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銀河帝国攻略戦⑫~ オペレーション・ピーカブー

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 ――『エンペラーズマインド』防衛艦・"ラッキーヘッジホッグ"、整備ドッグにて。

「ヘビーアームドフォート隊、状況どうか!」
「あと12時間で再出撃可能!」
「6時間でなんとかしろ!」
「んな無茶な!」
 スペースシップ内に、男たちの足音と怒号が響く。前線に出ていなかったとはいえ猟兵達との死闘をくぐり抜けた艦の消耗はすさまじく、兵器の整備を行うドッグ内はさながら蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。

「寄せ集めも良いところですな」
 副官と思しき男が部隊長に耳打ちすると、ヘルメットにテープで即席の修理を施した初老のクローン兵は不敵に笑った。

「ああ‥‥他の小隊の合流組に、怪我人まで混ざっている。はっ、上等じゃないか。敗残兵にはお似合いの状況だ」
「奴らは来るでしょうか?」
 咳ばらいをしながら、副官が話題を変える。

「来るさ。我らの皇帝に仇名す程の者たちだ。大した連中だよ。必ず邪魔に入ってくるであろうさ」
「敵をほめてどうするんですか」
「おお、まったくだ。ならばあいつらの横っ腹に一撃くれてやろうじゃないか」

 我らはまだ負けてはいない。有無を言わさぬ歴戦の風格に、副官が新兵の様に背筋を伸ばして敬礼する。敗残のクローン兵とは思えぬ、ギラついた獣のような気配がドッグに満ちていく。

「貴様ら、重騎兵の意地を奴らに見せつけてやるぞ! 生涯忠誠!!」
「「「命懸けて!!」」」

 ――グリモアベース、某所。

「皆さま、戦争のお時間ですの」
 ミレナリィドールの破戒僧、千手院・ソワカ(破戒僧ガバ勢・f00994)が皆に呼びかける。眼差しはいつになく怜悧で、真剣である様がにじみ出ている。

「既にご存知の方もいるとは思いますが、先だって行われた『移民船ヘロドトス』を巡る我ら猟兵と銀河帝国との攻防‥‥。今現在、スペースシップワールドは非常にキナ臭い状況ですの」
 ソワカが手を軽くあげると立体ホログラフ映像が展開を始め、猟兵たちの頭上に巨大な三次元戦争マップが浮かび上がる。その中で"12"とナンバリングされた宙域をフリックして手を広げ映像を拡大すると、猟兵達に作戦概要の説明を続ける。

「我々の任務は至ってシンプルですわ。集結しつつある敵残存勢力の排除。我々のスペースシップの艦隊の横をつかれるリスクがある以上、放っておくわけには参りませんの」
 故に情けは無用ですわ、とソワカが言葉を続ける。

「戦場の様子ですが、我々が降下する作戦域はデブリ‥‥小さな隕石や、これまでの闘いで轟沈した敵のスペースシップが多く漂う領域ですの。宇宙空間での乱戦が予想されるので、くれぐれもご注意くださいまし。"窮鼠猫を噛む"という言葉もございますわ。この状況でまた戦おうなんてしている連中ですの。けっこー気合入ってると思いませんこと?」
 片目だけを閉じて、少しだけおどけてみせるソワカ。敗残兵とはいえ、油断は禁物だと猟兵達に告げて。

「さあ、"オペレーション・ピーカブー"、状況を開始しましょう。宇宙の中で舞踏を刻む時間ですわ」
 ソワカは両手を合わせて微笑むと、どうぞよろしくお願いいたしますとこうべを垂れた。


アサソバ
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 はじめまして。三度の飯より蕎麦が好き、アサソバです。
 未だ至らぬ身ではございますが、リプレイは熱く、判定は冷静に。どうぞよろしくお願いいたします。

 ・猟兵の皆さんは『極薄かつ透明で、防具の上から着用できる高性能宇宙服』手に入れてますので、普段通りの姿でシナリオに参加することも可能です。
 ・今回は猟兵の皆さんをグリモアベースから直接戦場に飛ばしますので、いきなり戦いが始まります。
 ・覚悟はいいですか? 私は出来てる。
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第1章 集団戦 『クローン重騎兵』

POW   :    インペリアル・フルバースト
【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    コズミックスナイプ
【味方との相互情報支援】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【狙撃用ビームライフル】で攻撃する。
WIZ   :    サイキッカー拘束用ワイヤー
【アームドフォートから射出した特殊ワイヤー】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

塩崎・曲人
ヒャッハー、戦争だぁ!
スペースチンピラの曲人君です夜露死苦ぅ!

デブリの多い空域か。好都合だ
デブリに隠れて可能な限り敵兵に接近し
【喧嘩殺法】でドツき倒してやるぜ
狙撃銃?結構結構
白兵距離の乱戦で役に立つとは思えんな!
「踊ろうぜ、銀河帝国諸君!死に花咲かせて見せろってなぁ!」

デブリを蹴って変則的に動き回り
撹乱しながら攻撃と離脱を繰り返せば、敵はにっちもさっちも行かなくなるだろ
小型(人間大)の機動兵器に強襲されたら素直に逃げりゃよかったものを
変にやる気を出して交戦を選んだのが仇になったな
「後でまた集結されると面倒なんでな!ここで全滅してもらうぜ!」

【アドリブ絡み歓迎】


アシェラ・ヘリオース
「いい兵士達だな。敗残兵と言えども、流石は帝国の兵だ」
奇妙な満足感を得て、戦場に立つ。
だが、彼等もまた過去に還るべき存在だ。
帝国の戦争は遥か過去に終わったのだ。

「奴らの戦術は、相互情報支援による狙撃。そして近接してからの一斉射撃だ。一つ一つ、落ち着いて対応していけば大丈夫だ」
黒の外套を翻し、前線に立って落ち着いた声で指示を出す。
「奴らはワイヤーで奇襲をしかけてくる。当たると非常に危険だ。注意して回避しろ。まぁ、心配はしてないがな」
赤の光剣で敵を斬り、狙撃はフォースを纏った外套で弾き、味方もオーラ防御で庇う。
敵の変化や戦術の狙いを見極め、落ち着いて指示を重ねていこう。
勝利はその先にある。


ニトロ・トリニィ
【心境】
宇宙空間に出て戦えるの?
一度でいいからやってみたかったんだよね!
やりたい事が一つ叶うし、味方の為になるから一石二鳥だね!

【行動】
今回は、僕の体の特性を活かした戦いをしようかな。
〈忍び足/目立たない/地形の利用〉で宇宙空間に溶け込みながら〈2回攻撃/鎧砕き/範囲攻撃/なぎ払い〉で攻撃するよ!
敵のユーベルコードは避けたい所だけど、無理だったら〈盾受け/激痛耐性/火炎耐性〉を使って攻撃を防ぐよ!
誰かがピンチだったら〈かばう〉で守るから頼ってくれて良いよ!
周囲に溶け込みながら《集約する炎》で敵を狙うのもありだね。

アドリブ・共闘歓迎です!



 ――『エンペラーズマインド』防衛戦線・デブリ領域。

「‥‥! 資材回収アルファ小隊より入電、『ワレ猟兵ト会敵、交戦中』!!」
「来たか‥‥!」
 コンソール画面にかじりついていた通信兵が叫ぶと同時、半壊した艦橋内がにわかに騒がしくなる。

「敵数は!?」
「1、2‥‥5名!! 第一波来ます!」
「戦艦相手に数人か‥‥化け物めッ!」
 部隊長がヘルメットの奥で歯ぎしりする。部隊長は猟兵達の侵攻速度にいよいよ覚悟を決めて通信マイクに顔を近づけると、叫んだ。

「お嬢様ども! お客様だ、盛大に歓迎してやれ、ロックンロール!!」
「「Oo-rah!!!」」

 ◆◆◆

「エネミーエンゲージッ!!」
 クローン重騎兵の部隊は掛け声と同時、一斉に武器のトリガーを弾いた。ビームライフルの光のシャワーが宇宙に広がる。
 
「ヒャッハー、戦争だぁッッ!!」
 その雨を掻い潜る人影。人間の咎人殺し、塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)がジグザグに宇宙をはね跳びながらクローン重騎兵に高速で接近していく。デブリという足場をこれ幸いにと活用して変幻自在のステップを踏む塩崎に、クローン兵の狙撃は完全に遅れていた。
 
「クソッ‥‥ちょこまかと!!」
「この距離でそんなモンが役に立つかよ!!」
 塩崎のユーベルコード、"喧嘩殺法"が発動、道中で拾ったのか壊れたビームライフルをバット代わりにフルスイングすると、兵士の一人を吹き飛ばして隕石の壁に激突させた。
「ごッハァァ!!?」
「さあ踊ろうぜ、銀河帝国諸君! 立派に死に花咲かせて見せろってなぁ!」
「ナメるな!! たった一人で何ができる!」
 フォーメーション維持! の叫びと同時に威嚇射撃を短いスパンで繰り出し塩崎を牽制するクローン兵達。反射的に跳び上がってデブリの壁にへばりつくと、塩崎は小さく口笛を吹いた。
「素直に逃げりゃあいいものを‥‥勇敢じゃねえかおい!」
「手ぶらで帰っちゃあ戦友たちに顔が立たないんでな! お前ら、囲め!」

 対猟兵マニューバ! と拘束用ワイヤーを準備するクローン重騎兵。その横を、黒い影が横切った。
 両断された兵士のアームドフォートがショートし、爆発する。

「いい兵士達だな。敗残兵と言えども、流石は帝国の兵だ」
 スペースノイドの黒騎士、アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)が外套を翻し、デブリに着地すると重騎兵たちを見上げる。
 即座に対応して反撃を撃ち込んでくる彼らの動きに、何故か奇妙な満足感を得るアシェラ。口元は少し微笑んでいるようにさえ見えた。

「お前らの戦術は、相互情報支援による狙撃。そして近接してからの一斉射撃‥‥」
「何‥‥!? 貴様いったい‥‥!」
 アシェラの赤い光剣がブオンと振るわれるたび、兵士のビーム攻撃が弾かれる。ワイヤーの奇襲もまるで全て"知っている"かのように、すり足で動きながら紙一重で回避する彼女の動きに、思わず兵士たちが動揺する。
「次はワイヤーによる奇襲。教本通りの素晴らしい動きだな。よく訓練されている」
「ありえん! 今の攻撃を避けるなど!」
「過去に還れ。"我らの"戦争は遥か過去に終わったのだ」
「‥‥!? まさか、おま‥‥!」
 言いかけた兵士に突進すると、アシェラは光剣でその男を貫いた。ボロボロと崩れ、チリになって消えていくオブリビオン。

「さらばだ。名も知らぬ兵士よ。‥‥よき旅を」

 ◆◆◆

「くそっ! アルファ小隊がやられた!!」
 ブラボー小隊に属するクローン重騎兵は黒いデブリを背に身を潜めながら、思わず悪態をつく。
「ハァハァ‥‥化け物め! クソッ、撃ってやる、撃ってやるぞ‥‥!」
 ビームライフルの残りエネルギーを確認、まだ数十発は撃てる。大丈夫だ、そう言い聞かせながら自分を落ち着かせる。

「‥‥? おい?」
 ふと、そこで気が付く。いつの間にか、自分以外の、誰も、いない。
「宇宙空間にでの戦闘‥‥一度でいいからやってみたかったんだよね」
 いきなり後方から響く声に、ギョッとして振り返る兵士。

「やりたい事が一つ叶う。君達を倒せば味方の為になる、一石二鳥だね!」
 ブラックタールのブレイズキャリバー、ニトロ・トリニィ(楽観的な旅人・f07375)がデブリの一つに擬態していたのだ!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁッッ!!?」
「遅いッ!!!」
 ニトロの一撃が敵兵のプラズマジェットスラスターを破壊する。バランスを崩しながらも必死に応戦する兵士は、そのがむしゃらな射撃でかえってニトロの居場所を見失っていく。
 混乱する思考の中、兵士は一つだけ理解した。自分の小隊は、このブラックタールの男にこうやって一人一人潰されて‥‥。

「狙いを定めて‥‥発射ーッ!!」
「ぐあぁぁぁ‥‥てっ、帝国バンザーイッ!」
 ニトロのユーベルコード、"集約する炎"の光が宇宙の中で一筋の光となって伸びた。パッ、とプラズマジェットスラスターの弾け飛ぶ光が花火のように黒い宇宙に吸い込まれていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

高柳・零
WIZ
重騎兵ですか。重武装で敵を粉砕するのが役目…自分とは真逆の存在ですね。

特殊ワイヤーを避け損ねたフリをして、見切りと武器受けでバスタードソードに巻きつけます。
「く、剣を使えないとユーベルコードが…」
そう言って強引にワイヤーを引っ張り、敵に接近します。

射撃攻撃は盾受け、オーラ防御、見切り、火炎耐性、電撃耐性、激痛耐性などで耐えます。ここが踏ん張り所です!

敵に肉薄したら、鎧砕き付きの2回攻撃(魔道書)で数回殴ります。
「自分、両手利きなので」

ここでバスタードソードを離し、ジャッジメントクルセイドを撃ち込みます!
「あなたは命を削って、無意味な事をしてたんですよ…」

アドリブ、絡み歓迎です。


郁芽・瑞莉
コア破壊も重要ですが……。
解放軍艦隊が帝国残存艦隊に横から奇襲されるのは形は避けたい所です。
手負いの敵程怖いものはありません。
その牙をへし折りますよ!

デブリが多いとの事、上手く足場にして移動します。
敵の攻撃にはデブリを生かしつつ【残像】や銃口を見ての【見切り】、
【ダッシュ】したりして移動速度に緩急を付けて回避。
直撃弾は符や苦無を【投擲】して【武器受け】しますよ!

回避時に符をばら撒きつつ、相手を符のばら撒いた範囲に釘付けして、
避けられない密度になったら千符刃練を発動します!
「飽和攻撃なら私にもありますよ!森羅万象の千の刃よ、悪辣な過去を穿て!」

次なる目標は帝国に大巨頭にドクター、でしょうか……。



「く、剣を使えないとユーベルコードが‥‥!」
 テレビウムのパラディン、高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)がバスタードソードに巻きつけられたワイヤーを睨みつけながら、クローン重騎兵と対峙している。

「猟兵の拘束を確認!」
「オープンファイアッ!!」
 重騎兵たちの射撃攻撃に、歯を食いしばって耐える高柳。兵達は勝利を確信した。猟兵を討伐できる、そんな高揚感から思わず叫び声があがる。が。
「まだま‥‥だ!!」
 高柳は倒れない。一瞬戸惑うが、その攻撃を緩めない兵士たち。
「こ、こが‥‥踏ん張り所です!」
「なん‥‥だこいつ!? 何故倒れないッ!?」
 沈まない。沈まないのだ。逆にワイヤーで拘束しているはずの兵士が、じりじりと引きずり込まれていく。
「ば、馬鹿め! お前の武器は封じ‥‥」
 ドゴッ、と鈍い音が兵士の体内に響く。兵士の首が、90度ほど折れ曲がっていた。

 ――その光景に、思わず兵士たちの射撃が止まる。

「あっ‥‥がっ‥‥!?」
「ああ、すみませんねどうも。自分、"両手利き"なので」
 左手に魔道書を握り締めた高柳が、それをレンガの様に数回振り下ろす。ヘルメットに守られているとはいえ、脳を思い切り揺さぶられた兵士はその場で釣り糸の切れた人形のように崩れ落ちた。

「あなた達は命を削って、無意味な事をしてたんですよ‥‥」
 後退する兵士の一人に指先を向け、高柳が小さく呟く。
「‥‥"ジャッジメント・クルセイド"」
 眩い光線が、兵士を焼き尽くした。

 ◆◆◆

「アルファ、ブラボー沈黙! 全滅です!」
「クソッ‥‥! せめて一人だけでも! コイツを絶対に仕留めるぞ!」
「サーイエッサー!」
 プラズマジェットスラスターのエンジンを全開にふかしながら、重騎兵の集団が人間の戦巫女、郁芽・瑞莉(陽炎の戦巫女・f00305)を猛追する。

「なるほど、前情報通り、この部隊の戦意は高い‥‥危険ですね」
 手負い程怖いものはない、独り言ちながらデブリからデブリへと飛び移るように移動する郁芽。緩急をつけた動きでクローン重騎兵を翻弄すると、廃棄された戦艦の甲板を全速力で駆け抜けてビームの砲撃を全て回避していく。

「クソッ! クソッ! クソッ! こっちはプラズマジェットを積んでんだぞ!!? いったいどーなってんだ!!」
「残念でしたね。私の足の方が、そちらのジェットより高性能なようで」
 厳密には残像や銃口の見切りといったあらゆる手段を駆使して攻撃を凌いでいるのだが、傍から見ると生身の猟兵が重武装のクローン兵を圧倒しているという、帝国的には悪夢のような光景が繰り広げられていた。

「その牙、へし折らせていただきます」
「ナメるな小娘!! ならば全武装の一斉射撃で‥‥」
 言いかけたところで、兵士のヘルメットにひらひらと漂う"符"がはりつく。ゴミかとそれを払い除けようとした瞬間、郁芽が攻撃態勢に入っていた。
「飽和攻撃なら私にもありますよ」
「しま‥‥っ!!」
 クローン重騎兵の"インペリアル・フルバースト"が炸裂するその直前、郁芽が跳ぶ。同じくユーベルコード、"千符刃練"を発動。

「森羅万象の千の刃よ、悪辣な過去を穿てッ!!」
 この勝負、既に仕込みの完了していた郁芽の方が一手早かった。

 郁芽はチャーリー小隊を文字通りなぎ倒すと、再びデブリに着地。星を見上げて次の戦場へと頭を切り替えた。
「次なる目標は帝国に大巨頭にドクター、でしょうか‥‥」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


 ――『エンペラーズマインド』防衛艦・"ラッキーヘッジホッグ"内。

「アルファ小隊、応答ありません!」
「ブラボーもダメです!」
「チャーリー沈黙!」
 艦橋に響く戦況報告、猟兵たちの力でオセロゲームのように戦場が次々と塗り替えられていく。

「これは‥‥」
 青ざめた顔で口元を覆う副官。今にも倒れそうなその姿に部隊長はがははと笑うと。思い切り背中を叩いた。
「いたっ!!?」
「どうした副官、今更怖気づいたか?」
「違います! 皇帝陛下の命令を守れないかもと思っただけです!」
 似たようなもんだ、と肩をすくめて、部隊長はヘルメットにについた修理用のテープをポリポリと掻く。

「猟兵の第二波、きます!」
「機関最大船速!! 目標、敵猟兵部隊!! いざとなれば艦をぶつけてでも奴らを止めるぞ!!」
「はあぁっ!!?」
 部隊長の命令に飛び上がるほど驚く副官。部隊長は悠然と振り返ると、副官に問いかける。

「副官、我らは何だ?」
「誇り高き帝国兵士、泣く子も黙るヘビーアームドフォート隊であります!」
 背筋を伸ばし、反射的に叫ぶ副官。

「では副官、我らの"誇り"とは何だ?」
「どんなに困難な戦場であっても、攻撃の手を緩めぬ強さであります!」

「ならば副官、我らの今するべき事はなんだ!?」
「戦う事であります!!」

「ではゆくぞ! 俺のヘビーアームドフォートを温めておけ! 奴らを直接叩く!」
「Oo-rah!!!」
テリブル・カトラリー
残存兵。遺しておけば障害になるか。
殲滅する。

デブリ群か、隠れてからの奇襲に注意しておくべきか。
…マシンヘルムの機能を使い情報収集。視界補正(視力、暗視)。
敵の位置情報や隠れていそうな場所等を記録。

UC爆破工作使用。複数のステルス爆弾を一帯へ散らばらせ、爆破。
敵陣を乱す破壊工作。

片腕をドリルアームに換装し、
ブーストで自身を吹き飛ばして突貫。
適当な小隕石やデブリを足場にジャンプし方向転換、再突貫を繰り返す。
デブリも敵も関係無く、破壊して突き進む。


佐久間・嶺滋
………足掻くか。投降するなら手心を加えたんだが。
仕方無い、『恐怖に塗れて死ね』

【忍び足】で乱戦地帯に突入。
【目潰し】【残像】【敵を盾にする】で攻撃を捌きながら、隙を見せた個体を【暗殺】することで、敵全体になるべく【恐怖を与える】ことで混乱させる。

ある程度のタイミングで【忍び寄る告死】を【マヒ攻撃】【呪詛】を乗せて発動。
恐怖に陥った敵陣ひとりひとりを『犠牲者』としたテロップの放送を開始する。

なお、全部の攻撃に【生命力吸収】は忘れずに乗せる。

「きょうの 犠牲者は 『あなたたち』です おやすみなさい」


大豪傑・麗刃
【鬼神軍】のみんなと参戦なのだ。

とりあえず相手は数が多い上に飛び道具持ちとか。わたしは変態ではあるが相手が強敵なことぐらいは理解しているのだ。
ならどうするか。単純なこと。

注意しながら全員斬ればいいのだ。

右手に刀!左手に脇差(と呼ぶにはちょっと大きすぎる剣)!
んで相手に突っ込んでって斬りまくるのみ!
武装一斉発射?情報支援でビームで狙撃?特殊ワイヤー?
全部斬ればいいのだ。
ダメそうなら武器で受けるとか見切ってかわすとか。

あとは死角から攻撃されたら……みんなカバー頼むのだ!
わたしも敵がみんなのこと死角から攻撃しようとしてるのに気が付いたら攻撃防ぐなり、攻撃される前にそいつ斬ったりするから!


宇冠・龍
【鬼神軍】の皆さんと参加

守るだけでは戦いは勝てないですから、私たちも精一杯皆さんのサポートをします
相手はユーベルコードを無力化するようなので、私はこの拳で応戦しましょう、ドラゴニアンは元々膂力に優れた種族ですもの

味方を狙う敵を優先して落ち落とします、拳で。
飛ぶ相手ならばこの拳圧による衝撃波で打ち落とします。一斉掃射も拳圧による衝撃波で誘爆させましょう。
ワイヤーが身体に絡まっても、逆に引っ張って相手を引きつけ、拳骨でお説教といきます

何やら、相互情報支援で私の噂が飛び交っているような……?
でも、注意を引けるなら願ったりかなったりでもありますね


宇冠・由
【鬼神軍】の皆様と参加ですが、別行動 ※描写が別でも構いません

守るための戦いとはいえ、敗残兵に追い打ちをかけるのは心が痛みますわ……

拠点防衛の心得はあるつもりですの。それを応用すれば相手がどう攻撃されれば嫌なのかは熟知しているつもりです
負傷兵も混じる中、士気が非常に高い。ならば「味方からの誤射」は精神的にも、指揮系統にも麻痺が生じるはず


轟沈したスペースシップの一隻を利用します
その主砲に陣取り、敵に向けて【熾天使の群れ】を発射

私は小さな仮面、遠くからでは視認しづらいはずですもの
本来沈んだはずの味方艦からの自分たちへの炎の攻撃、どうしてと思わせることで僅かでも隙が生じることでしょう



「なんだか敵の攻撃が激しくなっているのだ!!?」
 人間の剣豪、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)が刃を振るいながら大立ち回りを演ずる。背中合わせに拳を振るうはドラゴニアンの死霊術士、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)。
 旅団『鬼神軍』として参戦した二人がタイミングを合わせてデブリから跳び上がる。二人のいた場所は、ビームライフルの砲撃の中であっという間に消し炭となった。

「‥‥! 敵の艦が見えてきました! おそらくは‥‥」
「敵の本隊!? そりゃ必死にもなるのだ! っとぉ!!」
 ユーベルコード、"剣刃一閃"でビームを切断する。誤植ではない。大豪傑は文字通りビームを"斬って"その攻撃を回避してみせたのだ。

「ああ、知ってたさ。貴様ら猟兵のデタラメぶりはなッ!」
「‥‥うっ、こ、これは!?」
 クローン重騎兵の中で、妙に動きの良い一人が迫ってくる。畳みかけるように飛んでくる"インペリアル・フルバースト"を大豪傑が叩き落すも、タイミングがかなりギリギリだった。
「大豪傑さん!?」
「だ、大丈夫なのだ! 相手が強敵なことぐらいは最初から理解してたのだ! でも‥‥」

「全員距離をとれ! 徹底的に遠距離で叩くんだ!!」
「ず、ずっこいのだ~!?」

 ◆◆◆

「‥‥あっちは大丈夫かなあ」
 轟沈したスペースシップの甲板に立ちながら、断続的に瞬く戦闘の光をヒーローマスクのブレイズキャリバー、宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)が眺めている。
 由はマスクのみの状態でふわふわと浮かびながら考えていた。敗残ながら士気が非常に高いという相手は、何をされたらもっとも嫌がるか。

「追い打ちかけるようで心が痛むけど‥‥是非もありませんわ」
 ぴょいんと跳ねて主砲に陣取ると。
「直接叩くだけが戦争じゃありませんよ、っと」
 ユーベルコード、"熾天使の群れ(キラキラボシ)"が捨てられた戦艦の砲の先から放たれる。数秒の後、ばっ、と赤い爆発が広がった。敵の戦艦が僅かに傾く。

「だんちゃーく、です!」

 ◆◆◆

「何ィ!!?」
 母艦が攻撃を受けた。艦橋に残した副官からの報告に、反射的に部隊長は背後を振り返る。本来ならば戦場でそんな動揺は絶対にしない。が、攻撃先の艦が友軍のものであるかもしれないという不確定な情報が、彼の判断力を一瞬だけ曇らせる。

 ――それが命取り。

「そこです‥‥!!」
「!? しまっ‥‥」
 宇冠のユーベルコード、"雲竜風虎"が部隊長の重騎兵を吹き飛ばし、小惑星に叩きつける。衝撃でスラスターの破片が辺りに飛び散った。

「いかん! 部隊長を守れッ!!」
「させないのだぁぁッ!!」
 兵士たちが拘束用のワイヤーを宇冠に向けて射出するも、一歩早く大豪傑がワイヤーを切断しカバーに入る。
 有象無象を蹴散らしながら身をひねると、タイミングを合わせて宇冠も跳んだ。

(「ああクソ‥‥」)
 迫る二人の猟兵を見上げながら、クローン重騎兵が息を吐く。

「大切な人を失う悲しみを、絶対に繰り返させはしない。あなた達銀河帝国には‥‥お説教です!」
(「強いなあ、こいつら」)

 小惑星が振動で揺れると、その裏側まで衝撃が突き抜けた。

 ◆◆◆

「部隊長ーォッ!!」
 部隊長のバイタルサインの消失。それを見た副官が叫ぶ。艦内は既に友軍からの攻撃だの幽霊だの大騒ぎになっているが、副官の耳には入らない。そこに艦を揺らす二度目の轟音と振動。

「な、なんだ今度は!?」
「第7ブロック破損! くそっ、爆弾です!」
「隔壁閉鎖! 急げ!」
「ダメです、信号受け付け‥‥ああっ!」
「今度は何だ!?」
 オペレーターが叫ぶと同時、副官は艦内の監視カメラに映るウォーマシンの戦場傭兵、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)と人間のサイキッカー、佐久間・嶺滋(想葬の黒影・f00774)の姿を見た。膝をつく姿から二人の猟兵は悠然と立ち上がると、そのまま進軍を開始する。

「化け物め‥‥! 全員銃をとれ! 戦闘になるぞ!!」

 ◆◆◆

 デブリ群をあらかた破壊しつくしたテリブルは直線的な破壊の結果、やがて敵の艦内へとたどり着いた。もちろんノックして入ったわけではない。ドリルで甲板に穴をあけ、強引に押し入ったのである。

「残存兵。遺しておけば障害になるか‥‥」
 片腕をドリルアームに換装したテリブルがブーストで加速する。グロテスクな音を立てながら回転するドリルの刃を、一直線にただ前に突き出す。

「うわぁ止めろ! 来るな! 来るなぁぁぁ!!?」
「‥‥殲滅する」
 全てをかき消す破壊音と衝撃。艦内の壁を滅茶苦茶に破壊しつくすテリブルを、クローン兵達ではどうやっても止める事ができなかった。いや、それどころか。
「断っておくが、奇襲は無意味だ。外でお前たちの動きのクセは大体つかんだ」
「ひぃ‥‥っ!」

 こいつの"前に出れば死ぬ"。兵士たち、否、オブリビオン達が震えあがる。
 戦場においてウォーマシンと真っ向から対峙することがいかに愚かな行為か、兵達はその命でもってイヤという程思い知ることになった。
「覚悟しろ、残骸ども」
「ああぁ‥‥ああ、来るなっあぁぁぁぁ!!?」

 ――『エンペラーズマインド』防衛艦・"ラッキーヘッジホッグ"内。

 部隊の、この戦闘の終わりが近づいてきている。味方の通信が次々と途切れていく中、副官のクローン兵は静かに呼吸を整えた。
 残った僅かな通信兵も艦橋への入り口に対してバリケードを構築し、各々が銃を手にしている。最後まで徹底的に戦うつもりのようだ。

 自動ドアの開く音と共に、佐久間の声が響く。
「‥‥足掻くか。投降するなら手心を加えたんだが」
「撃てぇッ!!!」
 響くビームライフルの音。じゅっ、と肉体を焼く煙があがった。

「‥‥やった! やったぞ!」
「いや、やってない」
 佐久間は、倒れたクローン兵を盾にしていた。思わず目を見開く兵士たち。残骸となったそれを副官にぶつけて視界を奪うと、残像を描きながら佐久間が跳ぶ。

「うぉぉぉぉッッ!!!?」
「"恐怖に塗れて死ね"」
 ユーベルコード、"忍び寄る告死(アフレイド)"が発動、佐久間は乱射される銃撃の中を、地を滑るように駆け抜けて敵兵をなぎ倒していく。
 既に外で一仕事終えたはずであるが、敵の生命力を吸収し続けていた彼に疲労の色は全くない。

 壊れたテレビの画面が艦橋の宙に浮かんでいる。クローン兵の名前と思しき型番の羅列が、無機質に流れていく中、佐久間の舞踏が続く。

「型式番号‥‥それがお前たちの名前か」
「そうだ! 我らが帝国より授かった聖なる名前だ!」
 副官は視界不良のままビームライフルを撃ち続けた。当たらない。

「お前は、恐怖していないな」
「我らの誇りは‥‥どんなに困難な戦場であっても、攻撃の手を緩めぬ強さ! 命など惜しくはない!」
「‥‥」
 佐久間が一瞬だけ沈黙する。その内面は計り知れないが。

「部隊長‥‥今そちらに行きます! 帝国軍万歳ーッ!!」
 突撃してくるクローン兵を、佐久間は袈裟に切り捨てた。真っ二つにされたオブリビオンが、黒い塵となって消える。

「きょうの 犠牲者は 『あなたたち』です おやすみなさい」

 ◆◆◆

 やがて、帝国軍の軍艦からひと際大きな爆発があがる。

 猟兵達は各々の手段で脱出すると、グリモア猟兵の手引きで速やかに戦場を離脱した。
 鮮やかな奇襲攻撃でクローン重騎兵の部隊の一つを壊滅させた猟兵たちに、しばしの休息がある事を願う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月10日


挿絵イラスト