休校日のルーフトップ
#シルバーレイン
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人はなぜ、屋上が好きなのだろう。秋晴れの遥か澄み渡る空を渡り鳥の群れが通り過ぎてゆく。
「もうすぐ発表が近いねえ。パート練習うまく行ってる?」
「うー……頑張る……」
休校日の屋上はちょっとした穴場だ。混み合う平日と違って、部活の練習で学校に来ている文化部の生徒や寮生たちだけがその楽しみを独占できる。
――なぜ、笑っている?
ちょうどお昼時だった。
コンビニで買ったパンや持参したお弁当の包みを開いて談笑する彼らは気付かない。
――私はこんなに悲しいのに、どうしてこいつらは楽しそうなのだ?
殺したい、暴れたい、引き裂きたい……衝動に突き動かされるまま、それは誰もいない渡り廊下を移動していた。階段を見つけ、ゆっくりと一段ずつ上がる。やがて見えてきた屋上に繋がるとびらへと、冷たい手をかけた。
「秋晴れの午には似つかわしくない存在が、楽しいひと時を血色に染めようと暗躍している……放っておくなんて選択肢はまずないよね?」
麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)の示す屋上は、とある高校の特別教室棟の真上にあった。
「当日は休校日で、屋上にいる生徒は数人だけ。このままだと敵の襲撃を受けてしまうから、昼休みが終わる前に避難させてあげてほしいんだ。ただ、屋上が無人になってしまえば彼らを襲う予定だったオブリビオンが現れないかもしれない。というわけで、囮役をお願いできるかな? 相手は楽しそうにしている人間を狙うようだから、避難させる子たちよりもっと気を引けるような雰囲気が出せたらよりいいね」
向かう世界はかつて、ゴーストと呼ばれる脅威と戦って勝利したはずの地球。何も知らない一般人たちにとって、オブリビオン化して甦ったゴーストの襲撃は常識の範囲外にある。
「たとえ事件に巻き込まれても、『世界結界』と呼ばれる魔術防護の作用によってその出来事をすぐに忘れ去ってしまうらしいからね。後のことは気にせず、戦いに巻き込まないで済むようにだけ気を付けてあげればいい」
「それじゃ、いこうか」
銀の雨降りし、死と青春が隣り合わせにある世界へ。
ツヅキ
プレイング受付期間:常時。届いた順にお返しします。書ける時に書いていきますので、飛び込み・継続かかわらず、タイミングが合いましたらよろしくお願いします。
●第1章 屋上
お昼休み中は安全なので、ご自由にお過ごしください。チャイムが鳴る頃になったら第2章へ進みます。
●第2章 集団戦
ナミダの先触れとして、周辺から集まってきたガンジャたちが外壁をよじ登って屋上に現れます。狂暴化しており、我先にと獲物を求めて襲いかかってきます。
●第3章 ボス戦
最終章に進むと、屋上に繋がる扉から姿を現します。妖獣化しており、特に楽しそうにしている人間を見ると殺戮衝動のままに襲いかかる性質を持つようです。
第1章 日常
『屋上にて』
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POW : 日光を浴びながら昼寝する
SPD : お弁当やパンを食べる
WIZ : 街の景色を眺めて楽しむ
イラスト:乙川
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
御鍔・睦心
銀誓館学園に転入してさあ新生活と思ったらこれとか、新人遣い荒すぎんだろ先輩方。
ま、折角だし派手にデビューを飾るとするさ。
腹が減っちゃケンカはできねぇ、とまずは屋上で腹ごしらえ。
一番高い所、給水タンク上で胡坐書いて菓子パンうまうま。(はしたない)
昼休み残り10分になったら物陰でイグニッション。
七支刀を取り出し【ヘヴンリィ・シルバー・ストーム】で優しい雨を降らせ、「嘘だろ、ゲリラ豪雨かよ!!」と騒いで生徒達に校内に戻るよう促す。
その後は生徒達が去った屋上で、ウォーミングアップがてら七支刀を振り回し、濡れるのも構わず楽し気にくるくる踊りながら敵を待つ。
「ここは私達の貸し切りだ、派手に殺ろうぜぇ!!」
「やれやれ、タイミングがいいんだか悪いんだか……」
――屋上。給水タンクの上に胡坐をかいた御鍔・睦心(人間の魔剣士・f35339)は、袋を歯で破った菓子パンで豪快に腹ごしらえ。さすがに眺めのいい場所だ、街がよく見渡せる。何も知らない街だった。
銀誓館学園の転入生というのが、睦心の身の上であったから。横目で屋上を見れば、他にも“お仲間”らしき奴らがひと時の安らぎを堪能中だ。睦心はにやっと笑い、給水タンクの裏に飛び降りて人知れずイグニッション。
「さあて、折角だし派手にデビューを飾るとするかね。新人遣いの荒い先輩方に目にもの見せてやらねぇとな」
七支刀を構え、口早に呪文を唱える。
「――え? 雨!?」
ちょうど給水タンクを挟んで向こう側にいた生徒たちが慌てて立ち上がった。睦心は素知らぬ顔でほらを吹く。
「嘘だろ、ゲリラ豪雨かよ!! 早く戻んねぇとずぶ濡れだぜ」
「……やだぁ、もおッ」
「戻ろ、戻ろ!」
首尾よく生徒らを追い払った睦心はしてやったりと刀を振り回した。まるで手に馴染ませるように。そのうちに乗ってきて、踊るみたいに飛び跳ねる。
くるくる……ああ、だんだん近づいてきた。恨む声、嘆く声……くるくる、ぴたり。絶妙のタイミングで剣先を屋上の外へ突き付けて、宣戦布告。
「ここは私達の貸し切りだ、派手に殺ろうぜぇ!!」
大成功
🔵🔵🔵
七篠・コガネ
僕も花の17歳。きっと高校生ってやつなのでしょうね
てわけで僕はこっそり空飛んで屋上へ到着なのです
だって天井低いしドアは小さくて通れないし…
ひょいとジャンプして塔屋の上へ。
シルバーレイン、かぁ…
こんなよく晴れた空から銀の雨が降るなんて想像つかないや
世の中には不思議な世界があるもんだなぁ…
ん?世の中?それとも世の外?ま、いっか
こちとら惑星級のスケールを誇る
クェーサービースト相手にしてるんですから!
今更お化けが何のその!ですよ
…独り言が寂しいのです
せっかくだし屋上にいるあの生徒にちょっと話しかけてみようかな
こんにちは〜(つい敬礼)
え?変な格好ですかね!?こ、これは…演劇部ってやつなのです
誰もいない教室の窓にこっそりと空を飛んで屋上を目指す七篠・コガネ(ひとりぼっちのコガネムシ・f01385)の姿が映える。何事も工夫次第。天井に頭をぶつけることも、ドア枠に小指の爪をぶつけたりもせずに無事、最後の跳躍で塔屋に到着。
こう見えても――どこからどう見ても立派な人型兵器以外の何者にも見えないのは重々自覚している――コガネは花の17歳。
(「同い年、かぁ……」)
自分が作られた世界とはまるで違う、銀の雨が降る世界で『高校生』とかいう青春を謳歌する生徒たちを眺めながら、不思議なことだと独り言つ。
「世の中にはいろんな世界があるもんだなぁ……ん? 世の中? それとも世の他?」
きょとんと首を傾げ、一人芝居の虚しさに哀愁が漂う背中。よく見ると、晴れた空に白い昼の月が浮かんでいる。
「だって、あれより大きなクェーサービーストと戦ってるんですよ! 今更お化けがなんですか、どこからでもかかってきなさい!」
なんて、軽くシャドーボクシングしながら独り言を繰り返す寂しさに肩を落としたコガネであった。
「…………」
ちら、と下を見る。
吹奏楽部あるいは声楽部かもしれない。楽譜を広げて談笑する生徒たちに向かって、コガネは遠慮がちに声をかけてみた。
「こんにちは~」
軽く敬礼すると、明るい挨拶が返った。
「こんにちはー! なんかすごい変わった格好してるね。かっこいい!! 遅れてきたハロウィンかな?」
「あ、えっ、違……こ、これは……演劇部ってやつなのです」
「おおっ、SF劇でもやるのかい? 楽しみだなあ、頑張ってね」
うまく切り抜けられたことにほっとして、コガネは胸を撫で下ろした。普通に喋れた。なんとなう空を見上げ、電子で再現された心の中で。
(「……花の17歳、なんだよなぁ……」)
大成功
🔵🔵🔵
山吹・慧
こうして屋上でのんびり過ごすなんて何年ぶりでしょうね……。
銀誓館で過ごしたあの頃は……、学生寮で過ごしたあの頃は
たくさんの同級生や先輩達・後輩達がいました。
共に泣き、共に笑い、同じ時を過ごした皆は
今頃どうしているのでしょう?
あぁ、また皆に会いたいですね……。
また黄金のように輝く時を共有したいですね……。
……ちょっとノスタルジーに駆られたようですね。
ゴーストと戦う前に考える事ではありませんね。
風に当てられたのでしょうか?
(頭を振り、深呼吸をする)
……生きてさえいれば、また会えるでしょう。
その時まで僕は死ぬわけにはいきません。
僕にはまだやらなければならない事がありますからね。
のんびりと屋上に腰掛け、山吹・慧(人間の宿星武侠・f35371)はかつての記憶を思い返していた。
――懐かしい。
こみ上げる想いが慧の心を温かくする。あの頃……銀誓館の学生寮で生活していた時代には、たくさんの同級生や先輩、後輩がいた。
共に笑い、共に泣いた日々。
「あぁ、また皆に会いたいですね……。また黄金のように輝く時を共有できたら、と。……ふふ、ちょっとノスタルジーに駆られてしまいました」
ゆっくりと頭を振り分け、深呼吸。やれやれ、と肩をすくめる。屋上を吹き抜けるこの風に当てられたのかもしれない。
「……生きてさえいれば、また会えるでしょう。その時まで、生きる……決して死んでやったりなどしませんから、そのおつもりで」
いつしか、周囲の気配が物騒なそれへと変わり始める。いつでも来るがいい、慧は鋭く目を細めた。
「僕にはまだやらなければならない事があるんです。こんなところで雑魚にやられる気なんてさらさらないんですよ。それじゃ、始めましょうか――」
大成功
🔵🔵🔵
御鏡・更紗
詩条・美春(f35394)さんと参加です。
お久しぶりですね、あの時以来でしょうか。
…あんまり変わってないですね?
とりあえずご飯食べます?(カフェの袋を見せて)
能力者としての戦いが終わって、ほっと一息ついたと思ったら、猟兵?でしたっけ、また違う力で戦う事になるとは思いもしませんでした。
あ、でも私はちょっと楽かもです、勤め人のストレスをぶつけられる機会を得られたので。
美春さんはあの後どういう進路に行ったんですか?
…喪失、ですか。
多分、今美春さんはそれと運命の糸が繋がっているのでしようね。
いつかは分かりませんがそれを手繰って決着をつける時が来るかと思います。
…何か手伝う事が出来たら言ってくださいね。
詩条・美春
【御鏡更紗さんと】
囮役なので兄様は隠したまま
はい、お久しぶりです。お元気そうで何よりです
更紗さんとは1つ違いなのに随分大人っぽいですね
はい、いただきます
(お仕事のストレスと聞いて感心の表情)
私は大人になり損ねてしまいました
兄様の結婚式の時「幸せをお手伝いするお仕事がいいなぁ」と憧れて大学で語学を学んだのですが
オブリビオンに襲われて大事な友達を助けられず、それからしばらく将来を投げ出してしまったんです
そしたら兄様が来てくださいました
お優しくて叱らずいてくださるけども、甘えすぎないようにしないといけません
はい
彼女とあの日何もできなかった私の仇を取りたいです
また戦えるのが嬉しいのは更紗さんと同じです
最初に交わした言葉は、「お久しぶりですね」という挨拶。
詩条・美春(兄様といっしょ・f35394)は別れた時とそれほど変わらない姿だったから、御鏡・更紗(白き娘・f35351)は一目見た瞬間に彼女だとわかった。
「お元気そうで何よりです。更紗さんは随分大人っぽいですね」
「……そうですか?」
更紗は他人事のように首を傾げ、思い出したように持っていたカフェの袋を見せる。
「とりあえず屋上行きます?」
「はい、いただきます」
軋んだ音を奏でるとびらを開けば、真っ青な空がふたりを出迎えた。話したいことは後から後から、とめどなくあふれ続ける。
「まさか、また違う力で戦う事になるとは思いもしませんでした。なにしろ、能力者としての戦いが終わって、ほっと一息ついたと思ったら、猟兵? でしたっけ」
温かいカップを両手で包み、更紗はふうと息を吐いて秋の空を見上げた。まさか、また違う力で戦う事になるなんて誰が想像できただろうか。
「あ、でも私はちょっと楽かもです、ストレス発散……みたいな? 勤め人のストレスをぶつけられる機会って、案外と貴重だったりするので」
「更紗さん、お仕事を頑張ってらっしゃるんですね」
美春は軽く目を瞠り、それから長い睫毛を物憂げに伏せた。
「私は大人になり損ねてしまいました……」
将来の夢、幸せをお手伝いする仕事。憧れたきっかけは兄の結婚式だった。そのために大学では語学を専攻し、そして……大切な友人をオブリビオンの襲撃によって失った。
きゅっと、美春は膝の上に置いた手のひらを握りしめる。
「……喪失、ですか」
更紗に頷き、歯がゆく微笑む。
「情けないですね。けれど兄様はとてもお優しくて……こうして傍に来てくださいました。もっと叱ってくださってもよいのに、うっかり甘えすぎてしまいそうになるくらい」
「そうだったんですね。多分、美春さんはそれと運命の糸が繋がった状態にあるのでしょう。……何か手伝う事が出来たら言ってくださいね」
それはきっと、いつかやってくる決着の日のための約束。「はい」と美春は気丈に微笑んだ。何もできなかったあの日を乗り越えるため、友人と“過去の私”の仇をこの手で取るために。
「また戦えるのが嬉しいのは更紗さんと同じです。あらためて、よろしくお願いしますね」
「ええ」
更紗もほんの僅かに両目を細める。くすぐったそうに、風に乱された髪を耳にかけながら。
「よろしくお願いします、美春さん」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
今回の事件現場は、噂の銀誓館学園……ではないのか。ま、そこは別の機会があるだろう
事件とあらば解決に力を尽くすのに異論はない
コンビニでパンとジュース辺りを買って、件の高校の屋上に向かおう
流石に時代が変われば学校の様子も様変わりするというか、サクラミラージュとは大違いだな
UDCアースは雰囲気が近いらしいが、そっちの学校に訪れる機会はなかった
あと俺の通っていた学校では屋上には立入禁止だったな
色々違って、本当に新鮮と言うか……一通り見て回りたい気持ちにもなるが、流石に自重して
今は昼食を済ませつつ、屋上からの景色をゆっくり眺めていこう
あ、他の生徒達が屋上から離れるよう、さり気なく誘導した方が良いかな?
例の銀誓館という学園にも、こんな風な屋上があるのだろうか。夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はコンビニで調達してきたパンを齧り、胸の高さまである柵へ寄りかかるような格好で敷地内の景色を眺め渡すのだった。
「時代が変われば学校の様子も様変わりするということ、か……」
自然と比較する対象は故郷のそれとなる。他にも似たような世界を知ってはいるが、そちらの学校とはついぞ縁がなかったので。
正直なところ、立入禁止でないのは羨ましいところ。ちょっと他の場所も一通り見て回りたいなと、うずうずする気持ちもある。
「自重しろ、オレ」
飲み終えたジュースのパックを潰してレジ袋の中へ放り込む。それにしても見晴らしのいい場所だ。校門の辺りに桜と思しき木が植えてあるのはどこの学校もお約束らしかった。
「そろそろ予鈴が鳴りますよ」
鏡介が声をかけると、昼食を食べ終えて談笑していた生徒たちは素直に「はーい」と答えて部室に戻っていった。鏡介の落ち着いた雰囲気から、学校の先輩だと思ったのかもしれない。
「……さて、そろそろ頃合いかな」
ちらりと柵の外に視線を向ければ、ほのかに漂う陰気な気配。――まるで誘蛾灯に誘われた羽虫のように。あと少しで。
大成功
🔵🔵🔵
菱川・彌三八
此方の寺子屋は初めてだなァ…
街の建物と同じくれえにでかくて、夫れよりずっと広いたァ驚きだ
高ェ処にゃ余所でも上ったし、ちいと遠回りしても罰は当たるめえ
よくわからねえが、此処に入る為の服を着て、月代は編んだ帽子で隠して…
(…此れはちいと愉しい気がする)
先ずは砂の広場から
エエト、入る建物は決まってやがるんだったな
履物が置かれた無数の棚をぐるりと回って、一先ず上へ上へと
まるで城だなァ
一体ェどれっくれえが此処にいやがるんだか
…今日はいねえのか
何で?
ようやっと着いた其処は、成程休むにゃ丁度良い
まだ居る奴等にゃ、誰かが探してやがったとでも云っておく
空が近ェなんざ最高の昼寝日和サ
とっとと追い出して満喫せにゃあ
菱川・彌三八(彌栄・f12195)は深めに被ったニット帽を手のひらで抑え、「おォ」なんて感嘆の息を吐いた。
「まるで城だなァ」
寺子屋という役割から連想していたよりも大きく、ずっと広い。それこそ街の建物と同じかそれ以上であった。しかも砂の広場までついている。彌三八はおっかなびっくり校内へ潜り込み、履物用の棚が延々と並ぶ入り口を発見。
――ははァ、此処が玄関か。
「エエト、此奴を着ていりゃ大丈夫なはずだが……」
かっちりとした長袖の上衣に袖を通し、抜き足気味に潜入するのはちょっと楽しい。――上か。すぐに階段を見つけ、なんとなく足音を立てずに往く。所変われば高所も変わるというもの。しかし、あれだけの履物があったにしては人気が無さすぎる。
「そういやァ、休みだとか云ってたっけか。何で?」
途中に覗いた教室でカレンダーのページを摘み上げた彌三八は首をひねった。赤く塗ってある日付が今日らしいが、はて。
「まァ、おかげでゆるりと休めるってェ訳さナ。よ、其処の御両人。さっき誰かが探してやがったぜ?」
「えっ、ほんとですか? 誰だろう、顧問の先生かな……」
慌てて片付け、彌三八に頭を下げながら屋上を後にする。ひらひらと手を振り、さてと日当たりのよさそうなところを確保。ごろ寝すれば見上げる空が目の前で、涼やかな薄青が目に染みる。
「満喫、満喫」
唇の端を吊り上げ、彌三八は目を閉じた。瞼裏の空がそのまま体にまで降りてきて、一体になったかのような……心地よい感覚に身を委ね、時を過ごした。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
『銀の雨』が降り注ぐ、能力者とゴーストが戦う世界。
俺が5歳の頃、一度だけ夢にそっくりだ。その夢を見たのは
ほんの一度きりで、それ以来見る事はなかったのだが、
『現』となって姿を現すとは、思いもしなかった。
■行
【WIZ】
まあよいか。俺のやることが変わるわけではない故。
敵が来るまで、街の景色でも眺めてみよう。
(高い【視力】を用いて、周囲を眺める)
其処だけにしかいない存在、置かれた状況等に多少の違いは
あれど、やはり此処も『地球』なのだな。
此れまでも邪神が蘇りし地球、年号が動かぬ地球、そして文明の
滅びた地球を見てきたが……あとどれくらいあるのだろう?
ふむむ、考えるだけでも面白いな。
※アドリブ歓迎・不採用可
あれは愛久山・清綱(鬼獣の巫・f16956)が5歳の時、一度だけ見た夢だった。銀色の雨が降りしきる世界で戦う者たち……まさか、あの光景が現実となって目の前に姿を現すとは予想だにできなかった。
清綱はあらためて屋上から眺め渡した街の景色を反芻する。不思議と懐かしい感じがした。目は良いので、遠くまで詳細に見通せる。
「……多少の違いはあれども、やはり此処も『地球』なのだな」
例えば邪神の蘇った地球があり、あるいは同じ時代の続く年号が動かない地球があり、そして文明の滅びた廃墟の地球があった。
「あとどれくらいあるのだろうな、そんな地球が」
無意識に清綱は笑っていた。
こんなことがあるから、生きるのは面白い。
「これも縁か。ならば、祓わせてもらおう……もうすぐ其処におるのだろう? 復讐に駆られし悪霊よ」
淡々と紡がれる言葉に重なって、遠くから鐘の音が聞こえた。同時に低く唸るような憎しみと怒りに塗れた愚痴が外の壁を這い上がり、屋上へと至る。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ガンジャ』
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POW : 復讐の炎弾
【復讐の弾丸】が命中した対象を燃やす。放たれた【復讐心の具現化した】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 復讐の嵐
【拳銃】から、戦場全体に「敵味方を識別する【無数の「復讐の弾丸」】」を放ち、ダメージと【狂乱】の状態異常を与える。
WIZ : ガンジャバレット
【銃口】を向けた対象に、【四丁の拳銃からの弾丸】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:青柳アキラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
その復讐は燃え盛る炎の如き怒り、嵐の如き憎しみによって果たされるべき時を待ち侘びている。
「なぜ、なぜ……死ぬべきはあいつの方だったのに……」
元は被害者であったはずの者が、いまや加害する側となってこの場に現れたのだ。外壁をよじ登り、四方八方から屋上を取り囲み始める。
オブリビオンと化すことで地縛の鎖は断たれたも同然。それらは復讐を果たすことだけを願い、何処へだって現れる。
休校日の屋上であろうと、例外はなく。
石蕗・つなぎ
アドリブ&連携歓迎
「蜘蛛童だった時のことは覚えてないのだけれど、私がママと出会ったのも銀誓館学園の屋上なのよね」
学校の屋上という場所に少しだけ口元が綻む
「戦いの場においては不謹慎、けれど今回のケースにおいては好都合かしら?」
楽しそうと狙われた場合、バス停を使った武器受けやとっさの一撃を使った自分への攻撃の相殺、オーラによる防御などで対処。
数を減らすことを優先し、居れば弱った敵を狙って攻撃してゆきます
「被害を出すわけにはいかないから……骸の海だったかしら? そこへ還ってもらうわよ」
紅蓮撃は反動のリスクも鑑み必要に応じて使用
「復讐と怒りの炎ね。けれど炎を扱うのは私も得意なのよ」
「こんな所かしら」
「蜘蛛童だった時のことは覚えてないのだけれど、私がママと出会ったのも銀誓館学園の屋上なのよね」
石蕗・つなぎ(土蜘蛛の白燐蟲使い・f35419)の口元にふとした微笑が浮かぶ。さあ、おいで――この懐かしき場所を血の惨劇で汚そうとするものよ、釣られて出てくるがいい。
「戦いの場においては不謹慎、けれど今回のケースにおいては好都合かしら?」
その赤き視線は憎しみの炎を纏うガンジャを迎え撃つ。一斉に迸る弾丸をかざしたバス停で受け止め、流れ弾は身に纏う気によって弾道を逸らした。
「被害を出すわけにはいかないから……骸の海だったかしら? そこへ還ってもらうわよ」
まずは数を減らすため、手ごろな位置にいた1体に狙いを絞る。握り締めたお下がりのバス停をとっさに振り回し、標的と決めたガンジャが思わず体を引きかけた隙を逃さずに叩き込む紅蓮撃。
「復讐と怒りの炎ね。けれど炎を扱うのは私も得意なのよ」
燃え盛る赤手の一撃は敵の胸元に五本の傷跡を刻み付け、一気に燃やし尽くした。炎が炎を凌駕して、紅一色に塗り替える――……。
「こんな所かしら」
つなぎは首を傾げ、赤手を軽く振り払った。可愛らしく、どこか無垢な響きの声色で彼らにたずねる。
「さあ、次は誰が相手をしてくれるの?」
成功
🔵🔵🔴
山吹・慧
おや、何やら銀誓館の後輩の方々も
いらっしゃるようですね。
(僕の方が後輩のような姿になっていますが)
世界の危機に再び能力者が立ち上がった
という事でしょうか。
今この時にも別の場所で戦っている能力者が
いると考えると……熱くなりますね、フフフ。
常に屋上の出入口を視界に入れて一般人が出てこないか
注意しながら戦います。
そういえば昔似たような状況で戦った事がありましたね……。
敵の十字砲火を受けないように位置取りながら、
闘気を纏い【功夫】と【グラップル】による接近戦を
仕掛けましょう。
敵が弱ってきたら【震脚】を放ち仕留めにかかります。
アドリブ等歓迎です。
――これもまた、何かの縁なのだろうか。山吹・慧(人間の宿星武侠・f35371)は同じ戦場に居合わせた“後輩”たちを微笑ましく見つめた。
「世界の危機に再び能力者が立ち上がった……という事でしょうか。フフフ、熱くなりますね」
いまこの時にも、別の場所で戦っている能力者たちがいる――そう考えると、慧は武者震いせざるを得なかった。
ちら、と横目で屋上の出入口を確かめ、一般人が戻ってくる気配のないことを承知。
(「そういえば、昔似たような状況で戦った事があったな……」)
慧は颯爽と有利な位置取りを奪い、身に纏った闘気を拳や脚に集中させた。それらは敵を屠る最高の武具となって憎しみの炎に塗れた闇の存在を穿ち、関節を極めてアスファルトに組み伏せる。
「う、ぐ……ッ」
「同情はしませんので悪しからず」
弱りきり、呻く敵の耳に慧の踏み鳴らす震脚の足音が届くと同時に襲いかかる衝撃波。復讐の炎ごと、滅して消えろ。衝撃の余波が消え去った後には何も残らない。まさしく、空間ごと吹き飛ばしてしまったのだから。
大成功
🔵🔵🔵
御鏡・更紗
【美春さんと】
思ったより体が軽いですね
戦いのカンというのは意外と忘れてないようですか
…まずは軽く…美春さん?
剣を構えて美春さんのカバーに一旦入ります
しっかりしてください
あなたはいつもお兄さんと一緒に戦っていたじゃないですか
美春さんが戦意を取り戻したら、その動きに合わせます
指輪による援護射撃に合わせて黒影剣を使って意識の範囲外へ
美春さんの『お兄様』と共に剣を振るって背後からの攻撃を仕掛けます
可能なら減った体力を補うために積極的に接近
『お兄様』には「またしばらく付き合ってあげて下さいね」と伝えます
能力のユーベルコード化…初めてにしては中々上手にいったんじゃないでしょうか
研究室によりは刺激的ですね
詩条・美春
【更紗さんと】
かつて近しかった断末魔の怨嗟に取り囲まれ動揺する
無念哀しさが流れ込んでくるよう
庇う兄様も反撃できずに傷つくのみ
!そうでした
幼い私はいつだって兄様と一緒に精一杯戦ってました
子供の自分に負けるだなんて恥ずかしいです
けれど体はまだ追いつかず柄を持つ手が震える
「兄様、更紗さんに合体して力を貸してください!」
更紗さんと重なる像の兄様は長剣でインバネスコート
私は戦場をめいっぱい走り回り
更紗さんの元へ追い込むように人差し指のリングから光線放つ
設置物を盾にして叩き破られて焦るも
転がり逃れて立て直します
更紗さんお体が辛いとかないですか?
…ふふ、やっぱり研究者みたいですね
兄様と手をつないでほっと一息
まずは、体を慣らすように御鏡・更紗(白き娘・f35351)は軽く構えた長剣で這い寄る敵を薙ぎ払った。
「思ったよりは動けますね」
これならいけそうだ――更紗は戦いのカンを忘れていなかった自分の体に感謝する。
「美春さんの方は……」
振り返り、小さく息を呑んだ。
周囲をガンジャに取り囲まれた詩条・美春(兄様といっしょ・f35394)は、蒼白になって自分の腕を抱くように立ち竦む。
(「これが、オブリビオン化するということなの……?」)
かつて近しかったはずの者たち……それが骸の海から蘇り、暴虐なる存在となって怨嗟をぶつける他ない無念、哀しさ。彼らの頬を流れる滂沱の涙は復讐の念が具現化したかの如く、尽き果てる気配がない。
「兄、様――」
美春の盾となった兄を傷つける無数の弾丸と禍々しき炎。このままでは兄様が――混乱と動揺に掠れた悲鳴を上げかけた美春はしかし、己を守るように割り込んだ更紗の頼もしい背中と声かけに、はっと我を取り戻した。
「しっかりしてください、美春さん」
手近の敵から斬り払い、更紗は前を見据えたまま言った。
「あなたはいつも、お兄さんと一緒に戦っていたじゃないですか。大丈夫です。昔と何も変わりません。さあ、前を向いて。声を出して――」
そうだ、と美春は思い出す。色褪せた写真のように懐かしい、まだ幼かった頃の記憶。兄と共に精一杯戦っていた子供時代の思い出が今、弾けるように蘇った。
「……子供の自分に負けるだなんて、恥ずかしいです」
美春の喉がゆっくりと上下する。未だ手は震え、剣を持つ手は冷たい汗に濡れている。それでも――!
「兄様、更紗さんに合体して力を貸してください!」
ゴーストイグニッション。
ふわりとインバネスコートが翻り、彼が持つ長剣が重なるように更紗の構えるそれと重なった刹那、閃いた刃の一撃が敵をあっけなく斬り捨てる。
「更紗さん、援護します。そちらに敵を追い込みますから……ッ」
さっきまでとは別人のような動きで、美春は戦場を一気に駆けた。追いすがるガンジャの弾丸が一歩遅れて床を抉る。振り向きざま、差し伸べた人差し指の指輪から放つ光線で牽制。避けられても構わない。
だって、目的は――。
「!?」
美春に気を取られていたガンジャたちは、更紗を見失って愕然と戦場を見渡した。
「残念、気が付くのが遅いです」
憑依した兄の姿をだぶらせつつ、更紗は背後から敵の群れを斬り捨てた。自ら懐へ飛び込み、代償として失った生命力を倒した相手のそれで補填する。
「ッ――」
給水塔の陰に逃げ込んだガンジャを撃ち損なった美春は、とっさに真横へ転がって銃弾を躱した。息を弾ませながら、頃合いを見て更紗にたずねる。
「更紗さん、お体が辛いとかないですか?」
「研究室にいるよりは刺激的ですね。それに、能力のユーベルコード化……初めてにしては上出来では?」
「……ふふ、やっぱり研究者みたいですね」
ほっとひと息をつき、美春は差し出された兄の手を握り返す。互いに手をつなぐ兄妹を更紗は優しい眼差しで見つめ、妹を守る彼の横顔を覗き込むようにして囁いた。
「――『お兄様』。またしばらく付き合ってあげて下さいね」
是、と。
まるで頷くようにインバネスコートが軽やかに風をはらんで翻る。新たな始まりと、深き愛しさにあふれる動きであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御鍔・睦心
ハハッ、ようやくお出ましか。
さっき上等キメた通り、派手に殺らせてもらうぜ。
笑いながら再びくるくる踊る中、いつしか得物は七支刀から斬馬刀に。
銃撃を【なぎ払い】【受け流し】つつ、【リベレイション】で斬馬刀に残るかつての使い手の記憶を憑依。
「さあ出番だぜ、獅子心砕き!!」
それは一瞬青い目をした長身の人影を為した後、無数の黒燐蟲に。
そして【リミッター解除】した回転動力炉で【エネルギー充填】した斬馬刀から黒燐蟲達を宿した【斬撃波】を、着弾地点で爆ぜて周囲を【蹂躙】し【捕食】する【範囲攻撃】を、かつて「暴走黒燐弾」と呼ばれたそれを敵が密集した所へと体力の続く限り叩き込む。
負荷はでけぇが、気張ってみせるさ。
「ようやくお出ましか、待ちわびたぜ!」
御鍔・睦心(人間の魔剣士・f35339)の高笑いが銃声と二重の旋律を奏で、戦いの幕開けを告げる。くるっと最後の一回転を終えた時、睦心の手には七支刀ではなくてずしりと重い斬馬刀が握られていた。
「――ッ」
降り注ぐ弾丸を斬馬刀の広い峰で受け流し、払い除ける。
「さあ出番だぜ、獅子心砕き!!」
睦心の宣言に応え、長身の人影が一瞬だけ姿を見せる。それは斬馬刀に宿る以前の使い手の記憶――青い瞳がとても印象的な。回転動力炉が唸りを上げる、エネルギーが満ちてゆく。
リベレイションと、今の人はそれを名付けた。
「くらいな、とっておきの一発だ……ッ」
人影が一瞬で無数の黒燐蟲へと変化し、それを纏った斬馬刀を睦心は渾身の力で振り抜いた。凄まじい衝撃波が屋上を迸り、嵐のように敵群を巻き込んだ途端、一気に爆ぜる。かつては『暴走黒燐蟲』として数多の敵を屠った技だ。
辺り一帯のガンジャを屠り、蹂躙し尽くす黒き燐光たち。
「――ふぅ」
いまはその代償に払った虚脱感すら心地よい。睦心は斬馬刀を背負い、挑発するように手招いた。
「さぁ、続きをやろうか?」
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
かつてあんた達に何があったかは知らないし、その復讐心は正当なものなのかもしれない
だが、仮にそうであっても。過去が、死者が今を生きる者を害するような事は許されない
悪いが始末させてもらうぞ
鉄刀を抜いて、捌の型【水鏡】の構え
敵に囲まれないように注意しつつ、視線と銃口の動きから敵の狙いを見切り、落ち着いて回避か、刀で弾いて防御しつつ接近
復讐心の炎にも怯むことなく一気に切り込み、一刀で斬り伏せては素早く次の相手に向き直っては、同様の流れで攻めていく
オブリビオンに言っても詮無きことかもしれないが
復讐心を燃やし続ければ、いずれ自分自身を焼き尽くす事になる
だから、せめてそうなる前に、終わらせてやる
哀しいものたちだった。ゴーストとなり、オブリビオンとなった今でもまだかつての復讐にとらわれ続けている……夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は微かな息をつき、抜いた鉄刀をぴたりと構える。
「かつて何があったのかは知らない。だから、その復讐心が正当なものなのかどうかもオレには判じ得ない。だが、いずれにせよ……お前たちに今を生きる者を害するような事を許すわけにはいかないんだ」
――捌の型【水鏡】。
まさしく明鏡止水の如く、動きを止めた鏡介に殺到するガンジャの群れ。その動きこそが誘導されているとは露知らず、勝ち誇ったように引き金を引く。
「!?」
しかし、当たらない。
ガンジャの撃ち放つ弾丸は最低限の動きでそれを躱す鏡介から逸れ、屋上の床や柵に当たって跳ね返った。鏡介は刀で弾を斬り払い、特攻の如き俊足で弾幕を突破。
「悪いが、始末させてもらうぞ」
一刀で斬り伏せ、返す刃で次を斃す。
炎が頬を掠めるが、一顧だにせず鉄刀を振るい続ける。その炎はいずれお前自身を焼き尽くすだろうから、その前に。
「終わらせてやろう、銘無きこの刀でな」
大成功
🔵🔵🔵
七篠・コガネ
まずは屋上にいる人達を守らなきゃね
【ダッシュ】して先程お喋りした生徒達をこの両腕で捕まえますよ
僕のコートの中に隠すように抱えて1人、また一人…
うん。まだいけそう
塔屋を背に避難させたら…反撃開始!
近づいて来る敵を1体1体確実に手の鉤爪で葬ります
このコートも僕自身も、宇宙空間で活動する事を前提とした造られた
銀河帝国テクノロジーの産物ですよ
この程度の恨みの炎で燃やされる訳ないでしょう!温感も無いし
かつて帝国兵として向けられた、
反乱軍の怨恨の眼に比べれば生温いです
でも…そろそろ鬱陶しいかな!
上に向かって回転しながら【ジャンプ】
その勢いで消火、そのまま上空からUC発射なのです
屋上は静粛にお願いします!
「――時間ですね」
七篠・コガネ(ひとりぼっちのコガネムシ・f01385)は目にも止まらず速さで生徒達に近づき、彼らをコートの内側へ隠すような格好で両腕に抱えた。余裕で2、3人は中に入ってしまう。目を白黒させる彼らを塔屋の陰に避難させ、「ここを動かないでくださいね」と人差し指を口元に当ててるようにしてお願い。
振り返った時にはもう、戦士の顔になっていた。降り注ぐ銃弾の雨をかいくぐり、鉤爪を振るって確実に止めを刺してゆく。
「こいつ……ッ」
炎を弾くように翻るコートに、人外の動きを見せるコガネ自身。ガンジャが驚くのも無理はない。これらはすべて銀河帝国テクノロジーの産物なのだから。
「この程度の恨みの炎で燃やされる訳ないでしょう! そもそも僕、温感も無いですしね」
生温いのだ、甘いのだ、鬱陶しいのだ。
――かつて帝国兵として向けられた、反乱軍たちの怨恨の眼をまだ忘れていない。あれに比べたら、なんのこれしき。コガネは跳躍し、回転の勢いで纏わりつく炎を払った。
「屋上は静粛にお願いします!」
敵に向き直り、内臓コアマシンをフル回転。胸部に高まったエネルギーの矛先をガンジャの群れへロックオン、――斉射。
コガネは帽子のつばを摘まんで位置を直し、フルバーストで灼き払った屋上を見下ろした。敵群の大半が焼失している。
「うん。こんなものですかね」
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
あれが、『ガンジャ』……凄まじい怒りと、執念を感じる。
これ以上穢れさせないためにも、止めなければ。
拙者、愛久山清綱。其の荒ぶる魂、鎮めさせて頂こう!
■闘
危険をかえりみず、彼等の魂の【浄化】を試みる。
名乗りと共にガンジャの前に立ちはだかり、彼等の狙いを
俺一人に定めさせる。
銃を向けられたら【視力】で『狙われている場所』を確認、
其処に【オーラ防御】を纏った刀を合わせるように構えて
弾丸を次々と【武器受け】しつつ接近。
そこから【破魔】の力を込めて【夜見・慈】を放ち、
痛みを与えず其の魂を『在るべき海』に還す!
纏めて斬る事はせず、必ず一人ずつ倒す。
其の御霊に、安らぎがあらんことを……
※アドリブ歓迎・不採用可
屋上へと現れた敵の数は相当数にのぼる。愛久山・清綱(鬼獣の巫・f16956)は節目がちに屋上を占拠するガンジャたちを眺め渡し、彼らから発せられる凄まじき怒りと執念に吐息した。
「拙者、愛久山清綱。其の荒ぶる魂、鎮めさせて頂こう!」
炎を纏う銃口が一斉にこちらを向き、銃声が迸る。だが、それらは清綱を穿つ前に気を纏わせた刀によって防がれた。狙いさえ読み取ることができれば、構えた刀で受け流すことはさほど難しくない。
じわり、とガンジャに焦りの色が浮かんだ。清綱は一歩ずつ踏み締めるように近づいてゆく。
「――それ以上、穢れるな」
込められし破魔の想いを乗せた、無痛なる一撃が清綱を取り囲むガンジャたちをひとつずつ貫いた。
在るべき海へ、還れ。
復讐に燃え盛る炎が浄化され、禍々しき色彩が抜け落ちる。ひとり、またひとりと昇天してゆくのを見送るように清綱は澄み渡る空を見上げた。
「其の御霊に、安らぎがあらんことを……」
大成功
🔵🔵🔵
菱川・彌三八
此の場に似つかわしくねェ奴がいやがるな
其の鎖が縛りつけていたと
ふうん?
すりゃ、留まっていりゃあ良かったと思う筈だぜ
とっときはお前ェにゃ使わねえ
其の実次の相手にすら勿体ねェ、が…
お前ェが炎だってんなら丁度良い
先ずァ俺の波、味わってもらうぜ
押し流して突き落とす程の大波を一閃、二閃
炎が消えりゃあ僥倖だが、まァ良いや
放たれたモンも凡て水の奔流で叩き落とすだけよ
敵の数だけ波を描いて、ひと処に纏めて水の槌で穿つ
仇討ちは構やしねえが、相手ェ選びな
やらない後悔よりもやる後悔と人は言うが、果たして彼らは此処へやって来たことを悔やまずにいられるであろうか。
「すりゃ、其の鎖が縛りつけてた所に留まっていりゃあ良かったと思う筈だぜ。俺の波を味わったらなァ……」
菱川・彌三八(彌栄・f12195)は腕を広げ、ゆらりと筆先をくゆらせる。一筆で小波、二筆で中波とくれば、次には見上げるほどの大津波が晴天を背に躍りかかった。
「とっときはお前ェ如きにゃ使わねえ」
浮世絵師の号を持つ以上、己の筆は安売りしないものと心得る。次に控える大物にですら勿体ないと嘯く彌三八の大波は、ガンジャの群れを屋上の外へと押し流し、滝のように校舎の壁を流れ落ちるのだった。
「よくも!」
「――そらよ」
破れかぶれの弾丸は白波に呑まれ、延焼するよりも波間に攫われる方が余程早いというもの。
「相手ェよく見て喧嘩売るンだな、ついでに刻と場所も弁えると尚良いぜ」
ひとりにつきひとつの波が渦を巻いて屋上の隅へと追い詰めた。さァ仕上げだ、と彌三八の筆が鋭角に跳ね上がる。まるで水の槌のような大波に叩きつけられたガンジャは低い呻きを漏らして透けるように消えていった。
「さて、後はお前ェだけだぜ。其処な陰にいるのはわかってらァ」
肩越しに振り返る彌三八の視線は校内に繋がるとびらの奥を、その向こうにいる存在を見透かしている。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ナミダ』
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POW : ペインフルティアーズ
全身を【滂沱と流れ落ちる涙】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【痛み】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD : 涙の体
自身の肉体を【涙に似た成分の液体】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : 涙の鎖
自身が【悲しみ】を感じると、レベル×1体の【地面から生える「霊体の鎖」】が召喚される。地面から生える「霊体の鎖」は悲しみを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:雑草サキ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「――なぜ、笑っている?」
キィ……僅かに開かれたドアの隙間から涙に濡れた顔が覗いた。ナミダはゆっくりと屋上に姿を現して再び尋ねる。
「お前たちにも、私と同じ悲しみを味わわせたい……泣き濡れ、声が枯れるほどの慟哭を与えてやろう……!!」
夜刀神・鏡介
なぜ笑っているとお前は問うが
今笑ってる奴も、別の何処かでは悲しんでいる事だってあるだろう
大抵の人達は、何らかの形で悲しみと折り合いをつけて生きているんだよ
……まあ、やはり言っても詮無きことだろうけど
先ほどと変わらず鉄刀で、今度は陸の型【爪嵐】の構え
敵の肉体は、伸縮性のある液体ということで、序盤は少々切り裂くのに難儀するだろう
最初は防御、回避優先で相手の動きを把握しつつつカウンターで少しずつ攻撃
少々な攻撃した程度では倒せなくとも、一撃与えるごとにより正確に敵の行動や癖を把握できるようになる
敵が攻撃の為に十分に身体を伸ばしたタイミングで、肉体の弱点を見極めた渾身の一刀を叩き込んで切り捨てよう
なぜ、笑っている――か。
伏し目がちに夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は鉄刀を構える。ゴーストのオブリビオンともあろうものが、いま目の前にある現実にしか気が付かないというのも皮肉なものだった。
「お前と同じなんだ。いつも目に見える形で存在しているとは限らない……悲しみも涙も、笑顔の裏に何らかの形で折り合いをつけながら生きているのさ、大抵の人達はな」
ナミダの放つ攻撃は己の体を伸縮性のある液体へと変えて突撃するというものだ。鏡介は焦ることなく敵の出方を待ち、軽く様子を窺うように鉄刀の先でいなした。
――弾力性がある分、刃にやや引っかかる。
だが、切り裂けないほどではない。少しずつ、攻撃の頻度を高めてこちらから攻めへと転じ始める。十分に動きが読めた段階で、あとはタイミング次第だ。
ナミダが一旦引き、弧を描くような動きで勢いをつけてから一気に迫る。その緩から急への切り替わりを鏡介は逃さない。
「そこだ……ッ」
完全に体が伸び切って弾力性の優位を失った臨界点を、鋭い剣閃が叩き切る。
「アァ――」
か細い悲鳴に鞘へ刃を戻す凛とした音が被さった。
「……陸の型、爪嵐。存外、工夫のない動きだったな。そのような攻撃では見切られるのも早いぞ」
大成功
🔵🔵🔵
山吹・慧
残念ですが、その問いに答えても
今のあなたには理解できないでしょう……。
オブリビオンと化したのであれば
早急に骸の海とやらに送る事が
せめてもの情けなのでしょうね……。
生憎この場所に悲しみは不要なのですよ。
(銀誓館での日々を思い出しながら)
勿論あなたの悲しみも僕達が今この場で
終わらせますよ。
敵の攻撃は闘気による【オーラ防御】を展開してから
【集中力】で【受け流し】て凌ぎます。
そして【衝撃波】の【乱れ撃ち】で攪乱して
隙を作り【功夫】による接近戦から
【降魔点穴】を放って爆破しましょう。
アドリブ等歓迎です。
「残念ですが、その問いかけは無意味です」
次第にナミダの流す雫がその体を覆い隠してゆくのを、山吹・慧(人間の宿星武侠・f35371)もまた闘気を纏いながら見ている。
なぜならば、既にそれはものの道理を理解できない存在になってしまったから……同情は無意味で、分かり合えるという希望は残されておらず、解決手段はひとつだけ。
慧は隙なく構え、正面から敵の一撃を受け流した。接点となった表面の闘気は激しく削がれつつも、内部にまで到達することを防いだ。一発たりとてくらってやるものかと思う。
だって、ここは青春が笑う場所だから。
既に慧が通り過ぎてきた時代を、彼らはいま生きているのだから――慧は立て続けに衝撃波を放ち、敵を攪乱。
「あなたの悲しみも、僕達が終わらせてあげましょう。この場で、今すぐに」
数えきれないほどの衝撃波が襲い掛かるので、ナミダはそちらに気を取られ過ぎたのだ。
攻撃ではなくて、本体に注意をすべきだった。そうすれば慧がいつしか懐へ飛び込み、鋭い指突を放ったことに気づけただろうに。
「せめてもの情けです。これ以上迷うことなく、骸の海とやらに還りなさい……」
一瞬後、ナミダの一部が爆ぜて纏っていた液体が剥ぎ取られる。呻きと共にそれはよろめき、屋上の端へと追い詰められていった。
大成功
🔵🔵🔵
御鍔・睦心
おっ、さすがはリーダーだけあって、向こうも一丁前に上等キメてきやがったぜ。
ますます楽しくなってきたなぁ、オイ。(ニヤリ)
……何だ、微妙な表情しやがって。何か変な事言ったか私?
今度は鞘の無い、抜き身の刀を得物に。
「最後はコイツで決めてやるよ」
楽し気な存在を憎む敵を挑発するように再び笑いながらくるくる【ダンス】しつつ、刀の内蔵回転動力炉の【リミッター解除】し【エネルギー充填】。
己の【闘争心】と【殺気】を具現化した闇のオーラの力を増し、敵の攻撃に【カウンター】で【黒影剣】による斬撃を叩き込み敵を【切断】、傷口から【生命力吸収】する。
「そんなジメついた攻撃じゃ、私の闘争心(ハート)は冷ませねぇぜ!!」
それは鞘を持たぬ抜身の剣であった。
裸一貫という名はこれから新たな時代を生きる御鍔・睦心(人間の魔剣士・f35339)が振るうのに相応しい響きを思わせる。
「待ってたぜ、リーダーさんよ」
不敵に笑えば、さらに深まるナミダの苦悶。
「……ん? なんか変な事言ったか私?」
「なぜ笑う――」
「簡単だ、てめぇとの戦いが楽しいからだぜ!」
――睦心は制服の裾を華麗に足さばき、くるりと軽やかに戦場を舞った。心の底から楽しむほど、笑うほどナミダの攻撃が苛烈さを増してゆく。それは同時に敵の視野が狭まることを意味しているも同然であったから、挑発も兼ねて手招いた。
「ふふっ、いいぜ。もっと私だけを見な……!」
握り締めた刀の動力炉が回転数を上げ、刻一刻と力を貯め……臨界点の突破を合図にその刀身が漆黒の殺気に染め上がる。
「最後はコイツで決めてやるよ」
既に敵は睦心を痛めつけることしか頭にない。誘い込まれたとも知らず、繰り出す攻撃に合わせる形で叩き込む黒影の一撃はまさに必殺。
「そんなジメついた攻撃じゃ、私の闘争心は冷ませねぇぜ!!」
ぱっくりと裂かれた傷口から吸い取られる生気を惜しむようなか細い悲鳴に対する睦心の返事は、あばよ、という挨拶だった。
「せっかく一丁前に上等キメてきやがったんだ。去り際も潔くいこうぜ、なあ?」
大成功
🔵🔵🔵
七篠・コガネ
ステレオタイプな『ゴースト』が出てきてくれたです
グリモア猟兵さんが言うには、楽しそうな人を狙うんでしたっけ?
だったら…
塔屋の上に跳び乗って…あー…その前に。
白いフード被ってるの、シルエットが一緒じゃないですか
(フードを脱いで)地球人を守るため!
星海から遣わされし銀河の戦士!ギャラクシーホーク見参!
格好良いポーズ決めるです。さあ笑え
誰も悲しませやしません!そのために僕はいくらでも壁になる!
この世界ではディフェンダーって言うんでしょう?
ところでナミダさん?攻撃ばかり徹してて、いいのです?
隙を突いてUCで【カウンター】しますよ
恨めしいですか?僕も貴女が恨めしい
何故って…貴女は『泣ける』んでしょう…?
七篠・コガネ(ひとりぼっちのコガネムシ・f01385)が思ったことその一、ステレオタイプな『ゴースト』には王道で勝負だぞと。機械の両脚で跳躍し、塔屋の上へ。
「あー……」
こほんと咳払いしながらフードを降ろす。キャラ被り厳禁。さて、と仕切り直して見得を切る。
「地球人を守るため! 星海から遣わされし銀河の戦士! ギャラクシーホーク見参!」
ぴしっと指先まで伸ばした腕を格好よく鳥のように広げ、コガネは張りのある声で名乗りを上げた。
「…………」
ナミダはきょとんと一瞬固まった後、わなわなと号泣しながら襲いかかる。
「私はこんなに悲しいのに! そんなに楽しそうにふざけて!」
「ふざけてなんかいません。僕はいつだって大真面目なのです」
しれっとした顔でコガネはゴムみたいに伸びるナミダの一撃を躱し、右腕のパイルバンカーを至近距離から撃ち込んだ。
「誰も悲しませないために、僕は戦う銀河の戦士! そのためならばいくらでもお相手しましょう。そう、この世界流に言うならば『ディフェンダー』でしたか? それです」
コガネは敵を引き付けるように後ろ向きでダッシュ、螺旋を描いて絡みついてくるナミダをパイルバンカーを盾にして凌いだ。時折、杭を放って牽制を加える。
「恨めしい、恨めしい……!」
「そうなんですか? でも、僕も貴女が恨めしかったりするんです」
それが、コガネが思ったことその二であった。ほんの少しだけ眉を下げ、羨ましそうに微笑する。
「何故って……貴女は『泣ける』んでしょう……?」
喉から手が出るほど欲しても、無機質な体からは決して流れえぬ透明な液体。
「涙、ナミダ……恨めしい名前です。ヒーローもたまには感傷的な気分になりたい時があるのですよ。たまには、ね……」
だが、それは今ではない。だからコガネは再び力強い眼差しで壁となるのだ。
「さあ、僕はまだまだいけますよ。ギャラクシーホークは無敗なのです!」
大成功
🔵🔵🔵
詩条・美春
【更紗さんと】
もう俯きません
兄様の手を握り直しUC使用
兄様と生きる為の糸をつなぐ
浮かべた悲しみが鎖呼んでも兄様が割り入り斬り払ってくれる
「兄様少しじっとしてらしてくださいね」
付与の間更紗さんへの鎖を革命剣で叩き斬る
兄様の剣さばきを思い出し頑張ります
白燐で輝く兄様は果敢に戦ってくださいます
ナミダさんの無念に馳せる苦しみが鎖を招く
でも思わずにはいられない
はい、私は傲慢なのだと思います…
ナミダさんも誰かの兄様になり得たかもしれないって
それが良いことかはわかりません
霊媒士として兄様を前線に立てる是非を常に私は考えていました
これからも思索は止めません
生きるためには色々なものを踏みしめて進むしかないんです
御鏡・更紗
【美春さんと】
なぜ笑っているのかと問われれば、貴女の見えている世界が涙で歪んでいるからですよ
もっともゴーストである貴女に、過去に囚われている貴女に言っても仕方ない事ですが
鎖を打ち払いながら前に出ます
完全に防ぐのは無理だとは思いますが、本命は私ではなくて美春さんのお兄さんです
自分を壁にして、後方にいるお兄さんに白燐奏甲をかけます
その後は相手に起こる不幸による隙を突いて攻撃をアシストしていきます
貴女の涙がどんな理由で溢れてきたとしても、それで世の中を沈めるわけにはいかないんですよ
傲慢ならそれでいいです
生きる事を欲さなかったのなら、私達はもうここにはいません
あるいは貴女のようになっていたでしょうね
足元から無造作に伸びてくる冷たい鋼の鎖は、御鏡・更紗(白き娘・f35351)と詩条・美春(兄様といっしょ・f35394)の刃によって真っ二つに断ち切られる。
「……なぜ、ですか」
笑顔の理由はただひとつ、ナミダ自身の見えている世界が歪んでいるからだ。
「貴女の流す“涙”が世界を歪ませている……もっとも過去に囚われたままのゴーストである貴女に言っても仕方ない事なのでしょうけれど」
地面を這う鎖を剣先で打ち払い、更紗は自ら前へ出た。美春は前を見据え、兄の手を改めてしっかりと握り直す。その小指同士が鮮やかな赤い糸で結ばれた。
「小癪な!」
ナミダの鎖が迸る。兄は妹を守るように庇い、その矛先を左右に捌いた。
「兄様少しじっとしてらしてくださいね。――更紗さん、ここは私が!」
「ええ、お願いします」
更紗は防御を美春に任せ、その身に纏う白燐蟲の輝きを彼女の兄へと授ける。その間、美春は兄の剣さばきを彷彿とさせる太刀筋でもって鎖を断ち、ただの一本すらも更紗には寄せ付けまいという強い意思を見せた。
「くう……!」
一向に効かぬ攻撃に焦れたナミダを不幸が襲った。僅かな段差の躓きも戦いの最中においては致命的な隙となる。
「――そこです」
更紗がただでさえ不安定な敵の足元を突き、よろけたところを兄の斬撃が袈裟に斬った。
「無念、ですよね……」
あの鎖はナミダが抱く未練も同然。傲慢と思えども、美春はある可能性を思わずにはいられなかった。
――彼女もまた、誰かの“兄様”になり得たのかもしれない。そんな仮定の未来を。
「それが良いことかはわかりませんが、でも」
霊媒師であった頃から考えていた。兄と慕う彼を前線に立てるという事は果たして是か非か。
「答えは未だわかりません。それでも、生きている限りは色々なものを踏みしめて進むしかないから……ッ」
美春は剣を振り抜き、音を立てて鎖を砕いた。
「私達はそうやって道を歩んできたんですよね。それを傲慢というのなら、それでいいです」
ほのかな微笑を浮かべ、更紗が首肯する。
「だって、私達はこうしてここにいます。貴女との違いはただひとつ、……生きることを欲したからです」
その証に、更紗の放つ白光は輝きを増すばかりであった。ナミダがまぶしげに両眼をすがめる。
「さあ、そろそろ終わりです。貴女の涙にどんな理由があろうとも、それでこの世界を沈めることを私達が許すとお思いですか?」
更紗はナミダの不運を突き、退路を断って敵を兄の射程圏内へと追い込んだ。
「おのれ……ッ!」
恨みがましい嗚咽すら、さらりと聞き流すような声色で曰く。
「私達は貴女とは違います。貴女の敗因は、その理由を分かろうとしなかった事でしょうね」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
愛久山・清綱
そのような事は、一刻だけできれば十分だ。
如何に恐るべき事実が待とうとも、討つには惜しい者を
討つことになろうとも……俺は哭かず、嘆かず、哀しまぬ。
■闘
その場からあまり動かず、攻撃の機会を伺うとしよう。
液体になったナミダが向かってくる瞬間に合わせ、
【オーラ防御】を纏った刀を【武器受け】の要領で防ぎ
力強く振り払う。
好機が来たら『心切』の柄を掴み、一瞬の抜刀から【剣祓】を
発動。【破魔】の力を込めた荒波の如き【斬撃波】でナミダの
身体を呑み込み、其の魂を『在るべき海』へ還すのだ!
兵(つわもの)の道は、戦うに連れて遠のくばかり……
だがそれでも、頂を目指して只管前に進むのみ。
※アドリブ歓迎・不採用可
「そのような事は、一刻だけできれば十分だ」
愛久山・清綱(鬼獣の巫・f16956)が動いたのは、ナミダが自らその体を液体へと変えて襲いかかるまさにその瞬間であった。
――例えどれほどの恐るべき事実がその後に待っていようとも、あるいは討つには惜しいものを倒さねばならぬとしても、清綱は毅然と顔を上げて前に進み続けるだろう。
慟哭も、悲嘆も悲哀も全てを乗り越えて。
「無駄だ!」
新たな刀は不思議と清綱の“気”がよく馴染む。それを纏った刃で思い切り振り払い、鞘へと戻した柄に再び手を伸ばすまでの一呼吸。
――剣祓、発動。
その抜刀は魔を祓う浄化の軌跡である。ナミダを飲み込む衝撃波が戦場に轟いた。まるで荒波の如く、『在るべき海』まで押し流さんとするかのように
「兵の道は、戦うに連れて遠のくばかり……」
それでも頂を目指すのならばこの歩みは止まらない。清綱は高き空を見上げ、伸ばした指先をゆっくりと握り締めた。
大成功
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菱川・彌三八
少し前、夢に見たのさ
『お前に力を貸してやる』ってナ
ちいと試したくて、此処に来た
柏手二つ
宙の切れ目から引っ張り上げたなァちいと重めの琵琶
"Gibson Explorer"
俺から其の名が出るのが不思議かい
俺もだよ
夢曰く
『弾くんじゃなくて殴る』らしい
奴さん、まるで水だが、何故だかやれる気がするから妙なモンだ
一気に駆け、手前で急停止
腕の勢いは其の侭、振り子が如く思い切り奴に叩っこむ
が…存外に難儀だな
硬ェならまだ良いが、此方の勢いを返されちまった
倒れんのを踏み留まって、仕切り直しと行こうか
なあに、只の力比べサ
お前ェが千切れる迄ぶつかるだけ
無理なもんか
此の得物は、何度もお前ェに勝って来たらしいからヨ
少し前、夢に見たのだと菱川・彌三八(彌栄・f12195)は物語る。それはやけに鮮明な印象を伴っていて、こんな風な言葉を彌三八に言ったのだ。
――お前に力を貸してやる。
屋上に響き渡る、清冽なる柏手が二つ。張り裂けた空間から彌三八が引っ張り出したものを見たナミダが怪訝そうな呟いた。
「琵琶?」
「おうヨ、"Gibson Explorer"とか云うらしい」
「ぎぶ……?」
突然の横文字はナミダのみならず、彌三八の口から出る響きとしても意外に過ぎる名前であった。
「夢曰く、こいつァ『弾くんじゃなくて殴る』らしい」
しなやかな琵琶の首を、ぐっと握りしめる。少し重みのある本体は――彌三八は颯爽と屋上を駆け、敵の眼前で急停止すると同時にぐるっと回転。振り子の要領でそいつを叩き込んだ――確かにこうやって振るうには手ごろな大きさをしている。
「うぐッ!」
液体化したナミダの体はどうも手ごたえが悪い。彌三八は「ふむ」と呟きながら反動で突き返されるのを持ちこたえ、再び身構える。
「なあに、力比べなら慣れてらァ」
「できるものならやってみろ!!」
液体状に姿を変えたナミダが螺旋を描きながら襲いかかる。彌三八はにやっと笑い、琵琶に向かって囁くように言った。
「よォ、お前ェは何度も彼奴に勝って来たんだろ? なら、此度も派手に千切っちまいナ」
「な――」
唸りを上げ、横合いから叩きつけられた琵琶の一撃にナミダは驚愕と悲鳴が混ざり合った声を漏らした。弾性が臨界を越え、弾けるようにナミダを構成していた液体が爆ぜる。
「く……あぁッ……」
「成程、夢で言ってたのは伊達じゃねェらしい」
背を向けたまま、彌三八は告げた。
「ちいと試したくて、此処に来た甲斐があったぜ」
大成功
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