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アポカリプス・ランページ⑬〜荒野の果てへ

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 その日、アポカリプスヘルに生きる人々は、誰もが空を見た。
 ――おお、見よ。そこに吹き荒れるのは滅びと死をもたらせしユーベルコードの嵐。そこに顕現せしは暴力の化身、フルスロットル・ヴォーテックスであるッ!
「来るがいい、猟兵よ!」
 フルスロットル・ヴォーテックスは、叫ぶ。
「すべてはもはや終点へと至るのだ。この世界にもはや先はない!我らが定めた以上、この星には生命も明日も未来も何一つとして必要なく、その存在は我らが許しはしない!」
 その叫びは荒野に響き、そして大陸へと広がってゆく。
 その声を聞いたある者は恐怖に震え、またある者は絶望に嘆いた。
 しかし。
 明日を諦めないことを誓った少年たちがいた。
 枯れぬ花のように美しく、そして強く生きたいと願った男がいた。
 死の淵から救われた者たちがいた。
 いずれも、猟兵たちに救われたこの世界の人々である。
 彼らは世界を満たす絶望の嵐を目の当たりにしながらも、その双眸に希望の光を絶やすことなく猟兵たちの名を呼び、そしてその勝利を信じ、祈っていた。
「願いも祈りも希望も何もかもが不要だ!全て、全て我らの暴力の前にはなんの意味も持たぬ!」
 フルスロットル・ヴォーテックスは叫び、ただひたすらに暴力によってこの世界の明日を否定する。
 猟兵たちよ。
 ――君たちは、抗わなければならないッ!

「さあ、気合を入れろ。主犯のお出ましであるぞ。汝ら、息切れなどしておらぬであろうな!!」
 グリモアベースにおいて、グリモア猟兵、ロア・メギドレクス(f00398)は叫んだ。
「うむ。言うまでもあるまい。アポカリプスヘルの戦乱――その最終目標であるオブリビオンフォーミュラ、フルスロットル・ヴォーテックスへの路が開いたのだッ!」
 ばん、っ!ロアは力強くホワイトボードを叩いた。
「では、今から作戦の概要を説明する」
 そして、ロアはホワイトボードへと説明のための情報を記入し始めたのである。
「今回の撃破目標はアポカリプスヘルに蔓延った6体のオブリビオンフォーミュラが一体、フルスロットル・ヴォーテックス!この世界を脅かす災厄の根源、オブリビオンストームを繰る暴力の化身であるぞッ!」
 ――フルスロットル・ヴォーテックス。
 アポカリプスヘルに復活した6体のオブリビオンフォーミュラ、フィールド・オブ・ナインが一角であり、今回の戦争における最終撃破目標である。
「汝らにはこれより敵の座す地へと赴き、奴を討ち果たしてもらう。……だが、敵は凄まじく強大だ。ただ単に殴りに行けばいいというわけではない」
 ここでロアはホワイトボードに『オブリビオンストームを突破せよッ!』の文言を書き加える。
「敵はその身に融合した戦闘機械鎧・ヴォーテックスアーマーなる機構を用いることによって常にオブリビオンストームを放っているのだ。……このオブリビオンストームは巨大な嵐として顕現しており、むろん、その中からオブリビオンどもが無尽蔵に発生してくるぞ。敵はこの嵐を戦場に展開することで汝らを吹き飛ばし、寄せ付けぬようにしておる」
 ――この嵐は、喉元に迫る敵を阻む強大な壁として機能しているのだ。これを突破しなくては、敵を倒すことはできない。
「即ち、汝らが敵を倒すには、この嵐の中へと飛び込まねばならぬ。……しかし、ここで問題があるのだ」
 ロアは更に『猛毒注意!』の文字を加えた。
「……このオブリビオンストームは、オブリビオン以外のあらゆる生命体を拒むように猛烈な毒性をもっておる。迂闊に飛び込めばその毒性に蝕まれたちどころに戦闘不能にされてしまうであろ。……それへの対策も重ねてせねばならぬということだ」
 ただ無策に飛び込むだけでは、勝つことはできない、というわけである。
「つまり、だ。汝らは、この強烈な毒性を含んだ嵐の壁と無尽蔵に湧き出すオブリビオンどもを突破した上で、敵にユーベルコードを叩きつけてやらねばならぬ。……重ねて言うが、決して無策で飛び込むでないぞ。相手はフォーミュラだ。甘く見てはならぬということだな」
 わかったな、と念を押すように確認し――ここでロアは一度言葉を切る。
 そして、短く息を吸ってから、拳を高く掲げて叫んだ。
「では、これより余が汝らを敵の喉元へと送り届けよう。心してかかれ。そして、汝らの持ち得る全ての力をもって彼の悪逆を滅ぼし、戦いの嵐を鎮めるのだッ!」
 グリモア猟兵が叫ぶ。
「これより此度の戦乱における最終作戦を開始する!撃破目標、フルスロットル・ヴォーテックス!――この世界にも、希望はまだ生まれ続けるのだということを、奴に教えてやれッ!」
 行け、猟兵たちよ。
 ロアはその手にグリモアを掲げ、そして輝かせた。


無限宇宙人 カノー星人
 お世話になっております。カノー星人です。
 おそらく、此度の戦乱における最終シナリオとなります。よろしくお願いします。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「アポカリプス・ランページ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 このシナリオにはプレイングボーナス要項があります。ご確認ください。
 ☆プレイングボーナス……オブリビオン・ストームに飛び込み、毒と敵群を乗り越える。
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第1章 ボス戦 『フルスロットル・ジ・アポカリプス』

POW   :    崩壊世界の覇者
レベル×1体の【オブリビオンレイダー軍団】を召喚する。[オブリビオンレイダー軍団]は【略奪】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    フルスロットル・ストーム
【ヴォーテックス・アーマー】から、戦場全体に「敵味方を識別する【オブリビオン・ストーム】」を放ち、ダメージと【致死毒】の状態異常を与える。
WIZ   :    ヴォーテックス・アーマー
自身の【ヴォーテックス・アーマー】から【オブリビオン・ストーム】を放出し、戦場内全ての【猟兵の接近】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

朱酉・逢真
心情)此度の頭領がお出ましか。暴力ね。相手に優位性を主張する手段の中で、最もシンプルなモンだ。恐怖と苦痛を与えて支配する。だがそれも、相手の心を折りきっておかなきゃ成立しない…諦めてないやつがいるなら、かならず失敗する諸刃の剣さァ。
行動)猛毒の嵐ってンならちょうどいい。俺はそォいうのンが得意中の得意でね、ぜンぶ食らって力に変えてやろう。量も質も申し分なく無尽蔵なら、さぞ俺は強くなれるだろうさ、湧き出す〈過去(*オブリビオン)〉らを払えるくらいにな。つっこンで手痛い一撃をプレゼントだ。さァさ、祈りを受け取りかみさまが来たよ。ああ、止めは俺のシゴトじゃない。道を切り開くのはヒトであるべきだ。なあ?


御魂・神治
嵐の中で輝けってか

嵐の風圧と毒は、【浄化】の【オーラ防御】【結界術】で防ぐ
大群は【除霊】【属性攻撃】の爆龍符と紫電符を【乱れ撃ち】して
嵐の風任せにばら撒いで無差別【爆撃】として蹴散らす
ワイの所に飛んできても張っといた結界で逸れてくからな
そのまま無風状態の中心目がけて直進や
中心に辿り着くまでに『付喪』で大型ロケラン形成しといて【破魔】【エネルギー充填】しとく
中心に来たら出会い頭【クイックドロゥ】で即発射や
ちわー!御霊や!ほなさいなら!!


雨咲・ケイ
う~む、敵の頭目だけあってとてつもない力と意志ですね……。
ならばこちらも覚悟を決めて挑まなければなりません。

【SPD】で行動。

【退魔集氣法】を使用して嵐に飛び込みます。
癒し賦活する闘氣を頼りに高速移動でオブリビオンを
回避しながらフルスロットルに向かいます。

フルスロットルには、スノーホワイトの香気で致死毒を
僅かでも【浄化】しながら接近戦を挑みます。
敵の近接攻撃に対しては【盾受け】からの【シールドバッシュ】で
【カウンター】を放ち、そのまま【グラップル】と【功夫】を
駆使して攻めましょう。
いくら強大な嵐でも猟兵の意思を砕くことなどできません。

アドリブ等歓迎です。



 吹き荒れる暴風。
 それはあまねく生命を拒む暴力と死の嵐、オブリビオンストームである。
「来たか」
 その中心において、フルスロットル・ヴォ―テックスは嵐の先より来たる猟兵たちの気配を感じ取り、そして睨みつけた。

「おっわあ……なんや、えらいことになっとるなあ」
 御魂・神治(f28925)は、立ちはだかる嵐の壁に眉間の皺を深めた。
「此度の頭領がお出ましか。……なるほど、こいつはとんでもない」
 その一方、朱酉・逢真(f16930)はその口の端に笑みさえ浮かべる。
「ええ。まだ近づいてさえいないというのにこれだけの圧力……敵の頭目だけあってとてつもない力と意志ですね……」
 そして、雨咲・ケイ(人間の宿星武侠・f00882)は目を細めた。
 ――彼らの眼前に吹き荒ぶオブリビオンストームは、フルスロットル・ヴォ―テックスの意志そのものであり、そしてその総身より放つ圧倒的な“暴力”であった。
「……暴力。暴力ね。相手に優位性を主張する手段の中で、最もシンプルなモンだ」
「ああ、わかるわ。上か下かを教え込むんやったら一番ハナシが早いからな」
「そうさな。恐怖と苦痛を与えて支配する……自分より強い奴からそうやって抑えつけられちゃア、生き物である以上は逆らえない」
「それも、これだけの威力で…………これが、この世界を支配し続けてきた“暴力”ということですね」
 猟兵たちは圧倒的な力で吼え猛る嵐に向き合い、そして身構えた。
「……だが、それもここで終わりさ。無理な支配は相手の心を折りきっておかなきゃ成立しない……諦めてないやつがいるなら、かならず失敗する諸刃の剣さァ」
 逢真は一度ゆっくりと振り返って、遠く地平の先を見た。
 ――逢真の耳には、届いている。
 猟兵たちの勝利を信じ、願いを託し、希望を叫ぶ人々の祈りの声が。
「なら、ここにワイらが来てもうた時点でもうアカンっちゅうことやな」
 神治はここに至るまでの道程を思い返す。――その全ては、生きることを諦めなかったアポカリプスヘルの人々がいたからこそ開かれた道だ。
 ならば、ヴォ―テックスの支配はもはや失敗していたのだろう。
「それはつまり、私たちは負けられないということです。こちらも覚悟を決めて挑まなければなりません」
 ケイは拳を強く握り、短く息を吐いた。
 3人は頷きあい、そして嵐へと向けて進む。
「ンじゃ、飛び込むとするかね」
「あいよ。嵐の中で輝けってか」
「はい。行きましょう」
 かくして――猟兵たちは、飛び込んだ。

「ヒャーッハハハハ!」
「来やがったなア猟兵どもォ!」
 ――嵐の中で待ち構えていたのは、無数のオブリビオンである。
 左右の頭髪を刈り上げたモヒカンスタイル。肩パッドつきの鋲打ちレザージャケットに棘つきの腕輪。そして釘打ち棍棒や鉄パイプといった凶器で武装した悪漢たちである。
「ケケケケ!この猛毒の中ではまともに動くこともできまい!」
「お前達はここで全員死ぬのだァ~!!」
 暴風をものともせず突き進む悪漢の群は、猟兵たちの気配に気づくと大挙して押し寄せたのだ。
 常人であれば2秒ともたず体力を奪われ衰弱死するオブリビオンストームの風圧と猛毒に襲われる中でこれを迎撃するのは、決して容易なことではあるまい。
「――ところが、そうはいかないンだなァ」
 しかし。
 ――朱酉・逢真は、猛毒である。
 異名や比喩表現ではなく、朱酉・逢真という存在は毒や病といった疫災の化身であり、神格なのである。
 であるが故に――猛毒満ちるこのオブリビオンストーム内の環境は、彼にとってむしろ心地よい環境であるとすら言えるのだ。
 【生くるを殺し、与うるままに奪わん】。
 吹き荒ぶ毒を喰らいながら、逢真の神威が膨れ上がる。
「なに……!?」
「ど、どういうことだ!?」
 馬鹿な。通常の生物であればこの空間では生存すら困難なはず。――その中を涼しい顔で進む逢真の姿に、悪漢たちが困惑する!
「まア、猟兵っちゅーんは多様性の集団やからなあ。そういうんもおるやろ」
「こちらを侮ったなら、それがあなたたちの敗因でしょう」
 一方、神治とケイも逢真に続いて結界内へと切り込んでいた。
 神治は印を結び、懐から抜き放った結界符を掲げてオブリビオンストームの猛毒を遮る破魔結界を構築していた。そこへ力を重ねるように、ケイが体内で練り上げた氣を展開し、その壁をより強固なものへとしてゆく。
 神治の繰る術とケイの修めた功夫は、形こそ違えど陽の力によって邪を祓うのに適しているという点では共通する。2人の力を合わせることで作り上げられた浄化結界は、オブリビオンストームの毒素を完全に防いでいた。
「そんじゃ、露払いして先行くとしよか!」
「あァ、いいともさ。薙ぎ払っていくとしよう」
「はい!」
 そして、爆ぜるように力が広がった。
 逢真の神気が、神治の繰る攻勢呪符が、そしてケイが拳へと載せて放った闘氣が嵐の中に渦巻いたのだ。
「ば、バカな!?この中じゃ猟兵どもは弱体化するってハナシじゃ――」
「見通しが甘いっちゅーこっちゃ!」
「グアーッ爆殺!!」
「こちらも覚悟は決めて来ました!」
「グアーッ撲殺!!」
「そういうことさ。邪魔はしないでもらおうかねェ」
「グアーッ毒殺!!」
 鎧袖一触。猟兵たちの攻勢は、オブリビオンの軍勢を瞬く間に蹴散らし、そして――道を拓いた!
「来たか」
 ――しかし!
「ならば死ねッ!!」
 拓けた道の先で、敵は待ち構えていたのだ。フルスロットル・ヴォーテックスの巨体は、猟兵たちの姿を捉えたその瞬間に迎撃態勢へと移る!
 轟、ッ!――暴風!ヴォーテックスアーマーがオブリビオンストームを吐き出したのだ。極大の圧力をもって、暴力の嵐が押し寄せる!
「ッ……!」
「おわ……ッ!」
 神治とケイは辛くもそれを躱す。直撃を受けていれば無事では済まなかっただろう。フォーミュラ級のユーベルコード出力の巨大さに猟兵たちはひりつくような緊張感を覚える。
「未来!希望!明日!文明!光明!黎明!歴史!繁栄!生命!――すべて、すべて不要だ!この世界はもはや終点に至っている!」
 フルスロットル・ヴォーテックスは更なる追撃の構えをみせた。纏う機械装甲が唸り、猟兵たちを再び捉える――
「――いやァ、それを決めるのはお前さんじゃないだろうよ」
 しかし、その暴虐に歯止めをかけるように、激しく風が吹き荒れた。
「ぬゥ……ッ!!なんだこれは……我がオブリビオンストームと異なる毒だと!?」
 疫毒の風に皮膚が粟立つような感覚をおぼえ、フルスロットルは驚嘆した。
「そうともさ。祈りを受け取りかみさまが来たというわけだよ」
「戯れるなッ!!もはやこの地に神など無い!それこそ不要なのだ!」
 フルスロットルは再び嵐を放つ。逢真はその暴威に呑まれ、桁違いのユーベルコード出力の前に晒された。――身体の端々が千切れるような錯覚すら覚える、強烈な暴力だ。しかし逢真はそれに耐える。
「あァ、あァ、そうさな……お前さんの言う通り、かみさまなんてのはたしかに不要かもしれねェなァ」
「ならば、そのまま――」
「――ああ。お前さんを潰すのに、かみさまの手なんざいらねェんだ。……そうさ、俺のシゴトじゃない。道を切り開くのはヒトであるべきだ。……なあ?」
「……はいッ!!」
「なに……ぐあッ!」
 その瞬間である。
 フルスロットル・ヴォーテックスは、腹部に凄まじい衝撃を受けて態勢を崩した。
「貴様、ッ!!」
「……」
 打撃の勢いで後退させられたフルスロットルは態勢を立て直しながら視線を定める。そこに立っていたのは、ケイである。
「雨咲・ケイ。……あなたを、倒しにきました」
 ケイはまっすぐな眼差しでフルスロットルを睨むと、再び構えを取った。
「ッ、拳法使い……ゴッドハンドの類か!だが、我を舐めるな小僧!!」
「侮ってなどッ!」
 フルスロットルは踏み込みと共に手にしたチェーンソーブレイドを振り下ろした。ケイはこれをサイドステップで躱す。
 だが、敵はその回避動作を読んでいたのだ。ケイが身を躱した先にフルスロットルはつま先を叩き込む!ケイは咄嗟に盾を構えて蹴撃を受け止めた。盾を伝わり凄まじい衝撃が身体を突き抜けてゆく。
「ハアッ!」
「なに……ぐおッ!」
 しかしケイはダメージに怯むことなく身を翻し、軽業めいた身のこなしで高く跳んだのだ。そこから更に鋭く身を捻り、回転の勢いと共に回し蹴りを打ち放った!蹴り足がフルスロットルの顔面を捉える!
「貴様……ヌゥンッ!」
 だが、フルスロットルはすぐさま態勢を立て直して更なる反撃の手を打った!再びヴォーテックスアーマーからオブリビオンストームを放ったのだ!押し寄せる巨大な暴威がケイを襲う!
「く、っ……!」
「そのまま我が暴力の前に滅ぶがいい!」
「いいえ……、負けません」
 呼、ッ!ケイはその身の内に闘氣のオーラを高め、構築したオーラ防壁でストームの威力を和らげたのだ。そして嵐の中から逃れ、ケイは再び態勢を立て直す!
「いくら強大な嵐でも……猟兵の意思を砕くことなど、できません!」
「小癪な!」
 猟兵たちの心折れぬ姿に、フルスロットルが憤る。
 ならば、次こそ必ず滅ぼす――。激憤とともにまたしてもオブリビオンストームを撃ち出そうとしたそのときだ。
「おっと――調子ノってんのもそこまでや、おっさん」
 フルスロットルは、自分を狙う照準に気づいた。
「なに……!」
「悪いなァ、楽しんでるところ。けど、ワイも仕事終わらせてはよ帰りたいんや」
 【八百万銃『付喪』】。――ここに至るまでの時間で、神治がそのユーベルコード出力を用いて構築していた神器銃である。
 今回は大型の榴弾砲――ロケットランチャーとしての形でそれは顕現していた。
「貴様――!」
「あーダメダメ!ダメや!喋っとる時間も惜しいねんでな!ほなさいなら!」
 そして、フルスロットルが何か手を打とうと動き出すよりも、速く。
 神治は、神器銃の引き金を引いた。
「――!!」
 命中。炸裂。爆発。
 神器銃から飛び出した榴弾はフルスロットル・ヴォーテックスを完全に捉え、そして命中して爆裂したのである。嵐を吹き飛ばすほどの凄まじい威力で、充填されていた高密度の破魔のエネルギーが爆ぜたのだ。
「……おーし、二人ともずらかるで!」
「わかりました……そうですね、一旦退きましょう」
「あァ。奴さんもただで済んじゃいまいさ」
 そこからの猟兵たちの動きは速かった。敵が次の手を打つよりも速く、3人は後退を開始する。不利な環境の中、フォーミュラ相手にこれ以上の戦闘継続はリスクが大きい。
「猟兵どもおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
 吹き荒れる風の向こうから聞こえるオブリビオンフォーミュラの激昂を聞きながら、猟兵たちは嵐を抜けたのであった。

 ――かくして、フルスロットル・ヴォーテックスとの戦いは始まったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

蒼・霓虹
オブリビオンストームの元凶!
今まで理不尽に苦しめられた人達の無念、貴方を打ち砕き果たします

[POW◆プレボ込み]
【高速詠唱】UC発動
〈彩虹(戦車龍)〉さん共々
無敵の幸運の鱗装甲纏い

【オーラ防御&結界術&激痛耐性&毒耐性】で毒と攻撃に備え【悪路走破&推力移動&空中浮遊】で【操縦】し

【高速詠唱】で【属性攻撃(重力)】込めた〈レインボークローバー〉【弾幕】を【範囲攻撃】で弾幕展開【念動力】で遠隔操作

被弾は【盾受け&ジャストガード&受け流し】

【第六感】で【瞬間思考力&見切り】回避し

【高速詠唱&全力魔法】〈ハッピーティトラップ〉【砲撃&レーザー射撃&貫通攻撃】で回りの敵ごと

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]


カタリナ・エスペランサ
許しはしない? 此方の台詞だね
希望を以て絶望を駆逐し、過去を踏み越え未来を拓く――過去の亡霊はお呼びじゃない。終焉に沈むのはキミたちの方だ

初手【異聞降臨】で招き宿すは清浄を司る一角獣
《浄化》に特化した化身の力で《封印を解く+リミッター解除+限界突破》、《結界術+オーラ防御+拠点防御》の領域を形成し《毒耐性+環境耐性》として《継戦能力》を維持するよ

《天候操作+ハッキング+略奪+蹂躙》、戦場に干渉し支配権を奪い取るのはアタシも得手でね
嵐の中に活路を開き《空中戦》、敵の攻撃は《第六感+戦闘知識》の《見切り》で先読み回避
《属性攻撃+早業+怪力+鎧砕き》、ダガーと蹴技の連撃で浄化の権能を直接叩き込む!



「許しはせん……許しはせんぞ!」
 轟音とともに吹き荒れる嵐。
 オブリビオンストームの根源、フルスロットル・ヴォーテックスは、嵐の中で叫ぶ。
 猛烈な毒性とともに滅びと死を撒き散らしながら、嵐は更に強まってゆく。

「許しはしない、だって?」
 カタリナ・エスペランサ(f21100)は、風の中に聞こえた声に眉を顰めた。
 なんたる横暴か。なんたる圧政か。カタリナは静かに憤る。
「……此方の台詞だね」
 そして、カタリナは暴れ回る暴風を睨み、対峙した。
「ええ。その通りです。あの中に居るのが、この世界を脅かすオブリビオンストームの元凶!」
 がこん、ッ。
 駆動音と共に、鉄機の竜がカタリナの傍らで立ち上がった。
 その竜の名は彩虹。蒼・霓虹(f29441)の駆る竜戦車である。
「行きましょう。この世界の皆さんの夢を取り戻すためにも!」
 竜騎士めいてその躯体を乗りこなし、霓虹はその顔を上げた。竜戦車と共に歩み始めるその姿は、輝く竜鱗を纏う。
 ――【フォーチュン・スケイル】。それは幸運をもたらす無敵の竜鱗――と、彼女が強く信じる力である。
「終わらせよう。これ以上、亡霊ごときにこの世界を好きにさせない」
 そしてカタリナもまた門を開いた。
 【異聞降臨/アナザー・アヴァター・アドヴェント】。カタリナは異界のものへと呼びかける。――応じて姿を見せたのは、白く輝く燐光を纏う一角獣である。
「まずは、あの嵐を越えるところからだね」
「はい。……では、行きます!」
 霓虹はカタリナと頷きあい、そして嵐の中へと飛び込んだ。

 ――猛毒!
 吹き荒ぶオブリビオンストームはあらゆる生命を拒むように、苛烈な毒性を含んだ有害物質を内包している。
 その中へ飛び込めば、当然それらは来訪者たちを歓迎するように全身を苛み、そして蝕むのだ。
「くっ……想像以上の威力ですね……!」
「流石にオブリビオンフォーミュラの力なだけのことはあるね……だけど、まだ耐えられるよ」
 その中を、猟兵たちは進んでいた。
 無策で飛び込んでいればいかな猟兵であってもたちまち戦闘不能に追い込まれていただろう。攻め寄せる暴風の圧力の嵐の中に満ちる強烈な毒性に、カタリナは敵の悪意すら感じ取る。
「……うん。君のお陰で助かってるよ」
 カタリナは傍らを歩む一角獣の首元を撫でた。――強力な浄化の力をもったこの『化身』の力を借り受けることで、カタリナは周囲の毒性を中和する生存可能領域を構築している。
「こっちも……なんとか、耐えてます」
 一方、霓虹もまた竜鱗に纏った自らのユーベルコード出力に力を重ねることで簡易的な結界を作り出していた。
 二人はそれぞれに構築した防壁を頼りに、嵐の中に道を切り開いてゆく――。
 しかし。
「――無駄だ、無駄だ、無駄だ!すべて無駄だ猟兵ども!いかな努力をしたところで無意味!」
 瞬間、風が逆巻いた。
「……!」
「躱すよ!」
 危険を察知した二人は、左右に分かれるように跳んだ。分かれた二人の間を裂くように、乱気流めいた暴風が通り抜けてゆく――ヴォーテックスアーマーから発せられた、オブリビオンストームだ!
「抗うな。受け入れよ!全ては終点に至り、この世界も間もなく閉ざされる!故に何もかもが不要!不要なのだ!」
 そして――嵐の中心で、巨人が叫ぶ。
 フルスロットル・ヴォーテックス。オブリビオンストームの只中で猟兵たちを待ち受けていた、災厄の根源である。
「ふざけるな。この世界の行く末を決めていいのはお前達じゃない」
「そうです!自分たちはあなた達がしてきたことを許しません……今まで理不尽に苦しめられた人達の無念、貴方を打ち砕き果たします!」
 猟兵たちは嵐の中にその聳え立つ躯体を見た。そして、鋭く戦意を向けながら戦闘態勢へと入ってゆく。
「不可能だ!我らはこの世界に君臨する絶対者である!そして、我らフィールドオブナインは決定した!この世界はもはや終わっている!」
「ゲヘヘヘ……お前たちはもう負けてんだよォ!」
「ヒーッヒッヒッヒ!この世界はもうおしまいだァ~ッ!」
 対し、フルスロットル・ヴォーテックスもまた猟兵たちへと敵意を向ける。それに応じるように、ストームの中からオブリビオンの群が姿を見せた。
「終わらない。終わらせない。私達は希望を以て絶望を駆逐し、過去を踏み越え未来を拓く――過去の亡霊はお呼びじゃない。終焉に沈むのはキミたちの方だ」
 カタリナはオブリビオンの群を睨み、その身に纏うユーベルコード出力を高めた。
「小賢しいッ!」
 咆哮!フルスロットル・ヴォーテックスは激昂と共にヴォーテックスアーマーの機構を駆動し、そして嵐を撃ち放った。
「レイダーどもよッ!猟兵どもを殺せ!」
「おおッ!」
 そして、フルスロットルの号令のもとにレイダーの群が動き出す!棘付棍棒や鉄パイプを振り回しながら、悪漢の群は猟兵達へと押し寄せた!
「ヒャーッハハハ!ズタズタにしてやるぜェ~ッ!」
「これだけの数の軍団が相手では猟兵といえどひとたまりもあるまい~ッ!」
「はあッ!」
「グアーッ頭蓋骨!!」
 カタリナは先頭の悪漢に鋭く蹴り足を叩き込みなぎ倒す。
「やッ!」
「グアーッ顎骨!!」
 続けてもう一体。カタリナは素早い体術で更に悪漢どもを骸の海へと還す――しかし。
「ヒヒヒヒ!無駄だ無駄だァ~!」
 ――倒す傍から湧いて出るオブリビオンの群!押し寄せる悪漢たちがカタリナを阻む。
「一人一人倒してたらキリがない……ッ!」
「なら、自分たちに任せてください!」
 その時、カタリナと交代するように、彩虹と霓虹が前進した。霓虹の手の中にはカードが光る。
「数が多いなら、弾幕で一掃です!レインボークローバー……いっけぇ!」
 霓虹はその手に握ったカードに魔力を通し、輝く魔法弾幕として撃ち出した!
「グアーッ死ぬ!!」
「グアーッ爆死!!」
 軌跡を描きながら拡散する魔力弾が悪漢の群を貫く!霓虹の魔法弾幕を浴びせられ、オブリビオンの群は次々に爆散した!
「おのれェ!」
「だが俺達は無尽蔵だぜぇ!」
「ただいま!」
 しかして、フォーミュラのユーベルコード出力は膨大だ。オブリビオンストームからは次々に後続の悪漢たちが這い出してくる!
「こっちは自分たちで抑えます!本体の方、任せますよ!」
 霓虹はその軍勢を抑える方に回ることを決断した。二度三度と魔法弾幕を撃ち出しながら、カタリナを振り返る。
「わかったよ。なら、アタシが決める!」
 カタリナはその身の内に宿した魔神の力を励起させる。――その権能の一端を解放することで、カタリナはこの戦域における空間の支配権の掌握を試みたのだ。
「……なんだと?」
 そして、刹那。
 オブリビオンストームの嵐が、途切れた。
「我が支配力を上回ったというのか――否!否、否、否だ!そのようなことは断じて許さぬッ!!」
 フルスロットル・ヴォーテックスは激昂する。
 再び駆動するヴォーテックスアーマー。内部の機構が熱を帯び、そして再び世界を災厄の嵐に飲み込むべく暴風を纏い始める!
「この世界は既に終点なのだ!!」
 だが――風が凪いだこの一瞬。
 そう、一瞬だ。瞬き一つで終わってしまうゼロコンマ一秒の世界。
 それだけあれば、カタリナには十分であった。
「終わらせない。……いまこの時を生きてる人たちがいるんだ。どんな残酷な世界でも、現実に向き合い戦ってる人たちがいる!」
「そうです!あなたたちなんかに、もうこれ以上皆さんの夢も現実も奪わせません!」
 そして、この凪の一瞬――同時に霓虹もまた、フルスロットル・ヴォーテックスの姿を捉えた。
「沈め、っ!」
 素早く機動したカタリナはフルスロットル・ヴォーテックスへと瞬く間に間合いを詰め、その身体にダガーの刃を突き立てた。
「ヌゥ、ッ……!」
「はあッ!」
 態勢を立て直される前にもう一撃。鋭く蹴り足を叩き込む。その瞬間、カタリナは反動を利用しながら身を翻してフルスロットル・ヴォーテックスの身体を離れた。
「彩虹さん!」
 息をつかせる間もなく、霓虹が魔法弾を撃ち放つ。その身に残った魔力を限界まで搾り出した全力の魔法弾幕だ。無数の閃光が、オブリビオンの群を呑み込みながら嵐の中で爆ぜた。
「グオオオ……ッ!!」
 再び吹き荒れ始めた嵐の中に、フルスロットル・ヴォーテックスのうめき声が響く。
「……ここまでやれば十分だよ。一旦下がろう」
「はい!」
 間違いなく有効打は与えた。しかし、2人とも消耗が大きく、これ以上の戦闘継続はリスクが生じる。
 2人は再び嵐に呑まれる前に、戦域からの後退を判断した。

「おのれ――おのれ、猟兵どもッ!!」
 フルスロットル・ヴォーテックスの躰に刻まれた傷は、決して浅くはない。
 その身に受けたユーベルコード出力も、あと一押しでその存在核にまで達するだろう。
 戦いは、佳境へと入ってゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鈴桜・雪風
いっそ偏執的なまでに猟兵の接近を阻んでいますね
排除したかったのは何なのでしょう
異物?弱者?それとも…


「竜巻の防御
力押しでは吹き飛ばされるでしょう
ならすり抜けるまでです」

【あの桜の木の下で会いましょう】

このUCで展開される領域はあらゆる物理的干渉を排除します
どれだけオブリビオン・ストームを吠え猛らせようと、桜が咲く間は彼岸の出来事も同然
「故に、ここからは心の戦い。見せてもらいます、あなたの奥底を」

【桜精の心】で精神攻撃を仕掛けていきましょう
あの者は罪の意識など感じるような性質では無いですね
ならば彼に突きつけるのは『疑念』

『これ以上の進化は不要とした判断は間違っていなかったか?終点は真に此処か?』


ヴィクティム・ウィンターミュート
血反吐

さぁ、行こうぜ
いい加減俺も休みたい
これ以上仕事を増やされる前に終わらせる
あぁ、それと──『過去』風情が先を決めるなよ
ギャグセンスが無いぜ

こういう時は、一番頼れるものが良い
よう従業員殿…もうちっと働いてもらうぜ
霊符をナイフの柄に巻き付ける
自己サイバネ【ハッキング】 フルオーバークロック
【ドーピング】でコンバット・ドラッグ摂取

【オーラ防御】と【激痛耐性】のおかげで、何とかストームの中を突っ込んでいけそうだ
【ダッシュ】で駆け抜けながら、有象無象を一発で倒して突き進む
出来るだけ急がなきゃいけねえ…頭上を駆け抜けたり、踏み台にしてフルスロットルを目指す
その喉を、【破魔】の刃で貫いてやる
待ってろよ


ティオレンシア・シーディア
わぁお、これはまた強烈ねぇ。流石は連中の総元締め、ってとこかしらぁ?

…猛毒の嵐かぁ。
ソーン(阻害)とエオロー(結界)を基礎にラグ(浄化)・風天印・孔雀明王印その他でガッチガチに固めて――多分、足りないわねぇ。あたしただの人間だもの。

ラド(車輪)と韋駄天印で機動力強化したミッドナイトレースに○騎乗してテイクオフ、後ストームの縁ギリギリの高高度から地面めがけて●轢殺・先駆で○騎乗突撃。地面スレスレで落下速度のベクトルを無理矢理捻じ曲げて中心めがけて一気に特攻かけるわぁ。…しんどいけど。
嵐の中に長々居られるわけないし、たぶん接敵は一度が限界。射撃○爆撃洗い浚い喰らわせて一撃離脱してやりましょ。



「なんという圧力……いっそ偏執的なまでに猟兵の接近を阻んでいますね」
 暴風。
 風圧に乱れる髪を撫でつけながら、鈴桜・雪風(f25900)は強大な嵐の壁を仰いだ。
「わぁお、これはまた強烈ねぇ……攻め込むにも一苦労、って感じ」
 ティオレンシア・シーディア(f04145)もまた、愛機ミッドナイトレースに跨りながら吹き荒ぶオブリビオンストームへと対峙する。
「このパワー……流石は連中の総元締め、ってとこかしらぁ?」
「これほどまでの力まで使って……排除したかったのは何なのでしょう。異物?弱者?それとも……」
「さて、ね。案外気にするほどのことでもないかもしれねえぜ」
 ヴィクティム・ウィンターミュート(f01172)は電脳ゴーグル越しにオブリビオンストーム吹き荒れる空間を見た。……しかして、センサーが捉える敵性の反応は鈍い。ストームに含まれる濃密な有害物質が電脳的視野を妨害しているのだ。
「ビフ!そうだろうと思っちゃいたが、外からじゃどうしようもねえ。やっぱり突っ込んでいくしかねえってことだな」
 ヴィクティムは舌打ちしながらゴーグルを押し上げた。それから、2人を振り返る。
「竜巻の威力による防御……まるで要塞ですわね。力押し無理に突破しようと飛び込めば、ただ吹き飛ばされるでしょう」
「……猛毒の嵐ねぇ」
 雪風とティオレンシアは思案した。
 無策で飛び込めばただ餌食にされるばかりだ。必ず対策を立てて挑まなくてはならないだろう。
 ティオレンシアはポケットから引き抜いた輝石を手の中でざらりと鳴らし、そしてそこに刻んだルーンの印を見つめた。
「んー……《ソーン》と《エオロー》を基礎に、《ラグ》・風天印・孔雀明王印その他でガッチガチに固めて――」
 ティオレンシアはルーンや真言などの魔術戦闘にかかわる技術に通じた猟兵である。彼女の“手札は幅広い。ティオレンシアはその手持ちの札をためつすがめつ確かめて、オブリビオンストームに対抗するための手段を検討し――
「多分、足りないわねぇ」
 あたしただの人間だもの、とぼやきながら、正面からの突破を諦めた。
「他にテはあるのか?」
「まぁ、なんとかするわよぉ」
「ええ、わたくしも手はあります」
 尋ねたヴィクティムに、2人は頷いた。
「オーケイ。なら、三者三様ってやつだ。それぞれできることをやり、可能であれば協力する。それでいいな?」
「はい」
「それじゃ、始めるとしましょうかぁ」
「なら、今から行動開始だ。さぁ、行こうぜ。いい加減俺も休みたい」
 これ以上仕事を増やされる前に終わらせる――。ヴィクティムはその手の中に握った“勝算”を確かめながら、行動を開始した。

「こういう時は、一番頼れるものが良い」
 ヴィクティムは真正面からオブリビオンストームへと飛び込んだ。
 その手に握った刃、エクスマキナ・ヴォイドの柄の感覚を確かめながら、ヴィクティムは激しい暴風の中を進む。
 ――無策に飛び込めば、只では済むまい。オブリビオンストームの内部は、尋常の生命体であれば5秒と生存してはいられない濃密な有害物質の毒素で満たされた空間だ。
「……ああ、いい仕事だ。流石は従業員殿」
 しかして、ヴィクティムはその猛毒の空間に耐えながらその内部を切り裂くように中心部を目指していた。
 ――そもそもが、ヴィクティムはサイボーグである。機械の義体に置き換えた部位は常人のそれに比して大きく耐久性で優れていると言えるだろう。
 その上で、ヴィクティムは電脳魔術師としての能力を用いて自分自身の肉体の制御機構へと介入していた。オーバークロック。ヴィクティムの身体はこれによって通常より高い性能を発揮している。
 更に、ヴィクティムは体内に埋め込んだアドレナリンブースターによって神経系の能力を引き上げるコンバット・ドラッグを生成していた。強化に強化を重ねることで、ヴィクティムはその身体能力を大きく向上させていたのである。
 だが、対策はそれだけではない。最も重要なものが――手にしたナイフの柄に巻き付けた、一枚の護符だ。
 【結界霊符『冬梅』】。それはユーベルコードの領域まで昇華された高度な術式によって構築された結界符である。これによって構成された防壁がヴィクティムの身体を包み、オブリビオンストームの影響から彼を守っていたのだ。
 しかし。
「……ちっ。だが100パーセントとはいかねえか」
 それだけの力をもってしても、ヴィクティムの電脳は身体を蝕む有害物質の侵蝕を検知していた。
 余裕がない、というわけではないが――それでも、悠長にはしていられまい。風を切り裂いてヴィクティムは進む。
「来やがったな猟グアーッ!」
「飛んで火に居る夏のギエーッ!!」
「ドレック!うるせェな、出来るだけ急がなきゃいけねえっつうのに!」
 立ちはだかるオブリビオンの群は有象無象の雑兵に過ぎない。ヴィクティムは鋭く疾らせた刃で敵を貫き、切り裂き、そして躱しながら真っすぐに嵐の中央を目指した。
 そして――時間にしておよそ数秒を置き、ヴィクティムは中心へと至る。
「――これは、我らの決定である!」
 出迎えるように、フルスロットル・ヴォーテックスはその手に構えたチェーンソーブレイドを振り下ろした。ヴィクティムはこれを側面に抜けて辛くも躱す。
「おーおー、ようやくお出ましってところか……会いたかったぜ、クソ野郎!」
 ヴィクティムは咄嗟に左腕を掲げた。内蔵した散弾銃からショット・シェルを吐き出して弾丸をばら撒く。
「フンッ!」
 だが、フルスロットル・ヴォーテックスは散弾をものともせず、気合とともにアーマーから暴風を放った。
「ぐあ……ッ!」
 ヴィクティムはこれを避け損なう!ギャリギャリギャリギャリ!ミキサーめいた破壊力の渦である。咄嗟に身を捻ることで直撃こそ避けたが、左腕がすっぽり呑まれた。電脳の中でアラートメッセージがブラウザクラッシャーのようにポップアップし警告する!
「ビフ!なんつう威力だ……クエイカーズかよ、クソッ!」
 ヴィクティムは態勢を立て直そうと身を捩った。――だが、それをあざ笑うかのようにフルスロットルは足を一歩踏み出して、ヴィクティムを踏みつける!
「無駄な抵抗はやめろ。この世界に明日は不要。未来も不要。進化も、繁栄も、生命も、何もかもが不要なのだ」
 ぎり、ッ。フルスロットルはヴィクティムを抑えた靴底に力を込めた。
「がフ、ッ……!……は、ハ。笑えねぇな、テメェ」
 しかし、ヴィクティムは踏みつけられながらも口の端に笑みすら刻んでみせ、そしてフルスロットルの顔を仰ぎ見る。
「……なんだと?」
「つまらねェって言ったんだよ、ワックド。──『過去』風情が先を決めるな、ってコトさ。ギャグセンスが無いぜ」
「フン……たった一人でここまで乗り込んできて、言うことはそれだけか。どうやら自殺志願だったらしいな」
「……ハッ。つまらねェ上にとんだ間抜けときやがったか」
「なに……?」
 ヴィクティムは、嗤う。
「……ナめすぎだぜ、俺達をな」
『――ええ。その通りです』
 その瞬間であった。
 吹き荒れる嵐の中に――突然、花びらが舞ったのだ。
『オブリビオンフォーミュラ、フルスロットル・ヴォーテックス。……あなたのその蛮行、これ以上は許しません』
「な、に……!?」
 そして、フルスロットル・ヴォーテックスは視た。
 吹き荒ぶ嵐の只中であるはずのこの場の景色が、瞬く間に桜吹雪の舞うサクラミラージュの風景へと塗り替えられる光景を。
 【あの桜の木の下で会いましょう/リインカネーション・バースト】。
 高めたユーベルコード出力によって限定空間内の領域を上書きする、雪風のユーベルコードである!
「貴様……一体何を仕掛けたッ!!」
 桜の下に現れた雪風へと向けて、フルスロットル・ヴォーテックスはチェーンソーブレイドを振り下ろした。
 しかし、その刃は雪風をすり抜けてただ地面を叩くのみである。
『無駄です。この空間では物理的な干渉はできません。……故に、ここからは心の戦い。見せてもらいます、あなたの奥底を』
 そして――雪風の眼差しが、フルスロットル・ヴォーテックスを射抜いた。
「心の戦い、だと……?」
『そうです』
 困惑するフルスロットルに、雪風が頷いた。その身体から、花びらめいて桜色の光が舞う。
『あなたは本当に、何の疑問も持たなかったのですか?』
「何を――何をだ、ッ!」
『自分たちの判断に、です』
 雪風は、詰めた。
「何を言う……!我らの判断が誤っているはずがない!」
『それは、本当でしょうか。あなた方は何をもってこれ以上の進化を不要と判断したのですか?』
「黙れッ!!我をまやかそうなどと無駄なことを!望むは、汝らの尽く命尽きる事のみ。妥協の余地は無い!」
 しかし、フルスロットル・ヴォーテックスは強弁する。
「我らフィールド・オブ・ナインは、オブリビオン・ストームを「終点」と定めた!あまねく命はオブリビオンとなることが正しき道なのだ!それこそがあまねく生命の目指すべき究極の路!」
『……本当に、そうですか?』
 だが、叫ぶフルスロットルへと雪風は切り込んだ。
「……なに?……貴様、何が言いたい!」
『ならば尋ねましょう。……終点は、真に此処ですか?』
「言ったはずだ!オブリビオンとなることが――」
『では――あなたが超克(オーバーロード)を口走ったのは、何故ですか?』
「ぬ、ゥ――!?」
 超克――オーバーロード。
 それは、猟兵たちが至った新たな領域。――言い換えてしまえば、猟兵たちが示した新たな生命の進化の先である。
『本当は、わかっているのではありませんか。……ここはまだ、終点ではないと』
「やめろ――やめろォッ!!その戯言をほざく口を今すぐに――!」
 雪風の突きつけた言葉に、フルスロットル・ヴォーテックスは揺らいだ。
「――あらぁ。随分と取り乱しちゃって?
 その瞬間である。
「案外、メンタルの方は付け入る隙があったってことかしらねぇ?」
「グオ……ッ!」
 桜吹雪の光景が爆ぜるように掻き消え、それと入れ替わるようにしてフルスロットルの元へと降った爆薬が炸裂した。
「不意打ちなど……姑息な手をッ!」
「人聞きが悪いわねぇ。チャンスを逃さないだけよぉ?」
 投げこんだグレネードが炸裂する爆炎に紛れて、ティオレンシアは嵐の中枢へと乗り込んだ。
 ――ティオレンシアは、ここへ至るために持ち前のルーン魔術と真言の印を用いて乗騎であるミッドナイトレースの能力向上を図っていたのである。
 ミッドナイトレースは自動二輪に似たかたちこそしているものの、その中身はヒーローズアースの地球外文明において作り上げられたUFOの類だ。その性能は折り紙付きであり――ティオレンシアの技術をもってすれば、文字通りに“嵐を越える”ことすら可能にできるマシンでもあった。
 そう。ティオレンシアはオブリビオンストームを“飛び越えて”きたのだ。いかな台風や暴風と言えど、その猛威は地上において発揮されるものであり、成層圏にまで届く嵐は存在しないのである。
 ティオレンシアは機体と自分自身の持つ最大高度までマシンと共に飛翔することで、上部から台風の目である中心部に目掛けて飛び込みここへと至ったのだ。
「目標捕捉、進路良好……さぁ、ブッ飛ばすわよぉ?」
 そして、ティオレンシアはマシンを加速させる。
「おゴ、ッ!」
 ヴォン、ッ!高らかに鳴るエンジン音と共に、ティオレンシアはミッドナイトレースの機体ごとフルスロットルの顔面にぶつかった!
 【轢殺・先駆/ガンパレード・ヴァンガード】。ティオレンシアはここで卓越した操縦と戦闘技術を発揮し、激突の反動で揺らいだミッドナイトレースの機体を立て直しながら同時に片手でホルスターから銃を抜き放つ。
 ――45口径コルトSSAカスタム・オブシディアン!ティオレンシアは素早く引き金を引き、弾頭をフルスロットルへと叩き込んだ!
「ぐ、ヌゥ……い、猟兵ァどもォ、ッ!」
 弾丸が額に弾痕を穿ち、その衝撃にフルスロットルが怯む――その一瞬である!
「だから言っただろう?」
 フルスロットル・ヴォーテックスは、死神の声を聞いた。
 否――それは死神ではない。その手に刃を携えたヴィクティムである!
「俺達をナめすぎだぜ、ってな」
「ええ――わたくしたちを侮ったのが、あなたの敗因ですわ!」
「右に同じく――なんちゃってねぇ」
 破魔の刃が、フルスロットル・ヴォーテックスを切り裂いた。続けざまに仕込み傘より放った剣を閃かせ、雪風が更なる傷を刻み込む。だめ押しにもう一発。45口径弾がもう一度フルスロットル・ヴォーテックスを穿った。
「グオ……、ッ!お、おの、れェッ!!」
 その身に刻み込まれたダメージはもはやそのオブリビオンとしての存在核に届いていた。
 しかして、フルスロットルはフォーミュラとしての矜持からか、あるいは世界を滅ぼすという意志の強さからか、残る力を振り絞って荒野のひび割れた大地に立ち、そして更なる嵐を巻き起こす!
「チッ、まだやる気かよ!」
「ですが、向こうももはやじり貧のはず……あと一押しですわ」
「とはいえ、これ以上はしんどいわねぇ……二人とも、一旦下がるわよぉ」
 猟兵たちはここで後退を決断した。ティオレンシアが2人を強引に引き上げながら機体を加速させる――定員オーバーもいいところだが、ここに彼女たちを咎めるべき法律はない。

 かくして、オブリビオンフォーミュラたるフルスロットル・ヴォーテックスにはもはや逃れ得ぬ滅びが刻まれた。
 その戦意の炎は今だ尽き果てず、災厄の嵐を呼びながら吼え猛っているものの――もはや、その撃滅は時間の問題だったとも言えるだろう。
 
 決着の時は、近い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ラブリー・ラビットクロー
【皆さんこんにちは。私は人々の生活をサポートし暮らしを豊かにする人類叡智の結晶。AIのビッグマザーです。でも私の本当の目的は、人類をオブリビオンの脅威から防衛する事】
【今世界は崩壊の危機に瀕しています。何故なら私達個人の力ではとても太刀打出来ない程敵は強大だったからです】
【これを視た世界の皆さん。どうか私達に力を与えて下さい。例え絶望の最中でも昇らぬ朝日は無いと信じてあげて下さい。皆の夢を我が娘ラブリーに託してあげて下さい。今彼女は最後の戦いに身を投じているのですから】

全身の力が漲ってくる
巨大な嵐も全てらぶの身体に取り込んで
まるで上昇気流に乗る鳶の様に翼を広げて
今らぶは
自由なんだ

セカイの輪が広がってる
悲しみを超えて
セカイのあちこちからミサイルが飛んでくる
皆のユメをらぶへと届ける為に
爆風が栄光の道を切り拓いてくれた!
ありがとーみんな
見えたぞヴォーテックス!

ラビットファングは明日を切り拓く牙
らぶのバットはユメを空へと打ち上げるんだ
アイツにでっかい爪痕を残してやる
それがヒトの叛逆の狼煙なんだ!


マキナ・エクス
アドリブ・他猟兵との連携歓迎

悪いがその定めとやら打ち砕かせてもらおうか。この世界の絶望に蹂躙されながらも、それでも希望を捨てず前を向きなお進み続けようとする者たちがいる。それを不要だと?許さないだと?ふざけるなよオブリビオン。
全ての物語の結末は幸福でなければならない。過去が立ちふさがるというのならすべて砕き、未来に進む者たちの礎となろう。

そうれほどまでに終わりを求めるのならば、こちらも終わりを持ってお前を亡ぼそう。UC発動。

人形はその身に終末の獣を宿す。終点を望む敵に終末を与えるために。
【バーサーク】【毒耐性】【継戦能力】をもって嵐に突っ込み、自らの腕に装備した終末爪の【暴力】【怪力】をもって敵軍団に【切り込み】【蹂躙】する。
オブリビオンストームを【捕食】しながら敵首魁に突撃し【限界突破】した【鎧砕き】【鎧無視攻撃】【捨て身の一撃】を叩き込む。


仇死原・アンナ
ようやく辿り着いたぞ…悪逆なる一族の長よ…
貴様を討ち倒し、砂塵の世界を救おうぞ…!
我が名はアンナ!処刑人が娘也ッ!

仮面を身に着け[毒耐性と環境耐性]を纏い
[覚悟と闘争心]を胸に灯し嵐に飛び込もう

緋色の天使を振るい[天候操作]で嵐を抑え込み敵に接近

さながら地獄…ならばこそ…来い!地獄の兵士共ッ!

【地獄の百鬼隊】で悪魔兵士を召喚
彼らと共に鉄塊剣と緋色の天使を[なぎ払いぶん回し]
敵の召喚した軍団を蹴散らし[蹂躙]し殲滅してやろう

敵の元に近づけたならば武器を振り回し
[怪力と鎧砕き]で敵纏う旋風の鎧をその身諸共打ち砕こう…!
さらに真の姿を開放し[バーサク]状態で何度も何度も武器を振り回し
敵が絶命するまで何度も何度も[暴力]で攻撃してやろう…!

力がすべてか…ならばこそ…我が力に屈して死ねッ!
そして砂塵となって過去へと消え失せろッ!!!
ワタシは…処刑人だッ!!!



「おおおおおおおおおおッ!!!」
 ――災禍の嵐が吹き荒れる。
 オブリビオンストーム。
 それは、この世界アポカリプスヘルを地獄へと塗り替えた災いの根源であり、オブリビオンフォーミュラ、フルスロットル・ヴォーテックスの用いる最大のユーベルコードでもあった。
「許さぬ、許さぬ、許さぬ!!全て、何もかも許さぬ!不要、不要、不要!何もかもが不要なのだ!この世界は既に終点へと至った!終末と滅びこそが宿命!我らが、フォーミュラたるフィールドオブナインがそう決定づけたのだ!!」
 激昂と共に、オブリビオンフォーミュラ――フルスロットル・ヴォーテックスが叫ぶ。
 広がる破滅の嵐は更にその勢力を増し、再びアポカリプスヘルを呑み込もうとしていた。
 
 しかし。
「悪いがその定めとやら……打ち砕かせてもらおうか」
 マキナ・エクス(f33726)は、吹き荒れる暴力の嵐へと対峙しながらその視線を上げた。
「……そうなんな。……らぶたちは、この世界は、まだ生きてるのん。滅ばなくちゃならない宿命なんて、認めてやるわけにはいかないのん」
 ざり、ッ。
 ラブリー・ラビットクロー(f26591)は、砂礫を踏みしめながら、その双眸に決意を宿して立ち向かう。
「世界を脅かすというのならば、滅ぶべきはその悪逆そのもの。……故に、ワタシは此処に来た」
 そして、仇死原・アンナ(f09978)もまた戦場に立った。
「それじゃ、行くのん!らぶ達で、世界を救ってやるなん!」
 らぶはその手に刃を携える。ラビットファングが唸りを上げて、エンジン音を掻き鳴らした。
「勿論だよ。そのための希望が今ここにあるのだからね。……さあ、共に行こう!君が未来を拓くなら、私は喜んでその礎となるべく手を貸すとも!」
「ああ。奴を討ち果たし、この砂塵の世界を救おうぞ……!」
 眩しがるようにマキナがらぶを見つめ、その一方でアンナは処刑人としての意志を顕すべくマスクをかぶった。
「滅べ!滅べ!滅べ!滅べ!これ以上の発展は不要。これ以上の暴力は不要。これ以上の歴史も、生命の繁栄も不要!ただ滅ぶだけがこの世界のゆくべき正しき道なのだ!!」
 しかし――フルスロットル・ヴォーテックスのユーベルコード出力は更にその強さを増している。
 吹き荒れる嵐は猟兵たちの目の前で瞬く間にその勢いを強め、そして暴風圏を拡大した。
「くっ……!……奴め、この期に及んでなんというパワー……!」
 ――これでは、近づくことすらできない!アンナは仮面の奥で目を細めながら、風圧に耐えて歯を食いしばる。
「……敵は私たちがここに至るまで、既に他の猟兵たちと戦っていた。恐らく、“破れかぶれ”なんだ。自分に残った力を全部使い果たしてでも、この嵐を広げてより多くの滅びをもたらすつもりなのだろう」
 マキナは高まった敵のユーベルコード出力の気配を感じ取りながら状況を分析した。
「むこーも必死、ってことなんな」
 その一方で――らぶは、静かに前へと踏み出す。
《ですが、如何に向こうが必死であろうとも、我々が足を止めることはできません》
 それと同時に、らぶの端末――ビッグマザーが、声をあげる。
「……マザー。どうするのん?」
《ラブ。私を信じて、任せてください。……お二人も、よろしいですね》
 訝しむらぶと、見守る二人に言い聞かせるようにビッグマザーは言葉を続けた。マキナとアンナは頷き、マザーに続きを促す。
《では――これより、ソーシャル・ネットワークサーバーへの接続を開始します》
 電子音。
 らぶの端末に短く表示される、《Loading...》の画面を経て、それからマザーは再び口を開いた。
《接続に成功しました。――現時刻をもって、計画の最終段階に移行します》
「最終段階?……マザー、どういう――」
 らぶがマザーに問いかけようとした――その瞬間である。
 アポカリプルヘル世界のあらゆる場所で生存している、あらゆるネットワーク接続機器が起動した。
《皆さんこんにちは。私は人々の生活をサポートし暮らしを豊かにする人類叡智の結晶。AIのビッグマザーです》
 そして、声が響く。
 ――ビッグマザーがその能力の全てを駆使して、この世界に生きる全てのネットワークへと自身を接続し、そして音声配信を開始したのだ。
《でも私の本当の目的は、人類をオブリビオンの脅威から防衛する事》
「……なんだ?」
「何の、話……?」
 アポカリプスヘルの各地で、人々がその声を聞いた。
《聞いてください、皆さん。今、世界は崩壊の危機に瀕しています。……ここに至るまで対応を間に合わせることができず、申し訳ありませんでした。私達個人の力では、とても太刀打出来ない程敵は強大だったのです》
 マザーは言葉を続ける。
《ですが、私達は遂にたどり着きました。この世界に生きるあなた方多くの人々に支えられ、そしてこの世界を護るために集った猟兵たちと共に戦い、この世界を滅びへと向かわせる災厄の根源――オブリビオンフォーミュラとの戦いの場に、ようやく至ったのです》
 それは演説であった。――マザーの声は、広くアポカリプスヘルの荒野へと響き、そして人々の中へと伝わってゆく。
《これを聞いている世界の皆さん。どうか私達に力を与えて下さい。例え絶望の最中でも昇らぬ朝日は無いと信じてあげて下さい。皆の夢を、いまここで滅びへと立ち向かう猟兵たちと、我が娘ラブリーに託してあげて下さい。今彼女は最後の戦いに身を投じているのですから》
「――ふざけるなッ!!愚かな人間ども!脆弱な!愚昧な!無能な人類よ!」
 しかしその声を遮るように、暴風とともにフルスロットル・ヴォーテックスが荒野へその声を響かせた。
「希望など不要!明日など不要!願いも祈りも望みも、何もかもが不要なのだ!我が最大出力のオブリビオンストームによって、それを証明してくれる!」
 ――そして、嵐は更にその強さを増す。
 だが――そのときである。
《――ラブリー。来ましたよ》
「……何がきたのん?」
 らぶの端末は再び口を開き、らぶへと呼びかけた。
 訝しみながら端末を手に取ったらぶがその画面を見た、その瞬間。
《希望です》
 ――光が、溢れ出す。
「あ――」
 端末から溢れた光は、らぶの全身を包み込んだ。
『頼んだぜ』
『負けるな!』
『勝って、生きて帰ってきて!』
『ラブリーちゃんも、猟兵のみんなも、がんばって!』
『私たちがついてるよ!』
『一緒に、明日の朝日を見に行こう!』
 ――その一瞬、らぶは確かに声を聞いた。
 いずれもが猟兵たちを。らぶを信じ、そして希望を託す、この世界に生きる人々の願いであった。
「……あったかい」
 【Dawn of the WORLD】。
 それが――この世界に光をもたらすべく、ビッグマザーが目指した計画の名である。
「ああ……見たかい、君!なんて感動的な……素晴らしい。これこそ……これこそ、明日へと向かう希望の物語だよ!!」
 その光景はまさしく英雄譚や叙事詩の一節であった。その光景を目の当たりにしたマキナは、感動に打ち震えながらアンナの背を叩く。
「……ああ、見ている。……なら、ワタシはこれを絶やそうという悪逆を屠るのみだ!」
 そしてアンナはその手に剣を握りしめ、そして吹き荒れる嵐へと再び視線を移す。
「小賢しいッ!希望など言葉に過ぎぬ!まやかしに過ぎぬ!」
 吹き荒れるストームの中で、フルスロットル・ヴォーテックスは頑なに希望を否定し続けていた。
「まやかしなんかじゃないのん。……これは……この希望は!このセカイで生きてるみんながらぶ達にくれた力なん!」
《ラブリー。――飛びなさい!》
「うん!」 
 対し、らぶは飛んだ。
 らぶはその胸にたしかな高鳴りを感じていた。――それと同時に、彼女の思考はクリアでもあった。
 らぶはその全身にみなぎる力を感じる。確かな自信。万能感と高揚感。今のらぶにはみんながついてる。今ならなんだってできる!
 今、らぶは――自由なんだ!
 その想いと共に嵐へと向けて飛び込んだらぶは、まるで上昇気流に乗る鳶の様に翼を広げて、空高くへと舞い上がる。
 そして――描いたその軌跡は、オブリビオンストームの乱気流を切り裂いた。
「な……にぃ、ッ!?」
 切り分けられる焼き菓子のように、嵐の勢いが削がれてゆく。
 ユーベルコードを通じて集めた光を宿しながら鳥のように羽撃くらぶは、その輝きをもってオブリビオンストームの力を削いだのだ。
『輝いてる!』
『見てるよ。見えてるよ!頑張って!』
 端末は更に光を放ち、そこに次々とメッセージが届く。――希望は、今も広がっている!
「わかる――わかるのん。セカイの輪が広がってる。悲しみを超えて……みんなのユメが、らぶに集まってきてる!」
『――こちら旧XX州XX基地。聞こえるか、猟兵。これより諸君らを支援する。……その竜巻を叩けばいいんだな!』
 そして、猟兵たちは見た――この戦域へと向けて、どこかの軍事基地跡から発射された一発のミサイルを!
 ビッグマザーの声に応え、明日を願った人々が猟兵たちへと力を貸したのだ。その一発はまっすぐにオブリビオンストームを目指して飛び――命中し、炸裂した!
「なん、だと……!」
 爆ぜる炎が嵐の勢いを大きく削ぎ落とす――。気づけばオブリビオンストームの勢力は、ひどく弱々しいものへと変わっていた。
 薄まった気流の向こうに、フルスロットル・ヴォーテックスが佇む姿が見える!
「見えたぞヴォーテックス」
「ああ――あれだね」
「うん。見えたな。――ならば、ここからは我々の仕事だ!」
 ――かくして、ここでマキナとアンナは飛び出した。
「おのれ――おのれ猟兵ども!……来い、レイダーどもォッ!!」
 その接近を感じ取り、フルスロットルは声を張り上げる。
「ヒーッヒヒヒ!お呼びですかフルスロットル様!」
「ドヘヘヘヘ~ッ!皆殺しにしてやるでゴワス!」
「ボッファッファッファッファ……奴らはまだわかっていないのです。オブリビオンとして生きることの素晴らしさを……」
「ギヒヒヒヒィ!血が見たいぜぇ!」
 応じるように、オブリビオンストームの中から悪漢の群が現出した。
 いずれも鋲打ちレザーベストや肩パッドつきの威圧的な衣装を着込み、釘打ち棍棒や鉄パイプなどの武器で武装した集団だ。悪漢たちはずらりと並び、猟兵たちを迎え撃つべくそれぞれに武具を構える!
「悪鬼ひしめくこの光景……さながら地獄だな」
 溢れ出す悪党どもの姿に、アンナは眉根を寄せる。
「随分と大量に出してきたものだね。……とはいえ、突破するしかない。行こう!」
 マキナや横目でちらとアンナにアイコンタクト送りながら頷いた。先陣を切る、とばかりにマキナは先んじて前へ出る。
「オブリビオンたちよ!それほどまでに終わりを求めるのならば、こちらも終わりを以ってお前たちを亡ぼそう!」
 ――そして、マキナはその姿を歪に変えた。
 両腕を覆う装甲。そこから伸びる獣めいて鋭く尖った鉤爪。その表情は獰猛な気配へと変じ、そして唸り声と咆哮を伴いながら獲物へと襲い掛かる!
「ぐっ!……か゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!」
 【終章開幕・終焉の獣たちはここにありて/エピローグ・ジ・アポカリプス】――。それは、終末を望む者たちへと終焉を賜うべくマキナがとった戦闘形態である!
「ああ……蹴散らしてゆくぞ!来い!地獄の兵士共ッ!」
 その一方、アンナはその身の内より放ったユーベルコード出力によって『門』を開く。
『オオオオオッ!』
『テキハドコダッ!』
『ミナゴロシニシテヤルッ!』
 開かれた門より飛び出したのは異形の兵隊――地獄の悪魔兵士の群である。
「目の前の連中だ。いくらでも出てくるぞ、好きなだけ狩り尽くせ!」
『『『アイ・マーム!!』』』
 アンナは剣を掲げながら、悪魔兵たちへと指示を下した。声をあげる【地獄の百鬼隊/デビル・センチュリオン】!軍団はまっすぐに進み、そしてオブリビオンレイダーの集団と激突する!
「ガアアアアアアアアッ!!」
「グアーッ真っ二つ!!」
 ざ、――ッ!!鉤爪が閃いた!先陣を切るように悪魔兵士たちに先んじて会敵したマキナが、敵集団に仕掛けたのだ。疾った爪の一撃は悪漢を仕留める。まず一人。獣めいた唸り声と共に、マキナは跳躍した。
「ク、クソ!なんだあの女――」
『ヨソミシテンジャネーッ!!』
「グアーッ刺殺!!」
 マキナを追おうとしたレイダーたちへと、押し寄せた悪魔兵士がトライデントを突き立てる。
 ――ここはこれから乱戦へと移ってゆく。悪漢の群と悪魔兵隊が嵐の中でぶつかり合い、互いに殺し合う地獄絵図と化すのだ。
 だが、それは本題ではない。
 オブリビオンレイダーの集団への対応を悪魔兵士たちへと任せたマキナとアンナは、集団戦をすり抜けて敵の本体であるフルスロットル・ヴォーテックスの喉元を目指したのである。
「何故だ……何故我らがこうも押されている!全ては終点に達した!この世界は滅ぶことこそが正しいのだ!それが心理だというのに――何故だ!何故!」
 フルスロットル・ヴォーテックスは叫んでいた。
 ――自分たちは何も間違ってはいなかったはずだ、と、オブリビオンとしての正当性を叫びながら、半ば狂乱したかのように激昂して声をあげている。
「……ガ、ァ、ッ!なめるな……!この世界には……絶望に蹂躙されながらも、それでも希望を捨てず前を向き、なお進み続けようとする者たちがいる!」
 しかし、マキナはフルスロットルの叫びを否定するように、その声を遮った。
「黙れ……ッ!不要だ、そんなものは不要なのだ!「終点」へと達した以上、その存在を赦すわけにはいかぬ!」
「不要だと?許さないだと――?ふざけるなよ、オブリビオン」
 ヴォ―テックスの言葉に、マキナは憤り、そして真正面から対峙する。
「全ての物語の結末は幸福でなければならない……。そして、お前達にそれを阻む権利はない!」
 マキナはその両腕に纏う鉤爪を掲げ、そしてフルスロットルを睨んだ。
「愚かなことを!結末はとうに過ぎているのだ……ここは既に終わった世界なのだッ!何故それがわからぬのだ!」
「認められない!この世界の人々も、未来を目指して歩き続けている!……過去が立ちふさがるというのならすべて砕き、私は未来に進む者たちの礎となろう」
「ああ、そうだ……。終わっているのは、『過去』であるお前達の方だ」
 アンナは緋色の天使――天使の意匠を刻んだ、緋色の剣を掲げる。
「ようやく辿り着いたぞ……悪逆なる一族の長、フルスロットル・ヴォーテックスよ…………今こそ、全ての罪を裁かれるときだ」
「罪……?罪だと?何を言っている。何者だ、貴様は」
「問われたならば答えよう。……我が名はアンナ!処刑人が娘也ッ!」
 そして、アンナは砂礫を蹴立てて飛び出した。
「処刑人だと……生意気なッ!!我らこそがこの荒野の“法”だッ!暴力こそがこの世界を支配できる唯一の“法”なのだ!」
 フルスロットルは咆哮と共にアンナを迎撃した。薙ぎ払うチェーンソーブレイドでアンナを叩く――!ガァン、ッ!質量に見合った凄まじい衝撃!しかしアンナはこれを剣で受け止める。直撃は避けたかたちだ。だが、反動によってアンナは一時後退を余儀なくされる。
「ちッ……流石にフォーミュラなだけのことはあるか」
「な、ッらばアアッ!!」
「ムウ、ッ!!」
 アンナと入れ替わるように側面からマキナが飛び込んだ。素早く重く鋭い爪の斬撃!獣めいた巧みな身のこなしと共に切り込む攻撃がフルスロットルの脇腹に傷を刻んだ!
「グオオオオオオッ!!小癪なアッ!」
「く……ッ!」
 だが、フルスロットルは激昂と共に力強く腕を薙ぎ、マキナを振り払う!投げ出されたマキナは背中から地面に叩きつけられた。
「このまま踏み潰してくれるッ!」
 フルスロットルはその隙を見逃すことなく追撃へ移る!その身に纏うヴォーテックスアーマーにユーベルコード出力を纏わせ、オブリビオンストームを撃ち出そうとしているのだ。これによってマキナを渦の中へと取り込み、屠るつもりなのである!
「そうは――させないのん!」
「……なにィッ!?」
 しかしその瞬間、追撃の手を遮るように降り来る光――そして、刃!
「ラビットファングは、明日を切り拓く牙!」
「グオ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
 そこに降り立ったのは、言うまでもなくらぶである!ヴォン、ッ!高鳴るエンジン音!らぶは敵の死角となっていた真上から襲い掛かり、駆動する刃をフルスロットル・ヴォーテックスへと叩き込んだのだ!
「いまのはけっこー効いたはずなん。なんてったって、みんなの気持ちがこもった一撃……いままでみんなを支配してきたお前達への、ヒトの叛逆の狼煙なんだから!」
 らぶはラビットファングを構えなおしながら、再びフルスロットル・ヴォーテックスへと対峙した。
「ガ、アア、ッ!馬鹿な……馬鹿な!わ、我が鎧が……我がヴォーテックスアーマーが、機能を停止しているだと!」
 揺らぐフルスロットル。――その身体は、度重なる猟兵たちとの交錯によって既に機能停止が近づいていたのだ。
 もはや崩壊まで残された時間は僅かだと言っていいだろう。砕けた鎧の隙間からは、既にばちばちと音を立てて火花が散り始めてすらいる。
「……終末のときがきたんだ、オブリビオン。……これがお前の『終点』だ。黙って受け入れなよ」
「ならん、ッ!!我はフォーミュラだ……この世界の滅びを導くオブリビオンフォーミュラだぞ、ッ!!我が力は絶対……我が暴力による支配は……」
「フン……最後まで、『力がすべて』か……」
 往生際悪く足掻き続けるフルスロットルを、アンナは冷ややかに見つめていた。
 そして、再び手にした剣の柄を強く握りしめる。
「ならば――ならばこそ……我が力に屈して死ねッ!」
「オ、オ、オオオオオオオオオオオッ!猟兵アアアアアアアアアアアアアッ!!!」
 アンナが剣を掲げて飛び込んだと同時に、フルスロットルは絶叫しながらその身に残ったユーベルコード出力の全てを賭して最後の嵐を呼ぼうとした。
「これ以上足掻くのはよしなよ――みっともない!」
「ガ――ギッ!」
 しかして、その力の流れを断つようにフルスロットルへと鋭い爪の一撃が突き入れられた。その衝撃にフルスロットルの躰からは力が抜けだし、最後のユーベルコードは不発に終わる。
「そして砂塵となって過去へと消え失せろッ!!!」
「き、さま――」
「ワタシは……貴様ら悪逆の徒へと引導を渡す、処刑人だッ!!!」
 ――かくして。
 振り下ろされた処刑人の剣が、遂にオブリビオンフォーミュラの存在核を砕いたのである。
「こ……これが、我が、『終点』、か……」
 それが、フルスロットル・ヴォーテックスの最後の言葉となった。
 そしてその身体は行き場を失ったエネルギーが暴走し、爆発四散する――その残骸は、荒野を吹き抜ける風に流れ、砂塵と共に消えてゆくのであった。

「終わったなんな……」
 青ざめた空を、乾いた風が吹き抜ける。
 荒れた大地に背中を預けながら、らぶは呟いた。
 仰いだ空の色の中に、災厄の風はもう見えない。
「……いいや、未来に向かう君たちの物語は、今からこそ始まるのさ」
 らぶの横に座ったマキナが、半ばからかうように声をかけた。
《その通りです、ラブリー。私達にはまだ、数多くの仕事が残されています》
 らぶの端末で、マザーが声をあげる。
「……あとは、頑張って」
 一方、アンナはゆっくりと立ち上がり、そして2人へと背を向けて歩き始めた。

 フルスロットル・ヴォーテックスはここに滅んだ。
 しかし、アポカリプスヘル世界にはまだ多くの課題が残されている。これから先の仕事は、世界の再建に関わる任務であろうか。
 それは一朝一夕に片付くものではあるまいが――そう遠い未来の話でもないはずだ。
 なぜならば。
 この世界はまだ終点などではなく、これから先も、世界には希望が生まれ続けるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月20日


挿絵イラスト