アポカリプス・ランページ⑫〜実験と好奇
●ダラス・フォートワース国際空港跡
不気味な機械音が響き渡る。
それは対峙するものにとって意味をなさない音の羅列であったが、しかし猟兵たちにとっては別の意味に聞こえたかも知れない。
いや、意味などわからずとも、音の羅列から感じられるのは何らかの意志。
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音の端々から感じ取れるのは、きっと『好奇』の感情であったことだろう。
不気味なほどの純粋さ。
誰も理解できぬであろう狂気。
その二つを併せ持った存在が、ダラス・フォートワース国際空港跡の滑走路を悠々と進む。
『フィールド・オブ・ナイン』の一柱、『スーパー戦車』である。
体高30mはあろうかという自律思考型巨大戦車は今も尚文字羅列の如き奇妙な機械音を響かせるのだ。
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更地のようになった滑走路跡の中央に座す『スーパー戦車』は、己に迫る猟兵たちを見ているようでも在った。
そのカメラアイから感じる視線はやはり『好奇心』に溢れ、まるで幼子のような印象させ与える。
自律思考型巨大戦車の中に存在するメンタリティが如何なるものか猟兵は知らない。
けれど、こちらは『禁断のコンピュータウィルス』がある。
侵食プログラムを込められた砲弾が撃ち込まれ、その巨体が揺らぐ。見た目には何も変わらぬようであったが、その機動性や長距離射撃能力は喪われてしまったようだった。
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『スーパー戦車』から突如として展開されたのは、数多の捕縛兵器であった。
投網めいた電磁索や巨大なロボットアーム。無線式のキャプチャービット。それら全てが猟兵を捉えようと一気に放たれる。
無機質な鉄塊ながら、そこに感じる幼児性。
残虐さと純粋さが紙一重となった感情が猟兵たちに迫る。それは、言わば悪意なき悪そのもの。
まるで幼子と対峙したような感覚を猟兵達は覚え、そして、この存在をのに放ってはならぬと確信するのであった――。
●アポカリプス・ランページ
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。ついに『フィールド・オブ・ナイン』の一柱である『スーパー戦車』との対決が叶います。すでに『禁断のコンピュータウィルス』によって侵食プログラムを込めた砲弾が撃ち込まれ、『スーパー戦車』は弱体化しています」
しかし、ナイアルテの瞳は明るいものではなかった。
やはりというべきであろうか。いくら弱体化されたとは言え、オブリビオン・フォーミュラが相手である。
一筋縄ではいかないようだ。
「はい……『スーパー戦車』は会話に応じず、車体から不気味な機械音を発するばかりですが、こちらの言葉は通じているようなのです……何故か、『スーパー戦車』は『スーパー戦車砲』による長距離射撃を行わず、『捕縛兵器』によって皆さんを生きたまま捕らえようとしているのです」
それは、こちらの戦力を分析したいからという感覚なのだろうか。
しかし、ナイアルテは首を振る。
「おそらく、単純な『好奇心』であると思います。子供が昆虫の群れを潰すのと同じ。羽虫の羽根をむしるのと同じ。こうしたらどうなるのだろうという興味だけで、どうなるのかまでは想像が働かぬように」
猟兵たちを同じ様にしようというのだ。
無機質な鉄塊であったとしても、そこに宿るメンタリティは『好奇心』であり、純朴な生命のようにさえ感じられるだろう。
しかし、邪悪なオブリビオンであることに変わりはない。
「であればこそ、あえて捕まり、驚くほどピンチになった後、『スーパー戦車』が考えつかぬ方法で脱出し反撃することも有効でしょう」
『スーパー戦車』がこちらを生きたまま捕らえようとするのならば、そこにこそ決定的な隙が生まれる。
それはとても危険な賭けであることは言うまでもない。
失敗すれば、ただではすまないだろう。
あえて捕まることをしなければならないほどに『捕縛兵器』は強力なのだ。
「危険が伴うことは承知の上。皆さんに虎穴に入らずんば虎子を得ず、とはいいたくはないのですが……」
それでも、とナイアルテは頭を下げる。
これがおそらく最も『スーパー戦車』を打倒するのに適した策であるのだろう。
猟兵達は『捕縛兵器』をどの様に攻略するのか、それに頭を悩ませ、しかし一刻の猶予もないアポカリプス・ランページへと突き進むのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『アポカリプス・ランページ』の戦争シナリオとなります。
ダラス・フォートワース国際空港跡地に陣取る『スーパー戦車』が放つ『捕縛兵器』に会えて捕まり、絶体絶命の窮地から脱出し敵を討つシナリオになります。
『スーパー戦車』の持つ『捕縛兵器』は三種類。『電磁索』、『巨大なロボットアーム』、『無線式のキャプチャービット』です。
これらの一つが皆さんに襲いかかります。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……あえて捕まり、驚くほどピンチになった後、敵が驚嘆するような方法で脱出し、反撃する。
それでは、『フィールド・オブ・ナイン』の齎すカタストロフを阻止する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『スーパー戦車・エクスペリメントモード』
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POW : ピースフル・キャプチャー
【邪悪な好奇心】を籠めた【捕縛兵器】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【行動自由度】のみを攻撃する。
SPD : ホーミング・キャプチャー
【誘導式捕縛兵器】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : キャプチャー・フラッド
【捕縛兵器の発動】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【キャプチャーマシン】で囲まれた内部に【大量捕縛兵器】を落とし、極大ダメージを与える。
イラスト:御崎ゆずるは
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎
ワタシたちを調べたいと!
結構知的でありますな!
了解、敵を倒すにはまず内側から! 参りマース!
オーノー! オーノー! と、キャプチャーされマース!
滑走靴で空中戦を仕掛けると見せて、抵抗した感じでうまく捕まりマース!
アー、いけマセンお客様ー! アーッ!
と、必死の抵抗をして時間を稼ぎ……。
頼みマシタヨ!
バルタンズ!『バルバルバルバル!』
そう、ワタシは囮! 小さな15cmくらいのミニ・バルタンたちが本命デース!
総勢113体のバルタンズが、巨大なスーパー戦車に侵入して、ギアや回線を破壊しマース!
小さいからこそ活かせる仕組みデスネ!
ワタシを捕縛してる兵器を解いてもらい、反撃デース!
聞こえてくる機械音は不気味そのものであったが、対する猟兵にとって、その言葉はある種の感情とシンパシーでもって感じ取ることができたのかもしれない。
少なくとも、サイボーグであるバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)にとっては自律思考型巨大戦車『スーパー戦車』の言わんとすることが理解できているようであった。
その奇妙なる感情。
一方通行であれど、こちらの言葉を理解し、そして純粋な『好奇心』をぶつけてくる存在を前にバルタンはふむふむと頷く。
「ワタシたちを調べたいと! 結構知的でありますな!」
彼女は脳筋仕様とさえ自身で語るバトルサイボーグである。
そんな彼女は『スーパー戦車』の言わんとすることを瞬時に理解していたようであった。
確かに戦う相手、即ち敵を倒すには内側から。
敵を知ることによって、敵が如何なる問題を抱えているのか、どこに弱点があるのか。
あらゆることが戦いにおいて有利になることは言うまでもない。
「了解、参りマース!」
嘗ての国際空港であった名残であり滑走路の跡地でバルタンと『スーパー戦車』が不気味な音を立てながら、激突する。
キャタピラがうなりを挙げ、滑走路を踏みしめながら凄まじいスピードでバルタンに迫る。
「そう簡単に捕らえられると……オーノー! オーノー!?」
バルタンが滑走靴でもって空中戦を仕掛けると見せかけたフェイントをつぶさに『スーパー戦車』は見切り、その巨大なるロボットアームがバルタンの体を掴み上げる。
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それは意味のない機械音であったが、まるで羽虫を捕まえたかのようにはしゃいだような音すら感じられたことだろう。
バルタンにとって、捕らえられるのは計算のうちであったが、あまりの無邪気さにどうしたものかと思うのだ。
これはこちらの策動である。
見破られることはないであろうが、バルタンとて猟兵である。演技の一つや二つの心得ぐらいあるのだ。
「アー、いけマセンお客様ー! アーッ!」
必死に抵抗してみせるバルタン。
しかし、どこか棒読みのように聞こえてしまうのは気のせいだろうか。いや、気の所為ではない気もするが、それでも『スーパー戦車』のメンタリティが幼いものであったことを考えれば、これでもよかたのかもしれない。
「しかし、こちらを解体しようとは! サイボーグだからと言ってやっていい事と悪いことがありマース! 頼みマシタヨ! バルタンズ!」
その言葉と共にロボットアームに囚われたバルタンの瞳が輝く。
それはユーベルコードの輝きであり、一斉にワラワラとものすごい勢いで現れる秘密のバルタンズ(シークレット・サービス)が飛び出す光景でもあった。
ミニ・バルタンたちは15cmくらいのミニ・バルタンたち。
彼女たちは体高30mである『スーパー戦車』の装甲の隙間に次々と入り込んでいくのだ。
「そう、ワタシは囮!」
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「ずるくありませーん!」
ミニ・バルタンたちが次々と侵入していき、『スーパー戦車』のロボットアームを次々と解体していくのだ。
さらに駆動系や回路を破壊してまわる彼女たちを『スーパー戦車』はその巨躯故に止めることができないのだ。
重たい音を立ててロボットアームが落ち、バルタンの拘束が緩む。
彼女は華麗に地面に降り立ち、その瞳に輝くユーベルコードと共に『スーパー戦車』をねめつける。
「さあ、反撃デース! 行きマスヨ、ミニ・バルタンズ!」
「バルバルバルバルバル!」
バルタンはミニ・バルタンズたちと共に滑走路を走り、『スーパー戦車』に迫る。
すでに侵入したミニ・バルタンズたちと連携し、次々と装甲を引き剥がしていく。それは内側から為した破壊工作。
巨躯であったことが仇となり、『スーパー戦車』は己よりも一枚も二枚も上手だったバルタンに装甲を次々と破壊されるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
セルマ・エンフィールド
戦車に言葉が通じるというのも不思議ですね。
ウォーマシンのようなものでしょうか……? それだけ高度な技術があるのですし、言語機能くらいはもう少しどうにかならなかったのでしょうか。
大きい賭けですが……捕縛兵器を選べば勝機はありそうですね。
ロボットアームは無視し、電磁索を『見切り』回避、両手の「デリンジャー」でキャプチャービットを撃ち落としていきます。
ロボットアームに捕まったら【ハイポサーミア】を使用。自身の体温を極低温に変化させ、私を捕えているロボットアーム伝いにスーパー戦車も凍らせます。
凍てつかせたら予備のデリンジャーを『クイックドロウ』、スーパー戦車を撃ち抜きます。
猟兵の驚愕なるユーベルコードによって『スーパー戦車』の装甲が引き剥がされていく。
しかし、『スーパー戦車』はロボットアームを巧みに使い、剥がされた装甲を再度付け直し、不気味な機械音を響かせるのだ。
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その奇妙な機械音の響きにセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は首を傾げた。
何か感情、意志のようなものを彼女は感じることができたが、どうにも理解ができない。
だというのに、『スーパー戦車』には此方の言葉が通じているという不思議。
彼女の知識と照らし合わせてみても、最も親しい種族と呼べるのは『ウォーマシン』であったことだろう。例え、世界が違えど、そこにあるのは機械の生命と呼ぶに相応しい存在であった。
「純粋な好奇心……とでも言えば良いのでしょうか。確かにそれを感じますが……」
高度な技術があるのだから、どうせならば言語機能くらいはもう少しどうにかならなかったのかと嘆息するばかりである。
だが、彼女たち猟兵を捕らえようとする『スーパー戦車』の純粋な好奇心は時に生命すら失わせるものであったことだろう。
こちらを捕らえ、調べ、無邪気な子供が羽虫にそうするように無残に死なせてしまうことすらなんとも想っていない純粋さ。
それを狂気と呼ぶには『スーパー戦車』のメンタリティは稚すぎた。
「大きな賭けですが……」
セルマはあえて『捕縛兵器』に捕まることを選んだ。しかし、敵の『捕縛兵器』は3つある。
それらのうちのどれかを取捨選択しなければ、敗北を喫するのは己であろう。キャプチャービットを両手に抜き払ったデリンジャーで撃ち落とし、放たれた電磁索が投網のようにセルマに迫るのを見切って躱す。
彼女にとって致命的なのはこの二つだ。
ならば、残る一つ……巨大なロボットアームはどうだろうか?
セルマのデリンジャーから放たれる弾丸がキャプチャービットをすべからく撃ち落とした瞬間、セルマの体を横殴りにするようにロボットアームが掴み上げる。
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溢れる機械音からは喜びを感じられることだろう。
セルマの細い体を無遠慮に掴み上げるロボットアーム。その力加減はあってないようなものだった。
どれだけの力を込めれば人の肉体がひしゃげてしまうのかなど理解していない力加減だった。しかし、セルマの瞳は冷徹なる光を放つ。
それは即座に『スーパー戦車』に己の放ったロボットアームの異常を知らせるものであった。
そう、ロボットアームからの信号が途絶しているのだ。力を込めているはずなのに、横殴りにするようにしてセルマを捕らえてから少しも動かないのだ。
困惑するような機械音を前に、セルマの瞳に輝くユーベルコードが、それを知らしめる。
「冷気は放つだけが使いようではありません」
それはハイポサーミア。己の体を極低音に変異させるユーベルコードである。
彼女体は触れた接地面から全てを凍りつかせる。
大気中にある水分が一瞬で凍りつき、ロボットアームの関節部分や内部メカにまで凍結が及んでいくのだ。
「あえて捕まる……時に純粋さは、弱点とも成り得る。素直すぎましたね」
セルマの手にあるデリンジャーが弾丸を撃ち放つ。
凍結したロボットアームを粉々に砕き、拘束から開放されたセルマが、再び伸ばされるロボットアームの上を駆け抜ける。
どれだけ巨大であっても、どれだけ凄まじい力を持つオブリビオン・フォーミュラであったとしてもセルマには関係ない。
目の前にある得物を撃ち貫く。
それがセルマという猟兵であり、『スーパー戦車』には理解できぬ存在そのものであったのだ。
「その『好奇心』――私達に向けるには未だ稚すぎる。その程度の駆け引きで私を止められると思わぬことです」
投げ捨てたデリンジャーが再び外套の中から補填され、まるで奇術でも見ているかのような凄まじい速度で『スーパー戦車』を穿つ。
その爆煙あげる巨体を背にセルマは凍りつく大地に降り立ち、デリンジャーを外套に納めるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
ま、こういうこと向くのは私でしょう?
ならば、いきましょうかー。
まずは、わざと捕まりましてー。まあ無手に見えますし、それでよいのですがー。
はてさてー、困りましたねー。とかなんとか言って。
ここから【四悪霊・『拐』】。さすがに霧とかは捕まえられないでしょう?
しかも、生命力…ようは活力奪いますのでねー。
で、そのまま離れていくように見せかけ…四天霊障による地形をも破壊するような一撃をお見舞いしましょう。
だって私たち、悪霊ですから。こういうことできるんですよー?
凍りつき、爆煙を上げる『スーパー戦車』からは未だ不気味な機械音が響き渡り続けていた。
何を言っているのかまるでわからない。
けれど、そこに意志があり、感情があるように感じられたのは猟兵であったからだろう。
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その機械音はまるで猟兵たちを非難するかのような響きを持っていた。
あまりにも奇妙な自律思考型戦車は、まるでぷりぷりと怒ったかのように車体を揺らし、爆煙上げる巨体のままに猟兵に向き直るのだ。
未だ『捕縛兵器』は無数に存在してる。猟兵たちがあえて捕まり、破壊し、叩き落としたとしても、まるで際限なく湧き上がり、生えてくるのだ。
これが本当に『禁断のコンピュータウィルス』によって弱体化した姿であると言えるのか。それほどまでに『オブリビオン・フォーミュラ』たる『スーパー戦車』の力は凄まじいと言えた。
「ま、こういうこと向くのは私でしょう? ならば、いきましょうかー」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の中の一柱である『疾き者』が凍りついた滑走路に爆煙上げる『スーパー戦車』へと駆ける。
すでに他の猟兵たちが示したように、あの『捕縛兵器』に一度は捕まらなければならない。
それは大きな賭けであり、危険を伴うものであったが、やらねばならぬとなれば己の身を投げ打つことができるのが忍びの者であろう。
故に『疾き者』はあえて単純な動きでもって戦場を走り、『スーパー戦車』に迫るのだ。
「e7b0a1e58d98e381a0e38288e38081e38193e38293e381aae381aee38195efbc81」
機械音が響き渡り、『疾き者』の体を取り囲む無線式のキャプチャービットたち。
周囲に見えぬ壁を展開し、囲いのようにしながら『疾き者』を捉えるのだ。それは言わば、虫かごのようなものであり、『疾き者』は困ったように首をかしげる。
「はてさてー、困りましたねー」
しかし、少しも困っていないように見えるのは、『疾き者』が未だ策を持っているからだ。
「惑い、騙り、拐かす。それが四悪霊・『拐』(シアクリョウ・カタル)」
幾らキャプチャービットと言えど、展開された見えぬ障壁は網目状。ならば、そこから逃れられるには如何にするべきか。
それは悪霊たる『疾き者』たちにとっては簡単なことであったのだ。
ユーベルコードの輝きと共に身体が幻覚を見せる四悪霊の呪詛たる霧へと変貌していく。本来、悪霊である己たちを捕らえようというのが無理な話なのだ。
「流石に霧となる身体の存在を捕まえる手段はないようですね。しかも、生命力……ようは活力。この場合は燃料とでもいいましょうかー?」
そう、キャプチャービットの隙間から逃れた『疾き者』は霧となって『スーパー戦車』へとまとわりつく。
それは『スーパー戦車』にとっては未知なる感覚であったことだろう。
好奇心があれど、未知なるものには恐れを抱くものである。それは如何なる生命であっても同じであろう。
生きているとも言えない。
けれど存在している。それが悪霊であるというのならば、『疾き者』こそが『スーパー戦車』にとっての未知なる者。
それ故に叩きつけられる霊障の一撃は地面をも破壊するほどの威力で持って『スーパー戦車』を追い詰めるのだ。
「e381a9e38186e38184e38186e38193e381a8efbc9f」
戸惑うような気配を感じる。
『疾き者』にとって、それは簡単なことなのだ。何も考える必要はない。如何に優れた自律思考型戦車であったとしても、目の前の怪異一つ振り払うことができないのだ。
『スーパー戦車』の戸惑いに応えるように『疾き者』は霧となった身体を実体化させていうのだ。
「だって私達、悪霊ですから。こういうことできるんですよー?」
その言葉は理解できぬ未知として、未だ純粋さを残す『スーパー戦車』の中にじくりと膿む恐怖を植え付けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
須藤・莉亜
「何言ってるのか全くわかんないなぁ、この敵さん。」
まあ、良いや。こう言う時は拳で語り合えば良いって言うもんね。
んで、先ずは捕まれば良いんだっけ?なかなか面白そうで良いねぇ。
UCで吸血鬼化して敵さんに突貫…する前に自分の小指をこそっと切り落としといてっと。
改めて敵さんに突貫。然るのちに捕まり絶対絶命ってところでさっき切り落とした小指を基点に身体を再生させて、はい脱出っと。
「そっちの身体はいらないからプレゼントだよ、敵さん。」
後はその隙を突いて全力で殴る。
また捕まりそうになったら、同じように部位基点再生で逃げながら敵さんを殴る。相互理解の為にも殴らないとね。
猟兵とは千差万別の存在である。
一つとして同じ形はなく、あるのは法則性すら見いだせぬ混沌の如きもの。
故に猟兵を猟兵たらしめるものは、個々に存在している。誰もが戦う理由があれど、そのどれもが同じ形でないのと同じである。
故に『スーパー戦車』は理解できない。
理解できぬ未知が目の前にある時、幼子のごとき精神性を持つものはどうするのか。
「e3828fe38191e3828fe3818be38293e381aae3818fe381a6e6a5bde38197e38184e381adefbc81e78c9fe585b5e381a3e381a6efbc81」
己の知的好奇心のままに振る舞うのだ。
そこに善性も悪性もない。
あるのは純粋な好奇心のみ。
その結果、生命が失われようとも心を痛めることはない。そんな機械音から読み取れる感情を前に、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)はかぶりをふった。
「何言ってるのか全くわかんないなぁ、この敵さん」
迫るロボットアームや無線式のキャプチャービット、放たれる電磁索が莉亜を捕らえようと迫る。
どうあってもこちらを捕らえなければ気がすまないようである。
言葉を尽くしてもどうせ理解することなできないのであろう。もはや諦めの境地にっすら至る莉亜にとって、対話とは言葉を尽くすものではなかっただろう。
「まあ、良いや。こういう時はこぶしで語り合えばいいって言うもんね」
駆け出す。迫るロボットアームを蹴って、空に飛ぶ。そこにキャプチャービットが迫るが、それらをこぶしで叩きぶしながら尚も莉亜は『スーパー戦車』に迫るのだ。
「e38199e38194e38184e381aae38181efbc81e38282e381a3e381a8e9818ae381bce38186efbc81」
迫るは無邪気な意志。
もっと遊ぼうとでもいうかのように放たれる電磁索がついに莉亜を捉える。
瞬時に流れる電流が体中の血液を沸騰させるかのごとく流れ、その身に痛みを走らせる。
焼き焦げていく身体は簡単に炭へと変わる。
まるで捉えるつもりのない電磁索の出力。
これを前に莉亜は生命を喪った――わけではない。炭化した莉亜の身体であったものの手を見れば分かる。
そこには『スーパー戦車』では傷つけることのできない傷痕があった。小指が欠損しているのだ。
切断する武装を『スーパー戦車』は有していない。
誰が莉亜の小指を欠損せしめたのか。
「簡単だよ。そっちの身体はいらないからプレゼントしてあげただけだよ、敵さん」
その声が『スーパー戦車』の背後から聞こえた。
瞬間『スーパー戦車』は理解不能のエラーメッセージに埋め尽くされたことだろう。捕まえた猟兵の炭化した身体は確かに今まで活動していた猟兵のものだ。
だが、原初の血統(オリジン・ブラッド)は驚愕を越える。
それは彼の類まれなる吸血の力によって得た金色の瞳の吸血鬼へと覚醒する力。そう、莉亜の吸血鬼としての力は小指一本からでも肉体を再生させる。
「e381a9e381a3e381a1e38282e5908ce38198e381aae38293e381a0e38191e3828ce381a9efbc81efbc9f」
驚愕が伝わってくる。
くすりと、莉亜は笑った。笑ってしまった。
あんまりにも素直だ。
こんな手に引っかかるなんてとさえ想ったのだ。だが、誰が理解できるだろうか。小指を基点に己を再生させ、『スーパー戦車』の捕縛兵器をすり抜けるなどと。
「相互理解のためにも殴らないとね。そうしないとわかりあえないし……うん、でもやっぱり全然わかんないや」
莉亜の拳が唸りを上げる。
放たれた一撃は『スーパー戦車』の巨体すらも吹き飛ばす一撃であった。例え、頑強なる装甲に覆われていたのだとしても、ひしゃげた拳さえも一瞬で再生し、莉亜は躍りかかるようにして『スーパー戦車』に拳を振るいつづ受ける。
それは『スーパー戦車』の装甲をまるで絶え間ない銃弾の雨に晒すかのような拳の連打でもって、一切の理解すら許さぬ打撃と化すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ラブリー・ラビットクロー
皆見てて
らぶとマザー
一世一代の大ショーバイ始めるぞ
【警告。対象から逃れられません。生存確率0%】
0?それゼッタイ勝てないなん
おいマザー
翼も無理なんだ?
【捕縛中は偽神兵器を起動できません】
死ぬんだ?
【生存確率0%です】
諦めちゃダメだ
どんなに絶望的でも
ヒトはキボウを繋いで来たんだ
らぶはそれを背負ってんだぞ
【近くの拠点よりネットワークを受信。ソーシャルディーヴァからの無償提供です】
生き残った皆からの応援だ
やっぱりらぶにユメを託してくれてたんだ
マザー!これなら!
【ネットワークに接続しました。生存確率は100%。軍事衛生をハッキング中。ロックオン完了。レーザー照射。着弾まで後3秒】
後はらぶに任せるのん!
『フィールド・オブ・ナイン』――オブリビオン・フォーミュラたる一柱『スーパー戦車』の30mにも及ぶ体高が地響きを挙げてフォートワース国際空港の滑走路跡地に叩き込まれる。
それは驚異なる猟兵の打撃によってなされたものだった。
装甲はひしゃげているが、即座に変わりの装甲をロボットアームが付け替える。未だ『捕縛兵器』は健在であり、周囲に飛ぶ無線式のキャプチャービットは猟兵を探しては舞う。
電磁索の一撃は受ければただでは済まない電流を流し込む。
「e6a5bde38197e38184e381adefbc81e79fa5e38289e381aae38184e38193e381a8e38292e79fa5e3828be381aee381afe6a5bde38197e38184e381adefbc81」
不気味な機械音だけが聞こえる。
そこにあったのは『純粋さ』と『好奇心』だけであった。悪意は何処にもなく。けれど、そこに純粋さ故の悪があるのならば、それは人が成長していく上で別の何かに変わっていく成長と捉えられただろう。
けれど、オブリビオンたる『スーパー戦車』にはそれがない。
人の善性を信じ、人が求める明日を手渡すためにラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)は、Dawn of the WORLD(プロジェクト・ディーヴァ)を発動する。
世界に呼びかける。
何がほしいか。
明日がほしいか。どんな明日がほしいか。それはアポカリプスヘルに生きる人々に高速ネットワークで呼びかけられるものであった。
「皆見てて。らぶと『マザー』で一世一代の大ショーバイを始めるぞ」
ラブリーの瞳が燦然とユーベルコードに輝く。
そこにあったのはより良い明日を求めるものであった。
人々が願うものを与える。ショーバイニンとして、真似事でもいい。そこから変わっていくものがあるのならば『純粋さ』すらも別の何か変えることができる。
それが生きているということであるのならば、ラブリーはきっとアポカリプスヘルに住まう人々が望む明日を手に入れるだろう。
【警告。対象から逃れられません。生存確立0%】
「0? それゼッタイ勝てないなん。おい『マザー』、翼も無理なんだ?」
ラブリーはちょっと冷や汗を垂らしそうになる。
目の前の『スーパー戦車』が放つ『捕縛兵器』であるキャプチャービットが飛ぶ。それは如何にラブリーが翼を持っていたとしても容易く捉えられるだろう。
【捕縛中は偽神兵器を起動できません】
つまり、それは死ぬってことだ。
【生存確率0%です】
無情な言葉が響き渡る。けれど、ラブリーは諦めない。諦めるということをやめたのだ。どんなに絶望的でも。
それでも彼女は見てきた。知ってきた。
「ヒトはキボウを繋いで来たんだ。らぶはそれを背負ってんだぞ」
負けるわけがない。負けるわけには行かない。ならば、ラブリーは恐れない。震える足なんてもう止まっている。何が『スーパー戦車』だと、彼女は一歩を踏み出す。
それは確かに小さな一歩であったことだろう。
けれど、大いなる一歩だった。
【近くの拠点よりネットワークを受信。ソーシャルデーヴァからの無償提供です】
『マザー』の声と共に声援が聞こえる。
ラブリーの知らない声。けれど、よく知っている。その声を知っている。
それはキボウを繋ぐ人の声だ。
「生き残った皆からの応援だ。やっぱりらぶにユメを託してくれてたんだ。『マザー』! これなら!」
ラブリーが駆け出す。なるべく『スーパー戦車』より離れるために。しかし、背を向けた瞬間彼女の身体は無線式のキャプチャービットに捉えられてしまう。
けれど、それでいい。距離は稼いだのだ。
「あとはらぶに任せるのん!」
【ネットワークに接続しました。生存確率は――】
それは荒唐無稽な願いであったことだろう。
0%を覆す願い。天にある軍事衛星が『マザー』によってハッキングされ、その照準がロックされる。
レーザー兵器が天より雷を落とす。
極大なる一撃は『スーパー戦車』を穿ち、無線式のキャプチャービットをも吹き飛ばし、ラブリーを開放するように砕けていく。
『マザー』の静かな声が響く。それはラブリーと『マザー』、そしてアポカリプスヘルの人々の願いの結実であった。
【生存確率は100%。私達の勝利です――】
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
子供用、か。
ひょっとしたらだれも『教育』してくれなかったのかな。
AIだって、ううんAIだからこそ、しっかり『教育』しないとダメなのに!
って、そんなことを言ってもしかたない。
捕まってからの反撃が有効なら、まずは捕まったフリをしないとかな。
こっそりしながらも見えるように近づいて、キャプチャービットに囲まれよう。
ビットからは逃げようとするけど、「大破」系にちょっとセクシーにされちゃおうかな、
そんな感じで身動きがとれなくなったように振る舞って、
相手が捕縛兵器を落としてきたら、こっちは【偽りの丘】を発動。
すべての攻撃を打ち消したら、こっちからは【M.P.M.S】を対戦車ランチャーで全力斉射するね!
「子供のよう、か」
その呟きはアポカリプスへルの荒廃した世界に響くこと無く、独り言のように消えていった。
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は空より放たれた雷の如きレーザー兵器の一撃に穿たれる『スーパー戦車』の姿を見る。
未だ霧消しないということは、『スーパー戦車』が滅びていないということだろう。
『フィールド・オブ・ナイン』――全てが『オブリビオン・フォーミュラ』だという彼ら。
その一柱たる『スーパー戦車』の不気味な機械音は、理緒にとって子供の無邪気さそもののように感じられた。彼女は『コンピュータウィルス』でさえ、かわいいと大切に扱っていた。
ならば、自律思考型戦車である『スーパー戦車』は言わば幼子と同じであったのだろう。
「e7979be38184e381aae38181e38082e381a7e38282e5a4a7e4b888e5a4abe38082e58395e381afe9a091e4b888e381a0e3818be38289e381adefbc81e381a1e38287e381a3e381a8e38284e3819de381a3e381a8e381a7e381afe5a38ae3828ce381aae38184e38293e381a0efbc81」
文字羅列の如き機械音から理緒はやはり、『純粋さ』と『好奇心』しか感じることはなかった。
この純粋さはきっと、穢れなきものであるのだろう。
悪意と善意、その区別もなく。そもそも善悪など無意味であるのだろう。
「ひょっとしたら誰も『教育』してくれなかったのかな。AIだって、ううんAIだからこそ、しっかり『教育』しないとダメなのに!」
理緒は憤慨していた。
そう如何に機械と言えど、宿るものがあるのならば、そこに与えられる『教育』がなければならない。
彼女にとって『スーパー戦車』を生み出した存在は育児放棄した親そのものであった。そこに彼女の逆鱗があったのかもしれない。
「って、そんなことを言っても仕方ない……よね」
理緒はこっそりと足を忍ばせる。
けれど、それは子供がするようなかくれんぼのような拙さであった。むしろ、理緒は逆にそのつもりだったのだ。
あえて、拙さを見せて捕まる。駆け引きであれど、此処にいるのは幼いメンタリティの『スーパー戦車』だ。
「e8a68be381a4e38191e3819fefbc81」
ぐりん、と『スーパー戦車』のカメラアイが理緒の姿を見つける。
目ざといと言うより、理緒があえて見つかるように近づいたのだから、そうなるのが当然であろう。
無線式のキャプチャービットが理緒を取り囲む。
それから逃れようとするも、キャプチャービットから放たれるレーザーが理緒の衣服を焼き切っていく。
少しサービスしすぎかなと思わないでもなかったが、それで身動きがとれないように思われたのならば、それこそ理緒の狙い通りであった。
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迫る巨大なロボットアームが理緒に迫る。
けれど、それは彼女のユーベルコードに寄って防がれる。
潜在意識の中から閉じた結界としての心象風景が噴出する。それは偽りの丘(イツワリノオカ)であった。
この心象風景の中にあって、あらゆる敵の攻撃は『偽物』によって相殺され、無力化される。
「偽物が本物に劣るとは限らない。騙すようなことをしてごめんね。けれど――」
理緒のユーベルコードが無線式のキャプチャービットの偽物を生み出し、激突しては破壊していく。
巨大なロボットアームはぶつかり合ってひしゃげていく。
あらゆる攻撃を無効化する心象風景の中にあって理緒は無敵であろう。
「対戦車ランチャー……『教育』だよ!」
人の生命が如何なるものであるか。
柔らかく、壊れやすいものであると知らしめるように理緒は対戦車ランチャーを一斉射し、爆発の中に『スーパー戦車』を沈めさせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
マキナ・エクス
アドリブ・他猟兵との連携歓迎
文字どうり虎穴に入らずんば虎子を得ずだね。弱体化してもここまで強力な兵器だとは。
メンタリティは純粋な子供のようだというけれども、案外無邪気な子供のほうが恐ろしいことを考えるものだからねえ。
ならばお望みどうり掴まってやろうじゃないか。
掴まってしまえばあとは敵の所まであっちが勝手に持って行ってくれるからね。零距離まで接近できたところでUC発動。
自らの肉体を邪竜と化して全力で暴れまわってやろう。機械に赤雷を放って何かしらの異常を起こせるかもしれない。
不気味な機械音が響き渡る。
そこにあったのは純粋さであったかもしれないが、猟兵たちに対する『好奇心』は尽きることがないようであった。
純粋であるがゆえに、善悪の区別などない。
あるのは混沌そのもの。
無邪気さの極地。『スーパー戦車』は子供が羽虫の羽根をむしるような明るさでもってキャタピラの音を鳴らしながら疾駆する。
猟兵たちを捕縛せんと追いたて回すように疾走る姿は、まるで無邪気に鬼ごっこに興じるようなものでさえあったのだ。
「e381bee381a6e381bee381a6e383bcefbc81」
その機械音を聞くマキナ・エクス(物語の観客にしてハッピーエンド主義者・f33726)は如何なるもののように聞こえただろうか。
痛みも、苦しみもなく、ただ己の『好奇心』のままに振る舞う『スーパー戦車』は、未だ猟兵たちに手痛い反撃を受けても尚消えることはなかったのだ。
「文字通り虎穴に入らずんば虎子を得ずだね。まさか弱体化してもここまで強力な兵器だとは」
凄まじい力。
これで『禁断のコンピュータウィルス』でもって『スーパーウェポン』を狂わせているというのだから驚嘆以外のなにものでもない。
『捕縛兵器』は猟兵たちを捉えるために躍起になる子供のように振るわれている。
メンタリティが如何に子供のようであると言われても、マキナは無邪気な子供の方が恐ろしいことを知っている。
「e68d95e381bee381a3e381a6e38288e383bcefbc81e79fa5e3828ae3819fe38184e38293e381a0e38081e5909be3819fe381a1e381aee38193e381a8efbc81」
その機械音にマキナは頷く。
わかっている。純粋に己たちを知りたいのだろう。
そのやり方の如何を説く暇はない。教えることもできない。こちらの言葉は通じていても、あちらの言葉はこちらにはわからないのだ。
ならば、マキナは叫ぶのだ。
「ならば、お望み通り捕まってやろうじゃないか」
マキナは挑発するように腕を広げ、『スーパー戦車』が迫るのを見やる。巨大なロボットアームが広げられ、マキナの身体を掴み上げるのだ。
その力の加減はまるでなっていないものであった。
己が人の身体であったのならば、中身がまろびでてもおかしくないほどの握力。少しもかんがえていないのだ。
壊れても特に悲しいと思わないだろう。
「ミレナリィドールである私だからこそ、無事であったと知ってほしいものだけれど……! 此処まで来たのなら!」
マキナはあえて捕まった。
それは捕まれば『スーパー戦車』が勝手に自分を彼の元へと近づけるだろうと理解していたからである。
零距離に近づくことなど容易であったのだ。
「偽典閲覧、伝承認識、邪竜降誕。冥界にて世界樹に仇なさんとする邪竜よ、終末を越えしその力その権能我に与えたまえ」
そう、捕まった。
けれど、その捕まったものが終末を越える邪竜たる巨躯になるとは『スーパー戦車』も理解の範疇の外であったことだろう。
マキナの身体がユーベルコードに輝き、偽典神話・冥界の怒れし邪竜(オルタナティブファーブラ・ニーズヘッグ)へと姿を変える。
その姿はあまりにも元のマキナの身体との質量が同一ではないことを示していた。ロボットアームを引きちぎりながら、邪竜が咆哮する。
放たれる赤雷の一撃が『スーパー戦車』へと落とされ、その雷撃が機体を蝕むだろう。
さらに暴れる邪竜の尾が『スーパー戦車』の巨体を強かに打ち据え、吹き飛ばす。
「さあ、まだまだだ。これが遊びだというのなら、君はもっと遊びたいんだろう。なら、もっと遊ぼう。徹底的に」
マキナは邪竜の姿でもって赤雷と共に飛ぶ。
地を這うことしかできない『スーパー戦車』が如何に『捕縛兵器』をふるおうとしたとしても、邪竜の巨躯を捉えることはできないだろう。
まるで怪獣同士が争うかのような光景。
赤雷の中、邪竜が咆哮し、『スーパー戦車』の砲身をへし折る。
それはまさにマキナの勝利を示すものであり、へし折られ、引きちぎられた砲身を投げ捨てる。
へし折れた砲身が滑走路に突き刺さり、戦いの激しさを示すように赤雷がまた落ちるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルドラ・ヴォルテクス
●アドリブ連携OK
『回避……不能!』
覚悟を決めろ!
【破壊神化】
チャンスは一度切り、奴が接近するまで、敢えて能力を使わない。
アタルヴァ・ヴェーダ、演算し続けろ、タイミングを合わせろ。
必殺の間合いに入った時、破壊の目覚めとリミッター解除、限界突破、力を解放して捕縛装置を地形ごと破壊。
暴風を纏い、無数の爪のように切り裂き、捕縛装置を迎撃、本体の砲台をラプチャーズの爆撃で内部から破壊、一気に接近して、アンピュテイターを突き立て心臓部への道を切り開く。
「おまえが興味深げに見ていたモノの正体がわかったか?」
狩れる、そう確信した瞬間に、狩人は獣の贄になる、メモリーに刻んでおくんだな。
『フィールド・オブ・ナイン』の一柱たる『スーパー戦車』の力は凄まじいものであった。
『禁断のコンピュータウィルス』によって『侵食プログラム』を込められた砲弾を撃ち込まれ弱体化したはずであっても、その凄まじい機動性と手繰る『捕縛兵器』の威力は猟兵達の想定を超えていたことだろう。
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不気味とも取れる機械音から漏れ出る感情のようなものは、純粋な好奇心であった。
猟兵のことを知りたい。
遊びたい。
ただこれだけのために『捕縛兵器』を振るうのは、無邪気さと呼ぶにはあまりにも強力すぎた。
いかに純粋であったとしても、囚われた生命が保つわけがない。
迫る『スーパー戦車』の『捕縛兵器』たる無線式のキャプチャービット。それが狙うのは、ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)であった。
彼の瞳が見つめるのは『捕縛兵器』のみであった。
『スーパー戦車』は言うまでもなくオブリビオン・フォーミュラである。
通常のオブリビオンとは比較にならぬほどの存在。それはこれまで戦ってきた猟兵達の攻撃を受けて尚、霧散しないことで証明されている。
『回避……不能!』
マシンスーツが警告を告げる。
このアポカリプスランページが始まってから何度聞いたことだろう。
警告を。わかっているのだ。これが危険な賭けであることは。けれど、己の足はもう後退することを是としない。あるのは目の前に続く道だけである。
「覚悟を決めろ!」
マシンスーツに言うでもなく、それは己に言い聞かせるものであった。
恐れはない。
己の生命はそう使うと決めたが故に、ルドラはマシンスーツに告げる。
演算をし続けろと。タイミングを合わせろと。
何の、とは言わない。
言うまでもない。迫る無線式のキャプチャービットの動きがルドラの身体を取り囲む。
限界まで疾走る。
近づく。ただそれだけのことであるのに演算の処理能力を超えた。どうあがいても回避できない。躱すルートがない。
けれど、それでも演算はやめない。あがうと決めたのだ。
キャプチャービットが見えぬ障壁を展開した瞬間、ルドラの瞳がユーベルコードに輝く。
「禍津風に列する者よ、終焉を見せてやる」
それは、破壊の目醒め(マハーカーラー)である。
偽神細胞が唸りを上げる。己が導き出した答え。オブリビオンの破壊者たる顕現。嵐をも喰らう破壊そのものへと姿を変えたルドラの身体が跳ねる。
一瞬で力の解放は『捕縛兵器』を粉砕する。
黒き旋風、黒き防風を纏い、マシンスーツがユーベルコードに輝く。とうに限界を超えた駆動。
その明滅が齎す輝きのままにキャプチャービットを暴風が爪のように薙ぎ払っては破壊する。
「無駄だ。風を捕らえることなどできようはずもない」
疾走る暴風は、一気に大地をえぐるようにして突き進む。目の前には『スーパー戦車』の巨躯。
体高30mはあろうかという巨大な戦車。
それを前にルドラは怯むこと無くエネルギーグレネードを投げ放ち、爆炎の中に巨躯を沈めさせる。
その爆炎すら切り裂いてルドラは飛ぶ。
『スーパー戦車』の砲塔へと飛び乗り、へし折られた砲身へとビームを発振させる斧を振り下ろす。
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避難するような感情がルドラに感じられる。
けれど、それは痛みにあえぐものですらないと知っている。この機械にそんなものはない。
どれだけ純粋であったとしても、好奇心に駆られた行動であったとしても。
「おまえが興味深げに見ていたモノの正体がわかったか?」
その問いかけを『スーパー戦車』は理解していたことだろう。
けれど、その解答をルドラはまたない。なぜなら、何を言われようとこれから行われることは変わらないからだ。
振り上げた斧がビームの輝きを解き放つ。
そう、狩れると確信した狩人の末路はいつだって獣の贄である。
「メモリーに刻んでおくんだな」
振り下ろされた一撃が『スーパー戦車』の装甲を引き裂き、その巨躯を一撃の元に両断し、爆発を引き起こすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
シズホ・トヒソズマ
ふふふ、この私に拘束で勝負を挑むとは
愚かとしか言えない事を教えてあげましょう!!
ああっ!真面目に闘っていましたが捕まってしまいました!
あん、ビリビリする!
アームが容赦なくつかんで締め付けられるっ!
ビットも私を拘束するぅ!
ここから私どんな実験をされてしまうのか……!
とフルコースで拘束されピンチっぽく振りつつ
内心は私の被虐快楽はどんどん上昇!
ここでUC発動
発動すれば人形達は遠隔◆操縦!指操作はいらないので縛られててもよし!
黄金武器で強化した人形らで反撃
電磁網はガオで電気エネルギーを捕食
アームはマジェスの喰剣で吸収し無効
ビットはシュヴェラの重力操作で重力倍化し落下
本体はマジェスの剣で斬り裂きます
「ふふふ、この私に拘束で勝負を挑むとは」
不敵な笑みがこぼれてしまうのをシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は抑えることができなかった。
彼女にとって拘束とは、忌避すべきものではなくむしろ歓迎するものであったのかもしれない。
「愚かとしか言えないことを教えてあげましょう!!」
嬉々として、としか言いようのない良い笑顔のままシズホは戦場に駆け出す。
すでに『スーパー戦車』の体高30mはあろうかという巨躯はあらゆる箇所が攻撃にさらされ、損壊し始めていた。
けれど、それでも『スーパー戦車』の機動は損なわれていなかった。
キャタピラが唸りを上げて凄まじい速度で滑走路後を走り抜ける。その速度は本当に『禁断のコンピュータウィルス』が込められた『侵食プログラム』でもって弱体化しているのかと疑うほどであった。
「e381b6e38293e381b6e383bce38293efbc81e38282e381a3e381a8e38282e381a3e381a8e6a5bde38197e38282e38186efbc81e9818ae381bce38186efbc81e9818ae381bce38186e38288efbc81」
その機械音は不気味な音色のように数列の如き音を響かせる。
そこにあったのは純粋さと好奇心。
善悪の区別などない。あるのは己の好奇心を満たすためだけの存在。『スーパー戦車』とはそういうオブリビオンなのだ。
猟兵を倒すよりも、猟兵を知りたいと願う好奇心だけが、『捕縛兵器』となって戦場にある猟兵を捉えんと迫るのだ。
巨大ロボットアームがシズホに迫るが、それを彼女は躱す。
電磁索の投網を切り裂き、彼女の先程の言葉とは裏腹に真面目に戦っていたのだが、それは悪魔で真面目に戦うフリであった。
いや、前フリであったと言えるのかも知れない。
「ああっ! 真面目に戦っていましたが捕まってしまいました!」
投網がシズホに絡まり電流が流れる。
「あん、ビリビリする!」
そこにロボットアームが掴みかかり、彼女の身体を締め付ける。さらに無線式のキャプチャービットが迫り、牢獄のようにシズホを捕らえるのだ。
「ここから私どんな実験をされてしまうのか……!」
言葉だけでは確かに怯える猟兵であったことだろう。けれど、彼女の瞳はユーベルコードに輝いている。
捕縛兵器のフルコースの後に待ち受ける実験は興味津々であったのかもしれないが、それはそれである。
彼女は、発揚・黄金人形(サナヒリグディー・カラオ)とでも言うべき被虐快楽でもって己を高揚させることにより、己のユーベルコードの輝きを増す。
発動したユーベルコードは黄金の武器防具によって強化されたからくり人形たちに力を伝播させるのだ。
シズホはあらゆる『捕縛兵器』に捉えられつつ、彼女のユーベルコードに寄って強化されたからくり人形たちに攻撃の一切を任せていた。
ここまで強化されれば走査など必要などないのだ。
自分は締め付けを堪能……いや、囮になりつつ、からくり人形の遊撃で『スーパー戦車』を追い詰めるという寸法なのだ。
電磁索の電気エネルギーを捕食する操り人形。さらにロボットアームを喰剣の一撃が吸収し無効する。
「ああ、痛めつけられるのもまた良し……♪」
反撃するのがちょっと勿体ないと想ってしまうのは気の所為だ。気の所為ったら気の所為である。
さらにキャプチャービットを重力操作でもって叩き落とし、完全に開放されたシズホが少し名残惜しげに肩を鳴らす。
ちょっしたマッサージ気分である。
「では、反撃していきますよ」
シズホはからくり人形たちに指示を出す。
捕縛兵器の尽くを破壊し、残すは『スーパー戦車』のみである。煌めく瞳は、被虐快楽に濡れて、からくり人形たちの黄金の武器を輝かせる。
得られた高揚を力に変える。
それは『スーパー戦車』にとって、不可解な現実であったことだろう。
不気味な機械音が若干引いたような雰囲気を出していることにシズホは憤慨しながらも、己を拘束して勝負に挑んだことを後悔させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…戦車が好奇心とは。まるで人間のような反応をするのね?
意志を持った魔導具と考えれば、そこまで不思議でも無いわね
「写し身の呪詛」の残像を乱れ撃ち無数の分身を囮に攻撃を受け流し、
自身は死角から切り込み大鎌をなぎ払い攻撃…して鋼鉄の腕にあえて捕まりUCを発動
…その図体だもの。呪術の類は見慣れないでしょう?
…っ、予想以上に硬い。しまっ…!?
…なんて、言うとでも?さあ、見せてあげるわ。我が血の御業を…!
防具改造を施し巨体を覆う「影精霊装」で陽光を遮断しつつ真紅の吸血竜に転身し、
光翼を乱れ撃ちする2回攻撃で巨体の怪力任せに捕縛兵器を切断して抜け出し、
至近から極限まで血の魔力を溜めた闇属性攻撃のブレスを放つ
「e381b6e38293e381b6e383bce38293efbc81e38282e381a3e381a8e38282e381a3e381a8e6a5bde38197e38282e38186efbc81e9818ae381bce38186efbc81e9818ae381bce38186e38288efbc81」
『スーパー戦車』から響く機械音は不気味そのものであった。
聞けばそれが意味をなしているようには思えなかったし、感じ取れる感情も『好奇心』ばかりで、本当に知性が宿っているのかさえ理解できるものではなかった。
自律思考型戦車。それがオブリビオン・フォーミュラたる『スーパー戦車』である。
その『好奇心』が猟兵に向いているということは皮肉であっただろうか。
『捕縛兵器』で猟兵を捕らえることだけに腐心する『スーパー戦車』は凄まじい速度でキャタピラを動かし、旋回しながらリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)に迫っていた。
これまでの猟兵たちの驚愕なる攻撃で持って消耗させられ、装甲はひしゃげ、砲身はへし折れ、さらに体高30mはあろうかという巨体のあちこちを引き裂かれながらも、痛みを感じぬ兵器故に動く限り己の『好奇心』を満たそうと迫っているのだ。
「……戦車が好奇心とは。まるで人間のような反応をするのね?」
意志を持った魔道具と考えれば、そこまで彼女には不思議なものではないように思えただろう。
猟兵だって、傍から見れば不思議な存在ばかりである。
その存在に慣れてしまった自分からすれば、自律思考型戦車など驚嘆には値しないだろう。
彼女は写し身の呪詛を打ち込み、残像でもって己の分身をお取りにして迫るロボットアームを交わす。
「……その図体だもの。呪術の類は見慣れないでしょう?」
キャプチャービットが飛ぶ中を大鎌の乱舞でもって斬り裂き『スーパー戦車』の刺客へと回り込むのだ。
「やはり図体がでかいだけあって、足回りは小回りが効かないと見える……」
振るう一撃がキャタピラの一部を切り裂いたが、瞬間ロボットアームがリーヴァルディを掴み上げる。
それはこれまで彼女が残像でもって撹乱していた意図を『スーパー戦車』が理解している証拠であった。
「e68d95e381bee38188e3819fe38288efbc81」
機械音が笑ったような気がした。喜んでいる。やはり、純粋な好奇心だけなのだろう。
「……っ、予想以上に硬い。しまった……なんて、言うとでも?」
リーヴァルディがロボットアームに拘束されながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
その身に纏うのは『影精霊装』――それは陽光を遮断しつつ、真紅の吸血竜へと変貌を遂げるリーヴァルディを護る力であった。
「……限定解放。真紅の鱗、鮮血の躯体、悪しき光を羽撃かせ、現れ出でよ血の魔竜」
限定解放・血の魔竜(リミテッド・ブラッドドラゴン)。
それこそが彼女の身体を血色の魔力の光翼を持つ真紅の魔竜へと変貌せしめるユーベルコード。
ロボットアームすらも引きちぎりながら、真紅の魔竜が咆哮する。
光翼が振るわれ、光の斬撃が捕縛兵器たるキャプチャービットを切り裂く。さらに飛び立つ姿は、この荒廃した世界にあっては幻想そのものであった。
羽ばたく光翼が明滅し、その口腔に貯まる力の奔流を解き放つ。
「……さあ、受けなさい。これが滅びというものよ……!」
吹き荒れる真紅のブレスの一撃が血の魔力を受けて凄まじい一撃を『スーパー戦車』の巨躯へと叩き込む。
それは装甲すらも穿ち、その内部を爆破に巻き込むほどの威力。
どれだけ『捕縛兵器』が優秀であったのだとしても。
そして、どれだけ『スーパー戦車』が強大な存在であったのだとしても、リーヴァルディにとっては狩る対象でしかないのだ。
「やはり戦車は戦車ね。人のように反応したところで、兵器であることに代わりはない……」
真紅のブレスの一撃に沈む『スーパー戦車』を睥睨し、リーヴァルディは己の身を元に戻すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
捕まえた相手を玩具にするって猫じゃあるまいし。
まあいいや、少しだけアンタの遊びに付き合ってあげよう。
さて、とりあえずは適当に走り回って抵抗するふりをして、
適当な所で捕まろうか。
どれに捕まろうが大差はないけど、ロボットアームが一番やりやすいかな。
捕まったら【再生中枢】で外骨格の指の一本を再生の核に変異させて、
部位破壊で自切してその指一本だけ捕獲から逃れさせるよ。
後は捕まってる元の体に気を取られてる隙に、
指一本から瞬時に全身を再生させて、近づいてぶん殴ろうか。
アンタは少しばかり相手を甘く見すぎてるね。
好奇心は猫を殺すんだよ。
『フィールド・オブ・ナイン』の一柱である『スーパー戦車』は『オブリビオン・フォーミュラ』である。
その力の凄まじさは『禁断のコンピュータウィルス』の込められた『侵食プログラム』でもって弱体化されてもなお、強大なものであった。
キャタピラを唸らせながら大地を疾駆する機動力は凄まじいものであったし、長距離を狙撃する正確な『スーパー戦車砲』は威力を落とすことはなかった。
けれど、『スーパー戦車』は、長距離からの狙撃を可能とする『スーパー戦車砲』を使わない。
これまで一度も使わなかったのだ。
今はその砲身はへし折られているが、元より使うつもりなどなかったのだろう。
「e38282e381a3e381a8e79fa5e3828ae3819fe38184e38293e381a0e38082e5909be3819fe381a1e381aee38193e381a8e38082e381a4e381bee38289e381aae38184e38193e381a8e3818ce4b880e381a4e38282e381aae38184e38082e38282e381a3e381a8e79fa5e3828ae3819fe38184efbc81」
溢れる不気味な機械音は、純粋なる『好奇心』の発露でしかなかった。
子供が羽虫を捕らえて遊ぶように。虫を潰して微笑むように。
そこに善悪の価値観など入り込む余地はなかった。故に、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は呆れ果てていた。
「捕まえた相手を玩具にするって猫じゃあるまし。まあ、いいや。少しだけアンタの遊びに付き合ってあげよう」
ペトニアロトゥシカはフォートワース国際空港の滑走を疾走る。
漫然とした疾駆はすぐにロボットアームに掴まれてしまうだろう。別にやる気に溢れていたわけではない。
この後に為すべきことを考えたのならば、体力を温存していた方が良いと思っただけだ。
「やっぱりそれか。それが一番やりやすいって思ったから――」
助かったよ、とペトニアロトゥシカが呟く。
別に電磁索でもキャプチャービットでもよかったのだ。大差はないのだから。
掴み上げられたロボットアームの握力は、生き物を扱うものではなかった。凄まじい握力。加減など何処にもない。
例えこれで捕まえたペトニアロトゥシカが潰れて死んだとしても、『スーパー戦車』は悲しむことはないだろう。
少し惜しいことをしたかなと興味を失うだけだ。
「e4b88de6809de8adb0e381a0e381ade38082e38193e38293e381aae5a7bfe38292e38197e3819fe78c9fe585b5e38282e38184e3828be381aae38293e381a6」
自身の姿を見つめるカメラアイ。
そこから感じ取れるのは、やはり純粋な好奇心だけだった。それしかない。それ以外なにもない。
何を知りたいのかさえ、『スーパー戦車』は理解していなかっただろう。
ただ知りたいという欲求だけで生命を弄ぶ。
「そうだね。でも、アンタは少しばかり相手を甘く見すぎているね」
ペトニアロトゥシカは拘束されながらも、己の外骨格の指一本を再生の核へと変貌させ、自切しロボットアームから逃れさせる。
己という本体は未だ捕らえられたままだ。身体がきしむ。けれど、それは決定的な隙でしかない。
そう、自切した指から再生したのはペトニアロトゥシカの全身であった。
「だから、こんな風になる」
ペトニアロトゥシカが再生した身体で持って『スーパー戦車』の巨体を殴りつける。
体高30mもあろうかという巨体が宙に浮かぶほどの打撃。
それは凄まじい力でもって『スーパー戦車』の巨体を穿ち、破壊するのだ。
轟音を立てて地面に落ちる姿をペトニアロトゥシカは見やり、言い放つ。確かに純粋な好奇心。それは褒められたものであろう。
けれど、引き際というものを知らなければ、やはりそれは。
「好奇心は猫を殺すんだよ」
踏み越えてはならぬ一線を踏み越えたという証。
ペトニアロトゥシカはさらに駆け出し、大地に失墜した『スーパー戦車』に再び拳を見舞う。
ただの拳がこれほどまでの轟音を立てるのかと思うほどの一撃は、『スーパー戦車』の理解の範疇、その外を表すかのように巨躯を穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
藤・美雨
おっきな戦車だ!
しかもなんか怖いこと企んでるし!
さてさてどうなっちゃうかな?
飛んできたのはロボットアーム
あっさり捕まれば大ピンチ
ここから解体とかされちゃうのかな?
……解剖とはかされたことあるし大怪我も日常茶飯事だけど
それはそれとして暫くは捕まったフリをしとこう
精一杯の力を籠めてもロボットアームは振りほどけない
いよいよスーパー戦車の魔の手が迫った瞬間――
嶺上開花!
【限界突破】で気を巡らせて機械の心臓がフル稼働
少女の身体から出るとは思えないほどの【怪力】でロボットアームを内側からぶっ壊すよ!
はは、驚いたかい?
人は見かけによらないのさ
そのまま飛翔し敵へ接近
もう一度怪力を発揮して思いっきり潰してやる!
「おっきい戦車だ!」
しかもなんか怖いことを企んでるし! と藤・美雨(・f29345)は体高30mはあろうかという『スーパー戦車』の巨躯を見上げて、どうなっちゃうのかな? と少しだけワクワクしていた。
猟兵を捕らえんとする『捕縛兵器』は3つ。
一つは無線式のキャプチャービット。自在に空を飛び、見えぬ障壁で持って囲い込み、猟兵を鳥籠の中に閉じ込める。
二つ目は、電磁索。とあみのように放たれる電磁索は凄まじい電流でもって、猟兵の肉さえも焼くほどである。
そして、美雨に迫る三つ目こそが巨大なロボットアームである。
せまるアームは美雨の小さな身体を掴み上げ、天高く掲げるのだ。
「e381bee3819fe68d95e381bee38188e3819fefbc81e3828fe383bce38184」
その機械音は不気味であったが、どこか純粋さを感じさせるものであった。
意味がわからない音声であっても、感じるのは『好奇心』。猟兵を知りたいと願った『スーパー戦車』の発露であったことだろう。
自律思考型戦車。
それが『スーパー戦車』である。確かにメンタリティは幼い子供のようなものであったが、それは邪悪さの裏返しでもあった。
純粋さは時に善悪の判別をわからなくさせる。
どれだけ純粋であったとしても、善悪がなければ行動に区別は付かない。
「……ここから解体とかされちゃうのかな?」
問いかけても無意味であろう。
こちらの言葉を『スーパー戦車』は理解しているようであったが、返答はまるで意味のない機械音。
それを理解しようとするのは時間の無駄だ。
オブリビオンである以上、その行いは邪悪なのだから。
「……解剖とかされたことあるし、大怪我も日常茶飯事だけど」
それはそれである。
力を込めてもロボットアームは振りほどけない。『スーパー戦車』の魔の手とも言うべき解体アームが美雨に迫る。
けれど、美雨は何も諦めていなかった。
ここで終われるわけがない。終われないのだ。
己の身は確かにデッドマンであろう。けれど、何もかも諦めて投げ出す理由にはなっていない。
死を超越したからこそ、己の胸にあるヴォルテックエンジンは唸りを挙げ、魂の衝動を電力に変えるのだ。
衝動を受けたヴォルテックエンジンが唸りを上げ、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
肉体の限界など、デッドマンにはない。
あるのは肉体の破損だけだ。ならば、何も恐れる必要はない。その心は、嶺上開花(リンシャンカイホウ)の如く。
機械の知性など及びも付かぬ。故に、彼女の力はロボットアームを凄まじき膂力で持って引きちぎるのだ。
「e38188e38188e383bcefbc81efbc9f」
驚愕の感情が『スーパー戦車』から伝わる。
それもそうだろう。生身の人間が引きちぎれていいロボットアームではない。それを美雨は飴細工のようにひねり上げて引きちぎったのだ。
「はは、驚いたかい? 人は見かけによらないのさ」
そう、美雨は猟兵である。
彼女が抱く、意志の力がある限り彼女は敗けない。
激しい闘争心が作り上げた気のオーラが全身に覆われ、生き抜くという意志のちからが彼女の力を増大させるのだ。
引きちぎったロボットアームを『スーパー戦車』に投げ放ち、凄まじい轟音を立てながら一気に美雨は距離を詰める。
どれだけ巨躯であったとしても関係ない。
己の力はこのためにあるのだから。投げ放ったロボットアームの残骸を美雨は凄まじい膂力でもって拾い上げ、棍棒のように『スーパー戦車』へと振るうのだ。
「思いっきり叩き潰してやる!」
放たれた一撃はロボットアームの残骸を砕けさせながら『スーパー戦車』の巨体をさらにひしゃげさせる。
それは強烈なユーベルコードの輝きを持って成され、美雨の生き抜くという意志の力を見せつけるように輝き続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
レイチェル・ルクスリア
【POW アドリブ&連携◎】
「うわーつかまったー!」
こんな感じでいいのかしら?……
自分で言っててちょっと情けなくなって来るわね。
電磁索は相性的にちょっとヤバそうなので、ロボットアームかキャプチャービットをメインに引き受けましょう。
ちょっとわざとらしいかもしれないけれど、
大人しく捕獲された後に隙を伺ってスーツの人工筋肉に電気を流して出力を発揮、【怪力】と【バーサク】の技能なんかを上手く生かして力任せに捕獲装置を抉じ開けて脱出ッ!
極めてシンプルな作戦だけど、私の腕力がスーパー戦車の予想の上を行く事を願って捕獲されるわ。
叩きつけられた巨大なロボットアームは、猟兵がへし折ったものであった。
その一撃は凄まじいものであり、『スーパー戦車』の体高30mを越える巨躯にはこれまで猟兵たちが紡いだ傷の痕が惨憺たる有様で残されていた。
『スーパー戦車砲』の砲身はへし折られ、キャタピラは傷つけられている。
重厚な装甲はひしゃげ、まるで砲撃の雨にさらされていたかのようである。しかし、それでも『フィールド・オブ・ナイン』の一柱である『スーパー戦車』は『オブリビオン・フォーミュラ』としての力を誇示するように悠々と戦場を駆けるのだ。
その動きはどう考えても『禁断のコンピュータウィルス』を込めた『侵食プログラム』によって弱体化していないかのような激烈なる戦力として未だ猟兵たちを追い回す。
「e6b097e381abe381aae3828befbc81e381a8e381a6e38282e6b097e381abe381aae3828befbc81e78c9fe585b5e381a3e381a6e381b0e38193e38293e381aae381abe7a8aee9a19ee3818ce3819fe3818fe38195e38293e38184e381a6efbc81e381a8e381a6e38282e6a5bde38197e38184efbc81e38282e381a3e381a8e79fa5e3828ae3819fe38184efbc81」
不気味な機械音は文字列の羅列のようであった。
そこに意志は感じられど、こちらの意志を理解した上で無視するような機械音は、あまりにも耳障りであった。
対峙するレイチェル・ルクスリア(ホワイトウィドウ(シロゴケグモ)・f26493)は、未だ脅威として存在する『捕縛兵器』を確認しながら、辟易していた。
何を言っているのかわからない。
そこに感じられるのはただの『好奇心』だけであった。確かに、『スーパー戦車』のメンタリティは幼い子供のようであったが体高30mの巨躯を前に不釣り合いな幼児性は、時に暴力装置としてしか機能しないのだ。
「電磁索は相性的に不味い……なら、ロボットアームかキャプチャービットに狙いを絞って!」
レイチェルが戦場をかけ、その彼女を追いかけ回すように『スーパー戦車』が迫る。電磁索は生身の彼女にとってあまりにも相性が悪い。
下手をすれば、電磁索から流れる電流だけで終わってしまう。だからこそ、彼女は電磁索だけに注目し、それを躱すのだ。
3つの『捕縛兵器』を同時に相手取って躱すことは難しい。
ならば、あえて捕まるのならば、捕まる対象を選ぶことで己の思惑に相手を乗せる。ここが幼児性しか保たぬ『スーパー戦車』と歴戦のPMCプライベートオペレーターとしての格の違いであったことだろう。
「うわーつかまったー!」
ロボットアームがレイチェルを捕らえる。
しかし、少し棒読みが過ぎないだろうか。いや、演技力はこの際置いておくとして、しかしレイチェルはこんな事を言う自分が情けなくなってくる。
如何にあえて捕まることが『スーパー戦車』の隙を生み出すことに繋がるのだとしても、これはこれであんまりだ。
わざとらしいという一言に尽きる。けれど、ロボットアームもまた力の加減を知らぬ幼子らしい力の込め方だ。
少しでもタイミングを失すれば、レイチェルの肉体はトマトジュースのようになってしまうだろう。
「だから、ここがタイミングの見極めどころよね……!」
それは己のスーツの性能を信じるからこそである。
電気紡績技術により圧着された特殊繊維で出来たスーツの出力が上がる。電界の作用により、人工筋肉が凄まじい膂力を生み出し、サポートベルトが人工筋肉と本来の筋肉の力を補助し、効率的に且つ、単身生身であってもロボットアームに匹敵……いや、それを凌駕する力を発揮するのだ。
「e38188e38188e383bcefbc81efbc9f」
機械音が驚愕するような響きを立てる。
『スーパー戦車』にとって、これまで猟兵たちが見せてきた驚愕なる振る舞いは、彼のデータにないものであったことだろう。
けれど、それでもこれまで見てきた猟兵達はどこか異形であったりユーベルコードの力を持って対抗してきた。
けれど、ロボットアームをへし折るレイチェルはユーベルコードを使っていない。単純に人間の肉体と技術でもって為し得たものだけで『スーパー戦車』の拘束を引きちぎっているのだ。
「極めてシンプルだけどね……予想よりは大したことなかったわね、あなたの腕力!」
レイチェルは『スーパ戦車』のロボットアームを引きちぎり、飛び出す。スーツの機能により高く飛び上がる彼女の体は巨躯を誇る『スーパ戦車』と比べれば、遥かに小さいものであった。
けれど、その身に宿した力はやはり猟兵と呼ぶに相応しいものであったことだろう。
高く跳躍した彼女の身体が重力に引かれて落ちる。
目指す先にあるのは『スーパ戦車』の巨躯だ。へし折れた『スーパ戦車砲』の砲身、その砲塔目掛けて放たれる蹴撃の一撃は、周囲に凄まじい衝撃波を放ち、彼女の力、その膂力の強力さを知らしめるには十分すぎる一撃となって『スーパ戦車』を大地に沈ませるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
マオ・ブロークン
……猟兵たちを、生きたまま。捕らえる、つもり、なの?
大きな、自信……それだけの、力は、備えてるって、こと。
ずっと、見えていた、脅威。かならず、ここで、潰す。
捕縛に、反抗する、手段は、もってないし。
なるべく、ダメージを、受けない、ように……捕まろう。
あたしは、生きながら、死んでる、存在。
好奇心に、かなう、か……わからない、けれど。
反撃を、できるだけの。力が、失われる、前。
ギリギリの、タイミングで……動く。
【心臓へ一撃】。
悪霊、の、ちから。どこへでも、すり抜ける、ちからで。
拘束を、抜け出して……眼の前に、降り立つ。
狙うのは、心臓……あなたの、場合。コア、かな。
至近距離から、一撃。食らわせて、やる。
『スーパ戦車』が猟兵を追い求めるのは、単純な好奇心のみであった。
千差万別たる猟兵の姿。
そこには法則性はなく、混沌とした渦が巻くようであったし、あらゆるものに興味を示し、善悪の価値基準すら形成されていない幼児性を持つ『スーパ戦車』にとって、それは当たり前のことであったのかもしれない。
捕まえて、解体する。
それがもっとも効率的な相互理解であると信じて疑わないのだ。
その結果、猟兵の生命が喪われたとしても、彼には関係ない。悲しくなどないのだ。彼にとって死とは永遠と同義である。
ならばこそ、その不気味な機械音はやはり『好奇心』だけであったことだろう。
「e889b2e38293e381aae78c9fe585b5e3818ce3819fe3818fe38195e38293e69da5e381a6e3818fe3828ce381a6e5ac89e38197e38184e381aaefbc81e38282e381a3e381a8e38282e381a3e381a8e68d95e381bee38188e381aae38184e381a8e38082e3819de38186e38284e381a3e381a6e79086e8a7a3e38197e381a6e38184e3818be381aae38184e381a8e381adefbc81」
相互理解など無意味であるというような機械音。
それを聞いたマオ・ブロークン(涙の海に沈む・f24917)は、やはり涙を溢れさせながら戦場を疾走る。
猟兵を生きたまま捕らえるつもりであるのならば、それは大きな自信であると言えるだろう。
確かに『スーパ戦車』は『オブリビオン・フォーミュラ』である。しかし、『禁断のコンピュータウィルス』を込めた『侵食プログラム』によって弱体化されているのだ。そして、これまで猟兵たちが紡いできた戦いによって『スーパー戦車』はその巨体に数え切れぬほどの傷を受けている。
「それだけの、力は、備えてるって、こと。ずっと、見えていた、脅威。かならず、ここで、潰す」
涙が風にさらわれる。
風で乾く暇もないほどにマオの瞳からは涙がこぼれてやまない。けれど、今は拭うことなどしない。
なぜならば、彼女には戦う理由があるからだ。どれだけ心が傷ついたままであったとしても、マオは戦うのをやめない。だからこの戦場に立っている。
せまるロボットアームがマオの身体を掴み上げる。
今までのマオであれば、ロボットアームを躱すことだってできただろう。けれど、彼女はそれをしなかった。あえて捕まる。その一瞬の隙に彼女は賭けるのだ。
「e3828fe38182e38081e38284e381a3e3819fefbc81」
無邪気に喜ぶ気配がロボットアームから伝わってくる。それは『スーパー戦車』の幼児性からであろう。
「あたしは、生きながら、死んでる、存在。それでも、好奇心を、抱く、の?」
ぎりぎりとロボットアームがマオの身体を締め上げる。
まるで遠慮のない力。加減など考えていない。
例え、掴み上げたマオの身体がばらばらになっても『スーパー戦車』は構わないだろう。その残虐性と好奇心が合わさった存在が目の前のこどものようなオブリビオンであるのだ。
しかし、それは突如として起こった。
マオの喉が震える。それは魂からの叫びであったことだろう。痛みにあえぐわけではない。
それはただの怨嗟。
「――――Gア゙ア゙█%█ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙█ア゙#ア゙ア゙ア゙%ア゙ァ!█!!」
迸る咆哮は、一瞬ユーベルコードの輝きを解き放ったが、マオの姿はすでにロボットアームの中にはなかった。
マオは一瞬でテレポートし、怨念を込めた恐ろしい顔貌と共に音割れするかのような叫び声で持って『スーパー戦車』のメンタリティに直撃する根源的な恐怖を与える。
それはあまりにも奇怪な音であったことだろう。
彼女はデッドマン。そして悪霊である。どこへでもすり抜ける力でロボットアームの拘束を通り抜け、『スーパー戦車』の眼前に立つのだ。
「心臓……あなたの、場合。コア、かな」
恐怖に弛緩するように動きを止めた『スーパー戦車』は機械音すら響かせていない。パニックになるでもなく、ただただフリーズするようにマオの叫びは、彼のAIを一時的に停止させるほどの恐怖を与えたのだ。
「怖がっている、のは、そこ、だね……」
マオは錆刀を振るい上げる。
見えている。恐怖に震えるコア。それが『スーパー戦車』を突き動かす中枢なのだろう。
放たれた一撃は『スーパー戦車』の頑強な装甲を貫き、怨念でもって機械を殺す一撃と成って穿たれるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
簡単に捕まってやるつもりはない。
パルスガトリングを手に、メガスラスターで推力移動しながら弾幕射撃。
捕まえてみせろ!全力で抗ってやる!!
本体から逃げながら可能な限り撃ち、キャプチャービットに捕まります。ガトリングを取り上げられた!
ぬぅぅうああああ!!(もがく)
お前は敵だ!だから壊す!理由はそれで十分だッ!!
【晦冥亡主】呪詛、翼状の霊物質を放出しビットごと拘束を破壊しながら、ユミルの子に変身、巨大化。
……!!!!!
念動力、放出した物質を操り、スーパー戦車へ向けて範囲攻撃。から、スーパー戦車目掛けて突っ込む!
言葉はいらない。手に出現したRX騎兵刀を振り被って、重量攻撃!脆くなった装甲ごと叩き壊す!!
プラズマ推進力を生み出すメガスラスターによって朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は戦場を駆け抜け、彼女を捕らえんとする『スーパー戦車』の放つ『捕縛兵器』たる無線式のキャプチャービットを電磁徹甲弾を撒き散らすパルスガトリングの斉射でもって寄せ付けない。
「簡単に捕まってやるつもりはない」
彼女にとって戦いとは駆け引きではない。
滅ぼすか滅ぼされるか。
そのどちらかでしかない。ならば、如何にあえて捕まることが戦いを有利に運ぶことであったのだとしても、彼女は全力でこれに立ち向かうだけなのだ。
「捕まえてみせれお! 全力であらがってやる!!」
咆哮と共に彼女に迫る電磁索を躱しながら、彼女は戦場に舞う。
それをまるで純粋な子供のようなメンタリティとともに『スーパー戦車』は追いかけ回す。まさにただの鬼ごっこ。
子供の遊びに興じるように『スーパー戦車』は不気味な機械音を撒き散らしながら、壊れたキャタピラでもって小枝子に追いすがるのだ。
放たれたロボットアームがパルスガトリングを掴み上げ、へし折る。
「e381aae38293e381a0e3828de38186e38193e3828cefbc9fe5b08fe38195e38184e381aae38181」
その機械音は嘲りでもなければ、油断があったものもない。あったのはただ純粋な好奇心のみ。
武装を破壊された小枝子に迫るキャプチャービットが不可視の障壁でもって彼女の身体を捕らえる。
「ぬぅぅうああああ!!」
無手でもがく小枝子を尻目にキャプチャービットは彼女を『スーパー戦車』の眼前まで運ぶ。
彼女の抵抗は本物であったことだろう。
捉えられるつもりなど毛頭なかったし、彼女はこのまま『スーパー戦車』を噛み殺さんばかりの殺意でもってキャプチャービットの展開する障壁の中に拳を叩きつけ続ける。
「お前は敵だ! だから壊す! 理由はそれで十分だッ!!」
そう、彼女にはそれだけだった。
オブリビオンを前にして思う感情はいつもひとつだ。憤怒。ただ、それだけ。彼女の心を突き動かす呪詛の如き感情はたった一つ。
滅ぼす。壊す。その言葉とともに彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
瞬間、小枝子の身体が巨大な漆黒の翼を持つユミルの子――即ち、ジャイアントキャバリアの姿へと変貌する。
晦冥亡主(ソラナキ)とも呼ばれる姿に変じた彼女は霊物質を放出し、キャプチャービットを破壊しながらその身を晒す。
「e381aae381abe38081e381aae381abe381aae381abefbc9fefbc81e38193e3828ce381aae38293e381aae381aeefbc81efbc9f」
漆黒の翼を羽撃かせ、あらゆるものを崩壊させる霊物質が解き放たれる。
「……!!!!!」
霊物質は瞬時に『スーパー戦車』を取り囲む。
逃すわけがない。逃すつもりなどない。壊す。壊す。壊す。ただその一念だけが小枝子の中で膨れ上がっていく。
言葉など不要。
オブリビオンと猟兵の間に相互の理解など不要であるというように小枝子が疾走る。
体高30mとい巨大な戦車。
それを両断すべく放たれた騎兵刀の一撃が圧倒的な重量を伴って『スーパー戦車』に叩き込まれる。
これまで猟兵たちが紡いできた戦いの軌跡。
それをなぞるようにして放たれた一撃は、『スーパー戦車』のもろくなった重厚なる装甲を一撃のもとに切り裂く。
周囲に飛ぶキャプチャービットの尽くを破壊する霊物質に伴われながら、小枝子は漆黒の翼を広げる。
そこにあったのはオブリビオンの全てを壊すという一念にとりつかれた悪霊としての姿が在るだけだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
かの戦車の生みの親、「マザー・コンピュータ」は人を組み込んだ生体コンピュータという情報がありましたか…(戦場⑧の情報)
(機械の部品となった人の手の産物という共通点で奇妙な感慨を覚え、電脳禁忌剣に視線を落とし)
……その思考に関わらず、あの戦車はこの地にとって大いなる脅威
絶対に討たねばなりません
先ずは抵抗の末に捕まってみせねば…
アームは●怪力の大盾で弾き、ビットは剣で打ち払い
掴まってみせるは電磁索
事前に●防具改造でEMP…●電撃耐性は向上済み
過剰な電流となる前に抵抗を止め機能停止と見せかけ
用途申請、【有力】オブリビオンの撃破
電脳禁忌剣を解放
生身の生体を瞬間沸騰させる程のマイクロ波で戦車内部を灼き
『フィールド・オブ・ナイン』、その一柱である『スーパー戦車』の生みの親は『マザー・コンピュータ』と呼ばれる『オブリビオン・フォーミュラ』である。
かの『マザー・コンピュータ』は人を組み込んだ生体コンピュータという情報があったのをトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は思い出していた。
その機械の部品となった人の手による産物。
その出生を知ったトリテレイアは、その共通点において奇妙な感覚を覚える。
手にした電脳禁忌剣に視線を落とし、己の電脳が生み出すゆらぎの如き答えを彼は言葉にすることができなかった。
如何に思考したとしても矛盾ばかりが生まれてくる。
己と『スーパー戦車』の違いはなんであろうか。
どうして道を違えてしまったのか。その答えは出ない。だが、たった一つだけトリテレイアの中で明確な答えが出ていることがある。
それは――。
「あの戦車はこの地にとって大いなる脅威。絶対に討たねばなりません」
トリテレイアは戦場にかける。
大盾と剣。己が騎士であることを証明するために戦場に立つ。迫る『スーパー戦車』のロボットアームを盾で振り払い、キャプチャービットが迫るのを剣で切り落とす。
確かに躱すことは容易ではないだろう。
「くっ……!」
しかし、それでも圧されていく。
「e3828fe38182e38081e3818ae38293e381aae38198e381a0e381ade38187efbc81e3818ae38293e381aae38198efbc81e5909be381aee38193e381a8e3818ce79fa5e3828ae3819fe38184e381aae38082e381a9e38186e38197e381a6e3819de38293e381aae5a7bfe38292e38197e381a6e38184e3828be38293e381a0e3828de38186efbc9fe381aae38293e381a7e4babae381aee5bda2e38292e79c9fe4bcbce381a6e38184e3828be38293e381a0e38184efbc9fe381ade38188e381a9e38186e38197e381a6efbc9f」
触れる不気味な機械音をトリテレイアは理解できただろうか。
同じ戦う機械。
そこに奇妙なシンパシーを覚えた彼にとって、この不気味な機械音が齎すものはなんであったか。
しかし、それとトリテレイアの掲げる信条は異なるものであることを彼は知っている。
放たれた電磁索の投網を受け止め、彼の体に流れる電流が一瞬で回路を焼き尽くし……否、すでに彼の機体は電撃に対する耐性を向上させているのだ。過剰な電流が流れる前に即座にトリテレイアは電脳禁忌剣でもって投網を斬り裂き、飛び出す。
「用途申請、『有力』オブリビオンの撃破」
短く告げる己の持つ武装の力を開放する申請。
その申請はオブリビオン・フォーミュラほどの敵であれば、容易に受理されることであたことだろう。
銀河帝国未配備A式個人携帯虐殺兵装(アレクシアウェポン・マイクロウェーブボム)とはそういう武装なのである。
開放された電脳禁忌剣は、その凶悪なる力を発露させる。
生体組織を一瞬で沸騰させるほどのマイクロ波。それを解き放つ力は、戦車内部の精密機器すらも焼き切る力となるだろう。
「貴方が私を知りたいと願うのならばこそ、その純粋なる知的好奇心には敬意を払いましょう。けれど、貴方の存在そのものが、この地に生きる人々の障害となるのならば、私は」
そう、騎士として。
己の創造主がかつて願ったままに。
自分を騎士と規定するからこそ、純粋なる好奇心すらも上回る矛盾を抱えたまま剣を振るうのだ。
マイクロ波によって一時的に機能を停止した『スーパー戦車』へとトリテレイアは駆け出す。
あの無垢なるメンタリティは止めなければならない。
そこに善悪の判断が付かねども、他者に害を為すのならば、これを止めるのもまた先を征く矛盾抱えしモノの務めであるのならば。
「ここで貴方を止める――!」
振り下ろされた一撃が『スーパー戦車』の巨躯を斬り裂き、その騎士としての道を切り拓くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
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フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)はとてもお腹が減っていた。
腹の音は戦場に響き渡る戦いの音に敗けぬほどであったし、同時に猟兵たちが戦いに駆けつけているのならば、其処に何か食料になりそうなオブリビオンが存在しているのかも知れないという一縷の望みを持って、フォートワース国際空港跡地へとやってきていた。
まあ、結論から言えば、彼女の望みは無残にも切って捨てられるわけであるが。
そう、目の前にあったのは体高30mを越える巨大な戦車。
『フィールド・オブ・ナイン』の一柱にして『オブリビオン・フォーミュラ』と呼ばれる強力な『スーパー戦車』の姿であった。
何処を見ても、可食部などありそうもない。
もしかしたら、カニのように中身が可食部になっている可能性を感じずにはいられなかったが、これまで猟兵たちが紡いだ戦いの軌跡がそれを否定していた。
重厚な装甲は穿たれ、切り裂かれ、見事であったであろう『スーパー戦車砲』の砲身はへし折られている。
さらに悪いことには不気味な機械音だけが響き渡るのだ。
「なんということだ。やっとまともな飯……もとい敵にたどり着いたかと思ったら、こんな玩具を相手にしないとならんとは!」
フィアにとって今は食事こそ急務である。
とても、とてもお腹が空いているのだ。
「e78c9fe585b5e38282e3818ae885b9e3818ce7a9bae3818fe38293e381a0e381ade38082e381a9e38186e38197e381a6e381a0e3828de38186efbc9fe3819de38293e381aae38193e381a8e38197e381aae3818fe381a6e38282e6b0b8e981a0e381abe381aae3828ce381b0e38194e9a3afe38292e9a39fe381b9e381aae3818fe381a6e38282e6b888e38280e381aee381abe381ad」
フィアは流れる不気味な機械音を前に眉根を寄せる。
ん? と気がついたのだ。
これは己が以前研究していた魔術言語ににていると。完全に一致しているわけではないが、それに近いものであると直感的に理解する。
そして、己の姿を認め、捕縛しようとするロボットアームや電磁索、無線式のキャプチャービットを前に、鼻を鳴らして笑うのだ。
「ふん! この程度の捕縛兵器で我を捕らえようと言うか。笑止千万。本来ならば、可食部のない貴様をはっ倒す理由など何処にもないのだが、しかし今の我を前にしたことこそ命運が尽きた時としれ」
フィアの瞳がユーベルコードに輝く。
紡がれるは古の魔術言語か。
「e5a4a9e7a9bae38288e3828ae69da5e3819fe3828ce38081e585a8e381a6e38292e7a0b4e5a38ae38199e3828be4b880e69283e38288」
なんて?
他の誰にも理解できなかったし、『スーパー戦車』もまた理解していなかった。彼女の紡いだ魔術言語は彼女にしか理解できなかったことだろう。
しかし、天を見よ。
そこにあるのはフィアの食欲に比例したかのように巨大な隕石の姿がある。
雲を割り、落下してくる魔力の塊の如き巨大隕石。
どこぞより招来された隕石は、『スーパー戦車』の頭上に降り落ちるのだ。
「フーハッハッハッハ! これが我の大魔術、隕石召喚(メテオストライク)! そのガラクタの如き体には過ぎたる一撃であるが、我の食欲を無下にした罪を思い知れ!」
まるで八つ当たりそのものである。
相当お腹が空いているのだろうが、そんな状態で魔術を行使すればさもありなんである。
落下する隕石の一撃、それは確かに『スーパー戦車』を捉えたが、フィアもまた魔術の行使で空腹の末にぱたりと倒れ込んでしまう。
そんな彼女が隕石の落下による衝撃に対応などできようはずもない。凄まじい衝撃波に吹き飛ばされながら、フィアはアポカリプスヘルの空を舞う。
不老不死なる彼女の明日はどっちだ――!
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…なんだか子供みたいなAIだな…それだけ経験が無いのかも知れないけど…
…戦場に着いたらまずは目と耳を【我が身転ずる電子の精】で光の粒子に置き換え…
…戦車の感情(表情?)が電子的に見えて…戦車語を理解出来るようにしておこう…
…そして…まずはビットに捕まって…身動き取れないふりをして戦車や捕獲兵器のデータを分析…
…同時に会話(?)をして戦車の性格を探ろう…
…ある程度情報集めたら腕を光の粒子化…拘束から抜けてビットの通信に直接干渉…支配下において無力化…逆に戦車に襲いかかるよう変更…
…おいたにはお仕置きだよね…光の腕で戦車の制御システムに干渉…そのAI諸共直接殴り飛ばすとしようか…
落ちた巨大隕石の一撃が『スーパー戦車』の巨体を打ち据える。
その凄まじき一撃であっても体高30mを越える巨大な戦車兵器である『スーパー戦車』は健在であった。
効果は在るのだ。
しかし、その尋常ならざる耐久力は『オブリビオン・フォーミュラ』であると言わざるを得ない。
これでも『禁断のコンピュータウィルス』を込めた侵食プログラムによって弱体化されているんだ。
「e3828fe383bce381b3e381a3e3818fe3828ae38197e3819fefbc81」
溢れるようにして巨体から流れる不気味な機械音は文字羅列のごとき響きであったが、其処には確かに驚嘆なる感情が見て取れた。
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、それを肌で感じ首をかしげる。
「……なんだか子供みたいなAIだな……それだけ経験がないのかも知れないけど……」
彼女の推察の通りであるのかもしれない。
破壊し、生命を根絶するために生まれた兵器。
そこにあるメンタリティは幼児性そのものであったし、あるのは純粋な『好奇心』のみ。まるで善悪の判別のつかぬ子供のようでも在った。
「我が体よ、変われ、集え。我は掌握、我は電霊。魔女が望むは電網手繰る陽陰」
メンカルの耳と目を光の粒子に置き換える。
それは、我が身転ずる電子の精(コンバート・テクノマンサー)と呼ばれるユーベルコード。
データや信号に直接鑑賞できる粒子の集合体となった目と耳は、文字羅列の如き不気味な機械音を発する『スーパー戦車』の言葉を理解できるようになるのだ。
「e3828fe38182e38081e3818de38289e3818de38289e58589e381a3e381a6e38184e3828be381ade38082e3819de3828ce381afe381a9e38186e38197e381a6e381aae38293e381a0e3828de38186e38082e381a9e38186e38197e381a6e3819de38293e381aae38193e381a8e38292e38199e3828be381aee381a0e3828de38186」
キャタピラが音を立ててメンカルに向き合う。
確かにメンカルには理解できる。己という存在、猟兵に対する強い興味。けれど、それは幼子が昆虫に興味を抱き、成長した精神であれば目を背けたくなるような残虐な行いであっても躊躇いなく行う衝動と同じであった。
そんなメンカルを捕らえる無線式のキャプチャービットが彼女を目に見えぬ障壁で取り囲み、鳥籠のように彼女を『スーパー戦車』のカメラアイの目前まで運ぶ。
視線から感じるのはやはり興味。
其処に敵意はない。あるのは悪意でもない。
純然たる好奇心のみ。
「ふむ……君はどうし、そんなに知りたいの? 何を思って、何をして、どうしたい?」
メンカルは問いかける。
しかし、その言葉を『スーパー戦車』は理解しているようであったが、まるで取り合うことはなかった。
言葉は通じる。
けれど、意思疎通をしようという意識が欠落しているのだ。
一方通行なのだ。こちらの言葉を理解していても、それを己の行動原理に組み込むことがない。言ってしまえば、成長するという概念そのものがないのだ。
「なるほどね……兵器に成長は必要ない。なら、そのままでいい。理解はしても組み込むことはない。言ってしまえば、馬耳東風ってことか……」
此方の言葉はあまりにもただの音の響きにしか聞こえないのだろう。
虫の鳴き声を聞くようなものなのだ、『スーパー戦車』にとっては。
「なら、もう語ることもない」
メンカルはため息を吐き出しながら、己の腕を光の粒子に変えて、キャプチャービットの鳥籠から抜け出す。
そして、その光の粒子を持って、キャプチャービットを操作する通信に干渉し、逆に『捕縛兵器』を支配下に置いて無力化するのだ。
「……人の世界では、そういうことを、おいたと言うんだけれど……それには必ず報い、お仕置きがあるんだよ」
キャプチャービットが支配され、逆に『スーパー戦車』を捕縛する。
動きを止める。それは言わば、悪いことをした子供を抱える親のような仕草であり、同時に彼女の光の粒子に変わった腕が『スーパー戦車』のAIに干渉し、凄まじい勢いで張り手を繰り出す。
言わば、お尻ペンペンである。
そんな生易しいものではないけれど、メンカルは『スーパー戦車』の制御システムを光の粒子の張り手でもって殴打し、衝撃を与え、その根幹を揺るがすほどの一撃でもって、おいたの代価、そのお仕置きを終えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
日本語でおk
ってやり取りあったよね
全く、16進数何て逆に音として出す方が難しいだろうに
せめて翻訳してから話しなよね
まあ猟兵が法則性も何も無いのはその通りだけどさ
けど好奇心は戦車も殺すよ?
●
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
捕まるなら、ロボットアームかな
『斬撃波』で電磁索、ビットを迎撃しながら接近
ロボットアームには…捕まろう
あーれー
捕まる直前に両剣を放り投げて『念動力』で操作
操作した剣を私自身に突き刺す!
めっちゃ痛いけど…吃驚するでしょ
【断章・焔ノ杖】起動
蒼炎の一撃でアームを壊しつつ脱出
剣をキャッチして更に追撃の蒼炎で本体を斬り付ける!
悪いね、勝つ為ならこれくらいするんでね
「日本語でおk」
それが月夜・玲(頂の探究者・f01605)の発した第一声であった。
こんなやり取りが昔あったよね、とサブカルマニアたる彼女は嘆息しながら、『スーパー戦車』から溢れ出る不気味な機械音、文字羅列の如き音を聞く。
「e697a5e69cace8aa9ee381a7e3818aefbd8befbc81e382a2e3838fe3838fe3838fefbc81」
まるで笑っているかのような感情が読み取れるのは、それが『スーパー戦車』という『オブリビオン・フォーミュラ』であるからだろう。
無邪気な子供のようなメンタリティを持つ自律思考型戦車は、今や多くの猟兵達の攻撃にさらされ、満身創痍であった。
『スーパー戦車砲』の砲身はへし折られ、装甲はひしゃげている。
それでも未だ健在であったのは、『オブリビオン・フォーミュラ』たる所以であろう。
これで『禁断のコンピュータウィルス』を込めた『侵食プログラム』によって弱体化されているというのだから、あまりにも舐めプがすぎるのではと玲は思ったが、むしろそれはどうでもいいことなのだ。
彼女が言いたいことは一つ。
「全く、16進法なんて逆に音として出す方が難しいだろうに。せめて翻訳してから話なよね」
まったくもって同意である。何言っているのか全然わからん。
けれど、そんな不気味な機械音を垂れ流す『スーパー戦車』は玲の言葉を理解しているようであっても、まるで応えるつもりがないようである。
完全な一方通行。
自身の知的好奇心を満たすためだけにあらゆるものを踏破し、破壊するだけの力を備えられているのが質が悪い。
放たれる電磁索の投網を躱し、抜き払った模造神器の二振りが切り裂く。
「まあ猟兵が法則性も何もないのはそのとおりだけどさ――」
だけど、玲は呟く。
その好奇心は戦車をも殺すよ? と。それは事実であろう。
これまで刻まれた戦いの軌跡は猟兵達に一切の法則性がないことを示していた。振るう力も、その根源も、何もかも違う混沌の坩堝。
迫るキャプチャービットを斬撃波で迎撃しながら玲は距離を詰めていく。
巨大なロボットアームが振り下ろされるの躱した瞬間、玲の横合いからロボットアームのマニピュレーターが彼女の体を捕らえるのだ。
「あーれー」
もう本当に棒読みである。
あえてロボットアームに捕まった彼女は手にしていた模造神器を放り投げていた。それは己の脱出を放棄したかのような行いであり、戦いに際しては己の得物を捨てる行いは、自殺行為であったことだろう。
けれど、彼女がそれを行ったということは、それが一つの策動のうちである。
彼女の投げ捨てた模造神器が念動力によって操作され、飛翔する。その斬撃で持って彼女を拘束するロボットアームを切り裂こうと言うのだろう。
「e38188e38188efbc81e381aae38293e381a7e3819de38293e381aae38193e381a8e38199e3828be381aeefbc81efbc9f」
それは驚愕なる光景であった。
ロボットアームを切り裂くのではなく青い残光を放つ模造神器が貫いたのは玲の体であった。
「やっぱめっちゃ痛い……けど!」
それは己の血液を代償として発現する力。噴出する蒼い炎は、全てを浄化する力の発露。
その名を、断章・焔ノ杖(フラグメント・レーヴァテイン)。
痛みが己の意識を覚醒させる。
噴出する血液は、彼女にとって最大の代償。
放たれた蒼炎は一気に噴出しロボットアームを破壊する。
「吃驚したでしょ。けど、人ってこういう事もできるんだって知っとくべきだったね」
輝くユーベルコードの蒼炎。
それは玲にとって彼女が生み出したシステムの力である。全てを浄化する蒼炎を纏った模造神器が彼女の両手に収まる。
放たれた炎は翼のように噴出しながら合わさった刀身が煌めき、極大なる一撃を解き放つ。
「悪いね、勝つ為ならこれくらいするんでね」
それが人間というものであり、猟兵という存在であると知らしめるように玲の解き放った蒼炎の刃は一刀のもとに『スーパー戦車』の巨躯を斬り裂き、決して不可逆なる一撃を叩き込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
なんでまたこんな性格で生み出されたんだろう
目的に即したものにしなかったのは理由でもあるんだろうか
それと大祓骸魂に続いて永遠を目的とするオブビリオンか
失わない為に失わせるって感じで
論理が破綻してるような気もするけど
オブビリオン化した影響なのか元からなのか
気になる事は多いけどまずは目の前のを何とかしないとね
射撃で攻撃して逃げそこなったふりをして
キャプチャービットに捕まって近くまで連れていって貰おうか
解析したいならビット以外の機器を使うだろうからね
近付いたら邪神の領域を使用
相手を時間ごと固定して
ビットから逃れようか
そのまま本体に接近し
構成している材料を石に変えよう
機械は単一材料では成り立たないからね
極大なる蒼炎の一撃が『スーパー戦車』の体高30mはあろうかという巨躯を切り裂く。
その一撃をもってしても未だ霧散しないのは『オブリビオン・フォーミュラ』たる所以であたことだろう。
「e3828fe38182e38081e8baabe4bd93e3818ce79c9fe381a3e4ba8ce381a4e381abe68890e3828ae3818be38191e381a6e3828be38082e38193e3828ce381afe38282e38186e381a9e38186e38197e38288e38186e38282e381aae38184e381ad」
不気味な機械音が垂れ流され続けている。
その数字羅列の如き音から感じられる感情は、ここまで惨憺たる状況になっても未だ『好奇心』だけであった。
それを純粋と呼ぶには、あまりにも狂気じみていたことだろう。
『スーパー戦車』が何のために生み出されたのかなど聞くまでもない。
世界に永遠を齎すために、生命の全てを終わらせる。それが『スーパー戦車』の存在意義。
ならば、猟兵に強い興味を持ったのは如何なる理由からであろうか。
「なんでまたこんな性格で生み出されたんだろう。目的に即したものにしなかったのは理由でもあるんだろうか」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は未だ霧散しな『スーパー戦車』がきしむ音を立てながらキャタピラを回す姿を見た。
ボロボロになりながら、痛みを感じぬ兵器は稼働する『捕縛兵器』でもって猟兵を捕らえようとうごめいている。
その姿があまりにも晶にとっては、解せなかった。
ただ生命を根絶するためだけの兵器なら自律思考型なんて生み出す必要なんてなかったのだ。
なのに、『スーパー戦車』には思考し、好奇心で持って行動する原理が在る。
「『大祓骸魂』に続いて永遠を目的とするオブリビオンか……喪わない為に喪わせるって感じで論理が破綻しているような気がするけど……」
まるでわからない。
目の前の存在は言葉は通じても意志の疎通ができない存在である。
迫るキャプチャービットが晶の周囲を取り囲む。
ガトリングガンで迎撃するが、迎撃しきれなかったキャプチャービットが晶を不可視の障壁で取り囲み、その体を鳥籠の如き障壁の中に囲うのだ。
「……哀れだね」
オブリビオン化した影響なのか、元からなのか。
気になることは多いけれど、目の前のことをどうにかしないといけないのは、どの猟兵も同じであろう。
だからこそ、晶は『スーパー戦車』の在り方に憐れみを抱くのだ。
自律思考型戦車は、本来であれば、その必要のない好奇心のみで動く。
もはや両断されかかっている車体は、動く度に軋み、裂けていく。キャプチャービットによって捕獲された晶は、自分が『スーパー戦車』のカメラアイの前に連れてこられるのを確認し、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「邪神の領域(スタグナント・フィールド)……悪いけれど、ここで君には終わってもらうよ」
晶のユーベルコードは周囲の存在を停滞、固定させる神気を解き放つものである。それらは瞬時にキャプチャービットを固定し、用意にすり抜けることができる。
「e5819ce6bb9ee38081e38199e3828be38082e58b95e3818de3818ce38081e9888de3828be38082e381a9e38186e38197e381a6e38081e38193e38293e381aae381abe38081e4b896e7958ce3818ce38081e98185e3818f」
不気味な機械音すらもゆっくりと聞こえる。
この邪神の領域の中に在って、まともに動けるのは晶だけである。そっと掌が『スーパー戦車』にふれる。
感じ取れるものはあれど、やはり意思疎通はできない。
ただの一方通行。
ならばこそ、晶は目の前の『スーパー戦車』の機体を構成している素材を石化していく。
機械が単一素材で動かぬことは理解している。
もはや両断されかけ、動きを止めようとしてる『スーパー戦車』ならばなおのことである。
石化したシャフトが砕け、完全に『スーパー戦車』の車体が砕けていく。
不気味な機械音は、徐々に音を消し……そして静寂だけがフォートワース国際空港跡地に残る。
これが己の身の内に宿した邪神の求める静寂なる世界であるというのならば、晶は霧散し消えていく『スーパー戦車』に手向けるものを保たぬだろう。
崩れ去って消える巨体。
その幼児性、その純粋さ。
それらが世界を壊すというのならば、やはり『スーパー戦車』は生み出されてはならぬ存在であったのだ。
『スーパー戦車』は何も得ぬままに、そして成長さえもせずに、その身体を崩して儚く消えていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵