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アポカリプス・ランページ⑪〜偽善と偽神

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●黒き竜巻
 初めに祈り在りき。
 祈りは願いに通じ、願いは救世主を望む。
 貴方が救世主たらんことを。
 そう願われたこと自体、誇らしいことであったけれど。己はその器ではなかったのだ。
「……煩い……煩い……煩い……!」
 頭の中に声が絶え間なく響く。

 どれもが救いを求める言葉であり、救済を求める願いであり、裁きを求める祈りであった。
『フィールド・オブ・ナイン』の一柱『デミウルゴス』は、頭を振った。
 己は違うと。
 それは神成る者に届けられる言葉であるはずだ。
 己は狂った教団に造られた偽物の神である。本来であれば偽神には人間の祈りなどと届きはしない。
 絶え間なく救世を求める声は、己の精神を苛む。
 その祈りは暖かなものであったかもしれない。

 否。
 断じて違う。
 人の祈りは、願いは、全てが暖かなものばかりではない。他者よりも優れたるを求める。他者よりもより良い明日を求める。もっと多くを得たいと願う。
 それは他者を排斥し、積み上げた躯に寄って届くものであるのならば、まさしく偽善というものであったことだろう。
「……黙れ……黙れ……黙れ……!」
『デミウルゴス』はきしむ頭を振り乱して絞り出すように言う。
 この身体は確かに『オブリビオン・フォーミュラ』と呼ぶに相応しい身体と力を持っているだろう。

 けれど、この力が齎すのは破壊のみ。
 人を救う力などない。ましてや救世たる力など偽りである。己の細胞が告げるのだ。己を求め続ける声を。
「俺に……お前たちを救う力など無い……! 祈りの声が聞こえなくなるまで、俺がお前たちを殺し尽くしてやる」
 漲る力の奔流が己の身体の中で蠢く。

「あるいは、俺を殺してくれ……!」
 偽善は悪ではない。
 されど、善を人が為そうと思うから偽善となるのだ。善意を維持しようとしてはいけない。いつだって、善意は尊いものだけれど、必ず無理が訪れる。
 それはきっと自責となって自傷となる。
 そう。無理をすれば人の心はささくれて、他人を傷つける棘となるのだ――。

●アポカリプス・ランページ
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます」
 ナイアルテの瞳は爛々と輝いていた。その瞳が見据えるのは、彼女の見た予知が過酷なるものであったからであろう。
 ストレイト・ロードが繋がった先は、アイオワ州デモイン。復元されたデモイン砦に座す『フィールド・オブ・ナイン』、その一柱『デミウルゴス』と集結する大量の軍勢とも言うべきオブリビオンレイダーたちである。

「『デミウルゴス』は体内に偽神細胞を持たない存在からの攻撃を『完全無効化』します。それは実質『無敵』であることでしょう。ストームブレイドの皆さん以外の攻撃は最早彼には通じぬことでしょう」
 それではまるで打つ手がないではないかという猟兵たちの声が上がる。
 ナイアルテは小さく頷く。確かに『無敵』である『デミウルゴス』に対抗する手段はストームブレイドの持つ偽神細胞のみ。

 だが、ナイアルテは窮地にこそ、否、死地にこそ活路があると言う。
「『デミウルゴス』が世界中の拠点(ベース)を破壊するための『拠点破壊部隊』を編成し、デモイン砦に集結させている今ならば、偽神細胞を持たぬ皆さんでも『デミウルゴス』打倒の糸口を掴むことができます」
 そう、この『拠点破壊部隊』であるオブリビオンレイダーたちは皆、『偽神細胞オブリビオン』でもあるのだ。
 彼らの持つ武装や戦闘車両などは『偽神細胞』で生み出されている。

「はい、皆さんの考えているとおりです。この『拠点破壊部隊』である『偽神細胞オブリビオン』たちの攻撃や、所持している武装、戦闘車両の全てが『デミウルゴス』に届き得る力となるのです」
 つまり、『拠点破壊部隊』である『偽神細胞オブリビオン』たちを上手く利用すれば『偽神化』せずとも『デミウルゴス』は倒せるかもしれないのだ。
 しかし、これはか細い光でしかない。
 確実を期すのならば、やはり偽神細胞を持つストームブレイドたちの決死の攻撃が必要になるだろう。

 けれど、それでもナイアルテは拳を握りしめ、まっすぐに猟兵達を見る。
「例え、偽物であっても神である『デミウルゴス』は打倒容易くない敵でしょう。ですが、私は知っています、見てきました。皆さんがこれまでどんな強敵にも膝を折ることなく、心屈することなく立ち向かってきた姿を」
 人の祈り、人の願いに耐えきれなくなった精神。己を偽りの善だと言う『デミウルゴス』は、彼女にとっては、嘗て在りし者を思い出させるのだろう。

 だからこそ、止めなければならない。
 善を為せとは言わない。
 荒廃した世界であるからこそ、祈らずとも人の光は、紡がれている。どんなに苦しみに満ちた今日であっても、明日を望む人々がいる。
 拠点はそんな人々の集まりだ。
 篝火のように心を照らす輝きを誰かが見せなければならない。

「この荒廃が終点であるというのならば、超えて征きましょう」
 明日へと続く道はいつだって今日という日を乗り越えていかねばならないのだから。
 終点を通過点にする。
 その先へ。もっと先へと願う人々の願いを受けて、猟兵は進むのだ――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『アポカリプス・ランページ』の戦争シナリオとなります。

 アイオワ州デモインに繋がったストレイト・ロード。
 復元されたデモイン砦に集結する『拠点破壊部隊』である『偽神細胞オブリビオン』たちを利用し、無敵の『デミウルゴス』を打倒するシナリオになっております。

 デモイン砦に集結する『拠点破壊部隊』は軍勢と呼んで差し支えぬ物量です。彼らを利用し、かいくぐり、『偽神細胞を持たない存在からの攻撃を完全無効化』する『デミウルゴス』を打倒しましょう。
 普通に戦えばストームブレイドの皆さん以外の攻撃は一切が無効化されます。
 他の猟兵の皆さんは『拠点破壊部隊』である『偽神細胞オブリビオン』の持つ武装や、放つ攻撃、車両などを巧みに使うことでダメージが通るように成るでしょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……「拠点破壊部隊」を利用し、デミウルゴスを攻撃する。

 それでは、『フィールド・オブ・ナイン』の齎すカタストロフを阻止する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『デミウルゴス』

POW   :    デミウルゴス・セル
自身の【偽神細胞でできた、変化する肉体】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[偽神細胞でできた、変化する肉体]から何度でも発動できる。
SPD   :    偽神断罪剣
装備中のアイテム「【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ   :    デミウルゴス・ヴァイオレーション
自身が装備する【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】から【強毒化した偽神細胞】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【死に至る拒絶反応】の状態異常を与える。

イラスト:佐渡芽せつこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

菫宮・理緒
『デミウルゴス』さん、あなたは作られたのだし、
その力は破壊に偏っているのかもしれない。
けど、その心は本物の神さまにも負けないと思うよ。
だからそのまま、還してあげないとだね。

わたしも全力でいくよ。
【アイリス・ギア】を使って『拠点破壊部隊』の装備を確かめたら、
【偽装錬金】で複製。
複製は難しいかもだけど、何度でもチャレンジして、
しっかり作れるようになったら、自分でもつかうけど、
いっしょにきているみんなに武器を提供しよう。

どんどん作るから、使って、ねー!

菫宮理緒、一世一代の偽物作り。お見せしちゃうよ!

十分な量ができたら、わたしも攻撃に加わるね。

『偽神細胞ランチャー』で、あなたの望み、叶えてあげるよ!



 それは人の祈りが生み出した怪物であるというのならば、その心に宿ったものは善なるものであったことだろう。
 しかし、『フィールド・オブ・ナイン』の一柱、『デミウルゴス』は己の頭に響き渡る救世の言葉に首を振り続けた。
 己は神ではないと。
「まだ、頭に響く……! 俺は神ではないと! そう言っているだろう!」
 掲げた偽神細胞によって生み出された黒き大剣が唸りをあげる。
 その嵐の如き力こそが、彼をして『偽神』と呼ばしめた全能なる破壊の力。
 集結した『偽神細胞オブリビオン』たちの咆哮が聞こえる。己の頭に人間たちの声が響き続けるというのならば、その声の根源を絶てばいい。

 見る見る間に巨大化していく暗黒の巨大剣を前に菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、その姿を晒す。
 手にした歯車。
 それは己の姿を隠すためのベールそのものであった。
 彼女が姿を隠し、見ていたのは『偽神細胞オブリビオン』たちの装備している武装であった。彼女が見たものユーベルコードに寄って複製される。
「『デミウルゴス』さん、あなたは造られたのだし、その力は破壊に偏っているのかも知れない」
 理緒は見ていた。
『デミウルゴス』は無敵である。

 彼を傷つけることができるのは、『偽神細胞』を持つストームブレイドのみ。
 されど、その力の差は圧倒的であった。掲げられた黒い大剣は巨大化し、理緒へと振り下ろされる。
「そうだとも。この破壊の力が神の力であるわけがない。ましてや救世主であることなど!」
 凄まじい衝撃波が理緒の身体を吹き飛ばす。
 痛みが体中に疾走る。未だ彼女の瞳はユーベルコードに輝いている。『偽神細胞オブリビオン』たちの持つ武装を複製しようとしたが、造りが荒い。

 とてもではないが『偽神細胞』を完全に複製できたとは言い難い。
「けど、その心は本物の神様にも敗けないと思うよ」
 彼女の言葉は『デミウルゴス』にとって逆鱗そのものであったことだろう。
 己を否定する言葉こそ彼は求めていたであろうし、己が神である理由もない。偽神として生み出され、身に余る祈りと願いを託されたのだ。
 人の身であれば、その重圧に耐えきれるものではない。
 けれど、理緒の言葉の通りであったことだろう。死の拒絶反応さえも乗り越えて、『偽神細胞』の根源たる『デミウルゴス』へと至った存在。

 その存在だけが人の祈りの結実の証拠そのものであった。
「だからそのまま、還してあげないとだね」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。何度も複製した。
 吹き飛ばされ、傷つけられても尚、理緒の瞳は輝きを失うことはなかった。
『デミウルゴス』の荒れ狂う嵐のような断罪の剣は理緒を打つ。

 あらゆる攻撃を無効化する絶対的な力。
 その前に理緒は挫けそうにはならなかった。なぜなら、彼女が絶望する理由にはならなかったからだ。
「どんどん作る。構造、複写」
 見た。
 倒れる己の前に一斉に飛びかかる『偽神オブリビオン』たちの姿を。
 破壊を求めている。人々の生活を、明日を破壊する終着点。それだけを為すために生まれたオブリビオンたち。

 理緒の瞳は燦然と輝く。
「偽装錬金(ギソウレンキン)――菫宮理緒、一世一代の偽物作り。お見せしちゃうよ!」
 生み出されるのは『偽神細胞』を完全に複写したミサイルランチャー。
 そのランチャーから放たれる火線が『偽神細胞オブリビオン』たちを一気に打倒し、凄まじい爆風で持って押し返していく。
「『偽神細胞ランチャー』――これで、あなたの望み、叶えてあげるよ!」

 救世主にも成れず。
 さりとて神にも至れず。
 その原初の願いも、祈りも忘れた存在に理緒は己のユーベルコードによって複写されたミサイルランチャーを解き放つ。
 爆風が暗黒の大剣振るう『デミウルゴス』へと襲いかかり、その身体を押し返す。人の願いと祈りの結実たる存在。
 例え、それが過ちであったのだとしても。

 それでも彼の体に込められた想いだけは本物であったと理緒は己が言わねばならぬと力を振るうのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
むう…自分の目指す頂きと同じ名前を持つ偽神…か
創造主、即ち神…ね
それだけの力を持って産まれながら、人々の願いに悩むなんて
あまつさえ殺してくれだなんて、笑っちゃうね
精神面はぜーんぜんデミウルゴスらしくないって事か
デミウルゴスを名乗るなら、もっと厚顔無恥にやりたい事をやるくらいに振る舞いなよね!


新しい力、試させて貰おうか
至れオーバーロード、真の姿…解放!
模造神器、4剣抜刀
副腕も含めた四刀流で、拠点破壊部隊に対して接近戦を仕掛ける!
剣で『なぎ払い』、『串刺し』にしてダメージを与えていき弱った敵をどんどん上空へ『吹き飛ばし』ていくよ
私自身の攻撃は残念ながらデミウルゴスには届かない…
残念だけど、今の技術力じゃあ君と真正面からは殴り合えない
けれども此処には大量の偽神細胞オブリビオンがいる
ならそれを、存分に使うだけ!
【断章・不死鳥召喚〈超越進化〉】 起動!
不死鳥達を二羽一組で運用
吹き飛ばしたオブリビオンを捕まえてそのままデミウルゴスに突っ込む!
そしてそいつを燃料に『焼却』!
これなら蒼炎も通るはず!



 爆炎が『デミウルゴス』を飲み込んでいく。
『偽神細胞』によって生み出されたミサイルランチャーの一撃が『デミウルゴス』の望むものを与えるものであったのかはわからない。
 けれど、その手にした暗黒の大剣を振るい、爆煙を切り裂いて飛び出す姿は雄々しい戦士としての姿であった。
「……頭に響くんだよ、お前たちの言葉は! これ以上俺に何を求める! 俺は神などではない! 人を救うのは神などではないんだ!」
 放たれる強毒化した『偽神細胞』の破片が散弾のように放たれる。

 それを月夜・玲(頂の探究者・f01605)は抜き払った二振りの模造神器でもって斬り裂き、戦場を疾走る。
 目の前には『偽神細胞オブリビオン』の軍勢。
『拠点破壊部隊』と呼ばれる、拠点に住まう人々を皆殺しにするためだけに集結されたオブリビオンたちである。
 彼らを解き放てば、全世界にある拠点は攻撃され、これまで以上の壊滅的な打撃を被ることになるだろう。
「『デミウルゴス』――創造主、即ち神……ね。それだけの力を持って生まれながら、人々の願いに思い悩むなんて。あまつさえ殺してくれだなんて、笑っちゃうね」
 玲は己の目指す頂きと同じ名前を持つ偽神を見据える。

 そこにあったのは人の祈りと願いの結実である。
 どうあがいても、『デミウルゴス』の方が己の先を征くものである。彼の生み出す偽神細胞はまさしく創造主たる力であろう。
 善性なるものから生まれ、悪性を持って世に蔓延る力。
 その力の体現者たるものが『デミウルゴス』であったのならば、玲はやはり、違うと思うのだ。
 笑ってしまう。
 不敵に笑うのだ。あれが己の終着点であるわけがない。

 道はいつだって、終着点の先にしかない。
 妥協が結果を生むのならば、己は妥協を許さないだろう。己が目指す頂きが、あれであるはずがない。
 ならばこそ、彼女の瞳が輝く。
 赤い瞳は爛々と輝き、その力は己を超えるものであり、打ち克つものであったことだろう。
「精神面はぜーんぜん『デミウルゴス』らしくないって事か」
 体の中を渦巻く力がある。

 これまで真の姿をオブリビオンによって引きずり出されるほどの窮地は幾度もあったことだろう。
 それはどれもが己の意志であったとは言い難い。
 状況に、否応なしに。
 さらけ出した力である。けれど、今は違う。玲は荒れ狂う模造されし神器の力を解き放つ。
「黙れ。らしさ、らしくないなど関係ない。俺は、俺の中に響くこの声を……消し去りたいだけだ……! そのためには!」
 放たれる強毒化した『偽神細胞』が迸る。
 弾丸のように放たれた『偽神細胞』は打ち込まれただけで、猟兵の体を蝕み、死の拒絶反応で持って肉体を破壊するだろう。

 けれど、玲は笑った。
 己の中にある頂きに至る可能性が渦を巻くのを笑って受け入れたのだ。恐れるのではなく、その可能性を己が勝ち取るために。打ち克つために。超えるために。
「『デミウルゴス』を名乗るんなら、もっと厚顔無恥にやりたい事をやるくらい振る舞いなよね!」
 彼女は笑って超えるだろう。
 どれほどの懊悩も、苦しみも、笑って超える。

 ならば、見よ。
 それこそが『オーバーロード』、『超克』の力の発露。
「貴様……! 模造したというのか、ただの人間が! 人が為る神にいたろうと!」
『デミウルゴス』の瞳が見開かれる。
 そこにあったのは玲の真為る姿。至るは『オーバーロード』。開放された模造神器、その四振りを掲げる副腕が放つは煌めく二重十字。
 蒼き極光が齎すのは、ユーベルコードの輝きであった。

「それが私の目指す頂きなら、そこは私の通過点にしかすぎないんだよ」
 彼女の振るう模造神器の斬撃が津波のように迫る『偽神細胞オブリビオン』たちを切り払い、空へと吹き飛ばしていく。
 嵐のような力。
 それはまさにオブリビオンストレイトと対をなすような力の奔流であったことだろう。
「残念だけど、今の技術力じゃあ君とは真正面からは七霧会えない。けれども――!」
 そう、此処には大量の『偽神細胞オブリビオン』が存在している。彼女の瞳が煌めく。
「ならそれを、存分に使うだけ! 偽書・焔神起動。断章・不死鳥召喚の章、深層領域閲覧。断章・不死鳥召喚〈超越進化〉(フラグメント・フェニックスドライブ・エクステンド)起動!」

 それは蒼炎羽撃かせる不死鳥の姿。
 上空に飛び立ち、舞い上げられた『偽神細胞オブリビオン』たちを咥え、空より飛来するは蒼炎の羽ばたき。
『デミウルゴス』が持つ無敵性は『偽神細胞』を持たぬ存在に対してのみである。
 不死鳥があらゆるものを燃やし、その燃料とするのならば、その身に宿るのは『偽神細胞』の力の発露である。
 全てを切り裂く蒼炎の翼が、一気に『デミウルゴス』を襲う。
 散弾のように放たれる『偽神細胞』など蒼炎の前には無意味であった。全てを燃やし、力と変える。
 あらゆるものを切り裂く翼の一撃は、『デミウルゴス』の肉体を斬り裂き、血を噴出させるのだ。

「いつか、お前も後悔する時がくる――……! 強大な力は、人を集める。人は必ずお前に祈るだろう。願うだろう。より良きを。もっと、もっと、もっとと。救われることを! お前はそれに……!」
 耐えることができるのかと。
 蒼炎の向こう側に座すきらめきを『デミウルゴス』は見ただろう。しかし、玲はなんてことのないように言うのだ。

「私は私が好きなようにする。誰かに願われたから、そうするんじゃなくて。私が思う心のままに振る舞う。振り回されるんじゃなくさ……」
 己の心に問うのだ。
 己が何を為すべきかを。やりたい放題やるのならば、自分が笑っていられる未来がいい。
 こんな風に笑いなよ、と言うように玲は告げるのだ。

「振り回してやる、くらいに笑っちゃいなよ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

肆陸・ミサキ
※絡み苦戦ケガアドリブ歓迎

そうか、こいつは、求められる側だったんだな
余り他人事という感じはしないけど、親近感があるかと言われると全く無いからね
死ぬことが救いになるなら、望み通り救ってあげる
いつも通りのこと

敵の部隊の持ち物が特効材料らしいね
それなら私は、それをアイツにぶちこんであげる
私、力持ちなので
戦車とか無理でもトラック程度なら行けると思うのよね、筋肉とかは裂けるかもしれないけど、些事だと思う
重すぎて無理ならUCで適当に乱雑に部隊の奴らを怯ませて武器を奪って端からぶん投げてしまうからね

当たればいいし、外れても弾かれても、仲間の動く隙くらいは作れるといいな



 蒼炎が切り裂いた傷口から噴出する血潮を撒き散らしながら、『デミウルゴス』が叫ぶ。
 それは痛みにあえぐのではなく、己の頭に響き続ける救世の願いと祈りに翻弄されるだけの叫びであった。
「……どこまで、俺を神と言うか。俺を、この偽物の神を! 求めるのか!」
 煩わしさを振り払うように『デミウルゴス』が暗黒の大剣を掲げる。
 そこにあったのはあらゆるものに破壊を齎す断罪の大剣。巨大化した大剣が振り下ろされた瞬間、デモイン砦の一角が吹き飛ばされる。
 迫る猟兵を『偽神細胞オブリビオン』たち毎吹き飛ばす一撃であった。

 その一撃を受けて肆陸・ミサキ(独りの・f00415)は、己の身体が宙を舞うのを感じただろう。
 凄まじい一撃。
『フィールド・オブ・ナイン』と呼ばれる『オブリビオン・フォーミュラ』の一柱たる力。その破壊の力を身を以て体感した彼女は『デミウルゴス』の言葉に他人事のような気はしなかった。
「そうか、こいつは、求められる側だったんだな」
 願いの結実。
 その存在証明たる『偽神細胞』――それは確かにストームブレイドを生み出し、荒廃した世界であるアポカリプスヘルに一条の光を紡いだのかもしれない。

 けれど、己の頭に響く救世の声に彼は耐えられなかったのだろう。
 世界中から響く願いと祈りに潰されたのだ。人の心では耐えられるわけがない。だから人は神為る者を生み出そうとしたのだろう。
「親近感があるかと言われると全く無いけど……」
 ミサキは頷く。
 宙を舞った身体が大地に叩きつけられても、即座に彼女は立ち上がり、走り出す。
 目の前には『偽神細胞オブリビオン』たちの軍勢がある。
 己をすり潰さんとし、またその背後には再び大剣を振りかぶった『デミウルゴス』がいる。

 このままでは確かに己は圧殺されてしまうだろう。
 けれど、ミサキの瞳に輝くのユーベルコードであった。天より降りし光導の先(サン・ライト)……それは己にも制御できない照らすモノを焼け焦がす光の奔流であった。
 疾走る光が『偽神細胞オブリビオン』たちを飲み込み、蒸発させていく。
 しかし、それほどまでの力であっても『偽神細胞を持たぬ者からの攻撃を無効化』する『デミウルゴス』には無意味であった。
「俺は殺し尽くすと決めた……あらゆる人間を鏖殺し、俺の頭に響く者全てを消し去る……! 俺は、神などではないと証明するんだ!」
 振るわれる大剣をミサキは躱す。
 衝撃波が彼女の身体を打つ。けれど、それでも前に進むのだ。

「死ぬのが救いになるなら」
 彼女は有り余る膂力でもって『偽神細胞オブリビオン』たちが乗る戦車の前に突進する。
 何を、と思った瞬間ミサキは巨大な戦車を両手で持ち上げていた。人の身であれば、不可能なる芸当。
 されど、彼女は生命の埒外にある存在。
 即ち、猟兵である。きしむ腕など気にはしない。痛みなど気にしていられない。こんなこと些事であると彼女は持ち上げた戦車とともに疾走る。

『偽神細胞』もたぬ身にとって、『偽神細胞』によって構成された戦車は『デミウルゴス』にとって唯一届き得る武装の一つだ。
「望み通り救ってあげる」
 いつもどおりのことだ。己がやらねば誰がやるというのだ。
 ミサキの瞳がユーベルコードに輝き、掲げた戦車を打ち出す。それは、まるで砲弾のように打ち出され、『偽神細胞』で構成された戦車を『デミウルゴス』へと叩きつけるのだ。
「この程度で、俺を」
 殺せるか、と『デミウルゴス』が叫ぶ。手にした断罪の剣が戦車を一刀のもとに両断する。瞬間、ミサキはさらに駆け出していた。

 そう、己の力が届く武器は、そこら中にいくらでもある。
 ミサキは『偽神細胞オブリビオン』たちから次々と武装や車両を奪っては、『デミウルゴス』に投げ放ち、軍勢を割って突き進む。
 もう彼女の目に映っているのは『デミウルゴス』しかない。
「当たればいいし、外れても弾かれてもいい。けれど、仲間が動く隙くらいは作れるし、何より」
 ミサキは己の体中の筋繊維がちぎれていくのを感じていた。
 構わない。
 目の前の『デミウルゴス』に勝つためならば易いものだ。疾走る。疾走る。疾走る。ひた走ることだけが彼女にできる唯一のことだ。
 放たれる車両を再び砲弾のように放ち、ミサキは『デミウルゴス』へと叩きつける。

「望む死なら、もう私が持ってきた」
 振りかぶるミサキの腕が『デミウルゴス』に車両を鈍器のように叩きつけ、その身を大地に沈ませる。
 血が体中から滴り落ち、それでも尚、ミサキは死を持って『デミウルゴス』を救済するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
ヤツを打倒する為に拠点破壊部隊を利用する、か。回りくどい手は好みじゃないんだが…まぁ、『無敵の偽神』を打倒するんだ。
贅沢は言えねぇか。

偽神細胞オブリビオンの銃を【盗み】。拠点への襲撃はそこそこ派手に。
圧倒的物量を誇る軍勢を前に【悪目立ち】。
足取りは追える程度に残し、デミウルゴスの前に立つぜ。
銃撃?戦車の砲弾?それとも爆弾でも投げて来るか?
さぁ、盗人は此処だぜ。
【挑発】して、銃弾の雨と爆風の中でデミウルゴスと魔剣で相対しよう。
無敵を相手にしちゃ『神殺し』すら霞んで見える。
――だが。距離は詰めたぜ。
銃弾だけは『銀の銃弾』を込めて。至近距離から心臓に向けて、UCを放つ。
…疲れただろ。そろそろ休みな。



 叩きつけられた『偽神細胞』によって変性した戦車の残骸を押しのけて『デミウルゴス』は立ち上がる。
 その身に刻まれた傷痕はどれも深いものであった。
 滴る血潮はとめどなく溢れ、彼の身体が度重なる猟兵の打撃に寄って打ちのめされていることを示していた。
『偽神細胞』を持たぬ者からの攻撃を一切無効化するという無敵性を持ちながら、『デミウルゴス』は追い詰められていたのだ。
「俺は、神なんかじゃあない……! 黙れ! 俺の耳元で、弱者が、祈りを紡ぐな! 願いを届けようとするな! 俺は! 神などではない!」

 咆哮する『デミウルゴス』の声が戦場に響き渡る。
 それは託された者の慟哭であったことだろう。あふれかえる『拠点破壊部隊』である『偽神細胞オブリビオン』たちが軍勢となって猟兵たちに襲いかかる。
 それをみやり、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は頷く。
 確かに己は『偽神細胞』を持たぬ身。
 けれど、『拠点破壊部隊』を利用すれば、『デミウルゴス』に傷を与えることができるのは、先行した猟兵たちが示したとおりである。
「回りくどい手は好みじゃないんだが……まぁ、『無敵の偽神』を打倒するんだ。贅沢は言えねぇか」
 カイムは戦場に走り出す。

 目の前には津波のように迫る『偽神細胞オブリビオン』たち。
 彼らの武装は、その全てが『偽神細胞』によって生み出されている。ならばこそ、カイムは迫る『偽神細胞オブリビオン』を一瞬の交錯で銃を奪い取り、軍勢の中で大立ち回りをするのだ。
「おっと! 悪いな。手癖のことは言わないでくれ。こっちだこっち。さあ、盗人は此処だぜ!」
 カイムの言葉に『偽神細胞オブリビオン』たちが激昂する。
 大軍勢の中に飲み込まれるカイムであったが、それこそが彼の狙いであった。

 彼を追って『偽神細胞オブリビオン』たちは戦場に砲弾や銃弾の雨を降り注がせるであろう。
 そして、彼の目的は『デミウルゴス』である。
 己を倒そうと躍起になっている『拠点破壊部隊』たちを引き連れ、対峙すれば流れたまが飛びかう戦場に早変わりである。
「またお前たちか……! 猟兵……! 偽神細胞を持たぬお前たちの攻撃など俺には無意味だとなぜ解らない!」
 何もかもが無駄だと『デミウルゴス』が言う。

 けれど、カイムはかぶりを振る。
 己がなぜ『拠点破壊部隊』を引き連れてきたのかを『デミウルゴス』は理解していない。いや、理解できないのだろう。
 彼の頭の中には今も尚、救世を求める人間の声が響き渡っている。
 猟兵たちに刻まれた傷痕は『偽神細胞』の増殖で塞がれて、変異していく。それは確かに神と呼ぶには相応しくない姿であったことだろう。
「無敵を相手にしちゃ『神殺し』すら霞んで見える――だが、距離は詰めたぜ」
 カイムは奪った銃で『偽神細胞』によって生み出された弾丸をばらまく。さらに引き連れた『拠点破壊部隊』から放たれる弾丸と砲弾を背に『デミウルゴス』へと迫るのだ。

「……煩い、煩い、煩い!! 俺は!! 違う!! 神などではないんだ!!」
 頭を振り乱し、『デミウルゴス』が裂帛の咆哮を迸らせる。
 それだけで暴風が吹き荒れ、周囲に嵐となってカイムを阻む。けれど、彼は瞳を細めるばかりであった。
「……疲れただろ。そろそろ休みな」
 『銀の弾丸』が込められし『偽神細胞』で作れた銃。その引き金を引く。

 カイムは魔弾の射手(デア・フライシュッツ)である。
 彼の放つ弾丸は紫電を纏った銀の銃弾として放たれる。その心臓に引き金を引いた瞬間、黒い大剣が翻り、その弾丸を受け止める。

 しかし、それでも貫く一撃は『デミウルゴス』の胸を穿つだろう。
 どれほどの時間、彼の頭には救世の言葉が広がっていたことだろうか。それが人の心では耐えきれぬものであったことは言うまでもない。
 だからこそ、カイムは休めというのだ。
 例え、偽りの神として生み出されたのだとしても。それでも、躯の海で眠れとカイムは引き金を引く指に力を籠めたのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

柊・はとり
探偵には過ぎたこの力が必要なら

UC使用
レイダー共は味方が使う分を残し
理不尽な暴力で砕いて敵の元へ
偽神細胞の放射は殺気で毒性を軽減し
俺の継戦能力で耐えうる威力まで落とす
死は踏み越えた身だがだからこそ慢心せず

俺も名探偵という神である事を皆に願われた器でね
挙句の果てがこの『殺されても死なない』身体
どんな犯人もお手上げだろ

人の願いは呪いに似ている
望まずとも降り注ぐ事件から逃げたくて
何で俺がこんな目にと自棄にもなった
あんたは俺の黒歴史
そして選ばなかった方の道
俺は人でも神でもないが
猟兵として明日を照らす

善意じゃない
そんな余裕ない
俺はいつだって必死なだけ
だから物理で事件解決もすんだよ
悪いな
地形ごと過去を粉砕



 ストームブレイドは『偽神細胞』の齎す拒絶反応によって、生命を削りながら戦う者達である。
 彼らは皆、多かれ少なかれ決意を持って戦いに挑むだろう。
 己に移植された細胞の根源。
 大本とも言うべき存在。『デミウルゴス』――『偽神』と呼ばれた神為らざる者。しかし、その彼こそ、その言葉を否定するのではなく肯定していた。
 しかし、その肯定を許さぬと救世の祈りは彼の脳内に響き渡る。
 穿たれた胸から血潮が溢れてもなお、『デミウルゴス』は倒れない。倒れなかったのだ。
「俺は、神ではないはずだ。胸を穿たれたはずだ。それなのに生きている。どうしてだ。どうして俺は――!」
 迸る暴風が量へ立ちを吹き飛ばし、荒ぶる強毒の偽神細胞を散弾のように解き放つのだ。

 それを前にして柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)はユーベルコードに瞳を輝かせた。
「第三の殺人『十三階段峠』(ジュウサンカイダントウゲノサツジン)……あってはならぬものがある。そして、あるはずだったものが消えていく」
 彼が解き放つのは殺気と触れるものをすべて凍らせる蒼い炎であった。
 纏う蒼炎と共に、はとりが一歩を踏み出す。
 ただそれだけで理不尽極まりない圧倒的な暴力が『拠点破壊部隊』の『偽神細胞オブリビオン』たちを粉砕していく。

 揺らめく蒼炎は暴風を前にしても消えることはない。
 むしろ、煌々と火の手を強大にさせるように燃え盛っていた。散弾のように放たれた『偽神細胞』の尽くを蒼炎が凍りつかせ、大地に失墜させる。
「俺も名探偵という神である事を皆に願われた器でね。挙句の果てがこの『殺されても死なない』身体。どんな犯人もお手上げだろ」
 はとりは一歩を踏み出す。
 戦場を駆け出していた。己に迫る『偽神細胞オブリビオン』は尽く凍りつき砕けて散る。その破片の最中、拳が大地すら破壊しながら、『デミウルゴス』の暴風を切り裂いて進む。

 物語を進める神たる俯瞰者。
 それが探偵である。探偵は間に合わない。殺人が起こらなければ、己の力を振るうことはできず。
 されど、探偵そのものを殺して成立させる完全密室も、迷宮入りの事件も、死すら超越した探偵を前にしてはあらゆる物が無意味である。
「言わば、反則ってやつだ。けれどな」
「黙れ! 黙れ! 俺に願うな! 俺に祈るな! 俺は、そんなものじゃあない!!」
 咆哮と共に放たれる強毒の偽神細胞の弾丸を、はとりはその身一つで受け止める。

「人の願いは呪いに似ている。望まずとも降り注ぐ事件から逃げたくて」
 なんで俺がこんな目にとやけになったこともある。
 どうしようもない未解決事件。
 巻き込まれる難事件。
 殺人など当たり前の日常茶飯事だ。己の行く先々で殺人が起こる。目を覆いたく為るような惨状。されど、それから目をそむけることすら許されぬ現実。

 目の前の『デミウルゴス』は、はとりにとっての何であろうか。答えは簡単であるなにせ、己は名探偵と呼ばれた男だ。もうわかっているのだ。
「あんたは俺の黒歴史。そして、選ばなかった方の道」
 祈りも願いも、拒まなかった己が選んだ道を己はきっと誇るだろう。例え、己が人でも神でもなかったのだとしても。
 それでも、彼の胸には誇りがある。
 いつだって終着はやってくる。けれど、その先を望むのならば、いつだって終着は始まりに変わる。

 己は死すら乗り越えた存在。デッドマンにして名探偵である。
「人の善意にばかり、すがっているから! 消えろ! 人さえいなくなれば、善意も悪意もなくなる! 俺はただ――」
 静かに眠っていたかっただけなのに。
 彼の体に流れる偽神細胞はストームブレイドたちの根源であろう。

 人の願い。人の祈り。
 それが齎した明日を得るための僅かな光条。
 ゆえに彼には人々の声が聞こえるのだ。
「善意じゃない。そんな余裕ない。俺はいつだって必死なだけ」
 そう、聞こえるだろう。
 己にも救いを求める声が。けれど、はとりは投げ出さない。ただ必死なだけなのだ。例え、名探偵らしくない行いであったとのだといしても、はとりは踏み出す。
 拳を握りしめる。
 もはや、問答はいらない。いるのは唯一つ。男であるのならば、男に生まれたのならば、そう、この拳さえあればいいのだ。

「悪いな。俺は――!」
『デミウルゴス』に肉薄する。
 瞳と瞳が交錯する。振り切った拳の一撃が『デミウルゴス』を打ち据え、大地に叩きつける。粉砕された大地が砕け散りながら、はとりは告げるのだ。
「猟兵として明日を照らす――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
拠点の人々を殺そうとする奴を倒す、どうしようもない境遇を殺してでも助ける、一石二鳥をやってやるぞ!

破壊部隊を巨斧や竜槍で吹き飛ばして掻き分けて強引かつ最短でデミウルゴスに接近
オレや他の武器は捕食されない様に代えが効く退魔刀でデミウルゴスの変化する肉体に『溢れ出る戦士の猛り』を突き刺すぞ
そんなに食いたきゃオレの闘気を食わせてやるぜ!

デミウルゴスからオレのUCを受けず破壊部隊には当たる様に
今度は限界突破した逃げ足のダッシュとジャンプで敵を盾にして
敵同士をお互いに攻撃したくなるように誘導するぜ
こっちこっち、同士討ちを誘う悪者を裁いてみろだ!
憎まれようとも目的を達成する為に敵にペースを掴ませないぞ



 溢れ出る戦士の猛り(バーバリアン・デスマッチ・スピリッツ)が、戦場にはあった。
 己の闘争心が燃えるのは何故か。
 それを自問するのはグァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)であった。
 彼女は問う。
 己が何のために戦うのか。何のために力を振るうのか。その意味を、その理由を。
 答えは至極シンプルだ。結局の所、このアポカリプスヘルに生きる人々のためなのだ。
「拠点の人々を殺そうとするやつを倒す。どうしようもない境遇を殺してでも助ける。一石二鳥をやってやるぞ!」
 グァーネッツォは戦場に駆け出す。

 目の前には『偽神細胞オブリビオン』である『拠点破壊部隊』の軍勢が津波のように彼女に押し寄せてきていた。
 握りしめた巨大な斧を振りかぶり、竜槍を突き出しては、まるで竜の顎のように軍勢を噛み砕くように破っていく。
 強引かつ最短距離で『デミウルゴス』まで迫ろうとする彼女の進撃は止まらない。
 己の闘争心が湧き上がってやまぬのだ。
 なぜなら、彼女は人々の日常を護るために戦っている。

 如何に『デミウルゴス』が嘗ての願いや祈りによって生み出された存在であったのだとしても、今や人を殺す存在に成り果てたのだとしたら。
「俺は、俺を殺せない。なら、俺は俺以外の全てを殺す。俺に救世を望む者全てを殺して、俺は眠りたい」
 偽神細胞が変異し、穿たれた胸を塞いでいく。
 確かに消耗させている。数多の猟兵たちが紡ぎ、ここまで『デミウルゴス』を消耗させているのだ。

 偽神細胞を変異させて膨れ上がった肉体であれど、その再生の速度は遅くなっている。
 ならば、とグァーネッツォは疾走るのだ。
「そんなに食いたきゃオレの闘気を食わせてやるぜ!」
 彼女は『拠点防衛部隊』を振り切って『デミウルゴス』に迫る。
 偽神細胞を持たぬ者の攻撃は、全て無効化するのが『デミウルゴス』である。ならば、彼女の放つ闘争心を籠めた退魔刀の一撃は無効化されてしまうだろう。

 けれど、他の猟兵がうがった胸の傷痕を再生する虚の如き隙間なら話は別だ。
 再生される肉の間に退魔刀が差し込まれ、グァーネッツォと『デミウルゴス』の間に互いを敵と認識した闘争心でもってつなぐ。
 それは一蓮托生とも言うべき状態であったことだろう。
 離れることもできず、けれど、グァーネッツォを排除せんとする『拠点破壊部隊』から飛ぶ砲撃の雨を彼女は跳躍し、『デミウルゴス』を盾にしながら駆け出すのだ。
「こっちこっち、同士討ちを誘う悪者を裁いてみろだ!」
 どれだけ憎まれたっていい。
 敵は、『デミウルゴス』は世界そのものを憎んでいるわけではない。

 己の『偽神』たる境遇を恨んでいる。
 そうあるべきと望んで生み出され、けれど、それに答えることのできなかった境遇。
『偽神』として人の祈りや願いを受け止めるに値することなどないとわかっていたはずだ。
 なのに、救世を求める声だけが頭の中に反響する。
 それがどんなに耐え難きことかをグァーネッツォは理解した。
「できないって言うのにやれって言われるのは辛いよな。できないって叫んでも、聞き入れられないのは。けれど、だからって、その全部を否定していい理由なんて――」

 グァーネッツォが『デミウルゴス』の大剣を躱し、さらに『拠点破壊部隊』からの砲撃でもって同士討ちを狙いながら跳ねるようにして飛ぶ。
「どこにもないんだよ!」
 そう、憎むのならば世界ではなく己を憎めばいい。
 そういう様にグァーネッツォは戦場を駆け抜ける。繋がれた闘争心からわかる。『デミウルゴス』はきっと平穏を望んでいたのだろう。
 己が『偽神』として存在しなくていい平穏を。

 人々が安心して眠ることのできる夜を。
 けれど、それは叶わない。だからこそ、グァーネッツォは己を憎めと、ユーベルコードの輝きが消えるまで、戦場にあり続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…狂信者に人生を狂わされ、誰かの願いや祈りを託される…
お前のその姿には正直、思う処が無い訳じゃないけど…

…私は今、この世界を救う為に此処にいる
…たとえどのような存在であれ、
今を生きる人々を滅ぼそうとするならば、私の敵よ

複数の「闇の精霊結晶」を投擲して戦場を闇で覆い、
自身は闇を暗視して敵の索敵から逃れるよるように闇に紛れて切り込みUC発動

…あまり使いたく無かったけど、四の五の言ってられる相手では無いか

…御業を借りるわ、母様

吸血鬼化した血の魔力を溜めた香気を放つ精神攻撃で敵軍を洗脳し、
偽神細胞の武装を乱れ撃ちする集団戦術でデミウルゴスを攻撃する

…目標、偽神デミウルゴス。総員、攻撃開始



『デミウルゴス』の漲る闘争心が咆哮を上げる。
 その脳裏に響き渡るは救世の祈りと願い。
 人の悲痛なる叫びは、彼の脳内を引き裂かんばかりであった。救って欲しいという祈りは、救えという強迫観念へと至る。
 何十、何百ではない。
 何万、数千万ですらない。億単位の思念が『デミウルゴス』の脳内を焼く。
「……煩いッ!! 俺はお前たちの言うところの神ではないと!!」
 叫ぶ。
 その叫びは、人の願いが生み出した切り裂くような痛みとなって彼の脳を襲うだろう。

 掲げた大剣が巨大化する。
 偽神細胞によって肥大化した断罪の剣は、その無責任為る救世の願いを断ち切らんと戦場に集まった猟兵たちを薙ぎ払うように振るわれる。
「……狂信者に人生を狂わされ、だれかの願いや祈りを託される……」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、その末路を今目の当たりにしているだろう。
 その姿は確かに『偽神』と呼ぶに相応しいものであったことだろう。
 完全なる神ではない。
 なのに、頭に響くは救世の願いと祈り。
 もはやそれは、善なるものであったとしても、人の脳に耐えられるものではなかった。

「お前のその姿には正直、思う所が無いわけじゃないけど……」
 けれど、リーヴァルディはためらわない。
 彼女が何のために此処にいるのかを彼女自身が理解しているからである。
「……私は今、この世界を救う為に此処にいる」
「ならば、世界を滅ぼすのが俺だ! 人間を根絶する。祈りを、願いを捧げる者全てを殺し尽くして、静寂なるときの中で俺は眠りたいだけだ!」
 振るわれる一撃は凄まじいものであった。
 衝撃波がリーヴァルディを遅い、彼女の体を吹き飛ばす。断罪の剣は、ただそれだけで猟兵たちに脅威であったし、何よりも『無敵』であることが『デミウルゴス』の圧倒性を際立たせていた。

「……例えどのような存在であれ、今を生きる人々を滅ぼそうとするならば、私の敵よ」
 戦場が闇で覆われていく。
 彼女の姿は闇に紛れて消えていく。けれど、それで『拠点破壊部隊』である『偽神細胞オブリビオン』たちは止まらない。
 軍勢を持って猟兵をすり潰さんと迫るのだ。
 そこにリーヴァルディは闇に紛れて切り込む。
「……あまり使いたくなかったけど、四の五の言ってられる相手ではないか……御業を借りるわ、母様」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。

 それは、限定解放・血の薫香(リミテッド・ブラッドリリィ)。
 それは魔性の香気であった。
 あらゆるものを誘惑し洗脳する吸血鬼の魔性の香気。それこそがリーヴァルディの瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、解き放たれる。
 己の身を吸血鬼化した血の魔力の籠められた香気は一斉に『拠点破壊部隊』を洗脳する。
「――……目標」
 リーヴァルディが号令を取るように手を掲げる。

 闇の中で『拠点破壊部隊』は静かなものであった。
 けたたましい車両の音さえも消え失せ、代わりに整然とした隊列を組んで『デミウルゴス』を取り囲むのだ。
「偽神『デミウルゴス』』。総員、攻撃開始」
 リーヴァルディの手が振り下ろされた瞬間、『拠点破壊部隊』たちが一斉に銃弾を斉射する。
 それは『偽神細胞を持たぬ者からの攻撃を無効化する無敵性』を覆す一手であった。

 リーヴァルディの攻撃は確かに『デミウルゴス』に通用しないだろう。
 けれど、偽神細胞を持つ『拠点破壊部隊』の武装ならば話は別である。この力こそ、確かに救世主たらんと願われた力であろう。
「…その身に宿した力は確かに望まれたものでしょう。けれど、その器に注がれる思いがお前自身のものではないかぎり」
 リーヴァルディは、ユーベルコードに輝く瞳で『デミウルゴス』を見つめる。
 嵐の中、『偽神細胞オブリビオン』たちから放たれる弾丸に飲まれていく『デミウルゴス』の姿。
 
 そこにあったのは『偽神』という嘗ての哀れなる贄としての姿だけであったことだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
最後まで身勝手になれなかった、その結果なのでしょうね。それ自体は好ましいことですが……
それであなたが人を滅ぼす者となったのならば、私があなたを滅ぼします……私は身勝手なので。

この世界なら偽神細胞オブリビオンの持つ武装に何らかの銃はあるでしょう。
偽神細胞オブリビオンたちと「フィンブルヴェト」の銃剣で戦いつつ『敵を盾にする』ことで偽神断罪剣から放たれる強毒化した偽神細胞を避けていきます。
狙撃が可能な銃を持っている敵を見つけたら倒し、その銃を奪い取ります。

銃を手に入れたら【奇跡の狙撃手】を。
「あるいは殺して欲しい」と願うデミウルゴス自身も含めて呼びかけ、敵集団の中での狙撃を成功させます。



「最後まで身勝手にならなかった、その結果なのでしょうね」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は嵐のような銃弾に晒されながらも、変異する偽神細胞によって傷口を塞ぎながら己に迫る『デミウルゴス』の姿を見ていた。
 嘗ての救世主たらんことを望まれた存在。
 誰かのために。
 明日のために。
 己の体のうちから溢れ出す衝動はなく。されど、だれかの願いのためだけに力を振るうことを願われた者。
 それが『デミウルゴス』であるというのならば、セルマはそれ自体を好ましいと思ったことだろう。

 だからこそ、セルマは一歩を踏み出す。
 戦場にあって狙撃手である彼女が的に近づくことは自殺行為であったことだろう。間合いを離すのならばいざしらず、敢えて己から身を近づけさせる。
 その行いを前にして『デミウルゴス』は咆哮する。
「ここで終わりにしてやる! 猟兵! お前たちも俺の安寧の邪魔をするというのならば!」
 咆哮と共に放たれるのは強毒の偽神細胞を散弾のように打ち出す一撃。
 それは触れるだけで死の拒絶反応を引き起こし、偽神細胞を持たぬ者を自壊に至らしめるだろう。
 それほどまでに強力な毒となったものが散弾となってセルマを襲うのだ。

「それであなたが人を滅ぼす者となっったのならば、私が貴方を滅ぼします」
「だからそれがどうした! 俺が人間を根絶することは最早止められない! この頭に響く声が! 俺を!」
 狂わせるのだと、その瞳は頭に響く人の祈りと願いによって、とっくに狂気に支配されていた。
 己の中に何一つ確固たるものをもっていないかったからこその不幸。
 それをセルマは知るからこそ、己の中にある芯を持って『デミウルゴス』を討つべき敵と認識するのだ。

「……私は身勝手なので」
 セルマは迫りくる散弾の如き偽神細胞を『拠点破壊部隊』を盾にしながら躱す。
 軍勢の如き彼らを隠れ蓑にし、マスケット銃に装着された銃剣『アルマス』で『偽神細胞オブリビオン』たちを斬り裂き、時に己の身を護る防壁として機能させながら敵陣を食い破っていくのだ。
「己の生命一つままならぬ者のどこに神としての片鱗がある! 俺は神なんかじゃない! だというのに、なんで」
 どうして己の頭に願いと祈りは響き続けるのかと『デミウルゴス』は頭を振る。

 振っても振り切ることのできない願いと祈りだけが彼の頭の中で反響し続けているのだ。
「あるいは殺して欲しいと貴方が願うのなら」
 セルマは『拠点破壊部隊』から狙撃銃を奪い取る。
 己のマスケット銃では『偽神細胞を持たぬ者からの攻撃を無効化』する『デミウルゴス』を傷つけることはできない。
 けれど、『偽神細胞オブリビオン』である『拠点破壊部隊』が持つ装備ならが、『偽神細胞』で構成されている。
 彼女は徒に敵陣を食い破っていたわけではないのだ。

 そう、彼女の手に馴染む狙撃銃を探していたのだ。
「この一射は、外しません……!」
 彼女は願う。
 この敵の軍勢に囲まれた悪条件の中での狙撃など現実的ではない。
 周囲に襲い来る『偽神細胞オブリビオン』たち。迫る『デミウルゴス』。
 どれもが彼女の狙撃を妨げるものであったことだろう。

 けれど、『あるいは殺して欲しい』と願った言葉がセルマの頭の中に張り付く。
 殺してくれと。
 救世を願われた偽神は、世界を滅ぼす。
 身に宿した人の善性の発露は、人の営みを、人の生命を奪うことを良しとしなかった。
 ひとかけらの善性であったのかもしれない。

 けれど、セルマにとっては、それだけで十分だったのだ。
 そのたったひとかけらで彼女の瞳はユーベルコードに輝く。

 ――此処に在るのは、奇跡の狙撃手(イネヴィタブル・スナイパー)。

 彼女のユーベルコードは彼女の狙撃手としての力を最大限に引き出し、奇跡すら呼び込む力。
 迫る『拠点破壊部隊』たちがセルマという標的を襲わんとして同士討ちのように激突し、ピンボールのように彼女を避けて大地に落ちていく。 
『デミウルゴス』は断罪の剣を振り上げている。
 その動きは隙だらけであった。
「この一射は偽神であろうと神を穿つ一射――貴方の願いは私が、私達が叶えましょう。誰かを傷つけるのではなく、己の死を願う貴方の善性によって、貴方を今日、此処で死せる運命なのです」
 引き金を引く。

 哀れとは思うまい。
 憐憫の情でスコープの中の者を見ることはない。
 いつだって同じだ。穿つ敵。放たれた弾丸は、狙い過たず『デミウルゴス』の胸を穿つのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メレディア・クラックロック
期待された『神様』になれなかった?
そんなの当たり前じゃん。
機械ですら作り手の思い通りに動かないんだから、意思持つ生命体なんて何を況んやでしょ。
それで八つ当たりするのもどうかと思うけど…
キミにとってはこの世界の全員が押し掛け強盗みたいなものか。
望まない機能に苦しめられた、その一点だけ同情してあげる。
手は抜かないよ。それが礼儀だもの。

ボクの戦術はシンプル。
【Garnet】で生成したハッキングbotで武器と車両を乗っ取るだけ。
プロテクトぶち抜いて制御乗っ取った奴からデミゴウルスにぶつけていくよ。
銃器は全弾発射。打ち尽くしたら車両に乗っけて質量兵器として突撃させる。
手向けの花火にしては地味でごめんね?



 弾丸が『デミウルゴス』の胸を穿ち、吹き飛ばす。
 大穴を穿たれた『デミウルゴス』は吹き出す鮮血を目の当たりにし、それでも胸の痛みではなく、頭に響き渡る人々の祈りと願いの声によって顔を歪ませた。
「……痛みさえも、凌駕するのかよ、人の願いが、人の祈りが! 俺は神ですら無いというのに……! 答えろ、猟兵! これが偽神たる俺の末路か!」
 救世主たらんことを願われた。
 その器ではなかった己。
 だというのに、人々は祈りを捧げる。願いを届けようとする。

 荒廃した世界にあって、今日よりより良い明日を願う。
 それは毒のようなものであった。
 己の体を蝕んでいく毒。人の善性という名の抗いがたい毒だ。
「期待された『神様』になれなかった? そんなの当たり前じゃん」
 そうなって然るべきであるとメレディア・クラックロック(インタビュア・f31094)は言う。
 彼女の瞳に映るのは、『偽神』でもなければ『神』でもなかった。

 ただ、己の器から溢れた人の願いと祈りに苦悩する人間でしかなかった。
「機械ですら造りての思い通りに動かないんだから、意志持つ生命体なんて何を況やでしょ」
 自明の理であるとメレディアは言う。
 それでも求めるのが人であるからこそ『デミウルゴス』の頭に祈りと願いは響くのだ。
「それで八つ当たりするのもどうかと思うけど……君にとっては、この世界の全員が押しかけ強盗みたいなものか」
 メレディアの瞳がユーベルコードに輝く。

 Garnet(ブランチ)――無数の小型ハッキング botが空に舞い上がる。
 目指すのは『拠点破壊部隊』である。
 彼らは『偽神細胞オブリビオン』であり、彼らの駆る車両や戦車もまた『偽神細胞』より生み出されたものだ。
「望まない機能に苦しめられた、その一点だけ同情してあげる」
 飛び立つbotたちが次々と戦車や車両に取り付いて、一瞬で車両のプロテクトを突破し、制御を乗っ取っていく。
 制御を奪われた車両が『デミウルゴス』に突撃するようにひた走り、激突する。

 如何に『偽神細胞を持たぬ者の攻撃を無効化』する『デミウルゴス』であったとしても、偽神細胞そのものである車両の突撃までは無効化できない。
 それは言わば一つ一つが砲弾のようなものであった。 
 制御を乗っ取った戦車から砲弾が放たれ、爆炎の中に『デミウルゴス』を沈める。
 銃火器は弾丸がなくなるまで打ち込まれ、撃ち尽くしたら質量兵器としてぶつけ、二段にも三段にも構えられた飽和攻撃でもって追い詰めていく。
「手は抜かないよ。それが礼儀だもの」
 侮るわけでもない。
 慰めでもない。

 ただ、強敵としてメレディアは『デミウルゴス』と相対するのだ。
 打倒するべき敵として。
 憐れむ存在ではない。掛け値なしの強敵であったのだ。
 だからこそ、メレディアは憐憫でも同情でもなく。ただ、謝罪の一言として、燃料を満載させた戦車を質量兵器としてぶつける。
「手向けの花火としては地味でごめんね?」
 これが己にできる最大のこと。
 救世を願われながら、けれど、その願いを叶えることのできなかった嘗ての器に。

 次々と突撃していく車両を背にメレディアは、『偽神』に終わりを届けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
荒廃のその「先」をこそ、人々は望んだのでしょう
ならばこそ。猟兵は人々の「先」を、未来を拓く
――《戦士の手》と共に。
勝負です、偽神ッ

攻撃を通すため、戦場にいる
大量の偽神細胞オブリビオンを使わせてもらいましょう
【功夫】で蹴散らした拠点破壊部隊の持つ武装を奪い取り、
そのまま『デミウルゴス』に攻撃
奪わせてもらいますよ、蛮人らしく、荒々しくッ

奪い取った偽神細胞つき武器で
デミウルゴスに立ち向かいますが、相手はフォーミュラ。
もしかすると徐々に押されていくでしょうか。
【オーラ防御】【激痛耐性】で凌いで――。

ええ。負けることはない!
至れオーバーロード、《真の姿:蒼き鷹》を解放!

褐色の肌は白く、銀髪の長い髪は青いボブカットに
口調はお嬢様言葉に

さぁっ!全力で参りますわ!
攻撃する得物を、拠点破壊部隊から奪い取った武器、から
拠点破壊部隊そのもの、に変更!
車だろうとなんだろうと、【力溜め】持ち上げ叩き込む
レスラーの【怪力】ぃ、舐めないでくださいませッ!
相手からの抵抗も貫き【限界突破】し、
最後の一撃を叩き込みますわ!



 荒廃した世界、アポカリプスヘル。
 それは明日を望むことさえも高望みであったことだろう。
 いつとも知れぬ滅び。
 定められた終点。
 襲い来る死。それらの全てを甘受するには、人々は諦観にまみれていなかった。
 それゆえに生み出されたのだ。『偽神』であったとしても、その身に宿した偽神細胞は明日を掴みたいと願う人々の一条の光となった。

 その一点において言えば、確かに『デミウルゴス』は人類の救世主であったのだろう。
 けれど、それでも彼の脳内を苛むのは人々の祈りと願いという善性の発露であった。
「煩い……! なぜ、それほどまでに明日を望む。滅びてしまえば、静寂の中にこそ、安寧を見出すことができるというのに」
 それこそが『デミウルゴス』の求めたものである。
 頭の中にだれかの言葉が響かぬ平穏。それだけを求め、彼は願いと祈りの根源である人間を根絶しようとしていた。

 だが、それに真っ向から相対する者がいる。
「荒廃のその『先』をこそ、人々は望んだのでしょう。ならばこそ。猟兵は人々の『先』を、未来を拓く――戦士の手(センシノテ)と共に」
 その瞳はユーベルコードに輝く。
 己の体躯でもって敵を穿つ。それが己の力の発露であるというように、ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は漲る輝きと共に戦場を疾走る。

 目の前には大群の如き軍勢。
『拠点破壊部隊』である『偽神細胞オブリビオン』たちを真正面から蹴散らす。
 彼女の積み上げた功夫は、銃弾すらも躱し、砲弾でさえ真っ向から拳で打ち勝つものであった。
 爆炎が上がる中、ユーフィは『偽神細胞オブリビオン』が持っていたショルダースパイクをナックルのように拳に纏わせ、『デミウルゴス』へと迫る。
「奪わせてもらいましたよ、蛮人らしく、荒々しくッ!」
「言葉が通じないのか! 俺は! ただ静かに眠りたいだけだ! 人の救世など知ったことか! 俺は『偽神』だ! 人の願いなど、人の祈りなど!」
 届くはずはないのだと、ユーフィと『デミウルゴス』の拳と大剣が激突する。

 凄まじい力の奔流であった。
 振るわれる大剣は、その一撃だけで大地を砕くものであったし、衝撃波がユーフィの体を吹き飛ばし、強かに大地に打ち付けるだろう。
 けれど、ユーフィの瞳は絶望などしていなかった。
 彼女が見ているのは、人々の望む明日であった。どんなに昏い闇夜があるのだとしても、明けぬ夜がないように、来ない明日などない。
 だからこそ、ユーフィは立ち上がるのだ。
 傷だらけであったとしても、どれだけの力の差があるのだとしても。

「ええ。負けることはない!」
 放たれる大剣の一撃を真っ向からユーフィは受け止め、骨と肉がきしむ音を聞いた。筋繊維が引きちぎれ、体中から血が噴出する。
 それでも彼女の瞳は輝く。
 ユーベルコードではない。
「お前はッ!」
 再び振るわれる大剣の一撃。けれど、それがユーフィを捉えることはなかった。
 それは一瞬。

 迸るのはオーバーロードの輝き。

 魂が『超克』した証であった。褐色であった肌は白く。銀髪は青髪へと変わる。
 それこそがユーフィの真なる姿。
「さぁっ! 全力で参りますわ!」
 もはや手にはスパイクはない。
 けれど、ユーフィと『デミウルゴス』との戦いに巻き込まれ破壊された『拠点破壊部隊』の車両や戦車があった。
 これもまた『偽神細胞』で生み出されたものであるのならばこそ、彼女の得物はそえである。

 この戦場において、彼女の武装は軍勢の如き己を取り囲む敵全て。
「『超克』したかッ! だが、それで俺を、偽神たる俺を打倒できるなど――!」
「できますわ! 此処こそが私達が見た『先』! 人々が夢見た明日!」
『デミウルゴス』が叫ぶ。
 けれど、彼の前の前にあったのは己の身の丈を有に超える戦車の残骸。
 その叫びを真っ向から打ち砕く輝き。
『超克』に至りし猟兵が見せた光は、きっと人々が望む明日への篝火であったことだろう。
 ユーフィはそれを己の体でもって見せたのだ。そうすることで、だれかの心が救えるのならば、彼女はためらわない。
『デミウルゴス』は見ただろう。驚愕に見開く光景を。
 それは砲身を握り、巨大な車体を槌のように振るいあげたユーフィの姿であった。なんたる膂力。人の膂力ではない。
 いや、人でなかったとしても為し得ただろうか。

 それほどまでの怪力。
 真の姿をさらけ出したユーフィの力の発露であったことだろう。
「レスラーの怪力ぃ、舐めないでくださいませッ!」
 放たれる大剣の一撃などなかったかのように落とされる戦車の車体の一撃。
 それは単純な質量兵器そのものとしてユーフィの膂力が上乗せされた凄まじい一撃となって『デミウルゴス』を打つ。
 出力が違いすぎる。

 オーバーロードに至ったユーフィが出せる最大の膂力でもって打ち出される一撃は『デミウルゴス』を戦場に沈める。
『拠点破壊部隊』という人々の明日を奪う軍勢に、一欠片とて奪わせぬというユーフィの瞳にこそ、猟兵たちが切り拓いた『先』、その未来を手に掴むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤・美雨
神様が自分の身内にやられちゃうなんて
本当にどこかのお話みたい
でも、それを現実にしなきゃいけないからね
頑張って挑んでいこう

敵の数は多い
それなら撹乱が有効かな
縦横無尽に【ダッシュ】したり相手の影に隠れたり
攻撃は殴ったり匕首で切り裂くのがメインだけど、相手の武装を壊さないよう
適度に数を減らして弱らせていこう

そして狙うのは武器持ちだ
殺さない程度の力加減で殴りつけ、そのまま武器を奪ってやる!
わー、格好いい剣!
お揃いだねぇ、なんてデミウルゴスに言ってみたりして

そのまま相手に接近だ
相手の剣が強力なのは分かってる
早めに攻撃を回避することを意識し懐へ突っ込んで
奪った剣で思いっきり叩き切るよ!
さあ、殺してやろう!



『偽神細胞を持たぬ者からの攻撃を無効化する』。
 それは『デミウルゴス』の持つ無敵性である。ゆえに猟兵の中でも『偽神細胞』を唯一持つストームブレイドしか、『デミウルゴス』を打倒する決定打には成りえない。
 もしも、『デミウルゴス』の存在が人々の明日を覆う闇であったのだとしたら、『デミウルゴス』の残した『偽神細胞』は確かに希望の光条であったのだろう。
「……まだ、響く……! 俺の、頭の中で……!」
『デミウルゴス』は大地に沈んだ体を引き起こし、血にまみれた体を変異させていく。
 偽神細胞が傷を塞いでいくのだ。

 消耗が激しいことは見て取れる。
 これまで猟兵たちが見せたユーベルコードの輝きは凄まじいものであった。
「神様が自分の身内にやられちゃうなんて、本当にどこかのお話みたい」
 藤・美雨(健やか屍娘・f29345)は偽神細胞こそが『デミウルゴス』の無敵性を穿つ一矢となっていることを神話の逸話のように感じていたことだろう。
 御伽噺のようでもあった。
 けれど、己の戦いは現実である。
 逸話を現実に。
 そうする他に己たちが、あの『デミウルゴス』を打倒する術は何処にもないのだ。
 ならばこそ、彼女は奮起し、挑むのだ。

「敵の数が多いのなら!」
 美雨は『拠点破壊部隊』の敵陣の中へと食い込むように走り抜ける。
 それは敵を撹乱するようでもあり、同士討ちを狙うようでもあった。縦横無尽に敵陣の中を駆け抜け、敵の影に隠れたりしながら、匕首を閃かせる。
 鮮血がほとばしるが、美雨の速度は目にも止まらぬものであった。

 殺戮乱舞(トリプロ)の如き彼女の獅子奮迅たる戦いぶりは、凄まじいものであった。
 血風荒ぶ中にありながら、彼女は舞い踊るように。
 彼女の拳が、蹴撃が、剣閃が煌めく度に鮮血が飛び、周囲に死を齎すのだ。
「さあさあ踊れ、しっちゃかめっちゃかにね!」
 美雨の笑う声が聞こえる。
 そんな中でも彼女は冷静であった。敵の数を減らしながら、己が扱える武器を持った『偽神細胞オブリビオン』を品定めしていたのだ。

「あ、それいーね。ちょうだいね!」
 美雨の一撃が『偽神細胞オブリビオン』を打ちのめし、その手に持っていた武装を奪い去るのだ。
 それは偶然にも『デミウルゴス』のもつ大剣に似たものっであったことだろう。
「わー、格好いい剣!」
 お揃いだね、と美雨が笑った瞬間、彼女の頭上に振り下ろされたのは、その断罪の剣であった。
 数多の猟兵たちが消耗させても尚、凄まじい重さを持つ一撃。

 その一撃に美雨の足の骨がきしむ。
 大地が割れ、美雨の体中が悲鳴を上げる。
 けれど、それでも彼女は一歩を踏み出したのだ。己はデッドマン。死を超越した存在であるのならば、負傷など考えてはいられない。
「どれだけ強力な一撃でもさ!」
「邪魔だッ! 死せる者! 死を超越した存在! お前の声は俺には届かないが! 人間を根絶するのを阻むというのなら!」
 薙ぎ払われる大剣の一撃を美雨は周囲に破壊された車両を足場に飛ぶようにして舞う。

『デミウルゴス』が見上げた先にあったのは、こんな荒廃した黄昏の如き終末の空にありながら、翼広げる鶴のように優雅な舞を見せる美雨の姿であった。
 手にした大剣が唸りを上げる。
 偽神細胞から造り出された大剣。
 これならば『デミウルゴス』の無敵性を穿つことができる。
 美雨は『デミウルゴス』を見た。

 殺してくれと願った嘗ての救世の器。
 すでに過去の化身。オブリビオン・フォーミュラとして蘇った彼にとって、救いを求める声も、祈る言葉も、彼の脳を突き立てられる剣にしかならない。
 ならばこそ、美雨は大剣を振るう。
 願いと祈りの器が願うことを己が成さしめようと、渾身の力を籠めた一撃が『デミウルゴス』の体を袈裟懸け期に切り裂く。
「さあ、殺してやろう!」

 その最後の救世の願いを叶えるのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
姿隠しの結界を自分に施し、空中浮遊で浮き、念動力でふよふよ移動して潜入です。

単独の偽神細胞オブリビオンに催眠術で「(デミウルゴスさんを指差し)あそこに猟兵がいます。物陰に隠れて〇分後に攻撃しなさい」と指示。
これを繰り返す。
攻撃が始まれば、UCで拠点破壊部隊の(見て触った)強力な兵器を創造。
デミウルゴスさんに挑む。

かつて救世を目指したフラスコチャイルドの女性を思い出しました。
人を救う事は難しい…。
「真の神でも自己陶酔や欲望等で堕ちる事も有ります。
真であろうが偽であろうが、自分に出来る事で誰かの役に立つ。
ただそれだけで良いと思います。
いつか貴方が生まれ変わったら、そうできますように。」と祈ります。



『デミウルゴス』の咆哮が轟く。
 それは己の身を裂いた猟兵の一撃による痛みではない。
 今も尚彼の頭の中を占める救世への祈りと願いこそが、彼を苛むのだ。
「俺は神ではない。おまえたちの言う神ですらない。偽神だ……! 俺に祈るな! 俺に願うな! 俺はお前たちの全てを滅ぼすしかなくなる……!」
『デミウルゴス』の掲げた大剣が偽神細胞によっていびつなる形へと変わっていく。

 それは彼の内面を示すようなものであった。
 いびつな形。
 歪んだ器。かつて救世主たらんとした器。けれど、その身に宿したのは、偽神。ならばこそ、彼は己が神ではないことを知り、そして人の救世など出来ないと投げ捨てた。
 けれど、その偽神細胞があったからこそ、紡がれた一条の光が在る。
 ストームブレイドと呼ばれる後に続く者たち。彼らがいなければ、このアポカリプスヘルはさらに荒廃を極めたことだろう。
 だからこそ、大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は嘗て在りし救世主たらんとしたフラスコチャイルドのオブリビオンを思い出す。
「人を救うことは難しい……」
 それを痛感した事件であったことだろう。

 詩乃は、姿隠しの結界のままに戦場の空に浮かぶ。
 軍勢とも言うべき『拠点破壊部隊』、その単独で動いた者に催眠術で『デミウルゴス』を猟兵と誤認させ、数分後に攻撃を仕掛けるように指示していた。
 これを繰り返していくのだ。
 軍勢はそのままに。
 けれど、内側から蝕む毒のように詩乃のし掛けた催眠術は『偽神細胞オブリビオン』たちを彼女の手駒へと変えていく。

「人が人を救うことができぬから、人を超えた何かを求める! それが俺であるわけがない!」
 振るわれる一撃が詩乃の体を吹き飛ばす。
 姿を隠していたとしても、気配でわかるのだろう。
 断罪の剣の一撃は、その歪んだ器の迸る力を示すようでも在った。詩乃は頭を振る。
「真の神でも自己陶酔や欲望などで堕ちることもあります。真であろうが偽であろうが、自分にできることでだれかの役に立つ」
 ただ、それだけ良いのではないかと詩乃は戦場に在っても微笑む。

 その瞳にあるのはユーベルコードの輝き。
 神意具象(シンイグショウ)によって生み出された『偽神細胞オブリビオン』たちが持つ強力な武装。
 その創造をもって生み出された巨砲の一撃が号令となって詩乃の催眠術にかかった『拠点破壊部隊』たちが『デミウルゴス』に砲火の雨を降らすのだ。
「お前が真なる神だからこそ言える傲慢……! 俺は、俺にできることなど何一つ無いと知っている……! だから、壊すんだ。根絶する。俺の頭に響く根源を! 俺を駆り立てる祈りと願いを!」
 詩乃はそれでも、と言う。

 例え、何一つできることがなくたっていいのだ。
 神であったとしても全てのことができるわけではない。嘗ての救世主たらんとした者を思い出す。
 過ち出逢ったとしても、残されるものがあった。
 この戦いだって決して無駄でなかったと言える日が必ず来る。

「いつか貴方が生まれ変わったら、そうできますように」
 詩乃は祈らずには居られない。
 それが叶わぬことであったのだとしても。けれど、忘れてはならないのだ。
 彼がいたからこそ、今のストームブレイドが在る。
 彼なくば、世界に光明すら見いだせぬ明日が続いていたことだろう。

「貴方の存在が今を生かす。ただ、それだけは真実なのですから」
 祈るように詩乃が瞳を伏せ、轟雷の如き砲撃が『デミウルゴス』を飲み込んでいくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
誰かに祈りを押し付けて、それで何とかなるはずないだろうにねえ。
まあ、今更どうにかできるものでも無いのなら、戦うしかないか。

さて、軍勢を相手にしつつそれを利用して攻撃するなら、
【轟嵐雷駆】で全部吹き飛ばそうか。

突進の衝撃波で拠点破壊部隊を吹き飛ばしながら進んで、
吹き飛ばした偽神細胞オブリビオンたちをデミウルゴスにぶつけて攻撃するよ。

後は突進でデミウルゴスの所にたどり着くまでに、
適当に偽神細胞で出来た物を掴んで突進の勢いのまま叩きつけようか。

あたしも大概暴力しか出来ないけどさ、
アンタを休ませるくらいはしてやれるよ。



 人の祈りはいつだって勝手なものだ。
 己より高次の存在に捧げる願いは、叶えられれば信仰となろう。けれど叶えられなかった願いや祈りは呪いとなる。
 誰もがより良い明日を願っている。
 当然のことだ。
 生きている以上、それを求めるのが生命というものだからだ。けれど、時として善悪を持つ精神であればこそ、それを凌駕するものがある。
 誰もができることではない。

 だからこそ、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は『デミウルゴス』が咆哮する様を見て今更、と呟いた。
「誰かに祈りを押し付けて、それでなんとかなるはずないだろうにねえ」
 集団から離れて個として生きてきたペトニアロトゥシカにとって、誰かに何かを願うことはなかっただろう。
 だからこそ、『デミウルゴス』の在り方に彼女は同情を覚えても、それをどうにかしようとは思わない。

 確かに善性は尊いことだ。
 尊ばれるべきことだ。けれど、目の前の『デミウルゴス』はどうだ。頭の中に響き渡る祈りや願いによってうめき苦しんでいる。
 これが善性のもたらしたものであるというのならば、果たして善性が全てにおいて最善であると誰が言えるだろうか。
「……煩い……! 俺は、どれだけ言い繕うことがあろうとも!」
 偽神細胞が蠢くように『デミウルゴス』に刻まれた傷痕を防いでいく。
 戦うことはやめられない。

 己と『デミウルゴス』が猟兵とオブリビオンだからではない。
 目の前に懊悩する存在を解き放つためには、戦い倒すしかないとペトニアロトゥシカが理解しているからだ。
「その懊悩も全部――全部吹き飛ばす!」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 雷光と衝撃波を纏った彼女が『拠点破壊部隊』の『偽神細胞オブリビオン』たちを一気に吹き飛ばす。
 迸る雷光はどれだけの軍勢を前にしても怯むことはない。
 あらゆる敵も、車両も何もかもが彼女を止める存在たり得ない。

 もしも、彼女を止めることができるのであれば『デミウルゴス』だけであったことだろう。
「俺の頭の中で、願うな! 祈るな! 俺は神なんかじゃない!」
『デミウルゴス』の咆哮が轟き、偽神細胞が蠢く。
 それは決して倒れることを許されぬ救世主として造られた存在の悲哀であったことだろう。
 なぎ倒し、吹き飛ばす『偽神細胞オブリビオン』たちを圧倒しながらペトニアロトゥシカはまっすぐに突き進む。

 轟嵐雷駆(テンペスト・チャージ)。

 その言葉の通り、黒き竜巻と青白い雷光を解き放つペトニアロトゥシカの嵐が激突するのだ。
 あらゆる戦闘車両を吹き飛ばし、『デミウルゴス』へとぶつけ、彼女の有り余る膂力でもって適当に掴んだ戦車その装甲がきしむ音が響いた。
 人間離れした膂力。
 そう、ペトニアロトゥシカは人間ではない。
 キマイラだ。人と獣と樹が混じり合った人為らざるもの。ならば、偽神に至った『デミウルゴス』を理解できるのもまた彼女。

「あたしも大概暴力しか出来ないけどさ」
 煌めくユーベルコードの輝きが瞳にある。
 彼女が見据えるのは『偽神』ではなく、喪った人としての存在。哀れとは言うまい。憐憫の瞳で見ることはあるまい。
 ならば、ペトニアロトゥシカはいかなる感情を宿す瞳で彼を見ただろうか。

「――アンタを休ませるくらいはしてやれるよ」
 それは即ち、死の安寧。
 彼が人の祈りと願いでもって懊悩するのならば。そうしなくて済むようにする。ただ、それだけしかできない。
 けれど、それでいいのだ。
 過去になった忘れさられし者。それがオブリビオン。ならば、今は眠れとペトニアロトゥシカは渾身の力を持って『デミウルゴス』へと一撃を叩き込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
作られた偽物の神か
人々の思いを受け続けるなんて
人間には無理だよね

信仰を力に変えてるって事は
たぶん邪神は平気なんだろうね
体験したくはないなぁ

まずは拠点破壊部隊を搔い潜ろうか
ガトリングガンの掃射で隙を作り
ワイヤーガンを手に駆け抜けるよ

相手の攻撃はワイヤーガンの射出・巻取で躱したり
他のオブビリオンを盾にしたり
跳躍からの空中浮遊でタイミングをずらしたりして凌ごう

ワイヤーで偽神細胞オブリビオンを切り落とし
武器を奪って攻撃

さらに複製創造で偽神細胞オブリビオンを複製し
生命創造で複製を使い魔として戦わせ
そのまま乱戦にして敵の同士討ちも狙ってみようか

良い感じに混乱してきたら
強化された偽神断罪剣を複製し攻撃するよ



 人の救世の願いと祈りが生み出した狂信たる存在。
 それが『偽神細胞』の根源たる『デミウルゴス』であったのならば、人の善性が歪んた結実であったことだろう。
『デミウルゴス』は猟兵たちとの戦いでその身を消耗し続けていた。
 けれど、偽神細胞は彼が倒れることを拒絶する。
 それがどれだけ『偽神』であったとしても、人の祈りと願いが彼を立たせるのだ。
「……頭に響くんだよ。願ってばかりで、祈ってばかりで。自分自身の足で歩くことなく、誰かに手を差し伸べてもらうことばかり考えているから」
 だから、こんなにも己の頭の中で声が響くのかと、その瞳は怒りに満ちていた。

 己を此処まで追い込んだ猟兵に、ではない。
 己の頭を占める祈りと願いを発する人間に対する怒りであった。
「救われたければ、勝手に自分を救えばいい……!」
 手にした偽神細胞で出来た大剣が巨大化する。
 断罪の剣が振るわれ、大地を割り、衝撃波が佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)に迫る。

「造られた偽物の神か。人の思いを受け続けるなんて、人間には無理だよね」
 晶は衝撃波を受け止め吹き飛ばされる。
 体は傷だらけになるだろう。噴出する血潮は痛みを訴える。けれど晶の瞳は『デミウルゴス』を捉えていた。
「信仰を力に変えるってことは、多分邪神は平気なんだろうね。けれど――」
 晶は己の痛みよりも、『デミウルゴス』の咆哮に胸を痛めただろう。
 神を宿す身と、神為る者。
 そこに違いがあるのだとすれば、一人であるかそうでないかという違いでしかないのだろう。

 もしも、彼にもうひとり誰かがいたのならば。
「きっとそうはならなかっただろうに」
 晶は『拠点破壊部隊』の軍勢に飛び込む。
 ガトリングガンの掃射で隙を造り、ワイヤーガンを片手に駆け抜ける。迫る軍勢は猟兵を駆逐せんと車両や戦車で晶をおいたてる。 
 さらに悪いことには『デミウルゴス』の断罪の剣もまた己を狙っている。
 大地が割れ、衝撃波が飛ぶ。

 そんなさなかをワイヤーガンを利用して躱し、血にまみれながらも晶は疾走るのだ。
「その懊悩を解きほぐしてあげたいなんて言わないさ」
 どうあっても目の前の敵は、倒すべき敵だ。
 ワイヤーで切断した『偽神細胞オブリビオン』の腕を掴んで、武器を奪取して引き金を引く。
 弾丸がばら撒かれ『デミウルゴス』の体を穿つ。
 けれど、浅い。

 晶の瞳がユーベルコードに輝く。
 その瞳は見た。複製創造(クリエイト・レプリカ)に必要なものは実際に実物を見ることである。
 これまで見てきた『偽神細胞オブリビオン』を複製し、使い魔として己の盾とする。けれど、その盾すら『デミウルゴス』の放つ大剣の一撃で薙ぎ払われてしまう。
 凄まじい力。
 ストームブレイドの原型となった力。
「でもね、誰かを傷つけて平気な顔をしているようには思えないから、『殺してくれ』なんて言うのさ」

 確かに人の善性たる祈りや願いが齎した結果が『偽神』たる『デミウルゴス』なのだろう。
 けれど、そこにはあったのだ。
「君が救世主たらんことを、と願われたことは間違いなんかなじゃい」
 晶の瞳がユーベルコードに再び輝く。
 複製されるのは『デミウルゴス』の大剣であった。
 断罪の剣は今此処に二振り。
「間違いなんだよ!」
 振り下ろされ、激突する互いの断罪剣。その激突は凄まじい衝撃波を生み出し、周囲の『偽神細胞オブリビオン』たちを吹き飛ばし、互いをも吹き飛ばす。

「それでも善だった」
 晶は踏みとどまり大剣を振り切る。
 その一撃でもって、嘗ての救世主たらんことを願われた器に手向けとするのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
人生を楽しめないというのは悲しいことだね。
よろしい。喜びたまえ。君に死という名の救いをあげよう。

拠点破壊部隊の偽神細胞オブリビオン相手に『シドンの栄華』を発動。原子まで分解『破壊』してその偽神細胞の構造特性を把握。しかる後に偽神細胞製の黄金の大剣を『創造』します。

さあ、これで君を殺せる剣が出来た訳だ。

その後はデミウルゴス相手に剛柔自在に偽神細胞製の剣を振るって戦います。
敵POWUCの変化する肉体を『破壊』の特性を持った衝撃波で散らした後、間合いを詰めて大上段からの唐竹割りを放ちます。(怪力×鎧砕き×功夫)



 断罪の剣が激突し、衝撃波が周囲に破壊を齎す。
 それは凄まじいの一言に尽きるものであったことだろう。
 かつて救世主たらんことを願われた器は、その身を偽神細胞によって復元させ、倒れることを拒絶していた。
 いや、拒絶していたのではない。
 倒れることを許されないのだ。
 なぜならば、その身は救世主。偽であろうと神へと至らんとした人の願いと祈りの結実であるから。
「なぜ、俺は倒れない。なぜ俺の頭には祈りと願いが届く。なぜだ」
 偽の神。

 神に至ることのできなかった器。
 なのに、己は神としての権能の如き力を振るい、頭の中には人々の救世への祈りと願いが流れ込んでくる。
 それがどうしようもなく不快だったのだ。
「人生を楽しめないというのは悲しいことだね」
 その前に立つのがシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)であった。
 彼の瞳がユーベルコードに輝く。

 それは一瞬であった。
 創造の魔力と維持の魔力、そして破壊の魔力が渾然となって放たれるは、シドンの栄華(デウス・アニマ)。
 原子まで分解破壊する力によって『拠点破壊部隊』の『偽神細胞オブリビオン』を構成している特性を把握し、一撃のもとに彼らを吹き飛ばすのだ。
「――……人生を楽しむだと? この荒廃した世界にあって何を楽しむ。苦しみしかないから、俺の頭には今も尚祈りが、願いが流れ込んでくるのだろうが!」
 偽神細胞が蠢き、漆黒の大剣、断罪の剣が振るわれる。

 飛び込む『デミウルゴス』の速度は凄まじいものであった。
『偽神細胞を持たぬ者からの攻撃を無効化』する『デミウルゴス』の無敵性を考えれば、確かに単純であれど猟兵にとっては絶大な攻撃であったことだろう。
「よろしい。喜びたまえ」
 シーザーの瞳がユーベルコードに輝く。
 分解した『偽神細胞』を全て解析することはできなかった。

 けれど、『拠点破壊部隊』を分解した一撃は、新たに再構成することによって彼の手に黄金の大剣を創造させる。
「君に死という名の救いをあげよう」
 手にするのは『偽神細胞』によって生み出された大剣。互いの大剣が激突する。
「さあ、これで君を殺せる剣が出来た訳だ」
 剣戟が響き渡る。
 嵐のように互いの間に激突しては火花を散らす。

 ストームブレイド。
 それこそが『偽神細胞』なくば生み出されることのなかった人の営みを護る力。
 死の拒絶反応が齎される生命を削って戦う力。
 猟兵にも多くいるだろう。けれど、彼らは己の生命を省みることはなかった。かつての救世の思いは、今も尚引き継がれているのだ。

 だれかのためになりますようにと紡がれてきた祈りや願いが間違いであるとは言えない。
「その祈りや願いが人の心を押しつぶすとなぜわからない!」
『デミウルゴス』が振るう大剣の一撃がシーザーを捉える。 
 黄金の大剣がきしむ。
 凄まじい力の激突が互いの間に流れては、その力がどれほどのものであるのかを知らしめるだろう。

「君がそれに耐えうる、いや……人の思いを受け止めるだけの素養があったからこそ、『偽神』であっても、人の願いや祈りを知ろうとしたのだ。誇りたまえ。それは誰もができることではない」
 人が為る神。
 まさしく、正しい意味での救世主。
 だからこそ、シーザーは、その心が救われることを願うだろう。いや、願うことはしない。

「私がそれを為そう。君の救いを私が」
 放たれる黄金大剣の一撃が大上段からの一撃を繰り出す。
 それは尋常ならざる膂力と凄まじい技術に寄って繰り出される一撃であった。唐竹割のように漆黒の大剣をも両断し『デミウルゴス』の体すらも切り裂いた。
「――これもまた一つの救いだよ。かつての救世主。君は確かに世界を紡いだのだよ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミコト・イザナギ
☆流血負傷アドリブ歓迎

同じ"偽物"である事に共感を覚えますが
神は成りたくてなるものではありません
祀られてしまえば誰とて神に成ってしまうのです
故に諦めか死のどちらかを受け入れましょう

耐えられないのなら自殺が最適解
なのにそんな覚悟もないアナタにはお似合いな苦境ですね、ハハハ!

三摩耶形で怪力乱神と行きましょう
ケガ?後遺症?命を削る?
どうでもいいです、喧嘩します
転がる武装を拾っては使い捨て
突っ込んでくる戦闘車両を誘導して事故らせ
偽神細胞オブリビオン自身をひっ掴まえて棍棒のようにぶん回す

ぐだぐだ言ってないで殺りましょうよ
理由なんて美人なグリモア猟兵に頼まれたとかで十分
さあ、何のために戦いますか、アナタ



 一刀のもとに両断された『デミウルゴス』の身体が失墜するさなか、その身に宿した偽神細胞が蠢き身体をつなぎとめる。
 敗北を是とはしない。
 己は人が為る神。
 ならば、そこに敗北はあってはならない。
 嘗て願われた救世主としての存在は、己の意志ではなく、己の頭に響き続ける人々の祈りと願いによって敗北を認めない。

 蠢く偽神細胞が両断された身体をつなぎとめ、『デミウルゴス』を立ち上がらせる。
「これが人の願いだ。人の祈りだ。誰かに託し、誰かに救われたいと願うエゴそのものだ。これが、人の本質であり、善性であるというのならば」
『デミウルゴス』が咆哮する。
 人の願いと祈りに翻弄されるだけの人生であったと彼は己の身を苛む人の善性を恨む。

「俺は悪性でいい。悪でいい。あらゆる生命を根絶する。俺の安寧のために――!」
 迸る咆哮を前にミコト・イザナギ(語り音の天狗・f23042)は何を思っただろうか。
 そこにあったのは共感。シンパシーであった。
「同じ“偽物”でありますが……神に成りたくてなるものではありません。祀られてしまえば、誰とて神に成ってしまうのです」
 ミコトにとって、神とはそういうものであった。
 拒絶も何も出来ない。
 その拒絶こそがストームブレイドの抱える死の拒絶反応であったのならば、皮肉なことにミコトは既に諦めているのだろう。

「耐えられないのなら自殺が最適解。なのに、そんな覚悟もないアナタにはお似合いな苦境ですね、ハハハ!」
 ミコトは『拠点破壊部隊』の軍勢の中に飛び込む。
 その瞳はユーベルコードの輝きに爛々と輝いていたこだろう。己を止める者も、縛る者もない。
 今此処で彼は自由そのものであった。
 己の身に降りかかる傷や、後に残るであろう苦痛も、生命を削るが如き戦いも、そんな事何一つミコトの足を止める理由にはなりはしないのだ。

 今彼の頭の中にあるのは。
「どうでもいいです、喧嘩します」
 そう、それだけなのだ。
 互いに“偽物”ならば。遠慮なんて要らない。互いの額がぶつかり、鮮血が迸る。
「苦境? これが? この程度が苦境だと! 人の、人の、世界は、これ以上の地獄だろうが!」
 振るわれる漆黒の大剣がミコトの身体を引き裂く。
 けれど、そんなことなど些細なことだ。数多の猟兵たちが紡いできた戦いの軌跡がそこかしこに転がっている。

 彼はそれらを手にとってがむしゃらに『デミウルゴス』に叩きつける。
 使い捨てるように叩きつけ、ひしゃげたガラクタを放り投げ、それでもミコトは『デミウルゴス』と“喧嘩”をするのだ。
 戦いですらない。
「ぐがぐだと言ってないで、殺りましょうよ」
 これは喧嘩だ。ただの喧嘩。それも生命の取り合い。

 救世主たらんことを願われた存在など、己の目に映っていない。三摩耶形(サンマヤギョウ)によって己の身体は健康そのものだ。覚醒した意識が言う。
 ただ殴り合おうと。
 彼と『デミウルゴス』の戦いに巻き込まれた『偽神細胞オブリビオン』の身体を捕まえ、それをまるで棍棒のようにミコトは叩きつける。

 そこには理性的な戦いなどなかった。
 ただ喧嘩そのもの。
「さあ、なんの為に戦いますか、アナタ」
 この期に及んで未だ救世の願いと祈りを根絶するなどとは言わせない。
 目の前の『デミウルゴス』は確かに悪性であろう。ねじれ、ねじれ、善性が裏返った。
 けれど、人の善悪など表裏一体そのもの。

 ならば、己は何のために戦う。
「我欲を押し通す誓願を果さんが為、今この時、我が身を刃と為さしめん」
 ユーベルコードの輝きが世界に齎すのは、救世主たらんとした嘗ての器の破壊。
 きっとガワを取り払ってしまえば、そこにあるのは、やはり救世への願いと祈りだけであろう。

 初めにそれがあったからこそ、『デミウルゴス』はストームブレイドの根源たる細胞を残したのだから。
 叩きつけた一撃を持って、ミコトは己の戦う理由を叫ぶのだ。
 単純明快に。
 世界はこんなにも簡単に救われるのだと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
神として造られた偽神。造られた瞬間から、自分を、存在を否定され続けているのか。
それはいかほどの苦しみか、悲しみか……何にせよ、自分は壊すだけだ。お前の何もかもを!
壊すのは自分の領分だ!!

亡国の主を操縦。パルスガトリングの弾幕で車両を破壊し、ロープワーク、BS-B朧影の触手でレイダーに生命力吸収。同時に奴らの持つ偽神細胞を吸血、主に取り込み、【破壊翼】を発動。

亡国の主、そして、取り込んだ偽神細胞とも融合。これで守りを貫ける!崩壊霊物質を纏うRX騎兵刀2本を早業でデミウルゴスへ叩きつけながら、全てからデミウルゴスを隔離するように、翼を広げて覆い、羽根を放つ。
全てを壊すように、呪詛の祈りを込めて。



「神として造られた偽神。造られた瞬間から、自分を、存在を否定され続けているのか」
 同時にそれは自責であったことだろう。
 神に至ることのできなかった器。
 望まれた力を発露できなかった存在。
 その悔恨が己を『偽神』と称する。それが『デミウルゴス』というオブリビオン・フォーミュラの根源であった。
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はジャイアントキャバリア『亡国の主』に破壊の意志をみなぎらせ、戦場を疾駆する。

 パルスガトリングの弾幕が『拠点破壊部隊』の車両を破壊し、その残骸を機体から飛び出したケーブルが突き刺し、その機体に『偽神細胞』を吸収していく。
 死の拒絶反応が己の身体を苛む。
 けれど、小枝子は構わなかった。
 元より己の身は悪霊。自覚なき悪霊であったとしても、充満する死の気配に己の身体が全身をかき立てるがごとき怨念に支配されるだろう。

「それはいかほどの苦しみか、悲しみか……何にせよ」
 苦しみにあえぐ小枝子は言う。
 目の前の『デミウルゴス』を見据える。そこにあるのは、救世の器。
 人に願われ、祈られ、至ることのできなかった器は、決壊することもできずにその場にとどまり続ける。
 それは世界を破壊する行いだ。
 だからこそ、小枝子は咆哮する。
「自分は壊すだけだ。お前の何もかもを!」
『亡国の主』の背より噴出するのは『偽神細胞』によって生み出された破壊翼(カスラクライム)。

「壊すのは自分の領分だ!」
「壊せるものならば、壊してみるがいい! この人の善性の結実を! 人の業を! 願いを!」
『デミウルゴス』の掲げる大剣が暴風を生み出す。
 黒き竜巻。
 オブリビオン・ストームすらも喰らう狂乱の嵐。その力の発露は、確かに嘗ての救世主。
 人の荒廃した世界に、一条の光を齎した輝く。
 彼の存在無くば、ストームブレイドは存在していない。人の希望は紡がれることはなかっただろう。

 その一縷の望みこそが、かつての彼を形成するものであるのならば、それこそを破壊するのだと小枝子もまた咆哮する。
「壊す」
 破壊翼から放たれた崩壊霊物質が『偽神細胞』の力を取り込んで、巨大な二刀の騎兵刀が振り下ろされる。
 大剣とぶつかり、嵐と崩壊の力が激突する。

「壊せるものか、この世界に人という生命が在る限り。潰えぬ限り、この願いと祈りは壊すことなど!」
 やはり、救世主なのだろうと小枝子は思った。
 けれど、壊す。
 それがいびつな器となっているのならば、壊す。壊して、壊して、己が壊れてもなお、壊してみせる。

 それは世界を破壊する行いであるからだ。
「全てを壊す!!」
 破壊翼が巨大化し、『デミウルゴス』を包み込む。そして、その羽根が凄まじい勢いで嵐の中を飛ぶ。
 目の前の敵を壊せと、そのいびつな救世の器を破壊せよと小枝子は己の心に溢れる破壊の衝動と共に突き進む。

 叩きつけた騎兵刀がへし折れた。
 けれど、構わない。
 叩きつけた『亡国の主』の拳が割れる。構わない。
「これが呪詛であってもいい。お前を取り巻く、お前が望んで、望まない願いの全てを――」
 壊すのだと。

 放たれた羽根が『デミウルゴス』の身体を貫き、暴風の中から吹き飛ばす。
 嵐の中に小枝子は佇むしかできなかった。
 もしも、『デミウルゴス』の中に救世の祈りと願いしかなかったのならば、小枝子は呪詛の祈りを込める。

 ただ、救世主たらんことをと願われるのではなく。
 その役割をこそ壊すこと。
 それだけを彼女は祈り、嵐を超えた『デミウルゴス』の行く末を見やるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

●UC『神知』使用(【念動力・敵を盾にする・怪力・不意打ち・なぎ払い】を強化)

オーケー!つまり彼らを上手く使ってダメージを与えればいいんだね!
じゃーまずは[ドリルボール]くんたちよろしくー!
とクソデカドリルボールくんたちで「拠点破壊部隊」をザーーッ!となぎ払ってもらって…
その「残骸」全部を[神様の影]に収納!

念動力で圧縮して大質量塊、武器兼盾として上空で影から取り出し一気にドーーンッ!と念動力と怪力で叩き付ける!

別段、祈りの声なんてまともに聞かなくてもいいんだよ?
ただ聞いて、受け入れてあげる…神さまなんてそれだけでいいんだよ
救うのはセルフでオーケー!
ボクはそうしてる!



「オーケー! つまり彼らを上手く使ってダメージを与えればいいんだね!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はけたけたと笑いながら、いつものように己の力を発露させる。
 神知(ゴッドノウズ)。
 それは己の持てる神たる技量の全てを底上げする力。
 あらゆる不可能を可能とする力であった。
 汎用球体型掘削機械『ドリルボール』が掘削刃を高速回転させて空に舞い上がる。

 大地を疾駆する『ドリルボール』が『拠点破壊部隊』である『偽神細胞オブリビオン』たちを根こそぎ破壊し、取り込んでいく。
 徐々に巨大化していく球体を前にロニはまだ笑っていた。
 根こそぎ、というのはいつだって神の特権であろう。
 あらゆるものを飲み込む大洪水も。あらゆるものを砕く雷も。
 何もかもが神たる者の力の象徴であったことだろう。

 あらゆる『偽神細胞オブリビオン』の残骸を取り込んだ球体は、その内部でロニの念動力によって圧縮されていく。
「別段さ、祈りの声なんてまともに聞かなくてもいいんだよ?」
 ロニは数多の猟兵に寄って消耗しきった『デミウルゴス』を見下ろす。
 神はいつだって見下ろす。
 それは見守っているとも言えるし、睥睨しているとも言えるだろう。

 見上げる者はいつだって神を仰ぐものである。
 けれど、『デミウルゴス』は答えない。破壊の翼に貫かれ、その身に宿した『偽神細胞』の働きすらも破壊されながら手にした大剣を握りしめる拳だけが反応した。
「ただ、聞いて、受け入れてあげる……神様なんてそれだけでいいんだよ」
 ロニは構わず告げる。
 神とはそんなものでしかないのだと。
 救世主たらんことを望まれた器にとって、それは確かに神為らざる『偽神』であるからこそ至れぬ境地であったことだろう。

 人の願いと祈りが己という器に満たされる。
 だからこそ、オブリビオン・ストームすらも喰らう力を齎したのだ。
「……認められるか」
 呟いた声が小さく響いた。
 認められるわけがない。それが神であるはずがない。そんなものが神なわけがない。己の求める神たる力は、そんなものでいいはずがない。
 あまねく全てを救うのが神であるはずだと『デミウルゴス』が咆哮し、その漆黒の大剣が偽神細胞を持って、断罪の剣へと変わる。

「認められるものか、そんなこ! 神であるというのならば、人くらい救って見せろ!!」
 振るわれる極大の大剣の一撃がロニを襲う。
 しかし、ロニは笑っていうのだ。
「救うのはセルフでオーケー! ボクはそうしてる!」
 人は救われるのではなく、自身で救うものであると、彼は言う。

「はい、ド――ンッ!!」
 圧縮された『偽神細胞』の塊が断罪の剣と激突し、振り上げられた刃を叩き伏せるように大質量でもって撃ち込まれる。
 きしむ大剣がへし折れ、球体の如き『偽神細胞』が『デミウルゴス』を穿つ。
 認められない。
 あれが神であると認められない『デミウルゴス』はやはり人であったのだろう。
 有史以来、神は人を救わない。人に手を差し伸べない。語らない。
 ゆえに神である。

 偽神たる彼にはきっとわからないことであろう。
 己にくだされた鉄槌そのものこそが、彼にとっての救いであると――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
なんとも、まあ…難儀なこったな
まあ、いいさ…楽になりたいってんなら
手伝ってやるのが世の情けってもんだろうさ、多分な!

[SPD]
俺に偽神細胞はないからね
だから『拠点破壊部隊』の連中を利用するぜ
宇宙服のパワーアシストを起動
UCも発動して雷球を投げつけながらレイダーから武装や車両を
【怪力、グラップル】で強引に奪い取ってデミウルゴスに攻撃するぜ
弾切れになったら【投擲】なり蹴り飛ばしてぶつけるぜ

敵の攻撃は【第六感、見切り】で避けるか
【戦闘知識、瞬間思考力】でレイダーの攻撃が
デミウルゴスに当たるように誘導して対処な

攻撃手段が敵頼りで決定打うてないから
とにかくダメージを蓄積させていく事を意識する

アドリブ歓迎



 凄まじい質量の『偽神細胞』が『デミウルゴス』に叩きつけられ、その一撃が大地を穿つだろう。
 爆心地の如き大地に今も尚立つ『デミウルゴス』は『偽神細胞』によってのみ存在を維持し続けるオブリビオン・フォーミュラとしての力を示し続けていた。
 掲げる大剣がユーベルコードにいびつに輝く。
『偽神』たる己の存在証明。
 それこそが彼の掲げる大剣であったことだろう。

 破壊を齎すだけの力。
 救世主たらんことを願われた器であれど、できることはオブリビオン・ストームを喰らい、破壊することだけ。
 その姿のどこに救世主がある。
「これが救世主であるわけがない。偽神にしかなれない。神に至ることもできない。この力の何処が救世主だ! 答えろ!!」
 されど、己の頭の中に響き渡る人の祈りと願いは、答えない。

 ゆえに、『デミウルゴス』は懊悩し、その根源たる人の生命を断罪しようというのだ。
「なんとも、まあ……難儀なこったな。まあ、いいさ……楽になりたいってんなら」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は宇宙服のパワーアシストを全開にし、『拠点破壊部隊』の軍勢の中をひた走る。
 彼の瞳にはユーベルコードが輝いていた。
「手伝ってやるのが世の情けってもんだろうさ、多分な!」
 サンダークラップの音が響いた瞬間、いや、それよりも早く広がる電撃が『偽神細胞オブリビオン』たちの身体を穿つ。
 次々と投げ放たれる電球から広がる雷撃は音よりも、何よりも早く広がり、彼らを穿つのだ。

 抵抗も何もあったものではない。
 気がついた時にはすでに手遅れなのだ。
「他の連中が数を減らしてくれてるおかげかもしれんが……! これだけあれば十分ってもんさ」
 宇宙服のパワーアシストを全開にした祐一の膂力が『偽神細胞』で構成された車両を持ち上げ、『デミウルゴス』へと投げつける。
「お前たちには聞こえないのだろうな。この救世の願いと祈りが……! だからこそ、俺はお前たちを滅ぼさなければならない。俺が根絶したいと願う人間共を護るのならば!」

『デミウルゴス』の大剣が断罪の剣となって祐一を襲う。
 投擲した車両と剣が激突し、一瞬で車両を融解させながら祐一へと叩きつけられる。凄まじい衝撃波が吹き荒れ、周囲に破壊を齎すように大地すらも割っていく。
 その中心で祐一は盾にした戦車の装甲を重ねて大剣を押し返していく。
「オオオオ――ッ!!」
 咆哮が迸る。
 祐一の身体は何処もかしこもが血だらけであった。宇宙服のアシストがあっても、限界を超えている。
 けれど、彼の瞳にはユーベルコードが輝いている。

 迸る雷撃を纏いながら、戦車の装甲を盾に大剣を押し返すのだ。
「楽になりたいなんて嘘だな! お前は!」
 祐一は叫ぶ。
『デミウルゴス』は全ての人間を根絶するか、己を殺してくれと言った。
 楽になりたいからだと。
 けれど、祐一は気がついていた。
 アポカリプス・ランページが引き起こされてから、十分な時間はあったのだ。わざわざこのデモイン砦に軍勢を集結させる必要などなかった。
 拠点を襲えば、すぐに人々は抵抗できなかっただろう。

 けれど、此処まで時間を賭けたのはなぜだ。
 止めてほしいからだ。
「やっぱりお前は救世主の器だったんだよ。どれだけ悪性を振りかざしたところで、その根っこにある、誰かを救いたい、助けたいっていう願いがあったからこそ!」 
 それが呼び水になって人の願いと祈りを己の中に引き込んだのだ。
 偽りであるとは言わせない。
 例え、神であることが偽りであったのだとしても、その思いと根源だけは否定させはしないと。

 祐一は己にできることが決定打にはならぬと知っている。
 けれど、それでも戦うのだ。
 押し返した装甲を、そのまま有り余る雷撃と共に『デミウルゴス』へと叩きつけ、己の在り方を否定する心をこそ、打倒せんと拳を振り切るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
たとえ貴方が救いを求めようと、祈りの声を掻き消させる訳には参りません
…私は、騎士なのです

格納銃器の残弾気にせぬ乱れ撃ち
怪力で振るう剣と盾で拠点破壊部隊を●蹂躙
偽神細胞武装や兵器をうず高く積み上げ
UC起動、それらを材料に偽神細胞を装甲や躯体に取り込みストームブレイド化、偽神盾と偽神剣を生成

ギ…ガッ…ぐぅうう
こレで、真っ当に打チ合ルといウもの!

背負った電脳剣の●防具改造と武器改造で拒絶反応を抑え込み●継戦能力向上
偽神強化状態で超高速近接戦闘

さア、私を見なサい、戦イなサい!
声ナド意識すル暇も与エはしナい!

切り結び
打ち倒し
武器を無くせば殴打に蹴り

それが、苦しむ貴方に騎士として出来る唯一の…

ガぁァ…!!



 救世主の根源たる思いを否定させぬという拳が振り抜かれ『デミウルゴス』が吹き飛ぶ。
 大地を跳ねるようにして『デミウルゴス』の身体が沈む。
 けれど、その身に宿した『偽神細胞』は敗北を認めない。
 己が神であることを認めぬように。
「俺は神ですらない。ただの器ですらない。この思いは偽りであったはずだ。誰も救えない。誰も救わない。そんなものが神であるはずがない――!」
 吹き荒れるは暗黒の竜巻。
 暴風の中で明滅するユーベルコードの輝きを前に、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は立つ。

 己を今此処に立たせるものは何か。

 その自問に答えは在るのか。
 否。すでに心のなかにある。どれだけ打ちのめされようが、どれだけの矛盾を抱えていようが、最早揺らがぬ物がある。
 己の心にと問いかけよ。
 己は何だ。己をなんと規定したか。その根源を知れ。
「例え貴方が救いを求めようと、祈りの声をかき消させる訳には参りません」
 そして、答えを紡ぐのだ。
 己が何であるかを。心に従えという声が響く。
「――……私は、騎士なのです」

 暴風のように襲い来る『偽神細胞』の強毒化した散弾の如き雨。
 それらを格納銃器の残弾など気にせずに乱れ打ち、剣と盾で『拠点破壊部隊』を打倒しながら突き進む。
 己の装甲がひしゃげ、砕け、『偽神細胞』に侵食されても構わなかった。
 拒絶反応が装甲を蝕んでいく。

 電脳にエラーメッセージが明滅する。
 構わなかった。突き進む。己の心に在るものに従うのならば、その己という存在を確立せんとするエラーなど無視する。
 それができるのがトリテレイアという存在だ。
「騎士ならば――!」
 電脳禁忌剣・通常駆動機構:兵装改造『妖精の導き』(ウェポンカスタマイズ・スティールフェアリーズ)が起動する。

 彼が打倒した『偽神細胞オブリビオン』や戦闘車両や武装の尽くをうず高く積み上げ、それらを材料に偽神細胞を装甲や躯体に取り込む。
 それはウォーマシンであっても耐えることのできない負荷であったことだろう。
 死の拒絶反応は、それほどまでに凄まじいものであった。
 けれど、トリテレイアはやめないだろう。
 己が機械の身体であるからではない。

「ギ……ガッ……ぐぅうう……こレで、まっとうに打チ合エルといウもの!」
 すでにその躯体は偽神へと至る。
 盾と剣もまた同様である。そこにあるのは、偽神細胞の為せる業。暗黒の竜巻と化した騎士が疾走る。
「さア、私を見なサい、戦イなサい!」
「お前たちはいつだってそうだ! それが救世主たらんとする証であろうというように、自分の肉体すらも厭わずに、立ち向かう!」
 ここに『デミウルゴス』の無敵性は崩れた。

 大剣と剣が打ち合い、大盾が拳と激突してはひしゃげる。
 剣戟の音がひびきわたり、世界に響く音すらも塗りつぶしていく。
「声ナド意識すル暇も与エはしナい!」
 大剣と剣が激突し、砕ける。
 大盾の殴打は『デミウルゴス』の拳に寄ってひしゃげ、引き剥がされた。残るは拳のみ。
 互いの息は荒い。
 互いに満身創痍。傷だらけであり、トリテレイアに至っては装甲の殆どが侵食され、砕けて落ちた。

 されど、止まらない。
 そう、『デミウルゴス』が嘗て、己の身体すら厭わずに救世主たらんとしたのと同じ様に。
 世界を救うために。
 人を救うために。
 そして、何より、目の前にいる『デミウルゴス』をも救わんとするようにトリテレイアという『騎士』は足を踏み出す。
 フレームがきしんだ。脚部がへし折れた。けれど、構うことはなかった。

「俺は、救世主じゃあない! 神ですらない! なのに……! それでもお前は! 騎士であらんとするのか!」
「そのとおリです。それが、苦しむ貴方に騎士トシテできる唯一の……」
 もはやユーベルコードも、電脳禁忌剣もトリテレイアにできることはなかった。
 けれど、彼は足を止めない。
 拳を止めない。
 痛みにあえぐことなどウォーマシンにはできない。

 だからこそ、その炉心に燃えるのは騎士道精神。
 たった一つの確かなことだ。トリテレイアが戦う意味にして意義。何のために己があるのかというレゾンデートル。
 もはや、自問する意味もない。
 自責に寄って自傷を為す存在が目の前にいる。神に至ることのできなかった器、救世主たらんとした器、傷ついた心を目の当たりにして彼ができることはたった一つ。
 アイセンサーが煌めく。
 呻くように絞り出した最後の一撃が『デミウルゴス』を捉え、吹き飛ばす。

 トリテレイアは折れた脚部フレームを大地に突き立て立つ。
 未だアイセンサーには輝きが満ちている。炉心に燃えるは己が騎士であるという誇り。
 例え、どれだけ傷ついたとしても、護るべきものを傷つけさせはしないと。
 此処に救世の騎士は、立つのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルドラ・ヴォルテクス
【心情】
昏い慟哭が聴こえた。
デミウルゴス……神にもなれず、ヒトにもなれぬ、自分が何者かである自由すらも奪われ、苦しみ嘆く者。
俺はおまえを終わらせる者、嵐の剣のルドラ。

『オーバーロード発動、左腕インドラ、右腕スカンダ、闘神形態解放』

【ジャガンナート、掃討】
敵軍隊はインドラの発雷で、電磁パルスの要領で動きを止める。
動ける一般兵はタービュランス&スカンダの暴風で一掃。

アタルヴァ・ヴェーダ、生きている兵器はハッキングして使え、牽制になる。

断罪の剣、放たれた偽神細胞は暴風と雷撃で迎撃、ジャガンナートの本質は、進むべき道を遮る障害を破壊する力、偽神細胞の毒も例外なく噛み砕く。

援護射撃でデミウルゴスの気を引いたら、断罪の剣の鋒を地に伏せる、アレはもう使わせない!
ジャガンナートの力が顕現している内に、チャンドラーエクリプスを双剣とし、双腕に宿る力と共に決着の一刀を。

デミウルゴス、おまえの苦しみも嘆きもここで終焉させる、神に非ず、ヒトに非ずとも、その安寧は全ての者に等しくあるべきものだから。



 数多の猟兵が紡いだ戦いの軌跡が見せたのは、『デミウルゴス』という、嘗ての救世主としての器。
 救世主たらんことを願われ、その心の根底にある誰かを救いたいという願いを呼び水にして注がれた人々の願いと祈りに押しつぶされた存在。
 それが『デミウルゴス』であり、ストームブレイドという荒廃した世界に一縷の望み、希望を紡いだ根源。

 叩きつけられた拳。
 その頬を打った痛みが、熱を帯びている。
『デミウルゴス』は無敵性を持っている。己を傷つけることができるのは、同じ『偽神細胞』を持つ者だけである。
「俺を、殺してくれ――! 耐えられない。世界を救わなければならないというのに、俺の両腕は届かない。誰にも届かなかったんだ! 誰も救えない力に意味など無い! 破壊を齎すだけの力など! 死を齎すだけの力など!」
 要らないと咆哮が、昏い大地に響き渡る。

「『デミウルゴス』……神にもなれず、ヒトに成れぬ、自分が何者かである自由すら奪われ、苦しみ嘆く者」
 託されたものがある。
 引き継いだ想いがある。
 なぜ、己が今此処に立つのか、その理由をすでに知っている。ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)は奪われた未来を奪還する剣にして、滅びを破壊する力。

 ゆえに、嵐を呼ぶ者――ストームブリンガー。

「俺はおまえを終わらせる者、嵐の剣のルドラ」
 その言葉を『デミウルゴス』は聞いたことだろう。
 すでに己の意志は折れている。紡がれた猟兵たちの軌跡。いつだってそうだ。圧倒的な存在は、いつだって、己よりも小さきものたちが紡ぎ繋いだ力の前に膝を屈する。
 己もまたそうであると『デミウルゴス』は知っている。
 己を打倒してきた猟兵たちの一撃一撃が、その魂を開放せんとしたものであった。その結実が今であるのならば、『デミウルゴス』は咆哮するだろう。

「人々の願いと祈りは、嘆きと苦しみが生み出したもの! ならば、その根源たる俺を――!!」
 溢れる『偽神細胞』が『拠点破壊部隊』を更に生み出していく。
 増殖する善性が反転した悪性。
 その軍勢の如き群れを見据え、ルドラは不可抗の蹂躙戦者(ジャガンナート)へと変貌する。
 あらゆる攻撃は彼を止めるに値せず。

 迸る雷。荒ぶ嵐。
 此処に至るは『超克』――オーバーロード。
 奪われた明日を夢見た。それを奪い返すことばかりを考えていた。此処が終点であるとオブリビオンは言った。
 けれど、それは他者が見定めた終点。
 己は何だ。
『オーバーロード発動。左腕インドラ、左腕スカンダ、闘神形態解放』
 マシンスーツが告げる。
 己はすでに此処に至りて、闘神に為りし者。
 左腕から放たれた電磁場パルスが『拠点破壊部隊』の動きを止める。煌めくユーベルコードの光を受けて、暴風纏う機構剣が解放される。

 放たれる旋風が『偽神細胞オブリビオン』たちを吹き飛ばす。
「『アタルヴァ・ヴェーダ』、生きている兵器はハッキングして使え、牽制になる」
 マシンスーツの機能が拡張され、凄まじい勢いで周囲に点在していた『拠点破壊部隊』の戦車や車両の残骸が壁となって『偽神細胞オブリビオン』たちを押し返していく。

 構えた機構剣に溜め込まれた暴風の力は十分であった。
「俺は、俺自身を断罪しようというのだ。この罪が認められぬ、人が裁けぬというのならば――! 俺が救う価値など無しと! 人を断罪する!」
 漲る力のほとばしりが暗黒の竜巻を纏った断罪の剣より放たれる。
『デミウルゴス』が放つ力は凄まじいものであった。
 けれど、それでもルドラの瞳は輝きを失うことはなかった。暗黒の竜巻を前にしても塗りつぶされることはなかった。

 確かに己の身に在る『偽神細胞』の源流こそ、目の前の『デミウルゴス』より得られたものであろう。
 けれど、ルドラの足を進めさせるのは、それではない。
 造られた生命であったとしても。
 この魂を突き進める衝動は、たった一つを得ている。滅びを破壊する力。

「進むべき道を遮る障害を破壊する力――それが『ジャガンナート』!」
 ルドラの機構剣より放たれる旋風の力が雷撃を纏って暴風となり、断罪の一撃を叩き伏せる。
「――ッ……! この力……! 俺を止める!?」
「ソレはもう使わせない!」
 ルドラが投げつけた機構剣が顎のように断罪の剣の鋒を大地に縫い付ける。決して離さぬ顎となった機構剣は絶え間なく旋風の力を巻き起こす。

 此処に至るは羅睺の刃。
 可変し、二刀へと至る刃は、神に届きし誓いと祈り。
 例え、己の身体に生命が残り少ないのだとしても。その定めすら『超克』せしめるだろう。
 彼の体に流れるのは、生命だけではないことを彼は知っている。
 人が紡いだ。
 猟兵が繋いだ。
 この戦いの軌跡は、やはり奇跡と呼ぶに相応しいものであったことだろう。限界を超える。
 生命を持って、その終点の先へと至る。

「『デミウルゴス』、おまえの苦しみも嘆きもここで終焉させる」
 駆け抜ける旋風が『デミウルゴス』に迫る。
 瞳と瞳が真っ向からぶつかる。けれど、ルドラが見ていたのは、その先だ。終点を齎す者が障害としているのならば。
 それさえも超えていくのがオーバーロード。その道はいつだって己が切り拓くべき道。

「俺は神に非ず」
「お前はヒトに非ずとも」
 互いの言葉が重なるだろう。『偽神』として救世主たらんことを願われ、その願いに応えようとした己の生命の根源。

 それをルドラは雷と嵐の力を発露させ、迸る一閃となって走り抜ける。
 道は歩んだ轍となる。
「その安寧は全ての者に等しくあるべきものだから」
 だから眠れ。
 己の見た未来は、きっと『デミウルゴス』が求めた原点。誰かを救わんとし、誰もが救われた未来。
 終点などにはさせぬという意志が導き出した『超克』の先にこそ、それは在る。

 嵐は去った。
 人が為る神は、此処に終わりを得る。
 ルドラは曇天を切り裂いた先より降りる光の柱を見上げ、己の轍、その背後にて霧消する『デミウルゴス』を振り返ることなく。
 見据えた終点、その先を目指すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月17日


挿絵イラスト