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銀河帝国攻略戦⑬~己が過去からの侵略

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「銀河帝国攻略戦は、キミ達の活躍のお陰で、ついにエンペラーズマインド中枢への突入に成功したよ! よってついに、エンペラーズマインド・コアの破壊作戦が実行される、ん、だけど。キミ達には今回、そこから外れた別の場所に行ってもらう事になったんだ」
 帝国の執政官兼科学技術総監、ドクター・オロチ。彼(?)は本作戦において、正面の侵攻ルートから外れて自身の目的のために行動している。これを逃してしまえば、大きな禍根を残す事になるだろう。
 エンペラーズマインド・コアを破壊すれば、戦況の不利を悟ったオロチは逃亡する事が予知されている。よって、コア破壊の前に居場所を掴まなくてはならないのだ。
「オロチ麾下のアマルテア情報艦隊や、その旗艦『実験戦艦ガルベリオン』の居場所はまだ確認出来てないんだけど……エンペラーズ・マインドの突入に成功し、重要な巨大隔壁を打ち砕いた事で、ボク達の予知にオロチ艦隊の居場所を隠す『ジャミング装置』の存在が引っかかったんだよね」
 この装置が、アマルテア情報艦隊の発見を阻害していた。逆に言えば、これを破壊出来れば、これまで隠れていたアマルテア情報艦隊の場所を捕捉し、その行動を予知する事ができるようになるのだ。
「よって、キミ達にはこの『ジャミング装置』の破壊に向かってもらうよ。ただ……当然、向こうも黙って破壊されてくれはしない。装置には『防衛機構』がついていて、この妨害を突破しない限り、装置を破壊出来ないんだ」

 防衛機構は猟兵達の敵意に反応し、その脳に対する精神攻撃を仕掛けてくる。近づいた猟兵を精神世界に捕らえ、トラウマとなる事件などを再現すると言うのだ。
「そのトラウマに怯え、屈してしまえば、そのままジャミング装置から遠ざかってしまう。近づくためには、トラウマを乗り越える必要がある」
 ジャミング装置は、『人間の脳に無数のアンテナを刺した』ような悪趣味な外見だが、防衛機構以外の武装や防御能力は存在しない。トラウマを乗り越えさえすれば、容易な破壊が可能だ。
「まあ、簡単に乗り越えられればトラウマって言わないんだけどさ」
 戦うべきは己の過去。人によっては、どんな強敵よりも強大な存在である。

「それでも、キミ達ならやり遂げられるって、ボクは信じてる!」
 いつもどおりのわざとらしいほど可愛い仕草の中に、強い期待をもって、くるるは猟兵達を見渡す。
「だから、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」


一二三四五六
 あなたの過去を教えてください。それで殴ります。

 ごきげんよう。どんなトラウマが来るかちょっと楽しみ。一二三四五六です。

 というわけで、今回は実験戦艦ガルベリオンを発見するための作戦です。フラグメントは、同作戦用の共通フラグメントとなっています。

 補足。
 注意事項はだいたい下の共通文に書いてあります。必ず目を通してください。リプレイは『トラウマに囚われるシーン→それを打ち破るシーン』となります。
 下記注意事項にもある通りが、あんまり軽いトラウマだと採用出来ないので、悪辣なのを考えて自分を目一杯追い詰めてください。
 『今も抱いているトラウマを乗り越える』以外にも『過去に乗り越えた筈のトラウマを再び思い出してしまうが、改めて乗り越える』とか『完全に克服出来ずとも、恐怖に耐えて前に進む事を決意する』とかいろいろなパターンがあります。自分に合った内容でいろいろ試してみましょう。

 返却は早めを予定しています。でも明朝ぐらいまでのプレイングなら(内容に問題ない限り)間に合うと思いますので、焦らずどうぞ。

 それでは、皆様のプレイングを、楽しみにお待ちしています。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 このシナリオでは、ドクター・オロチの精神攻撃を乗り越えて、ジャミング装置を破壊します。
 ⑪を制圧する前に、充分な数のジャミング装置を破壊できなかった場合、この戦争で『⑬⑱⑲㉒㉖』を制圧する事が不可能になります。
 プレイングでは『克服すべき過去』を説明した上で、それをどのように乗り越えるかを明記してください。
『克服すべき過去』の内容が、ドクター・オロチの精神攻撃に相応しい詳細で悪辣な内容である程、採用されやすくなります。
 勿論、乗り越える事が出来なければ失敗判定になるので、バランス良く配分してください。

 このシナリオには連携要素は無く、個別のリプレイとして返却されます(1人につき、ジャミング装置を1つ破壊できます)。
 『克服すべき過去』が共通する(兄弟姉妹恋人その他)場合に関しては、プレイング次第で、同時解決も可能かもしれません。
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第1章 冒険 『ジャミング装置を破壊せよ』

POW   :    強い意志で、精神攻撃に耐えきって、ジャミング装置を破壊する

SPD   :    精神攻撃から逃げきって脱出、ジャミング装置を破壊する

WIZ   :    精神攻撃に対する解決策を思いつき、ジャミング装置を破壊する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リネット・ルゥセーブル
白く、白く、冷たい何かがしんしんと降り積もる。
視界が柔らかく白に染め上げられる。

同時に背中の方から熱が伝わる。
懐炉というには余りにも大きい、自分よりも一回り大きな熱源。
それは、低温やけどなどとは全くの無縁な、人を安らぎに導き得るもの。

一晩も氷点下に晒されれば二度と動くことはない、
姿形が脳裏にこびりつき、だからこそ思い出せない、わたしの…………

否。否。否。
「それ」は今更出てくるものでもない、わたしの近くにずっといる筈だ。

黒鳥の呪いが背中から自分を覆い尽くす。
それは炎を形どるが、不思議とわたしを灼きはしない。
それは『死んではならぬ』とわたしを丹念に呪い直す。

むしろ灼いてくれたら楽だったんだけど。



 色もなく。
 音もなく。
 熱もなく。
 それは、視界一面に降り積もる。
 優しく、それでいて残酷に。
 全てを塗りつぶすように、降り積もる。

 何も見えない。
 何も聞こえない。
 感じるのは冷たさだけ。

 いつからこうしているのだったか。
 一分? 一時間? 
 ……一晩中?

 その姿が、脳裏にこびりつく。
 忘れられない。
 だからこそ、思い出せない。

 その身体に、雪が降り積もる。
 その身体が、凍りつく。
 その身体は、動かない。
 二度と。

「……否」
 だとしたら。背中に感じる大きな熱はなんだ。

「……否」
 人を安らぎに導くような、暖かな熱はなんだ。

「……否」
 その熱は。それは。

「『それ』は、わたしの近くにずっといる筈だ」
 そう、リネットが認識すると同時に、熱は形を為した。
 背中から立ち昇る、黒い鳥。
 熱く燃え上がる、実体無き炎。
 それが、リネットの身体を覆い尽くした。
 雪を灼き、冷気を灼き、過去を灼き。
 けれどその炎が、彼女の身体を灼く事はない。
「『死んではならぬ』……か」
 暖かな炎が、そう、彼女に訴える。
 そう、彼女を――呪う。
 念入りに、呪い直す。
「いっそ灼いてくれたら、楽だったんだけど」
 雪景色はすでに消えていた。
 彼女の目に映るのは無限の星空、そして悪趣味な脳。
 それを見つめ、彼女は無造作に手を向ける。
 黒鳥の呪炎は、リネットの身体の時とは違い、刹那でそれを灼き尽くした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

亜儀流野・珠
俺は人間に殺されかけた。
村の者の為に。奴らが生きる為に。神として…いや、生贄としてか。
もしそれが成っていたら俺はその地に縛られてたか、力だけ抜かれて捨てられてたかもしれんな!
流石に人間を嫌いになりかけた。が!そこから助け出してくれたのも人間だ!
恩人の存在が、恩人が残したこのリボンがあるから俺は人間を好きでいられる!
それを身に着けている限り俺は大丈夫だ!
今更そんなちょっかいで止まりなどしない!

悪趣味な脳味噌よ、「大薙ぎ」で巨大化させた木槌、「砕」にて砕かれろ!



 村人達が彼女を取り囲んだ。
 口では崇め、奉りながら。
 その地を守る神(イケニエ)として、彼女を縛り付ける。生きるためだとそう言いながら、彼女の自由を殺していく。
「やめ、ろっ……」
 大地に縛られ、身動きが出来ないまま、その身体から力を絞られていく。
「許さ……ないっ……」
 村人に対しての怒りは、人間に対しての怒りに変わる。絶望と憎しみの中、珠は呪詛を漏らす。
「絶対に……許す、もんか……!」
 憎しみに染まり、村人達を睨みつける、その瞳……その視界の隅にちらりと、赤が映った。
「っ……ちが、うっ!」
 その瞬間、憎しみに歪んだ視界が、鮮明に晴れる。その赤を、髪につけたリボンをギュッと掴み、その感触を確かめる。
 確かに、彼女は人間に殺されかけた。けれど。
「それを助けてくれたのも……人間だっ!」
 叫びと共に、過去の光景がひび割れた。現実へと戻ってくる。
「全く、本当に悪趣味なヤツだったぜ」
 改めてリボンを握り直す。恩人の残した唯一の手がかり。
 それが、珠に現実を、本当の過去を思い出させてくれる。
「今更、こんなちょっかいで、立ち止まりはしない!」
 このリボンがある限り、もう、忘れはしない。
 その両手に、槌を握りしめる。振りかぶると、それはさらに巨大化して。
「俺はもう、人間を憎まない。いいや、人間が……大好きだ!」
 叫びと共に振り下ろしたそれが、そのまま、装置を、粉々に砕き散らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日和見・カナタ
ジャミング装置…なんだか悪辣な機構がくっついてますが、今後のためにも破壊しなきゃですよね。

私は子どもの頃の記憶を掘り返されることになるでしょう。
かつて孤児院に居た頃、流行り病が皆を連れ去っていってしまいました。
冷たくなった友達を埋めながら、私もいつかは物言わぬ死体になるのだと怯えていたものです。

でもそれは過去の話。今の私はそうではないことを知っています。
誰かの遺した意思が続く誰かの支えになって、そうして心から心へと紡がれ生き続けていくことを知っています。
かつて会った偉大な冒険者からそれを学びました。

だから、私がその記憶に怯えることはありません!
目を覚まして【ロケットパンチ】で装置を破壊します!



 こうして、穴を掘るのは幾度目だろうか。
 冷たくなった友人の身体をそっと、その穴の中に置く。
「う……うぅ……」
 土をかぶせながら、涙を溢れさせる、幼いカナタ。
 孤児院を襲った流行り病。それは、彼女の友の命を、容赦なく奪い去っていった。もう、何人失ったかも覚えていない。けれど、その一人ひとりは、しっかりと覚えている。
 共に暮らした友人が、奪われていく、喪失感。昨日はあの子が。今日はあの子が。明日は……。
「っ……」
 私が。
 埋めた筈の墓穴から伸びた手が、カナタの脚を掴む。
 次はお前が、物言わぬ骸となる番だと。
 死の予感と恐怖が、幼い彼女を引きずり込もうとする。
「でも、それは過去の話」
 その、伸びる手に、そっと触れる。
「でも、今の私はそうではないことを知っています」
 幼い少女であったカナタの手が……腕が、脚が。蒸気機関へと変わっていく。
 その四肢は、彼女の冒険心の象徴だ。
「誰かの遺した意思が続く誰かの支えになって。心から心へと紡がれて」
 そうすれば、どこまでも行ける。そっと目を閉じれば、そう教えてくれた冒険者の姿が、瞼の裏に映る。
「だから……」
 そうして目を開けば、そこに広がるのは孤児院の墓所ではなく、無限の宇宙。まだ、彼女が冒険をしなければならない、広い広い星空。
「こんな所で、立ち止まってられませんっ!!」
 蒸気の力で拳を放つ。それは、彼女の冒険を阻むジャミング装置を、真っ向から打ち砕いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大河・回
「正義の味方」に邪魔をされ続け首領から与えられた最後の機会の作戦
自らが陣頭指揮を取るそれを阻止され、決着をつけるために怪人態(チャクラムを武器とするホワイトタイガーの怪人、チャクラムタイガー)に変身して戦うもとどめを刺され爆発する
「設定」の中ではそうなっていたが「今」の自分には関係なかった記憶が襲ってくる

いや、それはあくまで設定に過ぎない
「設定」による世界征服の野望は今でも生きる目的だ
しかし、「設定」だからそうするのではない
「設定」の私は設定通りにしか生きられないが「今」の私は自由に生きている!

さあ、戦闘員(昭和特撮風全身タイツ)よ!声を上げろ!
あの忌々しい機械を破壊するぞ!



『我がデスペアに、役立たずはいらぬ。分かっておるな、プロフェッサーT』
 首領の言葉が、脳裏にこだました。
 この作戦に失敗すれば、回は処分される。失敗は許されない。
「私の最終作戦……しかと見届けるがいい!」
 その身体を、怪人へと変貌させる。チャクラムタイガー、それが、その姿の名だ。
 圧倒的な力を誇る幹部怪人。その力は『正義の味方』を追い詰め……けれど、決して勝利には届かない。『悪』が『正義』に、勝てる筈がないのだから。
「デスペアに……栄光あれぇぇぇ!」
 断末魔の叫びと共に、回の身体は、粉々に爆発した。

「いや、違う。これは、私ではない」
 その光景を、自らが死ぬ姿を、テレビ画面の中での出来事のように見ながら、回はそう声を上げる。
 確かに、死んだのは、自分だ。その記憶は、彼女の脳に刻みつけられている。
「だが、これは私の過去ではない」
 世界征服を目論む悪の組織の幹部。それは、バーチャルキャラクターとして産み落とされた彼女の『設定』にすぎない。
「確かに私は世界征服の野望を抱いている。それは今でも生きる目的だ」
 だが、『設定』だからそうするのではない。そう生まれたから、そう造られたからそうするのではない。
「私は、私の『意志』で。私の『自由』で、世界を征服する! いけ、お前たち!」
 指令を受け次々と、全身タイツの戦闘員が出現する。彼らの手によって、ジャミング装置は完膚無きまでに破壊された。

大成功 🔵​🔵​🔵​

弥久・銀花
【POW】
私のトラウマは左目を抉られた時の敗北の記憶です。

ですが、克服しないで再び自ら戦場に立つなんて無様を晒したりするほど柔な積りもありません。

あの時、左目に最後に映った大きな爪の光景は何度も夢に見ました。

機械の力で鮮明に思い出させてくれるのなら良い機会です。
トラウマを完全に乗り越えられていると証明できます、感謝しますよドクター・オロチ!
……ジャミング装置を作ったのってドクター・オロチで良いんですよね?


ジャミング装置に近付いたら人狼咆哮で粉砕します。



「っ……!」
 何も映らぬ筈の左目が、目の前の光景を明確に映し出す。
 だが、それは喜ばしい事ではない。なぜなら、映し出される光景は、敗北の絶望なのだから。
 銀花が初陣で戦ったオブリビオン。その暴虐が、彼女の身体を襲う。容赦なく肉を裂き、骨を砕く。
「っ……あっ、あああっ、ぐぅっ……!」
 耐え難い激痛に、声が溢れる。彼女も必死に刀を振るうが、それが相手を撃ち倒す事はない。
 これは過去だ。なら、結末は決まっている。
「っ……や、めっ……」
 制止も、意味はない。振り下ろされる爪……それは何度も夢に見た光景。
 それは、彼女の左目を裂き、その瞳を抉り出した。
「っ……あ、あああああっ……!」
 空洞と化した左目から血を流す。苦痛と絶望に悲鳴を上げる。
 だが。
「はぁ、はぁ……倒れは……しません……」
 かつての銀花はここで倒れ、敗北した。だから、ここから先。意識を保ち、しっかりと銀花が立ち続ける光景は、過去ではない。
 だから、結末は決まっていない。
「敗北を克服せず、再び戦場に立つなんて……そんな柔なつもりはありません!」
 愛刀の柄に手をかける。抜くまでもない。ずっと傍にいたその愛刀は、それだけで力を与えてくれる。
「これで、トラウマを乗り越えられていると……証明、出来ます。感謝しますよ、ドクター・オロチ」
 目の前に迫る魔物を。絶望の過去を、右目で真っ直ぐに見つめる。
「おぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」
 そして、決意をこめた咆哮が、魔物を……装置を打ち砕いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

胡堂・充
【SPD行動】(充は邪教団により家族を殺されています)
――沙耶ッ! 充ッ! 逃げろッ!
――私はどうなってもいいから! どうかこの二人は……!
――ごめんね、充……お姉ちゃんもう動けないみたい……

……あの日を忘れたことは無い。父の最期を、母の悲鳴を、姉から溢れた血の暖かさを。

だけど……あの日の出来事が再び目の前で起きようと、僕は止まったりしない。
あんな悲劇を繰り返さないためにも、僕は医者に……そして猟兵になったんだ。
だから、医者として、猟兵として、ここで挫ける訳にはいかないッ!
マックス! 【高速突撃形態】(ロアリング・モード)起動!
悪夢を……振り切るぞ!!

(アドリブ等はお任せします)



「沙耶ッ! 充ッ! 逃げろッ!」
 父は、最期の瞬間まで子供たちを気遣い、そして殺された。
「私はどうなってもいいから! どうかこの二人は……!」
 母は、そう縋り付いて懇願し続け、そして殺された。
「ごめんね、充……お姉ちゃんもう動けないみたい……」
 そして姉は、充の腕の中で死んだ。
 溢れる暖かな血が、その手を伝う。その流れる血の感触も、熱も、しっかりと感じられる。
 邪教団に家族が殺された日。それが、彼にとって最も深い悪夢の記憶だ。
「……こんなものか?」
 だが。それに彼が、心を揺らすことなど、ない。
「僕は、あの日を忘れたことは無い。一度もだ」
 父の最期も、母の悲鳴も、姉から溢れる血の暖かさも。
 こんな幻、他人から見せられるまでもない。自分の脳裏に、刻みつけられているのだから。
「あんな悲劇を繰り返さないためにも、僕は医者に……そして猟兵になったんだ。だから……」
 彼の横に、一台のバイクが現れた。現実から幻の世界へ呼び出したそれへ、しっかりと跨る。
「だからここで、挫ける訳にはいかないッ!」
 そのバイクは、彼が未来へと進む意志。過去に囚われぬ証。
「マックス! 高速突撃形態(ロアリング・モード)、起動ッ!」
 アクセルをひねると、その車体が変形し、勢いよく飛び出す。
「悪夢を……振り切るぞ!!」
 父の、母の、姉の。背にかかるその声を振り切って。幻を貫き、装置を打ち砕き、彼は現実へ……現在へと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナノ・クロムウェル
トラウマを再現ですか…なら私に見ることになるのはあの光景ですね…
……ですが、あの時とは違います
今の私には出会った猟兵や旅団で過ごした日々があります
暖かいあの日々を思い出し、乗り越えます

装置には「爆裂剣」です

私はもう…力には呑まれません

以下トラウマ内容
※プロフにまだ未記載の内容

猟兵になる前に彼女とその家族は火災に巻き込まれた
彼女は大火傷、家族は「焼死」している
表向きは事故となっている

その時の炎は世にも奇妙な緑の炎だった

そう火事の原因は彼女本人である

当時、感情の封印は強固でなかった
何故なら危機意識が無かったから

些細な事で喧嘩した際、かっとなって封印を解いた
結果、自身とその家族を己の炎で焼き尽くした



「やはり……この光景、ですか……」
 ナノが、かつて遭った大火災の光景。炎に焼かれ、火傷の苦痛が彼女を責め苛む。
 幻だと言うのに、あまりに現実感のある痛み……だが、そんな肉体の痛みは、全く気にならない。
 本当に痛いのは、心。炎に包まれ、灰となっていく、自分の家族を見る心だ。
「この、炎は……」
 辺り一面を満たす炎。その炎は、緑に燃え盛っている。自然ならざる炎……その出処は他ならぬ、彼女の身体、だ。
「この頃の私は……まだ、この力を理解していなかった」
 感情が炎に変わる力。それを危険なものと理解していなかった。感情の封印は、心許ないものだった。
 そうして切欠は、些細な喧嘩。少し、かっとなった……その代償が、目の前の、これだ。
 その光景が、痛みが。封印した筈の感情を溢れさせ、炎となって、彼女自身を焼こうとする。
「……ですが」
 その、炎を。静かに御する。
 溢れ出す炎を、右手の一点に集めていく。
「私は、あの時とは違います」
 多くの仲間達と出会った。多くの仲間達と過ごした。その暖かな日々が、今の彼女にはある。
 その記憶が、今の彼女を支えてくれる。
「今の私はもう、この感情に溺れ、焼かれたりはしない」
 御した力は、炎を凝縮した翠炎の剣となる。それを握り、真っ直ぐに振りかぶる。
「私はもう……力には呑まれません」
 静かな決意と共に、彼女は幻を、過去を、そして装置を断ち切った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レン・ランフォード
【SPD】
なんだろう、嫌な予感がする…でも、頑張らないと…

・トラウマ
記憶喪失の原因となった黒い影(思い出せない)に故郷の人を惨殺され
自身もズタボロにされた事

燃える知らない村、思い出せない死体、その角の向こうから近づいてくる気配に
呼吸が乱れ、立っていられず座り込んでしまう
やがて主人格・蓮は意識を失う(逃げ出す)
後は別人格のレン…錬達で片付ける
トラウマは同じ、思い出せないこいつに負けた事
ならば次は勝つ…そのために刃を磨いてきた
れんが化身法を使い、錬が速さで影に立ち向かう

前に、蓮は主導権を渡さず逃げ出していた…だが今は意識は失ったが逃げなかった
ちゃんと立ち向かっている…俺達はいつまでも待っている



「いや……いやっ……」
 何かが、迫ってくる。
 それが何であるかは、分からない。レンは、それを覚えていないからだ。
 だが、一つだけ……恐怖だけは鮮明に覚えている。
「やだ……来ない、で……!」
 知らない村が燃えている。思い出せない死体が転がっている。
 でも、これを彼女は、よく知っている。知っていた、はずだ。
「っ……はっ、はっ、はっ、はっ……!」
 息が乱れる。過呼吸を起こす。思考を、恐怖が塗りつぶす。
 そして……彼女は。『蓮』は恐怖に、過去に屈し、意識を失った。

「いや、屈してなんかいない」
 『錬』が……別人格が宿り、崩れかけた身体を支えた。
「まあ、当然、俺のトラウマも同じだよな」
 迫ってくる不鮮明な影。錬にとっても、それは過去の影だ。覚えてはおらずとも、負けた事は覚えている。
「次は勝つ……そのために刃を磨いてきた。行くぜ、れん」
 もう1人の人格がその身に化生を宿し、そして錬は地を蹴り駆ける。
 姿の見えぬ影。それを……すれ違いざま、斬撃兵装で真っ二つに斬り裂いた。
「前は、俺に主導権を渡す事すらなく、逃げ出した……」
 今ので装置も一緒に破壊したのだろう。幻が消えていく。
 それを見ながら、錬とれんは、その身を……その身に宿る主人格を思う。
「意識は失った。だが、逃げはしなかった」
 屈した事に変わりはないのかもしれない。だが、一歩ずつ、前に進んでいる。
「俺達は、いつまでも待っているぜ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

モリオン・ヴァレー
平和だった暮らし
鍼灸師としての厳しくもやりがいのある仕事
優しかった家族

崩壊の始まりは突然の衝撃

宇宙海賊の襲撃
炎が広がる船内
爆ぜる何かの部品
それが吸い込まれる様に右目に……


いい加減にしなさい
【WIZ】
<傷口をえぐる><医術>針をあたしの右腕に刺し
その痛みで幻覚からの覚醒を

過去のトラウマを見せる防衛機構
あたしの場合コレが来ると予想はしてたけれど、ここまで鮮明とはね……

あたしはその襲撃で故郷や家族、右目等々、多くのモノを喪った
過去から来た化け物への復讐心で動く暗殺者
それが此処に居る今のあたしよ

<ハッキング><ロープワーク>右目義眼と防衛機構を霊糸で繋ぎ
霊力介入、内側から破壊するわ

本当……悪趣味ね



 突然の衝撃が、宇宙船を揺らす。
 それが、モリオンの平穏を終わらせる最初の異変だった。
「何……今のは……!?」
 それに動揺する間もなく、宇宙海賊達が船へと乗り込んでくる。あちこちから炎が噴き上がり、爆音が響き渡った。
 優しかった家族。大事な友達。厳しくもやりがいの有った仕事。
 平和だった暮らし。
 その全てが、無残に壊れていく。
「っ……みんなは……」
 とにかく、家族を探さないと。そう動き出した瞬間、至近で爆発が起きた。
 何かの破片が、飛んでくる。真っ直ぐに。
 その右目に。
「……いい加減にしなさい」
 その瞬間、鋭い痛みが右腕に走る。自ら突き刺した針の激痛が、現実の感覚を取り戻させ、右目が正しく閉ざされた。
「あたしの場合コレが来ると予想はしてたけれど……」
 幻だと理解してなお、目の前の光景は真に迫る。多くのモノを喪った2年前と、全く同じ光景。
「でも、今のあたしは、平和な宇宙船に生きる鍼灸師じゃない」
 喪った右目の義眼から、霊糸をのばす。伸びた糸が空間を超え、装置と繋がる。
「過去から来た化け物への復讐心で動く、暗殺者……それが、今のあたしよ」
 ハッキングによって装置を破壊する。途端、目の前の幻が現実感を失い、崩れ落ちていく。
「本当……悪趣味、ね」
 その視界に、あるべき星空が取り戻されていく中。
 あの時、笑顔を喪ったその顔で、彼女はそう、吐き捨てた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラスベルト・ロスローリエン
※トラウマは生誕を祝う日に故郷である森の都を焼き払った竜の劫火
これまでの日常を紡いできた全ての景色が眼前で為す術なく灰燼に帰す有様

◇WIZ 自由描写歓迎◇
過日の悪夢を想起した瞬間に動悸が激しくなり膝を折る。
服の上から心臓を鷲掴み未だ燻る竜の残り火に苛まれる。

『しかし灰の中に残ったものは確かにある――僕自身だ』
右手の中指に煌めく指輪“カラドベリア”を翳す。
竜の炎すら寄せ付けなかった森の都の至宝が宿す【破魔】の光で悪夢を払う。

『この心が癒える日は生涯訪れないだろうね』
同じ故郷の形見“翠緑の追想”から竜の炎とは違う白炎を熾し塵も残さず装置を焼却する。
それでも……傷を抱えたまま歩み続ける事は出来るさ。



「っ……はあっ……はぁっ……!」
 ラスベルトは、動悸に胸を抑え、心臓を掴むようにしてその場に蹲った。
 目の前で、故郷である森の都が全てが燃えていく。
 50年の間過ごした、日常の景色が。
 生誕を祝う、まさにその日に、燃え尽きていく。
 竜の劫火が、全てを焼き払っていく。
「はぁっ……はぁっ……やめ、ろっ……」
 あるいは。焼き払われていくのは、森ではなく、彼の心か。
 その竜は、抗う事を許さぬ圧倒的な力で、為す術無くラスベルトの心を焼き尽くす。
 汗が滲み、心臓の鼓動が跳ねる。脚が震え、その光景から目を反らすように俯く。……そして、俯いた瞬間。己の右手の中指に、視線が引き寄せられた。
「……そうだ。灰の中に残ったものは確かにある」
 清澄な金剛石の煌めく、白き指輪。竜の炎さえ寄せ付けず、全てが朽ちた灰の中から甦った、森の至宝。
「確かに残った。この指輪が、そして……僕自身が」
 確固たる意志と共に、指輪から破魔の光が放たれ、幻を打ち消していく。その向こう、現れたジャミング装置に向け、彼は杖を突き付けた。
 古木に水晶の原石を嵌め込んだ杖。それもまた、失われた森の形見、翠緑の追想だ。
「この心が癒える日は、生涯訪れないだろうね」
 寂しげな言葉と共に、杖から白炎を熾し、装置を焼き捨てる。
 心の傷は、決して消えない。
 だが、彼はもう立ち止まらない。
 傷を抱えたまま、歩み続けると、あの日決めたのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神楽威・紅葉
SPD

ダークセイヴァーの事件での看守に嬲られたトラウマを思い起こす。
恐怖に震え、怯えて蹲る。
精神負荷により、意図せず増幅された精神攻撃で錯乱状態に陥る。
「あ、ぁぁ…やだ…やめて…痛いッ!苦しい⁉……百合姉!椿姉!助けて!助けてよ⁉」

特に大きなトラウマの無い他姉妹たちで協議した結果、ここで助けるといずれ出合うであろう本物に相対した時に対応できないと判断して、自立させる方針に至り説得ことに…。
椿「紅葉、私達が助けるのは簡単です…が、まやかし程度に怯えているようでは、いつまでもそのトラウマは克服できませんよ」

震える足で立ち上がり、震える手で夢幻を構え、ジャミング装置の破壊を試みる。

アドリブ歓迎



「あ、ぁぁ…やだ…やめて…痛いッ! 苦しいッ!?」
 薄暗い地下の牢獄……巨漢の看守に取り囲まれ、嬲られる。苦痛の記憶が、紅葉を責め苛む。
 ダークセイヴァーで受けた、ある依頼。そこで彼女は、重い心の傷を刻みつけられていた。
「百合姉! 椿姉! 助けて……助けてよっ!」
 幻の看守達も、まやかしの苦痛も、今の紅葉にとっては本物だ。己の中に住まう姉達に、必死に助けを乞い願う。
(……私達が助けるのは簡単です、紅葉)
 彼女たちは、そのトラウマを共有してはいない。今変われば、ここを突破する事は容易かもしれない。だが。
(それで、良いのですか?)
 諭すような椿の言葉。甘やかす事は、為にはならないと、姉妹は心を鬼にする。
(まやかし程度に怯えているようでは、いつまでもそのトラウマは克服できませんよ)
「で、でもっ……」
 無理だと首を振る紅葉。だがそんな紅葉の手が、ひとりでに妖刀・夢幻を握る。
(大丈夫、あんたならやれる。アタシ達も、変われはしないけど、傍についてる)
 厳しさの中に、少しだけ優しさを。そっと励ましを送り、百合は、今度こそ紅葉に完全に身を委ねる。
「っ……う、んっ……!」
 恐怖の中、必死に立ち上がる紅葉。その身体を、心を、姉妹達が、そっと内側から支えてやる。
「乗り越えて……みせるっ……!」
 まだ、手も足も震えてはいたけれど。
 それでも紅葉は、自分の力で、夢幻を振り切り、幻を、ジャミング装置を断ち切った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フランチェスカ・ヴァレンタイン
【POW】
翼の稀少さとその容姿がために只人の欲望溢れる集合無意識の悪意によって陥れられた結果、淫祠邪教の集団に彼らの求める巫女として囚われる
神に相応しき聖女へと至るための儀式と称して薬漬けにされ、あらゆる生物との交わりを強制された
当時恋人に捧げるはずだった純潔も失い、儀式の完成直前に知人に救助されるまで悪夢は続く――

トラウマに思考が冒されるものの”身も心も慰め癒してくれた人”の存在を思い返して平静を取り戻す
――この身は否応なく女なれば。カレに教え込まれたソレを武器と活かすのみ

人の悪意に手折られて尚、人との情交によって金継ぎの如く磨かれた心身は最早折れず。翼を広げて呪縛の鎖を引き千切り、天を翔る



『これも、神に相応しき聖女へと至るためです』
 そんな風に、男達は空言を並べ立てた。
 ……あるいは本当に、本気でそれを信じていたのかもしれないが。
 フランチェスカにとって、その真偽はどうでも良いことだ。
 ただ、薬によって正気を、理性を奪われて。恋人に捧げるはずだった純潔をも奪われ、穢された。
 真実はただそれだけの事だ。
『その翼、その美しさ。まさに我らが巫女に相応しい』
 淫祠邪教の、悪意に満ちた欲望を向けられる。陥れられ、囚われた彼女の、巫女としての役目。
 そこに、希望などない。尊厳などない。無力感だけが、その身に積もる。
 もう、全てがどうでも良い。瞼を閉じ、その悪夢に、身を投げようとする。
 ……その刹那。瞼の裏に、一人の男が映し出された。
「そう、ですわ」
 悪夢から、身も心も、慰め癒してくれた相手。彼との契りがある限り、彼女の羽根は、金継ぎの如く磨かれた心身はもう、悪意に手折られる事はない。
「この身は否応なく女なれば。カレに教え込まれたソレを、武器と活かすのみ」
 美しき白翼が広がり、過去の呪縛と言う鎖を断ち切った。外殻機甲のスラスターを点火し、空戦淑女は天を翔る。
「わたしに悪夢を見せた報い……たっぷりと、召し上がれ!」
 降り注がせるは砲火の雨。幻ごと、周囲の空間を吹き飛ばす。
 それを見つけ出すまでもない。爆撃に巻き込まれ、ジャミング装置はいつの間にやら、粉々に吹き飛んでいた。


 かくて猟兵達は、過去を振り払い、現実へと帰還した。
 この近辺に、もうジャミング装置は残っていないようだ。
 ひとまずは、他の宙域に飛んだ仲間に、後を託すのみ。
 だが、戦争はまだまだ続く。
 彼らの力が必要となる戦場は、まだ数多存在するだろう。

 各々が向き合った過去と、それを振り払って掴んだ現在。
 ならば後は、未来を守るだけだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月10日


挿絵イラスト