アポカリプス・ランページ⑤〜大地に群れし狂い牙
「まずは集まってくれたことに感謝を」
プレケス・ファートゥム(森を去りし者・f02469)が、猟兵たちに軽く頭を下げる。
「これからソルトレークシティへと向かってほしい」
プレケスが、机の上に広げられた地図の一点を指さした。
ソルトレークシティは文明崩壊以前はアメリカ西部高原地域の経済的中心地となっていた街だ。宗教都市としても有名であった。だが、裏の顔として、この都市の地下では大規模な『フラスコチャイルド製造施設』が秘密裏に運用されていた。
そして、その施設で研究されていた技術の一つが、敵オブリビオンの手により利用された。
「その技術とは『生命力の共有』だ」
群れ一つで、生命力を共有することにより、一体が致命的なダメージを負ったとしても、それはたちまち群れの中で分配され、かすり傷以下になってしまうのだ。
その技術を使われたのは、犬だった。正確には、ジャーマン・シェパード型の軍用ロボット犬であったもの、だ。かつて人とともにあった彼らは、今はオブリビオンと化し、その牙をもって人に仇なす存在となっている。
しかも一匹や二匹どころか、十匹二十匹というレベルですらない。
数えきれないほどのロボット犬が、巨大な群れを形成し、その自慢の鼻と目で獲物を求めているのだ。
「これに対抗するには、なるべく多くの敵を巻き込み、大ダメージを叩き込むしかない。つまりは、高火力広範囲の技を叩き込め、ということだな」
伝えられる情報は以上だと、プレケスは締めくくる。
「転移先は、ソルトレークシティの市街地だ。すぐに匂いを嗅ぎつけ寄ってくるだろう。すぐさま迎え撃てるように心構えをしていてくれ」
そういうとプレケスは自身の肩に留まっていたグリモアを指でつつく。
つつかれたグリモアは出番だなと言わんばかりに、プレケスの頭の上をクルリクルリと旋回したあと、猟兵たちのほうへと飛んでいく。
「君たちの無事の帰還を待っている」
その言葉を合図に、プレケスのグリモアがきらきらと光を放ち、猟兵たちを戦場へと送り出した。
白月 昴
目を通していただきありがとうございます。
この依頼は、一章完結の戦争依頼となります。
●転移先:ソルトレークシティの市街地です。
荒廃した街です。
壊れたビルなどもあります。
●プレイングボーナス:なるべく多くの敵に大ダメージを与える。
OPにもある様に、一体ずつへの攻撃は、分散されほとんど意味がありません。
多くの敵を巻き込みながら攻撃を仕掛けてください。
皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『軍用ロボット犬『ゲルマーネン』』
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POW : 噛撃分析
【噛みつき 】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【行動データ】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD : 制限解除
【遠吠えをする 】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 戦闘機動
【予め思考回路にプログラムされた連続攻撃 】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
イラスト:飴村いぬた
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニクロム・チタノ
アハハなるほどボクが昔居た研究所でもいましたね軍用犬、ロボットではありませんでしたが
さてさてボクの身体はとてつもない悪臭を放てるのですよ、これでまずは群れの鼻を麻痺させて目眩ましをしてる間にヨダレを撒き散らして大地をヘドロの海に変えてしまいましょうか
アハハ重く粘着質なヘドロの中を泳いで近づくなんて不可能ですよ
どんどん犬さん達が集まって来ましたね、良かったですねお友達も寂しくないようにみんなまとめてヘドロの底に沈めてあげますよ、もっと集まってくださいヘドロの宴はまだまだ終わりませんよアハハハ
「アハハ、なるほどボクが昔居た研究所でもいましたね軍用犬、ロボットではありませんでしたが」
ニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)は、無数の軍用ロボット犬『ゲルマーネン』を前にして、ただ楽し気に笑った。
何しろ、ゲルマーネンたちは、ニクロムに襲い掛かるどころか、悲鳴じみたうなり声をあげ地面に転がっているのだ。なかには泡を吹き気を失っているものまでいる。
犬の特徴はその素晴らしい嗅覚である。ましてやゲルマーネンたちは、もともと軍用に開発されたロボット犬だ。当然その嗅覚はより高められていた。
だが、それが今回、仇となる。
ニクロムは、すさまじい悪臭を纏うヘドロ怪人だ。かつてその身にあった反抗の加護を無くした成れの果ての姿。
その悪臭を前に、ゲルマーネンたちはことごとく無力化されてしまったのだ。
悪臭に悶え狂うゲルマーネンたちをよそに、ニクロムはだらだらと口から涎を垂らしていく。涎は、大地を汚染し、ヘドロへと変えていく。
――だらだらだらり
無限に垂れ続ける涎により、毒を含んだヘドロの沼がどんどんと広がっていく。沼は、悪臭に侵され身動きのできないゲルマーネンたちを次々と飲み込む。
だが、彼らの地獄はまだ終わらない。
本当ならば、ヘドロに沈んだことにより絶命し、それ故に悪臭から逃げられるはずだった。だが、命を共有し、ダメージを分散している為、死ぬことさえできない。
そんな中でも、いまだ闘争心を失っていない数頭が、ニクロムヘ食らいつかんと牙をむき、赤い瞳を殺意で燃え上がらせる。だが。
「アハハ、重く粘着質なヘドロの中を泳いで近づくなんて不可能ですよ……おや、どんどん犬さん達が集まって来ましたね」
ヘドロに沈むゲルマーネンたちを見下ろしていたニクロムが、顔をあげる。視線の先には、食い殺さんとばかりに赤い目をらんらんと光らせ、こちらへ駆けてくる新たな一群があった。
風上であったのは彼らにとって幸福であったのだろうか。
「良かったですねお友達も寂しくないようにみんなまとめてヘドロの底に沈めてあげますよ。もっと集まってくださいヘドロの宴はまだまだ終わりませんよアハハハ」
ニクロムの哄笑が、ヘドロと悪臭に塗れた空間に響き渡っていた。
大成功
🔵🔵🔵
黒曜・鵺
・かつて人と共に戦っていた犬達のなれの果て……ですか。
些かの同情は拭いきれませんが、改めて眠らせてやるのが情けというもの。
さあ、骸の海へとおかえりなさい。
・広範囲攻撃が有効、となれば私にはこれがあります。
UC【黒の号砲】で1回につき445本の水羊羹を……ええ、「念動」でカッチコチに固めてある水羊羹を敵軍に向けて乱射しましょう。
彼らの反応は中止できない連続攻撃。カウンターを取るには絶好のものでしょう。ついでに水属性ですからね、彼らがロボ犬であるなら多少のエラーは誘発できると思いますよ。
・まあ、私は液状化や「迷彩」「ジャミング」で「目立たない」ように立ち回りますがね。卑劣卑怯は褒め言葉ですよ。
「かつて人と共に戦っていた犬達のなれの果て……ですか」
黒曜・鵺(影渡り・f10896)は、哀れみのこもった目を、それらに向ける。だが即座に感傷は切り捨てられる。
「些かの同情は拭いきれませんが、改めて眠らせてやるのが情けというもの。さあ、骸の海へとおかえりなさい」
戦う意思をこめ、鵺は軍用ロボット犬『ゲルマーネン』たちの前に立つ。
――ウオオオン!
鵺に気づいたゲルマーネンたちが、雄たけびを上げ、鵺に襲いかかる。それは、ロボット犬であるがゆえに、正確無比な連続攻撃。この大群で食らえば、瞬く間にずたずたに引き裂かれてしまうだろう。
けれど、鵺が怯むことはない。
「広範囲攻撃が有効、となれば私にはこれがあります」
その言葉に応え、鵺の周囲に、黒味を帯びた何かが浮かび上がる。
ほんの一瞬、ゲルマーネンが怪訝な顔をしたように見えたかもしれない。戦場に漂うには不似合いな、甘い香りをかぎ取って。
そう、鵺の周囲に浮かび上がるのは、羊羹なのである。数える者がいたのなら、その数が445本であることが分かったであろう。
なお、ただの羊羹ではない。カッチカチなうえに、水の滴る水羊羹なのである。
ぎょっとしようが迷おうが、予め思考回路にプログラムされた連続攻撃を途中で止めることはできない。ゲルマーネンの驚愕など無視し、体は正確に鵺へと攻撃をしかける、のだが。
「至高の味をもって和菓子は何たるかを知るがいい! 舌を唸らせるは我が決意!」
正確であるがゆえに、単調な動きを取るゲルマーネンたちに、水羊羹が襲い掛かる。
『ガボウッ!』
丁度開いた口にかっちこちの羊羹が飛び込んだゲルマーネンが奇妙な悲鳴を上げ、もんどりうつ。
大量にぶつかってきた羊羹に吹っ飛ばされるものもいれば、破壊された機械部分に、水羊羹の水が入り込みエラーを起こすものもいる。
だが即座にダメージは拡散された。態勢を立て直したゲルマーネンたちは、再び攻撃を仕掛けようとする。だがいつの間にか鵺の姿は消えていた。
鵺は『黒の号砲(ミズヨウカン)』を放つと同時に、液状化し、崩れた道路のアスファルトに紛れるように、身を潜め移動していたのだ。
ゲルマーネンたちの自慢の鼻も、あたり一面に広がる甘い羊羹の香りに邪魔され、鵺を見つけることができなかった。
ゲルマーネンたちがもだもだとしている間に、鵺が死角となる位置から二度目の水羊羹を放つ。
濃くなっていく甘い香りに、ゲルマーネンたちの嗅覚が惑わされていく。
だがそれでもまだ、無数と言えるゲルマーネンたちの、群れ全ての命を削るには至らない。
ゆえに、鵺の羊羹も止まることはない。
「さあ、まだまだ行きますよ」
全ての命尽きるまで、水羊羹がゲルマーネンたちへと打ち込まれるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
久留米・圓太郎
■WIZ
範囲攻撃で倒せ、と?
じゃオレの持ってる、最大火力の魔法の出番だぜ
【ニスル・サギール】で幻影とは言え飛行艇と、槍と大砲で武装した古代戦士の幽霊500体超で一気に焦土にしてやろうじゃ無いか!
オレ自身も魔法の箒騎乗からの空中からの指揮をして[空中戦、高速詠唱、全力魔法、地形の利用、属性攻撃、2回攻撃、範囲攻撃、援護射撃、衝撃波]で、軍用犬の群れ目がけてそれこそぺんぺん草も生えぬ勢いで吹っ飛ばす!
荒廃した街、だからこそやれる魔法で、こんなの一般の人がいるところで使ったら、師匠に大目玉からの2週間地獄の修行コースが待ってるぞ、間違い無く
※連携・アドリブ共歓迎
「範囲攻撃で倒せ、と? じゃオレの持ってる、最大火力の魔法の出番だぜ」
久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)はどこか楽しそうな顔をしていた。
現在彼は魔法の箒にまたがり、空からソルトレークシティを見下ろしていた。地上では、圓太郎の姿に気づいた軍用ロボット犬『ゲルマーネン』たちが、威嚇の声をあげているが、あいにく空への対応はされていなかった。
「駆逐する! このフネと古代戦士達の力でな!」
にっと圓太郎は笑みを浮かべると【ニスル・サギール】を発動させた。
呼び出されしは古代戦士を乗せた飛空艇の幻影。
ただの幻影と侮るなかれ。その飛空艇に乗る古代戦士の幽霊500体が携える槍も大砲も、実体を持っているのだ。
「一気に焦土にしてやろうじゃ無いか!」
――オオオオオオオオ!
圓太郎の号令に、戦士たちが雄たけびを上げる。戦いこそが彼らの存在理由。
戦士たちは飛空艇から降り立つと、圓太郎の指示のもと半数が槍の壁となり、ゲルマーネンの攻撃を受け止め、その背後からもう半数が砲弾を打ち放つ。
炎を纏った砲弾はゲルマーネンを吹き飛ばし、打ち据え、さらに焼いていく。無論、すぐさまダメージは拡散され、戦線へと復帰してくる。だが、無数の槍と無数の砲弾が、怒涛の勢いでゲルマーネンたちを叩きのめしていく。
もちろん圓太郎も、ただぷかぷかと浮いていたわけではない。
空の上という安全地帯から、高速かつ全力の魔法を、縦横無尽に打ち込んでいく。廃墟なのだ、何をしてもいいだろうと、そんな気楽な思いをもって。
燃え盛る炎の矢を、鋭い氷の槍を、吹きすさぶ風を。
古代戦士たちの陣形が崩れそうなところを、死角になりそうな場所を、魔法で吹き飛ばしていた、が。
――ドゴンッ!
「おおっと!?」
すさまじい音に続いて吹き荒れた風を、圓太郎の翼がはらみ、急ブレーキをかけさせられた。それにより崩れた体勢を立て直し見てみれば、地上で燃え盛る炎が目に映る。どうやら、炎を纏った砲弾が、残っていたと思われる可燃物に引火したようだ。
それどころか、今やこの辺り一帯は、炎の砲弾や圓太郎の魔法で、いろんなところが燃え上がったり陥没したりと、かなりの惨状が広がっている。
確かに焦土にしろと言う指示を出したのは自分だ。
だがふと思う。
「荒廃した街、だからこそやれる魔法だよなあ。こんなの一般の人がいるところで使ったら……」
(師匠に大目玉からの2週間地獄の修行コースが待ってるぞ、間違い無く)
ぞくりと背中に悪寒が走る。己が師の声さえ聞こえた気がして、思わず背後を振り返る。
いや、怯える必要はないのだ。
今自分は猟兵として、この地を埋め尽くす敵を屠れという任務を受けてきたのだから。今自分がやっていることは正しいのだから。
「よっし! ぺんぺん草も生えぬ勢いで吹っ飛ばす!」
気を取り直した圓太郎は、再び箒を操り、任務に精を出すのであった。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
犬か、犬は厄介だ!速いし強いし可愛いし壊しにくい!!だが壊す!敵だ!!壊せ!!!
亡国の主に搭乗操縦。
廃屋を足気に跳び、廃ビルに突っ込み、大音を立てて、広く、敵を引寄せ、暴れる。
近付いて来い、自分は此処だ!此処にいる!!
あえてガトリング等の武器を使わず、竜骨爪と機体の五体でもって戦う。
継戦能力、竜骨装甲で攻撃を受け止めて、爪で切り裂き、早業で掴んで投げ、怪力で蹴り、殴る!
遠吠えが、すさまじい数が集まった。
主は限界か、否!吼えろ主よ、負けない程に!!壊すのは自分達だぁアアアアアアッッ!!
周囲へ呪詛ブレス攻撃!吹き飛ばし、同時に【咆哮破壊】集まってきたロボット犬達を、破壊の霊物質で包み、範囲攻撃!
「犬か、犬は厄介だ! 速いし強いし可愛いし壊しにくい!! だが壊す! 敵だ!! 壊せ!!!」
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は、かけらほどの逡巡を、すぐさま消し去った。彼女にとって何よりも優先すべきは敵の排除だ。そう、己の死すら気づかぬほどに。
排除すると決めればやることは一つだ。小枝子は素早く、己のジャイアントキャバリア【亡国の主】へと搭乗する。
稼働した亡国の主に気づいた軍用ロボット犬『ゲルマーネン』が、キャンキャンと警告の声を上げる。
だが、小枝子はそれを無視した。
足りないからだ。敵が。
小枝子が操る亡国の主は、住人を失って久しい家を踏み潰しながら跳躍し、その勢いのまま廃ビルへと突っ込んだ。
――ゴウンッガランッ!
凄まじい音を立て、廃ビルの一角が崩れ落ちる。
これほどの音を、ゲルマーネンたちが聞き逃すはずはない。あちらこちらから、小枝子の元へと集まってくる。
「近付いて来い、自分は此処だ! 此処にいる!!」
小枝子は声をあげながら、さらに建物を破壊する。
「まだだ、まだ足りない!」
ゲルマーネンたちが遠吠えを上げると、すさまじい速度で小枝子に、亡国の主に飛びかかってくる。それを、小枝子は亡国の主を操り、鋼鉄すらたやすく切り裂く竜骨爪で断つ。だが、ダメージは拡散され、切り裂いたはずのゲルマーネンの体はただ弾き飛ばされるだけだった。
それでも小枝子は、ガトリング等の武器は使わず、竜骨装甲で攻撃を受け止めた。食いついて離れないものは素早く掴み投げ飛ばし、足を狙うものはキャバリアの怪力で蹴り飛ばす。
そうしているうちに、もはや地面が見えないほどのゲルマーネンたちが、小枝子の周りに集まった。
攻撃合図でもある遠吠えが、まるで轟音のように聞こえる。
それほどの攻撃を受け、さすがの機体が、限界だと言わんばかりの軋みを上げる。
だが、小枝子はそれを否定した。
「主は限界か、否! 吼えろ主よ、負けない程に!! 壊すのは自分達だぁアアアアアアッッ!!」
小枝子が咆哮する。
恐怖はない。痛みなど気にしない。
小枝子にわかるのは目の前にいるのが敵であること。それを倒すことが己のすべきことであること、ただそれだけ。
その声に応えるかのように、亡国の主が、内包する霊物質を周囲へと吐き出した。それは破壊の意志を宿したもの。
亡国の主を取り囲んでいたゲルマーネンたちは、そのことごとくが飲み込まれた。
だが、ダメージは拡散される。
ゲルマーネンたちは分解され、復元し、分解され、復元する。
だが、それさえも小枝子には関係のないことだ。
「ああああああああああ!」
小枝子は咆え続ける。敵が滅びるその時まで。
大成功
🔵🔵🔵
御形・菘
質に対して量を極める、それもまた強さの追求の一つの形よ
しかし残念であったな、妾という究極の個が相手でなければ、およそ最強と名乗って良かったのだがのう!
はっはっは、地を埋め尽くさんばかりの犬の群れ! 実に見栄えが良い! さあ来るがよい!
充分に引きつけてから仕掛けよう
右手を上げ、指を鳴らし、さあ高らかに鳴り響けファンファーレ! 範囲最大!
はーっはっはっは! この炎は決して消えず燃え続ける!
さて、噛み付き攻撃は左腕や尾で払って、軽く凌いでいってやろう
的となる妾の身体は一つだけ、別に何百匹と同時に噛み付けないであろう?
それに連発できん技ではない! どうせ寄ってくる、炎上していない者たちも追加で炎上よ!
「質に対して量を極める、それもまた強さの追求の一つの形よ」
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が鷹揚に頷いて見せる。常に配信のためにカメラ映えの行動を極め続ているだけあり、その姿は堂々としながらも優雅であった。
「しかし残念であったな、妾という究極の個が相手でなければ、およそ最強と名乗って良かったのだがのう!」
菘の声に反応し、軍用ロボット犬『ゲルマーネン』たちが、赤い目をらんらんと輝かせ、集まり始める。
「はっはっは、地を埋め尽くさんばかりの犬の群れ! 実に見栄えが良い! さあ来るがよい!」
群れが、大群になっていく様を見ても、菘は揺るがない。配信者として見栄えのいいものは大歓迎なのだ。
先行し、食いつかんと飛びかかってくるゲルマーネンたちを、腕と尾で蹴散らしつつ、菘は待つ。
そして周囲をゲルマーネンが埋め尽くしたとみるや、菘が右手を上げ、指を鳴らす。
「さあ高らかに鳴り響けファンファーレ! 範囲最大!」
どこからともなく、ファンファーレが大きく響き渡り、次の瞬間ゲルマーネンたちが炎に包まれた。
『『『ギャン!』』』
突然のことに対処もできず、炎に塗れながら、ゲルマーネンたちが悲鳴じみた声を上げ、のたうち回る。
「はーっはっはっは! この炎は決して消えず燃え続ける!」
菘の言う通り、ゲルマーネンたちがいくら暴れようと、炎はその身を舐めるように焼き続けた。
無論、炎のダメージも即座に分散されてはいる。だが、消えぬ炎は常にゲルマーネンたちを蝕み続けるのだ。そして、それだけではない。
「はーっはっはっは! 妾だけを刮目して見よ!」
UCの効果により、彼らは菘から目を逸らせなかった。正確には目を閉じられない。炎の熱に目を焼かれ、けれど分散により回復し、また焼かれる。その繰り返しに、ゲルマーネンたちの動きが一斉に鈍る。
それでも、何とか働く嗅覚を利用し、ゲルマーネンたちは牙をむき、噛みつこうと襲いかかった。
「はっはっは、的となる妾の身体は一つだけ、別に何百匹と同時に噛み付けないであろう?」
言いながら、左腕を振るい噛みつこうとしたゲルマーネンの横っ面を強かに殴り、その隙にとばかりに飛びかかってきたゲルマーネンの一群を強靭な尾で弾き飛ばす。
「あいにく、これは連発できん技ではない! どうせ寄ってくる、炎上していない者たちも追加で炎上よ!」
さらなるファンファーレが鳴り響き、炎はさらに燃え続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
生命力の共有ねぇ……。まともな事に使えば、何かの役に立つ事もありそうなもんだが
いや、オブリビオンも使うような研究だし、そこは期待しない方が良いか
とにかく、今は此処を潰させてもらうとしよう
神刀の封印を解除して、油断なく構える
敵に囲まれたくはないが、纏めて攻撃するにはある程度の危険を犯す必要があるか
ダメージが分配されるとしても、牽制にはなるだろう
斬撃波などを適宜織り交ぜながら、ダッシュして大きく跳躍
そのまま落下の勢いで、黒の神気を纏った神刀を地面に突き立てる――肆の秘剣【黒衝閃】
直接の刺突は避けられても、周辺に発生する衝撃波を完全に回避はできまい
纏めて攻撃しつつ敵を薙ぎ払い、攻撃の隙をカバーしよう
「生命力の共有ねぇ……。まともな事に使えば、何かの役に立つ事もありそうなもんだが。いや、オブリビオンも使うような研究だし、そこは期待しない方が良いか」
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)がどこか呆れたように呟いた。
「とにかく、今は此処を潰させてもらうとしよう」
【封じの白鞘】に己が生命を捧げ、鏡介が神刀【無仭】を引き抜けば、周囲に神気が洩れ広がる。
鏡介の周りに集まりつつあった軍用ロボット犬『ゲルマーネン』が、その神気に気圧され後ずさる。
しかし、それも一瞬の事、赤い瞳に宿る狂気の色をさらに濃くし、ゲルマーネンたちは鏡介に襲い掛かる。
(敵に囲まれたくはないが、纏めて攻撃するにはある程度の危険を冒す必要があるか)
敵の攻撃に合わせ、鏡介が刺突を繰り出す。だが、さすがに俊敏なジャーマン・シェパードをモデルにしているだけあり、ギリギリのところで避けられる。
「ならば!」
即座に構えを変え、鏡介はゲルマーネンたちへ衝撃波を繰り出した。
『『ギャウウウン!』』
吹き飛ばされたゲルマーネンたちが悲鳴を上げ、地面に転がる。
けれど、その程度で怯む相手ではない。仲間を踏みつけながら、何体ものゲルマーネンたちが飛びかかってくる。鏡介はそれを回避し、時には横薙ぎに刀を振るい打ち払いながら、ゲルマーネンたちが集まる時を待つ。
これ以上はと判断すると同時に、鏡介は衝撃波を飛ばし、ゲルマーネンたちを蹴散らす。それにより生み出された、僅かばかりの空白地域をダッシュし、その勢いのまま高く高く跳ぶ。
だが、飛べぬものは落ちるが道理。
重力に引かれ、鏡介の体は空から大地へと向かい、そして。
「神刀解放。剛刃に依って地を穿つ――肆の秘剣【黒衝閃】」
落下の勢いを利用し、黒の神気を纏った神刀【無仭】を地面に突き立てる。
――ズズドンッ!
突き立った【無仭】を中心に、地面が大きく破壊され、同時に周囲に向けすさまじい衝撃波が放たれた。
それは、破壊の嵐を生み出し、群がっていたゲルマーネンを吹き飛ばし、切り飛ばし、叩きつける。
だが、それでも。
まだゲルマーネンたちは、牙をむく。
ならばと、鏡介は刀を構える。倒すまで、倒し続けるだけだと。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
無用な犠牲をこれ以上出さぬ為にも殲滅せねばなりません
軍用犬とはいえ、人類その物に牙を剥くような現状はオブリビオンと化す前の彼らにとっても不本意でしょう
しかし、大軍の処理に最適な装備とはいえ…
やはりこの装備の使用は気が重いですね
重武装のUCを装着し戦場を飛翔
飛び掛かる敵の噛みつきを●推力移動や剣や盾の盾受け武器受けで弾き飛ばしながら敵の群れの中央へ
そのまま上昇し反転降下
照準レーザーを戦場全域に乱れ撃ちスナイパー射撃し無数の敵をロックオン
UCの装備を●ハッキングし出力を●限界突破
ロックした敵達へ同時に圧殺する重力波を解放し、一気に殲滅します
嘗ては主に忠実だったのでしょうね…
「無用な犠牲をこれ以上出さぬ為にも殲滅せねばなりません」
トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は揺るぐことなく言い放つ。
「しかし、大軍の処理に最適な装備とはいえ……やはりこの装備の使用は気が重いですね」
そう言いながらも、手は止めず、トリテレイアは頭部のレーザー照準と背部装備の大型スラスターと二門のキャノン型グラビティガンにより構成される、戦機猟兵用重力制御兵装装備型強化ユニット(エクステンションパーツ・タイプ・グラビティ)を装着する。
「……最早、騎士と名乗るのも烏滸がましい姿ですね」
自嘲気味に呟いて、けれどすべきことをするために、トリテレイアは戦場のただ中へと飛び立った。
空より現れたトリテレイアにむけ、軍用ロボット犬『ゲルマーネン』たちが、牙をむき、襲い掛かる。その攻撃を、急加速で回避し、盾で受け流し、時には弾き飛ばす。
高速で移動しながらも、トリテレイアの目は正確にゲルマーネンたちの様子を窺っていた。鋭い切り傷を負うもの、火傷のあるもの、なかには毒でも浴びたのか皮膚がただれているものもいた。
群れの生命力の終わりが、近づいているのは明らかだった。
あと少しで、この大群を壊滅させられるだろう。そのためにもより多くのゲルマーネンたちを集めなければならない。
(嘗ては主に忠実だったのでしょうね……)
傷ついてなお、自分に向かい牙をむくゲルマーネンたち。その執拗なまでの執念は、かつては主を守るための物だっただろうにと、寂寥感が胸をよぎる。
だからこそ早く終わらせてやらなければならない。
(軍用犬とはいえ、人類その物に牙を剥くような現状はオブリビオンと化す前の彼らにとっても不本意でしょう)
十分な数のゲルマーネンが集まったとみるや、トリテレイアは一気に上昇する。
上空にて反転降下しながら、こちらを見上げ足を止めたゲルマーネンたちに向け、戦場全域に乱れ打ちかと思われるほどの数の、照準レーザーを放つ。それはスナイパーの射撃もかくやというほどの精密さで、無数の敵をロックオンした。
同時に、追加装備の制御機構にハッキングをし、リミッターを解除する。
(これで終わらせます)
トリテレイアは最後の一手となるべく、ロックされた対象に向け、一気に限界を超えた重力波を放った。
『『『ギャウウウウン!』』』
ゲルマーネンたちが悲鳴じみた鳴き声を上げて、地面へと圧し潰される。
潰された体が一瞬復元し、ゲルマーネンたちは、なおも食い掛からんと一歩足を進めた。だが、二歩目はない。もう一度潰され、粉々になり、眼の赤い光が消え、それは二度と灯ることはなかった。
トリテレイアが攻撃の手を止めたとき、地表で動くものは何一つなく、塵となったゲルマーネンたちの体が、静かに風に吹き流されていった。
ついに、猟兵たちは、ゲルマーネンの大群という、巨大な敵を倒しきったのだ。
大成功
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