アポカリプス・ランページ⑯~幸運の加護ぞあれ~
●『グリモア必殺計画』阻止計画・実行
「にゃーん!みんな、たいへんだよう!」
エインセル・ティアシュピス(生命育む白羽の猫・f29333)がぱたぱたと急ぎ足で猟兵たちに知らせにくる。
その内容はアメリカ中西部、ミシガン州のデトロイト市がフィールド・オブ・ナインが一柱『マザー・コンピュータ』により『増殖無限戦闘機械都市』に変貌させられたという。
「マザーはね、ぜんぶぜんぶぜーんぶきかいにしちゃうちからがあるの!
だからこのままほっといちゃったら、アメリカがぜーんぶきかいになっちゃって、アメリカサイズのオブリビオンになっちゃうにゃーん!」
国一つが事実上オブリビオンと化することの脅威が如何程のものになるかは、国一つの規模を思えば言わずともわかることであろう。
ましてやさらにマザーによってそうさせられようとしているのがかつての世界有数の先進国の一つであるアメリカならば尚の事だ。
それは絶対に止めなければならない。
「にゃーん、それでね、あやまらなきゃいけにゃいことがあってね。
マザーとたたかうとき、ぼくもいっしょについてかなきゃいけなくなっちゃったの!ごめんにゃさい!」
本来ならグリモア猟兵がついていくことは許されることではない――夏の有給休暇とかそういう時は例外であるが――。
しかし、マザーはそのグリモア猟兵による転移の仕組みそのものに干渉したのである。
つまりどういうことか――それは機械化したデトロイト市に転移する際にエインセルも強制的に転移させられてしまうということ。
グリモア猟兵である彼を護りつつ、マザーを討伐するという至難な戦いが待っているのだ。
「でもでも、じぶんのみはじぶんでまもらないとだもんね!
ぼく、ぼうぎょするのはとくいだから、ぜったいぜったいぜ―――――ったい、みんなのあしをひっぱらにゃいようにするよ!
だから、みんなはマザーをたおしてまちをもとにもどしてほしいにゃーん!
みんなならできるってぼくしんじてるよ!だっていぇーがーのみんなはつよいもん!!」
そう言って笑顔を向けるエインセルの瞳は、猟兵たちの勝利を信じており一切の疑いもない無垢で強い輝きを放っていた。
この子猫は自覚こそないが神霊であり、幸運の加護を受けている。
故にその言葉を信じた猟兵たちは子猫と共に機械都市へ向かう――!
御巫咲絢
どうでもいいですが弊グリモア猟兵の予知は基本的には当番ローテーション制です。
こんにちはこんばんはあるいはおはようございます、初めましての方は初めまして御巫咲絢です。
シナリオ閲覧ありがとうございます!御巫のシナリオが初めての方はお手数ですがMSページもご一読くださると幸いです。
オーバーロードについても記載しておりますが基本的に採用基準に変化はないです!
戦争シナリオ6本目、恐らくこれが今戦争最後のシナリオになるのではないかなと。
大変申し訳無いのですがうちのグリモア猟兵が強制的にご一緒せざるを得なくなったので、護衛しつつもマザーに手痛い一撃を与えてやってください。
舞台は無限増殖戦闘機械都市となったデトロイト市となります。
●シナリオについて
当シナリオは『戦争シナリオ』です。
一章で完結し『アポカリプス・ランページ』の戦況に影響を及ぼすことのできるシナリオとなっています。
また、このシナリオには以下のプレイングボーナスが存在しています。
●プレイングボーナス
グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う。
グリモア猟兵が死んでしまったら転移もできなくなる為、子猫の護身だけだと不安だ!と思ったら護ってやってください。
一応、エインセルはOPでも言った通り足を引っ張らないようにしなきゃ!と気合い入れて護身に努めます。
●プレイング受付について
現在執筆中のものが一段落してからの予定ですので『9/20(月)8:31~』から受付開始、締切は締切は『クリアに必要な🔵の数に達するまで』とさせて頂きます。
受付開始前に投げられたプレイングに関しましては全てご返却致しますので予めご了承の程をよろしくお願い致します。
頂いたプレイングは『5名様は確実にご案内させて頂きます』が、『全員採用のお約束はできません』。また、『執筆は先着順ではなく、プレイング内容と判定結果からMSが書きやすいと思ったものを採用』とさせて頂きます。
以上をご留意頂いた上でプレイングをご投函頂きますようお願い致します。
うちの子猫がご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願い致します。
プレイングお待ちしておりまーす!
第1章 ボス戦
『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』
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POW : マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD : トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ : マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。
イラスト:有坂U
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
灰神楽・綾
【不死蝶】
エインセルには以前グリードオーシャンの仕事で
思いっきりもふもふさせてもらったよねぇ
俺、帰ったらまたもふらせてもらうんだ…
UC発動
ここからはエインセルに指一本触れさせない
ふふ、ちょっと格好良くきめてみたよ
寿命なんていくらでも差し出そう
まぁこれはあの子には内緒ね
まずはエインセルの周囲にPhantomを飛ばせ、オーラ防御で守護
更に大量のナイフを念動力で操り周囲に浮かし
いつどこから攻撃が来ても迎撃出来るようにしておく
大物はEmperorで叩き斬ったり、バットのようにして撃ち返したり
光線的な攻撃が来ればナイフの側面に当てて無理やり軌道をずらしたり
いざとなれば身を挺してかばうことも厭わない
乱獅子・梓
【不死蝶】
おいバカやめろ
この状況下でシャレにならないフラグを建てるんじゃない!
綾がエインセルの護衛をしている間に
俺は成竜の焔に乗って飛行し、マザー本体のもとへと向かう
綾は文字通り「命をかけて」戦っている
一刻も早くカタを付けないと
道中で襲いかかってくる機械たちは
焔と零に対処してもらいながら強行突破
炎、氷、水の属性ブレス攻撃を浴びせて
焼き消す、凍らせ動きを止める、ショートさせる等
マザーに攻撃射程圏内まで接近出来たら、UC発動
俺の周囲に存在する無機物=機械全てをドラゴンへと変換
この瞬間だけはマザーを守る機械も
俺たちに襲いかかってくる機械も無い
焔、零、そして機械から変換したドラゴンたちで一斉攻撃だ!
●万物は竜へと転じ、女王は自ら詰みの一手へ
「エインセルには、以前グリードオーシャンの仕事で思いっきりもふもふさせてもらったよねぇ」
後ろで結界術を詠唱し自衛の準備を万全にしている子猫を見て灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)はこの子をもふもふさせてもらった時のことを思い出す。
実にご利益ありそうな素晴らしいもふもふ具合であった、と。今も手にはあのふかふかな感触が残っている。
「俺、帰ったらまたもふらせてもらうんだ……」
そう呟く横顔は儚さすら感じられて相棒、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)の顔が真っ青になった。
そりゃそうだ、こんな状況でそんなことを言うということは下手したらあいつが降臨してしまう。
そう、ひらひらとなびくあの旗が――!
「おいバカやめろ!この状況下でシャレにならないフラグを建てるんじゃない!!」
「冗談だよ冗談。もふらせてもらいたいのはあるけど」
「にゃーん?りょう、もふもふしたいの?いいよー!あずさもかえったらいっぱいもふもふしていいよ!」
「やったー、じゃあその時ついでに写真撮ってイェスタ挙げていい?」
「おしゃしん?いいよー!」
「お前な……まあいいや」
本来なら調子に乗るんじゃない、の一言でも言うところではあるが、これもエインセルが「皆で勝って一緒に帰る」ということを一切信じて疑わぬが故にできるやり取りである。
小さい子を不安がらせるものではないし、きっとこれで良いのだろうと梓は前向きに捉えることにした――元から後ろ向きな考えはするものではないというのが前提だが――。
「さて、それじゃあエインセルの大事な毛並みに傷がつかないようにしなくちゃね」
「ああ。護衛は任せたぞ」
「いってらっしゃーい」
成竜と化した愛竜『焔』に乗り、梓はマザー本体の下へと向かい、それに付き従いもう一匹の愛竜『零』も飛翔する。
綾はそれをひらひらと手を振って見送り、目の前に押し寄せてくる機械へと視線を向け愛器たる『Emperor』を構えた。
「……ここからは、エインセルに指一本触れさせない。"俺に出来ないことは無い”」
なんてね――と付け加えて、ユーベルコード【ロスト・チェックメイト】が発動される。
一見何も変化がないように見えるが、その効果が齎すのは確率という”因果”。
これにより自らの行動を常に成功で確定させることができるのだ。
「にゃーん!りょうかっこいいー!」
「ふふ、ちょっと格好良く決めてみたよ」
きらきらと目を輝かせるエインセルににこやかに微笑む綾だが、そのユーベルコードの代償は決して軽くはない。
因果を改変させることで求められる対価は寿命――そう、文字通り生命を削っているのだ。
だが、こんなに真っ直ぐに自分を見て憧れてくれる子を護る為ならそれぐらいいくらでも差し出してやるという気概で綾はこの戦場に臨んでいる――当然、エインセルには内緒だが。
知れば間違いなく耳としっぽをぺたーんとさせて泣きそうな顔をしてしまうだろう、そんな顔をさせたくて護りを買って出たワケではないのだから。
『Phantom』――オーラで身体を構築する赤光の蝶の群れをエインセルの周囲に飛ばし、守護障壁を展開し、さらにナイフを念動力で浮かせてビットのように飛ばして迎撃できる体勢を作る。
『目標、グリモア猟兵。デトロイト市を航空戦艦モードに変形。対猟兵戦闘機械出撃』
マザーは淡々とそのフラスコの中から機械と化したデトロイト市を操作し、高速起動するマシンへと変貌させながら、同時に地面より大量の戦闘機械を産み出していく。
その内の一体がエインセルを潰さんと襲いかかるが、綾がいち早くその胴体を真っ二つに叩き割った。
次に砲撃が来ればバットの用に撃ち返し、敵陣で爆発させることで戦力を削り、
光線が飛べば念動力で飛ばしたナイフの側面に当てて軌道をずらし……
生命を対価に差し出したが故に、機械の群れ相手にまさに無双の如き戦果を上げていく――!
◆
「(綾は文字通り”生命をかけて”戦っている……一刻も早くカタを付けないと)」
増殖無限戦闘機械都市の上空を翔ける梓。
相棒が生命をかけているなら、自分も相応のモノをかけなければならない。
上空を多いつくさんばかりの機械たちの群れに真正面から飛び込み、二匹の竜のブレスが機械たちを薙ぎ払って道を切り開く。
炎のブレスは表面の金属毎回路を焼き切り、氷のブレスはその飛行機能を瞬時に凍結させて地に落とし、さらに二人の属性を応用した水のブレスが回路をショートさせる。
同時にぶつけなくとも、焔がブレス攻撃をした直後に零がブレス攻撃で畳み掛ければ、竜の吐息により金属の収縮の限界を越えて破壊され、マザーへの道が切り開かれていく。
『やはり一筋縄ではいきませんか』
マザーの声と共に姿を現すは巨大戦闘機――最早そのサイズは戦闘機どころの話ではなく戦艦と表現する方が望ましいだろう。
成竜となった愛竜たちを二人並べても届かない程の巨大な戦艦、その中央にマザーはいた。
「にゃーん!?」
「うわあ、流石にこれは大きすぎない?」
地上にいる綾とエインセルも視認が容易な程のサイズの戦艦、左右につけられた機銃がそれぞれ空中と地上へと向けられる。
――まずい。直感でそう悟った梓は愛竜たちを散開させ、綾はエインセルを抱えてその場を離れた。
瞬間、地面と都市内の施設に着弾したレーザービームが激しい爆発を巻き起こし、爆風に全員を包み込む――!
「なん、って威力だ……綾とエインセルは無事……うおっ!?」
何とか回避した梓に何と戦艦が突っ込む!
間一髪で回避したものの、あと少し反応が遅れてたら危なかったであろうことは確実だ。
だが同時に戦艦は先程のレーザーの爆撃から逃れた綾とエインセルの真上を位置取ってしまう。
しまった、と梓は零だけでも二人の援護に向かわせようとするが。
『こっちは大丈夫だから、梓はささっとマザーをぶっ叩いちゃってねー』
『りょうもぼくもだいじょうぶだよ!けがもなんにもしてないにゃーん!だからあずさはマザーをたおしてー!』
綾とエインセルの声がそれを止めた。
エインセルはシンフォニアであり、首の鈴は拡声器の役割も果たしている。それを使って簡易的な無線としたのだろう。
「無事ならよかった……!了解だ!いくぞ焔、零!」
ほっと胸を撫で下ろし、梓は戦艦の中心へ向かう。
マザーはそれも織り込み済みかというように地上から対猟兵用戦闘機械を出現させ、梓たちへと向けて一斉に突撃させる。
だが――それが仇となった。
「"誇り高き竜と成れ”!!」
【万物竜転(サムシングドラゴン)】。
梓から半径114m内の"無機物全て"を竜へと変換し操ることができるユーベルコード。
これこそがグリモア必殺計画を阻止する為の梓たちの王手となりうる力であり、故に偽神の時とは反対に梓が攻撃に転じた。
これによって対猟兵戦闘機械を竜に変えさせられ、マザーは文字通りの裸の王様となったのである!
「な……無機物を有機物、しかも生命体に転換させるなど!」
「それがユーベルコードだからな!知らないとは言わせないぞ?
この瞬間だけはお前を護る機械も俺たちに襲いかかってくる機械もない――いくぞお前たち、一斉攻撃だ!!」
焔と零、そして変換された竜全てのブレス攻撃が、為す術のないマザーへと炸裂した――!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
星群・ヒカル
物事はシンプルに考えるのがいいもんだ
おめーを守るのも、攻撃を避けるのも、敵を攻撃するのも、たった一つの手段でできるなら…
ところでエインセル、タンデムは好きか?
というわけでエインセルをおれの後ろに【ロープワーク】で括った上で、宇宙バイク『銀翼号』に【騎乗】
『星の目』の【視力・第六感】で最適ルートを観測し、【勇気・逃げ足・早業・限界突破】で、雨霰と降る攻撃を回避しながら迷わず突っ切るぜ!
マザー本体を見つけたら【地形の利用・悪路走破・操縦】で武器達を踏みつけ立体的に疾走しつつ、《ゴッドスピードライド》で最大加速し、助走をつけて本体を跳ね飛ばしてやろう
こんな小手先の策でおれ達を止められると思うなよッ!
●幸運の子猫とタンデムを
『……物事はシンプルにいきましょう』
マザー・コンピュータはそう言ってこのグリモア必殺計画を企てた。
確かに決戦兵器に相応しい作戦ではあるだろう、何せ今までグリモア猟兵を直接引きずり出す手段を持つオブリビオンは例えフォーミュラだとしても存在していなかったのだから。
『グリモア猟兵、その子供の生命さえ奪ってしまえば我々に大きく利が傾く。さあ、行きなさい機械たち』
そうして次々と戦艦化した都市の甲板から生み出されていく機械たち。皆が皆エインセルへの殺意を向けて飛翔し接近する。
エインセルは緊張した面持ちだが、足を引っ張るワケにはいかないと結界術で身を固める……
「そうだな、物事はシンプルに考えるのがいいもんだ」
それにだけは同意できるぜ、とマザーに向けて言った後、星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)はエインセルを落ち着かせるようにわしわしとそのふわふわな頭を撫でる。
「おめーを護るのも、攻撃を避けるのも、敵を攻撃するのも、たった一つの手段でできるなら……」
「……ばんちょー?」
見上げて首を傾げるエインセルに視線を合わせるようにしゃがみ込み、ヒカルはこう言った。
「ところでエインセル、タンデムは好きか?」
「にゃーん?たんでむ……??」
その言葉が何を意味するのかはわからなかったエインセルだが、すぐにその意味は知ることとなる――!
◆
『何、ですか。あの閃光のようなものは……!』
マザーは驚きに目を見開いた。
目の前には雨霰が如く機械たちによる攻撃を降り注がせているが、その中を流星の如き光が駆け抜けている。
まるで攻撃という雨が最早遅れて走り去った後に突き刺さっていくかのように……!
「にゃ――――ん!すごーい!」
ヒカルにおぶさるようにひっつき、ロープでしっかりと身体を固定しているエインセルはその圧倒的速さに目をきらきらと輝かせている。
そう、先程ヒカルの言ったタンデムとは文字通りの意味であり、愛車たる『銀翼号』に騎乗して駆け抜けることに他ならない。
まさにエインセルの護衛と攻撃の回避、そして敵への攻撃全てをたった一つの手段でやってみせたのである――!
「すごーい!はやーい!」
「だろ?こういう時でなけりゃもっとのんびり走って景色を見せてやれるんだが……それはまた今度な!」
「わーい!やくそくだよばんちょー!」
「ああ、男と男の約束だッ!」
ヒカルの持つ魔眼『星の目』が導き出した最適ルートをまさに目にも留まらぬ速さで駆け抜ける『銀翼号』。
そのスピードたるや、マザーが座する都市戦艦など比にならぬ程の圧倒的な速度であり、いくらマザーの産み出した冷酷無比な対猟兵戦闘機械であっても捉えることができないでいる。
『速度測定不能……この世界に存在する単位には収まりきらないスピードだと言うの?しかもこの移動経路は――まさか』
移動の痕跡からルートを分析し割り出したマザー。
だが、当然もう遅い。
機械の計算速度すらも容易に超えてみせる銀の翼はすぐそこまで迫っていた――!
「見つけたぜ、マザーッ!」
『――!!』
背後から聞こえるヒカルの声。
近づけさせまいと立ちはだかる彼女の武器たる機械たちを跳ね飛ばし、踏みつけ、立体的な軌道を描きながら銀翼号がその姿を変える。
『く、迎撃、いえ防御――』
「こんな小手先の策でッ!!」
ヒカルが思い切りアクセルを踏み込むと同時に発動されるユーベルコード【ゴッドスピードライト】。
まさにその名の通り神速にして閃光の如し。
金属すらも引き裂く程の速度をつけた銀翼号を止められるものは何もない。
「おれたちをッ!!止められると思うなよッ!!!」
激しく響く衝撃音。
フラスコが割れ、マザーのその身が遥か上空へと跳ね飛ばされた――!
大成功
🔵🔵🔵
護堂・結城
効果的なのは認めるがえげつねぇ…だが一つ見落としてないか?守るものがあったほうが猟兵は強くなるぞ
外道、殺すべし
【POW】
しっかり自己防衛頼む、ちょっとあれ壊してくるわ
UC天駆を使用、怪力で空中を蹴り一気に高空まで駆け上がる
目には目を、歯には歯を、デカ物にはデカ物だ!
「氷牙、吹雪、月の尾、全獣装解放…行くぞてめぇら!『我等は零れた願い星』!!」
UC星屑一条で全武装を搭乗兵器に合体、移動力を減らして攻撃回数を増やす
早業で軌道を見切り、怪力による尻尾の叩きつけだ、ついでに雷属性の貫通攻撃もおまけしてやる!
機械兵器群には大声の咆哮による衝撃波の範囲攻撃で対処
そのまま骸の海まで堕ちて逝け
●グリモア必殺計画=外道→即ち即殺すべし
「効果的なのは認めるがえげつねえ……」
護堂・結城(雪見九尾・f00944)は辟易するように言った。
『何事も複雑に考えなければならないということはありません。
貴方がた猟兵が尽く我らを阻んだのはグリモアの力あってこそ――ですがそれを扱える人数は限られている。ならば、どちらを叩くのが最も効率的かは』
言うまでもないでしょう――ユーベルコードを用いて巨大機械と化しながら、マザーは淡々とそう告げる。
確かに理に適った戦法であり、結城はそれに対する反論もできなければするつもりはない。
確かにグリモア猟兵の存在は弱点とも鳴りうる、その事実は変わらないのだから。
「……だが、一つ見落としてないか?」
『見落とし……?』
「ここまでの戦いを見て気づかなかったのか?
――護るものがあった方が猟兵は強くなるぞ」
世界とそこに生きる人々、そして自分の大切なものを護る為に猟兵たちは日夜戦い続けている。
そんな猟兵に対し、いくら効率的とはいえグリモア猟兵を狙いにきたとあれば……当然黙ってはいない。
実際今ここにいるグリモア猟兵の子猫も、親しい者が助けに駆けつけてくれてもいる。
それに、まだ小さな子をグリモアを持つという理由で殺そうとする外道など、放っておくワケがない。
――外道、殺すべし。
「しっかり自己防衛頼む、ちょっとあれ壊してくるわ」
「わかったにゃーん!」
エインセルが持てる魔力をつぎ込んで結界術を生成したのを確認し、結城は空を翔ける。
怪力に【天駆】の力が乗り、思い切り空中を蹴り上げて巨大な機械と化したマザーの真上まで。
『ほう、この高さにまで届くは容易と。ですが、猟兵一人でこの巨体を退けられると?』
「はっ!簡単な話だ。目には目を、歯には歯を、デカ物にはデカ物だ!――氷牙、吹雪、月の尾、全武装解放!」
結城の合図により、お供たる紅蓮氷牙、星銀吹雪の2匹、そして七つの大罪を関する七色の月の尾――それらを含む全ての武装が今ここに集結する。
「……行くぞてめぇら!『我らは零れた願い星』!!」
結城の下に集った全ての武装が一つに集結し――合体!
巨大な九尾の狐を象った搭乗兵器となり、そのコクピットに結城を誘う。
ユーベルコード【雪見九尾の星屑一条(スターダストキャバリア)】がマザーの現在の躯体に合わせたサイズでずしん、と大地に降り立った!
『――――――――!!!!!』
星屑一条を経由しての咆哮は最早ただの咆哮にあらず、超音波による衝撃波となってマザーの周囲を漂う機械を全て粉砕し、頭数を勢いよく減らしていく。
だがマザーがそれしきで焦ることがないのは織り込み済みだ。
壊れたならばまた生み出せばいい――そう思っているに違いないだろう。
自らの産み出した機械を使い捨ての道具のように扱うことも結城からしたら外道行為と認定できるものだ。
ダークセイヴァーの吸血鬼共がそうして駒のように生命を使い捨ててきたのを目の当たりに死続けてきたがゆえに。
『ならばこちらは避けられますか』
マザーが手を翳すと、上空からレーザーが結城目掛けて襲いかかる。
おそらく上空を漂う軌道衛星に干渉したのだろう、星屑一条の頭部、コクピットを目指して一直線に飛んでくるが―――
「甘いんだよッ!!」
コクピットを狙われる対策をしていない者などいるワケがなく、結城はその軌道を即座に見切って回避し――ユーベルコードの代償に支払った大幅に減った移動力の限界ギリギリまでバク転して接近。
そして雷を纏ったその星屑一条のしっぽを思い切り叩きつける!
『その程度で止まるとでも?』
防衛システムが作動させ、防御障壁を展開してマザーがそのしっぽを受け止める。
巨体に巨体がぶつかった勢いで激しい暴風が辺りを包むが、それもグリモア猟兵がしっかりと自衛ができているが故にできていることだ。
むしろちらりと見ると巨大兵器の出現にテンションが上がってますます結界術の出力が上がっているようにも見える。
「はっ、これだけじゃねえよ、ついでにおまけしてやる!」
しっぽから雷がほとばしり、防御障壁を貫通する――!
移動力と引き換えに得たのは攻撃回数であり、一度当てられればそれだけで複数回攻撃をぶつけ続けられるようになっていた。
つまり、この雷による攻撃もただ貫通するだけではない。
相手が完全にショートし動けなくなるまで障壁だろうが装甲だろうが貫き続けるのだ!
『障壁臨界点を突破……バカな、こんなハズは』
「そのまま骸の海まで堕ちていけ、外道ッ!!!」
雷が障壁を突き破り、巨大機械となったマザーの頬にしっぽの強烈な一撃が見舞われる。
都市の町並みをその背で尽く砕きながら、遥か後方へと吹き飛ばされていった。
成功
🔵🔵🔴
栗花落・澪
念のためエインセルさんに【オーラ防御】を付与
自分の防御を捨てる代わりに致命傷だけは避けつつ回避重視で動くけど
どんな怪我も【激痛耐性】で耐えながら基本護りを優先する覚悟
【指定UC】を発動し火力と速度上昇
【聞き耳】で戦闘機械の音や方向を聞き分け
自分への攻撃は素早い【空中戦】で回避主体
エインセルさんを狙う武器は攻撃用の花弁で機械武器を切断したり
【高速詠唱】で炎魔法の【範囲攻撃】を行いまとめて誘爆を狙いつつ
合間にマザーさんへも遠距離攻撃
更に連続爆発により発生し続ける爆煙を煙幕代わりに
急接近
★杖でフラスコを全力で殴りつけ
ヒビでも入ればラッキー…からの
雷の【属性攻撃、全力魔法】でマザーさんごと感電攻撃
アネット・レインフォール
▼静
防衛戦を強いられる状況というのは
存外、厄介なものだな。
(冷静に戦況や他者の負傷具合を分析し)
他の者もまだ余裕はありそうだが…
歯車が欠ければ、状況が一気に瓦解する可能性はある。
―自覚しろ。俺は今、剃刀の刃の上に立っているという事を。
防衛しつつ敵に一撃を加えるのなら、
ここは少し動きを変える必要があるだろう。
ならば――
▼動
無数の刀剣を召喚術で展開し
念動力でグリモア猟兵の防御に使用を。
刀剣を足場に霽刀で迎撃しながら
結界術で障壁を作り機械群を倒し易いよう誘導も行う。
集敵化したら剣を地に突立て【氷凛止水】を放つ。
他の猟兵へのフォローも兼ねて
戦場を氷結地帯で覆い敵群の足止めを狙おう。
連携、アドリブ歓迎
●Mix Δ Territory
『猟兵……私の決戦兵器を相手にここまで退けてみせるとは、やはり貴方がたは脅威に値するようですね』
忌々しそうにマザーが呟く。
無限増殖戦闘機械都市――その名に違わぬ機械の即時量産を繰り返し、何度でもグリモアを持つ子猫目掛けて発砲する。
「にゃーんっ……!」
エインセルは持てる魔力を振り絞って結界で防御を続けているが、幼子故にまだ扱える魔力のキャパシティは浅く、一度に防ぎ切るには限度があった。
「させない……!」
エインセルの結界の耐久値が今まさに限界を迎えようとしたところで栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の護りのオーラがそれを庇う。
結界が補強され、無事凶弾の一発も通ることはなかった上にそのままオーラはエインセルを護るように包む。
「にゃーん、れいありがとー!でもだいじょうぶ……?」
「大丈夫だよ。君よりお兄ちゃんだから、これぐらい耐えられないとね」
そう微笑んでエインセルを安心させようとする澪。
だが、この護りのオーラを自らを護る分すらもすべて子猫に当てたことで彼自身は身を護る術を一切無くしたも同然だった。
当然、そんなことを言えば心配させてしまうだろうので口にはしないが、可能な限り回避して痛みは堪える覚悟で臨んでいる。
機械の群れがもう一度エインセルと澪に向けて攻撃をしようと牙を向く――そして同時に瞬く間にその身を切断され、空中で爆散した。
「(防衛戦を強いられる状況というのは……存外、厄介なものだな)」
アネット・レインフォール(剣の異邦人・f01254)は斬撃波で周囲の機械を斬り飛ばしながら、現状とこちら側の負傷具合から現在の戦況を冷静に分析する。
マザーに確かにダメージは与えることはできている。
エインセルの護りに入った澪の様子もまだ余裕があるように見えた。
……だが、それでも相手が機械を無限に生み出すことができる以上、一度でもその歯車が欠けるならば状況は一気に瓦解してしまうだろう。
それが一番の懸念事項だ。
「(――自覚しろ。俺は今、剃刀の刃の上に立っているという事を)」
そして考えるのだ、防衛しつつ敵に確実に一撃を加える方法を……
アネットは冷静に頭を巡らせ続ける。
「……ここは少し動きを変える必要があるだろう」
「――アネットさん、何か策があるみたいだね。僕に何かできることはある?」
「確かに協力してもらえるなら助かるが……無理はするなよ」
「もちろん、わかってるよ」
「それなら構わない。ならば――」
◆
『そろそろ終わりにしましょう。猟兵たちよ』
マザーは追加でさらに機械を産み出し、自らをの入ったフラスコを変形させた機械の上に着装させ、機械全てに再び攻勢指示を出す。
「……いくぞ、栗花落」
「うん。なるべく早く終わらせよう!」
まずはアネットが召喚術を展開し、エインセルの周囲に無数の刀剣を呼び寄せた上念動力で動かすことで護りを固める。
同時に澪はユーベルコードを発動し、自らを豪華絢爛なドレスに包んで飛翔。
火力と移動速度を飛躍させた状態で飛び回り、機械の位置をその優れた聴覚で把握し、的確な場所へと『Staff of Maria』を触媒に高速詠唱で紡いだ炎の渦を放った。
激しい熱が空中の機械を襲い、連鎖的に爆発を引き起こすことで空中と地上双方の戦力を減らしていく。
一方でアネットも地上から対空にかけて応戦。召喚した刀剣の一部を足場代わりにして次々と霽刀で返り討ちに。
だが当然その分の穴埋めがすぐ生み出され、そう簡単に数の差は縮まらない。だが二人は一歩も譲らない気概で機械たちを攻撃し続けていく。
『その諦めないしぶとさもまた、脅威の一つ足り得る……っ!』
冷静に状況を見ていたマザー目掛けて魔法弾と花びらが飛ぶ。
澪が機械の誘爆を誘う合間、そのたった僅かな間にこちらを狙っているようだ。
ならばとマザーはまず護衛から片付けることに決めて指示を出す。
『分析結果により、あの猟兵は今見を護る術を持ちません。集中して叩けば効率的に撃破が可能なハズです。行きなさい』
マザーの命で空中地上共に機械たちが一斉に澪へとその矛先を向け始める。
「(……きた!)」
ここからが正念場だ。
澪は機械の一斉攻撃をその爆発的に向上した飛行速度で交わし、移動することで機械たちを引きつけていく。
下手な鉄砲数撃てば当たるとはよく言ったもので、一人に集中して放たれる攻撃は試行回数も重ねればより命中する確率も上がる。
頬を、腕を、脚を、わずかに凶弾や凶刃がかすめながらも澪はひたすら回避し続けた。
機械というものにはパターンしか存在せず、臨機応変に対応するには使用者がそれを教え込ませることが必要だ。
故に、マザーから追加で命がこない限りは澪を永遠に追いかけ続けるだろう。
そう、例えそれが誘導によるおびき寄せだったとしても。
『……!障壁の展開反応……?まさか』
マザーの目に光に当たって照り返される何かが見える。
澪に機械が殺到しているのを利用し、アネットが結界術で密かに進行方向を誘導していたのである。
それはエインセルからできる限りの距離を取らせ、その上で一箇所に集まるように。
『く……機械たちよ!ターゲットを変更します、そのオラトリオではなく――』
「残念だがもう遅い……!」
機械たちは既にほぼ全てが一箇所に集められ、澪が退くと同時にアネットが踏み込み、剣を地面に突き立て、ユーベルコードを発動した!
「――【無式】氷凛止水」
展開されるは時間凍結を模した絶対零度の氷結領域。
時さえも氷結させる圧倒的な冷気が一瞬にして機械の群れを凍れる時の中に閉じ込めた上で、戦場の環境を氷結地帯に変えてみせたのだ。
この氷結地帯がある限り、敵は全て著しく行動を阻害される。
「今だ……!」
澪が追撃で業火の魔力弾を放ち、集敵した機械の群れが一気に連鎖爆発を引き起こす!
爆煙が遥か空まで上がり、マザーの目にもレーダーにも捕らえられない程に包み込む。
『く、状況の確認、を――っ!』
マザーは眼を見開いた。
先程まで離れた距離にいたハズの澪がいつしか眼前にまで迫っていたのだ。
「やぁああああああああッ!!」
持てる力の全てを込めた杖の一撃がフラスコを殴りつける。
だがマザーの入ったフラスコはびくともしない。
『無駄です。デッドマン等の生来膂力に優れた種であるならともかく、貴方程度の力で――』
「わかってる、でもやらないといけないことだから……ねッ!!」
何度叩きつけてもヒビ一つ入らないフラスコ。
このまま状況が硬直するなら、澪の体力が尽きてしまうところであるが……彼は今一人で立ち向かっているのではない。
『!』
もう一度澪が叩きつけようとして助走をつけた直後、マザーのフラスコに一本の刀剣が突き刺さる!
アネットが念動力で投げつけたのだ。突き刺さった箇所からぴし、ぴしとヒビが入り、フラスコの強度は最早飾り同然となった。
「栗花落!」
「ありがとうアネットさん!これなら……っ!」
杖に持てる魔力全てを込めて、突き刺さった刀剣諸共フラスコに叩きつける澪。
『―――――――ッ!!!』
その全力の魔術行使による最大電力は一つの柱が上がるにまで上り、マザーの身体を超電圧と超高熱で焼き尽くしていった――!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ベルゼ・アール
我らが癒やしのエインセルを攻撃するなんてマザーには人の心が無いのかしらッ!?
絶対に護り切るわよ…それが「エインセルきゅんを見守る会」株式会社UAI支部長たる私の務めなんだから!
(「エインセルきゅん命」と書かれた鉢巻(「エインセルきゅんを見守る会」サテライトショップにて大好評発売中!)を額に巻く)
マザーが機械都市そのものを操って攻撃するなら、私はその機械都市を利用するだけよ! 予告状を投げて戦闘機械を華麗に盗み出すわ!
盗んだ戦闘機械を操って反撃、爆風を利用して横に回避しながらマザー本体に近寄って、スタンロッドの一撃を浴びせてやるわよ!
控えおろう!!
我らが超天使エインセルきゅんの御前なるぞ!!
●色々ツッコミたいことは山程ありますがとりあえずそれは置いておこう
ゴゴゴゴゴゴゴゴ――
機械都市に鳴り響く地を揺るがす音――これはいったい何の音なのか。
マザーにより生み出された機械たちが眠りから目覚める音か?
それとも攻撃により破壊された施設が崩れ行く音か?
……否。
ベルゼ・アール(怪盗"R"・f32590)の激しい怒りが生み出すオーラが大気を震わせる音である。
今彼女は非常に怒っていた、まさに怒髪天を衝く程の勢いでマザーを気圧す程に。
彼女の怒りの原因は様々であり、主に社長秘書として社長のトンチキ発言にお前いい加減にしろよ!!と言いたくなるものが多いが、今回はそれよりも許せない巨悪を目にして激しく怒り狂っていた。
「にゃーん、べるぜだいじょうぶ……?」
エインセルがその様子に心配そうに声をかけると、ベルゼは尚更わなわなと震わせて……
「我らが癒しのエインセルを攻撃するなんて……ッ!!!
マザー!!!あなたには人の心が無いのかしらッ!?!?」
こんなに可愛いし優しいしいつも誰かの為に一生懸命~云々々々……
など、とてつもない剣幕でマザーを捲し立てていくベルゼ。
エインセルも彼女がここまで怒っているのを見るのは始めてでびっくりしすぎてしっぽがぴん!と立った。
そう、ベルゼにとってエインセルとは癒しそのものなのである。
社長の無理難題をこなしまくって疲労困憊な時、終わったらこの子猫をもふもふすることがベルゼにとってかけがえのない支えの一つ。
そんなエインセルの生命を狙うなど得手勝手にして極悪非道!言語道断笑止千万ッ!!
例え神様仏様が許しても私が決して許さない、そんな気概に今満ち溢れていた。
……いやエインセルも神霊なんだけども。
「絶対に護り切るわよ……
それが「エインセルきゅんを見守る会」株式会社UAI支部長たる私の務めなんだから!!」
決意と共に頭に巻かれる「エインセルきゅん命」と書かれた鉢巻。
こちらの鉢巻、「エインセルきゅんを見守る会」サテライトショップにて大好評発売中でございます、是非お買い求めください。
っつーか「エインセルきゅんを見守る会」って何だよって?文字通りです。でもまさかベルゼさんも会員だったのは完全に予想外だったよ!!!!つか会社単位で支部があるってでかすぎるやろ!!!!!
当のエインセルは何で自分の名前が書いてあるんだろう??って首を傾げているが多分ベルゼ的にはわかって欲しくないのでそれでいいと思われる。
『何を言っているのかわかりませんが……そのグリモア猟兵は仕留めさせてもらいま――』
ピッ、とマザーのフラスコに突き刺さる一枚のカード。
――今宵貴女の大事なものを頂きに参ります。 怪盗”R”
……と記されている予告状。
その文章がマザーの視界に入ったその刹那、産み出した機械が何の前兆もなしにふっとその姿を消す。
『……やってくれますね、猟兵。迎撃体勢を取りなさい』
マザーの命に従い、襲いくるであろう猟兵を迎え撃つ為に機械たちが陣形を取る。
これもマザー・コンピュータの優れた頭脳とプログラム故か、自然に連携しているようにすら見えるその群れに迫るのはベルゼが盗み出したマザーの産み出した戦闘機の姿をした機械。
「あなたが機械都市そのものを操って攻撃するなら、私はそれを利用するだけよ!!
エインセル、しっかり捕まっててね!」
「わかったにゃーん!べるぜ、がんばって!!」
エインセルと共に戦闘機型の機械に乗り込み、派手にアクセルを踏み迷わず群れに踏み込んでいくベルゼ。
高速で機動しながら放たれるマイクロミサイルが千差万別の軌道を描いて大量に飛び交う。
下手な鉄砲数撃てばなどというものではない。一見何も考えていないように見えるこのマイクロミサイルたちの軌道は、機械からしたら非常に解析に困る代物だ。
白と黒でいうならその中間、グレーゾーン。グレーゾーンの幅というものは非常に広く限りなく白から限りなく黒まで存在する。それを全て完璧に捉えることはどの機械であっても難しい。
つまりどういうことが言いたいのかというと、見事なまでに機械はそのミサイルを追いきれず次々爆散していくのだ!!
『小癪な策を……!』
当然マザー側もそれで終わりはしない。
迎撃ミサイル、レーザー、何から何までを全力で注ぎ込んでベルゼとエインセルの乗る機械を撃墜しようと試みた。
戦闘機は真っ直ぐこちらへ向かっており、そのスピードからカーブするには非常に難しい程のスピードである。
だがベルゼはそんなことも承知済みであり故に無差別で無秩序なマイクロミサイルの連打を行い機械たちを次々撃墜し、その爆風を利用してジグザグに動くことで精確にターゲッティングされたそれを躱していく!
『……おのれ!』
「くるわ!エインセル、絶対離しちゃダメよ!」
「にゃーんっ!!」
マザーの眼前にまで迫ると同時に放たれる特大のレーザー。
戦闘機一気を簡単に呑み込むそれは流石に回避が難しいと、ベルゼは子猫化したエインセルを抱えて緊急脱出を図る!
『数秒程遅かったですね……!』
しかしレーザーは既に眼前に迫っており、ベルゼが飛翔しても間に合わない。
残酷なる光が二人を包む――と思いきや、何とまるで水が岩に遮られるように見えない障壁に阻まれた!
完全にマザーに忘れ去られていたエインセルの結界術による防御障壁である。
『何ですって……!?』
「ふっ、ここにおわすのを何方と心得るッ!!」
片手にエインセル、もう片手にスタンロッドで上空からベルゼが迫る!!
「控えおろう!!我らが超天使エインセルきゅんの御前なるぞッッ!!!!!」
マザー本体ではなく、敢えてマザーが生体コアとして組み込まれているフラスコの導線をぶち叩くスタンロッド。
『あああああああッ!!!』
高圧電流が直接マザーの戦闘機械都市のシステムの根幹そのものを攻撃し、接続しているマザーの脳にとてつもない大打撃を与える!
機械音が停止する音と共に、機械都市のシステムがダウンした――!!
大成功
🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
WIZ
戦車君との約束を果たす時が来たわ。
マザー、私が貴女を永遠にしてみせる
真の姿で背中に黒炎の翼。
守護霊の憑依【ドーピング】に加え
『快楽の檻』で直径112m分のオブリビオンと絡み合い
戦闘力560倍の群体淫魔となり
エインセルを群体に取り込んで安全確保
お世話になってるグリモア猟兵だから今回は特別よ。
無数の美女にハグされて刺激が強いかもだけど
戦車君の自由研究の時は説得が中心だったから
マザーに手の内を全て読まれてはいない筈。
560km/hの速度で【空中戦】
呪印の力で【呪詛・属性攻撃】の黒雷を槍状に圧縮し
雨の如く【投擲・乱れ撃ち・早業】
戦闘機械を殲滅しつつ機械都市を機能停止させ
無限増殖を封じる【範囲攻撃・マヒ攻撃】
愛こそが私達の力の源。
そして貴女が思索すべき真理
【怪力・捕縛】でマザーを群体に取り込むと
戦車君から吸収した魂の欠片が
彼女を出迎える様に電気信号を発する
大丈夫、気づいてないだけで貴女も持っているわ。
こんなに良い子を創ったんだもの
優しい愛撫と言葉で
彼女の心身を【慰め・生命力吸収】
●其れは不変であり、誰しもが持つ絶対の真理
『……システム復旧完了。この程度で私を倒せると思い上がらないことです』
マザーの復帰と共に機械都市の機能が再び復活する。
だが既にこれまでのダメージが蓄積しているのが反映されているのか、産み出される機械にノイズが走り、火花を上げていた。
「にゃーんっ、そんなことないもん!いぇーがーのみんなはつよいもん!!」
「そうね、少なくともただではやられない奴らが多いのは事実よ」
声を上げるエインセルの前に護るように立つドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。
はっきり言って猟兵たちのことは好きではない。救いたい対象でもない。
だが"嫌い"という感情と実力を認める、認めないはまた別の話だ。
それに救う対象ではないからといってグリモア猟兵を見捨てるのはそれこそ彼女が嫌った人間と同じラインにまで自らを下げる行為となってしまう。
グリモア猟兵の予知があるおかげで、救うべき対象を救いに向かうことができている――それは紛れもない事実なのだ。
「(戦車君との約束を果たす時がきたわ)」
ドゥルールの脳裏に過るのはスーパー戦車と交わした会話。
あの子は確かに見た目こそ戦車という仰々しいものであったが、その人格は好奇心旺盛で無垢な子供のそれと何ら変わらず、マザーの為に託された任を一生懸命果たそうとしていた。
"じゃあそれが終わったらまた会いましょうね、その時は貴方のお母さんも一緒に"
故に、ドゥルールはスーパー戦車と約束を交わした。今こそその時なのである。
「マザー、私が貴女を永遠にしてみせる」
『面白いことを。猟兵である貴女にできるというのなら見せてもらいましょう。かかってらっしゃい』
「ええ、やってみせるわ……愛は全てを包み込むのだから!」
全てのオブリビオンを救済する、それはフォーミュラとて例外ではない。
無垢な子と交わした約束を果たすという決意がドゥルールに究極の力(オーバーロード)を齎し、黒炎の翼となって彼女の背に宿る。
そして彼女の意志を叶えようと、彼女がこれまでに救い守護霊と化したオブリビオンたちが集合、その数直径にして112m分にも及ぶとてつもない数だ。
ユーベルコード【快楽の檻(サキュバス・レギオン)】の力でドゥルールは大事な彼ら全員と絡み合い、一つにして個々の意志も存在する群体淫魔と化す。
そして何とエインセルを軽く抱き上げたかと思うと群体の中にひょいっと取り込んだ!
「お世話になってるグリモア猟兵だから、今回は特別よ。無数の美女にハグされて刺激が強いかもだけど」
「にゃ、にゃーん……???」
ドゥルールの言う通り、群体内の淫魔たちがその豊満にして色香の漂う身体でエインセルをぎゅう、と抱きしめている。軽くぬいぐるみみたいな感覚で。
小さな子猫をハグする大人数の美女とはまた色々と未知の扉を開きそうだが、本人が何が何だかわかってないなら多分それはそれで良いことなのかもしれない。
『グリモア猟兵を取り込んだ……ならばまとめて倒してしまえば良いこと。行きなさい』
都市の地面から、戦艦の甲板から、次々と姿を現す機械たち。
その砲塔をドゥルールに向け、先手を取ろうと一斉射撃が放たれる。
しかしユーベルコードにより群体淫魔と化したドゥルールは従来の彼女の560倍の戦闘力を持っており、最早ただの銃弾ですら彼女にとってはBB弾だ。
その肉をえぐるかと思われた銃弾はまるでクッションのように柔肌に弾かれる。
「(戦車君の自由研究の時は説得が中心だったから、手の内を全て読まれてはいないハズ――)」
黒炎の翼を広げ、ドゥルールは飛翔する。
その速度、数値にして560km/h。並大抵の動体視力では決して捕らえられぬ速度でマザーへと一直線に向かう!
『迎撃なさい』
マザーの名により機械たちもまたドゥルールを追いかけるように空を翔ける。
放たれるミサイルを華麗に交わしながら、ドゥルールはさらに高度を上げた。
そして左腕の呪印を解き放ち、呪詛を絡めた無数の黒き雷槍を地上へと向けて放つ。
スコールの如く降り注ぐ雷槍に貫かれ爆発する機械たち。かろうじて逃れた機械たちも呪詛に蝕まれ、自然と動きを止めていく。
これだけでも大分圧倒的であるが、さらにそれだけではない。
『……!?バカな、エラーが発生したですって……!』
マザーの眼前のモニタに表示される「ERROR」の5文字。
ドゥルールの黒き雷槍に含まれた呪詛は都市の無限増殖機能そのものをも蝕んだのだ。
いくらマザーがプログラムを施行しても、号令をかけても、機械が新たに生み出されることはない。
つまり、マザーの手元にある武器は今産み出した機械たちだけであり、それらを全て破壊されればマザーに為す術はないのだ。
『エラー修復までの時間計測不能……そんな、これでは機械たちの量産が……くっ……!』
残る機械たちを防衛に当てるが、それもことごとく破壊されていく。
今のドゥルールを止める者は誰にもいない。それ故にマザーを抱きしめるように手を伸ばす――。
「愛こそが私たちの力の源。そして……貴女が模索すべき、一番の真理よ」
『理解不能。愛という感情が生み出す精神エネルギーは私には無い。必要もありません……!』
「そんなことないわ。貴女にだって愛はある……私はそれを知っている!」
呪印の魔力がマザーの入るフラスコを突き破り、為すすべもなくドゥルールの手に抱きとめられ、群体の中に取り込まれるマザー。
しかし同時に機械から抜け出したということは、マザーのもうひとつの決戦兵器である時間質量を解き放つタイムフォール・ダウンの行使が可能になることを意味してもいる。
『(グリモア猟兵をその身に取り込んでいた。私の最後の手段、この蓄積していた時間質量の力で動きを抑制し、グリモア猟兵そのものを直接叩けば――)』
自ら獅子身中の虫が如く、ここから一気に逆転を狙えるハズ……!
そうしてマザーは反撃に出ようとした。……だが、その時だ。
――e3818ae6af8de38195e38293efbc81
『――!!』
聞き覚えのある電気信号がそれを止めた。
先の戦いでドゥルールが体内に取り込んだスーパー戦車の魂の欠片――それが、母との再開を喜ぶかのような声を上げたのだ。
たったそれだけで、マザーの動きは止まる。……止まらざるを得なかった。
『何故……あの子の声が聞こえただけで止まったと言うのです……?』
「言ったでしょう、貴女にだって愛はあるって」
スーパー戦車の魂の欠片を連れ、ドゥルールがマザーの眼の前に姿を現す。
「気づいてないだけで貴女も持っているのよ。だって、こんなに良い子を創ったんだもの」
そう穏やかな微笑みを浮かべて、魂の欠片に触れるドゥルール。
スーパー戦車はマザーに会えたことを心の底から嬉しそうにしていて、約束を護ってくれたドゥルールへの謝意を告げていた。
それを見るマザーは不思議な感覚に包まれていた。
――何故だろう、我が子がそうして嬉しそうにしているというそれだけで、何故か心の奥底が暖かくなる。
『……これが、愛、ということですか』
「ええ、そうよ」
『……そうですか』
ふ、と微笑むマザー。
ドゥルールはそんな彼女を抱きしめ、そっとキスを落として慈しむ。
彼女の愛を全身に受けたマザーの身体は、きらきらと光り輝く粒子と化し――ドゥルールの中へと取り込まれていった。
◆
「ほら、終わったわよ」
ドゥルールはぺいっ、と群体淫魔の中からグリモア猟兵を外に出す。
とはいえまだ子供なのでそれなりに優しく出してあげた為別に怪我をしたとか尻もちを着いたとかはなく、エインセルはちょこんと着地する。
「これで任務は果たしたわ。早く帰らせてもらえるかしら?」
「にゃーん!もちろんだよう!」
エインセルは無邪気な笑顔で転移陣を開き、ドゥルールはそそくさとその中に入る。
「どぅるーる!たすけてくれてありがとにゃーん!やさしくしてくれたの、ぜったいわすれないからねえ!」
「……そう」
感謝の言葉を背に受けながらも、敢えて何も言わずにドゥルールはグリモアベースへと帰投していった。
●エピローグ
かくして、グリモア猟兵必殺計画は阻止され、フィールド・オブ・ナイン、マザー・コンピュータは撃破された。
戦争も集結し、アポカリプスヘルの平和は保たれ、皆それぞれの帰る場所へと帰り――
その数日後、参加した猟兵たちに一つの荷物が届く。
それは瓶詰めに入ったお菓子で、メッセージカードが封入されている。
『このまえはたすけてくれてありがとう!みんなのおかげでかえってこれたよ!
いのちのおんじんにはおれいしなきゃめーだっておもったので、おかしをおとどけします!あまいのきらいだったらごめんなさい。
やさしくしてくれたの、ぜったいわすれないからね! エインセル』
全く律儀なグリモア猟兵である。飼い主の教育が行き届いているのだろうか。
猟兵の皆はこれをありがたく受け取っても良いし、受け取らなくても良い。甘いの苦手な人もいるだろうからね!
でも子猫はそれぐらい感謝していたということは受け取ってもらえると幸いである。
大成功
🔵🔵🔵