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アポカリプス・ランページ⑬〜死渦と終点

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●フルスロットル・ザ・ランページ
 赤熱するシリンダーは、それが十二気筒を持つV12エンジンが稼働している事を示していた。
 吹き上がる轟音。
 放たれる熱は渦を巻くようにして『フィールド・オブ・ナイン』の一柱、『フルスロットル・ヴォーテックス』の身体を包み込んでいた。
「これこそが我が一族が太古よりアメリカにあり、代々『髑髏と渦巻』……すなわち、逃れ得ぬ死と避けられぬ宿命を司り、一族に歯向かうものを悉く飲み込む『死の渦のユーベルコード』の暴力に寄って、開拓者達さえも傀儡とし続けた力」
 そう、それこそが暗黒の竜巻、『オブリビオン・ストーム』の原型である。
 文明を崩壊させた暗黒の竜巻こそが、『ヴォーテックス一族』が伝来せしもの。

「我ら『フィールド・オブ・ナイン』は、オブリビオン・ストームを『終点』と定めた」
 唸りを上げる全身に搭載されたV12エンジンが彼の身体を赤熱さえていく。
 彼の身体は5mもあろうかという巨躯。
 改造巨人とも言われる『ヴォーテックス一族』を束ねるものであり、同時にアポカリプス・ランページを指揮する『オブリビオン・フォーミュラ』だ。
 彼を倒せば戦争が終わる。
 この長きに渡った文明荒廃という戦いに終点が訪れるのだ。

 だが、『フルスロットル・ヴォーテックス』は頭を振る。
「これ以上の発展は不要。これ以上の暴力は不要。これ以上の歴史も、生命の繁栄も不要!」
 ここが終点である以上、一歩も進むべき未来はない。
 未来は閉ざされている。
 どれだけ人々が明日を望むのだとしても、明日は来ない。此処で何もかもが終わる。ゆえに終点。

「だが、猟兵たちよ。異世界よりの稀人よ! 汝らにもまた、等しき死の安寧を授けよう! 貴様らの如き強者にとって、死は終わりではない。その先は、オブリビオンという『約束された栄光の道』に繋がっているのだ!」
 猟兵達は知るだろう。
『オブリビオン・フォーミュラ』たちは『今』を見ていない。
 ここが終点だと嘯いた。
 ならば、猟兵達は一歩を踏み出すだろう。此処を終点だと言った『フルスロットル・ヴォーテックス』。
 されど、己達はもう一歩を踏み出している。

「我らが定めた終点を『超克』するか、猟兵! ならば圧倒的な暴力で汝らを骸の海に捧げよう!」
 誰も彼もが明日を諦めない。
 どれだけ此処までだと言われたのだとしても、それでも明日を求める人々が居る限り、己達は諦めないだろう。
 困難が目の前にあるのならば避けるのではなく踏み越えていくだろう。
 それがいつだって正しい道だ。
 安易な近道や、回り道に得るものはなにもない。

 いつだって厳しく険しい道こそが正しい道だ。
 その困難を『超克』して征け、猟兵――!

●アポカリプス・ランページ
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。アポカリプス・ランページ……戦いの日々はいつだって辛く厳しいものであります。けれど、終わりはいつだってあるものです。戦いだけの日々を乗り越えた先を皆さんは、すでに見据えているでしょう」
 ナイアルテはその瞳を猟兵たちに向ける。
 彼らの瞳に在るのは絶望でも諦観でもなかった。

 アポカリプスヘルに生きる人々が望む明日。
 文明が荒廃しても、どれだけの困難が道を塞いでいたのだとしても、それでも望むものがあるのならばこそ、足を踏み出す。
 その勇気と力こそを彼女は信じる。
「ついにこの戦争の指揮を取る『フィールド・オブ・ナイン』、その『フルスロットル・ヴォーテックス』との戦いになります」

『フルスロットル・ヴォーテックス』は5mはあろうかという改造巨人である。
 体中に搭載されたV12エンジンによって凄まじいまでの戦闘力を誇る『超赤熱連続攻撃モード』へと変異している。
 圧倒的なパワー、スピード、重量で突撃して来る『フルスロットル・ヴォーテックス』は、その力で猟兵たちを圧倒するだろう。

「『フルスロットル・ヴォーテックス』は、さらに二倍に巨大化するユーベルコードや、超加速に寄る死を確実にする四連撃、無数の炎を帯びたチェーンソーを手繰り、皆さんを仕留めようとするでしょう」
 それは圧倒的な存在であることを示していた。
 単純な暴力。
 否応なしに迫られる選択。これらに対処して初めて猟兵は反撃に転じることができるのだ。

「これまでも先制してくるオブリビオンは居ました。けれど、これほどの巨躯とパワー、速度を兼ね備えたオブリビオンは多くはないでしょう。ですが、戦って勝つ以外に道はありません」
 彼女の瞳は猟兵たちをいつだって見ている。
 これまでだってそうだったのだ。猟兵達は困難と思われた道を真っ直ぐに突き進んでいく。誰も過ちだとは言わない。誰も引き返そうだとも言わない。
 いつだって彼らは、誰かのために、世界のために戦ってきたのだ。
 そんな彼らをこそナイアルテは誇らしく思い、同時に戦いに送り出すことしかできぬ身を憂う。

 けれど、そんな憂いさえも猟兵達は吹き飛ばしていく。
 ゆえに彼女はいつものように微笑んで送り出すのだ。
「ご武運を。みなさんが誰一人とて欠けることなく、また此処に戻ってこられることを」
 祈るのではなく、信じているとナイアルテは頭を下げるのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『アポカリプス・ランページ』の戦争シナリオとなります。

 ついに現れた『フィールド・オブ・ナイン』、今回の戦争の指揮を取る『フルスロットル・ヴォーテックス』との戦いになります。
 掛け値なしの強敵との戦い。
 5mの改造巨人である『フルスロットル・ヴォーテックス』は必ず皆さんに先制してくるパワーとスピード、そして重量をもって強敵として立ちふさがるでしょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。

 それでは、『フィールド・オブ・ナイン』の齎すカタストロフを阻止する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『フルスロットル・ザ・ランページ』

POW   :    フルスロットル・ギガント
【超赤熱連続突撃モード】に変身する。変身の度に自身の【V12エンジン】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
SPD   :    V12スラッシャー
【全身のV12エンジンによる超加速】で敵の間合いに踏み込み、【V12エンジンの爆音】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    フルスロットル・チェーンソー
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【炎を帯びたチェーンソーの刃】で包囲攻撃する。

イラスト:あなQ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アルトリウス・セレスタイト
終わりなど超えた後だ

戦況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
破壊の原理から逃れる術、無限の先へ届く道理いずれも無し
時と因果を繰れば攻撃も受けぬ
要らぬ余波は『無現』にて否定
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

高速詠唱を『刻真』『再帰』にて無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、周囲全方向へ斉射
更に射出の瞬間を無限循環し討滅まで一切止まらず継続
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

創生し最古の理は逃さない
お前が振るうユーベルコードすら塵芥と消える


※アドリブ歓迎



 V12エンジンが赤熱する。
 それはこれまでこの世界が紡いできた文明の軌跡であったことだろう。
 速さこそが、力こそが、あらゆる存在においての絶対証明であるというのならば、『フルスロットル・ヴォーテックス』とは、人の文明の結晶であったことだろう。暴力も、繁栄も、全てがこの終点にこそ集約される。

「終点を超えるか、猟兵。お前達のような稀人こそがオブリビオンという永遠を生きるに相応しい強者。此処が終わりではない。永遠の安寧の始まりと知れ」
『フルスロットル・ヴォーテックス』にとって強者とはオブリビオンという永遠に為るべきものである。
 ゆえに彼の赤熱した12気筒が唸りをあげ、凄まじい速度とパワー、何よりも改造巨人である巨大な体躯を質量兵器と化し、扇状を疾走る。

 紡ぎあげられた炎纏うチェーンソー剣が空を舞う。
「終わりなど超えた後だ」
 そう言ったのは、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)だった。
 その言葉にどれだけの意味が籠められているのかを他の誰が理解できるだろうか。
 放たれる炎纏うチェーンソー剣が彼に殺到する。
「破壊の原理から逃れる術、無限の先へ届く道理いずれも無し。時と因果を操れば攻撃も受けぬ」

「いいや。あるのだ。これがな。無限の先にあるのは無限光。その真理に届くのが人であるのならば、お前たちのような強者こそが、その存在証明」
 V12エンジンが唸りをあげ、巨体をアルトリウスへとぶつけられる。
 しかし、それらはすべて障害故に無視され影響を及ぼさない。
 アルトリウスにとって『それ』は障害に過ぎなかったことだろう。
 高速営所うで紡がれる言葉は短い。

 ただ一言であった。
「行き止まりだ」
 それは障害を無視し万象を根源から消去する影響を受けぬ創造の権能が顕す蒼光の魔弾。
 浮かぶは五百以上。
 されど相対する炎纏うチェーンソーは全天を覆う。
 激突する炎の赤と蒼い光。
 その光景は破界(ハカイ)という事象そのものであったことだろう。無限循環し、射出の隙間を埋め尽くしていく。
「創生し最古の理は逃さない。お前が振るうユーベルコードすら塵芥と消える」
 激突するユーベルコードのちからの奔流がアポカリプスヘルの大地に吹き荒れる。

 それは永遠を生きるオブリビオンと世界を救わんとする猟兵との戦いを顕すには十分なものであったことだろう。
 組み上げられていく魔力。
 12気筒のエンジンが唸りを上げ、更に出力をましていく。超赤熱連続攻撃が戦場に吹き荒れる。

 誰も止められない。
 誰も止まらない。
 ここにあるのは『約束された栄光の道』。
 その道の先に何があるのかを知るのは、戦いの勝者だけであろう。
 アルトリウスは蒼い光の乱舞のさなかに消えていく『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯を見た。

 栄華も繁栄も此処で終点だと語る『フルスロットル・ヴォーテックス』。
 それはこの世界に生きる者達全ての運命を決定づけたものであろう。これ以上は要らぬと、これ以上の未来など必要なしと。

 けれど、それでもその先の未来を求める生命があるのならば。
 世界の悲鳴となって猟兵達は駆けつけるだろう。どうしようもない今日であっても、より良い明日を求める限り、轍となって続いていくのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルドラ・ヴォルテクス
(アドリブ連携OKです)

『最後の決戦です、準備はよろしいですか?』

問題ない、ここで終わらせる。

『了解、オーバーロード発動、左腕インドラ、右腕スカンダ、闘神形態解放』

【死の超克、リグ・ソーマ】
敵の四連撃、回避……能力解放、間に合うか……!
全ての武装の展開、守りを堅める……間に合わない……だと?

死が直前に迫る、いや……認めない。
リグ・ソーマ、全使用、心臓を再動させろ、細胞を蘇らせろ、死を乗り越えろ!

俺は死なない。
全ての力を解放して、おまえを討つ!その4連撃はもう効かない、殺気の方向と、おまえ自体の必殺の間合いが読めれば、爆音と嵐で乱れた力の流れ、いかに高速化しても見極めるのは可能。

チャンドラー・エクリプス、双剣形態!

俺の剣は禍風を喰らい、滅ぼす。
この先にある、ヒトがヒトとして生きていける世界の為に。
フルスロットル・ヴォーテックス、おまえを破壊する!

俺の心が、魂が、ストームブリンガーとして立ち上がる限り、オブリビオンストームに終焉を!



 戦場に轟くはV12エンジンの排気音。
 それは超赤熱連続攻撃形態へと移行した『フルスロットル・ヴォーテックス』の奏でる破壊への旋律であった。
 けたたましい音。
 これが文明の至る終点。
「故に我らは此処を終点と定める。これ以上の繁栄など不要。これ以上の痛みも不要。人はこのまま永遠になるのだ、猟兵」
 その巨躯は5mを超えていた。
 膨れ上がる暴力の気配。
 凄まじい力の奔流。これこそが『オブリビオン・フォーミュラ』たる姿であると、その威容を持って『フルスロットル・ヴォーテックス』は、咆哮するのだ。

『最後の決戦です、準備はよろしいですか?』
 その問いかけにルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)は、最早答えるまでもないものであると決意をみなぎらせていた。
 心のなかに渦巻く戦意は、己の中にある力を象徴するかのようであったが、驚くほどの己の心の中は静かだった。
 此処に至るまであらゆる戦いがあった。
 己の命を削る戦いばかりであった。友が、根源が、あらゆる自分を形成するものが敵として立ちふさがってきたことだろう。

 されど、その全てが今の自分を作っている。活かしている。
 ならば、そこに恐れなど不要であった。
「問題ない、ここで終わらせる」
『了解、オーバーロード発動』
 左腕インドラ、右腕スカンダが闘神形態へと移行していく。
 開放された力。終点を『超克』しろという声が己の中に渦巻く。此処が終点と定めるのが『オブリビオン・フォーミュラ』であるというのならば、己こそがそれを超えて行かねばならない。

 ルドラの瞳がユーベルコードに輝く。
 けれど、それ以上に凄まじい速度と質量でもって迫るのが『フルスロットル・ヴォーテックス』である。
 その名の由来通り、最高速度を維持し続ける凄まじい熱量は、ルドラにとって凄まじい速度であったことだろう。
「遅いな、猟兵! その程度で終点を超克しようなどと!」
 振るわれるは死の四連撃。

 チェーンソー剣が唸りをあげ、左腕を弾き飛ばす。
 ガードが間に合わない。こじ開けられる。
「能力開放、間に合うか……!」
 回避を、と考えた瞬間右腕が吹き飛ばされる。なんたる威力。弾け飛ぶ己の肉体。
 全ての武装を展開し、守りを堅める。
 だが、その悉くが一撃のうちに消し飛ぶのだ。
 間に合わない。
 どうあがいても間に合わない。

『フルスロットル・ヴォーテックス』の放つ四連撃は、最後の一撃を持って完成する絶対死の一撃。
 それが今まさにルドラに振るわれようとしていた。
 間に合わない。
 回避もできない。防御など無意味。

 終わる生命。
 無意味に終わる生命を見てきた。
 何度も。何度も。何度も。それは己にとって耐え難いものであったことだろう。あの黒き竜巻を思い出す。
 嘆き、叫び、慟哭を持って世界に怨嗟が撒き散らされる。
 それが終点の光景。ならば、己はそれを破壊する。終点を破壊する力。背中を押すのは黒いそよ風であった。

「いや……認めない」
 そう、認めてはならない。己の生命を削り、戦ってきたものたちが己の背後にある。轍となって残っているのならばこそ、その生命を無意味にしてはならない。
 彼の瞳が輝く。
 砕けた四肢の中心に心臓があるのならば。

 讃美されし神々の酒盃(リグ・ソーマ)よ。
 今こそ、その真価を発揮する時である。あらゆる力が増幅していく。砕けた四肢が一瞬で修復されていく。
 心臓が再動する。細胞が蘇る。そして、何よりも、己の死さえも乗り越えろと、己の背を押す風がある。
 己の名は何だ。

『ルドラ――」
 荒れ狂うは暴風神の名。
「俺は死なない、おまえを討つ!」
 死が己の前に横たわるというのならば、それを『超克』するのが己である。振るわれた死の四連撃。その最後の一撃をルドラは前に突き進み、躱す。
 いつだってそうだ。
 前に進まなければ、答えには至れない。愚直にも進むことこそが活路である。

「我が四連撃を、躱すか、猟兵! やはりお前は強者だ。お前たちにこそ『約束された栄光の道』こそ相応しい! 死して骸の海より出るがいい!」
 振るわれるチェーンソー剣が砕けて散った。
 驚愕に見開かれる『フルスロットル・ヴォーテックス』の瞳。そこにあったのは、双剣へと姿を変えた『チャンドラー・エクリプス』。
 日と月の輝きを喰らう羅睺。
 その顎が『フルスロットル・ヴォーテックス』の一撃を噛み砕く。

「俺の剣は禍風を喰らい、滅ぼす。この先にあるヒトがヒトとして生きていける世界の為に」
 そよ風は旋風に。
 旋風は竜巻に。
 不切れ上がっていく。
「『フルスロットル・ヴォーテックス』、お前を破壊する!」
 砕け散った破片すらも吹き飛ばし、ルドラの身は神に至る。荒れ狂うは暴風。
 漆黒の竜巻すらも喰らい尽くす、あらゆるものを巻き込む暴風の力。

 人はそれをなんと呼ぶか。

 そう、このアポカリプスヘルにおいて、その名は希望の名。
「俺の心が、魂が、『ストームブリンガー』として立ち上がる限り」
 十字の双剣が輝く。
 斬撃が『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨体に刻まれる。暴風は告げる。

「オブリビオンストームに終焉を!」
 それは明日を求めた人々の祈りの結実。願われた明日を齎す吹き荒ぶ暴風――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎

ふん、わしらは越えた先におるのよ。
そして、だからこそわしら『四悪霊』は戦うのである。

ああ、先制でそれを使うか。つまりは、的がでかくなったというわけだな!当てやすい!
まあ、突撃してこようが。霹靂に騎乗して、見切りして回避よ。…ここはでかい分、避けにくいか。

そして、そのままの空中機動で接近し、指定UCを叩き込む!
すまぬな、霹靂。熱かろうが…ここは我慢してくれ!


霹靂「クエッ!」
熱いかもしれないけれど、ここは我慢する!



 暴風に刻まれた十字傷がひび割れるようにして『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯に広がっていく。
「お、おおおお――! これこそが強者! この力こそやはり骸の海に捧げられるべきもの! 猟兵とはやはり稀人! 我は捧げよう、この供物を!」
『フルスロットル・ヴォーテックス』の身体が膨れ上がっていく。
 5mもあった巨躯。
 改造巨人であったその体がさらに倍に膨れ上がっていくのだ。それはもはや巨人を超えた巨人。
 溢れる12気筒エンジンが轟き、凄まじい熱量と共に刻まれた傷痕がふさがっていこうとしていた。

 これこそが『超赤熱連続攻撃形態』の真髄である。
 永遠の闘争の中を戦い続けてきた『オブリビオン・フォーミュラ』としての力の発露。
「我が名『フルスロットル・ヴォーテックス』! 止まることはない。お前達に『約束された栄光の道』を辿らせるもの。すなわち、死して骸の海へと沈め、猟兵!」
 その速度は凄まじいものであった。
 質量とパワー、スピードが重なり合った暴力の化身。

 けれど、その前に立つのは、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)であった。四柱の一柱『侵す者』が言う。
「ふん、わしらは越えた先におるのよ」
 己達が悪霊であるがゆえに、死はすでに越えたものである。
 悪霊と成った身に死とは隣にありて程遠いものだ。故に、彼らは戦うのだ。
「『霹靂』!」
『侵す者』の言葉に金色混じりの焦げ茶の羽毛が美しいヒポグリフが嘶き、空へと舞い上がる。

 巨大化することによって的が大きくなるのはこちらにとって有利であったが、それ以上に圧倒的な速度とリーチで迫る『フルスロットル・ヴォーテックス』は脅威そのものであった。
 ここまで巨大に成ってもなお鈍重さを感じさせぬ動きは、躱しづらいものであった。
「クエッ!」
『霹靂』が迫る超赤熱の豪腕を躱す。
 けれど、その高温の一撃は余波であっても彼らの肌を焼くだろう。凄まじい力。『オブリビオン・フォーミュラ』と呼ぶに相応しい。
 けれど、ここで引くわけにはいかないのだ。

 己たちが何故戦うのか。
 それは他の三柱もまた同様であった。悪霊の身なれど、今を生きる人々のために。己たちと同じ悔恨と苦しみの中に沈むことがないように。
 人が明日を望むのならば、己たちがそれを切り拓く。どのように歩むかは、生きる人々が決めればいいこと。
「すまぬな、『霹靂』。熱かろうが……ここは我慢してくれ!」
『霹靂』が高く空へと飛び立つ。

 それを追う『フルスロットル・ヴォーテックス』の掌が伸びていく。捉えられる。どうしようもないほどの力の差。
 けれど、『侵す者』は『霹靂』の上から飛び立つのだ。
 眼下には『フルスロットル・ヴォーテックス』の掌。アレに掴まれては、悪霊たる己の身も危ういだろう。
 けれど、その瞳に恐れや諦観はなかった。

 あったのはユーベルコードの輝き。
 手にした黒色の槍が炎を纏う。全ての力を身に纏い、それは火のように(シンリャクスルコトヒノゴトク)一条の閃光となって、『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨大なる手の平に突き刺さる。
「わしの一撃、受けきれるか!」
 単純な重い一撃。
 けれど、その重さの中にあるのは数多の人々の願いであった。

 明日を望む人々。
 どれだけ失っても希望だけは喪わずに生きることを諦めぬ彼らのためにこそ、己たちは存在するのだ。
 穿たれた掌を引き裂くようにして、『侵す者』のユーベルコードが輝く。
 掌を穿ち、前腕を砕き、『フルスロットル・ヴォーテックス』の左腕を引き裂きながら『侵す者』は大地すら砕いて、その一撃を完遂する。

「これが我らの力よ。此処が終点であるというのならば、悉く越えて征こうぞ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
視認され向こうが突撃状態になったら即座に、私自身の体を念動力で浮かし空に飛ぶ事で突撃攻撃の回避をします。
こういった行動は急な方向転換が難しいのが常ですから。
いくらオブリビオンとはいえ、エンジンで加速状態では同様の事でしょう。
本当はぎりぎりまで動かずにいたいですが、どれだけのスピードかもわかりません。見極めるため意味でも準備は早い方が良いでしょう。
加速力ををジャンプ力に変えられたら少し厄介ですが、それも避けるためにフルスロットルの後方側へと飛びます。さすがに背面への方向転換は力の向きが真逆ですし。
回避できたら青月をかかげ雷公天絶陣を。展開されたチェーンソーごと撃ち落としてしまいましょう。



『フルスロットル・ヴォーテックス』の左腕が引き裂かれ、巨人の如き身体には十字傷が刻まれている。
 それは猟兵たちの紡いだ戦いの軌跡。
 どれだけ強大な存在であったのだとしても、猟兵達は諦めない。
 臆することもない。
 怯むこともない。
 何故ならば、彼らの終点は此処に非ず。彼らが見据えるのは、他者の決めた終点ではなく、己たちが見定める未来にこそある明日であったからだ。

 アポカリプスヘルに生きる人々がそうであったように。
 何もかもを失ったとしても、彼らは生きる明日を諦めなかった。
 その結実が今此処にある。
「何故、終点を受け入れない。我らが定めた終点を。これ以上の繁栄などありはしない。これ以上の暴力の必要もない。だというのに、愚直にも明日を求めるか!」
 V12エンジンの轟音が戦場に響き渡る。
『フルスロットル・ヴォーテックス』にとって、世界はもう此処で終わりなのだ。
 論じる意味もない。
 これより先にあるのは死の安寧であるというのに、それでも立ち向かってくる猟兵たちに彼は憤りすら覚えたことだろう。

「死すればお前達が如き強者は『約束された栄光の道』に居たり、オブリビオンとして永遠を生きることができるであろうに。それさえも否定するか」
「ええ、その永遠は私には必要ありませんから」
 夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は己の姿をさらけ出し、念動力によって空へと飛び立つ。
 迫る炎を纏ったチェーンソー剣が藍を襲う。
 空に浮かぶチェーンソー剣は圧倒的な物量であったし、何よりもあの巨人の如き巨躯が迫っている。

 彼女は冷静だった。
 確かにあの突撃を躱すのは難しいだろう。けれど、パワーとスピード、そしてあの重量が重なった時、運動の力というものは容易に方向転換できるものではない。
 空に浮かんだのはそのためだ。
 藍は空をかける。迫るチェーンソー剣の群れが己を切り裂かんと迫っている。
「本当はギリギリまで動かずにいたかったのですが……準備は速い方がいいでしょう」
 加速したままに『フルスロットル・ヴォーテックス』が跳躍されてしまえば厄介であったが、それを避けるために彼女は『フルスロットル・ヴォーテックス』の背後に飛ぶ。

 炎を纏ったチェーンソー剣が彼女の身体を傷つける。
 痛みが体中に疾走るが、彼女にとっての最悪はあの巨躯による質量攻撃であった。
「前にしか道は現れない。どれだけ『栄光の道』などと嘯こうとも!」
 そう、加速で得られた突撃は後方に対して無防備である。そのために彼女はチェーンソー剣の群れを突破するように飛んだのだ。
 彼女が掲げるのは仄かに青白い光を放つ打刀。
 雷の力と融和する神器は、彼女の瞳から発せられるユーベルコードを受けて輝く。

「受け入れぬか、猟兵! オブリビオンという永遠を!」
「私には永遠は必要ない。必要なのは明日という可能性だけ」
 宝貝「雷公天絶陣」の一撃が『フルスロットル・ヴォーテックス』と展開されたチェーンソー剣をも飲み込むほどの膨大な降り注ぐ雷を解き放つ。

 そのユーベルコードは、あらゆるものを飲み込む。
 打ち据える雷は金属で出来たチェーンソー剣やV12エンジンを搭載した鎧を持つ『フルスロットル・ヴォーテックス』を撃ち貫いていく。
「人々が求めるのは栄光でも栄華でもない。自分たちがいきる明日です。そのためにこの荒廃した世界を生きる人々にこそ」
 藍の瞳が輝く。
 それは人々が求めた明日の輝き。

 どれだけ打ちのめされても。
 どれだけ逆境に立たされても。
 それでも諦めない人々がいる。生きることを諦めない人々のために明日が必要であるというのならば、藍はためらわずに力を振るうだろう。
 終点を超克する。
 その向こう側に人々の求めるものがあるのならば。
「消えるその時まで、私は戦い続けるでしょう」
 誰かを守るためにこそ宿る力で、藍は雷を『フルスロットル・ヴォーテックス』に降り注がせ続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「誰かが定めた終わり等に意味はない。
人は誰だって諦めない限り明日を迎える事が出来る。
だから俺達の明日の為に、踏み越える。」

チェーンソー迎撃の為に零下の碧玉と
スカイロッドに魔力を集中。
温度を下げる事でチェーンソーの炎を消すと同時に
回転力を弱める。
温度の急変で強度が下がったところに
スカイロッドの風弾を当てて破壊。
フルスロットルには冷気を足元に当てて
チェーンソーを破壊するまでの足止めを行う。

チェーンソーの数が減ったらフルスロットルからの
攻撃を躱す為に【残像】を纏って一定の距離を保ち移動。
隙があれば蒼霊焔視で攻撃。
「その分厚い装甲も魂を守る盾になってはくれないだろう。
今度は俺が焼かせて貰う番だ。」



 膨大な雷が『フルスロットル・ヴォーテックス』に降り注ぐ。
 左腕を引き裂かれ、胸に十字の傷を抱きながら、なおも『フルスロットル・ヴォーテックス』の体に搭載されたV12エンジンは轟音を轟かせ続ける。
 それは己が『オブリビオン・フォーミュラ』であったからであろうし、同時にこの世界に齎す終点としての自負があったからであろう。
 避けようのない死。
 積み上げられていく髑髏。
 その先にこそ死という安寧がある。

 永遠とはその先にこそあるものだ。
 故に『フルスロットル・ヴォーテックス』は、己たちが定めた栄華の終点より先を認めないのだ。
「終点はすでに過ぎている。これ以上など必要ない。永遠になるためには、全ての生命は根絶やしにしなければならない。暴力なくして繁栄などありえぬように!」
 周囲に浮かぶは炎を纏うチェーンソー剣。
 膨大な数が展開され、迫る猟兵たちにむけられるのだ。

 その切っ先の先に立つのがフードを目深にかぶったフォルク・リア(黄泉への導・f05375)であった。
「誰かが定めた終わり等に意味はない。人は誰だって諦めない明日を迎えることができる。だから、俺たちの明日の為に、踏み越える」
 そう云う彼の手にあるのは雪と氷を操る氷のように透き通ったサファイアであった。宿るは死霊がまとう冷気。
 炎を纏うチェーンソー剣を前に掲げ、その炎をかき消し、刃の回転を止めるのだ。
「それだけ急激な温度変化が起こったんだ……鉄とは、金属とは、急激な温度変化についていけない……」

 フォルクの目論見通り、彼に向かって殺到したチェーンソー剣の全てが急激な温度の変化による劣化にチェーンソーを廻すモーターの衝撃に耐えられずに瓦解して大地に落ちていく。
「この程度の冷気で我を止められるものか! 猟兵! やはりお前たちはオブリビオンにならねばならない。それほどの力を有しているのならば、永遠を求めるに値するだろう!」
 踏み込む『フルスロットル・ヴォーテックス』が振り下ろすチェーンソー剣の一撃がフォルクを捉える。

 消耗させられていても以前『フルスロットル・ヴォーテックス』が『オブリビオン・フォーミュラ』たる力を持つことに代わりはない。
 巨人の如き巨躯とは思えぬ俊敏さで踏み込み、チェーンソー剣をフォルクは躱せない。
 その鋭き一撃は、けれど彼を捉えることはなかった。
 チェーンソー剣が叩き込まれたのは彼の残像。
「踏み込みの速度、力、どれをとっても『オブリビオン・フォーミュラ』と呼ぶに相応しいんだろうな……だが、その魂を焼く青藍の炎。怨霊の如く追い縋れ」
 フォルクの瞳がユーベルコードに輝く。

 その視線は魂を焼く蒼炎を齎す。
 蒼霊焔視(ファントムアイズ)。
 それこそがフォルクのユーベルコードであり、分厚い鎧に覆われた『フルスロットル・ヴォーテックス』の身の内、その本質たる魂のみを焼く蒼炎となって放たれるのだ。
「我が魂が燃える……!?」
「その分厚い装甲も魂を守る盾にはなってはくれないだろう。今度は俺が焼かせて貰う番だ」
 フォルクの視線が遮られることはない。
 彼は見つめ続ける。振り回されるチェーンソー剣を躱し、冷気によって動きの鈍った『フルスロットル・ヴォーテックス』を翻弄し続ける。

「お前たちは一つ誤っている。定めた終点より先はないといったな。それを越えるのが超克であると。だが、人は誰だってそれができるのさ。俺たち猟兵だからじゃない」
 フォルクの瞳がいっそうに輝く。
 見つめる。終点と死を齎す存在を。
 許されざる『オブリビオン・フォーミュラ』を前にして彼は言い放つのだ。

「人は誰だって限界を常に越えていく。今日より明日を。明日よりもより良い明日を求める。そうやって繋ぎ、紡ぎ、研鑽してきたからこその文明がある。それを今知るときだ!」
 燃え上がる蒼炎は魂を侵食していくだろう。
 その痛みに巨体が振るえ、咆哮する。それをフォルクはみやり、己たちが見据える明日を知らしめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
圧倒的な暴力ねえ。
パワーもスピードも重さも、確かに強さの一つだけど、
それだけが全てじゃないよ。

相手が巨大化して10mの高さから見下ろしてくるなら、
こっちはカメレオンスキンで地面の色に迷彩して見えにくくするよ。
エンジン音で足音なんて聞こえないだろうしね。
大雑把な狙いの攻撃なら何度来ようが避けるのはそう難しくない。

攻撃を避けて足元まで近づいたら【崩天地顎】で、
足を掴んで持ち上げて地面に叩きつけるよ。

この程度の暴力なんて、生命はいくらでも踏み越えていける。
終点も限界も、決めるのはアンタじゃない。
そこを退け、あたしの道を遮るな。



 魂を焼く蒼炎が『フルスロットル・ヴォーテックス』の体を消耗させていく。
 巨大な裂傷となった胸の十字傷。そして、左腕を穿つ一撃によって『オブリビオン・フォーミュラ』たる『フルスロットル・ヴォーテックス』は追い込まれていた。
 けれど、それでもなお、その身を癒やすユーベルコードが暴力と死を司る彼の瞳に宿るのだ。
「何度でも告げよう。死こそ安寧。永遠を求めるのならば、死という終点を向かねばならぬことを!」
 その5mはあろうかという巨人の如き巨躯をさらに膨れ上がらせ、傷口を塞いでいく『フルスロットル・ヴォーテックス』の威容は見上げても見上げることのできぬほどの巨大なる存在へと変貌させていた。

「我が振るうは死と暴力の災禍なり。猟兵よ、お前たちを骸の海に捧げる。そうした後に知るだろう。おまえたちも、この永遠の素晴らしさを! この圧倒的な暴力を受けるがいい!」
 その咆哮の如き宣言を前にしてもペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は怯まなかった。
 怯む必要などなかった。
「圧倒的な暴力ねえ」
 力も速度も重さも。
 確かに強さの指針たる一つの要素であろう。
 けれど、ペトニアロトゥシカにとって、それは重要なものではなかったのだ。

 彼女にとって強さの要因である力、速度、重さ。そのどれもが全てには至らぬと知っている。
「どれだけ巨大でこっちを見下ろしてくるっていうのなら」
 こっちは隠れ潜むだけだと、彼女のキマイラの肌が変色していく。
 それはカメレオンが周囲に擬態するように己の皮膚の色を自在にかえるように、ペトニアロトゥシカもまたアポカリプスヘルの荒廃した大地に擬態する。
 どれだけ精巧に隠れたとしても、物音まではかき消すことはできない。けれど、それは『フルスロットル・ヴォーテックス』の放ち続けるV12エンジンの凄まじい轟音で聞こえることはない。

「大雑把な攻撃なら、関係ないけれど――ここまで見つけることができないとはね」
 ペトニアロトゥシカにとって、それは簡単なことだったのだ。
 圧倒的な力と速度でもって、こちらの先手を取るのだとしても。
 見つけることのできない存在にたいして対応できるものなどそう多くはない。ましてや、己を巨大化し、小さきものに対する警戒が薄いのであればなおさらである。
「どこに消えた、猟兵!」
 振るうチェーンソー剣が唸りを上げ、周囲に衝撃波を撒き散らす。
 けれど、そのどれもがペトニアロトゥシカを捉えることはなかった。彼女の姿は『フルスロットル・ヴォーテックス』には捉えることはできず、また同時に彼女の接近を知ることもできなかったのだ。

 彼女は堂々と『フルスロットル・ヴォーテックス』の正面から近づき、その足を掴む。
 その体格差は圧倒的なものであった。
 人が丘や巨岩に挑むようなものであったが、それでもペトニアロトゥシカの掌が『フルスロットル・ヴォーテックス』の足を掴む。
 輝くのはユーベルコード。
 彼女は、あらゆる体格差、重量すらも飛び越えて『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨岩の如き体躯を掴んで持ち上げたのだ。

「思いっきり、叩きつける!」
 それた単純にして明快。
 崩天地顎(コラプション・バスター)の一撃。持ち上げた後、どうするかなど言うまでもない。
 勢いよく大地に『フルスロットル・ヴォーテックス』の体を叩きつける。
「ぐ、おおおおッ!?」
 凄まじい轟音が轟き、大地に『フルスロットル・ヴォーテックス』が背中から叩きつけられ、その背に負ったV12エンジンをひしゃげさせる。

「この程度の暴力なんて、生命はいくらでも踏み越えていける。終点も限界も――」
 ペトニアロトゥシカは、その瞳に輝くユーベルコードと共に再び『フルスロットル・ヴォーテックス』を持ち上げる。
 巨岩の如き巨体がまたもペトニアロトゥシカの腕に寄ってまるで槌を振るうかのように大地に叩きつけられる。
 地鳴りがするような衝撃を生みながらペトニアロトゥシカは告げるのだ。

「決めるのはアンタじゃない」
 人々が求めた明日が終点という名の『フルスロットル・ヴォーテックス』が存在しているのならば。
 ペトニアロトゥシカは、それを障害とみなす。
「そこを退け、あたしの道を遮るな」
 再び地鳴りが響き渡り、『フルスロットル・ヴォーテックス』はたった一人の猟兵によって幾度となく地に塗れるしかなかったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
終わりの時よ、『フルスロットル・ヴォーテックス』。最早、目覚めたフィールド・オブ・ナインはあなただけ。さっさと骸の海に還ってちょうだい。

「式神使い」で偶神兵装『鎧装豪腕』を使って、突進を盾受けする。「怪力」と「盾受け」どこまで通じる?

初手さえ凌げばこちらの番ね。
「結界術」「全力魔法」土の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「地形の利用」「竜脈使い」「仙術」「道術」で地烈陣!
効果範囲内の大地を粉々に砕き、更に墜落ダメージを与える。
巨体であるほど、この絶陣からは逃れられない。抜け出そうと掴んだ壁は、脆く崩れていく。
蟻地獄に落ちた蟻のように、地の底で足掻くがいいわ。

さよなら、フィールド・オブ・ナイン。



 大地に叩きつけられた巨躯が荒廃した大地に地鳴りのような音を響かせる。
 背に負ったV12エンジンがひしゃげ、その赤熱した体から発せられる熱が周囲に湯気と土煙でもって、『フルスロットル・ヴォーテックス』が大地に横たわる巨岩の如き姿を隠す。
 けれど、未だ完全に『フルスロットル・ヴォーテックス』が倒れたわけではないことを猟兵達は知っている。

 そう、まだV12エンジンの轟音は消えては居ない。
 むしろ、いっそう激しく響き渡る。そこにあったのは死という終点を齎す破壊者としての矜持であったことだろう。
「我は終点を定めた。これより先などあってはならない。永遠という安寧の中で生きるためには、この終点より先に征かせるわけにはいかぬのだ!」
 咆哮が轟き、その巨大な身体が修復されていく。
 深々と刻まれてきた猟兵たちの戦いの軌跡は未だ十分に残っている。十字の傷に避けた左腕。焼け焦げた肉にひしゃげたV12エンジン。
 さらには魂すら焼き焦がす力を持ってしても、未だ『フルスロットル・ヴォーテックス』は、終点として猟兵たちの前に座すのだ。

「終わりの時よ、『フルスロットル・ヴォーテックス』」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は、巨岩の如き威容を誇る『フルスロットル・ヴォーテックス』を前にして立ちふさがる。
 破壊などさせない。
 終点などと言わせはしない。
 これまでアポカリプスヘルに生きてきた人々は明日をいつだって望んでいた。どれだけ荒廃し、苦難に満ちても尚、生きることを諦めなかった。

「そんな彼らのためにできることはたった一つ」
 彼女の式神たる『鎧装豪腕』が翻り、迫る『フルスロットル・ヴォーテックス』の突進を受け止める。
 大地に踏みしめた足が衝撃に押し込まれる。
 大地がひび割れ、『鎧装豪腕』がひび割れていく。それだけで済めばよかった。けれど、『フルスロットル・ヴォーテックス』は『オブリビオン・フォーミュラ』である。
 その重量をパワーとスピードでもって後押しするのならば、その巨躯は凄まじい質量兵器となってゆかりを襲うだろう。

「どこまで通じるか、なんて考えていられない!」
 込める力がゆかりの身体をきしませる。『鎧装豪腕』が限界を迎え、弾き飛ばされるのと同時にゆかりもまた宙に舞う。
 凄まじい衝撃。
 これを二度受けては己は立ち上がれないだろう。
 だからこそ、彼女は宙を舞いながら、その瞳にユーベルコードを宿す。

「さんざん踏みしめたでしょう! ならば! 古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。竜脈宿せし大地よ。永劫の微睡みから目覚め、汝を忘れ去った者共に相応の報いを与えよ。疾!」
 それは戦場全域を包み込む地震を呼ぶユーベルコード。
 その名を地烈陣(チレツジン)。
『フルスロットル・ヴォーテックス』が踏みしめた大地はこれまでの戦いでもろくなっている。

 そこにゆかりのユーベルオードに寄って地表を崩壊させれば、その巨躯が巻き込まれてしまうのは自明の理である。
「大地を砕く……ユーベルコードだと!?」
『フルスロットル・ヴォーテックス』が絶陣の力によって、大地の崩落へと巻き込まれていく。
 その巨躯故に手を伸ばし、踏みとどまろうとしても、そこからもろく崩れていく。それは言わば蟻地獄のように彼を飲み込んでいくのだ。
「最早、目覚めた『フィールド・オブ・ナイン』はあなただけ。さっさと骸の海に還ってちょうだい」
 ゆかりは、大地に降り立ち、地割れの中に飲み込まれていく『フルスロットル・ヴォーテックス』を見下ろす。

 彼らの言う終点がどれだけのものであるかなど最早言うまでもない。
 その終点はすでに越えているのだ。
 これまで紡がれてきた人々の明日を願う想い。
 それが猟兵たちが越えるまでなく、人々によってこそ乗り越えられたことをゆかりは知る。

 この戦いの結末は必定だ。
 すでに『フィールド・オブ・ナイン』は敗れている。
 人々の心に明日を願う希望が宿る限り、彼らの目論見は達成することは出来ない。
「さよなら、『フィールド・オブ・ナイン』」
 ゆかりは最後の一柱たる『フルスロットル・ヴォーテックス』を飲み込む絶陣に背をむけ、別れの言葉を告げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

肆陸・ミサキ
※絡み苦戦ケガアドリブ歓迎

クソデカイ癖にやたら細かいことをつらつらと宣うのね
見た目のギャップと相まって腹立たしいな
なんにせよ私は、私のやるべきことを果たすよ

敵の先制攻撃……4回の攻撃を防がないと死ぬって反則だよね
逆に言えば3回まではセーフってことだ
武器を使う攻撃なら斧にした黒剣をぶち当てて、肉弾攻撃にはこちらも拳で、真正面からじゃなく横から打って逸らすのを狙おうかな
捨て身に活路を望むなんて分の悪い懸けだけど、弱い私にはそれくらいしかないもの

相殺狙いの打ち合いが命中判定にならないことを祈って、防ぎきったら黒焦げにしてやりたい
ま、命張るなんて、いつも通りといえば、それまでだね



 巨人の如き体躯を持った『フルスロットル・ヴォーテックス』が大地に沈む。
 それは巨大な肉体であれば、肉体であるほどに沈む猟兵のユーベルコード。しかし、その蟻地獄の如き罠へと姿を変えた大地から『オブリビオン・フォーミュラ』たる『フルスロットル・ヴォーテックス』は這い上がってくる。
 その巨躯は今や多くの猟兵たちの攻撃に寄って消耗を強いられていたが、対峙すればわかる。
 未だ目の前の『フルスロットル・ヴォーテックス』は倒れないと。
「この程度ではあるまい、猟兵。貴様たちを骸の海に捧げる。そのためには、我という終点を前に打ち倒さなければならない」
 超赤熱状態である『フルスロットル・ヴォーテックス』の背に負ったV12エンジンが唸りを上げる。

 轟音が轟き、戦場となった荒廃した大地を疾走る巨体はまるで一個の質量兵器そのものであった。
「クソデカイ癖にやたら細かいことをつらつら宣うのね」
 肆陸・ミサキ(終り・f00415)は己の血を代償に超常をこそ滅ぼす黒剣を斧に変形させ、構える。
「来るか、猟兵。受けるか、猟兵! それでこそ強者の証。その屍をさらし、貴様もオブリビオンへとなるがいい。永遠を生きるのだ!」
 振り下ろされるチェーンソー剣をミサキは見据える。
 パワー、スピード、重量、どれをとってもミサキよりも上であろう。
 けれど、超高速で迫る死の四連撃は、言ってしまえば三回までならばセーフという理屈になる。

 ならば、ミサキはやりようがあると判断して駆け出す。
「見た目のギャップと相まって腹立たしいな。言葉ばっかりで、猟兵が、私が殺せると思うな」
 チェーンソー剣が斧と真正面がから激突する。
 火花が散り、戦場にV12エンジンの排気音が轟く。けれど、ミサキは一歩も引かなかった。
 打ち合う斧とチェーンソー剣が弾け飛び、振るわれる拳をミサキは己の拳でもって激突させる。
「我に挑むことを後悔したか!」
『フルスロットル・ヴォーテックス』の拳と激突したミサキの前腕が筋繊維を断裂させながら血飛沫を上げる。

 けれど、ミサキは構わなかった。
 敵の拳を相殺できただけでも儲けものである。弱い自分にはそれしかない。
 捨て身にこそ彼女は活路を見出していた。
 さらに弾き飛ばされた斧を振るう。そこにまたチェーンソー剣がぶつかり、凄まじい重量差でもってミサキの体を押しつぶさんとする。
「――ッ!!!」
 体中が悲鳴を上げる。
 本当に活路などあるのか。本当に勝つ見込みがあるのか。
 疑念が体の中を走り――抜けることはない。

 ミサキはいつだって、捨て鉢になってはいない。
 いつだって彼女の瞳は勝利を見つめている。どれだけ振りな状況にあってもなお彼女は勝利だけを見つめる。
 その瞳に『フルスロットル・ヴォーテックス』は気圧された。
 尋常ならざる捨て身の覚悟を持って迫る人間をこれまで何度も彼は見てきただろう。
 けれど、ミサキのそれは常軌を逸したものである。
 たまらず咆哮と共に振るわれるチェーンソー剣の一撃。これさえミサキが受ければ、彼女は絶命する。それで終わりだった。

 彼女の手にあった斧剣は砕けた。
 けれど、彼女の瞳は、彼女の拳は、未だ砕けず。
「――それが四連撃目の最後……なら」
 渾身の力を籠めてミサキは拳をチェーンソー剣を横殴りに叩く。それは最後の四連撃目を受け止めるのではなく、そらして躱すというワイルドカード。
 拳が砕けた。
 もはや両手の拳は使い物にならない。

 けれど、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「消えなよ、君」
 焦げ付いた陽光(ブラックサン)。
 それは彼女の姿を如実に顕していたことだろう。彼女の背後に生み出された漆黒の高熱球体が光線が凄まじい勢いで『フルスロットル・ヴォーテックス』を焼き切っていく。
 弱い自分にはそれしかないと言った捨て身の戦法。

 だが、見るがいい。
 偽りの終点を宣う『フルスロットル・ヴォーテックス』を穿つ陽光の一撃は、確かに今活路を拓いた。
 漆黒の高熱球体が放つ光線が乱舞し、アポカリプスヘルに燦然と終点の先にある道を照らすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…世界の行く末は、今を生きる人々が決めるべきよ

…過去の残骸が終点を定めると宣うならば、
私はお前に反逆するわ。生命ある1人の存在として…!

第六感が捉えた殺気から敵の攻撃を予測して見切り、
カウンターで"捕縛の呪詛"を纏う大鎌を怪力任せに投擲し、
敵が体勢を崩した隙に攻撃を受け流し死角に切り込みUCを発動
右手に六種の「精霊結晶」と瞬間的に吸血鬼化した自身の全魔力を溜め、
怪力の拳打と同時に触れた物を消滅させる黒光の奔流を放つ混沌属性攻撃を行う

…我が手に宿れ、原初の理。全魔解放…ヘプタ・グラマトン

…黙示録の黄昏は終わり、私達は明日を目指す

消えなさい、フルスロットル・ヴォーテックス。この世界から、永遠に…



 漆黒の太陽のごとき光が『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨体を焼き焦がす。
 肌は灼け焦げ、その身に刻まれたこれまでの戦いの軌跡を様々と見せつける。
 猟兵達は『オブリビオン・フォーミュラ』を前にしても怯むことはなかった。これまでもそうであったように、これからも誰も変わることはないだろう。
 どれだけ強大な敵であったとしても、繋ぎ、紡ぐ戦いをするからこそ討ち果たすことができると知るからである。
「何故わからない。我らは終点を定めた。これ以上の繁栄など無意味だ。何を望む。これ以上はないのだ。これ以上の未来など無いのだ。だというのに、未だ我らに抗うことを望むか、猟兵――!」

『フルスロットル・ヴォーテックス』が咆哮し、凄まじい勢いでその肉体を巨大化させる。
 すでに5mはあろうかという巨人の体躯を持つ『フルスロットル・ヴォーテックス』の身体が膨れ上がっていく。
 これまでの傷を癒やすように、隠すように彼の倍にまで巨大化した身体で振るわれるチェーンソー剣の一撃は大地を割り、衝撃波でもって猟兵たちを吹き飛ばさんとするだろう。

「……世界の行く末は、今を生きる人々が決めるべきよ」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は真っ向から『フルスロットル・ヴォーテックス』に立ち向かう。
 衝撃波が、チェーンソー剣が振るわれる度に彼女は己の第六感を信じ、扇状を駆け抜けていく。
 捕縛の呪詛を解き放ち、大鎌に纏わせる。
「いいや、終点は定められている。すでに世界は終わっているのだ。だというのに、未だ黄昏にすがりつくなど!」
 巨大な『フルスロットル・ヴォーテックス』の足がリーヴァルディを踏み潰さんと振り下ろされる。

 地鳴りがするほどの一撃。
 けれど、リーヴァルディはそれらを躱し、力任せに投擲した大鎌の一撃を『フルスロットル・ヴォーテックス』へと放つ。
 しかし、パワー、スピードにおいて圧倒する『フルスロットル・ヴォーテックス』は巨躯でありながら、それを躱すのだ。
「……過去の残骸が終点を定めると宣うのならば、私はお前に反逆するわ」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 その手にあるのは、六種の精霊結晶。そして、己の全魔力。
 それらを代償にして発現するユーベルコードの名は――。

 ――限定解放・血の混沌(リミテッド・ブラッドカオス)。

「生命ある一人の存在として……!」
 開放されるは混沌属性の魔力。
「……我が手にやどれ、原初の理。全魔開放……ヘプタ・グラマトン」
「ならば、生を終わらせる死と破壊の象徴として貴様らを滅ぼすまで!」
 振るわれるチェーンソー剣がリーヴァルディに迫る。

 息を吸う。
 確かにこの世界は荒廃の極みにあるのだろう。オブリビオンに敗北した世界。文明の荒廃がそれを物語っている。
 けれど、未だ明日を求める者たちがいる。
 それをリーヴァルディは見た。知った。だからこそ、戦うのだ。抗うのだ。
 どれだけ強大な敵であったのだとしても、彼女はその拳に宿した黒光の閃光を打ち出し、解き放つのだ。

 混沌の属性を持つ消滅の力。
 それは一撃でチェーンソー剣を消滅させる。彼女の身体が跳躍し、『フルスロットル・ヴォーテックス』の頭上より遥か上に飛ぶ。
「……黙示録の黄昏は終わり、私達は明日を目指す。消えなさい、『フルスロットル・ヴォーテックス』。この世界から、永遠に……」
 放たれる拳の一撃が黄昏の巨人へと放たれ、黒光が奔流のように大地へと叩きつけられる。

 そう、明日は来る。
 どれだけ昏い闇が広がっていたとしても、朝日は昇る。
 その当たり前さえない世界がある。けれど、この世界は違うのだ。明日を求めた者たちに己たちが答える。
 一人じゃない。
 多くの人々が望んだ明日をリーヴァルディは掴むために砕けていく精霊結晶の破片と共にさらに黒光の奔流を解き放ち、『フルスロットル・ヴォーテックス』を大地に沈めるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒髪・名捨
【心境】
「終点ねぇ。どっちの終点か教えてやるわ。」
明日があるから今日がある。
それがないのがオブビリオンだってのが、たっぷりとな。

【行動】
5mの巨体が倍…か。
確かにデカいな。キャバリアに乗っても…乗っても?
なお向こうが上か…。
まあ、何とかなるだろう。

『覇気』と『破魔』を付与した覇気を纏わした拳で攻撃を『武器受け』て『受け流し』て『カウンター』脚部を殴り『体勢を崩す』
いてててて、腕がきついが『激痛耐性』で耐える(涙目)
見たか。オレの『功夫』もまだまだだな。

さて、今度は俺の番だ。
しかし、10mか…ちいせぇな(『空迅』で100m級化)
んじゃ、あばよ
『レーザー射撃』による破壊光線をお見舞いする。



「理解しろ。終点はすでに過ぎている。これより先は全てが無意味であると。繁栄も暴力も何もかもが無意味。だというのに、それでも明日を求める愚昧共の為に戦うか、猟兵」
 巨人の如き体躯を持つ『フルスロットル・ヴォーテックス』は『オブリビオン・フォーミュラ』たる力を持つに相応しい改造巨人であった。
 その力は猟兵としての個と比べても瞭然である。
 凄まじい力である。これまで猟兵たちが刻み込んだ傷痕すらも物ともせずに、『フルスロットル・ヴォーテックス』は咆哮するのだ。

 それは破壊でもなければ、暴力のためでもない。
 ただ終点を持って死の安寧を振りまこうとする悪意そのものであった。
「終点ねぇ。どっちの終点か教えてやるわ」
 黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)は駆け出す。
 目の前には5mを越える巨躯。異世界の戦術兵器、キャバリアと比べても遜色ないほどの巨大さ。その威容を前に生身単身で立ち向かうのは、猟兵にとっても尋常ならざる相手であろう。

 そのパワー、スピード、重量。
 どれをとっても己たちよりも遥かに上。
 だが、名捨はなんとかなるだろうと覇気と破魔を解き放ち、拳を振るう。
「明日を望むか、猟兵! 明日などに意味はないというのに。ただ愚昧に生きるだけの明日など必要ない。繁栄する兆しもない、停滞だけが続く明日を何故望む! 同じ停滞であるのならば、死の安寧たる永遠こそ!」
 拳が激突する。
 破魔と覇気を纏った拳が砕ける。

 痛みが疾走る。けれど、名捨は己の蹴撃で持って膨れ上がっていく巨岩の如き『フルスロットル・ヴォーテックス』の脚部を蹴り倒し、さらに砕けた拳を叩き込む。
「明日があるから今日がある。それがないのがオブリビオンだっての……たっぷりと教えてやるよ!」
 裂帛の気合と共に名捨は『フルスロットル・ヴォーテックス』の脚部をへし折らんばかりの一撃を叩き込むのだ。
 功夫によって鍛え上げられた拳は砕けても尚、その巨岩を揺らすのだ。

「オレの功夫もまだまだだな……けどよ!」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 それは、空迅(クウジン)。彼の身体を光が包み込み、光の巨人へと変えていく。天を仰ぎ見るほどの巨人。
『フルスロットル・ヴォーテックス』もまた見上げるほどであった。
 その体躯は曰く100m。
「な、に……?」
 巨躯を誇った『フルスロットル・ヴォーテックス』の10倍。光の巨人はそれほどの巨躯を有していたのだ。

「今度はオレの番だが……ちいせぇな」
 光の巨人へと姿を変えた名捨が薄く笑ったような気がした。
 これほどまでの質量さ。巨大なことは強いということである。自身が見上げることなどなかったであろう『フルスロットル・ヴォーテックス』は驚愕に目を見開いていた。
 光の巨人が放つ破壊光線の一撃は『フルスロットル・ヴォーテックス』の身体を容易に飲み込み、光の中に沈ませるのだ。
 咆哮が聞こえる。
 けれど、名捨はただ一言返すのだ。

 どれだけ明日を夢見ても、明日を迎えるのことできなかった生命がある。
 それを運命と呼ぶのならば、名捨は、それこそを打ち破っていくだろう。故に、彼は告げるのだ。
 終点を定めし『フィールド・オブ・ナイン』、その最後の一柱である『フルスロットル・ヴォーテックス』に。
「んじゃ、あばよ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
多くの敵を乗り越えて、ここまで来た
終焉を乗り越える為に、お前に挑ませてもらう

神刀を抜いた状態でバイク『八咫烏』に騎乗
敵の踏み込みに対して敢えて突っ込む――衝突の寸前に自分だけ後方に飛び退いて初撃を回避
八咫烏は少なくともこの戦闘中は使えなくなるだろうが、それも仕方ない

フルスロットルが体勢を整え直す前に、素早く参の秘剣【紫電閃】を発動
自身の行動速度を飛躍的に高める……これで超加速にも対抗できるし、エンジンによる加速よりは此方の方が小回りが利く筈だ

敵の突進を誘ってから素早く回避。背後から追い掛けて、全身のエンジンへと高速の斬撃を叩き込み、奴の加速を奪う
停止するのはお前だけだ、フルスロットル……!



 光の巨人が放った破壊光線の一撃が巨岩の如き『フルスロットル・ヴォーテックス』の肉体を穿ち、ユーベルコードに寄って巨大化していた身体を元の体躯へと戻らせていた。
 けれど、ユーベルコードの効果が途切れたとしても『フルスロットル・ヴォーテックス』の身体は巨人の如き巨躯。
 改造巨人である彼にとって未だ、その体は終点の体現者であった。
「認めぬ。我らの定めた終点を越えることなど、許してはならない。これ以上の無意味な明日を重ねる理由など、あってはならない」
 漲る重圧が対峙する猟兵たちを圧倒するだろう。
『オブリビオン・フォーミュラ』たる力の発露を前に、けれど猟兵たちは一歩も後には引かないのだ。

 ここが終点だからではない。
「多くの敵を乗り越えて、ここまで来た」
 そう、数多くの敵を倒してきた。
 強敵もいた。決して倒せぬと思う敵もいた。けれど、その尽くを踏破してきたのだ。『約束された栄光の道』など誰に願うでもなく、猟兵達は己立ちで敷き、ひた走ってきた。
 だからこそ、今此処に己は在るのだと夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は言う。

「終焉を乗り越える為に、お前に挑ませてもらう」
 大型バイク『八咫烏』と共に鏡介がアポカリプスヘルの大地を疾駆する。
 迫るは『フルスロットル・ヴォーテックス』。正面からこのまま激突するであろうが、鏡介にとっては、それは望むところであった。
「愚直に進むか、猟兵!」
 振るわれたチェーンソー剣。それは必殺の間合いであった。同時にあれが続く四連撃の初撃であることを鏡介は知っている。
 四連撃を受ければ、鏡介とて死に至る。それほどまでの一撃なのだ。けれど、鏡介は恐れなかった。

 振り下ろされた一撃が鏡介に触れようとした瞬間、彼はバイクを蹴って後方へと飛ぶ。
『八咫烏』が轟音を立て、『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯に激突しひしゃげる。これでもう使い物にはならなくなるだろう。だが、それでもいい。
「まずは、初撃をくじく――」
 開放されるは神刀。
 煌めく刀身。それはユーベルコードの輝き。
 己の思考が速度をあげていく。無窮の彼方にある思考の空白。手にした神刀の感触すらも忘れる刹那に在る那由多。

「続く第二撃――」
『八咫烏』すらも蹴飛ばし、迫る『フルスロットル・ヴォーテックス』を見上げる。横薙ぎの一閃。
 それもまた鏡介は後方に飛び躱す。宙に浮いた身体。それを彼は見逃さないだろう。
 圧倒的な速度を持っているからこそ、そして、圧倒的な質量を誇るからこそ、続く三連撃目は突進と為る。
「停止するのはお前だけだ、『フルスロットル・ヴォーテックス』……!」
 鏡介が放つは、参の秘剣【紫電閃】(サンノヒケン・シデンセン)。
 振るわれるチェーンソー剣の腹を蹴って横っ飛びに鏡介が疾走る。どれだけ『フルスロットル・ヴォーテックス』が素早く動こうが、それは直線的な動きに他ならない。

 ならば、己の超加速は線ではなく点で捉えるもの。
 流れる視界。
 それはほんの刹那であったことだろう。けれど、彼の刃は刹那にて瞬くものであるからこそ、その剣閃は瞬断九つ。
 背後に回った鏡介のはなった剣閃が『フルスロットル・ヴォーテックス』の背負ったV12エンジンを切り裂く。
 宙を翻り、鏡介が大地に降り立った瞬間、背後でV12エンジンが最後の轟音を響かせ、爆発する。

 爆炎が上がる。
 それは明日という希望を求めるアポカリプスヘルに生きる人々にこそ知らしめる狼煙となって戦場から立ち上るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

あの巨体でこのスピード!
確かにフォーミュラってのは伊達じゃないみたいだ
巨体から繰り出されるチェーンソーでの攻撃はまともに受けられるものじゃない
【残像】で可能な限り回避しつつ、どうしても回避出来ないものは【火炎耐性】と【オーラ防御】を纏わせた刀で【受け流し】

敵の攻撃を回避しながらさりげなく敵の周囲へ護符を投擲
UC発動の条件を満たす

確かにあんたは強敵だ、だけど俺達だって負けてなんかいられないんだ!
水の疑似精霊、全力で行くぞ!エレメンタル・バースト!
相手が炎を使うならこっちは水(氷)で勝負だ!
絶対零度の大きな氷を頭上に生成、敵に向け叩き落とす!覚悟しろフルスロットル!



 爆煙を上げる『フルスロットル・ヴォーテックス』のV12エンジン。
 それは背に負い、彼の加速力を維持しているものであったが、それだけで彼が止まることはない。
 5mを越えるであろう巨人の如き巨躯。
 有り余るパワーと尋常ならざるスピード。それはもはや質量兵器と呼ぶに相応しい威容であった。
「あの巨体でこのスピード! 確かにフォーミュラってのは伊達じゃないみたいだが……!」
 鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は思わずうめいていた。

『フィールド・オブ・ナイン』の一柱『フルスロットル・ヴォーテックス』。
 その力は単純明快であったが、強力なものであった。
 これまで数多の猟兵たちが紡いできた戦いの軌跡によって消耗しているはずなのに、未だあの力を保持している事自体が凄まじいことなのだ。
 空に浮かぶ炎を纏ったチェーンソー剣が次々と、その切っ先をひりょに向ける。
「我が名を伊達ではないと理解するか。だが、貴様たちの滅びは決まっている。死して永遠となれ。骸の海に捧げられよ。貴様らがごとき強者ならば、オブリビオンとなり、永遠の中で生きる栄光を授かるに相応しいのだ!」

『フルスロットル・ヴォーテックス』の言葉と共に無数のチェーンソー剣がひりょに迫る。
「くっ――! こんな数……!」
 手にした破魔刀でもって迫るチェーンソー剣を受け流しながら、それでも残像を見せるほどの速度で躱しても尚、ひりょに追いすがってくるのだ。
「数を頼みにするばかりではないと知るがいい!」
 迫る巨躯。
 チェーンソー剣による飽和攻撃。さらに『フルスロットル・ヴォーテックス』自身による突進。

 振るわれたチェーンソー剣の一撃を受け止、ひりょの身体が盛大に吹き飛ぶ。
 大地に何度も打ち据えられながら、ひりょは立ち上がる。どれだけ身体が傷んでも関係ない。
 己がやらねばならないことはもう理解している。
「確かに……あんたは強敵だ。だけど、だけど……!」
 ひりょはうめきながら立ち上がり、けれど、己の目的が完遂されたことを知る。これまで無闇矢鱈に動き回っていたわけではないのだ。
 不敵に笑う。
 強敵を前にして笑うなんて、と思うかも知れない。
 けれど、ひりょは己の手を掲げた。

「何を……言っている?」
 そう思うのも無理なからぬこと。彼はこれまで気が付かれぬように精霊の護符を巻きながら『フルスロットル・ヴォーテックス』を此処まで引き込んだのだ。
 護符で囲われた『フルスロットル・ヴォーテックス』。
 条件は揃った。
「だけど、俺たちだって敗けてなんかいられないんだ! 水の疑似精霊、全力で行くぞ!」
 煌めくはユーベルコード。
 それは鉄槌の一撃。
 囲われた護符がきらめいていく。それは彼が契約した疑似精霊の力をもって振り下ろされる極大なる一撃。

「お前が炎を使うのなら、こっちは――!」
 天に座すは、絶対零度を誇る巨大なる氷。
 それはひりょの全力であったことだろう。疑似精霊・最大火力(エレメンタル・バースト)。
 疑似精霊の力を引き出すための護符。
 それが連鎖するように輝き、その天に生成された氷塊をさらに巨大なものへと変えていく。

 どれだけ『フルスロットル・ヴォーテックス』が巨大であったとしても、囲われた以上、そこに落ちる一撃を躱す術はない。
「覚悟しろ、『フルスロットル・ヴォーテックス』! エレメンタル・バースト!!」
 放たれる氷塊の一撃。
 それは宙に浮かぶ炎纏うチェーンソー剣すらも打ち砕きながら振り下ろされ、『フルスロットル・ヴォーテックス』を叩き潰す極大なる輝きとなって戦場に凄まじい衝撃を生み出すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
V12エンジン……。
メカニックには憧れのエンジンなんだけど、これはいじりたくないね。
っていうか、なんてことしてくれるんだか!

相手の先制には【偽装錬金】で対抗するよ。
4回当たったら死ぬってことは、3回まではおっけーってことだもんね。
チャンスが3回あるって思えば、なかなか高確率じゃないかな!

V12の爆音は、メカニックのわたしにとっては、憧れであり気持ちのいい音。
それを、こんなことに、こんなふうに、こんなのが使うなんて、許せないね!
エンジンへの冒涜だよ!

相手の初撃を凌いだ後の攻撃は、【M.P.M.S】の【誘導弾】を相手に叩き込んでいくよ。
エンジンはもぎ取って、赤いお馬さんに返さないといけないよね!



 猟兵の放った氷塊の一撃が『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨体を打つ。
 それは炎を纏うチェーンソー剣をも飲み込み、戦場に熱波と冷気による衝撃波を撒き散らし、『フルスロットル・ヴォーテックス』を大地に沈めさせるのだ。
 けれど、それでもなお立ち上がってくる。
 その巨躯は改造巨人のもの。
 5mという体躯は、猟兵たちにとって巨大すぎるものであったことだろう。
 未だその身体のあちこちに搭載されたV12エンジンが唸りを上げている。未だ終点を越えさせぬとばかりに猟兵たちの前に轟く咆哮のままに戦いを撒き散らすのだ。

「何故理解しない。この終点こそが頂点であると。これ以上の栄華はない。繁栄はない。後に残るは衰退のみ!」
『フルスロットル・ヴォーテックス』にとって、このアポカリプスヘルとは、すでに頂点。
 これ以上は衰退しか無いと判断してのことだろう。
 けれど、人々は衰退しか待っていないのだとしても、明日を望んだのだ。どれだけ荒廃し、苦難に満ちた道であったとしても人々は歩むことをやめない。

「V12エンジン……メカニックには憧れのエンジンなんだけど、これはいじりたくないね。っていうか、なんてことしてくれえるんだか!」
 怒りに震える声を発するのは、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)であった。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 あの爆音は理緒にとって憧れでしかないもの。どれだけ轟音であったとしても、心地の良いものであった。
 だというのに『フルスロットル・ヴォーテックス』は、そのV12エンジンを戦いに使う。もっと違うことに使えるはずなのだ。
 華やかなりしレース。
 ロマン溢れるスーパーカー。

 そんな理緒のメカニック精神を逆なでし続けたのが『フルスロットル・ヴォーテックス』である。
「それを、こんなことに、こんなふうに、こんなのが使うなんて、許せないね! エンジンへの冒涜だよ!」
 彼女の中に漲る力。
 それは偽装錬金(ギソウレンキン)による『フルスロットル・ヴォーテックス』の放つチェーンソー剣の複製。
「笑わせるな。物に意志があるわけがない。機械は使ってこそ。人は過ちを犯すが、機械はそうではない。使う者がいてはじめて機械はその本分を全うするのだ。それを貴様が理解していないとは言わせぬ!」
 迫る『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯。
 死の四連撃。

 それは四連撃を受けることによって確実なる死を迎える恐るべき力。
 けれど、理緒もそうであったが猟兵達の考え方は違う。四連撃全てを受ければ死ぬというのであれば、三連撃まで受け止めていいということ。
「チャンスが三回もあるって思えば、中々の高確率じゃないかな!」
 ユーベルコードに寄って複製したチェーンソー剣が一撃で砕けた。
 けれど、即座に理緒はチェーンソー剣を複製する。試作だったのだから仕方ない。次は、と生み出したチェーンソー剣が打ち合う。
 刃が砕け、内燃機関が煙を挙げて力負けする。

「無駄だ! ここが終点! 貴様らもまたここで一度死を迎える! それを受け入れろ!」
 放たれる三連撃目。
 それを理緒は見ていた。具にみていたのだ。自分の作り上げた複製品と本物、何処が違うのかを。
「構造、複写。終点なんて受け入れない。私はまだまだいじりたいエンジンもメカも何もかもまだ十分に楽しんでなんかいないんだから!」
 煌めくユーベルコードがチェーンソー剣を生み出す。
 今度こそ、と奮った一撃が『フルスロットル・ヴォーテックス』の放つ一撃で砕けて散った。

 後一回。
「ここで越えないと!」
 そう、理緒はV12エンジンをもぎとらなければならない。
 あのエンジンは、あんなことのために造られたものじゃない。理緒にとって、それは本来在るべきところに戻さねばならぬものだ。
 だからこそ、彼女の複製は今や本物と寸分たがわぬものであった。
「終点なんて、いつだって人はブレイクスルーで乗り越えてきたんだから!」
 理緒の一撃がついに『フルスロットル・ヴォーテックス』のチェーンソー剣を弾き飛ばす。

 死の四連撃を防いだ理緒の周囲にミサイルランチャーが展開される。
 放たれる誘導弾が『フルスロットル・ヴォーテックス』を爆煙の中に飲み込む。
 そう、いつだって理緒はその瞳を輝かせる。
 人が生み出した叡智。文明の結実を本来在るべきものへと戻すために、彼女は『フルスロットル・ヴォーテックス』をも越えていくのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤・美雨
大将は分かりやすいね
デカイ強いってのは嫌いじゃないけど
その考えは大っ嫌いだ
終点を決めるのはお前じゃないよ

防護用の外套をしっかり着込んで準備
【激痛耐性・火炎耐性・オーラ防御】を頼りに攻撃の軽減を狙おう
迫る攻撃を火尖鎗で受け流して攻撃が緩むまで耐える
ダメージを受ければ陰の気配も強まるだろうし、攻撃を撃ち落とせないかも試すよ
残念だったね、火葬されるのはまだ先だ!

チャンスを見つけたら【ダッシュ】で包囲から脱出し敵を目指す
多少の被弾は覚悟して前へ前へ
どれだけ苦しくても足は止めない
死んでるからこそ、私はお前を殺しに行ける!
死の先へ向かっていくよ
【限界突破】だ
ありったけの力を籠めて【怪力】で槍を突き刺すよ!



 アポカリプス・ランページにおいて最終目標であった『フィールド・オブ・ナイン』の一柱である『フルスロットル・ヴォーテックス』は今や多くの猟兵たちの攻撃に寄って消耗していた。
 どれだけ巨大化し、その身を癒やすのだとしても、つなぐように戦う猟兵達は消耗を癒やすことまでは許さない。
 戦い続け、連綿と紡ぐことこそが強大な敵を打倒するために必要なことであると彼らは知っているのだ。
 だからこそ、『フルスロットル・ヴォーテックス』は猟兵達を不可解なものを見るかのような表情を浮かべる。
「何故だ。『約束された栄光の道』はオブリビオンという永遠に以外にないというのに、それでも貴様らは明日を望むか。それは無意味だ。これ以上の繁栄はないというのに。これ以上は衰退しかないというのに」

 膨れ上がる怒気。
 そこから溢れるはユーベルコードに寄って複製された巨大なチェーンソー剣の群れ。
 炎纏うチェーンソー剣は次々と空を埋め尽くさんばかりの勢いで増えていき、退治する猟兵、藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)に迫るのだ。
「大将はわかりやすね。デカイ強いってのは嫌いじゃないけど……」
 美雨にとって、死こそが永遠という考えは否定すべきことだ。
 己はデッドマンである死を越えた者。
 けれど、それは果たして本当に生きているということであろうか。ただ漫然と生きるのであれば、それは死して動く屍にすぎない。
 心が死んでいるのならば、生きているとは言えないだろう。

 だからこそ、美雨は否定するのだ。
「その考えは大っ嫌いだ。終点を決めるのはお前じゃないよ」
 外套に身を包んで迫る炎の群れの如きチェーンソー剣へと立ち向かう。迫る切っ先を火尖槍で受け流し続ける。何処まで耐えられるかわからない。
 けれど、やらなければならない。
 次々と迫るチェーンソー剣を受け流す。けれど、それでも美雨は推され続けている。
 これが『オブリビオン・フォーミュラ』たる力。
 根負けしそうになる。けれど、それでも彼女は戦う。心まで死にたくないと彼女は願ったのだ。
 だからこそ戦う。

 陰陽互根(モジュレーション)――彼女の瞳に輝くユーベルコードの名は、シセルものであるからこそ放たれる陰の気配に寄って、チェーンソー剣の勢いを打ち消していく。
 そして、彼女の今を生きる心こそが、彼女の傷を癒やしていく。

「終点を越えることなど不可能だ。我らが定めた終点こそが頂点。ここで人の永遠は完遂される」
 美雨はその『フルスロットル・ヴォーテックス』の言葉を否定する。
 声も出せないほどの猛攻を受け流し続け、それでも前に進むのだ。
 傷を追うことを恐れるわけじゃない。
 自分の心が折れてしまうことを彼女は恐れるのだ。自分が敗けたらどうなるかなんて考えるまでもない。
 けれど、彼女の背後にある人々の生命はどうなる。

「死んでるからこそ、私はお前を殺しに行ける!」
 死の先へ。
 己はデッドマンだ。死を超越した者だ。ならばこそ、今ある生命のためにこそ彼女は戦うのだ。
 限界を越える理由はそれだけだ。
 迫るチェーそー剣が与える痛みなど理由にはならない。なりはしない。

「無駄だ。終点は来ている。それでも越えていくか、猟兵!」
「そんなのあったりまえじゃん!」
 死のその先へ。
 ありったけの力を籠めた火尖槍が放たれる。

 誰もが明日を願っている。
 死を超越した己だからこそ、終点を越えて人々の手を引いていける。それだけの力がある。
 どれだけ強大な敵が障壁と成って彼女の前に立ちふさがるのだとしても。
 決してそれを止めることはできない。

 それを示すように陽の気を宿した炎の槍が『フルスロットル・ヴォーテックス』の胴を一撃のもとに貫き穿つのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
貴方こそが不要なのだと身の程をわきまえなさい!(激おこです)

5m超の巨体相手なので焔天武后に乗り込む。

まずは推力移動・空中戦で空に上がって相手から距離を取る。
先制攻撃で放たれたチェーンソーの群れは、第六感・見切りで躱したり、大型化させた天耀鏡で盾受けしたり、レーザー射撃の一斉発射で迎撃したり、衝撃波で吹き飛ばしたり、機体に纏ったオーラ防御で防いだりと、様々な手段で対応。

UC使用可能になればチェーンソーを纏めて消去。
相手が態勢を整える前に一気に接近、手に持つチェーンソーは天耀鏡で盾受けし、巨大化させた雷月に多重詠唱による雷と炎の属性攻撃・神罰を籠めての鎧無視攻撃!
そのまま相手の身体を焼却します。



 胴を穿たれた『フルスロットル・ヴォーテックス』が呻く。
 その改造巨人たる5mはあろうかという巨躯がよろめくのを猟兵達は見ただろう。しかし、その巨体は揺らぐだけで倒れはしなかった。
「終点は此処にあり。我らが定めた終点だ。此処が頂点。これ以上の繁栄も衰退もなく、ただ死の安寧だけが甘受されるべきであるというのに、何故貴様たちは抗う!」
 咆哮が轟き、チェーンソー剣が宙に舞う。
 炎纏う力の奔流は、この戦場を覆い尽くすものであり、胴に風穴を穿たれても尚『オブリビオン・フォーミュラ』たる力の発露を見せつけるものであった。

「貴様たちもわかっているはずだ。これ以上の繁栄など無意味であると。抵抗も何もかもが無意味。衰退という栄華の後に訪れるものを先延ばしにしたところで、何の意味がある!」
 その言葉と共に放たれるチェーンソー剣が舞う戦場にあって、大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は己の感情を爆発させる。
 常に穏やかなる彼女にとっては珍しいことであったが、その激情を示すように詩乃はキャバリア『焔天武后』と共に戦場を駆け抜ける。
 真紅の美しい装甲を持つ女皇帝型のスーパーロボットは、体躯だけであれば『フルスロットル・ヴォーテックス』に比類するものであった。

 しかし、その速度とパワーは未だ『フルスロットル・ヴォーテックス』の方が上であったことだろう。
「貴方こそが不要なのだと身の程をわきまえなさい!」
 彼女の機体にコントロールされた鏡の如き盾によってチェーンソー剣が防がれる。
 力の発露は彼女の激情を顕すようであった。
 放たれるレーザーが一斉に宙を走り、空中で爆発を引き起こしていく。
「定めるは終点。誰かが定めなければ、衰退という名の滅びだけが訪れると知らぬ者が!」
 宙で激突する炎と真紅の装甲。
 振るわれる力は、これまでの比ではない。

 何度も激突し、その度に焔天武后の装甲が削れていく。
 オーラを張り巡らせていたとしても、それでも機体を削っていくのだ。凄まじいまでの暴力。
 これが『オブリビオン・フォーミュラ』の力であることを詩乃は体感したことだろう。
 だが、それで止まる彼女ではない。
 彼女の瞳に写っているのは明日を求める人々の姿だ。
 彼らのためにこそ彼女は力を振るう。それは彼女が神であるからだとか、猟兵であるからとかではない。
 そんなものは彼女にとって瑣末事だ。
「人の明日を奪う権利など、誰にもないのです。それ故に――歪んだ世界をあるべき姿に戻しましょう」

 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 初発之回帰(ハジメノカイキ)。
 それは彼女の神性の発露であり、目の前のチェーンソー剣を尽く発動前の状態……すなわち、無へと時間遡及する神力によって消滅せしめるのだ。
「消える……!? 我がユーベルコードが消えるだと……!?」
 驚愕に見開かれる『フルスロットル・ヴォーテックス』の瞳。
 其処に映っていたのは、真紅のキャバリアであり、詩乃の怒りであった。
 体勢を整えられる前にいっきに駆け出し、振り上げた懐刀の刀身が煌めく。それは多重詠唱に寄る炎と雷を織り交ぜた神罰の一撃。

「どれだけその身を鎧うのだとしても、私の……いえ、明日を望む人々の願いは貴方の身体を穿つ!」
 放たれる炎雷。
 それは神罰のように天より飛来し、『フルスロットル・ヴォーテックス』を穿つ。
 これまで彼らが振るってきた暴力、その因果応報を描くように詩乃の放つ一撃は戦場に光の柱となって降り注ぐ。

 例え、どれだけ終点が真実であったのだとしても。
 それが永遠にも等しい力であったのだとしても。
 それでも詩乃は征くだろう。
 彼女が信じる人々の未来のために。明日を切り拓くために、彼女は己の神性を発露させ、『フルスロットル・ヴォーテックス』を睥睨するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ディスターブ・オフィディアン
第一人格で行動:Wiz

◆心情
「オブリビオン化することが『約束された栄光の道』だと? くだらん、『破滅が約束された道』の間違いだろう」

◆行動
先制攻撃対策として『無明』を召喚、敵の攻撃を受け止めるとともに、無明に搭乗
「終点? ストレイトロードだと? 何を馬鹿な」
オーバーロードにより、堕天使のごとき真の姿へ
「道というものは人が歩んだ後にできるものだ! 神が与えるべきものではない!」
破損した『無明』を駆り、高速詠唱で氷の矢を生成、残りの鋸へ属性攻撃で迎撃
「たとえ傷つこうと、たとえ迷おうと、一歩を歩む意思があるならば、そこには必ず道が生まれる! 道を歩まぬのも、終わりを迎えるのも、貴様一人だ!」
Seven Angels Divine Devicesを起動し、終末の日を発動。フルスロットルを極光爆発で攻撃するとともに、敵の攻撃から無明の防護で身を護る

「オブリビオン・ストームが終着点だと。人はその中で立派に生きているではないか。たかが滅び程度で、人が絶望などするものか」



 光の柱が『フルスロットル・ヴォーテックス』を穿つ。
 その肉体は巨躯でありながら、猟兵を圧倒するパワーとスピード、そして何よりも圧倒的な重量でもって猟兵たちを寄せ付けない。
 されど、これまで猟兵たちが紡いできた戦いは、決して無駄ではなかった。
 その体に刻まれた傷を見れば、『フルスロットル・ヴォーテックス』が追い詰められていることがわかるだろう。

 十字の傷、穿たれた胴。皮膚は焼け焦げ、その背に負ったV12エンジンはひしゃげている。
 それだけではない。
 数多の傷痕が教えるのだ。此処が正念場であると。踏みとどまり、この『オブリビオン・フォーミュラ』を打倒してこそ乗り越えることのできる終点があるのだと。
「不可解である。我らの示した終点。それこそが栄華の頂点。衰退を是としないのならば、死の安寧をもって永遠を求めるはず。だといういうのに、貴様らはそれを否定するか」
『フルスロットル・ヴォーテックス』の前に立つ猟兵、ディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)は、叡智の灯火を掲げるが如く、その瞳を輝かせる。
 第一人格。
 それは知恵を尊び、魔術師として真実を暴く者。

 彼にとって目の前の『フルスロットル・ヴォーテックス』の言う言葉は何一つ頷くことの出来ないものであったことだろう。
「オブリビオン化することが『約束された栄光の道』だと? くだらん、『破滅が約束された道』の間違いだろう」
 その言葉に応えるように『フルスロットル・ヴォーテックス』から放たれる無数の炎纏うチェーンソ剣の群れ。
 それらは全てが必殺の一撃であったことだろう。
 天を覆うほどの凄まじい力の奔流。
 それは未だ『フルスロットル・ヴォーテックス』が健在である証。

 ならばこそ、ディスターブに迫るチェーンソー剣を堕天使とも魔王とも付かぬ姿をしたキャバリアが彼の魔力によって駆動し、その尽くを防ぐのだ。
「理解しないか。猟兵。オブリビオンとして永遠を生きることこそ、安寧であると」
「そんな安寧であるのならば要らぬよ」
 彼が求める叡智は、そんなものではない。
 故に、『無明』と呼ばれたキャバリアの掌に立ち、『フルスロットル・ヴォーテックス』を真っ向から否定するのだ。

「終点? ストレイトロードだと? 何を馬鹿なことを」
『無明』のコクピットに収まり、ディスターブは告げる。
『フルスロットル・ヴォーテックス』の言葉は何一つ頷くことのできるものではなかった。
 死の安寧など、オブリビオンが語る永遠に過ぎない。
 終点を語り、道を説く。あまりに滑稽であると言わざるを得ない。
「道というものは、人が歩んだ後にできるものだ! 神が与えるべきものではない!」
 ならばこそ、『超克』せねばならない。
 終点を定め、神を気取り、数多の明日という可能性を奪った者に鉄槌をくださねばならない。
 確かに猟兵としての個は『オブリビオン・フォーミュラ』には及ばないだろう。

 だが、現実は違う。
 どれだけ永遠を標榜したのだとしても、それを砕く力は存在しているのだ。誰からか齎されるのではなく、己が求め、己が手を伸ばしたからこそ得られた力。
 その力の名をオーバーロードという。
 道のその先へ。
 明日という希望を掴み取るための力。

 チェーンソー剣が『無明』の装甲をえぐる。
 氷の矢を生成し、全天を覆い、襲い来る『フルスロットル・ヴォーテックス』の暴力を迎え撃つ。
 されど、その氷の矢すらも砕くチェーンソー剣の威力は凄まじい。
 何よりも迎撃の数が間に合わない。
「無駄だ。終点は定められている。それ故に越えることなど不可能であると知れ。貴様らのような強者であればこそ、永遠は相応しいのだから」
 V12エンジンが轟き、チェーンソー剣が唸りを上げて『無明』に振るわれる。
 腕部を交錯し巨大な一撃を受け取るも、装甲が砕け吹き飛ばされる。けれど、それでもディスターブと『無明』は立ち止まることをしない。

 その瞳に映るのは乗り越えるべき終点がある。
「例え傷つこうと、例え迷おうと、一歩を進む意志があるならば、そこには必ず道が生まれる! 道を歩まぬのも、終わりを迎えるのも、貴様一人だ!」
 ディスターブの瞳がユーベルコードに輝く。
 それは終末の日(ジャッジメント)を越える意志。『無明』が奏でるは世界崩壊の楽曲。
 展開されるは、7つの天使核。
 神聖詠唱装置が世界崩壊の楽曲を奏でるが、それは明日を望めぬ世界の破壊に他ならぬ。
 終点という行き止まりを破壊し、その先に続く道をこそ『栄光の道』と為すべく『無明』は真なる姿を晒す。

 堕天使の如き姿。
 それは翼を広げあらゆるチェーンソー剣の一撃を守る漆黒の羽。
 掲げるは極光に染まる光の珠。
「舞えよ天使、響けラッパ! 三千世界へ知らしめよ、――終末の日は来たれり!」
「終点は我らのものだ! 断じて貴様らが――!」
 決めていいものではないと『フルスロットル・ヴォーテックス』が迫る。

 機体の状況はひどいものだ。
 あらゆる装甲が剥離し、破壊されている。されど、その手に掲げる極光は少しも陰ることはない。
「オブリビオン・ストームが終着点だと? 見るがいい。お前がしがみつく者といった彼らは哀れなどではない。彼らはお前たちの齎したオブリビオン・ストームがあれど、立派にいきているではないか」
 振るわれるは極光爆発の一撃。
 審判の光は『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯を打ちのめす。
 世界崩壊の力は、この閉塞した今日を打ち砕く。

「たかが滅び程度で、人が絶望などするものか」
 ディスターブは極光が迸る光景に人々の明日を望む願いを見た。
 その結実こそが、この終点を越えるオーバーロードの力であると証明するように、彼の瞳はその先の未来、望まれた明日を見据えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
全てが不要、オブリビオンになるのが栄光の道か。
ハハハ、まあオブリビオンである君にとってはそうだろうね。
私にとっては無意味で無価値だが。

真の姿で戦場へ。
外見は普段と特に変わず。
黄金の瞳が輝きが増し、身に纏う真紅のオーラが濃ゆくなっている程度。

敵POWUC先制対策
10m程の巨体か。木偶の坊と言う訳ではなく力は勿論、速度もあるが。
攻撃の軌道、質量を見切り(戦闘知識×瞬間思考力×第六感×見切り)
ある一撃は躱し、ある一撃はオーラセイバーで強打して逸らします。
(怪力×功夫)
躱し、逸らしも敵の次の動き、次の防御行動を計算の上で行います。

さて、時間切れだフルスロットル君。審判の時間だよ。

『サタンの審判』の発動により、巨大な赤き竜の姿に変身。
変身の余波(衝撃波)でフルスロットルを吹き飛ばし、その後、頭上に時間すら呑み込み消滅させる漆黒の巨大な球体を創造。(ブラックホールっぽいの)(全力魔法)

さあ、君の望み通り終点をあげよう。もっとも終わるのは君一人だがね。



 極光の齎す爆発の中に『フルスロットル・ヴォーテックス』は沈む。
 されど、その身体は敗北を認めない。
 膨れ上がる巨躯は、5mはあろうかという改造巨人の身体をさらなる巨大化でもって傷を癒やしながら立ち上がるのだ。
「不要。不要。全てが不要。貴様らの抵抗も、人々が望む明日も不要である。死の安寧こそが永遠である。その中でこそ栄光を掴む事ができると何故理解しない」
 強者であれど、それを認めぬものは骸の海にて捧げなければならない。
『フルスロットル・ヴォーテックス』にとって、終点とはそのようなものであったことだろう。

 だが、その言葉を前にしてシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)笑った。
 その真紅のスーツに身を包んだ美丈夫は、その言葉を一蹴したのだ。
「全てが不要、オブリビオンになるのが栄光の道化。ハハハ、まあオブリビオンである君にとってはそうだろうね」
 シーザーは巨大化した『フルスロットル・ヴォーテックス』を前に一歩も引くことはなかった。
 怯むこともなかった。
 恐れなど必要ないというように彼は真なる姿をさらけ出す。
 いや、外見が変わることはない。
 ただ、その金色の瞳が輝きを増し、身にまとうオーラが色濃くなっていく。されど、目の前の猟兵の重圧が上がったことを『フルスロットル・ヴォーテックス』は理解したことだろう。

 これを打倒しなければならない。
 ここでこの男を骸の海へと捧げなければ、例えこの戦いを制したところで必ず尾を引くであろうことを彼は理解していたのだ。
「私にとっては無意味で無価値だが」
「永遠を無価値と呼ぶか!」
 振るわれる巨大なチェーンソー剣がシーザーに迫る。
 その攻撃は10mの巨体でありながら、木偶の坊であるということは一切なかった。巨体であるがゆえの鈍重さなど共にもなく、速度はそのままに有り余る膂力でもって振るわれる一撃は、ただの一撃が必殺に至るだろう。

 故に彼の瞳が輝く。
 終点を越えるのが『超克』の力であるというのならば、その一瞬の攻撃の軌道を読み切り躱す。
「ああ、そのとおりだ。永遠など一進一退もなき停滞に過ぎない。そこに意味など見いだせるものか」
 ふるわれたチェーンソー剣の一撃を極大化したオーラセイバーの一撃が振り払う。身体がきしむほどの衝撃。
 されど、それでも戦いは終わらない。
 躱し、そらし、敵の次の動き、次の行動さえも計算に入れたシーザーの戦い方は、言わばワルツを踊る初心者と熟練者の如き違いがあったことだろう。

 己が攻め立てていると思わせておきながら、その実、シーザーの思うままに行動を受け流されているのだ。
「さて、時間切れだ。『フルスロットル』君。審判の時間だよ」
 シーザーの瞳がユーベルコードに輝く。
 彼の身体が赤い巨大な竜へと姿を変える。
 己を覆う魔力障壁が彼の体から放たれ、迫る『フルスロットル・ヴォーテックス』を吹き飛ばしていく。
 それは変身による余波にしか過ぎないものであったが、凄まじい力の奔流となって『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨体でさえも退けるのだ。

 これこそが、サタンの審判(デウス・アエテルタニス)。

 赤き竜へと姿を変じたシーザーが睥睨する。
 竜の顎が天に開かれ、集約されるは漆黒の巨大な球体。
 それは時間すらも飲み込み消滅させるブラックホールの如き縮退されし力の源。
 光も、何もかも飲み込み逃れることの能わぬ破壊の力。

 それこそが終点を、永遠さえも破壊する力の発露であるとシーザーは告げる。
「さあ、君の望み通りの終点をあげよう。もっとも終わるのは君一人だがね」
 ふるわれるは暗獄の如き光。
 放たれた一撃は『フルスロットル・ヴォーテックス』の体を砕いていくだろう。
 ユーベルコードに寄って巨大化した体。
 V12エンジンの駆動音や、赤熱した体の熱さえも奪い取っていく漆黒の光。

 この終点は確かに終わりを齎すものであったことだろう。
 だが、死の安寧の如き永遠を求めるのならば、『フルスロットル・ヴォーテックス』は過ちを犯したと言わざるを得ない。
 猟兵は確かに個でもって『オブリビオン・フォーミュラ』に劣るだろう。
 けれど、『超克』の力は、その力の差すらも越えていくものである。
 オーバーロードとは、明日を願う人々の希望や願いが呼び起こした力。
 そこに個としての力が叶うべくもない。
 人が求め、人が願い、人が手を伸ばしたからこそ結実した力。

 そのオーバーロードたる力の奔流が『フルスロットル・ヴォーテックス』を過ちの中へと引きずり込み、その絶大な力で持って四肢を引きちぎり、その絶叫を戦場に響かせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
さてと、復活した他のフィールドオブナインは全部倒した
後はフルスロットル、君だけだ
他の3体もいずれ私たちが滅してあげる
だからこのお祭りもおしまい
最後の戦いと行こうか
君達のお陰で、私たちは更に先へと進むことが出来た
超克の力、此処に示そう


オーバーロード、真の姿解放
外装展開、4剣抜刀
各剣に『オーラ防御』でシールド付与し耐久性を上げる
敵の4回攻撃をそれぞれ4度、4剣で『武器受け』してガードする!
流石に一撃が重いだろうから、ダメージ分散して刀身を保護しなきゃ
全く兎に角凄いエンジンを詰めば強くなるなんて思考、脳筋過ぎて嫌になっちゃうね
あと五月蠅い、爆音もいい加減品が無いよ
さあ、此方の番だ

【Code:F.F】起動
先ずは高速移動で斬撃を加えながら『エネルギー充填』
零距離からの『斬撃波』も飛ばして体勢を崩させよう
そして副腕持った剣で敵のチェンソーと腕を押さえながら、胴体に直接〇距離からエネルギー球をぶち込む

ま、力任せなのはこっちも同じだけどね
それでもそんな、血と硝煙にまみれたのよりはスマートに行きたいんだ



 巨大化した『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨体が砕け、本来の姿へと彼を戻していく。
 その四肢は砕けていたが、巨大化の影響で欠損は回復させられている。けれど、その体に満ちる力は確かに消耗させられていた。
 ぐらつく体をチェーンソー剣で支えながら、それでもなお巨躯を誇る5mの改造巨人はV12エンジンの轟音を響かせる。
 未だ己は敗れてはいないと。
 未だ終点は越えられていないと叫ぶように、咆哮を轟かせるのだ。
「我ら『フィールド・オブ・ナイン』こそが終点を定めたのだ。此処こそが繁栄の終着点。これ以上は衰退の道をたどるのであればこそ、此処で全てを永遠にすることこそ、我らが務め! 故に猟兵よ、貴様らを討ち果たし、骸の海に捧げることこそが、今の我らの至上命題よ!」

 轟音を立てて疾駆する『フルスロットル・ヴォーテックス』は、その名に恥じぬ凄まじき突進力で持って迫る猟兵をなぎ倒さんとするのだ。
 けれど、その前に立つ月夜・玲(頂の探究者・f01605)の声は、その激情とは裏腹に冷静そのものであった。
「復活した他の『フィールド・オブ・ナイン』は全部倒した。後はフルスロットル、君だけだ」
 迫る巨躯。
 それを前にしても玲は悠然と佇む。
 これまで幾つもの戦いがあった。『フィールド・オブ・ナイン』と呼ばれる全てが『オブリビオン・フォーミュラ』たる存在。
 それらは強敵と呼ぶに相応しいものたちばかりであった。

 けれど、乗り越えてきたのだ。
 どれだけ終点と宣おうと、それでも越えるための力はすでに彼女の中にある。
「他の三体もいずれ私達が滅してあげる。だからこのお祭りもおしまい。最後の戦いと行こうか」
 感謝はしているんだよ、と玲は告げた。
 何に、とは言うまでもない。
 オブリビオン・フォーミュラという凄まじき敵を復数抱えながらも、猟兵達は明日を諦めなかった。
 その諦観すらも打ち砕く意志があったこらこそ、宿る力がある。

「『超克』の力、此処に示そう」 
 更に先へ進む。
 これからも進む。どれだけ文明が荒廃したとしても明日を望む人々がいた。その事実が玲の力を増幅していく。
 外装である副腕が彼女の背後に浮かび、模造神器を抜き払う。
 四振りの模造神器を振るう彼女のその姿こそ、オーバーロードである。真の姿を開放した彼女の持つ青き刀身は今、その力の発露に輝き続けている。

「越えさせぬ! 終点を越える力など認めぬ!」
 迫る『フルスロットル・ヴォーテックス』が振るう死の四連撃。
 それは尋常ならざる斬撃と成って確実な死を玲に齎さんとせまるだろう。けれど、玲は連続して放たれる連撃を尽く四振りの模造神器で受け止める。
 本来であれば、『フルスロットル・ヴォーテックス』の一撃で模造神器はひび割れたことだろう。
 けれど、真の姿になることによって出力の上がったオーラが模造神器に纏われ、強度を上げていくのだ。

「兎に角凄いエンジンを詰めば強くなるなんて思考、脳筋過ぎて嫌になっちゃうね」
 あと五月蝿い。
 爆音もいい加減に品がないと玲は呼ん連撃の尽くを弾く。
「――ッ! これほど、だと……!?」
 消耗させられている。
 その自覚はあれど、未だ個としては猟兵を遥かに凌ぐ力を持つ『フルスロットル・ヴォーテックス』は死の四連撃を尽く弾き飛ばして尚健在である玲の手にした模造神器に驚愕するだろう。
「神の力を疑似的に再現するなど!」
 あってはならない。
 そう、あってはならないのだ。それこそ人類未踏に踏み込むが如き行いであろう。

 けれど、玲はためらわない。
 己が識るべきものがあるのならば、彼女はためらわず足を踏み入れるだろう。
「Code:F.F(コード・ダブルエフ)――最終公式起動、全てを零に」
 踏み出す。
 模造神器の全ての力が彼女の体に纏われる。
 ふるわれるチェーンソー剣の一撃を一瞬で躱すほどの高速移動で『フルスロットル・ヴォーテックス』との距離を詰めるのだ。
 肉薄する玲が振るう斬撃波の一撃が『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯を揺るがす。
「今のを防ぐ……!」
 揺らめくだけの巨体をみやり、玲はその身に模造神器の力を溜め込んでいく。
 今のは牽制の一撃。

 ならばこそ、体勢を崩させることにこそ意義がある。
 そこにふるわれるチェーンソー剣の一撃を副腕が防ぎ、さらにもう片方の副腕が『フルスロットル・ヴォーテックス』の左腕を貫く。
「ま、力任せなのはこっちも同じだけどね」
 だけど、と玲は笑う。
 副腕がきしむ。それほどの抵抗。ここまで数多の猟兵が紡いできた戦いの果てに在って尚も『フルスロットル・ヴォーテックス』は敗北を認めない。
 あまりにも血にまみれたがゆえの衝動であろう。
 硝煙だけが彼らの心を癒やすのかも知れない。

 けれど、玲は違う。
 彼女はもっとスマートに行きたいのだ。
「誰もが明日を夢見ている。この荒廃した世界であったとしてもね。だから、もう血と硝煙なんて流行らないよ」
 けたたましく轟音上げるV12エンジンをみやり玲は両手に持った模造神器の刀身を『フルスロットル・ヴォーテックス』に叩き込み、その身に宿した模造神器全ての出力を放出する。
 それは球状のエネルギー体となって零距離から放たれ、『フルスロットル・ヴォーテックス』の体を穿つ。

 未だ彼女の道は途中。
 彼女が歩み、進む度に壁が現れるだろう。けれど、それらの尽くを踏み越えていくことができると知っている。
 いつだってブレイクスルーは突然に。
 けれど、確実に人々の意志があったからこそ貫く事ができる壁がある。それを知らしめるように玲は己の振るう青き残光を持って、『フルスロットル・ヴォーテックス』を下すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マオ・ブロークン
……もう、言葉は、いらない。ね。
アポカリプス、ヘル。この大地を、守る、ために。
オブリビオン・ストームの、元凶。この世界の、終点。
フルスロットル・ヴォーテックス……必ず、ここで、倒す。

自分の、エンジンも。フルスロットル、だ。
魂を、震わせて。丸鋸で、チェーンソーを、受けてたつ。
相手も、凄まじい、威力と、超加速での、猛攻。
1回、2回、3回、4回目の攻撃も。……この身で、受ける。

そう。4回、命中して、あたしは死ぬ。それでいい。
――【死人にも口有り】。
死んだ、あたしは。呼び寄せた、死者たちと、混じって、溶け合う。
この、過酷な、世界で。命を散らしていった、大勢の、人間たち。
やつらが、踏みにじってきた、大量の、嘆き。

死者が、寄り集まった、グロテスクな、化け物。
これが……あたしの、オブリビオンの、側面。
けれど。それでも、あたしは、あんたたちの、敵だ。
過去へと、埋もれた、悲しみを、願いを、吸い上げて。
忘れさせずに、風化させずに、恨みを晴らすための、姿。
大地に、積もった、怨念を……全力で、叩きつける!



 青き残光が『フルスロットル・ヴォーテックス』を穿つ。けれど、未だその巨躯は霧消していくことはなかった。
 胴に巨大な穴を穿たれても尚、その改造巨人は揺らめくようにして立つ。
 むしろ、胴という最も面積の広い場所を失うことによって軽量化したように凄まじい形相と速度で持って猟兵に迫るのだ。
「我は滅びぬ。我の定めた終点こそが永遠の戸口なのだ。栄光の道は未だ閉ざされていない。猟兵よ、貴様らこそが、永遠を生きるのだ。オブリビオンとなって――!」
 咆哮は未だ止まない。
 どれだけ言葉を尽くしたとしても、オブリビオンと猟兵は相容れぬ存在である。

 互いに滅ぼし、滅ぼされる関係でしか無い。
 どれだけ永遠を求めたのだとしても、その永遠が齎すのが停滞であると識るからこそ猟兵は戦うのだ。
「……もう、言葉は、いらない。ね」
 マオ・ブロークン(涙の海に沈む・f24917)は止まらぬ涙と共に足を踏み出す。
 彼女はアポカリプスヘル、この大地を守るために戦ってきた。
 アポカリプス・ランページは確かに辛く険しい道のりでしかなかった。死を超越したデッドマンの体に宿る少女性を残す心は、その戦いの中で擦り切れて傷ついて言ったかも知れない。

 けれど、それは練磨の道であったのだろう。
 彼女の中に確固たる意志がある。
 オブリビオン・ストームの元凶にして、この世界の終点。
 それが『フルスロットル・ヴォーテックス』であるというのならば、必ず此処で倒すという意志が彼女の瞳を『超克』の力に輝かせる。
 どれだけ終点という障壁が人々の願いを阻むのだとしても、マオは諦めない。
 己の体のうちにあるヴォルテックエンジンが唸りを上げる。
 魂の衝動は止まらない。
 
 誰かのためにと戦う衝動は止まらない。尽きることがない。
 彼女の体の内側から力が溢れて仕方がないのだ。涙は溢れて止まらないけれど、それでも魂を震わせる。
 恐ろしさなど何処にもなかった。
「その魂の衝動を持って我に抗うか、猟兵!」
 迫る『フルスロットル・ヴォーテックス』のチェーンソー剣の一撃。いや、一瞬のうちに放たれるは死の四連撃。

 例え、デッドマンであろうとも、その四連撃を受けては再起が不能に為るだろう。
 ならばこそ、彼女は恐れない。
 死を超越した体。至る境地が其処に在る。
 丸鋸を振るい、真っ向から打ち合う。けれど、押し負けてしまう。少女の体と巨人の体躯では火を見るより明らかな勝負であったことだろう。
 チェーンソー剣が体に食い込む。
 身体が引き裂かれ、全ての連撃が彼女の身体を刻む。

 痛い、と思うこともなかった。
 そんなまともな人間みたいな痛覚などとうに捨てている。
 この身はデッドマン。
「……あたし、も、きっと、同じ……あの日……過去、で、止まった、まま……」
 蘇るは、己が死せる日の記憶。
 死人に口なし。
 されど、この世界は全てを逆行し、反逆する。

 そう、死人にも口有り(シニンニモクチアリ)。
 世界の死者の念が引き裂かれたマオの体に呼び寄せられる。死んだ。確かに死んだ。けれど、マオは呼び寄せたのだ。死者たちを。
 この過酷な世界で生命をちらしていった大勢の人間たちの無念の魂を。

 確かに彼女は死んでしまったのだろう。
 けれど、死などすでに超越しているのだ。何度も何度も何度も彼女は踏み越えてきた。
 ただ、それだけで足らなかった。
 ならば、この世界に渦巻く数多の生命。オブリビオンたちが踏みにじってきた大量の嘆きを受け入れる。
 人が出来ていいことではない。
 そう、人ならば。

「あたし、は……デッドマン……」
 だからできるのだ。
 彼女の引き裂かれた身体が繋がっていく。それはデッドマンの肉体再生などという生易しいものではなかった。
 死者が寄り集まったグロテスクな化け物。
 されど、その姿を見て誰が彼女を蔑むだろうか。骸魂が如き醜悪な姿。されど、人の嘆きに応える姿であるのならば、それこそが『超克』の力である。
「こ、これが……人の、魂の嘆きなど!」
 あらゆる生命の嘆きが戦場を満たす。けれど『フルスロットル・ヴォーテックス』はV12エンジンでもってそれらをかき消さんとする。だが、それすらも覆い隠すほどの嘆きの声と共にマオは進む。

 死の安寧によって永遠を得たのがオブリビオンであるというのならば、マオのこの姿もまたオブリビオンとしての側面であろう。
「けれど。それでも、あたしは、あんたたちの、敵だ」
 過去へと埋もれた悲しみを、願いを吸い上げていく。
 決して忘れさせず、風化させず、怨みを晴らすための姿。

 目の前にいるのはなんだ、と叫ぶ声が聞こえる。
 マオは、あれこそが己たちの敵であると指し示したのだ。この荒廃した世界の元凶。オブリビオン・ストームによって奪われた文明がある。生命がある。
 奪われるだけに飽き足らず、尊厳すらも踏みにじられた生命たちの嘆きを受けてマオは、凄まじい嘆きの声の体現者となって、拳を振るい上げる。

「わかって、いるよ……あなたたちの嘆き、は……あたしの、嘆き」
 握りしめた拳が振り下ろされる。
 それは死の四連撃すらも乗り越えたデッドマンであるマオの渾身の一撃であった。轟音が轟き、『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯が大地に沈む。
 溶け合うように己の引き裂かれた肉体が収まっていく。

 ヴォルテックエンジンの回転が弱まっていく。
 けれど、その電気エネルギーを消耗しすぎたがゆえにマオは涙あふれるままの瞼を閉じていく。
「嘆きの声、が……聞こえ、ない……」
 晴れただろうか。
 この怨念を、この嘆きを、その全てをマオは代弁できただろうか。自問自答に意味はない。
 けれど、マオの溢れる涙はとめどなく。

 再び目覚めたその時、彼女の瞳には終点を越えた明日が広がっていることだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
さて…最後の最後…か…
…終点とやらも踏み越えてみせるよ…歩みを止めないのが人だからね…

…まずは現影投射術式【ファンタズマゴリア】で濃霧の幻影を出して視界を塞ごう…
…間合に踏み込んでくると言っても姿が見えなければ狙えないからね…
…他の手段で位置を把握される前に周囲に遅発連動術式【クロノス】でスネアトラップを仕掛けるとしよう…
…巨体を倒すには足下を攻撃する事が一番…踏み込んでくるのだから罠も仕掛けやすい…
…転倒したなら起き上がる前に術式組紐【アリアドネ】で両足を拘束して時間稼ぎ…
…【起動:海神咆吼】で転倒しているフルスロットルに全力砲撃をおみまいするよ…
…じゃあ…お望み通り『先』に行かせてもらう…



 巨大なる怨念の拳が『フルスロットル・ヴォーテックス』を叩きのめす。
 それはこれまで培われてきた無念の集大成であったことだろう。
『フルスロットル・ヴォーテックス』にとって、それらは無意味なことであった。論ずるに値しないことであったことだろう。
 弱者とは滅びて当然なのである。
 繁栄の犠牲になるという点においては、確かに存在意義があったのだ。ただ、それだけのこと。
 彼が求め、骸の海に捧げるべきは強者。
 己を今まさに叩きのめしたような猟兵の如き強者なのだ。
「だからこその終点……! 我が在る限り、容易く踏み越えることなどさせぬ!」
 轟音を上げて立ち上がる。
 V12エンジンは、その凄まじき騒音を撒き散らしながら、胴体を穿たれた身体を突き動かすのだ。

「さて……最後の最後……か……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は幻影投射術式『ファンタズマゴリア』によって濃霧の幻影を戦場に満たしていく。
「……終点とやらも踏み越えて見せるよ……」
 彼女の声が幻影の濃霧の中に響き渡る。
 けれど、姿は見えない。見せることはない。どれだけの速度と力でもって、あの巨躯が迫るのだとしても、メンカルは、己に狙いを定めさせることはしなかった。

「それをさせぬと言った! 猟兵!」
 ふるわれるは暴風の如き『フルスロットル・ヴォーテックス』のチェーンソー剣による死の四連撃。
 だが、そのチェーンソー剣を振るう腕が濃霧を振り払うことはなかった。
 そう、濃霧は幻影でしかない。
 実体を保たぬがゆえに、幻影は振り払うことはできないのだ。

 さらに遅発連動術式『クロノス』によって仕掛けられたスネアトラップが『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯、その足元を掬う。
 必ず踏み込んでくるのならばこそ、あの巨体である。必ず足元のトラップに引っかかるのだ。
「……いいや。踏み越えていく。歩みを止めないのが人だからね……」
 そう、どれだけ強大な障壁が目の前にあったのだとしても人々はそれらを越える。
 越えることがなくても迂回をすることもあるであろうし、障壁に穴を穿つことだってあるだろう。

 止められない。
 人の歩みは止められない。どれだけ終点を掲げようとしても、それでも人は進んでいく。だからこそ、これまで培ってきた叡智があらゆる困難を打破するのだ。
 巨体が傾ぎ、トラップに寄って『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨体が大地に沈む。
「ぐ、お……! この程度の子供だましで――!」
 だが、その子供だましも重なれば、児戯では済まなくなるものである。術式組紐『アリアドネ』が両足を拘束し、時間を稼ぐのだ。

「……起動:海神咆吼(ラン・ワンダレイ・ハウリング)。座標リンク完了。魔女が望むは世界繋げる猫の道……」
 メンカルの瞳がユーベルコードに輝き、アポカリプスヘルにワープゲートを生み出す。
 その先にあるのは飛空戦艦ワンダレイ。
 主砲が見据える先にあるのは、言うまでもなく『フルスロットル・ヴォーテックス』である。
 これまで彼女が用意周到に罠を仕掛けていたのは、この一撃を確実に叩き込むためである。
 あれだけの巨躯でスピードを誇るのであればこそ、確実に動きを止めなければならない。『アリアドネ』の拘束を引きちぎった瞬間、メンカルは掲げた手を振り下ろす。
「……主砲、一斉射!」

 ワンダレイの主砲が咆哮する。
 それはこれまで虐げられた人々の無念を晴らすかの如き咆哮であり、終点を破壊する一撃であったことだろう。
 爆炎が上がり、メンカルは放たれた主砲が過たず『フルスロットル・ヴォーテックス』を打ちのめしたことを『アルゴスの眼』で見やる。
「……じゃあ……お望み通り『先』に行かせてもらう……」
 メンカルの歩みは止まらない。
 人の叡智が生み出したものを識るからこそ、もっと先を知りたいと願う。
 その願いは誰も止められない。何物にも止められない。

 この先どれだけの障害があろうと、それだけは変わることのない想いであるのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
何が暴力だ。何が死の安寧だ。
お前が、お前なんかに終わりを決められる謂れはない!

亡国の主に搭乗。
早業で主を操縦し推力移動と、RX騎兵刀でチェーンソーを武器受け流し、包囲攻撃を凌ぐ……!!

此処が終局なら壊して進む!この世界を前へ進ませる!!邪魔だあああああッッ!!!

オーバーロード!!
主の背中から生えた巨大翼の大質量でチェーンソーをなぎ払い、突撃してくるフルスロットル、正面から竜骨爪で奴の振るうチェーンソーを受け止め継戦能力、怪力と推力移動で突撃を受け止めながら、亡国の主と一つになる。

––––––––––!!!
【終の崩壊】発動。破滅の道をひた走った亡国の残滓と、自覚なき戦塵の悪霊が一つになったこの身体から、崩壊霊物質が放たれる。
宙を舞うチェーンソーも、フルスロットルを覆うV12エンジンも、フルスロットルの身体をも侵食し、解体し、崩壊させる、呪詛の霊物質。

壊す、壊せ、壊せ!壊せ!!
受け止めていたチェーンソー、崩壊霊物質で脆くなったそれを壊し、念動力、多量の崩壊霊物質纏う拳でフルスロットルを殴る。



「何が暴力だ。何が死の安寧だ」
 その言葉はジャイアントキャバリア『亡国の主』の中より響いていた。
 終点を標榜する『フルスロットル・ヴォーテックス』の言葉は、全てが朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の神経を逆なでするものであった。
 己は兵士である。
 使い捨ての兵士。
 戦って死ぬことこそを決定づけられた存在。

 けれど、己の存在は誰かに終わりを決められるものではない。自分が定めた戦いに赴くという意志こそが自身の終わりを決定することができる。
 ならばこそ、小枝子は叫ぶのだ。
「お前が、お前なんかに終わりを決められる謂れはない!」
 咆哮に応えるように『亡国の主』が顎をもたげ、凄まじい推力を伴って『フルスロットル・ヴォーテックス』へと迫るのだ。

「いいや、終点は我らが決定した絶対。これ以上の繁栄も衰退も必要ない。暴力さえも必要ないのだ」
『フルスロットル・ヴォーテックス』より放たれる数多のチェーンソー剣が『亡国の主』を襲う。
 構えた騎兵刀でもって広範囲に渡って展開された炎纏うチェーンソー剣を受け流し、凌ぐ。
 いや、凌ぐことができない。
 膨大な数の攻撃。
 それは猛攻と呼ぶにはあまりにも生易しいものであった。

 あれだけの猟兵を相手取って、消耗してもなおこの力の発露。『オブリビオン・フォーミュラ』と呼ぶに相応しい力であったことだろう。
 装甲が傷つけられ、脱落し、フレームを露出させていく。
 機体が傷つく度に衝撃が小枝子に襲いかかる。
「終点を越えることなど許さぬ。貴様ら猟兵は強者としてオブリビオンとなればいい。それこそが『栄光の道』! 死の安寧をもって、受け入れろ、その宿命を!」
 その言葉に小枝子は瞳を輝かせる。

 此処が終局であるという。
 もはや終わりであると。これ以上はないと。それは小枝子の生き方を否定するものであったし、これまで喪われた生命の全てを冒涜するものであった。
 ゆえに、彼女は吠えるのだ。
「ならば壊して進む! この世界を前へ進ませる!! お前は――」
 輝くは『超克』。
 越えるべきを見定めた小枝子の瞳に輝くはオーバーロードの輝き。

「邪魔だあああああッッ!!!」
 オーバーロードに踏み込んだ瞬間、『亡国の主』の背面より生えた巨大翼が大質量で持って降りかかる膨大なチェーンソー剣の全てを薙ぎ払う。
 目の前に巨体を突進させ、質量兵器と化した『フルスロットル・ヴォーテックス』がある。
 けれど、最早小枝子にとって、それは脅威ではない。
 ふるわれたチェーンソー剣を竜骨爪が受け止め、火花を散らす。回転刃と爪が激突し、凄まじい音を響かせ続けるのだ。
 敗けない。
 敗けて為るものかという小枝子の咆哮を受けて『亡国の主』が咆哮を上げる。

 装甲の下に充填され崩壊霊物質が溢れ出し、小枝子と『亡国の主』は真の意味で一体となる。
「––––––––––!!!」
 それは、終の崩壊(ディースカスラ)。
 破滅の道をひた走った亡国の残滓と自覚なき戦塵の悪霊が一つとなった姿。
 境目はない。
 あるのは崩壊霊物質のみであり、その力の奔流は『フルスロットル・ヴォーテックス』のはなったチェーンソー剣も、フルスロットル自身の肉体すらも侵食していく。
 いや、それは正しくない。

 そこにあったのは侵食の後に起こる買いたいと崩壊。
 呪詛の霊物質に寄る破壊だけであった。
「壊す、壊せ、壊せ! 壊せ!」
 咆哮と共に小枝子と『亡国の主』が『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨体を押し返していく。
「身体を崩壊させる……! 貴様……! 我らの定めた終点をまさか……!」
「何度も言わせるなッ! 壊す! 壊す! 壊れ、ろ――!!!」
 崩壊霊物質によってもろくなったチェーンソー剣を爪が握りつぶし、巨体を押し返す。
 馬乗りのように『亡国の主』が『フルスロットル・ヴォーテックス』を組み敷く。
 もはや容赦などいらない。

 己の拳が砕けようとも構わない。
 ただあるのは破壊の意志のみ。終点が世界の終わりだというのならば、その終点こそを壊す。
 握りしめた拳に崩壊霊物質が集約される。
 これまで紡がれてきた戦い。
 その軌跡を己もまた紡ぐのだ。放たれるは防ぐことの出来ぬ、念動力と大量の崩壊霊物質纏う拳の一撃。

 振り抜かれた拳が大地に沈む『フルスロットル・ヴォーテックス』の顔面を捉え、そのフェイスガードすら砕いて叩きつけられ続ける。
「壊れろ! 壊せ! 壊す! お前は、必ず壊す――!!」
 その咆哮と共に『フルスロットル・ヴォーテックス』は大地に沈む。
 小枝子にとって、それは終点の破壊そのもの。

 破壊の先にあるのが再生であるというのならば、小枝子は有り余る破壊衝動のままに、再生の一歩を踏み出すだろう。
 彼女が意識していようがいまいが、それでも今まさに世界の終点は破壊され、明日という希望が輝き出したのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
本の頁に、御伽噺に結末があるように
終点は全てに訪れるのでしょう

ですが私は、いいえ、今を生きる人々は『めでたしめでたし』を求め歩み続けるのです
その輝ける意志は、死と宿命の竜巻如きに負けはしません

…勝負!

10m巨躯の突撃
自己●ハッキングで出力限界突破
推力移動乗せ●怪力シールドバッシュで迎撃
盾受けの技術で激突の衝撃受け流し

…半身が砕けようと!(継戦能力)

用途申請…この世界に、終点の超克を!

剣を一振り

酸素と炭素の結合…燃焼反応を完全阻害しエンジン無力化
大気を物質に変換
己の破損個所を再生

巨人退治は騎士の誉れ
ヒトは星すら超えられる…その夢と罪の証左
受けて頂きます!

荷電粒子で超巨大光刃形成
終点の巨人を両断し



 破壊の意志でもって踏み越えた『超克』の先にあるのは何であろうか。
 終末の先にあるものが始まりであるというのならば、それはきっと人々が望んで止むことのなかった明日であることだろう。
 それは本の頁に、御伽噺に結末があるように。
 終点は全てに訪れるのだとしても、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)はそれを否定する。

「ですが、私は、いいえ、今を生きる人々は『めでたしめでたし』を求め歩み続けるのです」
 彼は己の剣を抜き払い、『フルスロットル・ヴォーテックス』に対峙する。
 改造巨人たる『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯はこれまでの猟兵たちとの戦いによって凄まじい消耗を強いられている。
 胴に穿たれた大穴がその証拠であろう。
「そんなものに意味はない。どれだけそれを求めようとも、人は衰退していく。繁栄があるからこそ、衰退は必定。それを引き伸ばしにすることはできない」
 ならばこそ、と『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯が膨れ上がり、胴に穿たれた傷痕を塞いでいく。

 倍の巨躯へと姿を変えた『フルスロットル・ヴォーテックス』がトリテレイアを見下ろす。
「ゆえに永遠が必要なのだ。死という安寧の先にこそ永遠がある。それを理解せぬのならば、力づくでも骸の海に貴様らを沈めるとしよう。そうすればわかるのだ。我らの正しさが」
 ふるわれるチェーンソー剣の一撃をトリテレイアのアイセンサーは捉えていた。
 凄まじい一撃。パワー、スピード、重量、あらゆる点において『フルスロットル・ヴォーテックス』は猟兵たちの個を越えている。
 
 だが、それでもトリテレイアのアイセンサーは煌めくのだ。
「彼らの輝ける意志は、死と宿命の竜巻如きに敗けはしません……勝負!」
 大盾ごと腕部を振り抜く。
 それはチェーンソー剣と激突し、己の機体フレームを保つためのリミッターを解除した一撃であった。
 激突し、凄まじい轟音を立てる大盾とチェーンソー剣。
 されど、チェーンソー剣の回転刃が大盾を切り裂き、その衝撃を受け流そうとするトリテレイアの左腕を根こそぎ切り裂いていく。

 彼ほどの盾による戦術を極めた猟兵であっても、真っ向から打ち合うことは破壊を意味する。
 砕けていく左腕。
 電脳にエラーメッセージが明滅する。何度も見た光景だ。
 これまで対峙した強敵たち全てがトリテレイアを追い込んできた。けれど、それは決して無駄ではなかったし、同時に彼が此処に今も立つという厳然たる事実が、彼の歩みを証明する。

「……半身が砕けようと!」
 トリテレイアは諦めない。どれだけ己の機体が限界を迎えたのだとしても、彼は猟兵である。
 ウォーマシンであること、騎士であること、それらを総じて己という猟兵と為すのならばこそ、彼は立ち止まらない。
「用途申請……この世界に、『終点』の『超克』を!」
 抜き払った銀河帝国未配備A式形相操作兵装(アレクシアウェポン・パーティカルドミネーション)……すなわち、電脳禁忌剣がユーベルコードに煌めく。
 それは素粒子への干渉と操作能力。
 想像より創造する力。

 煌めくユーベルコードは、今まさに世界を救うために承認されしもの。
 振るう電脳禁忌剣が齎すは酸素と炭素の結合、すなわち、燃焼反応の阻害である。『フルスロットル・ヴォーテックス』が持つ速度とパワーはV12エンジンにこそが要。
 そのエンジンを内燃させるためには酸素と炭素が結合してはなせぬ。けたたましい轟音を立てていたV12エンジンが停止し、『フルスロットル・ヴォーテックス』のパワーが揺らぐ。
 後に残るは巨人としての体躯のみ。
「我が内燃機関を止めた……!? 貴様、何を……!」
 そして見ただろう。

 その電脳魔術が齎す奇跡の如き光景を。
 砕けた半身さえも復元する事象操作の力。
「巨人退治は騎士の誉れ。ヒトは星すら超えられる……その夢と罪の証左。受けていただきます!」
 荷電粒子によって超巨大光刃を生み出した電脳禁忌剣が一閃される。

 それは人が齎した繁栄の結晶。
 大地を離れ、星の海を征き、あまつさえは星すらも砕くに至る路を示すもの。それが滅びの路ではないことを証明する手立てはない。
 けれど、今という時間を乗り越え、明日を求める人々にとっては希望となりえる光であったことだろう。
「終点の巨人――『フルスロットル・ヴォーテックス』! その命運を超えて、人々が望む明日への道を切り拓く。それこそが私の騎士道です!」
 放たれた一撃が『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯を斬り裂き、光の奔流の中に打倒するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
いよいよ大詰めだね
決着をつける為に皆と協力して戦うよ

またでっかくなったね
その分死角も大きくなってるだろうから
突撃してきたらワイヤーガンを利用し
視線やチェーンソーが届かない位置に滑り込もう
その時は神気の停滞を利用して回避の時間を稼ぐよ

初撃を凌いだら邪神の領域を使用
更に相手の動きを停滞させて
動き回って狙いを絞らせないようにしつつ
ガトリングガンの射撃や
ワイヤーガンの切断でダメージを重ねていこう

こっちも制限時間があるから
加減してる余裕もないし
全力で攻撃するよ

自分で自分の終わりを決めるのは自由だけど
他人の人生まで強要するのは傲慢だね

暴力で自分の意見を通そうとするなら
それ以上の暴力で抵抗されるのは諦めてよ



 光の極大なる刃が『フルスロットル・ヴォーテックス』を切り裂く。
 半身をもがれるようにして巨人の巨躯が傾ぐ。
 けれど、未だその巨躯が立ち上がるのを佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は見た。
「いよいよ大詰めだね。これまで皆が紡いでくれた戦い……決着のために皆で戦うんだ」
 晶は知っている。
 猟兵の戦いはいつだって紡ぎ、繋ぐ戦いだ。
 自分たちよりも強大な敵を打倒するには、こうする他無いことを知っている。けれど、どれだけ苦しく険しい戦いであったのだとしても、人々が望む明日を手に入れるためには、これこそが正しい道なのだ。

「終点を越えることは許さない。これ以上の繁栄がなければ、衰退もない。ただ緩やかな死の安寧だけを甘受していればいいのだ!」
『フルスロットル・ヴォーテックス』が咆哮し、天を覆うほどの炎纏うチェーンソー剣が晶へと飛来する。
「その巨体でよくもまあ、動ける……!」
 迫りくるチェーンソー剣を神気を開放し、停滞の権能でもって回避の時間を稼ぐ。

 だが、全天を覆うほどのチェーンソー剣の群れを前に晶の視界は塗りつぶされていく。
 ワイヤーガンを駆使し、『フルスロットル・ヴォーテックス』の死角に回り込んでも尚追いすがるチェーンソー剣を神気で弾き飛ばしながら晶は迫る切っ先を受けて身体を吹き飛ばされてしまう。
 重たい一撃。
 ただの膨大な数のうちの一振りを受けただけで身が砕けるかと思うほどの衝撃。
 これが『オブリビオン・フォーミュラ』たる『フルスロットル・ヴォーテックス』の力であるというのならば、晶はまさに身を持って識るのだ。

「……でも、それでも!」 
 晶の瞳が輝く。
 それはユーベルコードにして、邪神の領域(スタグナント・フィールド)へのいざないであった。
 迫りくるチェーンソー剣や『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨体。
 その全てが周囲の存在を停滞、固定させる神気によって覆われた領域に入った瞬間、動きを止める。
 己の身体が封印により石化していく。

 時間がない。
 わかっている。けれど、それでも晶はまっていたのだ。これまで無闇矢鱈と逃げ回っていたわけではない。
 張り巡らせたワイヤーガンのワイヤーは切断するための刃を仕込まれた強靭なる金属糸である。
 神気の開放によって己の身体が石化していく。
 動きが鈍る。打ち込まれた一撃の痛みが未だ退かない。えづくようにしながら、晶は一歩を前に踏み出す。

 固定され、停滞した空間の中で彼女だけが権能の主として振る舞うことができる。
「自分で自分の終わりを決めるのは自由だけど、他人の人生まで共用するのは傲慢だね」
 張り巡らせたワイヤーが急速に巻き取られていく。
 それはこれまで回避に使ったワイヤーが張り詰め、一点に集約するように配置してあったからこそである。
「暴力で自分の意見を遠そうとするなら、それ以上の暴力で抵抗されるのは諦めてよ」
 晶の権能によっていっきに加速したワイヤーが『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯を雁字搦めに絡め取り、その動きを止める。

 ミシミシと機械鎧やV12エンジンが軋んでいくのを晶は聞く。
「ぐ、おおおおお――ッ!? 馬鹿なっ、こんな、もので、我が、我が終点が超えられる、だと――!」
「そうだよ。人はいつだって停滞していない。固定されない。それが例え、神の力であってもね。だからこそ、人々は明日を望んだんだ」
 超えていく。
 晶は石化する身体の最後の力を籠め、ワイヤーを握りしめた。
 瞬間、『フルスロットル・ヴォーテックス』の左腕が寸断され、絶叫と共に巨大な腕が肉塊となって大地に沈む。

 晶は石化しながら、ゆっくりと息を吐き出す。
 次に繋いだ。後は任せたよ、と仲間たちの背中を見送り、邪神の領域に膝をつく。
 けれど、少しも心配していなかった。
 これまでだってどうにかなったのだ。自分にできることを懸命に紡いできたからこそ得られた勝利を知っている。

 だからこそ、晶は重くなった瞼をためらわず閉じるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

んもー
やっとだよ!

シンプルでけっこうだね!ならこっちも大盤振る舞いだよ!
●対処:勘【第六感】で突撃のタイミングを計って、その進路上に大質量の[球体]くんたちを圧し潰すつもりでぶちまけて受けて立つ!
突撃を受け止めるか、弱めたら、UC『神撃』でドーーンッ!!

キミたちの終点がどうなろうが、今を生きている子たちには関係のないことさ!
約束された栄光の道なんて彼らには必要無いね!
彼らのこれからは、彼らが選んでいけばいい
その先の可能性は、彼らだけのだけのもの…
過去の栄光に永遠にすがりつこうなんてみっともない既得権益の亡者は骸の海へ還っちゃえ!!

さあ歯を食い縛って?笑って? ドーーンッ!!

もちろんあいつらが消えても、弱い人間や悪人も、そして恐ろしい者たちもなお存在するのだろうけれどもね
でもまあいいじゃない
世界ってそういうものだよ
それがずっと続いて…でもいつか、ほんのちょっとでも、いいなってみんなが思える世界になっていってくれれば…
いやそうなっていけるようほんとがんばってね!



『フィールド・オブ・ナイン』の一柱にしてアポカリプス・ランページの最終目標である『フルスロットル・ヴォーテックス』は数多の猟兵達によって開かれた血路によって、漸く討ち果たす段階にまで持ち込むことができた。
 相対する巨躯は凄まじい力を開放し、その体に刻まれた傷痕を癒やすように巨大化していく。
「断じて認めぬ。終点を越えるなど。意味のない明日など、必要ないのだ。それを何故理解しない!」
 激高するように『フルスロットル・ヴォーテックス』は己の力の発露とともに隻腕と成った巨躯をさらに倍へと膨れ上がらせる。

 それは見上げるほどの巨岩の如き威容であった。
 しかし、それと対峙しても尚、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)が傲岸不遜たる態度を崩すことはなかった。
「んもーやっとだよ! 大きくなるのはシンプルで結構だけどね! こっちも大判振る舞いだよ!」
 彼は『フルスロットル・ヴォーテックス』が己をねめつけるのを見た瞬間、その進路上に大量の『球体』たちを圧倒的な物量で持ってぶつける。
 それは蹂躙と呼ぶに相応しい数と圧倒的な力であったが、『フルスロットル・ヴォーテックス』は数多の猟兵たちによって消耗させられてもなお、その力を健在と示すのだ。

「キミたちの終点がづなろうが、いまを生きている子たちには関係のないことさ!」
 ロニは叫ぶ。
 激突する球体たちが弾き飛ばされ、己に迫る巨躯は未だ些かも衰えを感じさせない。
 粉塵を挙げながら突進してくる姿は、まさに質量兵器と呼んでも差し支えのないものであったことだろう。
「約束された栄光の道をたどる事を拒否するなど、無知蒙昧がすること!」
「そんなのなんて彼らには必要ないね! 彼らのこれからは、彼らが選んでいけばいい。その先の可能性は、彼らだけのもの……過去の栄光に永遠にすがりつこうなんてみっともない既得権益の亡者は骸の海へ還っちゃえ!!」

 吹き荒れる暴風の如き力の激突。
 それをロニは真っ向から否定するのだ。
 繁栄があるからこそ、衰退がある。衰退があるからこそ繁栄もまたある。
 盛者必衰の理をあらわすのならばこそ、それを永遠のままに留めておくことは、ただの停滞に他ならない。
 それを永遠と宣うからこそ、世界さえも破壊してしまうのだ。

「永遠の頂点。その頂きを極めればこそ、オブリビオンという永遠は強者にこそ相応しいというのだよ、猟兵!」
 数多の球体たちの突進が、ついに『フルスロットル・ヴォーテックス』の動きを止める。
 それをみやり、ロニの瞳がユーベルコードに輝く。
「さあ歯を食いしばって? 笑って? ド――ンッ!!」
 振り抜くは神撃(ゴッドブロー)の一撃。
 信仰心無き者にも神々しさを感じさせる拳の一撃は、周囲の大地を砕いて尚止まることを知らぬ凄まじき鉄槌。

 それは終点を破壊し、『超克』――オーバーロードの先へと示す輝きであった。
「もちろんさ、君等が消えても、弱い人間や悪人も、そして恐ろしい者たちも尚存在するのだろうけれどもね」
 ロニは拳に思いを籠めたことだろう。
『フルスロットル・ヴォーテックス』の言うところの永遠となすなわち、安寧。
 繁栄のままに永遠を生きること。
 それは確かに理想であったのかもしれない。

 苦しみも、痛みも、何もいらない。
 永遠に続く今日を求める理由なんてそう多くはない。
「でもまあいいじゃない。世界ってそういうものだよ。それがずっと続いて……でもいつか、ほんのちょっとでも、いいなってみんなが思える世界になっていってくれれば……」
 けれど、それを為すのは自分ではないことをロニは知っている。
 己が神たる身であるからではない。
 己が猟兵であるからでもない。

 そう、今日という終点を超えて、明日というオーバーロードに至るのは、いつだって今を生きる人々であるはずだからだ。
 振り抜いた拳が『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨体を吹き飛ばしていく。
 邪魔者は自分がどうにかすればいい。
 それ以外に今を生きる人々が為すべきことはたくさんあるし、問題だって山積しっぱなしだ。

 解答はないし、正答もない。
 けれど、それでもわかっているのだ。より良い明日を求める人々がいるからこそ、より良い世界に成っていく。
 そうなることを彼は望み、同時に願っている。
「いやそうなっていけるようほんとがんばってね!」
 だから、今は自分たちに任せておきなよ、とロニは己の輝くユーベルコードが示す明日を、人々の瞳に灯すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラブリー・ラビットクロー
暁光

戦いの前の黄昏は
いつか見た荒野の空
はとりのユメってどんなユメ?
思いつかないなん?
ううん
皆必死だったもんね

共に戦った仲間が道を切り拓いてくれた
はとりとらぶでアイツに思い知らせてやるんだ
セカイの底力を

ラビットブレスが出す煙幕は
あの時出会ったお爺さんの様に優しくらぶ達を包んでくれる
耳に届くのは共に立ち上がった奴隷だったヒトビトの声
そっちは危ないよって囁く声はホントは敵のチェーンソーの音
皆に導かれる様に動けば攻撃も当たらない
はとりが天を動かしてる
翼を広げ
風に乗って大空へ
今まで出会った全てのヒト達に守られてるみたいだ
みんな
ありがとう

【ネットワークを通じて沢山の応援が寄せられています】
ヒトビトのユメ
願い
希望
あの時の笑顔

眼差し
全てを覚えてる
はとり!
それがはとりのユメなんな!
覚えたぞ!
全部らぶが叶えてあげる!
だってらぶはヒトのユメを叶える大ショーニンなんだ!!
【賛同者多数。ユーベルコード(ヒトのユメ)が世界の法則に介入します。ハレルヤ】


【皆様おはようございます。本日は晴天、人類解放記念日です⎯⎯】


柊・はとり
【暁光】
真の姿不使用

気づけば見慣れた荒野の空は
記憶に残る地球の空とは程遠い
夢?
改めて聞かれると悩むな
俺は目の前の事に必死で…

探偵じゃない普通の高校生になりたかった
ダサすぎて言えやしない
行くぞ

ラブリーの煙幕に紛れて
集中力を高め第六感を研ぎ澄ます
誰かの導く声が聴こえる
俺を導くのは助けを求める声
こんな世界でも生きたかった奴らの声
ラブリーが未来を担うなら
こいつらの無念は俺が背負っていく

風が吹く
こんな時も探偵の呪いは天を揺らす
だがどんな痛みを背負おうと
例え偽神の翼だろうと
皆と一緒なら明日へ羽ばたける
氷獄の偽翼を背に空へ
天候を自在に操り敵の攻撃を吹き飛ばす

UC使用
こいつを大罪人として告発する…!

ラブリー
少しの間俺が寝ないようにしてくれ
俺の夢は今まで助けた皆の幸せ
咎人にもいつか救いが訪れる事
…はは、同じだな
よし全力でこいつシメるぞ
いつか胸張って大商人と名探偵を名乗れるように

常にない力が漲る
俺の底力だけじゃない
俺を苦しめてきたこの剣に
今世界中の希望が集まってる

嵐が去り
空が晴れたら
きっと最高の朝日が見える



 戦いは終焉に至る。
『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯が大地に沈み、されど、未だ霧消することはない。
 ギラつくような破壊への意志。
 終点を定めた『フィールド・オブ・ナイン』の一柱は、未だ認めていなかった。
 敗北を、ではない。
 猟兵たちが『超克』せし終点をこそ彼は認めないのだ。
 あってはならないことなのだ。定めた終点こそが頂点。繁栄の頂点に至れば、後に残るは衰退の一歩。
 ゆえに彼らは決定したのだ。
「もう此処で終わりでいいと。これ以上は必要ないと。永遠にこそ、頂点の喜びが満ちている。そのために世界は終点を迎え、今日という永遠を生きようというのだ」

 吹き荒れる炎がチェーンソー剣と共に全天を覆う。
 その空を見上げ、ラブリー・ラビットクロー(と人類叡智の結晶【ビッグマザー】・f26591)は呟く。
「はとりのユメってどんなユメ?」
 彼女の識る戦いの前の黄昏は、いつか見た荒野の空。
 問いかけられた柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)にとって、アポカリプスヘルの空は最早見慣れた空であった。
 彼の記憶に残る空とは程遠い曇天。
 未だ荒廃の黄昏は終わりを見せない。あるのは何処までも続く今日という終点のみ。
 だからこそ、はとりは聞き返したのだ。
「夢? 改めて聞かれると悩むな」
 そう、今まで自身は目の前のことで必死で、託されたもの、願いに応えることだけが全てだった。
 押し付けられたと思ってしまったことも何度もある。
 どうして俺がという思いがあったのも偽らざる思いであった。その重圧に押しつぶされそうにも成った。

 探偵ではない普通の高校生として生きることができたのならば。
 それを夢と言うには、あまりにもみっともない。だから言えない。
「思いつかないなん?」
 ラブリーは、はとりの聞き返す言葉に頷く。
 きっと必死だったのだ。生きることに、戦うことに。だから、はとりは気がついていないだけなのだ。見ないふりをしているだけなのだ。
 自分のユメに。
 ならばこそ、ラブリーは共に立つ。
「行くぞ」
 まるで照れ隠しをするように、はとりが一歩を踏み出す。
「うん、皆が、仲間が道を切り拓いてくれた。皆と、はとりとらぶでアイツに思い知らせてやるんだ」
 何を、と問う声はもはや無い。

 あるのは唯一つ。
「――セカイの底力を」
 ラブリーが手にした火炎放射器から吹き出すは煙幕。
 思い出す度に優しさがラブリーの心を包み込んでくれる。いつだって思い出す。思い出はラブリーの足を進めるための原動力だ。あのおじいさんのように優しく包み込んでくれるそんな煙を思って吐き出すのだ。
 煙幕が二人を覆い隠し、はとりが駆け出す。

 集中しろ、と己でもない誰かの声が聞こえる。それはまるで助けを求める声のようでもあった。
 こんな世界でも生きたかった者達の声。
 これはきっと無念の声だ。
 ラブリーの耳に届くのは、共に立ち上がった奴隷だった者たちの声。チェーンソー剣が唸りを上げる音と、V12エンジンが轟く音が響き渡る。
 煙幕の中にあってもなお、『フルスロットル・ヴォーテックス』はこちらをねめつけるようでも在った。

「そっちは危ないよ」
 囁くような声は、自然とラブリーの口から漏れ出るように。
 わかっていると、はとりがうなずき無念の声を背負う。ラブリーが未来を担うって突き進むのならば、己だけはこの無念をなかったことにしてはならない。
 何故ならば、これは轍であるからだ。
 己の歩んだ道程。
 それを形作る無念。それが背中を押す。
「終点を越えるなど許せるものではない。到底許容できない! 猟兵! お前たちのやろうとしていることは永遠を破壊することに他ならない!」
『フルスロットル・ヴォーテックス』の声が響く。

 それは叫びというよりも咆哮であった。
 追い求めた永遠。繁栄という名の頂点を持続するためだけに他者に死を強要する装置と化したのが『フルスロットル・ヴォーテックス』である。
 だからこそ、はとりが飛ぶのをラブリーは見た。
 氷獄の偽翼を背に空へと駆け出す。
「風が吹く――こんなときにも」
 はとりの氷の翼が羽ばたき、痛みを背負う。彼にとって名探偵とは呪いの如き名である。
 この名が在る限り、彼は普通ではいられない。
 普通を望むことすらおこがましい。けれど、それでいいのだと言う声が聞こえた気がした。

「はとりが天を動かしてる。今まで出逢った全てのヒト達に守られてるみたいだ。みんな、みんな、ありがとう」
 声が聞こえるのだ。
 希望を灯した声。誰もが絶望に打ちひしがれていた日々があった。
 けれど、それでも前を向いたのだ。顔を挙げたのだ。ならば、もう勝ったも同然である。
 ラブリーにとって明日を生きるためのユメこそが、彼女の背を押すものである。
【ネットワークを通じて沢山の応援が寄せられています】
『非通信端末マザー』の声が聞こえる。

「聞こえる。はとり。みんなのユメ、願い、希望、あのときの笑顔、涙、眼差し。全てを覚えてる」
 ラブリーの瞳がユーベルコードに輝く。
 それは、Dawn of the WORLD(プロジェクト・ディーヴァ)と呼ばれる明日を夢見るのではなく、明日を掴み取るための力。
 繋がったのは、これまで紡いできた戦いがあったからこそ。
 一つ一つを積み上げてきたからこそ結実した力。

 その力が風となって、はとりの翼に追い風を与える。
「ああ、聞こえているよ。わかっている。ああ、そうだとも」
 はとりはこれからどんな痛みがあろうと、偽神の翼であろうと羽撃く氷獄が迫る炎纏うチェーンソー剣を吹き飛ばしていく。
『フルスロットル・ヴォーテックス』の巨躯が見える。
 見下ろす事もできぬほどの巨躯。
 そうだ、あれこそが。
 世界の全ての人々が言う。あの存在こそが真犯人だと!

「こいつを大罪人として告発する……!」
 罪を告発するのは、いつだって勇気が必要だ。覚悟だっている。
 己が間違っているかも知れないと思ったことなど何度だってあるだろう。確実にこうだと断言するために必要なのは物証じゃない。
 状況証拠でもない。
 そう、目の前の存在を断ずるという勇気と覚悟こそが、名探偵の背中を押す。
 そして、今、それを押すのは己の勇気と覚悟だけではない。ラブリーの声に導かれて、世界中の人々の声が聞こえる。
 第二の殺人『眠れる森』(ネムレルモリノサツジン)を思い出す。いや、もう思い出す必要なんて無い。

「ラブリー。俺の夢は今まで助けた皆の幸せ。咎人にもいつか救いが訪れる事だ」
 告げる言葉は己の眠気を飛ばすためのもの。
 それでも否応なしにユーベルコードの眠りが己を襲う。瞼が重い。身体が凍りついたように冷えていく。
 けれど、彼の背を押す風は暖かった。
「はとり! それがはとりのユメなんな! 覚えたぞ! 全部らぶが叶えてあげる! だって――!」
 ラブリーの瞳がさらなる輝きを見せる。

「ああ、同じだな。そうだな、だって――」
 はとりが『フルスロットル・ヴォーテックス』へと迫る。
 いつか胸を張って生きていきたい。死を超越した身体なれど。それでも心が生きているのならばこそ。

「らぶはヒトのユメを叶える大ショーニンなんだ!!」
 名探偵と大ショーニンは此処に在る。
『マザー』の言葉が世界をつなぐ。
【賛同者多数。ユーベルコード、いえヒトのユメが世界の法則に介入します。ハレルヤ】
 響き渡るは、祝福。
 彼女と彼のユーベルコードが重なった時、終点すらも越える永遠を砕く力が発露する。

「『超克』するというのか、永遠の如き頂点を捨てて!」
 振るう『コキュートス』が漲る力を得て輝く。
 オーバーロードの輝き。
 それは敵を穿つ力ではない。
 はとりは気がついただろう。今の己を突き動かすのは己の底力だけではないことを。いつだって偽神兵器は己を苦しめてきた。
 自分にとって『コキュートス』とは苦悶と苦難の象徴である。
 けれど、その剣に今、世界中の希望が集まっている。

 そう、人の思いを増幅するのが『偽神兵器』ならば、人を繋ぐのは『ソーシャルネットワーク』。
 ゆえに叫べ。
「『コキュートス』――!」
 光り輝くは、荒唐無稽なる願い。世界を救うという壮大なるユメ。
 ならばこそ、人の意志が膨れ上がり繋がった時、その輝きは極大を超えて、オーバーロードさえも穿つ一撃と為るだろう。

 放たれる兼線の一撃が嵐を斬り裂き、曇天さえも貫いて、その先にある明日というなの青空を見せる。
『フルスロットル・ヴォーテックス』が人の思いによって一刀のもとに両断され、霧消して消えていく。
 怨嗟も、後に残るような遺恨すらも消し飛ばし、『終点』を超えて最高の朝日を齎すのだ。

 そして。

 猟兵たちが紡ぎ、繋いだ戦いは此処に終結する。
 終わりを超えて尚、見える明日。
 それを人類は取り戻したのだ。ソーシャルネットワークに響く声が聞こえる。

【皆様おはよございます。本日は晴天、人類開放記念日です――】
 静かに。
 けれど、明日のその先へ。
 人は示したのだ。死渦と終点すらも越える明日があることを――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月23日


挿絵イラスト