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アポカリプス・ランページ⑯〜打ち破れ、戦闘機械都市!

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●デトロイトにて
 文明崩壊によって廃墟と化したデトロイトの街。
 その中心に在るのは、超巨大なコンピュータとその生体コア――『マザー・コンピュータ』であった。

「まさか、6体のオブリビオン・フォーミュラを圧倒するとは」
 思わず零れた声は彼女の偽らざる本音であろう。自らの理論を訂正せざるを得ないとすら追い込まれているマザーは猟兵の力に、未来と希望を求める人の意志に驚愕している。

「私は、真理を求める時間が欲しいだけ」
 それさえ得られれば、戦う必要もないし、その過程で生まれた力にも興味など無い。
 時間……それを得るにはこのアポカリプスヘルが最適と判断したことは間違いではない。だが、この世界に迫っている脅威は猟兵以外にも『彼ら』がいる。
 どうにかしなければ……。
 そこまで考えて、マザー・コンピュータは被りを振る。
「……いえ、違いますね。私とした事が、未来など考えてどうしますか」
 思考を振り払い、マザー・コンピュータは戦闘準備を整える。
 研究者たる彼女だが……戦えないわけではない。
「物事はシンプルにいきましょう」
 調えるのは『増殖無限戦闘機械都市によるグリモア必殺計画』。
「これが私の決戦兵器。さあ、かかっていらっしゃい」
 そうしてマザー・コンピュータは、支配下に置いたデトロイトの街を戦場へと変化させようとしていた。

●グリモアベースにて
「集まってくれてありがとう。助かるよ」
 椎宮・司(裏長屋の剣小町・f05659)は眼前に集まってくれた猟兵たちに礼を告げる。
「ようやく『マザー・コンピュータ』まで辿り着いた。一気呵成に叩こうじゃあないか」
 そういって司は不敵に笑う。……が、少しだけ困った顔をする。
「ただ、ちょいと厄介でね。しっかり聞いておくれよ」
 そう言って司は説明を始めるのであった。

「マザー・コンピュータ……彼女は自分が創造した超巨大コンピュータの生体コアでもあるんだよ」
 そのマザーが超巨大コンピュータを利用して繰り出してくる攻撃が『増殖無限戦闘機械都市』だ。
「都市って名前にあるが本質はそこじゃあない。あらゆる物質・概念を『機械化』する能力がマザーの力だ」
 放置しておけばアメリカ大陸でさえ、マザー・コンピュータの戦闘機怪獣と化すほどの強大な力。これを惜しみも無く、猟兵の迎撃に放ってくる。

「戦闘開始は、グリモアの転送でお前さんたちがデトロイトに着いた瞬間だ」
 猟兵たちが現地に着くと同時に、マザーは能力を発動させて、デトロイトの都市全てを増殖無限戦闘機械都市に変形させる。そして猟兵たちをその内部に閉じ込めるのだ。
「機械都市はもちろんマザーの制御下にある。大地も空もマザーの戦闘機械で埋め尽くされてるってぇ展開サ」
 いくらマザーのホームグラウンドだと言っても、そこまで全力だとさすがにため息のひとつも吐きたくなる。それでもこの状況でマザーを倒すには十分な勝機がある。それが今の猟兵たちの力だ。
 ……が、そこで足を引っ張るのが、今回で言えば『司の存在』だ。
「すまん。本っ当に申し訳ないんだが……この機械都市にはあたいも巻き込まれちまう」
 そうなのだ。どういうわけか、この機械都市には転移を担当したグリモア猟兵も一緒に閉じ込められてしまう。つまり……前線にグリモア猟兵が駆り出されるのだ。

 これによって猟兵たちに生じる不都合はただひとつ。
 司が死んだ場合、帰還できなくなる。

 世界に関与するグリモアの予知と転送は、実は密接な関係にある。グリモアの予知にはどれひとつとして同じものはなく、予知と連動する転送は予知をしたグリモア猟兵のみが行える。
「途中でグリモアが失われると、『送ったはいいが、戻すことが出来ない』なんてことが起こり得るんだよ」
 加えて追加の戦力を呼び寄せるなど、新しい転送が何もできなくなるのだ。
 万が一は絶対に有ってはいけない。それがグリモアを預かる者の責任。これがグリモア猟兵たちが自分で予知した内容に関与しない理由だ。

「そこを逆手に取ってきたマザーの作戦はさすがとしか言いようがない」
 ため息を吐く司。
 しかし、司が予知(み)た内容はこの場にいる猟兵にしか解決できない。
「もちろん自衛くらいはどうにかする。それを差っ引いてもかなり厄介な戦場だ。それでも頼まれてくれるかい……?」
 困惑しているのは司も同様。だがマザー・コンピュータを放置するわけにはいかない。

 覚悟を決めた猟兵だけでいい。
 司と一緒に、戦場へ飛び込んでもらえないだろうか?


るちる
 まいど。いつもありがとうございます、るちるです。
 マザー・コンピュータだけは依頼出すんだーと心に決めていたるちるです!

●全体
 1章構成の戦争シナリオです。
 シリアス寄りの純粋戦闘なシナリオになります。キャラの性格を殺してまでシリアスになる必要はありませんが、きっちりマザー・コンピュータを倒しに行ってください。

 戦闘の場所は増殖無限戦闘機械都市と化したデトロイトの街。あらゆる建造物が機械となった廃墟の街と考えてもらって大丈夫です。機械都市の中は戦闘の障害になるようなものはありませんが、大地も空もマザーの戦闘機械に埋め尽くされています。

 このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
(=============================)
 プレイングボーナス……グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う。
(=============================)

 『グリモア猟兵を守る』の部分については無理に守ろうとしなくても、プレイングボーナスを適用しますので、主にマザー・コンピュータ撃破を目指してください!

●グリモア猟兵=椎宮・司
 自衛くらいは何とかする、と自身の野太刀とユーベルコードで戦います。最前線には出ません。『グリモアを死守する』行動を第一にして行動します。必要以上に手を割く必要はありません。攻撃重視で大丈夫。
 司はユーベルコード【擬・神懸かり】を使用していて防御力も上がっているのでそうそう簡単には死にません。
 それでも……守ってくれる人もいたら、ありがたく守られます。
 司を守る行動として『速攻でマザーを倒す』『マザーの標的を逸らす』『マザーの攻撃を相殺する』も当てはまります。


 プレの受付はオープニング公開から。冒頭の状況説明追加はありません。
 採用人数は決めていないのですが、1日の執筆人数が多いと採用できない人が出るかも? オーバーロードについてはマスターページを参照願います。
 その辺はタグでご案内しますね。
 それでは皆さんの参加をお待ちしていまーす。
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第1章 ボス戦 『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』

POW   :    マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD   :    トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ   :    マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。

イラスト:有坂U

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月夜・玲
うはははは、すっご
周り全部敵じゃん笑える
此処まで周りが敵だらけだとさあ、逆に狙い付けなくて楽じゃない?
そう思わない、司さん?
それじゃあ派手にぶった斬ろうか!


《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
離れるのも怖いし、司さんの近くに一応いるね
足元くらいは注意しといて
さて、【Code:T.S】起動
雷刃両剣に形成、サイズは勿論最大サイズで
114の2乗…即ち12996m!
後は周囲の増殖無限戦闘機械都市を手当たり次第『なぎ払い』斬りまくる!
まずは両手で360度水平に全方位斬る!
その後は片手は水平方向に、もう片手は空の機械群を兎に角斬る
さあ、本体は何処だ?
更地になるまで斬り払ってあげるよ?




 その光景は異様の一言に尽きた。
 見渡す限り、対猟兵のために呼び出された戦闘機械群。そしてそれを統率する見上げるほどに巨大な戦闘機械へと変身した『マザー・コンピュータ』。いまだ足りぬとその足元から戦闘機械が次々と出現する。

 それが狙う先は……グリモア猟兵。
「あたいひとりにっ、サービスしすぎなんだよっ!」
 振り向き様、野太刀を一閃。迫りくる戦闘機械を刃と刃から放った剣気によって切断するも、その隙間を埋めるように新しい戦闘機械が現れる。
「くっ……!」
 敵の攻撃を飛び退りながら回避、着地と同時にその場から逃走。

 グリモアによってこの事件を解決する猟兵を転送……した直後に椎宮・司もその転送に巻き込まれた。気が付けばこの増殖無限戦闘機械都市と化したデトロイトの街の中でひとり。どうやら転送そのものに干渉されたようで、申し出てくれた人全てを転送したつもりなのに、その到着すら遅れている。

「何が何でもあたいを殺そうってか! ちょっと愛が重すぎるねえ!」
 逃げた先にも戦闘機械。走る速度を緩めず、さらに一閃。なぎ払って道を切り開き。
「……っ!?」
 がくんっ、と足から崩れる司。崩れ去った戦闘機械群に隠れていた別機体の触腕が司の足をがっちりと掴んで……引き倒す。
「ちぃっ!!」
 咄嗟に【七星七縛符】をばらまき、周囲の戦闘機械群を押し留める司。しかし、符の数に対して戦闘機械群が多すぎる。降りかかってくる戦闘機械群は死の象徴。『グリモアだけは死守する』、そう皆に告げたにもかかわらず、その死の影はあまりにも色濃くて。
(ヤバ……いっ!)
 司が本能的にグリモアを守ろうと身を丸めた瞬間。

 ――空から幾条もの雷龍が降り注ぐ!

「うはははは、すっご。周り全部敵じゃん笑える」
 その声は司にとってあまりにも頼もしい、そして待っていた仲間のひとり、月夜・玲(頂の探究者・f01605)であった。


「大丈夫?」
「なんとか。すまん、正直助かった。ありがとう」
 司の側に着地する玲に、足に巻き付いていた触腕を叩き切った司が立ち上がりながら応じる。
 背中合わせになりながら、周囲に対してプレッシャーをかける二人。
「此処まで周りが敵だらけだとさあ、逆に狙い付けなくて楽じゃない?
 『そう思わない?』と司に視線を遣る玲。
「いやぁ……さっきまで死にかけてたしな、あたい」
 その視線を受けて『玲の言う通り』と思いながらも、自身の状況もあって微苦笑するしかない。司の微苦笑を受けて、玲も苦笑するしかない。
 なら視界の全てを排除するのみ。
「それじゃあ派手にぶった斬ろうか!」
 玲がその両手に『《RE》Incarnation』と『Blue Bird』を抜刀する。
 玲の言葉に反応するかのように、戦闘機械群が二人に向かって押し寄せてくるのであった。


 雑魚など玲の相手にならない。
 『I.S.T』――玲特製のガジェット。模造神器という名の指す通り、UDCの力の再現を目指す兵器によって、紙切れのように切断されていく戦闘機械群。
「アレなら突っ込んでもらっても構わないさね」
 その玲と背中合わせになりながら、こちらも野太刀で戦闘機械を叩き斬る司。背後を気にしなくていい分、動きにキレが戻ってきた。今ならある程度なら保つ。
「いや。離れるのも怖いし、司さんの近くに一応いるね」
「悪いねえ」
「足元くらいは注意しといて」
 言葉だけ交わし合って、お互い眼前の敵を斬り捨てまくる二人。いかに戦闘機械群の数が無尽蔵といっても、その波に切れ間はある。
 その切れ間が出来た瞬間。
「さて……出力上昇、雷刃形成」
 流れるような仕草で玲が【Code:T.S】起動。その手もとに雷刃の両剣に形成する。
「サイズは勿論最大サイズ……」
 すなわち、114の2乗で12996m! いかな増殖無限戦闘機械都市が広かろうとも!
「司さん、伏せて!」
「はいよっと」
 玲の意図を正確に把握した司が四つん這いに伏せる。その上を玲が雷刃を横薙ぎに一閃。両手で体を回転させるように振えば、360度の全周囲を無造作に、問答無用になぎ払う。直後、左右の手を縦と横に変化。左手はさきのなぎ払いをどうにかかわした戦闘機械群を追撃するようにさらに横薙ぎ、右手は空の機械群をとにかく斬りまくる。

 そして玲の視界が開ける。眼前にあるのは鉄屑と化した戦闘機械群と……巨大がゆえに雷刃を回避しきれなかったマザー。その超巨大な機械の体は玲の攻撃を受けてなお平然と立っていたが。
「これで終わりだと思いましたか?」
 さらにマザーが戦闘機械群を呼び出す。地面から無数に現れる戦闘機械群を、しかし玲は虫でも払うように一閃して壊す。
「更地になるまで斬り払ってあげるよ?」
「できるものなら」
 玲の挑発にマザーがさらなる戦力を呼び出し、しかしそれらも玲によってあっさりと斬り払われる。
 もはや玲の前では戦闘機械群など脅威になり得ない。そんな戦闘が数度続いて、そして。

「もらった!」
「……!!」
 玲の両手の雷刃がマザーの巨大機械を挟み込むように捉える!
 それによってマシン・マザーは根元から倒れるように崩れるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
グリモア猟兵まで巻き込むなんて、マザーはすごい大技を使うものです。
しかし、司さんが戦闘に巻き込まれる前に片をつけます。
攻撃こそ最大の防御です。

それにしてもほんと、メカメカしい都市ですね。
映画の未来都市だって、ここまでじゃないですよ。

これだけの機械都市ならば、UC【虚空災禍】で戦場内の電子機器を吹っ飛ばすのは決まりとして。
あとは戦場となる範囲をなるべく広げるようにします。
ボード『アキレウス』に乗って、空高く飛ぶことで視界を広げます。

雑魚を片付けることでマザーを見つけたら、高空からの急降下の魔法剣『緋月絢爛』の【なぎ払い】【衝撃波】を仕掛けます。


夜刀神・鏡介
マザー・コンピュータがグリモア猟兵をも狙うとは……
こいつに限らずだが、厄介な事をしてくる敵も増えてきた感じがあるな
まあ、起きてしまった事を愚痴っても仕方ない。今は出来ることをやってみよう

神刀の封印を解除。神気の力を纏って自身の身体能力を強化
斬撃波で手早く周辺の機械兵器を倒しつつバイク『八咫烏』に騎乗

全速力でマザーの元へと駆け抜けて、バイクに乗ったまま神刀にて陸の型【爪嵐】で攻撃
少々攻撃したところで簡単には壊せないだろう
バイクの機動力を生かして撹乱するように動き回りつつ、最初に攻撃した一点を狙って攻撃
上手いこと騎乗したデトロイト市を行動不能にしてマザーを引きずり出し、斬撃を直接叩き込んでやる



●次々と到着する猟兵たち
 司の直接護衛に回る者もいれば、間接的に彼女の身を守る手段を取った者たちもいる。

 転送の若干のタイムラグを経て、アポカリプスヘルの地に着地した黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)と夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)。

 二人の視界に映る『マザー・コンピュータ』の本体。どうやら巨大機械化を先に到着していた猟兵に叩き斬られたらしい。それでもなお、見える程度には巨大なのだが。
「グリモア猟兵まで巻き込むなんて、マザーはすごい大技を使うものです」
 摩那たちの到着に反応してか、周辺の地面からマザーの対猟兵戦闘機械が出現する。それに対応して摩那が身構える。
 同時に着地していた鏡介も『神刀【無仭】』を抜き放ち、構える。
(こいつに限らずだが、厄介な事をしてくる敵も増えてきた感じがあるな)
 世界を渡り歩き、オブリビオンと戦い続ける猟兵たち。彼らに対してオブリビオン側も様々な手段を取るようになってきたのかもしれない。そんなことを思いながら、しかし鏡介は視線を目の前に集中する。
「まあ、起きてしまった事を愚痴っても仕方ない。今は出来ることをやってみよう」
 じりじりと間合いを詰めてくる戦闘機械たち。
 だが摩那も鏡介も退くつもりはない。
「司さんが戦闘に巻き込まれる前に片をつけます」
 スマートグラス『ガリレオ』に手をやりながら摩那が呟く。
 無尽蔵に沸く戦闘機械を丁寧に相手している暇など無い。狙いはただひとつ、マザー・コンピュータ。
「攻撃こそ最大の防御です」
「了解した」
 摩那の言葉に鏡介が頷き、二人が同時に動き出す!

●攻撃は最大の防御なり!
(それにしてもほんと、メカメカしい都市ですね)
 スマートグラスから伝えられた情報を確認しても、1ミリも否定する要素がないほどに周辺は機械都市と化している。
 摩那を狙って放たれる銃弾やナイフを身を翻して回避。さらには足元に向かって放たれた制圧射撃を片手バク転で後方に跳び退りながら回避した摩那はそのまま地面に跪く。
「映画の未来都市だって、ここまでじゃないですよ。っと」
 開いた右手を地面に当てる摩那。サイキックグローブ『ラファル』――電撃攻撃も可能とする線維型演算回路編み込みの特別製指ぬきグローブに意識を集中して摩那が言葉を紡ぐ。
「耐磁準備完了。集束を確認。……照射開始」
 直後、摩那の手元から全周囲に【虚空災禍】――強力な電磁パルスが放出される! 時間にしてほんの十数秒。それによって戦場内にある戦闘機械の電子機器が一瞬で破壊される!

「凄まじいな」
 鏡介が周囲の状況を見て思わず呟く。
 既に神刀の封印は解除済。その神気の力を自身と大型バイク『八咫烏』に纏って、強化とともに摩那の【虚空災禍】の対策とした鏡介はすかさず神刀を振るって斬撃波を放つ。コアである電子機器をやられた戦闘機械たちがその斬撃波であっさりと斬り裂かれて崩れ落ちる。
 次々と放つ斬撃波で視界を覆い尽くしていた戦闘機械たちが鉄屑へと化していく。開けた視界と道。そこを八咫烏に乗った鏡介が疾走する。

「戦場内の電子機器を吹っ飛ばすのは決まりとして」
 バイクで疾走していった鏡介を見送りつつ、自身の【虚空災禍】の成果を確認した摩那もまた
(あとは……視界)
 稼働に電子機器を必要としない戦闘機械たちの大多数は鏡介を追いかけて移動している。後の残りはもちろん摩那を狙っているが……。
「空高く飛ぶことで広げましょう!」
 摩那の足元でもはや愛機といっても過言ではないマジカルボード『アキレウス』が空に向かって駆けるのであった。

 地と空と。
 自身に向かって高速で迫ってくる猟兵の存在を確認するマザー。
「ですが。捉えられない速度ではありません」
 増殖無限戦闘機械都市と化したデトロイトの街はマザーにとって武器でもあり、移動手段でもある。マザーの思い通りに機械が構築されていき……出来たのは鏡介の進路上へ移動するための無骨にして不気味な高速移動手段。脈打つベルトコンベヤーのごとき機械を乗騎としてマザーが鏡介に迫る。
「迂闊ですよ」
「くっ……!」
 マザーが唐突に鏡介の目の前に現れた。転移と言っていいほどの速さに鏡介の反応が僅かに遅れ……しかし。
「逃さない――陸の型【爪嵐】」
 怯まず神刀を一閃。マザーの本体から放たれた空飛ぶ戦輪を斬り裂きつつ、本体そのものにも刀身を叩きつける。
「……っ」
 手応えはあるが、致命傷ではない。
(少々攻撃したところで簡単には壊せないだろう)
 そうは思っていた鏡介は、バイクの機動力を生かして撹乱するように動き回りつつ、最初に攻撃した一点を狙って攻撃し続ける。このまま乗騎を破壊できれば……!
「なるほど。ですが」
 しかしマザーもまた鏡介の狙いを看破する。狙いが分かれば。
「舐めるな」
 だが【陸の型【爪嵐】】はマザーの動きや癖を覚え、攻撃する際の命中力と威力を増強していく怒涛の如き攻撃。それを受け止め続けるには……生半可な集中力ではもたない。幾度も叩きつけられる鏡介の攻撃にマザーの意識が集中した、その隙へ。

「隙ありです!」
「……っ?!」

 空から降ってきた摩那の声に、マザーの意識が上へ跳ね上がる。そこにいたのはアキレウスで突撃してきた摩那の姿。
「声を出すとは……迂闊すぎます」
 摩那の姿を探知したマザーが戦輪の側面でアキレウスの突撃を受け止める。

 でも、それは想定通りだ。

「迂闊なのはどっちだろうな?」
「……っ!」
 意識が鏡介から摩那に移った瞬間。鏡介の【陸の型【爪嵐】】が炸裂する。これまで蓄積していたダメージが一気に決壊。鏡介の狙った一点を中心にマザーの乗騎を粉々に砕ける。
「しまっ……」
 体勢を崩すと同時に戦闘機械の制御が甘くなるマザー。
「いただきです!」
 再度空へ上昇、しかる後に高空からの急降下。アキレウスに乗ったまま、摩那が魔法剣『緋月絢爛』を抜き放つ。刀身のルーンが魔力に輝き、その力を満ちさせる。
「はっ!!」
 小さな呼気とともに放たれるなぎ払いの衝撃波。
「くっ、あぁぁぁあぁっ!!」
 急降下の勢いも乗せた摩那の一撃がマザーの本体を捉えて、大きな損傷を与えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
漸くマザコンとのご対面…万物を機械化?素晴らしい
私に相応しい能力ね
司さんも転移に巻き込まれちゃうの?死んじゃうと帰れなくなる?
じゃあワダツミに乗る?変な事されそうだから嫌?変な事なんてしないわよ

今回はエレノアで出た方が良さそうね
グラン・エグザストロッドから蝕む機巧感染を乗せた干渉波を飛ばすわ
ナノマシンをすーっと浸透させて制御権を乗っ取っちゃいましょう
でもってマザコン本体にけしかけつつ、私はワダツミと共に緩々と進行
最終的にマザコンのお膝元に辿り着いたらレッツハッキング
頭の中をこねくり回して私に忠誠を誓わせ…なかなか上手く行かないわね
私の物にならないなら廃棄処分よ
ワダツミ!水之江キャノン、発射!


菫宮・理緒
司さん、必ず勝つから、わたしたちを信じてこの中で少し待っていてもらえると嬉しいな。

そう言ってメモリを差し出します。
司さんが了承してくれたら【デジタルシェルター】で中に入ってもらうね。

さ、これであとはわたしたちが勝つだけだね。

相手は『機械』。それなら負ける気はしないかな。
『マザー』と電脳戦をしても分が悪いだろうけど、電子戦はどうかな?

『希』ちゃん、全デバイスリンク。
【セレステ】の【リミッターを解除】して【E.C.M】を戦場全域に全力展開。
EMPを発生させて回路ごと壊してあげるよ!

デバイスは限界までクロックアップ、
セレステのエネルギーも空っぽになるまでやっちゃうね。

勝てばあとはなんとかなる!




 『マザー・コンピュータ』によって増殖無限戦闘機械都市と化したデトロイトシティ。
 圧倒的マザー有利であるその地の中で、猟兵たちはその活路を切り開いていく。

 戦況は互角。ならば邪魔をしないように、と距離を取る椎宮・司。
 仲間たちがマザーとの戦闘に入ったことでマザーの演算能力がそちらに集中。今は距離を取る方が仲間たちの優位になると司は判断したのだ。
「だから数が多いって言ってんだろ!!」
 気合の代わりに叫びながら、目の前に現れる対猟兵戦闘機械を野太刀で叩っ斬りながら移動を続ける司。
 また徐々に囲まれそうになったそこへ。

「司さーん!」

 司を呼ぶ声と同時に空色の六輪駆動高速戦闘車が突っ込んでくる。周りにいた戦闘機械を全部吹っ飛ばして停車したその戦車――『RI-21 リオ・セレステmk2』から顔を出したのは菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)であった。
「理緒さん! 悪いね、助かる」
「そんな。わたしと司さんの仲だよ」
 意味深なことを言っているが、旅団【電脳の箱庭】で一緒というくらいで特別な関係ではありません。仲間です。
 そしてそんな仲間がもうひとり。
 こちらは空から舞い降りる艦。ワダツミ級強襲揚陸艦『ワダツミ』――桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)こと桐嶋博士の戦艦である。
 操艦はほぼ自動化済というワダツミの艦橋からマザーの本体を望む水之江。
「漸くマザコンとのご対面……万物を機械化? ふふ、素晴らしい。私に相応しい能力ね?」
 博士、笑みがやばいやばい。それ、悪い人がする笑い方ー!!
 理緒が側にいたらそんなツッコミをするだろうけど、まだ合流前でしたセーフ。

 見かけた仲間の元へとりあえず降りたった水之江は司の安全確認する。
「ありがとう。何とか無事だ。でも三十路にゃ辛いよこれは」
 ぴくっ、と水之江の表情が動いた気がするが、司は気付いていない。
「司さん、このままだと危なくない?」
 理緒の言葉に、水之江も出発前に司が言っていた言葉を思い出す。
「司さん、死んじゃうと帰れなくなる? じゃあワダツミに乗る?」
「博士近い近い顔が近い。顔が良いのは見ていて嬉しいけど、歳も距離も近い」
「あら、こんなところにグラン・エグザストロッドという、接触対象に侵食作用を及ぼす杖型近接兵装が」
「……うん、近いのは距離だけだな」
 視線を逸らしつつどうにか誤魔化そうとした司だが、水之江の距離感と攻撃までの待機時間がほぼ秒速。
「えいっ」
 おっと、ここで理緒の助け舟だ! 司の同意を得ずに小さなメモリースティックを司の体に押し付ける。ユーベルコード【デジタルシェルター】。抵抗しない対象をその中に吸い込んで保護。中は対象が過ごしやすい環境のVR空間という優れものだ。
「司さん」
 メモリーの中にいる司に話しかける理緒。
「このまま持ち帰ってもいいかな?(必ず勝つから、わたしたちを信じてこの中で少し待っていてもらえると嬉しいな)」
 理緒さーん!? 本音と建前が逆ー?! そしてちょっと息が荒いー!?
 そんな理緒の手元でメモリースティックがすっごい勢いで暴れ始めた。いや、いつでも外に出られる仕様だが、ここで出るのも失礼かなって思った司はせめてもの抵抗を示したのだ。
 ちょっとヤバい二人に挟まれたんじゃないの?
 ただ、この二人の『こっち方面』の力は他の追随を許さないレベル。安全という意味ではこれ以上安全な場所は無い。
「それじゃワダツミに。変な事されそうだから嫌? 変な事なんてしないわよ」
 そういう水之江の言葉が不穏に聞こえてしまうのは気のせいなのだきっとたぶんおそらくめいびー。
 そんな水之江が理緒の手からメモリースティックをかっさら……預かり、ワダツミの中にぽーんと投げ込む。
「えっ」
 その仕草に思わず理緒も声をあげるレベル。
 雑いな!? とか思ったけど、なんか実験されそうなのにで何も言えない司でした。


「さ、これであとはわたしたちが勝つだけだね」
「ええ」
 軽くハイタッチをしてから、理緒がセレステに乗り込み。
「今回はエレノアで出た方が良さそうね」
 そう言う水之江の言葉に反応してワダツミが格納していたキャバリア『アークレイズ・エレノア』を甲板の上に移動させ、水之江はエレノアに搭乗する。直後、浮上するワダツミ。
 空と地。両面からマザーに迫る水之江と理緒。

「そう、簡単に行くと思っているのですか?」
 それを迎撃すべく、マザーの声が響き渡る。その声に応じるように、再び周辺を埋め尽くす対猟兵戦闘機械。
「『希』ちゃん、全デバイスリンク!」
 だがそれに臆することなく、理緒は彼女専用のサポートAI『M.A.R.E』こと希ちゃんに指示を出せば、理緒が考えている通りに、セレステの中を整えていく希ちゃん。

 セレステの周囲を埋め尽くす戦闘機械。だけど。
(相手は『機械』。それなら負ける気はしないかなっ)
 何故なら、理緒には電子戦がある。マザーと電脳戦をするなら分が悪いかもしれないが、電子戦なら。
「セレステ、リミッター解除。【E.C.M】を戦場全域に全力展開」
『了解っ』
 理緒の声に希ちゃんから返事があって。直後、戦場に強烈なノイズジャミングとディセプションが放たれる。
「EMPを発生させて回路ごと壊してあげるよ!」
 という理緒の言葉通り、強烈な電磁パルスによって戦闘機械を制御する電子機器が一瞬でクラッシュしていく。
 こうして地を這う戦闘機械たちは一瞬で無力化するのであった。

「派手ねぇ……」
 理緒の電磁パルスを当然のように対電子戦対策で弾き返したエレノアとワダツミ。
 眼下の様子をモニターで見ながら水之江もまた攻撃を仕掛ける準備を整える。エレノアが構えるのは『RXグラン・エグザストロッド』。さっき司へのツッコミに使っていた兵装だが、実はキャバリア用の巨大兵器でした。
 そのグラン・エグザストロッドから放たれるのは【蝕む機巧感染】――『内部浸透するナノマシン』を乗せた干渉波。水之江&エレノアを中心に広がっていき、理緒の電磁パルスをしのいだ戦闘機械へ侵食していく。
 もちろん桐嶋博士謹製のナノマシンが『侵食するだけ』で終わるわけがない。
「これに感染したら最後、生かすも殺すも私次第よ」
 物騒な言葉の通り、ナノマシンが戦闘機械のプログラムを瞬時に書き換えていく。
「制御権を乗っ取っちゃいましょう。敵は……わかるわね?」
 その影響は水之江の周辺にいる限り、逃れられない。
 水之江の意志通りに反転、戦闘機械たちはマザーに対して攻撃を仕掛け始める!

「まさか。こんなことが……!」
 理緒と水之江の干渉。それによってマザーの戦闘機械はほぼ完全に無力化……というより逆に攻撃を仕掛けられていた。その制御を取り戻すべく、マザーが命令を送り続ける。だが、いまだ干渉が続いている。これはマザーと理緒&水之江の電子戦。一瞬も気を抜く暇など無く、マザーの意識が徐々にそちらに集中していく……!


「希ちゃん。限界までクロックアップ、セレステのエネルギーも空っぽになるまでやっちゃうね」
『はいっ』
 理緒の指がセレステのコンソールの上を走る。マザーのハッキングに対して、こちらも逆ハッキング。【E.C.M】との同時攻撃にマザーがセレステの電子防御を突破させる隙を与えない。
「ちっ……面倒な」
 マザーの手が理緒の対応で手いっぱいになりつつある。戦闘機械の攻撃はマザー本体に対して大きな影響を与えないとはいっても無視するわけにはいかない。徐々に追い込まれていくマザー。
 そしてその間に水之江は。
「到着っと」
 マザー本体の頭上まで移動してきていた。実は攻撃というか干渉は制御を奪い取った戦闘機械に任せて、自身はワダツミと共に緩々っと空を進んでいたのだ。
「それじゃレッツハッキング」
「……?!」
 突然の、新たな干渉。しかもマザー(この場合は生体コアである女性)を直接狙った水之江の攻撃にマザーの動きが完全に止まる。
「こ、れは……ま、ずい……!」
 中心である生体コアが乗っ取られれば、この戦場はもはや陥落したも同然。マザーの手が全て水之江への抵抗に割かれる。
「私に忠誠を誓わせ……なかなか上手く行かないわね」
 頭の中をこねくり回して私のものに。
 そんな思考の桐嶋博士さすがです。しかし、マザーの抵抗が必死というかすごいというか。思うように書き換えが進まない。
「く、ぅ……。私を誰だと思っているのです……!」
 それはフィールド・オブ・ナインの誇りというよりは、単に研究者のプライドだったかもしれない。研究者として負けるわけにはいかない、と水之江に張り合うマザー。
 その抵抗が功を奏して、水之江のハッキングをキャンセルさせることに成功する。
「……っ、よし……」
 一瞬。ひと息ついたのが失敗であった。
「私の物にならないなら廃棄処分よ。ワダツミ! 水之江キャノン、発射!」
 流れるような裁決処分であった。ワダツミが水之江の言葉に応じて、超大口径の艦載装備のハイパーメガビーム砲を展開。マザーに向けて発射する!
「く……あぁぁぁぁっ!!」
 拠点攻撃用の戦術兵器を受けてマザーの態勢が大きく崩れる。生体コアを覆う巨大機械の各部が爆発を起こす。
 完全に動きが止まったマザー。
 そこへ突っ込んできたのは理緒&希&セレステ!
「勝てばあとはなんとかなる!」
 電子線でエネルギーを使い切ったセレステは、燃料頼りにマザーへ突撃。その装甲の硬さでマザーの巨大機械を破壊するのであった!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルエリラ・ルエラ
【アドリブ・改変大歓迎】
ふっふっふ、ご安心してほしい
この美少女エルフルエリラちゃん様がバッチリ敵を倒して護衛も完遂するからね!

さて、ここでポーチからいっぱい取り出したるは量産型『サメタンク』!
これを自動操縦にして動かせば囮と護衛の完成だよ
弱いけど数は正義だからね。自爆装置はあるし好きに使って隠れたりしてね。ファイト
護衛問題を解決したところでマザーを始末しにいこう
『ルエリラのブーツ』と『ルエリラの戦闘服』に魔力を通して全速力で飛んで敵の攻撃を遮蔽物を利用しながら回避や防御しつつ高所からマザーを探索。少しでも姿を確認できたら私の勝ちかな
後はどんな防御をしようが私の【アインス】で貫いて終わりだよ




 空から地から。直接戦闘あるいは電子戦で。様々な攻撃で『マザー・コンピュータ』に攻撃を仕掛け続ける猟兵たち。
 もはやマザーにグリモア猟兵を狙う余裕は無く、されど押し切るにはもう少しだけ足りない。持久戦となれば、地の利があるマザーのほうに戦況の天秤が傾きかねない。
 グリモア猟兵の椎宮・司は空に手を伸ばて。その一手を、勝機を呼び寄せる。グリモアによる召喚、それに応じてくれた猟兵は。

「ふっふっふ、ご安心してほしい。この美少女エルフルエリラちゃん様がバッチリ敵を倒して護衛も完遂するからね!」

 狼耳デバイスを自慢げにぴこぴこしながら、ルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)が司にドヤ顔自己紹介である。
 良い。全然問題ない。彼女の実力は、狙撃能力は……この戦況にトドメを刺す一手になり得る力であることを、司は既に知っている(主に水鉄砲バトルで!)
 まぁ、芋煮の配給はあとにしよう。

「く……アァァァァァっっっ!!」

 これまでの猟兵の攻撃で満身創痍とも言える状態であるマザー。しかし、まだ終わっていない。その証拠にこの増殖無限戦闘機械都市はまだ息づいている。
 マザーの叫びに応じてデトロイトの街が再び変形する。生体コアであるマザーを包み込む、鎧にして武器たる巨大機械を、疾風のごとく移動させる機構と化したデトロイトの街が蠢く。それと同時に、空と地を埋め尽くす勢いで出現する対猟兵戦闘機械たち。

「さて」
 その様子に動じることなく、ルエリラはポーチからがさごそと何かを取り出す。
「あー……」
 なんか悟った顔の司さん。えぇ、ご期待通りのサメです!
「じゃーん! 量産型『サメタンク』!」
 量産型の名に違わぬ、大量のサメタンク(キャバ……リア?)が二人の前に並ぶ。これはこれで、なんか映画でも始まりそうな光景ですね?
「これを自動操縦にして動かせば囮と護衛の完成だよ」
 とルエリラがモードを切り替えれば、サメタンクがきゅらきゅらっと移動と攻撃を開始する。
「弱いけど数は正義だからね」
 眼前で対猟兵戦闘機械たちに対して攻撃を仕掛けていくサメタンクを自信たっぷりに見守りながら、ルエリラは司を振り向く。
「自爆装置はあるし好きに使って隠れたりしてね。ファイト」
「お、おう」
 そう返すのが精いっぱいの司でした。


 冗談のような光景だが、サメタンクの大群が対猟兵戦闘機械たちを押し留めていく。何せ、サメなので海も空も宇宙も当然適応し飛べ……泳げる。マザーの地の利は無くなったも同然だ。
 護衛問題を解決したところで、ルエリラは改めて。
「それじゃ、マザーを始末しにいこう」
 鋭く、視線を狩人のソレにして。
 ルエリラが戦場を駆ける。その身に纏う『ルエリラのブーツ』と『ルエリラの戦闘服』に魔力を通せば、それぞれが秘められた力を解放する。ブーツには翼が生成されて空すら足場とする機動力を得て、服の周りには敵の攻撃を弾き返す魔力の障壁が展開される。

 ――巨大機械と戦闘機械たちがマザーの生体コア、女性の部分を覆い隠しているが、それさえ視認できれば。

 その目的を達成すべく、ルエリラは全速力で空を駆けて高所を目指す。射程内に踏み込めば、脊髄反射のごとく銃弾やレーザーを叩きつけてくる対猟兵戦闘機械たち。その攻撃を空の上のステップで回避し、時折、障壁でそのまま弾き返す。対猟兵戦闘機械たちの攻撃はルエリラの足を止めることすらできず、彼女は着実に軽やかに前に進む。

「ここならよく見えるかな?」

 辿り着いた場所は崩れ去りそうな高層ビル。人が住むには不十分だが……トドメの一射を放つには十分すぎる足場。
「……見えた」
 ルエリラが視認したのはデトロイトの街の中を高速で移動し続けるマザー&巨大機械。狙われないための作戦なのだろう。移動経路の周辺を戦闘機械たちが防壁となってマザーを守る体制だが、そこはサメタンクが頑張ってた。
 サメタンクが突き進んでいるおかげだろう。それに応対すべく、あるいはグリモア猟兵を抹殺すべく、徐々に防壁が薄くなっていっている。もちろん、対猟兵戦闘機械たちは次々と追加されているのだが、それよりも減っていく速度の方が早いのだ。たまに自爆してるしサメ。

 ――少しでも姿を確認できたら……私の勝ち。

 それがルエリラの作戦。
 何故ならば。ルエリラの一射は全てを貫く。それは機能や技術の域ではなく――もはや概念。ルエリラが『貫ける』と思ったものは全て貫くことができるのだから。
「貫かせてもらうね」
 ルエリラの拘りとあらゆる世界の技術を取り込んだ彼女の名を頂く弓の弦を引き絞る。そこに生まれるのは、全てを貫通する細長い魔力の矢。
「どんな防御をしようが……」

 ――私の【貫通する矢(アインス)】で貫いて終わりだよ。

 直後、流れるような美しい所作で魔力の矢が放たれる。それは風を切って、一直線に飛翔し。

 ぱんっ、と。とても軽く、それでいて大切な一点だけを撃ち抜いた音がする。

「……ぇ? ……ぁ……」
 マザーが呆然と自分の胸元を確認して、不思議そうな表情を浮かべる。そこに開いていた穴はいつ? 誰に? 穴の位置と抉られた角度から射角を導き出したマザーはその方向を見て……ルエリラの存在を視認する。
「ま……さか……そんな……」
 戦闘機械の防壁。そして自身の巨大機械と多重障壁。それらを軽々と貫かれて、自身の生体コアをも貫かれて。一点、針の穴を通すような正確無比なコントロールでその一点を貫いたルエリラに『信じられない』という顔をしながら、しかしマザーの足元から巨大機械が徐々に崩れていく。周辺の戦闘機械も道連れに崩壊していく増殖無限戦闘機械都市。
「私、は……ただ……真理、を……」
 ルエリラに向かって手を伸ばすマザー。しかし、その生体コアさえもゆっくりと崩れ去っていった。

「ふぅ。終わったね」
 吐息とともにルエリラが言葉を紡ぐ。

 空には太陽、眼下にはスクラップと化した機械の山。されど、支配していたフィールド・オブ・ナインはもはやこの地に無く。
 猟兵たちはグリモア猟兵を守りつつ、強敵『マザー・コンピュータ』の撃破に成功したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月23日


挿絵イラスト