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紋章の祭壇:辺境伯の紋章

#ダークセイヴァー #第五の貴族 #マイ宿敵

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#第五の貴族
#マイ宿敵


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「うーん……もう少し、なんだけどな〜。ちょっと足りないのよね〜。」
 薄暗い墓所の中、積み上げられた人の死体を見上げて呟く、一人の吸血鬼の女性。
 笑みの似合う顔で少し眉根を寄せて考えていると、
「誠に申し訳ありません……もしや、私たちの集めた材料に、不備が?」
「あ、ううん、そうじゃないのよ〜? 貴女たちの働きには満足してるわ〜。」
 そんな女主人の後ろから声を掛ける、聖女の姿をした一団に笑顔を返していた。
 機嫌を損ねた訳ではないと胸を撫で下ろす聖女たちだが、異質なのはその法衣の下でうねる、聖女たちから生える触手。
「人間は充分なのよね〜……ただね、ちょっとした特別な存在が足りなくてね〜? 人狼とか異端の神とか〜……貴女たちのような聖女とか〜。」
「……誠に、申し訳ありません。ですが、新たな村を見つけました。必ずや、ご希望に添えるかと。」
「あら~……あらあら~、気が利くわね~。じゃあ、お願いするわ〜。」
「お任せを。」
 去っていく聖女たちを見送り、
「少し派手に動きすぎたかしらね〜? でも〜、その方が強い子が来てくれるしね〜。」
 ふんふんふーんと上機嫌に鼻歌交じりに、女主人は儀式の準備を進めていた。

「集まってくれて、あの、ありがとうございます。
 今回は……ダークセイヴァーで滅ぼされそうになってる村を救って、それから、元凶の第五の貴族を倒してください。
 お願いします。」
 ピンク色の頭を下げる影山。
 顔を上げてグリモアを掲げると、暗がりに浮かぶ村の明かりがグリモアベースの壁に映り……その周囲には、蠢く魔蟲の群れの姿があった。
「まずは、この魔蟲の群れを退治してください。
 大して強くはないんだけど、村の人たちには手に負えなくて……放っておくと、村の作物とか全部食べちゃうんです。
 そして、生き残った村人たちは……、」
 場面が切り替わると、村の外れに待機する聖女たちの姿が映し出された。
「この人たちが、第五の貴族のいる所に村人たちを連れて行っちゃうんです……。
 それだけは、防がないと……だから、皆さんお願いします。
 この人たちから話を聞けば、第五の貴族の居場所がわかるはず……なので。」
 そう言って影山の手の中でグリモアが輝くと、村外れへとゲートが繋がった。
 猟兵たちが現地へ向かおうと足を踏み入れようとした時、
「あの、1つだけ……。
 今回の第五の貴族は、何かを知ってる……と思うんです。
 ただの私のカン、なんですが。
 ……あの、皆さん、よろしくお願いします。」


ヨグ
 ヨグです、ダークセイヴァーの紋章の謎に迫るシナリオ第3弾となります。
 なお、魔蟲と戦っている最中には、聖女たちは現れません。
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第1章 冒険 『魔蟲掃討作戦』

POW   :    多数の魔蟲の群れに飛び込み、体力の続く限り暴れまくる

SPD   :    群れから逃げ出そうとする魔蟲を発見し、逃がさないように掃討する

WIZ   :    策略を駆使して、多くの魔蟲を逃がさずに殲滅できる状況を作り出す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

須藤・莉亜
「虫、虫か。ゲテモノの類は確かに美味いんだけど、そんなに数はいらないんだよなぁ…。」
まあ、良いや。適当に味見したら全部ぶっ殺そう。

UCで狼化し、周囲に狼の群れを召喚。
この子達もお腹が空いてるっぽいし、お腹いっぱい食べてもらおう。
虫の血って癖があるけど美味いのもあるからねぇ。…不味いのはホントにクソ不味いけど。今回はどうかな?

狼達には虫達を囲む様に狩っといて貰おうかな?逃して餌が減るのは勿体無いし。
僕は血飲み子と黒啜を持たせた悪魔の見えざる手と一緒に戦う。
味見で噛み殺しながら、爪で引っ掻いたりしてとっとと殺そう。

「うん。早いとこ吸血鬼の血が欲しくなってくるね。」
前菜にしちゃあ癖があり過ぎるよ。


シホ・イオア
色々と気になるけどまずは魔蟲のせん滅をすればいいんだね。
村や作物が狙われてるってことだから、まずは……

「輝石解放、ゴールド! おいでませ、妖精の陣!」
村を守る防壁を作ってー、
魔蟲を閉じ込める檻やドームを作ってー、
ついでに休憩所も作ってー。

魔蟲の動きを阻害できるように建物で囲んだりすれば
上空からガトリングブーツで制圧射撃とかできるだろうし
味方の遮蔽として利用できるかもしれないしね。
あ、リクエストがあれば応えるよ。



 ゲートを抜けた先では、月明りの下で収穫を待つ麦の畑が広がっている。
 そして、村の外を囲む森からはガサガサと蟲の蠢く音が響いていた。
「……色々と気になるけど、まずは魔蟲のせん滅をすればいいんだね?」
「あぁ、そうらしいね。」
 森の方へ視線を向けたシホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)の問いに、須藤・莉亜(ブラッドバラッド・f00277)は煙草に火を点けながら気だるげに応じていた。
 煙草を一つ吸い、紫煙を吐きながら耳をすませば、蟲の音が近づいているのが解る。
「虫、虫か。ゲテモノの類は確かに美味いんだけど、そんなに数はいらないんだよなぁ……。」
「え……食べるの?」
「あぁ、虫の血って癖があるけど美味いのもあるからねぇ。……不味いのはホントにクソ不味いけど。」
「そ、そうなんだ。シホはやめとくよ。」
「はは、それがいい。さて、」
 そんな話をしていると、森から百足のような魔蟲の群れが姿を現していた。
「適当に味見したら、全部ぶっ殺そう。」
「うん! この村の作物に手は出させないよ!」
 須藤の姿が狼へと変わり、さらに月明りの影から狼の群れが起き上がる。
 その背後でシホが輝く宝剣、宝石剣エリクシアを引き抜いた時、一斉に魔蟲の群れへと駆け出していた。

「輝石解放、ゴールド! おいでませ、妖精の陣!」
 シホの周りに金色の輝石が浮かび上がり、麦畑の周囲に防壁が築かれていく。
 地面から持ちあがる防壁に魔蟲は分断されていき、襲い掛かるのは須藤率いる狼の群れ。
「さぁ、食事の時間だ。」
 先頭を走って喰らいつき、嚙み殺し……魔蟲の切れ端を口の端から覗かせ、そのままほかの魔蟲を爪で引き裂いていく。
 追いついたシホは好奇心に駆られて問いかけていた。
「……味はどうなの?」
「悪くはない、かな。お腹を空かせたこの子たちなら、喜んで食べてくれるね。」
「そっか、なら逃がさない方が良いよね!」
 そう言ってシホがくるりと宝剣を回すと、上空に檻やケージが現れ……ガシャン! と落ちて、下にいる魔蟲たちを捕まえていた。
「これでどうかな?」
「いいねぇ。じゃあ僕も、本気を出そう。」
 途端に須藤の横に浮き上がる二振りの大鎌、白い血飲み子と黒い黒啜。
 見えざる手に操られた大鎌も狼たちに追い立てられた魔蟲へと斬りかかり、その血の味を須藤へと伝えてくる。
「……うん。早いとこ吸血鬼の血が欲しくなってくるね。」
「やっぱり、違うの?」
 ケージを開き、ガトリングブーツで上空から魔蟲を狼たちの方へ追い立てながら問いかけるシホ。
「前菜にしちゃあ、癖があり過ぎるからね。」
「……そっか。」
 表情も変えずに答える須藤に、シホの背筋に少し寒気が走った気がした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…第五の貴族。地上の吸血鬼共に紋章を与えている元凶

…その配下が直々にやってくるならば是非もない

…必ずや居場所を探しだして、その首を狩ってみせるわ

UCを発動して第六感が捉えた敵味方の吉凶の流れを暗視して見切り、
戦場の全ての魔蟲の好機を奪い自身が優位になる位置に切り込み、
周囲の敵の攻撃は「怪力の呪詛」に魔力を溜めて防具改造を施し、
触れた物の生命力を吸収するカウンターオーラで防御して受け流し、
「炎の精霊結晶」を乱れ撃ちして連続爆破する火属性攻撃で敵群をなぎ払う

…数を頼りに攻めて来ても無駄よ。私には通用しない

…お前達を残しておくと村の人達が迷惑するもの
一匹たりとも残しはしないわ。吹き飛びなさい


ディアナ・ロドクルーン
アドリブ・共闘可

紋章を作る第五貴族もなかなか減らないわね…

まずはさっさと魔蟲を始末しましょうか
数だけ入るから面倒ね

村の方に魔蟲がいかないように注意しながら
魔蟲をひきつけてある程度数が集まったら、UC「死の舞踏」で仕留めて
これを何度か繰り返して減らしていきましょう

敵の攻撃は第六感で回避。状況によっては剣でも攻撃を。

全く…駆除するのも骨が折れるわね



「……第五の貴族。地上の吸血鬼共に紋章を与えている元凶。」
「その紋章を作る第五貴族も、なかなか減らないわね……。」
 暗闇の中で呟く、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)とディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)。
 2人の潜む村の外れには、ガサガサと蠢く魔蟲の近づく音が響いている。
「……その配下が直々にやってくるならば是非もない。……必ずや居場所を探しだして、その首を狩ってみせるわ。」
「そうね。そのためにもまずは、さっさと魔蟲を始末しましょうか。」
 ディアナの言葉にリーヴァルディが頷いた時、周囲の森から百足のような魔蟲の群れが現れた。
 数百、数千とも見える魔蟲の群れが津波のように押し寄せる様子に、リーヴァルディは軽く舌打ちし、
「……思ったより多い。」
「ええ、数だけはいるから面倒ね。でも、やれなくはないでしょう?」
「……もちろん。」
 軽く言葉を交わし、2人は魔蟲の群れへと向かって駆けていった。

 魔蟲へと向かう2人の動きは対照的で、
「さぁいらっしゃい。あなたたちの大好きな柔らかい肉があるわよ。」
 手招きと共に目立つように動くディアナへと、魔蟲の群れは近づいていく。
 剣を手に、ふらりと踊るように魔蟲の顎を避けるディアナがある程度群れを引き付けた時、気配を殺したリーヴァルディはさらに後ろの群れの中心へと駆けていった。
「ふふ……かかったわね。」
 手にした剣を振るうと、刃の先が徐々にガラスの薔薇の花びらへと変わり……ディアナの動きに合わせて周囲を舞う鋭利で透明な花びらが、魔蟲たちを切り刻んでいく。
 千切れ飛んだ魔蟲の手足、そして血が煙のように立ち上った時、
「……お前たちを残しておくと、村の人達が迷惑するもの。」
 そちらへと意識が向いた魔蟲たちの中で、リーヴァルディは懐から取り出した炎の精霊結晶を、魔蟲たちの外縁へと投げつけた。
「……逃がさない。」
 結晶から巻き起こる爆破の衝撃と吹き上がる炎に、為す術もなく魔蟲たちは内側へと吹き飛ばされていく。
 そんなリーヴァルディの存在にやっと気がついた周囲の魔蟲が食らいつこうと顎を開くが、
「……数を頼りに攻めて来ても無駄よ。私には通用しない。」
 周囲の敵が本来持っている、リーヴァルディの弱点や死角を衝く好機……その運命すらも読み取り、それらを打ち消す呪的歩法で歩みを進めるリーヴァルディに食らいつくことは出来なかった。
 そんなリーヴァルディのすぐ横に、ふらりとディアナが駆け寄り、
「纏まってしまえば、いくら居ようと変わらないわ。」
「……一匹たりとも残しはしないわ。纏めて、吹き飛びなさい。」
 ディアナの操るガラスの薔薇の花びらが、リーヴァルディの操る炎に捲かれて追い立てられた魔蟲たちを切り刻むのに、大した時間はかからなかった。

「全く……駆除するのも骨が折れるわね。」
「……でも、上手くいったわ。……次は、あいつらね。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『光の断罪者』

POW   :    光の断罪者
自身に【反転した聖者の光】をまとい、高速移動と【破壊の光】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    主よ、憐れみたまえ
【洗脳の呪詛】を籠めた【反転の光】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【反抗心】のみを攻撃する。
WIZ   :    反転の呪詛獣
自身が戦闘で瀕死になると【自身を洗脳していた魔法生物】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「何ということ……あの魔蟲を防ぎきるとは思いませんでした。」
 その声に猟兵たちが振り向くと、森から現れた聖女と思しき姿の集団がいた。
 最初に浮かべていた驚きの表情は焦りへと変わり、
「あの方に捧げる人間が必要、だったのに。」
「いえ……これは、好機でもあります。」
 法衣の下で触手が蠢くと、どこか虚ろな瞳で笑みを浮かべた聖女たちは杖を構えていた。
「あの方は、特別な存在が必要と言っていました……彼らこそ、それに違いありません。」
「さぁ、何としても捕まえましょう。あの方が待っています。」
須藤・莉亜
「今度はまともに美味しそう。いや、なんか変なもんが付いてるような…。」
これはまたゲテモノ枠かねぇ。まあ、良いや。味見てみればわかるでしょ。

暴食蝙蝠のUCを発動して無数の蝙蝠に変化。んでもって、先ずは霧で敵さんらを覆ってっと。
後は霧で撹乱させた敵さんらの生命力を奪いながら片っ端から吸血。
そうだねぇ、奪った生命力で死んだ蝙蝠達を回復しながら、全方位から襲い続けることにしよう。

「さっきの虫より美味しければ良いんだけどねぇ。」
という事なんで、さっさと僕の腹の足しになってね?敵さん。


シホ・イオア
なんで貴方たちはこんなことをするの?
シホには貴方達がこんな非道をするようには見えないよ!
聖痕を通して感じる痛みが、それを教えてくれる!

シホは洗脳を解く方向で動きます。

残像と空中戦とダンスを駆使して空を舞いつつ
ガトリングブーツで弾幕をはり制圧射撃。
洗脳を解くのを試すため非殺で弱らせ抵抗を無くすのが目的。
魔法生物が出てきたらそちらを優先して潰す(こちらはKO可)
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、舞い踊れ!」
炎は操作可能なので攻防で使用。
盾にしてよし、面制圧も良し、収束して止めも行ける。

無力化したら破魔・浄化・除霊・封印を解くなどのスキルで
洗脳解除の試みる。
シホは、生きてほしいから。

アドリブ連携歓迎。



「今度はまともに美味しそう。いや、なんか変なもんが付いてるような……。」
「なんで貴方たちはこんなことをするの?」
 舌なめずりと共に呟く須藤の前にシホは飛び出し、聖女たちへと言葉を向けていた。
「シホには、貴方たちがこんな非道をするようには見えないよ!」
「ふふ……そう、見えますか。」
 問いかけに対し、一様ににたりと笑う聖女たち。
 本来のモノではない、操られて作られた不自然な笑み。
「今の私たちにとって……最も優先すべきは、あの方に喜んでいただくこと。」
「さぁ、お覚悟を……。」
「……どう考えてもまともじゃないなぁ、あの変なもんのせいかねぇ?」
「うん……多分、そう。」
 聖女たちの動きに合わせて触手が蠢いている。
 そちらへと視線を移し、呟いた須藤にシホも頷いていた。
「聖痕を通して感じる痛みが、それを教えてくれてるんだ。あの人たちの心が泣いてるのを。」
「ふぅん。……じゃあ、今回もゲテモノ枠かねぇ。」
 そう言葉を残し、須藤は自身を無数の蝙蝠へと姿を変えて聖女たちへと飛び立つ。
「助けるよ、絶対に!」
 シホも飛び上がり、聖女たちへガトリングブーツの弾丸をばらまいていった。

 聖女たちは弾丸を避けるそぶりも見せずに、手にした杖を振るっていた。
「何としても、あなた方には来ていただきます。」
「さて、出来るかな。」
 撃たれるのも気にせずに放たれる破壊の光線を避け、聖女たちのを取り囲むように飛び込んだ須藤だった蝙蝠たちの周りに霧が立ちこめる。
「視界を塞ぎますか。ですが……その程度では、」
「……そうか、見てるのはゲテモノの方か。」
 まるで見えてるかのように放たれる光線に、数体の蝙蝠の翼が焼かれていた。
「けどまぁ、それならそれで、」
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、舞い踊れ!」
「くっ!?」
 途端に聖女たちを燃え上がらせる浄化の炎は、シホの呼び出した輝石から吹き出すもの。
 主に聖女たちを焼くように飛び交う中、近づいた蝙蝠たちが触手へと食らいついた。
「うん、さっきの虫よりは美味しいかな。」
「そうは……させません。」
「こっちこそさせないよ!」
 まだ抵抗する聖女たちへと、シホは炎を向ける。
 しかし、その炎は聖女たちの身を焼かずに、内に巣くう触手を焼き焦がしていく。
「……貴方たちを操ってるのは、これなんだよね?」
「くっ、ああ!?」
 たまらず逃げるように、ずるりと聖女たちの身体から触手たちが抜け出していく。
 途端に群がる蝙蝠たちを尻目に、シホは聖女たちへと一気に近づくと、
「あ、あぁ……。」
「だめ、諦めないで!」
 糸が切れたようにぐったりと倒れ込む聖女の1人に癒やしの光を浴びせるが……すぐに塵となって砕けていった。
「そん、な……。」
「……あなたのせいでは、ありません。私たちはもう、すでに死んでいるのです、よ。」
 その声に目を向ければ、シホを安心させるための笑み……本来の慈愛の笑みを浮かべる、聖女の姿があった。
「紋章の、素材……そうなった時点で、私たちの命は……。」
「ううん……まだ、貴方たちは、」
「……罪深い、私たちの、せめてもの償い、です。これ、を……。」
 法衣の下から震える手で取り出したのは、一冊の本。
 開いたページに書かれているのは生前の日記のようだった。
「あの方の……祭壇の場所、が……。」
「うん……ごめん、なさい。」
「……謝ることは、ありません。優しい、あなたに、幸あらん、こと、を……。」
 そう言葉を残し、その姿が砕けて消えていく聖女たちを見送り……シホは日記を拾い上げていた。
「じゃあ、行こうか。」
「うん……。」
 人間の姿へと戻った須藤と共に日記を開いていると、周囲にまた別の聖女たちの一団が現れた。
「おや、まだ居たんだね。」
「……せめて、苦しまないようにしてあげないと。」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディアナ・ロドクルーン
アドリブ・共闘可

あら…あら、お出迎え?それはご苦労さま…と言うべきかしら
とは言え、素直についていくとは言わない
此方から勝手に赴くし、貴女達も片さないと…ね
ふふ、放っておくわけにはいかないでしょう…?

先制攻撃で聖女を切りつけて、マヒ攻撃や部位破壊を試み動きを制限
敵の攻撃は第六感で回避や、敵を盾にして立ち回りましょう

嗚呼…貴方たちはもう紋章の実験台にでもされたのかしら…?
可哀そうに、可哀そうに
なれば溶かしましょう、落としましょうその異業を

UCを発動させて、四肢を落として、首を切って絶命させようか

見かけだけの聖女も他愛もないわね


リーヴァルディ・カーライル
…生憎だけど、好機が来たのは此方の方よ

…お前達は生きたまま捕らえ、あの方とやらの居場所を吐いて貰うわ

…それとも、この程度の虫けらしか使役出来ないようなら、
そこまで警戒する必要も無いかしらね?

…等と挑発を行い第六感が捉えた殺気から敵の光属性攻撃を見切り、
最小限の早業で攻撃の死角へと切り込み攻撃を受け流しつつ、
一瞬だけ吸血鬼化した自身の生命力を吸収してUCを発動
両手を繋ぎ血の魔力を溜めて黒炎の剣を召喚してなぎ払い、
過去の存在だけを焼く黒炎の斬撃波で呪詛獣だけを切断して焼き払う

…お前のような存在と相対するのは初めてでは無いもの
仕掛けが解っていれば対処は容易い

…自力で立てる?無事なら一先ず下がっていて



「あら……あら、お出迎え? それはご苦労さま……と言うべきかしら。」
「ええ……皆さんには、あの方の元へ来ていただきます。」
 少し訝しげに問いかけるディアナに笑みを浮かべる聖女たちだが、その目はどこか虚ろな様子が見て取れる。
 法衣の下で蠢く触手の湿った音と共に杖を構え、
「抵抗をしないのであれば、こちらとしても助かるのですが。」
「そうやって脅されて……はい、って言うと思っているのかしら?」
「……生憎だけど、好機が来たのは此方の方よ。……お前たちは生きたまま捕らえ、あの方とやらの居場所を吐いて貰うわ。」
 警戒を解かないディアナの隣で、冷たく言い放つリーヴァルディ。
 対して聖女たちが何か言い返そうとするが、その前にやれやれと手を上げて、
「……それとも、この程度の虫けらしか使役出来ないようなら、そこまで警戒する必要も無いかしらね?」
「そういうことよ。此方から勝手に赴くし、貴女達も片さないと……ね?」
「分かりました。」
 2人の言葉にも笑顔は変わらず、聖女たちは光のオーラを纏い始める。
「では、力尽くでやらせていただきます。」
「……安い挑発に乗ってくれて助かるわ。」
「一つだけ、いいかしら?」
 無手のまま臨戦態勢に入るリーヴァルディに、ディアナは問いかけていた。
「あなたは、救う気かしら?」
「……可能なら。」
「そう……ならいいわ。ふふ、私も放っておけませんし。」
 言葉少なく答えるリーヴァルディに、一つ笑みを浮かべてディアナは剣を引き抜き、聖女たちへと踏み込んでいった。

 先頭の聖女の脇腹の辺りでクリスタルオパールの白い刀身が煌めくと、法衣と共に触手が斬り飛ばされていた。
「あら……。」
「ふふ……その程度ではやられませんよ。」
 手応えに違和感を覚えたディアナは、くるりと舞うように破壊の光を避けて別の聖女の影へと入る。
 まるで、触手の束を斬ったような……しかも、人であれば致命傷となるほど深く斬りつけても堪えた様子がない。
「嗚呼、なるほど……貴方たちはもう、紋章の実験台にされているのね。」
「その通りです。私たちは、あの方に力を授かりました。」
「可哀そうに、可哀そうに。なれば溶かしましょう、落としましょう、その異形を。」
「くっ……!?」
 突如、ディアナの呪具から毒の霧が放たれ、それをまともに浴びた聖女たちはその動きを止めていた。
 法衣の下から伸びる触手が好き勝手に蠢き、その先端が黒く変わっていく。
「やります、ね。」
「……その程度の力で、わたしたちを倒そうとしていたのね。」
 それでも放たれる破壊の光がリーヴァルディを貫く……と思えば、その声は光を放った聖女の背後から聞こえてきた。
 振り向くと真紅の瞳と目が合うが、リーヴァルディの瞳はすぐに紫へと変わり、
「……断ち切ってあげるわ。」
「ああっ!?」
 合わせた手から吹き出す黒炎の剣を握り、聖女たちを一気に薙ぎ払う。
 過去の存在のみを焼く黒い炎は、聖女たちから生える触手だけを焼き払っていた。
「な、ぜ……。」
「……お前のような存在と相対するのは初めてでは無いもの。仕掛けが解っていれば、対処は容易い。」
 しかし……炎の下から現れた聖女たちの姿は、惨憺たるモノだった。
 ある者は胴を断たれ、ある者は四肢が落ち……まともに立っているのはただ1人のみ。
「手応えからして、そうじゃないかとは思っていたわ。」
「……そう。」
「ほら、生かして居場所を吐かせるのでしょう? その子を連れていきなさいな。」
 言外にあなたのせいじゃないと気遣うディアナに頷き、リーヴァルディは1人残った聖女を抱えて離れていた。
「見かけだけの聖女も他愛もないわね。」
 その背後でディアナの呟きが響き……死へと近づく譫言を呟く聖女たちの声が、止まっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『狂喜と共に希望を断ち切る吸血姫』

POW   :    ほら見て、あなたの大事な者が壊れてしまうわ
非戦闘行為に没頭している間、自身の【持つ人形やぬいぐるみと、それを切断する鋏】が【対象の大切な者を切り裂く幻覚を見せる間】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD   :    ほら見て、あなたの大切な記憶が壊れてしまうわ
【言葉と共に動かす、人形やぬいぐるみ】から【対象の記憶にある、大切な者を想起する幻覚】を放ち、【徐々に大切な者の名前や容姿を忘れさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    ほら、見て……
自身が戦闘不能となる事で、【対象の大切な人が死ぬ間際を幻覚で見せて】敵1体に大ダメージを与える。【蘇りながら、対象の幻覚の中でモノローグ】を語ると更にダメージ増。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠影山・弘美です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 聖女たちが『あの方』と呼ぶ、第五の貴族。
 その居場所を聞き出し、薄暗い道を駆けていくと……たどり着いた薄暗い墓所には、大量の屍と流れる血の匂いをかき消すかのように、赤い薔薇から放たれる強い芳香が漂っていた。
「あらあら……やっぱり来たのね~、猟兵ちゃんたち~。」
 少し間延びした声と共に黒いドレスを翻し、振り返った女吸血鬼はニコニコと笑っていた。
 その手は簡単に縫われたボロボロの人形を弄び、背から伸びるもう一対の手には血に濡れたハサミを開いている。
「こんな辺境にいると、楽しみが少ないのよね~。でも、来てくれて助かったわ~。」
 ゆらりと人形を持つ手を上げたと思えば、その手の甲には辺境伯の紋章と呼ばれる赤く輝く宝石の肉芽が蠢き……その瞬間、先ほどの聖女の1人を女吸血鬼が抱えているように『視えた』。
 その首を巨大なハサミが切り落とし……ゴトリと落ちる、聖女の首。
 しかし、白く細い手が拾い上げたのは人形の首。
「さぁ~……第4層からの乱入者如きに、私の術が破れるかしら~? せいぜい楽しませなさいな。」
 変わらぬ笑みを浮かべたまま、猟兵たちを見つめていた。
シホ・イオア
敵の攻撃がわかりにくいね。
精神攻撃ってことなのかな?

「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、舞い踊れ!」
炎を周囲に円状に配置し結界を作り、
物理的に近づいてきたら感知、迎撃できるようにする。
幻覚攻撃は大切な友を信じる【祈り】を【精神攻撃】にのせて対抗。
幻覚だけなら目をつぶってみるとかもありかもしれないけどね。
一時的に自らの視線を遮るとかで対応できるなら炎を利用。
仲間のサポートにも使う。

敵を直接見るのが危険だったり
見えてるものが本物とは限らないので
視覚に頼らず弾幕で広範囲に攻撃、飛空艇が呼べるなら砲撃も追加。
アドリブ連携歓迎。



「……どういう攻撃してくるつもりなんだろう。」
 シホの前に立つ女吸血鬼は、特に動くでもなくクスクスと笑っている。
 彼女の武器といえば、手にしているハサミくらいのものだが……。
「ふふふ~。あなただって~、その剣で直接斬りつけることはほとんどないでしょう~?」
「あれ、なんで……。」
「その刀身を見れば分かるわよ~。大切なお友達……でしょう?」
 いつの間にか伸ばされた女吸血鬼の手が、シホの持つ宝石剣エリクシアの刀身を撫でている。
 そのままひょいとシホの手から抜きとられ、
「本当、綺麗な剣ね。」
「……そういうこと、か。」
 ここまで見たモノに対し、シホの身体がもたらす感覚が違うと告げていた。
 女吸血鬼が近くに来る気配は、全くなかった……何より今も、シホの手の中には剣を握っている感覚は、ある。
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、嘘を焼き払え!」
 シホの叫びと共に周囲に浮かび上がる炎の輝石から、炎の嵐が巻き起こる。
 剣を取り上げていた女吸血鬼が焼き払われた……瞬間、炎の合間から元いた位置で紋章の付いた手を頬に当てて、困ったような笑顔を浮かべた女吸血鬼の姿があった。
「あらら~、見破るのも早いわね~?」
「見た人に嘘を信じ込ませるのなら、見なければ良いんだよ!」
 シホは目をぎゅっと閉じ、くるりと手にした剣を振るう。
 その手の動きに合わせて舞い踊る炎はさらに広がり、炎の弾幕となって周囲を焼き焦がしていった。
「ふふ~、これはなかなか~。」
「……そこ!」
「え……がはっ!?」
 声の方向への突然の砲撃に、女吸血鬼が吹き飛ばされていく。
 炎が収まると、中から現れたのはシホの呼び出した飛空艇。
「やった……かな? 見たら危なそうだから分からないけど。」
 今も目を閉じながら周囲の気配を伺っていると、一つの気配が動いていた。
「……まさか~、私の方が驚かされると思ってなかったな~。」
「やっぱり、まだだったね。」

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「もうちっとまともな部下はいなかったの?ゲテモノばっか食わされた身にもなって欲しいんだけどー。」

UCで吸血鬼化して戦う事にしようかな。
先ずは敵さんの血と生命力を全力で奪い弱体化させる。後は奪った生命力を自身の再生と強化に充てながら全力で殴る。
幻覚を見せられようが、その場に敵さんがいるなら今の僕なら吸い殺せるしね。

それにしても大切な人が死ぬ瞬間ねぇ…。僕的には血を奪う前に敵さんが動けなる方が問題なんだけど。
まあ、蘇ってくれるなら丁度いいか。吸える血の量が増えるって事だしね。

「さてさて、メインディッシュはどんな味かな?」
まあ、幻覚なんてつまんねーもん使う敵さんだし、あんまし期待はしてないけど。



「さて、次の子は~?」
 楽しげな笑みのまま女吸血鬼が目を向けたのは、どこか不満げに煙草を咥えた須藤だった。
 立ち上る紫煙に興味が沸いたか、
「そんな顔してどうしたの~?」
「……もうちっとまともな部下はいなかったの?」
 突如感じた悪寒に、歩み寄ろうとしていた女吸血鬼の足が止まる。
 気がつけば、顔を上げた須藤の瞳が紫から金へと変わり……周囲の生き物の生命力を奪いとらんと、黒いオーラが立ち上る。
「ゲテモノばっか食わされた身にもなって欲しいんだけどー。」
「あらあら……ふふ、あなたは第4層の子ね~?」
 吸血鬼としての姿を現した須藤によって、生命力を吸い取られた女吸血鬼の足が少しふらついている。
 しかし……その笑みは、まだ消えていない。
「はぁ……敵さんはどう考えてるか知らないけどさ、」
 自然に語りかけていた須藤が一息煙草を吸い……その灰だけを残し、一気に駆け出す。
「くっ、早!?」
「それ、僕にはどうでもいいんだよね。」
「くあ!?」
 奪いとった生命力も全て篭めた須藤の拳を避けることも出来ず、女吸血鬼はそのまま殴り飛ばされていた。
「いったた……げふっ!」
「逃がすわけないでしょ……メインディッシュがまだなんだからさ。」
 あっさりと仰向けに倒れた女吸血鬼の腹に、須藤は勢いよく足を乗せる。
 悶える女吸血鬼の髪が揺れ、白く柔らかそうな首筋が目に映り……じわりと、須藤は口に唾液が沸き出すのを感じていた。
「ね、ねぇ、待って、」
「またねーよ。さてさて、どんな味かな?」
「ああああああ!?」
 ぞぷり……須藤の犬歯が白い首に突き立つと、粘度の高い液体が染み出してくる。
 徐々に弱くなる悲鳴を耳にしながら吸い上げる味は、
「まぁまぁ、かな。幻覚なんてつまんねーもん使う敵さんだし、あんまし期待はしてなかったけど。」
「く、あ……。」
 口に広がる血と共に、纏ったオーラが生命力を吸い上げていくが……突如、それが無くなっていた。
「……おや?」
 今目の前にあるモノがまるで、ただの土塊へと変わったかのように。
 それが黒い塵となって崩れると、別の生命力を持ったモノが背後に現れていた。
「……容赦ないのね~。あなたみたいな飢えた子は、久しぶりに見たわ~。」
「得意の幻覚、ってところかな。」
「出来れば見せてあげたかったけどね~……。」
 さっき吸った血も……いや、さっきまで須藤の口に広がっていた血の味は、消えてはいない。
 身体に巡る女吸血鬼の血と生命力は、間違いなく取り込んでいると須藤の身体が告げている。
「食事の方が優先な子に、思い出を見せるのは無理ね~。」
「……はは、わかってるじゃない。」
 お互い笑いながら、2人の吸血鬼は対峙していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

地雷原で踊るやつが多すぎてもう怒りも湧いてこないわ。つーか、『あの子』ならこういうのもエンタメとして楽しんでたはずだわ。いやー『あの子』のエミュの解像度が低かったわ、反省反省。
で、『あの子』の死に際の再現なのねぇ。あの頃は猟兵に目覚めた直後だったかたら殺り方が不格好だったのよねぇ。いっそ、この幻影を利用して理想的な殺り方をエミュろうかしら?
ええ、ええ、この『ナマクラ』なら何度でも何回でも蘇る度に殺してあげられるわ。どれだけ時間がかかっても確実に徹底的に殺(私のモノに)してあげる♡ねぇ、大祓骸魂、今の殺り方どうかしら?
『黙秘権を行使いたします』
あらツレナイ。ま、ここ(ダークセイヴァー)はあなたのもの(地球)じゃないものね。まぁ、人工未知霊体だけどこの子の再現も大分と慣れてきたわね。
さてさて、『あの子』の死の間際の再現なら当然最期は私と『一つになる』のよ。あの頃と違って今は化術肉体改造でスマートに融合(ハッキング)できるのよ?
さぁ、アリスと一つになろ


ディアナ・ロドクルーン
いくら壊していってもキリがないわね、紋章の祭壇は
それでも放っておくわけにはいかないのだから仕方ない

御機嫌よう?第四層の実験体が参りましてよ

ク…は、はは…っ!そのような幻覚
あれがそうやすやすと死ぬか?
絶対なる信頼を寄せる者、それは死にの間際でも笑って戦い続けるような男
戦いの中で死せることを夢見る男

ゆえに――…いくら見せられても、動じない
いつか来ることだと知っているから
それでも、不快なことには変わりない

UCでの攻撃も踏まえ、マヒ攻撃、部位破壊で相手の手足を削りとっていく
お口だけは動かせるようにしておかないとね

ねえ、第五層の連中は紋章を使って何をするつもり
愚かな実験体にもわかるように教えて頂ける?



「御機嫌よう? 第四層の実験体が参りましてよ。」
「あらあら、御機嫌よう~。……実験体、ねぇ?」
 ディアナの挨拶に対し、女吸血鬼は笑みを浮かべたまま視線をその体へと向けていた。
 頭に伸びる獣の耳を認め、その瞳を覗き込んだ時……その口元に浮かぶ笑みが深くなる。
「なるほどね~?」
「何を納得したのかしらね……それにしても、」
 ……どう見ても、女吸血鬼は無防備だ。
 簡単に首を落とせるだろう……そう思えるほどに。
「いくら壊していってもキリがないわね、紋章の祭壇は。」
「ふふふ~、それはそうでしょう~。紋章を生み出す者は、いくらでもいるのだから~。」
「そう、」
 不意に近づいたディアナは、女吸血鬼の楽しげに語る口へと手にした呪具を突き出す。
「うわっぷ!? ぐ、あぁ……っ!」
「腐り落ちなさいな。」
 呪具からは紫色の霧が吹き出し、それをまともに吸い込んだ女吸血鬼が喉を押さえ、悶え苦しみ始めた。
 その手の甲にある、辺境伯の紋章と呼ばれる赤い肉芽が目に入った時……その姿は、
「ク……は、はは……っ!」
 ディアナの口から思わず笑いが溢れる。
 悶え苦しみ、救いを求めるようにこちらへ手を伸ばすのは、年経た男。
「そうするだろうとは思っていたわ……私が唯一、絶対なる信頼を寄せる者の姿だもの。」
「ぐふっ!?」
 しかし、ディアナはその男の腕を、脚を斬りつける。
 男の悲鳴が上がるごとに、クリスタルオパールの白い刃が赤く染まっていった。
「な、なぜ……っ!」
「なぜ? あなたが私に、何故と問うの? 死の間際でも笑って戦い続けるような、戦いの中で死せることを夢見るような……あなたが?」
 平然と問いかけながら、男の手足を削り取っていく。
 かつての師にして義父である男に心をかき乱される事なく、この所業への一抹の不快感だけが胸に残っていた。

「ぐあああぁぁ! こ、こんなことをして、いいと思って……!」
 小さな人形に刃を突き立てるディアナの背後に立ち、見せた相手の台詞を囁いていた女吸血鬼。
 多少の差異はあれど、それらは対象の記憶の中で勝手に補正され、術中の対象には正しく言われた言葉として認識してしまうもの。
「……なるほどねぇ、これがあなたの能力って事?」
「あらあら~?」
 掛けられた声に振り向けば、そこに居たのは呆れた顔をしたアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)。
「あなたはさっきまで居なかったわね~? 初めましてね~。」
「ええ、そうね。もっとも……、」
「あぐっ!?」
 アリスが懐から取り出した懐刀が浮かび上がり、女吸血鬼の胸へと突き立っていた。
「すぐにさよならになると思うけど。」
「容赦ない、のね~?」
 口元から血を流しても、笑みを消さない女吸血鬼。
 懐刀を引き抜こうとかけた手、その甲の紋章が目に入る。
「……で、あなたが私に見せるのは『あの子』って訳ね。まったく、地雷原で踊るやつが多すぎて、もう怒りも湧いてこないわ。」
 目の前で苦悶の表情を浮かべるのは、アリスと同じ顔をした少女。
 その様にアリスは眉をひそめるが、すぐに首を振って浮かべたのは別の笑み。
「つーか、『あの子』ならこういうのもエンタメとして楽しんでたはずだわ。いやー『あの子』のエミュの解像度が低かったわ、反省反省。」
「……ねぇ、“   ”。」
「へぇ、ちゃんと『あの子』の死に際の再現なのねぇ。」
 受け入れるように腕を広げて語りかけてくる言葉も、当時の懐かしい名前……シスターズだった頃の呼び名だ。
「記憶から再現させるなら当然、って所よね。そうそう、」
「あぐっ!」
 その時の死因とは別に、新たに突き立てた懐刀を抉る。
「あの頃は猟兵に目覚めた直後だったから、殺り方が不格好だったのよねぇ。」
「いぎっ……あ?」
 しかし、アリスがその刃を少女の身体から抜き取ると、すっかりその傷は消えていた。
 元々、そんなものは存在しなかったかのように。
「あ、あれ?」
「なんで? って顔をしてるわね。これは私になってからの事だから知らないわよね。」
 アリスの手の上で浮かび上がる懐刀……その手を横に動かすと、残像のように懐刀が空間に残っていく。
 しかしその鈍い輝きは、全てが本物の刃だと示していた。
「ええ、ええ、この『ナマクラ』なら何度でも、何回でも蘇る度に殺してあげられるわ。どれだけ時間がかかっても、確実に徹底的に殺(私のモノに)してあげる♪」
「ええ、」
 幾何学模様を描きながら飛来する多数の懐刀が、アリスの周囲を薙ぎ払い、突き立っていく。
「来て“   ”。」
「あぐぅっ!?」
 笑みを浮かべたまま受け入れる少女に懐刀が突き立っていくのと同時に、別の方向から悲鳴が響いた。
 ちらりとそちらを見たアリスは、すぐ近くの空間へと問いかけていた。
「ねぇ、大祓骸魂、今の殺り方どうかしら?」
『……鮟咏ァ俶ィゥ繧定。御スソ縺?◆縺励∪縺。』
 そこに浮くのは、かつてUDCアースを狙ったモノ……その再現体。
「黙秘権? あら、ツレナイこと。ま、ここ(ダークセイヴァー)はあなたのもの(地球)じゃないものね。さて、」
 くるりとアリスが振り向いた先にいるのは、手足を懐刀で地面に縫い付けられた女吸血鬼の姿。
 その手足をアリスの背から伸びるピンク色の触手が絡め取り、
「『あの子』の死の間際の再現なら、当然最期は私と『一つになる』のよ。」
「や、やめ……。」
「あら、これで命乞い? ふふ、案外小心者なのね。だったら、」
「ひぎっ!?」
 パチンとアリスが指を鳴らしたと思えば、隣から女吸血鬼の悲鳴が響いた。
 そちらへと目を向けると、ディアナが組み敷いた人形だったモノが、女吸血鬼本人へと姿が変わっている。
「いままで自分の人形だったモノの気持ちを知るといいわ。」
「な、なんて、こと……。」
「さぁ……アリスと、一つになろ?」
「ひっ、いやあああああああ!」
 そのまま2人の姿は触手に包まれ、アリス以外に聞かれることのない悲鳴を上げ続けていた。

「う、ぐぅう……!」
「……私、すごく疑問に思っていた事があるの。」
 既に手足に残る肉は少なく、白いものが見えるほどとなった女吸血鬼。
 その首へと刃を向け、ディアナは問いかける。
「ねえ、第五層の連中は紋章を使って何をするつもり? 愚かな実験体にもわかるように教えて頂ける?」
「そ、それを知って、何をうぐぅ!?」
 表情も変えずに刃を腹に突き立てられ、女吸血鬼の言葉が止まる。
「私にわかるように、とお願いしましたよね?」
「ぐぅう……それ、は……。」
 苦悶の表情を浮かべていた女吸血鬼だったが、突然ニタリと笑う。
「楽しいから、よ。あっははは! 色々弄られてたあなたのように、下等な人を弄ぶのが、とっても楽しいの!」
「……そう。」
「あっはは」
 ドスっ……喉を貫かれ、女吸血鬼の息が止まる。
 笑顔のまま、黒い塵へと変わっていき……そのまま崩れて消えていった。

 ……こうして、猟兵たちの手によって一つの紋章の祭壇が破壊された。
 しかし、まだこれはほんの一部……彼ら、第五の貴族による戯れは、まだ続くだろう。
 それでも、これからの犠牲を止めたのは事実だ。
 そう心に留め、猟兵たちはグリモアベースへと戻っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月01日


挿絵イラスト