アポカリプス・ランページ⑮〜炎獄のファントムペイン(作者 志稲愛海
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#アポカリプス・ランページ⑮


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 ゆうらり、ゆらり――黒き炎の中から、それは現れるという。
 その姿は、身近にいる人? もういない人? それとも……?
 決して消えぬ黒炎に覆われた死の草原に足を踏み入れた者は、誰もが出会うのだ。
 貴方の知る、貴方の心が畏怖する、「恐るべき存在の幻影」に。

●黒炎の幻影
「連日戦争で、皆にはアポカリプスヘルへと赴いて貰っているが。敵を討つためには、メンフィス灼熱草原……消える事のない黒い炎に覆われた、死の草原を攻略して貰うことになる」
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)はそう集まってくれた皆へと告げた後。
 視えた予知の詳細を語り始める。
「この地は、かつてはミシシッピ川に面した大都市であったが。今やその面影はなく、地下も含めた全域が消える事のない「黒い炎」に覆われた、死の草原と化している」
 だが、この「黒い炎」はただの炎ではないのだという。
 ゆらりと揺らめく、黒き炎の中に見えるモノ……それは。
「死の草原を覆い尽くしているこの黒炎の中から現れるのは、猟兵の皆の知る「恐るべき者の幻影」だ。実体を伴ってな」
 そう……貴方の知る「恐るべき存在」の姿をとった幻影が、実体を持って襲い掛かってくるというのだ。
「この幻影に対して強い恐怖心を持つ者の攻撃は全てすり抜けてしまうが、恐怖を乗り越えた一撃であれば、実体ごと幻影を貫き、一撃で霧消させられる」
 つまり、幻影に抱く恐怖を乗り越えない限り、こちらからの攻撃は通じない。
 けれどそれを乗り越えさえすれば……それは一撃で消え失せるのだという。
 どのような存在が現れるか、それは貴方次第。
 身近な人かもしれないし、もういない存在かもしれない。
 忘れているが潜在的に知っている者かもしれないし、自分かもしれない。
 今の自分の力を信じて、かつての恐怖を乗り越えるのもいい。
 幻影はあくまで幻影だと、そう自分に言い聞かせることもひとつの方法であるし。
 自らの恐怖を一度受け入れてから、冷静に対処するのも手だ。
「恐怖心を抱くモノの幻影……それを目前にした時の気持ちは、俺にははかりしれないが。きっと皆ならば乗り越えて、先へと歩むことができると信じている」
 清史郎はそう皆へと改めて頭を下げてから。
 猟兵たちを送り届けるべく、満開桜のグリモアを掌に咲かせる。
 決して消えぬ黒き炎に覆われた、死の草原へと。


志稲愛海
 志稲愛海です。
 よろしくお願いいたします!

 こちらは1フラグメントで完結する「アポカリプス・ランページ」の依頼です。
 プレイング受付は9/11(土)朝8:31から開始致します。
 追加冒頭はありません。長めに受付する予定です。

●プレイングボーナス
 あなたの「恐るべき敵」を描写し、恐怖心を乗り越える。

●シナリオ概要等
 皆様の心の中にある、恐るべき感情を抱く存在と対峙する内容です。
 身近な人から、もう逢えない存在。
 憎しみを抱くあの人や、因縁の敵等々……関係性は問いません。
 その存在の口調や台詞、性格、関係性、生い立ち等、プレイングで教えて下さい。
 今回のリプレイは、心情メインになります。
 恐怖を乗り越えられれば、プレイングに戦闘行動を書かずとも。
 ユーベルコードを選択頂くのみで敵は倒せます。

 そして、出来る限り違和感を防ぎたいので。
 現れる存在の言動のアドリブは、ご希望のない限りは極力いたしません。
 プレイングに記された内容をもとにした、ふんわり描写になります。
 ですがアドリブで台詞を入れたり動かしても大丈夫、動かして欲しい、とご希望でしたら。
 文頭に「◎」を記載していただきましたら、頑張って書かせて頂きます。
 ですがそれでも、イメージ違いなども生じてしまう可能性もあること、ご了承頂ける方のみでお願い致します。

 公序良俗に反する事は厳禁です。
 締切等はMS個別ページやタグ、Twitterでお知らせします。

●お願い
 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称可)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入をお忘れなくお願いします。

 グループ参加の人数制限はありませんが、お一人様~少人数向けの依頼かと。
 複数でご参加の場合も、恐怖を抱く存在はおひとりずつそれぞれ出てきます。
 同行者にその存在が見えても見えなくても、逸れて一人でも一緒でも、構いません。
 ですが、ご指定の同行者が参加していない場合や、恐怖を抱く存在が記されてない場合は返金となる可能性もあります。

 期間内に送信頂いた内容に問題のないプレイングは全採用したいと思いますが。
 戦争の展開次第ではその限りではないことご了承下さい。

 どうぞお気軽にご参加ください!
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第1章 冒険 『恐るべき幻影』

POW今の自分の力を信じ、かつての恐怖を乗り越える。
SPD幻影はあくまで幻影と自分に言い聞かせる。
WIZ自らの恐怖を一度受け入れてから、冷静に対処する。
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ルカ・メグロ
■恐怖の対象
草原に足を踏み入れてから、突然静かになった左腕に宿るドラゴン(オウガ)の「ギータ」。
そして目の前に現れるのは、「ルカ」の姿をしたギータ。

■克服
なるほど……。確かに天変地異より怖い相手だ(一言も発さない左腕を何度か握りしめ)
ギータは俺の不安や疑念、全部知ってたんだな……まあ、俺の中に居たんだから当然か。
けど、なら俺がこんなんで膝をつかないっていうのも知ってるだろ!
彼女に向かって左腕を振るう。不安が無くなるわけでも、疑念が晴れるわけでもない。
それを全部飲み込んで、彼女を信頼するのが、俺の恐怖の克服方法だ!!
最後の一撃は生身の右腕で!

■消滅
彼女は「mi hijo」と一言呟いて消えていく。


 草原を覆う黒き炎は、消える事がなく燃え続けるのだという。
 まるで、心に潜む闇に燻り続ける、恐怖という感情のように。
 そして、ルカ・メグロ(ヴァージャ・コン・ギータ・f22085)は気付いていた。
 草原に足を踏み入れた瞬間から、ずっと異様なほどに静かなのだ。
 己の左腕に宿るオウガ――ドラゴンの「ギータ」が。
 けれどふと顔を上げれば、青い視線の先……そこに、「彼女」はいた。
 黒き炎の中から、ゆらりと現れた存在……それは「ルカ」の姿をした、ギータであったのだ。
 話には聞いていた。この地へと赴けば、目の前に現れるということは。
 その者の心の底にある、「恐るべき敵の幻影」が。
 ギータはルカにとって最強の相棒であり、そして母親でもある存在。
 何より、その強さは誰よりもよく知っているから。
「なるほど……。確かに天変地異より怖い相手だ」
 一言も発さない左腕を何度か、確かめるように握り締めながらも。
 ルカは炎獄の只中で、呟きを落とす。
「ギータは俺の不安や疑念、全部知ってたんだな……」
 けれど、ルカはすぐに納得もできるのだ。
 ……まあ、俺の中に居たんだから当然か、と。
 刹那、己の姿をしたギータが、まるで鋭い牙を剥く様に攻撃を仕掛けてくる。
 でも彼女が知っているのは、己の中の不安や疑念だけではない。
 だって、ギータは全部知っているはずだから。
 ルカは強烈な衝撃を耐えながらも、黒炎に覆われた大地をぐっと踏みしめて。
「けど、なら俺がこんなんで膝をつかないっていうのも知ってるだろ!」
『……!』
 彼女に向って振るうのは、左腕。
 一歩も退くことなく、ルカは乗り越えるべく前へと踏み出す。
 分かっている、分かっているのだ。
「不安が無くなるわけでも、疑念が晴れるわけでもない」
 この草原を燃やす黒い炎の様に、それが消えないということは。
 でも……否、だからこそ。
「それを全部飲み込んで、彼女を信頼するのが、俺の恐怖の克服方法だ!!」
 ルカが心に決めたのは、受け入れる覚悟。燻り渦巻く闇の如き感情を、乗り越えるために。
 そしていつもと同じ様に、優しく抱きしめてあげるのだ。
 いや、今日は共に在る左腕ではなく、生身の右腕で。
『!!』
 全力で叩きつける、最後の一撃を。
 そして刹那、ルカの耳に届いたのだった。
 ――mi hijo.
 炎に揺らめきながらも消えてゆく彼女の呟きが、確かに。
大成功 🔵🔵🔵

驚堂院・クリル

むう、よもやおぬしが現れてこようとはな。

名前 ハル
口調 正統派元気ッ娘アイドル
「みんな~♪元気だしていくよ~」

わらわが所属するアイドルグループ【九姉妹神】のセンターじゃ。人間に造られたロボット。新しいアダムじゃ。神が人を創り人がロボットだから孫かのう。

こやつは歌もおどりも人間そっくりで上手でな。結成以来常にセンターじゃ。

美しく聡明で、そして邪悪じゃ。
『ヒトを創ったら神だよ。でもヒトの世界に神はいらないよね。神には消えてもらわないとね!』

神は被造物に寝首をかかれるのが運命よ。
やはりなんとしても倒さねばならんのじゃ(おもに歌で)
センター奪取じゃ(魅力でだゾ)


 いつもならば、驚堂院・クリル(アイドルグループ【九姉妹神】メンバー・f33676)が立っているのは、煌びやかなステージ。
 けれど足を踏み入れた今日の舞台は、黒い炎が激しくも妖しく揺らめく『死の草原』。
 いや、それは何もクリルだけではない。
 黒炎の向こうから颯爽と現れた、その姿は。
『みんな~♪ 元気だしていくよ~』
 不穏な草原の空気など吹き飛ばしてしまいそうな、正統派元気ッ娘アイドルであった。
 そして彼女のことを、勿論クリルは知っている。
「むう、よもやおぬしが現れてこようとはな」
 この場を訪れた者の前に現れるのだと聞いているのは、その心に在る『恐るべき敵』。
 現れた彼女・ハルは一見すると、恐ろしいどころか、キラッキラな笑顔を振りまいているけれど。
 でも……クリルは知っている。
「神が人を創り人がロボットだから孫かのう」
 所属するアイドルグループ【九姉妹神】のセンターで、人間に造られたロボット。
 神である己にとって孫のような位置にある、新しいアダムである彼女が。
『ヒトを創ったら神だよ。でもヒトの世界に神はいらないよね。神には消えてもらわないとね!』
「美しく聡明で、そして邪悪じゃ」
 ただの正統派元気ッ娘アイドルではなく、強かで計算高く腹黒い悪であることを。
 だから、地下アイドル会という、厳しくも激しい競争世界の中で。
「こやつは歌もおどりも人間そっくりで上手でな。結成以来常にセンターじゃ」
 只ひとりだけに許されたセンター……そう、常にトップに君臨しているのだ。
『ヒトの世界に神はいらないよ。だって、ハルが一番なんだもん!』
 自分とファン、自分を引き立てる存在以外は、不必要。
 ロボットを造る人間、その人間を創る神なんて、いらない。
 とびきり眩しい笑顔で、そう邪悪な本質を垣間見せるハル。
 そんな彼女を見遣りながら、やはりクリルは知っている。
「神は被造物に寝首をかかれるのが運命よ」
 けれど神として、そしてGPS付きアイドルとして。
「やはりなんとしても倒さねばならんのじゃ」
『グループに絶対的センターは必要だけど、神はいらないんだってばー!』
 クリルだって負けていられない。おもに歌で!
 そして巧みに歌って踊るハルに対抗し、披露するのは、ショウ・マスト・ゴー・オン!
 心を強く震わせる、聴き続けていたいという感情を与える歌を、死の草原という舞台でクリルは響かせる。
 だって、クリルは地下アイドルにして、歌手。
 自身の魅力を歌に込めて迸らせながら――センター奪取じゃ、って。
大成功 🔵🔵🔵

鳴上・冬季


「…碧華真君!?潰せ、黄巾力士!」
「おや?私は貴方と知り合いではないと思いますが」
黄巾力士の一撃を避けた邪仙が嗤う
数千年を生き飽いて昇仙した邪龍が

「貴様が…貴様のせいでっ」
九尾の師が独りこっそり泣いていた
まさかアレに会うとは思わなかった
こんなことなら頼むのではなかったと
弟子が封神されたと知った日に

「たかが狐がよく吠える」
邪龍が嗤う
此方の傷だけが増えていく

「まだ会ってもいない若輩が」
耳障りのよい言葉で信頼させ
奸計に陥れるのを最も好むと噂される邪仙が嗤う

「まだ…会ってもいない…?」
強大で長命な邪仙
何時言葉を交わした?
甘言を受けた?

「これは…私の怯懦か。潰せ、黄巾力士!」
いつか見えて
この借りを返す


 師を敬い同門を助け己が望みに邁進せよ、それが我らが洞門の掟。
 7度の生を重ね、七尾の妖仙・迅雷公となった今でも、決して忘れなどしない。
 少なくとも、鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は。
 死の草原を覆い尽くす黒炎に揺らめいて現れたその姿に、冬季は一瞬瞳を見開くけれど。
「……碧華真君!? 潰せ、黄巾力士!」
 巨大化させた自作宝貝・戦闘用人型自律思考戦車の黄巾力士をすかさず差し向ける。
 碧華真君……数千年を生き飽いて昇仙した、眼前の邪龍へと。
 けれど、黄巾力士が繰り出した一撃を避けた邪仙は嗤う。
『おや? 私は貴方と知り合いではないと思いますが』
「貴様が……貴様のせいでっ」
 冬季は知っている。九尾の師が独りこっそり泣いていたことを。
 ……まさかアレに会うとは思わなかった。こんなことなら頼むのではなかった。
 そう、嘆いて悔いていたことを。
 弟子が封神されたと知った、あの日に。
 そして向けられるのは、邪悪な笑みと強烈な衝撃。
「……っ!」
『たかが狐がよく吠える』
 冬季も対抗するべく黄巾力士を放つけれど、邪仙にダメージを与えることはできず……増えていくのは、此方の傷ばかり。
 それはまだ、心の中に燻っているから。恐怖という感情が。
 そして、耳障りのよい言葉で信頼させ、奸計に陥れるのを最も好むと。
『まだ会ってもいない若輩が』
 耳にした噂を裏付けるかのような、邪仙の邪な嗤い。
 その強大で長命な邪仙の紡ぐ言の葉に、冬季はふと呟きを落とす。
「まだ……会ってもいない……?」
 ……何時言葉を交わした?
 ……甘言を受けた?
 そして冬季は、改めて自覚する。
「これは……私の怯懦か」
 臆病な己の意志の弱さを。この心に抱く恐れを。
 けれど、冬季はそれを受け入れ、乗り越えるべく。
 ――潰せ、黄巾力士!
『……!』
 決して退かずに前へと踏み出し、邪仙へと一撃を見舞う。
 ……いつか見えて、この借りを返す。
 黒き炎に揺らめいて消えゆくその時でさえも嗤う幻影を見遣り、そう誓いながら。
大成功 🔵🔵🔵

柊・はとり


俺の恐るべき敵どう考えてもアレだろ…
うわー出たよ
全体的に黒くて所々ヒラヒラで鴉を侍らせた
カブトムシハラスメントが凄い雑に空気読めない美形…
最早敢えて名を言うまでもないだろうがアレ

奴のウザさはある意味恐怖
絡まれたくないのに絡まれる
倒し方は俺も知りたい
「殴ったら死ぬ」が弱点とか言ってたが
そういや灰皿で殴っても死ななかったな…
なんだこいつ
段々ムカついてきた

こうしてる間にも俺の身体に
標本針投げて的当てしてるし…
「目に当たったら100億点だよ」じゃねえ
よく考えたらお前なんか別に怖くねぇわ
殺気をこめ恫喝

【第二の殺人】
お前の存在自体が…罪!
とっとと俺の前から消えろ!
なぎ払いでホームランする
はースッキリした


 話を聞いた時から、薄々……いや、明確に分かっていた。
 黒き炎に覆われた、死の草原と呼ばれるこの地に足を踏み入れれば。
「俺の恐るべき敵どう考えてもアレだろ……」
 己の前に現れる幻影が、一体誰のものであるかを。
 そして、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は思わず呟きを零す。
「……うわー出たよ」
 己の恐るべき敵と聞いて秒で思いつく人物は、ひとりしかいない。
 この黒炎の中だと、まるで保護色な黒。
 全体的に黒くて所々ヒラヒラで、鴉を侍らせていて。
『柊くん、すごくかっこいい巨大カブトムシで遊ぶ?』
 本人は好きだと言っているが、どう考えてもカブトムシハラスメントが凄い、雑に空気読めない美形。
 最早敢えて名を言うまでもないだろうが……アレ。
 そしてソレがまさに今、はとりの前にやっぱり現れたのである。
『あ、今の顰めた顔の柊くんもバズりそう。その、は? みたいな威圧感が、陰キャの心を地味にまた傷つけるんだね……』
 今度は、#柊くんと戦場なう、とでもタグ付けしそうな。
 また人の力でバズらんとしている彼……鵜飼・章の幻影の。
(「奴のウザさはある意味恐怖。絡まれたくないのに絡まれる」)
 早速のウザさと相変わらず堂々とした盗撮に、盛大に帰りたくなるはとり。
 けれど、彼の幻影を倒さなければこの先には進めない。進めないのだけれど。
「倒し方は俺も知りたい」
 今にも死にそうな風なくせに、全然死ぬ気配ないコレの倒し方、急募。
 いや、あろうことか本人から、弱点は聞いている。聞いているのだけれど。
「「殴ったら死ぬ」が弱点とか言ってたが、そういや灰皿で殴っても死ななかったな……」
 全然殴っても死ななかったどころか、むしろ人としてどうかと思うくらい思い切り刺殺された。
 そんな空気が読めず人の心がなさすぎるのに、美形なその顔を見ていれば。
 ……なんだこいつ、段々ムカついてきた。
 はとりは、死ぬ死なないはともかく、とりあえず殴りたい衝動に駆られて。
『目に当たったら100億点だよ』
「俺は的じゃねえし、100億点も絶対お前にはやらねえ。そもそも眼鏡あるから当たらないだろ」
 こうしてる間にも標本針投げて的当てしてる彼にツッコむも。
『じゃあ眼鏡を割れば、1兆点ボーナスはどうかな? 1本くらいいいでしょ、どうせ5本以上予備あるんだろうし』
「だ、駄目だこいつ……」
 色々アレなソレに頭を抱えながらも、殺気をこめ恫喝する。
 ……よく考えたらお前なんか別に怖くねぇわ、と。
「お前の存在自体が……罪!」
 ――とっとと俺の前から消えろ!
 そう、【第二の殺人】を発動させ、彼の罪をびしっと告発して……なぎ払いでホームラン!
『か弱い僕にひどいな、柊くんは。鬼畜眼鏡の所業だね』
 消えゆくその時まで絡んでくるウザ発言はスルーして。
 ……はースッキリした。
 はとりは割られずに済んだ眼鏡の奥の瞳を前へと向け、どこか清々しい気分で先へと進むのだった。
大成功 🔵🔵🔵

マオ・ブロークン


――あのね。
同い年の男子、だったんだ。
塾の、同学年の、グループで、段々、打ち解けて。
そのうちに。告白から入っても、いいかなって。
惚れっぽかった……からな、あたし。

怖くて、苦しかったよ。
海水に、顔を。押し込められて。
優しかったのに、どうして、急にって。
上下も、わからない、パニックの、中で。
彼の声だけ、最後まで、響いてた。
『見るな』『俺を見るな』

棄てられた、ただの、溺死体は。
なんの因果か、この世界に、渡って。
……ふふ。こんな、存在に、なっちゃった。
もう、殺されない、ね。

見られることを、拒む……
殺人者の、あなたの、ために。
抉られた、目玉も、嵌め込んで、きたよ。
今度こそ、見つめて、あげる。ずっと。


 草原を覆う黒き炎の先……涙が零れ落ち続けるその瞳に映った姿を。
 マオ・ブロークン(涙の海に沈む・f24917)は、忘れるわけがなかった。
 それは、真央であった時のこと。
「――あのね。同い年の男子、だったんだ」
 ゆっくりと、彼の記憶を辿るかの様に。
 たどたどしい口調ながらも、少しずつ過去を紡いでゆくマオ。
「塾の、同学年の、グループで、段々、打ち解けて。そのうちに。告白から入っても、いいかなって」
 ……惚れっぽかった……からな、あたし。
 刹那蘇るのは、その時に抱いた甘い恋心。
 その時は、恋に恋した、お年頃の少女であった。
 けれど……甘い日々は一変した。突然、どん底へと。
 次に蘇るのは、藻掻くような息苦しさ。
「怖くて、苦しかったよ」
 ……優しかったのに、どうして、急に、って。
 海水に顔を押し込められた、あの時のこと。
 呼吸も苦しかったけれど、それ以上に信じられなくて。
『見るな』
 上下もわからない、パニックの中で。
『俺を見るな』
 最後まで響いていたのは、彼の声だけ。
『そんな目で、俺を見るな……!』
 黒炎の向こうに揺らめく、今の彼が紡ぐみたいに。
 そして棄てられた、ただの溺死体が渡った先は。
 なんの因果か、今いるこの世界であったのだけれど。
「……ふふ。こんな、存在に、なっちゃった」
 マオは彼にわらってみせる。
 ……もう、殺されない、ね、って。
 そして、涙をぽろぽろと流しながらも、その瞳を向ける。
「見られることを、拒む……殺人者の、あなたの、ために。抉られた、目玉も、嵌め込んで、きたよ」
『見るな……俺を、見るなぁぁ!』
 ……今度こそ、見つめて、あげる。ずっと。
 そう、見るなと紡ぎ続ける彼を今度こそ。視線という楔で、縫い止めるべく。
大成功 🔵🔵🔵

唐桃・リコ

オレの1番、好きなヤツに宿ってる「悪霊・寒菊」
あのババアがオレの敵
「あらぁ、鉢植えちゃんのお友達じゃなぁい」
「わたしは、奪うもの」
「餓鬼。お前が、弱いから、奪われるのよ」

うるっっっせえええ!!!
感情に任せてナイフを振りかざす
お前に奪われた、菊の物を取り返す!!
負けたくねえ、負けたくねえ、もう何も奪われたくねえ!!
奪われた時のあの冷たさが、震える気持ちが、オレの中にあっても
それより怖いのは、力が足りずにまた奪われる事だ!!!

アイツに負けたくねえって生み出した
【Howling】
咆哮を上げる

力が、何にも負けない力が欲しい!!
オレは何を捨てたとしても
オレの守りたいものを、もう奪われたくねえ!!


 黒き炎がゆうらり燃え盛る中、流れる様な漆黒の髪。
 姿を捉えられたと思った瞬間細められるのは、あの金のいろ。
 そして現れた彼女は、きゃはは! と笑い声を上げながら、唐桃・リコ(Code:Apricot・f29570)へと声を投げてくる。
『あらぁ、鉢植えちゃんのお友達じゃなぁい。ふふ、よく会うわねぇ』
 此処は、死の草原。
 そして草原を覆う燃え盛る黒き炎は、映し出し実体化させるのだという。
 足を踏み入れた者の心を燻らせている、決して消えない闇を。その心が、恐れる敵の姿を。
 だからリコは、当然知っている。自分の目の前に現れた存在のことを。
 貫かれ切り裂かれた……あの痛みと共に。
(「このババアがオレの敵。オレの1番、好きなヤツに宿ってる「悪霊・寒菊」」)
 1番から大切なものを奪われたあの時の痛みを、リコは忘れない。
 刹那、心湧き上がってくる様々な感情。
 怒り、後悔、憎悪、嫉妬……そして。
「お前に奪われた、菊の物を取り返す!!」
『わたしは、奪うもの。だからまた、奪ってあげる』
「うるっっっせえええ!!!」
 ……負けたくねえ、負けたくねえ、もう何も奪われたくねえ!!
 感情に任せ声を上げながら、リコはナイフを振りかざすけれど。
 そんな姿を見遣りながら、寒菊は言い放つ。
『餓鬼。お前が、弱いから、奪われるのよ』
 リコの心に燻って大きく渦巻く感情――それは、恐怖。
 まだ自分の心の中にはあるのかもしれない。
 奪われた時のあの冷たさが、震える気持ちが。
 ……けれど、でも。
 恐怖を凌駕する感情が今、自分の中に強くあることも、知っている。
「それより怖いのは、力が足りずにまた奪われる事だ!!!」
 だから――コイツに負けたくねえ、もう二度と奪わせねぇ、って。
『……!!』
 その想いが咆哮となって、死の草原に轟く。
 奪われない力を、オレに――そう生み出した『Howling』を、リコは吠え猛らせて。
「力が、何にも負けない力が欲しい!!」
 代償なんてクソくらえ、守る力を得られるのならば。
「オレは何を捨てたとしても。オレの守りたいものを、もう奪われたくねえ!!」
 瞬間、叫びと共に閃いたナイフが、彼女の幻影を切り裂いて。
 黒炎の向こう……消えゆきながらもわらう寒菊を睨めつけながらも、リコは改めて思うのだった。
 弱いから奪われるというのならば、奪われない力が欲しい、と。
 だって……オレの幸せ、オレの守る1番と共に生きると。そう、決めたのだから。
大成功 🔵🔵🔵

月舘・夜彦
【華禱】
恐怖を抱く者
以前よりも減りはしましたが未だに思い出してしまう者がいます

『霧冥』
エンパイアウォーにて刃を交えた我が宿敵
そして、私の至る可能性の一つ

人の為に戦い続け、多くの人々を殺め続けた矛盾
抱いた憤怒と憎悪、それは同じく己にも向けられ
穢れを溜め込んだ末に鬼と化し、記憶も失って彷徨う私の末路

彼を倒したとて脅威が去った訳でもなく
道を誤り、己が抱いた激情が心を燃やし尽くした時
今度は私が彼になってしまう

倫太郎……貴方が恐れているものも同じなのですね
貴方の力を、想いを信じていない訳ではないのです
私が恐れを抱くのは、戒めでもあるということ

同じ道を往かぬこと
それが、彼の願いでもあったのですから


篝・倫太郎
【華禱】
恐るべき感情を抱く相手、か
まぁ、思い当たるのは一人だけだな

『霧冥』……夜彦が至ったかもしれない末路
エンパイアウォーで知ったその存在
夜叉の夜彦によく似た容姿の……
けれど、全く似ていない禍々しい気配をさせた存在

既に『霧冥』自身が骸の海に還っていようと
気を抜けば、至る可能性がある……
多分、それは今だって俺の中に恐怖としてあるんだろう

例え、俺が『穢れを祓う』巫女の家系だとしても
どうしたって喪えない存在が行き着く果ての姿
それを恐れるから、俺はあんたの盾になると決めた

そんな顔するなよ、夜彦

恐ろしいのは事実だけどさ……
ちゃんと、至らずにいるあんたを知っているから
怖いままでいるつもりはないんだよ、夜彦


 眼前の黒き炎は、決して消える事無く燃え続けているのだという。
 死の草原と化したこの地を、いつまでもいつまでも。
 それはまるで、心の中に抱くそれと似ているかもしれない。
 消えたと思っても、ずっと燻っていて消えない……恐怖という感情に。
 そして、この地に足を踏み入れた者の前に、現れるのだという。
 その心に恐怖を抱かせる、恐るべき敵の姿が。
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は共に、眼前の死の草原に燃ゆる黒炎を見遣りながらも思う。
(「恐怖を抱く者。以前よりも減りはしましたが未だに思い出してしまう者がいます」)
(「恐るべき感情を抱く相手、か。まぁ、思い当たるのは一人だけだな」)
 ――『霧冥』。
 ふたりが思い描くその存在は、同じであった。
(「エンパイアウォーにて刃を交えた我が宿敵。そして、私の至る可能性の一つ」)
(「……夜彦が至ったかもしれない末路」)
 倫太郎は、霧冥を目にした時のことを思い返す。
(「エンパイアウォーで知ったその存在。夜叉の夜彦によく似た容姿の……けれど、全く似ていない禍々しい気配をさせた存在」)
 似ているけれど、似ていない。
 それは、彼が夜彦自身であり……そして、隣に在る彼とは違う存在であるからだろう。
 夜彦は人を慈しみ、人と共に在り、そして人の為に戦い続けその刃となるべく、戦いに身を置いている。
 それと同時に生じたのは、多くの人々を殺め続けたという矛盾。
 穢れを溜め込んだ末に鬼と化し、記憶も失って彷徨う彼の末路――それが『霧冥』という存在なのだ。
 ゆうらりと、黒炎の中から現れた……刀を手に、腹に竜胆の簪を刺した、眼前のその姿は。
 霧冥のことは、過去の戦にて夜彦の手で討ち取った。
 だが……今、霧冥は再び幻影となって現れた。恐怖心を抱く者を実体化させるこの地で。
(「道を誤り、己が抱いた激情が心を燃やし尽くした時。今度は私が彼になってしまう」)
 彼を倒したとて、その脅威が去った訳ではないのだ。
 夜彦が『霧冥』と成り果ててしまう……その可能性や恐怖は、いつだって燻って消えない。
 そして倫太郎の前にも、同じ姿が在った。
 唯一無二、隣の愛しき花簪が辿るかもしれない、ひとつの末路が。
(「既に『霧冥』自身が骸の海に還っていようと、気を抜けば、至る可能性がある……」)
 確かに、共に躯の海へと還した。
 けれど現に、自分の前に現れたのは、彼であった。
 だから倫太郎は、己の心の中に在る感情を再認識する。
 ……多分、それは今だって俺の中に恐怖としてあるんだろう、と。
「例え、俺が『穢れを祓う』巫女の家系だとしても。どうしたって喪えない存在が行き着く果ての姿」
 でも……それでも。
 倫太郎は夜彦へと琥珀の視線を移し、こう続ける。
「それを恐れるから、俺はあんたの盾になると決めた」
「倫太郎……貴方が恐れているものも同じなのですね」
 夜彦は倫太郎の言葉で察する。彼の目の前にも今、自分と同じ者の姿が在る事を。恐怖を抱く存在が、同じであることを。
 そして夜彦は、彼へと紡ぐ。
「貴方の力を、想いを信じていない訳ではないのです」
 ……私が恐れを抱くのは、戒めでもあるということ、と。
 倫太郎はそう唇を噛む彼に、小さく笑ってみせて。
「そんな顔するなよ、夜彦。恐ろしいのは事実だけどさ……」
 霧冥ではなく、自分のすぐ隣に在る夜彦だけを見つめて、告げる。
 ……ちゃんと、至らずにいるあんたを知っているから、って。
 だから、彼に対する恐怖心はまだ今は、残っているのかもしれないけれど。
「怖いままでいるつもりはないんだよ、夜彦」
 倫太郎はあの時だって、彼と約束したのだから。
 ――あんな風には俺が絶対させねぇ、って。
 その言葉を聞いた夜彦もあの時、思ったのだ。可能性で在るのなら、今度は違える訳にはいかない、と。
 そして、それは夜彦にとって、自分への戒めでもあると同時に。
(「同じ道を往かぬこと。それが、彼の願いでもあったのですから」)
 倫太郎の願いだと、知っているから。
 だから、現れるというのならば……何度でも。
『……!』
 恐怖心を乗り越えて、至るかもしれない可能性を、道を断ち斬る。
 あの時や今のように――ふたりで、共に。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ブラッド・ブラック
森◎
サンを背に、前へ

俺の故郷で信仰されていた『神』の話だ
曰く神は
―全てを見ておられる
―人の子を愛しておられる
―正しく従順な者は救われ、信仰無き者には裁きが下る

何が神だ
正しく、人であった同胞達を救わずに
俺を真の怪物にまで貶めた


―そう、呪いたかったのに
魂に根付いた畏れは消えず
心を見透かされ天罰が下るのではと

今でも足が竦む


『悔い改め、信仰に身を委ねなさい』

全てを他に委ねられればどれだけ楽か

だが、俺はもう流されはしない
たとえ其れが神の意志であろうと

自らの足で確と立とう

大切なものは己の意志で
己の手で攫むのだ!


顔も窺い知れぬ眩い神の幻影を薙ぎ払い

咄嗟に武器受け、サンを庇う

サン、お前はお前だ
呑み込まれるな


サン・ダイヤモンド
森◎
畏れと対峙する黒の背中を見守って

彼の神様が消えた瞬間
突如襲い掛かってきた炎

徐々に形になったそれは
憤怒に煮え滾る神格の男――僕を創った、僕の神様

『“無価値なもの”よ 何故貴様が生きている』

地の底から響く声
憤怒に燃える瞳
その全てが僕に流れ込み、恐怖が頭を蝕んで
過去の記憶が蘇る

痛い痛い痛い痛い
どうして
怖い
助けて

―本当にこれは幻?
―それとも、視ているの?


黒の声が聴こえた

…僕は
これまで色々な経験をして
初めは『僕』の為だったけれど
今は、僕が貴方に逢いたいと思っている

どうして無価値だと言うの?
あなたは何に怒っているの?

痛みや恐怖に呑まれず
怒り、反抗するのでもなく
全て吞み込んで
向き合う

聴かせて、あなたの心


 黒き炎に覆われた地は、崩壊したこの世界でこう呼ばれているという――『死の草原』と。
 そして揺れる炎の中に映し出すというのだ。
 畏れの感情を抱くモノの姿を。
 まるで眼前の黒炎の如く……その心にいつまでも燻り続け、消えることのないという存在を。
「俺の故郷で信仰されていた『神』の話だ」
 共に在るサン・ダイヤモンド(黒陽・f01974)を背に、前へと出ながらも。
 ブラッド・ブラック(LUKE・f01805)は、ゆうらり揺れる黒の先へと瞳を向け、そして紡ぐ。
「曰く神は――」

 ――全てを見ておられる
 ――人の子を愛しておられる
 ――正しく従順な者は救われ、信仰無き者には裁きが下る

 けれどブラッドは、思い知らされたのだ。
「何が神だ」
 『神』は決して救わなかった。正しく、人であった同胞達を。
 『神』はそして貶めたのだ。ブラッドを、真の怪物にまで。
 『神』を――そう、呪いたかったのに。
 でも、ブラッドは今でも足が竦んでしまうのだ。
(「心を見透かされ天罰が下るのではと」)
 魂に根付いた畏れは、ずっと心に燻り続けて消えることはなかったから。
 そして黒炎から現れた畏れは呪いの如く、幻となった今も導かんとする。
『悔い改め、信仰に身を委ねなさい』
 救われたければ。
 裁きを受けたくなければ。
 全てを見ておられる、人の子を愛しておられる『神』に、正しく従順であれと。
 けれどブラッドは、知っているから。
「全てを他に委ねられればどれだけ楽か」
 そうしたところで、救われるわけではないということを。
 そしてそんな大きな黒の背中を、サンはじっと見守っている。
 今、彼は乗り越えんとしているのだ。対峙する畏れを。
 だから自分も、片時も彼から目を離さない。
 僕はここにいるよ、すぐ傍にいるよって。
 それに、サンは信じているから。
「だが、俺はもう流されはしない。たとえ其れが神の意志であろうと、自らの足で確と立とう」
 今のブラッドが、眼前の畏れになんかに負けないことを。
『信仰無き者には、裁きが――』
「大切なものは己の意志で、己の手で攫むのだ!」
 刹那、顔も窺い知れぬ眩い神の幻影をブラッドは薙ぎ払う。
 神が貶めた『BLOOD BLACK』――変幻自在の孤独だった怪物の身をもって。
 けれどもう、ブラッドは独りではない。
「……!」
 ブラッドの神が消えた瞬間、サンへと襲い掛かってきたのは――炎。
 それを咄嗟に受け、ブラッドは背中のサンを咄嗟に庇う。
 自分を見守ってくれた大切な存在に、決して届かせないように。
 そんなブラッドに礼を言ってから、サンは気付く。
 徐々に形を成す、その存在に。
 それは、憤怒に煮え滾る神格の男――サンを創った、彼の神様。
『“無価値なもの”よ 何故貴様が生きている』
 地の底から響く声が、憤怒に燃える瞳が、向けられる。
 瞬間、その全てが流れ込んで、サンの頭を蝕む。
 ……痛い痛い痛い痛い
 ……どうして
 ……怖い
 ……助けて
 蘇る過去の記憶が。心の中に燻る、恐怖の炎が。
「――本当にこれは幻? ――それとも、視ているの?」
 大きく見開かれた金の瞳に映るのは、燃え盛る畏れのいろ。
 けれど、やっぱりサンを救ってくれるのは。
「サン、お前はお前だ。呑み込まれるな」
「……!」
 大好きな『黒』のいろ。
 聞こえたその声に、ハッとサンは再び、自分を守る大きな黒の背中を見つめてから。
「……僕は、これまで色々な経験をして。初めは『僕』の為だったけれど」
 眼前の『僕の神様』に、こう続ける。
「今は、僕が貴方に逢いたいと思っている」
 様々なことを経験して、沢山のことを感じて、知って。
 だから、心の中で畏れの炎は消えてなどいないけれど、でもサンは決意したのだ。
 逢ってみなきゃ、話してみなきゃ……知ろうとしなければ分からないから、と。
『“無価値なもの”である貴様が 神に逢うだと?』
 瞬間、さらに憤怒の炎が激しく燃え上がって。
 チリチリと痛くて、恐いけれど。
「どうして無価値だと言うの? あなたは何に怒っているの?」
 でも、それに呑まれずに。怒り、反抗することもなく。
 サンは確りと『僕の神様』と向き合う。痛みも畏れも怒りも、全て吞み込んで。
 だって……僕じゃない『僕』は、眼前の神様を愛しているのだから。
 知らずにただ、恐いと畏れるだけではなくて。
 恐いとはまた別の顔があるかもしれないし、怒っている理由だって何かあるのかもしれない。
 だから――聴かせて、あなたの心、って。
 逢って知りたい、と。
 そう思えるようになった心を言の葉にして、神様へとサンは告げる。
 自分をいつだって守ってくれるブラッドと一緒に、乗り越えるために。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

千家・菊里
【守】
炎の花ばかりが咲く煤けた原とは、何と不毛な
(一人暢気に炎を眺めていた矢先
とても見知った影が見え)

――いやぁ奇遇ですねぇ、伊織
おやどうしたんです?そんなに身構えて?
嫌だなぁ、俺は無害な狐ですよ
ぜんぜんこわくないですよ

おや?
(泣きそうな顔の、若い己をしげしげと見て――
嘗てこの草原の如く、炎に呑まれた故郷を救えなかった弱き己の幻か
或いはこの黒炎の如く、己の内に燻る黒いモノが形となったか
否――)

これは――

幼き頃、火加減に失敗し珍味を消炭にしてしまった恐ろしい記憶(真顔)

ですがもう斯様な失敗は繰り返しません
(幻をきりっとさくっと料理もといUCで焚き上げ)

ああ、でも伊織はまだまだ繰り返しそうですねぇ


呉羽・伊織
【守】
(何とも言えぬ眼差しで、炎の前に一人佇み)
今更怖じ気付いて退くよーな性分じゃないが、さてさて――鬼が出るか蛇が出るか


いや滅茶苦茶厄介な狐が出た!?
(何とな~く嫌な気配と予感はしてた)
くそ、こんな時に限って現れるとか…何て末恐ろしい狐なんだ…(?)

ん?つかもう一匹出た!?
後ろ!何かお前のちっこいのいるぞ!
ヤダ何ココ…マジである意味コワイ…

(何??3秒前まで凄いシリアス仕様だったよネ??
とか狐地獄にぷるぷるしていれば
自分の前にも何かが――)


(――何か恐るべきリア充優男的なのが見えた
…ので、無言でそっと消した!
慣れてるもん…今更だもん…泣いてないもん…)

くっ、そんな事…!めげないからなー!


 見渡す限り燃え盛り地を覆うのは、黒炎のいろ。
 そんな死の草原と呼ばれるこの地へと足を踏み入れて。
「炎の花ばかりが咲く煤けた原とは、何と不毛な」
 あくまで一人暢気に、眼前の炎を眺めていた千家・菊里(隠逸花・f02716)であったけれど。
 ふと、黒の草原に揺れる影に気付く。
 それは……とても見知ったもの。
 そして同じくひとり、何とも言えぬ眼差しで。
「今更怖じ気付いて退くよーな性分じゃないが、さてさて――鬼が出るか蛇が出るか」
 燃え盛る炎の前に佇んでいた、呉羽・伊織(翳・f03578)であったのだけれど。
「……!? いや滅茶苦茶厄介な狐が出た!?」
「――いやぁ奇遇ですねぇ、伊織」
 何という腐れ縁……? 鬼でも蛇でもなく、出たのは狐。
 菊里はそんなばったりと出会った伊織の眼差しに、きょとりと首を傾けて。
「おやどうしたんです? そんなに身構えて?」
「くそ、こんな時に限って現れるとか……何て末恐ろしい狐なんだ……」
 伊織はそう言いつつも、驚きはしたけれど、何とな~く薄々分かってもいた。
 嫌な気配と予感はしてた、と。
 そんな思わず遠い目をする伊織に、菊里はにこにこと笑んで告げる。
「嫌だなぁ、俺は無害な狐ですよ」
 ……ぜんぜんこわくないですよ、と。
 伊織は結局合流した、いつもと変わらぬ調子の眼前の狐をちらりと見遣った後。
 ふと揺れた、もうひとつの影に気付く。
「ん? つかもう一匹出た!?」
 それは、また狐!?
 けれど、狐は狐でも――子狐。
「後ろ! 何かお前のちっこいのいるぞ!」
 そして大きな狐と小さな狐を交互に見遣りながらも、呟きを落とす伊織。
「ヤダ何ココ……マジである意味コワイ……」
 そんなある意味伊織に恐怖を与える存在に、菊里も気付いて。
 ……おや? と再び首を傾け、目を向けてみれば。
 それは、泣きそうな顔をした――若い己。
 そしてちっこい自分をしげしげと見て、思い巡らせる。
(「嘗てこの草原の如く、炎に呑まれた故郷を救えなかった弱き己の幻か。或いはこの黒炎の如く、己の内に燻る黒いモノが形となったか」)
 いや、否――。
「これは――」
 菊里は、思い出したあの時のことを口にする。
「幼き頃、火加減に失敗し珍味を消炭にしてしまった恐ろしい記憶」
 そう、真顔で。
(「何?? 3秒前まで凄いシリアス仕様だったよネ??」)
 ……恐るべし、狐地獄。
 そんな狐地獄にぷるぷるしていれば。
 伊織の前にも、何かが――。
「…………」
 見えたのは、世にも恐ろしい――何か恐るべきリア充優男的なやつが!
 なのでそっと無言で、そんな恐るべき敵を、いつも以上の早業でさくっと消してから。
(「慣れてるもん……今更だもん……泣いてないもん……」)
 色々これまで培われた耐久性をもって、泣きたくなるのをいつもの如く堪えながらも、恐怖を乗り越えます!
 そして、ある意味恐ろしい記憶が蘇った菊里も。
 きりっと、複数の狐火を灯してから。
「ですがもう斯様な失敗は繰り返しません」
 幻をさくっと料理……もとい焚き上げて、過去の恐怖を燃やし、乗り越えれば。
 まだどこか虚ろな瞳をしている彼へと目を向けて、普段通りにこにこ。
「ああ、でも伊織はまだまだ繰り返しそうですねぇ」
「くっ、そんな事……!」
 伊織はその言葉に、ぶんぶんと首を横に振りながらも。
 ……めげないからなー!
 そう黒炎燃ゆる草原へと、つよい決意の声を響かせるのだった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

宵雛花・十雉

【双月】

声?…誰だろう
草原に揺らめく黒い炎は形を変えて
見覚えのある姿になっていく

そこに立っていたのはオレ自身
己の敵は己なんてよく言ったもので
オレが何より恐ろしいのは、弱い自分自身なんだ

目の前のオレはなんて情けない顔をしているんだろう
背が高いばかりで頼りない
自分のことで精一杯で
こんなんじゃ大切な人を守るなんてとても…

ふと隣を見る
ユェー、大丈夫?
ユェーは一人で抱えちゃうから
心配だな

そうだ、今は一人じゃない
一人じゃないという事実が
守りたい人達がいるという事実が
オレを強くしてくれる

握る手に勇気を貰って
幻影を葬るよ

安心して
オレがユェーのこと守るからね
絶対に


朧・ユェー
【双月】◎

誰だろうか?
声が聞こえる
十雉くん?いや、彼は手を握る横にいる
では…

お前は私のモノだ。その身体は私の為に

俺とそっくりな男
嗚呼、父親の呼ぶには悍ましい
絶対的に命令口調で俺に言う
嫌だ、誰がお前の為に
また大切な者を壊される
その恐怖に握った手を強める

あの男の横に他に誰かが?
十雉くんは大丈夫だろうか?
大丈夫、傍にいるよ

でもその姿は十雉くん?
嗚呼、君は前を向いて歩いているんですね

守る?僕を?
ふふっ、ありがとう
それは心強いですね

嘘喰
二人の幻影は喰べてしまいましょうね


 ふたり、手を繋いで足を踏み入れたのは、黒き炎が燃え続ける『死の草原』。
 そして同時に、顔を上げて。
「誰だろうか? 声が聞こえる」
「声? ……誰だろう」
 呟きを落とすのは、朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)と宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)。
 それからそうっと、燃え盛る眼前の黒へと、十雉が橙の視線を巡らせてみれば。
 揺らめくいろが刹那、形を変えて……成したその姿は、見覚えのあるもの。
 いや、見覚えがある、なんていうものではない。
(「己の敵は己なんてよく言ったもので」)
 そう……十雉の前に現れたのは、己自身。
 けれど、十雉は分かっている。この草原に、自分自身が現れた理由が。
 ――オレが何より恐ろしいのは、弱い自分自身なんだ、って。
 死の草原へとやって来た者の目の前で実体化するというのは、その心に抱く『恐るべき存在』。
 十雉は黒い炎の先に在る己の姿を見遣り、そして思う。
(「目の前のオレはなんて情けない顔をしているんだろう。背が高いばかりで頼りない。自分のことで精一杯で」)
 それから思わず俯き、ふるりと首を横に振って、ぽつりと言の葉を零す。
「こんなんじゃ大切な人を守るなんてとても……」
 そして、ユェーの金色の瞳にも、黒炎の向こう側……誰かの影が映って。
「十雉くん? いや、彼は横にいる」
 手を握る感触が、確かに彼が横にいると、教えてくれるから。
 では……と、改めて揺らめく影へと視線を向け、ユェーが目を凝らした瞬間。
 金のいろがはっきりと、その姿を捉える。
(「俺とそっくりな男。嗚呼、父親の呼ぶには悍ましい」)
 そして、耳に届いたのは。
『お前は私のモノだ。その身体は私の為に』
(「絶対的に命令口調で俺に言う」)
 目の前に現れたのが一体誰であるかを、決定的に分からせる声。
 そんな自分とよく似た男……父親の言葉に、ユェーは返す。
「嫌だ、誰がお前の為に」
 ……また大切な者を壊される、って。
 心に燻り湧き上がるその恐怖に、握った手をぎゅっと強める。
 そんな、ぎゅっと握られた掌に気付いて。
「ユェー、大丈夫?」
 ふと隣を見た十雉は、そう声を掛けながらも思う。
(「ユェーは一人で抱えちゃうから、心配だな」)
(「あの男の横に他に誰かが? 十雉くんは大丈夫だろうか?」)
 ユェーも、もうひとつの幻影……十雉が恐れる存在が父の隣に在ることに気付いて。
 そっと彼を心配しながらも、向けられた声に頷いて返す。
 ――大丈夫、傍にいるよ、って。
 刹那、届いたそんな彼の声に。
 情けなくて頼りない自分自身に俯いてしまっていた十雉は、ハッとその顔を上げる。
「そうだ、今は一人じゃない」
 それに、十雉は知っているから。
 一人じゃないという事実が、守りたい人達がいるという事実が――オレを強くしてくれる、って。
 だから、ぎゅっと握る手に勇気を貰って。
 十雉は幻影を葬り、全てを灰に還す――花浅葱の悔魂を集めて再構成した、蒼き炎をもって。
 そんな黒を凌駕する蒼を目にしたユェーは、父の姿の隣に在るのが誰かに気付く。
「でもその姿は十雉くん?」
 けれどすぐに、燃え盛る花浅葱のいろに、柔く瞳を細める。
 ――嗚呼、君は前を向いて歩いているんですね、と。
 その声に十雉は、頼もしくも力強く頷いて返す。
「安心して。オレがユェーのこと守るからね」
 ……絶対に、って。
 弱い自分自身に対する恐れを振り切り、乗り超えるべく。
 そんな彼の言葉に、ユェーは瞳をぱちくりとさせてから。
「守る? 僕を? ふふっ、ありがとう。それは心強いですね」
 そう、手を繋いでいる彼へと笑って。
『……!』
 父親の幻影へと、内なるモノ偽りのモノに死の紋様を付与し、無数の喰華を喰らいつかせる。
 そしてユェーはもう一度、優しく握る手に、そっと力を込めながら。
 十雉へと笑み向けて紡ぐ――二人の幻影は喰べてしまいましょうね、って。
 魅せて欲しいのは、真実の姿だけでいいから。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年09月18日
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵