もふもふマリトッツォパーティ
●流行りのスイーツ食べ放題!
アルダワ魔法学園の敷地内。とある広場に並べられた椅子とテーブル。そして可愛らしいスイーツ。
パンに様々な果実と生クリームを詰め込んだ食べ物、マリトッツォ。それが学生達の手によって集められていた。
「見て見て~! イチゴにキウイに、ミカンにブドウ! メロンも挟んでみたよ~!」
「わぁ可愛い! 私のも見て! 生クリームにカボチャを混ぜてみたの!」
「すごいにゃ、ハロウィンっぽいにゃ! こっちも見て欲しいのにゃ、ネコ型のマリトッツォなのにゃ」
様々な仮装をした学生達が様々なマリトッツォを見せ合い、目を輝かせる。見るのも楽しい、食べても美味しい。それがマリトッツォの魅力なのかもしれない。
「好きなだけ生クリーム入れられて、好きなもの入れられて、好きなだけ食べられる! めっちゃ幸せー!」
一日だけ許された至福の時間。それがハロウィンパーティ。
……しかし、彼らは忘れていた。この世界では、ハロウィンがどのような意味を持っているのかを。
「もっふもっふ」
何処からか聞こえてくる不思議な声。
「もっふー、もっふもっふ(ほっほー、ハロウィンなんてギルティだ! もふもふにしてくれる!)」
突然現れたまん丸な鳥型の災魔の群れ。彼らは惹かれるようにパーティ会場へ近付いていく。すると。
「も、もふッ……!?(な、何ッ……!? 同類が引き裂かれて、テーブルに乗せられている、だと……!?)」
並べられたマリトッツォを見て衝撃を受ける災魔。はち切れんばかりにお腹に詰められた生クリームの量に思わず震える。見ているだけで苦しくなる、そんな恐ろしい光景であった。
「もふもふもふ……!!(なんて怖い事を! 許さんぞ人間め! もふもふの餌食にしてくれる……!!)」
災魔、モリフクさまは怒りのままにパーティ会場を襲おうと、意を決するのだった。
●年に一度のパーティタイム
「ぼくマリトッツォ!」
パンに挟まれた犬、希那古・もち(あまり賢くない動物・f24531)が楽しそうにそう言った。本犬曰くハロウィンの仮装らしい。
「あのね、アルダワ魔法学園でね、ハロウィンの仮装パーティやるんだって! いいなー!」
アルダワの世界にとってハロウィンは大事な行事だ。『装魔封災戦』という、かつて人類が災魔の仮装をして災魔の拠点に侵入し、大規模な奇襲で大量の災魔を封印した大作戦に因んだものであるからだ。大作戦の成功と勝利を盛大に祝う為、現在でもその文化は守られている。
「でね、ぼくの見た予知でね、マリトッツォパーティっていうのを見たの! マリトッツォがいっぱいあった!」
マリトッツォとは何か? 簡単に言えば、丸いパンに生クリームをたっぷりと挟んだスイーツである。今、アルダワの学生達の間でも人気の品だ。それを好きなだけ集めて食べられるのだから、彼らにとってハロウィンとは最高のイベントなのである! しかも誰にも怒られない!
「でもね、そこへ災魔がやって来てパーティをめちゃくちゃにしちゃうんだ。そんなのダメだよね!」
楽しいものを台無しにするなど許せない行為だ。ぷんぷん憤るもちトッツォ。
「災魔は仮装がスゴい人をよく狙うみたい。だから、猟兵が仮装をしていればこっちを狙うはず! そういう事だから、一般の人に混ざってぼく達もパーティに参加して、災魔がやって来たら返り討ちにしちゃおう!」
災魔は賑やかなパーティを狙う傾向があるらしい為、猟兵が参加し、更に楽しそうな雰囲気を作れば、自ずとやって来るだろう。
「んっと、ぼんやりだったんだけど……災魔はマリトッツォに似てる……みたい?」
そんな曖昧な言い方をするもちトッツォ。どうやら丸い姿をした災魔であるようだ。
「ぼくみたいな動物もパーティに参加してるから、災魔が来ても一般人は気付きにくいかも。だから、驚かないようにパーティを楽しみながら災魔と戦うといいと思うな!」
マリトッツォを食べながら楽しく戦えば、災魔も(いろんな意味で)驚いて隙を見せる事だろう。災魔はハロウィンパーティが苦手だ。だからこそ楽しい姿を見せ付けるべきなのかもしれない。
「マリトッツォ、楽しみだねー。どんなものがあるんだろー」
最初のパーティには参加はできないが、お仕事が終わったら食べたいなぁ。一匹、そんな思いを馳せていた。パンに挟まれながら。
「それじゃあ、仮装の準備はできてるかな? もしできたら、ぼくが連れていってあげるね!」
もちは猟兵達を見上げながら、背中の毛からグリモアを出した。
ののん
お世話になります、ののんです。
●状況
二章構成のハロウィンシナリオです。
アルダワで仮装パーティ! 終始楽しい雰囲気になると思うのでお気軽にどうぞです。
●パーティ会場について
学園内の広場でマリトッツォパーティが行われてます。マリトッツォ以外もあります。
楽しんでいる中もふもふなオブリビオンがやって来ますが、そのままパーティを楽しみながら戦ってください。
仮装した猟兵に襲い掛かるので一般人の安否は気にしなくて大丈夫です。
●プレイングについて
受付は公開後~『#プレイング受付中』のタグがある間まで。
キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
同時に投稿して頂けると大変助かります。
ユーベルコードは【選択したもののみ】描写致します。
以上、皆様のご参加お待ちしております。
第1章 日常
『ハロウィンを楽しみまくれ!』
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POW : お菓子や料理を食べて楽しむ
SPD : イタズラ合戦に参加して楽しむ
WIZ : 素敵な仮装を楽しむ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィデル・マルカ
……いくら目立つ格好をしたほうが災魔を引きつけられるからって、こんな仮装を思いつくとは。あの馬鹿姉。
(モチーフは孔雀。背中に孔雀の羽、本物より羽根の大きさが大きくて色の種類が多くキラキララメもたっぷりついているものを背負っている。服は羽よりは質素だが虹色で派手である)
目立たないように戦うのが生き方だったから落ち着かない。
他の参加者にもチラチラ見られている気がする……
苦手なことは忘れて、マリトッツォを食べる。
甘い。クリームたっぷり。甘い。フルーツいっぱい入ってる。美味しい。
(もぐもぐもぐ…はっ!)僕ばかり幸せになっても悪いな。…これ、土産にできるか?(持って帰れるなら後でグリモア猟兵にあげよう)
学生にとってハロウィンパーティは年に一度の特別なイベント期間だ。クリームたっぷりのマリトッツォをいくら食べようが叱る者はいない。いるとするならば、それはカロリーに絶望した明日の自分自身だろう。
そんな未来を受け入れる同士であるならばパーティは誰でも歓迎! 転校生(猟兵)であれば尚更! という姿勢ではあったのだが。
その仮装はちょっと予想外……。そう思っているかもしれない学生達。不思議そうに見る彼らの視線は一人の猟兵へと向けられていた。
「確かに目立ってるし、効果が絶大なのは分かったけど……」
体を縮めても、こそこそ動こうとしても目立つ。周囲の視線が気になって仕方がない。賑わうパーティ会場の中、フィデル・マルカ(静かな伝承者・f29494)は一人冷や汗をかいていた。影と同化し目立たずして戦うスタイルを保ってきた彼にとって、戦闘以外の場所でも目立つという事は非常に慣れなかった。
何せ背中にはキラキラレインボーな羽をふさふさと背負い、着ている服もまたレインボーであった。どうも孔雀をイメージした姉特製の衣装らしい。めっちゃキラキラしている。これなら誰であろうと注目の的になる事間違いなし!
(「どうしよう。周りの人も僕も含めて、落ち着かない感じになってるかも」)
思わずともそわそわしてしまうが、動揺している時こそ目を閉じて落ち着いてみる。
(「そうだ、思い出そう。今回の目的。ここへ来た理由」)
自分の服装も、感じる視線も、一度忘れてみよう。ここは……そう、マリトッツォパーティの会場だ。
(「今ここでするべき事は一つ……マリトッツォを食べる事」)
甘い匂いがする。緊張しすぎてその事すら忘れていたようだ。そっと目を開けば、目の前のテーブルには色とりどりのマリトッツォ達が並んでいた。惹かれるように手を伸ばし、一つ手に持って頬張ってみようとする。
「いただきます。……うわ、クリームがたっぷりすぎて一口じゃクリームしか食べられないかも……」
はむ、と口の中に甘いものをたくさん詰めてみる。――その時、甘党にとって至高の瞬間を迎えたような気がした。
甘い。劇的に甘い訳でもなく、かと言って控え目すぎず、何度でも続けて食べられる程の丁度良い甘さ。重くないふわふわのクリームが口の中で溶けていく。美味しい。
次にフルーツと共に食べてみる。酸っぱい味と甘い味のコラボレーションは相変わらず裏切らない。ショートケーキとはまた違う食感を感じ、何とも面白い。
「フルーツがたくさん入っていて、でもサンドイッチともケーキとも違う……マリトッツォってこういうものだったんだ」
もぐもぐ。夢中になってマリトッツォを食べるフィデル。その姿を見た学生達は、彼に他のマリトッツォを紹介する。
「そんなに好きだったのね! こっちもオススメなの、是非食べてみて!」
「……はっ、つい無心になって食べてました……ありがとうございます」
フィデルは派手な衣装である事も忘れ、そして学生達も彼がスイーツ好きと知り誤解(?)も解けたようだ。
「これ、お土産にしてもいいですか? 他の人にも渡してあげようかと……あ、勿論それもいただきます。美味しそうですので」
「うん! いくらでも食べて、いくらでも持って行ってあげて!」
静かな場所の方が好みであるフィデルも、今だけは思ったかもしれない。こういうパーティも悪くないな、と。
大成功
🔵🔵🔵
木常野・都月
【狐兎】
栗花落先輩、今年もハロウィンの季節ですよ!
カボチャとお菓子の祭り!
仮装してお菓子食べるんですよね。
今年は何にしようかな…。
先輩、見てください!
俺、カボチャです!
じゃっくおーらんたん?…ていうんですか?
俺、ジャック!
先輩は…雪の姫様?
凄く可愛いです!
それじゃあ栗花落先輩姫、お菓子食べに行きましょ!
やっぱり目玉は、マリトッツォですかね?
俺、カボチャのクリームにしました!
いただきます!
!
美味しいな、これなら飽きずに食べられる!
ん?先輩?
わっ!びっくりした!
そうか、詠唱したら貰えるからか!
どうです?カボチャ美味しいでしょ?
俺も…とりっくぁとりーと!
先輩の苺のをパクリ!
!
これも美味しい!
栗花落・澪
【狐兎】
仮装:白ベースの少年物和装、モチーフは雪童子
ふふ、木常野さんもハロウィン覚えて来たね
ジャックオーランタンかな
よく似合ってるよ
可愛いと言われれば満更でもなさそうな苦笑を浮かべ
一応男の子なんだけどなぁ
褒めてくれてありがとね
マリトッツォかぁ…僕初めてかも
あの子がもってる猫型気になるなぁ
フルーツは悩むけど苺を主体に、ベリーとかもあるかな?
クリームは最初だし無難な量で
【料理】は得意なので見た目も整え
悪戯っぽく木常野さんを見上げ
トリックオアトリート
そう言って木常野さんが作ったマリトッツォを一口ぱくりと
えへへ、もらっちゃった
お返し欲しい?
はい、合言葉どうぞ
上手に言えたらご褒美に僕のもあげる
美味しいね
パーティ会場に訪れた木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)と栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。ハロウィンというものを覚えた都月は嬉しそうにその単語を繰り返す。
「わ、ここがハロウィン会場……! ハロウィンですよ、栗花落先輩! 俺もちゃんと仮装してきました!」
はしゃぐ狐の姿をにっこりと眺める澪。最も、今の彼は狐ではないようだが。
「木常野さんも覚えてきたね。その恰好はジャックオーランタンかな」
「じゃっくおー……? これカボチャじゃないんですね。じゃあ俺、ジャック!」
元気にそう返しながらくるりと一回転。新たな知識を得た事に喜ぶ姿は何度見ても微笑ましく。
「先輩は真っ白な和服ですね! 俺当ててみますよ! えっと……雪のお姫様?」
「ううん、雪童子をイメージしてみたんだけど」
「でも雪は当たってましたね! 凄く可愛いです!」
「可愛いって言われちゃった……。でも、ありがとね」
こう見えて一応男の子なんだけどなぁ、と思いつつ、苦笑いを浮かべながらも澪は礼を述べる。純粋に褒められているのだから悪い気はしない。しかし。
「それじゃあ栗花落先輩姫! 早速食べに行きましょ!」
答え合わせをしたにも関わらず、都月の中ではお姫様となってしまったようだ。こりゃあ修正できそうにないや。そう澪は思ったかもしれない。
テーブルの上に並べられていたのは学生達が寄せ集めたマリトッツォ。有名店で買ってきたものから手作りらしきものまで、その形は様々だ。
「これがマリトッツォかぁ……僕初めてかも。シュークリームと似てるような……でも違うもんね」
「凄いですね、形も違えば色もカラフル! えっと……あ、俺これにします!」
不思議そうにゆっくり眺めていた澪と打って変わって、都月の悩む時間はとても短かった。というのも、視界に自分と同じ顔のマリトッツォを見つけたからだ。黒い狐マリトッツォ――ではなく、顔の付いたカボチャマリトッツォへ速足で近付く。
「いただきます! ……! 美味しいな、これなら飽きずに食べられる!」
カボチャのクリームを口の中いっぱいに頬張る。何とも幸せそうな様子に澪もマリトッツォが気になり始め、きょろきょろと見渡す。その時、ふと目が合ってしまった。
「……わぁ、猫さんだ」
耳だ。マリトッツォに耳が生えている。そして苺やブルーベリーで顔が描かれている。そんな猫マリトッツォと目が合ってしまっては選ばざるを得ない。澪は無意識に手を伸ばしていた。
「そんなに大きくないし、可愛いくて食べやすそう。僕もいただきます」
大きく開かない口を開けて一口。パンとクリームの甘味がふわりと口の中に広がる。次に苺とクリームを一緒に食べてみれば、ショートケーキとはまた違う食感に驚いてみせた。
「へぇ、こんな感じなんだ。これは色々食べたくなっちゃうかも」
マリトッツォの美味しさを知った澪は、ふと都月の姿を見るなり早速いらずらを思い付く。笑顔を浮かべながらそっと傍に近寄れば。
「ん、先輩?」
「トリックオアトリート」
ぱくり。都月の持っていたカボチャマリトッツォに顔を近付け一口。
「わっ! びっくりした!」
「えへへ、貰っちゃった。カボチャ味も美味しいね」
突然のいらずらに目をぱちくりさせる都月。少し経ってから、あぁ! と行動の意味を思い出す。
「そうだった、ハロウィンは仮装とお菓子を食べるだけじゃなかったですね! うっかり忘れてました!」
「そうだよ、折角だからね。……お返し、欲しいかな?」
下から見上げてくる澪に、都月は何度も頷く。あの言葉が言いたくてうずうずと尻尾を揺らす。
「はい、合言葉をどうぞ」
猫マリトッツォを見せ付ける澪に向かって、都月は元気に唱える。
「とりっくぁとりーと!」
ぱくり。苺とクリームを頬張り、彼の幸せオーラは更に輝きを増すのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『モリフクさま』
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POW : 翼びんた
単純で重い【翼】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 人をダメにするもふもふ
【胸部のモフモフ】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : うぉーみんぐあっぷ
予め【羽ばたく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
賑わいを増していくマリトッツォパーティ。しかしその会場に招かれざる客が押し寄せ来た。
もっふもっふ。それはマリトッツォに似た形と色をしたまん丸な鳥の群れだった。
「もっふ! もっふ!(仲間になんて残酷な事を! 人間め許さんぞ!)」
動くマリトッツォ鳥……ではなく、れっきとした災魔、モリフクさまだ。
「もっふもふー!(仲間のカタキ! 我らがもふもふにしてくれるー!)」
彼らが本当にそう言っているのかは分からない。ただ、何かを勘違いして怒っているような、そんな雰囲気を感じる。
しかしモリフクさまを見ても、パーティに夢中な学生達は(見た目の可愛さも相俟って)危機感を全く感じる事はなかった。
「わー、マリトッツォが飛んでるみたい!」
「誰ー? こんな可愛いの用意した人ー?」
未成年だから飲酒なんてしてもいないのに、まるで酔っているかのようにモリフクさまを眺める学生達。想像よりも薄い反応をされたモリフクさまはショックを受けた。
「もふっ!?(何っ!? もふもふな我々に興味がないだと!?)」
今はもふもふよりもマリトッツォ。流行りスイーツに負けてしまったモリフクさまは更に怒り出す。
「んもぉっふー!!(んもぉー!! そんなものよりもふもふの恐ろしさを思い知れー!!)」
翼を広げ、モリフクさまは派手な仮装をした参加者――猟兵へと襲い掛かる。
木常野・都月
【狐兎】
これは確かに…マリトッツォに見える…
まんまるモフモフ。
俺はマリトッツォもモフモフも、大好きだ。
こんなご立派もふもふ、なかなか堪能できないはず。
あまり怒ると折角の綺麗な毛並みが逆立っちゃうぞ?
ほらほら、おいで。
柔らかで滑らかな、手入れが行き届いた羽だな。モチモチふわふわだ。
頭や喉をモフモフしたり、嘴をコリコリしたら、気持ちいいかな?
先輩、この寛いだモフモフ団子を…先輩の頬に挟んで!
すまーとふぉんで写真撮って置こうかな。
先輩も、はい、チーズ!
そろそろ時間かな。
チィ、おいで。
月の精霊様のチィの出番だ。
UC【エレメンタル・ファンタジア】で、月の浄化の光で竜巻を起こそう。
おやすみ。モリフク様。
栗花落・澪
【狐兎】
もふりく様も可愛いよぅ
もふもふぅ…!!
自分の体に誇りを持ってるんだねぇ
そうだねぇ可愛いもんねぇ、飴舐める?
君達へのトリックオアトリートだよ
…あれ、でもこれ貰う側の合言葉で…あげる側は??
★Candy popをあげてみたり
声に【催眠術】や【誘惑】を乗せて
おいでおいでーいい子だねー
等言いながら警戒を解いてみようとチャレンジ
あわよくばもふったり抱きしめたりしたいだけです、ええ
怒ってて難しそうならひとまずマリトッツォ食べる
あ、この子も可愛いー
いけない木常野さん
今もふもふに挟まれたら僕はダメになってしまうぅ~(ふにゃふにゃ
頃合いを見て【指定UC】
痛みを与えず見た目にも美しく【破魔】による【浄化】
もふもふマリトッツォがマリトッツォパーティに現れた所で恐怖のインパクトは大幅にダウンする。モリフクさまは訪れる会場を誤ってしまったのだ。いや、他の会場へ行った所で対応は変わらないだろうけど。
「まんまる、モフモフ……」
モリフクさまに危機どころか目を輝かせるのは学生だけに留まらず。木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)も嬉しそうに見つめる。
「モリフクさま、すごいご立派もふもふ、だ。見てください先輩!」
そう栗花落・澪(泡沫の花・f03165)へ声を掛けるが返事はない。
「あれ、先輩?」
「うわぁ、もふもふぅ……!!」
流石先輩。既にモリフクさまを撫でている。もちもちされているモリフクさまは眉間にしわを寄せているが、不快と感じる事ができず大人しくもちもちされている。
「ず、ズルいです! 先輩とはいえ抜け駆けは許さないです!」
「えへへ、ごめんつい……」
先手を取られた。ならばこっちも動くのみ!
「も、モリフクさま! ほら、あまり怒ると折角の綺麗な毛並みが逆立っちゃうぞ?」
ほらほら、おいで。屈んでモリフクさまを呼んでみる都月。警戒するモリフクさまはじりじりと近付くと、ぐっと足に力を込めて。
「もふふっ!!(喰らえっ!!)」
その柔らかそうな胸を膨らませ、強烈な体当たりを繰り出した。それは見事に都月の顔へヒットする。
「うぶっ!! ……あ、あったかいもふもふ……っ!!」
しかし痛みはない。寧ろ嬉しさが倍増した。モリフクさまのユーベルコードは大成功! 青丸三つ!
……と思いきや、暫くもふもふを堪能した後の都月の両手によって、あっさり引き剥がされてしまった。心なしか都月の顔は満足そうなツルツルテカテカだ。
「ふぅ……手入れが行き届いた羽だったな。もふもふの為に欠かさず努力してるの、ちゃんと伝わったぞ」
堪能させてくれた(攻撃であった事は伝わらなかったようだ)そのお礼にと、都月はモリフクさまの喉元を指先で撫でてみる。
「もッ……(あッ……ファー…ブルスコ……)」
目を細めて気持ち良さそうにするモリフクさま。思わず戦意を喪失してしまいそうになっている。いや、既になっている可能性すらある。
「そうだ、この子を先輩に……」
一方、澪もモリフクさまに夢中になっていた。どうもマリトッツォは好かない様子だったので飴玉をあげてみると、少し機嫌を直したようで楽しそうにつついていた。
「うんうん、いい子だねー。これじゃあモリフクさまじゃなくて、モフリクさま、だね」
もふもふさせる事が目的であるモリフクさまは既に満足していた。もふもふで相手を魅了させられればそれでいいのだ。マリトッツォよりももふもふが至高であるのだと。
「ああこの子も……あの飛んでる子も可愛いなぁ……!」
「先輩!」
膝の上に抱えてモリフクさまを愛でる澪の元へやって来る都月。澪が振り向き声を発するその前に、もふっ、と彼の顔を挟むように二羽のモリフクさまをくっつけた。
「先輩を挟んでサンドイッチ……じゃなくてマリトッツォ!」
「だ、だめ、いけない木常野さん……」
左右にもふもふ、手元にももふもふ。そんなに囲まれてしまったら……。
「僕はダメになってしまうぅ~……」
ふにゃふにゃになってしまった。モリフクさまの攻撃(?)に都月も加担してしまったら、それはもう勝ち目などないのだ。おまけにぱしゃりと写真も撮られてしまった。
「もふっ(どうだ人間、思い知ったか。……ナデナデシテー)」
猟兵も災魔もダメになっていく。なんて平和だ。会場はもふもふとスイーツのパラダイスと化していた。
しかし勝敗は決まらなければならない。先にその目的を何とか思い出したのは猟兵の方だった。
「うぅ、ん……もふもふ、ずっと触っていたいけど……そっとお空に飛ばそう」
とても名残惜しそうに呟いたのは都月。月の精霊チィを呼び出すと、会場にふわりと涼しい風が吹いた。風に乗ってモリフクさまがもふ~っと空高く飛んでいく。
「わ、も、モリフクさま……。うぅ仕方ないね、十分もふもふしたし……」
モリフクさまが傍から離れてしまった事でふと正気に戻った澪。会場を優しい光で包み込むと、学生達の驚き感動する声と共に、モリフクさまの姿は消えていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フィデル・マルカ
それ、マスコットじゃない……
と生徒にはツッコまないほうがいいのだろうか
僕達が戦っていたら気付くかもしれないけど、気付かず平和にパーティが終わってもいいか
なるようになる
数が多いが多数を攻撃する手段が僕には無い
でも気にしない
UC翔空で一匹ずつ一刀両断、減らしていけばいつかは居なくなる
仮装のせいで少し…いやかなり動き辛いし、目立っているのでどんどん敵が寄ってくるのがいつもと違ってやりにくい
だけど平常心でいよう、それも僕の武器だ
つぶらな瞳に何も思わないわけじゃない
でもあれは災魔、倒すべきもの
もふもふされようと平常心を保ち、導者の剣で斬りつけたり、導者のマントを翻して距離を取って、僕のペースで戦闘を行う
あれはマスコットじゃないんだけどな。そんな言葉を飲み込みながら会場に混ざるモリフクさまを眺めるフィデル・マルカ(静かな伝承者・f29494)。
レインボーな衣装を着ているせいで学生よりもこちらへ向かって来るのが不幸中の幸いか。いや、やっぱり注目されるその状況が慣れない!
「もっふ!!(お前がお祭り男か!!)」
どうあがいても影に隠れる事はできない。様々な人目を気にしながら戦う事はできるのだろうか。……絶体絶命かもしれない。
「もふ!!(仲間のカタキ!!)」
早速モフリクさまが体当たりを仕掛けてきた。おっと、とフィデルは軽々と避けてみせたが、攻撃は一匹だけでは収まらない。もふもふの連続攻撃だ。
「わ~あの人マリトッツォに人気ね~」
レインボー孔雀がマリトッツォに襲われている様子を、学生の一人が羨ましそうにそう言った。やはりモリフクさまは巨大なマリトッツォにしか見えていないようだ。そんな和やかな遊びをしている訳ではない。この会場と世界の命運を賭けた大事な戦闘中なのだ。決して遊んでいる訳ではない!
「うっ」
そんなこんなでとうとうモフリクさまの体当たりが当たってしまった。不覚だ。しかしもふもふなだけで痛くもなければ寧ろ幸福感を感じられる。
……ちょっとだけ動きが止まった。
「……いえ、この程度では」
これは災魔の攻撃。『人をダメにする』という精神的攻撃。平常心を保たなければ。負ける訳にはいかない。
ギリギリ正気を保つ事ができたフィデルはモリフクさまを引き剥がし、握った剣を振るう。するとモリフクさまはあっさり倒され消えていってしまった。
(「目立つ姿で的確に敵を倒す……その練習ができるかもしれない」)
流石にもう恥ずかしさに気を取られている場合ではない。その気持ちも今は何処かへ家出中だ。今なら……目立つ戦い方もできそうな気がする。
大勢の相手に対抗する手段は持っていない。であれば素早く確実に一匹ずつ減らしていけばいい。背中に背負った大きな翼を揺らしながら動き、モリフクさまを自身の方へ呼び出す。
もふー! とモリフクさまが集結する。注目を集める翼を持っていたとしても、身軽なステップは相変わらず。すらりと避けつつ得意な距離を保ち、一匹一匹を素早く斬っていく。
その一太刀でマリトッツォのようにぱかりと体(肉までは刃を届かせず、実際は羽毛だけを斬っている)を引き裂かれるのかと思ったモリフクさまは慌てて逃げ出す。しかしそれもフィデルは逃さない。次々と羽毛を斬り、モリフクさまを勘違いショックで気絶させていく。
その姿、大きなマリトッツォの群れと踊る孔雀のようだと、学生達は見惚れていたという。
大成功
🔵🔵🔵
結城・有栖
【黒猫】
赤ずきんの仮装で参加。
まんまるのマリトッツォ…もふもふのモリフクさま…此処は楽園ですか?
折角のハロウィンですし、此処は平和的に行きましょう。
先手は灯火さんにお任せします。
そして、眠ったモリフクさまを手で持って優しくもふもふしましょう。
ふかふかのもっふもふですね…とても癒やされます。
…お持ち帰りしたいですが、やっぱり駄目ですよね。
名残惜しいですが、お別れしましょう。
もふもふに満足したらUCを発動、風を操って眠ったモリフクさまをお空に飛ばしていきます。
…さようなら、また何処かで。
夜久・灯火
【黒猫】
魔女っ子の仮装で参加。
色んなマリトッツォがあって目移りしちゃうねー。
おっと、お仕事も忘れずに。
何だか可愛らしいもふもふがいっぱいやって来たね。攻撃もしにくいし、穏便に済ませようか。
フルーツたっぷりのマリトッツォを食べつつ【夢へと誘う風】を発動、こっちに向かってくる暴れるモリフクさまを眠らせていくよ。
まあまあ、怒りを沈めて今はお眠りなさいな。
眠らせた後は有栖ちゃんにお任せ。
…有栖ちゃん、その子はお持ち帰りは出来ないよー。
代わりにこのフルーツたっぷりのマリトッツォをどうぞ。
「ふふ、いろんなマリトッツォがあって目移りしちゃうねー」
魔女の恰好をした夜久・灯火(キマイラの電脳魔術士・f04331)が思わず微笑む。彼女の視線の先にはテーブルに並ぶ美味しそうなマリトッツォ。それと宙に浮かぶふわふわマリトッツォだ。
「言われてみれば、確かに似てるかも。仮装じゃないのに本物と一緒にいるから余計にさ。ね、有栖ちゃん。可愛らしいよねモリフクさ、ま……」
隣にいる赤ずきんに話し掛けようと振り向いてみたが、赤ずきんの耳には入っていなかった。
「まんまるのマリトッツォ……もふもふのモリフクさま……」
結城・有栖(狼の旅人・f34711)は既に夢中になっていた。まるで楽園に辿り着いたかのように目を輝かせ、とても喜んでいる。
「うーん、これじゃあ戦えないね」
いや、戦う気なんて最初からないんだけど。そう灯火が苦笑いをする中、モリフクさまはもふもふと体毛を膨らませ己の怒りを表現していた。
「もふ! もふ!(憤怒だ! 激おこだ!)」
「落ち着きなよ。ほら、一緒にマリトッツォでもどう? 共食いになっちゃうかな? なんてね」
宥めようと冗談交じりに放った灯火の発言。しかしそれがモリフクさまにショックを与えた。
「もッッッッッ」
本当に仲間だったのか? そうだったのか!? 絶句しフリーズするモリフクさま。そんな彼らを見ながらマリトッツォをもぐもぐ食べてみる灯火。
「ん、パーティの雰囲気のお陰か、特別美味しく感じる。口いっぱいにクリーム頬張れるなんて夢みたいだよ。ほら、有栖ちゃんも」
「……わ、本当。とっても美味しいです」
癖になる甘く柔らかいクリームの味に、やっとモリフクさまから視線が外れた有栖。二人によって形を崩していくマリトッツォにモリフクさまはとうとう我慢できなくなり。
「も、もふーッ!!(な、仲間のカタキーッ!!)」
体を膨らませながら羽ばたき、二人へ向かって体当たりを仕掛けた。特攻とも見えるその攻撃に対し、動いたのは灯火だ。
「まあまあ、そう熱くならずに。怒りを沈めて今はお眠りなさいな」
パーティ会場にふわりと優しい風が吹く。モリフクさまに向かってそよいだ風はもふもふと羽毛を揺らすと、怒りに満ちていたはずのモリフクさまがそのままゆっくりと地面に降り立つ。
「もふぅ……(すやぁ……)」
あっという間にモリフクさまは眠ってしまった。静まり返ったモリフクさまを見るなり早速近付いたのは有栖。
「もふもふ、眠ってますね……」
敵ながらも愛らしい姿と寝顔を見せるモリフクさま。しゃがんでそっと撫でてみれば、その柔らかい感触に酷く感動した事だろう。
「わぁ……温かくて、ふかふかの、もっふもふ、です……」
途切れ途切れに紡ぐ言葉に嘘偽りなし。思わず膝に乗せてぎゅっと抱く。
「……お持ち帰りしたいですが、やっぱり駄目ですよね」
「できないねー、残念だけど」
災魔でなければ良かったのに。
「そうですよね……とても名残惜しいですが」
いくらもふもふでも、お別れはしなくてはならない。最後にもう一度ぎゅっと抱いた後、眠っているモリフクさまを空中にそっと浮かべる。
「……さようなら、また何処かで」
有栖は内なるオウガと同調し、嵐の王へと姿を変えると、傷付けない程度に、起こさないように、そっと優しく風を吹かせる。タンポポの綿のように、風船のように、モリフクさまは空高く飛んでいき、やがて何処かへ消えてしまった。
「いなくなっちゃいました、モリフクさま」
それが今回の任務である事は重々承知している。それでも会場にもふもふがいなくなった事は寂しい。しゅんとする有栖の元へ灯火が近付く。
「ほら、パーティはまだ終わらないよ」
もふもふの代わりに、と彼女が持ってきたのは、まん丸な鳥型マリトッツォ。どこかモリフクさまに似ている気がした。
「フルーツたっぷりのマリトッツォだよ、どうぞ」
ブルーベリーの目にイチゴの模様。受け取ってぱくりと食べてみれば、甘酸っぱく甘い香りが口の中に広がって。
「……これも美味しいです」
有栖の口元が、ふと笑ったような気がした。
大成功
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