、敵の行動を阻害する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

セシル・バーナード
やれやれ、やってくれる。
主犯とオブリビオンマシンは遺跡の中か。

「暗視」があるから、灯りは必要ないかな。順路も覚えておこう。
目を閉じ耳を澄ませて、大きな足音が聞こえないか、じっと探る。
あっちか。

ご機嫌よう、オブリビオンマシン。『生体ユニット』を渡してもらおう。
その後で、破壊するよ。

可能なら奏鳴楽団を召喚して、伴奏にしたい。愁いを帯びたソナタの音の洪水。
ぼくは第一ヴァイオリンとして演奏する。「歌唱」「楽器演奏」「誘惑」「催眠術」の玲瓏の声色。願うは安らかな眠り。
そう、ここは培養槽の中。眠りの時間だ。そんな暗示で、機能停止したらいいんだけど。
機体を起こさないようにハッチを開け、搭乗者を引きずり出す。


クゥ・クラウ

アインベルに搭乗。

『まずは視界をクリアにするために涙を拭くと良い』
AIのジョン・ドゥの言葉に、ワタシは頷く。

「……こちら猟兵。オブリビオンマシンの存在を確認したために対応している」
両陣営に通信をいれ、リアルタイムで戦闘映像も送る。

通路で勝負を掛ける。この場所なら、さけられないはず。
UC【ROCKET DIVE!】。天翼から一際輝く光の粒子を噴出、限界以上の出力を引き出す。前面に盾を展開して突進。相手もろとも遺跡の壁をぶち抜く。
(オーラ防御3、限界突破2、推進移動2)
『かなりの無茶をしたね。帰ったときの整備班の顔が目に浮かぶよ』

ダメージを入れた相手の装甲を引き剥がして、パイロットの確認を試みる



●バイオリン・ソナタ
「やれやれ、やってくれる。主犯とオブリビオンマシンは遺跡の中か」
 状況が落ち着いた所で演奏を切り上げ、セシル・バーナード(サイレーン・f01207)は一度、バイオリンから手を離し、緑瞳に映る空間の歪みから、適切な物を選別する。
「遺跡までだと、それなりに距離有りますね」
「うん、だから跳ぶ事にしたんだ。プラチナちゃん、もう一回手を繋ごう? エスコート役は任せて」
「是非、お言葉に甘えます!」
 差し出された少年の小さな掌に、細い指が添えられ、絆を示す様に互いが確りと手を取り合い、セシルは空間の歪みへと、自身の身とプラチナを先導する。次の瞬間には、遺跡の前の荒野に立っており、プラチナは一層不思議な顔をしていた。後続の為に残されていた数機のドローンが、現在進行形で遺跡の地図を報せていた。
「猟兵だけど、借りても良い?」
 パスワード代わりに幾つか世界の名前を挙げると、ドローンは了承した様で、セシル達を先導して行く。
 念の為道順を暗記し、周囲を警戒しながら、薄暗い遺跡を進む。死臭は兎も角、雰囲気に押されたプラチナが、セシルに縋る様に腕を絡めた。
「暗い所、駄目なんだっけ?」
「いかにもって感じですから!」
 地図の更新速度は早く、セシルは周囲を警戒しつつ、先導のままやや早足で歩を進め、丁度、高専前の階層で、先客と合流した。先に交戦を買って出た3人の後に、階段を降りる。
「あっちか。Come On, My Orchestra」
 派手な戦闘音に大体の位置を把握し、手頃な部屋を見繕い、セシルは合言葉と共に指を鳴らした。軽やかな音と共に、収納していた楽器が姿を現し、人型へと姿を変える。
「姿は見えないけれど、ご機嫌よう。もう一度、眠ると良い」
 優雅な一礼の後、人型が楽器を持つのと同時、自身もコンサート・マスターとして、バ「」イオリンを構え、憂いを帯びた旋律を響かせる。蒸気機関式の拡声器によって、バイオリンの音色と安らかな眠りを願う蠱惑的な少年の歌声が、遺跡の中を満たしていく。

●フル・ドライブ
『まずは視界をクリアにする為に、涙を拭くと良い』
 シルクハットのアイコンがトレードマークのAIに、クゥ・クラウ(レプリカントのクロムキャバリア・f36345)は素直に頷いた。
 ジョン・ドゥは頷く動作の代わりに、髪飾りに搭載されたケーブルを操作し、彼女が着用しているコートのポケットから、器用にハンカチを探り、差し出した。
 クゥがそれで涙を拭い終えると、他ドローンと、ゲイザーとの同期許可申請が送られ、目的の合致もあり、即座に承諾し、ゲイザーを両国へと送り届けた。同期したCluster達から送られて来るマップ情報を便りに、アインベルは再び光翼を広げ、遺跡内部へ侵入する。
「……無所属の傭兵より両国へ。我々は世界の脅威にのみ対応している。今回の事件は全て、偶発的に発生する特殊なキャバリア、オブリビオンマシンの犯行によって齎された物だ。我々は、両国への敵対意思は無い。両国の技術・遺跡の技術を欲する物では無い。両国の政治に干渉する意思も無い。両国の平和条約に疑惑は無い、誰の落ち度でも無い事を、我々は主張する。そうして、どうか、平和の為に、犠牲となった両国の巨人達の為にも、両国は、干渉を最低限とする、無害な我々の武力に怯える事無く、互いに手を取り合い、和解への道を、歩んで欲しい……お願い……お願い、します」
 両国への通信と共に、ゲイザーによって開示されるオブリビオンマシンの特性。これを追う無所属の傭兵達は自分を含め、極力、他国と対立しないと言う意思表明。
 そして、リンクしたClusterから送られてくる戦闘映像。生身で獣毛に覆われた生体キャバリアを相手取り、優勢を保ち、激しさと正反対の、愁いを帯びた旋律と、蠱惑的な少年の歌声が、両国へと捧げられる。
「この状況なら、さけられないはず……天翼、出力全開」
『アインベル、我等がお姫様のお望みだ。本日2回目だが、行けるよね? ま、どっちにしろ無理をして貰うんだけど』
 戯けるジョン・ドゥに返答する様に、アインベルのカメラ・アイに翠玉色の光が灯り、骨格に沿って流動する魔力光が機体を包む程に強く輝き、背面に収束する。
『OK、まだ、やる気は残ってるね』
 踏破の終わった階層を、微風のみを残し、翠玉の天翼が駆け抜ける。
「障壁展開。CODE:ROCKET DIVE」
 到達前に散開要請。通路の壁を削りながら、片足を食い千切られた敵機を、亜音速で飛来する翠玉の弾丸が、敵機の胸部装甲を砕きながら、風化した壁を貫き、オブリビオンマシンの意識を奪い去る。

●揺り籠の中で、紡がれる顛末
「良く計算されているね」
 轟音と共に楽団の前に飛び込んできた敵機、音に動じる事無く、セシルは演奏を続け、意識を失ったそれを操作する。丁度、休眠していた時と同じ安らぎを与える様に、夢中に語り掛ける様に、胸部装甲下の生体コクピットを開かせ、息絶え絶えと、なっていた軍服姿の男を引き出した。
「知っている事を教えて」
 男は、少年の声音に込められた思念に操られる様に、オブリビオンマシンと共有していた記憶と、今回の顛末を明かした。オブリビオンマシン、エヴォルグ参號機。通称Lightingは、発見された際、エバトゥスの軍人を洗脳し、偶然現れた前国家元首、ロマーク・エバトゥスをコクピットに取り込む様に誘導し、軍事施設を壊滅させた。ロマーク・エバトゥスの肉体は全て、この機体に吸収され、遺体は残っていなかった。その後、洗脳した軍人を取り込み、今度はそれを糧に遺跡内部で長く、息を潜めていた。そして、同じ狂気を抱えていた自分を適合者として選び、今回の事件を起こすに至ったのだと。最後は譫言の様に、親身になっていたアーキオに謝罪を紡ぎ、涙を流していた。
 オブリビオンマシンは、証言が終わった所で、猟兵達が独断で消滅させた。

●平和の訪れ
 イレギュラーを知り、犯人の独白を耳にした事で、ルノアード・アーキオ、リトラ・エバトゥスの追求は避けられ、両国の平和祈念式典は、あれほど大規模な事件が起きたにも関わらず、猟兵達の尽力により、死傷者ゼロと言う奇跡的な状況を生み出した。また、長らく原因が分からなかったロマーク・エバトゥスの失踪の真相が解明された事も有り、両首脳から深く感謝を伝えられ、オブリビオンマシンという俄には信じ難い存在の話と、それが今回の様に戦乱を長引かせている事を、聞き入れた。
 本来は世界を渡る猟兵という存在だという荒唐無稽な話も、二人は顔を見合わせて訝しみつつも受け入れ、特殊な状況、つまり、オブリビオンマシンの発生時にのみ介入する特殊な傭兵団であると位置付け、今後、両国で対応の必要が有った場合は、気兼ね無く面会を申し出てくれれば、応じ、出来るだけの支援をする事を、約束した。真偽の判断が付かない事だけは、二人とも頭を悩ませていた。
 一先ずそれは隅に置きたいと、ラジオから流れたセシルの演奏と歌声をもう一度聞きたいとリトラが願い、セシルは快く、それに応じた。

●終幕
 セシル・バーナード(サイレーン・f01207)は面会を終えた後、プラチナと余った時間の間、夕暮れ時の街を見て回った後、疲れた頃に宿を借り、二人きりの夜を過ごした。
 
 クゥ・クラウ(レプリカントのクロムキャバリア・f36345)はジョン・ドゥと共にエウレカへと帰還し、今回の顛末をマザーに報告した。アインベルへの酷使はジョン・ドゥの予想通り、整備班の百面相が見られたと言う。同時に、クゥの情緒面を心配していた者達からは、これ位のやんちゃが有る方が安心出来ると、温かな声を掛けられ、アインベルも分かって付き合ったのが分かるとも、告げられて、クゥ自身は少し戸惑いながらも、白亜の機体に寄り添い、小さく感謝と謝罪を口にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年08月30日


挿絵イラスト