アポカリプス・ランページ⑨〜解き放て!封印されしその
ヴォ―テックス・シティ、そこはヴォ―テックス一族が支配する巨大都市。「悪徳の都」とも言われるその都市では各地から連れ去られてきた人々が奴隷となっており、レイダー達の所有物として彼らの欲望のままに扱われていた。
今、ヴォ―テックス・シティではアポカリプスヘルで発生した大きな戦いの為、武器工場がフル稼働で動いていた。その工場で働くのはやはり奴隷達。フルスロットルの指示のもと、連日連夜寝る間も惜しむようにこき使われ、奴隷達は消耗していく。
レイダー達に取ってみれば奴隷は替えのきく道具でしかない。動けなくなったものは処分するだけである。そんな奴隷達にとって永遠に続くとも思える日々に、突如終焉がもたらされようとしていた。
●とある武器工場の傍にて
「いくわよサム」
「うん、お姉ちゃん。ここの施設に隣の町の人達が掴まっているんだよね?」
「えぇ、隣町の人達が助けを求めて私達の町に来た時に私もちょうどその場にいたしね」
「・・・俺、またこの都市に来る事になるとは思わなかったな」
「それは私もよ。あの時は猟兵さん達に救ってもらったのよね」
「うん、今度は俺達が誰かを助ける番だね」
サムと呼ばれた少年とその姉らしき二人は、どうやらこのヴォ―テックス・シティに来た事があるようだ。しかも、その際に猟兵達によって救出された、と。恐らく奴隷としてつらい日々を過ごしていた所を救出されたのだろう、その時の事を思い出したのか一瞬表情が曇った二人だったが、再度勇気を振り絞り目の前に立つ武器工場を睨みつけていた。
「レイニー、サム、そろそろ行くぞ!」
「わかったわ、今行く。さ、サム行きましょう」
姉の方はレイニーというらしい。同じ村の出身らしき青年に声を掛けられ武器工場内へ侵入していく。
レイニーとサムを含めた20名ほどの武装した人々は工場内部へ潜入に成功した。レイダーの数は思ったより少ない。出払っているのだろうか?
順調に思われたその矢先、彼らの前に大きな障壁が立ち塞がった。
「くそっ、なんだこの障壁。びくともしないぞ」
「だめだ、キーでロックされているようでもない。万事休すか」
そう思っている所へ障壁の向こう側から話し声が聞こえてきた。慌てて身を潜め様子を窺うレイニー達。すると障壁がスッと開き、中からレイダー達が姿を現したのだ。
「しかし、この障壁は楽だよな。UCの残滓に反応して解除されるから何の力も持たない奴らがここへ侵入して来ようが開ける事も叶わねぇ」
「あぁ、そうだな。だからここに詰めているレイダーはそんなにいらねぇ。収容した奴隷達にしたって脱出のしようがねぇしな」
そんな話をしながらその場を立ち去っていくレイダー達。
(ど、どうしよう・・・。私達じゃ、この先に進めない、かも)
途方に暮れてしまうレイニー達であった。
●とある世界の炎武邸にて
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。今回はヴォ―テックス・シティへの潜入任務をお願いしたく思っております」
集まった猟兵達に状況説明を始める炎武・瑠美(天然系お嬢様…らしき者・f31245)。アポカリプスヘルで戦争が開始し、レイダー達も武器弾薬を日々消費しているようで、その為にヴォ―テックス・シティ内の武器工場もフル稼働で動いているようだ。
「今回潜入していただくのはこの工場。管轄するのはオブリビオン・フォーミュラでもあるフルスロットル・ヴォ―テックスです。とはいえ、その場にフルスロットルはいませんのでご安心ください。フルスロットルの指示のもと、レイダー達が奴隷達に工場を稼働させているようです。この工場へ潜入していただき、奴隷達の救出をお願いしたいのです」
レイダー達は銃火器で武装しているようだが、猟兵達の敵ではないほどの力量のようだ。排除に苦戦する事はないだろう。だが、ここで少々問題があるようだ。
「レイダー達は恐らく問題ないのですが、難点はこの工場の要所要所に設けられた隔壁です。どういうわけかこの隔壁、あらゆる攻撃を受け付けない鉄壁の障壁らしいのです」
つまり破壊する事が出来ない代物という事のようだ。ならばハッキング等で可能なのか?というとそういうものでもないらしい。
「予知で判明したのですが、この障壁、どうやらUCを発動した時の残滓に反応するようでして・・・。つまり、皆さんがどのようなUCでもいいので使っていただければ障壁を解除する事が出来るようなのです」
猟兵にとっては拍子抜けの話ではあるが、UCを持たない人々にとっては大問題であろう。何せ自分達ではどうする事も出来ないのだから。
「実は、この工場へ私が以前に予知した際に救出した姉弟のお二人が潜入しているようなのです。村の方々と一緒に奴隷となっている人達を開放するために立ち上がったのでしょうか。恐らく皆さんが工場内へ潜入し行動を開始すれば、それに便乗する形で奴隷達の救出に乗り出す事でしょう。
同行してもいいですし、皆さん個人で動かれてもどちらでも支障は出ないと思われます」
何某かのUCを障壁の前で使う事、それだけを忘れなければ問題となる事もなさそうである。「これって、普段使う事のないUCを使ういい機会なのでは?」と一部の猟兵が思い浮かべたりしている。
「それでは、皆さま。ご武運を!」
何のUCを使おうかな?と迷っている猟兵達に声を掛け瑠美は皆をヴォ―テックス・シティへ送り届けるのだった。
黄昏空
皆さん、作ったはいいけどお蔵入りになってしまっているUCはありますか?MSの黄昏空(たそがれ・そら)です。このシナリオは戦争シナリオ、1章で完結します。ネタシナリオです。状況によってはコメディ寄りな展開になるかと思います。
ヴォ―テックス・シティで奴隷として捕らわれの身になっている人々を救出に向かっていただきます。その施設には強固な隔壁が各所に設置されており、この隔壁はどういう理屈かはわかりませんが武器などによる攻撃での破壊は一切出来ません。その代わり、とある事をすれば確実に開放する事が出来ます。それは「UCを使う事」です。どうやらUCを発動した時の残滓に反応するらしく、どのようなUCであってもその使用後の残滓に反応し解除されます。
施設のあちこちにレイダーが待機しており、皆さんが施設に侵入すると銃火器で武装して襲い掛かってきますが、猟兵の皆さんなら難なく蹴散らせます(UCを使わずとも)
隔壁を開放するためのUCは戦闘系(ただし使ってもそれによる隔壁の破壊は出来ません)に限らず、普段使わないようなお蔵入りUCでも発動させれば隔壁が解除されます。(逆に言うとUCを発動させる以外では隔壁を解除する手立てはありません)
これを機に、今まで使う機会のなかったUCを使ってみてはどうでしょう?
またOPにはレイニーとサムという子供達+市民が登場しますが、第1作目のシナリオ『囚われの姉弟を救い出せ!』の際に、猟兵の皆さんにヴォ―テックス・シティより救出していただいた姉弟です。皆さんに向かってもらうヴォ―テックス・シティの施設内にいますが、特に関わっても関わらなくても問題ないです。特に支障なく物語は進行します。
プレイング受付はOP公開と同時に受付開始。システム的に受付出来なくなるまで募集させていただきます。どの程度需要があるのか、予測が尽きませんが出来る限り採用させていただくつもりです。
それでは、皆さんのご参加お待ちしております。
第1章 冒険
『奴隷救出作戦』
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POW : 見張りのレイダーをぶっ飛ばす/身体を張って奴隷達を守る
SPD : 罠を発見して解除する/安全な脱出経路を見つける
WIZ : 奴隷達をまとめ上げ、円滑に脱出させる/工場のシステムに細工する
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
【お詫びと補足】
題名が途中で途切れてしまっていました。(「アポカリプス・ランページ⑨〜解き放て!封印されしその力を!」のつもりでした。)
フラグメントに関しては、参考程度に。自由な発想で考えていただければ、と思います。
リーヴァルディ・カーライル
…ユーベルコードなら何でも良いのね?
…それなら久しく使っていなかった、この術を使いましょうか
…これ、そもそも今より敵を倒すのに時間が(👑が)必要だった時、
ボスに2回目の戦いを挑む時用に編み出した術だったはず…(うろ覚え)
…だけど、致命的な効果云々を武器に(300文字以内で)書き込むには容量が足りないし、
そもそも敵の攻撃をあえて受けるより回避した方が私の性にあっているしで、
気付けば3年以上、使っていなかった気が…
…ま、まあ、これで供養も済んだ事だし、
気が向けば新しい吸血鬼狩りの業の素体にしましょうか
…見回りの兵士達がユーベルコードを使えれば、
久しぶりにこの術式が火を噴くけど…え、無理?そっかー
武器工場へ潜入し道なりに進んでいくと、件の障壁らしきものが見えてきた。
「…ユーベルコードなら何でも良いのね?」
幸いにして周囲に敵影もない。一瞬考えこむリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)。特にヴァンパイアを狩る事をメインにリーヴァルディは色々な術を習得してきた。その中でふと閃いた術が。
「…それなら久しく使っていなかった、この術を使いましょうか。…コード解読…解凍。あなたを滅ぼす魔弾は決まった」
発動キーである言霊を口にし、リーヴァルディは術式『魔弾装填・超過駆動』を発動させる。術を発動させながらリーヴァルディはこの術を習得した頃の事を思い出す。
(この術、今より私達猟兵を取り巻く環境が厳しかった頃に作ったのよね。強敵に対して消耗しながらも再度戦いを挑まないといけない事もあったら、奥の手として編み出した術だったのだけど…)
そう、この術を編み出したのは3年以上前の事。その頃は今よりもずっと猟兵達の人数も少なかったし、戦い自体も厳しいものだった。ただ、この術を編み出したものの使う機会には恵まれなかった。確かそうだったはず、と当時の事を思い出すと曖昧な記憶しかないくらいに使う頻度がなかったのだ。
「致命的な効果を相手に合わせてその都度組み立てないといけなかったし…。そもそも敵の攻撃をあえて受けるより回避した方が私の性にあってたから…」
この術は「相手のUCを受け、それを代償に自身の武器の封印を解除し、相手にのみ致命的な影響を与える弾丸を作り出す」術だ。その為、発動させるのが結構手間であったしリーヴァルディの戦い方と食い違っていた事から、使うなら他の術を使う事が多くなっていた。
「編み出してから気が付けば3年以上、使っていなかった気が…」
術を発動させたリーヴァルディの手元には、その術の発動の結果生成されるはずの魔弾はない。無論だ、そもそも敵がこの場にいない。敵のUCを受け止めてすらいないのだから。
だが、障壁はリーヴァルディが力を発動させた事を認識したのだろう。ゆっくりと解除されていった。
「…ま、まあ、これで供養も済んだ事だし、気が向けば新しい吸血鬼狩りの業の素体にしましょうか」
本来の使い方ではなかったが、こうして使う機会も得られた。それだけでも良しとしよう、そう思う事にしたリーヴァルディ。
「…見回りの兵士達がUCを使えれば、久しぶりにこの術式が火を噴くけど…。そうそううまくいかないわよね…。…あら?」
「ん?」
解除された障壁を隔てた向こう側に、レイダー達が立っていた。障壁のあった場所へ手をかざしたまま硬直しているレーダー達と視線が合ってしまった。ばっちりと。どうも自身がUCを発動させる前に障壁が解除され始めたので、何事かと硬直していたらしい。
「て、敵襲かっ!」
慌ててレイダー達は銃口をリーヴァルディに向けた。その際の相手の挙動をリーヴァルディは見逃さなかった。
「さっき掌をかざしていたあなた。今発動させているそれ、攻撃系のUCよね?微弱だけど」
「そ、それがどうした!」
「…そうなのね。じゃあ、少し私の術の供養に少し付き合ってもらおうかしら?相手としては物足りないけれどね」
「ふ、ふざけやがってっ!食らえっ!」
運命に導かれてしまいリーヴァルディと遭遇した貧弱ながらも攻撃系のUCを持ったレイダー達。『魔弾装填・超過駆動』を久方ぶりに発動させたリーヴァルディによって速攻撃破されてしまうのであった。
大成功
🔵🔵🔵
「…あれ?隔壁が解除されてる?」
様子を窺っているうちにどうやら状況に何か変化があったらしい。レイニー達は急ぎ隔壁を抜けその奥へ移動する。
時折、慌てたような素振りで走っていくレイダー達を見かけては身を潜め、また進み、を繰り返す。自分達以外にもこの工場へ潜入した人達がいたのだろうか?
「どちらにしても今がチャンスね。進めるだけ進んでみましょう」
時折身を隠しながら先へ進むレイニー達であった。
陸郷・める
☆める:戦車乗り。今回乗ってないけど
★7号:戦車兵器の生体コアにされた元ヒャッハー。今回は……
【POW】
★潜入だもんな。知ってた。(in『おでかけ7号』ボディ)
☆6号戦車は、おるすばんだから。
★で、だ。要はUC使えばいいんだろ?って言っても戦車無しだとな……
☆(単独戦闘力ほぼ皆無の幼女)
★よし。市民共に合流し協力を持ち掛け、合意を得たらUCで「【当人の得意技】拳法」を身につけさせるぞ。後は余程連中がヤバい事態にならねぇ限りはめるの護衛でレイダー共を蹴散らすぜ。ヤバいようなら俺様が前に出るがな。
☆めるも、やるよ…!(『研究所特製グレネード・濃縮胡椒入り』を振りかぶる)
※アドリブネタ等歓迎です
身を潜めていたレイニー達の後ろからガシャン、ガシャンという金属音が近付いてくる。
「誰だ!」
レイニー達に同伴していた若者の一人が銃口を相手に向ける。彼らの前に姿を現したのは、動物の姿をした機械と少女の不思議なペアだった。
「あなた達が潜入した人達?援護にきたよ」
話しぶりからするとどうやら敵ではないらしい。その事がわかり銃口を向けていた若者も申し訳なさそうに銃を下した。
「めるはめる。こっちは7号」
「よろしくな、てめぇら!」
陸郷・める(死念動力実験成功体6号・f26600)とその相棒の7号がレイニー達に自己紹介を済ませた。7号の方は、なんだかノリがヒャッハーな感じが気になる所だ。
「えっと、二人?でいいのかな。援護に来てくれたの?」
「あぁ、他の猟兵達もここに潜入しているはずだぜ!てめぇ達が潜入したって話があってな。それで駆け付けたってわけだ」
口数が少ないめるに代わって、レイニーの問いかけに応える7号。そこでめる達が猟兵である事を知りホッとするレイニー達。彼らにとって猟兵は恩人であるからだ。
「…なんだか落ち着かない」
「まぁ、流石に6号戦車で潜入は無理だったからなぁ」
めるは普段乗っている6号戦車に乗っていないので、どこか落ち着かないようだ。出来る事はしようとは思うものの、今回はほぼ単体戦闘力が皆無の幼女に過ぎない。
「そうだ、てめぇら。接近戦、特に格闘技とか拳法とかが得意な奴はいるのか?」
移動しながら7号がレイニー達に話し掛ける。
「ちょっと格闘技をかじった事がある。そんなたいしたもんじゃないが」
レイニー達の中に心得のある者が何名かいたようだ。そんな話をしていると閉じた障壁が目の前に見えてきた。
「そうか、それは上々だ!てめぇらのその格闘技をさらに昇華させた伝説の拳法使いがいたって話だぜ」
「7号、それほんと?」
「あぁ、間違いねぇ。伝説の拳法だが、そのコツは意外と簡単でな。てめぇらでもコツを掴めば一気にパワーアップ出来るぜ!」
めると7号の話を聞いていた者達の目に希望が宿る!こちらは確かに銃で武装はしているものの、それだけではレイダー相手に心許ないと感じていたからだ。
「それ、教えてもらえるのか?」
「もちろんだ!俺様に任せな!」
「おぉぉっ!ありがたい!」
レイニー達から歓声が上がる。そんな会話をしていると、なんと彼らの目の前で隔壁が解除されていくではないか!驚きを隠せないレイニー達。
「な、なんで?UCじゃないと開かないはずなのに」
「それはなぁ…、俺様達が使ったからさ!」
「いつの間に!凄いやっ!」
歓声にどこかどや顔の7号、メカなのでわかりにくいが。
「7号、足音が聞こえた気がする」
めるが遠くから走ってくる何者かの足音を聞き7号に警告した。
「追手がきやがったか。おぅ、てめぇら!コツは教えたとおりだ。やれるだけやってみな!
どうしてもヤバかったら俺様が力を貸してやる!遠慮なくやってこい!」
「おぉ!俺達の力見せてやる!」
7号からアドバイスをもらった何人かが、果敢に追手のレイダー達に掴みかかる。
「めるも、やるよ…!」
『研究所特製グレネード・濃縮胡椒入り』と書かれた手榴弾を思いっきり前方へ投擲するめる。
「な、なんだこりゃ!へ、へっくしょいっ!くしゃみが止まらねぇ!げふっ」
胡椒を食らったレイダーがたまらずくしゃみをし始め、その隙を突いた市民達が伝授された拳法で叩きのめす。
「お、いい感じじゃねぇか。こりゃ、俺様が出る幕はねぇかもしれねぇな」
めるを護衛する位置に立った7号が彼らの様子を見、満足げに頷いた。
「…今回のめるの活躍、これだけ?」
「…まぁ、屋内の潜入戦だしな。こういう時もあらぁな」
大成功
🔵🔵🔵
稷沈・リプス
自称:人間な男
あ、あの時の姉弟っすね!元気そうでよかったっす!
持ってるはいいが、使う機会がないUCは二つ…なんすけど。
あの時の縁考えると【朝の舟】っすね!
せっかくなので、同行するっすよ。
あの攻撃型な夜の舟と対になる、故人(故神)からの借り物。
うん、あの人(太陽神)なら『こういうときにこそ使え』って言ってくれるっすよ。
あの人は、今を生きる人が大好きっすからね!
さて、レイダーは…『明け呑む蛇』が攻撃してるっすね。
俺もからくり人形で戦うっすよ!ここまで来て、はいさよならはできねーっすよ。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
おや、あの姉弟が此方に?
それは奇遇ですねぇ。
まずは解放に向かった方々に合流し、支援を申し出ましょう。
そして【至祷】を発動、同意頂いた皆さんの『戦闘能力』を強化すると共に、『再生能力』を付与しますねぇ。
これで、隔壁の開放が可能になると共に、レイダーに遭遇しても彼ら自身で或る程度対処出来る状態になりますし、多少の負傷も回復可能になりますぅ。
また、救助した奴隷の方々も同様に強化すれば、脱出までの保護も容易になるでしょう。
後は『FMS』のバリアで守り、『刀』と『FRS』でレイダーを排除しつつ進みますねぇ。
出来れば今後に備えて、レイダーの武器等も奪って渡しておきたいところですが。
銃による援護射撃を受け、猟兵による支援効果も受けた数人が拳法でレイダー達を叩き伏せる。レイニー達だけでもなんとかレイダー達に対抗出来なくはない状況が構築されつつある…かに見られたが…。
「ど、どんどん来る?こんなにレイダーが集まって来るなんて想定外だよ!」
慌てた口調でサムが叫ぶ。レイニー達が集めた事前情報では、これほどまでのレイダー達がこの工場には詰めていないはずだった。もしかしたらどこかのタイミングで援軍要請を相手は行っていたのかもしれない。
「もう少しだ!あの侵入者達を足止め出来れば、数で圧倒出来るだけの援軍が到着する!有力なレイダー達は他の戦場へ駆り出されていて来られねぇが、下っ端には可能なだけ大至急駆け付けるように要請したからなぁ。てめぇらも、もう終わりだぜ侵入者達!」
「ど、どうしよう。流石にこのままだと…」
焦るレイニー達に救いの手が差し伸べられる。
「なんとか間に合ったようですねぇ。あの時の姉弟さん達は無事のようですぅ」
「そうみたいっすね!間一髪って奴みたいっすが」
駆け付けたのは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)と稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)。二人は見知った顔が無事である事を確認しホッとした表情を見せた。
「あ、貴方達は!あの時の!」
レイニーとサムにとっては、かつてこの地で捕らわれの身になっていた所を救い出してもらった命の恩人達だ。駆け付けた猟兵二人の顔を見て、戦いの最中ながら救われたかの表情を浮かべた。
「そうっすよ、元気そうでよかったっす!っと、交流したいのはやまやまっすが、この状況を何とかしないとまずそうっすね!」
「はいぃ、そのようですぅ。若干名、アグレッシブに切り込んでおられる方もいらっしゃるようですしぃ」
敵は猟兵であるリプスとるこるにとっては他愛もない相手ではあるが、なにぶん数が多い。一体どこから湧いてきたのか、というくらいに。前線に切り込んでいる一部のレイニー達の仲間が、このままでは敵の物量に飲み込まれてしまうだろう。
「あの孤立しそうな数人を、なんとかこっちに引き戻さないとまずそうですねぇ」
「それは俺がやってみるっすよ!援護頼めるっすか?」
「はいぃ、了解いたしましたぁ」
るこるはレイニー達と共に立ち、砲撃を開始した。前線に切り込んでいる市民を飲み込まんとするレイダーの群れを牽制する。その間にリプスはUCを発動させた!
「そういえば、これも借りてた権能っす!あの時に使った攻撃的な夜の舟と対になる朝の舟っす!さぁ行くっすよ!」
味方の援護を受け、リプスの舟が前線の市民達の元へ駆け付ける。
「さぁ、早く乗るっす!」
「あ、ありがとう。死ぬかと思った」
生きた心地がしなかったのだろう、前線にいた市民達がリプスの舟に慌てて飛び乗った。
「それじゃあ、後方の皆のいる所まで跳ぶっすよ、朝の舟!」
リプスの声に反応し、朝の舟が空間跳躍を行った。次の瞬間にはるこる達のいる後方に、朝の舟が忽然と現れ佇んでいた。
「くそっ、あいつらどこへ…。なっ、あんな所へ?!」
レイダー達はターゲットとしていた者達が忽然と姿を消した事に動揺した。慌ててその姿を追うと、レイダー達には手の届かない遥か後方の位置へ移動していた。これでは物量で侵入者達を分断し各個撃破を狙う事も出来ない。
近寄ろうにも侵入者達の遠距離射撃が邪魔をして近寄ることも出来ない。これでは完全に仕切り直しである。後から来たと思われる侵入者達の助っ人二人によって、完全に場を支配されてしまっていた。
「皆、無事でよかった!」
「あぁ、この人のおかげだよ。本当にありがとう」
「いいっすよ、あの人なら『こういうときにこそ使え』って言ってくれるっすよ」
窮地の所を救出された市民達に礼を言われ、朝の舟をくれた故人を思い出したリプス。今を生きる人が大好きだったあの人なら、喜んでくれるだろう、と。
「皆さんご無事で何よりですぅ。よろしければ私の信奉する豊饒の女神の力を皆さんにお貸ししようと思うのですが、どうでしょうかぁ?」
「それは有難い!是非とも!」
「了解いたしましたぁ。それでは…。大いなる豊饒の女神、祈りを捧げる者達に、ひと時の加護をお与え下さい」
るこるはレイニー達の同意を得てUCを発動させる!その場にいる者達にさらなる力が降り注ぐ。だが、それだけではなかった。
「力が漲って来る。それに、傷が!」
そう、先程までの戦いで受けた傷がみるみるうちに癒えていくのだ。
「はいぃ、それが豊饒の女神の加護ですぅ。これなら多少の傷を受けても回復が可能になりますから、戦いやすくなるはずですよぉ」
「おぉ!これなら俺達も勝てる!負ける要素がない!行くぞ皆!」
先程他の猟兵によって力を強化されたレイニー達は、ここに来てさらなる強化と再生能力を得た!そして心強い猟兵達自身も援護してくれるのだ。もう勝てる要素しか見当たらない。
勢い付いた一部の市民達がレイダー達に向け特攻を仕掛けた!
…よく見ると先程リプスに救出されたメンバーのようだ。
「み、皆さんくれぐれもご無理はされないようにぃ。…、……、アグレッシブな方々が、よりアグレッシブになられたようですぅ」
どうやら一部のメンバーの脳筋度も底上げされたようだ。慌ててバリアを発生させる円盤の一部を彼らへ随伴させ、致命傷を受ける事がないようフォローするるこる。続けて霊刀を手に切り込み攻撃面でも援護する。切り込んだ後は周囲に砲台を設置し、さらなる敵の援軍に備える。
「これは負けていられないっすね。俺もからくり人形で戦うっすよ!ここまで来て、『はいさよなら』はできねーっすよ」
リプスの元を離れ、既に蝕神の権能である『明け呑む蛇』がレイダー達に襲い掛かっている。『明け呑む蛇』は本能で動く黒蛇故、リプスの元を離れても行動が可能なのだ。さらにリプスの指で操る人形も戦線に加わった!
猟兵二人の介入により、さらに前衛の層も増した。布陣は完璧、向かうところ敵なしである。レイダーの猛攻を凌ぎ切り、その先の障壁もるこるとリプスのUCによって次々と解放されていく。
「私の力を奴隷になった方々にも使う事が出来れば、脱出の際も安心でしょうかぁ。ついでに、せっかくですしこの工場で作られた武器を拝借して武装を強化するのもいいですねぇ。相手側の戦力ダウンにもつながりますしぃ」
その後、無事に合流した奴隷達も各々が武器を手に取り、己が身を守りながら脱出する事が出来た。奴隷を救出した事でこの工場の稼働率は大幅に減り、しかも製造された武器も持ち出された事はフルスロットルにとっても痛手となった事だろう。
大成功
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●エピローグ
こうして猟兵達の活躍により、フルスロットルの指揮下にあった武器工場の一つは機能を停止せざるを得ない状況に陥った。そのうえ、そこで作られた武器も奪われた事で、ヴォ―テックス一族の前線に回される武器が一部間に合わなくなり痛手を与える事も出来ただろう。
そして、レイニー達も無事に奴隷達と共に一人もかける事無く武器工場を脱出する事が出来た。また猟兵達によって命を救われたのだ。
「本当にありがとうございました。再びこうして命を救われる事になるなんて」
「俺達ももっと精進するよ!ありがとうねお兄ちゃん、お姉ちゃん達!」
「今回の経験を活かして俺たち自身がもっと強くなれる可能性を見いだせた。ありがとう猟兵さん達!」
レイニー、サム、そして一緒に行動していた市民達。皆に見守られながら猟兵達は帰還するのだった。
【完】