3
荒野の世界で白球を

#アポカリプスヘル #戦後 #野球

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#戦後
#野球


0




●ヒューストン25
 テキサス州、元ヒューストン宇宙センターから数日の距離にある大拠点。
 ヴォーテックス一族、そして目覚めていたフィールド・オブ・ナインが全て撃破され勢力を大きく衰えさせた今、大拠点の奪還者達は近隣の拠点への支援を開始していた。
『次はあの宇宙センターがあった辺りだったか?』
『ああ、随分不気味な雰囲気の場所だったが今は憑き物が落ちたみたいになってて近くで拠点を再建し始めてるんだとか』
『生活が立ち行くようになれば俺達にも得になるしな……そろそろか』
 人間だけでなく賢い動物やデッドマンも混成の奪還者達がそんな話をしながら荒野を進んでいると、古びた施設が見えてくる。
 かつてレイダー達が跋扈していて危険度の高さから奪還できなかった施設の資材、それを奪取して再建を始めた拠点への支援を行うのが今回の彼らの目的だった。
『野球好きの奴らが多い拠点って噂だからボールとかあるといいよな! ……ん? 何だアレは』
 しかし、奪還者達がよくよく目を凝らすと、目に痛い色合いの山羊や羊たちが爆音鳴らし拠点の前に陣取っていた。
 彼らはどういう訳か奪還者達に気づくと、爆音鳴らし向かってくる。
『やるぜーやるぜー! 身ぐるみかっぱいでやるぜー!』
 そんな事をのたまい突撃してくる暴走系山羊や羊たちに、奪還者達はそれぞれ武器を構え迎撃態勢に入った。

 グリモアベース。
「先日のアポカリプス・ランページは大勝利を収めた。それはとても目出度く喜ばしい事じゃ。そしてそれは現地の住民にも影響があり、大拠点の奪還者達が近隣拠点への支援を開始しておる」
 龍神の水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)は集まった猟兵達にそう切り出す。
「今回我が見た予知はそれに関するもので、奪還者が支援の為に古い施設から資材を回収しようとしたところ、そこに巣くっていたオブリビオンの暴走羊と獏に返り討ちにあってしまう。それを阻止する為に大拠点から出発する前に合流して彼奴等を撃破、そして拠点への支援を行ってきてくれぬかのう」
 そして龍神は彼の見た予知について説明する。
「敵は山羊に乗った暴走族系羊の群、数は多く眠らせてこようとするがあまり強くはないから油断しなければ楽に勝てるじゃろう。地理的にも拓けた場所で特に戦い辛いなどもない筈じゃ。全て撃破し安全を確保したら施設で使えそうなものを回収し、他拠点の支援を手伝ってやって欲しい」
 そこまで説明した多摘は宝珠型のグリモアを取り出すと、アポカリプスヘルへの転移の為の準備を開始する。
「そうそう、支援先の拠点の住民は野球が好きという話じゃ。明日の見えないこの世界、少しでも気を紛らわせ希望をもつ為に付き合うのも悪くはないかもしれぬ」
 我もやってみるかのう、等と話を締め括り、猟兵達はアポカリプスヘルの大拠点へと転移したのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 何もない土地でもボールとバットがあればできるのはいい所ですよね。

 第一章は荒野の古びた施設前での『煮慈威露愚喪の獏羊族』との戦いです。
 あまり強くなくヒャッハーと群れで突っ込んできますのでいい感じに無双するといいと思います。
 第二章は支援先拠点での交流(野球)になります。
 こちらは冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらをご確認下さい。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
95




第1章 集団戦 『煮慈威露愚喪の獏羊族』

POW   :    強奪の時間だヒャッハー!
自身が操縦する【山羊】の【突撃威力】と【物資強奪確率】を増強する。
SPD   :    ヒャッハー!突撃だ!!
【トゲ棍棒】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    1ヒャッハー!2ヒャッハー!!3ヒャッハー!!!
【ヒャッハー系歌詞で大音声の羊数え歌】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。

イラスト:ロクイチ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
かつてオブリビオンに滅ぼされた都市で自分一人だけ生き残ってしまった過去を悔いており、人々を守り、被害を防止することを重視して行動します。

●戦闘において
「露払いは私が努めよう」
(敵に)「貴様らの技で、私が倒せるのか……試してみるがいい」

・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を主に得意とします。

メイン武器は「黒剣」です。

他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。


マティアス・エルンスト(サポート)
アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱改変・その他OK

「……俺が前に出る。お前は俺を盾にしろ。」

一人称:俺
口調:寡黙で無機質。表情も一見無愛想で感情が読み取りづらいが仲間想い。
性格:知らない物事へ対する好奇心と知識欲が旺盛。自身を精密な電子機器と思っている様子。

戦法:高いPOWを活かし、エネルギー充填したアームドフォートによる威圧感たっぷりの威嚇射撃や一斉発射等、「攻撃は最大の防御」を体現した戦法を好む。
仮に間合いに踏み込まれても剣や槍で受け流し、鎧砕きも狙いながらのカウンター攻撃。

指定したUCを何でも使用。
戦況等に照らし「適切・最善」と判断すれば他の存在からの指示や命令にも即応する。

他はお任せ。



 大型拠点を出発する直前、凄腕の奪還者が協力を申し出てくれた奪還者は上機嫌に荒野を歩いていた。
 凄腕の奪還者――猟兵達は拠点の奪還者を悲劇より守る為に同行している。
 そして発見されていた目的の施設が見えてきて、同時に爆音を猟兵、そして奪還者達はその耳に聞き取った。
『ヒャッハー! 久しぶりの略奪だヒャッハー!』
 煩く騒ぐやたらとカラフルな毛並みの山羊とそれらに騎乗する羊、穏やかなイメージをぶち壊しにする勢いでオブリビオン達は奪還者に襲い掛かる。 
 構える奪還者達、しかしその前に黒鎧の男と無機質で近未来的な印象の男が駆けだした。
「露払いは私が努めよう」
 近未来的なこの世界のものとは違う異質な雰囲気の黒鎧の男、ギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)は騒々しい山羊の群れを前に静かに呪われた黒剣を構える。
「……俺が前に出る。お前は俺を盾にしろ」
 そしてもう一人、表面上はギャレットと似た寡黙で無機質さすら感じさせるマティアス・エルンスト(人間見習い・f04055)はそう告げると前に出つつ暴走山羊の群れに腰部に装着したアームドフォートの砲撃を行う。 爆発と共に吹き飛ばされていく山羊達、しかし一匹の山羊がその砲撃を突破し二人目掛け衝動の儘にヒャッハーと叫び突進してくる。
 その一匹を前に出たギャレットが黒剣と体捌きで逸らし一閃、騎乗する羊を斬り飛ばし次の敵の突進に即座に構える姿は物語の騎士のようだ。
 その光景に眼前の猟兵達を明確な邪魔者と認識した騎乗する羊達はテンション高く叫ぶ。
『邪魔者するなら全部強奪してやるぜヒャッハー!』
 途端、勢いを増す山羊達。そのまま暴走羊たちはマティアスの砲撃を撹乱しつつ突進。
 かろうじて細身の槍で受け流すことに成功するが、突進してくる数の多さに一旦後退を余儀なくされる。
「成程、速度を上げたか」
 突撃の勢いを増す山羊の群れにギャレットは冷静に分析しつつ黒剣を構え直しユーベルコードを起動する。
 遠間、通常の黒剣では届かぬ間合いで振るわれた黒剣が鞭のように変形、長く伸びた連なる刃がしなり羊の群れを横薙ぎに斬り裂いた。
「……我が黒剣の姿は一つではない」
 伸びた刃を引き戻し元の黒剣の形にして呟くギャレット。
 鞭剣の一閃がこじ開けた空間にマティアスが飛び込んで、ユーベルコードを起動する。
「……セーフティ解除」
 【Code : Berserker】――最高効率で攻撃する対人対オブリビオン兵器となったマティアスは突進の起こりにすら反応しアームドフォートの砲撃をぶち込んでいく。
 砲撃の嵐を抜け突進してくる山羊達にカウンターとして鉄塊剣を叩き付け空高く打ち上げ、そして即座に次の標的へと豊富に充填したエネルギーを利用して砲撃を行う。
「こっちだ」
 前線は彼に任せギャレットが奪還者達へと声をかけ誘導する。
 マティアスのユーベルコードは速く動く物を無差別に狙ってしまう、万一の巻き添えを防ぐ為に黒騎士は一旦彼らを後退させるのだ。
『だがまだまだこれからだぜヒャッハー!』
 しかしまだ、暴走羊達は拠点から次々に姿を現してくる。撃破しきるにはもう少し時間がかかりそうだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
多対一又は多対多の場合
多数を一度に相手にできるUCを選択
各個撃破の場合はUCの選択はマスターに任せます

戦闘のみの場合
所持している武器・アイテムを効果的に使い
戦局を有利にするよう行動(フラッシュバン・煙幕等で攪乱や敵の隙をつくる等)

救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密にする



常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
世界知識
地形の利用
咄嗟の一撃
ダッシュ
ジャンプ
学習力
情報収集
早業
敵を盾にする

護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳

C-BA使用時
運転
操縦
動物使い
動物と話す
運搬
騎乗



 山羊に乗った羊がトゲの生えた棍棒片手に荒野を疾走する。
 しかし山羊達よりも早く、エンジンを吹かし荒野を走る一台のバイクがいた。
 黒き毛並をもつ大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)という名の人狼の男は機械獣【C-BA】を変形させたバイクに騎乗しその速度で暴走羊達を撹乱していた。
 高速で走り刀で山羊の上の羊を斬り抜ける。反撃にトゲ棍棒が振るわれる前にその射程から一瞬で離脱していく彼の戦法は山羊に勝る機動力があるからこそであろう。
『ヒャッハー! 止まりやがれ!!』
 バイクを追いかけそう叫ぶ羊達の言葉を適当に聞き流し、零児は射出ユニットよりマルチグレネードを後方に放つ。
 着弾したのはやや羊たちのやや手前、そして炸裂し周囲に煙幕が広がり視界が塞がれる。
 とはいえ山羊達も相当な高速で走っている。煙幕の範囲から逃れるのにそう時間はかからない。
 だが、その時間があれば十分。
「人狼……メガリス……破壊……い駆ゾ!」
 煙幕で視界を遮った瞬間ターンした零児はユーベルコードを起動し、バイクと自身に炎の破壊エネルギー体を纏わせる。
 エネルギー体は巨大な狼――どこかの神話で主神を喰らった終末の狼の名に相応しい圧力と共に煙幕に向けて一気に加速する。
 それに続くは余波で発生した小型の炎狼の群れ、それらを引き連れ零児は煙幕を一瞬で駆け抜けた。
 煙幕が晴れた後には、トゲ棍棒ごと焼き尽くされた暴走羊と山羊達。こんがり焦がされてその絶品の味に相応しい香りを周囲に漂わせるだけであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

四十物・寧々(サポート)
サポートプレイングです。

ひとつの肉体に複数の人格を有し、人格ごとに別々の特性を修得でき、人格を切り替える事で様々な状況に対応できます。(多重人格者の種族説明より抜粋)

そのため、口調は「現在の状況に対応できる人格」です。
シナリオ進行に必要な内容など、喋らせたいことを喋らせて下さい。

使用ユーベルコードの指定はありません。
「成功」の結果で書けそうなものを一つステータス画面からお選び下さい。フラグメント次第で不使用も可です。

多少の怪我は厭わず積極的に行動し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

あとはお任せ致します。
宜しくお願い致します。


杉崎・まなみ(サポート)
まなみは正当派後衛職のヒロインタイプです
聖職者教育を受講中の学生ですが、特に依頼に縛りは無く、どのような依頼も受けられます
但し人並みに気持ち悪いモノ、怖いもの等は苦手で遭遇した際は多少なりとも嫌がる仕草が欲しいです
甘いモノ、可愛いモノが好きで少し天然な所があります
初対面の人でもあまり物怖じせず、状況を理解して連携を取る動きが出来ます
シリアス2~3:ギャグ7~8割くらいのノリが好みです
ただシリアスもやれますよー

UCは状況に応じて、MS様が好きなのを使ってください

その他、細かい部分はMS様にお任せします


スキアファール・イリャルギ(サポート)
"影人間"はどんな存在か?
ポルターガイストやシャドーピープルという怪奇現象はご存知ですか、その類です
いや、それらよりも悍ましい存在かもしれませんが

私自身のことですか?
歌が好きですね
よくイヤホンやヘッドフォンで音楽を聴いてます

目立つのは好きじゃないし俊敏さもあまりないので
存在感をがっつり消して闇に紛れてお手伝いしますね
UC以外でお手伝いできることと言えば
呪瘡包帯で捕縛
霊障で弾き飛ばす
呪詛を撒き散らす
属性攻撃で火と雷を――
え? 派手な行動ばかりじゃないかって?
怪奇現象ってそんなものです

迷う部分があればお好きにどうぞ
設定は生えるものですからね
ギャグやシリアスならいけますよ
官能的な物は一切ダメですがね



 突撃は騎士たちに阻まれ、人狼が棘棍棒を振り回す羊達を焼き尽くし。
 そして残りの暴走羊達は三人の猟兵と相対していた。
『1ヒャッハー! 2ヒャッハー!! 3ヒャッハー!!!』
 大音声の数え歌を暴走羊達が歌い始める。
 遮蔽物の殆どない荒野なのに反響するように響くその歌声を聞いた猟兵、そして遠くの奪還者達を眠気が襲う。
 眠りに落ちれば傷は治っていくが、その間に山羊達に身ぐるみ剥がれてしまうだろう。
「まったくうるさい羊達ですねぇ」
 妙に顔色の白いヘッドフォンの男、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)がやや芝居がかった口調で爆音を非難する。
「見た目だけならちょっといいのに……!」
 羊達から比較的離れた位置で、耳を塞ぎながら騒音に耐える杉崎・まなみ(村娘・f00136)は可愛いもの好き。
 外見だけならバクのような羊のような、そして騎乗している山羊の見た目は可愛く思えない事もない。しかしグラサンに凶器、そして言動まで合わせると怖いものと思えてどうにも苦手だ。
「ええっとこういう時は……」
 歌声にややとろんとした目つきになっている青髪の少女は四十物・寧々(あいもの・ねね・f28377)。
『ヒャッハー! 別嬪さんは攫うぜヒャッハー!』
 そして寧々やまなみへと山羊が突進しようとするが、
「……そんな歌ァ聞かせるとは覚悟できとんかいおんどれ!」
 寧々が人が変わったように叫び返す。多重人格者の彼女には異なる方言を操る人格があり、その一つの恐らくは広島弁の人格が暴走羊達の勢いに負けぬように現出したのだろう。
 そして彼女が前面に出てメンチを切っている間、スキアファールは存在感を消しつつ羊に気取られないように準備を行う。
『威勢のいい嬢ちゃんだな! ボコってやるぜヒャッハー!』
「上等! さっさとかかってこいや!」
 血気盛んな羊達を挑発するように返す寧々、その誘いに乗って山羊達は一斉に寧々を取り囲みサラウンドで数え歌を歌い始める。
 ヒャッハーヒャッハー歌う声に込められているのは敵意。その感情こそ寧々のユーベルコードに必要なものだ。
 ユーベルコードを起動した寧々の眼前に彼女を成長させたような女が召喚される。
 その姿は妖艶、際どい恰好で異性を誑かす事に長けたサキュバスのようで、驚く羊達に投げキッスを飛ばす。
 投げキッスを受けてしまった羊はサキュバスの魅力に抗う事は出来ない。手にした棍棒で盛大に同士討ちを開始する。
 そして羊たちが大混乱に陥っている中、まなみもメイスを構え反撃へと移る。
「地の神よ……天の神へお願いを、どうかお聞き届けください……!」
 羊数え歌を輪唱する暴走羊達にまなみがメイスを向けユーベルコードを起動、先端の宝石が輝くと天から無数の光の雨が降り注ぎ羊達を貫いていく。
『ヒャッハー! もっと歌うぜー!』
 しかし魅了されていない羊達はまだ歌い続け猟兵達を眠りへと落とそうとする。単に騒がしくしたいだけなのかもしれないが。
『50ヒャッハー……あれ、なんか聞こえるぜヒャッハー!』
 突進しながら数え歌を歌い続けていた羊がコロンと転がり派手につまづいた山羊から落ちて、荒野に土煙を上げてしまう。
 山羊に乗り直そうとするが羊は立ち上がる事すらおぼつかず、まるで平衡感覚を狂わされたかのよう。
『ヒャッハー……どこまで数えたっけ?』
 フラフラの羊はユーベルコードである数え歌も上手く歌えないよう、それらはスキアファールの狙った対象にしか聞こえない魔性の歌の仕業だ。
(「踏鞴を踏め」)
 歌を好む彼、それを滅茶苦茶な騒音に妨げられて少々苛立っているのだ。
 そして地面に転がる羊達に絡みつくスキアファールの身体より解けた黒の包帯、更に金縛り現象が動きを拘束する。
『ヒャッハー……なんか燃えてねえか!?』
 まだ威勢よくヒャッハーする羊達が人体発火現象のように突如燃え上がり、その虹色の毛並みを焦がし焼かれていく。
 ポルターガイスト、或いは霊障。それは意外と激しいもの。
 どこから見ても地味で存在感の薄いスキアファールだが、彼の行いまで地味とは限らないのだ。
 通称"影人間"、恐怖の影として在る彼の性質は『怪奇』、『人間』を謳歌するために敢えてそれを残し忘れないようにしなければならないのだから。
 そうして混乱と狂騒が続き、まなみの降らせる光の雨が最後の羊を打ち抜き暴走山羊羊達は全て撃破されたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 日常 『スクイズ・グローブ・ストライク・グランド』

POW   :    白球をかっ飛ばす。

SPD   :    白球をぶん投げる。

WIZ   :    一休みする。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●夢の荒野
『あれだけの数を倒すとは……流石だな!』
 後方からの支援射撃で暴走羊達を牽制していた奪還者達は、そう猟兵達の働きを称賛しつつ倒した羊の解体を手際よく行っていく。
 荒廃した世界、食用にできるらしい肉類は保存しておくに越したことはない。
 そして廃棄された施設には暴走羊が貯め込んでいたのか支援に十分な量の物資等もあった。これだけあれば新拠点への手土産には十分、大拠点への持ち帰りもできるだろう。
 野球の道具等生存には繋がらないものもあるが、噂通りなら持って行っていこうかと奪還者は判断する。
 運べる量には限りがあるから一旦可能な分だけを荷物として運ぶこととし、そして猟兵と奪還者達は廃棄された施設を後にした。

 目的の拠点への旅路は順調に進み、茜色に染まり始めた小さな拠点に奪還者達は到着する。
 住民達は奪還者達の支援に諸手を上げて喜び、ささやかながら宴を開きたいとの事。
 拠点内では残っていた設備で栽培されていたトウモロコシや家畜を殖やし、いずれは外で大規模農場を復活させるとの希望を住民は語る。
 けれどそうなるには途方もない努力が必要となる事だろう。それこそ途中で挫けてしまいかねない程に。
『ありゃバッティングセンターか?』
 茜色に染まる拠点の隅に、奇妙な建物がある事に奪還者の一人が気づき住民に問う。
『ああ、中身は殆どぶっ壊れてるがピッチングマシーンくらいは動くぞ。酷い球だしネットも見ての通り破れてるから打ったら拾いに行くのが大変だがな』
 そう散々に言う住民達だが噂通り野球自体は好きなようで、老若男女問わずピッチングマシーンの球を打ったり建物から持ち出した道具を使って野球を楽しんでいる。
『……いっちょやってみるか!』
『ピッチャーなら任せろ!』
『こう見えても昔はメジャー目指してたんだぜ!』
 奪還者の一人が切り出し、何だか妙な熱気が他の仲間に伝播してバッティングセンターへと駆け出した。

 ――世界は荒廃し、生きていくのも必死な日々だけれども。
 たまには熱狂するように楽しみに身を任せてもいいのかもしれない。


====================

●マスターより補足
 そんな訳で拠点支援を行って、壊れかけのピッチングマシーンやバッティングセンターの野球道具を使って拠点の住人と野球を楽しむ感じです。
 無茶苦茶に投げてくる球を存分にかっ飛ばして住民達を驚かせたり、荒廃した世界でなお生き続ける住民達と野球で楽しんだりできます。ルール追加とかも歓迎してくれそうです。
 また普通に拠点で一休みしつつ観戦したり、宴のお手伝いをするのでも大丈夫です。ちなみに料理はコーンや羊肉が中心のようです。
 とにかく常識的に大丈夫な事であるなら大体は採用できます。

====================
白・桃
ピッチングマシーンも良いですが、私の投げる球を打ってはみませんか?
学生時代に《強肩の白桃》と呼ばれただけあって、速さもコントロールも中々の腕前ですよ

まずは手加減してど真ん中を狙いましょう
次は内角低め狙います
そして次は…………

野球好きの皆さんの期待にこたえる為に、一球一球本気で投げていきます

それではとっておきをお見せしましょう
消える魔球と分身して見える魔球です

うふふ、みなさん驚いていますね
学生時代にこの技を会得するのにどれだけ鍛練を積んだことか


最後に私がこの世界に持ち込めただけの数の桃をみなさんに配ってお別れです
とても美味しくて元気のでる桃ですよ
またいつか一緒に野球をしましょうね




連携歓迎



 よく晴れた夕暮れの空に高い音が響いて白球が打ち上げられる。
 どうにか動くように修理されたバッティングマシーンの球は出鱈目、酷い音と一緒に緩い球が放られる事もあれば何かが嚙み合って剛速球をバックネットに叩き込んでくる事もある。
 そんな機械相手にわいわい騒ぎながらバッティングを楽しむ奪還者と拠点の住民の姿を見ながら、白・桃(桃の乙女・f33419)は学生時代の事を思い出していた。
 その球の速さとコントロールから《強肩の白桃》と呼ばれた事もある彼女、卒業して時間も経っているが、まだその頃の感覚は体が覚えている。
 いても立ってもいられず、けれどその胸の高鳴りは抑えつつ桃は住人たちに話しかける。
「ピッチングマシーンも良いですが、私の投げる球を打ってはみませんか?」
『ほう? 奪還者の姉ちゃん野球の心得があんのか……受けて立つぜ!』
 妙に暑苦しい住人の一人が出てきて別のバッターボックスに立つ。
 キャッチャーはいない、けれど一応は無事にも見えるバックネットがあるからある程度は思い切り投げても大丈夫だろう。
 桃の初球はど真ん中、加減した球は丁度打ち頃だったが打者は意外と速い球の下をこするように打ち上げてしまう。
 感覚を調整するように金属バットを振る住人を待って、そして次の球は内角低めを鋭く突いてバッターの空振りを誘う。
 そうして一球一球丁寧に、順番に後退していく打者に当てられたり空振りさせたりしつつ桃は本気で白球を投じていく。
 打者の皆の反応は人それぞれ、けれど全員バッターボックスから離れる時は楽しそうにしている。
 そうして二順ほどして体もすっかり温まってきた頃。
 バッターボックスにいるのは最初に打席に立ったやや暑苦しい感じの住人だ。
「……それではとっておきをお見せしましょう」
 そう言って微笑んで桃が投じた球はバッターから見るとバッターボックスの直前で消失したように見える変化球。
 空振りして尻もちをついた彼に消える魔球だと桃は言う。
 さらにさらに。
『なんだこれ!? 増えた!?』
 再び空振りした彼が見たものは、ぶれて複数に分裂したような白球。
 バックネットに刺さっているのはやっぱり一球で、これを習得するのに積んだ鍛錬の日々を桃は思い返す。
(「みなさん驚いていますね」)
 微笑みつつ、桃は驚きの声を上げる打者と観客の熱の籠った姿を眺めていた。
 そして暫く投手を続け、気づけば日もすっかり傾き暗くなっていた。
「とても美味しくて元気のでる桃ですよ」
 最後にお土産として桃は彼女が持ち込んだ最高級の瑞々しい桃を配る。
 持ち込めた分だけなのでそれ程多くはないけれど、その瑞々しく甘い香りは切り分ければ野球の後の彼らの疲れを癒すに十分だろう。
「またいつか一緒に野球をしましょうね」
『ああ、今度野球する時までにはもっと上手くなってあの魔球を打ち返してやるぞ!』
 そんな風に燃える住人達の姿に安心しつつ、桃と住人達は拠点へと戻っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

とりあえずなにか食べられるならよほどのゲテモノでない限り喜んで食べる
やっぱり病院のご飯よりお外で食べるもののほうがおいしいよ…

イベントなどでわちゃわちゃする場合も乗って動く
ボクこういうのはじめて!すっごく楽しみだな!
(ずっと病院にいたのでお祭りとかイベントごとはあまり遊べなかった)

あとはやることに対してわーきゃー喜んだり

アドリブ絡み歓迎



 そして見事なピッチングを住民達に見せつけつつ楽しんでいる猟兵がいる中で、百地・モユル(ももも・f03218)という名の彼はボロボロのピッチングマシーンを前に目を輝かせている。
 難病に侵され病室での記憶ばかりの彼にとっては新鮮なもので、住民の子供たちに元気よく声をかけて挑戦しようとしていた。
「何だか変な音してるけど大丈夫……だよね?」
 ちょっぴり不安になってくるモユルだけれども大体こんな感じだよ、と子供の一人が打席に立つ。
 けれどやっぱりマシンの調子は悪いらしく、バットの届かないコースに球を打ち出したり届く前にバウンドしてしまう超荒れ球模様。
 それでも時々ちゃんとしたコースに入ってくることもあって、当てたり空振りしたり一喜一憂の子供の住民達。
 そんな景色もモユルにとっては本の中での出来事のような記憶しかなかったけれど、本当に楽しそうな姿にモユルも挑んでみようと順番を待つ。
「思いっきりかっ飛ばすぜ!」
 金属バットで素振りをしつつ、回ってきた順番にバッターボックスに立つ。
 一球目はアウトローの手の届かない球、幸先悪いけれどもまあそんなものだからと次の球を待つ。
 二球目――インハイの割と厳しいコースの球。けれどモユルはサイボーグの動体視力で捉え、見事に正面に弾き返してみせる。
 オブリビオンとの戦いとはまた違う手応え、そして周りの子供たちの歓声に胸の奥からなんだか楽しくなってきて。
 難病から逃れる為の改造で生身はもう殆ど残っていないけれども心は確かに少年のまま、荒野の野球場で少年たちは時間も忘れわーきゃー野球を楽しんでいる。
 そして日が落ちて、
『そろそろ夕方だねー』
『なんか豪華な料理が出るんだって?』
『キミも一緒に食べない?』
 遊んでいた子供たちにそんな風に問われてモユルもうんと頷いた。
 病院食ではない、この文明崩壊した世界の料理。味はどのようなものかは分からないけれどもきっと美味しいとモユルは思うのだろう。
 そしてわいわい騒ぎながら、モユルと子供たちは拠点の中へと暗くなった道を通り戻っていくのであった。

 そして一晩をこの拠点で過ごした猟兵達と奪還者達はこの新しい拠点を後にする。
 そして元々の大型拠点へと帰還するという奪還者達とも別れ、グリモアベースへと帰還したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年10月19日


挿絵イラスト