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温泉街を防衛せよ――蒼き雷と深紅の天使

#ブルーアルカディア

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 力強く翼が翻り、バサリと羽音が空に響く。
「あれが目的地か」
 金の髪に白い翼の青年はつまらなさそうに島へと目をやった。
 髪と同色の瞳が見つめる先は、一つの浮島だ。島のあちらこちらから、白い蒸気の雲が、空へと溶けていく。
「まったく、つまらなさそうな島だ。けが人病人ばかりなんだろう? ……ならボクがでるまでもないよね」
 青年はその視線を、島から自分を取り巻く者たちへと移す。
 それは、無数の青の騎士――蒼雷の機精たち。かけらほどの感情も浮かべずに、機精たちはただ男の命令を待っていた。
 その様を特に面白げもなく見やり、青年は口を開く。
「狙うのはただ一つ。その地下にある天使核だ。無駄な時間をかけて、ボクに恥をかかせるんじゃないよ。いけ!」
 命が下るや否や、見事な編隊を組み、機精たちが空を翔ける。
 それは、穏やかな温泉郷に凶事を告げる雷撃と化し、降り注がんとしていた。


「あー、いい湯だったなあ」
「ええ、ほんとにいいお湯でした。ちょっと遠かったけど、きてみてよかったわ」
 どこかの温泉に入ってきたばかりなのだろう、血色の良い顔をした老夫婦が仲良く話しながら、街を散策していた。
 ここは、辺境と言われるエリアにある一つの浮島の、その中心部ともいえる街。
 老夫婦がいい湯だというように、ここは温泉地として有名だ。観光というよりは、傷を負った勇士たちや長患いの者たちが湯治を行う地として知られている。
 そのため、やや華やかさに欠けるのだが、逆にそれが良いという人々も訪れ、街は穏やかな賑わいに包まれている。
「あら、あそこがお湯の出口の一つなのね」
 妻の視線の先には、まるで噴水のような建造物があった。
「ああ、そうだね。中央から噴き出したお湯が、管を通して各地の宿へと送られているんだってさ」
「あら、温泉卵ですって。食べに行きません?」
 吹き出し口ゆえの高温のお湯を使った名物に、妻がきらきらとした目でおねだりをするが、夫のほうは渋い顔だ。
「朝食にもついてたじゃないか。いくら名物とはいえ卵ばかりはなあ」
「そうですか? あ、じゃあ、あそこの蒸し饅頭にしましょうよ」
「こらこら、引っ張るな。わかったから」
 吹き出し口から数件離れた店の看板を目ざとく見つけ、妻がぐいぐいと夫の腕を引く。温泉効果か、元気になった妻に苦笑をうかべつつも、ついていく夫。
 そんな風に、のんびりと穏やかな会話が続くはずだった。だが。
「ありゃなんだ?」
 誰かの声が不意に聞こえてきて、つられるように見上げれば、無数の青い何かが落ちてくるのが見えた。
「降ってくるぞ!」
 悲鳴交じりの声に、何かを思う暇はなかった。
 ――ガラドシャーーーーーン!!!!
 すべてを切り裂くかのような、凄まじい、質量さえ感じられる音が周囲に鳴り響く。
 それは雷であった。
 否。
 雷を纏った蒼い甲冑だ。
「敵襲だ! 戦えるものは武器を持て! 戦えないものは屋内へ避難せよ!」
 同じように悲鳴を上げる者、逃げまどう者、泣きわめく者。
 反対に、武器を構える者、避難誘導をする者、突進しようとする怪我人を引き留めようとする者。
 驚きへたり込んだ二人を置いて、周囲はあわただしく動き出す。
「なんてことだ……」
 傍らで震える妻をぎゅっと抱きしめて、夫はただ茫然と呟いた。


「まずは集まってくれたことに感謝を」
 プレケス・ファートゥム(森を去りし者・f02469)が、猟兵たちに軽く頭を下げる。
「皆にはブルーアルカディアへ向かい、ある浮島を守ってもらいたい」
 そこは、辺境にある比較的小さな浮島だ。
「その島の天使核は『湯を吹き出す』という特殊な性質を持っている。そのお湯を利用し、温泉島として有名になったのだが、何故かオブリビオンがその天使核を狙っている」
 指揮官である堕天使『クリムゾン・スカイ』の指揮のもと、蒼雷を纏った機精が街を襲撃する。
「機精たちは、天使核への通路を作りたいのか、数か所あるお湯の吹き出し口を狙っている。そのため、地上で迎撃することになるだろう」
 この時点で指揮官である堕天使は動かない。どうやらやや戦闘狂の傾向があり、治療中の勇士たちなど相手にする気が起きないようだ。
 島から離れた空にいるため、捕捉も難しい。
 だが、猟兵たちが機精たちを倒してしまえば話は違う。自分が楽しむにふさわしい強者がいることを知れば、猟兵たちの元へ自ら現れるはずだ。
「ただ、この堕天使は地上には降りてこない。奴にとって自分の帝国以外は降り立つ意味もないと思っているらしい」
 地上には降り立たず、上空より遠距離攻撃を仕掛けてくる。
 空中にいる敵への対処をかんがえなければ、一方的に攻撃されるだけになってしまう。
 自力で飛べるなら問題ない。
 飛べない場合どうするか、ということになる。
 基本、勇士たちは療養中のため戦力にはならない。だが、飛空艇を飛ばすぐらいはしてくれるので、彼らの飛空艇を足場として次々飛び移りながら戦うという手もある。
 あとは敵と同じく、遠距離攻撃で対応するといった方法もあるだろう。
「皆なら見事、敵を倒し、島を守り切ってくれると信じている。先ほども言ったが、これから向かう島は温泉が有名だ。折角だ、戦いが終わったら、その疲れを温泉で流して来てはどうだろうか」
 そういうとプレケスは自身の肩に留まっていたグリモアを指でつつく。
 つつかれたグリモアは出番だなと言わんばかりに、プレケスの頭の上をクルリクルリと旋回したあと、猟兵たちのほうへと飛んでいく。
 プレケスのグリモアが、猟兵たちを戦場へ送り出そうと、きらきらと光を放つ。
「君たちの帰りを待っている」
 信頼を湛えた笑みをうかべ、戦場へ向かう猟兵たちを見ていたプレケスが、思い出した、とばかりに表情を変える。
「あ、そうそう。温泉は男女別で、ノゾキ絶対許さないシステム――通称NZYシステムという物があるそうなので、気を付けるように」
 その言葉を最後に、プレケスの声は聞こえなくなった。


白月 昴
 目を通していただきありがとうございます。白月・昴です。
 今回はブルーアルカディアの浮島の一つが舞台となっております。

●転移先
 複数ある湯の吹き出し口のどれかの前。
 周りにはまだまだ混乱した人々がいます。
 敵は、住人に興味はありませんが、邪魔だと感じれば容赦なく排除に動きます。
 また、猟兵の存在を危険だと判断し、優先的に攻撃してきます。

●シナリオについて
 第一章は集団敵です。敵は地上施設を破壊するために、地上近くにいます。
 第二章はボス戦です。敵は上空より降りてこず、そこから遠距離攻撃を仕掛けてきますので、何らかの対策が必要となります。
 島にいる勇士たちの飛行艇を利用する場合、特に協力要請をプレイングに書いていただく必要はありません。飛行艇を利用する旨だけお書きください。
 第三章は日常です。無事守り切った島で、ゆっくりと温泉に浸かってください。なお温泉は公共の場ですので、あまり羽目を外しすぎるのは禁物です。

●技能について
 技能は、技能名だけを並べるのではなく、その技能で何をするかを書いていただけると、より参加者様の思ったものに近い描写ができると思いますので、よろしくお願いします。

 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『蒼雷の機精』

POW   :    ブリッツストライク
【出力最大にした雷属性のエンジン 】によりレベル×100km/hで飛翔し、【自身の重量】×【スピード】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    ライトニングフラッフ
【掲げた手のひら 】から、戦場全体に「敵味方を識別する【雷の粒子】」を放ち、ダメージと【感電】の状態異常を与える。
WIZ   :    サンダーボルトシージ
【甲高いサイレン 】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【仲間と共に組んだ編隊】で囲まれた内部に【仲間の人数に比例した数の雷】を落とし、極大ダメージを与える。

イラスト:key-chang

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎

「害精、駆逐する」
『アテネ・ニケ・パルスフラッシュ』で敵味方の識別するパルつを照射し『アプロディーテ・フューチャーサイト』で周囲の動きに変化があれば1分先の未来を見ながら『フルバースト・マキシマム』『アルテミス・レーザー』を組み合わせた先制・索敵攻撃をして『サイコミュ・ファンネルビット・テレポート』で敵の攻撃を空間飛翔して避けながら『三女神の加護と粛清を』で敵のUCを危険そうなら封印/弱体化させます。
『クリアボディ』『アストラル・エレメント・ヴェール』で透明化し視聴嗅覚を阻害しながら『ヘラ・エウピション』で苛烈な猛攻を仕掛けます。

「害悪は駆除をし平静を取り戻す」



「敵性存在、並びに、守護対象を確認」
 悲鳴と怒号、破壊音と雷鳴に支配された空間に、その静かな声は、やけに響いて聞こえた。
 敵の新手かと、湯の吹き出し口を守っていた勇士たちが、視線を向けた瞬間、空間に無数の光が走った。それは的確に、今まさに勇士たちに雷を放とうとしていた機精たちを穿つ。
 その結果に、増援だ、と勇士たちから歓声が湧いた。
 彼らの期待の視線の先に、驚くほど長い金糸の髪を靡かせて、ティティス・ティファーナ(召喚獣|「幽魔月精」《アストラル・エレメント》・f35555)が、そこにいた。
「害精、駆逐する」
 続けざまのティティスの攻撃。
 機精たちも対抗しようとするが、パルスフラッシュに目がくらみ、機精たちはティティスの姿を見失っていた。
 見えぬまま、それでもとばかりに、機精たちは手を掲げ、雷の粒子を周囲へ放った。だが、ティティスは空間を渡り、たやすくそれを回避する。いつの間にか、あたり一面に展開されたサイコミュ・ファンネルビットは、武装であると同時に、空間飛翔のマーカーでもあった。
 現れては跳躍するティティスの動きに、陣形をまともにとれず機精たちが翻弄される。
 けれど、ティティスは一人、相手は無数だ。 
 機精が放つ雷の粒子を回避し、レーザーを放ち機精を撃ち抜き、同時に吹き出し口と勇士たちを巻き込まぬように立ち回るのは、いかにティティスと言えど骨が折れた。
 だから、完全に機能停止させられなかった一機の機精が、近場の店に墜落したのも、やむをえない。
 だが、ティティスには見えた。
 壊れた建物の、墜落したすぐそばに、二人の人間がいるのが。
 そして、一分先の未来を見通す目が、その結末を見せてくる。
 母親を守ろうと震えてなお、しかりと握った棒を機精に振り下ろそうとした少年が、無残にその命を落とす姿を。
 瞬間、ティティスは周囲の敵に向けていた砲台を、収束させる。
「狙い撃つ」
 一瞬の集中の後、アルテミス・レーザーが、放たれた。ティティスの狙い通り、レーザーは寸分のずれもなく機精を貫き、さらにその衝撃で敵の残骸を親子の傍から弾き飛ばした。
「命中。これより周囲の殲滅へと移行します」
 ティティスが集中していた時間は、ほんの数秒。だが圧倒的な数の差がある状態では、大きな隙となる。
 陣形を立て直し、ティティスの跳躍範囲全てを取り囲んだ機精たちが、一斉に手を上げ、雷の粒子を戦闘エリア一帯に放とうとした瞬間、ふっとティティスの体が消える。
 予想外のことに、機精たちの攻撃の手が止まる。
「女神の憤怒の如き、総攻撃を」
 声は上から聞こえた。
 はっと機精たちが上を見上げるが、ティティスの姿を視認できたものはいまい。
 その視界を埋め尽くすのは、光。
 威力を増大させた、無数のレーザーが機精たちへと、豪雨のごとく降り注ぐ。
 遠くから見れば、それは光の柱に見えたかもしれない。
 光が消えたとき、そこには蒼は存在していなかった。
 だが、この島に来た全ての機精が倒されたわけではない。離れたところから、未だ戦闘の継続を告げる音が聞こえていた。
「害悪は駆除をし平静を取り戻す」
 ティティスはすぐさま、新たなる敵へ向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
温泉街の防衛か。
きっと、奴らも温泉が目当てなんだろうな。
温泉は体が和らぐというか、ホッとするんだよな。

ともかく、数で押されると少々歩が悪い。
まずはショットガン『ミストラル』で機精達を牽制。
撃ちまくって、住人たちが避難する時間を稼ごう。

しかし、このまま守ったままでは話にならないな。
そろそろ首根っこをつかもうか。

ここはUC【聖衣着装】で【黒炎のブーツ】を選択。
これで空も飛べるから、あとは黒槍『新月極光』で【なぎ払い】ながら、地面に【吹き飛ばし】て減らしていこう。



「温泉街の防衛か」
 溢れかえる戦闘音の中、ごく自然な動きでシモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は、|アサルトショットガン《ミストラル》を発砲する。
 ミストラルから放たれた弾丸は真っすぐに飛び、そして弾け、周囲にいた機精たちの腕を、足を、頭を、胴体をえぐり地に落とす。
「きっと、奴らも温泉が目当てなんだろうな。温泉は体が和らぐというか、ホッとするんだよな」
 シモーヌの軽口に、吹き出し口を守っていた勇士たちから、小さな笑いが零れる。
「さて、交代だ。アンタらは怪我人を連れて下がりな」
 限界だろうとシモーヌが告げる。完治してない体で無理を押した勇士たちの被害は大きい。
「ヤツらもアタシを狙いたくて仕方ないらしいからな」
 任務遂行のために、最優先で排除すべき存在。
 そう判断したらしい機精たちが、吹き出し口を無視し、シモーヌへと襲い掛かった。それを、ミストラルから吐き出される弾丸が牽制する。
「行きな」
 再度の指示に、勇士たちは怪我人を庇いながら、後方へと下がっていく。それを邪魔されないように、シモーヌが、まさに弾の壁を作り出し、機精たちを抑え込む。
「しかし、このまま守ったままでは話にならないな」
 視線だけを動かし、空を見る。その先にいるのは、ただ一機の機精。
(あれか)
 仲間を撃ち落とされても、一糸乱れぬ統制された機精たちの動き。それに気づいたシモーヌは、指揮個体とでもいうものがいるだろうと推測していた。
 そして、他の機精が動き回る中、ほとんど動かない一機を見つけ出した。さらに、その周辺の十数機が不穏な動きをしていることも。
 早々に決着をつけるつもりらしい。だが、それはこちらも同じこと。
「退避も終わったし、そろそろ首根っこをつかもうか」
 口の端に笑みを湛え、シモーヌは呼ぶ。
「我の求めに応じ、姿を現せ……着装!」
――ゴウッ
 シモーヌの足が黒炎に包まれる。炎は燃え広がることなく、渦巻くように足に纏いつき、黒炎のブーツへとその形を変えた。
 ほぼ同時に、指揮個体が甲高いサイレンを鳴らす。それに合わせ、十数機が一気に降下。低空飛行をしながら、シモーヌへ向け雷を落とす。
 無数の雷が大地を穿ち、大穴を開ける。だが、シモーヌはすでに地上にはいない。
「はずれだ」
 黒炎ブーツの力を使い、シモーヌは地を蹴り、空を駆けて駆けて、駆け上がる。
 その手には、黒槍『新月極光』。その名の通り、闇夜を照らすオーロラのごとく、穂先の光がゆらゆらと煌めく。
「どきな!」
 群がってくる機精たちを、シモーヌは槍で薙ぎ払い、叩き落とす。
 あまりのシモーヌの勢いに、指揮個体が気圧されたように上昇を始めた。 
「アタシから逃げられると思ったか?」
 シモーヌの腕が動き、|黒槍《新月極光》が光の尾を引きながら、空を切り裂き飛ぶ。
――スブリッ
 狙い違わず、槍は機精の胸部中央を撃ち抜く。
 びくりと体を震わせた機精の体は、ぱちぱちと雷を纏わせ、そして木っ端みじんに爆発した。
「おおっと」
 爆風により宙を飛んだ槍を、シモーヌは危なげなく掴むと、背後から襲ってきた機精数体を、振り向きざまに薙ぎ払い地面に叩き落とす。
「さて、終わりとしようか」
 再び握られたミストラルが、激しい音を立て弾薬をまき散らせば、統制の崩れた機精たちがおもちゃのように地面に落ちていく。
 そして、最後の一機が撃ち落とされた時、地上では勇士たちが勝鬨をあげた。
 それに軽く手を振ると、シモーヌはそのまま駆け出す。
 未だ終わらぬ戦いの場へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎

まち まもる
災いを引き受ける。がらんどうの本懐故に!

地形を利用し風空雷水地属性の魔力を増幅
先制UC発動
攻撃、防御、状態異常力に付与

残像陽動フェイント存在感忍び足でゆるゆると接敵
同時に自らに攻撃を釣りこみ誘き寄せる

射程に入り次第念動怪力5属性衝撃波鎧無視UC
フェイント二回攻撃を交えすてぜにを以て範囲ごと薙ぎ払う
マヒ捕縛目潰し破壊工作
敵の体内で水を暴れさせ電流回路を破壊する

敵の攻撃を落ち着いて見切り
念動怪力衝撃波オーラ防御UC等で受け流す
カウンター念動怪力衝撃波5属性UC
予め浮かべておいた三本の「しん」で切り返す

かみなりは かみならない
水に閉じ込め地に流す、封じ方は如何様にも

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃
拠点防御
特に民町や温泉は死守

がらんどう上空、本日の天気は雷雨
ほかはみんな おてんき

鎮め沈め骸の海へ
さようなら
さようなら
御然らば
御然らば



「まち まもる」
 がらりと、街並みの崩れる音を聞きながら、御堂・伽藍(がらんどう・f33020)は街のなかをするすると歩く。
 これ以上の災いを許してはならない。
「災いを引き受ける。がらんどうの本懐故に!」
 強い言葉と共に、伽藍はぎゅっと手を握りしめ、そして紡ぐ。
「きって、むすぶ。わけて、まぜる。時の刃が切り分けし渾沌の魔力、転輪せり」
 浮島を取り巻く風の魔力。
 ここにある空の魔力。
 敵がもたらす雷の魔力。
 わきいでる水の魔力。
 皆が生きる地の魔力。
 それらを体に取り込み、自分の力へと変換していく。打ち倒すための力に、身を守る力に、そして、敵を抑制する力へと。
 魔力の流れに気づいたのか、機精たちが伽藍のほうへと顔を向けた。
 小さな体はがらんどう。だというのに、その体からあふれる存在感は到底無視できるものではなかった。
 伽藍を排除すべき敵と判断したのだろう。機精が伽藍に向け雷を放つ。雷は確かに、伽藍の体を捉えた、はずだった。だが、伽藍の体はパシャンと弾け、水となって地に広がった。
 それは、伽藍の生み出した偽物、水の影。
「かみなりは かみならない 水に閉じ込め地に流す、封じ方は如何様にも」
 歌うように囁くように呟くと、伽藍は身を翻し、駆けていく。逃がさぬとばかりに、機精たちが後を追う。 
 それこそが、伽藍の狙い。
 屋台の残骸のみが残る広場で、伽藍は足を止める。振り返れば、追いかけてきた機精たちが見えた。
 それに怯えることなく、伽藍は手に『すてぜに』を握る。打ち捨てられた富に、五つの力を込めていく。
――ヒュン!
 機精たちが射程範囲に入ると同時に、すてぜにが、伽藍の六つの手から投げられる。
 小さな体に相応しい、小さな投げ動作。だが、怪力と念動により加速されたすてぜには凄まじい速度をもって機精へと襲い掛かり、その体をやすやすと貫いた。
 すてぜにの嵐ともいうべきに襲われて、機精たちがなぎ倒されていく。それでも、数で押そうする機精に向けて、もう一度伽藍が振りかぶる。
 攻撃に身構え、防御姿勢を取った機精たち。だが、投げられたのは、伽藍の小さな掌に乗る程度の水球が六つ。
「がらんどう上空、本日の天気は雷雨 ほかはみんな おてんき」
 伽藍が投げた水球は、機精たちの頭上の上の上まで飛んでいき、そして弾けて消えた。空で弾け細かくなった水たちは、細かい細かい雨となり、機精たちに降り注ぐ。
 フェイントだと判断し、次の一手を打たれる前にと機精が伽藍へと突撃しようとして。
――ギチッン、バチン!
 複数の機精が、機体から妙な音をたて、バチバチと火花を弾かせ、そのまま動かなくなった。
 先ほどの水球が生み出した雨が、機精の体内に入り込み、回路をショートさせたのだ。
 機能停止に至らなかった機体も、ことごとくが機能低下を起こしている。
――バチバチバチバチ!
 だが、凄まじい音を立てる一機が、自身の周囲に雷を放出する。自分でエンジンを暴走させることにより、体内に入り込んだ水を蒸発させたのだ。
 エンジンを半ば暴走させる事で得られた爆発的な加速。その加速に自重を乗せた、必殺の一撃が伽藍へと迫る。
 けれど伽藍は揺るがない。ただ冷静に五つの魔力を使い、体を覆うオーラを強化する。そして。
「くぅ」
 攻撃の軌道を読み、ダメージが最小になる様に受け流す。それでも思わずうめき声が出るほどだ。
――ドゴン!
 軌道を逸らされた機精が、その勢いのまま大地を穿つ。
 巻き上がる土砂もオーラで防ぎ、伽藍はひたりと見据える。恐れも何もない、がらんどうの瞳が機精を捉え、伽藍の唇が言葉を奏でる。
「鎮め沈め骸の海へ」
 多少のダメージを受けてなお、飛び立とうとした機精の胴体が、真っ二つに切り裂かれた。
 それを成したのは、いつの間にかそこにあった、三本の『しん』。じしん、ふんしん、びょうしんの三本が、くるくると伽藍の周囲を回っていた。 
「さようなら さようなら」
 伽藍の細雨により、機能低下に陥っていた機精たちが、逃げる事も出来ず次々と切りさかれ。
「御然らば 御然らば」
――カラン
 機精の破片が立てた最後の音は、軽く小さくあっけなく。
 そうして、その場の機精は全て倒された。
 けれど、伽藍にはわかるのだ。
 まだ、終わっていないのだと。
 だから、伽藍は走るのだ。
 がらんどうの本懐を果たすために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリィ・ミニットマン(サポート)
招集に応じ馳せ参じた。魔獣狩人のユーリィだ、宜しく頼む。
相手は魔獣か?それともそれ以外か?
いずれにせよ、全力を以てこの狩りに臨もう。

オレの主な武器は、鋸鉈に散弾銃──一般的な狩人の装備だな。何方も射程は短いが、補う為の狩道具もある。
例えば、この小型天使核を内蔵した変形式の罠は浮遊させることが出来る。飛ぶ相手に対しては空中機雷の形として運用することが多いな。

それに、攻撃が届かないなら近づけばいいだけの話さ。そうだろう、皆?
……紹介が遅れたが、この群狼たちはオレの仲間、家族とも呼べる存在だ。共に狩場を駆け、狩猟を行う。
つまり、オレは獣と共に魔獣を狩る狩人だということだ。覚えておいて貰えると助かる。



 吹き出し口の中でも規模の大きなそこは、それ故に勇士たちも、また機精たちの数も多かった。そんな中、勇士たちが決死の抵抗を行っていた。
 その防衛線が崩れそうになったその時。
 ――ヒュイ!
 低く、そのくせよくとおる口笛が響くとほぼ同時に、今まさに勇士に向け攻撃の手を振り下ろそうとした機精たちが、数頭の狼によって地に引きずり墜とされる。
 何事かと動きを止めた勇士たちにむけ、声がかけられた。
「招集に応じ馳せ参じた。魔獣狩人のユーリィだ。この狩、オレも参加させてもらう」
 いいながらユーリィ・ミニットマン(寄る辺無き民・f33966)が、勇士たちの前にいる機精たちに向け、散弾銃を放った。
 ユーリィの散弾銃は、当てやすさを重視しているため、威力自体はそこまでではない。だが、損傷を与え動きを止められれば十分なのだ。
 ユーリィの攻撃に合わせ、【群狼】が機精たちに襲い掛かる。
 喉笛に噛みつき地に墜とし。
 暴れる四肢に食らいつき。
 狼一頭一頭は、機精たちよりは弱いだろう。だが、統率された群としての彼らは、脅威だった。
 それを見て顔を青くしている勇士に気づき、ユーリィが口を開く。
「……紹介が遅れたが、この群狼たちはオレの仲間、家族とも呼べる存在だ。共に狩場を駆け、狩猟を行う」
 群狼は狩道具の一種だ。 主に従い、また自律行動する程度の賢さを持つ、優秀な。だが、ユーリィにとってはそれだけではない。彼らは友であり、失い難い同胞なのだ。
 そして今、彼らはユーリィの指揮のもと、機精たちを圧倒していた。
 体勢を立て直そうと、飛行能力を喪失していない機精たちが空へと退避し、陣形を整え始める。
 狼たちのジャンプも、ユーリィの散弾銃も届かない高さ。ゆえに、機精たちはさらなる上空から迫る危機に気づくのが遅れた。
 飛べぬ敵に、空より悠然と攻撃を仕掛けようと機精たちが腕を上げる。だが。
 ――ゴウンッ!
 機精たちの腕が、足が、胴体が、空中機雷によって吹き飛ばされる。
「あいにくオレは、戦士じゃなくて、狩人なんでな。狩人なら、狩りに罠を仕掛けるのは当然だろう?」
 機精たちが、地上に気を取られている隙に、ユーリィが放った仕掛け罠。天使核を内蔵したそれらは、機精たちが追い込まれるのを今か今かと待ち構えていたのである。
 バチバチと火花を散らしながら降下してくる機精たちに、群狼が襲い掛かり、喰らい尽くす。
「おっと、手負いの獣はきちんとしとめないとな」
 なお抵抗しようとした一機に気づき、ユーリィが一気に距離を詰め、鋸鉈で機精の体を大きく切り裂いた。ばちりばちりと放電する機体を蹴り飛ばせば、それは別の機精にぶつかり爆発を起こす。
 その爆発音が消えた後、一瞬の静寂が流れた。
 だが、それはすぐさま、勇士たちの勝鬨の声により破られた。よく聞けばその声は、ここだけではなく街のあちこちから響いてくる。
 機精たちが一掃されたのだと、その声がユーリィに伝えてくれた。
 だが、戦いは終わりではない。
「次は、群れのボスが相手、か」
 そういって、ユーリィは遥かなる空へと視線を向けた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『堕天使『クリムゾン・スカイ』』

POW   :    武神流・武神一閃
【氷を纏った大剣及び大剣から発する衝撃波】が命中した対象を切断する。
SPD   :    武神流・疾空波
【大剣に緑色の闘気を纏わせる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【大剣より放たれた鎌鼬】で攻撃する。
WIZ   :    武神流・武神閃光烈破
【白く輝く大剣より全方位に向けた衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:koharia

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鳳凰院・ひりょです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「やるじゃないか」
 羽音共に、声が降ってくる。
 見上げればそこには、一人の青年がいた。陽に透ける金の髪。光を弾く金の瞳。背にある翼が羽ばたく。
 それだけならば、援軍の天使かと思えたかもしれない。
 けれど、口元に浮かぶ嘲笑が、身に纏う禍々しい気配が、そして。
「弱っちい雑魚しかいないと聞いてたが、お前たち相手なら、少しは楽しめそうだな」
 楽し気な、けれどそれ故に狂気を含んだ言葉が、この青年こそが、指揮官である堕天使『クリムゾン・スカイ』だと、猟兵たちへ教えていた。
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
伽藍/f33020と協力、他でも可

「難敵滅殺…駆逐する」
『アテネ・ニケ・パルスフラッシュ』で識別パルスを照射し『アプロディーテ・フューチャーサイト』で1分先の未来を見ながら『マルチスタイル・サイコミュ・ファンネルビット』で創造し展開して『アルテミス・レーザー』で先制・索敵攻撃をして『サイコミュ・ファンネルビット・テレポート』敵の攻撃を空間飛翔して避け『三女神の加護と粛清を』で敵のUCを封印/弱体化させます。
『クリアボディ』『アストラル・エレメント・ヴェール』で透明化し視聴嗅覚を阻害し『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』で最適化して対応します。


御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎
ティティスf35555と同行

ははさまの おしえ
ふむ…試してみるか?

先制UC発動
氷風光空属性を攻撃、防御、状態異常力に付与

残像陽動フェイント忍び足でゆるゆると接敵

射程に入り次第念動怪力4属性衝撃波UC
フェイント二回攻撃を交え範囲ごと薙ぎ払う

敵の攻撃を落ち着いて見切り
残像陽動迷彩フェイント忍び足等で躱し
さもなくば念動怪力衝撃波オーラ防御uc等で受け流す

三本の「しん」を駆使して武器受け串刺し切り込む

カウンター念動怪力4属性衝撃波uc
マヒ捕縛目潰し
凍らせ光見せ吹き飛ばし

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

いまよ ティティ
咄嗟に早業高速詠唱召喚術
ティティスを召喚しチャンスを広げる


わたしは かがみ
汝の力を映し、汝に返す
あなたは むくろ
朽ちた翼と欠けた刃を抱えた、過去の残滓

こおりはこおらぬ かぜはとばされぬ
光は光に灼かれぬ…『剣神』の教えなり

つきのひかりかこのつばさをうつ
鎮め沈め骸の海へ

さようなら
さようなら
御然らば
御然らば



「きって、むすぶ。わけて、まぜる。時の刃が切り分けし渾沌の魔力、転輪せり」
 浮島の傍にある雲の中の氷の魔力。
 自由に流れる風の魔力。
 降り注ぐ光の魔力。
 何物も受け入れる空の魔力。
 この地にある力をもう一度束ねて、御堂・伽藍(がらんどう・f33020)は空を見上げる。
 その視線に気づいた堕天使『クリムゾン・スカイ』が詰まらなさそうな顔をする。
「なんだ、さして強そうじゃないね」
 ひょいと、小さなナイフを上空より伽藍に向け投げつける。
 だが、それは伽藍の体をすり抜けた。
「ちっ!」
 堕天使が舌打ちし、周囲を探す。
 伽藍はすでにそこにはいなかった。気配を消し、姿を消し、影に隠れ、そして、無人と化した場所へと移動していたのだ。
「わたしは かがみ 汝の力を映し、汝に返す」
 空に在る敵を見つめ、伽藍は静かな声でそう告げる。
 武器を構えるでもなく、怯えるでもなく、理解不能なことを言い始めた伽藍の様子を、堕天使は嘲り混じりの顔で眺めていた。だが。
「あなたは むくろ 朽ちた翼と欠けた刃を抱えた、過去の残滓」
 はっきりと言い放たれた伽藍の言葉に、堕天使はあからさまに不機嫌な顔をした。
「ガラクタ風情が!」
 堕天使の身長ほどの大剣が、淡い光を放てば、周囲がキラキラと光り出す。空気中の水分が凍りだしているのだ。氷たちは、大剣へ集い、一回り大きな氷の剣を生み出した。
「光栄に思え、僕の手にかかることを!」
 堕天使が、氷の巨剣を構える。
 それを見た伽藍の脳裏に、長い黒髪と凛とした赤茶色の瞳がよぎった。
「ははさまの おしえ。ふむ……試してみるか?」
 三本の『しん』――じしん、ふんしん、びょうしんが伽藍の周囲を舞う。意識を研ぎ澄まし、敵の攻撃を見据える。
「武神流・武神一閃!」
 堕天使の巨剣より放たれた、冷気を纏った衝撃波が、周囲を凍らせながら伽藍へと迫る。 
「こおりはこおらぬ かぜはとばされぬ。光は光に灼かれぬ……『剣神』の教えなり」
 襲い来る衝撃波を、受け流し、守り、しのぎながら、伽藍が空中に描くのは、召喚陣。
 彼女を呼び出すための物。
「お前、何を!」
 伽藍の様子に気づいた堕天使が、止めようとさらに衝撃波を放つ。だが、それを軽やかな動きで避け、伽藍は最後の言葉を口にする。
「いまよ ティティ」
 流れる光のような金の髪を靡かせて、ティティス・ティファーナ(召喚獣|「幽魔月精」《アストラル・エレメント》・f35555)が召喚陣から現れた。
「何!?」
 突如出現したティティスに驚き、クリムゾン・スカイが一気に上昇し距離を取ろうとする。だが、ティティスがそれを黙ってみているわけもない。
「難敵滅殺……駆逐する」
 煌めく銀の瞳が、真っすぐに堕天使を捕捉する。
「パルスに響く幽魔月精の波長は決して消えない」
 ティティスの武装の砲門がすべて開き、戦場全体にパルス・レーザービームが放たれる。それは確実に堕天使を捉え、パルスフラッシュがもたらす不調を植え付ける。それに合わせ、さらに適切対応可変型サイコミュ・ファンネルビットを、堕天使の周辺へと展開させ、その行動を阻害する。
 どれも、致命的な傷は与えられていない。だが、高速で移動する堕天使の動きを一瞬止められた。それでティティスには十分だった。
「狙い撃つ!」
 その一瞬を使った集中により、堕天使に向けレーザービームが放たれた。
「くっ!」
 ――ジュッ!
 肉の焼ける音と共に、数枚の羽が空に舞い、堕天使の翼の一部が赤く染まる。ぎりぎりで致命傷を回避したようだ。
「よくも僕に傷を!」
 怒りに顔を赤く染め、怒声を上げる堕天使。怒りのままに吹き出す闘気が、大剣へと集まり発光を始める。
「ばらばらになれ! 武神流・疾空波!」
 恐ろしい勢いで迫る鎌鼬。
 だが、鎌鼬がティティスの体にあたる寸前、その姿が掻き消える。
「ウルド・スクルド・ベルダンディ、敵を減退させ封印を」
 声は、堕天使の頭上から聞こえた。ぎょっとして見上げたその先からティティスの三本のレーザーが迫る。
「ぐ、この!」
 もう一度、鎌鼬をティティスに放とうと、堕天使が柄を強く握る。
 だが、ティティスの猛攻をしのぐことに集中していた堕天使は、忘れていた。
 自分が相手取っている猟兵は、一人ではないことを。
 ティティスにむけ鎌鼬を放とうとした堕天使の腕が凍り付く。
「なに!」
「つきのひかりかこのつばさをうつ 鎮め沈め骸の海へ」
 動揺する堕天使の耳に、伽藍の静かな言葉が届く。
「さようなら さようなら」
 ――ドンッ!
 ティティスの放ったレーザーが、二人の目から堕天使の姿を隠す。
「御然らば 御然らば」
 静やかな伽藍の声は、何故か戦場の中で良く通る。
「クッソ、お前たち、好き勝手に!」
 剣に纏わせた闘気でダメージを抑えたらしい堕天使が、二人を睨みつける。
 堕天使が大剣を構えたことに、二人が防御の姿勢を取るのだが。
 大剣より放たれた鎌鼬は壊れかけの建物を吹き飛ばし、粉塵を巻き上げる。
「覚えていろよ!」
 ほこり越しに聞こえたその声を最後に、堕天使の気配が消えた。
「難敵逃走、追撃開始。伽藍」
 ティティスが伸ばした手を伽藍がとる。
「いこう」
「はい」
 二人は滴る血を頼りに、堕天使を追うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!



「あなたが堕天使『クリムゾン・スカイ』ですね」
 襲撃を免れた物見台の屋根の上から、徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は、やけに急いで飛んでいる堕天使へと声をかける。
「な、なんだお前は!」
「見ての通りの者ですよ」
「なるほど敵か!」
 堕天使が、家光に向け大剣を構える。
「それで? どうやって僕と戦うつもりだ? そこから飛び降りて一撃を狙ってみるか」
 堕天使がからかいの言葉をかける。高さはほぼ同じでも、距離は十メートル以上あるのだ。
 だがそれに、家光が考え込む。
「そうですね。一か八か……嫌いな言葉じゃありません!」
 元気に答えると、家光は腰の刀――千子村正権現をすらりと引き抜いた。
「しかしまあ、妻たちに叱られてしまうのでやめておきましょう」
 妻に、ではない。妻たちにである。
「へえ、それは可哀そうに。なら、僕が叱られないようにしてあげるよ。永遠にね」
 堕天使の握る大剣が、白い光を放ち始める。
 言ってしまえば、堕天使は間違えた。家光と会話などするべきではなかったのだ。出会いがしらに剣を振るっていれば、何かが違ったかもしれない。
 だが、もう遅い。
「ははは、それはないね。……無辜の民を傷つけた、汝の所業、この家光、許すわけにはいかぬ!」
 しらじらしい程の笑みを捨て去り、家光は怒りを露わにする。
「よって、裁きを下す。汝、躯の海へ還るがよい! 削ぎ剥がせ、神話の獣。|【神州因幡白兎殺】《シンシュウイナバノシロウサギゴロシ》」
 家光の声に応え、皮剥ぎ刃の生えた空飛ぶサメが召喚される。
 百体を軽く超えるサメによって生み出された、サメの海はたやすく堕天使を飲み込んだ。
「ぎゃああ! なんだこれは! 来るな、この!」
 サメに埋もれながらも大剣を振るい、堕天使が抵抗する。だが、その抵抗により傷ついたサメの血の匂いが、サメたちをさらに興奮させていく。
 サメの海に沈み、堕天使の姿が、家光から見えなくなった瞬間。
「どけ! 『武神流・武神閃光烈破』!」
 堕天使の怒声と共に、サメたちが衝撃波により吹き飛ばされていく。
 その身に衝撃波が届くより早く、家光は千子村正権現を抜き放ち、それを中心にオーラの壁を作る。衝撃波とオーラの壁が凄まじい音をたて、お互いの威力を打ち消しあった。
「……逃げられた、か。ふむ、余もまだまだか」
 白光が消えた後、堕天使の姿はなかった。残ったのは、ひらひらと舞う血まみれの羽のみ。傷は負わせ、こちらは無傷。だが、それでも逃げられたのは失態だろう。
 一つため息をつき刀を鞘に納めると、家光はいつも通りにこりと微笑む。
「まあ、逃がしはしないんですが」
 そして、家光は堕天使を追うために動き始めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シモーヌ・イルネージュ
弱っちい雑魚しかいない、だって?
それはこっちの台詞さ。
アンタが相手ならアタシも楽しめそうだ。

こんな楽しい相手ならば、全力で相手しないとな。

UC【山紫水明】を発動。【風の魔力】を槍に付与。
衝撃波に対抗するために、こっちも【吹き飛ばし】力を強化しよう。

守りは槍による【武器受け】と、甲冑『アリアージュ』に掛ける。
大剣も槍も小回りが利かない分、一撃した後の返しが勝負の分かれ目になるだろう。

ならば、一撃後に槍は捨てて、小回りの利く蛮刀『メルキュール』に切り替えて首を獲りに行こうか。



「みつけたよ、堕天使『クリムゾン・スカイ』!」
 勇士の操作する飛空艇の穂先に立ち、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)が声を上げる。
 機精たちを倒したことにより、勇士たちも空へと繰り出せるようになっていたのだ。
「どうした。弱っちい雑魚しかいない、と言っていたんじゃなかったか?」
 シモーヌがにやりと笑みを浮かべれば、勇士たちからもどっと笑い声が上がる。
「黙れ!」
「おおこわ」
 顔を真っ赤にした堕天使が怒鳴り返すが、当のシモーヌは台詞とは反対に余裕綽々だ。
 どう言ったとて、今の堕天使の姿は、「弱っちい雑魚」を相手にした様には見えないのだ。もちろんだからといって気を抜くつもりはないのだが。
「まあ、雑魚ばっかりってのはこっちの台詞さ。アンタが相手ならアタシも楽しめそうだ。……たぶんな」
「うるさいうるさいうるさい!」
 怒り心頭で、頭から湯気をあげそうな堕天使とは逆に、その周りの空気が冷えていく。大気中の水分が凍り付き、結晶が光を反射しきらきらと輝きだす。
「正面切っての相手はアタシがするけど、巻き込まれないようにしてくれよ?」
 ここまで送り届けてくれた勇士たちにシモーヌは声をかける。
 親指を立て応える勇士たちに頷くと、シモーヌは黒槍『新月極光』を握った。
「母なる大地よ。我に力を授け給え」
 シモーヌの声に応え、風が舞う。
 風は、槍へと収束し、その力を槍へと宿す。確かめるように、シモーヌがクルリと槍を回せば、オーロラのような光が円を描く。
「さあ行くよ!」
 強化動力甲冑『アリアージュ』のジェットを使い、シモーヌが空を舞う。
「ばらばらになれ! 『武神流・武神一閃』!」
 冷気を纏った衝撃波が凄まじい勢いでシモーヌへと迫る。
「はあっ!!」
 シモーヌが衝撃波すらも貫かんと槍を振るう。
 ――ドンッ!
 冷気を纏った衝撃波と風の刃が、お互いを食らおうと、激しくぶつかり合う。
「こ、の!」
 シモーヌが衝撃波を貫き切る。
 大きく勢いを削がれた衝撃波は、それでもなおとシモーヌを襲うが、|天使核を使った鎧《アリアージュ》を貫くことはできなかった。
「っと」
 ――ガギンッ!
 凄まじい音が周囲に響き渡った。
 シモーヌの槍が、堕天使の大剣を受け止めたのだ。
「ちっ」
「はは、その程度じゃ、アタシはヤれないよ」
 衝撃波を隠れみのとして堕天使が接近していることに、シモーヌは気づいていたのだ。
「ならば、このまま凍りつけ」
 大剣の纏う冷気が槍を伝い、シモーヌの手までも凍てつかせようとした瞬間、シモーヌは槍から手を離す。
「なっ!」
 渾身の力で押し込んでいたのだ、当然堕天使は体勢を崩す。
 ましてや大剣は、その重さゆえの攻撃力と引き換えに、小回りが利かない。大剣を引き、堕天使が体勢を立て直すよりも、シモーヌが|小回りの利く別の武器《蛮刀『メルキュール』》を持ち直すほうが早かった。
「これでしまいだよ!」
 容赦なく迷いなく、シモーヌは堕天使の首を切り裂いた。
 堕天使の唇が僅かに動く。
 何を言っているかはシモーヌには読み取れない。だが、信じられないとばかりに目を見開いた敵が言いそうな事ぐらい予想がつく。
「お前の負けさ」
 言葉で切り捨てるかのように、言い切ったシモーヌの視線の先で、堕天使はボロボロと塵となり、風に吹き飛ばされ消えていった。
 それを見届けた勇士たちから、歓喜と称賛と安堵の入り混じった雄たけびが放たれた。その声は瞬く間に島中に広がり、人々に勝利を伝えていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『空の湯でひと息』

POW   :    ゆっくりお湯に浸かり、身体を温める

SPD   :    打たせ湯で身体をほぐす

WIZ   :    雄大な景色を眺めて楽しむ

イラスト:真夜中二時過ぎ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦いは終わった。
 もちろん、街の一部は破壊されたし、怪我人も出た。だが、猟兵たちのおかげで死者は出なかった。
 街の復興は自分たちの役目、皆様はどうぞと体を休めてくださいと、この島自慢の温泉宿を勧められた。
 そこは、島の雰囲気と同じく、どこか落ち着ける懐かしさを感じる宿であった。UDCアースの出身者がいれば、伝統的なやや古風な温泉宿だと思ったことだろう。
 そうして、案内されたのは、空へ突き出すかのように作られた露天風呂。
 他の客は誰もおらず、猟兵たちの貸し切りとなっている。
 飲み物や軽食も頼めば出してもらえるという。ただし、飲酒は危険とのことで禁止されている。それらは、温泉後の食事と共に楽しんで欲しいとのことだ。
 また、混浴ではなく、男女別である。
 いまはただ、湯に疲れを流し、穏やかな時を。
ティティス・ティファーナ
伽藍/f33020と協力
*アドリブ歓迎

「落ち着きながらも活気と活力のパルスに満たされているな」と微笑む。
『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』で幽魔月精のアストラルボディから物質体の人型の姿へとトランスフォーメーションをして、足元から湯に入ります。ファンネルビットで櫛型あブラシタイプを創造して髪の毛をほぐしたり伽藍と会話をしながら“日常と平和”を心身の芯まで感じて充足します。
ふと、風景を記録して湯の成分を分析・解析して必要時に創造できる様にしてみます。

「伽藍、宇宙や銀河もこの様な平和のパルスに満たされたら充足するな」と口にします。
少しづつ伽藍を見ながら人の行動を学びます。


御堂・伽藍
ティティスf35555と同行
POW判定
アドリブ歓迎

ふるい おゆ
長く愛されてきた場所…命力満ちる場所

まず からだをあらう
付着物による泉湯の劣化を防ぐ。またパルスを整え温泉の精に敬意を払う意味もある

手拭いでティティの背中を流す

うん そうね
皆が静かに眠れる、平和な世界… わたしも(小声)

あ…
湯に浸かってると不意に
うっとりとした表情でとろぉ…ん と目を閉じる
そのままティティに気付かれず湯の中に沈む

だかれてる たくさん
『守ってくれて、ありがとう…』『お礼に☆うーんとサービスしちゃうね♪』『あらぁ♪この娘スゴく抱き心地いいわぁ♡』『ズリィ!オレにも抱かせろよ!?』…
ちから はいらない
あたま がらんどう
あぁ
き も ち い い

気付いたら仰向けで湯の底
落ち着いてゆっくり起き上がり立ち上がる

へいき なんでもない
ティティと一緒に景色を楽しんだり
そんな伽藍のお腹の奥から…

ちゃぷん♡



「幽魔月精は機械身体、幽魔月精の機械魂魄」
 ティティス・ティファーナ(召喚獣「|幽魔月精《アストラル・エレメント》」・f35555)が、広々とした湯殿を前に、己が体をアストラルボディから物質体の人型の姿へと変化させる。
 湯の温かさを楽しむのならば、こちらにすべきだろうという判断からだ。
「ふるい おゆ」
 御堂・伽藍(がらんどう・f33020)はゆっくりと周囲を見渡す。
「長く愛されてきた場所……命力満ちる場所」
 老舗の宿に相応しい、長い年月を経てきた場所。
 どこもかしこも丁寧に磨かれ、大切に扱われ、愛されてきたのだと、湯殿全体から伝わってきて、伽藍は笑みを浮かべる。
「落ち着きながらも活気と活力のパルスに満たされているな」
 そういって、ティティスもまた微笑んだ。
 きっと、島の人間にとってもここは大切な場所なのだ。
「まず からだをあらう」
「ええ、そうしましょう」
 二人して、まずは洗い場に。
 付着物による泉湯の劣化を防ぐのは大事である。また二人にとっては、パルスを整え温泉の精に敬意を払う意味もある。
「ティティ せなかあらうよ」
「ありがとうございます、伽藍。お願いします」
 ごしごしと、小さな手で手ぬぐいを握り、伽藍はティティスの背中を洗う。終われば反対に、ティティスが伽藍の背中を洗った。
 くすくすとどちらともなく、笑い声が零れる。
「準備完了です。入りましょう、伽藍」
「うん」
 ふたりはそっとお湯につかる。
 ふわりとティティスの髪が湯に広がった。それは陽の光を受け、金の海のように見えた。折角だからと、ティティスはファンネルビットをつかい、櫛型ブラシタイプを創造し、長い髪をほぐしていく。
 武器を持つことなく、こんな風に穏やかな時間を過ごせる。
 これが平和であり、日常なのだと、湯の温かさと共に心身の芯まで感じて、ティティスは心が満たされていく。
 ふと思う。
 一度きりではもったいないのではないだろうか。
 少し考えて、風景を記録し、湯の成分を分析・解析すれば、必要な時に創造できるのではないかと思いつく。
 それはとても良い案に思えた。だが、ここにいるだけでは少しデータが足りない。
「伽藍。私はこの温泉のデータを収集してきたいのですが、待っていてもらえますか」
「わかった。わたしはここで、つかってるね。いってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
 そういうと、ティティスは立ち上がり、くるりと髪を束ねると、ここからは見えない、別のエリアに向かっていった。
 ティティスを見送って暫く、ふわりと、伽藍の周囲の気配が変わる。
「あ……」
 今までとは比にならないほど、気持ちよくなってきた伽藍は、うとうとと眠気に襲われる。
 起きていなければ、そう思うのにとろとろと眠りにいざなわれ、そして。
 ――トプン
 湯の中に、その小さな体を沈ませる。

 何かがいた。数多くの、何かが。
 けれど伽藍は拒絶しない。
 何故なら伽藍はがらんどう。
 かみもあくまも、きれいもきたないも、がらんどうはこばまない。我等物の屍なれば。
 ――だかれてる たくさん
『守ってくれて、ありがとう……』
 ――ちから はいらない
『お礼に☆ うーんとサービスしちゃうね♪』
 ――あたま がらんどう
『あらぁ♪ この娘スゴく抱き心地いいわぁ♡』
 ――あぁ
『ズリィ! オレにも抱かせろよ!?』
 ――き も ち い い

「伽藍!?」
 ひどく焦ったティティスの声が、やけにぼやけて聞こえて、伽藍はぱちりと目を開ける。
 視界に映るのは水、いやお湯だ。一拍おいてから、自分が湯の底に沈んでいることに気づいた。
 ああ、起きなければ。ティティスを心配させてしまう。
「ここよ、ティティ」
 ゆっくりと体を起こし立ち上がると、伽藍は慌てているティティスへと声をかける。
「伽藍!」
 ティティスは大急ぎで駆け寄ると、素早く伽藍の体の状態を確認する。
 怪我のない伽藍の様子に、ティティスはほっと胸をなでおろす。
「申し訳ありません。何故か伽藍の場所が掴めず」
「だいじょうぶ。ちょっとお湯に潜っていただけだから」
 ――ちゃぷん♡
「あ……」
 お腹の奥から響いてきた音に、思わず伽藍が声を上げる。
「伽藍? やはりどこか体調が?」
「ううん、へいき。なんでもない」
 もう一度、穏やかな笑みと共に否定を返し、ティティスから視線を空へとやる。
「きれいね」
 当人が大丈夫といい、また特におかしなところも発見できなかったため、悩みつつもティティスは伽藍と共に空へと目を向ける。そっと、伽藍が沈まないように腕を回すのは忘れない。
 そうして、改めて見る空は穏やかなパルスに満ちている。
 ゆったりと二人ですごすこの空間のなんと穏やかな事だろうか。
「伽藍、宇宙や銀河もこの様な平和のパルスに満たされたら充足するな」
「うん そうね。皆が静かに眠れる、平和な世界……」
 ――わたしも。
 伽藍の、声にもならない声。
 それは、ティティスに対する同意であり、自分に対する疑問であり、何かへ対する希望。
 ああけれど、今は。
「おんせん、きもちいいね」
「ええ。データは収集完了しています。いつでも再現可能ですよ」
「ふふ、それはたのしみ、ね」
 二人でただ楽しもう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
ひと仕事終わった後のお湯はサイコーだな!

これでさらに景色も良いとくれば言うことなし。
お湯に温まって、体をほぐして、まったりさせてもらおう……

いろいろと出してもらえるそうだから、ここはアイスをもらおうか。
温かいところで食べるアイスがこれがいいんだよ。

あー、極楽極楽。



「ひと仕事終わった後のお湯はサイコーだな!」
 広々とした露天風呂につかり、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は思わず声を上げた。
 露天風呂はいくつかあり、それぞれ温度が違う。
 その中で最も好む温度に入り、シモーヌは戦いの疲れを流していた。
「これでさらに景色も良いとくれば言うことなし」
 シモーヌの眼前に広がるのは、雄大な空。
 何もないようでいて、雲と空の織り成す、一度たりとも同じもののない舞台は、なかなか見ごたえのあるものだった。
 これだけの場所だ。普段ならば、名物露天風呂として、多くの人でにぎわっているのだろう。だが今は、猟兵たちへの感謝を込めて、完全貸し切りとなっていた。
 賑やかな場所が駄目とは言わないが、たまにはのんびり静かに過ごすのも悪くない。
 そんなことを思いながら、シモーヌは湯の中で体を伸ばす。湯の温かさに体がほぐれていくのが分かる。
「こんなふうにまったりするのもいいねえ」
 目線を、空から露天風呂の入口へと向ければ、小さな売店が見えた。
「ふむ」
 ざばりと湯から上がると、前を隠すこともなく、シモーヌは売店に向かう。
 猟兵が来たことと、シモーヌの恰好とに、売り子の女性があわあわと慌てる。その姿に、シモーヌは笑い声をあげる。
「はははっ、そんなかしこまらんでくれ。アタシはアタシのするべきことをやっただけなんだからね。で、注文いいかい?」
 こくこくと売り子が頷くのを確認し、シモーヌはメニューに目を通す。
 小さな売店ではあるが、温かいもの冷たいもの、甘いもの塩辛いもの、と品揃えはなかなかのものだ。
「ふむ、いろいろと出してもらえるそうだから、ここはアイスをもらおうか。味は、そうだね、何かお勧めはあるかい?」
 シモーヌが言えば、先ほどの慌てっぷりが嘘のように、売り子は手慣れた仕草で、人気のフレーバーを、アイスの容器に盛っていく。
「お、そんなにいいのかい。ありがとよ」
 ひらひらと手を振り売店を後にすると、再び適温の露天風呂へと戻る。
「温かいところで食べるアイスがこれがいいんだよ」
 贅沢な楽しみを、舌で味わいつつ、シモーヌは上へと視線を向ける。
 争いの影など何一つない空が広がる様子に、にやりと笑みを浮かべる。
「あー、極楽極楽」
 満足げな声を上げ、シモーヌは露天風呂を満喫するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月05日


挿絵イラスト