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アポカリプス・ランページ⑧〜Op. Data dig

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ⑧ #締切:2021/9/17_21:00

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#アポカリプス・ランページ⑧
#締切:2021/9/17_21:00


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●昔の記録媒体は取り扱いが大変
「さて、今回はちょっとした雑用でございます」

 いつものようにグリモアベースで猟兵達を集めてブリーフィングを始めるジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)だったが、今回は妙に軽い調子である。

「えーと、時間質量論……何度かフィールド・オブ・ナインが予兆の中で話題に出していた件なのですが、これの詳細を調査しようという運びになりまして。ということで、フィールド・オブ・ナインの一人、マザー・コンピュータの母体となった世界最高の歌姫『マザー』の出身地である旧モンタナ州のセントメアリー・ベースに向かっていただきます。UDCアースやヒーローズアースにおいては山間の小さな町で、キャンプ場とかコテージのある風光明媚な場所なんですが……アポカリプスヘルにおいては大規模な拠点(ベース)が築かれています。まぁ、キャンプ場があるくらいですからな、用地には困らなかったのでしょう」

 スクリーン上に地図を表示させると、ジェイミィは比較資料と称してUDCアースの同一地点を写真で映し出す。自然が豊かで雄大な風景が映るUDCアースのセントメアリーに対して、アポカリプスヘルのセントメアリー・ベースはさながら大規模補給拠点といった印象だ。物資を詰め込んだ大型のコンテナが積み上げられ、その近くには仮設住宅団地が形成されている。

「実はここに、マザーが過去に執筆した論文が残されているんです。その名も『時間質量論』。世界的な歌姫とは言え、一介の歌手が何故このような論文を執筆したのか……その真相は不明です。大学時代の論文なのか、はたまた在野の研究者としても活動をしていたのか。いずれにせよ、この論文はオブリビオンや我々猟兵、骸の海といった世界の謎に迫る大きな手がかりとなるでしょう」

 ただし、とジェイミィは指を立てる。

「この論文を完全に理解するためには付帯する補遺資料やら関連文献やら、それらを全て網羅する必要があるんですね。そうなると当然データというのは膨れ上がるものでして……しかも書かれたのが大昔なので、分割して保存されていたりします。一部は新しいコンピュータに移されたりもしたんですが、大多数は……磁気テープや昔のメインフレームなんかに保存されてまして……」

 セントメアリー・ベースの端にある旧市街地に、当時のマザーが住んでいた家がある。地下室には大型のコンピュータルームがあり、新旧様々なコンピュータが鎮座している他、磁気テープや光ディスク、フロッピー、フラッシュメディアなどがある。それらを物理的に運び出し、技術力のある世界に運び込んで然るべき設備を用いて解析する必要があるのだ。

「データの吸い出しとか、磁気テープからだとその場では難しいですからね。規格が合うコンピュータシステムも用意できませんし、仮に吸い出せたとしても古のデータとなるとデコードに時間がかかります。断片化してたりもしますし……ということで、結局最終的に頼れるのは己の肉体……と作業機械になるわけです」

 即ち、自分の膂力に任せて頑張って運び出すか、何らかの作業機械を使用して運ぶかの二択になる。ただ、この2つの方法にはそれぞれに利点と欠点がある、とジェイミィは注意を入れた。

「まずご自分の肉体を駆使して頑張って運び出す場合はそれなり以上の力を要します。メインフレームとか重さ1トンありますからね。それをそのまま運び出すのは至難の業だと思います。分解する場合は専門の知識が必要ですね。ばらした後データの抽出作業で再度組み立てを行うことも考えられますし」

 バックアップ用磁気テープもひとつあたりおよそ2kgと、こちらは軽量だがその分数が多い。常人が一人で全部運び出そうとすればそれなり以上の時間がかかるのだ。

「ということで、そのあたりは効率を考えていただきたいところです。一方、何らかの作業機械を使う場合は別の注意点が必要となります。具体的には……運び出す対象は精密機械となりますので、丁寧に取り扱うようお願いします。磁気とか近づけるのはもってのほか、落としたりどこかに勢いよくぶつけたりしてもアウトです」

 運搬するには作業機械を繊細に操作する技術が問われることになる。さらに、運搬時も神経を使わなければならない。上手く記録媒体やコンピュータシステムを運び出すためには工夫が必要となるだろう。

「もちろん、他の手段を使うのも有効です。物を縮小して持ち運ぶユーベルコードや、一時的に亜空間等に収納するなどが可能であればそれを行使するのも良いでしょう。人海戦術も悪くはなさそうです」

 なんだかんだ、人数って正義ですからねぇ、とジェイミィは頷いた。そして、運搬の際も注意が必要だという。

「今回開くポータルですが、マザーの生家から少し離れた場所になります。セントメアリーはやや傾斜があるため、歩いて運ぶと体力を消耗します。自前の車両等を持ち込んだり、セントメアリー・ベースで現地のブリンガーと交渉してトラックを借りるなどすると良いでしょう。あるいは、作業機械に積み込めるなら積み込んでしまっても良いでしょうな」

 説明を終えたジェイミィは、猟兵達を現地に転送するポータルを開く。

「と、言うことで皆さん、頑張ってください。ま、いい運動になると思いますよ」

 親指を立てるジェイミィに見送られて、セントメアリー・ベース近辺のランディングゾーンに猟兵達は送り出されるのであった。


バートレット
 どうも、バートレットです。

 今回はセントメアリー・ベースにあるマザーの生家の地下コンピュータルームから、記録媒体やコンピュータを運び出すシナリオとなります。プレイングボーナスは以下の通りです。

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 プレイングボーナス……大量の記録媒体を運び出す。 
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 記録媒体は様々な種類がありますが、特に磁気テープは運び出すのが少し大変です。また、データが残っていることを勘案して、コンピュータそのものも持ち出す必要があります。特にメインフレームと呼ばれるコンピュータは1トンありますので、運び出すのには骨が折れるでしょう。工夫が必要になります。

 そして、注意すべきは記録媒体の取り扱いです。磁気を近づけたり、乱暴に扱うと破損してしまいますので、注意深く運び出す必要があります。そして、グリモアベースとのポータルはマザーの生家から少し離れた場所に開いているため、車両の類を持ち込むか、現地のブリンガーと交渉して借りるなどすると良いでしょう。運搬中も決して落としたりぶつけたりしないような方策が必要となります。

 OP公開後即時受付を開始し、受付状況はタグにてお知らせします。可能な限り全員の採用を目指しますが、キャパシティ次第では皆様のプレイングを採用しきれない可能性があること、予めご了承ください。オーバーロードの使用不使用に伴う採用確度の変化は原則としてございません。その他諸注意はMSページをご確認ください。

 それでは、皆様のアツいプレイングをお待ちしております!
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第1章 日常 『時間質量論を運び出せ』

POW   :    腕力に任せて一気に運ぶ

SPD   :    乗り物や道具を利用する

WIZ   :    より重要そうなデータを優先して運ぶ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

藍沢・織姫
事前に古新聞を丸めたやつ(梱包材)を用意。
磁気のある物は置いて行って、トラックや作業機械は運転出来る人にお願いしておきます。

(膨大な物資を前に)さて、何から手をつけましょう…
建物の外へ持ち出すまでの、運搬機械が入れない部分には私が直接行き、あまり衝撃を与えない方が良さそうな物で宝箱(装備品)に入る物は入れて運び、一人では持ち運びが難しいのはUCで呼び出した騎士による人海戦術!


藤・美雨
重いものを運ぶのは得意だけど、一筋縄じゃ行かなさそうだね
でも頑張れば面白いことが分かるかも!
楽しみだね

私が使えるのはこの身一つだけ……
だから現地の人に車を借りる!
ちょっとどうしても荷物を運ばなくちゃいけなくて……
お礼は食べ物でいいかな
自作の中華まんを幾つか提供
仲間と食べてね

もし運転も請け負ってもらえるなら有り難い
難しいなら頑張って自分で運転するよ
大丈夫!キャバリアよりは簡単だろうし!

準備が出来ればあとは荷物を運ぶだけ
【怪力】を発揮して抱えられるものをどんどん運搬
壊さない工夫は……躊躇なく自分の身体をクッションにすることかな
頑丈で良かった!【激痛耐性】もあるし!
往復してどんどん荷物を積んでいくね


七那原・望
聞いてた通り膨大な量ですね……奪還者の人にお願いしてトラックを借りておいて良かったのです。
運転もしてくれるようですし、わたしは記録媒体の運び出しに専念なのです。

まずはアマービレでねこさんをいっぱい呼んで、手分けして運ぶ予定の記録媒体を結界術で多重にコーティングしていくのです。

壊れやすい物を運ぶ時はしっかり梱包なのです。こうしておけば衝撃が加わったり機械とかで運び出しても大丈夫でしょう。

続いて不退の超重甲兵を発動して力持ちの兵達に運び出しをお願いするのです。
もちろん結界で梱包してるとはいえ丁寧に。

重い物はプレストで運び出しましょう。。
わたしやねこさん達も魔法や念動力で記録媒体を浮かせて運びます。



●現地の協力を得て
「ちょっとどうしても荷物を運ばなくちゃいけなくて……ここのトラックを借りたいんだけど、いいかな」
「おぉ、良いぞ! なんだったら俺が運転してやるとも」
「猟兵さんの力になれるなら喜んで手伝うよ!」

 藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)が代表してセントメアリー・ベースに集まるブリンガーたちに交渉を行ったところ、快諾を得たばかりか運転まで請け負ってくれることになった。美雨は後ろで待機していた2人の猟兵──藍沢・織姫(紺碧の歌姫・f03959)と七那原・望(封印されし果実・f04836)に向き直ると親指を立てる。

「よかったぁ……我々だけで運転というのは難しかったですからね」
「それじゃ、現地に向かいましょうか」

 交渉材料として持ってきた自作の肉まんもプラスに働いたようだ。3人は早速、ブリンガー達が運転するウイングボディのトラックに同乗してマザーの生家へと向かった。

 ◆◆◆

 マザーの生家へと足を踏み入れた3人は、地下室に向かう。廃墟と化していた生家の外観は普通の民家であり、事実地上部分はUDCアースやヒーローズアースのアメリカでは一般的な間取りの一軒家そのものであった。

 しかし地下室のドアを開ければ、そこはそこそこの広さを持ったコンピュータルームと化しており、大小様々なコンピュータが所狭しと並べられ、奥には様々な形態の記録媒体が山と積まれていた。

「聞いてた通り膨大な量ですね……」

 その圧倒的な量の回収対象を前にして、望は嘆息する。視覚を封じられている望だったが、大量のコンピュータや記録媒体の存在は気配で察知できていた。

「さて、何から手をつけましょう……」

 運搬機械が必要なものは他の猟兵に任せて、自分たちは人の手で運び出せるものを中心に運び出そうというのが3人の出した結論となった。そのため、小型のノートパソコンや光ディスク、磁気テープなどを探して持ち出すことにする。

「運ぶ予定の記録媒体はここに詰めましょうか」

 丸めた古新聞を梱包材にして、記録媒体を自身が保有する宝箱型キャリーケースの中に慎重に入れていく織姫。そこに望がアマービレで呼び出した猫を動員し、結界術を利用して衝撃から厳重に守る。念には念を、ということだった。

「ある程度は人手も欲しいですね」
「ユーベルコードでお手伝いを呼び出しますか」

 望と織姫はそれぞれ、ユーベルコードで騎士隊と機械兵を呼び出す。彼女たちの命を受けた騎士隊と機械兵は記録媒体やコンピュータを慎重に運び出していった。そんな騎士隊と機械兵に混じって、美雨もせっせと梱包を終えた物資をトラックに詰め込んでいく。

「頑丈で良かった!」

 デッドマンである美雨の取り柄は頑丈さと怪力だ。騎士隊や機械兵以上に素早く正確に運び出し作業を行う。単調な往復作業だが美雨にとっては楽な仕事であった。いざとなれば自分の身体をクッションにすればいいと考えていたことも、作業スピードの向上に一役買っていた。

 念動力や機械掌「プレスト」を駆使する望も、大型のコンピュータを丁寧に、しかし迅速に運び出していく。しばらく作業を進めていくうちに、トラックの運転手を担当しているブリンガーが声をかけた。

「そろそろ積載量が限界だ、まだ残ってるか?」

 トラックの最大積載量限界まで積み終わり、これ以上積むのは事故の元ということでストップがかかる。まだ量は残っているが、他の猟兵も別個に回収を担当しており、この分だと彼らの作業も勘案すれば全部運び出せるだろうという結論に達した。

「じゃあ、指定した場所まで運ぼうか」

 他の猟兵の仕事まで奪うわけにもいかない。3人は再びトラックに乗り込むと、グリモア猟兵が維持しているポータルまでトラックの運転をナビゲートするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…当たり前だけど機械にも良し悪しや新旧があるのね
私からすれば全部同じに見えるんだけど…

…さて。何を言っているのか半分も理解出来なかったけど、
要するに、此処にある機械を壊さないように持ち運べば良いのね?

…それならば、この術を使いましょうか

事前に右手の掌に血の魔力を溜めた魔法陣を描いておき、
重量がありそうな大型機械から順番に右手で触れUCを発動
魔力が続く限り機械類を常夜の世界に転送していき、ポータルまで歩いて帰るわ

…電源は切れている。コードも問題無し。転送先も大丈夫

…ふぅ。この金属の箱の中に多量の書物や情報が納められているとはいえ…

…理解の及ばない物を、理解しないまま運ぶのは疲れるわ


ヴィリー・フランツ
[大型軍用トラック]
SPD 心情:‥こりゃガラクタの山と言っても過言じゃねぇな、まぁジェイミィの言う事だから裏は取れてるとは思うが、どちらにせよ骨が折れそうだ。

手段:「3.5インチFDなんて化石レベルじゃねぇか!?」
紙媒体や磁気テープ、光ディスクを分別しながら箱詰め、梱包箱は倉庫の物を流用しよう。
詰め込む重量にも注意、あまり重くすると運搬も大変だし、積んだ際に自重で箱が破損しちまう。

車両に到着したら、頑丈で重い物を下に、軽くて破損しやすい物は上に載せよう、乗せ終えたら固縛をしっかり行い最後に幌シートを被せて完成だな、後は安全運転でポータルを目指し、下ろしたら戻って再度積載のピストンだな。


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
※アドリブ絡み連携大歓迎

時間質量論は是非とも解析したいね♪

あ、運搬は任せてよ
伊達に大型ヴィークル類を所有してないさ♪

人足に【マーチング・ワスプ】大量投入
主に文献系やメディア類を積み込ませるよ
医療機器を扱う為に消磁も完璧♪

元・作業用量産機の【ナインス・ライン】で扱うのは
メインフレーム等の重量物
【ディヴィエイト・アームズ】を耐震コンテナとする他
耐荷重や安定性に優れる【アトラス・ネイル】を
生体電脳と【ミネルヴァ】演算ユニットで精密制御♪

50平米の最後部デッキを持つ【ファルマコン】や
空の食料庫に積める【マゲイロス】も提供
此等に【マトリクス・メモリ】で『安寧の発生源』付与
些細な衝撃・振動等を打ち消すよ♪


ネルガロッテ・ノイン
データ運搬ね…。たまには穏便な仕事もいいもんだな。
まずは使用UCでキャバリア「ヴェンデッタ」を血液によって出力強化。
そのうえで「RXSアンカーユニット」を使ってデータの詰まったコンテナを大量に牽引して空輸するぜ。
なんぜ磁気テープだからな、慎重に運ばねえとな。
慣れない安全操縦に苦心しながらもなんとかデータを持ち帰るぜ。



●鉄騎と魔術の効率運搬
「……当たり前だけど機械にも良し悪しや新旧があるのね。私からすれば全部同じに見えるんだけど……」

 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はダークセイヴァー暮らしが長かったためか、コンピュータなどの機械には滅法弱いという弱点がある。本人もそれは自覚した上であり、そんな訳で機械の扱いにある程度心得のある猟兵と行動を共にすることを選ぶ。

「ま、見慣れてないとわかんないもんだよね、こういうの」

 運搬のために、と自身が保有する医療艇「ファルマコン」や自走食料庫の「マゲイロス」を提供するリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は苦笑する。時間質量論に興味のあった彼女は今回の依頼には大いに乗り気であった。すでに一行はマザーの生家の地下に入っており、作業の段取りを確認している最中だ。

「で……これから作業に着手するわけだが、なんだこりゃ。ガラクタの山と言っても過言じゃねぇな……まぁジェイミィの言う事だから裏は取れてるとは思うが、どちらにせよ骨が折れそうだ」

 古いコンピュータの数々を目の当たりにして半ば呆然とするヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)。10t級の大型軍用トラックを持ち込んだ彼も改めてブリーフィングの説明の意味を理解する。この中に目的のデータが分割保存されている以上、全部のデータを精査する必要があるのだ。

「ま、たまには穏便な仕事も良いもんだ。こっちは空輸を担当するぜ」

 キャバリア「ヴェンデッタ」の出力を血液を送り込むことで調整しながら告げるのはネルガロッテ・ノイン(超一流のヤブ医者・f31309)。アンカーユニットがあるため、ある程度の荷物は牽引して運ぶことが出来ると太鼓判を押す。

「ん、了解。それじゃ運び出し、ちゃっちゃと始めちゃいましょうか。こっちもナインス・ライン出すよ。後は人足としてマーチング・ワスプも……と」

 リーゼロッテはテキパキと作業の段取りを進めていく。ヴィリーは戦術ドローンを展開し、細々としたものを一箇所に集めて箱詰めを行うことにした。箱はちょうど室内に梱包用のダンボールが大量にあった上、ブリンガー達も不要なダンボールを提供してくれていた。これらをありがたく使わせてもらうことにする。

「じゃあ私も作業を始めるわ。依頼の説明で何を言っているのか半分も理解出来なかったけど、要するに、此処にある機械を壊さないように持ち運べば良いのね?」
「あぁ、専門知識は要らねぇ。とにかく目の前のガラクタの山を全部片付けるってだけだ。シンプルだろ?」

 リーヴァルディはヴィリーに確認を取ると、ふむ、とひとつ考える。

「ま、確かにシンプルよね。それならば、この術を使いましょうか」

 機械の力を使う3人とは異なり、リーヴァルディは魔法の力で運搬を試みる。血の魔力を溜めた魔法陣を描いておいた右掌を大型のメインフレームに触れさせて、自身が管理する常闇の世界に転送させていく。ポータルにたどり着いた後で再び取り出せば良いので、後は魔力が続く限り転送させていくだけだ。

「電源は切れてる、コードも問題無し。転送先も大丈夫……と」

 慎重に確認しながら大型のメインフレームを転送させていくリーヴァルディを脇目に、ヴィリーは記録媒体の仕分けを行いながら箱詰めを行っていく。磁気テープや光ディスク、HDD、紙媒体などを分別して箱詰めしていく中で、ヴィリーの手が止まる。

「おいおい……3.5インチFDなんて化石レベルじゃねぇか!?」

 ヴィリーがつまみ上げたのは3.5インチのフロッピーディスク。その声を聞いたリーゼロッテはおぉ、と声を上げる。

「うっわ懐かしいなぁ! これもデータ吸い上げるんでしょ……ってヴィリーさん、もっと凄いの見つけた」

 マーチングワスプが持ってきたのはなんと5インチフロッピーディスク。3.5インチよりもさらに昔の骨董品だ。

「おいおい、この記録媒体全部解析するとなると古の機械なんかも全部動員するってことかよ……」
「あぁ、ジェイミィさんが全部回収したらUDCアース日本の秋葉原に行くって言ってたよ。解析用のコンピュータを自作しないとやってられないってボヤいてた」

 そんな中、リーヴァルディとネルガロッテが揃って叫び声を上げる。

「ねぇこれ紙媒体で良いの!?」
「やべぇぞこれ、段ボール箱いっぱいのパンチカードがある!」

 その言葉にさっと顔色を青くするヴィリーとリーゼロッテ。

「パンチカードっつったか今?」
「言ったね……なんかもう、記録媒体の博物館って感じ……それでいてこういうのもあるから始末に終えないよね」

 リーゼロッテがため息交じりに拾い上げるのはUSBメモリだ。UDCアースやヒーローズアースでも広く使われているUSB2.0規格のもので、新旧混ざりあった混沌ぶりに2人は揃って天を仰ぐ。

「こりゃ解析は骨だな……」
「ま、それだけに価値があるからね。さ、運び出し続けるよ」

 USBメモリを分別先の段ボール箱に放り込みながら、リーゼロッテは作業を続行する。パンチカードは別にまとめてくれ、というヴィリーの声を背中越しに聞きながら、リーヴァルディが回収しきれなかった分のメインフレームを、ナインス・ラインのアトラス・ネイルを慎重に操作しながらディヴィエイト・アームズのコンテナに格納していった。

 ヴィリーとネルガロッテがピストン運送しながらコンピュータを運び出し、細々とした記録媒体の箱詰めを終えると、4人はすっかり空っぽになったマザーの生家を後にする。リーヴァルディはファルマコンに同乗させてもらい、ポータルへの帰路につきながら、一人呟く。

「……ふぅ。この金属の箱の中に多量の書物や情報が納められているとはいえ……理解の及ばない物を、理解しないまま運ぶのは疲れるわ」
「いやー……私らもおんなじ気持ちなんだけどねぇ。何しろ私らでも使わないような古いのばっかりだったから」
「今はそうでもないのね……」

 リーゼロッテの話を聞きながら、自分の知らない世界は思いの外広大だ、とリーヴァルディは改めて実感するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月19日


挿絵イラスト