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アポカリプス・ランページ⑪〜虚ろにしてうつろわざるもの

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「なぜ祈る? なぜ頭(こうべ)を垂れる? なぜ立ち上がらない?」
 男は虚空に問いかける。
 一見すると、大剣を携え鎧を纏った男に見える。
 だが、鎧に見えるものは変異した彼自身の肉体であり、赤黒く禍々しい甲殻であった。

「なぜだ。なぜ自らの足で歩もうとしない?」
 彼こそは偽りの神、デミウルゴス。されど偽りと言えど神は神。
 デミウルゴスの中には、信ずる者の数多の祈りが木霊していた。
 それが偽りの神を責め苛むと知らぬままに。

「喧しい。五月蠅い。煩わしい!」
 デミウルゴスに人々を救う権能はない。そもそも祈られるつもりもない。
 だというのに、人々は祈り続ける。助けを求めるばかりで、前を向こうともしない。

「誰かが導かなければ滅んでしまうというのならば、滅んでしまえ!」
 彼こそは偽りの神、デミウルゴス。その権能は撃滅なり。
 破壊神に救済を求めたとて、その願いが叶うこと能わず。

「だが……そうか! 俺の元に、もうすぐ俺に祈らぬ者が訪れる!」
 デミウルゴスは表情を歪めた。
 喜怒哀楽を綯い交ぜにしたような、多くの絵の具を混ぜたような、灰色の顔だった。

「祈りが消えぬというのであれば、俺自身が消えてくれよう!」
 デミウルゴスは咆哮し、巨大な剣を振り翳す。
「さあ、俺を殺せ! さもなくば、俺が貴様らを殺す!!」



「偽りの神、デミウルゴス。フィールド・オブ・ナインの一体だ」
 ヨム・キプール(贖罪の日・f21620)は目を細めた。
 その表情には、義憤よりも憐憫の色が濃く滲み出ている。

「奴は狂信者に望まぬ創造を受けた、言わば犠牲者でもある。
 とは言え、敵意に満ちた存在である以上、倒す以外の道はねぇ」
 そこでヨムは一旦言葉を区切り、苦虫を噛み潰したような表情を作る。

「デミウルゴスは無敵だ。比喩でも何でもなく、あらゆる攻撃を無効化しちまう」
 例外はただ一つ、体内に偽神細胞を打ち込んだ者の攻撃のみだ。

「ハナから偽神細胞を持っているストームブレイドなら何の問題もないぜ。
 だが、そうでないなら……ソルトレークシティで手に入れた偽神細胞液。
 こいつを体内に打ち込んで、一時的に『偽神化』する必要がある」
 だが、偽神細胞液は人体に激しい拒絶反応を示す。
 最悪の場合、デミウルゴスに挑む前に絶命しかねない。

「もちろん、デミウルゴス自体の強さも他のフィールド・オブ・ナインに匹敵する。
 そこに猛毒を抱えたまま突っ込めって訳だから、不利どころの話じゃない」
 それを安全な場所に居ながら他人にやれ、と言うのだから、ヨムの歯切れは当然悪い。

「だが、誰かがやらなくちゃデミウルゴスは確実に暴走する。
 悪いが、お前さん達以外に頼れるものはねぇ」
 ヨムは言葉を紡ぎ、グリモアを輝かせ、門を開いた。

「厳しい戦いになるだろうが、武運を祈るぜ」


鶺鴒
 こんにちは、或いは初めまして。鶺鴒(せきれい)と申します。
 今回は久々にMSとして活動させて頂きます。
 皆様の活躍を精一杯描写させて頂きたく思います。

 今回の敵は偽神デミウルゴスです。
 プレイングボーナスは『「偽神化」し、デミウルゴスを攻撃する』です。
 偽りの神に偽りの神の力で挑む、毒を以って毒を制す戦いになります。

 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちさせて頂きます。
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第1章 ボス戦 『デミウルゴス』

POW   :    デミウルゴス・セル
自身の【偽神細胞でできた、変化する肉体】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[偽神細胞でできた、変化する肉体]から何度でも発動できる。
SPD   :    偽神断罪剣
装備中のアイテム「【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ   :    デミウルゴス・ヴァイオレーション
自身が装備する【偽神断罪剣(偽神細胞製の大剣)】から【強毒化した偽神細胞】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【死に至る拒絶反応】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「良くぞ来た……などと余計なことは言うまい」
 凄惨な落日が廃墟を黄金に照らす中、デミウルゴスは口を開いた。
「俺の体に傷を付ける方法は知っているな? ……来い!」

 デミウルゴスが剣を構え、死闘の火蓋は切って落とされた。
 偽神を討滅できるのは、偽神の力のみ。
 しかし、これから決まる勝敗の結果に、偽りなど微塵もありはしない。
ジフテリア・クレステッド
パンクロッカーは祈らない。
五月蝿いのが嫌いなあなたには悪いけど、私のステージに殺されてもらうよ!音楽は神を殺れる!

【歌唱】をスピーカーで毒音波の【衝撃波】に変えて放つ【範囲攻撃】!
音波に含まれた毒による【マヒ攻撃】【目潰し】で動きを鈍らせ、更には音の衝撃波でこちらに近づかせないようにしつつ毒でどんどん【蹂躙】していく!こっちだけ苦しい思いするのは割に合わないからね!そっちもデバフに苦しみなよ!
敵の動きが鈍れば鈍るほどこっちも【念動力】で防いだり【ダッシュ】で躱しやすくなる。躱せなくても【激痛耐性】【根性】【継戦能力】で歌い続ける。つまり痩せ我慢だ!

消えたいあなたに、これ以上の我慢ができるかな?



「パンクロッカーは祈らない」
 それがジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)の信条。
 無政府主義(アナーキー)でないパンクなど、この世に存在しないのだ。
「さあ、暴虐のステージの開幕だよ! 題目は『Deicide(神殺し)』!
 音楽は、神を殺れる! 殺人……いや、殺神スピーカー、カモン!」

 吹き荒れる音は音を超え、衝撃となってデミウルゴスを打ち据える。
 空気の断層すら作り出すほどの轟音は、物理的な破壊力すら持ち合わせる。
 更にこの音は触れる物体を侵食する形無き毒でもある。
「痺れるだろ!」

「この力、間違いなく偽神細胞の力だ。だが、一朝一夕の適合とは思えん。
 貴様、その力を宿して何年になる? なぜ命を削ってまで歌う?」
 デミウルゴスの偽神断罪剣が禍々しく変形する。
 巨大化したそれが叩きつけられ、地面が抉られる。

「パッと生きてパッと散る、それこそロックってものだよ」
 ジフテリアはダッシュで大剣の一撃を回避し、更に毒音波を浴びせる。
 反響が木霊する中、デミウルゴスの体が僅かによろめく。

「否。この叫び……感じるぞ。生命だ。生への執着だ。生きたいという願いだ。
 だが、祈りや崇拝、命乞いとは全く違う。この力強さは何だ?」
 それを聞いたジフテリアは、ハッと鼻で笑った。

「あなた、聞いてなかったの? パッと生きてって言ってるじゃん。
 ただ死ぬなんて真っ平ごめんだよ、あなたと違ってね!」

 何が違う! その問いと共に大剣が真横に薙ぎ払われる。
 ジフテリアは念動力による不可視の力場を発生させて、それを防ぐ。
 衝撃を完全に減衰はし切れないが、彼女はそれを根性で耐える。
「ちっ、流石に痛いね。でもこの程度で、私の歌は止まらない!」

「死は死だ。それ以上でも以下でもない。ただ静寂が広がるのみ」
 デミウルゴスは大剣を地面に突き立てて、瓦礫を散弾のように射出する。
 ジフテリアの体を苛むが、少女の声は、叫びは、轟きは陰らない。

「死は不可避だよ。でもね、そこにどんな想いを馳せるかは自由なんだ」
 あなたはそれをわかっていない! そう、ジフテリアは断言する。
「派手に生きて派手に死んでやるのさ。平穏な死なんて、ステージには無価値だ!」

 デミウルゴスの剣が、ジフテリアを正確に捉える。
 だが、ジフテリアの念動力は、それを確(しか)と押し留めた!
「さっきより威力が弱まってるよ。どうだ、私の音楽は。骨身に染みたかな?」

「ぬ、ぅ……これは!」
 デミウルゴスが衝撃波に押し負け、大きく後退(あとずさ)る。
 ジフテリアのロックは、神の心身を確かに震わせているのだ。
 終焉の……いや、終演の時は近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
継戦能力、偽神細胞液を接種する。敵を倒せるならなんだろうと問題ない。

デミウルゴス……『進め!』朱鷺透小枝子!!

オーラ防御、障壁を身体だけでなく騎兵刀にも纏わせ、捕食を防ぎ、飛翔推力移動で刺突から切断、斬りかかる!
同じ造られた存在として思う所もある。だが、そんな物は戦いにはいらない。時間もない。だから!

自分がお前に望む事など一つしかない!自分で叶える!!

偽神細胞液と人工魔眼による負荷を気合いと闘争心でねじ伏せ、早業、捕食攻撃を、身体を無理矢理念動力で動かして躱してクイックドロウ。

壊れろ!細胞の一片まで焼き尽くせ!!

雷降拳銃の雷を秘めた弾丸でマヒ攻撃。追撃の属性攻撃。全弾打ち尽くす!



 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)に躊躇いはなかった。
 偽神細胞液を迅速に打ち込む。
 襲い来る自身の核を傷つけられるような悪寒と激痛が身体を蝕む。

「ああ、痛い……痛いであります! これは確かにキツいであります!
 でも、この痛みがある内は……自分は確かに、生きているであります!」

 それは強がりでも何でもない、文字通りの意味だ。
 痛みは危機への警鐘であり、危機とは即ち死だ。
 痛みを感じているというのは、生命を実感できている証拠だ。
 少なくとも、小枝子はそう考える。

「目標、デミウルゴス……推して参る!!」
 小枝子の人工魔眼が爛々と輝く。当然、身体への負荷は跳ね上がる。
 砕けそうな程に歯を食い縛り、鬼気迫る表情で小枝子は進む。
「進め、進め! 突き進めぇッ!!」

「貴様も、己の命を燃やして俺を討たんとするか!」
 音速を超える速度で突撃する小枝子と、デミウルゴスの異形の左腕が激突する。
 周囲に衝撃波が迸り、廃墟と瓦礫が飛散する。

「デミウルゴス! 自分がお前に望むことなど、一つしかない!
 それは『望みは自分で叶える』こと! 安心して……死ね!!」
 小枝子の騎兵刀がオーラを纏い、デミウルゴスの左手を貫く!
 だがデミウルゴスも貫かれたまま刀を掴み、オーラを喰らう!

「この力……何という負荷! 何という闘争心! 何という矛盾!
 勝利をもぎ取るためならば、己の身を投げ打つと言うのか!」
 デミウルゴスの変異した肉体は、捕食したユーベルコードをコピーできる。
 それ故に、理解してしまったのだ。小枝子のユーベルコードの特性を。

「知った、ことかぁッ!!」
 小枝子は叫ぶ、喉が張り裂けんばかりに。
 もはやその四肢は脳からの電気信号を受け取れる状態ではない。
 操り人形の如く、念動力で動かしている状態だ。
「自分はお前を倒す! それ以外は知らない、興味もない!!」

「理解に苦しむ。だが、これもまた人間らしさの一つか。
 いいだろう、その力で俺を滅ぼしてみせろ! 或いは、そのまま滅びろ!」
 デミウルゴスもまた、己の身体にオーラを纏う。
 小枝子の【戦塵突撃】をコピーしたのだ。
 同じユーベルコードの、激しい鍔迫り合いが巻き起こる。

「何だ……押し負ける、だと?」
 だが、戦況は小枝子に優勢に傾いた。
 性能は同じでも、出力を高める条件が異なるからだ。具体的には『闘争心』が。

「俺は、貴様が俺を滅ぼせないなら貴様を滅ぼす! 確実に! 
 だが、その想いは、貴様が俺を滅ぼしたいという想いに劣るというのか!」
 鍔迫り合いの結果、デミウルゴスは大きく体勢を崩して吹き飛ばされた!

「……はぁ、はぁ……はぁ……」
 小枝子は息を切らす。デミウルゴスの境遇に思う所が無いわけではない。
 だが、憐憫など戦いにおいては愚弄でしかない。

「それでも! それでも自分を納める器か! 動け……動け、動けぇッ!!」
 限界などとうに超えている。だが、悲鳴を上げる体を強引に動かし、銃を抜く!
 雷降拳銃が小枝子に囁きかける。『撃て』と。

「壊れろ! 壊れろ!! 壊れて震えろぉッ!!!」
 デミウルゴスが体勢を整える前に、銃弾の嵐が襲い掛かった。
 その様は、文字通り迅雷の如く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
なるほど、死ぬかもしれないのですか
……で、それがどうだというのです?
相手はフォーミュラ、放置するだけで世界を蝕むもの
ならば放置して死ぬのも今ここで死ぬのも同じことです
さあ、細胞液とやらを御存分に

偽神細胞の体を引き裂くような痛みは「覚悟」と「激痛耐性」で
脳髄が溶け出すような狂乱は「狂気耐性」で凌ぎます
そして……愛する人から贈られたNIGHTMAREと
無二の親友から贈られたアルギュス、二つのアイテムを握り締めて
愛と友情のもとに己を奮い立たせましょう

「早業」による「残像」と「見切り」でセルの攻撃を回避しつつUC発動
そう、私はダンピール、生まれながらに神殺しの力を持つもの
あなたもまた例外ではありません



「なるほど、これが偽神細胞液。死ぬかもしれないと謳うだけはあります」
 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は身を引き裂かれそうな痛みに眉をひそめた。
 だが、覚悟と決意に満ちた心身を揺るがすには、全く足りない。

「しかし、それが何だと言うのでしょうか。今この場で死ぬか後で死ぬか。
 どちらか一つしか道がないのであれば、後者を選ぶのが賢明というものでしょう」

『哀れにして不完全なるものどもよ、汝は誰に祈るのか』 
 魅夜の姿が変わる、壮絶なる白昼の悪夢へと。神を覆滅する地獄へと。
 それは鎖を纏い、操り、あらゆる神を穿ち、貫き、磔刑に処す。

「俺は誰にも祈らない! 『神になる(いのられる)』つもりもない!」
 雷の魔力を秘めた弾丸に打ち据えられたデミウルゴスだが、その力は未だ健在。
 瓦礫を吹き飛ばし、魅夜の前へと躍り出た。

「世界を導いたつもりでいる愚かな神よりは、一理のある答えです」
 しかし……と、魅夜は続ける。鎖が、蛇の如く宙を舞う。
「だから滅ぼす、或いは滅ぼせという結論は、あまりにも浅薄と言えるでしょう」

 刹那、デミウルゴスの大剣が魅夜の姿を捉える。
 しかしそれは残像。虚空を断った剣は地面に亀裂を入れるのみ。
 そしてデミウルゴスの背後から、幾つもの鎖が飛び掛かる!

「ぐ……これは! 貴様、正気か!」
 鎖はデミウルゴスが掲げた左腕を貫き、巻き付き、その力を削ぎ落す。
 だが、デミウルゴスもその力を喰らい……そして気付いた。
 その力が、魅夜の寿命を削っているということに。

「偽神細胞液による即席の偽神化に加えて、己の命を削るだと!
 俺を滅ぼしても、貴様が滅びては何の意味もないぞ!」
 その言葉を聞き、魅夜は冷たく笑う。

「意味? 万物に意味などありません。それ故に意味があるのです。
 私が死んでも、生きるものがある。ただそれだけのこと」
 鎖が、神殺しの力が、デミウルゴスを捕らえ、苛む。
 だが、デミウルゴスは大剣を掲げ、切り落とした……鎖ではなく己の腕を!

「禅問答に興味はない!」
 そして変異する偽神の肉体は、即座に左腕を再生させる。
 ユーベルコードをコピーしたが故に、その神殺しの特性を知ったのだ。

「貴様の鎖は脅威だが、そう易々と受けはせんぞ!
 そして俺が直接手を下さずとも、貴様は徒死に終わるのだ!」
 魅夜はクスリと、嗤った。

「真逆(まさか)。後に続く者がいる限り、徒(いたずら)な死はあり得ません。
 滅びに執着しているあなたには、理解できないでしょう」
 魅夜は微笑んだままそう紡ぐ。

「そして、今ここにも、後に続く者は存在します」
 魅夜の声と共に、新たな影が躍り出る。
 生きるための戦いを繋ぐ、猟兵の影が。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
神を造ろうとする技術があるなら、自分で自分を救う事も出来たんじゃないかと思うが……その結果がデミウルゴスか
あんたを救う事は出来ないが、せめて楽にしてやろう

偽神細胞液の注射を打ち込んでから、神刀の封印を解く
神気を身に纏う事で、自身の身体能力を限界を超えて引き上げる
偽神化による悪影響はこれと気合いででなんとか相殺……という事にしておこう

敵の剣を神刀で受け流しつつ、敵の肉体がどう変化するかには注意を払って観察
変化の予兆を見逃さないよう気をつけて、捕食しにきたならその部位に対して壱の型【飛燕】で切り飛ばしてやる
一度捕食を防いでも即座に次が来る可能性もある。落ち着いて、集中力を欠かさずに相手をしよう



「壱の型……【飛燕】!」
 唐突に姿を現したそれは、恐るべき鋭さと正確さで刀を振るった。
 反応が遅れたデミウルゴスの左腕が跳ね飛ばされる。

「ぐっ……!」
 デミウルゴスは飛び退いて距離を取るも、左腕の再生は遅い。
 やはり連続での再生は無理がある様子だ。
 これまでに蓄積したダメージの影響も少なからずあるだろう……が。
 最も大きな影響を与えているのは斬りつけた刀にあった。

「手応えあり。とは言え、偽神化というのは想像以上の負担だ。
 手早くケリを付けさせて貰おう」
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は神刀【無仭】を下段に構える。
 其れは真に斬ると決めたもののみを断ち切る神刀にして魔刀。
 普段は鉄刀のみを用いる鏡介が、本気を出す際にのみ抜き放つ絶刀だ。

「貴様、ただの剣客ではないな。敵ながら見事だ」
 左腕を再構成しつつ、デミウルゴスは鋭く笑む。
 その笑みは自らを滅ぼす剛の者を期待する、歪んだ笑みでもあった。

「デミウルゴス。あんたを救うことはできないが、せめて楽にしてやろう」
 鏡介はじりじりと距離を詰める。敵の肉体は変幻自在。
 慌てて追撃をしては隙を作る。時間はないが、焦る訳にもいかない。

「救済など求めてはいない。俺か貴様らが滅びるまで終わりはない!」
 デミウルゴスが大剣を叩きつけるが、鏡介はそれを刀で往なす。
 掠めただけで刀がへし折れそうな程の質量差があるが、神刀はびくともしない。

「終わりはない……か。滅びればそれで本当に終わりか?」
 鏡介はすかさず【飛燕】を繰り出す。デミウルゴスはそれを寸前で回避。
 そして左腕を巨大な顎(あぎと)へと変形させる!

「どういう意味だ!」
 捕食攻撃は注意深く観察していた鏡介を捉えることはできなかった。
 だが、その身体を覆う神気の一部を喰らうことには成功する。

「あんたは人間に造られた。人間がそう望んだからだ。
 なら、あんたがそれを単純に拒絶しただけならば、だ。
 それは新たに第二、第三のデミウルゴスが造られるだけじゃないのか?」

「俺が滅びた後に何が起きようと、知ったことではない!」
 ユーベルコードのコピーに成功したデミウルゴスは、即座にそれを繰り出した。
 往なす刀ごと真っ二つにしてくれようと。

「自分さえ滅びれば、全ては終わりか?
 俺はそうは思わないな。何事にも終わりはない。これもまた、一つの始まりだ」
 しかし、鏡介はその動きを完全に見切っていた。
 最初から、自分のユーベルコードをコピーされることを見越していたが故に。

「悪いが、あんたの武器は斬り上げにはあまりに向いていない」
 そう、巨大な質量を持つ剣は、叩きつけたり薙ぎ払う動きでこそ本領を発揮する。
 鏡介ほどの技量があれば、あまりに不自然な攻撃として一目で判別が付いた。

「ぐ、あああっ!!」
 その隙を見逃すほど、鏡介はお人好しではない。
 高質化した甲殻すらも神刀は容易く斬り、デミウルゴスは出血を強いられた。
 偽神細胞を植え付けた猟兵達の決死の一撃。
 それは徐々に、徐々にであるが、偽りの神を追い詰めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サリー・オーガスティン
■SPD
想像以上にキツいよ、これは……

「人体に」というのなら、機械部分には影響を及ぼさない分、少しは拒絶反応が押さえられるかと思ったけど、そこまでは甘くは無かったか……
(ぜぇはぁ。[激痛耐性]も気休めかな、これは)

スピード重視型のジェイクなんかだしたら、ボクの全身をサイボーグにしてもまだ足りなくなる!悔しいが仕方無い!
(オフロードタイプのエルウッド持ち出しながら)

射程が伸びてるのが怖いから、ここはアームドフォートの一撃離脱で
[操縦、追跡、騎乗、落ち着き]でなんとかエルウッドをコントロールさせて[一斉発射、スナイパー、誘導弾、2回攻撃、クイックドロウ]で一撃必殺!

※連携・アドリブ共歓迎


ルドラ・ヴォルテクス
●アドリブ連携OKです

昏い嵐を鎮めるのは、同じ嵐の剣を持つ者の宿命、嘆きも哀しみも全て断ち切る。

【ジャガンナートの蹂躙】
ジャガンナート解放、限界突破!

ジャガンナートの本懐は蹂躙、障害を踏み越える力。
偽神細胞……俺の身体を侵そうが、ジャガンナートの力は、毒をも噛み砕く。(UCのダメージ軽減効果)

ここからは俺の蹂躙だ。
断罪の剣は、嵐の機構剣で鋒を削ぎ、溶断斧の大上段の太刀で弾き飛ばす。

本体へはチャンドラーエクリプスを双剣に変形、呪われた偽神の細胞ごと切り裂いて終わりにしよう。

デミウルゴス、もうおまえを苦しませる祈りは届かない。
おまえの齎らす破滅は、俺が破壊する、だからもう、安らかに眠れ。



「いやぁ、ちょっと計算が甘かったかなぁ」
 サリー・オーガスティン(鉄馬の半身・f02199)はぼやいた。
「細胞っていうぐらいだから生身の部分にしか影響がないかなって思ったけど……」

 偽神細胞液は既に接種済みだが、その痛苦はサリーの機械化した手足にまで及ぶ。
 それは正に幻肢痛(ファントムペイン)の如く、極めて生々しい痛みであった。
「こんな状態でジェイクで飛ばしたら、ボクの意識がトんじゃうよ」

「無理はするな」
 ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)が声をかける。
 彼はストームブレイドであるが故に、偽神細胞液を打ち込んではいない。

「奴は俺の行動に反応し、強毒性の偽神細胞をばら撒くだろう。距離を取れ」
 それを受けてサリーは深呼吸し、問題ないとばかりにハンドサインを返す。
「忠告、感謝するよ。けど、ルドラ君は大丈夫?」

「仔細ない。多少のダメージは受けるだろうが、元より覚悟の上だ」
 ルドラはジャガンナートへと姿を変え、荒廃した大地を踏み締めた。
「援護は任せる。しくじるなよ」

「くっ……ははは、はは!」
 デミウルゴスは哄笑する。襲い来る嵐(ルドラ)に。
 あれ程までに響いていた祈り声が、薄れつつある。もうすぐだ。もうすぐ。
「だが、その荒々しい風もいささか喧噪に過ぎる。消えろ!!」

 デミウルゴスは偽神断罪剣を一閃し、周囲に猛毒のエリアを作り出す。
 それは偽神細胞液に勝るとも劣らぬ拒絶反応を与える死の洗礼。
 しかしそれを前にしても、ルドラの勢いは一向に衰えない。

「ジャガンナートの本懐は踏み荒らすこと、そして踏み越えることだ。
 『天地を覆う障害(ヴリトラ)』ですらも、俺の蹂躙は止められない」
毒の只中へ真正面から突撃し、ルドラは雷の機構剣を解き放つ。

「ぬ、おおぉ!!!」
 偽神断罪剣と機構剣がぶつかり合い、激しい鍔迫り合いが文字通り火花を散らす。
 あまりの熱量に、お互いの剣が赤熱を始めている!

「さぁて、横槍を入れさせて貰うよ。卑怯とは言わないで欲しいな!」
 そのぶつかり合いの最中、ハーネスで固定された砲台から、弾丸が放たれる。
 携行型とは言えそれは『銃』ではなく『砲』。
 デミウルゴスの甲殻のように変異した肉体でも、衝撃を殺し切れずに吹き飛んだ。

「貴様……邪魔立てをするな!!」
 デミウルゴスは怒りを露わにし、偽神断罪剣を叩き付ける。
 それはユーベルコードで射程が伸びているとは言え、サリーに届くには足りない。
 しかし威力が増幅した一撃は地を砕き、地震と地割れという形で襲い掛かった!

「おっ、とっと!!」
 サリーはオフロードバイクのエリウッドを何とかコントロールし、疾駆。
 クレバスや隆起した地面を乗り越え、一撃を避けた。

「あー、危なかった。ジェイクだったらクラッシュしていたかもしれないね。
 怪我の功名ってヤツかな……ルドラ君、あとはよろしく!」
 その掛け声とほぼ同時。ルドラは溶断斧を解放し、偽神断罪剣を弾き飛ばす。
 敵への不意打ちと注意の引き付け、撹乱を完遂したサリーに無言で応えた。

「『月(チャンドラー)』をこの手に……」
 そしてルドラはチャンドラーエクリプス──月と蝕の名を関する武器を解き放つ。
 それは様々に姿を変える変幻自在の武器だが、今は双剣を模(かたど)っていた。

「デミウルゴス。おまえの破滅は俺が破壊する。安らかに眠れ、赤子の如く」
 それは嵐を齎す剣。それは嵐を鎮める剣。
 祈り、呼び声、手招き、嘆き、一切合切を無に帰さん。
「『断ち切る(カードガ)』!」

 繊月の如き軌跡が。月影の如き輝きが。偽りの神を抉り穿った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリア・ルート
デミウルゴス…その名前が出てからずっと私は許せなかった。
死ぬ覚悟なんかもうとうにできている。
私は――注射をする。死をも厭わず進む、わ。

相手のコードは大剣から出る。
なら、それに対して『早業』で【指定UC】発動。分解して、私の剣の大群にするわ。

でも、長くは続かない。かといって戻せば一気に拒絶反応を強められる…!
なら、速攻あるのみ!
ロングレンジをキープして『早業』で奴に集中砲火!私への攻撃は『野生の勘』『残像』で可能な限り回避しつつ『オーラ防御』で必要最低限の防御!拒絶反応は『激痛耐性』で我慢!

自棄になったら終わりよ。
それで『造物主』を語る?笑わせる。
造物主なら、もっと堂々としてほしいものよねっ!



「ぐ、ぬぅ……おおお、おぉぉ……!!」
 デミウルゴスは大きくよろめく。
 変異した肉体の一部は欠け、ひび割れ、そのダメージの大きさを物語る。

「苦しそうね。でも、手は緩めない。いきなりだけど、私はあんたが嫌いなの」
 マリア・ルート(紅の姫・f15057)は燃えるように赤い髪を靡かせる。
「デミウルゴス……造物主を名乗るなんてね。忌々しいわ、とても」

「これは、俺が望んだ名ではない。狂信者共が勝手に与えた名だ。
 だが、それを知ってなお俺が憎いか! 憎悪のために命を燃やすか!」
 デミウルゴスは偽神断罪剣を振り回し、周囲に猛毒の偽神細胞を解き放つ。

「ええ、私はあんたを許さない。理不尽で、不条理なのは承知の上でね」
 マリアは既に偽神細胞液を接種している。
 そこに強毒化した偽神細胞が重なれば、甚大なダメージを負うことは確実だ。

「だから死を厭わず、命を賭けて怒ってやるわ。それが私のケジメ」
 その瞬間、散布された毒細胞の一部が掻き消えた。
 代わりに夥しい数の剣が宙に浮かび、デミウルゴスにその切っ先を向ける。

「これは! 俺の攻撃が支配下に置かれ、逆に利用されたのか!
 く、くく……やるな、女!」
 デミウルゴスは肩を揺らし、そして地を踏み、駆け出した。

「造物主を名乗るなら、この程度で驚かないで欲しいわ。
 自棄になって、全てを投げ出して、諦めて……それで造物主だなんて、お笑いよ」
 マリアは銃を構える。感情的な言葉を紡ぎながらも、その思考は冷静だった。

(あまり長くは保たないわ。集中砲火で早急に終わらせる!)
 多数の剣を配置してデミウルゴスの動きを掣肘し、自身は隙間を縫うように射撃。
 一方的なアウトレンジからの攻撃で、削るだけ削る!

「おお……おお、おぉぉぉ!!」
 デミウルゴスは力任せに銃弾と剣を弾き、時には浴び、血を流しながら進む。
 一歩一歩が、一発一発が、デミウルゴスとマリアには、延々と続くように思えた。

「捉え、たぞ……!」
 そして、偽神断罪剣の射程にまで、デミウルゴスは踏み込んだ。
 巨大な鉄塊の如き大剣が、マリアの頭上に振り下ろされる!

「やるわね。でも、私の勘が告げているわ。避けるまでもないってね」
 骨を砕く音でも、肉を潰す音でもない、硝子が割れるような音が響いた。
 マリアが翳した手から放出されるオーラが、偽神断罪剣を完全に止めていた。

「なに……!」
「相当ダメージが蓄積しているようね。万全なら私もタダでは済まなかったわ」
 マリアは銃をデミウルゴスに突きつける。

「さっきも言ったけれどね、自棄になったら終わりよ。
 造物主らしく生きられないというのなら……せめて造物主らしく、死になさい!」
 マリアの放った銃弾が額を貫き、デミウルゴスを吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラブリー・ラビットクロー
らぶにもずっと聴こえてた
助けて
許して
追いてかないで
ヒトはなんで助けを求めるのん?何かに縋ろーとするんだ?
きっとお前の言うとーり弱いから
一人では生きてけないから
でもお前だってそーなんな
疲れたら
甘えたっていーんだ
ヒトは弱いけど強い
手と手を取り合って
じっと堪えて朝日を待ってんだ
全てを諦めてしまったお前なんかよりもずっと輝いてん!

細胞液なんて要らない
らぶにはセカイの皆がついてる
行くぞマザー
一緒にセカイを救おう
【救いましょう】

お前の声にらぶも応えるんだ
このバットには皆の笑顔が宿ってる
このチェーンソーにユメを託したヒトが沢山いる
【偽神細胞を活性化します】
だかららぶは叶えるんだ
ヒトが想い描いたユメのセカイを



 偽りの神は、息絶えようとしていた。
 頭部にも重大なダメージを負い、肉体も偽神断罪剣もボロボロの状態だ。
 だが、まだ祈りの声が止まらない。だから、偽りの神も止まれない。
「疾く……俺に静寂を……滅び、を……ぉぉぉ!!」

「らぶにもずっと聴こえてた。助けて。許して。置いてかないで」
 ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)。
 デミウルゴスの前に立つ少女は、奇妙な声色で語り掛けた。

「ヒトはなんで助けを求めるのん? 何かに縋ろーとするんだ?
 きっとお前の言うとーり弱いから。一人では生きてけないから」
 偽りの神は最後の力を振り絞って立ち上がり、ラブリーを睨む。

「自らの足で歩もうとしない腰抜けのことなど、知ったことか!」
 ラブリーに向けて、偽神断罪剣が振るわれる。
 それは手負いの神なれど、それ故に手負いの獣よりも恐ろしい一撃。

「どーして、そーやって手を振り払ってしまったん?
 助けを求める手は、お前に差し伸べられた手でもあったんだ」
 ラブリーはマイペースな語り口からは想像もできないような速度で、剣を避ける。

「疲れたら甘えたっていーんだ。お前だってそーなんな。
 でも、お前は諦めたのん。手を取り合おうとしなかったん」
 再び振り下ろされる偽神断罪剣を、今度はチェーンソーが受け止めた。

「俺に他人を救うような力などない!」
 ラブリーはため息を吐いたが、それはガスマスクの中に静かに消えていった。
「何で出来ないって決めつけたん? 自分にできる精一杯をしなかったんだ?」

「行くぞマザー、一緒にセカイを救おう。【救いましょう】
 らぶのバットに、チェーンソーに、込められた想いに応えるのん」
【偽神細胞を活性化します】。マザーのアナウンスと共に、ラブリーは駆け出した。

 素早く背後へと回り込み、バットでデミウルゴスを打ち据える。
 変異した肉体からなる甲殻を、チェーンソーが切り刻む。
「貴様は、何が……何が言いたい!」

「『生きたい』って想いは、お前なんかよりもずっと輝いてん!」
 偽りの神が反撃に振るう剣の切っ先は、乱れていた。内面を映すかの如く。
「俺の理解を超えている……生きるために、死を厭わないのか!」

「死ぬのは怖くないんな。でも、それは死を望んでるのとは違うんだ。
 ヒトは弱くて強い。生きることは死ぬこと。死ぬことは生きること。
 だから、お前の声にも、らぶは応えるんだ!」

 チェーンソーが、神殺しの刃が、轟音と共にその身を引き裂いた。
 デミウルゴスは血を吐いた。祈りの声が、薄れていく。




「わけの……わからない……奴らめ」
 一人は、命を賭して歌った。一人は、傷つくことを厭わなかった。
 一人は、寿命すら削った。一人は、切り札を切った。

「生きたいという願いは……斯(か)くも……非論理的なことか」
 一人は、走ることを曲げた。一人は、狂える暴風と化した。
 一人は、怒りに身を焦がした。一人は、全てに応えようとした。

「ああ、だが……一つだけ、わかったことがある」
 デミウルゴスの身体が、塵と化していく。
 これが偽りの神の最期。造物主の名を関する者の破滅。

「死にたいと願う者が、生きたいと願う者に……勝てる道理など……なかったのだ。
 くく……ふふ、ははっ……ははは、ははっ……はーっははは、はは!!!」
 後には、何も残らなかった。偽りの神の望み通り、ただ静寂だけがあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月16日


挿絵イラスト