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アポカリプス・ランページ⑫〜スーパーお尋ね者との戦い

作者：Chirs

『ＷＡＲＮＩＮＧ！！
　ＤＥＴＥＣＴ　ＳＵＰＥＲ　ＨＵＧＥ　ＥＮＥＲＧＹ　ＲＥＡＣＴＩＯＮ．　ＤＥＣＩＤＥＤ　ＴＯ　ＢＥ　ＡＮ　ＩＭＰＯＲＴＡＮＴ　ＯＰＥＲＡＴＩＯＮ　ＴＡＲＧＥＴ，　”ＯＢＬＩＶＩＯＮ”．　ＩＭＭＥＤＩＡＴＥＬＹ　ＡＴＴＡＣＨＥＤ　ＴＯ　ＢＡＴＴＬＥ　ＰＬＡＣＥＭＥＮＴ．－ＮＯ　ＲＥＦＵＧＥ－』

『e6b097e3818ce4bb98e3818fe381a8e7a781e381afe382aae38396e383aae38393e382aae383b3e381abe381aae381a3e381a6e38184e3819fe38082e3819de3828ce381a7e38282e7a781e381afe69585e983b7e381abe5b8b0e3828ae3819fe3818be381a3e3819fe38082e381aae381aee381abe381afe4babae38085e381afe98a83e38292e59091e38191e3828be38082』

「ええい、文字数とか言う厄介な方法で攻めて来るんじゃぁない！　ブリーフィングだ、とにかくブリーフィングを始める！」
　グリモアベースに響き渡る重低音の警報！　赤文字で強調表示される警告文！
　（自称）レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット（厨二系姉キャラＳＴＧ狂・f03431）がホログラム表示された豪華な執務卓の上で手を組んで語り始める。
「アポカリプス・ランページの詳細について今更語る必要は無いな。各自調べろ。スゴイ・ツヨイ・モーターもとい、スーパー戦車が今回の討伐対象だ」
　執務室に『スーパー戦車』のホログラムが表示される。が、謎の文字列によりかき消されてしまう。
「スーパー戦車には二種類のモードがあるのだが、私が捉えたのは『スーパー戦車・バトルオウガモード』の方だ。現場は遮蔽物らしい遮蔽物の無い荒野。相手は無限軌道で高速移動しながら長射程戦車砲で撃って来る。加えてどうも電子戦も出来るようでな……ＤｏＳ攻撃っぽい文字列を大量に送り付けて来るのでこの有様だ。猟兵のウォーマシン等が乗っ取れるとは思えないが、機械的な物を使うには少し注意が必要かもしれん。最も、相手にその意図はないようなのだが」
　地形情報、詳細データ、様々な物を立体表示しようとするがすぐに文字列に流されて消されてしまう。
「この戦車砲、相当連射が効く上に精度も極めて高い。単純に避けようとしても避けた先に飛んで来る。弾速はそれなりに早いのだが、光の速さと言う程ではない。ただ、避ける先に撃たれる。それを避けようとしてもその先に飛んでくる。未来予知の類が入っている可能性すらある……が、詳細を分析しようにもあのＤｏＳ攻撃もどきで良く分からない」
　諦めたのか、表示物を全て消して机の上で手を組み、ただ語る。
「要点は二つ。長射程、高機動、高精度。３つか。加えてＤｏＳ攻撃、４つだ。やって来る事がシンプルだから何か裏をかいてやると案外あっさり倒せるんじゃないかと言う気はする……ううむ、得意分野を封じられると調子が出ない」
　執務室にゲートを開いて項垂れる。
「私は見えた事件を解説するだけだ……実際の対応は諸君に任せる……いや、今回は本当に完全に任せるしかない……では、往くがよい」

第1章 ボス戦 『スーパー戦車・バトルオウガモード』

POW   :    スーパー戦車砲・ブルズアイ 【正確無比のスーパー戦車砲】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。 SPD   :    スーパー戦車砲・ラピッドファイア レベル分の1秒で【正確無比のスーパー戦車砲】を発射できる。 WIZ   :    スーパー戦車砲・アポカリプス 【大量の戦車砲の砲弾】を降らせる事で、戦場全体が【最終戦争】と同じ環境に変化する。［最終戦争］に適応した者の行動成功率が上昇する。 イラスト：御崎ゆずるは 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

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●それが出来なきゃ死ぬだけだ
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「確かに、凄い密度のＤｏＳ打って来るねー」
　御宮司・幸村（いいかげんサマナー・f02948）は凄まじい情報の奔流を押し付けられて眩暈を覚える。
「直接相手に干渉するハッキングは通ら無さそうだね」
「ならどうする、作戦変更か？」
　機動力の低い幸村を守る位置で立ち塞がる荒谷・つかさ（逸鬼闘閃・f02032）。彼女は自ら相手を追いかける必要が無い手段を選んだので後衛を守るには適任だ。
「分かってた事に対してそれは無いっしょ。作戦は続行、守りはヨロシクー」
「心得た」
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　遥か彼方で轟音が響き、その音より早く砲弾が迫り来る。大気を裂き、音を追い越して飛来する砲弾。本来ならこの距離で人間サイズに戦車砲を当てる事自体不可能に近い。
「ＡＰＦＳＤＳって、人間相手に使うモノじゃない！」
「何を言ってるのか分かるのか？」
「うん、割と楽勝」
「そうか」
　事も無げに、つかさはそれを掴んだ。ＡＰＦＳＤＳ、装弾筒付翼安定徹甲弾。着弾すると塑性流動を起こし機械的強度を無視して装甲を貫通する戦車砲弾だ。装甲を抜いてダメージを与える事に特化しているので幸村の言った通り人間相手に使う物ではない。熊退治にカタパルトを持ち込む様な物だ。
「こちらも楽勝だ」
　だが、相手が猟兵ならば無意味ではない。少なくともこれを盾や装甲で防ぐ事は不可能。流体化した砲弾に焼かれて死ぬ。だからつかさはそれを両手で掴んで止めた。それ以外に止める方法は無い。だからそうした。
　つかさの眼前で鋭角な砲弾が止まる。何かに命中しなければ塑性流動は起きない。だが、音速を超える速度で飛来する砲弾を受け止めるとなると砲弾には命中同然の衝撃が加わる。横から掴んで止めたとはいえ、本来なら徐々に減速させて受け止めなければ塑性流動が起きる筈である。
「何を撃つか教えてくれるとは親切だねー。しかも、狙う場所まで正確無比」
　そう、二人の位置は幸村の展開した仮想空間の範囲内。【詫び石配布deバイブス最高潮😆】（クレームモアリッタケノワビイシデテノヒラクルー）により砲弾に不具合を起こして不発弾にしたのだ。最も、不発でも砲弾の速度と質量は人間を殺すには十二分である。二人掛でようやく完全に無力化する事が出来る。
　だが、ただ一発の砲弾を止めただけである。今のは必殺の一撃でも何でもない。だから当然のように凄まじい速度での砲弾の連射が来た。
「流石に、全て止めるのは厳しいな」
「大丈夫、強制的に不発弾に書き換えてるから弾くだけでも殺傷力は無くなるよ」
「そうか」
　マシンガンめいて矢継ぎ早に飛来する砲弾を掴み、間に合わなければ蹴り飛ばして弾く。埒外の怪力の為せる業だ。掴んだ砲弾は転がし、淡々と砲弾を処理する。

●獄炎を纏い、爆風の波に乗り、砲弾を狙い撃て
「ストックはこんな物かな？　さあ、アタッカーさん！　イッちゃってー！」
「おうよ！」
　木霊・ウタ（地獄が歌うは希望・f03893）が背部から噴出する獄炎の翼を広げ、
「仕掛けましょう」
　黒木・摩那（冥界の迷い子・f06233）がマジカルボード『アキレウス』に乗り、
「行くっすよ！」
　本山・葵（ユートレマジャポニカ・f03389）は地を駆ける！
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　スーパー戦車は遥か彼方で履帯の音を鳴らし、大量の粉塵を巻き上げながら走り始める。その間も砲弾が止まる事はない。行進間射撃となれば通常の戦車は大きく精度が落ちる。だが、スーパー戦車の精度が落ちた様子はない。落ちてはいるのだろうが、蟻を狙える程度から犬を狙う程度になった位だろう。戦闘面に支障はほぼ無い。
　前進を始めた三人にターゲットを変えて、砲弾が迫る。先頭を走るウタが、正眼に構えた『焔摩天』で砲弾を両断した。
「狙いが正確過ぎるぜ。タイミングだけ合わせれば斬るのも簡単だ」
「簡単ではないと思うけどね」
　両断された砲弾の爆発を受けて、摩那のボードが一気に加速する。三人で三方向から包囲すれば追い詰められる確率は上がる。しかし、それぞれに砲弾の対処を迫られる上に相手の速度は三人を振り切れるほど早い。だから、あえて一方向から三人で追跡する事を選んだ。
「ほら、こっちよ」
　ウタに変わって先頭に躍り出た摩那に砲弾が迫る。
　摩那は『アキレウス』の切っ先を９０度旋回して回避、と見せかけ即座に元の向きに戻すカットバック。そこから更に右手で端を掴んで左手を伸ばしボードごと飛びながら後方宙返り！　カットバックドロップターン！　この動きは追い切れない！
　ウタが獄炎で作り出した高熱の空気の揺らぎも効いて、砲弾が外れる。
「狙いが甘い！　頂きっす！」
　外れた砲弾を葵が熱線銃で狙い撃ち起爆させる！　生じた爆発の波に乗り摩那が更に加速する！
　だが、それでも。

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「全然追いついてない、ねえ。その通りだけど」
「そうだ、そもそも追い付く必要が無い」

●お尋ね者を追い詰めろ！
「余所見をするとは余裕だな」
　つかさは自分が標的から外れた瞬間、ＡＰＦＳＤＳ弾を投げ返した。【鬼神剛腕砲】（オウガアーム・カタパルト）だ！　構造上、本来の速度や精度は出ない筈だった。しかし、ユーベルコードの力を上乗せされた投擲は音速を越え、命中を重視して投げる事により制度も確保。殆ど遜色が無い状態で投げ返す事が出来る！
　スーパー戦車は砲弾に砲弾を当てて相殺！
「防ぐ、と言う事は」
　つかさは足元に転がる砲弾を掴み、投げた。まだまだ弾はいくらでもある。
「当たれば痛いと言う事だな」
　幸村の起こした不具合で不発弾として処理されたが、投げ返す時まで不発である必要はない。砲弾としての殺傷力を持ったまま投げ返す！

「あら、私の相手もしないと駄目ですよ。手遅れですけれど」
　摩那が指を弾いて鳴らす。自分達を囮にして移動先に展開させた誘導ドローンの描く円の中心に膨大な光の奔流が降り注ぐ！　【殲禍烈剣】（セント・グレール）だ！
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「そうだ、衛星レーザーだよマヌケが！」
　更に幸村が【長々高々度衛星レーザーによる精密射撃】（インドラノヤ）による追撃！
「そちらを上回る超々長距離射程の兵器で面で制圧すれば追い付く必要はありませんね」

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　元より撃ち合いに最適化されたのが戦車と言う物だ。例え衛星レーザー相手でもその大部分のダメージは装甲で止める事が出来た。
　だが、このスーパー戦車には一つの弱点がある。自ら領域に大量のトラフィックをかけて電子的照準器機を無効化した為に、自分から狙う時も光学照準に頼らざるを得ないと言う欠点だ。自分の撃った砲弾で生じた揺らぎなら計算で割り出せる。だが、ウタが作った高熱の揺らぎには気付くのが遅れた。
　加えて二度の衛星レーザー砲撃による舞い上がった大量の粉塵が完全に視界を塞いでいる。これでは高精度照準は出来ない！　衛星レーザーのダメージはさほど重くは無いが、この粉塵は不味い。一気に駆け抜けてこの粉塵を振り切るしかない。
「対応が後手に回ったな」
　側面にＡＰＦＳＤＳ弾が刺さった。塑性流動が装甲を貫き、内部機器にダメージを与える。
　つかさは目で照準していない。敵の位置を予測し、そこに投げる。撃ち返そうにも相手は遥か彼方の豆粒。それに対してスーパー戦車は大き過ぎた。外れる弾も少なくは無いが、ある程度適当に投げても当たる。
「追い付いたぜ！」
　粉塵を払いながらウタがスーパー戦車の眼前に獄炎纏う『焔摩天』を深々と突き立てる！
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　突き立てた地点から獄炎が広がり、辺り一面が獄炎地獄の様相を呈する！
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　スーパー戦車は履帯を軋ませながら左右の履帯を逆に動かしドリフトスピンターン！　獄炎地獄から逃れようとする！　さらに反撃の咆哮！　この距離ならば狙う必要はない！
「やってみせろよ、本わさび！」
　割り込んだ閃光が砲弾を穿つ！
「どうとでもなる筈っすよ！」
『e382ace383b3e38380e383a0e381a0e381a8e381a7e38282efbc81efbc9f』
　葵が二度三度、銃撃を挟むと砲弾はあらぬ方向にそれ爆発！
「当たらなければどうと言う事はないっす！」
「詰めるぜ！　まずはその履帯を斬る！」
　背部から獄炎の翼を放ち、『焔摩天』を脇構えで突撃！
『e38284e38289e3819be381afe3819be38293e3819eefbc81』
　スーパー戦車は全速後退して距離を取り、再び砲撃チャンスを作ろうとした。
「そうだ、それでいい」
　ウタが『焔摩天』を振り上げる！　刃が届く距離ではない。
「その位置だぜ！」
　地中から飛び出した獄炎の迦楼羅が右の履帯を切り裂いた！　地面の延焼はブラフだ。炎で作ったトンネルで地下を掘り、狙いすました一撃で貫いた。
「炎使いには定番の戦い方だろ？」
『e381bee381a0e381a0e38081e381bee381a0e7b582e3828fe3828ae38198e38283e381aae38184』
「この瞬間を待っていたっすよ！」
　両手にフォーク、ナイフ、スプーンを挟み投擲！　手首のスナップと念力で起動操作し左の履帯に噛ませる！　普通の食器では相手にならないが、フードファイター用のグルメツールは硬さが違う！　それでも強靭な履帯は食器をへし折り、後退せんとする！
「お陰で弾は節約できたっすからね」
　葵は抜き放った『熱線銃』を構える。食器を噛んで脆くなった部分を狙い撃つ！　左の履帯も脱落！
「クリスティー式でもなければこれで詰みっす！」
『e381a0e3818be38289e38081e382afe383aae382b9e38386e382a3e383bce5bc8fe381abe38197e381a6e3818ae38191e381a8』
「終わりにしようぜ」
　総攻撃チャンスだ！

●眼鏡偃月召喚、大地の神々の究極！アッシュ
「こんがり焼き上げるっす！　メガネ・オプティックブラストッ！」
　本山・葵の【眼鏡レーザー】（メガネレーザー）
　本体の眼鏡に収束蓄積した光を極太レーザーにして解き放つ！
「ウロボロス起動……励起。昇圧、集束を確認……帯電完了。これで終わりですッ！」
　黒木・摩那の【偃月招雷】（エペ・ド・エクラ）
　『アキレウス』でカットバックドロップターンを決めながらサイキックエナジを籠め抜刀！　高所からの急降下で一閃！
「出でよ、大地の神々よ！　汝らの子、我に立ちはばかる悪しきモノをうち滅ぼす力を与えにいってこーい！」
　御宮司・幸村の【召喚、大地の神々の鉄槌】（トールパニッシュメント）
　人間砲弾めいてつかさを撃ち出し、スーパー戦車に送り届ける！
「コレを使う時は叫ぶのがお約束と言う物……究極！　アルティメット！　プラズマァ！　キィィィーーークッ！！！」
　荒谷・つかさの【究極！電離蹴】（アルティメット・プラズマキック）
　撃ち出された砲弾の勢いも借り、魂の炎を身に纏い気合×魂×努力×根性の蹴りを叩き込み蹴り砕く！
「さあ、骸の海に還りな」
　木霊・ウタの【ブレイズアッシュ】
　獄炎を纏う一太刀が残る全てを焼き滅ぼす！
『e382b5e383a8e3838ae383a9』
　『スーパー戦車・バトルオウガモード』は爆発四散！　猟兵達の完全勝利だ。

●全ては荒野に塵と消えるか
　粉塵が散り、荒野が元の姿を取り戻す。もうここには何も無い。地に深く刻まれた履帯の跡が残るのみ。ウタが奏でる鎮魂歌だけが響いている。
　ここに一つの戦いが終わり、猟兵達は次へと向かう。まだ、この世界の滅びは回避されていない。
　立ち止まる暇はない。時間がたてば起つほどこの世界は滅びに向う。この戦いを終えても、深い爪痕を残す事になる。
　今はただ進め、猟兵達よ。それしか道は無いのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2021年09月12日