アポカリプス・ランページ⑮〜ステルス・クローンズ
●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「今回もアポカリプス・ランページ。テネシー州メンフィス跡地にある、灼熱草原を攻略してもらうよ!」
かつてはミシシッピ川に面した大都市であったこの地も、崩壊後はその面影を全く残していない。地下も含めた全域が黒い炎に覆われ、『灼熱草原』と呼ばれている。
「と言っても、エルドラドの時ほどめちゃくちゃ燃えてたり、熱かったりする訳じゃないよ。この黒い炎は肉体を燃やす代わりに、新たなオブリビオンを発生させるんだ」
そこで今回は、この発生したオブリビオンを撃破する事が目的となる。
「ただ、黒い炎はこちらの視界を阻害するからね。周囲が炎に覆われてよく見えない所に、突然出現したオブリビオンが、四方八方からいきなり襲いかかってくる……ってわけ。かなり厄介な戦場になるから、十分気をつけて」
オブリビオンは隠れているだけではなく随時発生するので、周囲への無差別攻撃は効果が薄い。相手の気配なりなんなりを察知して、早期に発見し迎え撃つ事が重要となる。
「今回出てくるのは、『クローン将校部隊』って言うレイダー達だよ。その名の通り、優秀な将校級の人材をクローンとして生み出し……そしてストームに呑まれてオブリビオンになった存在だね」
クローンと言うだけあって全ての個体が思考を同じくするため、視線や言葉を交わさずとも抜群の連携を誇る。それが、視界の悪い戦場で、次々と飛び出してくるのだ。厄介極まりない。
しかも、とにかく数が多い。劣化コピーも多いが、大量に発生する。数にまかせて、自身や仲間を捨て石にすることも躊躇わないので、人海戦術には注意が必要である。
「戦闘方法は主に、格闘術と拳銃だね。火力は高くないけど手数が多いから、一度攻め込まれるとジリ貧になりかねない。特に、組み付かれて抑え込まれないように注意して、周囲のクローンからの一斉攻撃がくるから」
幸い、劣化コピーは一撃で消滅するし、本体も耐久力は高くない。不意打ちを警戒しながら、一体ずつ確実に処理していくのが良いだろう。
「クローンをぽんぽこ生み出すような研究には思う所もあるかもしれないけど、相手はオブリビオン、放っておく訳にはいかないからね。キミ達で倒し尽くしてほしい」
くるるはそう言うと、わざとらしい可愛らしくポーズを取って猟兵達を見渡す。
「それじゃ、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」
一二三四五六
文字通りの人海戦術。
ごきげんよう。まだまだ戦争シナリオ。一二三四五六です。
視界不良の戦場で、敵がわんさか湧いてくる戦闘です。一体一体は強くないですが、数が多いです。
湧き出る速度は『猟兵1人あたり、平均で5秒ごとに1体の劣化コピー。一気にわさっと出たり、急に出なくなったりもする。さらに時々ランダムに本体も混じる』みたいな感じです。また、WIZの制圧術を受けてしまうと、一気に出て来て集中攻撃されます。
黒い炎は触れても燃えません。気温が高いくらいです。が、通常の死角で見通す事ができません。
また、空から見下ろしても、炎の中に敵が埋もれる感じであまり視界は良くなりません。
通常の消火方法で消す事はできません。湧いてくる敵を倒し続ける事でのみ、力を失わせる事が出来ます。
それでは皆様のプレイングを、楽しみにお待ちしています。
第1章 集団戦
『クローン将校部隊』
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POW : 将校級軍隊格闘術
【将校級の軍隊格闘術】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 暴走したクローン製造機
レベル×5体の、小型の戦闘用【の自身の劣化コピーの増援】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ : 将校級制圧術
【死角からの自身もしくは味方からの不意打ち】が命中した対象に対し、高威力高命中の【同一思考による味方からの連撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
イラスト:慧那
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マリア・ルート
さすがにこれだけ多いと武器たちでも足りないかもしれないわね。
仕方ない、MAP兵器でも使いますか……(『範囲攻撃』)
というわけで私の出番だ。(【指定UC】で真の姿に)
組みつかれるのを防ぐためにミッドレンジを維持しつつUCで爆破してやろう。片っ端からだ。戦場全体への攻撃となれば、いくら劣化コピーの増援が来ても私に近づくこともできないままやられるのみだろう。
攻撃は『野生の勘』で見切り、拳銃や格闘術は『オーラ防御』で防ぐか『早業』で回避、肉薄してきたら『なぎ払い』『吹き飛ばし』で距離を取らせてもらおう。
人海戦術は確かに立派な戦術だ。
だが一騎当千の将がいたら全て台無しになる。覚えておくがいい。
露木・鬼燈
ステルスキルです?
自分がやる分にはいいけどさー。
やられるとなると厄介だよね。
まぁ、忍の得意分野ではあるから。
自身の経験を基に対策を組めばいい。
とゆーかやられるとイヤなことをやればいい。
なので無差別爆撃をしちゃうのですよ。
炎の中に隠れようとも広範囲を雑に吹き飛ばす。
こーゆーのが一番困るんだよね。
なので<機械鳥之宴>で爆撃するですよ。
自分も巻き込まれるギリギリまで攻めるですよ。
これだけやればイケルイケル!
でも本体だったら抜けてきそうだよね。
素早く対応できるように無手でいくですよ。
僕は無手でも戦えるからね。
受け流しからの投げ技。
更に抑え込んで極める。
こんな感じにできたらいいよね。
「ステルスキルです? 自分がやる分にはいいけどさー。やられるとなると厄介だよね」
黒い炎に紛れて迫る、大量のクローンとその劣化コピー。そんな状況に、露木・鬼燈(竜喰・f01316)は眉を寄せる。
「まぁ、忍の得意分野ではあるから。自身の経験を基に対策を組めばいい」
言って印を組めば、空中に浮かび上がるのは、いくつもの立体魔法陣。そこから機械仕掛けの渡鴉が多数、群れを為して出撃する。
それらは翼を広げ、支援戦闘機に変形して。
「とゆーか、やられるとイヤなことをやればいい!」
「――!」
大量のミサイルが、周囲の黒い炎に撃ち込まれる。轟音と爆炎に断末魔をかき消され、音もなく消えていく劣化コピー達。
「雑に吹き飛ばす。結局こーゆーのが一番困るんだよね」
「なるほど。まあ、これだけ多いと武器たちでも足りないかもしれないものね」
そんな爆炎と、それを数で抜けて来ようとする劣化コピー達を見ながら、思案するマリア・ルート(紅の姫・f15057)。
多数の武器を持っているが、弾丸とて無限ではない。1体1体倒していては、キリがないのは確かで。
「仕方ない、MAP兵器でも使いますか……と言う訳で、私の出番だな」
喋りの途中で、口調が、雰囲気が――全てが変わる。真の姿を晒した紅姫は、周囲をぐるりと見回した。
「全て吹き飛ばしてやろう。片っ端からだ」
視線の先で魔力が爆ぜ、爆炎と共に魔力の波動が広がる。それが、黒い炎の中にまで伝わると、気配が消失していくのが感じられる。
「いくら劣化コピーが湧いて出ようと、私には近づくこともできまい」
鬼燈の爆撃とともに、襲いかかる無慈悲なまでの大火力。次々と消滅していく――ところは見えないが、おそらく消えているのであろう――劣化コピー達。
響く爆音、立ち込める爆煙。そして――。
「おおっとっ!」
「むっ……!」
それに紛れて一気に飛び出し、奇襲をかけてくるクローン本体達。彼女達は自分の劣化コピーを使い捨てる事を厭わず、囮に、盾に使ってこちらへ肉薄する。
加えて、そもそも至近距離に生じた者は、爆撃で狙い難い。鬼燈は巻き込まれるギリギリまで攻め、マリアの爆破は敵味方を識別するが、全て倒しきれるものではない。
「……けどまあ、僕は無手でも戦えるからね」
が、そうして殺到して来たクローンを、2人は巧みに迎え撃つ。鬼燈は相手の拳を捕らえると、腕を捻り上げ、投げ飛ばした。
「近づけば勝てるとでも思ったか? 人海戦術は確かに立派な戦術だが――」
「っ……!」
そうして空中に放り投げられた相手は、マリアの魔力で吹き飛ばす。逆にマリアを襲うクローンは、直感で回避し、オーラで押し留めて。
「一騎当千の将がいたら全て台無しになる。覚えておくがいい」
「そして僕らは一騎当千……っぽい! たぶんね!」
突き飛ばされた倒れたクローンは鬼燈が抑え込んで、その首を極め折った。
劣化コピーよりは頑丈とはいえ、クローン達も所詮は少女の肉体。数と奇襲の脅威さえなければ、対処出来ない相手ではない。
大成功
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マキナ・エクス
アドリブ・他猟兵との連携歓迎
なるほど無差別攻撃は効果が薄いか。
各個撃破していくしかないとなるとなかなか骨が折れそうではあるが一撃だ倒せるのであればまだ勝機はあるね。
それじゃあUC発動。純粋に自らの戦闘力を高めて殲滅速度をあげよう。
攻撃は対物拳銃で【貫通攻撃】【零距離射撃】【2回攻撃】やパイルバンカーで【串刺し】。周りに多数現れたら大鎌で【範囲攻撃】【なぎ払い】で対処しよう。
敵からの攻撃は防御用からくり人形や【オーラ防御】、敵を魔術糸で【捕縛】して【敵を盾にする】で対応しよう。
ネロ・アンドラス
「おーい❗おれはここだぞ❗出てきやがれ❗」ガトリングを発射しながら突撃「お❗見つけたぞ❗くらえ❗」対象にガトリング発射❗「どうした?こんなもんか?な❗?いつの間に❗?」包囲され蜂の巣になる、すると「かかったな❗それはただのファントムだ❗」ジャイアントクラーケンの擬態に包まれていたネロが現れ「ドザエモンになりな❗流水飲獄❗」周りが水路で出来た迷路に変わり「これもくらっとけ❗」洪水の絵本の1ページを開き洪水発生❗「これもおまけだ❗アクアヴォルテックエンジン始動❗」
「なるほど、無差別攻撃は効果が薄いか。これはなかなか、骨が折れそうだ」
迫り来る劣化コピー達を、大鎌で薙ぎ払っていくマキナ・エクス(物語の観客にしてハッピーエンド主義者・f33726)。
敵はいくら倒しても、次々と湧き出してくる――下手に広範囲への攻撃を仕掛けて、敵の出現が視認し難くなるのは避けたい。
「だが一撃で倒せるのであれば、まだ勝機はあるね」
漆黒の大鎌が呪詛を撒き散らせば、コピー達は容易く消滅する。調子良く迎え撃ち、数を減らし――そして斬られながらも強引に接近してくるクローン本体。
「……おっとっ!」
分身を囮に使って不意打ちをかけて来たそれを、咄嗟に対物拳銃で撃ち落とす。轟音を響かせるその一発によって、土手っ腹に風穴を開け、骸の海に送り返した。
「危ない危ない。しかし、本当に骨が折れるね、これは」
奇襲を防いだ彼女の身体には、糸が繋がり……そしてその糸は、巨大な人形遣いの腕に繋がる。その操作が、不意打ちにも対応する攻撃速度を生み出している。
彼女は、ミレナリィドール。演者となるのは好まないがが、望む結末を見るために踊らされるのは、吝かではない。
「ああ、もう、面倒くさいな! おーい! おれはここだぞ! 出てきやがれ!」
だがそんな戦況が続く事に、ネロ・アンドラス(バイオモンスターの殺人鬼・f33761)は痺れを切らす。右腕のガトリングアームを乱射しながら、敵陣へと突進していく。
「お! 見つけたぞ! くらえ!」
挑発的に声を張り上げながらの、無謀とも言える突貫。当然クローン達は、突出した彼に狙いを定め、一気に殺到する。
「どうした? こんなもんか……な!? いつの間に!?」
それらをガトリングの水圧弾で撃ち抜くネロだが、囮の劣化コピーに気を取られた隙に背後から接近を許してしまう。
蹴りの一撃を合図に、周囲のクローン達が殺到し、全身に弾丸を撃ち込まれ――。
「かかったな! それはただのファントムだ!」
「っ、何!?」
そしてそのネロが崩れ落ちると同時に、擬態を解いて姿を現す巨大な大蛸。
倒れた身体は、遠隔型の偽神兵器。そしてこの大蛸の中から飛び出したネロこそが、本物だ。
「ドザエモンになりな! 流水飲獄!」
「っ……がぼっ……!?」
逆奇襲をかけたネロは、大量の水でクローン達を包みこむ。それを飲まされ、窒息して倒れるクローン達。
「……おっと危ない」
そして、そんな派手な攻防に紛れて背後に迫っていた別のクローンを、マキナの魔術糸が絡め取った。
彼女は己を糸で操らせる人形であり、同時に他者を糸で操る人形遣いでもある。糸で捕らえたクローンを盾にすると、その陰から突き出したパイルバンカーで、別のクローンをぶち抜いた。
「殲滅速度を上げていかないとね」
「むむむ、まだやるか! それならこれもくらっとけ!」
一方、反撃を受けた事に怒るネロは、絵本を取り出し、その1ページ目を開く。ダムの決壊が描かれた本から、実体化した水が溢れ出した。
「これもおまけだ! アクアヴォルテックエンジン始動!」
「っ……!!!」
さらに大量の水でコピーやクローンを押し流すと、ダメ押しに体内のエンジンを稼働し、電撃を流し込む。
全身に電流を浴びた彼女達は激しく痙攣し、水の中に沈むように消えていく。
大成功
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ヴィクティム・ウィンターミュート
オーオー、絶賛視界不良って感じだな…面倒なことだ
この嫌な状況で敵を倒しまくれって?無茶を言いやがる
まぁいいさ それが最善ならそうする ランナーは仕事を選ばない
殲滅開始だ
眼に頼れないなら、獣ような第六感に頼るまでだ
オリジン・エクステンド──『そして、獣が解き放たれた』
危険感知の網が一気に広がり、超反応を可能にする
右腕の仕込みクロスボウを開放、速射でドタマをぶちぬく
まだ手数が足りねえな…ナイフの【投擲】も追加
近づかせずに一方的に仕留めまくれば、いつか終わる
それでも近づかれたら喉を蹴り潰しながら吹っ飛ばしてやり過ごそう
邪魔だ、俺の勝利の歩みを邪魔するんじゃねえ
時間があまり無いんだよ…さっさと消えな
佐伯・晶
これは見通しが悪い場所だね
不意打ちされたら厄介だからこいつを使おうか
UCでレーダー搭載ドローンを創って飛ばそう
得られたデータをゴーグルに転送して
敵の位置を把握するよ
劣化コピーはガトリングガンの範囲攻撃で処理していこう
一発でも当てれば良いなら弾幕を張ろう
射撃されたら神気で弾丸の時間を停めて防ぐよ
これは僕なりのオーラ防御だよ
本体は大きさが違うみたいだし
相手の大きさには注意しておこうか
格闘攻撃が届く位置に来る前に撃つつもりだけど
一撃で倒せない本体は耐えるかもしれないね
接近されたら神気で麻痺させて
石から創った使い魔で石に変えようか
ドローンは壊されても何度でも創れるから
地道に敵を減らしていくとしようかな
「オーオー、絶賛視界不良って感じだな……面倒なことだ」
黒く燃え上がる灼熱草原に立ち、電脳ゴーグル越しに周囲を見回すヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)。改造網膜の視界にも、ひっきりなしにノイズが走る。
「この嫌な状況で敵を倒しまくれって? 無茶を言いやがる。だが、まぁいいさ」
その目を閉じ、しばし――0.3秒ほど意識を集中する。それを再び開いた瞬間、全ての感覚が一気に拡張された。
「ランナーは仕事を選ばない……殲滅開始だ」
「っ……!?」
背後から迫っていたクローンを、振り向きもせず仕込みクロスボウで撃ち抜く。眉間を撃ち抜かれた相手は、声もなく崩れ落ちて消滅した。
「眼に頼れないなら、第六感に頼りゃ良い。片っ端からぶちぬいてやるよ」
「ふむ。じゃあ僕はこいつを使おうかな」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)が取り出すのは、UDC組織に供与された支援端末。登録されている設計図を呼び出し、その複製を創造する。
「さあ、データを集めて来てね」
生み出した情報収集用ドローンを飛ばしつつ、多機能ゴーグルのデータリンクをオンにする。流れ込んできた周辺情報を頼りに、手にしたガトリングを掃射した。
「当たった……かな。どうも手応えが薄いのがやり難いな」
劣化コピーは弾丸の一発でも消滅するので、帰ってくる反応がほとんどない。ゴーグルに映る光点が減っているが、直接は視認出来ず、加えて減った端から補充されていく。
成果が目に見えない為、どうにも不安が募る。……そんな不安が実現するように、炎の中から飛び出してくる銃弾。
「うわっと……危ないなぁ!」
張り巡らせておいた神気が、その弾の時間を止めて阻む。空中に止まったそれを手で払い除けながら、撃たれた方向にガトリングを撃ち込む晶。
反応が消滅し、飛んでくる銃弾も止まるが……息をつく暇もない。
「こりゃ、まだ手数が足りねぇな」
敵の数の多さにそう判断し、ヴィクティムは生体ナイフを抜き放った。第六感を強く刺激する相手――コピーでないクローン本体を見極め、投擲して貫き倒す。
「ま、近づかせずに一方的に仕留めまくれば、いつか終わる」
「そうだね、地道に敵を減らして……っと」
晶のドローンも時折破壊されるが、その度に補充し、確実に敵の数を減らし続ける。そうこうするうちに、徐々に黒い炎の勢いが弱まってきた。
「おお、流石にそろそろ終わり――とか油断してると来るんだよね」
「っ……!」
そして敵の出現速度が衰えた分、劣勢を悟ったクローンは、特攻を仕掛けてくる。その苛烈な猛攻を、神気で阻み、痺れさせて。
「とりあえず、そこで固まっておいてよ」
「ぁ……!」
石で作った使い魔をけしかけ、石像に変えて動きを封じる。声もなく、絶望の表情で固まり、動かなくなるクローン。劣化コピー達は石化にも耐えきれず、崩れ落ちて消滅していく。
「邪魔だ、俺の勝利の歩みを邪魔するんじゃねえ」
「っ……!」
そしてヴィクティムは、接近するクローンの喉を、靴底で蹴り潰した。目を見開き、声も出せずに崩れ落ちるクローン。
「時間があまり無いんだよ……さっさと消えな」
その喉を踏みつけたまま、クロスボウを額に打ち込む。強烈なヘッドショットを受けたクローンは、爆ぜるように消滅し、骸の海へと還っていった。
「さて、次は……おっと」
「……もう出てこないかな?」
そうして周囲に視線を巡らせば、黒い炎は完全に下火になっている。ヴィクティムの第六感にも、晶のドローンのセンサーにも、新たな敵は感知出来ない。
「ふぅ、疲れる戦いだったね」
「ま、仕事なんてのは大抵、地味な単純作業だったりするもんさ……」
精神を研ぎ澄ませて戦い抜いた猟兵達は、思い思いに緊張を解く。しばらく待って、完全にオブリビオンの出現がなくなった事を確認してから、グリモアベースに帰還する猟兵達。
この『戦い』が終わった後も、『戦争』は続く。だが、今は一時の休息を――。
大成功
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