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銀河帝国攻略戦⑬~ナイトメア

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●悪の夢
 『スペースシップワールド』――その世界で、今行われている戦いは、猟兵達の活動により確かに進展が見えている。
「今回、皆さんに行って貰いたいのは『実験戦艦ガルベリオン』の発見です」
 猟兵へプルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)は真剣な声で語り掛けた。
 実験戦艦ガルベリオンは、帝国の執政官兼科学技術総監ドクター・オロチが乗る戦艦。オロチが派遣した艦の残骸周辺に、『実験戦艦ガルベリオン』を秘匿する『ジャミング装置』が存在する事が判明したようだ。
 宙域内に多数設置された装置を破壊する事で、『実験戦艦ガルベリオン』を発見する事が出来るだろう。
 今回、猟兵達が行う主な流れは以上の通り。

「問題は、そのジャミング装置です。その装置、近付くと防衛機能が発動するみたいで」
 その防衛機能とは――近付いた対象のトラウマとなる事件などを再現し、対象の心を怯ませると云う。人の抱えた闇を、刺激するものだ。
 もしその悪夢によって心が怯んでしまうと、ジャミング装置のある場から離れてしまうらしい。その距離などは、怯んだ度合いによるものになる。
 その為、強い心を持って。自身の過去のトラウマと対峙し、克服しなければならない。
 完璧に克服しなければ、装置を破壊出来る間合いに入る事すら不可能だろう。
「皆さんには大変なことだと思います。……けれど」
 この装置を破壊しなければ、先に進む事は出来ない。
 その為、どうにか克服をし装置を破壊してきて欲しい。――今後の、未来の為に。
 頑張って下さいとプルミエールは猟兵へと声を掛け、彼等を送り出した。


公塚杏
 こんにちは、公塚杏(きみづか・あんず)です。
 『スペースシップワールド』での戦争シナリオをお届け致します。

●シナリオについて
 このシナリオでは、ドクター・オロチの精神攻撃を乗り越えて、ジャミング装置を破壊します。
 ⑪を制圧する前に、充分な数のジャミング装置を破壊できなかった場合、この戦争で『⑬⑱⑲㉒㉖』を制圧する事が不可能になります。

●プレイングについて
 プレイングでは『克服すべき過去』を説明した上で、それをどのように乗り越えるかを明記してください。
『克服すべき過去』の内容が、ドクター・オロチの精神攻撃に相応しい詳細で悪辣な内容である程、採用されやすくなります。
 勿論、乗り越える事が出来なければ失敗判定になるので、バランス良く配分してください。

 このシナリオには連携要素は無く、個別のリプレイとして返却されます(1人につき、ジャミング装置を1つ破壊できます)。
 『克服すべき過去』が共通する(兄弟姉妹恋人その他)場合に関しては、プレイング次第で、同時解決も可能かもしれません。

 心情重視のシナリオです。

●シナリオフレームについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●その他
 許容量を超えた場合は早めに締め切る、又は不採用の場合があります事をご了承下さい。

 以上。
 皆様のご参加、心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『ジャミング装置を破壊せよ』

POW   :    強い意志で、精神攻撃に耐えきって、ジャミング装置を破壊する

SPD   :    精神攻撃から逃げきって脱出、ジャミング装置を破壊する

WIZ   :    精神攻撃に対する解決策を思いつき、ジャミング装置を破壊する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ナイトメアの罠
 猟兵たる彼等を襲うのは、己自身の恐怖。
 何を抱え。何を想い。何を決意し行動するか。
 それは、各々が心と向き合う時間。
 ――全ての未来の為にも、自身の闇と悪夢の鎖を解かなければならない。
トゥール・ビヨン
パンデュールに搭乗してジャミング装置の破壊に向かうよ。
その中で防衛機能の影響を受けることに

●過去
ボクがまだ8つくらいの頃
アックス&ウィザーズからUDCアースへたった一人で世界間テレポートにより飛ばされてきた

ボクの何倍もある人間達が闊歩する世界
見つかれば、虫か何かのように殺されてしまうに違いない

誰とも言葉を交わせず、恐怖とひもじいお腹を抱えながら帰る当てもなく、一人寂しく

もう、ボクがこのまま死んでしまっても誰も気付かない
終わりの見えない絶望の日々

●克服
でも、今は違う
ボクを拾ってくれた親方
猟兵の仲間達
そして、相棒のパンデュール
もう、ボクは一人じゃない!

その強い意志を持って、精神攻撃に耐えてみせる!




 背に羽を持つ小さき人であるトゥール・ビヨン(時計職人見習い・f05703)にとって、自身以外の種族たる人間達は巨人そのもの。
 そんな存在しかいない世界――UDCアースへ独り飛ばされた結果待っていたのは、どうしようもない孤独感と恐怖。
 周りを見れば、自身の何倍もの人間達が闊歩し。
 見つかれば、虫か何かのように殺されてしまうに違いない。そんな恐怖が襲ってくる。
 誰とも言葉を交わす事も出来ない。
 誰も助けてくれる人はいない。
 恐怖に包まれ、空腹に耐えながら。帰る当ても無く1人寂しく見知らぬ世界で迷う。
 ――そんな過去の記憶が、巨大な機械の中に身をおくトゥールを襲う。
 羽を、身を震わせたあの日々。どうなるかも分からなかった、過去の恐怖を思い出す。
 けれど――もう彼は、そんな日々は過去になった。
 だって、彼はあのまま果てなかった。今ここにいるのは――。
「ボクを拾ってくれた親方。猟兵の仲間達。そして、相棒のパンデュール」
 小さな自身を育ててくれた時計職人の親方。沢山の仲間たち。――何よりも、自身の家で眠っていた巨大な友人。彼等が今はいると、確かに分かっている。
「もう、ボクは一人じゃない!」
 強く、彼は相棒の中で悪夢に向かって言い放つ。
 彼の言葉に反応するように、パンデュールは装置に向かい――連続射撃を行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神舵・イカリ
「ここは…」

ジャミング装置の近くに来たはずが、イカリが立っていたのは上下左右不明の、謎の空間だった

見覚えは正直ある

「電脳空間…、それもこの世界に渡って来た時の…」

途端にフラッシュバックする過去の、否以前の記憶

「自分の存在が危うい感覚…誰でもあって誰でもない…」

記憶なんて朧げで、吐きそうになるくらい存在があやふやになる。データの奔流に身を委ねる中での、アイデンティティ喪失のトラウマ

それが『克服すべき過去』ということか

だが今の自分が何であれ、問題はなかった。なぜなら

「俺が俺をわからなくても、友達のみんなが俺を知っている! だから、俺は前に進むんだぜドクター・オロチ!!」

信じる絆が克服の鍵だ




「ここは……」
 神舵・イカリ(転生したらVtuberになってた件・f03294)が瞬きをした後、一瞬にして視界に移る景色は先ほどまでとは変わっていた。
 そこは上下左右不明の、謎の空間。
 けれど彼には確かに見覚えがあった。
「電脳空間……、それもこの世界に渡って来た時の……」
 頭が痛み、銀の髪をくしゃりと抑える。――それはフラッシュバッグ。
 怒涛の過去。否、以前の記憶が流れ込む。
「自分の存在が危うい感覚……誰でもあって誰でもない……」
 彼の記憶はおぼろげ。肉体と精神が吹き飛び、バーチャルの身体を宿している自身の存在。――それは吐きそうになるくらい、存在があやふやだと改めて自覚する。
 口元に手を当て、顔色を蒼く染めるイカリ。
 データの奔流に身を委ねる中、アイデンティティが喪失するトラウマの記憶。
 ――それが、イカリの克服すべきもの。
 過去に囚われている限り、その存在はいつまでもあやふやなもの。
 けれど、今の自分が何であれ問題は無い。なぜなら――。
「俺が俺をわからなくても、友達のみんなが俺を知っている! だから、俺は前に進むんだぜドクター・オロチ!」
 敵は今目の前にはいない。けれど――敵の思惑などには惑わされない。
 強い意志を持ち、今の自分を見てくれる存在の為に彼は装置を破壊する。
 信じる絆が、イカリの克服の鍵となる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バル・マスケレード
憎悪。怒り。
負の感情を糧に、絶望を齎す呪物として生まれた。
記憶の糸を手繰り寄せれば
最後には無数の声が怨嗟と呪詛を吐き散らしている。
久しく忘れていたそれが語りかけてくる。

お前は。

その忌まわしい生き方から、逃れられないのだと。



このクソみてェに黒く濁った全てが俺だ
宿主のように優しく在ることも
誰かに希望を灯すことも、俺には出来ない

——だから。

俺はこの低劣な衝動のまま、テメエらオブリビオンを踏み躙る。
絶望しか齎せねェなら、その絶望、全部テメエらにくれてやる。
それが、俺の、未来の救い方だ。
敗残した過去が出しゃばるんじゃねェ。

憎い?殺せ?壊せ?
うるせェ。
俺の声だってンなら、とっとと俺の力になりやがれ!!




 バル・マスケレード(エンドブリンガー・f10010)の耳に届くのは、無数の怨嗟と呪詛の声。吐き散らすような乱雑な声が、彼の耳と心に落ちてくる。
 憎悪。怒り。
 バルは負の感情を糧に、絶望をもたらす呪物として生まれた存在。
 記憶の糸を手繰り寄せた先に待つのは、当然そういった負の想い。
 ――お前は。その忌まわしい生き方から、逃げられない。
 そう語り掛ける声に、バルはぎりりと歯を食いしばる。
「このクソみてェに黒く濁った全てが俺だ」
 胸に強く手を当て、彼の口から零れる声は荒々しいながらも強い意思が篭る。
 宿主のように、優しく在ることも。誰かに希望を灯すことも、バルには出来ない。
 希望に屈した仮面。生きたいと、重なる声。それが彼の過去。
 ――だから。
「俺はこの低劣な衝動のまま、テメエらオブリビオンを踏み躙る」
 絶望しかもたらせないのなら、その絶望は全てオブリビオンにくれてやる。
 それが、バルの見つけた未来の救い方。
 けれど敗残した過去は、尚も彼へと言葉を投げかける。
 憎い。殺せ。壊せ。
 負の感情が、止め処も無く落ちる中――彼は。
「うるせェ。俺の声だってンなら、とっとと俺の力になりやがれ!」
 胸に宿る想いと衝動を確かに受け止めるように、強く胸を打つと。彼は悪夢に向け強く強く言葉を放つ。
 その瞬間、耳に響く『声』が消え去るのを確認し。バルは未来を破壊した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・龍眼
「我にトラウマなぞあっただろうか」
そんな彼の前に見えたのは…
精霊とミニドラゴンの群れだった

◆トラウマも人?それぞれ
『そんな方法で子供なんて出来ないわ』
ふと届く彼らの責める声

『そもそも精霊とドラゴンというのが無理なのよ』
『普通に人間の子供を拾ったら?』
傍にいる父上と母上が頭を抑えて呻いている

『そんなこと時間の無駄だ』
ああ…
我が人の形を成すまでの間に
そう言われたこともあったのか
実際不安もあったのだろう

◆解決策
自分の複製を錬成し
精霊達のいる方へ動かす
「…父上、母上。我はあんなにいるぞ」
我はきちんと二人の100年の愛の先に
ここに存在するから。

表情は真顔のままだが、優しく導く
そんな装置など壊してしまおう




 ――我にトラウマなぞあっただろうか。
 きらりと眼鏡の縁を輝かせ、首を傾げる水鏡・龍眼(水面に浮かぶ月・f01423)の前に現れたのは、精霊とミニドラゴンの群れ。
 口元を結び、鋭い眼差しで彼はその精霊とミニドラゴンを見やると。彼らはくるりと舞いながら、龍眼を見た後口を開く。
『そんな方法で子供なんて出来ないわ』
 それは間違いなく、何かを責める声。非難を込めた、刺々しくも痛々しい声。
『そもそも精霊とドラゴンというのが無理なのよ』
『普通に人間の子供を拾ったら?』
 何のことだろうか。龍眼は棘を含む声で語る彼らを見やり――彼等の視線が、龍眼の傍に控えるドラゴンランスたる竜と、月の精霊に向けてであると気付く。
「父上? 母上?」
 苦悩に頭を押さえ、うめく両親の様子を不思議そうに見る龍眼。
『そんなこと時間の無駄だ』
 ――ああ。
 彼は、察した。
「我が人の形を成すまでの間に。そう言われたこともあったのか」
 ――彼は水竜と月の精霊の素材に、百年の愛を捧げて生まれた眼鏡のヤドリガミ。
 長い長い年月を掛けて、ドラゴンと精霊が暮らす森で生まれた男。
 彼が生まれるまでの間、両親と慕う存在は不安もあったのだろう。
 愛おしい彼等が苦悩に悩む今――彼は青のフレームが輝く眼鏡を16練成すると、それを宙に漂わせ囁く精霊達のほうへと操る。
「……父上、母上。我はあんなにいるぞ」
 我はきちんと2人の百年の愛の先に、ここに存在するから。――その結晶たる、水流のような青い髪に手を触れ。輝く月の瞳を優しく細め。彼は愛を返すように呟いた。
 ――器物でも、愛を受けた事は確かなもの。
 愛おしい人を傷つける、そんな装置は壊してしまおう。彼は一歩、力強く前へ出た。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バラバ・バルディ
【過去】
バラバはこの世に目覚めてから自分の特異さを理解していた。そのため自分と同じUDCと呼ばれる邪神たちに交じることはできず、またその姿形の異形さ故に人間の世界からも弾かれた。邪神と人間、どちらからも避けられ追われ続けた。時には捕まり、痛めつけられたり見世物にされたりもした。そしていつしか彼は恐怖や嫌悪から隠れるように過ごすようになった。
あるとき、そんな己の生の悲惨さに気付いた彼は決意した。誰も救えぬ己の生を救おうと。
派手で華やかな衣装、笑みの形に細まった双眸、高らかな笑い声は、その日以来変わらない。

故に対処法など決まっている。
「ぬぁっはっはっはっ!!」
ただ笑い、歩む。枷の重さを覚えながら。




 バラバ・バルディ(奇妙で愉快な曲者爺さん・f12139)の視界に映るのは――自身に向け、冷たい眼差しを向ける人々だった。
 彼は、この世に目覚めた時から自身の特異さを理解していた。
 その特異さゆえに、交わう事は出来なかった。
 シャーマンズゴースト――彼は大きさこそ人間と同等だが、立派なUDC。けれど謎に包まれた彼等は、同じUDCたる邪神達に交じる事は出来ない。けれど、人間と共に生活する事も難しい。
 どちらとも相容れない。避けられ、追われ。時には捕まり、とても思い出したくないような過去もあった。そんな恐怖が心を包み、恐怖や嫌悪から隠れるような生活もした。
 けれど――バラバはある日、決意した。
 己の生を誰かが救ってくれる訳ではない。ならば、自分で救おうと。
 その時から、自身の身なりを変えた。
 帽子から杖まで、徹底してカラフルで派手な装い。仮面の奥の金の瞳を、陽気な笑みの形に細ませ。彼は変わらぬ道を歩む。
「ぬぁっはっはっはっ!!」
 対処法は、高らかな笑い声を上げるのみ。
 笑い、歌って、喋って、生きていく。
 それが彼の歩む道。人の集まる場所で、気さくに接すれば――。
 枷の重さは忘れない。けれど笑い、進む事も止めない。
 その決意は、この世界の未来を壊す事に成功するだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

羽馬・正純
【POW】
僕が機械化されてなんとか一命をとりとめたのが数年前。
それから…なまじ頑丈な体だから戦っては生き残って…多くの仲間や先輩の死を見送ることになった。
殉死した仲間の親族に”家族はどこにいるの”、って聞かれた時は…流石に堪えたな…
そう思うと捨てられた過去…骸の海から僕を呼ぶ声がする気がしてならないんだ、
「何故お前がまだ生きてるんだ」って。

…確かにそれで許されるならそちら側に行きたいと思うことはあるよ、
けどそれはきっと楽な逃げ道なのでしょう?
なら僕は逃げずに生き抜いて…一人でも多くの人と未来を救う!

【ウィズダムオブクラウズ】発動、鎧装に翼を、
記録も思い出も…この痛みも捨てずに前へ進んでみせる!




 羽馬・正純(雷刃の代行者・f02626)が機械化され、一命をとりとめたのが数年前。
 一部身体機能を補強、あるいは代替し彼はこの地に命を取り留めたサイボーグ。祝福を受けた身体。その結果はとても頑丈で、激しい戦いにも生き残る事が出来た。
 ――多くの仲間や、先輩の死を見送りながら。
 殉死した仲間の親族に聞かれた言葉の衝撃は、いまだ覚えている。――家族はどこにいるの。その問いに答えられるのは、残る正純だけだった。
『何故お前がまだ生きてるんだ』
 冷ややかな声が、彼の耳に、脳に届く。
 それは捨てられた過去――骸の海から、正純を呼ぶ声だろうか。
 何故、何故。
 その言葉が、次々と彼へと降り注ぐ。
 その言葉に正純は、小さく笑む。それで許されるなら、そちら側に行きたいと思うことはある。けれど、それはきっと楽な逃げ道。
 だからこそ、彼は――。
「なら僕は逃げずに生き抜いて……一人でも多くの人と未来を救う!」
 その藍色に滲むのは、彼の決意の色。
 逃げるのはいつでも出来る事。だから今は――多くの未来を繋ぐ事を、彼は選ぶ。
「"解析完了、アップデートを開始します"」
 口から紡がれる呪文の後、展開されるのは翼。
「記録も思い出も……この痛みも捨てずに前へ進んでみせる!」
 多くの人の未来の為に――猟兵の力を合わせ、敵へと対抗しよう。
 その道を開く為に、彼は装置を破壊した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テン・オクトー
POW
何も考えず猟兵としての力を使ってしまった事。ボクは生を受けて日が浅く壮絶な過去は何もない。むしろ家族に大事にされ幸せに暮らしてきた。猟兵としての力に気づいた時、ボクは種族の性か故郷を飛び出し力を使いオブリビオンという敵を消してしまった。
結果的に人の命が救えたけれど、何も考えずに敵だからと力を使ったのは恐ろしい事だと思った。まだ何かしらの思念の元襲ってくるオブの方が人らしい。ボクはオブ以下だ。家族に軽蔑される夢を見る。

だから。何のために力を使うのかを常に常に考え続けながら力を使うことにしたんだ。まだ答えは出ていないけど。いつか笑顔で家族の元に帰るために。
だからこんなところで負けないよ!




 遊牧民に故郷を持ち、上流階級のテン・オクトー(気弱な小さき猛獣・f03824)は、家族に大事にされ幸せに暮らしてきた。
 まだ生まれて8年の彼には、壮絶な過去は無い。
 そんな彼が恐れるのは――自分の力。
 穏やかな日々の中、自身にある猟兵の力に気付いた後。彼は、冒険好きの性か故郷を飛び出し、出会ったオビリビオンをその力を使い倒した。
 何も考えず、ただただ本能のままに。
 その結果として、人の命を救う事は出来た。それはとても褒められた行いなのだろう。
 けれどテンにとって、それは恐ろしい事だった。
 何も考えず力を使い、敵とはいえひとつの命を消してしまった。何も考えていないと云う恐怖。テンにとって、まだ何かしらの思念の元襲ってくるオビリビオンの方が人らしいとすら感じてしまう。
 平穏な中生きてきた幼い彼にとって、その悩みは自身の中に閉じこもる。
 ボクは、オビリビオン以下の存在。
 家族に軽蔑される夢を見ていたが――今まさに、それを悪夢として見れば苦痛に歪む。
 まだ未熟な存在。怖いけれど強い大人になりたい。
 そんな想いを抱えながら、彼は成長する為に前へ進む。
「何のために力を使うのか常に常に考え続けながら力を使うことにしたんだ」
 ――その答えは、まだ出ていない。
 けれどいつか、笑顔で家族の元に帰るために。幸せな家庭に帰るために。
「だからこんなところで負けないよ!」
 大きな水色の瞳で前を見据え、小さな少年は未来を歩く。――装置へは、もう少し。

成功 🔵​🔵​🔴​

真白・白夜
幼い頃に謎の組織に拉致されて、10歳の頃まで人体実験のモルモットにされていました。毎日、手術台に拘束されて、拷問のような実験を受けました。そのせいで、拉致される以前の記憶を失い、こんな真っ白な身体になりました。多重人格者になったのもそのせいです。

あの実験場が再現され、恐怖で身体が竦みますが、もう一つの人格が声をかけます。
『おい!何ビビってやがる!?てめぇをこんな目に遭わせやがった連中をぶっ潰すために猟兵になったんだろが!こんな所で止まってんじゃねぇ!』
「…そうだ…こんな所で…立ち止まる訳にはいかない!」

【サイキックブラスト】を放ち、幻影諸共全て吹き飛ばします!
『さすがは俺だぜ。よくやった。』




 気付くとそこは、実験場だった。
 ひやりとした空気。思い出す、恐怖の記憶。
 真白・白夜(多重人格者のサイキッカー・f10864)にとって、その景色は最古の記憶。その前までの記憶は、全て失ってしまったから。
 景色を見れば、当時の事を思い出し恐怖で身体がすくむ。
 毎日手術台の上で拘束され、実験を受ける拷問のような日々。
 その日を思い出すと、痛みを受けた箇所が未だ痛むような気がして。白夜は自身の腕を抑える。――パーカーから覗くその腕を見れば、悪夢の結果得た真白の身体が。
 震えが止まらない。口が震えて、カチカチと音が微かに響く。
 ――そんな彼を勇気付けるのは自分自身。否、自身の中の別の自分。
『おい! 何ビビってやがる!? てめぇをこんな目に遭わせやがった連中をぶっ潰すために猟兵になったんだろが! こんな所で止まってんじゃねぇ!』
 声を掛けられ、鼓舞されれば。不思議と先ほどまでの震えが止まっていた。
 そうだ、思い出した。
「……こんな所で……立ち止まる訳にはいかない!」
 彼は、復讐の為に進んでいる。だからこんなところで、惑わされるわけにはいかない。
 決意の後、白夜の両掌から高圧電流が放たれると――視界は実験場から現実へと戻る。
『さすがは俺だぜ。よくやった』
 ――真っ先に褒めてくれる、別人格の自分。
 この記憶がある限り、立ち止まってなどいられない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ビビ・カラット
悪夢とは
わたしを庇って砕かれた父と母、
自慢の脚だけわたしに残してくれた姉。
雪の上でキラキラ光る誰のものかも解らない欠片を
一晩中這ってかき集めて回った
殆どが只の氷で朝には溶けてしまって
雪解け水の冷たさを今毎朝手のひらに感じるの

皆欠片も碌に残らずに
最後には雪さえ火に焼かれたわたしの国…
こんな風に、何もかも白く煌めいて
酷く美しかった

同じものを見た者には皆死んで貰ったの
忘れ得ぬ大切なわたしだけの悪夢
美しいわたしだけの国
装置如きが再現できはしないわ
二度と戻らないことはわたし自身が知っている

目前の吹雪を光で振り払い精霊銃で攻撃を
幻の家族ごと、国の皆ごと氷で撃ち抜くわ
それくらいは出来るようになったもの




 ――目の前に広がるのは、吹雪。
 室内にいたはずなのに、腕を撫でる風は冷たさを帯び。ビビ・カラット(煌なるもの・f00174)の記憶を呼び覚ます。
 真白の雪の上に広がるのは、雪とは違う煌めき――砕けた、宝石だ。
 ビビを庇って砕かれた父と母。自慢の脚だけをビビに残してくれた姉。
 今、目の前に広がる煌めきは彼等のものだろうか。
 それは分からなかったけれど――ビビは昔、その欠片を一晩中這ってかき集めて回った。ひとつも残らず、自身の手にしたかった。けれど殆どは只の氷で、朝には溶けてしまった。覚えているのは、溶けた氷の冷たさ。
 宝石の身体を持つ人種クリスタリアン。
 煌めくその身の欠片もろくに残らず、彼女の故郷は全て燃えた。――それは、吹雪く雪も含めて、全て。
 かつての景色は、今目の前に広がっている雪景色のように。白く煌めいて、酷く美しかった。煌めく雪の中を、歩む人々の煌めきが脳裏に過ぎる。
「同じものを見た者には皆死んで貰ったの」
 俯き、言葉を零すビビ。口元に微かに笑みを浮かべ、彼女は自分の心を吐露する。
 この光景は、忘れ得ぬ大切なわたしだけの悪夢。美しいわたしだけの国。
「装置如きが再現できはしないわ」
 顔を上げたビビは、そのファンシー・ビビッド・ピンクの瞳を強く空へと向ける。この悪夢を見せる、敵の用いる装置に向けて。
 ――この過去が、二度と戻らないことは彼女自身が一番知っている。
 だから彼女は、迷い無く行動をする。
 吹雪を払うために強い光を生み出したかと思えば、王座をはめた指先から氷塊を生み出した。――その氷塊は、彼女の思い出達を。迷い無く貫いていく。
「それくらい出来るようになったもの」
 首から滴る宝石に手を触れた後、ビビは自身の脚のヒビ割れの痕に触れる。
 自由な身になるまで、様々な事があった。けれど今はもう、こんな事で立ち止まったりはしない。ビビは、強くなったのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロード・ロラン
●トラウマ
閉じ込められ育った幼少期
俺が初めて世界へ飛び出し見たものは、吸血鬼の手下の襲撃で燃やされた里だった
猟兵として目覚める前、無力だった自分
俺に力があれば。俺に知識があれば。逃げるだけではなく何かできたかもしれない
蘇るのは、ヴァンパイアへの恐怖や憎悪ではなく
無力だった自分への後悔だけ

●行動
赤々と燃える世界に放り出され
その光景が何なのか、理解した瞬間には足が竦む
無力だったあの頃に、戻ってしまったような気がして……
でも、ぐっと唇噛んで拳を握る
違う。今の俺は、あんなにガキじゃない
走る足がある。揮える力もある
だから炎に恐れず突っ込んで――銀薔薇の大鋏で装置を破壊するぜ!
こんな悪夢、ぶっ壊してやる!




 広がる世界は、赤々と燃える世界。
 それはクロード・ロラン(人狼の咎人殺し・f00390)が、外に出て初めて見た世界だった。――視界に映る景色の意味を知り、クロードの足がすくむ。
 ずっと閉じ込められていた幼少期。
 初めて見たこの景色は、吸血鬼の手下による襲撃で全てが燃え盛る里。それが彼の知る、自身の生まれた地の姿。
 赤い、赤い、全てが赤い世界が周囲を包み込む。
 黒い服越しに伝わる熱は本当に悪夢による幻なのだろうか? 舞う火の粉が触れ、ヂッと鈍い音を立てた気がして彼の耳が揺れた。
 この景色の時の、猟兵として目覚める前だった自分を思い出して彼の息が止まる。
 また、あの頃へと戻ってしまった気がする――。
 燃える故郷を捨てるように、ただただ逃げる事しか出来なかったあの日。あの時の自分に力が、知識があれば。逃げるだけではなく何か出来たかもしれない。
 だからクロードにとっての悪夢は、里を消したヴァンパイアへの恐怖や憎悪ではない。
 無力だった自分への、後悔。
 記憶を前にして、クロードは唇を噛み締め、拳を震えるほど強く握り締める。
 ぎりりと噛んだ唇から一筋の血が垂れるのも気付かず、彼は言い聞かせるように。
「違う。今の俺は、あんなにガキじゃない」
 そう、言葉を放った。
 走る足がある。揮える力もある。
 ぐっと彼は足に力を込めると、炎の中目掛けて駆け出した。――何も恐れない。もう、あの頃の無力な自分ではないから。今の自分なら、出来る事があると信じて。
「こんな悪夢、ぶっ壊してやる!」
 輝く金の瞳が映すのは、彼の持つ銀色に光る背丈程の大鋏。薔薇の装飾を指でなぞり、彼は悪夢を払い輝く未来を掴み取る。
 自身の力を、証明するかのように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シホ・エーデルワイス
アドリブ歓迎


私のミスで大勢の人が死んだ
でも私は生き残った

私を良く知る人は
慰めたり励ましたりしてくれた

けれど…

大半の人は私を許さなかった


なぜお前が生きている!


私は十字架に縛り付けられ
目前には槍を向ける大勢の人
憤怒と悲嘆の眼差しを浴び


私…どうして生きているの?
一番罰せられるべき私が死んでいないなんて確かに不公平


涙が溢れ
思わず死を受け入れそうになった時


死んで楽にはさせない
お前の罪は魂を消滅しても釣り合わない
長く苦しんで償ってもらう


そして私は自分の疲労を代償に他人を癒し
殺されそうになっても死なない体を与えられ猟兵になった

全ては贖罪の為
許される日が来ると信じて
私は罰を受けながら
人々の為にこの身を捧げます




『なぜお前が生きている!』
 十字架に縛り付けられたシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)。目の前には槍を向ける大勢の人々。注がれる眼差しは、憤怒と悲嘆の交じったもの。
 それがシホの見る悪夢だった。
 記憶が曖昧な彼女――自身の事すらおぼろげで。名前と誕生日すら、所持品から探り当てたようなもの。そんな彼女の記憶にある、深い深い闇が今目の前に。
 大勢の人が死んだ。
 けれどシホは生き残った。
 シホを知る人は慰めたり励ましたりしてくれた。けれど、大半は許さずに罵声を浴びせる。――それは罪を責めるように。
「私……どうして生きているの?」
 彼女の青い瞳に涙が滲み、大粒の雫となって零れ落ちる。
 それもまた、記憶と同じ。一番罰せられるべき自分が、死んでいない事は確かに不公平で。責められて当然だと、死して当然だと、彼女は受け入れそうになった。
 けれど――闇の中だったシホにも、生き延びる道筋がある。
 ――死んで楽にはさせない。お前の罪は魂を消滅しても釣り合わない。長く苦しんで償ってもらう。そう、掛けられた言葉を思い出す。
 そうだ、それで自分は自身の疲労を代償に他人を癒す猟兵へとなったのだ。
 その行動は、全て贖罪の為。
 許される日が来ると信じて。そんな光溢れる日が来ることを信じて。
「私は罰を受けながら。人々の為にこの身を捧げます」
 ――それは、単純な光では無いのかもしれない。
 けれどただの救いより。シホにとっては生きる道標になっているのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・エイド
【WIZ】
トラウマねェ…
師匠に置いてかれたこと?
いや、それよりもその理由を聞くのが嫌だ!

アンタはあの時オレがいないと思って言ったんだろうが、
師匠から何でも知ってるアンタから、
オレの寿命が長くねェってのを聞いちまったのはこたえたんだ…。

…待てよ?
師匠がオレの気配に気づけねェわけない!
分かってて聞かせたはずだ!
アンタはクッソだらしねェが、
大事な時に無意味な行動はしねェたちだ!
猟兵として生きることで何らかの意味があんだな!!

よっし!生き抜いてみせるぜ!
つかコレ、ジャミングの幻影ってヤツか!?
うっわ腹立つ師匠ん顔してんなァ!!
双気弾銃で撃ち抜く!

じゃーな、師匠。
本物に会えたら
ただじゃおかねぇからなァ…




 アイ・エイド(腐れ人狼・f10621)の目の前にみるのは、師匠の姿。
 彼に置いて行かれた事が、彼のトラウマなのだろうか? 首を傾げ考えてみるけれど、その理由を聞く事に首を振る。
 それも嫌な思い出。けれど、それ以上にアイが気にしている事がある。
「アンタはあの時オレがいないと思って言ったんだろうが、師匠から何でも知ってるアンタから」
 ――オレの寿命が長くねェってのを聞いちまったのはこたえたんだ……。
 少し寂しそうな青い瞳で、真っ直ぐに師匠を見ながらアイは言葉にする。
 けれど自身のその想いを零した時――何かがおかしいと、気付いて眉を寄せる。
「……待てよ? 師匠がオレの気配に気づけねェわけない!」
 それほどまでに鋭い人なのだ。だからこそ『師匠』と云う言葉が合う。そんな彼がアイに聞かれたと云う事は、敢えて……分かってて、聞かせたはずだと云う事に気付く。
 師匠がだらしないと云う事はよく分かっている。
 けれど、大事な時に無意味な行動はしない。今のように、アイが猟兵として生きる事に何らかの意味があるのだと。そう、彼は今気付いた。
「よっし! 生き抜いてみせるぜ!」
 先ほどの寂しそうな色とは変わり、前を向く強い眼差しでアイは言葉を放つ。
 拳を握り、口元に笑みを浮かべ。彼は悪夢へと対峙する。――師匠と云う悪夢へと。
「うっわ腹立つ師匠ん顔してんなァ!!」
 少し笑みを浮かべ、吹っ切れたような清々しさで――彼の、師匠の銃でその幻を撃つ。
「じゃーな、師匠。本物に会えたら、ただじゃおかねぇからなァ……」
 そんな、最後の言葉を掛けながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
燃える故郷と、その中心に立つ、金の髪の少女。
私に世界の全てを教えた双子の姉――。
自分にそっくりな人形が、短い命の自分の代わりに、「自分」として生きていくことが、耐え難かったんだと言ったな。
村を燃やし、自らも火を飲んで、お前は死んだ。
私に世界を呪うように言い残して。
無理だと言ったら、お前は。
「お前の方が死ねばよかった」と、言ったのだったな。

……これが克服すべき過去か?
笑わせるなよ。
こんなものはとうに踏み砕いた。
出会ったときから思っていたさ。
お前の代わりに私が死ねば良かったと。
だがな。
全ては前に進むため――二度とこの光景を繰り返さないためにある。
この程度で、私の足を止められると思うな!




 燃える故郷。
 その中心に立つのは、金の髪の少女。
 ――その少女が、ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)に世界の全てを教えた、双子の姉であるとすぐに気付いた。
 自分にそっくりな人形が、短い命の自分の代わりに、『自分』として生きていく事が、耐え難かったと彼女は言った。
 だから彼女は村を燃やし、自らも火を飲んで、死んでいった。
 ニルズヘッグに、世界を呪うように言い残して。
 けれど彼は彼女の目の前で、しっかりと無理だと言った。すると少女は言ったのだ。
『お前の方が死ねばよかった』
 目の前で放たれた、その言葉を。
 俯いていたニルズヘッグの肩が震える。
 零れる声は嗚咽――ではない。微かな笑い声が漏れ聞こえてくるかと思えば、彼は顔を上げ少女に向け笑い声を零す。尊大な、いつものような表情で。
 ひとしきり笑うと、ニルズヘッグは少女へ鋭い金の瞳を向けた。
「……これが克服すべき過去か? 笑わせるなよ」
 こんな過去はとうに踏み砕いた。だってニルズヘッグは、出会ったときから思っていた。彼女の変わりに、自身が死ねばよかったと。
 けれど、全ては前に進む為。――二度とこの光景を繰り返さない為にある。
「この程度で、私の足を止められると思うな!」
 一喝するように彼が声を上げれば、一瞬にして少女と焼ける景色が消え失せる。
 呪いと傷と喪失を持っていても――世界は愛と希望に満ちていると、信じている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリル・メアリアル
わたくしにトラウマなんてありませんわ。わたくしは女王、わたくしは……

お城の中で、たった一人。隣にいるはずの誰かも思い出せなくて、とても孤独で、とても寂しい。

もう一人は嫌、孤独は嫌。
必死で誰かを探し回るように、ここから逃げる方法を探しますわ。

「もういやぁ……一人にしないでっ……!」


■対抗
今、わたくしがこうして孤独から解放されたのは、グリモアの力があるから。
今、この場で力を使うことは出来ないけれど、この力がある、という実感が、わたくしに一人ではないことを、城で待つお友達がいることをきっと教えてくれますわ。
どこにいても、ちゃんと繋がっていられる。そう考えれば強くなれる。
「わたくしは、女王ですもの!」




「わたくしにトラウマなんてありませんわ。わたくしは女王、わたくしは……」
 凛とした物言いでエリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)はそう零す。
 けれどその瞳には迷いが――お城の中で、たった1人だった過去を目の前にして。
 人間が自分以外、1人もいない世界。感情のないロボットだけが、自分の知る物。隣にいるはずの誰かも思い出せない、とても孤独で、とても寂しい感情が押し寄せる。
 ぽっかりと胸に穴が空いたような孤独感に包まれ――彼女は、その孤独を振り払う為。誰かを探す為に辺りを見回す。
「もういやぁ……一人にしないでっ……!」
 ――その悲痛な叫びは遠く遠く響き渡り……果てに、消えていく。
 それが彼女の、幼い頃。
 1人宇宙船で生きてきた記憶の悪夢。
 恐怖に震える身体。瞳に涙を浮かべ、逃げる方法を探る幼い少女。
 落ち着けるように深呼吸をしたところで――エリルは思い出した。孤独から解放されたグリモアの力があることを。
 この力があるという実感が、エリルに1人では無いと云う事を。城で待つ友人がいることを教えてくれている。
 どこにいても、きちんと繋がっていられる。そう考えれば彼女は強くなれる。
「わたくしは、女王ですもの!」
 涙を拭い、前を見据え、豪奢な衣装の裾を持ち彼女は一歩踏み出した。
 それは小さな小さな女王様の、決意の言葉。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エトワール・フィラントゥ
じゃみんぐそーちとはどの様な物でしょう?
奥へ進めば分かるでしょうか

*克服すべき後悔
『役立たず』
『長の娘だというのに』
そんな、陰で囁かれる嘲笑

長の末娘として生まれ、期待されて育った…なのに
兄弟と比べ一回りも小さく、狩りも下手
畑を潤す知恵もなければ
美しい毛並みでも色艶もない

優れた兄さま達と
強い光の前では霞む、星

*行動
…ええ、ええ
だからこそ、エトワールは此処にいるの!

今はまだ小さな光だとしても。
皆さまの役に立ちたくて、役立てる事を知りたくて

エトワールはエトワールの精一杯の力、で過去を克服してみせますわ
皆さまの笑顔の為に
小さな事からコツコツと!

…コチラを砕けば良いのですね?
にゃあ、お任せくださいませ!




『役立たず』
『長の娘だというのに』
 周りの人々がひそひそと語る声が聞こえ、エトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)はその夜色の耳をぴくりと動かした。
 森の奥の隠れ里、長の末娘として生まれたエトワールは、多大な期待を受けた。
 けれど兄弟と比べ、一回りも小さく狩りも下手。畑を潤す知恵もなければ、美しい毛並みでも色艶もないケットシー。
 優れた兄達。
 輝く彼等の光の前では、霞んでしまう星。
「……ええ、ええ。だからこそ、エトワールは此処にいるの!」
 きらり、星を抱く胡桃型のアメジストの瞳を瞬き。エトワールは前を向く。
 外の世界への憧れはあった。けれどそれだけでなく、少しでも家計の助けになればと云う気持ちも強かった。その想いを胸に、彼女は里を飛び出し出稼ぎメイドとなったのだ。
 今はまだ小さな光だとしても。皆の役に立ちたくて、役立てる事を知りたくて。
 さっと得意の掃除をするように、手にする肉球のような飾りがついたモップを揺らす。
「エトワールはエトワールの精一杯の力、で過去を克服してみせますわ」
 それは皆の笑顔の為に。小さな事からコツコツと。
 だって――エトワールは皆の笑顔の花が大好きだから。この想いが、皆に届けば良いと思っている。幸せな笑顔が、世界に満ちるように。
 ――悪夢を払った後、彼女の目の前にはジャミング装置が。
「……コチラを砕けば良いのですね? にゃあ、お任せくださいませ!」
 ぱたりと尻尾を揺らした後、彼女はモップによる重い一撃を装置へと落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月12日


挿絵イラスト