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憧れたるその景色に

#サクラミラージュ #幻朧戦線 #籠絡ラムプ

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#籠絡ラムプ


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 憧れを抱くとは、決して簡単なことではないのであった。
 サクラミラージュ、桜の世界。街の大通りのど真ん中。その大通りにて縁結びと呼ばれし女。白い着物に黒い髪の和の佇まいをしたその女は、恋に悩める人々の心を惹き付けてやまないのである。
「そこのお方、そこにいるお方も。この私に恋のお悩み、相談させてくださいな」
 相談とはよく言うものの、それはただのその場しのぎを生み出していく幻想のような出来事。恋を出来ない人間、ふられてしまった人間さえも、ひとたびその灯に照らされてしまったら、あら不思議。
「ああ、俺、好きな人が出来ちゃった気がする!」
「本当かい!? 私も私も! 長い髪をした、ピンクの瞳の女子がさあ、」
 全員が同じ恋の兆しを宿して、どこか満足したように一直線、縁結びの女に礼をして、叶ってはならぬ初恋の為に走り始める始末。
 そうした人間が大勢縁結びによって生まれるおかげで、大通りは最早大騒ぎ。誰もが縁結びに踊らされながら、感謝と恋を縁結びに提供するその様はまるで奇妙な縁の物語。
 秋に芽生える恋は、いつしか冬へと続くように。至極まともにして、あまりに独りよがりな意思。
「恋に落ちて、誰もが期待に胸を綻ばせる。そのきっかけになってくれるのが、一番嬉しいのよ」
 その呟きを聞き取るのはたった一人だけ――最近寒くなってきたからと、ピンクの上着、黒のセーラー服にスカート、そして黒ストッキングを衣服とした、内気な想い人。
 告白を叶えられずに雪に閉じ込められた、シャイで初心な過去の女子。
「…ど、どうしよどうしよ、みんな想い人に、なっちゃいます…!」
 恋に踊る皆を大通りの陰で見つめながら、過去の骸さえもが悩みの中。
 心を模した桃色の籠絡ラムプが、縁結びの女の懐の中で、ぽやんと灯り続ける。

「所詮俺たちは人間だ。全員無様で当たり前だ」
 10月にもなり、本当は寒い時期になるのだろうけど。ここグリモアベースには、相も変わらず、変えるべき未来を伝えるグリモアの力が集うのである。この男もその一人。片隅に立てかけた椅子の上で謳うは正義。
「それでも生きて、自分で答えを見つけるのが人間。…誰かに道案内なんざ、本当に求められるおせっかい以外は必要ない」
 ましてや恋なんぞは己の力で見つけるべきだというのに。溜息の一つ二つもすれば、集ってくるのは猟兵たち。
「だから俺たちで逆に道案内してやろうか、こともあろうにオブリビオンを匿った大馬鹿野郎を。サクラミラージュの大通りに向かえば、それが叶う」
 目には目を、おせっかいにはおせっかいを。いつも通りの、お仕事の時間であった。続けて糸井・真海が口を開くには、サクラミラージュの世界において、影朧を匿った一般人が、籠絡ラムプと呼ばれる禁断のアイテムを使ってオブリビオンの力を利用しているというので、オブリビオンを過去の海に還し、問題を解決することこそが猟兵の役目。
「あれをあの女…そうだな、初音とでも呼んでおこうか、そいつが拾った理由は詮索しなくていい。件の過去の骸さえ片付けばすぐに知れることだ。やつも悩める愚かな人々の為に光を与えようとしていたんだからな」
 しかして、限度は確かに存在しており。
「だが、善か悪かだ。限度を過ぎれば分別は意味を為さない、そんなものは悪と何ら変わりはしない」
 そのような“縁結び”の初音の暴走を止められるのは、猟兵しかいないものだから。
「…そうだ、一つだけ、ヒントをやろう」
 伸ばした右手が、銀に輝いて。
「縁結びが反応するのは、言葉だ。桜の街を、そして雪景色を愛する心を持っている偽りの国民的スタアを揺らがせることができるのは、桜の世界への鮮やかな情熱。それがあの光を表舞台に引きずり出すきっかけになる」
 全てを救い、全てを殺すグリモアの猟兵が勧善懲悪の下で笑う。
「それが出来なきゃ、いよいよ大通りは真冬行きだ」


川内主将
 どうも、お世話になっております川内主将です。アポカリプス・ランページの完結、この度は皆様本当にお疲れ様でした。10月が終わって11月になる中、秋を護る為に事件を解決するシナリオです。
 全3章構成で、幻朧戦線がばら撒いた籠絡ラムプを駆使する偽のユーベルコヲド使いである初音さんの暴走を止めることが目的になります。オブリビオンを倒した後に、専用フラグメントである第3章でラムプの後始末をしてあげればシナリオは完了です。
 さらに今回のシナリオで初めて、オーバーロードを全面的に歓迎する方針に踏み切ります。頑張って執筆させていただく所存です。
 それでは皆さんの熱いプレイングを、心よりお待ちしています!
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第1章 日常 『桜の街に何を問う』

POW   :    胸の内より溢れる情熱を言葉にする

SPD   :    耳に残る、ロマンの音を言葉にする

WIZ   :    目の前に広がる鮮やかな世界を言葉にする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神臣・薙人
恋、ですか
誰かを想う心を否定するつもりはありませんが
他者に口を挟まれる類のものではないでしょうね
初音さんが暴走しているのであれば
止めてあげるのが親切でしょうか

大通りを時間をかけてゆっくり歩きます
幻朧桜が咲き乱れる様を見て目を細め
「本当に、綺麗ですね。ずっとここにいたくなってしまいます」
「桜の美しさは幹の黒さと花の色の対比と聞いた事がありますが…納得できますね」
「この木の樹齢は…いくつくらいでしょうか。立派なものですね」
等と周囲の景色を具体的に言葉にして称賛
私に力を与えて下さった桜もこの中にいるのでしょうか
秋が過ぎて冬が過ぎて…
春になったら、きっともっと綺麗なのでしょうね
早くそうなって欲しいです



 さて、大通りに響くは誰が声ぞ。
「本当に、綺麗ですね」
 運命予報士だったものの歩みが今や賑やかな大通りに差し掛かり、桜咲き乱れる中をぶらりぶらり。目指す先は、初音のもと。
「おやまあ、こんな場所に来るとは、あなたも桜に誘われたの?」
「そんなところです。ずっとここにいたくなってしまいますね」
 神臣・薙人という男。今や桜の精となっている彼がここに見出すは、この幻想的な有り様に色づく花の美しさ。
「桜の美しさは幹の黒さと花の色の対比と聞いた事がありますが…納得できますね…ところで、この樹、樹齢は幾つに?」
 桃との対比の中に見つけた黒。花を咲かせる為に強く育った、通りの桜の木の一本。
「いや〜、分かんないなあ! でもすごく綺麗だぜ?」
「そうよ、私もこの桜の樹が一年中花を咲かせるの、見ていて楽しいしさ!」
 景色を想起させる言の葉。先に悩みを初音に打ち明けていた2人を初めとした、大通りの喧騒さえもがそれに注目すれば、
「うん。私も好きよ。…痛いほどに、分かるの」
 縁結びまでもが反応を見せるお話どき。しかし歓談にまだ遠い理由は、初音の一瞬逸れた目が物語るか。
「立派なものですね…秋が過ぎて冬が過ぎて…。春になったら、きっともっと綺麗なのでしょうね」
 花落つる幻の夢に立つ男の目もまたぼーんやり。
 生憎過去の運命予報はしっちゃかめっちゃかで。
 こころからださえ運命の糸に手繰られ齢16という有り様。
「…思うんですよ、私は」
「何を」
 それでも。初音の目を瞬かせる為には。
「この景色は、そんな春のように、ありのまま、綺麗であって欲しいです。早くそうなって欲しいです、とも」
 ぼんやりな瞳に、覚醒の実像を残さねばなるまいよ。
「恋も同じ。誰かを想う心を否定するつもりはありませんが…他者に口を挟まれる類のものではないでしょうね」
「ッ」
 息を呑む音が聴こえる。
 気付きだ、自覚だ、仮初のユーベルコヲドを手繰る女は、自分が初めて猟兵に直面していると識る。
 大通りに降りるどよめきは、野次馬たちや初音を頼る者たちの驚き。
「…初音さん。初音さんの暴走を、私は止めなくてはなりません」
 それが親切でしょうかと、信じた脚で辿り着け。桜鑑賞旅行はここに終幕。
 行ってらっしゃいとは誰の言葉か――
 否、行ってきますと瞳がまたぼんぼんやり。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジョゼ・ビノシュ
WIZ

恋が素敵なのは、自分から何か感動を抱くからよ。能動的なの。
今私がこの世界に感動して、言葉にしようとしているようにね。

実は初めて来たのだけれど、ここはとても美しいわね。
私は宇宙の世界から来たから花は見慣れないの、それでも美しいとわかるわ…ああ、今すぐお仕事を手放したい…
「過ぎた時は戻らない」、私の信条ではあるけれど、永遠をピン留めするというのも乙なものね。写真みたいなものだわ、別に本物の美しさを損なうわけではない…個人的には、時間に限りがあるものの方が好きだけれど。

「人の心は移ろうもの、たとえ一瞬の輝きであっても、花火は意味のないことではないわ、ましてそれが自分で作ったものならね」と遠回し



 今日はどこに行こう、と考えて。
「こんにちは。ここはとても美しいわね」
 ジョゼ・ビノシュと呼ばれた夕暮れ時の少女もまた目の前の景色に、感動を言葉にしようと考えていたので。
「おや…そちらも、見慣れない顔だこと」
 動揺からやっと舞い戻った初音の貌もバツが悪く、何をしにきたかなど問うまでもないのだ。
「実は初めて来たの。私は宇宙の世界から来たから花は見慣れなくて」
 それでも美しいと分かるわ、と続けて眺める桃色の黄昏が色彩を捉えるか。
「ああ、今すぐお仕事を手放したい…」
 緩む感銘の表情。大通りの桜。相応の樹齢を以て立つ樹。そっと吹く一陣の風に乗るように、靡くは月光の如き白の髪。スペースシップワールド出身のクリスタリアン、お仕事は目の前にありますよ。
「おお、また綺麗な人が来たぞ! 桜が十分映えるくらい美しいなあ!」
「あの人も、また初音さんに導かれて恋に落ちるのかなぁ?」
 あれだけのどよめきにも関わらず、新しい関心が向けばまた期待に胸を躍らせる野次馬の人々。
「…綺麗でしょう? 四六時中咲き続けるのよ、まるで恋みたいに」
 そう宣う初音の瞳は今や、自分がしていることからも目を背けんばかり。続けざまにこうも言う。
「いつまでも続きますように、って、この景色がずっとここにあるみたいに」
されど美の主(あるじ)に永遠などありはしない。現在を好奇心あるがまま、慰めを与えんが為。
「過ぎた時は戻らない」
 昼に時は戻らず、しかして夕暮れは美しい。宇宙より来たる信条の行き先。
 また揺れ動く縁結びの瞳。
「ええ、個人的には時間に限りのあるものの方が好きだけど。永遠を写真みたいにピン留めするというのも乙なものね」
 本物の美しさが喪われるわけで無し。
「でもね。恋が素敵なのは自分から何か感動を抱くからよ。能動的なの。今私がこの世界に感動して、言葉にしようとしているようにね」
 受け身のみで世界が色付くものかは。改めて自覚した周りの人々があれよあれよという間に己が未来を取り戻し。
「言われてみれば…本当はそうだったんだ、運命の人は俺たちで見つけないと!」
「あの人にはいいことを教えてもらっちゃった気分! 私も自分の力で探してみるね!」
 猟兵の伝えし感動を受け、大通りに広がる元通りの意志。皆が満足そうに頷いて…。
「ね? 人の心は移ろうもの、たとえ一瞬の輝きであっても、花火は意味のないことではないわ」
 ジョゼが例えた花火の如き言の葉に、縁結びも頷く他に無し。
「ましてそれが自分で作ったものならね」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『純恋ノ六華』

POW   :    (今から告白しますので)動かないで頂けると……!
【(近づく為に)対象の足元を凍らせる凍波】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    や、やっぱり無理無理無理……!
自身に【瞬時に身を隠せる雪だるま生成冷気】をまとい、高速移動と【(心の準備が出来るまで)雪玉】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    そ、相談相手が欲しい……!
戦闘力のない、レベル×1体の【雪うさぎや雪だるま】を召喚する。応援や助言、技能「【後押し】【デヱトプランの立案】」を使った支援をしてくれる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 さて、誰もが縁結びを頼り過ぎた申し訳なさに大通りに大往生。
「…分かってる、分かってるの、」
 秋も冬も過ぎ去り春が来る景色。
 自分から色を与える、黄昏の如き景色。
 それら二つの言の葉が初音の心に確かに降り積もり、ラムプの如く揺れ動くまま、暫し時が流れ往くが。
「永遠じゃない、また春が来る…それでも、」
 懐より零れし桃色の灯が、いよいよ以てひときわ強い輝きとして露わになるのだと猟兵たちは知る。
「私は、縁結びは叶えなくてはならない…永遠の恋を…!!」
 悩みを請け負う身で、これ以上引き下がれない縁結びの意志は固い。
「あうっ」
 ついでに、地面も堅い。
 何せ輝きに導かれるように躍り出た『理想の初恋』、どうしてもシャイな気質が大きいらしく。転ぶのも致し方なし。
「いたた…そっか、もう、ばれちゃったんですね」
 純恋ノ六華。これこそは物陰に隠れ、こっそりと初恋のプランを後押ししようとしていたオブリビオン。
「想い人が増え過ぎちゃうと思った時は…あ、あの、ごめんなさい、自分でもどうしようって、思ったんです…!」
 されどラムプに導かれ、暴走する運命。
「…お願いが、あるんです」
 雪に閉じ込められし悲しき少女は、未だ桜舞う吹雪の中で独り。
「わたしを、止めてくださいっ…!」
エリック・ガルベルト(サポート)
「お手伝いは必要ですか?」
「よし、お兄さん頑張っちゃうぞ…!」

口調:丁寧 私、~君、さん、です、ですか?等
性格:面倒見がいい、友好的、若干目立ちたがり、子供好きの心優しい青年。

基本戦法:【ダッシュ】で敵の懐に入り肉弾戦に持ち込む。【早業】による乱打、貫手での【貫通攻撃】、遠距離攻撃として闘気による【衝撃波】を使用。

敵の攻撃に対しては【オーラ防御】
現地民が周りにいる時は、住民を守る事を優先し、負傷者には【祈り】の力と【医術】で治療。

UC【血統覚醒】は周りに住民がいる時やピンチでなければ使おうとしません。

その他UCは何でも使用、他の猟兵への迷惑行為はしません。

連携・苦戦・ネタOK 他はお任せです!



 急いで駆けつける声が聞こえれば。
「お手伝いが必要ですか!?」
 祈りの聖拳の主が躍り出る。
「あっっひゃい!! ここです!!」
 解決の支えとなる存在の登場に響くシャイな影朧の声。
「僕はエリック・ガルベルト。事情は聞いているよ。君を助けに来たんだ!」
 助けに来た、救いに来た。そう諭す黒い修道服のエリックをしかし、猟兵と認めた初音の意志はやはり…。
「それは、ダメなの。邪魔をしないで」
 一際強くなる桃色の灯に、六華の纏う雪がどうしても激しくならざるを得ないのだ。まるで雪景色だ、と驚く街の皆々様、あなたがたは護られなくてはならないのだ。
「危ない、下がって! ここは私に任せてください、皆さん!」
 皆に告げる言葉、私と僕を分ける差は年の違い。老若男女を激しくなる雪の波から遠ざけて、纏えよ覇気を存分に。
「あ、あの…! わ、わたし、今、」
「大丈夫! よし、お兄さん頑張っちゃうぞ…!」
 雪の雨の中だというのに、大胆にそこに居る。何せ桜は綺麗で、雪と共に舞っており。彼もまた、勇気を決めたら…いざ、走り抜けて。
 近づくのは、六華からか、エリックの方からか、否、互いが互いにか。その内気づく、脚に感じる異変こそが凍結の証。
「っく!? これは、凍波の影響かな…!?」
 しかして祈れ、人々が救われるようにと。そして信じろ、自分が先程言った言葉を大丈夫と。
 それさえ叶えば、後は思い通り。
「…!? 止まってくれないの!?」
 焦る初音の瞳に映るは、桜と雪舞う大通りの中で、一気にゼロ距離にまで縮んだ二人の距離。まるで、恋に惹かれ合うようで、その実はしかし。
「僕は、できることなら、君に、君たちに止まって欲しい。この一撃で…!」
 大きく右手を引いて、あらんばかりの祈りを、闘う気持ちを込めて。穿て聖なる拳、貫かん勢いのそれが雪の女子の腹にめり込むので。
「っひゃ……ぁ!」
 それでやっと大きく態勢を崩してしまう六華、なんだなんだと心踊る大通りの皆様方。ついでにラムプの灯まで少し揺らぎ始めて、
 きっと前を、焦茶の希望溢れる瞳が見る。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ(サポート)
私はハロ・シエラ。
戦う事以外は不得手です。
また、オブリビオンによる問題に対しては説得などより戦いで蹴りをつけるのを好みます。

口調は(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)。
基本的には誰に対しても敬語です。
戦術としては【第六感】と【見切り】を駆使して勝機を見出し【カウンター】や【鎧無視攻撃】で敵を仕留めるスタイルです。
真面目に戦いますが、強敵が相手なら【毒使い】や【投擲】、【物を隠す】による【だまし討ち】も視野に入れましょう。

ユーベルコードは戦況に応じて何でも使用しますが、味方や一般人は巻き込まない様に努力します。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 さあ舞ってくれ、戦いがそこにあるならばこの剣豪が居ることこそが道理。
「景色…ですか。言葉にすることで解るものもあるでしょうが」
 ハロ・シエラ。この黒髪の猟兵が何を望むか。
「あのっ、えと、あなたも、わたしのっ、告白を…?」
 縁結びがラムプをより強く手繰るので、最早止めて欲しいという言葉がより一層現実味を帯びる程に六華は可笑しくなってしまうのだろうが。
「いえ。生憎、戦うこと以外は不得手でしてね。…ですが、告白とは面白い」
 幼い頃より吸血鬼に抗う剣を学ぶ、故に真面目に努力と言う名の背伸びをする。
 リトルフォックスなる霊力と炎の細剣を握りて、放つは一言。
「どうなっても、知りませんよ?」
 フーッと息を吐けば、急激に湧き上がる力と怒り。命を保てるだけの護りは手に入ったか、その答えはザ・レイジが教えてくれる。
 まさに獣。ビーストモードを呼ぶユーベルコード。
「あ、あわわ…! それはあのっ、お手柔らかにっ…!」
 慌てながらも嬉しそうなのは、やはり暴走しそうな己を止めてくれる存在が現れたからか。実際吹き荒れる吹雪など、風の流れを予測しているのだ、この剣豪は。舞う花弁、雪の一粒さえ目に捉え、見切って。鮮やかにリトルフォックスをぐるりと取り回し、脚が凍ることさえないようだった。少し指が悴むなどあったかも知れないが、見よう見真似だろうとそれはそれ。
「私は説得であるよりも…こうして戦いで蹴りをつけるのが好きでして。手加減など、したくないのです」
 眼前にまで来て、そう宣えば…もう目の前のオブリビオンが次に取ろうとする行動さえ視えるような、そんな予感であったか。実際六華はハロに向け…両手を伸ばし、若干それが下がったように思える。やはり脚こそが鍵だったというのだ。
「私が、私と剣達が。あなたを、斬る」
 そんな手すら思いっきり貫いてしまえ。獣のように、あまちに鋭い一撃が返す刀、まるで鎧ごと壊すかのように…右手を、貫けと。苦痛に歪む六華の表情はしかし、桜と雪で彩られ、一周回って、
「まだまだ、終わってはいませんよ」
 それを知ってか知らずか、初音にさえ笑ってみせるが剣豪の余裕。

成功 🔵​🔵​🔴​

叢雲・雨幻(サポート)
真正面から、と言うよりは掠め手で相手を惑わせて
攪乱しながらのらりくらりと追い詰める戦い方を好むよ。
ただし共闘者がいて危ない時は飛び出して守りに行くかな。

使う武器は【黒雲】【黒霧【対】】の二刀流での戦闘が主。
使うUC次第では連結してダブルセイバーにしたり、
そもそも剣を【武器受け】用として使い、影を操る攻撃で戦ったりするよ。

基本的に相手の攻撃を【見切り】、【早業】で【武器受け】をしながら動きを観察し、隙を見つけて【切り込み】もしくは【カウンター】を決めて離れる飄々とした動きのヒット&アウェイスタイル。
戦闘中も仲間やボスにも冗談を交えて話しかけたりする。
ただしあまりにも非道な相手の場合は別だがね。



 或いは幻の如く叢雲が二振ほどの剣を携えるか。
「永遠ねえ。恋のお話はオジサンも聞きたいな? …まあ、俺モテないけどね」
 ハハッ、などと吐かす雨幻という男、トレンチコートに革靴という古き良き出立ちで六華の前に立つが、何故モテないのかがちょっと不思議なくらいではある。
「はわぁ……!」
 証拠に純恋の乙女がときめいたような貌を見せたなどと。
「じゃあ試しに、俺に告白してみる? なーんてな!」
 息を吸うように冗談を吐け。またも吹き荒れる雪の中、やはり脚が凍らぬように見切りをつけてはいたのだ。が、この寒空の中、吹雪を二振の黒の刀で受け流せるものかは。
「いい加減に止まりなさい…止まってよ…」
 一度固く決めた意志に最早揺らぎが見え始めていた初音。もう自分のしていることからは逃げられぬ、しかして楽しむ余裕が無くては。
「なぁに、一々止まってちゃ人生舐め切れないっしょ…? ほーら、こんな風に」
 だから余程のことをする。繋げ、正と対。黒雲は今や、ひとつながりの霧と化す。黒雲霧、それこそがこのおいさんの本気。なんつって。
「こっからだぜ、お嬢ちゃん! お前の本気も、見せてみな!」
 さあ軽やかに近づくまでに、ぐるぐると黒雲霧を回して流れる雪を払う動作。そこから一気に歩幅を大きく、距離を近づけて…振るえ一撃、漆黒の軌道がオブリビオンの肉体を斬り裂くか。
「っきゃあ! …うぅっ、やっぱりわたし、まだ勇気が、足りないみたい…!」
 シャイである為に、どうしても傷つけたくない。しかし恋を叶えたい。
 叶えられぬまま、少女は過去に逝ってしまったのだからと。
「なら、オジサンが教えてやるぜ。勇気ってのはな、こうやってふらりふらりとでもいいんだ、」
 勇気を宿すことに意味がある。されど冗談を交えるのが彼なりのセオリー。
 すっと離れたかと思えば、今度は今一度連結部を伸ばして…思い切り、届きますように。
「恋も、そんな感じかも知れないだろ、ってな」
 さて、刃は、ふらりふらりとした自由は確かにぐるりと届いた。正直立っていることが難しくなった女子、肩口に胸に斬り傷を抱えながら。
「……そんな恋も、良いなあ……」
 もう少し、もう少し。

成功 🔵​🔵​🔴​

神臣・薙人
葛城さん(f35294)は大切な友達
お背中、しっかりお守りしなければ

永遠の恋なんて、苦しいだけなのに
理想の初恋なんて、ありはしないのに
終わらない恋を作り出して
どうするのですか?

止められる事をお望みなら
お応えしましょう
私も、寒いのは苦手ですから

戦いの手を抜くつもりはありませんが
不殺の気持ちで
決着はまだ先ですよね
今はあくまで
貴方を止めるだけです

白燐想送歌での武器封じを主体に行動
なるべく攻撃を受けないよう
相手の行動をよく観察
攻撃の前兆等あれば
回避行動を取ると共に葛城さんへ注意喚起
葛城さんが負傷する
もしくは武器封じが解除されれば
再び白燐想送歌を使用します

余裕があれば蟲笛を使って
白燐蟲で攻撃に参加します


葛城・時人
神臣(f35429)と共に

大事な友達が美しい桜の世界での無為の産生を
止めたいと言うんだ
だから来たよ
違う世界は初めてで少し緊張してるけどね

そして俺自身としても止めたいな
永遠の恋は辛くて苦しいだけかもだけど
自分が望むなら無為じゃない
だけど勝手に誰かに志操されてなんて…
それは絶対違う。そう思うから

倒すけど殺すつもりは絶対にないよ
「神臣!背中任せた!」

UC光蟲の槍で
「桜吹雪でも冷たい雪でもない光を…感じればいい!」
神臣の行動に併せて必要なら幾度でも
もし神臣に攻撃が行きそうなら技能も使ってかばうよ
「やらせないのは俺の誓いだから!」

白羽蟲笛も使い白燐蟲の乱舞でも攪乱と攻撃を
「止まってくれたら…話をしよう」



 さて、ぼんぼんやりとした瞳が再度初音を捉えたばかりの話。
「終わらない恋を作り出して、どうするのですか?」
 永遠の恋なんて、苦しいだけなのに。理想の初恋なんて、ありはしないのに。
 運命予報士は永遠に苦しみを見出す。終わらぬ恋のなんとまあ残酷なことか。
 初音もそれを分かっていながら言葉を絞り出せないでいる。それでも当のオブリビオンは、止めて欲しいと瞳で訴えたものだから、先にも口走ったものだから。
「止められる事をお望みなら、お応えしましょう。私も、寒いのは苦手ですから」
 未だ先に決着の言葉はある。ならば、と止めるのが桜の精の不殺の願い。さて、一人でそれを叶えるには余裕が無いらしい。何せ気温がめっきり下がってしまったので。
 しかし、希望の光あれ。
「ああ、ここに居たのか神臣」
「葛城さん!」
 ご紹介に預かりしは猟兵と相成りし能力者。葛城・時人こそが薙人の大切な友人。家族を失いながら、それでも美しい無為の産生を止めたいという友の願いの為、美しい桜の世界に一歩踏み出すが彼の意志。少しばかりの震えは緊張と同じ、それでも歩めと心が囁く。
「俺自身としても止めたいな。永遠の恋は辛くて苦しいだけかもだけど、自分が望むなら無為じゃない。だけど勝手に誰かに志操されてなんて…」
 それは絶対に違う、そう思うから。その答えに薙人も覚悟を決めるのだ。
「はい…お背中、しっかりとお守りしなければ、そうですよね」
「ああ。神臣! 背中任せた!」
 かくして二人の戦いが始まらんとす。二人の友情さえもが、周りの人間にはロマンとして映る。
 ああ、もうすぐで終わる。終わってしまう。初音の声はそんな風に震えており。
「…私は、終わらない、終わらせたくないっ…」
 振るわれるラムプに揺れる仄かな灯。桃色が揺れれば、六華もまた吹雪を吹かせようとしてしまって。否、そればかりか1匹の雪兎がひょっこりと!
「葛城さん気をつけて! 吹雪が来ます、それから、」
「雪兎も、だろ!」
 さあ、二人とも息が合っており。吹雪を脚が凍らぬようにかわして凌げ。続け様に歌よ響け、白羽蟲笛よ鳴れ。想送歌を歌えば、広がる不殺と反戦の心。笛が鳴れば蟲が顔を出し、音色に導かれるように、歌にも応えるように、湧き出でた雪兎たちを、総勢103匹だったか、続々とその乱舞に溶けていくのだ。
 これこそはまさに、白燐の大合奏。友情のデュオが、後押しの手立てさえも溶かしてしまったように思える。
「あれ…あぁっ…なんだ、これじゃ…もう、」
 後押しも、出来なくなっちゃいますね…なんて、雪の女子の悲しく笑う貌。
 されどそこに最早、抗いの意志など無し。
「…そんな顔するなって。桜吹雪でも冷たい雪でもない光を…感じればいい!」
 さあ、終わらせよう。もう一度響く友人の白燐想送歌。揺れる、揺れる、光も、瞳も、影朧もぼんぼんやり。
 ただ、「やらせないのは俺の誓いだから!」と。今は遠く、しかし時人の中の力の記憶を、まっすぐな蒼の瞳で。
 光蟲の槍が真っ直ぐに届き、暫し刻の流れゆくまで。
「「止まってくれたら…話をしよう(しましょう)」」
 光の中で、六華の笑う姿が見えるか。純粋に、不殺の願いに乗り、ささやかに光の中で…消え行くだけ。転生の願いも、願わくば届きますように。きっと届いているだろう、だってあんなに、満足な恋が出来たと言わんばかりの、

 桃色の灯もやはり完全に物言わぬ空。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『籠絡ラムプの後始末』

POW   :    本物のユベルコヲド使いの矜持を見せつけ、目指すべき正しい道を力強く指し示す

SPD   :    事件の関係者や目撃者、残された証拠品などを上手く利用して、相応しい罰を与える(与えなくても良い)

WIZ   :    偽ユーベルコヲド使いを説得したり、問題を解決するなどして、同じ過ちを繰り返さないように教育する

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 響けや響け、拍手の音。誰も彼もが、オブリビオンの暴走の停止を…不殺の願いを見届け、驚きと安堵、喜びにさえ大通りは満ち溢れている。
 では何故に初音が縁結びの名を背負ったのか。ラムプに手を伸ばそうとして、それの灯の終わりを見届けたその瞳が悲しみを映す。
「…そういえば、あの日も、こんな風に桜が綺麗だったわ」
 あの日。それは縁結びの少女が経験した初恋に似ているようであったか。
「前に、同じように、相談を貰ったことがあって。その時まだこのラムプは無かったけれど、私は…恋を叶えたものとして、なるべくその恋が成就するように、出来る限り続くように、」
 初音は既に恋を叶えており、恋に悩める人の為に走る意志を既に決めていた。
「きっと、最初の頃は、永遠で無くてもいいと、そう思えてた」
 しかして。
「…でも」
 永遠に、という言葉など最早使うことは出来まいよ。
 何せ殿方はもう、
「…数年前の頃に、急病で亡くなってから、私は、私は…」
 このように。当然、アドバイスのプランも狂う。何一つとして正しき道を歩けずにここまで来たものだから、その後に出来た恋も全てが淡く終わったばかり。
 そしてこのラムプに行き着いたと、その言葉の先は消えいるようであった。
「私は、何をやっているのかしら…」
 はて、この少女をどうやって立ち上がらせようか。
神臣・薙人
葛城さん(f35294)と

…初音さんとは話し合わなければ
話す時は威圧感を与えないよう留意

初音さん
恋っていつか終わるのですよ
自説ですけどね

恋した人と結ばれて
家庭を築くようになったら
そこにあるのは恋ではないと
私は思うのです

終わらない恋があるとしたら
それは呪いです
想う事から解放されない
ただ苦しむだけの
そんな想いに捕われるのは
私だけで十分です

また貴方を頼る人がいれば
その時は手を貸してあげて下さい
でもそうでないのなら
恋心を人に押し付けるような事は
やめて下さい
恋が無ければ幸せではないなんて
そんな事は無いんですから

初音さん
あの影朧
生まれ変われたと思いますか
そうだったらいいと
私は思います
貴方も
前を向いて下さい


葛城・時人
個人的にはね、永遠を想っても良いと思うよ
生きていてももう居なくても
好きの気持ちが自分から消えないなら
無理に消す必要ないと思う
まぁ俺も…そうだし、ね

でも語り掛けは否定しないし止めない
それは神臣の真実だし、初音と向き合う
神臣の精一杯だから
俺は、止めたいっていう友人の願いに
応えただけと言えるし、間違えたやり方を
止める事は出来たから
あとは初音と神臣次第

「出来ればね、今すぐには無理でも、ゆっくりで
いいから考えてみて?」
威圧しないように優しく
「あぁ…そうだ。次はやり方を間違えないようにね?」

俺の優しい友人が、滅多に吐露しない自分を
語ってまで止めたいと思ったその意志が
無為にならないなら…俺はそれが嬉しいから



 同じく言葉が要るのだと至れ。立ち上がらせるに必要な意志を二人は識っている。
 初音さんとは話し合わなければ、と願う薙人の考え。そして、初音の目指した永遠を、認めもするし止めもする時人の考え。
「俺は…個人的にはね、永遠を想っても良いと思うよ」
 悔いる心を二つでもとあるべき方向に救い出す為に。
「生きていてももう居なくても、好きの気持ちが自分から消えないなら、無理に消す必要ないと思う…」
 その言葉に顔を上げる初音の姿がある。目は満ちているのか、自分はこの想いさえを消すべきなのではないかと思っていたところへ。
「…あなたも?」
「まぁ俺も…そうだし、ね」
 かの家族は何処なりや、否彼らの命はゴーストに連れ去られ、それを経て覚醒という過程を辿っていたのだ。大切を失ったのはきっと、形や場合は違えどきっと同じなのだろう、と。
 されど力無き者の盾になる為にも通らねばならぬ、これだけは。
「でも今から神臣が語りかけることは、否定しないし止めない。それは神臣の真実だし、初音と向き合う、神臣の精一杯だから」
「葛城さん…」
 なればもう、神臣薙人に委ねるしかあるまいよ。その先は彼が一旦預かった。
 やがて開かれし瞳。ぼんぼんやり、しかしてあまりにも真っ直ぐに。
「初音さん。恋っていつか終わるのですよ。自説ですけどね」
 いつか、終わる。それが恋の運命というもの。どんな形であれ…。
「恋した人と結ばれて、家庭を築くようになったら…そこにあるのは恋ではないと、私は思うのです」
 行き着く先の名を何と言ったか。ゆらり導かれるように、初音の瞳すらもゆらゆらり。
「もし、終わらない恋があるとしたら…それは呪いです」
 これだけはそう、これこそどうしても覚えて貰わねばならぬ。永遠に続くものなどあるものかは、何かに喩えるなら諸行無常か。それを自覚したように、見開かれる初音の瞳。
「…呪い、あのラムプも、呪いのようなものだったのかしら」
「ええ。想う事から解放されない、ただ苦しむだけの…。そんな想いに捕われるのは、私だけで十分です」
 未だに運命予報が混濁している。上手く思い出せぬ、解放されずにただ走り続けるしか無い宿命にあろう、薙人は。
 それでも述べるしかないのだよ。
「また貴方を頼る人がいれば、その時は手を貸してあげて下さい。でもそうでないのなら…恋心を人に押し付けるような事は、やめて下さい」
 ああ、実際に巻き込みかけてしまったのだよ。だからもう、押し付けることがありませんように。
「恋が無ければ幸せではないなんて…そんな事は無いんですから」
 今でさえ十分、幸せだと気づけ。気づきは得たか、沈んでいた初音の瞳は今やまた日の昇るように。
「出来ればね、今すぐには無理でも、ゆっくりでいいから考えてみて?」
 手を伸ばすは運命に抗う男二人。かたや甘党、かたや樹木医。
「……そうね、きっと、私、」
 差し出された手を取って、さあ立て元縁結び。今ここに復活は相成った。
「初音さん。あの影朧…生まれ変われたと思いますか? そうだったらいいと、私は思います」
 思い出されるようだ、あの笑顔が。きっと生まれ変わった先で今度は恋がちゃんと、本当に正しく叶うものと信じるのがいいか。二度と過去の骸となって世界に降り積もることがなきように。
「貴方も、前を向いて下さい」
「あぁ…そうだ。次はやり方を間違えないようにね?」
 次こそきっと、正しい形で。初音の微笑みの後に、再度響くは拍手喝采。大通りの人々、まだまだ見届け足りないんですね。ふと薙人が時人の方を向いてみることには、
「俺の優しい友人が、滅多に吐露しない自分を語ってまで止めたいと思ったその意志が、無為にならないなら…俺はそれが嬉しいから」
 優しさ溢れる情景が、より稀で鮮やかなものであったようだ。
「…うん、良かった。もう大丈夫そうだ」
 あんなにどこか穏やかになったような初音の表情。最早間違いが繰り返されることなどあるまい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジョゼ・ビノシュ
WIZ

そう、ええと、そうね。恋を叶えることは、とても幸せだというし、初音さんもとても幸せだったのでしょう。そのままぶつりと切れてしまえば、なおさら美しいまま…時々はより美しくも、なったりして。

あなたが他の人を助けようとしたこと、その輝きを誰かに見せようとしたこと、そしておそらくは、かつての自分の輝きをその中に見ようとしたこと、それは責められることではないわ。方法があれなだけで、ほら、ラムプなんか使わなくても、占い師でもやればいいのよ。恋愛専門の。技術は要るかもしれないけれど。

いつか色褪せても、思い出せなくなっても、ずっとあなたの好きな人はあなたの中にいるわ。彼はあなたの中で、永遠になったのよ。



 夕暮れ時は遅れてやって来る。
「…立ち直れたかしら?」
 ジョゼが来た時にはほぼ全てが終わっていたようだけど、まだ初音の詳しい行き先が未完成というものだから。
「そう、ええと、そうね」
 初音の頷きに述べるは何だ。
「恋を叶えることは、とても幸せだというし、初音さんもとても幸せだったのでしょう。そのままぶつりと切れてしまえば、なおさら美しいまま…時々はより美しくも、なったりして」
 ああ、幸せだとも。それを知っていたからこそ、喪うことがどれだけ儚いか。或いはそっと救い上げられ、前を向いたことで輝けているか。
「あなたが他の人を助けようとしたこと、その輝きを誰かに見せようとしたこと、そしておそらくは、かつての自分の輝きをその中に見ようとしたこと、それは責められることではないわ」
「…ええ。今でも思うの、それでも誰かを助けたいって、手を伸ばしたいって」
 誰かを助ける心は今ならばきっと、暴走せずに済む。
「方法があれなだけで、ほら、」
 では何が一番合っているのだろう。答えは見えたか。
「ラムプなんか使わなくても、占い師でもやればいいのよ。恋愛専門の。技術は要るかもしれないけれど」
 これこそがまた与えられし輝き。怪しいものでなく、今度はきっと、誰の悩める夜にでも黎明を与えられますように。
 初音もこれにはびっくり。思いの外グッドアイデアだったらしく。
「占い師! いいじゃん、似合ってるよ!」
「また何か悩みあったらお邪魔させてもらっちゃおうかな!」
 あれだけのことがあっても尚、こんなに自分を頼ってくれる人がいる事実に、じんわりと泣きそうにもなるのが元縁結びである。
「いつか色褪せても、思い出せなくなっても、ずっとあなたの好きな人はあなたの中にいるわ。彼はあなたの中で、永遠になったのよ」
 もう既に永遠は手に入っていたと知る。儚く、美しき記憶。されどそれもまた、前に進む為に必要なものなのだ、と。
「ほら、見てみて。世界には綺麗なものが溢れているわ」
 ああ、今また吹く桜よ、そこに立つ樹木よ。どうかこの少女に穏やかな明日を。目に映る今がどうか、輝かんことを。
 さて、鮮やかなる初恋景色、これにて一件落着。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月05日


挿絵イラスト