アポカリプス・ランページ⑱〜モンストライズ・イェーガー
「皆様、素晴らしい快進撃です。本日フロリダ州タラハシーにてフィールド・オブ・ナインの一柱『ポーシュボス・フェノメノン』を発見しました」
グリモアベースに集った猟兵に語り掛けていくフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)の表情は純粋な猟兵達への賞賛の感情を表しながらも、どこか堅い。
「かのフィールド・オブ・ナインの能力は……『憑依現象』とでもいうべきでしょうか。敵対者の『善の心』……それが一欠片でもある限り、寄生条件を満たして新たな「ポーシュボス」に変えてしまう能力を持っています」
邪神とは言え埒外にすぎるその現象。それに息をのむ猟兵達だが、そこで怖気づくようだったら『生命体の埒外』として選ばれていないだろう。
「無論、グリモアベースの方でも策はあります。陥落させたヒューストン宇宙センターにて確保した「宇宙の幼生」。それを持って行けば周囲のポーシュボスが合体して巨大な肉塊と化し、宇宙の幼生を喰らおうとします」
その状態ならば、『邪悪ナる者』になる及びポーシュボス化のリスクを背負う事無く『ポーシュボス・フェノメノン』という現象そのものと対峙できるだろう。
「加えて、今回は『生物をポーシュボス化する現象』に対策を立てて作戦に挑んでもらう事になります」
――『ポーシュボス・モンストライズ・フェノメノン』。
生物をポーシュボス化させる現象を起こすそのユーベルコードに対して対策を取り、なおかつ『自身の命』を強く思いながらかの現象(フェノメノン)への対応を取る事。
「皆様の命は重く、それは他の命にも言える事。それをこのような現象で冒涜される訳には行きません」
『命の重さ』――それを強く思いながら戦ってほしいとフレスベルクは告げ、転移の術式を起動させていった。
黒代朝希
いや、思ったよりヤバイ『現象』でしたね。
そりゃ『現象』としか言いようがない……
プレイングボーナス……『邪悪ナる者』になるorポーシュボス化してでも戦うor敵の巨体や「宇宙の幼生」を利用する。
に加え、
プレイングボーナス……『命』について強く思いながら戦う。
が存在します。
それでは、皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『ポーシュボス・フェノメノン』
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POW : ポーシュボス・モンストライズ・フェノメノン
自身の【体積】を代償に、【生物をポーシュボス化する現象】を籠めた一撃を放つ。自分にとって体積を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : ポーシュボス・ウェポナイズ・フェノメノン
いま戦っている対象に有効な【武器形態ポーシュボス】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : ポーシュボス・シンパシー・フェノメノン
【ポーシュボスの威容】を披露した指定の全対象に【ポーシュボス化したいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:爪尾
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニクロム・チタノ
邪神ポーシュボス、チタノとは違うとても冒涜的な存在・・・反抗者として許しておけない
ボクは今は悪堕ち怪人例え邪悪ナる者になっても戦うよ
ボクに取り憑いてみろ、例え邪神と同じになろうとボクはお前に反抗する
等しく存在する命を一方的に取り込み同じモノに変えてしまう、そんなものは圧政だよ、ならボクが負けるわけにはいかない、あらゆる命のためにこの反抗を受けてみろ!
嘆いて逆さ獣(アイオン)
反抗の妖刀よ今こそ反抗の力をボクに、チタノが今舞い降りた感じるよ
これより反抗を開始する全ての命のために反抗の加護と導きを
シノギ・リンダリンダリンダ
善の心…?
まぁ、幼生でしたか。そっちを使いましょうか
幼生を食べたいんですよね?
では、どうぞ
と幼生を放り投げ、【宝冠の竜血弾】で撃ち抜く
Curse Of Tombで生み出した麻痺毒、黄金化を促進させる呪詛、知覚を拡大させる毒を塗した弾丸で
食べるのなら、それでいい。様々な呪詛毒がお前の全身をハッキングする
食べないのなら、同じ弾丸をお前に浴びせ続ける
どんどん知覚を広げて、風ですら痛みが伴うほどに、ゆっくりと端っこから黄金化させながら
私は、36全ての世界の全ての財宝を手に入れなくてはいけない
それは決められた事で、財宝は私の元にあるのがなにより一番なんです
つまり、全ての世界で私の命が、一番重いんですよ?
緋月・透乃
ひょえー、寄生してポーシュボスに変化させちゃうのかー。そうやってどんどん増えていくのかなー?
荒廃した世界でそういうのってなんかこう、ゾンビものっぽい!
まあ放っておくには危険過ぎるし、全力で倒しにいくよ!
「宇宙の幼生」を使って戦うよ。
リスクを負うのもスリルがあって楽しそうだけれど、自分の得意を活かすなら対少数のほうがいいからね。
敵のユーベルコードには真正面から昂破滅命拳を叩き込んでユーベルコードごと敵をぶっ壊してやるぞー!
『命の重さ』ねー。
重く大事な失いたくない命、これを危険に晒すからスリルと興奮が生まれるってものだよ!
だから私は命を懸けた戦いが好きだよ!
「邪神ポーシュボス、チタノとは違うとても冒涜的な存在……反抗者として許しておけない」
ニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)は、今正に『反抗者』として『逆さ獣(アイオン)』を起動。
「皮肉か都合が良いのか、ボクは今は悪堕ち怪人。例え邪悪ナる者になっても戦うよ」
仮面が外れ封印していた改造形態に覚醒し、反抗改人となったニクロム。
「ボクに取り憑いてみろ、例え邪神と同じになろうとボクはお前に反抗する」
そうして、妖刀を振るってポーシュボス・フェノメノンの拡大増殖していく肉塊を切り刻んでいくニクロム。
今、悪に堕ちたヘドロとしての肉体もニクロムのポーシュボス化を阻止していく要因であった。
「等しく存在する命を一方的に取り込み同じモノに変えてしまう、そんなものは圧政だよ」
ポーシュボスなるモノは現象に等しい存在とは言え、全てをポーシュボス化して他なる存在の可能性を閉ざしていく。
それは正しく閉鎖世界(ディストピア)。だからこそ、
「ならボクが負けるわけにはいかない、あらゆる命のためにこの反抗を受けてみろ!」
ヘドロの肉体を反抗の加護へと変え、妖刀と鉄拳をニクロムはポーシュボスへと叩き込んでいく——
「善の心……?まぁ、幼生でしたか。そっちを使いましょうか」
そうして光り輝く宝石を増殖していくポーシュボスへと投げ捨てるのはシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)。
グリードオーシャンにて『王笏』と並び『強欲』と称された彼女は、平然として様子でポーシュボス現象(フェノメノン)の中心地へと立っている。
「幼生を食べたいんですよね?では、どうぞ――『宝冠の竜血弾(グリード・ファイヴ)』」
放り投げた『宇宙の幼生』を呪詛に塗れた竜の血で造られた銃弾で撃ち抜いていくシノギ。
輝く『宇宙の幼生』に付与(コーティング)されるは麻痺毒、黄金化を促進させる呪詛、知覚を拡大させる毒。
それを銃弾で撃ち抜く事で付与(コーティング)していくシノギは、続けざまに『宇宙の幼生』を食しようとしないポーシュボスを撃ち抜いていく。
「どんどん知覚を広げて、風ですら痛みが伴うほどに、ゆっくりと端っこから黄金化させて……ブッ黄金(コロ)します」
その言葉通り、ポーシュボスの肉塊は『黄金』化していき『ポーシュボス』ではなくなっていく。
「私は、36全ての世界の全ての財宝を手に入れなくてはいけない」
彼女にとって、『それ』は決意や誓いなどという次元にはない。
「それは決められた事で、財宝は私の元にあるのがなにより一番なんです……ああ、分かりやすく言うと」
『強欲』の原罪を極めた猟兵は告げる。
「全ての世界で私の命が、一番重いんですよ?」
シノギに何故ポーシュボス化現象の影響が一切出ないのかを。
生きる事そのものに善も悪も存在しない。
彼女にとって万象は心臓の鼓動を鳴らし、呼吸をすると同次元であるが故に――シノギの全行動は善悪の二元論では決して図る事は出来はしない。
「相性が悪い、で良いんですかね?それはともかく、私は海賊なので――」
奪いブッ黄金(コロ)します。
心音(宣言)通り、ポーシュボス現象(フェノメノン)すら己の宝物庫に納めていくシノギ。
その強欲は、何物をも冒せないだろう。
「ひょえー、寄生してポーシュボスに変化させちゃうのかー。そうやってどんどん増えていくのかなー?」
その現象(フェノメノン)――ポーシュボスを前にゾンビを想起する緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)。
それは、かの現象が齎したオブリビオン・ストームによって荒廃したアポカリプスヘルに通ずるものであり……
「それが『フィールド・オブ・ナイン』における第四席……ポーシュボスが担う役割なのかな?まあ放っておくには危険過ぎるし、全力で倒しにいくよ!」
かの現象(フェノメノン)が有する危険性を再確認した透乃は、鍛冶師である母が作った和風の大斧を担いで増殖していくポーシュボス・フェノメノンへと切り込んでいく。
斧を握る手とは逆のもう片方の手で背負うは「宇宙の幼生」。
「リスクを負うのもスリルがあって楽しそうだけれど、自分の得意を活かすなら対少数のほうがいいからね」
放り投げ、そこから「宇宙の幼生」が『ポーシュボス化』を食い止めていく光景を見つめていく透乃。
「と、長時間見つめていると正気を失うんだっけ。危ない危ない」
周囲のポーシュボスが合体して巨大な肉塊と化した『現象』を大斧を振るい、邪神の端末から肉塊へと変えていく透乃。
そこに左手から放つ裏拳『昂破滅命拳』を追撃として放って着実に一体ずつ止めを刺していく。
「けど、『命の重さ』ねー」
その言葉は、何気なく放たれた。
『命』に対して感じる責任感などが『軽い』のでも『薄い』のでも決してない。
そういうのは、『当たり前』に在ってしかるべき。
そんな理念を体現しての何気なさである。
「だって重く大事な失いたくない命、これを危険に晒すからスリルと興奮が生まれるってものだよ!」
そこに己の欲する願意を込め、少女は斧を振るっていく。
「だから私は命を懸けた戦いが好きだよ!」
命と言う概念(モノ)は何より重いからこそ、それを懸けて行われる『闘い』には『尊さ』や『好き』という感情が生まれるのだと信じて。
大成功
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空桐・清導
POWで挑む
善の心を媒体に寄生する
オレ達、ヒーローの天敵だな
けど、だからと言ってこの現象、
取り込まれてしまった人を放ってはおけねえ!
宇宙の幼生を放り、実体化したポーシュボスと向き合う
これで、ようやく戦えるな
光焔を纏い、巨体に接近
刃を振って斬り捨てる
それでも、善の心に惹かれ侵食は進む
朦朧とするも、消えぬ想いはある
父さんや母さん、家族やダチに帰るって約束してるんだ
オレが死んだら、涙が流れる…
そんなもん、絶対にごめんだ!
侵食したポーシュボスをUCにて浄滅させる
不幸を断つ焔が自身を覆う
[限界だろうか何だろうが突破]して見せる!
邪神ポーシュボス、貴様を討つ!!
焔を[斬撃波]として放ち、幼生ごと消滅させる
七那原・望
強大ですね。あまりにも。
あらゆる生き物をポーシュボスに変える概念。
到底人の手に負える代物ではないです。
絶・蘇威禍割、発動準備完了。
第六感と野生の勘で敵の動きを見切りつつ宇宙の幼生を放り投げ、宇宙の幼生を喰らおうとする敵を狙います。
わたしは望。七那原さんちの望。
わたしの全ては愛しい旦那様の為に。心も、命も、全て。
もうこの命は投げ捨てられるほど軽くはない。旦那様がいる限り、この命は世界で2番目に重いのだから。
だからお前なんかにあげられる命は欠片もないのですよ。
全力魔法で自身の身体能力を限界突破させ、敵の攻撃を躱しつつ敵のユーベルコードも敵本体もポーシュボスという概念ごと早業で砕きましょう。
バーン・マーディ
…善を食らい力と成す邪神か
良い…
我はバーン・マーディ
ヴィラン…即ち悪である
そして…
我が内の正義を封じよう
(正気喪失)
……善を…正義を食らうか
即ち貴様は正義か
…許さぬ…貴様ら正義の一片たりとも我は存在を赦しはしない(憎悪…憤怒…絶望…慟哭…負の感情に支配され悪鬼と化す騎士。今はその憎悪と憤怒の理由さえ忘れ
UC起動
命は終わらぬ
我がある限り
我が心の奥に在る限り我が騎士も…我が友も…消えぬ
命を殺す正義に滅びあれ!
【戦闘知識・二回攻撃・カウンター・武器受け・オーラ防御・吸血・生命力吸収】
正気を失って尚戦いは体が覚え
魔剣と車輪剣で切り刻み受け止め叛逆の刃を突き立て
食らいつき命を啜る
正義を憎悪する神が居た
マリア・ルート
嫌な奴ね……みんな一緒くたになっちゃって、もう生命の境界線なんて存在しないとでも言うかのようね。
とりあえずまずは宇宙の幼生の破片をぽいっと。一瞬見てしまうことによる狂気は『狂気耐性』で耐えてすぐ目を逸らすわ。
奴が集合したら幼生を見ないようにしながらミッドレンジより【指定UC】発動!8割ほどの武器で集中砲火よ!
奴も攻撃するけどあいにくそれは無敵の武器、「生物」ではないわ!
一撃でも喰らえば私なんかイチコロだろうから『野生の勘』『残像』と残り2割程の武器のガードでとにかく私には当たらないように!
私は叛逆した祖国のみんなの命を奪いここに立っている!
だから私がやられたら、そいつらにも申し訳ないのよっ!
「善の心を媒体に寄生する。オレ達、ヒーローの天敵だな」
間違いなく、この現象(フェノメノン)が空桐・清導(ブレイザイン・f28542)の故郷であるヒーローズアースで発生していたら大惨劇を引き起こしていただろう。
かの世界を体現する善なるヒーローにとって、ポーシュボス・フェノメノンなる現象にしてオブリビオン・フォーミュラは最悪と言って良い相性を誇るからだ。
「けど、だからと言ってこの現象、取り込まれてしまった人を放ってはおけねえ!」
故に相性差など知った事か。
そう信じて足を進めた想いを信じながら、ブレイザインなるヒーロー空桐・清導は全生命体を取り込もうとする現象へと立ち向かっていく。
「悪いな、お前らも好きでそうあったわけじゃないんだろうが……」
懐から取り出し、ポーシュボス・フェノメノンと放り投げたのは『宇宙の幼生』。
それを放り投げると同時、展開していたポーシュボスが合体して『現象』から単なる『肉塊の実体』へと化していく。
「これで、ようやく戦えるな……ッ」
それでも善の心を体現するヒーローの猟兵である以上、浸食は他の猟兵よりも強く影響していく。
朦朧する空桐の意識……だが、今回この言葉を使うならば、ポーシュボス・フェノメノンに使うべきだろう。
――『相手が悪すぎた』、という言葉は。
「――まだだ!!」
吹き飛ばされるポーシュボス化。伝播するはポーシュボス化解除による依り代となった犠牲者達の成仏現象。
善の心を捨てたわけではない。
『ただ空桐の善の心がポーシュボスという現象では影響しきれないほど強すぎた』――というだけ。
「父さんや母さん、家族やダチに帰るって約束してるんだ。オレが死んだら、涙が流れる……そう思っただけだ」
どうだ見たか――と言わんばかりに空桐は焔を纏いながら拳を繰り出していく。
「邪神ポーシュボス、貴様を討つ!!」
ポーシュボス化現象によって犠牲となった人々を救うべく、『“無敵”のヒーロー(セイヴァーズ・フレイム)』が迸る――
「強大ですね。あまりにも。あらゆる生き物をポーシュボスに変える現象……いえ、最早概念。到底人の手に負える代物ではないです」
そう自身の中で対峙する存在の評価を下していく七那原・望(封印されし果実・f04836)は、それでも猟兵としてかの『現象』に立ち向かう。
「『絶・蘇威禍割(アブソリュートリィ・ディバイド)』、発動準備完了」
『宇宙の幼生』を放り投げ、宇宙の幼生を喰らおうとするポーシュボスを狙い、ユーベルコードの発動準備を並列して行っていく望。
輝く宝石を喰らう為、捕食の為『現象』から『実体』へと零落していくポーシュボス・フェノメノン。
しかしそれでも猟兵たる『生命体の埒外』を侵食するには充分な出力に在る。
「……わたしは望。七那原さんちの望。わたしの全ては愛しい旦那様の為に。心も、命も、全て」
だが、ポーシュボス現象(フェノメノン)に『尊さ』は存在しない。
「もうこの命は投げ捨てられるほど軽くはない。旦那様がいる限り、この命は世界で2番目に重いのだから」
それは、ポーシュボスと同じく世界に存在する現象に過ぎない。
好きな男の為に自分を大切にし、同じようにその好きな相手を守るという知性体ある限り存在しうる現象。
其れには、ポーシュボスにはない『尊さ』が存在する。
「だからお前なんかにあげられる命は欠片もないのですよ」
故に負ける事こそ概念レベルであり得ない。
ポーシュボスという概念ごと砕く域の『想い』ごと解き放った望。
切り刻まれていくポーシュボス・フェノメノン。
それは、人の想う理に敗北するは道理である。
「……善を食らい力と成す邪神か……良い……我はバーン・マーディ。ヴィラン……即ち悪である」
『悪には悪の正義がある』……そう信じてヴィランへ堕天したバーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は、ポーシュボスなる善も悪も蹂躙する現象(フェノメノン)を前に、決意を固める。
「そして……貴様という現象(アク)を滅ぼす為に……我が内の正義(アク)を封じよう」
正気を一時喪失するバーン。
やがて、低い声が喉から鳴らされる。
「……善を……正義を食らうか。即ち貴様は正義か」
怨嗟が、漏れる。
「……許さぬ……貴様ら正義の一片たりとも我は存在を赦しはしない」
憎悪、憤怒、絶望、慟哭、負の感情に支配され悪鬼と化す騎士。今はその憎悪と憤怒の理由さえ忘れている。
「命は終わらぬ。我がある限り」
正気を失って尚戦いは体が覚え、魔剣と車輪剣で切り刻み受け止め叛逆の刃をポーシュボスなる『現象』そのものへと突き立てていくバーン。
食らいつき命を啜る……正義を憎悪する神が居た。
「我が心の奥に在る限り我が騎士も……我が友も……消えぬ。命を殺す正義に滅びあれ!」
『理由』を忘れども、『根源』と『意義』を忘れる事だけは決してせずに。
「嫌な奴ね……みんな一緒くたになっちゃって、もう生命の境界線なんて存在しないとでも言うかのようね」
そう吐き捨てるのはマリア・ルート(紅の姫・f15057)。
彼女は、とある『悪』を過去に成している。
「とりあえずまずは『宇宙の幼生』の破片をぽいっ、と」
一瞬その放り投げた宝石を眼に映す事による正気の喪失は、狂気耐性で耐えた直後にすぐ目を逸らす事で凌いでいく。
やがてポーシュボスが集合したら幼生を見ないようにしながらユーベルコードを起動。
呼び出した武器の内、8割ほどの武器で集中砲火をポーシュボスへと叩き込んでいく。
「そっちも攻撃するけど……あいにくそれは無敵の武器、「生物」ではないわ!」
一撃でも喰らえばイチコロだろうと仮定し、残り2割程の武器のガードでとにかく自身への被弾を防ぎながらマリアはポーシュボスを相手に立ち向かっていく。
「……アンタは、善も悪もなく……ただ知性体の善の心に寄生して同化させ、増殖していくだけの現象」
そんなものに、負けるわけにはいかない。
なぜなら、マリアが成した『悪』はただの悪ではない。
「私はとある国の第一王女だった。もうその国は存在しない」
何故なら、マリア自身が滅ぼしたからだ。
「親に親友を殺されたのに怒り、叛逆して滅ぼしたのよ」
その叛逆によって祖国の皆を贄へと注ぎ、復讐を果たして自由を得た。
それは間違いなく『悪』だろう。
けれども、決してそれだけではない。
「だから私がやられたら、そいつらにも申し訳ないのよっ!」
所業を行ったマリア自身がそう思い続けている限り――
ポーシュボスなる現象(フェノメノン)を滅ぼす程、彼女の成した『悪』は――決して、それだけには留まらない事だろう。
大成功
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