アポカリプス・ランページ⑦〜機動戦闘車両群
●ロンメル機動陸軍基地
「ふん…… くだらんな。異世界から来た猟兵にフィールド・オブ・ナインの復活など。情報戦を仕掛けるにしても、もう少しマシに出来ないのか」
そうぼやきながらもロンメルは無線機の電源を入れ声を上げる。
「いくら無能な兄妹共でもまさか、流言だけで終わりではあるまい。攻めてくるぞ! 全隊迎撃体制へ移行する」
そう叫ぶと、ロンメルは無線機へと向かい次々と指示を出してゆく。
「中戦車および重戦車は中央正面へ展開。その後方に自走砲と指揮車両、最後尾を補給隊とその護衛部隊とする」
ロンメルが乗る指揮車両より指令を受けた車両がエンジンの音を響かせ陣形を組み替えていく。
「次、右翼と左翼は速力に優れた軽戦車および戦闘車両で構成。中央で敵を引き付け、左右の隊で包囲、殲滅する」
数百という車両の群れが、ロンメルの意思の元、まるで一つの生き物の用に動いてゆく。
「歩兵戦闘車両および偵察警戒車は周囲に散開。敵の発見とトラップ等の除去に当たれ」
己の役割を果たすべく、行動を開始した車両群を眺め、ロンメルはつぶやく。
「どこからでも来るがいい愚かな兄妹共よ。最後に勝利し、世界の王となるのはこの私だ」
●グリモアベース
「みなさん、お集まりいただきありがとうございましたなのです」
夜乃・瞳(ミレナリィドールのスターライダー・f01213)は集まった猟兵達へと頭を下げた。
「みなさんのおかげでストレイト・ロードの舗装が完了し、旧ロズウェル付近、『軍人宰相』ロンメル・ヴォーテックスが支配するロンメル機動陸軍基地へと進攻が可能になったのです。
そこで、みなさんにはロンメルの撃破をお願いしたいのです」
ロンメルは特定の拠点を持たず、戦車軍団を拠点として活動しているようだ。
その、戦車軍団の中央付近にいる指揮車両。そこにロンメルはいる。
「ロンメルを倒すには、どうしても戦車軍団を突破する必要があるのですよ」
戦車を無視し、強引にロンメルへと挑もうとすれば、おそらく戦車に包囲されそのままなぶり殺しにされるであろう。
「だから、ひたすら戦車を撃破する、罠を張って足止めする、煙幕などで攪乱する、何でもいいのですが、とにかく戦車軍団がロンメルの指示で動けない状況を作るといいのです」
ロンメルの乗っている指揮車両は、彼のプライド故か逃げたり隠れたりはしないので簡単に発見できるだろう。
「そして、ロンメル自体の戦闘力は決して高くないので戦車軍団さえ突破してしまえば、後は簡単なのです」
そういうと、瞳は最後に猟兵達を見回して頭を下げる。
「アポカリプスヘルを救うため、どうかよろしくお願いしますなのです」
葉月
猟兵の皆様こんにちは、葉月です。
このたびは当シナリオを見ていただきありがとうございます。
今回はヴォーテックス一族のひとり、軍人宰相ロンメル・ヴォーテックスとの戦闘シナリオとなります。
レイングボーナスは、戦車軍団に対処する為の行動となります。
ロンメル自体との戦闘より戦車軍団への対抗策をメインにプレイングを掛けていただけた方が活躍できると思います。
それでは、プレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『ロンメル・ヴォーテックス』
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POW : 軍人宰相の指揮
自身が操縦する【戦車軍団】の【反応速度】と【耐久力】を増強する。
SPD : アンブッシュ・タクティクス
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【ロンメル率いる戦車軍団の搭載火器】の威力と攻撃回数が3倍になる。
WIZ : 戦場の掟
敵より【指揮する配下の数が多い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
イラスト:秋原 実
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ロンメル様、散開した偵察部隊からの定時連絡です。敵影、いまだ確認できず。このまま捜索を続行するとのことです」
部下からの報告にロンメルは思案する
「ふむ、私の戦車軍団による鉄壁の布陣に臆したか兄妹共よ。このままこちらから出向き捻りつぶしてやろうか」
そう呟くが、すぐに頭を振りその考えを打ち消す
「いや、ここで布陣をとき、余計な動きをすればそれこそ敵の思うつぼだ。」
ロンメルは指揮車両の座席へ深く腰掛け大きく息を吐いた。
そして、再び部下たちへと激を飛ばす。
「総員、警戒を続けろ。ネズミ一匹見逃すな」
ジェイミィ・ブラッディバック
智将と戦えるとは光栄の極みです
右翼にヘルメス、左翼にアドミラル・ネルソンの2隻の空母を展開
どちらも陸上での行動に耐えうる環境耐性持ちです
ヘルメスよりAI制御のセラフィム・リッパー隊、アドミラル・ネルソンよりAR天使の空挺大隊をそれぞれ発艦
空中からの対地攻撃で敵戦車部隊に打撃を与えてください
空母からも対地ミサイルでの援護射撃を行います
ミニ・バルタンズの皆さんは敵陣深くに切り込んで後方撹乱をお願いします
…そして、川中島の合戦をご存知ですか?
毘沙門天と我が師・ネルソン提督の加護ぞあり!
私本人が推力移動で接近、戦闘に気を取られている隙に敵本陣を強襲、指揮官にプラズマソードを突きつける
チェックメイトです
中條・竜矢
【POW判定】【アドリブOK】
なるほど、戦車部隊を撃破すれば後は後は簡単と。なら、盛大に吹き飛ばしてやろう。
戦車はその形状から上方向の斜角は制限がある。それに相手1人の意識で動かしているなら認識しづらいほどのスピードなら更に効果的だろう。
ユーベルコードで巨大なドラゴンに変身して上空から攻める。オーラのドラゴンを大量に放って爆撃だ。
オーラのドラゴン1体で足りないなら何体でも打ち込んでやろう。反撃しても当たらないようばらまきながら相手の上空で旋回する。
このままロンメルまで倒せてしまえれば楽だが……いけるか?
響・夜姫
キャバリア・ダイペンギンで出撃。
「ん。私向きの戦場。虚数物質、解放」
サバーニャは3対6基で1セット。今なら100セット、600くらいは出せる。
追加増設分も含めれば、2000くらい。
「つまり。対多数は、私の十八番。……味方以外、全てを消し飛ばすつもりで。ふぁいやー」
敵戦車、遮蔽物、障害物。全方位射撃で全部薙ぎ払う。
1門一台で狙えば、その分引き付けるだろうし。
ロンメルが見つからなくても。私以外が、探しやすくなる。
使用技能【範囲攻撃/2回攻撃/一斉発射/弾幕/乱れ撃ち/レーザー射撃】
「戦いは数。良い考え。なので、私も使う」
ぺんぎんさん、大将居た?……あいつ?
「おっけー。では、しぬがよい」(砲撃)
ヴィリー・フランツ
心情:成る程、ブラッドルビーと違っておつむは良いようだな、だが既存の戦術じゃ勝てん事を教育してやる!
手段:EP増加装甲を前面に着けたHL-T10 ヘヴィタイフーンMk.Ⅹにて出撃、【熟練操縦士】も発動し能力を底上げしロンメル撃破を狙う。
戦車でコイツの重装甲を破れるか?一応EP-Aスパイクシールドでも防御するがな。
戦法はひたすら遮る戦車を撃破する。
主に高貫通力のRS一六式自動騎兵歩槍、肩のRS-Sクロコダイル単装電磁速射砲にて攻撃。
重戦車には肩のRS-Sピラニアミサイル、腰にマウントしたRSコングⅡ重無反動砲に持ち変えて撃破を狙う。
予備弾薬は装甲各所のハードポイントに吊るす、弾切れしたら即交換だ
エドゥアルト・ルーデル
理不尽はね、案外直ぐ側にいるんでござるよ
戦車が大量にいるって事はそれだけ世界の処理に負荷がかかってやばいんよ
拙者には理解る、これから理不尽が…来た!ほら見ろ【物理演算の神】がお怒りだ!お戯れのバグが来るぞォ!
見ろよ大量にいた重戦車軍団が宙を舞い、地に潜り、あげく地上でドッタンバッタン跳ね回るさまを
こいつらはもうダメだ、神に魅入られちまったんだ…気にせず先を進もう
中枢にたどり着いてみれば指揮車もバグってるでござるな
適当にその辺でガタガタ震える重戦車を指揮車目掛けて押せば…物理の狂った世界で弾けるように飛ぶ重戦車、やがて指揮車と重戦車は激突と相成った
…よし倒したな!帰りますぞ!(胴体が伸びながら)
マオ・ブロークン
……あれだけの、戦車の、数。
あたしの、たかがゾンビの、身一つ、じゃあ。
全部を、相手に、するのは。とても、難しい……
……それでも。敵の、頭数を。減らして、やらなきゃ。
この先へは、進めない、だろう、から。
一度、すべてを。水浸しに、して、やる。
【オフィーリアの微睡み】。
実体の、水では、ない、けれど。水中の、環境。
この、乾いた、大地を、進むために、造られた、戦車たち、なら。
防水だなんて。考えてすら、いない、でしょう。
火薬に、燃料の、浸水。錆びやすい鉄の機構。漏電。操縦席の、水没。
一気に、指揮を。混乱、させるには、十分。
あとは……ひと思いに。装甲ごと、丸鋸で。分断して、やる。
◆軍人宰相ロンメル
「ロンメル様、偵察部隊より入電。敵部隊発見とのことです」
部下の報告にロンメルは頷く。
「ふむ…… 敵の規模は」
「は、敵勢力、く、空母二隻とのことです」
その報告にロンメルは思わず顔をしかめる。
「何を馬鹿なことを言っている。こんな内陸に空母など。おそらく兄妹共が作り上げた張りぼての拠点であろう」
そう判断するとロンメルは部下へと指示を飛ばす。
「念のためだ。まずは長射程の砲撃で様子を見る。自走砲部隊、滑腔砲並びに迫撃砲、発射準備」
ロンメルの指示により、指揮車両周辺に展開していた自走砲群が二隻の空母に砲身を向けた。
◆鋼鉄のレギオン
戦車軍団の進路上に、ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)は二隻の空母、”ヘルメス”と”アドミラル・ネルソン”を配置。
戦車軍団を迎え撃つ。
「軍人宰相閣下、智将と名高き貴方と戦えるとは光栄の極みです」
ヘルメスの甲板に立ち、ジェイミィはおそらくロンメルが居るであろう戦車軍団の中央へと目を向ける。
「SOLID AUGMENTED REALITY VISION PROJECTED…… CALL:TRAFALGAR」
そして、ヘルメスよりセラフィム・リッパー隊をアドミラル・ネルソンよりAR天使の空挺大隊をそれぞれ発艦させていく。
「戦いは数。良い考え。なので、私も使う」
響・夜姫(そろそろぺんぎんさんが本体と言われても否定できない・f11389)も自身のキャバリア”ダイペンギン”に搭載された十字架型の機動浮遊砲盾”サバーニャ”を切り離し浮遊させる。
「ん。私向きの戦場。虚数物質、解放。選択虚数軸・複製。――現世を満たせ、虚構の器」
さらに自身の能力を使い、サバーニャを複製。次々と数を増やしてゆく。
空を埋め尽くすほどの十字架にアサルトライフルを構えた天使の群れ。
さらに、二隻の空母も搭載されている武装を起動。戦車軍団へと照準を合わせる。
夜姫はダイペンギンのモニター越しにその様子を眺め、満足そうにうなずく。
「つまり。対多数は、私の十八番。……味方以外、全てを消し飛ばすつもりで。ふぁいやー」
それに続き、ジェイミィも自分の部隊へと指示を出す。
「全隊戦闘開始です。先ずはその目を奪わせていただきます。ヘルメス、アドミラル・ネルソンはミサイルで部隊を支援。空挺大隊は砲撃後にセラフィム・リッパーを先頭に突撃!! 乱戦に持ち込み敵戦力を殲滅」
サバーニャから放たれた砲弾の雨が、空母から放たれたミサイルが次々と着弾――
戦車軍団の周囲に展開していた偵察部隊の車両を粉砕。その情報収集能力を奪っていく。
しかし、戦車軍団もただ黙って攻撃を受けるばかりではなかった。ロンメルの指示を受けた自走砲群が二隻の空母へと照準を合わせ、砲撃開始。
数百、数千という数の砲弾が空母へと降りそそぐ。
「理不尽はね、案外直ぐ側にいるんでござるよ」
エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)が空母の甲板に立ち、そう呟くと同時にそれは起こった。
今まさに空母へと降り注がんとしていた砲弾がまるでコマ送りのようにカクカクとした動きとなり、停滞した瞬間にサバーニャによって撃ち落されていく。
「大量の戦車に機動兵器、さらに爆発の嵐って事は、それだけ世界の処理に負荷がかかってやばいんよ」
エドゥアルトが己のユーベルコードを開放し周囲の空間を侵食してゆく。
「拙者には理解る、これから理不尽が…来た!ほら見ろ物理演算の神がお怒りだ!お戯れのバグが来るぞォ!」
エドゥアルトの叫びに合わせ、戦車軍団へと謎の現象が襲い掛かる。
あるものは唐突に振動を始めたかと思うと急に跳ね上がり、そのまま横転。
あるものは地面に吸い込まれたと思ったら空中から出現、そのまま地面へと叩きつけられた。
あるものは唐突に車体がねじれ始め、そのままねじ切れていく。
その様子を見ていたエドゥアルトはつぶやいた
「こいつらはもうダメだ、神に魅入られちまったんだ……気にせず先を進もう」
◆軍人宰相ロンメル
「ロンメル様、偵察部隊応答ありません。壊滅したと思われます」
「また、中央の戦車隊も謎の現象により3割が行動不能。現在、対策のための情報の集積中です」
その報告にロンメルは絶句する
「一体…… 何が起こっている」
ロンメルは指揮車両の上部ハッチを開き外へと半身を乗り出すと、双眼鏡で戦場を見回した。
すると、遠方には二隻の空母が座し、その周囲には沢山の天使と十字架が浮遊しこちらの戦車軍団へと苛烈な攻撃を行っている様子が見て取れた。
さらに、前線に位置す戦車隊は全く理解できない挙動をし、次々と自壊してゆく。
果てには撃ち込んでいる砲弾すらありえない動きをしたかと思うと次々と迎撃されていった。
「これは…… 何なのだ。これが兄妹共の切り札だとでもいうのか。ありえない。こんなものは奴らには生み出せぬはずだ……」
激しく狼狽するロンメルであったが、このままではまずいと思い即座に車両内へと戻り部下へと指示を行う。
「アレがどんな物であろうとも、私の戦車軍団に敗北はない。いや、むしろ好機だ。中央に注意を集めているうちに、左翼と右翼の機動部隊を前に進めろ。そして左右より挟み込み白兵戦を仕掛ける。可能ならあの未知の兵器を鹵獲しろ」
◆涙の海
荒野に座する二隻の空母その甲板からマオ・ブロークン(涙の海に沈む・f24917)が地上を見下ろす。
「……あれだけの、戦車の、数。あたしの、たかがゾンビの、身一つ、じゃあ。全部を、相手に、するのは。とても、難しい……」
そこには砂煙を上げながら空母へと取りつかんと疾走する戦闘車両の群れ。
空母を左右から挟撃するため戦車軍団の左翼と右翼を構成する部隊が戦線を押し上げ空母へと殺到する。
「……それでも。敵の、頭数を。減らして、やらなきゃ。この先へは、進めない、だろう、から。」
マオの瞳から一筋の涙が頃れ落ちる。
すると、それに呼応するように荒野へと雨が降り始め、やがて豪雨となり戦闘車両へと降り注ぐ。
「だから、一度、すべてを。水浸しに、して、やる。」
その雨には実体はない。だが、戦場に降り注いだ雨は流れることなく留まり、すべてを水没させていく。
それにより、空母を目指いしていた戦闘車両の殆どが行動不能となる。
しかし、それでも尚ロンメルの部下たちは、無事であった砲塔を空母へ向け、さらに空母を制圧すべく生身でもって空母を目指す。
「成る程、回り込もうとしたか。ブラッドルビーと違っておつむは多少は良かったようだが、だが既存の戦術じゃ勝てん事を教育してやる!」
ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)がEP増加装甲を前面に着けたHL-T10 ヘヴィタイフーンMk.Ⅹを駆り空母より飛び出す。
それと同時に中條・竜矢(変化する竜騎士・f03331)も巨大なドラゴンの姿になり空へと舞い上がった。
「援護する。こいつらを撃破すれば後は後は簡単だ。なら、盛大に吹き飛ばしてやろう」
ヴィリーのヘヴィタイフーンMk.Ⅹがその装甲を生かし敵部隊の正面へと降りる。
それに気づいた戦闘車両群も、生きている砲塔を、そして車両から降り携帯火器をヴィリーへと向ける。
そして、弾丸の雨を降らせるも、すべてヘヴィタイフーンMk.Ⅹの正面装甲に弾かれ、さしたるダメージを与えることはできない。
「無駄だ。機関砲や歩兵用装備でコイツの重装甲は破れない。恨むなら速度重視の偏った編成にしたロンメルを恨むんだな」
ヴィリーはRS一六式自動騎兵歩槍、そして肩にマウントされたRS-Sクロコダイル単装電磁速射砲の照準を戦闘車両に合わせる。
「火器管制システムオンライン、センサー・駆動関係異常無し、全システムオールグリーン、よーし…反撃開始だぜ!!」
そして、引き金を引き、次々と戦闘車両を打ち抜いていく。
それと同時に竜矢も地上へとオーラのドラゴンを打ち下ろしてゆく。
ロンメルの部下も戦闘車両に搭載された機関砲で、歩兵用火器で反撃を試みるが、その圧倒的な飛行速度に照準をつけることすらできず次々と吹き飛ばされていく。
苦し紛れに上空へと砲弾をばらまく者もいるが、竜矢がそんな物に当たるわけもなく、逆にオーラのドラゴンを撃ち込まれ爆散した。
「これより先は私の制圧圏。竜の空中要塞。落とせるものなら落としてみろ!」
遥か天空より竜矢がロンメルの部下へと咆哮する。
しかし、その時にはすでにその声を聴く者はいなかった。
◆軍人宰相ロンメル
「ロンメル様……」
「いい、必要ない。分かっている……」
戦車軍団の左翼および右翼の壊滅。残った中央の部隊もさらに数を減らし最早半分も残っていない。
これほどの戦力を損失し、今更逆転の目がないことはロンメル自身が一番よくわかっていた。
「なるほど、そうか…… アレが異世界から来た猟兵というものなのか。案外、兄妹共も私が思うより無能ではなかったのかもしれないな」
ロンメルはそう呟くと、一度大きく深呼吸をした。
「だが、私は偉大なるロンメル元帥の名を継ぐ男だ。無様な最後は見せられん。全隊に通信を送れ」
そう部下に命じるとロンメルは通信機を手に取った
「我らはこれより最後の戦いに挑む。敵は正面、猟兵部隊。全隊、全火器の使用を許可。私に続け!!」
指揮車両の上部ハッチから半身を出し、最後に前方の猟兵達を睨みつけるようにみて残存部隊すべてに響き渡るほどの声で命じた。
「全軍、突撃!!」
今、本当の意味での猟兵達とロンメルとの戦いの火ぶたが切って落とされた。
◆ロンメルの最後
「敵部隊の動きが変わりましたね」
ジェイミィが戦車軍団の様子を見てつぶやいた。
戦車軍団は今までの混乱が嘘のように整然と隊列を組み猟兵達へと迫る。
その中央ではロンメルが上半身を指揮車両より出して、猟兵達を睨みつけている。
試しとばかりにロンメルに空挺大隊をけしかけてみるも、巧みな用兵でたちまち殲滅された。
「その意気やよし。」
ジェイミィもまたプラズマソードを構え戦車軍団へと切り込んでゆく。
「毘沙門天と我が師・ネルソン提督の加護ぞあり!行くぞ!!」
プラズマソードを一閃、重戦車を輪切りにしていく。
「中戦車隊突撃。あのデカ物の周囲を旋回、集中砲火だ」
即座に飛ぶロンメルの指示。
その指示を受けた戦車隊は今までにない機敏な動きでジェイミィの周囲を二重三重に旋回。
砲塔をジェイミィへと向け砲撃を開始。
「しまった」
とっさにフィールドバリアを展開するジェイミィ。
そこへ、オーラのドラゴンが降り注ぎ、戦車隊を吹き飛ばす。
「迂闊だぞ。確実に戦車の数を削れ」
竜矢が上空を旋回。地上の味方を援護するべくオーラのドラゴンを降らしてゆく。
「航空戦力か、厄介だな。」
ロンメルは竜矢を見上げ、即座に判断を下す。
「あの速度では当てるのは難しいか…… ならば!!」
自走砲が他の戦車に乗り上げ射角を確保。ロンメル指揮のもと完璧なタイミングで砲弾を打ち上げていく。
そうして生み出されたのは砲弾の迷宮。
空を砲弾で埋め尽くし、竜矢が自由に飛び回れる範囲を制限させる
「落とす必要はない。――ただ少し退場願おう」
竜矢は思うように飛ぶことができず、外周部の戦車を削るにとどまる。
「くそ、厄介な」
地上部隊と切り離され、思わずぼやく竜矢。
「なら、私が……」
そんな竜矢を援護するべく即座にサバーニャを飛ばし、自走砲を破壊にかかる夜姫。
数を頼りに砲弾を強引に突破するサバーニャ。
自走砲のもとにたどり着くと同時に砲撃を開始、自走砲を破壊してゆく。
「どんなに砲台が多くても操っている人間が一人なら」
戦車隊の砲撃をダイペンギンへと集中させるロンメル。
さらに煙幕弾で視界を奪う。
「まだだ、補給部隊、ありったけの照明弾を打ち上げろ。」
おまけとばかりにダミーの熱源として大量の照明弾を空へと打ち上げる。
「完璧に砲台を止める必要はない。可能な限り時間を稼ぎ、本体を仕留めろ」
ロンメルの指揮のもと、夜姫を仕留めるべく行動する戦車軍団。
「やらせるか」
そこにヘヴィタイフーンMk.Ⅹで割り込むヴィリー。
「その程度の数の戦車砲でコイツの重装甲を破れるか?」
ただでさえ重装甲なヘヴィタイフーンMk.Ⅹが、さらにスパイクシールドを構え、戦車軍団の前へと立ちふさがる。
ただでさえ数を減らし、戦力が減少している戦車軍団。
もはや包囲して砲撃を浴びせる余裕もなくしている。
「装甲を破れないなら、そのまま吹き飛ばすだけだ」
ロンメルは補給部隊に通信を送り、燃料を満載した複数のタンクローリーをヴィリーへと突撃させる。
「そんな物に当たるか」
ヴィリーがタンクローリーを回避した瞬間、タンクローリーへと残り少ない自走砲の砲撃が降り注ぐ。
「しまった、味方もろともか」
――そして巻き起こる大爆発。
周囲にいた戦車ごと、ヘヴィタイフーンMk.Ⅹを吹き飛ばす。――かに思われた。
「はーはは、ダメだよ爆発なんて。世界に負荷をかける様なことしちゃ」
エドゥアルトが現れたとたん、まるで時間が止まったかのように爆発が一瞬停止する。
その瞬間に爆発範囲から離脱するヴィリー。
ヴィリーが離脱すると同時に再び時間が動き出し、爆炎を上げる。
爆発に巻き込まれた戦車達はガタガタと異常な振動を繰り返し、時に跳ね上がり空の彼方へと消えていく。
「中枢にたどり着いてみればあちこちバグってるでござるな」
さらに、エドゥアルトが戦車に触れると弾けるように戦車が飛びあがり、他の戦車を巻き込み吹き飛んでゆく。
もはや、指揮車両を守る戦車はいない。
「まだだ、このロンメル逃げも隠れもせぬぞ」
指揮車両から降車してきたロンメルと数名の部下。
「その男に銃は使うな。ナイフで確実に仕留めろ」
今までの言動で、爆発や大きな運動エネルギーが絡む現象に何らかの干渉があると判断したロンメルは部下にナイフでの戦闘を指示した。
「あれ~?拙者なんかと遊んでいていいのですか~?大将が無防備ですぞ」
エドゥアルトがそう言うと同時に、ギィーという甲高い音とともにマオがロンメルへと躍りかかる。
「ここまで、これたら、ひと思いに。丸鋸で。分断して、やる。」
ロンメルはとっさに右腕に装着された砲身で丸鋸を防ぐ。
だが、マオは力ずくで丸鋸を押し込む。
ギャリギャリと甲高い音と火花を散らし、丸鋸が砲身を引き裂いてゆく。
「ここまでか…… だが、唯では死なんぞ。」
丸鋸が半ばまで食い込んだ状態で右手の大砲を発射。
右腕ごと砲が爆発、同時にマオのバズソーを破壊する。
「無駄……」
だが、その爆発に一切ひるむことなくマオはロンメルに接近。その爪でロンメルの喉を引き裂く。
ロンメルの体が力なくその場へと崩れ落ちた。
大成功
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