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スターブレイカー

#アポカリプスヘル #戦後 #風魔小太郎

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#アポカリプスヘル
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#戦後
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#風魔小太郎


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「……マザー・コンピュータの言っていた「彼ら」とは、このことだったか……」
 ムルヘルベル・アーキロギアは、顰めっ面でため息をついた。
 アポカリプスヘルを舞台とした戦争、「アポカリプス・ランページ」が終結したばかりだというのに、何が彼に渋面を浮かばせているのか?

 それは、集まった猟兵たちには明白だった。
 フルスロットル・ヴォーテックスの完全撃破とほぼ同時に垣間見えた「予兆」。
 そこに現れたのは――消滅したはずの二体のオブリビオンだったのだ!
「もしやすると、奴らのことを直接知らぬ者もいるやもしれぬゆえ、説明しておこう。
 我々が垣間見た「予兆」に居たのは、ドクター・オロチと風魔小太郎。
 前者はスペースシップワールドと、アックス・アンド・ウィザーズでの戦いで。
 後者はサムライエンパイアでの戦いで、我らの前に立ちはだかり、そして斃れた……」
 "はず、だった"。
 ムルヘルベルはそう付け加え、また嘆息した。
「逃走を許した、ということはない。間違いなく奴らは撃破されたはずなのだ。
 にもかかわらず、すでにオヌシらも目の当たりにしたように、奴らは来襲した。
 骸の海が持つ特異性ゆえなのか? あるいはなんらかの……いや、さておこう」
 思索にふけりかけたところで、ムルヘルベルは頭を振り、説明を続けた。

 とにかく、一度倒したはずの二体の強敵はこの世界に現れた。それがすべてだ。
 そしてムルヘルベルは、風魔小太郎の暗躍を予知し、猟兵たちを集めたらしい。
「彼奴は北関東平野……UDCアースで言う日本があった場所……に出現する。
 どうやらここには、ヴォーテックス一族とは別のレイダー勢力が居るようでな。
 そちらも気にかかるが、今回は風魔小太郎の撃破だけを考えてもらいたい」
 ムルヘルベルは注意深く警告した。
「というのも、彼奴は「風魔忍法隕石落とし」という秘術を扱うのだ。
 これはその名の通り、オブリビオンを隕石の弾丸に変え落とすというものでな。
 何が狙いかは知らぬが、現地の人類拠点を大規模に破壊するつもりらしい」
 弾丸の素材――つまり現地のオブリビオンは、風魔小太郎によって制圧される。
 敵は、その程度であれば簡単に実現してしまう、強力な存在なのだ。

「このまま放っておけば、隕石落としにより甚大な被害が出てしまうだろう。
 ゆえにまずは、彼奴の降らせる隕石を迎撃してもらいたい、のだが……」
 この隕石群は、オブリビオンが変化したもの。
 であれば、隕石からオブリビオンに戻ることもまた可能ということ!
「隕石の迎撃と、元に戻ったオブリビオン集団の撃破。それぞれが必須だ。
 ここで仕損じれば、風魔小太郎との決戦において大きな不利を受けるぞ」
 逆に言えば、迎撃に成功すればアドバンテージを得られるということだ。
 大量の隕石群とオブリビオン軍団をいかにして倒すかが重要と言える。
 素材となったのは、『改造屍人『ナブラヘッド』』という半機械化屍人兵。
 屍人でありながら様々な兵器を使い、テクニカルに立ち回る難敵だ。

「隕石群の迎撃を完了し次第、風魔小太郎を襲撃し撃破してくれ。
 彼奴が真正面から戦ってくれるとは思えぬが……やるしかない」
 ムルヘルベルは、サムライエンパイアで猛威を振るった、風魔小太郎の「忍者屋敷」についてかいつまんで説明した。
 無数の仕掛けが隠された、風魔小太郎手ずからのバトルフィールドだ。
 大規模破壊を可能とする奴ならば、忍者屋敷をその場に出現させる程度はわけないのかもしれない。
「せっかく勝ち得た平和を、こんな形で壊されてしまっては元も子もない。
 一難去ってまた一難。オヌシらには苦労をかけるが……健闘を祈る。頼んだぞ」
 かくして、アポカリプスヘルでの新たな戦いが始まる。
 転移先は北関東平野――向こうに回すは、蘇りし戦国時代の強者である!


唐揚げ
 アポカリプスヘルでの戦いは、まだまだ終わらない!
 というわけで戦後シナリオ第一弾、VS風魔小太郎リターンズです。
 舞台はアメリカ大陸から北関東平野へ移り、激闘が続きます!

 第一章では、隕石群への迎撃行動を取ればプレイングボーナスを得られます。
 皆さんの対応が十分であれば、二章の決戦において参加者様全員にプレイングボーナスが与えられますので、頑張ってください。

 採用は無理のない範囲でやっていきます。ご参加、お待ちしています!
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第1章 集団戦 『改造屍人『ナブラヘッド』』

POW   :    マスターキー
【高温に熱せられた斧】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ダブルタップ
【戦闘補助プログラム】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【銃による連続射撃】で攻撃する。
WIZ   :    ナブラレーザー
【視線】を向けた対象に、【頭部から放たれるレーザー光線】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●百面鬼『風魔小太郎』、君臨す
 北関東平野には、レイダーとはまた一風異なるアウトローがひしめく。
 UDCアース風に言えば、ヤクザだの半グレだの、そういう連中だ。
 しかしそんなあらくれどもも、オブリビオンには敵わない。
 そして……そのオブリビオンですら、風魔小太郎相手には鎧袖一触!

「「「数はこの程度でよかろう」」」
 風魔小太郎のいくつもの顔が、同時に言葉を発する。
「いざ参らん、風魔忍法披露のときぞ」
「その身、星となりて降り注ぐがよい」
「人類拠点、ことごとく破壊すべし!」
「「「風魔忍法隕石落とし、照覧あれい!!」」」
 立ち並ぶ改造屍人の群れが、ふわりと浮かび上がった。
 たちまちそれらは燃える隕石に変わり、成層圏まで一気に急上昇。
 そして大気を赤熱させるほどのスピードで、北関東平野の各地に降り注ぐ。
 これを打破せずして、百面鬼討つこと叶わず。
 空より来たる災禍を打ち砕き、いびつなる屍人を骸の海へと叩き沈めよ!
アルトリウス・セレスタイト
二度も倒されに出てくるとは暇人だな

戦況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
破壊の原理から逃れる術、無限の先へ届く道理いずれも無し
時と因果を繰れば攻撃も受けん
要らぬ余波は『無現』にて否定
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

絢爛を起動
目の前の空気を起点に戦域の空間を支配
因果の原理によりオブリビオンとその行動のみを対象に、破壊の原理を斬撃として具現
「その場に直に現れる斬撃」により支配圏全てを残らず斬断する
隕石も出てくるオブリビオンも区別なく、殲滅まで一切途切れず継続
唯の一つも逃さず落とす

有象無象に時間など掛けん
速やかに始末する

※アドリブ歓迎



●有象無象を叩き斬り
 燃え盛る流星が、空中で不可解に両断され爆発四散する。
 どこかから攻撃が行われた形跡もない。そも、オブリビオンに戻れていない。
「風魔小太郎――二度も倒されに出てくるとは」
 アルトリウス・セレスタイトの藍色の双眸が、不可思議に煌めいた。
「オブリビオンとは、存外暇人だな」
 また、空中で不可解な爆散。明らかに原因は彼だ。
 しかし余人には、アルトリウスが何をしたかまったくわかるまい。
 当のオブリビオンどもにも、そしておそらくはこの状況を観測する首魁にも。

 答えは、過程を無視した斬撃だ。
 何かを斬るには、刃物なり斬撃効果を持つ魔力なり、攻撃を発動せねばならない。
 振りかぶる、薙ぎ払う、魔力を撃つ……これは当然の、過程と結果の話だ。
 しかしアルトリウスの『絢爛』は、過程を無視して結果のみを起こす。
「その場に直に現れる斬撃」が、隕石を両断したという結果のみをもたらすのだ。
 ゆえに、何が起きたかわからない。
 であれば、回避も防御も、当然不可能。

 空では、また流星が無為に燃え尽きる。
 爆炎を映す藍色の瞳は、どこまでも澄んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

相馬・雷光
風魔!? 倒したハズなのに!?
これだから忍者ってヤツは! まぁ、私もなんだけどね!

ヴァジュラブラスターで隕石群を迎撃するわ!(スナイパー)
つっても、拳銃じゃあ結構厳しいわね……そのうち長距離攻撃用のパーツでも作ろうかな

バイオがハザードしてんだか、静かな丘なんだか分かんないヤツらね!
【早業】で雷撃弾(属性攻撃)の【弾幕】!
直撃する必要はないわ、電磁波で機械制御を狂わせるのが目的よ
それに筋肉だって電気信号で動いてる
強力な斧だってまともに振るえなきゃ飾りと一緒よ!
電撃の影響で体勢を崩したら【帝釈天雷蹴撃】!
二挺拳銃だから格闘戦に弱いと思った? 残念だったわね!



●稲妻の網
「風魔……!? あの時たしかに倒したはずなのに……!」
 さる2019年8月、思えば2年前――相馬・雷光は風魔小太郎と相対した。
 忍者屋敷を強襲し、小石の海を跳び跳ね繰り広げた死闘は記憶に新しい。

 その風魔小太郎が、いかにしてかアポカリプスヘルに現れた。
 実際に彼奴と相対した者として、そして同じ忍びとして、看過は出来ぬ。
「あれが風魔忍法隕石落としね、こっちの術は初めて見るかしら」
 などとひとりごちつつ、雷光は愛銃・ヴァジュラブラスターを構えた。
 鋼と黒、ふたつの色持つ雷銃が火ならぬ稲妻を噴き、空の星を叩き落とす!
「ナイスヒット! ……っつっても、拳銃じゃあさすがに厳しいわね」
 ヴァジュラブラスターは強力な銃器だが、射程距離は拳銃の範疇にある。
 雷光は優れた経験則で、これでは早晩押し切られることを読んでいた。
 長距離攻撃用のパーツ開発は急務……とはいえ、それは戦いのあとの話。

 そして彼女の読み通り、撃ちそこねた隕石のいくつかが周囲に着弾。
 直撃によるダメージこそ避けられたものの、それらはオブリビオンに戻った!
「これで囲んだつもり? 忍者の部下になったなら、忍者の手の内ぐらいは予測しなさいな!」
 赤熱斧が振るわれる。が、遅い! 雷光はその名の通りの俊敏さで回避!
 大気に焦げ付いた赤い斬撃痕が消えるよりも疾く、雷撃銃のトリガを引く!
 ZAP!! と特徴的な射撃音が響き、まず一体の屍人兵が黒く炭化し消滅。
(と、いちいち撃ってたらそれこそ焼け石に水ね。なら……!)
 雷光は霞めいた早業で、ヴァジュラブラスターに雷撃弾を装填。
 それを直接当てるのではなく、敵集団のど真ん中に撃ち込んだ。
 屍人兵は、当たらない弾丸を訝しむことなどせず、再び斧を振り上げる!

 ……しかし!
「言ったでしょ? 忍者の手の内ぐらいは予測しろ、って」
 振り上げられた斧は、なぜか降ろされることはなかった。
 屍人兵は、斧を振り上げた姿勢でびくびくと不気味に痙攣している。
 先の雷撃弾の炸裂で生じた電磁波が、奴らの機械部分を破壊したのだ。
 復帰には数秒かかるだろう。忍者にとって、それは永遠に等しい好機!
「因陀羅耶莎訶! 帝釈天、雷蹴撃ッ!!」
 地上に稲妻煌きたる。しなやかな蹴り足が屍人兵の鋼の頭部を一撃破壊!
 ともすれば、それはヴァジュラブラスターの弾速よりもなお疾いやもしれぬ。
 あっという間に頭部を失った屍人の残骸が、どさどさと崩れ落ちる。
「二挺拳銃だからって、格闘戦に弱いとは限らないのよ?」
 常に隠し玉を用意し相手の意表を突く、これぞまさしく忍びの業である。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベリル・モルガナイト
隕石落し。以前の。戦では。相対。しません。でしたが……
それが。例え。どんな。厄災で。あろうとも。私は。ただ。守るのみ
私は。盾の。騎士。なのですから

触れた。大地や。廃墟を。宝石の。盾へと
魔力による。【オーラ防御】を。纏わせた。盾を。上空へと。壁の。ように。並べ。重ね。隕石を。受け止め。ましょう
盾を。越えて。落ちてくる物が。あれば。盾を。構えた。この身にて。防ぎ。切って。見せます

屍人へと。戻ったなら。その身に。向けて。駆けだし。ます
前方へと。盾を。構え。視線を。遮り。【盾受け】にて。光線を。防ぎつつ。懐へ。潜り込んだ。所で。渾身の【シールドバッシュ】で。大地へと。叩き伏せて。参ります



●盾と掲げ前へと進む
 ベリル・モルガナイトにとって、相対するモノがなんなのかは関係ない。
 いかな強敵であれ、いかな厄災であれ、守ると決めたならば守る。
 それが、盾を掲げ前へと進む、騎士たる身の誓いだった。

 そして彼女の「盾」とは、常日頃持つ装備だけに留まらぬ。
 大地に触れ、あるいは廃墟に触れ、その身に宿る超常の力を流し込む。
 するとそれらはみるみるうちに宝石へと変じ、盾に――否、壁となり聳え立つ。
 並べ重なった宝石の守りは、城壁と形容するのが正しかろう。
「人を。世界を。脅かすのならば。星であろうと。獣であろうと。
 私は。この身と。盾を掲げ。ただ。守るべきものを。守りましょう」
 無論狙いはひとつ。その堅固を以て、降り注ぐ星を受け止めようというのだ!

 隕石は、ひとつふたつという規模ではない。十や二十でも足りるまい。
 直撃を受け、宝石の壁が砕け散る。降り注ぐ破片は本物の流星のようだ。
 だが、ベリルは不動。破砕したそれらをかりそめの盾に再構成し、浮かべる。
 それでも足りなければ自らの盾を使い、屹立し続ける。気高く!
『――!!』
 流星のままでは突破出来ないと判断したのか、いくつかの星が空中で屍人化!
 頭部から放たれるレーザー光線を、ベリル一体に集束させる。
 だがやはり、彼女の盾は壊れぬ。それどころかベリルは疾走!
「姿を。現しましたね。ならば。叩き伏せるのみ。参ります」
 SMASH!! 不壊の盾の堅固が、今度は破壊力となって屍人に襲いかかる。
 シールドバッシュの直撃を受けた屍人兵の頭部は、先の宝石盾めいて破砕。
 ベリルは斃れず、退かず、ただ気高く大地に立つ。
 守る者が頭を垂れるのは、戦いが終わった時だけだからだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート
風魔…もう二度とその名を聞くこたぁ無いと思ってたのによ
エンパイアのカスどもが、今度は出張で大忙しってか?
笑えねぇジョークだ コメディアンの才能すら無ェ 心底嫌いだ
…まぁいい 何度でも消せば済む話だ
いっぺん負けた野郎が、新天地でいい顔出来ると思うな

相も変わらず隕石か…ネタ切れも甚だしい
──『Metamorphose』
データゴーストにエクステンド
重力反転、落ちるスピードを極限まで落とすぞ
隕石にエクスプロシヴ・ボルトを撃ち込んで爆破して、処理して回る
よーやっと終わったのに水を差すな サプライズのマナーがなってねえ
雑魚もいやがるな…こいつらは超重力で弾丸ごと潰す

その無駄に多いツラ、全部絶望に染めてやる



●蘇るならば何度でも
 オブリビオンは、いわば擬似的な不死不滅を手に入れた存在だ。
 骸の海に本質がある限り、何度滅ぼそうと必ず蘇る。
 その因果を断ち切れるのは、特別な宿縁で結ばれた猟兵のみ。
 とはいえ、これまで猟兵たちは、名のある強敵は完全に殺し尽くしてきた。
 ゆえに、こんな事態は、まず考えられなかったことなのだ。

 しかし現実に、風魔小太郎は蘇った。
 ヴィクティム・ウィンターミュートにとって、これほど腹立たしいことはない。
「エンパイアのカスどもが。今度は出張で大忙しってか……ええ?
 ……笑えねぇジョークだ。コメディアンの才能すらねェ。心底嫌いだ」
 落ち窪んだ目に憎悪を漲らせ、ヴィクティムは吐き捨てる。
 平和を取り戻した世界を、土足で踏みにじる悪党どもへの義憤? 否。
 卑怯卑劣なる風魔小太郎の諸行に、正義の炎が燃え上がった? それも否。
 彼にとって、「エンパイアの敵」であることがなにより重要なのだ。

 その身を電子の亡霊に変換し、飛来する隕石の速度を極限まで低下させる。
 スピードを落としてさえしまえば、あとは落ちるより先に爆破するだけだ。
 ボルトが突き刺さり、炸裂――屍人兵はその身を戻すまでもなく四散していく。
「よーやって終わったのに、水を差すな。サプライズのマナーがなってねえ」
 本当の「サプライズ」はこうやるのだ、と言わんばかりに、流星を落とす。
 盛大に爆発四散する流星は、まるで花火のようだ。
 着地など許さない。形態変化しての小細工などなおさらの話。
 すべてを叩き落とす。一切の悪あがきを許容せずに殲滅する。
 どこまでも効率的に、合理的に、機械的に。
 煮えたぎる憎悪と憤怒が、ヴィクティムの頭を冬の静けさめいて冷やしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エル・クーゴー
●SPD



飛翔体の接近を目視で観測しました

サーチドローン『マネギ』、射出
これより迎撃行動を開始します


●隕石迎撃
・己は地表に布陣しつつ『マネギ』を高高度へ射出
・電脳ゴーグルの望遠捕捉に、マネギによる別角度からの観測情報を掛け合わせ、隕石の軌道と飛来速度をより精度高く演算する(撮影+情報収集+瞬間思考力)

・コード発動、隕石を最大射程11,881m時点にてフォートより打ち上げる火力で迎撃せん(対空戦闘+スナイパー)


●対ナブラ
・フォートはマニピュレーターにて動かしている
・よって両手は空けてある
・敵の射撃には、己自らの手で取り回しの早い火器――アサルトライフルとサイドアームを直接操り応戦する(制圧射撃)



●高度3万3000フィートを突き抜けて
 バシュウ! と噴射剤めいて空気を叩き、マネギが垂直上昇していく。
 高速で地表から離れていく姿と、その行き先とが、エル・クーゴーのゴーグルには投影されていた。
 つまり、対流圏を超スピードで落下する、無数の隕石の影が。
「飛翔体の接近を、目視で観測しました。これより迎撃行動を開始します」
 L-95の電脳ゴーグルの望遠性能なら、この距離でも視認は可能。
 加えて射出したマネギからの観測情報があれば、流星群の位置特定は容易だ。
 スピードや角度、どのように軌道を変えるか……なにより、その強度。
 仮に流星が突然直角に動きを変えても、これなら十分に対応できる。

「狙撃モードに移行_アームドフォート展開」
 ガシャン! とマニピュレータが大型射撃兵装をマウントし、照準をロック。
 L-95自身はアサルトライフルをいつでも撃てるようにして備えていた。
 流星群は、ものすごいスピードで地上に向かいつつある。
 あまりにも大規模に散開しているため、通常であれば迎撃は不可能――しかし!
「射撃開始(フルファイア)」
 KA-DOOM!! 超長距離用大口径キャノン砲が火を噴いた!
 初速1000m/秒をはるかに超える砲弾が、まっすぐに天を衝く……弾着!
「次弾装填_弾幕展開」
 DOOM! BOOOM!!
 鼓膜を引き裂くような轟音のなか、L-95の口元は鉄仮面めいて無表情。
 飛来する流星群を、正確かつ絶大な破壊力で、花火めいて爆散させていく。

 とはいえ、先にも挙げた通り、流星群はきわめて大規模に展開している。
 アームドフォートの弾幕をすり抜けた隕石は、空中で屍人兵に再変身。
 撃墜されないよう射角の盲点を狡猾に見抜き、L-95に銃口を向ける。
 直上の迎撃に専念する今のL-95は無防備……否! 彼女の両手はこのために!
「敵オブリビオンの接近を感知しました。迎撃します」
 BRATATA! アサルトライフルが、屍人兵の機械頭部をスイスチーズめいて穴だらけに変える。屍人兵爆散!
 いずれも地上に降り立つことはなく、バラバラのスクラップと肉片に変じ、荒野を転がる残骸に成り果てる。
 マズルフラッシュが、鉄面皮めいた少女の口元を艶やかに照らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・夕烏
男性人格・夕生(*ユオ)
心情)乗り越える壁はデカいほうが燃えるが、初陣の相手としちゃデカ過ぎやせんか? ま・ここに来ると選んだのは俺たちだ。こいつは軽口ってやつさ。相手に不足がなさすぎるが、胸を借りつつお命頂戴だ。
行動)キセル吸って気持ち・集中力を上げる。火槍を出して地面にぶっ刺して、ここらの地面を竜巻に変えるだろ。んで、それを細く鋭く…槍みてェに纏めて。あたりの岩とかも巻き込んで圧縮して焼き溶かして。狙うは隕石、貫けやァ!
空中で狙撃して落っことしたんだ、無傷たァいかねえだろ。結界で覆った傘、盾にしてビーム防ぎつつ焼き刺し殺す。集団だし油断せず、確実に仕留めていこう。生存第一だ。



●ふたりだけで/ふたりならば
「……乗り越える壁ってェのは、デカいほうが燃えるがよォ」
 赤い髪の女が、空を見上げて他人事めいて呟いた。
「こいつは初陣の相手としちゃ、ちとデカすぎやせんか? なァ、ユウ」
 女の言葉は、見た目にそぐわずへらへらと男性めいている。
 それもそのはず。朱酉・夕烏の身体ではあるが、今の表層人格は夕鳥ではない。
 いまの彼女の身体を操る人格(もの)の名を、夕生と云う。
 愚かにも/仕方なく縋ってしまった"ねがい"の生んだもの。欠けを埋める半身。
 戦いには"彼"が赴く。つまりこれは、彼も望んだ戦いであり、ただの軽口だ。
「なァんてな――ひとつ胸を借りるとしようかい」
 バトンめいて、くるくると手の中の煙管を弄ぶ。
 口元へ運んで紫煙をひとつ吐き出せば、それで戦いのスイッチが入った。

 夕生が紫煙の残滓に手を差し伸べると、残滓は掌に吸い込まれるように渦巻く。
 やがて生じたのは、熾火めいて熾赤みがかった橙に燃える一振りの槍。
 夕生はそれもくるくると片手で回し、やおら矛先を足元に突き刺した。
 燻る熱で荒野が焼けて、ぶすぶすと土が音を発し赤熱する。
 じわじわと、赤が荒野のヒビに伝わる。血管を駆け巡る血のように。
 やがて熱の浸透した地面は、ひとりでにめりめりとめくれて浮かび上がった。
 夕生を中心として、渦が生まれる。超次元の竜巻が。
「これじゃあまだ足りん。倍の倍、そのまた倍ぐらいは欲しいなァ」
 めりめり、ばきばきと、竜巻となった土くれはさらに細く鋭く加工されていく。
 まるで、槍だ。いずれも伝わった熱で、あかあかと燃えていた。

 燃える槍をざっと50ほど生み出すと、夕生はきっ、と空を睨んだ。
 流星が近づきつつある。着弾まであと10秒もかかるまい。
「全ェん部叩き落とせるとは思っちゃねェが――貫けやァ!」
 声に呼応して、燃える槍は天を貫く逆向きの雨となって跳ね上がった。
 流星と槍とが激突し、貫通し、爆砕! 降り注ぐのは屍人の肉片ばかり!
 当然、夕生の予想通り、すべてをこれで迎撃出来はしない。
 ゆえに彼はすでに駆け出している。降り注ぐ光線は傘を広げ拡散!
「生存第一、生存第一だ。危ねェ橋を渡っちゃ意味がねェ……」
 落ちてきた獲物をもう片手の槍で突き殺しながら、夕生は身を低くして駆ける。
 昼時の荒野に、残光めいて赤の帯が焦げ付いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

矢来・夕立
箱さん/f15222

オレは一度あれを殺しました。
二度目が出来ない道理はない。
…奴に訊きたいことはありますが、今は落ちてくるアレへの対処が先ですね。

こちらはあの忍法の仕組み、敵の戦術を知っている。
つまり嘗てと同じ手を打てます。
とはいえオレは式紙で駆け上がって【竜檀】で真っ二つにしてきただけですが。

以前はオレ一人でしたから、そうして斬り込むにも少し工夫が要りました。
今回は放り投げてくれる人がいます。
手荒でもこの際文句は言いません。

…いや。飛ばされて掴まれて投げられてって。
空中での姿勢制御くらい問題ありませんが。
オレでなければちょっと間抜けな絵面ですよね。
やっぱり後で文句言います。


冴木・蜜
美少年さん/f14904

私がやるべきことは理解しています
オブリビオンの処理はともかく
私は隕石には有効手段がありません

力仕事は不得手なので
少々手荒になりますが我慢して下さい

身体を液状化し『無辜』
液状化した腕を伸ばし
美少年さんを引っ掴んで
堕ちてくる隕石群に向かって投げましょう
伸縮性を利用すればゴム鉄砲紛いのことは出来る

射出後、体を気化し彼に随行
落下先にて肉体を再構成し
同じ要領で彼を射出
この手順を敵を殲滅するまで繰り返します

隕石から形を変え
射出を妨げる者が居れば気化した体で触れ
融かし落としてしまいましょう

え。放り投げろと仰ったじゃないですか
貴方なら大丈夫だと思いましたが
……、違いました?



●スターブレイカー
「オレは一度、あれを殺しました」
 矢来・夕立は、冴木・蜜を一瞥もせずに言った。
 どうでもいい話だが、ふたりして目が死んでいるコンビである。
 もっとも破滅願望の持ち主ではないし、生きて帰るために此処へ来たのだが。

 そのふたりの死んだ目が見上げるのは、空だ。
 すなわち、流星が落ち来たる空。嫌味なほど晴れ渡った、黄昏のあとの昼。
「二度目が出来ない道理はない――そもそも二度目があること自体業腹ですが」
「私は隕石には有効手段がありません。着弾するのを待ちますか?」
「オレの話、聞いてます?」
「聞いてはいます」
「そうですか」
 戦争を乗り越えたというのに、このコンビの会話は相変わらず一方通行だ。
 別にディスコミュニケーションを狙っているわけではないのだが……。

 ともあれ、夕立はかちゃりと伊達眼鏡の位置を直し、言った。
「懲りずに同じ手で来た相手に、いちいち手管を変える必要もありません。
 忍法というのは、搦手ですからね。中身がわかっていれば対処法も同じです」
「つまり?」
「オレを、放り投げてください」
「わかりました」

 間。

「……何か?」
「いえ。聞き返したりとか、驚いたりとか、そういうのは」
「そうしたほうがよかったならば、やり直しますが」
「もういいです。オレらしくないことをしました」
 空に向かって自分を放り投げろ、なんてのは奇矯もいいところだ。
 普通の人間なら夕立の望んだ反応をしただろうが、あいにく相手が相手である。
 蜜にジョークは通じない。ついでに言うと、理由はもうひとつ。
「少々手荒になりますが、あなたならそれで出来るのでしょう」
 ふたりの間には、仕事をともにしてきたパートナーなりの信頼がある。

 最低限の作戦会議(とも言い難い会話だったが)を終えると、蜜は液状化。
 黒い汚泥と化した身体から、巨人の掌めいた触腕がぐにゃりと生える。
「まずは稼げるだけ跳躍で距離を稼」
 がしり。ぶおん!!
 夕立のセリフは、あいにく猛スピードが洗い流してしまった。
『すみません。時間がないと思いましたので』
「…………文句は後回しにします」
『手荒なのは我慢していただけると』
「そこじゃないです」
 蜜は投擲と同時に身体を気化させ、ごうごう吹っ飛ぶ夕立に追従する。
 スピードが落ちてきたところで再液状化、投擲、追従。これを繰り返す。
 なかなか間抜けな絵面だ。あるいはゲームでバグを利用しているような。
「オレじゃなければ、これかなり笑える構図ですよ」
『美少年さんなら問題はないと思いますが』
「オレとしたことが同じ間違いを二度犯してしまいましたね」
『は?』
 夕立は液状化した蜜の身体を蹴り、加速。流星を真っ二つに切断した。
 隕石が爆散するより早くそれを蹴り、次を斬る。そのまた次を。
『……何か違ったのでしょうか……』
 などと素っ頓狂なことを言いつつ、蜜は再再々気化、屍人兵を包み込む。
 半機械化していようが、蜜の毒素は無生物だろうと脅かす死の水だ。
 急速に腐敗した屍人兵の残骸が、スピードに洗い流されて霧散した。
『放り投げろとおっしゃったのは彼ですし、大丈夫だと思ったんですが……』
 けっきょく、夕立が地上に降りるまで、蜜はずっと首を傾げていた。
 まあとは言っても、戦ってる間の彼に首なんてものはなかったのだが。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『百面鬼『風魔小太郎』』

POW   :    風魔忍法『風魔面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD   :    風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕から繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて俊敏な身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 流星群の射出位置から、風魔小太郎の居場所は簡単に割り出せた。
 逃げおおせる時間を与えず、猟兵たちは該当地点へと急行する。

 するとそこに聳えていたのは、これまた一部の猟兵には馴染み深い建造物。
 つまり、周囲が「風魔忍法忍者屋敷」によって作り変えられていたのだ!
 グリモア猟兵が懸念していた通り、奴は猟兵たちを迎え撃つつもりらしい。
 無数の仕掛けが施されたこの屋敷は、奴にとって最優のフィールド。
 しかし今の猟兵たちならば、奴に先制攻撃の猶予は与えずに済むだろう。
 とはいえ、敵は手強い。油断すれば忍びの技の餌食となるは必定。

 かといって忍者屋敷を外から破壊しよう、というのは悪手も悪手。
 そんなことをしている間に、奴はいくらでも手を打てるからだ。
 幸い隕石群の迎撃完全成功により、猟兵たちは一切消耗していない。
 この機を逃さず、アウェイに踏み込み敵を滅殺するのが最善手と言える。

 奇々怪々なる忍者屋敷の仕掛けを踏破し、身を潜めたる百面鬼を討つ時だ!
アルトリウス・セレスタイト
お帰り頂こう
此方は暇ではないのでな

戦況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
破壊の原理から逃れる術、無限の先へ届く道理いずれも無し
要らぬ余波は『無現』にて否定
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

天楼にて捕獲
対象は召喚物含む戦域のオブリビオン及びその全行動
無限加速した高速詠唱にて瞬刻で原理を編み、『再帰』で無限重複させた見えず触れ得ぬ論理の牢獄に閉じ込める

知覚できぬ迷宮の踏破はさぞ困難だろう
攻撃手段含め自壊対象故に破るも容易ではあるまい
何れにせよ猶予は短いぞ

対象外へは攻撃移動その他一切影響皆無
味方には存分に暴れて貰おう

※アドリブ歓迎



●見えぬ牢獄
「風魔忍法――『死鬼封神面』ッ!」
 風魔小太郎のいくつもの腕がそれぞれに印を結び、外道の忍法を発動した。
 すると彼奴の影が無数に分かれ、むくりと立ち上がったではないか!
「影分身、というやつか……いや、系統としては死霊術の類だな」
 アルトリウス・セレスタイトは、忍法のからくりを即座に見破る。
 それは歴代の『風魔小太郎』の霊を召喚し、戦わせるというもの。
 オブリビオン化していないものも含め、すべては百面鬼の傀儡といっていい。
「さすがは猟兵、我が術の真髄を見切るとはなかなかのもの。しかし!」
 立体的な像を持った影の手の中に、手裏剣や鎖鎌といった暗器が出現する。
「いかにからくりを見破ったとて、ここは我にとって最優の領域。
 すなわち、我ら『風魔小太郎』がもっとも力を発揮できる場所よ。
 加えてこの数の利……いかにして覆すか、見せてみよ! 猟兵ッ!」
「覆す、か」
 アルトリウスは不動だ。影が――襲いかかる!

「覆す必要などない」
 彼の謎めいた言葉の意味は、すぐに明らかになった。
 霞めいた速度で飛びかかった影は、空中で「何か」に触れた瞬間霧散したのだ!
「……これ、は!?」
「目を凝らしたところで無駄だ。お前では知覚出来んのだからな」
『天楼』。
 物質ではなく、触れず聞くことも出来ない原理で編まれた論理の牢獄。
 それは一切の慈悲なく、抵抗を許さず、以て完成すれば成すすべもない。
「このまま存在消去を待ってもいい。だがそれでは興醒めだろう」
 アルトリウスの姿が消えた。無限加速を応用した瞬歩めいた高速移動。
 拳を覆う蒼い光は、それ自体が圧縮された原理を示す!
「骸の海へ帰るがいい。こちらは暇ではない」
「グオオ――ッ!?」
 万物を必滅する原理の一撃が、百面鬼に叩き込まれた!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベリル・モルガナイト
※真の姿を開放、全身をモルガナイトで覆った甲冑騎士

この。荒れた。地を。瞬く。間に
ですが。臆しは。しませんわ

全身を。魔力の。【オーラ防御】で。覆い。盾を。構えて。踏み込みます
外からの。破壊は。悪手。ならば。内から
物理的な。罠の。類には。逆に。自ら。踏み込み。破壊し。踏破。致します
身を。隠す。場所ごと。壊してしまうくらいに。荒々しく

敵は。軍勢
ですが。室内では。一度に。すべてが。襲い掛かる。ことは。ない
向かってくる。敵から。確実に
壁や。床ごと。壊すほどの。勢いで。【シールドバッシュ】で。叩きつけて。参りましょう
使えそうな。仕掛けが。あれば。敵ごと。踏み込み。逆に。【地形の利用】も。して。参ります



●罠を踏み越え
 ズン、ズンと、巨人を思わせる重々しい足取りで、騎士が進む。
 それはただの荒野ではない。無数の罠が仕掛けられたからくり迷宮だ。
 見よ――ベリル・モルガナイトが畳を踏んだ瞬間、頭上から落ちる吊り天井!
「この。程度で。私の。盾を。貫こうとは」
 ガギン!! ベリルは盾を掲げ、無数の鋭い棘を受け止めた。
 そればかりかシールドバッシュの要領で、超重量の天井を物理破壊!
 続けざまに闇から飛んできた毒矢も、オーラの力で空中にせき止めてしまう。
「姿を。現しなさい。風魔小太郎。さもなくば。身を。隠す。場所を。すべて。壊します」
 ベリルの台詞は脅しではない。従わねばそうするという確定的「宣言」だ。
 そして事実、彼女ならそう出来るだろう。オーラとは心の力。
 すべてを守るという不壊の誓いが、彼女を支える礎であり鎧なのだから。

「……なんとも乱暴な真似をするものよ」
 ゆらりと、まるではじめからそこにいたように、怪人が影より立ち上がる。
「だがその度胸、気に入った。出でよ、風魔忍軍!」
 風魔小太郎は己の面を剥がし、握り潰した。
「風魔忍法、『風魔面』――出あえ出あえィッ!」
 たちまち現れるは、風魔小太郎に絶対に忠誠を誓いし風魔の忍びども。
 その身精強にしてその魂無比、いずれも怪人魔人たる闇の戦士だ!

 敵は軍勢。しかも場所は有利と来ている。だが活路がないわけではない。
「言った。はず。ですよ。風魔小太郎」
 ベリルの身体をモルガナイトが鎧い、盾はさらに頑強なものへ進化する。
 ベリルはズシン! と大きく踏み込み――大盾を! 振るった!

 ……KRAAAASH!!

「なんと!?」
 一撃。
 一撃である!
 壁も床も壊すというその宣言を、ベリルは自ら示してみせた。
 有象無象の忍びは残骸となり吹き飛ばされ、首魁への活路が拓く。
 途端に巨人の歩みは水銀めいた速度に変わり、ベリルは罠を「踏破」しながら疾走!
「攻撃は最大の防御と云うが、これほどまでに硬い鎧と堅い意志を持つとは……!」
「――私は。あなたには。臆しは。しません」
 続けざまの盾撃が、風魔小太郎に叩きつけられた。
 怪人は全身から血を噴き出し、断末魔めいた絶叫をあげて吹き飛ぶ。
 パン! パン! パンパンパパパパパ――ドカァ!!
「がはッ!!」
 無数の襖を突き破り、風魔小太郎は畳張りの床を無様に転がるのみ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

相馬・雷光
久しぶりね、風魔
それとも負けた記憶は引き継がれてないかしら?

ヴァジュラブラスターで雷撃弾(属性攻撃)の【弾幕】を【乱れ打ち】よ!
屋根裏やら畳の裏から出てくる軍勢の手裏剣を【見切って】迎撃!(武器落とし)
はっ! 手数に物を言わせるってのは前に見てんのよ!
やっぱり成長しないわね、オブリビオンってやつは!

流石に前と完全に同じじゃ見切られるハズ
でも敢えてそれをなぞることで、私を上回った瞬間の慢心の隙を突く!

振り下ろされる忍者刀を、手刀で弾き返す!(カウンター)
雷を纏った手刀、あんたには分かんないかもしれないけど、ビームサーベルみたいなもんよ!
【帝釈天雷刃剣】! 軍勢ごとまとめてぶった切る!



●その闇を撃て!
「――ぬ」
 百面鬼は、からくり屋敷に踏み込んだ者の気配に不思議な呻きを漏らした。
 警戒心が半分。もう半分は、己自身を訝しむような奇妙な響き。
「我はこの気配を知らぬ……だが"我はたしかに識っている"」
「ひさしぶりね、風魔」
 ざっ――と、畳を踏みしめ現れたのは、相馬・雷光。
 今の風魔小太郎は、彼女を知らぬ。彼女に打ち負けたことを知らぬ。
 オブリビオンとはそういうもの。生者ならざる残骸は不滅なれど不連続ゆえ。

 だが。
「それとも、負けた記憶は引き継がれてないかしら?」
「……なるほど、かつての我は汝に負けたか。さもありなん」
 風魔小太郎は気圧されずに認めた。
「汝に満ち満ちる気、油断なき立ち振舞。同じ忍びならば単純な比べ合いになろう。つまり、汝は我をも超える忍び"だった"……認めざるを得まい事実よな」
「"だった"? ふうん……」
 雷光が、猫めいて目を細める。
「今は違うとでもいいたげね、百面鬼!」
「当然なり――汝はここで死ぬがさだめよッ!」
 瞬間、雷光を囲むように、壁・床・天井から飛び出したる無数の影!
 からくり屋敷は風魔の庭。百面鬼に付き従う風魔忍軍の怪人魔人どもだ!
「はっ! 手数に物を言わせるってのは前に見てんのよ!」
 ZAPZAPZAP!! 雷光は後ろに跳びつつヴァジュラブラスターを連射!
 姿を現した忍びを雷撃で削り取り、さらに広範囲を焼く弾丸で隠れ場所を奪う。
 返礼代わりに飛来する無数の手裏剣は、類稀な体捌きで縫うように回避!
 鋼の星をしなやかな身体が螺旋を描いて躱すさまは、水中に遊ぶ妖精の如しだ。
 そして雷光は一切の音を立てぬ見事な着地を見せ、雷撃弾を放射連発。
 隙を突こうとした愚かな影は、ことごとくが稲妻に呑まれて霧散した。
(以前の戦いでは、あいつを挑発して隙を引きずり出した。けど――)
 そのままの手を考えなしに使うだけでは、奴の言葉は真実になろう。
 "ゆえにそのようにする"。詭道とは一片の真実があらばこそ効果を発揮する。
 雷光はかつての戦いの己を模倣するように、脳内の記憶に従い跳躍した。
「遅い、遅い、遅いッ!」
 そして彼奴もまた、かつてのように雷光を追い、影と影が交錯する。
 哀れ、巻き込まれた忍びは襤褸めいて切り裂かれ、あるいは焼け焦げるのみ。
 はたして幾合か、交錯はいよいよ風魔小太郎が凌駕を見せる――即ち好機!
「終いよ女忍者、汝の命運尽きたり!」
 心の臓を狙い、忍者刀が振り下ろされた!

 ――バチィッ!
「ぬう!?」
 百面鬼、驚愕! これは異な手応え、打ち返したるは鋼に非ず。
「因陀羅耶莎訶――」
 雷光はすう、と鋭く息を吐き、四肢末端に至るまで雷気を漲らせた。
 寄せては返す波のように、気は激烈な電流となって心臓を巡る。拍動!
 たちまち手刀を覆うように萌え出るは、大気をすら焦がす稲妻の剣!
「帝釈天――雷刃剣ッ!!」
 撃剣炸裂。刀身は尺に留まらず間に達しよう熱が、影を切り裂いた。
「なんたる、絶技……! 我が破ってなお、研鑽と進歩を続けたか……ッ!」
 名を冠する天部の怒りがそのまま現出したかの如き、凄烈な一文字。
 空気中に残留した熱が爆裂し、忍びの残滓のことごとくを焼き尽くした!

大成功 🔵​🔵​🔵​

エル・クーゴー
●WIZ



躯体番号L-95
当機はNINJAムーブに高い適性を発揮します


・こちらもくのいちルックにてエントリー
・サーチドローン『マネギ』も忍猫っぽくデコって投入、屋敷内の探索やギミック解析に放つ(偵察+撮影+情報収集)

・会敵/交戦時は【L95式ペイントブキ】使用
・なお塗料弾は五色米(とことん忍者っぽく)

・壁床天井、そこかしこの地形へ適宜潜航し機動することで、罠や敵攻撃を掻い潜ると共、屋敷のギミックを逆用しつつの攻勢に繋げる

・忍法火遁の術と言い張りブラスター発射(レーザー射撃)
・敵の展開を薙ぐ【範囲攻撃】、忍法ガトリングの術
・トドメは遮蔽ごとブチ抜く【貫通攻撃】、忍法アンチマテリアルライフルの術!



●スプラ遁
 ビャビャビャビャ! ズビャビャーッ!
 なにやら風魔からくり屋敷に飛び散るのは……これは、五色米だろうか。
 壁も畳も木張りの天井も、サイケな色合いで塗り潰されていた。
『ええい、面妖な武器を使いよる』
『我ら風魔小太郎を前にして、影に沈むなど猪口才な』
『格好ばかりの小娘なぞに遅れを取るものか!』
 と、歴代の風魔小太郎の霊は口々に騒ぎ、ある者は手裏剣を、ある者は鎖鎌を振り回す。
 しかしその刃が、くのいち「おエル」もといエル・クーゴーを捉えることはない。
 さりげなーく浮かんでいるマネギ(忍猫スキン)が、敵の位置や攻撃方法を適宜教えてくれるからだ。
 さらにこの五色米による塗りつぶしは、ただのいたずらではない。
 おエルは水に沈むように塗料の中に潜航し、攻撃を避けることが出来るのだ!
 奇しくもその動きは、風魔に伝わる伝説の忍法とよく似ていた。
 影から影を渡り、まるで万軍が潜んでいるかのように錯覚させる忍法。
 その名を、風魔忍法『万面身(まんめんみ)』と云う。失伝した忍法なのだ。

『どこだ! 我らの目を欺くなど、並ではない……!』
「案ずるなかれ。罠で燻り出せばよし!」
 風魔小太郎がだん! と畳を踏むと、途端に大広間の壁がぐるりとどんでん返し。
 さらに畳がランダムに起き上がり、さながらカバーリング用の遮蔽めいて風魔小太郎軍を手助けする。
 五色米がライスシャワーのように飛び散ったことで、おエルは強制的に引きずり出された!
「そこだ! 射抜けィ!」
『『『イヤーッ!』』』
 手裏剣飛来! おエル、絶体絶命か!
「忍法_火遁の術」
 ZAAAP!! これは火遁ではない、ただのブラスターだ!
 熱線が空中の手裏剣を溶解撃墜する。さらに両手にはガトリングガンと……アンチマテリアルライフル!?
「忍法ガトリングの術_および忍法アンチマテリアルライフルの術です」
 BRATATATATA! KA-DOOOM!!
『『『グワーッ!?』』』
 風魔小太郎霊無残! これはただの物理攻撃だ!
「なんと面妖な、これが異界の忍術だとでも……!?」
「当機はNINJAムーブに高い適性を発揮します」
「忍びではないのか!?」
 百面鬼の貌が、一斉に驚いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・夕烏
男性人格・夕生
軽口)っはは、荒野に突然お屋敷たァね。その不思議忍法とやら、この世界の住人にこそ必要なンじゃねェか? なァんて、軽口。いっそ逃げてェがこいつら、放置すっと世界がなくなるんだろ? そしたら結局お陀仏だ。仕方ない仕方ない、やるしかねェや!
行動)こちとら軽業師で金とってんだ。天井落ちるなら床切って抜けるさ、下から串刺しなら壁を走るさ。杖で穴飛び越せ、薬で恐怖を塗りつぶせ。居たなァ首魁が! 手裏剣だ鎖鎌だ邪魔すんな、槍で弾いて溶かしてやるよ! 跳んで走って槍を踊らせ、そっ首に穂先届かしてやる。面のひとつは焚いてやる。こちとら苦界を駆け生きてンだァ、邪魔するってンなら地に足つけな!



●壁駆け穴越え恐れ捨て
 ガラララ――ズシンッ!!
 出し抜けに、木張りの天井がまるごと落ちて床を串刺しにした。
 鋭く尖った棘がいくつも生えた、重り付きの吊り天井だ。
「っはは、古典的な罠ァ仕掛けてやがる。おっそろしいねェ」
 朱酉・夕烏は無事だ。彼は床を切り裂きその下へ抜けていた。
 幸い地下に隠し通路があったのだ。おそらくは風魔小太郎の移動用。
「さァて、こいつを利用させてもらうとしようかィ。蛇の道は蛇――」
 夕生は軽口を叩きつつ、ふわりと風に舞う布のように跳躍した。

 からくり屋敷に隠し通路? しかも、吊り天井の真下に?
 馬鹿げた話だ。これは罠を見破った侵入者をさらに射殺す第二の罠。
 夕生とてそのぐらいはわかる。そして事実、足元から棘ががしゃりと出現!
「二重三重、こンなモンようも即興で建てやがる!」
 夕生は壁を駆ける。地下道は暗く狭く、襲うには絶好の場所だ。
 どこかで地上に出なければならない。つまり道なりに進む他になし。
 わかりやすく出口を用意してくれているだろうか? まず間違いなく……否。
「この不思議忍法とやら、この世界の住人にこそ必要だろうによ!」
 軽業師は横から上から飛び出る棘を躱し、出口なき迷路をひた走る。
 どこへ通じているかもわからぬ穴が拓けば杖で跳び、毒霧は呼吸を止めて。
 体力とともに増していく恐怖心は、調合した薬で塗りつぶす。
 出口などない。
 逃れることなど出来ない。
 己の迂闊を呪って死ぬがいい。暗闇がそう語りかける。

「――来たか!」
 されど彼とて猟兵、この程度で死ぬはずもなし!
「来たぜェ、首魁!」
 風魔小太郎の眼前、強引に床=天井を切り抜いた夕生が飛び出した。
 敵はそれを予想済みだ。空中に浮かぶ夕生に襲いかかる刀! 苦無! 短刀!
「っとォ!」
 ガキキキ! と杖を巧みに操り刃を躱す。巨腕を蹴って後方跳躍。
 追いかけるように飛来する鋼鉄の星。杖を火槍に持ち替えぐるりと一周!
「邪魔すンな、忍びとやらにゃ遅れはとらねェぜ!」
「よくぞ吠えた!」
 キ、キ、キンッ! 弾幕めいた鎖鎌と手裏剣のコンビネーションだ。
 一度離れてはやすやすと近づけぬ――ならば間合いを伸ばせばよし!
「俺と踊ってもらうぜ。燃え延びな、槍よ!」
「!」
 ぐんと火槍が勢いを増した。夕生、這うほどに失せ疾走――否、前向きに跳躍。
「こちとら苦界を駆け生きてンだァ、邪魔するってンなら地に足つけな!」
 刺突の狙いは腹――否、頭部! 面のひとつが貫かれ、燃え、爆ぜた!
「ぐうっ!!」
 怪人はがくりと膝つき火傷を手で覆う。夕生はにたりと滴るような笑み。
 およそ人が浮かべはしない、嘲弄と苛烈に満ちた笑みだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

冴木・蜜
美少年さん/f14904

派手な作戦を相手にして失念していましたが
彼も忍びでしたか
レイダー勢力を潰して彼らに何の利益があるのでしょうね

私は美少年さんのサポートに徹します
体内毒を濃縮
身体を液状化
美少年さんの影に紛れる形で同行しましょう

分身とはいえ見事なものですね
罠塗れの屋敷で最短ルートを辿れるとは
同じ忍びだから考えることがわかったりするのですか?

相手が仕掛けてきたら
身を起こし美少年さんを庇います
そのまま飛び散った血肉を利用し
捨て身の『毒血』
手足の一本融かせれば上等
忍具であれば融かし……いえ
体内に取り込んで勢いを殺しましょう

一瞬稼げば充分ですよね
ということで、〆はお任せしますよ
忍者さん


矢来・夕立
箱さん/f15222

なぜ。どうやって。
不思議ではありますが、それより「誰の差し金か」が気になりますね。
基本的に忍者は外から命令があって動くものですから。
それともアイツ我欲とかありましたっけ。まあいいか。

【紙技・影分身】。先行させます。
《闇に紛れて》それを追い、罠にかかれば援護をする。

このオレの分身ですから一番早いルートを進むものと思われます。
攻城の心得は忍者の嗜み程度にありますよ。
オレも近道なり罠なりを探します。適宜指示を出していく感じで。

標的を発見次第そのまま攻撃させる。止めません。分身ごと殺します。
場合によっては箱さんも巻き込みますね。
融かしたりしないでくださいよ。大事な刀なんで。



●風魔死すべし
「――我がからくり屋敷が、こうもたやすく突破されようとは」
 言いつつも、風魔小太郎は自嘲の念を覚えた。
 猟兵は精強無比、そして己はかつて、一度彼奴らに破れた者である。
 想定していないはずがない。覚悟はしたし、備えて改良も施した。
 それをすら越えてみせる――いやまったく、あっぱれなものだ。

 対して、罠だらけの迷宮を突破した男は、平然とした鉄面皮だった。
 ともすれば、百面鬼のほうがまだしも喜怒哀楽に秀でていよう。
「なにせオレの分身です。一番早いルートを、一番効率よく進みました」
 矢来・夕立は、抑揚のない平坦な声音で云う。
「忍びか」
「オレは以前あなたにそう問われましたし、答えました。親喰らい」
 風魔小太郎は、くくっと喉を鳴らすように笑った。
 なるほど、只者ではない。身に纏う怨念憎悪の匂いがそれを肯定する。
 はたして幾人殺したか――己もさぞかし無様に死んだのであろう。

 出し抜けに。
 何の前触れも予兆もなく、鎖鎌がヒュンと跳んだ。
 刃は音を超えるほどの速度であり、当然のように夕立の首を伐る。
 血の柱が木張りの天井を赤く染めた。やがてそれは霞めいて消える。
 あとに残ったのは、1と9とに分かれた依代の残骸だ。
「なるほど、最短最効率。されば――」
 ぎらり。百面鬼の眼が闇を凝らす……四方八方、来たる鉄面皮!
「いかにもそうするであろうな、忍びならば!」
 多腕が印を結ぶ。同時に鎖鎌がじゃらりと旋風を起こした。
 分身壊滅! 応報めいて影より飛び出す風魔の怪人魔人の群れ!
「まあ、そうなるでしょうね」
 "夕立"が遅れて姿を表した。放たれた苦無が無造作に有象無象を殺す。
 依代をばらまく。それは床に落ちるより早く夕立に変わり、地を蹴った。
 驚天動地の忍術合戦ここにあり。影と影とが争う。カゲもまた静かに跋扈す。

 法師を照らすは、ぶつかりあう鋼と鋼が生み出す火の花々。
「オレとしては、誰の差し金かを問うておきたいのですが」
「知れたこと。汝らならば"視て"いよう」
 ギン! 刀と刀がバツ字を描いた。百面鬼、ひらり後方に跳び影を生む。
 夕立は蝙蝠たちを放つ。さらに分身を――ぎょろり。眼が本体を追った。
「我が求むるは、いまだ眠りしオブリビオン・フォーミュラ3体なり。
 それを我が面とし、力のことごとくを我が血肉とせん。信義がために!」
「忍びが信用信頼を口にするとは、裏切るのがオレらの仕事でしょうに」
「ならばこそと汝とてわかっていよう――影に仲間を潜ませるならばな」
 手裏剣の雨が降る。夕立は避けない。"避けられない"のだ。
『出番ですね』
 影がぐにゃりと立ち上がる。液状化し潜んでいた冴木・蜜だ。
 鋼鉄の星が粘体を貫き、千切れ、追って荒んだ鎖の嵐が引き裂いた。

 されど、それすらも狙いのうちである。
『その刃、その器、すべて腐らせてみせましょう』
 風魔小太郎は舌打ちする。毒蜜! 己の身そのものを毒としているか!
 体内に毒を仕込むのは、忍びのわざとしてはそう珍しいことでもない。
 予想していなかったかと言えば、否。想定した上での攻撃ではある。しかし……!
「この毒血――汝、すでに人を捨てたか」
『人かどうかは、私にとって関係ないことです』
 声がした。飛び散った残骸の震える音だ。
『私は癒やし、傷つけるものを融かすだけ――このように』
 鋼がどろりと黒に混じる。手裏剣は呑まれ融かされ解れて消えた。
 集合した黒=蜜が、獲物を求めて抱擁=捕食しようと触腕を伸ばす。
「ぬう!」
 片腕を呑まれた。百面鬼、即座に肩口を切断し拘束を逃れる。
 背後に殺気――影か! 振り向きざまに首を伐る。……これが命取りとなった。
「以前はよい指導をありがとうございました。お礼です」
 刃が黒を貫き、そのまま百面鬼の心の臓を貫いていた。
「……仲間もろとも、我を、討つ……と、は……」
 百面鬼にはわかる。蜜の体質なら、これは致命傷とはならない。
 ならないとわかっていても、普通の人間なら躊躇する。
 肩を並べて戦う人間を身代わりに、あるいは壁にしてまるごと敵を貫くなど。

 忍びは躊躇しない。ゆえにこそ忍びなのである。
「見事、なり――」
 風魔小太郎の肉体は、毒血に融かされ黒に混じり跡形もなく消えた。
「言ったでしょうに。信義だどうだ、忍びが口にするものではないと」
『では、あなたは私を信じていないのですか? 忍者さん』
 人の姿を取り戻した蜜が、言った。からかい言葉のようにも思えた。

 夕立は、一瞬だけ彼の紫の瞳を見た。
「信頼はしています。信用はしていません」
 夕立はもう一言付け加えた。
「忍びは信用なんてしないものですよ」
 踵を返す。蜜はその背中をしばし見つめて、ぽつり呟いた。
「少しずつですが、私も彼のウソを見抜けるようになったのかもしれませんね」
 どろりと人の身体が崩れ、影に変わった。
 振り返ることなく、黒ふたつは荒野へ踏み出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月01日


挿絵イラスト