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アポカリプス・ランページ⑪〜奇妙奇天烈な共同戦線〜

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「皆様の耳にはもう入っておりますでしょうか」
 不自然なまでに静まり返ったグリモアベースにて、ルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)は口を開く。
「フィールド・オブ・ナインが一柱、デミウルゴスは……体内に偽神細胞を持たない存在からの攻撃を『完全無効化』することが明らかになりました。対処法はただ一つ、偽神細胞を持つ者による攻撃のみです」
 これを受け、一部ではソルトレークシティの研究所から押収された偽神細胞液の摂取が粛々と行われている。
 だが偽神細胞の接種は激しい拒絶反応をもたらし、絶命の危機さえある危険な行為である。
「まだ猟書家も倒し切れてない状況で新たなリスクを背負い込むことは無いのではないか、と自分は判断いたしました」
 ではどうやってデミウルゴスを倒すというのか。
「もちろん考えはあります。その対抗策として……こちらをご覧ください」
 そうして、集まった猟兵達の前でボロボロになった拠点にて粛々と作業を行う軍人達の姿を空から撮影した映像が流された。
「こちらはデミウルゴスによって集められた、世界中の拠点を破壊するために結成された『拠点破壊部隊』です」
 デミウルゴスは偽神細胞を有するオブリビオンを自在に操る力を持ち、この軍隊はその力によって集められているようだ。
 彼さえ倒すことが出来ればあっという間に散り散りになってしまうような存在だが、ルウが注目したのはその陣容であった。
「彼らの肉体や武器には全て『偽神細胞』が用いられていました」
 デミウルゴスを倒すのは猟兵でなければならない、と決まっているわけではない。この軍隊をうまく利用出来れば、わざわざ偽神化せずともデミウルゴスを倒すことが出来るのではないか……とルウは提案した。
「当然、この軍隊はその辺にいるオブリビオンを十把一絡げに集めた程度の物にすぎません。このまま激突させたとしても一振りか二振りで全滅するのが関の山でしょう。……それ以前に操られて回れ右させられるだけだと思います」
 彼らの武器を強奪して、自分自身で突撃する……という手もあるだろう。しかし彼らの持つ武器は偽神細胞に反応して動くようで、未摂取の猟兵が扱い切れるとは考えられない。
「ですが、これまで徳川軍やアリスと愉快な仲間達、気乗りしないヒーローや奪還者と共同戦線を組んできた皆様なら、例えオブリビオンでも上手く扱えるのではないでしょうか?」
 オブリビオンを味方に引き入れ、デミウルゴスの力に負けないように手助けをする。
 前代未聞の作戦を提示したルウの表情は真剣そのものだった。
「注射をしてでも自分自身の手で戦いたい方は別の方の案内に向かってください。……自分の作戦に好機を見出せた、という方はどうか俺の手を取ってください」


平岡祐樹
 最悪の状況になってしまったけれど、今出来る最善を尽くすために書き続けます。お疲れ様です、平岡祐樹です。

 このシナリオは戦争シナリオとなります。1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。

 今案件にはシナリオボーナス「『拠点破壊部隊』を利用し、デミウルゴスを攻撃する」がございます。
 これに基づく対抗策が指定されていると有利になることがありますのでご一考くださいませ。

 今案件ではジョブ「ストームブレイド」の方以外は全て「注射をまだ受けてない」者として扱います。ストームブレイドではない方の、注射を打ってあること前提のプレイングは不採用とさせていただきますのでご了承ください。
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第1章 ボス戦 『デミウルゴス』

POW   :    デミウルゴス・セル
自身の【偽神細胞でできた、変化する肉体】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[偽神細胞でできた、変化する肉体]から何度でも発動できる。
SPD   :    偽神断罪剣
装備中のアイテム「【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ   :    デミウルゴス・ヴァイオレーション
自身が装備する【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】から【強毒化した偽神細胞】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【死に至る拒絶反応】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

虹月・天柳
味方に引き入れずとも拠点破壊部隊とやらの攻撃を利用できれば良いのだろう?なら考えがある。


UCを発動して「ヴィトニール」を本来の大狼姿に。俺と「ウト」、「ケートゥ」はその背に乗り、部隊の集結している所へ突撃。
銃弾は「ヴィトニール」の氷術と「ケートゥ」の【斬撃波】で防ぎながら、此方を狙って放たれたロケットランチャーの弾を「ウト」の糸で捕らえデミウルゴスに投擲。本体に当たれば御の字だが叩き落とされても構わん。
投擲と同時にデミウルゴスへ突撃。ロケランの爆発を目眩ましに頭上を跳び越し、デミウルゴスと追撃する部隊を直線で結ぶ位置に俺たちの幻影を残す。すると、部隊の追撃はデミウルゴスに当たるという寸法だ。



「味方に引き入れずとも拠点破壊部隊とやらの攻撃を利用できれば良いのだろう?」
 寄りかかっていた壁から離れた虹月・天柳(人形憑かせの悪魔遣い・f30238)は、懐から逆しまに時を刻み続けている銀時計を取り出した。
「なら考えがある。…… 『対価を此処に。其の真なるを顕せ!』」
 天柳の手がけた人形のうちの1体、ヴィトニールがその場で四つん這いになるとその表面に毛が生え広がり、端正な顔立ちが鼻と口を突き出すように前へ伸びていく。
 そしてその口から咆哮を上げられた時、ヴィトニールは本来の、大狼の姿を取り戻していた。
 その背に2つの人形と共に天柳が飛び乗るとヴィトニールは拠点破壊部隊が準備する場所へと飛び込んむ。
「て、敵襲ー!」
 叫んだオブリビオンの喉笛を噛みちぎったヴィトニールに向け、他のオブリビオン達は手にしていた拳銃の中身を放つ。しかしヴィトニールの全身から放たれた吹雪とケートゥの振るった斬撃波によって全て落とされてしまった。
「そんな豆鉄砲で敵うわけが無いだろう、どけ!」
 そう言って割り入って来たオブリビオンは肩にランチャーを担ぎ、ミサイルを放つ。しかしその一発もウトの糸によって作られた網に捕らえられた。
 そしてそれが炸裂する前に、これだけの騒ぎが起きているにも関わらず明後日の方を向いていたデミウルゴスに投擲した。
 オブリビオン達からどよめきが起こる中、デミウルゴスは疎ましげに一瞥すると偽神細胞製の大剣を手に取り、振り上げる。
 それだけでミサイルは爆発四散し、辺りは濃密な黒煙に包まれた。その黒煙を切り裂くように天柳達が飛んでくる。
「逃がすな、撃てー!」
 彼らを逃しては沽券にかかわる、と部隊の指揮官が声を荒げる。次いで放たれた砲弾の雨霰は天柳達に振り返る間も与えずに直撃……せず、その体をすり抜けてデミウルゴスの上半身に次々と命中した。
「え、あ、うそ、だろ?」
「そ、そんな、デミウルゴス様に、なぜ……」
 想定外の事態に顔面蒼白になった砲手や指揮官は腰を抜かして座り込む。
 その様を天柳達はデミウルゴスの後方から悠々と眺めていた。
 投擲と同時にデミウルゴスへ突撃し、ロケットの爆発を目眩ましに頭上を跳び越し、デミウルゴスと追撃する部隊を直線で結ぶ位置に自分達の幻影を残す。こうして「部隊の追撃がデミウルゴスに当たる」という寸法が成立した。
 最悪のパターンは流れ弾がデミウルゴスに当たることを危惧して、オブリビオン達が何もしないことだったが……どうやらそこまでの薄情者はいなかったようだ。
 体に刺さった金属の破片を乱雑に抜いたデミウルゴスは足元で跪くオブリビオン達を見ようともせず、ただ呟いた。
「この程度で……俺は、死ねぬ。もっと、もっと……」

成功 🔵​🔵​🔴​

ニクロム・チタノ
なるほど偽物とはいえ流石は神しかしボクはこれ以上身体に変なものは入れたくありませんからね
ここは姉妹のみんなにも手伝ってもらいましょうか
お姉さま達は拠点破壊部隊を攻撃してこちらに連れて来て
妹達はボクと一緒にデミウルゴスを囲んで攻撃して
いくら攻撃が効かないとわかっていても自分達の上官が包囲されて攻撃されていたら助けに入ってしまうもの
しかも包囲網に穴を開けるには集中砲火が定石ならば全員で高火力の攻撃を一点集中してくれるはず
そこを回避してデミウルゴスに全て直撃させれば倒せるはずです
後は拠点破壊部隊を姉妹達と一斉攻撃で殲滅すれば残党も出ないで綺麗に終われます



「なるほど偽物とはいえ流石は神」
 そう呟くニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)は憮然とした表情を浮かべていた。それはデミウルゴスに対する嫌悪ではなく、自分で呼んだ援軍による物だった。
「反抗の竜チタノの加護と導きを!」
 それは「2966ナンバーズ」計画によって生み出された先輩後輩陣。皆等しく、チタノ神を信仰している面々である。
「しかしボクはこれ以上身体に変なものは入れたくありませんからね」
 だが背に腹は変えられない、とニクロム……もとい明日香は故意に絶っていた連絡網を渋々復活させ、この戦場に臨んでいた。
「お姉さま達は拠点破壊部隊を攻撃してこちらに連れて来て、妹達はボクと一緒にデミウルゴスを囲んで攻撃してください」
「了解だよ」
 いくら攻撃が効いてないとわかっていても自分達の上官が包囲されて攻撃されていたら反射的に助けに入ってしまうもの。しかも包囲網に穴を開けるには集中砲火が定石。ならば全員で高火力の攻撃を一点集中してくれるはずだ。
 そこを回避してデミウルゴスに全て直撃させることが出来れば、「塵も積もれば山となる」でダメージを与えることが出来るだろう。
「はい、お姉さま! これより反抗を開始しましょう!」
 すっかり発しなくなった台詞をキラキラとした笑顔で、しかも変わり果てた自分の姿に一切の嫌悪感も示さずに放つ妹達の姿があまりにも眩しく、明日香は顔を背けた。
「さあ、がんがんいこう! 沈め超重力の海底へ!」
 妹達の信仰心により周囲の重力が強められ、青い炎が戦場を駆け巡る。その中心にいたデミウルゴスはつまらないショーを見ているかのように、何の反応も示さなかった。
「ああ、デミウルゴス様が襲われている! お前らあのクソアマごと撃ち払え!」
 ヒットアンドアウェイで姉達が逃げているように見せかけて誘導してきた部隊の指揮官が声をあげて榴弾を撃つように指示を出す。
 しかしその行先は全てチタノ神の加護によって歪められ、全弾デミウルゴスに直撃していった。
「明日香ちゃん、ずっと言いたかったことがありますわ。……私達が信じる神はその程度で見捨てなくてよ」
 守るべき神に刃を向けてしまい動揺するオブリビオン達へ再び襲いかかる前に、姉のうちの1人が明日香の隣につくと、突然話しかけてくる。
「あなたはチタノ様に会い、嫌われるのが怖いのではなく、嫌われそうな自分を認識するのが怖いんでなくて? 勇気を出して、声を上げてみなさいな」
 そう一方的に言い切り、姉は戦線に戻っていく。1人残された明日香は絞り出すように声を上げた。
「あなたに、あなた達に、何が分かるって言うんですか……」
 口の中に湧き出してくる唾を吐き捨てる。唾は乾き切った地面に一瞬で吸われていった。

 自棄になった彼女が偽神細胞に手を出すのは、この僅か数刻後の話。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニクロム・ヘドロ
嗚呼、アァボクに似て非なるモノ、アナタはチタノですか?
いえ、違いますネ・・・でもボクは反抗しなくてはそれが今のボクの存在意義なのですカラ
さあヘドロの宴を始めましょう
さあヘドロの民達は拠点破壊部隊を攻撃して誘き寄せてください
そして今までヘドロの海に沈んだオブリビオン達よ、今こそ這い上がりボクに従うのです、アナタ達はデミウルゴスを攻撃してください、ボクはヘドロの中に潜んでおきましょう
嗚呼、アァ勤勉なヘドロの民達が拠点破壊部隊を連れて来てくれマシタ
拠点破壊部隊が攻撃する瞬間にUCを解除してそのまま目標を失った攻撃を全てデミウルゴスに直撃させてクダサイ
後は拠点破壊部隊をヘドロに呑み込むだけ
お疲れ様です



「嗚呼、アァボクに似て非なるモノ、アナタはチタノですか?」
 明日香の背中をじっと見つめていたニクロム・ヘドロ(悪堕ちヘドロ怪人・f34633)はしばらくして首を横に振った。
「いえ、違いますネ……でもボクは反抗しなくては。それが今のボクの存在意義なのですカラ」
 そして水を滴らせる音を立てながらニクロムは両腕を上げる。するとニクロムの通った後に出来ていたヘドロ溜まりから何十体もの人影が姿を現した。
「さあヘドロの民達は拠点破壊部隊を攻撃して誘き寄せてください。そして今までヘドロの海に沈んだオブリビオン達よ、今こそ這い上がりボクに従うのです、アナタ達はデミウルゴスを攻撃してください、ボクはヘドロの中に潜んでおきましょう」
 そう告げてニクロムは交代するようにヘドロの中へ沈んでいく。
「さあヘドロの宴を始めましょう」
 呻き声をあげながら自分達の体を千切り、ヘドロの民達はデミウルゴスに向かって投げ込みながら近づいていく。
 その臭いに周囲のチタノを信仰する女性陣が耐え切れず鼻を覆う一方で、デミウルゴスは興味を示さず、平然としていた。
 そこに履帯が地面を伸す音が聞こえてきた。
「ねぇ、私、あの臭いヘドロ塗れに女達がなるの早く見たいなぁ」
「そうか、それなら俺が今すぐ見せてやろう!」
 扇情的な衣服を身につけた女に言い寄られ、鼻の下を伸ばしたオブリビオンは良いところを見せようとデミウルゴスの体を這い登ろうとするヘドロの民に照準を絞る。
「嗚呼、アァ勤勉なヘドロの民達が拠点破壊部隊を連れて来てくれマシタ。では手筈通りニ」
 しかしその榴弾が直撃する前にヘドロの民達は自分達が作ったヘドロ溜まりの中に撤収し、棒立ちだったデミウルゴスに次々にぶつかっていった。
 中にはヘドロ溜まりに直接撃ち込む者の姿もあったが、それによって飛び散ったヘドロや石礫もデミウルゴスに当たっていった。
 ここまでやってようやく不快に感じたのか、眉間に皺を寄せたデミウルゴスは無言でおもむろに大剣を地面に突き刺す。
「いけない、全員退避!」
 その行為に本能的な危険を察知した女性陣が慌てて距離を取る一方で、動きの鈍いヘドロの民達は逃げ遅れた。
 そうして取り残されたヘドロの民達は刃から湧き出した強毒化した偽神細胞の波に飲まれていく。
 そして急激に沸騰したかのように泡を立て始めたヘドロは人の顔や手、脚を次々と形作りながら分解され、消失していった。
「マァ、これが最低限といったところでショウカ。お疲れ様です」
 デミウルゴスに突貫していたヘドロの民が全滅したところでニクロムはため息を吐く。すると突然オブリビオンに付き添っていた女達の体が崩れてヘドロとなった。
「ひっ、えっ、腐っ、何が」
「さぁ、一緒にオチましょぉぉぉぉぉ?」
 それに飲まれたオブリビオン達は声にならない悲鳴をあげながら、成す術もなく溶かされていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎!

ふむ。
拠点破壊部隊が意思疎通取れるのであれば、試してみる手はありマスネー!
『彼』の力を扱えるか、試してみマショー!
「骸式兵装展開、米の番!」

自信に満ち溢れた大統領の姿を模して軍隊の前に現れマース!
ハロー、エブリワン! 君たちはそのままでいいのか!
デミウルゴスに従って、君たちが得られるものは何だ!
君たちの姿を見よう! 君たちの手にする力を見よう!
デミウルゴスにも勝るとも劣らない力を、諸君は持っているではないか!
ヴォーテックス一族も壊滅状態にある今、革命の時は今しかない!
この私と、大統領の魂を灯して! 下剋上を成し遂げようではないか!

と、説得(扇動)がうまくいけば突撃させマース!



「ふむ」
 デミウルゴスに対する危険だけでなく、色仕掛けにも反応した拠点破壊部隊のオブリビオンの姿にバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はある策を思いついた。
「拠点破壊部隊が意思疎通取れるのであれば、試してみる手はありマスネー! 『彼』の力を扱えるか、試してみマショー!」

 数刻後、とある部隊は大騒ぎになっていた。
「ハロー、エブリワン!」
 突然慰問に訪れた屈強な肉体と機械の豪腕を持つスーツ姿の男。その姿を知らぬモグリはこの拠点破壊部隊にはいなかった。
「プ、プレジデント様!? なぜこんな場末に……」
「ワシントンD.C.にいらっしゃるのでは無かったのか!?」
 まさかの大物の襲来にオブリビオン達は揃って背筋を伸ばす。しかしプレジデントはその様に不満そうな表情を浮かべていた。
「君たちはそのままでいいのか!」
「は、はい!?」
「デミウルゴスに従って、君たちが得られるものは何だ!」
 同胞であるはずのデミウルゴスを卑下する言葉にオブリビオン達は目を白黒させる。しかしプレジデントの演説は構わず続けられる。
「君たちの姿を見よう! 君たちの手にする力を見よう! デミウルゴスにも勝るとも劣らない力を、諸君は持っているではないか!」
 偽神細胞に適応した自分の体と、それに反応して最大の火力を発揮する兵器を見やる。
「ヴォーテックス一族も壊滅状態にある今、革命の時は今しかない!」
 オブリビオン達の腕にプレジデントと全く同じ、赤と青の巨大な機械の小手が装備される。
「この私と、大統領の魂を灯して! 下剋上を成し遂げようではないか!」
 プレジデントの号令にオブリビオン達の歓声で空気が、地面が揺れた。プレジデントはその反応に満足したように笑みを浮かべて右手を天にかざす。
「いけ、我が精鋭達よ! 死にたがりの神に引導を渡してやろう!」
 大統領の魂を注入された部隊は愛車に乗り込み、デミウルゴスに向けて突撃していった。その後ろ姿を見送ったプレジデントは何もない荒野の真ん中で1人ほくそ笑んだ。
「ふふ、チョロいもんデスネー」
 流れ弾ではない、明確な殺意を持った砲撃を取り込んだデミウルゴスは自らの偽神細胞によって肥大化させた鉄塊を体内から放つ。
 それを正面から浴びた戦車は粉々に砕かれ爆散したが、そこから飛び出したオブリビオンが豪快な正拳突きをデミウルゴスに喰らわせる。
 フィールド・オブ・ナインの力を借りた一撃はデミウルゴスの体を浮かせ、背中を地面に擦らせた。
「お前達が、俺を、殺してくれるのか?」
「ああ、そうだよ! 我らがプレジデントはそれをご所望だ!」
「そうか、ならばやってみせろ」
 追撃がデミウルゴスに届く前に、オブリビオンの心臓が偽神細胞の刃に貫かれる。
「俺の体が、お前達を殺し尽くす前にな」
 致命的な一撃を受けたオブリビオンの体が灰と化し、突風に飛ばされる。残された小手は音を立てて地面にめり込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒風・白雨
なるほど、あやつを叩くためにはあの拠点破壊部隊とかいう輩を利用せねばならぬのじゃな。
あい分かった。あやつらが手にしておるマシンガンもチェーンソーも、乗っているバイクもバギーも、いや、そもあやつらの身体自体がわしにとっては鈍器のようなものじゃ。全て用いてデミウルゴスを砕いてやろう。

UCにより竜神としての能力を覚醒。
敵の攻撃は《竜神武者》に防がせつつ、自身は両の手から《力》を放ち、敵の武器を、乗り物を、身体を無造作に掴み取り、デミウルゴスに力任せに叩き付けようぞ。
いくら砕けようが、代えはいくらでもある。存分に本気を出させてもらおうか。

偽りの神よ。
世界に絶望するには、ちとおぬしは若すぎるのう。



「なるほど、あやつを叩くためにはあの拠点破壊部隊とかいう輩を利用せねばならぬのじゃな。あい分かった」
 膝を叩いて立ち上がった黒風・白雨(竜神・f31313)はデミウルゴスに笑いかけた。
「偽りの神よ。世界に絶望するには、ちとおぬしは若すぎるのう」
「……煩い。俺に……奴らを救う力など無い……!」
「そうか」
「敵だ、撃て、撃てーっ!」
 白雨の姿に気づいた部隊が一斉に弾幕を張るが、前に出て来た竜神武者達が振り下ろした棍棒で弾かれた地面で防がれる。
 それどころか白雨の手が虚空を握りしめた瞬間、砲身がまるで飴細工のように曲げられて銃は銃の役目を果たさなくなった。
「くそ……全員剣を抜け! 直接切りかかるぞ!」
 オブリビオン達が一斉に手持ちの刃物を抜く。それこそ、白雨の狙いだった。
「総員かかれぇぇぇぇっ!?」
 指揮官は柄をしっかり両手で持つと突然宙に浮かび上がる。そして凄まじい速度で横に動き、デミウルゴスの体へ刃を突き立てた。
「え、あっ……」
 顔面蒼白となった指揮官は偽神細胞の餌食となって消滅したが、その刃が残した傷は深々と残った。
 オブリビオンの持つ武器はオブリビオンの偽神細胞に反応して動き、普通の猟兵では扱えないという。だが彼らが手にしてさえいれば本来の威力を発揮するなら、オブリビオン「ごと」武器にしてしまえば何の問題もない。
「おぬしらが手にしておるマシンガンもチェーンソーも、乗っているバイクもバギーも……いや、そもおぬしらの身体自体がわしにとっては鈍器のようなものじゃ。全て用いてデミウルゴスを砕いてやろう」
 そう告げて白雨は無造作に他のオブリビオンも浮かべては投じていく。
 投げられたオブリビオンはデミウルゴスへのダメージをなるべく抑えようと武器を捨てようとした。しかし圧倒的な力はそれを許さず、一番威力のある構えを強制的に取らせていく。
 次々とぶつけられた質量の波に血だらけになったデミウルゴスはついに膝をついた。
「目が、霞む……。ようやく、俺は、解放、されるのか……?」
 剣を振るう力も尽きたデミウルゴスに向け、白雨は肩をすくめながら告げる。
「おぬしは真面目すぎるんじゃよ」
「真面、目……?」
「別に救わなくて良いんじゃよ。神だって好き勝手にやる生き物じゃ。欲望のままに殺し、孕ませ、食らい、遊ぶ。それが多くの者に被害を与えるから、人々は奉ってご機嫌を窺うんじゃ」
 胸を張る白雨の主張に、デミウルゴスは引き攣った笑いを浮かべた。
「そんな物で、よいのか……?」
「ああ、少なくともわしはそうやって生きておる」
「……ふっ。もう少し、早くそれを、知りたかったな」
 そう呟いてデミウルゴスは倒れ、消えていく。
「……さて、気晴らしに温泉にでもいくかの」
 様々な兵器の残骸が後に残された荒野で白雨は背伸びをして、息を吐いた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年09月26日


挿絵イラスト