●王子さまの道
「また、声がするね」
西洋親分、しあわせな王子さまは、今日も傷ついた心に苦しむ妖怪達を助ける為にカクリヨ中を巡っていました。自らの黄金を剥がし、雲の道を作り出す。そうすることで苦しむ妖怪の元へと直行できるのです。
ところが向かった先には渡った者を黄泉に送る「まぼろしの橋」が掛かり、既に骸魂と融合した妖怪がそこを占拠していました。
「ごめんね、遅くなってしまったみたいだ。でも大丈夫。まだ間に合うよ」
オブリビオンは死んだ想い人の幻影を見せて妖怪を橋に引き寄せようとしています。
放っておいてはカタストロフの危機。骸魂と融合した妖怪の心も更に傷つき、滅びの言葉を口にしてしまうかもしれません。
「お願いだ、僕に力を貸しておくれ」
王子さまは空を見上げ、つぶやきました。それを聞き届ける者たちを、彼らを救うことが出来る者たちを、知っているのですから。
●なんかにてるひかるやつの道
「諸君! カクリヨファンタズムから助けを求める声がするぞ!」
ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド(黄金存在・f16449)が猟兵たちに告げた。
「西洋親分は大祓百鬼夜行の後も、カクリヨファンタズムのカタストロフを防ぐために世界を巡っている! 今回は強力なオブリビオンを見つけだしたため、諸君の力を借りたいという事だ!」
戦争の最中にも現われた「まぼろしの橋」。占拠したオブリビオンは妖怪達をおびき寄せ、黄泉へと送ろうとしている。
「呼び寄せられた妖怪達が殺される事、そして骸魂と融合した妖怪が罪を背負う事のどちらも、見過ごすわけにはいかぬ! 王子さまに協力し、このオブリビオンを打倒してもらいたい!」
現われたのは「七不思議の花子さん」。いわゆる学校の怪談、七不思議をユーベルコードとして操り、攻撃してくるという。
「子どもの頃の記憶を呼び起こし、橋を渡らせようということなのだろうな! 甘く見るでないぞ、奴の力は強力だ!」
しかし今回は猟兵達だけでなく、王子さまも同道する。
彼は相手を攻撃する術はもたないが、非常に堅い。どれほど強力な攻撃であってもダメージを受けることはまずないし、精神攻撃にも耐え抜いてくれる。
「盾にするようで気が引けるかもしれんが、本人も同意の上! その力を借りることで優位に戦いを進められるならば遠慮することはないぞ!」
骸魂を倒せば妖怪は救い出せる。まずは王子さまと共に戦い、勝利してくれ、とゴッドは続けた。
「さて、妖怪はそれでいいが……もう一つ! まぼろしの橋についてだ!」
話は戦いの後に移る。呼び寄せて殺そうとするオブリビオンがいなくなっても橋がのこり続けてはまた問題が起きかねない。
「知っているものも居ようが、橋を浄化するためには「死んだ想い人の幻影」と夜が明けるまで語らう必要がある!」
死んだ想い人。家族か、友人か、恋人か。穏やかな別ればかりではないかもしれないし、まだ癒やされない心の傷となっているかもしれない。
今はいない大切な人と、もう一度会う覚悟はあるだろうか?
「この再会が君たちにとって良きものとなるか、辛いものとなるかはわからない! だが、カクリヨを救うためにもどうか力を貸してもらいたい! 諸君の活躍に期待しているぞ!」
納斗河 蔵人
お世話になっております。納斗河蔵人です。
今回はカクリヨファンタズムで王子さまと一緒にまぼろしの橋に関わるシナリオです。
一章では七不思議の花子さんと戦います。
七不思議を操る強力なオブリビオンですが、王子さまを盾にすれば攻撃によるダメージはほぼ防ぐことができるでしょう。王子さまはやさしいので怒りません。うまく協力して戦えばプレイングボーナスを追加します。
もちろんそれ以外の方法もOKです。骸魂を倒し、融合した妖怪を救いだしてください。
二章ではまぼろしの橋で「死んだ想い人の幻影」と語らいます。
テーマ通りの死んだ想い人ならどんな相手でも大丈夫です。どんな相手なのかはプレイングで指定してください。
それでは、プレイングをお待ちしています。よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『七不思議の花子さん』
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POW : ねぇ、こんな噂を知っている?
【動く二宮金次郎像】と【動く人体模型】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【から生える見えない手が敵の動きを封じ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 友達の友達が聞いたそうなんだけれど
攻撃が命中した対象に【七不思議の呪い】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【テケテケ】【ヨジババ】【赤い紙、青い紙】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ : この学校には七不思議があるんだって
戦闘力のない【、戦場全体を内包する夜の旧校舎】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【校舎内に溢れだす学校の七不思議たち】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「九頭竜・聖」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「みんな、来てくれたんだね」
王子さまが猟兵達の応援に優しく微笑む。だがのんびりしている暇はない、とばかりにオブリビオンへ視線をむけた。
「どうやら彼女は七不思議を操るようだね。君たちも通っていた学校の怪談をきいたことがあるのかな?」
学校の怪談、七不思議。恐れを抱きながらもその物語に心惹かれたものも少なくないはずだ。
オブリビオンはその力で妖怪達を殺す。そんな事を許すわけにはいかない。
「じゃあ、よろしくね。僕もあの子を救うために一緒に行くよ」
さあ、王子さまと共にオブリビオンを倒し、妖怪達を救うのだ!
カイリ・タチバナ
ヤンキーヤドリガミ、妖怪助けるためならどこへでも。
七不思議。そういうのって、どこでもあるのな。俺様の故郷(グリードオーシャン)である和風な島の子たちも話してた。
盾なあ。いつもは俺様の役割だから、ちと調子狂うんだよなあ。
でも、志は同じだから、ありがたく。無下にはしたくねぇんだ。
さて、王子さま。その防御力見込んでお願いがある。
あの花子さんのUC攻撃、二つとも受けてほしい。強化避けてぇんだ。
俺様のUCは光だから、離れてても問題はない。花子さんに当てる!
地形破壊するのは…正直いってすまねぇ。
そう、俺様だって、妖怪に罪は犯させたくねえからな。
「ありがとう、僕の呼びかけに応えてくれて」
「俺様が来たからには滅びの言葉なんて言わせねぇ」
王子さまの作り出した雲の道を渡り、カイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)は笑った。
ヤンキーヤドリガミ、妖怪助けるためならどこへでも。今回現れたまぼろしの橋を巡る事件も解決して見せようと、気合いは十分だ。
「七不思議。そういうのって、どこでもあるのな」
今回の相手は七不思議の花子さん。ユーベルコードによって作られた古い校舎は見るものがみれば懐かしさを感じるだろう。
「へえ、やっぱり君もこういった話を聞いたことがあるのかい」
「ああ、俺様の故郷にすんでる島の子たちも話してた」
王子さまの問いかけにカイリは目を細める。
和の雰囲気を色濃く残したあの島では、数える度に段数が変わる階段だの、合わせ鏡の呪いだの……そんな噂がこども達の間でささやかれたものだ。
怖れながらも好奇心は止められない。
グリードオーシャンに落ちて来る前を知る者がいなくなっても、それは変わらないらしい。
「ふふっ、楽しそうだね」
「まーな」
さて、そんな二人が挑む七不思議の花子さんは動く二宮金次郎像と人体模型を従え、誘われた妖怪を待ち受けている。
その足元からはどことなく不吉な気配が漂い、無策で飛び込めば引きずり込まれそうな闇を感じさせていた。
「あの子の様子はどうだい? 必要なら僕が盾になるからね」
「盾なあ……」
カイリは王子さまへと視線を向ける。普段盾役を引き受けることが多い彼にとってその言葉はありがたくもあり、少しばかり調子を狂わせるものであった。
(でも、志は同じだから)
妖怪を救いたい。そんな王子さまの協力を無下にするものではない。
「どうやら、あの二体の像が――」
「だな。王子さま……その防御力見込んでお願いがある」
「やあ、気分はどうだい?」
「来たわね、妖怪!」
王子さまは穏やかにオブリビオンへと語りかけた。
対する花子さんは遂に獲物がやってきたか、と臨戦態勢だ。
「この校舎……懐かしいでしょう? この橋を渡れば戻ることができるのよ」
橋を渡った妖怪は黄泉へと送られる。この地が見せる幻はそうさせるだけの魔力がある。
だが、王子さまはすまなそうに言った。
「ごめんね、僕は西洋親分だからこういった場所に思い入れはないんだ」
「……じゃあ何故ここへ……? そうか、私の邪魔をしに来たのね!」
骸魂と融合したからか、花子さんは短絡的に行動を開始する。
橋を渡らないのならば、力尽くで!
「二宮金次郎! 人体模型! あの金色を黄泉に送ってやりなさい!」
花子さんの命を受け、二体は驚異的な速度で王子さまへと迫る。
強化された力は校舎の床を踏み抜き、その拳は壁を容易に打ち砕くであろう。
もし外したとしても、見えざる手が相手を捕らえる――この二体から逃れられはしない!
だが、花子さんの目論見通りに事は運ばなかった。
「……っ!」
「これでも、結構頑丈なんだ」
王子さまは一歩たりとも動かずに二体の攻撃を受け止めてしまう。
予想外の事態に花子さんがたじろぐ。その隙を見逃すカイリではない。
廊下の向こう、高く掲げられた守神勾玉。
溢れ出した蒼い神威の光が薄暗い校舎を照らし、怪異の姿をはっきりと映し出す。
「ひっ……」
「俺様だって、妖怪に罪は犯させたくねえからな」
めきめきと廊下がめくれ上がり、二体の像が吹き飛ぶ。
『守神領域、質量圧縮(イクウアッシュク)』の光は、そのまま花子さんを呑み込み旧校舎を崩壊させた。
「よっ……と。大丈夫か、王子さま」
崩れ落ちた瓦礫の中から這い出した王子さまへと、カイリは手を伸ばす。
「あー、建物ごとぶっ壊して、正直いってすまねぇ」
「ふふ、お見事。僕は大丈夫だよ」
頬を掻き、ばつの悪そうなカイリへと、手を取った王子さまは微笑むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。
基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。
シリアス以外ならいたずら好きの面も。
虚偽・うつろぎ(サポート)
世界問わず大歓迎
世界を超えて自爆活動さ
アドリブ連携等ご自由に
登場即自爆
自爆できれば台詞も活躍もいらぬ!
速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
そう、自爆だ
僕に自爆をさせるんだ!
僕もろとも鏖殺だ
これぞ鏖殺領域なり
ただ自爆するためだけに現れる存在
何かいきなり自爆する怪奇現象
もはや災害である
技能:捨て身の一撃を用いての
メッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆
射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
大事なのは自爆までのスピード
有無言わせぬスピードで自爆する
これ最重要だね
捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して戦闘不能
「よく来てくれたね。あの子を救うために力を貸して欲しいんだ」
「はい、もちろんです。ですが私でお役に立てますでしょうか?」
王子さまの招きに応え、雲の道を渡るのは春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)であった。
七不思議の妖怪。子ども達の相手をする機会の多い彼女にとっては耳馴染みのある話だ。
とはいえ、今回の件には一つ不安がある。それは――
「私もあまり戦うことは得意ではないのです。助けたい気持ちはあるのですが」
そう、今回王子さまは武器を取って戦うことはできない。その為、彼は盾役をかって出ているのだ。
そんな彼と共に戦うならば攻撃に長けた猟兵の方がいいのではないだろうか。
「ふふ、いいのさ。君は傷を癒やしたりすることができるんだろう?」
「ええ、まあ。医者ですから」
だが王子さまは穏やかに告げる。
「もう一人手伝ってくれる子が居るんだけど、彼は変わり者でね……君には僕が骸魂を引きつける手伝いをして欲しいんだ」
「……わかりました」
歯切れの悪い言葉に疑問を抱きながらも、遙はその願いをききとげる。
人であろうと妖怪であろうと救いたいという気持ちは一緒なのだから。
「現われたわね……一度はよくも旧校舎を吹き飛ばしてくれたわ」
「すまないね。でも、この世界を滅亡させないためなんだ……」
七不思議の花子さんと王子さまはユーベルコードによって再建された旧校舎の中で対峙する。
「相手が親分だろうと容赦はしない! 七不思議に呑まれてまぼろしの橋を渡るがいいわ!」
「そうはいきませんよ!」
王子さまの後方に控えていた遙が銃を構え、一射。
高い金属音と共に廊下に転がったのは包丁であった。
「ねえ、知ってる? 家庭科室の包丁の噂……」
「聞いたことはありますけど、ここは廊下ですよ!」
七不思議の力によって無数の包丁が宙を舞い、二人へと襲い来る。
いくつもの銃声と金属音が鳴り響き次々と撃ち落としていくが、やがて一本の包丁が王子さまへと届いた。
「いけない!」
「大丈夫、慌てないで」
だが、その穏やかな表情は変わらず、むしろ遙の盾となって立ち塞がる。
その様子に花子さんはにやりと笑みを浮かべた。
「ふふ、一撃でも当たればこっちのもの! お行きなさい、テケテケ!」
その呼び声に招かれたか、廊下の暗闇からテケテケと音を立てて何者かの上半身が手だけで近づく。
「友達の友達が聞いたそうなんだけれど、ヨジババって言うおばあさんが異次元にあなたを連れて行くらしいわ!」
「王子さま、下がってください!」
遙の声が響く。七不思議の力はさらに増し、王子さまへと襲い来る。
だが、ゆっくりと王子さまは遙の手を掴み、告げた。
「大丈夫。君は下がって……後で助けに来てね」
「はい?」
答えも聞かず、王子さまは遙を窓の外へ。迫り来るテケテケ。ヨジババ。黒い触手。
遠ざかる姿に響いたのは――
「諦めたのね! 赤い紙と青い紙、どっちが欲しいのかしら」
「ううん、そうだな……黒い手、かな?」
すさまじい爆発音であった。
「王子さま、大丈夫ですか?」
「うん、なんとかね……ははは、すごい爆発だったね」
崩れ落ちた校舎の残骸から王子さまを見つけだした遙はその煤だらけの体へと手を伸ばす。
いくら頑丈だからといってこのダメージは並ではない。『生まれながらの光』がその傷を癒やすことができなければどうなっていたことか。
「……戦うのが好きじゃないって話はどこに行っちゃったんです?」
「いや、僕じゃなくて……もう一人の猟兵の仕業なんだ」
そう、この爆発の犯人は虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)なのである。
彼は自爆愛好家。その身をはじけ飛ばし爆発を起こす、それだけが望み。
花子さんがテケテケを呼び出したのに紛れて暗闇から接近した彼は、王子さまの合図に合わせて見事に『ウツロギ(メッサツモード)』して見せたのだった。
「そんな……自爆だなんて」
「言ったら止めるだろうと思ったからね、言わなかったんだ」
王子さまなら耐えられる爆発ではあるが、危険がないわけではない。癒しの力をもつ遙が居なければ成り立たない作戦だった。
ちなみにうつろぎは自爆したがその内復活するだろう。いつものことだ。
「もう、無茶をして……いくら妖怪のためだからって」
「ごめんね、でも骸魂を放ってはおけなかったんだ」
この戦いで骸魂の力は大きく削がれた。もう一息で妖怪を救うことができるに違いない!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ロニーニャ・メテオライト(サポート)
◎アドリブ、改変大丈夫です!
「星は何にも縛られないのよ、もちろん過去にもね。」
「流星輪舞曲」を使い、他の猟兵たちのサポートや応援に回る。自らが戦うことはやや苦手。
傷ついた人がいた場合は「輝く星の花」を使用し治癒しようとする。
感情は希薄だけど、人を助けたいという気持ちはしっかりと持っている。
東海林・馨(サポート)
ボス戦の基本は「俺より強い奴に会いに行く」というスタンスで挑みます。
自分より相応しいと感じる猟兵がいたら積極的(というか集団で狩りをする狼の本能的)にサポートします。
武術においては搦め手も技の一つと考えているので、物陰を使用した奇襲や動きを封じるために脚などへの攻撃も正当と考えています。
「武術を極めるというのは相手の全てを出させる」「全てを出させたら後はなんとかなる」という信念から粘り強く攻撃と防御を繰り返します。
その他はお任せです。
「来てくれてありがとう。もう少しであの子を救うことができるよ」
「ああ、絶対助けてやろうぜ」
骸魂の産み出した旧校舎での戦いも終わりが近い。
王子さまの言葉に東海林・馨(探索する者・f33122)は力強く頷いた。
「盾になってくれるっていうんなら、それを無駄にはしない。必ず届かせてみせるよ」
武を極めるには心技体の全てを鍛え、仲間と共に戦い、時に勝利に貪欲にならねばならない。
王子さまが『壁役』に徹するというのならば、敵を打ち倒すのは馨の役目。
「うん、頼りにしているよ。それに、君もね」
そしてもう一人。
王子さまの言葉にこくりと頷いたのはロニーニャ・メテオライト(不老不死の星の子ども・f35195)であった。
ぼんやりと空を見上げていただけのようにも見えるが、人を助けたいという想いは確か。
「永遠には、させないのよ」
ロニーニャは手を広げ空に掲げる。それが始まりの合図だ。
「楽しかった思い出、楽しかった日々……まぼろしの橋を渡れば永遠になるのに」
夜の旧校舎。
幾度かの戦いを経て、七不思議の花子さんはその力を大きく削がれていた。
もう一息。骸魂に魅入られた妖怪は必ず救い出す。
「残念だけれど、それは永遠の終わりなんだよ」
「そう、経験は大事だ。でもそれじゃ極みには至らないぜ」
王子さまは首を振り、馨は腕を組んだ。
時よ止まれ、お前は美しい。滅びの言葉よりも力強く、猟兵達は前へと進む。
「星は何にも縛られないのよ、もちろん過去にもね」
ロニーニャのつぶやきと共にいくつもの流星が空を照らした。
願いを、希望をつなげるために。
「星たちよ、共に踊り、歌いましょう」
そして、『流星輪舞曲(メテオロンド)』が王子さまの体を金色に輝かせる。
「さあ、帰ろう。君の時を動かすんだ」
「……ッ! 近寄るな!」
一歩踏み出したと同時、花子さんの纏う気配が一変した。
旧校舎に宿る怪異――七不思議が目覚める。
「呪われろ、呪われろ……!」
「なるほど、これはかなりのプレッシャーだな」
馨が目を細めた。
決して屈することはないが、それでも涼しい顔をしていられるほどに闇は甘くない。
テケテケと音がする。老婆の笑いがこだまする。赤い紙、青い紙と声がする。
だが、彼の前に立つ王子さまが歩みを止めることはない。
「そうだね、でも僕が必ず受け止めるから……」
「わかってるぜ。任せろ」
ロニーニャの降らせた流れ星が彼に力を与え、続く馨に託すと決めているのだから。
「橋を渡る前に、ここでしねぇ!」
「ぐっ……」
ずしん、と黄金の体が揺れる。
七不思議のエネルギーが猟兵達に迫ろうとも、王子さまがその全てを受け止める。
「倒れろ、倒れろ……!」
「そうはいかない、この世界だけじゃなく君も救ってみせるよ……」
攻撃はどんどん激しくなる。後に続く馨が大きく息を吸い込む。
王子さまを『壁』とすることで、必勝の瞬間を作り出す!
「狩りたてろ。牙はそこにとどく」
「……!?」
突然のことに花子さんが戸惑いを見せた。
敵は王子さまと二人の猟兵。そのはずが、唐突にいくつもの気配が彼女を取り囲んだのだから!
「正面から戦うばかりが武術じゃない。吹き飛べ、骸魂」
理解が追いつかない内にずん、と花子さんを押し出す力。
宿した骸魂だけを祓う、星の願いを宿した拳。
七不思議の呪いにさえも悟られずに接近した、馨の一閃が突き刺さる。
「うっ、うあ……」
続いてもう一撃。『八葉(ダンス・ウィズ・ウルブス)』の真髄はここにある!
「おのれ……せめてこの取り付いた妖怪だけでも道連れに……!」
「そうはさせない!!」
更にもう一撃。流星の輝きと共に何かが弾けるような音。
空に一条、光の軌跡。
一瞬の静寂の後に、馨は倒れ込んだ七不思議の花子さん――いや、骸魂を祓われた一人の妖怪をしっかりと受け止める。
「星……キラキラしてる」
ぼんやりと見上げた空に、妖怪のつぶやきが漏れた。
「そうね、とっても素敵じゃない?」
「星は巡り、日は昇る。そういうもんだぜ」
ロニーニャが淡々と、しかしほんの少しだけ嬉しそうに応え、馨もまた極みへの道程を想い空を見上げるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 日常
『想い人と語らう』
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POW : 二度と会えない筈の相手に会う為、覚悟を決めて橋に立つ。
SPD : あの時伝えられなかった想いを言葉にする。
WIZ : 言葉は少なくとも、共に時を過ごすことで心を通わせる。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ありがとう、君たちのおかげでこの子は救われた」
王子さまが告げる。
過去に囚われようとしていた妖怪は猟兵達の活躍によって救われた。
だが、まぼろしの橋は今もまだこの地に残り続けている。
放置しては再び骸魂がこの地に災いを呼び込む事は間違いない。
この橋を浄化する方法はただ一つ、現われる「死んだ想い人の幻影」と夜が明けるまで語らうこと。
今はいない大切な人と、もう一度会う覚悟はあるだろうか?
カイリ・タチバナ
いやー。これ想い人なのかどうかわからなかったんだけどな!
直接会ったことなんて、なかったんだし。
材料的に父となる『橘・陸鐘』(鉱物のヤドリガミ)。またの名を『陸鐘輝神』(姿は20/8/5納品の真の姿)。
「やっほー!カイリー!来たよー!」
…いや、これは予想外だわ。何で落ち着きないんだよ。
「ははは、こうして父子として会うのは初めてだからね!」
はしゃいでんのかよ。わかるけど。
「わかるんだ。ふふ、嬉しいなぁ。こうして並び立つはずは、なかったんだから」
おう。そうだな、親父。
「あ、ちなみに。これからは気軽にUCで呼んでもいいからね!」
…は?(何故かできてる指定UC)は???
親父は大変なものを置いていった。
「まぼろしの橋なぁ?」
戦いを終え、カイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)は一人橋に佇む。
渡ったものを黄泉に送る橋――浄化するためには現われる「死んだ想い人」と語らう必要があるという。
だが、カイリはヤドリガミ。勿論体を得てから出会った人の中には既に亡くなった人もいないわけではないが、想い人、と言われるとどうか。
「いやー、正直出てくるかどうかわかんないんだけどな!」
一人だけ。思い当たる相手はいる。
その男の名は、橘・陸鐘。カイリの本体である銛を形作った鉱物のヤドリガミ。
またの名を『陸鐘輝神』ともされる彼は、言うなれば父であろうか。
だが、直接会ったことなど一度もなく思い出なども何一つ残ってはいない。
そんな相手がこのまぼろしの橋に現われてはくれるだろうか――?
「やっほー!カイリー!来たよー!」
「来るんかいっ!」
「いやー、こうして想われちゃうなんてねー」
現われた父はどうにもふわふわとした印象であった。
そわそわと視線を動かし、手にした煙管をくるくると弄び、ことあるごとに帽子の位置を直す。
「……いや、これは予想外だわ。何で落ち着きないんだよ」
「ははは、こうして父子として会うのは初めてだからね!」
「はしゃいでんのかよ。わかるけど」
そんなふうに言ったカイリもまたどことなく落ち着きがない。
「わかるんだ」
器物に宿るヤドリガミ。
材料である鉱物が銛として完成している以上、二人は常に一緒であったとも言えるが、決して出会うことのないはずの宿命を背負っていた。
どことなく気恥ずかしさを覚えてしまうのも無理のないことなのだ。
「そりゃーまあ、な」
「ふふ、嬉しいなぁ。こうして並び立つはずは、なかったんだから」
「おう。そうだな、親父」
二人はふっ、と小さく笑った。
それから二人は様々な話をした。
体を得てからのこと。島の人々のこと。猟兵としての日々。
「……そろそろ時間だな」
「おお、そうだね。もう夜が明ける」
やがて空は白み、夜明けの時が近づいてくる。
それはつまり、別れの合図だ。
「じゃあな、親父。今日は会えて良かった」
「うんうん、素晴らしい時間だった!」
夜が明ければまぼろしの橋は消え失せ、陸鐘もまた黄泉へと帰る。
「あ、これからは気軽にユーベルコードで呼んでもいいからね!」
「は?」
最後に、予想もしない一言を残して。
「は?????」
わかる。夜明けと共にカイリの中に生まれた力。新たなるユーベルコード。
想えば、『はりきる父、来る(フケイサンカン)』。
頭を抱え、ため息を一つ。
一度きりの機会かと思い込んでいたが、どうやら長い付き合いになりそうだ。
「親父は大変なものを置いていった、ってな」
大成功
🔵🔵🔵
ルキヴァ・レイヴンビーク
根無し草ではありマスが、それなりに長い時を生きてマス
故に多くの人々との死別も経験しておりマスが
所詮は一羽の鴉――未だに想って頂ける方などおりマショウか
嗚呼…成る程
確かにワタシはユーに愛でて頂いてました
目の前には中世イングランドの幼き令嬢
病で夭折するまで、窓からロンドン塔に集まるワタシ達を見つめていた
そんなユーに興味を持ったワタシは都度窓辺を訪れた
キョトンとしておられマスね
人の姿をしたワタシはご存じないデショウ
元のワタリガラスの姿に変化、欄干の上に留まって
リトルレディ、ワタシは元気にしておりマス
貴女が託した願い、忘れるものデスか
夜が明けるまでお話致しマショウ
貴女の代わりに見聞した世界について、ね
「根無し草ではありマスが、それなりに長い時を生きてマス」
「なるほど、いろいろなものを見てきたんだね」
「そのつもりデス」
まぼろしの橋。夜が明けるまでその様子を眺めていた王子さまは一人の青年と言葉を交わしていた。
「故に多くの人々との死別も経験しておりマスが、所詮は一羽の鴉――」
この橋を浄化するには今はいない想い人と語らう必要がある。
「未だに想って頂ける方などおりマショウか」
つまりは、ルキヴァ・レイヴンビーク(宵鳴の瑪瑙・f29939)はその役目を果たせるかを疑問に思っているのだ。
そんな言葉に、王子さまはふふっ、と小さく笑う。
「さて、その答えは目の前にあるみたいだよ。行ってあげて」
視線の先には橋に佇む一人の少女。
「嗚呼……成る程」
ルキヴァには覚えのある姿だった。
テムズ川のほとり、王たちが作り上げた一つの要塞。
ロンドン塔と呼ばれるその地には多くのワタリガラスが住み着いている。
見るものによっては不吉にも思えるその光景であったが、その少女は違った。
幼き令嬢はベッドの上から、毎日のように窓の外をじっと眺めている。
手を伸ばしても届くことはない。彼女にとってはこの部屋と窓から見える景色だけが世界だった。
「カァ」
ワタリガラス達は興味なさげに声をあげる。
――いや、その中に一羽だけ。羽ばたいて近づく影があった。
「わ、今日も会いに来てくれたの?」
「カァ」
言葉がわかっているのかいないのか、それでも少女にとってはたった一羽と言ってもいい、友であった。
「そんなユーに興味を持ったワタシは都度窓辺を訪れた」
「……?」
まぼろしの橋へ、ルキヴァは歩み寄る。幼き令嬢はきょとんとした表情でその姿を見上げる。
その反応も当然だ。
「人の姿をしたワタシはご存じないデショウ」
黒い羽根がバサリと舞う。欄干にとまった彼の姿は既に彼女の知るワタリガラスのそれである。
少女は一瞬驚きの表情を浮かべ、そして笑顔になった。
「あなただったのね、カラスさん」
「リトルレディ、ワタシは元気にしておりマス」
二人は語らう。あの頃のように。
「ねえ、覚えている? 私のお願い」
「貴女が託した願い、忘れるものデスか」
話は決して尽きることはない。
別れてより見聞きした全て。広い世界。或いは、こことは違う世界。
「夜が明けるまでお話し致しマショウ」
飛び立てなかったはずの翼は遥か空を越え、今再び少女の元へと舞い降りた。
小さな奇跡はやがて、幼き令嬢の笑顔を照らす朝日と共に終わりを告げる。
そして再び翼は、新たな世界の空を駆けるのだ。願いを胸に。
大成功
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