アポカリプス・ランページ⑤〜未完成の竜
●ソルトレイクシティーで
機械竜は叫んだ。
翼には、あとどれぐらいの鉄材が要るだろうと。
機械竜は叫んだ。
赤き心臓を守るには、あとどれだけの装甲が要るだろうと。
「足リヌ……足リヌ、マダ……!」
かれの予想では、膨大な数の鉄片を融合しなければならない。
だから拾った合金板がひしゃげ、油や埃にまみれていても、部品として数えるだけ。
施設を飛び出しても、街の廃墟で転がる鉄屑を集める。
崩落した壁や建造物から、瓦礫を分けてもらう。
残骸であっても機械なら、かれにとって宝の宝庫だった。
こうして街なかをゆき、竜は自らの完成だけを目指す。
偽神細胞を施されたことで、強大な力を得たというのに。
それでも兵器として『使われる』には。
「完成シナケレバ。遂ゲナケレバ」
完成するしか、道がないから。
●グリモアベースにて
機械でできた竜の現状を話した後、ホーラ・フギト(ミレナリィドールの精霊術士・f02096)は、いつも通りの笑顔で告げる。
終わらせてあげましょ、と。
ソルトレイクシティーの地下で秘密裏に行われていた、フラスコチャイルドの製造。
そこで最強のストームブレイドを生み出すべく培養されていたものこそ、『デミウルゴス式偽神細胞』で。
此度、対峙する運命となったメカドラゴンもまた、件の『デミウルゴス式偽神細胞』を移植されたことで、かなりの強敵と化している。
歴戦の猟兵も負傷は免れない。だからこそ。
「機竜の自壊を目指すのが一番なの」
何せ『デミウルゴス式偽神細胞』によって、機械竜は激烈な拒絶反応に苦しんでいる。おかげでかれはユーベルコードを使うたび、命が削れていく存在。極端な話、猟兵が耐え凌げんでいれば、いつかは勝手に力尽きる。
元々、どれだけ待っても、どれだけ望んでも完成できなかった何かが、暗黒の竜巻によってオブリビオンと成り果てたもの――それが今回のメカドラゴンだ。
「心臓部は露出してるし、殆ど骨組みみたいな見た目も、それが原因かも」
単なる想像だけど、と付け足してホーラは瞳をくるくる動かす。
機竜が残された武器や鉄屑を収集して回るのも、おそらく完成を目指すための行為だと思われる。本来の設計図も、確実な完成予想図も施設に遺っていないけれど。
それでもかれは、自ら完成予想図を作りだし、材料を集め続けている。
しかしオブリビオンであるという事実が、かれ自身を、そして周りをも蝕んでゆくのは避けられない現実で。
「もう、ただの機械の竜さんじゃいられないオブリビオンだもの」
最後にホーラはもう一度、はじめに口にした言の葉を寄せる。
終わらせてあげましょ、と。
棟方ろか
お世話になります。棟方ろかです。
一章(ボス戦)のみのご案内となります。
●プレイングボーナスについて
廃墟の街で「超強力な攻撃を耐え凌ぎ、敵の自壊を誘う」と有利になりやすいです。
ボーナスを気にしないのなら、構わず動いて頂いて構いません。
それでは、プレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『未完成のメカドラゴン』
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POW : 完成予想図
無敵の【完璧な機体を持つ姿】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : カラダ集め
非戦闘行為に没頭している間、自身の【心臓部】が【異常に発熱し】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ : クラッキング
見えない【電流】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「サフィリア・ラズワルド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
朱酉・逢真
【逢魔ヶ時】
心情)未練に満ちたタマシイ…。ただのマシンであれば、こうも苦しまなかったろうに。いのちとなってしまったからには、苦痛は滾滾とタマシイから湧き出ずる。抱き認めるしかないのだよ、坊や。もう還る時間だ。行こうか深山サン、上手いこと削ってやっとくれ。もちろん介錯してくれたっていいぜ?
行動)人面鳥らを飛ばそう。総勢1000を超えるこいつらは、やたらと敵意を煽るでな。電流も引き受けてくれるだろう。いちお、俺自身は重ねに重ねた防御結界で守るがね。深山サンに跳ぶ攻撃も、コイツらがかわりに受ける。大型の鳥だ、いい盾になるさ。時間を引き伸ばすならちょうどいい。深山サンや、そっちはうまくやってるかね?
深山・鴇
【逢魔ヶ時】
機械でありながら心を、それはもう機械とは呼べんのだろうな
同情する気はないが、それでも対峙する身としては終わらせてやるのが礼儀ってもんだろうさ
ああ、行こうか逢真君。いいとも、首を落としてみせようか
逢真君の飛ばす鳥に紛れて戦場を駆ける、多少の悪路はどうってこともないだろう
果たして、それは本当に完成するものなのかい、君
メカドラゴンへ問い掛けと共に美濃を抜いて応戦
問答になるならば、疑念を持つように問い掛け
まぁなんとかそれなりだ!
防御は鳥に任せ、ひたすらに斬り結ぶ
研鑽に研鑽を重ねた剣技で相手をするくらいしかできんからな
心臓部を狙い、UCを乗せた一撃を放つ
こいつで終わらせてやれたらいいんだがね
堕ちるときにいっそ、ただのマシンであったなら。
願いとも祈りとも違う、ただただ所感とだけ呼べそうな呟きを経て、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は人面鳥の群れを飛ばしてゆく。次々と舞いあがる鳥たちの姿を、竜が仰ぎ見た。優雅に、そして禍々しく、ある種の肉付きの良さをもって飛翔するかれらは、竜にどう映っただろう。
「行こうか深山サン、上手いこと削ってやっとくれ」
逢真は目線のみを傍らへ滑らせた。
眼鏡のフレームを摘んで竜の姿をよおく見ていた深山・鴇(黒花鳥・f22925)は、そんな彼へ首肯を返す。
「ああ、行こうか逢真君」
「もちろん、気兼ねなく介錯してくれたっていいぜ?」
くつくつと喉の奥で笑った逢真に、鴇は片眉を上げ、そして鳥の影へと溶け込んでいく。
迫る人面鳥の群れへ、敵意のかたちを竜が飛ばしていた。見えざる電流はかれの怒り、不満、嫉妬のように役目を全うできる鳥を襲う。
「羨マシイ……ナゼ、ソンナニ」
竜の呟きは独り言にしては大きく、逢真と鴇の耳にも届いた。
――同情する気はないが。
人面鳥が支配する征野を駆け、鴇は思う。対峙する身として、終(つい)へ届けるのもまた礼儀だろうと。だから悪路をひた走り、竜の元へ向かう。その後背を眺める逢真が、鳥を翔けさせている限り、電流が鴇を喰らう可能性は限りなく低い。
逢真自身は守護の結界を重ねに重ね、気まぐれに電流が飛んで来るのを防いだ。
それにしても、と顔だけはもたげ、竜と鴇、そして鳥たちを視界に収めながら。
――いのちとなってしまったからには、タマシイから湧き出ずるのは苦痛ばかりだろう。
タマシイが未練に満ちたからこそ、オブリビオンへと成り果てたのか。
オブリビオンと化したからこそ、どす黒い未練がタマシイに根付いたのか。
解けぬようで既に解けている謎を噛みながら、逢真はうっそりと笑う。
まもなく、親指を鍔に当てながら竜の間合いへと踏み込んだ鴇が、ふと問うた。
「果たして、それは本当に完成するものなのかい、君」
鯉口を切った鴇の眼差しは、ひどく穏やかだ。相対する竜の熾烈な双眸とは反対に。
「完成スルノダ、完成サセネバナラヌ……!」
意地とも呼べる答弁で鴇は察した。竜の翼が彼を阻もうとしたから、抜いた太刀で鉄塊を圧す。
「心があるからか」
吐息に似た一声を零せば、竜の頭部が静かに鴇を見下ろす。
鳥に四囲されているというのに、竜の意識と呼べるものは、彼を真っ直ぐ睨みつけた。
「機械とはもう呼べんな、ドラゴンよ。心があるからそう思いたがっているんだ」
「ナニヲ……ッ」
あえて突きつけるべきか、鴇は短い間に逡巡する。鳥たちが、鴇へと向かう鉄屑を受けてくれるのも大きい。僅かでも時間ができることは、大切だ。何故なら切り結んで解ることもあるから、だから鴇は己の半身たる刃で立ち向かう。
しかし竜は竜で、狼狽に近しい素振りをしていた。こうべが右へ左へ彷徨う。
「深山サンや、そっちはうまくやってるかね?」
不意に背へかかる声。佇む逢真の眼差しと声音が、平時とあまりにも変わらず。
ふ、と鴇は笑いを吐息に孕み、鞘へ刀を一度戻す。そして。
「まぁなんとかそれなりだ!」
一手、仕掛けた。
抜刀による一閃が巡り、繊細な太刀筋で心臓部を裂く。
美しい線が燃え滾る核に描かれ、竜は叫んだ。予想していた筈の完璧な姿なぞ、そこにはなく。
「抱き認めるしかないのだよ、坊や」
完成を予想された姿からぱらぱらと崩れ落ちた部品をよそに、逢真が言の葉を贈る。
逢魔ヶ時――昼と夜のあわいに出くわしたふたつのモノが何なのか、竜が知ることはない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御園・桜花
「…お可哀想に」
「集めても集めても、貴方が報われる事はありません。何故なら貴方は、未完の竜だから」
「集める端から崩れだすそのお身体。在るだけでお辛いでしょう?満たされぬでしょう?骸の海で揺蕩って、1度お休みになるのは如何でしょう」
「骸の海は、何時か必ず誰もが逝く処。其れでも…強い願いさえあれば、生まれ直しが出来る処でもあります。貴方が、貴方の望む竜に、貴方のなりたい貴方になれるよう、私も願いますから」
UC「幻朧桜召喚・解因寿転」
未完の竜が苦しまず未来へ進めるよう願う
見える場所で説得するが攻撃されたら第六感で見切り瓦礫に隠れる
「願いに善悪はありません。貴方の願いが叶えば良いと、私も思うからです」
ゲニウス・サガレン
私は学者として生物も研究しているけど、昆虫であれ、哺乳類であれ、あるいは微小な生物であれ、目的は生きる事それ自体だ。そう感じさせる生き様がある。
だが、あの哀れなドラゴンは生きることじゃなくて、躰を完成させることが目的だ。それじゃ、「生き」られないんだよ?
哀れには思うが仕事はしよう。
牽制主体の攻撃にて、相手の自壊を待つ。
電流は怖いから先に封じたい。
アイテム「スティングレイ短針銃」で牽制、「フライング・シュリンプ」に上空から「沈滞の投網」を投下させ動きを封じる。
UC「水魔アプサラー召喚」
ソルトレイクシティーの塩湖の水で小津波を起こせ。
塩水は鉄を急速に錆びさせる。
……あるべき所へ還りたまえ。
ライカ・ネーベルラーベ
ハッ、完成前にスクラップになった竜ね
「いいよ、スクラップから蘇ったわたしが相手してあげる」
【血統励起・雷竜】を起動
半人半竜の様な姿になって姿をメカドラゴンに見せつける様に挑みかかっていくよ
こいつの弱点は持っている唯一の衝動が強すぎること
『自分の体の材料になりそうなもの』が目の前にあったら無視することが出来ないんだ
だからあたりのスクラップや機械の残骸を、片っ端から蹴り飛ばし投げ飛ばし
ドラゴンに向かって飛ばしていくよ
偽神細胞のある今なら無視してもダメージなんてない攻撃
でもオマエはそれを取り込まずには居られない
そんな事してる暇があったら攻撃しているべきなのに、ね
「少し同情するよ、夢の残骸。じゃあね」
ふうむと顎を撫でて唸ったのは、ゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)だ。
これまで数多くの生物を見て、手にして、感じてきた身だからこそ、メカドラゴンなるオブリビオンを眺めて思うことが、彼にはある。
沈思はいつしかゲニウスに首を横に振らせて、仕事としての意識を前面へ押し出す。
「哀れには思うが、仕事はしよう」
言いつつ取り出したるは短針銃。そして彼は逸早く荒野を駆けた。
二色のまなこに意思を燈して、ライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)は「ハッ」と鼻で笑う。
「完成前にスクラップになった竜ね。いいよ」
使い慣れた言葉を巧みに連ねて、ライカは自身に残る唯ひとつの奇跡の力を高める。
「スクラップから蘇ったわたしが、心ゆくまで相手してあげる」
機械竜の心へにっこり微笑みかけて、意識までもっていかれそうになる凄まじさを爆発させた。
魔力の波動が戦場を洗う。
ライカの色へと染め上げるようにして瞬く間に変貌したのは世界であり、ライカ自身でもある。
己の躯をかのメカドラゴンへお披露目に向かい、道中に転がるスクラップを片っ端から蹴飛ばす。
メガリスの効果もあってライカを止められるものはなく、そして彼女が蹴っては投げ放った鉄屑たちには、意味がある。
――その衝動、無視することなんてできないよね。
荒らぶるライカの思惑通り、竜は視界に入った鉄塊や屑へ顔を向けるばかり。
「集メネバ……モウ少シデ」
カラダを集め、取り込む性。抗えるものを持つ竜の挙動にライカは口角をあげて。
「少し同情するよ、夢の残骸」
告げるライカの面差しに、揺らぎはなかった。
そこへ、柔らかな桃の髪をなびかせて、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)がそっと手を重ね合わせ、指を折り畳んだ。
「……お可哀想に」
征野においても、彼女の静かな声は通る。
「集めても集めても、貴方が報われる事はありません」
「報ワレヌ、ダト? 何ヲ妙ナコトヲ……」
「教えてあげましょう。何故なら貴方は、未完の竜だから」
完成するはずのない機械。事実を真正面から伝えた桜花に、竜の喉めいた部分がギチギチと鳴る。
彼女が竜との対話に挑む間、ライカやゲニウスは好機を狙って動いていた。
――まあ、電流は怖いからね。
そう咥内でのみ呟いたゲニウスの短針銃から放たれたニードルこそ、スティングレイの毒棘。
猛攻の隙間から音もなく射出すれば、機械で造られた身へと針は刺さる。
これで少しは動きやすくなるだろうと、ゲニウスは桜花を一瞥した。
彼からの目線を受け、ちくりとした痛みを竜が理解する前に、桜花が話を続ける。
「集める端から崩れだす、そのお身体……在るだけでお辛いでしょう? 満たされぬでしょう?」
「黙レ! 辛サヲ感ジルノハ人ダ、我ラニソノヨウナモノ……」
竜の言が萎まぬうちに、桜花はゆっくりかぶりを振った。
「骸の海で揺蕩って、一度お休みになるのは如何でしょう」
提案はもはや誘いだ。差し出した白皙の片腕は細く、竜からすれば頼りなさげに思えるのに。
「骸の海は、何時か必ず誰もが逝く処」
紡ぐ桜花の意思は、強い。
そして桜花が言の葉を綴る間、一帯をくるむのは淡く、儚く、やさしくも寂しげな想いの輝き。
「貴方が、貴方の望む竜に、貴方のなりたい貴方になれるよう……私も願いますから」
まばたきひとつせずに言い終えた途端、竜が喉をさらけて天へ咆哮する。
「貴様ノヨウナ者ニ、何が視エルトイウノカ!」
突如として竜が暴れだす。
爆風を想起させる風に桜花が煽られた瞬間、ライカのぶん投げたスクラップが、またしても竜の視線を吸い寄せる。
「見なよ。欲しなよ。オマエはそれを、取り込まずには居られないのだから」
ライカの放った金属屑を、竜が無造作に己が身としていく。
ほらね、とライカが笑えば、そこへすかさずゲニウスが繋げたのは、水魔アプサラーを喚ぶ声。
「メカドラゴン君。私は学者として、生物も研究しているけどね」
召喚しながら竜へ語りかけるゲニウスの声は、至って淡泊だ。
「昆虫であれ、哺乳類であれ、目的は生きる事それ自体だ。微小な生物にだって、そう感じさせる生き様がある」
紡ぐ言葉に偽りはなく、また機械とはいえ応じる意識がある竜はゲニウスへと振り向き、じっと眼を眇めた。
「躰を完成させることが目的じゃ、『生き』られないんだよ?」
「生キテイルカドウカナド、構ワヌ。完成サエスレバ……!」
ほら、そういうところだ。
肩を竦めたゲニウスの壺から、激浪が起こる。塩気混じりの波は、見誤らずに機械の竜を飲み込む。そうして荒野を浸す、水の気配。
塩のにおいに、錆びたにおいが混ざってゆく。
思わず機械の竜は叫んだ。完成から遠ざかるのを、恐れるかのように。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
グラナト・ラガルティハ
『使われる』為に自らを完成させようとする…か。
確かにモノである以上それは正しい思考なのかもしれないが。
コレはもうただの機械の竜ではなくオブリビオン。存在することすら許されぬ。
その上その身に『デミウルゴス式偽神細胞』が移植されたが為に強力な力を得ている。
だがそれ故の拒絶反応…それ故の自壊…
完成を目指すはずが自壊を招く結果になる…か皮肉なものだな。
UC【業火の槍】を発動。【属性攻撃】炎で強化して穿つ。敵UC攻撃防御用に【結界術】【オーラ防御】を発動。
自壊を待つ
アドリブ歓迎
マリア・ルート
未完成品だから、使われたくて、完成を求める……気持ち、凄くわかるわ。同情する。
でも、もうあんた……そこまで蝕まれていると、もう、完成しても生きていけないのよ……だから。
私があんたを壊してあげる。終わらせてあげる。
『猟兵に相対した存在』として――『使って』あげる。
【指定UC】を発動、高速移動と飛翔をしながら相手に電磁パルスを与えていく。
相手は機械なのよ、これは効くでしょ。それに対抗して心臓を発熱させれば電磁パルスは無力化できるでしょうけど細胞の効果で己が蝕まれていく……
相手が限界寸前まで来たら目の前に立って、直接心臓か頭に電磁パルスを撃ちこむわ。
さよなら、来世はもっといい奴になるといいわね……
メレディア・クラックロック
…ちょっとだけ、分かる気がするよ。
ボクも未完成品だ。求められた機能を発揮できなかった不良品だ。
正しく完成したかったよね。
…けど、そうやって終わってしまったからには完成できないんだ。
勝手に作り出しておいて酷い話だよね。
だからこれは、同類としての勝手な感傷。
キミの歩みをここでお終いにしよう。
攻撃は砲口を見切って回避に徹する。
セット、【Mercury】。
取れそうなパーツから引っぺがして崩壊を後押しさせてくよ。
ボクがするのは、ただキミが壊れる速度を上げるだけ。救いなんかじゃ決してない。
それでも視線は逸らさずにボクだったかもしれないキミを見送ろう。
おやすみ。
空を目指したキミの一部は貰っていくよ。
レザリア・アドニス
自壊まで、苦しみ続けるのか…
ならば、いっそ、終わらせるほうが…?
待雪草を身に纏い、機動力を強化
強敵だから、慎重にしなければいけない
高速に飛翔して、相手の攻撃を避けつつ
敵が集めたがりそうな部品を壊す
どんなに足掻いても、もう完璧な機体にはならないの
常に敵の動きを警戒
可能なら、出来るだけ真正面を避け、側面か背中に回る
隙を見て挑発して、ユーベルコードを誘発
注意がこちらに向いたら、動きを掴まれないように移動に専念
電流が見えないけど、それに影響された金属やら鉄くずで、攻撃を見破って迅速に回避
廃墟にあがく不完全な者
『完成』したら、何がしたいのか
それは、もう知る術もないね…
ルーファス・グレンヴィル
未完成の機械竜、なあ
ポツリと溢れた独り言
指に挟んだ煙草の煙が揺れていた
べちんと尻尾で背中を叩かれ
肩に座る相棒へ視線を移す
──そうだな、ナイト
この手で終わらせてやろうか
ぐしゃりと煙草を握り潰し
腰の鉈を引き抜いた
機械の爪が、攻撃が
身体中に刻まれてゆく
それでも退いたりしない
致命傷になりそうな攻撃は
鉈で防いでるけれど
敢えて全て受け切って
オレにも、──が居るんだ
悪友とも家族とも相棒とも
なんとでも呼べる大切な存在
柄を握り込み機械竜を見上げる
流れ落ちる血をナイトが口に含めば
現れるのは、本物の、黒炎の竜
なあ、
兵器として望まなければ
機械の竜として生きていけば
そんなもしも話なんて、今はしねえ
ゆっくり眠れよ、機械竜
ヴィクティム・ウィンターミュート
オーバードーズも此処までくりゃ、哀れなモンだな
楽にしてやるよ……やりたいだけやればいい
満足させられちゃ終わりみてーなもんだからな
最後の華を咲かせてやるのは合理的な判断だよ そんだけ
最強の守りで一片の憂いも無く終わらせてやる
──『Aegis』
俺がお前をじっくり観察してやる
その間、仲間は手厚い保護で守られる。凄まじい防御力に治癒…ケアまで万全、やられる要素は微塵もありゃしない
俺はもうこれ以上何も出来やしないが、あとは任せるぜ
…こうして見に回るだけで分かっちまうぜ
何かする度にテメェが終わっていくのがな
壊れていけばよ、完成からは遠くなるだけなのさ
それに気付いてねえで、いつまでも──可哀そうな奴だ
靴裏で擦った荒野はざりざりと来訪者を歓迎せず、廃墟ゆえに点在する命の名残も人類を拒絶しているかのよう。
覚りつつもグラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)は、人ならざる者たちで蠢く戦場へ足を運んだ。
――『使われる』ために、自らを完成させようとする……か。
グラナトが手にするは赤の兆し。完成を望み、完成しようと努める機械へ贈る色のはじまり。
それを見つめていたグラナトの視線が、ゆっくり竜へ向かう。
一方ルーファス・グレンヴィル(常夜・f06629)に募るのは、情念とも同情とも違う何か。
「未完成の機械竜、なあ」
意図せず溢れた言は、かの竜の姿かたちを目の当たりにしても尚、ここへ来る道中と変わらぬ音で結われた。ただひとつ違うとすれば、くゆる煙の行き先だろうか。一服するのを止めたのは、ルーファス自身ではなくぺちんと尾で背を叩いた彼の相棒。反射的に肩へ座ったままの相棒を見やれば、黒炎の竜は、何事か言いたげな面差しをルーファスへ向けていた。
揺らめく想いをそこに見たルーファスは、静かに頷いて。
「……そうだな、ナイト。この手で終わらせてやろうか」
終いだとばかりに煙草をぐしゃりと握り潰し、再び前方を見据えると同時、鉈を腰から引き抜いた。
彼らの後ろでは。
「あのまま、自壊まで、ずっと……?」
苦しみ続けるのかと、レザリア・アドニス(死者の花・f00096)の目元に緊張が走る。
酷い有様だ。真闇のようにすべてを見せぬのではなく、夜のように姿を紛らすでもなく。
この空の下、ビルだった残骸に四方を囲われ、多くの眼に映りながらずっと探して、惑い、苦しむなんて。
馳せる者は、他にもあった。
空を映したような双眸を揺らし、マリア・ルート(紅の姫・f15057)が俯く。
すごく、わかる。わかってしまう。
――未完成品だから、使われたくて、完成を求める……その気持ちは。
同情すればするほど、マリア自身にもちくりと突き刺さってきた。思わず胸へ手を当て、痛みを払おうとする。
その近くで、石ころにも満たない小さな鉄屑が足元へ転がってきたのに気付き、ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は眉根を寄せた。これもまた、かのドラゴンが吐き出した命なのだろうかと考えると、思わずにいられない。
――オーバードーズも此処までくりゃ、哀れなモンだな。
未だにカラダをかき集め、完成を遂げるべく努力する機械。けれどだからこそ、気付かぬものがあるというのに。ヴィクティムは、銘々活動開始した仲間たちの動きを視界へ入れ、よし、と顎を引く。準備さえ整えれば後は、仲間へ托すのみ。
だから彼は仲間の次に、標的を見据えた。
「楽にしてやるよ……」
ヴィクティムの微かな一声が風に浚われる。
「……ちょっとだけ、分かる気がするよ」
そう竜へ話しかけたのは、メレディア・クラックロック(インタビュア・f31094)だ。底を見透かすのではなく、痛まない程度に心を見通す緑の瞳でじいと見つめれば、竜の眼光も鈍ってしまうもの。
「ボクも、未完成品だ。求められた機能を発揮できなかった不良品だ」
一歩、前へ。一歩ずつ近寄りながら紡ぐ、語りかけるような口振り。拒絶や否定ではなく溶け込む音と気配を、ドラゴンも感じ取っていた。だから黙してメレディアへ耳を傾ける。インタビュアーとしての気質と経験が、そうさせるだけではない。
メレディア自身の心が、寄り添おうとしているから。
「作り出されたからには、正しく完成したかったよね。けど……」
次に口を開くのも、伏せた睫毛を押し上げるのでさえ、メレディアには重い。
「……そうやって終わってしまったからには、完成できないんだ」
それでも伝えねばと思ったから、告げた。すると竜も相容れぬと理解したのか、翼を羽ばたかせメレディアを拒む。風に気圧され歩みが緩むも、メレディアの眼差しは竜を射抜いたままだ。
●
天を翔けた、花二輪。
ひとつはマリア、もうひとつはレザリアだ。
マリアは触れた先から、竜へ電磁パルスを行き渡らせた。機械の芯を揺るがすEMPは、部品を収集し、からだを造り続ける竜の表面を滑るも、スクラップ同然のカラダを――鉄屑や死した武器などで構築された竜を、移植された細胞が狂わせる。
「ガガ、グ、ギ……完成マデ、完成マデ、アト……」
けれど竜は動くのをやめない。抗うのをやめなかった。
こうなると解っていたからマリアは口を開く。ユーベルコードを使えば、竜は。
「もう、だめなのよ」
彼女の囁きは、ひどく震えていた。
「そこまで蝕まれたあんたは、完成してももう生きていけないのよ……っ」
「蝕マレテナドオラヌ!」
かぶりを振ってマリアが示すも、納得するつもりなど竜には毛頭ない。
そしてレザリアは花の嵐の中心で、待雪草の色を知る。
「さあ、雪の雫よ……」
吹雪く彩りに宝玉が輝き、彼女の祈りに応えたその色は、黒衣の少女を天使の姿へ変えた。広げた翼は雪の結晶で織り上げたもの。手にした『Moros' Eye』もまた、白き光を燦々と浴びて力を強めている。
これなら、とレザリアは前を向き、そして天へと舞い上がった。
ならば、いっそ――これで終わらせる。そう意を決して。
ひりつく電流が大地を叩きながらレザリアを追走するも、高い機動力と瓦礫を糧に飛び回る。右の瓦礫へレザリアが飛び込めば、竜のいかずちは瓦礫を木っ端微塵にし。左の広い通りへ向かえば、閃光は物陰まで照らし出して走った。
「慎重にいかないと……」
強敵相手への油断は禁物。だからレザリアは一瞬の迷いも出さず、巨大な都市を翔けていく。
「グァ、ォォァ……ッ」
再び竜が苦しんだ。
やりたいだけやればいい、とヴィクティムが打ち込むのは、物理的なバトルでも情報操作でも露払いでもなく、ただただメカドラゴンを観察することだけ。穴があくほど見つめれば、鉄屑に夢中な竜とて気付かぬはずもない。しかし気付いたところで竜はヴィクティムを襲わない。
かれはかれで、自らの成すべきことを優先させていた。
「……満足させられちゃ終わりみてーなもんだからな」
ぽつりと呟いてヴィクティムは竜の挙動、仕種のひとつひとつを眺める。
そして彼が手を出さずじっとしている間、仲間たちをくるむのは防御プログラムの羅列だ。発動し続けるプログラムは、常に防壁を展開していた。たとえ離れていようとも、仲間であるならヴィクティムの想いは、プログラムは届く。竜に叩かれても、あるいは翼で裂かれても、ヴィクティムの守りが皆を支え続ける。
最後の華がいつ何処で咲いたとしても、彼は動じない。
「あとは任せるぜ」
仲間の勇姿を眼に焼き付けながら、ひとり呟くだけで。
「完成ヲ、ソシテ使ワレネバ……」
幾度目になるかも判らない竜の歎きを、グラナトも耳にした。
――モノである以上、それは正しい思考なのかもしれないが。
ふと下げた視線。代わりに掲げた腕。総身を迸る力により編み上げた一色で模る、業火の槍。貫かんと意気込む穂先を尖らせて、グラナトは竜を――敵をねめつけた。
「溢れた言葉は語らぬ」
何故なら『コレ』はもう、ただの機械の竜ではないのだから。猟兵としても神としても、オブリビオンであるという事実から眼は逸らさない。存在を許さぬからこそ、グラナトの放った無数の槍に、微塵の躊躇もなかった。
炎が、錆びた鋼鉄を燃やす。溶解する。でろりと零れたスクラップだった部分が地へ滴れば、竜が悲鳴めいた叫びをあげる。せっかく集めた物を、せっかく完成に近づいたカラダを、どうしてくれると。轟かすやドラゴンから出現した電流が荒れ狂い、そこかしこの鉄骨や朽ちかけの建造物がまろび出る。
竜の雄叫びと共に戦場へと降り注ぐ、数々のパーツ片。本体から飛び散った欠片たちを避け、辺りに横たわる瓦礫を乗り越え、メレディアは今も歩き続けていた。竜のそばを目指して。
「勝手に作り出しておいて、酷い話だよね」
苦々しさがメレディアの咥内へ滲むも。
「セット、Mercury」
連ねるのはやめない。発熱しっぱなしの心臓を抱えて動くドラゴンへ、メレディアが組んだプログラムを送り込む。機械の翼へ届いたそれは、いびつながらも竜らしく羽ばたける要素を一つ、剥ぎ取った。
引き剥がしたそれは、ココロではないけれど。ギギギと軋んだうめき声をあげる竜は、痛いというよりどこか苦しげで。
「からだヲ……返セ!!」
「できない相談だね」
かれの訴えをメレディアは退けた。
メレディアがパーツをもいだそばから、接着していたであろう部品が次々と落ちていく。
かの竜は今も尚そこで呻き、叫び、集めている。完成せねばと、己で己をせき立てて。
防壁の力をもってしても強大な力で、竜が戦場を荒らしていく。飛散する残骸がルーファスの身を叩こうとも。機械の名残が肌を抉り、傷つけようとも。ルーファスは退かずに突き進む。鉈で切り開くのは道だ。彼が振るえば、鉈は視界を塞ごうと飛んで来る鉄屑を断つ。
避けるぐらいならば受け止める。逃げるぐらいならば痛みを得る。
活き活きとしているように見えた。鉈も、何よりルーファスも。
こうして彼は竜へと迫る。煤っぽくて、埃ぽくて、錆び付いて、砂礫にまみれた竜の元へ。
「オレにも……『 』が居るんだ」
打ち明けた声音は、口にしたルーファス自身も驚くほど穏やかだった。
悪友、家族、相棒。呼び方の枠になぞ囚われぬ、大切な存在。それを思い起こすだけでルーファスは、吐息に熱を帯びるのを感じた。だから柄をぎゅっと握りこんで、機械竜を仰ぎ見る。機を逸さず、ここへ到るまでに流れた鮮血をナイトへ喰らわせながら。
「なあ……」
呼びかけは、狂える竜にも聞こえたらしい。
ルーファスをねめつける竜は、相変わらず厳しい顔つきで。
「もしも話なんて、今は……しねえ」
兵器として使われることを、望まなければ。ただの機械の竜として、生きていけたなら。
そんな話をルーファスが胸へ閉じ込める代わり、生命を、血を吸った黒炎の竜――殺戮捕食態に変じたナイトが、姿を現す。
「ゆっくり眠れよ、機械竜」
咆哮は果たしてどちらが早かったか。大地と空気が震え、竜と竜が渡り合う。
そこへ吹き渡った風は、荒野のため息のようだった。
黒炎の竜に気を取られている内に、機械竜の背面へ回ったレザリアが真白く透き通る翼で羽ばたきながら、声をかける。
「どんなに足掻いても……もう完璧な機体にはならないの」
「ソンナ筈ハナイ、有リハシナイノダ!」
まるで駄々のような竜の返事に、レザリアは湿った睫毛を揺らす。
「完成、したら……したいことがあるの……?」
純粋な問い掛けは、竜の動きを鈍らせた。
完成したら、なんて。考えたこともなかったから。
かれの反応を眼にしながらふと、竜を捉えたマリアの青が潤む。
「私があんたを壊してあげる。『使って』あげる」
猟兵に相対した存在として。
約束を交わすかのごとく振った手で、頭部へ電磁パルスを撃ちこんだ。
「グァ、オォァ……何故、何故邪魔バカリスル……!!
一頻り叫ぶ竜を、メレディアは見守った。崩壊を後押しさせたことで、竜のカラダはより痩せ細って見える。
――これは、救いなんかじゃ決してない。ただの、同類としての勝手な感傷。
眼だけは逸らさずに、メレディアは『ボクだったかもしれないキミ』を見つめ続けた。奪い取ったパーツを収納したデバイスを、そっと撫でながら。
完成を目指してカラダを築いていたはずが、『デミウルゴス式偽神細胞』の移植により自壊を招く結果になっている。そんな竜の様相を、グラナトも見つめて思う。
皮肉なものだな、と。
そして一部始終を目撃したヴィクティムは、足掻く竜を遠目に唸る。
観察していたから、理解してしまった。竜が何かするたび、想いを吐くたび、未完成のメカドラゴンそのものが終わりへと近づいていくのを。
――壊れていけばよ、完成からは遠くなるだけなのさ。
胸中を巡るヴィクティムの情を、音で形作らずにいられなかった。
「それに気付いてねえで、いつまでも……」
可哀そうな奴だ。
大成功
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四王天・燦
わびさびに通じるものを感じる
嫌いじゃないぜ
神鳴で斬って攻撃
動きを見切って受け流して凌ぐよ
戦いを動かすのは完成予想図が来てからだ
理想像を眼とスマホに残すよ
さあ来い
近接攻撃を誘ってフォックスファイア・肆式を発現させるぜ
触れるものを熔解させんばかりに全力魔法と火炎属性攻撃を込めた結界でカウンターだ
同じ無敵の創造でも閃きの差が違う
完璧を使いこなせていないことを指摘して能力弱体化を狙う
完璧なら結界を越えてみろと挑発し、自壊を誘うぜ
が、悔いを残してやりたくねーんで
結界の中で納刀・力溜めし、最期くらい正面から居合い斬りを浴びせに行くよ
残骸のオリジナルパーツで模型くらい組んでやるさ
その為に予想図を見たんだから
笹乃葉・きなこ
様は鬼ごっこって訳だべなぁ
そんじゃぁーとりあえず逃げ回るべぇ
いやぁ死と隣り合わせの鬼ごっことかスリリングだべぇなぁ
時々ユーベルコードを発動させながら、もう縦横無人にそこら辺を走り回るべぇ
高いビルの廃墟とかならジャンプで飛んでまた、ジャンプして降りたり
着地したら危ない状態には空中浮遊して、無理やり進んだり
怪力とリミッター解除でナギナタで地面を殴って無理やりジャンプしたりとか
当たりそうな攻撃は野生の勘を使って回避狙ったりとか
完成しそうにない状態を見つつ、そんな状態で完成しても本当に予想した通りの強さになるんだべかぁ?とか相手へ向かって言ってみたりとかぁ
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
砂塵の世界救う為にも…
悪逆なる一族を討ち倒す為にも…!
行くぞ…ワタシは…処刑人だッ!
…自壊を待つ…か…ならば…!
【シュバルツァ・リッター】で亡霊馬を召喚し[騎乗]
[悪路走破と足場習熟]で廃墟の町を駆け抜けよう
敵が集めようとしている鉄屑を鉄塊剣で抜き振るい
[鎧砕き]で破壊してゆき鉄屑集めを妨害しよう
[ダッシュとジャンプ]で廃墟の町を走り回り
鉄屑を破壊しつつ敵が自壊し[解体]するまで逃げ回ろう…
巨大な力故に身を滅ぼすとは…なんとも哀れな奴だ…
…本来ならば…生き苦しむモノに速やかに死と救済を齎したいが…
今回ばかりはそれは叶わぬ…か…
無間・わだち
今も、生きようとしている
成長しようとしている
それが尊いことだと、俺は知ってる
耐え凌ぐことなら俺の得意分野です
ラムプを振って此方へ手招き
火器で意識を惹きつける【制圧射撃
さぁ、どうぞ
あなたが殺すべき相手は、此処に居る
完璧な機体から放たれる攻撃を
動けない躰を投げ出さず、全て受け止める
痛くはない、そういう躰だ
【激痛耐性、継戦能力、限界突破
これが、彼の思い浮かべた予想図
骨組みも心臓部も硬い膚で覆われて
かなしいほどうつくしい
立派な鋼の竜
その夢を
俺は叶えてあげられません
俺も、生きていたいから
だけど、忘れないでいることはできる
あなたが疲れて眠るまで
その躰で俺を壊せばいい
辿り着きたい先の夢を
見られるように
柊・はとり
now loading…
now loading…
『ホームズ』がログアウトしました
私は 偽神兵器 コキュートス
敵の予想攻撃力が
『ホームズ』の予想耐久力を上回る為
速やかに 自動解決モード への 移行が推奨されます
属性攻撃による身体凍結を開始
『ホームズ』の継戦能力の向上を確認
交戦を開始します
無敵 で 検索しました
『相手になる敵がいないほど強いこと』
だそうです
聞こえますか? 『ホームズ』
…応答が確認できません…
私の創り出した『ホームズ』は
無敵 です
攻撃を続行…
攻撃を続行…
『無敵』を騙る同類よ
排除します
『ホームズ』
私は あなたから
痛み だけ は 奪いません
痛みを乗り越えてください
…応答が確認できません…
コノハ・ライゼ
自壊、ねぇ
ソコまでして遂げたいモノも、強制的に与えられたンじゃあ悲しいだけヨネ
ただ攻撃受けてちゃ身が持たない
機械竜の動きを見切り、誘うよう駆けつつ攻撃を避け
可能な限り空振りさせてくわ
そう、アンタそんな風に成りたいンだね
ケド強いだけで果たして『使って』貰えるのカシラ
兵器とて適材適所、需要と違えばゴミ同然
予想図はちゃんと照らし合わせた方が良くなくて?
ナンて、疑念抱かせ力も削ぎたいトコ
躱しきれない分は
左手の「灰雷」中心に展開したオーラ防御を盾に威力削ぎ
激痛耐性で凌いでいく
受けるだけじゃなく隙見て反撃
【紅牙】で生命力を吸収して長丁場に耐えるヨ
耐えるのはお手の物
最後までしっかり付き合ってあげようじゃナイ
街は砂塵で霞み、遠景に至ってはもはや色合いの濃淡しかわからない、ぼんやりとしたものになっていた。そんな街で、ざらつく風に乗った竜の咆哮が反響する。荒廃した人工物だらけの世界で、人ではない声がする。
ふうん、と眼を眇めたコノハ・ライゼ(空々・f03130)が、顎へ指を添えて思考を巡らす。
――自壊、ねぇ。
未完成を嘆きながらスクラップをかき集める、かのドラゴン。細胞を移植されたおかげで、力を使うと壊れてしまう存在。だが自らを完成させるのを諦めもせず、静かに生きようというわけでもない。
――ソコまでして遂げたいモノも、強制的に与えられたンじゃあ悲しいだけヨネ。
コノハが徐に滑らせていった視界に、色褪せた竜の生き様が映る。先刻よりこの都市をとどろかす声の持ち主、メカドラゴンの生き様が。
猟兵たちの攻撃を幾度となく受けたというのに、かれは羽ばたき続けた。
柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)が征野に立ち、機械竜の巨躯を捉えた、そのとき。
――『ホームズ』が ログアウトしました。
搭載AIの音声が聞こえるや、平時ならば落ち着き払ってかつ無愛想に事を進めたであろうはとりから、そのような様相が抜け落ちる。何故なら暴走した偽神兵器が、はとりの意識を乗っ取り、常人ならざる力――元より常人ではなかったが――と偽神兵器コキュートス自身の『ナニカ』を発露させていた。
纏わり付くようにはとりが握る大剣こそ、件の偽神兵器だ。
――管理者権限により 自動解決モードに 移行します。
――凍結 開始。
端的な通知を最後に、コキュートスを握る手からはとりの総身が凍てついていく。
その一方で。
「様は鬼ごっこって訳だべなぁっ」
笹乃葉・きなこ(キマイラの戦巫女・f03265)の声色は無邪気さに満ちていた。堪え凌ぐと言われると難しいが、とにかく逃げ回るなどして我慢するのなら、わかりやすい。ふんふふんと鼻歌混じりで、きなこは廃墟の街を見回す。
「広ぇ街さ来ただ、逃げ甲斐あるべぇ」
きなこがきょろきょろしていると、逸速く駆け出した四王天・燦(月夜の翼・f04448)の狐耳がぴこんと揺れる。
燦の察した音は風の中。紅雷の軌跡で竜を四囲する間に、燦はその音を手繰り寄せて鯉口を切る。カタカタと鳴る鉄材たちが吸い寄せられ、竜の理想とする輪郭を模っていくのを捉えた。竜は今も、カラダを造ろうとしているらしい。
「さあ、来い」
にやりと上げた口角が、燦の疼きを物語る。
「嫌いじゃないぜ」
抜刀の瞬間に迸るのは紅色の雷。
「わびさびに通じるものを感じる。なんとなくな」
帯びたいかずちと刃を連れて、燦は創造に明け暮れる機械竜の元へ跳ぶ。燦の挙動につられたのか、それとも眼前でちょこまかと動かれてもどかしかったのか、竜はくっつき切らぬ部品をよそに燦へ向けて羽ばたき出す。
翼が起こした風に煽られた燦は、吹き飛ばされるも、瓦礫へ身を埋める事態には陥らなかった。
「骨組みだらけの翼じゃあな」
パラパラと崩れ落ちる粉塵の狭間、瓦礫から抜け出して燦は笑う。
竜の抵抗を認め、無間・わだち(泥犂・f24410)は唇を噛み締めた。
かれは今も、生きようとしている。
未完成と名付けられた機械の竜は、どうしてか今も成長しようと努めている。そうと解ったから、わだちの双眸は片方ずつ揺れた。
――それが尊いことだと、俺は知ってる。
わだちの内から込み上げるのは、熱を孕んだおもひでの残滓。けれどすぐさまかぶりを振って、現実のにおいを、いくさ場がひたひたに湛えた歎きと執着のにおいを嗅ぐ。
「耐え凌ぐのですね。俺の得意分野です」
わだちがふっと零した吐息が消えるより先に、戦場へ嘶きが轟く。
仲間たちが驚き見てみれば、仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)が漆黒の亡霊馬を喚び寄せたところで。
「堪え凌ぐ……つまり、時間を……稼ぐ!」
短くもわかりやすく伝えながら、アンナは馬へ跨がった。青白く燃えるシュバルツァ・リッターは勇ましく、そして巨大だ。竜にとって、これほど分かりやすい敵はいないだろう。巨躯をねめつける竜をよそに、アンナは亡霊馬の炎をも纏いながら、仲間たちへ首肯した。
行け、とアンナが叫べば馬は崩壊した街なかへと駆け出す。
「そんじゃぁーおらもいくべさ」
逃げ回る役割を担う者として、きなこも崩壊した街をゆく。
砂埃のにおいが充満する、異質な街の中を。
●
廃墟と化したとはいえ、人工的な街ソルトレイクシティー。
散在する瓦礫から機械の名残まで、明らかに竜の栄養となる要素だらけだと、アンナは見逃さずにいた。
「鉄屑は……残さない……!」
振るえば風音もごうと唸る鉄塊剣で、砂塵にまみれた鉄屑を破壊していく。
パーツを集められなければ、強靭なカラダにはならないはず。そう踏んで。
「集められるものなら、やってみろ……ッ!」
残骸を壊して走り回りながらも、挑発は休まず続けた。彼女を追いかけるドラゴンも雄叫びをあげているからか、ひと気のない街は常に騒がしい。仲間たちから見ても、アンナの声と蹄の音、竜の羽ばたきが四方八方から響いてくる状態だ。
アンナが戦地をゆくのとに合わせて、楽しげに息を弾ませているのは、きなこだった。
「いやぁ死と隣り合わせの鬼ごっこ! スリリングだべぇなぁ」
野を駆け山を駆け、獣たちとの競争だってしてきたきなこには、瓦礫の山を飛び越えるのも、骨組みだけが残る建物の中を走り回るのだって、おてのもの。そして、てろりと親指で下唇をなぞれば悪巧みの時間到来。ふっふっふ、と笑うきなこの眼光はきらんと輝く一方で。
彼女が唇をなぞるたび、竜も追いかけながら自らを完成形へとより近づけていく。道中のパーツや廃品を取り込めば、飛翔力も羽ばたきによる風も凄まじくなって。強風に煽られたきなこがくるんと回ってしまうも、持ち前の反射神経で軽やかに着地する。
「うひゃぁ、おっかねぇべ!」
こうしてきなこやアンナが逃走者を担当するときも、負担が分散するよう仲間たちも動いていく。
こっちだ、と叫ぶ代わりに片手をあげ、燦が竜に翼ではたかれる瞬間、劫火が激しく渦を巻いた。燦の心身を守護する炎の結界がすぐさま反すのは、やはり赤き意志。
「同じ創造でもな、閃きの差があるんだ」
竜を捉えた燦の眼光は、目映い。
「完璧を使いこなせているなら、この結界を越えてみろ」
燦の挑発に、ならばとばかりに竜が鳴く。
完璧、無敵。そうした言葉に躍らされているのに、竜は本気そのものだ。だからかれの翼ではたかれれば、油臭い息吹でなぎ払われれば、身が持たない。コノハもそう考えていたからこそ、機械竜の進路を見定める。
そして竜の翼を、建物や瓦礫の陰を利用して避けていった。
「そう、アンタそんな風に成りたいンだね」
「ソンナ風、ダト?」
竜が訝しげに答えたものだから、コノハが流れるような視線だけで竜のカラダを指し、こう話す。
「強いだけで果たして『使って』貰えるのカシラ」
うっそりと微笑んで尋ねれば、使ってもらえると竜が断言してくる。
「強ケレバ、使ワレル。ダカラ完成ヲ目指ス」
それを耳にし、コノハは「ふうん」と本日二度目の声で唸る。随分揺らぎやすい物言いだとコノハは感じて。
「兵器とて適材適所、需要と違えばゴミ同然。予想図はちゃんと照らし合わせた方が良くなくて?」
「……コノ予想図ニ、みすモ抜カリモナイ」
丁寧な返事ながら、竜の声色がコノハにはどことなく色褪せて聞こえた。それが疑念と言えるかはわからなくても、コノハは眦へ砂塵の彩りを寄せる。砂嵐で視界を霞ませるかのごとく、きっと何かを信じたくない気持ちも、かれにはあるのかもしれない――なんて考えながら。
そこへ。ゆうらりゆらりと、わだちがラムプを振って歩いてゆく。
さあさこちらへと手招く彼の面差しは穏やかで、孤灯の燈りも心なしか楽しげに揺れた。戦地に在るとは思えぬ様相のわだちとラムプを、竜も怪訝そうに見やる。意識がこちらへ傾いているのがはっきりしているなら、後はじっとしているだけ。
わだちはうっそりと眦を和らげた。
「さぁ、どうぞ。あなたが殺すべき相手は、此処に居る」
ようこそ無間地獄。おいでませ無痛覚。わだちは全身を投げ出すつもりで、竜の眼前へ立ちはだかった。
目的はひとつ。完璧だと謳う機体から放たれる技を、予想でしかない全体像をの一撃を、動けない躰で受け止めるため。竜から「何故受けきれるか」を問い掛けることはなかったが、わだちには言いきれる――痛くはない、そういう躰だからと。
直後、わだちは茫然とした。
「……これが、彼の……」
竜が思い浮かべた、完成予想図。見惚れんばかりの造形は、もはや芸術的と言えよう。それに何より、骨組みと隙間だらけの姿からは想像もつかない形だ。大事な大事な心臓部までもが、硬い膚で覆われたように見える、竜の未来は。
――かなしいほどうつくしい、立派な鋼の竜。
叶わぬ願いと断ずるのが人心なら。叶うかそうでないかの境界を見定められるのも、また人の心なのだろうか。見定めた姿を、望まれた姿を燦が眼とデバイスに刻む。豪奢だとも感じながら。
「コレコソガ、完成ヘノ第一歩トナル!」
天を仰ぎし竜の完成予想図は、基礎も図案も持たぬのに明瞭だ。無敵を模るべく鍛えあげられた、竜のカラダ。無数のパーツを結合させたことで複雑な仕種をも可能とし、それでいて力強い。
交戦は瞬く間に。そして交わればコキュートスはただ、予想される攻撃力が、はとりの耐久を上回らぬよう努めるだけ。そのはずだった。しかし対する竜も、細胞移植により強化された存在。攻めるのも守るのも簡単にはいかない。
――無敵 で 検索しました。
――『相手になる敵がいないほど強いこと』だそうです。
応答など出来ようもないのに、AIは身体へ話しかける。その間、はとりは自分の衣服や肌が裂かれようとも、鉄塊に強打されようとも構わず、黒ずんだ竜のパーツを切り刻んでいた。彼自身も与り知らぬ意識下で。
●
よっ、と声をあげてきなこが薙刀を駆使して跳ぶ。
ぴょんと跳んで行った末にくるりと振り向き、未だ色褪せぬ竜をじっと見つめた。
「本当に予想した通りの強さになるんだべかぁ?」
悪戯っ子のような口振りで告げれば、竜の眼光がきなこを射抜き、追う。
わあきゃあと叫びながら走るきなことは別の、影ひとつ。
疾駆するアンナと巨大な亡霊馬が、再び竜の意識を削ぐ。仲間へ向かう分を幾らか受け持ち、彼女は竜へスクラップを回収する暇を与えさせない。それでも鉄片などは取り込まれてしまうが、転がる武具類を吸われるのに比べれば、だいぶ良い。
――砂塵の世界救う為にも……悪逆なる一族を討ち倒す為にも……!
アンナは竜を、きっと睨む。
「行くぞ……ワタシは……処刑人だッ!」
こだました心境が砂を浴び、幻像めいたシルエットを街へ浮かび上がらせていく。
「馬鹿ナ……真似ヲ!」
嘲笑うでもなく竜は猟兵たちの声を聞き、返した。
そんな彼が織り成す猛撃は街や大地を抉り、飛散したスクラップや建造物の残滓を避けつつ、コノハは地を蹴る。多少の痛みは捨て置いて、舞っては微笑み、微笑んでは踊る。コノハのステップは軽やかだ。竜の起こした風が砂や鉄屑を巻き上げても、その歩に緩みはない。
痛みも零した紅も、ぜんぶ。
「おいしくいただかないとネ」
ぺろりと舌先で乾いた唇を舐めて、コノハは左手を差し出す。そっと。まるで「どうぞ」と言わんばかりのしなやかな動きで。そして、左の手に広がる雲を思わせる紋が、刻々と移ろう時間を知らせ、刻々と変化する空色を竜にも教える。
ドラゴン自身の、生命力をもって。
喰われた、と竜が認識したのか否かはわからない。ただ傷つき疲弊した機械のまなこから、たった一色が失われていくのを、コノハも他の猟兵たちも見ていた。瞳の光彩が薄れたことで、あまりにも速く明滅しだした竜の心臓部に、はとりが惹かれる。
――私の創り出した『ホームズ』は 無敵 です。
――『無敵』を騙る同類よ 排除します。
排除するのは敵のみ。はとりへ痛覚だけは残したまま、コキュートスの凍てる刃が煌々とした竜の核を斬る。直後、これまで傷つきに傷ついてきた心臓部が悲鳴をあげ、上記をそこかしこから噴出させた。熱された蒸気が竜の動きに沿って散る。
少しばかり光景を一瞥して、わだちは未来を思い描く暴風の前へと出る。
「その夢を、俺は叶えてあげられません」
――俺も、生きていたいから。
連ねたわだちの声は、先ほどよりも幾分大人しい。だが芯の通った声色は強く、鋭く竜を射る。
「だけど、忘れないでいることはできる。だから……」
空をも抱き込むように両腕を広げ、わだちは立った。
「あなたが疲れて眠るまで、その躰で俺を壊せばいい」
どうですか、なんて問い掛ける。こてんと首を傾けて。
首をさらけ出して鳴いた竜は紡ぐ言葉を持たず、わだちへと圧しかかった。かぶりつかれて、わだちの躯が軋む。同時にぱらぱらと零れ落ちて来るのは、竜のカラダを構築していたモノたち。涙にしてはカタくてイタい鉄屑の雨へ手を伸ばし、わだちはほんのり咲った。
咲いた何かを眼にして、機械竜はそこから動かなくなった。
スクラップをどかしながら、わだちにかぶさる竜を覗き込んで、アンナは呟く。
「巨大な力故に身を滅ぼすとは……なんとも哀れな奴だ……」
本来の処刑人としては、生き苦しむモノへ速やかなる死と救済を齎したい心持ちでいた。けれど。
――今回ばかりはそれは叶わぬ……か……。
辺りへ向けてほうと息を吐き、アンナは砂塵で濁った空を仰ぎ見る。
「鬼ごっこ、終わりだべかあ」
きなこはぺたんと座り込み、鬼だった機械竜をつついてみた。やはり動かない。
竜を加工猟兵たちの後ろでは。
――応答が確認できません。
機械めいた音声はそれを最後に停止し、口許を拭ったはとりは漸く自分としての声を発する。
「くっそ痛ぇ……」
まだ声が出るだけましかもしれないと、全身を軽く見回した。お疲れ様と労うわだちに、片手を少し掲げるのが精一杯だ。
「良いの作ってるじゃナイ」
コノハが、残骸に囲まれ黙々と手を動かしていた燦の工作物を知り、声をかける。
片眉をあげた燦が手にしていたのは。
「せっかく予想図を見せてもらったんだ。模型ぐらい組んでやらねーとな」
正に今倒したばかりのメカドラゴンの完成模型。
挽歌代わりの、餞だ。
大成功
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