アポカリプス・ランページ⑪IMMORTAL BLOOD(作者 ノーマッド
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●旧アイオワ州デモイン・再建されたデモイン砦にて

『……煩い……煩い……煩い……!』
 怪しげな実験機材が所狭しと設置されている部屋の隅で、ひとりの男がうずくまっている。ここはかつて旧時代にデモイン砦と呼ばれていた史跡で、とある教団が再建した実験施設。カプセル状の怪しげな溶液で満ちた水槽の中には、遺伝子操作を受けたのかヒトともケモノとも区別できない嬰児がサンプルとして保管されている。
 
 この男こそ、フィード・オブ・ナインの一体『デミウルゴス』である。
 だが、かれは何かに怯えながら頭の抱えながら、独り言をつぶやき続けている。彼しか居ない空間の中で、まるで目の前に誰かが居るかのように。

 ──「助けてくれ」「裁いてくれ」「赦してくれ」……。
 デミウルゴスの耳は、いや脳は一度も会ったこともない人々からの救済を聞き取っていた。しかし、彼はそれに怯えていた。

『……黙れ……黙れ……黙れ……! 俺は、狂った教団に造られた偽物の神だ。俺に……お前達を救う力など無い……! なのになぜ、俺に人間の祈りが届き続ける……!?』
 デミウルゴスはこの教団より創られし命である。人々は救済を求め、彼を創造した。不死身の肉体を持ち、老いもせず朽ちぬ身体を創り出したのだ。
 けれども、デミウルゴスの精神は人間そのもので、不釣り合いの肉体と精神は彼を狂うわせるには十分すぎている。故に彼は鏖殺し続ける。祈りの声が聞こえなくなるまで、彼は真の安らぎを得る為に、弱肉強食の世で救いを求め頼れるものにすがろうとする人間を殺し尽くすのみである。

 ──あるいは、だれか俺を殺してくれ……!
 同時に、偽りの神は『死の向こうにある永遠の安らぎ』の願い求めていた。


●グリモアベースにて
「ついにフィード・オブ・ナインの一席、デミウルゴスの所在地を突き詰めることができました。ですが……」
 集めた猟兵たちの前で、シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)は思わず目を伏せて言葉を詰まらせてしまう。彼が予知したデミウルゴスの正体は、狂った教団により創り出されたただひとりの男。不死身を肉体を持つが故に死による救済を願う哀れな男であった。だが、彼は『無敵の偽神』である。彼独自に偽神細胞により外部の攻撃を『完全に無効化』してしまう不死の肉体を有している。
 アポカリプスヘルの世を生きる人間たちの声なき声を捉えずけるが、彼には人々を救う力などなく、その無力さに打ち拉がれても声は聞こえ続けてくる。そこで彼は静寂の世界を求め、救済を求める無辜の人間たちを手にかけ続けてきたのだ。だが、人々に累が及ぶと更に救済を求める声は強まっていく悪循環に彼の精神はすり減り切る直前である。

「ですが、彼を救う手立てがなくもありません。ひとつは、同じく偽神細胞を宿すストームブレイドとの戦闘です。どうしてだか詳しく分かりませんが、偽神細胞を持つ者が同じく偽神細胞を持つ者に手を下しますと、外部よりの攻撃を完全に無効化する力が封じられるようです。もうひとつは、ソルトレークシティのフラスコチャイルド製造施設で回収しました『偽神細胞液』を身体に注入することです」
  『最強のストームブレイド』を生み出すべく培養されていた『デミウルゴス式偽神細胞』。この施設を守っていたオブリビオンが身体にそれを接種していたが、デミウルゴスほどの不死性までとはいかないがその身を極限までに強化する反面、激しい拒絶反応によって徐々に身体が自壊していくという諸刃の剣でもあった。

「当然でありますが、その効果は生命の埒外たる存在である猟兵も同じであると報告書があがっております。最悪の場合、絶命する危機があると言っておきましょう」
 これを使うか使わないかは各自の判断に任せると、シグルドは説明を終えた。

「では、彼が潜伏するかつてはアイオワ州デモインと呼ばれた地へお導きします。どうかご武運を……」
 グリモアの光に導かれ、猟兵たちは死による救済を願う呪われし血を持つ男の元へと転送されるのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 段々と秋の色が深まって、蒸し暑かった夜もすっかりと冷え込むようになってきました。何かと体調の崩しやすい季節ではありますが、日中は温かくても少し重ね着をするなどしなえればなりませんね。

●シナリオ概要
 シナリオ難易度は、やや難となります。
 『フィールド・オブ・ナイン』の1体である、無敵の偽神「デミウルゴス」との戦いです。デミウルゴスは、体内に偽神細胞を持たない存在からの攻撃を『完全無効化』します。これに対抗するためストームブレイド以外の猟兵は、ソルトレークシティで手に入れた偽神細胞液を体内に注射し、一時的に『偽神化』しなければ、デミウルゴスに傷を与える事すらできません。
 しかし、偽神細胞の接種は激しい拒絶反応をもたらし、絶命の危機さえあります。これは、猟兵と言えども例外ではありません。

 よってプレイングボーナスは、『「偽神化」し、デミウルゴスを攻撃する』、となります。
 上記の条件を満たさないとデミウルゴスには傷一つも付けられませんので、ご了承のほどよろしくお願い致します。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちします。
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第1章 ボス戦 『デミウルゴス』

POW ●デミウルゴス・セル
自身の【偽神細胞でできた、変化する肉体】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[偽神細胞でできた、変化する肉体]から何度でも発動できる。
SPD ●偽神断罪剣
装備中のアイテム「【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ ●デミウルゴス・ヴァイオレーション
自身が装備する【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】から【強毒化した偽神細胞】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【死に至る拒絶反応】の状態異常を与える。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ジフテリア・クレステッド
人間の祈り…願い…今の世界では仕方ないことなのかもしれない。
だけど、それを押し付けられた側の気持ちは誰が考えてくれるんだろうね?
…私はそういう同類を助けたい。だから、精一杯頑張って殺すよ。

【ダッシュ】で突撃して彼の不要部位、偽神細胞のみを攻撃する。
…全身が偽神細胞なのかもしれないけど。
相手はこの技をコピーできるだろうけど、この技は無敵の偽神になるほど偽神細胞を抱えている彼の方がより致命的なダメージを負うはず。
この技での【根性】比べなら間違いなく私が勝つ。ストームブレイドの私は注射打ってないから普段通りの体調で戦えてるし。

祈りの声、少しは聞こえなくなったかな…?
こんなことしかできなくて、ごめん。


「人間の祈り……願い……今の世界では仕方ないことなのかもしれない」
 じゃりっとにじり寄る音と共に聞こえた声に、デミウルゴスはハッとして頭を上げた。人里から遠く離れたこのデモイン砦には自分しか居ないはずであったが、彼の視線の先には銀髪の長いツインテールが特徴的なガスマスクを付けた少女、ジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)が室内を見渡している。デミウルゴスは無意識に長剣に手を掛け立ち上がろうとするが、彼女はそれを他所に更にガスマスク越しのくぐもった声で言葉を続けた。

「だけど、それを押し付けられた側の気持ちは誰が考えてくれるんだろうね? ……私はそういう同類を助けたい。だから……」

 ──精一杯頑張って殺すよ。
 一気に跳んで、ジフテリアはデミウルゴスの異形化した部位、左上半身に有機的に無数の眼球を覗かせている大型メス状の偽神兵器を振るった。本来であればデミウルゴスの偽神細胞によって完全無効となるところであるが、彼女自身もまた偽神細胞を身に宿すフラスコチャイルドである。ふたつの偽神細胞が共鳴しあい、彼の身体は血飛沫を吹き出させながら斬られた……はずだったが、切り口に牙が生え揃ったかと思えばそれが口となってジフテリアに喰らいつこうとする。
 いったい何が起きているのか分からない、どこか怯えた表情のデミウルゴスの表情から察するに、彼の意識と身体に宿る偽神細胞の意思は別々と見ていいだろう。果たして彼の精神は人間であり身体がオブリビオンなのか、それともそう定義づけられた遠い過去に狂った教団によって生みだされた存在なのか。

(なるほど。私が吐き続けなかればならない毒素と同様、お互いに呪われた身体というわけか)
 となれば、悪しき細胞は切除せねばならない。例えそれが全身にまわっていようとも、世界全てを蝕み死に至らせるガン細胞であれば尚更でもある。迫る異形の牙に対し、ジフテリアは片手に持っていたパイルバンカーの杭を向けさせると、炸薬を点火させて打ち込ませた。同じく偽神兵器である打ち込まれたパイルバンカーにもUCによって攻撃対象のみを消滅させる毒が籠められている。これによってデミウルゴス偽神細胞の活動を鈍らせる効力があることが証左されるかのように、打ち抜かれた部位の修復がままならぬままデミウルゴスが衝撃で窓へと飛ばされるとガラスを破って外へと追い出された。

「祈りの声、少しは聞こえなくなったかな…? こんなことしかできなくて、ごめん」
 自身にできることはこのような荒療治でしかないと申し訳無さそうに呟きながら、彼女は破れた窓から外へと出たデミウルゴスを追うのであった。
大成功 🔵🔵🔵

マキナ・エクス
アドリブ・他猟兵との連携歓迎

使用武器 パイルバンカー

彼もまた見方を変えれば被害者であるということか。人間の精神で不滅の肉体を持ち、自らに永遠に送られる救いを求める声、むしろよくここまで発狂せず自らを保ってきたものだよ。
彼が終わりを求めるというならば我々はそれ与えよう。彼の物語に安らぎという名の終止符を打つとしよう。

さてデミウルゴス式偽神細胞を自らに打ち込まねばならぬとのことだが、肉体と精神への負荷は並大抵のものではあるまい。
自らに外なる神々を降ろし狂気に堕ちて偽神細胞の拒絶反応を抑え込みながら戦うとしよう。

人形はその身を偽りの神へと変え、その身に外なる神々を降ろす。
狂宴の始まりである。


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK


人の存在と相容れないことが戦う理由なんだったら、
アンタとあたしは対等で、これはただの生存競争。
助けなんて求めないから、かかってきなよ。

偽神細胞液の入った注射器を嚙み砕いて、【万喰変化】を発動。
全身の細胞全てを偽神細胞に変化、デミウルゴスと似た体躯に変身するよ。
痛みは尋常じゃないけど、それでも落ち着いて耐える。
そう簡単に死ぬほど弱い体はしてないしね。

後はまあ、お互い喰い合うだけだね。
相手を喰えば更に自分を強化出来て、
相手がユーベルコードをコピーしたら条件は同じ。

ユーベルコード抜きに体から電撃を放てる分、
肉弾戦なら少しこっちが有利かな。
体の限界が来るまで、戦い続けるよ。


 自分はデミウルゴスと同じく偽神細胞を身体に宿すストームブレイドだからと、先行した猟兵が彼と室内で戦うこととなるより少し前。偽神細胞液に満たされたアンプルを手にしたふたりの猟兵が、デモイン砦の中心部である広場でデミウルゴスの完全無敵の加護を破るべく今まさに偽神細胞を接種しようとしていた。

「彼もまた見方を変えれば被害者であるということか。人間の精神で不滅の肉体を持ち、自らに永遠に送られる救いを求める声、むしろよくここまで発狂せず自らを保ってきたものだよ」
「人の存在と相容れないことが戦う理由なんだったら、これはただの生存競争じゃ?」
「そうかも知れない。彼が終わりを求めるというならば我々はそれ与えよう。彼の物語に安らぎという名の終止符を打つとしよう」
 そのように述べたマキナ・エクス(物語の観客にしてハッピーエンド主義者・f33726)の隣で、ふーんとした趣きでペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は偽神細胞液のアンプル剤を高く昇った陽にかざして眺めている。
 光の屈折でキラキラと煌く琥珀色の液体こそデミウルゴス式偽神細胞液であり、その接種方法は直に飲んだり器具を用いて注射するなど様々である。これを自らの身体に取り込まねばデミウルゴスに傷一つも付けれないわけであるが、y当然ながら体と精神への負荷は並大抵のものではない。

「じゃあ、お先に」
 じっと注射器を見つめながら祈りのような言葉を呟き続けるマキナを他所に、ペトニアロトゥシカはナッツ類を上に投げて口でキャッチするかのようにアンプル剤を放り投げ口で噛み砕いた。口の中にガラス特有のジャリッとした感触の中、無味無臭で安定剤として添加されてるゼラチンでかとろみがある溶液が口腔内の粘膜にへばりつき、毛細血管に吸収されると血液とともに体内を循環する。
 そして、変化はすぐ現れた。ペトニアロトゥシカの全身に激痛が走り、身体が異形と化していく。尤も、これは彼女自身のUC『万喰変化』によるもので、全身の細胞全てを偽神細胞に変化させているからでもある。それ故にか、拒絶反応と思わしき激痛の他にも体中の体液を吐き出したくなる感覚にペトニアロトゥシカは襲われた。だが、全身を震わせながら大きく深呼吸し、心身を落ち着かせながらUCによる変化が終わるまで耐えていた。

 ガシャァァンッ!!

 痛みが引いてきたその時、砦内の部屋から何かがガラス窓を破って広場へと落ちて着地する。デミウルゴスだ。だが、彼の目には疑いたくなる光景があった。息を荒げながらも拒絶反応を抑え込んでいるペトニアロトゥシカの姿がデミウルゴスと似た体躯となっていたからである。

『俺と同じ……姿だと?』
「そりゃあ、何だって食べられるから、何にだって成れるのさ。後はまあ、お互い喰い合うだけだね。助けなんて求めないから、かかってきなよ」
『……ッ! 煩い、煩い! 俺の姿を真似やがって!!』
 果たして彼は何を思い、何を感じたのか。再びどこかで顔も知らぬ誰かが救いを求める声を受信したのか、それとも自らの写し身を見せつけられて激しく憎悪を抱いたのか。いずれにせよ、デミウルゴスは彼女の挑発に乗ったのは確かである。

「原初宇宙観測、神性認識、神躰憑依。…ヒャハハハハハハハハ!!! いあ! いあ! 我が親愛なる外なる神々よ! 我が業をご照覧あれ!」
 そして、ペトニアロトゥシカに遅れ、デミウルゴス式偽神細胞液を体内に注入したマキナが狂乱の声を上げながら叫びだした。彼女は自らに外なる神々を降ろすUCによって『狂う』ことで偽神細胞の拒絶反応を抑え込む選択を選んだ。人形はその身を偽りの神へと変え、ペトニアロトゥシカとは趣旨が異なるが異形となった姿で狂宴を始まりを外なる世界への贄を捧げるべく、巨大な十字型のパイルバンカーでデミウルゴスの心臓を打ち抜かんとした。

『お前も、お前も……。俺の頭に、声を送るのかッ!!』
 彼は感じ取った。一見すると発狂したかに見えるが、その深層では拒絶反応の痛みに苦しむマキナの声なき声を。デミウルゴス自身の偽神細胞で作られた大剣、偽神断罪剣が彼の怒りに呼応して硬度を増し、炸裂音と共に射出された聖釘を切り払う。マキナのパイルバンカーがデミウルゴスの身体の中心から逸れると彼の身体を掠めて抉り削る。偽神細胞が修復を始めだし、異様な速さで肉が盛り上がり始めている。この再生力により、彼自身は何度も自害を試みてきたが、果たせずに今ここに生きながらえ続けているのだ。

「いただきっ!」
 マキナに気を取られたデミウルゴスの隙をつき、ペトニアロトゥシカが異形化した大アゴで彼の左腕に喰らいつく。彼の偽神細胞が逆に彼女を喰らおうと牙を剥かせたが、掴んだ手から放たれた電流で一瞬だが身体が硬直してしまう。その一瞬が命取りなり、デミウルゴスの左腕は食い千切られたものの、やはり驚異的な再生力によって元に戻ろうとしつつあった。

「うーん。どうしたものか」
 仕切り直して奪った左腕をボリボリ噛み砕いて咀嚼しながら、ペトニアロトゥシカはどうすれば彼を骸の海へと送れるのか思案するのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

木常野・都月
……。
俺は……狐だった頃、熊に襲われた事があった。
じいさんに、拾われた命だ。
以前の俺なら躊躇いなく注射出来たはずなのに。

あの時とは違って、俺には大事な人達が沢山増えた。
じいさん。大事な猟兵の仲間。実の家族。大切な人。

今の俺は…死ぬ訳にはいかない。
まだ、沢山、話したい事があるんだ。
俺は生きて、皆の所に帰るんだ。

UC【俺変身「九尾の狐」】を使用、俺の意識があるうちに全力で敵を撃とう。

[魔力溜め、属性攻撃]を敵に叩き込もう。
闇の精霊様、お願いします!

敵の攻撃は[カウンター、高速詠唱]で凌げたらいいな。

拒絶反応は[激痛耐性、呪詛耐性]あたりで我慢できるかな。

…運が良ければ、九尾が助けてくれる…かなぁ?


「……寒い、痛い、だるい……。これが、拒絶反応……なのか?」
 杖に体重をかけることでようやく立っていられる状態に木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)はなっていた。
 彼には今でも恐ろしくて思い出すのも憚られるトラウマがあり、A&Wの森の中で生きていた頃に飢えた熊に襲われて食べられそうになった事あった。もう命はないと諦めかけた時に、育ての親であり今は亡くなっている老人に助けられる形となったが、もし当時の彼が偽神細胞液のような物があれば生きるために躊躇なく使っていたことであろう。
 だが、彼は数々の旅路を経て様々な人たちとの出会いを経た。じいさん、大事な猟兵の仲間たち、実の家族、大切な人……。再び吐き気がこみ上げてくる中、走馬灯のように頭の中で顔が浮かんでは消えて繰り返している。都月は己のためにデミウルゴス式偽神細胞を接種したのではない。大切なモノを護るために力を得ようとしたのだ。

『お前も……この距離で、俺に多くの救いを求めるな!!』
 定着しつつある偽神細胞によるものか。それとも死の淵に立とうとしている今、生き抜こうとする生存本能によるものか。デミウルゴスが振り上げる大剣がゆっくりと、スローモーションのように、彼の目には緩やかと時が流れていた。

 ──やらなければ、こちらがやられる。
 精霊に助力を願おうにも、思うように口が回らない。杖を振って大剣を逸らそうにも身体がこわばってしまう。

 ──今の俺は……死ぬ訳にはいかない。
 ──まだ、沢山、話したい事があるんだ。
 ──俺は生きて、皆の所に帰るんだ。

 だが、現実は藻掻こうとすれば焦ってしまって更に藻掻いてしまう。無意識の中で思い浮かぶ人たちに助けを求めてしまい、それがデミウルゴスの頭の中に今響いている。その雑音を取り除いて静寂を取り戻すべく、彼は巨大な剣を振り下ろそうとしていた。
 もう駄目か。そう諦めかけてた時、都月の口からかすかであるが声を絞り出した。

「か……あ、さ…ん……」
 全身に駆け巡る偽神細胞の侵食でもう何も考えられなくなり、無意識にでた言葉が母への想いだった。彼は母親のぬくもりという物を知らずに育ってきた。ようやく実の家族と再開を果たしたのに、甘えれなかった分甘えて親孝行しようと思っていた矢先に命を失おうとしている。後悔と自責の念が彼の頭の中を支配しようとしたその時、ふわりと何か温かいものに包まれた感触がした。まるで、たくさんの尾に包まれた感触であった。

 (まったく、ようやく成人したというのに何時までも世話の掛かるわらしよのぉ)
 その声に聞き覚えがあった。都月の中に眠っている骸魂、九尾の狐だ。気が向くと彼女は彼に力を与えるが、その代償として生気を全部奪おうと要求してくる。記憶を奪った張本人でも苦手意識があるが、身体を共有することで常に連れ添ってきた第二の母でもあった。彼女のぬくもりが都月に生気を与え、偽神細胞に抗う力を彼に与えたのだ。
 身体に走る痛みがやわらぎ、灰色がかった世界に色が戻ってくる。杖を強く握り締め、生気を取り戻した顔で彼は力いっぱい叫んだ。

「闇の精霊様、力を!」
 杖の先端に埋め込まれた宝石が黒ずむと、暗い光が迸ると大剣を掲げていたデミウルゴスの身体を吹き飛ばし、石壁へと叩きつけたのであった。
大成功 🔵🔵🔵

待鳥・鎬
問題は偽神細胞じゃなくて拒絶反応
【医術】知識で、先の戦闘より強力な免疫抑制剤を偽神細胞と共に投与
鎮痛剤も医療用麻薬等々、躊躇なく
今、全力で戦えればそれでいい

【迷彩】効果のある「山吹」を纏って、間合いを読み難く
基本はUCによるヒット&アウェイ
超音速飛行の勢い殺さず薙ぎ払ってそのまま距離を取る
あちらも射程が長いから、追撃には警戒しないと
相手の攻撃は【武器で受け】て斬り返すか、難しければそのまま【受け流す】よ

救いを求める相手を、殺すことしかできない無力さ
それを救いと思うしかない情けなさ
……本当に思い知らされるよ
全力で、鬱積した苦しみをぶつけてくればいいさ
それを受け止める気概くらい僕にだってある


カイム・クローバー
分かる、なんざ言えねぇよ。けど、俺も時々、頭に響く声がある。(頭を指で叩く)
『全てを殺して破壊しろ』なんざ。笑えねぇセンスの冗談だろ?自分以外の誰かの声が響くのは地獄さ。
だから。俺がアンタに安らぎをくれてやる。

身体の内側が燃えるような熱。内部から焼き尽くされてる──そんな感覚。
表情にはいつもの余裕を。額には汗。──多少の代償は払わねぇとな。
魔剣を以て正面に。【怪力】込みで振るい、真っ向から打ち合う。
不利なんざ承知の上。オマケに苦痛が視界を歪ませる。
けど、俺は【覚悟】を決めて此処に立ってる。
UCでヤツの剣を掴んで奪い取る。それを【串刺し】で叩き込むぜ。
どうだ、声の方は?少しはスッキリしたかい?


マリア・ルート
ええ、では望み通り殺してあげる。
デミウルゴス――造物主。その名は『創造』の力使う者として許せないから!

体が焼けそうで、私の身を引き裂いて私の中のフレースヴェルグが今にも飛び出しそうな痛み――『激痛耐性』で耐えるのも手だけど、いっそ解放しちゃえ!

必要最低限の『オーラ防御』と『残像』による回避だけ考えて、【指定UC】で怒りのまま勝負!インファイトで速攻あるのみ!
相手がコピーしてもこれなら真っ向からのぶつかり合いよ!

あまりの痛みに感覚がなくなってくる。でも、痛覚も何もないなら、自分の痛みとか気にせず存分に攻撃できる!

デミウルゴス、あんたは許せない!
ソルトレークで感じた苦しみ、全てぶつけてやる!


 猟兵による思わぬカウンターを食らいデモイン砦の城壁へとデミウルゴスであったが、立ち上がる粉塵の中から悠然とその姿を再び見せた。だが、一歩二歩と進めていくと突如として彼は片膝を付いて頭を抱えながら悶え始めた。

『や…めろ……。そんなに、声を……送らないで、くれ……ッ!』
 先程から疑心細胞を接種した猟兵の痛みを受信していたが、どうやらアポカリプスヘル内で今日も何処かで救いを求める声が彼にへと押し寄せているようだ。その様子を見守りながら、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)はコンコンと人差し指で自身の側頭部を叩いて語った。

「分かる、なんざ言えねぇよ。けど、俺も時々、頭に響く声がある」
 表情こそは余裕であるが、接種したデミウルゴス式偽神細胞の侵食に額に脂汗を滲ませている。カイムの身体の内側では、このまま灼き尽くされてしまうと錯覚してしまう燃えるような熱に苛まれている。とは言え、目の前で絶えず聞かされたくもない言葉を強制的に聞かされる生き地獄を味わってきたデミウルゴスと比べれば、それはまだ生やさしいものに過ぎないかもしれない。

「救いを求める相手を、殺すことしかできない無力さ。それを救いと思うしかない情けなさ……本当に思い知らされるよ」
 真鍮で作られた薬匙のヤドリガミとして、救われる命と救われない命を看取ってきた待鳥・鎬(草径の探究者・f25865)がそう零す。疑心細胞液を接種する前に偽神細胞が如何に自身の身体を蝕んでいくかを持ち前としている医学の知見で仮説を立て、それに則り通常では負担が強すぎて処方しない鎮痛剤やら医療用麻薬等々も惜しまず調合した強力な免疫抑制剤を投与することで何とか戦闘に支障が出ない範疇まで副作用を抑え込んでいる。

「『全てを殺して破壊しろ』なんざ。笑えねぇセンスの冗談だろ? 自分以外の誰かの声が響くのは地獄さ。だから、俺がアンタに安らぎをくれてやる。来いよ、無抵抗な奴を殺っても目覚めが悪いからな」
「全力で、鬱積した苦しみをぶつけてくればいいさ。それを受け止める気概くらい僕にだってある」
『お前たちが……俺を、救ってくれるの……か?』
 どこか弱々しい声が猟兵たちに向けられ、デミウルゴスは再び立ち上がった。

「ええ、では望み通り殺してあげる。デミウルゴス――造物主。その名は『創造』の力使う者として許せないから!」
 旧時代において狂った教団が行き詰まった文明社会への救済を求め科学的に創り出された偽りの神、デミウルゴス。その研究はソルトレークで密かに続けられていたが、マリアはそこで凄惨な生命の冒涜を目の当たりにしてきた。ただ創られた存在であるデミウルゴス自身には罪はないが、その存在が、彼の偽神細胞が新たな悲劇を招くのに変わりない。負の連鎖を断ち切るべく、接種した偽神細胞の拒絶反応でマリアの身体も焼けそうな痛みに襲われ、ダンピールの身体に宿るフレースヴェルグと呼ばれる魔性が身体を引き裂いて今にも飛び出しそうでもある。ならば、それを抑えるのではなく怒りと共に彼女は逆に解き放った。

「ああ――■■■■■■■■■■――――!!!」
 マリアの身体に宿る魔性がUCにより解放され、接種したデミウルゴス式偽神細胞の効果も相まって彼女はデミウルゴスの特徴も兼ね備えた異形の悪魔とも言える姿となった。もはや言語の体制を持たぬ方向と共に、フレースヴェルグとなったマリアが跳んだ。

『ぐ……ガァアアッ!』
 自ら死を求めるデミウルゴスの意思に反し、彼の偽神細胞が同じ性質の疑心細胞を感知して彼の身体を突き動かす。一度は組み付いて優勢をだったマリアだったが、彼女の今の姿と同化した偽神細胞の遺伝子情報を取り込んだのか、デミウルゴスの身体がマリアと似た姿へと変貌していく。対抗進化を遂げたデミウルゴスは、力でマリアを圧倒して組み伏せさせた。
 そして、彼の手には偽神細胞によって創り出される大剣、偽神断罪剣がマリアへ振り下ろされようとされた時、一陣の風がデミウルゴスの上で吹き抜けた。

「杞柳の牙からは逃れられないよ」
 魔術的な迷彩服と言ってもいい“隠れ蓑”により姿を消し、デミウルゴスから動きを悟られないようにしていた鎬によるUC『穿牙』。その身に宿した使い魔によって背中に生えさせた純白の翼により飛翔し、使い魔が変化した霊刀をもって超音速飛行の勢いで偽神断罪剣を握りしめていたデミウルゴスの両腕を一閃の元に斬り抜いてみせた。程なく血飛沫と共に大剣を掴んでいた両手が落ちると、切断面より再び両腕が再生され始めようとしているが、一瞬に再生して完治するわけでもない。

「サンキュ。お陰で掴んで奪い取る手間が省けた」
 UC『邪神の右腕』が作り出す怪力によって偽神断罪剣を拾い上げ、まだ掴み続けている両腕を引き剥がす。今のデミウルゴスは無防備だ。両腕は再生中で下半身は組み伏せられているマリアが押さえ込んでいる。偽神細胞が生みだす完全無敵の力、それを無効化できるのは偽神細胞を身に宿す者のみである。ならば、オブリビオンがソルトレークで研究していた新たな偽神細胞、そのオリジナルであるデミウルゴスの偽神細胞。新たな偽神細胞を接種したマリアを通して一時的に変異し、両者の特性を兼ね備えたふたつの偽神細胞によって創り出された生命を冒涜する魔剣が今まさにカイムの手にある。

 ──苦痛で視界を歪んできやがる……なら、この一突きで全てを終わらせてやる。
 視界がままならぬ中、カイムは疾走った。その勢いでデミウルゴスの心臓が貫かれ、核であった心臓をデミウルゴス本来の偽神細胞よりも強力な偽神細胞によって喪った。ふたりは重なるように倒れ込み、呼吸を整えながらカイムはデミウルゴスに問いかけた。

「どうだ、声の方は? 少しはスッキリしたかい?」
『……頭に響いていた……声が……消えていく。これが……俺が、救い求めていた……静寂の世界、か……』
 そうか、とカイムは満足げに笑みを浮かべると、デミウルゴスが消滅しようとしているからのか接種した偽神細胞の効力が失われていく感覚と元の体に戻っていく気だるさに起き上がることもままならず、ごろりと身体を寝転ばせた。顔を横たわっているデミウルゴスに向けると、上空を見上げながら一筋の涙を流しながら何やら口を動かしている。そうして彼の身体は塵となって、骸の海へと還っていく。それを見届け終えたカイムがデミウルゴスがこの世に遺した最後の言葉をそっと呟いた。

「……ありがとう、か」
 人型に盛られていた塵は徐々に虚と消えていき、デミウルゴスがこの世に願った安らぎが今ここに叶えられたのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年09月19日
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