3

アポカリプス・ランページ⑤〜ソルトレーク解放戦・防

作者：黒代朝希

「皆様、ソルトレークシティへの道が開けました。これより予知によって得られた『ソルトレークシティ解放戦』のブリーフィングを始めます」
　そう告げて嫋やかに琥珀の長髪を揺らしてフレスベルク・メリアグレース（メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263）はグリモアベースに集った猟兵達に説明を告げていく。
「宗教都市としても有名という話のようですが……その施設の地下では大規模な「フラスコチャイルド製造施設」が秘密裏に運用されていたようです」
　また、この都市を猟兵の支配下に置く事でアポカリプスヘルのオブリビオン・フォーミュラ『フィールド・オブ・ナイン』の一柱『デミウルゴス』が弱体化させる事が出来る等の謎も存在する。
　だが、そう言った事情を抜きにしてもレイダー達の支配から街の住民を解放するのが猟兵の責務。ソルトレークシティに進撃してレイダー達を掃討し、町の住民に自由を取り戻させるのだ。
「ソルトレークシティシティの「フラスコチャイルド製造施設」には『バイオリレーションセンター』と『プロトタイプ・デミウルゴス』という施設と技術が存在します。この二つを完全にわたくし達が抑える事でソルトレークシティは解放することが出来ます」
　そして、今回制圧するのは――

「『プロトタイプ・デミウルゴス』、施設で「最強のストームブレイド」を生み出すべく培養されていた「デミウルゴス式偽神細胞」を移植した、強力なオブリビオン製造技術です。これを放置すれば後々戦争を無事に終結させる事が出来たとしても、遺恨が残るでしょう」
　だが、相手は超強力な出力でユーベルコードを放つ事が出来る。
　真っ向から相手すれば猟兵でも苦戦は免れないが、弱点はある。
「『プロトタイプ・デミウルゴス』はデミウルゴス式偽神細胞の激烈な拒絶反応により、ユーベルコードを使用するたびに肉体が自壊していくとの事です。つまり、持久戦に持ち込めば勝つことが出来ます」
　防御や持久戦が得意な猟兵はこの戦場で活躍できることだろう。
「また、今回相手する『プロトタイプ・デミウルゴス』は強力ですが、その反動故かわたくし達の『真の姿』を解放する事が出来ます」
　猟兵という『生命体の埒外』としての真価、それを上手く発揮すれば『プロトタイプ・デミウルゴス』を持久戦の土台に上がらなくとも撃滅することが可能だろう。
「困難な戦いになりますが、皆様なら無事に解決できるでしょう。それでは転移の術式を起動させます、ご健闘を」

第1章 ボス戦 『ダークプルティア『ダークドゥエル』』

POW   :    全て粉砕する。ダークネスブレッヒェン！ 【体から放ったり纏う事ができる闇闘気】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。 SPD   :    その技覚えたぞ、ダークネスラーネン！ 【欠損しても即座に再生する自身のゾンビ肉体】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、欠損しても即座に再生する自身のゾンビ肉体から何度でも発動できる。 WIZ   :    此が私の強さの証だ。ダークネスベズィークター 【自身が倒した武術家や武術少女達】の霊を召喚する。これは【洗練された武術】や【鍛え上げられた肉体による闘気格闘】で攻撃する能力を持つ。 イラスト：すねいる 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「お前らには死ぬ以外の道はないってことか。まぁそんなことは俺には関係ねぇな。このまま叩き潰してやるよ」
　苛烈な強化改造手術を受けた結果、猟兵としての真の姿では粗暴な口調となるサイボーグの猟兵、夕闇霧・空音（凶風・f00424）は鋭い眼光を『プロトタイプ・デミウルゴス』へと向ける。
「ま、放って置いても自壊するんだとしても流石に無視してたら被害が出るだろうな……だったらこっちも速さで勝負してやるよ」
　サイボーグとしての機能である武器となった腕。それで敵の攻撃を受け止め、長年の戦いで得た戦闘経験から算出した足捌きで燃え上がるゾンビ肉体から繰り出される鉄拳を躱していく空音。
　その間にも攻撃は仕掛けに行き、機械化した腕から展開される超硬度の氷で生成された爪『アブソリュートゼロ』で燃え上がるゾンビ肉体を切り裂き、凍てつかせてく。
「とはいえ、流石に持久戦だとしてもしぶとい相手だろうからな……一気に決めさせてもらうぜ」
　やがて、氷の爪から展開される冷気は更に周囲を冷却していく——そして、
「『インフィニティゼロモード』――時間停止だ」
　限界まで冷却された環境は、『時間』を『凍結』させていく。
　つまり、空音が言った通りの『時間停止』が起きたのだ。
「現代の創作じゃあ陳腐何て言われているが、実際にやってみると凶悪極まりないな……それじゃあ、チェックメイトってことで」
　氷の爪を振るって連続斬撃を繰り出していく空音。その凍てついた時間にも、『プロトタイプ・デミウルゴス』は切り刻まれていく——

「過ぎた力を行使するが故に自らの破滅を招く敵、か。其れならば猛攻に耐え凌いで見せようぞ」
　勝機をそこに見出した鍋島・小百合子（朱舞の女丈夫・f04799）は、即座にユーベルコードを起動させていく。
「我は招く、聖と天に殉じ心ある者を守護し敵を滅す戦士達……出でよ！――『聖尼守護陣（カミニツカエシオトメノエイレイタチ）』！！」
　招来されるは109名の神官騎士。小隊規模の聖魔術を駆使する騎士達を引き連れて小百合子は『プロトタイプ・デミウルゴス』に挑んでいく。
　まず、80名の盾持ちを最大8列まで展開する事で敵の召喚せし武闘家軍団と相対させ、残り29名は後方より聖魔法で盾持ちへ防御障壁展開による援護を行わせる。
「怯むでない！守りに優れし戦女の意地を見せよ！」
　敵が召喚した武闘家軍団は『プロトタイプ・デミウルゴス』程の攻撃威力を持たないが、それでも数で圧する。
　そこに生じようとしていた士気のほころびを、小百合子を一括して神官騎士達を鼓舞していく。
　小百合子のその言葉に応えんと術師の神官騎士達は浄化の聖魔法を唱え、武闘家軍団を浄霊せんと聖光を放っていく。
「その意気良し！攻撃はわらわに任せよ！」
　その神官騎士達の意志に召喚者として応じるべく小百合子も真の姿たる黒鋼甲冑を纏い、愛刀たる薙刀『竜王御前』を振るっていく——

「持久戦なんて得意じゃないけど。今回はやるしかない、か」
　独り言ちながら『プロトタイプ・デミウルゴス』が先手を取る前にユーベルコード『表の呪い裏の呪詛』を発動させるフォルク・リア（黄泉への導・f05375）。
　己の魔力を代償に冥府へと繋がる闇を纏い、任意の対象にダメージを肩代わりさせる呪詛と内側から湧き上り精神と肉体を蝕む死の呪詛を展開したフォルクは『プロトタイプ・デミウルゴス』からの攻撃を敵本人に肩代わりさせ、その反撃を喰らった『プロトタイプ・デミウルゴス』を内側から呪詛で蝕んでいく。
「此処まで苦労したんだ。今までの分、熨斗を付けて返させて貰う」
　『プロトタイプ・デミウルゴス』に宣言しながらかのオブリビオンが発動した召喚型ユーベルコードによる武闘家軍団からの攻撃を避けていくフォルク。
　時には『月光のローブ』と『ファントムレギオン』を用いて攻撃を受け止め、反撃として内側から肉体と精神を蝕む呪詛を武闘家の霊へと叩き込んで骸の海へと還していく。
「言ったはずだ。今までの苦労は俺達が受けた分以上にして返してやる、と」
　その言葉と同時に本格的に『プロトタイプ・デミウルゴス』の内側から沸き起こる呪詛――それが彼女の心身に大きく影響を強めた。
　それを見計らったフォルクは防御重視から攻撃に切替えていく。
　ありったけの呪詛をオブリビオンの内側から湧き出させた死霊術師は、魔力を更に注ぎ込んで敵を滅びへと誘っていく——

「ちびは、偽神細胞入りゾンビハンバーグは好きかしら？」
『今までの経験からすればわかる事です（ゲテモノ実食チャレンジは遠慮したいよ～っ）』
　連れてる黒い小狐をからかいながら鍋方・帆立（食う寝る遊ぶ狙撃のキョンシー・f31271）は体内流動金属を体外で義体化していく。
　それはユーベルコード『闘装展開（バトルギアテンカイ）』によるもの。『プロトタイプ・デミウルゴス』は先程までの他の猟兵との激闘で大きく損傷している。
　恐らくは、この帆立の一撃がトドメとなるであろう。
「でも、ちびの気が変わるかもしれないから作っちゃうね」
『絶対食べないから（僵尸がゾンビ肉勧めないで）』
　黒狐へのからかいを続けながら、ふと真面目な表情となって『プロトタイプ・デミウルゴス』を見つめる帆立。
　そして、真の姿への変身を開始していく。
「創造主はいつも高みを目指す物ね。私の高みも試してみようかしら？」
　顕現するは幽獣の龍。その龍はユーベルコードによって作り出された巻き込み式ドリルを携える。
　その義体をみた『プロトタイプ・デミウルゴス』は即座に再生する事で反撃を試みるが――
「そう言った対処を取るなら即座に破壊し続けて見ようと思うけれど、素早く絶え間のないUCに反撃できるかしら？」
　実態すら朧な幽獣は捉えること能わず――四方八方から敵をめがけて、絡まり合うドリルは複雑に噛み合った歯車のように正確に過去を刻んでいく。

　やがて、『プロトタイプ・デミウルゴス』の肉体が猟兵達の攻撃に対してオーバーフローを起こし――二度と、動く事は無くなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2021年09月07日