Legacy of Lunacy
ヒーローズアースの日本に、月見里(やまなし)市という都市がある。
東北地方に存在するこの都市は、表向きには取り立てて目立った特徴の無い、都会と言えば都会、田舎と言えば田舎という微妙な立ち位置の都市でしかないが。
その実、大きな特徴がひとつ存在していた。
県道に面した銀行から、けたたましい防犯ベルの音を引き連れ、数人の黒づくめの男達が飛び出してくる。それぞれがはち切れそうな程に膨らんだボストンバッグを抱え、大急ぎで道路に停められたワゴン車へと飛び乗ってゆく。
ボストンバッグから零れ落ちるのは、何枚もの一万円札。即ちこの男達、銀行強盗である。
運転手の男がアクセルを思い切り踏み込めば、車は一気にトップスピードへと至り、県道を爆走して一気に逃げ去る――と思われた、次の瞬間。
「ブルームーン……ストライクっ!」
何処からともなく響き渡った、あどけなさ滲む少女の声。と同時に、ワゴン車の前輪を、青いエネルギーの爆発が吹き飛ばした!
「「ぐわぁぁっ!?」」
横転するワゴン車、路上に投げ出された男達。だが彼らは一瞬で態勢を立て直し、身構えながら周囲を警戒する。それなりの力を持つ悪党――ヴィランのようだ。
だが襲撃者は尚その上を行く。
「眩みなさい、フルムーン・バースト!」
「「ぐおぉぉぉ!!」」
突如辺りに迸った、猛烈な光の奔流。男達の目を灼き、その場へ蹲るを余儀なくさせる。
「くそっ、この技もしや……!」
唯一、咄嗟に目を庇ったことで光を凌いだ男は勘づく。この技、この街で活動しているというヒーローの……!
「そうだよ! あたし達がいる限り、この街で悪さなんか許さないんだから!」
「!?」
声の主は、いつの間にか男の眼前にいた。年の頃十代後半と思しき少女、白を基調とした衣装を纏い、活発そうな顔に不敵な笑みを浮かべ。
「必殺! クレセントムーン・スラッシャー!」
そして繰り出すは渾身の蹴り上げ。まるで三日月の如き煌めく軌道を描いた一撃が、男を吹き飛ばし、昏倒せしめた。
「私達、月光乙女組(ムーンライト・メイデン)がこの街に在る限り!」
黄色主体の衣装を纏う、気品滲む雰囲気の少女が声を張れば。
「この街で悪いコトなんか、させませんからっ!」
青を基調とする衣装の大人しげな雰囲気の少女が、精一杯に声を上げて宣言する。
気絶したヴィランの男達の前で決めポーズを取る少女達に、一部始終を目撃した人々は歓声と拍手で以て、正義の遂行を讃えたのであった。
●
それから数時間後。夜の住宅街を、一人の少女が歩いていた。
「――ふー、今日もばっちり新月団(ニュームーンズ)の悪事を潰せて良かった良かった」
晴れやかな表情で夜道を歩むその少女は、先程ヴィランの一団を蹴散らしていた『月光乙女組』の一員。名を玉枝・朔良(たまえだ・さくら)と云う。
「早いトコ帰って、テスト勉強しないとなぁ……ん?」
などとぼやいていた朔良だったが、ふと前方に現れた人影に気付く。
「あれ……誰だろ? なんか様子が変だけど――」
その人影は女性、表情は逆光で窺い知れぬが、何処か異様な雰囲気を漂わす。
確かめようと歩み寄りかけた朔良、だが、その時。
「――始末します」
「――え?」
少女がそう呟いたのと、彼女の腕が、朔良の胸を貫き抉ったのは、殆ど同時であった。
「――あ――ぇ、な――何、が――」
何が起こったのかさえ理解できぬまま、朔良の意識は暗転する。肉体から、何か熱いものが抜けてゆく。その命と力が、失われてゆく。
「――報告。『クレセントルナ』玉枝・朔良を始末した。『月狂神ヤト』の力、間違いなく、此処に」
――闇に沈む意識の中、最期に、そんな言葉を聞いた気がした。
●
「猟兵諸君、参集に感謝する。此度はヒーローズアースにて、猟書家『ダークメナス』の活動が予知された」
グリモアベースに集った猟兵達を前に、グリモア猟兵、ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)、通称ギジィは己の見た予知を語る。
「現場は日本の東北地方、月見里市。この地はかつてジャスティス・ウォーの折に一柱の邪神が斃れた地であり、今もかの神の力が色濃く残っている」
その力の影響により、目立ってヒーローやヴィランが生まれやすい街。それが月見里市である。
「ダークメナスは、その中でも目立って強い力を宿しているヒーローチーム『月光乙女組』を狙っている。彼女達から邪神の力を奪い取って蒐集し、以て超生物スナーク創造の素材にせんとしているようだな」
無論、そのようなことを許すわけにはいかない。猟兵達のその意志にギジィも頷く。
「彼女達はそれぞれ、単独で行動している処を狙われている。まずは彼女達を守りつつ、ダークメナスの手駒たる『強化人間奴隷少女兵』を撃退して貰いたい」
月光乙女組の少女達は、不意を突かれたり数で劣ってさえいなければ、奴隷少女兵とも互角に戦える力を持つ。また街の地理にも詳しいため、合流を促したり、罠に嵌める為の知恵を借りるのも手である。
「尚、敵の奴隷少女兵だが、どうやら現地のヴィラン組織が取引用に拉致してきた者達に、ダークメナスがオブリビオン因子を埋め込んで手駒にしたものらしい。諸君の手で倒せば因子を消滅させられる故、可能な限り助けてやってくれ」
明らかに即死するような攻撃でなければ因子が致命傷を防いでくれるので、手加減は特に必要ない、とのことだ。
「また、此度も任務に際し『秘密結社スナーク』を名乗ることを推奨する。スナークという名が必ずしも恐怖すべきものを意味しない、と知らしめることで、敵の狙いを阻害する効果があるはずだ」
「ある程度の時間が経てば、神の力を回収するべくダークメナスが現れるゆえ、これを撃破して欲しい。但し、注意すべき点が一つある」
ダークメナスは、己の在る土地にて滅びた神を召喚し使役する能力を持つ。故に、戦いの場ではダークメナス本人に加え、かの地で滅びた邪神『月狂神ヤト』も参戦してくるというのだ。厳しい戦いが予想されるが、対処法も存在するとギジィは言う。
「月光乙女組の少女達を守りきれていれば、彼女達が己の身に宿る神の力を以てヤトを抑え込んでくれる。さすれば、諸君らはダークメナスとの戦いに専念できるだろう」
ダークメナスさえ倒せば、ヤトもまた地に還る。あくまで打ち倒すべきは猟書家、ということだ。
「以上が、此度の余からの依頼だ。それでは、転送を開始する」
説明を終え、ギジィはグリモアを展開。掌の上に、彼女の率いる黄昏大隊の紋章を模した光が浮かぶ。
「黄昏に惑う者達を、各々の在るべき処へ。征くがいい、猟兵諸君」
そして光が広がれば、猟兵達はかの街――月見里市へと転移を果たすのであった。
五条新一郎
月の光に導かれ。
五条です。
此度は猟書家戦ヒーローズアース編。
ヒーローとして戦う少女達を、猟書家の魔の手から助けてあげてくださいませ。
●目的
ヒーローチーム『月光乙女組(ムーンライト・メイデン)』を守りきる。
猟書家『ダークメナス』の撃破。
●戦場
ヒーローズアースの日本、月見里(やまなし)市。
東北地方に存在する地方都市です。中心部が商業地域、郊外は住宅街となっています。
●NPC
『月光乙女組』
17歳の少女三人組からなるヒーローチーム。全員種族は人間。
メンバー仔細は以下。
『玉枝・朔良(たまえだ・さくら)』
ヒーローとしての名は『クレセントルナ』。蹴り技主体の格闘術で戦います。
活発でお人好しな性格。正義感強め。褐色肌です。
『龍珠院・満(りゅうじゅいん・みちる)』
ヒーローとしての名は『フルディアーナ』。杖から光の魔術を行使し戦います。
良家のお嬢様でややプライド高め。金髪縦ロールです。
『子安・蒼(こやす・あおい)』
ヒーローとしての名は『ブルーアルテミス』。魔力の矢を放つ弓を得物としています。
大人しく控えめな性格ですが、思い切りは良いです。眼鏡っ娘です。
●第一章
月光乙女組のメンバーを守りつつ『強化人間奴隷少女兵』と戦う「集団戦」です。
守りたいメンバーの指定ありましたらプレイングにて。無ければ、此方で出来るだけ均等になるよう分配します。
奴隷少女兵達はオブリビオン因子を埋め込まれている一般人の為、撃破することで救出が可能です。明らかに過剰なダメージを与えたりしなければ、因子だけを消滅させることができます。
●第二章
猟書家『ダークメナス』との「ボス戦」です。
かつて月見里市で斃れた邪神『月狂神ヤト』を召喚しますが、月光乙女組がいれば彼女達がヤトを抑え込んでくれます。
●プレイングについて
第一章はOP公開と同時、第二章は章移行後の断章投稿後よりプレイングを受け付けます。
「ヒーローチームと共に戦う」「秘密結社スナークの一員を名乗る」ことでプレイングボーナスがつきます。
月光乙女組は土地勘を持っているので、第一章では彼女達と協力することで敵を罠に嵌めたりすることができます。
それでは、皆様のミラクルなプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『強化人間奴隷少女兵』
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POW : ディーモニック・パワー
全身を【オブリビオン因子由来の禍々しきオーラ】で覆い、自身の【総身を襲う、想像を絶する激痛】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : ディーモニック・アクセレレイション
【オブリビオン因子から力を引出す】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : ディーモニック・サイキック
見えない【オブリビオン因子由来のサイキックパワー】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
指導・操真
フルディアーナは不意打ちで倒れ込み、死を察し絶望する。
バイデントの【呪殺弾】【衝撃破】を合わせた砲撃が敵を吹き飛ばす。
「よしギリギリ間に合った!大丈夫かフルディアーナ?」
笑顔で安否を確認。
「俺は秘密結社スナークが一人、指導・操真。ちょいと失礼?」
彼女を抱え直ぐ近くの建物の屋上に【念動力】で飛ぶ。
「君の相手はこいつらだ!」
詠唱を唱え死霊の連隊を発動。無数の死霊兵は【集団戦術】【継戦能力】の高さで壁となる。彼女の傷を異能の【医術】で癒しつつ砲撃。
「フルディアーナ、傷が治ったら手伝って欲しい。敵だがあの子も助けたいからな」
事情を説明するが【誘惑】の力が漏れ、吊り橋効果が劇的に出る。
※連係アドリブ歓迎
「あうっ!?」
住宅地に上がる悲鳴。バランスを崩し路面に倒れる、金髪縦ロールの如何にもお嬢様然とした少女。
フルディアーナこと龍珠院・満は、今、絶体絶命の危機の中に在った。突如現れた謎の少女達から攻撃を受け、辛うじて致命の傷は避けたものの肩を鋭く抉られ、その衝撃で地に倒れるを余儀なくされた。
「くぅっ、何なんですの貴女達!? もしや新月団の……!?」
態勢を立て直す為の時間稼ぎにと誰何の声を上げる満、だが、敵たる少女達は問いにも答えず、追撃するべく拳を振り上げ迫る。
完全に包囲された状況、最早これまでか。満が観念しようとした、まさにその時。
「………っ!?」
何処からともなく飛来した、何発もの漆黒の砲弾。道路に着弾したそれらが、叫び声じみた爆発音と共に衝撃波を放ち、少女達を吹き飛ばしたのだ。
突然の事に、驚きのあまり声の出ない様子の満。そんな彼女の前に、何処からか一人の青年が降り立った。黒衣に身を包んだ、誠実そうな顔立ちの青年。指導・操真(人間のシャーマン・f19142)である。
「よし、ギリギリ間に合った! 大丈夫か、フルディアーナ?」
「え、ええ、如何にか……。救援感謝致します。でも、貴方は……?」
笑顔で声をかけてきた操真に、礼を述べつつも誰何する満。己のヒーローとしての名で呼ばれたことは如何やら問題ない模様。
「おっと、これは失礼。俺は秘密結社スナークが一人、指導・操真。ついでにもう一つ失礼?」
問われ名乗り返す操真だが、その間に奴隷少女兵達が態勢を立て直してきたことに気付く。素早く彼女の身を抱え上げると、そのまま跳躍。念動力で上乗せした操真の跳躍力は、近場のマンションの屋上まで一跳びで上がれる程だ。様々な意味で驚いた様子の満、声も出ない様子。
「君達の相手はこいつらだ! 現出せよ、我が覇道に連なる死霊達よ!」
二人を追ってマンションへ突入しようとした奴隷少女兵達の前に、禍々しき霊気が凝集し行く手を阻む。それらは人の形を取れば、やがて兵士と思しき姿を形作る。総勢76名の死霊兵は其々に剣や槍を掲げて陣形を組み、突破を狙う少女達を阻む壁となる。
「よし、これで暫くは大丈夫だ。フルディアーナ、肩の傷を見せてくれるかい?」
死霊兵達の戦いぶりを確かめ、操真は改めて満へと向き直る。応じた満の右肩、無残に抉れて鮮血を散らし、中の肉までが露出した傷へと手を翳せば、掌から生じる霊気が傷口へと纏わりついて塞いでゆく。シャーマンとして霊を操る異能を有する操真、その力の応用たる霊能医術である。
「助けて下さった上に傷の手当まで……ありがとうございます。然し、秘密結社スナーク、ということは……」
手当を受けながら、先程耳にしたその名を反芻じみて口にする満。彼女も話題には聞いたことがある、その名は確か――
「ああ、猟兵による秘密結社。俺も猟兵だからね」
操真の答えに、得心いったとばかり満は頷く。続いて操真、此度この街に訪れ彼女を助けた理由を告げれば。
「この街で邪神が斃れ、その力が私達月光乙女組に……? ……ということは、狙われているのは私だけではない……!?」
危ないのは自分だけではない、仲間達もである、と思い至った満。すぐにでも駆け出さんとするが。
「待ってくれ。君の仲間の方にも、他の猟兵が救援に向かっている。だから大丈夫だ」
彼らが間に合わないなら、自分達が今から向かっても同じ事。操真に説かれ落ち着く満。
「だから、まずは彼女達を何とかしよう。敵ではあるが救うことはできる」
操真が示すはマンションの前、死霊兵の防陣を突破せんと攻撃を繰り返す奴隷少女兵達。死霊兵達はよく守っているが、攻めに出させようとするとやはり荷が勝つ。即ち、自分達が加勢する必要がある、と。
「傷の具合が大丈夫なら、手伝って欲しい。よろしく頼むよ」
微笑と共に助力を乞う操真の表情。何処か魅惑的なその笑顔に、満の胸が高鳴ったとか鳴らなかったとか。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
これは酷いですねぇ。
まずは『スナーク』を名乗り、乙女組の『遠距離攻撃可能な方』の何れかに接触、事情を説明し協力を申し出ますぅ。
『空地』等の『人が少なくて一般の方を巻込まず、また奴隷少女達が一般の方に紛れ込めない場所』で待ち構えましょう。
『FAS』により飛行、『FMS』のバリアと『FGS』の重力結界を私と乙女組の方の周囲に展開し守りを固め、【壊霞】を発動しますねぇ。
高速飛行を行っても、この『霧』に入った時点で行動を拘束出来ると共に『自壊誘発』で『エネルギー源』の『因子』を狙えますぅ。
後は『F●S』各種による[範囲攻撃]と、乙女組の方の『遠距離攻撃』で叩き、解放しますねぇ。
奴隷少女兵が振るった凶拳が、乳白色の光壁にぶつかり食い止められる。硝子じみて見える光の壁は、しかし常人の領域を大きく逸脱しているであろう拳の一撃を受け止めて尚、罅の一つさえ入り得ないと思える程の堅固さを以て其処にあった。
「……え……?」
光の壁の向こう、眼鏡をかけた青い髪の少女――ブルーアルテミスこと子安・蒼は、呆けた顔で己に迫る死を阻んだ光壁を眺めていた。
と、そこに。
「危ないところでしたねぇ」
上空から降ってくる、緩やかな少女の声。蒼が見上げた先には、背よりオーラで形作られた六の翼を広げて宙に浮く、豊饒そのものの肢体を有した美少女の姿。
「――天使様……?」
その様相を目にし、思わず呟いた蒼。彼女――夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の姿は、そうとも見えるものではあったが。
「いえ、私はあくまでも人間――のようなものですぅ。秘密結社スナーク所属、夢ヶ枝・るこると申しますぅ」
あくまでも彼女はバーチャルキャラクターである。やんわり否定しつつ、名乗ってみせるるこる。
「月光乙女組の皆さんがオブリビオン――猟書家に狙われている、との情報を得ましたもので、救援に参った次第ですぅ」
続いて事情を説明すれば、はっとした表情となる蒼。
「私達を――ってことは朔良ちゃんと満ちゃんも!?」
「ご心配には及びません、お二人の方には私の仲間が救援に向かっておりますのでぇ」
逸る蒼だが、るこるにそう告げられれば、猟兵達が助けに行っているなら、と落ち着いた様子。
「彼方とも後々合流を図るとしまして、まずは彼女達を何とかしましょう。ご協力願えますでしょうかぁ?」
そんな彼女へ、るこるは協力を願い出る。己の武器たる銀盤にて展開した障壁に妨げられる、奴隷少女兵を見遣りつつ。
「協力……ですか?」
数分後。るこると蒼――道中にてブルーアルテミスへと変身を果たした――の二人は、先程まで居た路地から程近い河川敷へと駆け込んだ。るこるに「人気の無い開けた場所」が近くに無いか問われた蒼が挙げた場所だ。
河川敷へ駆け込んだ二人を追って、奴隷少女兵達がすぐさま姿を現した。彼女達の目的はあくまで蒼の殺害。彼女達を逃がす理由などは無い。――その彼女達に誘い込まれた、と気付く由も無く。
「来ましたねぇ。――それにしても、これは酷いですねぇ」
奴隷少女兵達の虚ろな表情、それでいて迷い無き行動の様子を眺め、痛ましげな表情を浮かべるるこる。月光乙女組の少女達もだが、この奴隷少女達も救わねばならない。
「今、お救い致しますぅ。――大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『霧の加護』をお与え下さいませ――」
そして奉ずる女神へと祈りを捧げれば、辺りに霧が立ち込め始める。明確に自然のものではないと分かる、乳白色の霧だ。
「………っ!?」
霧に呑まれた少女達が、縛られたかのように動かなくなる。否、実際に縛られているのだ。るこるが展開した、ユーベルコードの産物たる霧に。
「今ですぅ、ブルーアルテミスさん。彼女達を打ち倒して、解放して差し上げましょう」
ブルーアルテミスに対しても、この奴隷少女達の事情は説明済だ。即ち、彼女達もまた、オブリビオン因子を埋め込まれただけの被害者である、と。
「は、はい……! それでは、いきます……!」
応じ、得物たる弓を構えるブルーアルテミス。弓と一体化した矢の鏃に、蒼く輝く魔力が集束する。
「撃ち抜け……ブルームーン・スプラッシュ!」
そして矢を放つかの如く腕を引けば、青い光の矢が散弾の如く撃ち出され、奴隷少女兵達へと撃ち込まれてゆく。そこへ更に降り注ぐ、るこるの浮遊兵器群による砲撃と爆撃。
為す術なく吹き飛ばされた少女達、なれどその身には一切の負傷が無く。起き上がった彼女達の瞳は、光を取り戻していた。因子によるオブリビオン化から、解放されたのである。
成功
🔵🔵🔴
ベルベナ・ラウンドディー
「――始末します」
じゃ、ないですよ
此方は秘密結社スナーク
玉枝朔良さんを口説きに来ました
●空中浮遊・範囲攻撃・逃げ足
コード使用、飛翔能力で彼女を連れて逃げます
テスト勉強で判断力磨いてくださいよ
多数相手にチマチマと疲労が溜まる格闘戦はナシです
こんな時は爆弾を撒いて一網打尽がベター、広くていい場所ありません?
…されど手応え悪し、となれば格闘戦も止む無しです
結界展開、敵能力を封印しつつ衝撃波を伴う急降下蹴りで直接なぎ倒す
力量差を見せ、頼みを断りづらい空気を作る意図も兼ねますがね
●仙術・元気
息は上がってない?ケガは?
この後、仲間と合流して別の大物を相手にして貰うのです
生命波動による治療ならお任せを
「――始末します」
「じゃ、ないですよ」
「――え?」
予知にて示されていた、クレセントルナこと玉枝・朔良の最期。その未来は、まさに致命の寸前で妨げられた。
朔良の胸を貫かんとした、奴隷少女兵の貫手。その手首を、いつの間にか隣に現れていた竜人の手が掴み、止めていたのだ。
「――ふんっ!」
そしてそのまま手首を捻り、奴隷少女を投げ飛ばし地に伏させた竜人、ベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)。朔良に向き直り用件を告げる。
「此方は秘密結社スナーク。玉枝朔良さんを口説きに来ました」
「――へ?」
至極真面目な口調でそう言われて戸惑う朔良。突然の事態の連続ということもあろうが、判断が追い付いていない様子。
「もとい、……詳しい事情は逃げながら話すとしましょうか」
「え? ……って、なんかいっぱい来てるー!?」
徐に朔良を抱き上げるベルベナ。更に突然の事が重なり混乱の深まる朔良だが、ふと視線を向けた先に『それ』を見れば事態を理解する。今しがた倒されたのと同様の奴隷少女兵達が、大挙して押し寄せてきたのだ。
その前に竜翼を広げ、空中へと飛び上がるベルベナ。ユーベルコードにて強化した飛翔力は、朔良を抱えながらの飛翔をも容易とする。なれど奴隷少女兵達も追いすがる。夜の住宅街での追いかけっこが始まった。
「――然し、先程の判断の遅さはいただけない。テスト勉強で判断力磨いてくださいよ」
「うう、反論できない。けど、あたし達に邪神の力が……?」
住宅街の空を飛びつつ、事情を説明するベルベナ。先程の、己が割って入らなければ確実に彼女は死んでいただろうという判断の遅れを突きつつ。其処は尤もと反省する朔良、然し自分達の力が邪神に由来するものと言われ戸惑っている様子。
「邪神の力とて、悪の為に使わねばならないという道理は無いでしょう。――然し」
その戸惑いに言葉を返しつつも、ベルベナはちら、と背後を振り返る。道路を駆け、或いは建物の屋根を飛び渡り、奴隷少女兵は執拗に追ってくる。
「思ったよりしつこいですね。あれだけの数、何処かでさくっと一網打尽にしたい処ですが」
竜の貌に渋面を浮かべ、ベルベナは朔良に問う。爆弾を使っても問題なさそうな開けた場所は無いか、と。
「それなら――」
ベルベナ達が着陸したのは、近くの小学校の運動場。成程、広さという点で言えば申し分ない。
「巻き込まないようには注意しますが、一応避けられるよう構えておいてください」
と、下ろした朔良に言い置いて、ベルベナは再び飛翔する。直後、校門を飛び越え突入してくる奴隷少女兵達。そのまま朔良を目掛けて殺到してゆくが――そこに上空から落ちてくる複数の物体。
「愚直にも程があるというものです、ね!」
続いて降るはベルベナの声、その末尾に力が籠もれば、落下した物体が一斉に爆発。本来は時限式の爆弾を、ベルベナの念動力で以て即座に爆破したものだ。
突然の猛烈な爆発の前に、奴隷少女兵らは為す術なく吹き飛ばされ、意識とその身をオブリビオン化させている因子を失う。なれど、幾人かはどうにか立ち上がり、その身の因子から力を引き出そうとしている。
「そうはいかせません!」
だがベルベナは其へも対策を講じていた。短く印を組むと同時、少女達の身から立ち昇りかけていた禍々しい光が失せる。展開した結界が、能力の発動を封印したのだ。
そして直後にベルベナ自身が急降下。蹴撃に伴う衝撃波が、残っていた少女達を纏めて薙ぎ倒し、意識を刈り取っていった。
「――さて朔良さん、怪我はありませんか?」
「う、うん、大丈夫」
敵勢力の全滅を確認し、ベルベナは改めて朔良に向き直り無事を確認。眼前で見せられたその実力の程に圧倒されたか、朔良の返答にはややぎこちなさもあるが、無事ではある様子。
「この後、仲間と合流して別の大物を相手にして貰うのです。披露や負傷があれば言ってくれれば治しますよ」
別の大物。そんな敵が現れるのか、と朔良は思わず息を呑んだとか。
成功
🔵🔵🔴
岩社・サラ
アドリブ連携歓迎
救助するメンバーはおまかせ
単独行動中の対象を数で圧倒しつつ各個撃破する……よくあるやり口ですね。
状況は了解しました。まずは対象の保護と襲撃者の無力化、ですね。
秘密結社スナークの構成員を名乗り救援に来たことを告げながら戦闘を開始。
ヒーローチームの方は土地勘があるようですし、遮蔽物の少ない開けた場所に案内してもらいましょう。
カービンで弾幕を張り敵を牽制しつつ目的の場所についたらユーベルコードを発動。追ってきた敵を一気に拘束していきます。
敵の高速戦闘も泥濘んだ地面と鎖による拘束で妨害することができるでしょう。
動きを止めるたらヒーローチームの方と協力して敵を無力化していくことにします。
夜の住宅街に、一時、日中の如き光が溢れる。
「フルムーン・ブラスター!」
フルディアーナの掲げた杖から迸る光が光線となり、眼前の奴隷少女兵目掛けて撃ち出される。其は狙い違わず奴隷少女兵を直撃し、これを昏倒せしめる。
しかし倒れた仲間を乗り越えて、更に複数の奴隷少女兵達がフルディアーナへと迫る。多勢の攻めを前に、歯噛みするフルディアーナ。彼女は複数の敵を一度に攻撃する技も会得しているが、この少女兵士達を蹴散らすには威力が足りない。結局の処、数で押されると厳しいのは変わりない。
「ですが、ここで終わるわけにはいかなくてよ……!」
絶望的な状況を切り抜けるべく、改めて杖を構えるフルディアーナであったが。不意に、数発の炸裂音が耳へ飛び込む。直後、迫り来ていた少女兵が肩や胸を穿たれ怯む。
「単独行動中の対象を、数で圧倒しつつ各個撃破する……よくあるやり口ですね」
続いて聞こえてきた女性の声に、フルディアーナが振り向けば。カービンライフルを構えた薄青色の髪の女性――岩社・サラ(人間の戦場傭兵・f31741)の姿がそこにあった。
「フルディアーナ――龍珠院・満さんとお呼びした方が良いでしょうか」
「今はフルディアーナでお願いします」
確認の意を含めた呼びかけにフルディアーナが応えれば、意を得たとばかりにサラは頷き。
「秘密結社スナークの岩社・サラです。あなたを救援するべく参りました」
名乗り、目的を告げると共に、カービンライフルを掃射。濃密なる弾幕が奴隷少女兵達へ降り注ぎ、彼女達へ一時、防御を強いる。
「秘密結社スナーク……ということは貴女も」
「ええ、猟兵です」
銃声が止んだところで問うフルディアーナ。ライフルのマガジンを素早く交換、再度弾幕を張りながら答えるサラだが、その目が険しく細められる。
(……しかし数が多い。ここだと少々組し難いですね)
幾つもの家屋が並ぶ住宅街。その屋根上からの急襲や、裏路地を使っての背後への回り込み。それら全てを警戒しながら保護対象を守るのは少々骨が折れる。
「……フルディアーナさん、この辺りの土地には詳しいですか?」
そこで、今度はサラがフルディアーナに問う。より戦闘に適した場所が何処かに無いか、と。
そして二人が駆け込んだのは近くの公園。入口でサラが路地を目掛けてカービンを連射する。奴隷少女兵達の足止めの為だ。その間にフルディアーナが公園へ侵入し、サラも後を追う。
すぐさま、彼女達を追って奴隷少女兵達も公園へと突入してくる。振り返り、身構えるサラ。最早逃げられぬと観念したか。否、無論そうではない。逃げる必要が無い、というのが正しい。
銃持たぬ側の手を、公園の地面へと翳すように前に出し、詠唱する。
「大地の力、石の鎖――拘束せよ!」
直後、公園の地面が一瞬にして泥濘と化し、二人を目掛け駆けていた奴隷少女兵達が足を滑らせ転倒。辛うじて免れた少女兵にも、地面から放たれた石の鎖が絡みつく。
それはサラの一族に伝わる地属性魔法、その一種。泥地と石鎖で以て敵の機動を封じる、現状にはこの上なく適した魔法だ。
少女兵達の中にはユーベルコードでの加速を試みる者もいるが、踏み込みの為の足場が最悪では思うように加速できず、もがくばかりの様子が見て取れる。
「うまくいきましたね。それでは、彼女達を一緒に無力化していきましょう……!」
「承知致しましたわ……!」
反撃を呼びかけるサラと、応えるフルディアーナ。身動きさえ侭ならぬ少女兵達を、それぞれの武器で以て攻撃。一体また一体と少女兵達は倒されてゆき、その身のオブリビオン因子を取り除かれていった。
成功
🔵🔵🔴
久遠・翔
アドリブ絡み歓迎
選択UCを使用しながら移動し待ち伏せしている少女兵に一閃
慌てるヒーロー少女に対して大丈夫っすよ?気絶しているだけっすからと空中からふわりと舞い降ります
初めまして、秘密結社スナークが一人、久遠・翔と申します。よろしくお願いしますねと微笑んで警戒心を解かせましょう(魅了206+性質:女性に好かれる)
…顔が赤いけど大丈夫っすか?と首傾げながらも土地勘のある彼女にこの先の隠れられそうな場所を聞き再度UCを起動させます
雷の如く奔り目途の付く場所に敵がいないか確認し、いたら電撃により気絶させ元の場所へ
この先の安全は確保できたので行きましょう
UC小さな庭園世界に倒れた少女兵を保護し移動します
仲間達と合流するべく、夜の住宅街を駆ける朔良。先程助けてくれた猟兵とは別行動になったが、勝手知ったる己の住む町。何があっても逃げ切れる自信が朔良にはあった。
真っ直ぐ延びる長い道を駆け、その先の橋を目指して行く――その目前に、突如飛び出してきた黒い影。
「……っ!?」
驚き、身構える朔良。だが飛び出してきた影――奴隷少女兵は、そのまま道路に倒れ、ぴくりとも動かない。一体何が。というか彼女達は死んでしまったのだろうか。
「あー、大丈夫っすよ? 気絶してるだけっすから」
心配げな朔良に、頭上から声がかかる。見上げれば、紫電をその身に纏いながらふわりと舞い降りてくる、黒衣の人影の姿。月光に煌めく銀髪と、中性的な雰囲気の顔立ちが目を惹くその人物もまた猟兵。久遠・翔(性別迷子・f00042)である。
「初めまして、秘密結社スナークが一員、久遠・翔と申します。よろしくお願いしますね」
着地した翔は、朔良に対して名乗ると共に微笑みかける。月の光が仄かに照らすその微笑、中性的な顔立ちと相俟って何処か神秘的な美を醸すかのようで。
「……ぁ……う、うん……。あたしは朔良……玉枝・朔良。その、よろしく……」
頬に紅を散らし、何処かしどろもどろとなってしまいつつも、朔良もまた名乗る。視線が、微妙に翔の方を向いては逸らされる。
「……? 顔、赤いけど大丈夫っすか?」
そんな朔良の反応に、不思議そうに首を傾げる翔。警戒を解く意図での行動であったが故、朔良がそのような反応を見せるのが何故なのか――己の女性を強く惹き付ける容姿に対する自覚が無いのもあり――分かっていない模様である。
「……え、あ、う、うん。だ、大丈夫、大丈夫……!」
翔が不思議そうに己を見ていることに気付いた朔良、そんな反応を見せてしまったことを恥じらいつつ、誤魔化すような笑みと共に平静を主張する。
「なら良いっすけど……。で、本題っすけれども」
朔良の反応を不思議がりつつも、翔はそれ以上の追求はせず。彼女に本来問いたかった事項について尋ねんとする。
「この先の道で、待ち伏せに向いてる隠れ場所とかあるっすかね?」
翔が懸念しているのは、奴隷少女兵達による待ち伏せである。翔自身は高い力量を持つ猟兵であるが、不意を突かれれば朔良を守り切れない可能性も無いとは言えない。その可能性を潰す為の問いである。
「そ、それなら……」
その意図までは知らずとも。翔の問いに応えんとする朔良。その返答を受けて、翔の身を紫電纏うオーラが包み込む。
「ありがとう――これなら、ばっちり露払いがやれそうっす!」
応えるが早いか。翔の身が地より離れたかと思えば、そのまま一気に加速し飛翔してゆく。この先の道に潜んでいるだろう、敵の所在を確かめる為に。
「――そことここは、大丈夫っすね」
高速で住宅街を飛び行く翔。朔良の情報に基づき、敵が潜み得る路地や障害物の影を確かめてゆく。敵がいないならば、そのまま先へと進み。
(――見つけたっす!!)
そして、次に向かった先、空き家と思しき家の庭に隠れる、奴隷少女兵の集団を見出す。
「ちょっと静かにして貰うっすよ……!」
「……っ!? 猟兵確認、至急増援を――」
翔の接近に気付き、増援を呼びよせんとする少女兵だが、翔の行動が早い。その身から幾筋もの紫電を放ち、奴隷少女兵達を貫いて。それ以上の行動を起こさせることなく沈黙せしめたのである。
気絶した少女達は、別のユーベルコードを以て隔離空間内に収容。そうして、進路上の敵を排除してゆけば。
「さあ、安全は確保したっす。先に進むっすよ!」
朔良と共に、敵の排除を完了したその区域を駆けてゆく。その際、またも朔良の様子がおかしいことには、翔も気付いてなかったようだが。
大成功
🔵🔵🔵
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※アドリブ絡み連携歓迎
※降機中、蒼ちゃん支援
おっと、お嬢さんはヤらせないさっ
【スケイプ・セル】で奇襲から全方位防護
攻性防壁は【マトリクス・メモリ】で『幸福の発生源』付与
体や思念波で触れたら「アレな多幸感」で立ってられないよ♡
アタシは【秘密結社スナーク】の『Drリリー』さね♪
暗殺作戦の情報を得たんでお節介に来たのさ
よし、特製のお注射を…これで撃ち合いにも耐えられるよ♡
※【フラッシュ・ライナー】で【アーマード・プレジャー】投与
※主に瞬間思考力・反射神経・耐久力を強化
後は攻性防壁と【ウインド・ミル】で攻防支援さ
ん、よく頑張ったね♡(軽いキスで昂り発散)
じゃ、他の娘も狙われてるし合流しよっ♪
「うぅ……囲まれてしまいました……」
仲間達と合流するべく、敵たる奴隷少女兵達から逃れつつ、或いは打ち倒しながら街を駆けていたブルーアルテミス、子安・蒼。だが、敵の数はあまりに多く、逃げ道を遮断され、追い詰められ。遂には、路地の一角にて完全に包囲されてしまった。
「目標を完全に包囲した。これを始末する」
奴隷少女兵の一人が淡々と呟いた直後、その一人を含む一団が一斉に蒼目掛け疾走、或いは跳躍する。なれど蒼は絶望することなく、その攻勢をすり抜ける道を探り――
『おっと、お嬢さんはヤらせないさっ』
「――えっ!?」
驚きの声を上げる。何処からともなく聞こえてきた女性の声音に続き、己を囲むように――或いは守るように。突如として、幾つもの光の壁が立ち上がり、己と奴隷少女兵達とを隔てたためだ。
しかし少女兵士達は、構わぬとばかり光の壁に突撃してゆく。そして少女達は光壁に衝突する――が、それだけでは済まなかった。
「ひぁぁぁぁぁ!? な、何、これぇぇぇぇ♪」
「こんな、こんなの知らないっ、知らないぃぃぃぃぃ♪」
光壁にぶつかった少女達が、次々と悲鳴を上げて倒れてゆく。否、その声音は悲鳴と言うにはあまりにも歓喜に満ち過ぎていた。まるで、苦痛ではなく快感を感じているかのような、多幸感に満ち満ちた悲鳴である。
「――え……っ?」
唖然とした声を漏らす蒼。一体何が起きたのか。その答えは、倒れた少女達の後ろから現れた。
蒼達よりも幼く見える、華奢な肢体の少女。だが、悠然たる微笑を浮かべるその佇まいは、己らよりも余程大人びて見える。
その感覚は間違っていない。事実、彼女――リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)の実年齢は、蒼達より十以上も上であるのだから。
「や、無事みたいだね。アタシは『秘密結社スナーク』の『Dr.リリー』。暗殺作戦の情報を得たんでお節介に来たのさ♪」
呆然とした様子の蒼に、片手を上げて名乗ってみせるリーゼロッテ。故あって己の本名を忌避している彼女、他者には己を愛称で呼ぶよう求めているのである。
「あ、こ、子安蒼です。秘密結社スナーク……ということは、あなたも……」
律儀に名乗り返しつつも、リーゼロッテの素性に当たりをつけた様子の蒼。先程己を助けた猟兵の名乗りを踏まえての判断のようだ。
「ん、ご明察。アタシが来たからには間違いなくイかせてヤるさ――っと」
何処か悪戯っぽい笑みで応えるリーゼロッテだが、状況の変化を悟れば表情も幾分か引き締まる。蒼を守るべく展開した攻性防壁を潜り抜け、新手の奴隷少女兵達が迫りつつあったのだ。
「アレを突破しないと駄目っぽいね。それじゃ、蒼ちゃんにイイモノあげるよ」
其に対するべく、リーゼロッテが取り出したのは一本の無針注射器。不思議そうな表情を浮かべる蒼だが。
「蒼ちゃんの為に用意してきた、特製のオクスリさ。撃ち合いにも耐えられるようにね♪」
何処か楽しげに囁きながら、蒼の露出した二の腕へと手早く注射。一瞬表情を顰める蒼だが、すぐに変化を感じたか、驚いたように瞳を瞬かせる。
「……これ、は……!」
「ん、効いてきたみたいだね。よし、あの子達にブチ込んでヤっちゃいな♪」
促すリーゼロッテに頷き、得物たる魔法弓を構える蒼。引き絞る弦に青い魔力の光が集い、撃ち出せば――放たれた矢は、狙い違わず最前の奴隷少女兵の胸を貫く。
「見える……! 敵の動きが、見えます……!」
驚きの声を漏らしながらも、蒼は次の矢を番え、そして撃ち放つ。先程リーゼロッテが投与した注射の中身はナノマシン。蒼の体内に入り込んだ細胞レベルの機械群が、彼女の思考力や反射神経を加速させているのだ。
「その調子だよ、蒼ちゃん。脇はアタシがきっちり固めるから、どんどんヤっちゃいなよ♪」
次々に奴隷少女達を撃ち抜いてみせる蒼の様子に、リーゼロッテは満足げに頷き。自らも更なる攻性防壁――ぶつかった相手に強烈な多幸感を注ぎ込む作用付――と、機銃装備のドローン群を展開し、側面から蒼を狙いにかかる敵を迎撃してゆく。
程無く、襲撃してきた敵群が全滅したことを確かめれば。リーゼロッテの促しを受け、蒼は仲間達と合流するべく再び駆け出す。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ダークメナス』
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POW : 我、失われし汝等の盟主なり
全身を【盟主の威光 】で覆い、自身の【同志達が奪ってきた神or不死の怪物の力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 我は盟主として、同志達の無念を晴らそうぞ
自身に【神々の時代の頃より得てきた同志達の無念 】をまとい、高速移動と【六枚羽根より滅びを齎す衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 我が同志達の怨念、晴らさずにいられようか
自身が【同志達が殺された事への憎悪 】を感じると、レベル×1体の【神々の時代より存在する古代遺産】が召喚される。神々の時代より存在する古代遺産は同志達が殺された事への憎悪 を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:塒ひぷの
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠エリス・シルフィード」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
月見里中央公園。
月見里市の中心に存在する、広いグラウンドを有する公園。その傍の噴水広場へと、玉枝・朔良、龍珠院・満、子安・蒼――月光乙女組の三人はほぼ同時に駆け込んできた。彼女達を守ってきた猟兵達と共に。
「朔良ちゃん! 満ちゃん! 無事だったんですね……!」
「蒼さんもご無事で何よりですわ。正直、私は駄目かと思いましたが……」
「満ったら珍しく弱気……って仕方ないか。猟兵さん達が来てくれなかったら、あたしも死ぬトコだったし……」
互いの無事を確かめあう、三人の少女達。だが、猟兵達も、そして彼女達も理解している。これで終わりではない、と。
「――月狂神の残滓は回収し損ねたか」
不意に響いた、不気味な残響を伴う声音。明らかに尋常の存在たり得ぬ気配に、月光乙女組と猟兵達が振り向けば。
其処に在ったのは、黄金の外殻めいた鎧を纏う女性型の存在。これが猟書家『ダークメナス』、月光乙女組を狙った此度の陰謀の黒幕か。
「ならば、彼奴自身にて己の力を回収させるとしようぞ。――目覚めるがいい、此の地に眠りし旧き神よ」
ダークメナスがその手を翳すと共に、公園全体を局地地震めいた激しい振動が襲う。否、揺れているのは地面だけではない。空間自体が激しく振動しているのだ。
そしてかの邪神猟書家の背後、空間が滲み出るかの如く姿を現しゆく人影。法衣を纏った妙齢の女性と思しき姿、月光を思わせる黄金のオーラを纏う姿は神秘的な美を纏えど、隣の猟書家にも劣らぬ威圧感をも兼ね備える。恐らく、これが『月狂神ヤト』。かつてこの街で斃れた邪神の一柱だ。
「見よ」
顕現を果たしたヤトは、ダークメナスの示すがままに猟兵達を、月光乙女組を見る。その視線、心弱き者は一瞬で正気を失いかねぬ程の強烈な狂気を帯びる。
「あれが汝の力簒奪せし人の子と、其に与する輩共だ。汝、その不遜を赦せるか?」
語る邪神猟書家、対する月狂神に言葉は無いが、発される狂気の気配はより強さを増す。猟兵達への敵対の意志は明らかだ。
「……っ! 何、この感じ……?」
その時、朔良が胸を抑えて呻く。苦悶は無い。何かに気付いたかのような素振り。
「朔良さん、貴女もですのね」
満もまた、胸を抑えて眉根を寄せる。己の感じた『何か』の意味を探るかの如く。
「私も――この感じ、多分、あの邪神と――」
蒼は何かに気付いたかのようにヤトを見る。己らに宿る力は、あの邪神に由来するものであるという。ならば。
「――私達の力を開放して、共鳴させれば、あの邪神を抑え込める……?」
思いついたかのような蒼の言葉に、はっとなる満と朔良。
「――ええ。理屈は分かりませんが、いける、という確信を感じますわ」
満の応えるのに頷き、朔良は猟兵達の方を向く。
「あの邪神はあたし達が抑えてみる。猟兵さん達、もう一体の方はお願い……!」
グリモア猟兵が語っていた通り。彼女達の有する力は、そのまま邪神を抑え込む力となる。そういう事なのだろう。猟兵達は頷き、ダークメナスへと向き直る。
「――クレセントムーン・ライジング・フォース!」
「フルムーン・ライジング・フォース!」
「ブルームーン・ライジング・フォース!」
少女達はその手を掲げ、己の身に宿る力を開放する。月光乙女組として戦う際よりも更に深く。三人の肉体が蒼銀色に輝き、同じ色の波動となって広がってゆく。
『―――!!』
其はヤトの纏う黄金のオーラとぶつかり合い、対消滅を起こす。怯むように、月狂神が後退る。狂気の視線が月光乙女達へと向けられる。なれど迸る波動は抗うように放たれ続ける。力の拮抗。
「――よもや、人の子に宿る程度の力が、我が同胞を抑え込める程とはな」
唸るようにダークメナスが呟く。この様子ではヤトは動けまい。なれど、あの人間達もまた同じであろう。ならば。
「この者達には我の手を以て死を齎してくれよう。汝の力を回収するはその後だ」
改めて猟兵達を見据える邪神猟書家。纏う闇の魔力が、より強き威圧感を伴い放たれる。
「人も神も、全ては闇に還るが宿命。まずは、汝らだ」
かの猟書家を打ち倒し、邪神を再び眠りへ還すべく。決戦の時である。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
はい、其方はお願い致しますぅ。
お気をつけて。
まずは『FMS』によるバリアを形成して乙女組を包み、『彼女達狙い』や『流れ弾』に備えますぅ。
残る『F●S』各種は周囲に散開、【万華】を発動し全身を『雷』に変換しましょう。
相手の速度も相当とは言え『雷の速度』には及びませんが、『強化』の結果として『雷』への攻撃を可能としている可能性も踏まえ、回避を優先しつつ『頭頂』『背後』等の視界外を中心に『雷撃』で叩きますぅ。
更に、相対速度の差から『相手の位置』も問題無く把握出来ますので、『F●S』各種による[砲撃]や[爆撃]での攻撃も有効でしょう。
相手に攻め手を絞らせず、確実に叩きますねぇ。
岩社・サラ
アドリブ連携歓迎
月光乙女組の皆さんの力で邪神は抑えられていますね。ではここからは私達の仕事、ですね。スナークとして猟書家を撃破しましょう。
しかし、高速で動き回る敵というのは厄介ですね……こういった手合は弾幕を張り追い詰めるのが定石ですが今回は別の手段で行きましょう。
まずはクレイゴーレムで敵の衝撃波を防御しつつ敵の動きの癖などを観察していこうと思います。
ゴーレムが破壊されたら高速詠唱の召喚術ですぐさま新しいゴーレムを召喚して対処します。
十分に敵の動きを観察した所で攻撃を開始。
DMRを装備し観察した敵の情報と私の持つ戦闘知識を元に敵の動きを予想し、集中力を高めて放ったUCの一撃で敵を穿ちます。
夜の中央公園、噴水広場を照らす二色の光。黄金と蒼銀。二色の波動の衝突。
黄金の波動を放つ月狂神ヤト、三方から浴びせられる蒼銀の波動を前に動けず。狂気に満ちたる視線を、蒼銀の光の源たる少女達に向けるが、彼女らも退かぬ。
「――抑え込めていますね」
動けぬ月狂神、抑え込む月光乙女組。その均衡は、少なくとも見た目には安定しているように見える。岩社・サラ(人間の戦場傭兵・f31741)はそう判断する。
「ですが、念の為此方を展開しておきますねぇ」
だが、此の場の脅威はヤトだけではない。夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の意志に従い、銀の円盤が少女達を囲い、乳白色の光壁を形成する。彼女達の放つ波動を阻害せぬバリアだ。一瞬、驚いた風の表情を浮かべた少女達がるこるを見る。
「其方はお願い致しますぅ、お気をつけて」
「かの猟書家の討伐は私達の仕事、お任せ下さい」
るこると、その傍へ移動したサラが声をかければ、少女達は決然と頷き、改めて月の邪神へ視線を戻す。其を見届けた猟兵達が視線を向けるは、十の翼を背に負う古き邪神。猟書家『ダークメナス』。
「――笑止である。猟兵と言えど定命の者、神たる我に敵う道理など無し」
視線を受けたる邪神猟書家、傲岸に断言する。其を証立てんとするかの如く、背より溢れるは激しき光。同胞たる月狂神にも負けぬ程の神々しさを帯びたる、それでいて怨念めいた禍々しさをも感じさせる光。
「我、失われし邪なる神々の盟主なり。同志達の無念、晴らしてくれよう」
その宣言と共に、ダークメナスの姿が消える。――否、凄まじい速度で二人を目掛け斬り込んできた!
だが猟兵達も黙って見ていた訳ではない。かの邪神が高速移動を伴う攻撃を行う、という情報は予知により把握済。そしてその対策も備えている。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
奉ずる女神へ祈りを捧げるるこるの身が、火花じみて電荷を弾けさせる紫の光――雷光へと変移する。ダークメナスをも上回るその速度でもって、紫雷が夜空へ撃ち上がり斬り込みを躱す。
「――生まれ出でよ!」
サラが地面へと手を翳せば、その一帯の土が粘性の泥めいて急速に隆起。人の形を取ったかと思えば泥濘は一瞬にて凝固し岩めいた質感を表面に鎧う。一族に伝わる地魔術にて召喚したクレイゴーレムだ。
「人の子が神の御業を真似るか! 不遜!」
其を生命創造の業の模倣と見做したか、ダークメナスの狙いはサラへと向く。背の翼が広がり、閃くと共に、大気を引き裂く衝撃波が立て続けに撃ち出されてくる。
「そのつもりは無いのですがね!」
サラはクレイゴーレムの影に身を隠し、衝撃波をやり過ごさんとする。泥岩にて鎧われる土塊の肉体は、衝撃波を浴びるたびに大きく削られ、ものの数発で片腕が脱落、地に落ちた泥岩が砕け散る。それでも主たるサラが傷つくには至らしめず、そして尚も主を守らんと発ち続ける。
「小癪! このまま土塊諸共砕け散るが――ぐぁっ!?」
更なる攻勢に出んとするダークメナスの身が、電気的衝撃を受けたかの如く痙攣する。否、それは正しく電気的衝撃。邪神の背より前方へ突き抜けてゆく紫光。雷と変じたるこるの突撃である。
「ふん、速度で撹乱せんというか! だが、只の雷撃で我が身は止まらぬぞ!」
然し雷に貫かれたにも拘わらず、その身の傷は浅いと見える。纏う神気の光を棚引かせ、超速にてサラへと肉薄する。
「くっ!」
衝撃波を伴う手刀を一閃、サラはゴーレムの影へと飛び込み躱すが、そのゴーレムが手刀に穿たれ、伴う衝撃波をも受け。土塊の肉体がバラバラに砕け散ってゆく。
「何の、生まれ出でよ!」
だがサラとしてもゴーレムの一体二体を砕かれるは承知の上。即座に次なるゴーレムを召喚する。その召喚術の詠唱速度は刹那の間。音速を遥かに超える速度で飛翔する邪神と言えど、再召喚までの隙を突くは容易ではない。
「無駄な足掻きを! 土塊の影に隠れ震えるだけか、それとも――」
新たに現れたゴーレムに対しても、ダークメナスは飛翔しながら次々と衝撃波を撃ち出しその身を削り、砕いてゆく。その攻勢、ゴーレムの肉体を以てしても守りきれず、サラの身まで到達した衝撃波が身を削りゆく。更に。
「――汝が本命、とでも言う心算か!」
翼の一つが閃くと同時、放たれた衝撃波は邪神の頭上へ。降り落ちんとした紫雷が、大気の唸りに呑まれ散りかける。
(くぅっ、やはりこの状態の私にも攻撃できますかぁ)
身を引き裂かれるような感覚を堪えながら、るこるは心中で唸る。この猟書家、まがりなりにも邪神というだけのことはある。自然の驚異とて脅威たり得ぬか。
(ですが、それならば別の手がありますぅ)
態勢を立て直しつつ、思念を飛ばす。応えて飛来するは、光盾つきのものを含む浮遊砲台群、光の刃を伴う戦輪群、重力操る錫杖群。即ち彼女の主武装たるフローティングシステム群。神の力と人の技の融合。音速を軽く超えるダークメナスといえど、雷の速度で飛翔するるこるには遠く及ばぬ。故に、かの敵の速度にも認識は追従し得る。これら兵器群も有効に作用する筈だ。
(では、いきますよぉ!)
そしてるこるは紫雷と化した身で突撃を開始。すぐさまダークメナスが衝撃波を放つが、其はるこるの想定内。一度受けた攻撃を二度は喰らわない。そして。
(今ですぅ!)
猟書家の手を逃れた直後、るこるは心中にて叫ぶ。応え、浮遊兵器群が一斉にダークメナスを狙い、攻撃を開始。熱線が、炸裂弾が、飛翔する戦輪が邪神を狙って撃ち出され、錫杖より生ずる重力場が機動を阻害する。
「ぐっ、ぬ、小癪な……!」
四方八方から放たれる攻撃を、ダークメナスは回避し続けるが、何発かは躱し切れずその身に傷を刻まれる。そして、それだけではない。
(回避機動が単調になってきている……今ですね)
サラである。クレイゴーレムを繰り返し盾とすることでかの邪神の攻勢を凌いでいた彼女、同時にかの敵の機動パターンを見極めんとしていたのだ。全ては、高速で飛翔するダークメナスの機動を捉える為。
(しかし、まさか当初考えていた策と類似した策に出会おうとは)
機動力に長ける敵は弾幕でもって機動力を殺した上で戦うのが定石。敢えて別の手段を取ることとしたサラ、当初の作戦で狙えていた状況に内心で苦笑を浮かべつつも、その手にマークスマンライフルを抜き、浮遊兵器群の中心で機動を繰り返すダークメナスを捉える。
(速度は速いですが――)
ダークメナスの機動速度は凄まじいが、その機動範囲自体は狭い。即ち、タイミングを図って放てば当てられる。サラの瞳にユーベルコードの光が走り、細められた目が邪神猟書家の機動する様を見据える。そして。
「――この一撃で穿ちます――行けっ!」
敵の機動する様、ここまでの観察の結果、己の積み重ねた戦闘経験。それら全ての要素を加味して放った、一発の銃弾。其は狙い違わず、邪神の胸を撃ち抜いて。確かな傷を、かの敵へと齎した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
WIZ
猟書家のダークメナス様ですね。
私はドゥルール。オブリビオン救済を掲げる者です。
貴女も、貴女の同志達の無念も、全て受け入れますわ
『絶対なる理想郷』で戦場全体を包む骸の海と化し
113秒間あらゆる攻撃を封じつつ
ダークメナス様と月狂神ヤトの生命力を吸収し
その力を自身に【ドーピング】
【狂気耐性・気合い】で狂う事なく戦闘力増強
UC解除の瞬間を狙われても
黄金の【オーラ防御・激痛耐性】で耐え
光の【属性攻撃・マヒ攻撃】で【カウンター】
絶対なる理想郷によるダメージと媚毒の【呪詛】も相まって
流石のダークメナス様も動けない筈
【怪力・捕縛】の抱擁で胸を押し潰し合いながら
濃厚なキスで【慰め・生命力吸収】
「猟書家のダークメナス様ですね」
態勢を立て直したダークメナスの前に、一人の少女が降り立つや否や、恭しく頭を垂れる。
「――汝、其は如何なる心算か」
ダークメナスはその様を訝しむ。その者も猟兵であるが故に、何らかの策があると踏んだからだ。だが、かの神は知らぬ。その少女――ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)にとって、其は何ら含む処の無い自然なる所作であることを。
「私はドゥルール。オブリビオン救済を掲げる者です」
名乗ると共に己の意志を告げるドゥルール。その言葉に嘘は無い。その理念のもと、これまでにも多くのオブリビオンを『救済』してきた彼女であるが故に。
「救済――だと? 我を?」
「ええ。世界に拒絶された貴女も、貴女の同志達の無念も、全て受け入れますわ――このように」
答えるドゥルール、その姿が――闇色と変じて溶け崩れ、溢れ広がり、戦域全てを覆い、包み込んでゆく。闇、というのは正確ではない。それは――
「――骸の海? いや、違う――!?」
全てのオブリビオンの生まれ出る源、消費された過去の集積。即ち骸の海。だが違う。ダークメナスは感じる。己の生命力が吸収されゆく、その感覚を。
今、戦場を満たすのは骸の海であって骸の海ではない。ドゥルールが己の身を変じせしめて形成した、真なるオブリビオンの楽土――第二の骸の海。オブリビオンの救済を掲げる彼女が生み出す、絶対なる理想郷。
「うく……っ、汝、我を呑み込もうというのか……!」
生命力だけではない、己の精神までをも骸の海に呑まれゆくような感覚を、邪神は感じる。其はこの闇の中に満ちる呪詛――理性を蕩かせ、快楽を齎す媚毒の呪詛による感覚。神たる身は容易に陥落こそせぬが、影響は決して皆無ではない。
「く、ふぅ……っ! 身の程を知らぬ愚物めが……!」
このような闇など直ちに払ってくれる、その意志のもとに繰り出す衝撃波は、だが即座に雲散霧消してしまう。この骸の海には、あらゆる攻撃を無効化する呪詛が満ちているが故に。
「―――!!」
月光乙女達と対峙する月狂神ヤトにも、苦しげな反応が見える。ダークメナスは戦慄する。この娘、何処まで貪欲だというのか。
生命を吸われ、媚毒を注がれ、さしもの邪神も膝をつく。その前に、広がった闇が凝集し、元のドゥルールの姿へ戻りゆく。彼女を骸の海たらしめるユーベルコードは、その比類なき力と引き換えに絶対の制限時間を有する。113秒。其を超えれば、ドゥルールの身は最早人の形に戻ること叶わず霧散するのみ。
「くふ……ぅっ、汝……不遜、不敬……!」
其処こそ攻撃の絶対の好機と見て。邪神の影から飛び出した無数の魔杖がドゥルールを狙う。一斉に発射されるは、ロケット弾じみた無数の魔力弾。ドゥルールを完全に包囲した状態から放たれる一斉攻撃は、彼女の身を貫き穿ち、引き裂くのみ――そう思われたが。
ドゥルールの身から、黄金のオーラが迸る。其は何処か病んだ光を放ち、浴びせたる先の猟書家に立ち上がるを許さぬ。挙動を封じる魔力を帯びているのだ。
「な……! ……ぅ、っく、ぬぐぅぅぅぅぅっ……!」
光を浴び、呪詛を注がれ、ダークメナスは立ち上がれない。そんな彼女のもとへ歩み寄るは――ドゥルールだ。
「うふふ、すっかり堪らないといったご様子。ですが、まだまだ――」
徐に抱擁をかければ、両者の胸元が重なり、潰し合う。そのまま地へと押し倒さんばかりの勢いでのしかかってゆく。
「さあ、私の中に溶けてゆかれませ――」
「―――!!」
そして、貪るが如き濃厚なる口付け。伴って発動した生命吸収の術により、猟書家の生命力を更に吸い上げてゆく。
成功
🔵🔵🔴
ベルベナ・ラウンドディー
あの娘達に比べると華やかさが欠ける変身ですがね
…ま、いい。彼方は我々スナークが預かりました
朔良さんは余裕があったら見ておいてください
ユーベルコード使用、手本の体術を見せてあげます
●功夫・ぶん回し
クレセントムーン・スラッシャー
三日月状の軌跡を描く足技、だそうですが…
体を軸に体の先端を振り回す技術でしょうかね
なんなら私は手や頭…足以外でもある程度出来ます
体を振り回すように打ち、受け、避ける
●残像・フェイント
体を大きく振ることで、その動きに目を奪わせる
そうすると、此方の別の細かな動きに対し注意を逸らせます
敵は構えが変わってることすら気が付かず一撃を貰ってしまうんです
円月殺法 って言うんですけどね
緑と白。二色の髪色を持つ青年が、猟書家たる邪神と対峙する。ベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)、ドラゴニアンたる彼の、人派の姿である。
(あの娘達に比べると、華やかさが欠ける変身ですがね)
竜派の姿からの変身は一瞬。実用的ではあるが華やかさには欠ける、と自嘲する。尤も、元よりそのようなものを追求している訳では無し、仕方のないことではある。「ま、いい」とベルベナは気を取り直し。
「彼方は我々スナークが預かりました。が、余裕あれば、此方も見ておいてください。特に朔良さん」
月狂神を抑える月光乙女達へ、首だけで振り返り声をかける。視線はその一人、朔良の方を向いて。邪神を抑える為の力の解放に意識を割いているのか、応えは言葉としては返らないが。当の朔良は一瞬、ベルベナへと視線を返しながら頷いたように見えた。
其を確かめ、ベルベナは構える。格闘術を以て戦う、其の意志を示すかの如く。その意志が目的とする行為は。
「――手本の体術を、見せてあげましょう」
格闘にて戦う月光乙女に、己の業を幾許かでも伝授せん。疾走し、かの邪神へと肉薄してゆく。
「――不遜。不敬。我を、木人とでも見做すか」
尤も、ダークメナスとしては練習台とでも見做されたかの如き感覚であり、不快感を覚えた様子。迫り来たベルベナに対し、己も拳を握り打ち倒さんとする。
「その通りです。暫し、付き合ってもらいますよ」
対するベルベナ、肯定の意志と共に言い放ち。振るわれた邪神の右拳を、右へ身を振るような動きで回避。更に振った上体で振り回すかのように左腕を振り上げれば、カウンター気味の左フックとなって邪神の頬を殴り抜く。
「ぐふ……っ!」
呻く邪神。しかし続けてベルベナが繰り出した右ストレートは身を逸らして躱し、距離を取って仕切り直さんとする。
「クレセントムーン・スラッシャー……でしたか」
距離を詰めるように、上体を乗り出し気味にしながら踏み込むベルベナ。伴った口にするは、クレセントルナとしての朔良の必殺技の一つ。三日月状の軌跡を描く蹴撃。
「身体を軸に、体の先端を振り回す技術――というところでしょうかね」
己の解釈を語りつつ、繰り出すは先よりは小振りな左フック。ダークメナス、腕へベルベナの腕へ当てて防ぐ。返しに繰り出されてきた拳を、ベルベナは身体を左へ振るようにしつつ身を沈めて回避。と同時に前方へ拳を振り、追撃せんとする猟書家を牽制する。
「その技術を活かす手は、必殺の一撃の為に限りません。打ち、受け、避ける。その全てに応用可能です」
このように、と示すかの如く。ベルベナは身を振るい、同時に手を振るって。邪神へ己の拳を繰り出し続ける。
そして。
「体を大きく振るう動きには、もう一つの目的があります。即ち――」
ダークメナスが振るった拳を、ベルベナは身体を大きく後ろへ逸らすように躱し。そしてそのまま背後へ倒れ込み――
「ぐふぁぁぁっ!?」
悲鳴が上がる。徐に振り上げられたベルベナの足に顎をまともに捉えられたダークメナスの呻きだ。
そのまま足を振り上げ、一気に身体が縦に一回転。蹴られた邪神もまた、空中で回転しながら吹っ飛んでゆく。
「体を大きく振ることで、敵はその動きに目を奪われる。そうすると、此方の別の細かな動きに対し注意を逸らせます」
地面に手をつき、後転の如く身を立て直しながら語るベルベナ。
「その状態では、此方の姿勢や構えがいつの間にか変わっていても気付かず。一撃を貰ってしまうものです。今のように」
それ即ち円月殺法。覚えておいてもらえるだろうか、とベルベナは朔良の方を見る。朔良の視線もまたベルベナの方を向いて、彼からの視線に応えるように頷く、
どうやら、少なくとも己のその戦術への理念は伝わったようである。
成功
🔵🔵🔴
指導・操真
月光乙女組の援護を受けてハデスに乗り込み敵に接敵する。
彼の身に宿るアテナが語りかける。
『操真、私を出して下さい』
「よし来いアテナ!」
【女神降臨】でアテナが降臨。
『感謝を・・・我が同胞の神よ。私たちの役目はとうの昔に終わり人の子らに引き継がれています。多少力を貸すなら兎も角積極的に干渉するなど言語道断、戦女神の名の下に裁かれよ!』
「その通りだ。それに光が無ければそもそも闇も生まれない!どっちか一方で埋め尽くすなんざ出来やしないのさ!」
説教の後操真とアテナの連係攻撃。【エネルギー充填、呪詛、念動力、呪殺弾、神罰、衝撃波、範囲攻撃、貫通攻撃、2回攻撃、捕食】で敵を喰らい、薙ぎ払う。
アドリブ・絡み歓迎
蒼の波動が戦場を駆け抜け、月狂神のみならず猟書家をも一時怯ませる。その隙を突き、指導・操真(人間のシャーマン・f19142)は片手を掲げ、己の切り札を呼び寄せる。
「来たれ、冥府機神! 我らが敵を打倒せん!」
呼ぶ声に応え、戦場に生じた闇から滲み出るが如く現れるは禍々しさと神々しさを併せ持つ巨大な人型機械。サイキックキャバリア『冥府機神ハデス』。その身にオブリビオンを、UDCを宿す機体である。
ハデスに乗りこんだ操真、体勢を立て直したダークメナスを見据えると共に、脳裏に響く声を知覚する。その主は彼もよく知る存在。其は己の身に宿る女神の声だ。
『操真、私を出してください』
「よし来いアテナ!」
その声を受け、操真は頷くと共にユーベルコードを発動。かの女神を解放、降臨せしめる業を。
ハデスのコクピットより溢れ出した光がかの機体の傍らへと集束し、人の形を取れば。槍と盾を携えた、美しくも勇壮なる装いの女神が其処に現れる。戦女神アテナ、その現界せし姿である。
「感謝を。――我が同胞たる神よ」
そしてアテナは視線をダークメナスへと向ける。仮面越しの視線と互いを見据え合う。
「私達の役目はとうに終わり、人の子らに引き継がれた筈」
アテナは語る。神たる己らの、本来あるべき役割を。
「多少の力添えをするくらいならばまだしも、積極的な干渉を――まして、何の罪もなき少女らを手にかけようなどとは言語道断」
槍を突きつけ宣告するは、猟書家となったかの邪神に対する裁きの宣告。
「戦女神の名の下に、裁かれよ!」
なれど、己に突きつけられた槍と宣告。それらを前として尚、ダークメナスは泰然。
「良かろう、やってみるが良い――」
その背後に現れるは、何体もの石造りの巨人。嘗ての神々の時代の遺産。
「数多の古きもの達の無念。汝らのみにて払えるならばな!」
「当然だ!」
言い放つダークメナスに、断言してみせる操真。既にハデスは動きだしている。
放たれる魔力の弾丸はミサイルじみて石巨人へと突き刺さり、爆発と共に撒き散らされる呪詛が石の肉体をも崩れ落としてゆく。
繰り出す衝撃波にダークメナスが怯んだ処へアテナが斬り込み、槍を振るってかの邪神を斬りつけてゆく。反撃に放たれる衝撃波も、神盾の前に妨げられ。
「光が無ければそもそも闇も生まれない! どっちか一方で埋め尽くすなど、できやしないのさ!」
操真の声と共に、二又槍を振るいながらハデスが斬り込む。横薙ぎの一撃を、だが邪神は跳躍して躱し。
「であろうな! ならば、全てを無へと還すだけだ!」
振りかぶった腕が手刀を形作り、空を蹴ってハデスへと突撃する。狙うは胸部、コクピットが存在するであろう位置。
「そんなこと!」
ハデスが二又槍から手を離す。その手を、ダークメナスの一撃を防ぐべく掲げ――否、鉤爪と化して突き出した!
「尚更やらせはしない、ってな!」
手刀を弾いた鉤爪が、そのまま邪神猟書家を捉えて。その身を喰らわんばかりに、深々と食い込んでいった。
成功
🔵🔵🔴
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※アドリブ絡み連携歓迎
※主に蒼ちゃんを気に掛け
出たね、神マニア
この娘らはヤらせないよ
【マトリクスドライブ・ハーモナイズ】で月光乙女組を補強
各特性を伸ばす形で強化したら結果をフィードバック
次に隠してた愛機を【シフト・トリックスター】で
装甲ドレスへ変化…させつつ先の情報を組込
以て月光乙女組の4人目っぽいSF系魔法少女に変身
名付けて『クロムエクリプス』ってトコさ♪
※体格・衣装も近い雰囲気に変貌
【アポロ】が変身した二挺魔導銃と『光魔法再現』を駆使
対高位概念の『魔力弾』で古代遺産諸共メナスを蜂の巣
〆は大胆にスカートを靡かせ、月夜からの『飛び蹴り』さ♡
※乙女組3人の技を、装備も駆使して模倣&複合
「う……ぐ、おの、れ……!」
猟兵達の攻勢の前に満身創痍となった猟書家・ダークメナス。なれどその眼の戦意と悪意は未だ翳ることなく、月狂神ヤトを抑え込む月光乙女組の少女達へと殺意帯びたる視線を向ける。
「かくなる上は……彼奴らの宿す力だけでも……!」
その腕に力を集束させ、月光乙女達――その中でも最も己に近い位置に立つ蒼を狙い、死の光線として撃ち出さんとする。
だが。
「――ぐっ!?」
まさに必殺の光線を撃ち出さんとしたその時。上空から降り落ちた拳による一撃に気付き、防御姿勢を取る。その重さ、かの邪神を以てして攻撃動作を中断せねばならぬ程。
「おっと、無粋な真似をするモンじゃないよ、神マニア」
この娘達はヤらせないよ、とばかり、彼女達を背に庇うような位置を取って着地するリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)。その身は先程までと異なり、青いドレス状の装甲によって鎧われていた。先の拳の一撃も、腕に装着した装甲によるものか。ダークメナスは推測する。
「アンタはあの娘達の力で倒されるのさ――こいつでもってね」
左手に取り出すは光輝くメモリユニット。様々な『発生源の記憶』を宿す記録媒体『マトリクス・メモリ』。これを己の左首筋のバーコードへと押し当てれば、メモリはそこから体内へと挿入されてゆく。
「さあ、スーパー魔法少女タイムの始まりとイこうじゃないか♪」
ほくそ笑むリーゼロッテ、その後ろで月光乙女達が驚いたようにリーゼロッテへ視線を向ける。己らの身に宿る力が、明らかに高まっているのを感じたが故に。リーゼロッテは一瞬振り向き、微笑みと共に頷く。少女達は決然と頷き、力を籠めれば――蒼き波動は先程まで以上の力で以て、ヤトが放つ黄金の波動を掻き消し、そしてヤト自身の動きを抑え込んでゆく。
そしてリーゼロッテの身にも変化。身に纏う装甲ドレス――彼女の愛機が形を変えた代物――が本来の着衣をも巻き込み、蒼銀の光を纏って形を変えてゆく。やがて光が弾ければ、リーゼロッテの身に纏われるはメタリックな闇蒼色を基調としたコスチューム。月光乙女組の少女達が纏うものに近似しつつも、SF的な意匠を備えた衣装である。
「これぞSF系魔法少女――名付けて『クロムエクリプス』ってトコさ♪」
月光乙女組第四の戦士、をイメージした装いと名乗り。両手には鋸型の刃を有する二丁銃剣。今、リーゼロッテはまさに魔法少女への変身を果たしたのである。
「――舐めた真似を」
其を前として、ダークメナスは淡々とした反応。或いは、余裕を保つ為に敢えてそうしている可能性もあろうが。
「汝もかの娘達も。全て殺し尽くし。スナークの贄と捧げてくれよう」
その背後から現れ出るは、石造りの巨人達。神々の時代の遺産と言うべき、ゴーレムめいた疑似生命体か。だが。
「悪いね、神に由来するモノはアタシの恰好の餌食なのさ♪」
構えた魔導銃から撃ち出されるは、蒼き光を棚引かせる魔力弾。ゴーレムへと着弾すれば、爆発じみた威力を発揮しながら石造りの肉体を粉砕してゆく。
「ぐふ……っ!? ぐ、こ、これは……!?」
更にダークメナス自身の身にも、見た目を大きく上回る殺傷力を発揮。邪神はその口からの喀血を余儀なくされる。
リーゼロッテが携える魔導銃――『アポロ』は、神などの高次の存在に対してより高い殺傷力を発揮する力を持つ。それが月光乙女組よりフィードバックされた力で強化されているのだ。
「さぁて、それじゃあトドメといこうじゃないか♪」
立て続けに邪神へと弾丸を喰らわせた後、リーゼロッテの身が黄金色の光を迸らせる。目を眩まさんばかりの光が晴れた直後、彼の姿は突如と消え失せ――否、戦場上空に高速転移を果たしていた。
「――エクリプス・ストライクっ!!」
叫びと共に繰り出される、渾身の蹴りが、かの邪神の胸を撃ち抜いて。
「――馬鹿、な。神たる我が、この、よう……な――」
その事実が、最期まで信じられぬと言わんばかりの顔で。猟書家『ダークメナス』は力尽き、崩れ落ちてゆくのであった。
そして、ダークメナスの消滅により、もう一つの戦いもまた決着を見た。
「――! ヤトの波動が、薄れてゆく……!」
「いえ、ヤト自体が消えていきますわ!」
ダークメナスの存在によって現世に姿を現していた月狂神ヤト。それ故に存在を保てなくなったか、姿が徐々に薄れていき。
『――――!!』
最期に、呪わしげな表情を一行に残して。滅びたる古き邪神は、再び眠りについたのであった。
●
「皆、ありがと……皆が来てくれなかったら、今回の戦い、一体どうなっていたか分からなかったよ」
「皆様、感謝致します。皆様のお力添えが無くば、私達の命運は尽きていたことでしょう」
「皆さんのおかげで、私達も、この街も守られたのです。ありがとうございました……!」
変身を解いた月光乙女達は、其々の言葉で感謝を伝える。
ダークメナスによって手駒とされていた奴隷少女兵達も、全員保護に成功している。遠からず、其々の元いた処へ帰れることだろう。
「あたし達、もっと強くなって、それでもっとしっかりこの街を守るよ!」
「皆様に助けて頂いた命、その為にこそ使うのが最良と思います故」
「私達、これからも頑張りますね……!」
引き続き、月光乙女組はこの月見里市を守っていくことを誓う。
願わくば、そんな彼女達の正義の心が、正しく報われることを――。
大成功
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