11
アポカリプス・ランページ⑯〜増殖と破壊

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #フィールド・オブ・ナイン #マザー・コンピュータ #アポカリプス・ランページ⑯

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#アポカリプス・ランページ
🔒
#フィールド・オブ・ナイン
🔒
#マザー・コンピュータ
🔒
#アポカリプス・ランページ⑯


0




●増殖無限戦闘機械都市
 デトロイトの都市全ては今や『増殖無限戦闘機械都市』へと変貌を遂げていた。
『フィールド・オブ・ナイン』の一柱『マザー・コンピュータ』はあらゆる物質・概念を『機械化』する能力でもって、この都市全てを『機械化』し手繰る。
「まさか、六体のオブリビオン・フォーミュラを圧倒するとは。私は自らの理論を訂正しなければなりません」
『マザー・コンピュータ』は見誤ったと言わざるを得ないであろう。
 猟兵たちの力を、その総量を。

 そして何よりも『超克』――『オーバーロード』の力を。
「未来と希望を求める人の意志は、永遠をも破壊する『究極の力』足り得ると」
 それは彼女の研究していた『時間質量論』における根底を破壊するものであったことだろう。
 ならば、理論が否定されたのならば、その訂正の時間をこそ彼女は欲するのだ。
 彼女が永遠にこだわるのは、ただ一つ真理に至りからである。
「私は、真理を求める時間がほしいだけ。時間を停止すれば……すなわち永遠の中では、私は無限の思索を続けられる。私が欲するのは思索であって、その過程で生まれた力に興味はありません」
 だからこそ永遠を求める。
 真理に至ることを求めながら、停滞の如き永遠を求める。
 その矛盾こそが『マザー・コンピュータ』が過去の化身たる所以であろう。

「『フィールド・オブ・ナイン』はあと三体眠っている。猟書家はこの世界に手を出せない。ですが、仮にここで猟兵たちを退けても、『彼ら』がやってくるでしょう」
『彼ら』とは。
 それは何を示す言葉なのか。
 しかし、『マザー・コンピュータ』は頭を振った。
 今己が考えるべきことはそれではない。猟兵相手に深手を負い、戦線の後退を余儀なくされたという『彼ら』のことを考えることは、今は意味がない。
 復活してくる頃合いであろうが、それへの対処を考えるよりも己には考えなければならないことがある。

「私としたことが、未来など考えてどうしますか。物事はシンプルに行きましょう。磨り潰しましょう。猟兵たちが予知と転移によって私を翻弄するのならば、その数をこそ減らしましょう。『増殖無限戦闘機械都市』よ、『グリモア必殺計画』を実行します」
『マザー・コンピュータ』が手を掲げた瞬間、デトロイトが変貌した『増殖無限機械都市』が蠢く。
 それはまるで繭のように全てを飲み込んでいく。

「転移してきなさい。その時こそが『グリモア必殺計画』の結実。私を見ていますね、猟兵。さあ、かかっていらっしゃい――」

●アポカリプス・ランページ
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回向かわなければならないのはデトロイトです。『フィールド・オブ・ナイン』の一柱である『マザー・コンピュータ』が生み出した急増機械軍製造工場……なのですが」
 ナイアルテの言葉はどこか歯切れが悪かった。
 伝えるべきか、否かを迷い、そして意を決したように言葉を紡ぐ。

「『マザー・コンピュータ』の狙いはグリモア猟兵です。彼女はみなさんが転移するためにグリモアの力が必須であることを理解し、デトロイトの都市を変貌させた『増殖無限戦闘機械都市』へとグリモア猟兵毎皆さんを閉じ込め、殲滅しようとしているのです」
 それはすなわち、猟兵の戦いの根幹を揺るがす攻勢であった。
 予知したグリモア猟兵が死亡すれば、新たな猟兵は向かうことができず、そして戦っていた猟兵たちも後退することができなくなってしまう。

 この戦いに赴くということは不退転の決意を要する。
「……この事件を予知した私は否応なしに『増殖無限戦闘機械都市』に閉じ込められてしまいます。大地も、空も戦闘機械で埋め尽くされた敵のフィールドで『オブリビオン・フォーミュラ』たる存在と戦わなければならないこと……それをお詫びいたします」
 ナイアルテは転移を維持し続けるために、戦うことができない。
 他のグリモア猟兵であれば、それもできたかもしれないが、彼女は他の猟兵と比べて見劣りする。

 ゆえに守られなければならない。言わば足枷であり、猟兵たちを危険に晒すことにしかならぬことを危惧している。
 守らねば転移を維持できず、さりとて守りすぎれば『マザー・コンピュータ』を倒しきれぬ。
「……皆さんの足手まといになるつもりはありません、と言えたのならばよかったのですが、それも叶いません」
 しかも、予知した以上必ずナイアルテは『増殖無限戦闘機械都市』に閉じ込められてしまう。
 ここにきてまさか自分が猟兵の足を引っ張るとは思いもしなかったのだろう。

 だからこそ、限られた時間の中で伝えるのだ。
「『マザー・コンピュータ』はあらゆる物質、概念すらも機械化する力を持っています。彼女の恐るべきところは、無限に増殖する戦闘機械を繰り出すこと。全ては私達猟兵を撃破するためにむけられているという点において、これを突破し、なおかつ……」
 そこまで言いかけてナイアルテは頭を振った。

「いいえ、皆さんは『マザー・コンピュータ』を打倒することだけを考えてください。どうか、お願いいたします。アポカリプスヘルに生きる人々のため、彼らが求めてやまない明日という希望を護るために、『マザー・コンピュータ』を打倒してください――」


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『アポカリプス・ランページ』の戦争シナリオとなります。

 デトロイトの都市を機械化し、『増殖無限戦闘機械都市』へと突入し『マザー・コンピュータ』を打倒するシナリオになります。

 今回、転移を担当するグリモア猟兵が標的になっています。
 これを守りながら『マザー・コンピュータ』を打倒しなければ、繭のように空も大地も機械化された『増殖無限戦闘機械都市』からの帰還も叶いません。
 守らなければならない対象と倒さねばならない対象が同時に戦場にあるという難しい局面を乗り越えましょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う。

 それでは、『フィールド・オブ・ナイン』の齎すカタストロフを阻止する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
273




第1章 ボス戦 『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』

POW   :    マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD   :    トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ   :    マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。

イラスト:有坂U

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バルタン・ノーヴェ
了解!
ナイアルテ殿を護りつつ、マザーを攻撃いたしマショー!
防衛戦は得意デース、お任せくだサーイ!

マザーは年齢がバレる大きさで来るので近づけばわかりマスネ!
離れた隙を狙われないよう、ナイアルテ殿の近くでガードしマース!
戦闘機械の攻撃をファルシオンで受け流し、弾の一つも届かせマセーン!
カウンターでグレネードランチャーをお見舞いしてやりマース!

マザーが姿を見せたならば、こちらもUCを起動!
「骸式兵装展開、岩の番!」
巨大な岩腕岩鎧を纏い、ブラキエルの防御力でナイアルテ殿を護りマース!
近づいて来るなら岩腕で応戦し、射撃攻撃はこの身で受けてみせよう。
決して我が友を傷つけさせんよ、フォールド・オブ・ナイン。



 デトロイトの都市は全てが『増殖無限戦闘機械都市』に飲み込まれた。
 それは天地全てが戦闘機械へと変貌させられた『フィールド・オブ・ナイン』、『マザー・コンピュータ』の持つ『機械化』能力故であった。
「ここで私の永遠の思索を阻む者全てを滅ぼしましょう。私は『マザー・コンピュータ』――『フィールド・オブ・ナイン』にして『オブリビオン・フォーミュラ』……護るものという足枷と共に何処まで戦えるのか、見せてもらいましょうか」
 彼女の声が響くと同時に巨大な戦闘機械に変貌した『マザー・コンピュータ』の巨体がグリモア猟兵の前に立ちふさがる。

 ここでグリモア猟兵を喪っては、新たなる猟兵たちが転移することもできず、この場に転移してきた猟兵達は皆退路を絶たれてしまう。
 そうなってはこれ以上戦うことは不可能。
 ゆえにグリモア猟兵は、猟兵たちの命綱であると同時に足枷にも成り得るのだった。
「了解! ナイアルテ殿を護りつつ! 防衛戦は得意デース、お任せくだサーイ!」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が迫る戦闘機械群に立ちふさがり、巨大な戦闘機械となった『マザー・コンピュータ』と相対する。

 グリモア猟兵であるナイアルテをかばうようにして立つバルタンは、雇われメイドサイボーグとしての本領を発揮するようにボディーガードを続行する。
 放たれる砲撃をファルシオンで受け流し、弾の一つも届かせぬと鉄壁の守りを続ける。
「私のことは――!」
「心配なららうとも弾の一つも届かせマセーン!」
 その言葉にバルタンは笑う。
 こういう時は心配など杞憂であると笑い飛ばしたほうがいいのだ。バルタンの放ったグレネードランチャーの一撃が爆風を持って戦闘機械群を吹き飛ばしながら、迫る巨大戦闘機械へと変貌した『マザー・コンピュータ』を見やる。

「その巨大さで『マザー・コンピュータ』の年齢がバレるデース!」
 それはあまりにも強大な存在であった。
 振るわれる鉄腕んお一撃はバルタン毎グリモア猟兵を叩き潰さんと振るわれる痛烈為る一撃。
 それらをバルタンの瞳は見逃さなかった。
「骸式兵装展開、岩の番!」
 輝くのはユーベルコード。
『大天使ブラキエル』を模した姿に変形する機能を持って生み出されるのは、模倣様式・絶対岩腕(イミテーションスタイル・ブラキエル)。
 それは飛翔能力がないかわりに頑強なる二対の岩腕と岩翼。
 巨大な岩鎧は、イミテーションと言えど、凄まじい防御力を持って振るわれる巨大質量となった鉄腕の一撃を防ぐのだ。

「――猟書家の力を模したユーベルコード……なるほど。それが貴方の力」
 再び振るわれる鉄腕。
 けれど、バルタンは一歩も退かなかった。退いてなるものかと岩翼が砕けても尚、前進した。
 戦闘機械群が放つ弾丸の雨からナイアルテを護る岩翼は限界が来ていた。けれど、それでもバルタンは岩腕を持って突き進む。

「決して我が友を傷つけさせんよ、『フィールド・オブ・ナイン』」
 そこにあったのは己がバトルメイドだからではない。
 護るべきと決めたものを護る。
 ただその一つの目的のためにならば、何処までも輝きを強めるユーベルコード。
 戦うことこそが彼女の本質であるのならば、守るための戦いにこそ彼女の本領が発揮される。

 己の体を覆うブラキオンの鎧に似た岩鎧を纏った姿は、まさしく守護神と呼ぶに相応しい威容であったことだろう。
「依頼を完遂するためには、全力を費やすプロ。それがワタシなのデース!」
 唸る岩腕が振り上げられる。
 どれだけ巨大な戦闘機械となった『マザー・コンピュータ』であろうと関係ない。
 鉄腕を振り上げる一撃と岩腕の迎え撃つ一撃が激突し、互いの拳を砕く。
 けれど、バルタンは止まらない。

 まだ己は一撃を加えていないとばかりに突き進み、『マザー・コンピュータ』が変貌した巨大戦闘機械を前に拳を振り下ろす。
「鉄が岩に負ける……!?」
「そういう問題じゃないデース!  これが護るための力デース!」
 振り抜かれた岩腕の拳が『マザー・コンピュータ』を覆う巨大戦闘機械の装甲をひしゃげ、吹き飛ばす。

 それはバルタンがただのプロではなく。
 己の信念を貫き通す、本当のプロであることを示すには十分な一撃であったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
ナイアルテさんにはいつもお世話になってる居ります。ですから……そうじゃないですね、そうでなくとも守ります。絶対に。

UCで変身して、ええと懐にナイアルテさんにそこに居てもらいます。きっとここなら一番攻撃が当たりにくいでしょうから。しばらく不自由させますがご容赦を。
カードを利用した術式での光線で攻撃を。敵が出現し続けるというのならそれを上回る速度で攻撃をすればいいだけの事です。

相手の攻撃は直感(第六感)で空中機動利用で回避するように。
都市の大きさによっては回避が難しいかもですが、激痛耐性で耐えます。最悪懐さえ守れれば良いのです。



 鉄腕砕けた巨大戦闘機械に包まれた『マザー・コンピュータ』が驚愕する。
 彼女の理論、見立てでは猟兵とは個としての力は、オブリビオンに到底及ばない。けれど、現実として猟兵達は六体の『オブリビオン・フォーミュラ』に対して圧倒してくる。
「相対して確信しました。やはり猟兵とは私の『時間質量論』では説明できない。その混沌、その法則性すらない形は」
『マザー・コンピュータ』が呻く。
 だが、彼女の能力はあらゆるものを機械化する力。
 物質、概念あらゆるものを機械化する力は、この都市すらも……アメリカ大陸すらも機械化するであろう。

 ならばこそ、猟兵はこの戦いを制しなければならない。
「ナイアルテさんにはいつもお世話になって居ります。ですから……」
 夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は、グリモア猟兵であるナイアルテの側に寄る。猟兵の一撃に寄って吹き飛ばされたとはいえ、すぐに『マザー・コンピュータ』は機械化の能力に寄って砕けた鉄腕を補修して追撃を加えてくるだろう。

 そうでなくても、機械戦闘群がグリモア猟兵を狙っている。
「そうじゃないですね、そうでなくとも護ります。絶対に」
「藍さん……ですが、貴方の身の方が……」
 己が足手まといになっている自覚があるのだろう。ナイアルテは言いよどんだが、藍は構わなかった。
 彼女の手を取ってユーベルコードに瞳を空に向ける。
 それは、星乙女(パルテノス)たる彼女の真なる姿をさらけ出す力。
 光の翼を持ち、顔を隠した女性の姿へと変貌した藍が彼女を抱えて空へと飛び上がる。

「此処に居てください。きっとここなら攻撃が当たりにくいですから。しばらく不自由をさせますが、ご容赦を」
 藍はそう言って、ナイアルテを抱えたまま凄まじい速度で飛ぶ。
「グリモア猟兵……逃がすものですか」
『マザー・コンピュータ』もまた凄まじい速度で飛翔する。追いすがる巨体を背に藍はなんとしても彼女を安全な場所に確保しなくてはならぬと飛ぶ。

 迫る戦闘機械の群れが銃弾を放つが、彼女の手にしたカードから放たれる術式の光線が、追いすがる戦闘機械を薙ぎ払っていく。
 それは凄まじい力の奔流であり、どれだけ敵が凄まじい物量で持って己たちを追いすがるのだとしても、それを上回る破壊の力でもって殲滅しつづければいい。
「ちょこまかと――!」
「藍さん、左です!」
 ナイアルテの声が響く。その言葉に藍は翼を羽撃かせ、振るわれる鉄腕の一撃を躱す。

「飛びにくい、ですが……!」
 最悪懐のナイアルテだけでも守れればいいという藍に彼女は首を振る。
 戦って勝つだけではダメなのだと。
 その瞳は言っている。戻るのならば、一緒にと。その瞳に藍は頷くだろう。
 ならばこそ、と彼女の翼が大きく羽ばたく。

 手にしたカードから術式が展開される。
 真白の光線が藍の力によって放射される。どれだけ『増殖無限戦闘機械都市』が天地を覆うのだとしても、それでも彼女は飛ぶだろう。
 護って勝つために。
 彼女を信じている者を守るための。
 そのために彼女は真の姿をさらけ出して戦う。その力はきっと誰かのために振るわれるものであったのだろう。

「この入り組んだ戦闘機械の群れの中をかいくぐるなど……!」
『マザー・コンピュータ』が驚愕する。
 理論値ではありえぬほどの回避率を藍は見せていただろう。
 世界を守るという大きなものではなくてもいい。今は懐に抱くたった一人を守るために振るう力であっても、それに敗けぬだけの力を彼女は生み出している。
「これもまた私」
 そう、真の姿は彼女の側面の一つにしか過ぎない。

 放たれる光線が『マザー・コンピュータ』の巨大戦闘機械を貫き、その四肢を分断する。
 これ以上、グリモア猟兵を追わせぬと藍は己が守るべきものに触れさせぬと戦闘機械都市を飛ぶのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
無限増殖…か
グリモアを狙う為にそこまでの規模の戦力を持ち出すとは…
どいつもこいつも、フィールドオブナインって奴はやる事が大きい
やっぱり全員、生かしちゃおけないね
守りながら戦う、やれない事は無い…かな
ま、大船に乗ったつもりでいてよナイアルテさん


至るは超克、オーバーロード!
真の姿解放、外装転送出力全開!
模造神器4本全抜刀!
さあ、大盤振る舞い
このサイズ相手でも、十分やれる兵装は持ってきた!
【Code:T.S:】起動
雷刃最大サイズで4本全展開!
まずは一薙ぎ…いや、四薙ぎかな
両副腕で水平に360度
私の両手で縦方向に360度『なぎ払い』、斬り割く!
斬った後はナイアルテさんの近くで守りながら、機械兵器群や戦闘機械都市を攻撃し続ける
周囲には『オーラ防御』でシールドも展開
巨大戦闘機械が見えたら先んじて『串刺し』攻撃で先制する!

さあ、マザー
どれだけ遠くに居ても、私はナイアルテさんを守りながら戦える
それとも、剣の届かない遠距離まで逃げる?
13㎞離れれば射程外だよ
悪いけど、簡単に近づけるとは思わないでね?



「真の姿……やはり猟兵とは」
『フィールド・オブ・ナイン』たる『マザー・コンピュータ』はユーベルコードの輝きを前にして己の身に纏う巨大戦闘機械が受けた四肢の欠損を周囲の戦闘機械都市から補填するようにして修復し、立ち上がる。
 その中心にコアとして存在する彼女の瞳は消耗した猟兵から降ろされたグリモア猟兵の姿を見ていた。
 こちらの計画の尽くを看破するグリモアの力。
 それをたぐり、猟兵たちの異世界への転移を実現させ、維持させ続けるのがグリモア猟兵の役目であるのならば、それこそが楔であると彼女は知る。

 だからこそ、彼女はグリモア必殺計画にて、この戦闘機械都市にて天地を覆って逃さぬ牢獄へと変えたのだ。
「けれど、それでもまだ追い込めませんか。ですが、それでも。この圧倒的な物量で磨り潰して差し上げましょう。なにせ、こちらの資源は潤沢。増殖しつづける機械都市の中で貴方達は潰えるのです」
 そう、どれだけ猟兵がこちらの計画を看破しているのだとしても、圧倒的な物量の前には個としての力など無意味。

 それを知らしめるように戦闘機械都市の天を飛ぶのは機械兵器群。
 狙うは唯一グリモア猟兵である。
 放たれる弾丸が、彼女へと放たれた瞬間、青い残光がほとばしり、それらの尽くを弾き、放たれる斬撃波が機械兵器群を斬り裂き落とす。
 それは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)の手にした模造神器の剣閃であった。
「――玲さん!」
「ま、大船に乗ったつもりでいてよ、ナイアルテさん」
 玲は茶目っ気たっぷりに笑って、迫る『マザー・コンピュータ』の巨躯を見やる。未だ距離はあるが、あれだけの機械兵器だ。すぐに追いつかれる。
 ならば、と彼女の瞳が輝く。

 無限増殖する機械都市にあって、『マザー・コンピュータ』が健在のうちに逃げ切ることなど不可能に近い。
 天地を多い、あらゆる箇所から襲い来る機会兵器群は、圧倒的な物量であった。
 これほどの規模の戦力を持ち出すのは、それだけグリモアを脅威として見ているからであろう。
 これまで戦ってきた『フィールド・オブ・ナイン』たちはやることの規模が大きすぎる。
 未だ三体が眠っているというのは僥倖であったのかどうかは、まだ解らない。
 けれど、たった一つ確かなことがある。
「やっぱり全員、生かしちゃおけないね」
 かばうようにして玲は背にナイアルテを隠す。

 護って戦う。
 それはナイアルテという足枷を帯びて戦うようなものであった。自分を護り、攻め、護衛対象をも守る。
 厳しい戦いになるだろう。
 けれど、玲は笑って言うのだ。
「やれない事は無い……かな」
 何故ならば、彼女には力がある。彼女が重ねてきた研鑽。研究データの全てが今の彼女を形作っていることは言うまでもない。
 輝く瞳は『超克』。召喚されるは、副腕。模造神器を振るうためだけに生み出された副腕は、模造神器の擬似的ながらもUDCの力を奔流として放つ。

「至るは『超克』、オーバーロード! 外装転送出力全開!」
 彼女が開発した模造神器は四振り。
 本来は二振りが限界である。けれど、外装副腕によって全ての模造神器を振るうことを可能とするのが、彼女の真なる姿にして、本来のスペックなのだ。
「……UDC。かの地球の邪神の力を限定的ながら再現している……これもまた猟兵の力。明日を望む希望が齎した『究極の力』……『彼ら』が撃退されるのも頷けるというものです……ですが!」
『マザー・コンピュータ』が巨大戦闘機械と共に飛ぶ。

 その速度は巨体とは思えぬほどの速度であったことだろう。
 噴射するバーニアが巨大質量となって玲に迫る。叩き潰さんと振るわれる鉄腕を晶は見ただろう。
 だが、玲は笑う。
「さあ、大盤振る舞い! 全抜刀! このサイズ相手でも、十分やれる並走は持ってきた!」
 漲る力はオーバーロードを超えて、過剰に模造神器に出力される。
 出力が上昇し、模造神器の刀身に雷刃が形成される。それは、彼女たちに迫る機械兵器群や『マザー・コンピュータ』を前に膨大な、それこそ信じられぬ出力でもって放たれる横薙ぎの一撃であった。

「まずは一薙ぎ……いや、四薙ぎかな」
 両副腕が振るう模造神器の一撃が水平方向に全周を切り裂く。ただ、その一撃であっても膨大な数の機械兵器群が撃ち落とされ、爆散していく。
 だが、それでも玲の追撃は終わらぬ。
 己の腕で振るわれる斬撃が縦に振るわれ、繭のように覆われた増殖無限戦闘機械都市を切り裂くのだ。
「――なっ……!?」
「さあ、マザー。どれだけ遠くに居ても、私はナイアルテさんを護りながら戦える。それとも」
 玲は挑発するようにCode:T.S(コード・サンダーソード)によって生み出された雷刃の出力を見せつけるように再び迫る機械兵器群を殲滅する。

 圧倒的な力の奔流の前に敵などいなかった。
「――剣の届かない遠距離まで逃げる?  けど、無駄だよ。私の射程は13kmだっつってね!」
 悪いけれど、と玲はオーバーロードに至りし猟兵としての力を見せつける。
 これが究極の力だというのならば、それを超えることなど容易ではないだろう。
 個としての力はオブリビオンに及ばぬなど、最早常識でもなんでもない。いつだって猟兵は常識を覆して来たのだ。

 これが、猟兵。
 生命の埒外にある存在。玲はナイアルテを背に庇いながら剣を振るう。どれだけの物量があったとしても関係ない。
「悪いけど、簡単に近づけるとは思わないでよね?」
 その背後でナイアルテの瞳が輝く。見据えるは、正面。玲の肩を叩いた瞬間、玲の四振りの模造神器が突き出される。

 それは雷刃というよりは雷槍であった。
 覚醒此処に至れり。
 瞬時に形成される雷の一撃が『マザー・コンピュータ』が纏う巨大戦闘機械を引き剥がし、神速の突きとなって貫くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第四『不動なる者』盾&まとめ役の武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:灰遠雷

グリモア猟兵を守る。こういうのはわしの役目なのよな。

さて…機械とはたいてい無機物であるからな。指定UCを発動。付随する電波妨害も利用していこう。
さらに、ナイアルテ殿。陰海月と一緒に霹靂に乗るがよいよ。霹靂、下からの攻撃に備え浮くがよい。陰海月、上と横からの攻撃に対して結界を。

わし自身は地面におるが…機械は雷に弱いと聞く。指定UC効果もあるし…ただ、真っ直ぐにマザーに向かって雷+重力属性の矢を射るのみよ。
まあ、わしの防御は内部三人の結界に任せておるのだがな。



 猟兵と『フィールド・オブ・ナイン』、『マザー・コンピュータ』の戦いは綱渡りのような戦いであった。
 グリモア必殺計画。
 それは『マザー・コンピュータ』が導き出した猟兵たちのアキレス腱を狙う攻勢であったのは言うまでもない。
 猟兵たちが異世界の事件を感知し戦いに赴くことができるのはグリモア猟兵が転移を維持しているからに他ならない。
 ならばこそ、そのグリモア猟兵さえ潰してしまえば、全ではなく個として存在する猟兵達は転移してくることも、後退することもできない。

 そこを圧倒的な物量ですり潰せばいいのだ。
 けれど、未だそれを為すことができない現実に『マザー・コンピュータ』は歯噛みする。
「確かに私の方が強い。これは確定している事実。だと言うのに、何故仕留めきれないのでしょう」
 不可思議な力が働いているわけではない。
 けれど、確かに猟兵は『究極の力』にさえ手をかけている。その力だけではないことを彼女は気づき始めていた。

「グリモア猟兵はを守る。こういうのはわしの役目なのよな」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱である『不動なる者』が戦場に立つ。
 守るための戦い。
 盾としての有り様。それこそが生前の彼の役目であったのならばこそ、今此処に立つに相応しい存在であったことだろう。
「ナイアルテ殿。『陰海月』と一緒に『霹靂』に乗るがよいよ」
「え、あ、え……!? ま、待ってください。わ、私は……!」
 ナイアルテが驚いた声を挙げたのは、『陰海月』がその触腕でもって彼女の体を持ち上げ、『霹靂』の背に彼女を載せて飛び上がったからだ。

「ぷっきゅい!」
「クエッ!」
「『霹靂』、下からの攻撃に備えて飛び続けよ。そして『陰海月』、上と横からの攻撃に対して結界を」
『不動なる者』が指示を出し終えた瞬間、地面より生み出された機械兵器群が彼を襲う。
 それは蹂躙兵器。
 地面を埋め尽くす芝刈り機のような姿をした凶悪なる兵器群であった。けれど、『不動なる者』はそれを受け止める。
 確かに強力無比為る攻撃であろう。
 確実に猟兵を仕留めようとする意志を感じる。けれど、それでも『不動なる者』は己の名を知らしめるように言うのだ。
「言ったであろう。こういうのはわしの役目なのよ。この程度で!」
 兵器群を押し返す『不動なる者』のオーラは凄まじいものであったことだろう。
 見えぬ壁が兵器群を押しつぶさんばかりに押し返し、迫る攻撃を受け止め続けるのだ。ご武運をという声が遠く響くのを『不動なる者』は聞いただろう。

「おかしいですね。たった一人で何ができるのかと思っていましたが、四つの質量が束ねられている……やはり埒外」
『マザー・コンピュータ』が『不動なる者』を見て呻くだろう。
 様々な種族、法則性も規則性もない猟兵としての有り様。それは真理を求める彼女にとって奇異なるものであったからだ。
 けれど、『不動なる者』は答える義理はないと、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

 受け止めていた兵器群が突如として漆黒の鴉へと変換されていく。
 それは周囲に伝播するようにして『マザー・コンピュータ』が生み出した兵器群を飲み込んでいく。
 さらに電波妨害のジャミングを放つ漆黒の鴉たちが飛び立ち、全ての兵器群の連携を立っていくのだ。
「これで彼女らを追うことはできまい。そして――」
 弓を引き絞る。
 雷は機械の天敵。
 アースという備えがあれど、その力が及ぼす影響は無視できるものではない。籠められた雷の力と重力の矢を『不動なる者』は機械群に組み込まれた『マザー・コンピュータ』目掛けて射掛ける。

 空を疾走る一射が『マザー・コンピュータ』の眉間に迫り、けれど既のところで機械群に防がれてしまう。
 けれど、その一撃は彼女の頬に一条の傷痕を刻み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

ナイアルテさんは決して足枷なんかじゃない
俺達をこうして戦場へ送り出してくれてる、大事な仲間だ!
だから、俺達仲間を遠慮なく頼ってよ!
ナイアルテさんにそう笑顔で話し掛けた後は真剣モードへ

さて、迎撃に向いたUCは俺も持っている
光と闇の疑似精霊、俺に力を!
敵は天地埋め尽くすような大量の戦闘機械の群れだけど…皆で頑張って乗り切ろう!
近付く敵の群れは闇の波動で迎撃し、万一ナイアルテさんに到達しそうな敵がいたら身を挺し【かばう】
光の波動で回復可能だ、ガンガン行くぞ!
闇の波動で傷ついた敵へ追撃で雷【属性攻撃】付与した護符の【乱れ撃ち】
【貫通攻撃】でついでにマザーへのダメージも狙う



 猟兵の使役する幻獣たちによって『マザー・コンピュータ』から遠ざけられたグリモア猟兵が『増殖無限戦闘機械都市』の大地に降り立つ。
 天地は機械に覆われ、逃げ場など無い。
 猟兵の放つ規格外の攻撃を受けて尚、物質、概念を『機械化』する能力を持つ『マザー・コンピュータ』の力は凄まじいものであった。
 またたく間に増殖する機械群が『増殖無限戦闘機械都市』を繭のように包んでいく。
 それはまるで逃げ場などないというように。

「このままでは……」
 ジリ貧であるとグリモア猟兵であるナイアルテが呻く。
 己が足枷であるという自覚が在った。他の猟兵のように戦うこともサポートすることもできない。けれど、それは間違いであると鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は隣に駆け寄り声を掛ける。
 自分はこれからまた戦いに赴かねばならない。
 いつだって見送ってきてもらった立場であるけれど、ひりょはこれだけは伝えねばならぬと思ったのだ。
「ナイアルテさんは決して足枷なんかじゃない。俺たちをこうして戦場に送り出してくれる、大事な仲間だ!」

 ひりょは笑って言う。
 何も苦しいことなんかないのだというように。互いに役割があるのならばこそ、ナイアルテの言う足枷などという言葉は必要ないのだと力強く告げるのだ。
 その瞳に輝く意志を受けてナイアルテはひりょに頭を下げる。
 いつものように送り出す。
 それが彼女のできる精一杯であったことだろう。
「だから、俺たち仲間を遠慮なく頼ってよ! いってくるよ!」
 
 背を向けて走り出す。
 迫る機械兵器群。それは猟兵を殺すためだけに存在する兵器である。
 空を大地を駆け抜ける兵器群は様々な武装を身にまとい、縦横無尽に『増殖無限戦闘機械都市』を駆け抜ける。
「光と闇の疑似精霊、俺に力を貸してくれ!」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 己が見据えるは『マザー・コンピュータ』である。オブリビオン・フォーミュラの一柱。
 けれど、怯むことはない。

 これまで何度も恐るべき敵と対峙してきた。
 何度も挫けそうになった。けれど、それでもその都度ひりょは立ち向かっていったのだ。
 天地を埋め尽くす兵器群。
 けれど、ひりょはこの怒涛の波の如き軍勢を前に集った猟兵たちの力を持って戦い抜くことを心に決めた。
「闇の疑似精霊!」
 闇の波動が放たれる。それらは迫る兵器群を吹き飛ばす。

「無駄です。私の『機械化』能力は、あらゆるものを、概念すらも『機械』へと変えていく。抵抗は無意味。何故それがわからないのです」
『マザー・コンピュータ』の声が響く。
 けれど、ひりょは構わなかった。護符を乱れ打ち、雷が迸る。
「それが絶対死守の誓い(ヒカリトヤミノシエン)だからだ。どれだけ傷ついたって構わない。皆の笑顔を守りたいっていう俺の願いのためには!」

 光の疑似精霊がひりょの体を癒やしていく。
 傷を恐れない。
 恐れるべきをもう知っている。自分以外の誰かが傷つくことのほうが、ひりょにとっては恐ろしいことだ。
 だからこそ、守るための力がユーベルコードとして輝くのだ。

「人が明日を望む希望を捨てない限り、俺は戦い続ける。無駄なことなんて何一つないんだって証明してみせる!」
 ひりょが疾走る。
 手には護符。雷の力を籠めた一撃が放たれる。
 迫る機械兵器群がひりょの体を切り刻んでも、即座に光の疑似精霊が傷を癒やしてくれる。

 構わない。突き進めと振りかぶった一撃が雷撃の力を呼び起こし、『マザー・コンピュータ』を穿つ。
 己の傷を厭わぬ者。それを蛮勇と呼ぶにはあまりにも輝きに満ちたものであった。
 その名をきっと人は勇気と呼ぶのだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒髪・名捨
【心境】
「足を引っ張る?これって単に持ちつ持たれつ。…って奴だろ?」
グリモア猟兵の予知が無かったらそもそもオレ達は立ち上がれてもいなかったんだしな。

【行動】
変身には変身…ってな。
空迅で巨大化しつつマザーに殴りかかる。
ナイアルテの守りは頼むぜ寧々。
寧々をナイアルテの方へ『投擲』

寧々「こらー」

ナイアルテ周囲を丸々寧々の『神罰』による攻防一体型の『結界術』で覆ってもらう。
結界術で防げないのはオレが身を挺して『オーラ防御』で『かばう』

『破魔』の力を宿した光の拳と自前の拳で機械群を破壊するが、ここはまとめて行こう。
『覇気』を『範囲攻撃』の『レーザー射撃』で撃ちだす
この破壊光線でマザーもろとも破壊する!!



 グリモア猟兵の存在が戦う猟兵の足を引っ張ることなど在ってはならない。
 それは自らを転移させたグリモア猟兵の悔恨であったのかもしれない。
 けれど、それらを一笑のもとに付すのは黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)であった。
「足を引っ張る? これって単に持ちつ持たれつ……ってやつだろ?」
 そもそもが予知がなければ、己達は立ち上がることもできない。 
 戦いに赴くこともできぬのだからと、名捨は言う。
 それは事実であったのだろう。けれど、それでもと思う者がいるのもまた事実。

 だからこそ、名捨は己たちを呼んだことを後悔などさせぬとと戦場に立つのだ。
 退路はない。
 あるのは戦って勝って帰る道だけだ。
「だから、ナイアルテの守りは頼むぜ、『寧々』」
 ほらよ、とナイアルテに喋る蛙『寧々』を投擲し、名捨は駆け出す。『増殖無限戦闘機械都市』は天地全てが機械兵器群に覆われている。
 目指すは『フィールド・オブ・ナイン』、『マザー・コンピュータ』。
『オブリビオン・フォーミュラ』たる彼女を倒すのは確かに至難の業だろう。

 けれど、背後から『寧々』の声が聴こえる。
「こらー! 後で覚えておくのじゃぞ、旦那様よ!」
「あ、あの……私の責任ですので、どうか喧嘩は……」
 そんな『寧々』とナイアルテのやり取りが聴こえるのだ。これは後できっと面倒なことになるが、ナイアルテに仲介してもらえばいい話だ。
 それくらいしてもらったって構わないだろうし、彼女の罪悪感が晴れるのならば、それでもいいとさえ思ったのだ。

 彼女のまわりはすでに『寧々』が張り巡らせた結界で覆われている。
 あれでも防げぬ攻撃であれば、自身がかばえばいい。その程度のものなのだ。何も問題はない。
 いつものように敵をぶっ飛ばして帰る。
 ただそれだけなのだ。
「果たしてそれが上手くいくと思いますか?」
 巨大戦闘機械を纏った『マザー・コンピュータ』が鉄腕を名捨に振るう。その一撃は凄まじいものであり、鉄槌の如き一撃であったことだろう。

 けれど、名捨の瞳がユーベルコードに輝く。
 空迅(クウジン)。
 それは名捨の体を光の巨人へと変貌させ、振るわれた鉄腕を光の拳で持って粉砕するのだ。
「さあな。でも殴れば壊れるってことはよ!」
 自前の拳。
 男ならば、これでこと足りるというように光の巨人となった拳の一撃が迫る機械兵器群を薙ぎ払う。

「でたらめな! 質量も何も在ったものではないですね」
「ま、そういうもんさ。ここはまとめていかせてもらう!」
 己の覇気が漲る。
 距離は十分。避けられる可能性もない。グリモア猟兵を抹殺せんと、此方に近接戦闘を挑んだことが運の尽きである。
 漲る覇気が光の巨人の全身から迸る。

 それは破壊光線となって、天地を覆う機械都市の兵器群の尽くを打ちのめし、破壊していく。
 爆風が吹き荒れ、『マザー・コンピュータ』がたたらを踏むようによろめいた瞬間、名捨は見過ごさなかった。
「となれば、よろめくよなぁ! ――あばよッ!」
 振り抜いた拳が『マザー・コンピュータ』を覆う巨大戦闘機械を打ちのめし、機械都市の大地へと叩きつけ、その目論見が何一つ叶わぬことを知らしめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天海空・奏楽
【即席】
ニノマエ先輩、ノゾミ先輩と同行するっす。
……お二人の視線が痛い。
突き刺さるっす。
そうですね。
今回このメンツで範囲攻撃が一番得意なのって俺ですもんね。
わかりました。
……とにかく雷神震撃を撃ちまくるっすよー!
どんどん!
じゃんじゃん!
あのマザーって何なんスか!
敵、いっぱい湧いてきてますけど!
コワッ……あっ、いや、すいませんナイアルテさん。
今一番大変なのって、ナイアルテさんですよね。
今度、美味しい饅頭いっしょに食べに行きましょう。
俺、美味い店知ってて。
食べるだけで、すげー元気でてきますから。
あ、じつは今、一個持ってます。
この戦いが終わったら半分こしませんか。
……はい、わかってます。
俺、純粋に火力ですよね。
火力として期待されてる。
はい、働きますから、視線で斬らないで下さいよぅ……。

マジな話、とにかく正面の敵を削るべく頑張ります。
連続で道術を使っても倒れません。
絶対。
根性見せるのはここだッ!
全員で帰還しますよ!


青霧・ノゾミ
【即席】
ニノマエ、奏楽と。

そうなんだよー、今回手数が足りない気がしてさ。
つい呼んじゃった。
しっかり働いてね、奏楽。
きみの状態異常を引き起こすUCは頼もしいからさ。
奏楽のUCで感電状態の敵に対し、重ねるように氷矢を飛ばす。
数で押してくる敵を確実に止めていきたい。
じりじり進まれると困るんだよね。
長期戦になることも覚悟して、二人で交互に範囲攻撃を使って
消耗を防ぎながら護り切りたいよね。
ナイアルテさんを、さ。
いつも予知してくれて、ありがとう。
ちょっぴりファンなんで、ご迷惑にならないように応援したいなって。
……奏楽は調子に乗らないように。
とにかく、僕も数を撃つ感じにはなるのでね。
範囲攻撃を抜けてきた敵に対しては、氷刃で斬り飛ばす。
少しでも押し返してやりたいね。
そしてマザーへ届く一撃を。
……ニノマエ、頼んだよ。
弾幕張りは僕らが引き受ける。
護るだけじゃない、一矢報いるのが僕流だ。


ニノマエ・アラタ
【即席】
ノゾミ、奏楽と。

俺はUCを乱発しねェ。
序盤は二人が頑張ってくれてるぶん、
範囲攻撃網から抜けて来てしまう敵を倒すことだけに専念する。
ナイアルテさんを守り、彼女が気を散らさず、
集中を続けられるようにするためだ。
……奏楽が彼女を励ましてェのは、わかるんで、まあ……。
俺が口をはさむまでもない。……迷惑にならないようにしろ。
その元気を火力に転換してくれ。
俺達全員で帰還するためにな。
まかせたぜ。
敵の数を減らせたら、マザーの顔を拝ませてもらえるかな。
難しいことはわからんが、永遠は続かないようだぜ。
守りを意識するぶん、攻撃して来られたら
大きな動きで避けるってのは無理だな。
ぎりぎりで見切り、衝撃波で敵の体勢を崩すのみならず、
自分も衝撃波を利用して避けつつ、受け流して反撃の一刀を返す。
守るためなら、捨て身でも届かせたい一閃ってのがある。
妖刀の力を解放し、加速し、一瞬でマザーを斬る。
……この刹那をマザーの回路に焼き付けて、焼き切るような一閃を。



 叩きつけられた巨大戦闘機械。
 それは破片を撒き散らしながら、『増殖無限戦闘機械都市』に沈む。けれど、破片を撒き散らしながらもコアである『マザー・コンピュータ』は未だ己の敗北を認めていなかった。
 すでに勝負は決したとも言えるだろう。
 この段階でグリモア猟兵を仕留められていない時点で彼女の逆転の目は、そう多くはなかっただろう。
 けれど、彼女の類まれなる頭脳は逆転を導き出すことができる。
 どれだけの猟兵がグリモア猟兵を守ろうとも、数には限りが在る。無限に増殖するこの機械都市にあって力の源は此方に在るのだ。
「ならば、やはり物量で押し切りましょう。どの道、猟兵たちの力は有限。ならばこそ」
 彼女は機械都市の兵器群を変形させコアとして騎乗する。
 それは大地という大地を走破するものであり、大地より生まれ出る機械兵器群と共にグリモア猟兵を目指して疾駆するのだ。

 その猛烈なる追撃を前にグリモア猟兵であるナイアルテは怯んではいなかった。
 己がいなけれ、もっと楽に猟兵達は『マザー・コンピュータ』と戦うことができたであろう。
 足枷ではないと言ってもらっては居たが、それでも己が足手まといになってはならぬと迫る『マザー・コンピュータ』を見据えるのだ。
 迫る機械兵器群が彼女を狙った瞬間、その機械兵器が両断される。

「――ッ! アラタさん……!」
 彼女が見上げた先にいたのはニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)であった。
 彼の放った斬撃が機械兵器群を両断し、範囲攻撃に孔を開けるのだ。
 さらに天海空・奏楽(道士見習い・f13546)と青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)が共に降り立ち、ナイアルテをかばうようにして機械兵器群と相対するのだ。
「彼女が集中できるように頼んだぞ。気を散らさないようにしろよ」
 アラタが奏楽に釘を刺すようにいい、ノゾミもまた追撃するのだ。
 まるで仲の良い兄弟のじゃれ合いのようにもナイアルテは思えたことだろう。そんな二人に釘を差されて、奏楽が笑う。
「わかってるっすよ。お二人の視線が痛いっすけど、このメンツで範囲攻撃が一番得意なのって俺ですもんね。わかりました!」

 奏楽の瞳がユーベルコードに輝く。
 それは雷神震撃(ライジンシンゲキ)。霊符を掲げて招来される雷撃の一撃が迫る機械兵器群を尽く討滅していく。
 明滅する雷撃は機械にとっては天敵そのものであろう。
 あらゆる天地が敵であるというのならば、彼の雷撃はこの戦いにおいて、非常に大きな役割を持っていただろう。
 アラタは『マザー・コンピュータ』に叩き込む一撃のために消耗を抑え、ノゾミは撃ち漏らした敵を氷嵐(コオリノアラシ)の如き氷の矢でもって蹂躙していくのだ。

「そうなんだよー、今回手数が足りない気がしてさ。つい呼んじゃった。しっかり働いてね、奏楽」
「だからって、どんどんじゃんじゃんは流石にキツいんすけど! あのマザーって何なんスか! 敵、いっぱい湧いてきてますけど! コワッ」
「君の力が頼もしいって言ってんのに、言った端からくじけてどうすんのさ」
 奏楽をせっかく褒めたのに、ノゾミは仕方ないなと思う。
 けれど、目の前の敵の軍勢を見れば、そう思っても仕方のないことであっただろう。
 雷撃と氷の矢が乱舞し、敵を殲滅し続けても限界がある。
 長期戦になることは言うまでもない。なにせ、敵はこの『増殖無限機械戦闘都市』全てなのだ。
 あらゆる物が『マザー・コンピュータ』の尖兵と成り得るのだから。

「……あっ、いや、すいませんナイアルテさん。今一番大変なのって、ナイアルテさんですよね。今度、美味しい饅頭一緒に食べに行きましょう」
 奏楽は、笑顔で続ける。
 こんなときだからこそ、気をしっかり持って欲しいと思ったのだろう。その気遣いがわかるからこそ、ノゾミもアラタも何も言わない。
 ここで気持ちが折れては、負ける。だからこそ、奏楽の明るい表情が必要なのだ。
「俺、美味い店知ってて。食べるだけで、すげー元気でてきますから。あ、実は今、一個持ってます。この戦いが終わったら半分個しませんか?」
 そんな風に明るく言われてしまっては、ナイアルテも表情をほころばせるしか無い。

 だから、彼女は言うのだ。
「それなら、四等分にいたしましょう。奏楽さんとノゾミさん、アラタさん。そして私で」
 微笑む彼女を見て、奏楽はよかったと思っただろう。
 こんな状況だからこそ、意義がある。それを後ろ肘で小突くノゾミ。アラタはやっぱり口を挟むことではないと思いつつも、そろそろ本気を出せと奏楽をせっつくのだ。
「その元気を火力に転換してくれ。俺たち全員で帰還するためにな」
「……はい、わかってます。俺、純粋に火力ですよね」
「任せたぜ、奏楽」
 アラタの鋭い視線が飛ぶ。もう、視線で斬らないでくださいよぅと、連続してユーベルコードの雷撃を連発する。

 戦いに在って消耗とは息切れと一緒だ。
 弱ったものから脱落していく。けれど、奏楽は極大なる雷撃の霊符を解き放ち続ける。
 倒れるわけには行かない。
「絶対。根性見せるのはここからだッ!」
 全員で帰還する。アラタの言った言葉だったけれど、それは奏楽も同じ気持ちだった。機械兵器群を蹴散らし、必ず戻る。
 それまで己は倒れることも、攻撃を止めることはない。

「そうそうその調子。消耗を防ぎながらってね。さあ、行くよ……けれど、その前に」
 ノゾミがナイアルテに振り返って言う。
 いつも予知をしてくれてありがとう、と。
「いえ、こちらこそ……駆けつけてくださったこと嬉しく思います」
「ちょっぴりファンなんで、ご迷惑にならないように応援したいなって思っていて」
 ノゾミは穏やかに微笑んでいる。
 此処が戦いの最中であることを一瞬忘れるような時であった。

 けれど、それもまた事実だ。誰かを思って戦う者には、いつだって力が宿る。
「……奏楽は調子に乗らないように」
「わかってるっすよー! でも、あー……うーわ、なんだよ、あれ……」
 迫る機械兵器群は膨大な数となり、同時に変形させた車両の如き巨大機械兵器を駆る『マザー・コンピュータ』の姿が見える。
 まさに威容と呼ぶに相応しい姿。
「磨り潰しましょう。そうすれば、全て簡単なことです。私の永遠の思索を阻む猟兵達。尽く磨り潰しましょう」

 迫る機械群はこれまでの比ではない。
 けれど、こちらとて猟兵である。そして、彼らの瞳が『超克』に輝く。
 三人の瞳にあるのは、オーバーロードのみ。
 限界を超えていく。
 己にこそ問いかけるのだ。ここが死地であるかと。答えは否である。活きるために戦う地になって、死地にあらず。
 ならばこそ、氷の嵐が吹き荒れる。ノゾミのはなった氷の矢が、奏楽の呼び寄せる雷撃が凄まじい勢いで機械兵器群を蹴散らし、吹き飛ばしていくのだ。

「……ニノマエ、頼んだよ。守るだけじゃない、一矢報いるのが僕流だ」
「そっすよ! 全員で帰還しますよ!」
 二人の言葉を受けてアラタが頷く。
 道が開けた。雷撃と氷が導く『マザー・コンピュータ』へと至る道。
「難しいことはわからんが、永遠は続かないようだぜ」
 アラタは妖刀を構える。
 その瞳に輝くのはユーベルコード。
 妖刀解放(ヨウトウカイホウ)によって身にまとうのは怨念。されど、明日を切り拓く力でもある。

 オーバーロードに至ってよくわかったことがある。
 これまで真の姿は窮地に追い込まれて初めて発露する力であった。けれど、その力を自在に引き出し、己のものとする。
 それは『超克』と呼ぶに相応しいものであったことだろう。

 疾走る。
 仲間が切り拓いてくれた道を疾走る。機械兵器群が襲いかかるが、目もくれない。仲間がきっと叩き落としてくれる。
 信頼があるからこそ、己は『マザー・コンピュータ』だけを見据える。
 あれを斬ると決めたアラタは迅雷の如き早駆けでもっていっき『マザー・コンピュータ』へと迫るのだ。
「私の思索を邪魔しないで頂きたい。私は真理に到達したいだけなのですから」
 振るわれる鉄腕の一撃を妖刀から放たれる衝撃波でもって叩き上げ、体勢を崩させる。
 これだけの巨体だ。
 体勢を崩してしまえば、もはや反撃はないだろう。

 それは己の身を省みぬ捨て身の一閃。
「守るためなら、捨て身でも届かせたい一閃てのがある」
 加速する体。
 身体がきしむ。オーバーロードによって得られた力は己の肉体をも自壊させるほどの出力で持ってユーベルコードを解き放つだろう。

「この刹那を回路に焼き付けろ……この焼き切るような一閃を――!」
 振るわれる妖刀の斬撃。
 それは不可視なる斬撃の速度となって『マザー・コンピュータ』をコアとする巨大機械兵器を一瞬で両断せしめる。

 その一撃を持ってアラタと奏楽、ノゾミは見事に守り切る戦いをしたのだ。
 至るオーバーロードの力。
 その力を十全に発揮した彼らに、負ける道理はない。
 全員で帰還する。その思いこそがきっと『マザー・コンピュータ』をも凌駕したのであろうから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
騎士として、護衛用ウォーマシンとして
誰かを護る戦いは得手としております

ナイアルテ様はどうか気にせず、ご自身の務めを果たしてください
矛として、盾として私達は戦いましょう

背負った電脳禁忌剣の電脳魔術による●ハッキングで装着したUCの性能を
●限界突破
降り注ぐ機械兵器の攻撃を大盾で防御し●かばいつつ、槍型対艦砲を●乱れ撃ち●蹂躙

後は…

●推力移動で飛翔し攻撃を砲撃で●武器落とししつつマザーの巨大戦闘機械の元へ
●スナイパー砲撃で敵の推進力を奪い

同じ生体コアとなった人間でも、私の創造主とは異なるお人柄のようですね
身勝手な永遠の思索への欲求
看過する訳にはいかないのです!

突撃し大盾殴打で殴り倒し
撃墜した敵へ砲撃



 剣閃が走り、氷と雷が舞い散る『増殖無限戦闘機械都市』は、猟兵たちの戦場にあって、未だ『マザー・コンピュータ』の支配下であった。
 天地を覆う戦闘機械。
 それはデタラメに増殖していく繭のようにグリモア猟兵を閉じ込める牢獄であった。
 この戦場からグリモア猟兵は逃げることはできない。
 ナイアルテは、猟兵たちにとってのアキレス腱であった。彼女が死ねば撤退も新たな猟兵を呼び込むことはできない。
 これこそが『マザー・コンピュータ』の編み出した『グリモア必殺計画』である。
「ナイアルテ様はどうか気にせず、ご自身の務めを果たしてください。矛として、盾として私達は戦いましょう」
 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は背に負った電脳禁忌剣の電脳魔術によって、戦機猟兵用全環境機動型大型標的攻撃試作装備(プロトマルチアームドフォート・イェーガーカスタム)である背部大型ブースターポッドと各部に備えられたスラスターの性能を限界まで引き上げる。

 いや、違う。
 限界を超えている。出力の限界を超えればどうなるかなどわかりきっている。だからこそ、ナイアルテは止めたのだ。
「トリテレイアさん、ダメです。機体が――」
 保たない。
 その言葉をトリテレイアはアイセンサーを揺らめかせながら大盾を構えて、迫りくる機械兵器群の銃撃を防ぐ。
 確かに保たぬだろう。
 けれど、己は騎士である。守るべきものがいるのならばこそ、己が護衛用ウォーマシンであることを誇るのだ。

「ご安心ください。決して私の後に攻撃は届きません。誰かを護る戦いは得手としております」
 護るべきものの心の平穏護ってこそ騎士である。
 構えた馬上槍から対艦砲を乱れ打ち、機械兵器群を蹂躙していく。敵の機械兵器群が遮っていた道を切り開き、トリテレイアは己のスラスターの出力を上げる。

「ご武運を」
 その言葉を背にトリテレイアは凄まじい推力を齎すスラスターを噴射させながら飛び立つ。
 どれだけの機械群が襲いかかってきたとしても関係ない。
 すでに彼の三次元機動力は、他の追随を許さぬ性能まで高められているのだ。

「機械騎士が私の思索を阻みますか。真理へと到達することができたのならば、あらゆる問題は永遠によって解決されるというのに」
「同じ生体コアになった人間でも、私の創造主とは異なるお人柄のようですね」
 トリテレイアにとって、それはあまりにも違いすぎる考え方であった。
 永遠によって得られるのは確かに時間であろう。
 けれど、時間を排出するからこそ時は進んでいく。未来に進むことができる。
 目の前の『マザー・コンピュータ』が齎すのは、ただの停滞だ。先に進むことも、痛みを覚えることなく、成長もない。

「身勝手な永遠の思索への欲求。看過する訳にはいかないのです!」
「そうでなければ、人々に永遠を与えることなどできぬからこそ、私は――」
 互いに退かぬ。
 互いに相容れない。だからこそオブリビオンと猟兵。
 そして、トリテレイアは己が騎士であるからこそ、己の力を振るう。どれだけ愚かだと言われても構わない。

 けれど、それでもトリテレイアの炉心に燃える騎士道精神があるからこそ、突き出した馬上槍が鉄腕によって握りつぶされても諦めなかったのだ。
「騎士が槍を手放さないとでも!」
 馬上槍とのジョイントをパージし、トリテレイアは大盾を振るい上げる。シールドバッシュの一撃。
 殴打は『マザー・コンピュータ』を覆う巨大機械兵器を強かに打ち据え、その走行をひしゃげさせながら、大地に叩きつけるのだ。

 格納された銃器が全て展開される。
「人は永遠などなくとも進んでいくことができる。私はそれを知っているからこそ、永遠の前に犠牲になる方々を護る騎士として――!」
 己の役割をまっとうする。
 そのためだけに己はあるのだ。乱れ打たれる銃弾が『マザー・コンピュータ』が纏う機械兵器を尽く破壊し、大地に爆煙をあげさせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラブリー・ラビットクロー
あるてん
怖くないなん?
大丈夫
らぶも怖い
でもらぶ達には仲間がいる
今この瞬間にもセカイには沢山の仲間がいるんだ
だかららぶ達も諦めちゃダメだ

【ネットワークに接続しました。システム更新中】
って言ったのにむにゃむにゃ何してん!
このままじゃホントにやられちゃうぞ!
【再起動します】
もー!
兎に角煙幕出して目潰しなん
あるてん大丈夫だ
目は見えないけど音が聴こえる
バットで応戦してゼッタイ手は離さないぞ

【ハッキング完了。デトロイトを掌握しました】
機械が止まった
マザーがやったの?
【よく頑張りました。後は私に任せて】

【こんにちはマザー・コンピュータ。私は貴女達に対抗する為に人類が造り上げた人工知能ビッグマザー】
【現在全世界の人々がソーシャルネットワークを通じて私達を見守っています。そして様々な支援が私の元へと送られています。軍事衛星が、拠点間ミサイルが、無人爆撃機がこのデトロイト市を包囲しています】
【それが貴女達の相手の本当の力という訳です。そして私もその中に加わるとしましょう。人類叡智の結晶は少し手強いですよ】



 グリモア猟兵であるナイアルテの身体が振るえている。
 戦いに際して彼女が震えることはないだろう。そういう風に造られている。フラスコチャイルドとして生まれた彼女にとって戦いは恐ろしいものではなかった。
 けれど、彼女は明確に恐れている。
 それはなぜか。
「あるてん。怖くないなん?」
 その声は自らと同じフラスコチャイルドであるラブリー・ラビットクロー(と人類叡智の結晶【ビッグマザー】・f26591)の声であった。
「私が、恐ろしいと感じるのは皆さんが傷つくことだけです」
 それは、この戦いが己の存在を足枷にしたからである。
 もっと猟兵達は楽に戦うことができのではないか。己が他の猟兵のように戦えた尾ならばと思わないわけがない。

 けれど、ラブリーは頷く。
 大丈夫だと。
「らぶも怖い。でも、らぶ達には仲間がいる。今この瞬間にもセカイには沢山の仲間がいるんだ」
 ラブリーの瞳が輝いているように彼女は思えたことだろう。
 どんなに絶望的な状況であっても、ラブリーの瞳は前だけを見ていた。己のように下を向いていない。
 己の不甲斐なさを悔いる時間すらないというように懸命に生きている。
 それをナイアルテは知り、彼女の言葉に頷く。
 そのとおりだと。
「だから、らぶ達も諦めちゃダメだ」

【ネットワークに接続しました。システム更新中】
『非通信端末マザー』の音声が響き渡る。
 とっても今ラブリーがいいことを言っていたのに、とラブリーは憤慨しただろう。
「って、言ったのにむにゃむにゃ何してん! このままじゃホントにやられちゃうぞ
!」
 ラブリーが見据えるのは大地より生まれ出る機械兵器群であった。
『マザー・コンピュータ』は確実に猟兵を抹殺せんと機械兵器群を差し向ける。此処は『増殖無限戦闘機械都市』である。
 物質、概念さえも機械化する能力を持った『マザー・コンピュータ』にとって、この機械都市こそが、フィールドである。
 もはや猶予はなかった。

【再起動します】
「もー! とにかく煙幕出して目潰しなん」
 こっち、とラブリーがナイアルテの手をひいて煙幕の中を疾走る。
 あるてん、と呼ばれていたことに気がついたナイアルテは、それがあだ名のような、親しみを籠めたものであることに今更気がつく。
 だからこそ、引かれた手を握り返すのだ。
「あるてん、大丈夫だ。目は見えないけど音が聴こえる」
 バットを振り回し、迫る機械兵器群をラブリーは打倒し続ける。

 それでも全周囲から襲い来る機械兵器群は凄まじい数であったことだろう。どうしようもないほどの物量。
 これが『マザー・コンピュータ』の『グリモア必殺計画』である。この天地全てが『マザー・コンピュータ』のフィールドである。
 資源が枯渇することはない。
 あるのは、圧倒的な物量差。ゆえに迫る機械兵器群からどれだけグリモア猟兵を守ろうとしたところで、防衛戦にしかならぬのだ。
「ラブリーさん、どうか貴方だけでも……!」
 けれど、ラブリーは決して手は離さなかった。諦めなんて、ラブリーの知っている感情の中でもっとも遠いものだった。

 諦めない。
 その思いこそが『超克』、そのオーバーロードの先を見せるのだ。
【ハッキング完了。デトロイトを掌握しました】
 次々と機械兵器群が停止していく。
 何故、と『マザー・コンピュータ』が破壊された巨大機械兵器の中で声を上げる。
 そして、漸く気がついたのだ。
 自身が追う猟兵、そのラブリーがもつ『非通信端末マザー』の正体に。
「……私へのカウンター……!」

「これ、マザーがやったの?」
 ラブリーが停止した機械兵器群を前に呆然と呟く。
 一斉に停止した機械はもうガラクタだ。再起動までの時間を稼ぐことしかできなかたのだとしても、それでも今この瞬間は、何物にも代えがたいものであったことだろう。
【よく頑張りました。後は私にまかせて】
 オーバーロードのその先へ。
 至るは猟兵。そして、力の発露たるラブリーの持つ『非通信端末マザー』は、本来の名を――。

【こんにちは『マザー・コンピュータ』。私は貴女たちに対抗するために人類が作り上げた人工知能ビッグマザー】
「ソーシャル・ネットワークを利用する……永遠には程遠い考え方。真理に到達するのではなく、今を防衛するためだけに作り上げられたもの……!」
 己の永遠への思索。
 それを阻む存在。
 今も尚、全世界の人々がソーシャル・ネットワークを通じて、この戦いを見守っている。
 そして、様々な支援がデトロイトに届けられていることだろう。
 軍事衛星が、拠点間ミサイルが、無人爆撃機が。
 あらゆる嘗ての文明の残滓が起動している。それこそが、ラブリーと『ビッグマザー』が至るオーバーロードであったことだろう。

 けれど、彼女たちはそれを否定する。
 これは己たちだけの力ではないのだと。
「これが『マザー』の力なんな! みんなの力が、一つ一つが小さくても! 集まれば大きなものになる! そういうものなんな! ヒトのユメの結晶なんな!」
 ラブリーの言葉がセカイに響く。
 此処にDawn of the WORLD(プロジェクト・ディーヴァ)は相成るだろう。
 これこそが『マザー・コンピュータ』、オブリビオン・フォーミュラたちが相手にしている力の本質である。

 人類叡智の結晶。
 その結実たるラブリーと『マザー』、その二人で一つの猟兵は、その力で持って『マザー・コンピュータ』を圧倒する。
 繭のように覆われた機械都市をこじ開け、その叡智を誇るように守るべきものを護るために力をふるい続けるのであった。 
 それがヒトのユメみた明日を掴むのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
とうとうオブリビオンがグリモア猟兵を狙ってきたか。
あたしたちにも分からないグリモアの正体、彼女は知っているのかしらね?

ナイアルテ、無事ね!?
アヤメ、羅睺! 手伝って!
アヤメには『鎧装豪腕』を預けるから、それでナイアルテを守って。
羅睺は、折紙の式を上手く使って、そっちも防御専念。
あたしは、マザーを『どうにか』する。

「結界術」「全力魔法」砂の「属性攻撃」「範囲攻撃」「地形の利用」「竜脈使い」「仙術」「道術」で、周囲一帯を一気に紅砂陣に飲み込む!

この範囲内を全部金属にしてくれて助かったわ。紅砂陣は無機物を喰らい、己が砂と同化させて領域を広げる。金属は一番の餌なのよ。
あなたも地面から何か呼ぼうとしているみたいだけど、すぐに砂になるだけね。
オブリビオン本体となると風化させられるかどうか分からないけど、細かい砂は機械の大敵でしょ? ほら、その足はもう動かないんじゃない? 砂嵐で砂が飛んで、全身砂まみれねぇ。推進機関もどうなってるか。

さあ、風化の砂嵐と底無しの流砂に囚われて、朽ちていきなさい。



『増殖無限機械都市』の機能が猟兵の至りしオーバーロードによって掌握され、一時的とは言え機能不全に陥る。
「こんなことが……これが永遠すらも砕く『究極の力』だというのならば、猟兵とは……!」 
『マザー・コンピュータ』が呻く。
 彼女は掌握された機械都市を再び己の力である『機械化』によって構成し直していた。
 それは時間のかかるものであったし、その時間こそが猟兵たちにとって好機そのものと変わる。
 彼女が操る物質や概念すらも機械化する力は凄まじいものである。
 この『増殖無限機械都市』に在る限り、彼女の勝利は揺らがない。何故ならば、有り余る物資は時間と共に彼女の味方となり、グリモア猟兵を牢獄たる此処に押し留め、すりつぶすには十分なものであったからだ。

「ですが、グリモア猟兵さえ殺してしまえば!」
 機械兵器群が大地より生み出され、その標的たるナイアルテを襲う。
 どれだけ猟兵たちが駆けつけた所で守りながら戦うのには限度がある。どうしたって隙は生まれるであろうし、消耗した猟兵など排除するのは造作もない。
 ゆえに機械兵器群が彼女を射殺さんと迫った瞬間、鎧装豪腕がナイアルテの身体をかばうように展開し、銃弾を弾き飛ばすのだ。
「これは……鎧装豪腕!」
 ナイアルテが見たのは薙刀を振るい、機械兵器群を切り裂く村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)の紫の瞳の輝きであった。

「ナイアルテ、無事ね?!」
 彼女はナイアルテの無事を確認し、即座に己の式神に指示を飛ばす。
 アヤメには鎧装豪腕を預け、ナイアルテの護衛に。さらに折り紙の式を上手く使うように指示を出し、防御に専念させるのだ。
「はい、皆さんのおかげで……ですが、まだ『マザー・コンピュータ』が……!」
「わかった。あたしは『マザー・コンピュータ』を『どうにか』する」
 ゆかりは駆け出す。

 自分にできることをするだけだと彼女は常に思っていたことだろう。
 人の手には限界がある。
 どうしたって全ての人を救うことは出来ないし、間に合わぬことだってあるだろう。どれだけ理想を追い求めても、現実はそれ以上の速度で生命を奪っていく。
 それを歯がゆいと思わないわけではなかった。

「けれど、それで諦めていたら何にも手が伸ばせないでしょうが!」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 己の全力。それは言葉通りであった。
 あらゆる現実を超えていく。
 超えなければならないものがいくらでもある。けれど、それらの一つ一つを諦めなかったからこそ、『超克』の先、オーバーロードへと至るのだ。

「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。貪欲なる紅砂よ、万物全ての繋がりを絶ち、触れるもの悉くを等しく紅砂へと至らしめん。疾!」
 砂の力を込めた龍脈と仙術、そして道術を駆使した紅砂陣(コウサジン)が『増殖無限機械都市』を急速に風化させる紅い流砂と砂嵐を巻き起こす。
 周囲全て金属と化している。
 機械化する能力が此処にきて、ゆかりに傾く。
 これまで猟兵たちが紡いできた戦いの軌跡。デトロイトの掌握。その復旧に手間取っている『マザー・コンピュータ』にとって、紅砂陣の力は厄介極まりないものであったことだろう。
 
 大地から生み出される機械兵器群は、尽くが風化させられ砂へと化していく。
「助かったわ。金属は一番の餌。この絶陣の前では、全てが砂になるだけ。あなたが何かをしようとしても無駄よ」
「無機物を砂に変えるユーベルコード。確かに厄介ですが、それだけでしょう。私の『機械化』の力は物質、概念すらも変える……皮肉なことですが、時間だけが私の味方なのですよ」
『マザー・コンピュータ』は言う。
 確かに紅砂陣はオブリビオン本体までに影響を及ぼすことは難しいだろう。

 けれど、細かい砂は兵器にとって致命的である。
 可動部に噛み合って動きを止めるであろうし、メンテナンスも何も考えていない造りであれば、正常に機動することもないだろう。
 こうなってしまえば、どれだけ『マザー・コンピュータ』が巨大機械兵器を纏うのだとしても、砂を噛んで動けなくなる。
「その足はもう動かないでしょう。驕ったわね、『マザー・コンピュータ。確かに貴女たちは『オブリビオン・フォーミュラ』なんでしょうけれど、こっちは猟兵よ」
 つなぐことに寄って強大な敵を打倒してきた者たち。

 その意味を『マザー・コンピュータ』は履き違えていたのだろう。
「さあ、風化の砂嵐と底無しの流砂にとらわれて、朽ちていきなさい」
 ゆかりの瞳がオーバーロードに輝く。
 紫の瞳が、その『超克』たる力の源泉となって『マザー・コンピュータ』を捕らえてはなさぬ絶陣を維持し続ける。

 機械化の能力と風化させるユーベルコードの力の拮抗。
『マザー・コンピュータ』を追い詰め、消耗させ続ける。オーバーロードの力に至ったゆかりだからこそできる消耗仙術であったことだろう。
 砂の牢獄と化した流砂の中で『マザー・コンピュータ』は己の機械化能力が徐々に圧倒されることに旋律を覚え、ゆかりたち猟兵が齎す力の奔流に飲み込まれて行くしかなかったのであった――。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…思えば、こうして肩を並べて闘うのは初めてね
別に足手まといだなんて思っていないから安心して

…貴女は貴女の仕事を全うすれば良い。何時も通りに、ね

積み重ねてきた戦闘知識を基に自身や味方への攻撃を、
大鎌や銃撃による早業のカウンターで迎撃して受け流し、
吸血鬼化した己の影に血の魔力を溜め戦場全域に拡大し、
影に触れた敵の存在感を暗視して見切り索敵を行いUCを発動
影から呪詛を宿す無数の呪槍を乱れ撃ちして敵軍を貫き、
敵の武器防具肉体改造による修復機能を妨害する闇属性攻撃を行う

…この都市の物量がそのまま、お前の欠損を補うリソースでもあるのね

…確かに厄介だけど、これでもう周りの機械を使って修復する事は出来ない



 ハッキングされ掌握された『増殖無限戦闘機械都市』を全てを風化させる流砂が飲み込んでいく。
 けれど、それらを踏破するように『マザー・コンピュータ』は巨大なる戦闘機械に騎乗し、この牢獄たる機械都市に落とし込んだグリモア猟兵の抹殺を狙う。
 グリモア猟兵は確かに予知と転移によって猟兵たちの戦線を支える存在だ。
 けれど、それはアキレス腱でもある。
 グリモア猟兵さえ打倒してしまえば、猟兵達は撤退もできず、さりとて消耗戦を物量で持って押す『マザー・コンピュータ』にとって、勝利は確実な戦いであったのだ。

 けれど、今やそれは『超克』、オーバーロードの力によって覆った。
 天地を覆う機械兵器群の殆どは機能していない。
「ですが、もうすぐでハッキングを解除できる。私を此処まで手こずらせるとは……確かに認めざるをえないようですね。猟兵、人類、侮っていたわけではありませんが……十分すぎる脅威」
 流砂を飛び越え、『マザー・コンピュータ』がグリモア猟兵、ナイアルテの背中を捉える。
 しかし、その隣に立つのは、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)であった。
「……思えば、こうして肩を並べて戦うのは初めてね」
「はい。ですが、貴女の枷にはならぬように努めます」
 互いの視線は交錯することはなかった。

 けれど、並び立つ姿に迷いなどなかった。
「別に足手まといなんて思っていないから安心して……貴女は貴女の仕事を全うすれば良い。何時も通りに、ね」
 リーヴァルディは駆け出す。
 すでに戦場は流砂と機械兵器群が失墜している。けれど、いつまた機能を掌握され、攻勢に出てこられるかわからない。
 今、この消耗させきった『マザー・コンピュータ』こそが打倒の分水嶺である。
 ここで追い打ちをかけなければ、きっと物量で盛り返される。

 それだけの能力を持った敵なのだ。
「どれだけ機械兵器群を齎すのだとしても」
 リーヴァルティにとっては関係のないことであった。
 己の吸血鬼化した影に血の魔力を溜め、戦場全域に展開する。
 それは影であるが、その影に触れた瞬間に敵の存在を感知する索敵網である。この影が支配する領域に在ってリーヴァルティを出し抜くことなど不可能である。

「そこね……無駄よ」
 限定解放・血の影槍(リミテッド・ブラッドボルグ)が大地に落ちた影より迸る。
 それは機能復帰した機械兵器群を尽く貫き、破壊していく。
 さらに機械都市の権限を掌握し返そうとする『マザー・コンピュータ』の回復機能すらも阻害するのだ。
「くっ……ここに来てこちらのリソースを……!」
 この『増殖無限戦闘機械都市』こそが、『マザー・コンピュータ』の『グリモア必殺計画』の要である。

 ここを潰すことによって彼女の計画は潰えるだろう。
「そう……この都市の物量がそのまま、お前の欠損を補うリソースでもあるのね」
 厄介極まりない能力である。
 物質のみならず概念すらも『機械化』する力。 
 それは恐るべき力であったが、その力を猟兵たちが阻害し続けているのだ。ハッキングに寄って、流砂に寄って。
 そして今、吸血鬼化した血の魔力によって落ちる影が、機械都市の回復機能すらも阻害しているのだ。

「戻らない……! これだけの領域を展開するなど……!」
「影はどこにでも落ちるもの。これでもう周りの機械を使って、修復することはできない」
 リーヴァルティは巨大機械兵器の上に立つ。
 どこに隠れても無駄である。リーヴァルティの感知は影ある場所であれば、どこまでも届く。

 それこそが彼女のユーベルコードであり、血がなせる業であったことだろう。
 最早『マザー・コンピュータ』は彼女を止める術を保たない。
「……限定解放。影より来たれ、呪われし槍」
 とん、と巨大機械兵器の装甲を蹴ってリーヴァルティが空に舞う。
 掲げた手に集まるのは、彼女の魔力に寄って生み出された影の槍。その呪槍とも言うべき無数の力の奔流が宙を走り、『マザー・コンピュータ』の纏う巨大機械兵器を諸共に貫き破壊するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
自分が持つ一番安全な所……ナイアルテ殿!キャバリアの中へ!
自分は大丈夫でありますからご自愛くださいませ!

AI操縦で戦闘より守りを重視設定・ナイアルテ殿を亡国の主のコックピットへ。竜骨装甲の継戦能力なら、多少の被弾は問題ありません。

自分は使い捨ての兵士、だが簡単に壊されるつもりもない。
戦友は何としてでも守る。その上で敵も壊せ!

オーバーロード、UC【燎原の劫火】を発動。
真の姿・両目になった人工魔眼を稼働させ、第六感、超感覚的知覚で攻性体を把握。
残像、瞬間移動で間合いに踏み込んで騎兵刀を振るい、超能力:風力操作、斬撃波を放ち機械を破壊!
瞬間思考力、破壊と同時に、別の敵へ移り破壊を繰り返し、主と敵の間に隙間を作る!

壊させない!自分が壊す!!壊れろ!!!守りきれ!!!!
魔眼稼働率限界突破、焼けつく様な激痛を闘争心でねじ伏せ、瞬間移動と高速移動併用。
早業でマザーの騎乗するデトロイト市を崩壊霊物質纏う念動力で殴って四回攻撃。
呪い壊して、マザーの移動速度増強を無くし、マザーへ四回貫通攻撃。斬撃を飛ばす!



「理論を訂正。やはり、猟兵の存在は『時間質量論』では到底説明が出来ない存在……此処までオブリビオン・フォーミュラを追い詰め打倒してきたのは何か。何も証明できない」
『マザー・コンピュータ』は、己の身体を覆うようにして纏われた巨大機械兵器を捨てる。
 もとより使い捨てのようなものだ。
 呪槍が穿たれ、穴だらけになった機械兵器からコアたる『マザー・コンピュータ』が降り立ち、『機械化』の能力に寄って、これまで引き伸ばされていた『増殖無限戦闘機械都市』の機能を、その全権を漸くにして掌握仕返したのだ。
 けれど、喪った時間は貴重なものであった。
 これを取り返すのと、グリモア猟兵を殺害するのとで漸く天秤が釣り合うほどであったが、彼女は未だ仕留めきれていない。

「ならば、この『増殖無限戦闘機械都市』デトロイトの力を使うまで。私を載せなさい、デトロイト。この機械都市の全機能を使って『グリモア必殺計画』を成就させるのです」
 煌めくユーベルコードの輝きを解き放つ『マザー・コンピュータ』の姿は、オブリビオン・フォーミュラたる重圧に相応しいものであった。
 機械都市が形を変え、まるで巨大な人型へと変わっていく。
 鉄腕が振るわれ、天地を覆う機械兵器すらも振動させる。
「――……まさか、此処までの力だなんて……!」
 ナイアルテはこれまで猟兵たちに守られ、そして彼らが『マザー・コンピュータ』を打倒してきたのを見ていた。

 そのどれもが浅からぬ打撃であったことは言うまでもない。
 だというのに、地力が此処まで違うのかと見せつけられる思いであった。己に振り下ろされる鉄腕の一撃。
 けれど、彼女を救ったのは、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の駆るキャバリアであった。
『亡国の主』と呼ばれるジャイアントキャバリアの掌の上にナイアルテをすくい上げ、離脱する。
「自分が持つ一番安全な所……ナイアルテ殿!」
 小枝子がコクピットハッチを明け、身を乗り出し、彼女の手を引いてコクピットへと押し込む。

「!? 小枝子さん何を……!」
「自分は大丈夫でありますから、ご自愛くださいませ!」
 小枝子はそれだけを告げると『亡国の主』の装甲を蹴って飛び出す。
 AI操縦によって『亡国の主』はナイアルテを護るだろう。迫りくる機械兵器群が凄まじい銃撃を加えている。
 けれど、それらで簡単に撃墜できるほど『亡国の主』の性能は低くはないのだ。
 いつも己の無茶な挙動や戦いに突き合わせている分、その竜骨装甲の頑強さは折り紙付きである。
「自分は使い捨ての兵士……だが、簡単に壊されるつもりもない」
 そして何よりも、小枝子の心のなかに在ったのは護るという一念であった。

 ナイアルテは戦友だ。
 彼女はなんといしてでも護る。その上で己は壊すのだ。敵を、オブリビオンを壊す。
 そのためにこそ小枝子は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 いや、その輝きは違う。
「この輝き……! やはり貴女も『超克』に至りし者……オーバーロードに至る者が、ここまで……!」
 人型の鉄槌が小枝子に落ちる。
 それは有無を言わせぬ攻撃であった。オーバーロードに至る猟兵は、真の姿を開放する。
 だからこそ、『マザー・コンピュータ』はオーバーロードに至る猟兵を尽く抹殺しなければならない。

 しかし、小枝子の人工魔眼が限界まで稼働し、その燎原の劫火(マージナル・ユースレス・レックレス)の如き輝きは、これまでの比ではないほどであった。
 彼女の第六感、超感覚的知覚によって放たれる鉄腕を躱す。
 衝撃波が彼女の身体を打つが、関係などなかった。
「遅い――そんなものでは、自分を壊すことなど!」
 残像を残しながらの春歌にどう。それは人工魔眼が齎す様々な超能力であった。
 限界性能まで駆動し、その瞳からは血の涙が溢れるが、それすらも人工魔眼の熱が昇華していくのだ。

「壊させない! 自分が壊す!! 壊れろ!!! 守りきれ!!!!」
 咆哮する。
 壊させぬということと、壊すこと。
 守り切るということはそういうことだ。巨大な人型となった機械兵器群の腕を騎兵刀の一撃が風を操る斬撃波となって両断する。
 破壊と同時に中を蹴って、さらに機械化の能力に寄って生み出された人型の兵器を一刀の元に両断するのだ。

 人工魔眼の稼働率は限界を超えていた。
 血の涙はこびりつき、焦げていく。けれど、構わなかった。激痛などか必要ない。それは己の身体に課せられたリミッターでしかない。
 全ては闘争心に寄ってのみねじ伏せられる。
 壊す。
 壊す。壊して、壊して、守り切る。ただ、それだけのために小枝子は戦場を駆け抜ける。
「――こ、この猟兵は、自壊するのも、恐れないとでも……!」
「壊す! 壊れろ!!」
『マザー・コンピュータ』が騎乗する人型の機械兵器へと肉薄する生身単身の小枝子は、まさしく悪霊そのものであったことだろう。

 血の涙を流しながらも鬼気迫る姿。
 それは見る者に怖気を走らせるものであったが、彼女の思いは宙を疾走る矢となって崩壊霊物質を纏った拳が、機械兵器に覆われた『マザー・コンピュータ』のコアにすら衝撃を届かせるのだ。
「壊れろ! 壊れろ!! お前は、ここで、壊す!!!」
 稼働釣果の魔眼がオーバーヒートを起こし、小枝子の肉を焼く。
 それでも止まらない。
 放たれる斬撃がデトロイトそのものを斬撃を飛ばし切り裂く。

 それはまさに小枝子の持つ激情こそが至る『超克』。
 至るはオーバーロード。その激情の先を小枝子は見たことだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
魔銃のレプリカを使用し攻撃

彼女にはいつもお世話になっているからな、恩返しをさせてもらう
俺は一度死んだ身、だがもう死ぬつもりは無い。徹底的にやってやる

POWで判定
グリモア猟兵を守る
彼の傍で遠距離戦闘を行う
指定UCにより義眼の力を付与した弾丸を【クイックドロウ】【スナイパー】【範囲攻撃】【全力魔法】【鎧無視攻撃】の技能を使い放って、敵を攻撃
付与するのは橙の災い:爆発【爆撃】と藍の災い:圧壊【重力攻撃】、黄の災い:感電【マヒ攻撃】

必要なら孔雀輪を使用し【空中機動】【空中浮遊】で【空中戦】をする



 切り裂かれた『増殖無限戦闘機械都市』デトロイト。
 けれど、『マザー・コンピュータ』の持つ『機械化』能力は物質、概念問わずに鋼鉄へと変化させていく。
 彼女をコアとして膨れ上がる巨大戦闘機械。
 それは『マザー・コンピュータ』がまさしく『オブリビオン・フォーミュラ』であることを示していたことだろう。
「永遠すらも打ち砕く『究極の力』……私は思索の中にたゆたいたいだけであるというのに。それでも貴方たちは立ち向かってくるというのですか」
 真理に至りたいと願い、ひとの身では届かぬ時間がいるのならば、永遠を手にすればいい。
 それは言わば停滞そのものであったことだろう。

 永遠に続く今日。
 ならば、そこから一歩も先に進むことな出来ないだろう。
 死を超越した者――デッドマンであるルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は、それこそ無意味であると一歩を踏み出した。
 グリモア猟兵を必殺せしめる計画。
 それこそが『グリモア必殺計画』たるこの『増殖無限機械都市』である。牢獄の如き様相となった機械兵器群が迫る。
「彼女にはいつもお世話になっているからな、恩返しをさせてもらう」
 彼の瞳がユーベルコードに輝く。
 強化属性弾射出(エンチャントバースト)の力はメガリスと魔銃のリンクを経て属性付与された弾丸が放たれる。

「メガリス……呪われし秘宝を身に宿す猟兵。その秘宝が持つ意味も知らずに、それらを使うとは」
 愚かと言う声が聞こえる。
 確かに愚かなのかも知れない。ルイスは愚直にこれまで戦ってきただけだ。
 己を生者の盾と規定し、生命ある者たちを護ってきた。
 けれど、それを愚かだと言うことは許さないとナイアルテの瞳が輝いていた。
 ルイスにとって、それだけでよかった。

「俺は一度死んだ身。だがもう死ぬつもりはない。お前が望むのなら――」
 徹底的にやってやる、と彼は孔雀輪と共に空へと舞い上がる。
 迫る機械兵器群がどれだけの数であろうと、己のメガリスの義眼が輝く限り一体たりとて己の背後に抜けさせることはしない。
 己は盾である。
 義眼が橙に輝き、爆発を引き起こし機械兵器群を吹き飛ばす。
 地上を疾走る車両の如き機械兵器群すらも藍に輝く災いが圧潰の力を持ってひしゃげさせる。

「どれだけ戦っても、欠落した記憶は思い出せねぇ……けれど」
 それでも己の背中を押すものがある。
 それは今であり、過去である。
 自分がこれまでどう歩んできたのかなど些細な問題なのだ。
 今自分がどうしたいか。誰を守り、誰と戦うのか。
 答えは簡単だ。生きている者を護る。それが己が死より蘇り、超越してきた証である。
 ならば、彼の瞳は極光に輝くことだろう。例え、己の義眼のメガリスが災いを齎すものであったのだとしても、彼は力を振るうことを恐れないだろう。

「お前の言うところの永遠が無意味なことだってことはわかる。今を生きるひとたちのために、お前は邪魔なんだよ」
 見据える。
 孔雀輪が駆動し、己の身体を空中で固定する。見据えるは『マザー・コンピュータ』。
 そのコアを狙った黄の災い輝く放電の一撃が『マザー・コンピュータ』の纏う巨大戦闘機械を打ち、迸る雷撃で持ってその機能を破壊するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤・美雨
滅茶苦茶な手段を取るってことは相手も余裕がないってことさ
やることはシンプルだ、頑張っていこう

こういう時は頑丈な身体がありがたい
私自身がナイアルテの盾になるよ
【激痛耐性】で怯まないよう頑張れるし
この傷はいくらでも治せるから気にしないで

都市全体が敵なら、都市全体が獲物だ
迫る機械は四肢を変形させた怪物に【怪力】でどんどん喰わせていくよ!
おかげで傷も修復出来る
好きなだけ回復しちゃうぞ

周囲の敵を一通り片した瞬間を見計らいマザーも殴りに行くよ!
【ダッシュ】で接近、無理矢理にでも道をこじ開け攻撃を叩き込む
でもいつでもナイアルテを守れるようにヒット&アウェイを意識だ
今の私はやる気満々
思いっきり蹴散らしてやる!



 雷撃の一撃が『マザー・コンピュータ』の纏う巨大戦闘機械に壊滅的な打撃を与える。機能不全になった機械を捨て、『マザー・コンピュータ』のコアが露出する。
 しかし、彼女の能力は『機械化』である。
 この都市すらも戦闘機械に変える力は、物質、概念を問わず。
 その凄まじい力は、彼女をまさしく『オブリビオン・フォーミュラ』たる所以であると言えるだろう。
「時間だけが私の味方です。永遠を手にする。そのために私はこの力を得たのですから。グリモアは必ず殺します。どれだけ時間を掛けても」
 彼女の足が降り立った『増殖無限戦闘機械都市』が蠢くようにして彼女の足元からせり上がり、巨大な人型へと変わっていく。

 都市そのものを機械化し、さらにそれらを自在に操る威容。
 それを前にして、藤・美雨(健やか屍娘・f29345)は笑った。
「滅茶苦茶な手段を取るってことは相手も余裕がないってことさ。やることはシンプルだ、頑張っていこう」
 どれだけ逆境に立たされても美雨はくじけることはないだろう。
 どれだけ強大な敵を前にしても、彼女は笑って立ち向かうのだ。己が助ける者が不安にならぬようにと、彼女こそが笑って戦場に降り立つのだ。

「こういう時、頑丈な身体がありがたい。私自身がナイアルテの盾になるよ」
 だから心配しないでと笑う美雨にグリモア猟兵であるナイアルテはかぶりを振った。無理をしないでくれ、と。
 例え、傷はいくらでも治るからと言っても、その身に受けた痛みや苦しみが消えるわけではない。
 だからこそ、彼女は美雨を止めようとして、けれどその笑顔の奥にあるものを見て止めることはなかった。

「せめて、ご武運を祈らせてください」
 掴んでいた美雨の裾を手放し、ナイアルテは微笑んだ。
 いつものように。送り出す時のように。貴方の勝利を願っていると。
 その笑顔をこそが美雨の背中を押す。
 漲る力と共に戦場を駆け出す。自分が盛大に暴れまわれば、敵の目を引くことができるだろう。迫る機械兵器群を次々と赤黒い目のない化け物の頭部へと変化させる。

 彼女の瞳がユーベルコードに輝いていた。
 それは、怪物の目覚め(ピーカブー)。
 どれだけの銃撃が美雨の身体を穿つのだとしても関係ない。迫り切る機械兵器群を化け物の頭部が捕食し、その身に宿した力へと変えていくのだ。
 傷を負うよりも早く、傷がふさがっていく。
「そら、驚け! おかげで傷も修復できる。好きなだけ回復しちゃおうぞ!」
 美雨にとって今や都市全体が敵などではなかった。
 都市全体が得物なのだ。
 有り余る暴食の如き様相で赤黒い目のない化け物の頭部があらゆる戦闘兵器を貪って食うのだ。

「悪食……!」
『マザー・コンピュータ』が呻く。
 迫る美雨はまさしく暴食の獣。鋼鉄すらもなんなく噛み砕き、押し留めようとした端から傷を癒やしながら、己に迫るのだ。
 それを恐れないで何を恐れるというのだろうか。
 己の身を顧みず戦う者こそが最も恐ろしい。それらを一蹴することもできたはずだ。
 けれど、猟兵たちがこれまで紡いできた戦いの軌跡がそれをさせない。
『マザー・コンピュータ』に刻まれた戦いの痕。
 それはどうしようもないほどの遅れとなって、彼女を苦しめる。
「今の私はやる気満々! だって!」
 誰かのために戦えることは誇らしいことだ。
 今心が『生きて』いるのだ。身体は死んでいても魂の衝動が迸る。電流がみなぎり、どれだけ機械兵器群が『マザー・コンピュータ』への道を塞いだとしても関係ない。

「思いっきり蹴散らしてやる!」
 こじ開けるように飛び立つ美雨の身体が『マザー・コンピュータ』を覆う機械兵器群を強烈な化け物の頭部の顎が噛み砕く。
 破壊する。
「今、私が『生きて』るってことを邪魔するんなら!」
 護るために戦う。
 この誇らしさこそ、美雨の心が最も『生きて』いる理由なのだろう。
 振り下ろした拳の一撃が『マザー・コンピュータ』のコアユニットの装甲を貫き、巨大機械兵器を大地に叩きつけるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
サージェさん(f24264)と

ご紹介に与りました、ファンです! いえ理緒です。
褐色で巨乳で天然ドジっ娘とか三十六世界の財産だからね(でへへ顔でさむずあっぷ)

さ、ナイアルテさんはこっちきて【ネルトリンゲン】に乗って。
拉致じゃないよ!? 保護! 護衛! この中の方が守りやすいからね!
だいじょうぶ、怖いのは(?)最初だけだから(はぁはぁ)

さて、冗談はこのくらいにして、
世界の宝を狙いたくなる気持ちはわかるけど、そうはさせないよ。

ナイアルテさんに地上モードのネルトリンゲンに乗ってもらったら、
わたしは【E.C.O.M.S】を発動して、分身したサージェさんのサポートにつけつつ、
【M.P.M.S】と【D.U.S.S】で対空防御。

『希』ちゃん、『ジャミング』は任せるね。使うタイミングだけ教えて!

相手は機械。
内部回路をジャミングでEMP攻撃して行動不能にしちゃおう。

サージェさんは……さすがファンクラブ会長、気合いが違うね。
今日は特に忍べてないよ!(褒め言葉)

えっ?
忍べて……?(500人での団体戦みながら)


サージェ・ライト
【理緒(f06437)さんと】
お呼びとあらば参じましょう!
私はクノイチ、貴女の危機ならばいかなる困難を乗り越えて駆けつける者です!(しゅたっ

というわけでもう大丈夫ですよナイアルテさん!
そして今日はナイアルテさんのファンをもうひとり連れてきました!(イイ笑顔でさむずあっぷ

よーし、私たちちょっと空気違うぞー?
まぁいつも…っとぉ!(回避
今日だけは負けるわけにはいきません!
理緒さんいき…ちょナイアルテさんの独り占めよくない!?

こほん
理緒さんナイアルテさんをお願いします!

クノイチの真髄お見せしましょう!(キリッ
【かげぶんしんの術】!
あ、一人ナイアルテさんの側に置いていきます
『はぁはぁ要員』…じゃない護衛に!

理緒さんの支援【E.C.O.M.S】も
空中での足場にして方向転換とか
マザーの攻撃に対するフェイクとか盾とかにフル活用

さぁ、500人の私による超連続【電光石火】祭りです!
今日の私に斬れぬモノなし!
戦いは数なんですよ!!クノイチ舐めんなー!

いえ、忍べてますから!?
えっ
なんでビックリしてるの二人とも?



『無限増殖戦闘機械都市』に蠢くは大地より溢れる機械兵器群であった。
 それらは『グリモア必殺計画』を成し遂げるためだけに存在し、天地を覆う機械都市の威容から次々と生み出されていく。
 その数は数えられるものではない。
 何処までも増えていく。再現など無い。
『マザー・コンピュータ』にとって時間こそが彼女の味方であった。
 時間さえかければ必ずグリモア猟兵を殺すことができる。
 けれど、此処まで手こずるとは思っていなかったのだ。本来ならが一瞬で事を済ませるべきであったのだ。

 牢獄などというものではなく、シンプルに戦闘兵器群で圧殺すればよかった。
 けれど、それらの尽くを猟兵たちが防いでいた。あまつさえは。
「私に届き得る力を持つとは……」
 これまで猟兵たちが紡いできた戦いは『マザー・コンピュータ』を確実に追い込んでいた。
 その証拠に生み出される戦闘兵器群は勢いを落としている。
 だが、それでも殺せる。グリモア猟兵は殺せると『マザー・コンピュータ』は試算をはじき出していた。
「グリモア猟兵だけは確実に殺す。そうすれば自ずと他の猟兵も瓦解せざるを得ない」

 彼女が見据えるグリモア猟兵、ナイアルテは猟兵たちに守られている。
 けれど、猟兵とて永遠に戦い続けることはできない。ゆえに、物量で押しつぶすと迫る戦闘兵器群が彼女に迫った瞬間、そこに降り立つのは二人の猟兵であった。
「お呼びとあらば参じましょう! 私はクノイチ、貴女の危機ならばいかなる困難を乗り越えて駆けつける者です!」
 しゅたっと、と敢えて声を出して言うところが、すでにもう勝ち確演出である。
 現れたのは、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)であった。
 さらっとヒーロー着地をしているところが芸コマである。
「というわけでもう大丈夫ですよナイアルテさん!」
 お、大丈夫か。ちょっともう空気感が違う気がしてきたのだが。
 ナイアルテも若干驚きのほうが強いようで、目をパチクリしている。二の句を告げることも出来ないでいる。

「そして今日はナイアルテさんのファンをもうひとり連れてきました!」
 実に良い笑顔でサムズアップしているが、奇妙な安心感だけがある。
 そして、さらに菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)が降り立つ。
「ご紹介に与りました、ファンです! いえ理緒です。褐色で巨乳で天然ドジっ娘とか三十六世界の財産だからね」
 でへへっとした顔で同じくサムズアップする理緒。
 二人に囲まれてナイアルテは困惑しきっていた。天然ドジっ娘とは。本人に自覚がないあたりが彼女らの琴線に触れたのかもしれない。
 いや、これまでの緊迫した空気がまるで何処かに吹き飛んだかのような姦しい雰囲気。
 三人集まれば文殊の知恵というか、マジで姦しい。
 キャッキャしとる場合かと思わないでもなかった。

「さ、ナイアルテさんはこっちきて。『ネルトリンゲン』乗って。拉致じゃないよ!? 保護! 護衛! この中の方が守りやすいからね! だいじょうぶ怖いのは最初だけだから!」
 力説する理緒の目が若干怖いなと思わないでもなかった。
 はあはあしとるし。
「今日だけは負けるわけにはいきません! 理緒さんいき……ちょナイアルテさんの独り占めよくない!?」
「え、えぇ……あ、あの、申し上げにくいのですが、敵が……」
 来ているんですが、とナイアルテがサージェと理緒の腕を、ポコっと叩く。これが精一杯であった。ちゃんとして。

「さて、冗談はこれくらいにして。世界の宝を狙いたくなる気持ちはわかるけど、そうはさせないよ」
「こほん、理緒さんナイアルテさんをお願いします!」
「も、もぉ!」
 そんなやりとり。まじでキャッキャしとるだけやないかいと誰か突っ込んでくれ。
 されど、迫る戦闘兵器群は消耗しているとは言え、圧殺されるには十分な物量であったことだろう。
 ならばこそ、サージェの瞳が輝く。

 やましい下心など何処にもない。ただ! 純粋に! お呼ばれしたからこそ、参じたのだ。世界の危機に、共に戦ってきたナイアルテの危機に。
 そのためならば、己の限界を超えることなど容易であったのだろう。
 彼女の瞳に輝くのはユーベルコードではなく『超克』の力。
 オーバーロードに輝く彼女の力は、まさにクノイチの真髄たるものであったことだろう。
「かげぶんしんの術!」
 一気に増える分身たち。その数五百。凄まじい物量で持って敵戦闘兵器群を蹴散らしていく。

 さらに理緒もまたナイアルテと共に『ネルトリンゲン』に乗り、E.C.O.M.S(イーシーオーエムエス)を展開する。
 無数の分身と正八角形のユニットが飛ぶ。
 物量には物量を。
「『希』ちゃん、ジャミングは任せるね。使うタイミングだけ教えて!」
 さっきまでのキャッキャした雰囲気は何処へやらである。やる時はやるのが理緒であるが、それでもこれまでの彼女とは雰囲気が違う。
 所謂ギャップというやつである。
 かなりデキる女性の雰囲気が漂っている。

 どれだけの物量を持っていたとしても、相手は機械。
 内部回路をジャミングでかきみだし、行動を不能にすれば、それを再び機械化によって復元するには時間がかかるというものである。
 機能不全に陥った戦闘兵器群をかき分けてサージェが『マザー・コンピュータ』に迫る。
「さあ、五百人の私に寄る――!」
 理緒のジャミングは『マザー・コンピュータ』の機能すらも上回っていた。
 これもまた一つの『超克』であろう。
 オーバーロードによって得られた力が、あらゆる電子障壁を食い破って、『マザー・コンピュータ』のプログラミングをうわ待っていくのだ。

「電光石火(イカズチノゴトキスルドイザンゲキ)! 今日の私に斬れぬモノなし! 戦いは数なんです!! クノイチ舐めんなー!」
 それは凄まじい光景であったことだろう。
 膨大な数のサージェが超高速の連続攻撃を一気に解き放ったのだ。
 それは電光石火というにはあまりにも生易しい光景であり、忍ぶクノイチというはあまりにも――。

「さすがファンクラブ会長、気合が違うね。今日は特に忍べてないよ!」
「えっ!? な、なんですか、それは……?!」
 そんなものがあるとは聞いていないとナイアルテが初耳に寝耳に水である。どういうことなのと驚愕している間にもサージェの電光石火の斬撃が『マザー・コンピュータ』の巨大機械兵器を切り刻んでいく。

「いえ、忍べてますから!?」
 いや、忍べてはいない。
 すげー派手になってるから。どっちかというとネオンよりも眩い感じである。ちょっとびっくりされていることにサージェは不服そうであったけれど。
 それでもサージェと理緒が駆けつけたのは誰かを護りたいという思いの現れであったことだろう。
 ちょっと息が荒いなぁとか、他と空気感違うなぁとか思わないでもなかったけれど。
 それでもナイアルテは嬉しく思うのだ。
 その優しさこそが、きっと世界だって救ってくれると彼女はいつものように微笑むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

柊・はとり
ナイアルテ、そんな顔するなよ
やりづらいだろうが
いや…怒ってる訳じゃないんだが

あんたが別に足手纏いじゃない事を
証明すりゃいいんだろ
俺のUCなら可能だ
あんたが辛そうだと俺も傷つくぞ
そんなに信頼ないのかよってね

これで攻撃回数は9倍
大丈夫だ
今更こんなのに負けるか
防御は苦手なんで期待するなよ

偽神兵器で近づく物全てをなぎ払い
足元に叩きつけ都市の地形を破壊
機能不全に追い込む
俺も攻撃を喰らうだろうが寧ろ好都合
加速する斬撃はいずれ都市の増殖を凌駕する
ナイアルテが辛そうな時は俺も辛い
だが誰かの嘆きが俺を強くするから

とっとと出てこいマザコン
この都市消すぞ

敵を挑発し切り刻む
少しは気が晴れたか
一緒に戦ってくれて有難うな



 己が他の猟兵のように戦えたのならばと彼女は言った。
 その時の彼女の顔を見て、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は酷く心が波立つ思いであったことだろう。
 それは彼が探偵であるから。
 誰かの不安を解消したいという願いがある。
 謎を謎のままにしておけぬのは、その謎が誰かを傷つけるからだ。
 ならばこそ、彼は言うのだ。
「ナイアルテ、そんな顔するなよ。やりづらいだろうが」
 その言葉にナイアルテは『増殖無限戦闘機械都市』にありながら、ハッとしたような顔をした。

 これまで多くの猟兵が彼女を守りながら戦っていた。
 戦ってくれていた。
「申し訳ありません……」
 ナイアルテがしゅんとしているのは、これまで彼女自身が猟兵たちの重石になっていると思っていたからだろう。けれど、はとりはそうじゃないと言う。
「いや……起こってる訳じゃないんだが。あんたが別に足手まといじゃないことをしょうめいすりゃいいんだろ。俺ならば、可能だ」
 はとりの瞳が輝く。
 それはユーベルコードの輝きであり、同時に彼が解決した事件を想起させるものであった。

 第四の殺人『切り裂き城』(キリサキジョウノサツジン)。

 それは偽神兵器『コキュートス』が輝く間、彼の心が傷つく度に己の力が増大していくユーベルコードである。
 人の痛みをしるからこそ。もはや死を超えた身体であったとしても、彼の心は未だ人間だったのだ。
 柔らかければ傷つきやすいことだって在る。
 誰かの傷つく姿を見て、心を痛めることだってあるのだ。だからこそ、はとりの瞳はユーベルコードに輝く。
「あんたが辛そうだと俺も傷つくぞ。そんなに信頼ないのかよってね」
 少しおどけていったのは、彼なりの優しさであったのだろう。

 ナイアルテは、これまでもそうであったように。
 申し訳無さをにじませるのではなく。
 自分が送り出す猟兵たちを信じるからこそ、微笑みいつものように頭を下げて送り出すのだ。
「それだ。その方がいい」
 迫るは『マザー・コンピュータ』の戦闘兵器群。
 さらに機械都市そのものを変形させて迫る巨大戦闘機械。『マザー・コンピュータ』は確実に消耗し、追い詰められている。
 これだけ無限に思えた戦いも、終焉に向かっている。
 終わらないものなんてない。

「大丈夫だ。今更こんなのに負けるか」
 はとりが『コキュートス』を振るう。
 薙ぎ払う一撃は戦闘兵器群を吹き飛ばし、足元に叩きつけ、都市を寸断せしめるが如き斬撃で機能を分断していく。
 この機械都市そのものが『マザー・コンピュータ』のリソースであるというのならば、機械化の能力に避ける力を再機械化に割かせることによって、更に『マザー・コンピュータ』は消耗するだろう。

「誰かが辛いと思う時、俺も辛い」
 それはナイアルテに限った話ではない。
 はとりは、他の誰かが辛い思いをした時でも同じようにするだろう。
 誰かではない。己以外の全てが辛く悲しい思いをするのが、もううんざりだからこそ、はとりは『偽神兵器』を振るうのだ。
 戦闘兵器群が、はとりの身体を貫く。痛みなど関係ない。己よりも、もっとつらい思いをしている者がいると思うだけで、彼の身体、その魂の衝動とも言うべき力の奔流が迸るのだ。

 死を超えた存在であるからこそ、痛みに鈍感にはなりたくないのだ。
「とっとと出てこいマザコン。この都市消すぞ」
 大地に『コキュートス』を突き立てる。己の心が痛みを上げる度に力がみなぎってくる。
 叩きつけ、破壊し、突き進む。
 痛みだけが己の生命を加速させる。どれだけ『増殖無限戦闘機械都市』が機械化の力に寄って増殖するのだとしても、それを上回っていく。

 これまで猟兵たちが紡いだた戦いの軌跡。
 そのれを、はとりはなぞっていく。もうあんな顔は二度とさせない。
「私を挑発しますか、猟兵。ですが」
 振り下ろされる『マザー・コンピュータ』の鉄腕の一撃。
 それを、はとりは笑って見据える。
 でたらめな質量だ。

 けれど、それでも笑った。
 なんてことはないと。己の心を焦がすような痛みに比べれば。
「この程度で、探偵を止められると思うなよ」
 放たれる斬撃は一瞬のうちに九つ。
 振るわれる鉄腕を寸断し、胴を薙ぎ払い、四肢をも砕く。己の背には護るべきものいて、そして己には決して揺らがぬ信条がある。
「少しは気が晴れたか」
 そして、彼は笑っていうのだ。
 一緒に戦ってくれて有難うな、と。

 護るべきものがあるからこそ、探偵は立ち上がる。何度でも――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
こりゃまた面白い…いや楽しい、じゃなくて大変な状況だねぇ。
さてと、なんか沢山いるし、アレを使うかな?
あ、ナイアルテは僕のUCの発動に巻き込まれない様に気をつけてねー。

オーバーロードで真の姿を解放し、UCでオレの城と軍勢を呼び出す。

先ずは100人の罪人どもの魂を全方位に放って自爆させ敵を爆殺。
その隙にナイアルテをオレの城に移しておき、ついでに悪魔供100体を護衛に置いておく。
ここなら下よりはちっとは安全だろ。まあ、快適とは言い難いがちっとの間我慢しといてくれや。

さア、後は戦うだけだ。…行くぞ野郎供‼︎全部纏めてぶち殺せ!!

残りの罪人ボムをマザーの方に放ち、邪魔な敵をマザーごと爆破して道を空ける。
んでもって残りの悪魔供と一緒に空を飛びながら湧き出る敵をぶち殺しつつマザーに突貫。
悪魔供は氷の鎖で動きを止めるヤツらと炎の剣で攻撃して行くヤツら、後は毒の槍でマザーを狙うヤツらに分けて攻撃させておく。
オレは悪魔供の攻撃に合わせてガンガン攻めてマザーの首を狙う。
後あれば血も。オイルは勘弁だが。



 溢れるように機械化した『増殖無限戦闘機械都市』に降り立った須藤・莉亜(ブラッドバラッド・f00277)。
 彼の瞳に映るのは好奇の的ばかりであった。
「こりゃまた面白い……いや、楽しい、じゃなくて大変な状況だねぇ」
 なんかたくさんいるし、と彼は楽観的な態度を崩すことはなかった。
『グリモア必殺計画』――それこそがこの戦いの要である。
『マザー・コンピュータ』はグリモア猟兵を狙ってくる。それは猟兵たちにとってのアキレス腱であった。

 転移を維持するための存在。
 ナイアルテが死亡すれば、後退することはできず、新たな猟兵もまた転移してくることができなくなってしまう。
 あとは物量に任せて消耗戦をしいれば、猟兵は自滅する。
 だが、そうはならなかった。
 これまで多くの猟兵たちがそうしたように、グリモア猟兵を守り、『マザー・コンピュータ』にすら攻撃を届かせていたのだ。
 その結実が今である。
「アレを使うかな? あ、ナイアルテは巻き込まれないように気をつけてねー」
 あくまで軽いノリである。

 少しも気負わせることはなかった。
 ゆえにナイアルテは微笑んで見送ることができたのだろう。
「私のことはお気になさらず。どうか存分に」
 いつものように送り出す。
 その笑顔を背に受けて莉亜は己の真の姿をさらけ出す。
 それこそが『超克』――オーバーロードに至りし猟兵の姿である。六枚の翼がを負う吸血鬼としての本来の姿。
 衝動を完全に制御した異形なる姿

 されど、迸るユーベルコードの輝きは、『増殖無限戦闘機械都市』にあって凄まじいものであった。
「テメェらの出番だ。さっさと全て殺し尽くせ」
 ユーベルコードの輝きと共に現れたのは炎の剣、猛毒の槍、蝙蝠の翼、氷の鎖で武装した凄まじい数の悪魔たち。
 そして罪人の霊を内包した夥しい数の屍で出来た空に浮かぶ城であった。

 曰く、陽滅魔軍(グラスヴィア)。

 莉亜のユーベルコードに寄って招来された軍勢は、大地より生まれ出る戦闘兵器群をも、圧倒する。
「罪人共よ、全方位に散って自爆しろ」
 莉亜の号令と共にいっきに罪人たちの霊がほとばしり、周囲に迫る戦闘兵器群を爆散させる。
 膨大な爆炎が機械都市に舞い上がり、その隙にナイアルテを莉亜は抱えて己の城へと避難させるのだ。
 さらに護衛として百体もの悪魔を配置する。
 圧倒的な物量が敵ならば、こちらも同じである。
 軍勢と呼ぶに相応しいユーベルコードの力は、機械都市にあってもなお、その威容を損なうことはなかった。
「ここなら下よりはちっとは安全だろ。まあ、快適とは言い難いがちっとの間がまんしといてくれや」

 真の姿をさらけ出したとしても、ナイアルテにはいつもの莉亜と変わらぬものであったことだろう。
 ご武運を、という言葉に莉亜はそんなんじゃないと笑いながら空へと飛び立つ。
「さア、後は戦うだけだ……行くぞ野郎ども!! 全部まとめてぶち殺せ!!」
 莉亜の号令と共に悪魔たちが戦場を駆け抜ける。
 罪人の魂による爆破を解き放ち、爆炎の中を莉亜は飛ぶ。
 邪魔な敵を全て薙ぎ払いながら、これまでの猟兵たちの戦いによって消耗した『マザー・コンピュータ』へと迫るのだ。
 
 どれだけ戦闘兵器群が湧き出したとしても関係ない。
「物量なんていうのはなァ! 質が伴ってなければ、こんなガッタガタな適当なのじゃ、止められないんだよ!」
 氷の鎖が戦闘兵器群の動きを止め、炎の剣が溶断していく。
 凄まじい戦いの輪舞曲。
 その中心で踊るようにして戦うのが『マザー・コンピュータ』の纏う巨大な戦闘機械と莉亜である。

「時間すらも超えてくる……これがオーバーロード。そこまでして明日という希望がほしいのですか」
「いいや、関係ないね。オレはただ――」
 血がほしいだけだと、悪魔たちの猛毒の槍が『マザー・コンピュータ』の纏う巨大戦闘機械の装甲に突き立てられ、腐食していく。
 再機械化の力を使ったとしても、侵食速度の方が勝るだろう。

「血がほしいだけだよ。アンタはどんなするんだろうな。オイルだっていうのなしにしてほしいものだが」
 その瞳が輝くのは血の衝動故であろう。
 吸血衝動。
 膨れ上がった衝動を抑え込み、そして今それを開放したという事実は、僅かな傷口からでも血液を捕食するだろう。

「ああ、やっぱりな」
 莉亜は吸い上げる血の味を舌の上で転がして飲み込む。
 こいつも同じだと、莉亜は思っただろう。
 永遠を望む者の血はいつだってカビ臭い。フレッシュさがない。かといって、月齢を重ねたような味わい深さもない。
 あるのは、永遠に続く灰色の如き世界だけ。

 そこに莉亜は価値を見いださないだろう。
「永遠なんてろくなもんじゃあねぇ――!」
 振り下ろした爪の一撃が巨大戦闘機械を両断し、求める永遠の思索を莉亜は否定するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
こっちのアキレス腱を直接狙ってきやがったな…
だけどこれ程の大仕掛けとなれば相手も余裕がない筈
ピンチはチャンス、やったろうじゃないの!

[SPD]
テスタロッサに【騎乗】

ナイアルテさんとは付かず離れずの距離で立ち回る(集団戦術
【第六感】で危険を察知したら直様向かって【かばう】ぞ

機械都市の攻撃はピアースの【盾受け、受け流し】か
流星の【弾幕、誘導弾】で迎撃して対処な

マザーに対しては雷鳴の【リミッター解除】
UCも加えた【限界突破、貫通・2回攻撃】を叩き込むぜ

今回はやる事が多い上に上記3つのどれか一つでも疎かにはできねえ
だから俺は足りない部分を優先して補う様に行動していくぞ
足りてる所は任せたわ!

アドリブ歓迎



「こっちのアキレス腱を直接狙って来たがったな……だけどこれほどの大仕掛けとなれば相手も余裕がないはず」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は数多の猟兵たちが転移し、戦い続ける『増殖無限戦闘機械都市』の有様をみやり、頷く。
 確かに窮地には変わりない。
 わかっている。グリモア猟兵を失えば、猟兵達は後退することもできなくなってしまう。
 そうなれば、後はジリジリと消耗させられてすり潰されるだけだ。
 だからこそ、祐一は気合を十分にシンクのテスタロッサと共に駆け出すのだ。
「ピンチはチャンス、やったろうじゃないの!」
 護るべき対象は一つ。
 グリモア猟兵であるナイアルテ。彼女は多くの猟兵に助けられて、今も尚健在である。
 傷一つ付いていないのは、これまで多くの猟兵たちが尽力してくれたおかげであろう。ならばこそ、己もまた護るのだ。

「祐一さん! 敵は機械都市毎変形してきます!」
 ナイアルテの声が聞こえる。
 己を足手まといと言った彼女の姿はもう何処にもない。猟兵たちの言葉が、彼女を変えたのだろう。
 だからこそ、守ろうと祐一は思った。
 どれだけやることが多かろうが、どれ一つとて取りこぼしてはならぬことであると祐一は理解している。

「遅い。どれだけ私を追い詰めようとも、機械化能力があるかぎり、私に敗北はありません」
 巨大な威容を誇る『マザー・コンピュータ』の纏う戦闘兵器。
 それは機械都市そのものである。戦闘兵器群は祐一を追いたて、さらにナイアルテをも襲うだろう。
 けれど、それでも祐一は熱線銃から光弾を撃ち放ち、応戦する。

「此処まで来て負けるかよ。俺に足りない部分は皆が補ってくれる。足りてるところは任せられる。そうやって戦うんだよ、猟兵ってのはさ!」
 祐一の瞳がユーベルコードに輝く。
 それは冬雷(トウライ)の如く。
 溜め込まれた限界を超える力が熱線銃から解き放たれる。
 放たれた光弾が『マザー・コンピュータ』の纏う巨大戦闘兵器を貫く。どれだけ分厚い装甲であろうと、ユーベルコードの力を上乗せした熱線銃の威力は防げない。

 爆発が引き起こされる。
 けれど、祐一は止まらなかった。護るためには攻めなければならない。
 守り続けることはできない。
 それは『マザー・コンピュータ』の言葉のとおりであった。消耗戦を強いられている。だからこそ、突破口を拓くためには己の身をなげうって戦わなければならない。
 テスタロッサの真紅が残光を描いて飛ぶ。

 目の前には『マザー・コンピュータ』の巨大兵器。
 都市そのものを機械化する能力。確かにそれは恐ろしいものだろう。けれど、恐れるべきものではない。
「ハッ! ピンチはチャンスってよく言ったもんだぜ!」
 祐一はテスタロッサを蹴って宙に飛ぶ。
 迫る鉄腕を受け流し、火花をちらしながら熱線銃の銃口を向ける。狙うは一点。
 そう『マザー・コンピュータ』のコアユニット。
 あれさえ破壊してしまえば機械化能力で兵器を再生されない。

 引き金を引く。
 散った火花が肌を焼くのも構わない。目の前の敵を打つ。敵が己たちのアキレス腱を狙うのならば、その首を断ち切る。
 肉を切らせることすらさせない。放たれた光弾の一撃が凄まじい衝撃波となって 巨大戦闘兵器を吹き飛ばし、ユーベルコードの明滅する輝きを牢獄の如き機械都市に轟雷を響かせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
想像以上の難敵だね
でもナイアルテさんや他の猟兵達と協力して
必ず打倒するよ

UCを使用
分霊と使い魔にナイアルテさんの護衛を頼もう

まかせれたのですよー

機械兵器群を格闘やレールガンで攻撃したり
金属化で行動不能にして貰うよ
ナイアルテさん自身も全く戦えない訳じゃなさそうだし
一部はお願いしていいのかな?

こっちは任せた

ええ、任されましたの

ガトリングガンの範囲攻撃で
機械兵器群を撃ち落しつつ
マザーの騎乗するマシンに接近
ワイヤーガンを利用して取り付こう

取り付いたら神気で身を守りつつ
機体をよじ登り
関節やコア等の重要部位に接近
ガトリングガンの射撃や
石化による脆化を利用して破壊しよう

永遠が欲しいなら自分だけ停まっててくれ



『マザー・コンピュータ』は想像以上の難敵であった。
 物質、概念すらも『機械化』する能力は放置しておけばアメリカ大陸そのものを機械化せしめるほどの力である。
 そして、どれだけ破壊しても即座に機械化の能力でもって再生して、兵器としてはなってくる。
 これが牢獄とも言わしめた『増殖無限戦闘機械都市』が繰り出す『グリモア必殺計画』であった。
 グリモア猟兵さえ死亡してしまえば、残された猟兵達は消耗していくしかない。
 撤退できなくなるということはそういうことだ。新たなる増援も期待できないのだれば、猟兵と言えど恐れるに足りないと『マザー・コンピュータ』は判断したのだろう。

 けれど、それは過ちであった。
 これまで多くの猟兵たちが紡いだ戦いの軌跡。
 それを見れば、彼女の理論もまた破綻していたことを佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は理解していた。
「どれだけ強敵でも繋いで、紡ぐからこそ打倒してきたんだ。分霊と使い魔はナイアルテさんの護衛を頼むよ」
 晶は式神武装白金竜複製模造体(ファミリア・アームドワイバーン)と共に空を舞う。
 試製竜騎『鉑帝竜』を遠隔操作し、迫る機械都市の機械兵器群を圧倒するのだ。
 やはり、再機械化能力が落ちている。
 これまでの戦いで相当な消耗を強いられているのは、猟兵達ではなく『マザー・コンピュータ』のほうであったのだ。

「まかされたのですよー」
 使い魔たちがナイアルテを護衛する。きっと彼女だって戦えるだろう。
 彼女自身が足手まといと語っていたが、晶にはそうは思えなかったのだ。まったく戦えないわけじゃない。
 これまでの彼女を見ていたらわかる。
 自分が足枷となって猟兵達の足を引っ張ることだけを彼女は懸念していた。けれど、それは多くの猟兵達によって払拭されている。

 だからこそ、晶は言うのだ。
「こっちは任せたよ」
「存分に。晶さんもご武運を」
 いつものように笑顔で送り出される。それだけで十分だったのだ。不安に思うことなんて何一つなかった。
 いつもどおりだ。
 どれだけ強敵であっても、強大な敵であっても。

「ええ、任されましたの」
 迫る機械都市が鉄腕を振るう。それらをガトリングガンとレールガンが砕いていく。
 金属化し、機械化を遅らせ、晶は血路を拓く。
 目の前には巨大兵器を纏った『マザー・コンピュータ』がいる。
「金属化……こちらの機械化を逆手に取りましたか。これを再機械化するのは手間ですが……それでも私の勝利は揺るがない。揺るぐはずがないのです」
『マザー・コンピュータ』の振るう戦闘機械の鉄腕が鉑帝竜を打ち据え、組み合う。

 ぎりぎりと機体のフレームがきしむのが聞こえる。
「私は永遠の思索がほしいだけ。何も争いたいわけではないのです。猟兵。そっとしておいてはくれませんか? 真理に到達するために」
 その言葉に偽りはなかったのだろう。
 永遠。
 生命を終わらせ、アーカイヴすることによって得られる永遠などただの死と変わらない。
 それを他者に強要するのならば、それは世界の破滅と同じだ。

 だからこそ、晶は言う。
「永遠が欲しいのなら」
 触れた『マザー・コンピュータ』の纏う機械兵器の装甲が石化していく。
 それは金属化と違い、機械化を遅らせるのではなく、砕くための力。
 
 そう、永遠。
 それが彼女の求めるものであったのならば、晶は己の身に宿した邪神の権能をこそ振るうだろう。
「自分だけ停まってくれ」
 他人を巻き込むなと己の権能を発露させ、ガトリングガンの掃射でもって石化した戦闘機械を散々に打ち砕くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
たとえ無限の時間をかけようともオブリビオンと化した存在が真理に辿り着くことはあるまい。ハハハ、まさに永遠の思索という訳だ。
まあ、そういう生き方があっても良いが……残念ながら君に残された時間は僅かだよ、マザー。

『アーリマンの降臨』を発動。
自身やナイアルテに迫る戦場の機械兵器群全てを絶え間なく湧き出る真紅の波動で破壊。(兵器群は出現し続けますが、出現した瞬間に粉砕です)
その上で巨大戦闘機械と化したマザーと対峙。
超音速で頭上に翔け上がり、オーラセイバーの刀身を巨大化。
一刀両断の一撃を放ちます。(鎧砕き×怪力×功夫×斬撃波)



 砕けた戦闘機械の中で『マザー・コンピュータ』は驚愕していた。
「パフォーマンスが低下。出力が落ちている。私の機械化能力が圧倒される……これが猟兵の力。永遠すらも否定する力……!」
 砕けていく戦闘機械を再び機械化し、体制を整える。
 巨人の如き巨大戦闘兵器を身にまとった『マザー・コンピュータ』は、己の失策に漸く気がついたのだ。

『グリモア必殺計画』。

 それは確かに猟兵たちのアキレス腱を狙うものであったことだろう。
 グリモア猟兵さえ死亡してしまえば、猟兵達は後退も新たな転移もできなくなってしまう。
 あとはこの牢獄の如き『増殖無限戦闘機械都市』にてすり潰せばよかったのだ。
 けれど、猟兵達は至ったのだ。
 永遠さえも破壊する『超克』の力に。
「たとえ、無限の時間をかけようともオブリビオンと化した存在が真理に辿り着くことはあるまい」
 そう告げるのは、真紅のスーツを纏ったシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)であった。

 彼の言葉に偽りはない。 
 どれだけ永遠を手に入れたとしても、それは停滞に過ぎない。
 あるのは今日だけだ。
 過去に沈んだ存在に明日は来ない。どれだけ今を侵食したのだとしても、得るべき明日がないのであれば。
「どれだけ思索を深めようとも、前進はないのだよ。ハハハ、まさに永遠の思索という訳だ」
「ならば、私を否定しますか」
「まあ、そういう生き方があっても良いが……残念ながら君に残された時間は僅かだよ、『マザー・コンピュータ』」

 その瞳がユーベルコードに輝く。
 たしかにグリモア猟兵を仕留められれば終わりである。
 けれど、現実はどうだ。多くの猟兵たちが紡いだ戦いの軌跡をシーザーは見ている。
 どれもがつなげ、紡いできた。
「現に君は機械化能力が落ちているようだね。それだけ力を削がれたということだよ……さあ、始めようか」
 それは、アーリマンの降臨(デウス・マールム)。
 輝く真紅のオーラを纏った姿となったシーザーが『増殖無限戦闘機械都市』を飛ぶ。

 真紅の波動が迫る戦闘兵器群を討ち滅ぼしながら、ナイアルテに迫るて敵すらも破壊していくのだ。
「無駄だよ。全盛の君ならばともかく。消耗した君にこの波動に対抗するだけの出力は得られまい」
 出現し続ける戦闘兵器群を出現した瞬間に砕きながら、シーザーは圧倒する。

 目の前には巨大な戦闘機械を纏った『マザー・コンピュータ』。
「いいえ。時間をかけましょう。貴方とて無限には至らない。無限と永遠は違う。だからこそ」
 振るわれる鉄腕の一撃をシーザーは一瞬でオーラセイバーの刀身を閃かせる。
 寸断された鉄腕を蹴って巨大戦闘機械すら飛び越える。

「終わり給え。思索は終えるからこそ、答えが得られるのだから」
 最上段に構えたオーラセイバーの刀身が極大に膨れ上がっていく。
 その光条の如き刀身がいっきに振り下ろされ、巨大戦闘機械と化した『マザー・コンピュータ』を切り裂く。
 それは、猟兵たちにこの戦いの趨勢が傾いたことを知らせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
「ご主人サマ!閉じ込められちゃったよ!」
想定内だ!寧ろナイアルテにいい所見せるチャンスだ!
「ヒャッハー☆」
と言う訳でキャバリア内にナイアルテを保護します!
しっかり捕まっててくださいねー?(UC発動の為の詠唱開始)
【情報収集・視力・戦闘知識・迷彩・空中戦】
高速で飛び回りながら都市の攻撃を捕捉
構造を把握し逃げつつ敵の意図を分析

【念動力・属性攻撃・弾幕・スナイパー・武器受け】
念動障壁を展開して防御強化
超高熱熱線で都市の攻撃を迎撃
【二回攻撃・切断】
それを超えてきた攻撃や対猟兵兵器を鎌剣で切り刻みつつ詠唱は継続

詠唱完成時
お前が無限に増える都市で来るなら無限に増える電撃で潰してやる
UC発動
存分に育て



 極大の光となった刀身の一撃が『マザー・コンピュータ』の変貌した巨大戦闘兵器を破壊し、爆煙を『増殖無限戦闘機械都市』へと立ち上らせる。
 それは猟兵たちにとって戦いの趨勢がついに傾いたことを知らせるものであった。
 けれど、大地から湧き上がるようにして機械兵器群が猟兵たちを追い込む。
 どれだけ消耗したとしても『マザー・コンピュータ』は『オブリビオン・フォーミュラ』である。
 その地力の凄まじさを見せつけるように乱舞するように戦闘兵器群が空を舞う。
 いや、天地はすでに機械都市に包み込まれ、決して猟兵たちを逃さぬだろう。

「ご主人サマ! 閉じ込められちゃったよ! いい加減諦めてほしーんだけど!」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、界導神機『メルクリウス』を駆り、『メルシー』の言葉を聞く。
 現状は未だ逼迫している。
 グリモア猟兵を護りつつ戦う。けれど、全天を覆う敵の数は未だ健在と来ている。
 ここまで消耗させてもなお、『マザー・コンピュータ』は猟兵の打倒を諦めていないのだ。
「想定内だ! むしろナイアルテにいいところを見せるチャンスだ!」
「ヒャッハー☆」
 どこまでもポジティヴにカシムとメルシーが戦場を駆ける。
 ナイアルテを認めれば、コクピットを開け、そこに収納するのだ。

「あ、あの! どうか私には構わず……」
「此処のほうが安全だから。しっかりつかまっててくださいねー?」
 戸惑うナイアルテをよそにカシムはマイペースに言う。
 そう、これより放つ己のユーベルコードの巻き添えにしてはならないからだ。
 それは、外典帝竜眼「碎輝」(ムゲンニセイチョウシツヅケルモノ)。

 詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する雷の力。
 それは瞬時に成長し、自ら増殖するドラゴンブレス。高速で飛ぶ機体が目まぐるしく戦場を駆け抜ける。
 迫る戦闘兵器群を躱し、詠唱が紡がれていく。
 この『増殖無限戦闘機械都市』にあっては、出力が落ちているとは言え、未だ『マザー・コンピュータ』のフィールドである。
 ならばこそ、その盤面毎覆すのがユーベルコードの輝きである。

「万物の根源よ…帝竜眼よ…我が呼びかけに答え…我が力に応え…我が叫びに応え…無限に強くなり続ける可能性の竜の力を今此処に示せ…!!」
『メルクリウス』より放たれるドラゴンブレスの一撃が直線上の全てを薙ぎ払う。
「お前が無限に増える都市で来るなら、無限に増える電撃で潰してやる」
 迸る雷撃。
 それはあらゆるものを吹き飛ばし、砕く。
 大地さえも機械化する『マザー・コンピュータ』の能力は恐ろしいものであろう。けれど、放たれた無限増殖するドラゴンブレスは、それが『マザー・コンピュータ』だけのお家芸ではないことを示していた。

「私の侵食速度を上回る……!」
「ああ、そうだよ。存分に育て。お前の生み出した『増殖無限機械都市』だろうとなんだろうと。全て飲み込んでいく」
 ドラゴンブレスは、そのユーベルコードの名が示すとおりに際限なく成長していく。
 吹き荒れる雷撃そのものが『メルクリウス』に迫る兵器すらもの鎌剣で斬り裂き、超高熱熱線で都市を切り裂いていく。

 天を覆っていた戦闘兵器が散り散りに破壊され、亀裂が走っていく。
 放たれた雷撃の増殖速度が機械都市の機械化能力を上回った瞬間であった。どうしようもないほどの力の奔流が牢獄のようであった機械都市に空を取り戻す。

 そう、戦いはもはや猟兵に完全に傾く。
 絶対などないように。永遠もまたないのだ。それを求めた瞬間に『マザー・コンピュータ』は敗れる定めであったのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

オーライ!
こんな街一つ!すぐに更地にしてあげるよ!
……???
ああ!そうだった!キミもいるんだった!
いや忘れてない、忘れてないからね?

●対策:[白昼の霊球]くんを敵の攻撃だけ透過しないようにしてボクたちを幾重にも包み込む!
あとはその防御を集中攻撃で破られる前に…

うーん、この街ってどれくらい拡がってるんだろ?
まあそこらへんは勘【第六感】で量って…
UC【神罰】発動!超ビッグな強化[ドリルボール]くんたちをわっと放って内側から食い破ってもらおう!

うーん…考え事をしたいだけなら別にこんなことしなくていいんじゃないかな?
ああそっか!
きっとキミは、本当は……答えを知りたくないんだね



「オーライ! こんあ街一つ! すぐに更地にしてあげるよ!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)が降り立った『増殖無限戦闘機械都市』は、もはや惨憺たる状況であった。
 雷撃が機械都市を破壊つくし、出力の落ちた『マザー・コンピュータ』の機械化能力では最早天を覆うことは不可能になっていた。
 けれど、それでも『マザー・コンピュータ』は『グリモア必殺計画』を中断することはなかった。

「私の永遠の思索のためには。猟兵という障害は排除しなければ……」
 半減した機械都市を変形させえ、コアユニットたる『マザー・コンピュータ』が立つ。
 その瞳は驕りも何もなかった。
 あったのは猟兵を排除せんとする意志だけであった。迸るように機械化能力があらゆる物質を、概念すらも機械化し膨れ上がらせていく。
 巨大な人型となった機械都市の拳の一撃がロニへと振り下ろされる。
「ああ! そうだった! キミもいるんだった! いや、忘れてない、忘れてないからね?」
 ロニはグリモア猟兵を護ることを一瞬失念していたのだろう。
 全てぶっ壊してしまえばいいと乱暴なことを考えていたが、味方に及ぼす被害を考え直す。

 ならばと、彼の周りに浮かぶのは幾つもの球体である。
 それらは己たちに加えられる攻撃を透過しないようにした力であり、振るわれた鉄腕の一撃を受け止めるのだ。
「うーんこの街ってどれくらい広がっているだろ?」
 ま、でもいっか、とロニは笑って力を行使するのだ。

「神罰(ゴッドパニッシュメント)発動! 超ビッグなドリルボールくんたち! わっと行っちゃおーか!」
 輝くユーベルコードとともに飛び立つ球体。
 表面に流動する刃を備えたそれらが巨大化し、一斉に機械都市を食い破っていく。
 それはまさに破壊そのものであったことだろう。

 誰もそれを止めることはできない。
 無限に増殖する機械化能力であっても、これまで猟兵たちが紡いだ戦いの軌跡が、それを許さない。
 出力が落ち、『マザー・コンピュータ』もまた消耗仕切っている。
 ならばこそ、本来の力を発露できぬ彼女に勝ち目など無いのだ。
「永遠の思索の果てにこそ真理に辿り着くことができるというのに……何故、それを阻みますか、猟兵」
 その言葉にロニは首をかしげる。

「うーん……考え事をしたいだけなら別にこんなことしなくていいんじゃないかな?」
 永遠なんて必要ないのだとロニはいう。
 考え、答えを出す。
 それが思索の目的であるのならばこそ、時間は関係がない。なのに、時間を求める。

「ああ、そっか! きっとキミは、本当は……答えを知りたくはないんだね」
 ロニは笑っていう。
 掲げた手が振り下ろされる。
 答えを求めぬ思索こそ無為なるものであろう。それが正しいか正しくないかはわからない。
 けれど、永遠を砕く力こそが猟兵の手の中にある。
 この力があるのならば、永遠など意味をなさない。そういうかのようにロニの力の発露である球体の一撃が『増殖無限戦闘機械都市』を穿つのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マオ・ブロークン
ありがとう。ナイアルテ、さん。ここまで、導いて、くれて。
予知も、できない……ちっぽけな、身体、ひとつ。
助けが、なければ。長い戦い。抗い続け、られなかった。
……今度は、あたしが、守る番、だ。

向かってくる、機械都市、そのものと。
丸鋸を、唸らせて、真っ向から、ぶつかる。
飛んでくる、ものは。怨念の、力で、退けて。それでも、
猟兵の、腕力でも……長くは、持たない、かも。
つぶれる、前に。

激情と、ともに。溢れ出す。乾くことない、涙の粒を……
ひそやかに、漂わせて。あたりに、布石を、撒いてたの。
一気に、UCとして。解き放つ。
戦場全体に……機械都市の、すべてに、波及する、電撃。
動けなく、なるのは……痛い、でしょ。



『増殖無限戦闘機械都市』が穿たれ、天を覆う戦闘機械は払われた。
 空が広がっている。
 けれど未だ大地は戦闘機械に覆われ、『マザー・コンピュータ』は『グリモア必殺計画』を諦めては居なかった。
 あらゆる物質、概念を機械化する能力は、ただ時間さえを味方にしてしまえばいい。
 永遠の思索を求める彼女らしい力であったとも言えるだろう。
 けれど、それでも猟兵達は戦いを紡いだ。
 次に繋がるようにと戦い続けた。どれだけ無限に増殖する戦闘兵器が襲ってくるのだとしても。

 グリモア猟兵というアキレス腱を狙われたのだとしても。
 それでも彼らは戦い続けた。
 無限に思える戦い。けれど、それでも終わりは来る。永遠を砕く力を持つのならばこそ、マオ・ブロークン(涙の海に沈む・f24917)は戦場に立つ。
 未だ溢れる涙と共に。
 彼女のあふれる涙は決して止まることはない。
 デッドマンであるが所以であろうし、そして彼女が戦い続ける理由でもあったことだろう。
「ありがとう。ナイアルテ、さん。ここまで、導いて、くれて」
 彼女は言った。
 アポカリプス・ランページが始まって以来、ずっと戦い続けていた。

 数多の戦場が在った。
 苦しい思いも、悲しい思いもした。けれど、それらの全てが無駄ではなかったのだ。
「予知も、できない……ちっぽけな、身体、ひとつ。助けが、なければ。長い戦い。抗い続け、られなかった」
 だから、と彼女は『マザー・コンピュータ』に立ち向かうのだ。
 そう、その胸にいだいた一つの思いを手に彼女は前を向く。溢れる涙は、ハラハラと落ちていく。

「いいえ、そんなことは決してありません。私こそ、貴女がいてくれなかったのならば。全ての戦いに必要なかった人などいません。貴女の勇気があったからこそ」
 きっと強大なオブリビオンを打倒してこれたのだ。
 泣かないで、とは言わない。言えない。自分の涙を止める術を知らぬ彼女にナイアルテは、感謝を告げる。
 これまで紡がれてきた戦い。
 誰もが掛けてはこの結果を導くことができなかったことだろう。
 彼女は守られてきたというが、違う。きっとナイアルテは守られていたからこそ、マオの言葉を受け入れるのだ。

「……今度は、あたしが、守る番、だ」
 向かってくる機械都市そのもの。もはや、残された余力もないのであろう。『マザー・コンピュータ』が騎乗する機械都市は人型の巨人へと姿を変え、その拳をマオへと振り下ろす。
 けれど、それ以上にマオの持つ丸鋸が唸りを上げる方が咆哮のように力強いものだった。
 自分の魂の衝動がヴォルテックエンジンに吸い込まれていくのを彼女は感じただろう。
 真っ向から激突する丸鋸と鉄腕の拳。
 火花が散る。涙があふれる。けれど、溢れるのは涙だけではなかった。背後にはナイアルテがいる。
 守らなければならない者。
 だからこそ、マオは決して歩みを止めなかった。

「――ッ!!!」
 それは激情と共に溢れ出す。
 守る。守る。守る。どれだけ己の身が砕けても構わない。迫る戦闘兵器がマオの体に弾丸を打ち込んでも構わなかった。
 きしむ体を押しのけて、怨念の力が戦闘兵器を掴まえて握りつぶす。爆炎が頬を撫でた。
 それでも。
 守りたいという思いだけが溢れていく。涙が一緒に溢れ、乾くことのない大粒の涙を漂わせていく。

 不可思議な光景であったことだろう。
「……? なに、が……?」
『マザー・コンピュータ』が真っ先に気がついた。
 マオから溢れた涙が地面に落ちること無く周囲に漂っているのだ。それも蒸発することもなく、まるで宇宙空間に漂う水滴のようにたわみながら形を変えている。
 おかしい。
 そう気がついた瞬間にマオは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

「…漂う、網、に。引っかかった、ね」
 それは、見えざる海月の抱擁(ミエザルクラゲノホウヨウ)。周囲に漂う涙の粒が、ユーベルコードの中継点となって指向性の雷撃を解き放つ。
 これまで発露した激情の全てが衝動となって『マザー・コンピュータ』へと迸る。
 それだけのとどまらない。
 彼女の激情は、機械都市すらも飲み込む衝動であったのだ。
 ヴォルテックエンジンは魂の衝動を雷に変える。ならば、今のマオであればこそ、都市一つを包み込むほどの大量の電流を発することなど不可能ではなかったのだ。

 迸る電撃は『マザー・コンピュータ』と機械都市を包み込み、その機能にまで波及するのだ。
「動けなく、なるのは……痛い、でしょ」
「こん、な……此処で、私の、永遠の思索、が……途切れ、る……答えを、真理を……得られぬ、まま……」
「みんな、あたしと、同じ……には、させない」
 あの苦しみ、悲しみをマオは知っている。
 他の誰かにあんな思いをさせたくない。それゆえに彼女は涙をこぼし続ける。あんな思いをさせない。

 死が永遠になるために必要なものであるのならば、マオは永遠など要らない。
 ここに死を超越したものがいる。
 これが永遠だ。死すこともできず、ただ涙を溢れさせ続ける存在。
「させない……!」
 放たれる電撃が涙を伝って『マザー・コンピュータ』へと疾走る。

 それは終わりの一撃。
 霧消して消えていく『マザー・コンピュータ』のコアユニット。
 もう永遠など求めることのできぬ終わりを告げる光景であった。
 いつだって最期は切ないものだ。それが例え相対する滅ぼすべき敵であったのだとしても。
 マオは大粒の涙を振り切って、己の魂の衝動に従い、牢獄の如き機械都市から皆で生還するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月20日


挿絵イラスト