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アポカリプス・ランページ⑦〜星条旗

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●いいえ、猟兵です
『ザッ――やぁ、マイク、調子はどうだい?』
『絶好調だぜ! お前さんの声を聴くまで、ついさっきまではね!』

 無線越しに聞こえる声に、また厄介ごとかと身構えるマイクの予想は当たっていた。

『なぁに、ささやかなパーティへのお誘いだ。内容はロンメル・ヴォーテックス――あの(表現自粛)の(過激な差別表現)の(ぷっぷくぷー♪)野郎のケツに鉛玉ぶち込むだけの簡単なお仕事さ!』
『ワオ! そいつぁ最高の提案だな。……実現不可能だってことを除けば、な』
『OK その通りだマイク。これまではそうだった』
『何だと?』
『どうも風向きが変わったようだ。東から流れてきた連中の話じゃぁ、あのクライスト・ヴォーテックスがやられたらしい。そのクライストをやった奴らが、そのままこちらへ向かって来てる』
『おいおいマジかよ。やったのはどこの国の軍隊だ? ロシアか? 中国か?』
『それが良くわからんのだが……どうも、ガンダ――ザッ――を見かけたって言ってる』
『日本じゃねえか! それなら日本軍だ! 奴らとうとうアレを開発しやがったのかよ』
『俺もそう思った。だけどそれがな、どうも日本人じゃないようでな……好き勝手に戦うし、見た目も日本人に限らないそうだ』
『あ……それじゃ日本じゃないな。規律が厳しいし、軍隊でコスプレまではしないだろうしな……』
『コスプレと言えばな、魔法少女も従軍していたらしい』
『日本じゃねえか! もうそれぜったい日本の奴らだって!』

 そんな風にして拠点間では謎の武装勢力についてと、攻撃計画の意見交換がなされ。
 また別の拠点では、

「冗談じゃぁない。悪いが俺は降りるぜ」
「もしかしたらこれが最後のチャンスになるかもしれない。分かるだろう? ロンメルの戦車軍団に煮え湯を飲まされてきた、俺たちだからこそ」
「ああ、分かってるさ! でもそんなことが出来ると思うか!?」
「俺たちならできる……と言って欲しいか? 上手くやれる保証が欲しいか? そんなもんがなきゃ戦えない腰抜けは、引っ込んでりゃいいさ」
「待て、この俺が腰抜けだと?」
「おいおい、落ち着けよお前ら」

 泣き言をいう者、殴り合いのケンカを始める者たちが居て。

『おっと、その命令は聞けないな』
『ジョン? なんだと? これは第114514代大統領令だぞ?』
『娘をそろそろ小学校に通わせてあげないといけなくてね。その準備に忙しいってわけさ』
『……そうか。そういえばもうそんな時期だったな。ずいぶん長いバカンスになっちまったが』

 Oh, say can you see, by the dawn's early light♪
 What so proudly we hailed at the twilight's last gleaming?
 Whose broad stripes and bright stars, through the perilous fight♪
 O'er the ramparts we watched were so gallantly streaming?

(おお、見えるだろうか、夜明けの薄明かりの中 我々は誇り高く声高に叫ぶ。
 危難の中、城壁の上に 雄々しく翻る 太き縞に輝く星々を我々は目にした――♪)

 拠点間をつなぐ通信からは名も知れぬ歌姫の幼い歌声が流れていた。
 歌声の傍らで、禿頭の男はそれに静かに耳を傾けていた。

●good luck
「そして奴らは全滅する! ムチャしやがって……まぁ、それも猟兵がノータッチならの話だ」
 不真面目系アポカリプスヘル出身のグリモア猟兵、ジミー・モーヴ(人間の脇役の泥棒・f34571)が伝える情報では、どうも『ロンメル・ヴォ―テックス』の戦車軍団に対して現地の拠点の残存兵力が合流し、攻撃を計画しているとのことだった。やや先走り気味なその攻勢は、このままでは単なる自滅、全くの無駄死にと化すだろう、という。
「そういうわけでなー。まぁ、どちらにせよロンメルの戦車軍団は非常に層が厚く頑強だったから、その連中を利用できるうちに、ドサクサに紛れてロンメルの奴をぶっ殺してくればどうかという話だな」
 かませ犬にもならないかもしれない勢力だが、ある程度脅威と見せかけることが出来れば、ロンメルの戦車軍団を引きはがせる可能性が高まる。
 ただ彼らはロンメルの戦車軍団と直接的にぶつかればあっという間に溶けかねないため、いずれそうなるにせよ、どうにかしてタイミングを計っておくべきかもしれない。
「まぁ、軍団相手なんで猫の手でも借りた方が良い戦力差だ、と認識しておいてくれ。アンタらがベテラン猟兵で強力なのはわかるが、それに任せた真正面からの衝突は今回さすがに分が悪すぎるようなんでな」
 現地勢力を囮にするか、あるいは捨て駒として使い潰すのも手の一つだろうという。
 どうにかして隙を作り、ロンメルの暗殺を成功させるのだ。そうして頭さえ殺ってしまえば、残った戦車軍団の各個撃破も容易になるだろう。


常闇ノ海月
 ヒャー! 戦争だー。もぅ我慢できねぇ―!
 ということで、現在抱えてるリプレイともども頑張ります。常闇ノ海月です。

●目的について
 今回のシナリオでは『ロンメル戦車軍団』を単純な『武力』ではなく、『知略』をメインとして無力化――奇襲や罠による撃破、囮などを使い拘束・または遊兵にしてしまう、などして排除し『軍人宰相「ロンメル・ヴォーテックス」を暗殺』するのが目的となります。

●手段について
 罠や情報戦、欺瞞など様々な手段があると思います。
 当シナリオでは現地の拠点からの義勇軍を置いておきますので、好きなようにアクションをかけてみてください。(必ず猟兵の思い通りに動かせる、というわけではありませんが)
 戦力としては、平地でぶつかれば戦車軍団の一部隊相手にどうにか一刻持たせて全滅する程度です。
 活用方法としては単純に肉の壁にする、なども考えられますね!

●現地兵力について
 色々いますが深く考えなくてもOKです。USA!USA!したかっただけ説が濃厚なので。
 ハゲ頭のデッドマンのおっさんがやたら強いくらい。隕石ぶっ壊せそうな雰囲気の人です。
 あとはフラスコチャイルドの軍人風幼女がラジオや無線等通してバフ盛ってる感じです。

●プレイングボーナスについて
 プレイングボーナス…… 知略で戦車軍団を排除する。

 また、本シナリオでは特殊ルールとして、『早期に受け付けたプレイング』に対してもボーナスを付与します。
 日にちごとに区切って、受け付け開始から24時間未満の~8:30>24時間経過後の~8:30……といった感じです。
 日数が進むと、だんだんギミックが使えずに不利になっていく感じですね。

 ではでは、滅びゆく世界の運命を決する戦場。戦いに赴かれる皆様に、どうか幸運を。
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第1章 冒険 『VSウォーゲーム』

POW   :    敵の予想を上回るパワーで攻撃する

SPD   :    身を隠して移動し、奇襲を仕掛ける

WIZ   :    知略で敵を誘導し、釘付けにする

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●末路~不確定な未来
 穴を掘ってアンテナをつなげただけの簡易な指揮連絡所。

『トーマス、どうした? 応答せよ』
『偵察隊、状況はどうなっている?』
『応答せよ、応答せよ。誰か。誰かいないのか?』

 オブリビオンどもが闊歩する戦場、応えるものは誰もいない。

『マイケル、ビリー。どうした。応答してくれ』 
『戦場に残っているものは、いないか』

 繰り返される問いかけ、応える者はいない。

『誰もいないのか。だれか……』

 応える者はいない。

『……』

 もう。
 これで、おわり。

『パパ、愛していたよ』

 だれも聞くことのない呟きがこぼれて。

『……ありがとう』

 乾いた銃声と、何かが倒れる音が響いた。
コトト・スターチス
ぼくは…辻ヒーラーです
全滅する人たちをほっとけません!
義勇軍と一緒に戦って敵をくぎづけにさせて、ほかの猟兵のみなさんがボスを狙いやすくしますっ(WIZ)

『うるとらちゃっと』の配信でピンチな状況を伝えます
「ひとりでも多くの人をたすけられるように『義勇軍のみなさんとぼくに継続回復と攻撃・防御のバフ』をかけたいです。どうか、かなえてくださいっ」

そのあともピンチな方を【救助活動】したり、メイスのフルスイングで戦車をまとめて【吹き飛ばし】たり、戦車の電子機器を【ハッキング】して混乱させたりして、敵の目をひきつけながらも犠牲をへらしたいですっ

ボスは、ほかのみなさんにお願いします
かならず、倒してください…!



●救命
「クソッタレ! バカスカ撃ってきやがってぇ……」
 どうにか逃げ込んだくぼ地の影で、偵察隊のマイクは窮地に陥っていた。
 ひとたび戦車軍団に補足された以上、まともにやりあっては勝ち目はなく。仲間と散り散りになって逃げたものの、深手を負って――離脱しようにも周囲は敵だらけ。
「こうなることは分かってたんだ。あの野郎、毎度毎度、厄介ごとを持ち込みやがって……ぐぅっ」
 痛み止めを打てば意識を失うだろうからと痛みに耐え、このポイントからの攻撃は不可能であると指揮所へ連絡を送る。それから、用意するのはありったけの爆薬とその起爆装置。
「はっ。KAMIKAZEアタックか……死にたくねぇ、死にたくねぇ。けどなぁ」
 死に体の男は、もう助からないと悟り、悪態をつきながら最後の使命を全うしようとしていた。
 せめて、敵の戦車一台なりと道連れにして見せるのだ。
 そんな覚悟のマイクに近づくものがあり――
「……猫耳幼女、だと? クソッ、俺は、もう、死んじまったのか……」
 けれど現れた相手を見て起爆装置が押されることはなく、そこで男はとうとう気を失った。

「あわわ……」 
 目の前の惨状に青ざめるのは、グリモア猟兵の話を聞いて戦場へといの一番に駆けつけたコトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)。
 猫耳の形をしたヘッドセットをつけた、メイドっぽい幼女は『うるとらちゃっと』――彼女のユーベルコードでもある生配信にて視聴者へと、涙目でピンチな状況を伝え訴える。
「これをみているお兄ちゃんたち、力をかしてくださいっ!」
 コトトが今アポカリプスヘルの戦場に来ていること、このままでは現地で戦っている義勇軍の兵士たちが皆、死んでしまうこと。
「ぼくは……辻ヒーラーです。全滅する人たちをほっとけません!」
 目の前には辛うじて息はあるけれど、もう間もなく死ぬであろう重体の兵士。
「ひとりでも多くの人をたすけられるように『義勇軍のみなさんとぼくに継続回復と攻撃・防御のバフ』をかけたいです。どうか、かなえてくださいっ」
 ――ひいいいいいい 死んでる? まだ グロい… おまいら拡散いそげ 把握 把握した コトトたん泣かないで やばいやばいやばい 兵士さん死なないで 幼女にトラウマはやめろ おれらのコトトたんが危険な戦場に(涙) しんざきおにいさん助けて ジャンプ力ぅ…ですかね ねこ助けて ねこはいます(錯乱)――
 コトトの呼びかけに応じてコメントがガンガンと流れていく。
 すると、ややあって願いが通じたのか気絶していた兵士の傷が癒え始めて。
「……」
「?」
 やがて目を覚ますとコトトの方を見て、顔を覆って、二度見してからどこかへと通信。
「猫耳メイドだ! 猫耳メイドの幼女が居る! クソッ! 俺は頭がおかしくなっちまった!」
 その勢いに目を丸くするコトトをよそに、兵士は滂沱しながら誰かに熱く語り続ける。
「だが、満足だ! いーい人生だった!! ピーター? これがKAWAIIだ! わかるか!? ああ……なんてこった! 俺はアキハバラに行ってメイドさんと握手するのが夢だったんだ! もう、死んでも悔いはない……!」
「ふえぇ、死んじゃだめです~っ!?」
 ――兵隊さんめっちゃ興奮してるw 若干ゃ草 良かった 良かったね USA!USA!――

●共闘
「ジーザス! こんな子供まで戦場にでなきゃいけない状況で、助けにきてくれるなんて……!」
 復活したマイクは重度の日本びいきのオタクだったらしく、猫耳メイド姿に感激していたのだが、コトトが義勇軍の危機を救いに来たのだと分かると、大層胸を痛めているようでもあった。
「ぼく、別に日本とは関係ないんだけど……でも元気になってよかったですっ」
 そうして、二人は包囲された状況を抜け出すために行動を開始する。

「どいてくださいっ」
 メイスをフルスイングすれば可愛らしいエフェクトと見た目らしからぬ派手な音が轟いて。
 ――い・つ・も・の 結局物理w ぅゎょぅι゛ょっょぃ みみが、みみがー! 爆音注意(ておくれ) あれ? 音が聞こえなくなったぞ――
 ひしゃげ、他を巻き込んで吹き飛んでいく敵戦車。
 戦意が天元突破しているマイクがすかさずカバーに入り、コトトは今しがた破壊した戦車のシステムに介入して、ダミーの信号を大量に送り付けることで一時的な混乱を引き起こす。

 こうしてコトトはそのまま先行していた他の偵察隊員をも救い。
「ぼくは、ほかの猟兵のみなさんがボスを狙いやすくしますっ」
 敵を十分に誘引したのち、再度別方面から敵情を伺うことにした。
 仲間の命を救われた義勇軍は全面的に協力の態勢を取ることにしたようで、義勇軍と猟兵同士の連携も格段にやりやすくなっただろう。
「ボスは、ほかのみなさんにお願いします。かならず、倒してください……!」





 And the rockets' red glare, the bombs bursting in air,
 Gave proof through the night that our flag was still there,

 Oh, say does that star-spangled banner yet wave.
 O'er the land of the free and the home of the brave!

(砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂する中 我等の旗は夜通し翻っていた
 ああ、星条旗はまだたなびいているか? 自由の地 勇者の故郷の上に!)

大成功 🔵​🔵​🔵​

寺内・美月
アドリブ・連携歓迎
「お馬鹿な勇者を見殺しにするのは目覚めが悪い…、指定部隊は映画?みたいな援軍の仕方で登場すればいい…んじゃないか?」
・指定UCにて八個対戦車団、四個砲兵旅団、ロケット砲師団、二個戦車師団、自動車化歩兵師団(対戦車火器・対戦車部隊大規模増員)、航空師団を投入。
・航空師団による空襲を皮切りに、対戦車団・砲兵旅団・ロケット砲師団の突撃破砕射撃により敵戦車部隊を撃滅。その後に戦車・歩兵師団を集中投入して戦況をひっくり返す。その後は強大な火力支援を背景に前進。
・ロンメル本人の討伐は別の猟兵に任せ、自らは『勇者』と共に敵軍団の撃滅に専念する(戦車兵は独立戦争時の軍服を着るのもありかも)。



●召喚
 寺内・美月(霊軍統べし黒衣の帥・f02790)は義勇軍の指揮連絡所にて、見た目幼い――それこそようやく小学生ごろかといったフラスコチャイルドの童女と邂逅していた。
「援軍に感謝します」
「貴君らの勇気に敬意を」
 一丁前に軍服を纏う童女の、外見に見合わぬ見事な敬礼へ答礼を返す。
「マイケルから、日本軍の方々が、と聞きましたが?」
「日本軍ではない。師団幕僚長であった大叔父から教練を受けてはいるがな。私はただの高校生だ」
 美月がそう言うと童女は相変わらずの無表情ながらやや驚いたように目を見開く。
「そうですか。日本はハイスクールを再開していて、そして、ただの学生がこれほど……」
 そもそも美月の出身は別世界の日本なのだが……彼女にそれを知るすべもなく。義勇軍の中ではなんかすごい日本が始まっていそうだった。

「それで、状況は?」
「……我々は必ず、ロンメル・ヴォーテックスを打倒します。しかし、現状は芳しくありません」
「勝ち筋は……見つけられていないか。それにしても酷い戦力差だ」
「人類の栄光を取り戻すため、我らは命を惜しみません。活路は必ず切り開きます」
 無表情から発せられるのは根拠に乏しい根性論。
 けれど、愚かだと罵るのは簡単だが、彼らにはもうそれしか残っていないのだ。
「ちっ。お馬鹿な勇者を見殺しにするのは目覚めが悪い……」
 偵察隊から送られてくる敵勢力は全体のごく一部でしかないはず。それでさえも圧倒的な不利という状況。これを覆す一手として、美月は隷下の特別集団を召喚し始める。
『特別集団の編成を命令、指定する部隊は直ちに集結セヨ』
 それに応じるのは八個対戦車団、四個砲兵旅団、ロケット砲師団、二個戦車師団、対戦車火器・対戦車部隊を大規模増員した自動車化歩兵師団、航空師団――

 師団、旅団級の部隊が続々と現れ、魔王の下で一軍を成す。

●軍
「だから、俺は無理だって言ったんだ!!」
 泣き言を言いながら、殿に立って後退蛇行射撃で応戦――必死の抵抗をする戦車兵はビリーだ。彼が所属する戦車隊は義勇軍の主力部隊であり、敵軍に対しての突破口を開くか、少なくとも囮として機能することが期待されていたが……現実は厳しい。
 優に6倍を超える戦力が押し寄せ、その砲火にさらされながら即座に撤退しようとするも、ロンメルの巧みな用兵によって後方――退路に回り込みつつある部隊が確認されており、
「逃げろ。逃げろ。逃げ……られないか」
 その包囲殲滅の輪は今、完全に閉じようとしていた。
『持ち堪えろ。間もなく航空支援を開始する』
「航空支援だと? どこにそんな戦力がある。笑えねぇジョークだ」
 無線から聞こえてくる絵空事にうつろな返事が返る。
 だが、その時聞こえてきたのは空を切り裂いて飛ぶ、航空機独特のエンジン音。
 続々と飛来する航空戦力に敵の戦車隊が迎撃の態勢をとる。
「……嘘だろオイ。なんだこれ」
『航空支援だと言った。今の内だ、南東に旋回しつつ包囲陣形に突撃――一点集中で食い破り、すり抜けろ』
「り、了解? ……了解!」
 そうして辛くも包囲を脱出した戦車隊と入れ替わるように、前線には戦車や自動車化歩兵が続々と投入されていった――が。
『……急ごしらえでは十分な戦力化は難しいか。だが、それで十分』
 美月のユーベルコードは代償に比した戦闘力を持つが、流石にただ一人の猟兵が、しかも即応という形で現場に急行したのでは、敵を蹂躙するほどの戦闘能力は持ちえなかったようだ。
 しかし、戦闘を左右するのが数であることもまた事実。たとえ幻影のように手ごたえが薄かったとしても、その幻影の存在こそが味方を防護し敵を拘束する欺瞞戦力となり得たのだ。
 そして――。
「特殊電磁投射砲、発射――着弾までカウント、3…2…1…ゼロ」
 砲兵陣地より発射した実弾戦略兵器が枯れた大地を抉り、敵戦車隊の中心で炸裂する。
 観測から送られてくる戦果も上々。これで敵は展開した部隊からの砲撃に対する警戒を余儀なくされるだろう。虚か実かも分からぬまま、一方的に大軍への対応を迫られるのだ。
「全軍、前進だ。敵戦車の機動力を封殺するように動け。そうすれば敵は必ず反発する」
 ロンメル本人の討伐は別の猟兵に任せ、『勇者』たちと共に。
 指揮通信所を特定されないよう移しながら、選ばれた武官たる一族の少年は戦場をその手の中で操り動かしていく。

●混乱
「一体、何が起こっているというのだ!?」
 部下から上がってくる情報の異常さに、最初に疑ったのは部下の兄妹共への寝返りだった。
 だが、事態はそれだけでは説明がつかないところまで進んでいた。それにしても……
「猫耳幼女メイドに殴られ戦車が大破? 独立戦争時のアメリカ軍が攻めてきた? 師団規模の敵に攻撃された? どこからそんな戦力が湧いて出る。全くもって意味が分からない。ふざけているのか?」
 ロンメルは部下のオブリビオンからされる報告に、頭がおかしくなりそうだった。





 On the shore dimly seen through the mists of the deep,
 Where the foe's haughty host in dread silence reposes

 What is that which the breeze, o'er the towering steep.
 As it fitfully blows, half conceals, half discloses?

(濃い霧の岸辺にかすかに見える 恐れおののき息をひそめる敵の軍勢が
 切り立つ崖の向こうで 気まぐれに吹く微風に見え隠れする)

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
怪獣王、ゴジ……こほん
私はダイウルゴスでいきます!

誰も犠牲にはしない戦いをしてみせましょう
まぁ……分が悪すぎる戦い方かもしれませんが

敵の予想を上回るパワーというやつです!

義勇軍……の、武装のみんな!一緒に、戦いましょう
ここに、フロンティア・ラインを!

『文明守護竜』連続発動
大地、大気、そして追い越した(敵前で武装奪うのはやばいですからね)義勇軍の武器弾薬にお願いして……あれば、死体にも願い。一時的に黒竜ダイウルゴスの群れとなってもらい合体
そうして巨大な竜となって進軍
義勇軍は潰さぬよう【重量攻撃、蹂躙】その巨大な質量で敵だけ蹴散らし
戦車の砲火から義勇軍【庇い】
【念動力】束ねたブレスで敵を潰します!



●怪獣出現
「マイクの野郎、ついにイカレちまってやがったな。恨むなよぉ」
 先立って、錯乱した様子で正気を疑う通信を送ってきた悪友に黙祷を捧げる。
 ピーターの所属する歩兵隊はロンメルの本陣を窺うべく迂回を繰り返し、敵勢力圏内への浸透を図ろうとしていたのだが……放っておけば全滅するというのが彼らの運命。
「俺もそろそろそっちに行くことになりそうだぜ」
 予定されていたように敵の網にかかり、車両を失い、装備を失い、通信さえもできずに孤立していた。
 部隊はすでに戦闘能力をほぼ喪失していたが、ロンメルの戦車隊は一兵たりとも見逃すつもりがないのだろう。執拗な追撃と捜索が行われており、
「……そ~ら、おいでなすったぞ」
 砂塵の向こうから現れるのは無慈悲な鋼鉄の殺戮者たち。
 耳元で、死神が嗤っている。
 嗤って、わらって――踏みつぶされた。

「!? な、なんだ、ありゃあ」
 鋼の殺人兵器どもを踏み砕きながら舞い降りたのは、黒い、翼持つ巨竜の姿。



 時は少々さかのぼる。
 浸透を試みるも戦闘車両を破壊され、敵の優勢勢力圏内で立ち往生している歩兵部隊がある――その情報を義勇軍から知ったナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は現地へと向かい。

「怪獣王、ゴジ……こほん。私はダイウルゴスでいきます!」
 何かちょっと危険なワードを言いかけてせき払いを一つ。
 日本オタクがいると聞いて、ちょっとどうかな~と思っただけなのだ。
「誰も犠牲にはしない戦いをしてみせましょう。まぁ……分が悪すぎる戦い方かもしれませんが」
 ロンメルの戦車軍団は今回集まった猟兵たち、義勇軍の総力を結集してもなお手ごわい難敵だという。それは弱気の虫も多少は湧いて来ようというものだが。
「……敵の予想を上回るパワーというやつです!」
 ナイは、そう言って元気よく「おー!」と右腕をあげる。
 いわゆるパワーこそ力理論による解決――完璧なさくせんだ(白目)!

「義勇軍……の、武装のみんな!」
 そうしてナイはユーベルコード『文明守護竜(フロンティア・ライン)』を発動。自らを中枢として『黒竜ダイウルゴス』と化し、破壊された車両の残骸、大地、大気――そこにあるほぼ全ての存在を飲み込みながら、巨大化していく。
 かつて一であり無数の群体でもあった竜は、壊れた世界の大地と、大気と、抗う意志と――その道半ばにて倒れたものたちと同化し、ただ一頭の巨大な竜の姿となって荒野に顕現する。

「……一緒に、戦いましょう。ここに、フロンティア・ラインを!」

●蹂躙
 そうして一体の巨大な竜となったナイたちは、仲間を潰さぬように注意深く避けながら、思うさまにその巨大な躰でもって敵を蹴散らしていった。降り立った大地にて更にその規模を拡大しながら、後退していく戦車隊をその重量を以て、鋼の装甲など無意味とばかりに押しつぶす。
(義勇軍の人たちは……逃げない?)
 救援部隊の車両が孤立していた兵士たちを回収するのが見えたが、どうやらそのまま後退するつもりはないらしく。どうやらこの場にて一戦交える覚悟のようだ。
 しかしロンメルの打つ手は早く、ダイウルゴスに対して複数の戦車隊が包囲するように展開を始めていた。その層は何重にもぶ厚く、難敵とみれば戦力を小出しにしない敵の思い切りの良さを窺わせる。

(痛い、けれど――大丈夫。戦える)
 空を埋めつくすような砲弾の雨が降る。
 激痛に耐え、友軍を庇って立つ巨竜は、大地を強く掴んで倒れることなく。

(今を守る力を、みんなに。世界を、守りましょう)
 砲弾が穿ち砕け散る、黒き躰を聖なる光が包み込む。
 尽きることなき骸の海より汲み上げた力が、『文明の守護者』たる覚悟が、竜の戦いを支えて。

(私達は、文明を守護する竜、ダイウルゴスです……!)

 黒き守護竜の顎から、眩い光が溢れ――滅びへといざなう過去の亡霊どもを薙ぎ払うのだった。





『ザッ――よぅ、マイク。生きてたとは悪運の強い奴め……そして、さっきは疑って悪かった』
『どうした急に』
『実は俺も見たんだ。あれこそは怪獣たちの王、神の獣 ゴジ――ザッ――だ! 間違いない、おれはくわしいんだ!』
『……それはない。ピーターお前、ヤバイ薬でもやってんのか?』
『なんでだよ!』





 Now it catches the gleam of the morning's first beam.
 In full glory reflected, now shines on the stream.

 'Tis the star-spangled banner, oh, long may it wave.
 O'er the land of the free and the home of the brave!

(朝日を受け栄光に満ちて輝きはためく
 星条旗よ、長きに渡り翻らん
 自由の地 勇者の故郷の上に!)

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
やれやれ…死に急ぎ野郎はイラつきます
「それじゃどうする?」
生還させるさ
忌々しいがあれやるぞ
「わーい☆」

UC発動
1師団
義勇軍達に援軍として参上
「助けに来たぞー☆」
「此処はメルシー達が突撃するから援護お願い☆」
あ、僕は戦えないので護衛お願いします(と主は隠れ

準備
地雷等を多数仕掛け
止まった所を1師団が突撃
足止めして援軍の出現と此方に意識を向けさせて

【念動力・弾幕・スナイパー】
念動障壁を纏って義勇軍を庇いつつ念動光弾乱射して牽制

残り師団
【属性攻撃・迷彩・空中戦】
光学迷彩で存在を隠し上空より飛来

不意打ちとして光線を戦車軍団に降り注がせ

暗殺は他の猟兵に任せますが

「「やっちゃってもいいよね?」」

蹂躙開始



●ロンメルの罠
「怪獣の王? いや、アレには翼があるだろう。怪獣の王ではない。完全生物の方に違いない」
 報告は正確にしたまえ、と。
 無能な部下に苛立ちつつ、ロンメルは鋭い目で戦術マップに目を落とす。
「刺客どもの狙いは私だ。ならばあれも囮。他方よりネズミどもが潜り込んでくるのだろう」

 ならば、薄汚いネズミどもを残らずすり潰してやるのみ。
 幾分冷静さを取り戻したロンメルの怜悧な頭脳は、害なす者の芽を見逃さず摘み取ろうとしていた。

●戦争と死の神
「やれやれ……死に急ぎ野郎はイラつきます」
 伝え聞く義勇軍の作戦行動は無謀の一言に尽きた。
 到底価値観を共有できそうもないその愚行に、盗賊として生計を立てる少年――カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は眉をしかめつ吐き捨てる。
「それじゃどうする?」
 そんな彼のとなりで問いかける銀髪の美少女は相棒のメルシーだ。
「生還させるさ。……忌々しいがあれやるぞ」
「わーい☆」
 そうして発動されるのはカシムのユーベルコード――その名も『対軍撃滅機構『戦争と死の神』(メルシーハルノヨウジョマツリ)』である。

「ご主人サマ! 依り代お願い!」
「しょーがねーな! その分しっかり働けよ!」
「「もっちろーん☆」」

 かくして、今ここに幼女姿のメルシーによる、キャバリア武装の10個師団は完成したのであった。



「航空支援はともかく竜に猫耳幼女の戦力化か。さすがHENTAIの国、ニッポンだ」
 無理にビリーの奴をたきつけることもなかったか――などと思案しながら敵中ただなかで偽神兵器を振るうのはストームブレイドのポールだ。
 義勇軍の他の部隊を陽動とし、個体戦力の高い彼らは暗殺部隊として敵陣に潜り込み目的――ロンメルの暗殺を果たそうと目論んでいたのだが。
「そうだよな。お前はそうだ。抜かりないやつだ」
 ロンメルの陣は堅く、気付いた時には頭を押さえられ更に横撃を喰らう始末。
「だがな。そりゃ、こっちだって予想していたぜ」
 彼らは高級な車輌群を与えられた快速の部隊だったが、その中身は精鋭と言えどごく少数。作戦の遂行の為に必要な犠牲となることを厭わぬ、覚悟ある者たちで構成する決死隊だった。
「どうせ帰る場所もないんだ、一匹でも多く道連れにしてやるぜ!」
 ポールたちは敵中にて乱戦に持ち込み、少数での敵戦力の誘引と拘束を図っていたのである。

 そこへ、
「助けに来たぞー☆」
 さっそうと現れたのは銀髪の幼女戦闘集団だった。……すごい字面だ。
「地雷原を敷設してきたから、おじちゃんたちも一度下がって立て直そう♪」
「おおっ!? ありがとう、勇敢なお嬢さんたち。よーし、聞いたかぁ!?」
 一瞬何事かと驚いたようだが、ポールたちは存外適応力の高いようで。
 やったな野郎ども、俺たちゃまだまだ戦えるぞぉ! と叫ぶ声に大音声が返される。
 そうして彼らが後退していった先では、
「あ、僕は戦えないので護衛お願いします」
 こっそり岩陰に隠れる少年――カシムの姿。
 その一方で、
「此処はメルシー達が突撃するから援護お願い☆」
 地雷原にかかり派手な音とともに爆砕する戦車。
 追撃部隊の足が鈍ったそこへすかさず襲い掛かる幼女メルシー達……。
「……」
「ち、ちがうぞ。僕は腰抜けなんかじゃない。こういうユーベルコードなんだ!」
 だから、仕方ないんだ、と。
 何だか一部の兵士に冷たい目で見られ、思わず弁解してしまうカシムだったという。

「かったーい! カッチカチだねー」
 わらわらと突撃を敢行する勇敢なメルシーたち。
 キャバリア武装による、念動光弾の乱射の弾幕――しかし戦車隊の頑強さはそれを上回るのか、徐々に押され始める。地雷原にも安全地帯が切り開かれ、あるいは迂回路を取って迫る敵部隊。
 一個師団のメルシーたちが敵の火力の前に段々と撃破されていってしまう。
「「……むっかー!」」
 それを上空から見下ろすのもまた万を超えるメルシーたち……頭がおかしくなりそうな光景だ。
 地上のメルシーたちが牽制している間に、空色に溶け込んだメルシーたちは戦車軍団の頭上からロックオン。カシムとメルシーたちはロンメルの暗殺こそ他の猟兵に任せるつもりだったけれど。
「「やっちゃってもいいよね?」」
 そうして不意打ちとなるレーザー光が雨のように降り注ぎ、あたり一帯を眩く光らせて。
「ヤッチマイナー!!」
 混乱に陥る敵陣へと、血の気の多そうなストームブレイドたちが再び吶喊するのだった。





 And where is that band who so vauntingly swore,
 That the havoc of war and the battle's confusion.

 A home and a country shall leave us no more?
 Their blood has washed out their foul footstep's pollution.

(戦争による破壊と混乱を 自慢げに断言した奴等は何処へ
 家も国もこれ以上我々を見捨てはしない
 彼等の邪悪な足跡は 彼等自らの血であがなわれたのだ)

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイ・オブライト
世界も、明日生きていく奴がいなけりゃあ続く意味すら薄れる
そいつを勝利と呼ぶ気はない

というわけだ
オレも『捨て駒』のが性に合う、親玉に仕掛ける奴は任せた
義勇軍とは別方向に出る話をつけておく。こっちが騒がしい間に後退やら救護に励みな
『地形破壊』格闘で派手に地を割り敵部隊分断、義勇軍への追走阻み
『覇気』に触れた砲弾を『オーラ防御・念動力』で静止&格闘で打ち返す。『乱れ撃ち』で混乱誘う目的と
接触時、弾に纏わせた『属性攻撃(電気)』が何らかの障害を引き起こせば罠としちゃ上出来だ
通信障害程度でも集団だからこそ痛手。だろう?
【UC】
指示が整う前に膨大な光で薙ぎ払い
紛れて離脱。以降は義勇軍のそばで命を守る戦いを



●逆襲
「ネズミどもめ、中々しぶといではないか。だが、お前たちも所詮ここまで」
 私の戦車軍団の前には無力、と確信をもって断言するロンメル。
 彼は腹心たるオブリビオン幹部に本隊への合流を命じ、突撃体制を整えつつあった。
「光栄に思うが良い、我が戦車軍団の真価を見せてやろう!」
 戦術マップに示されていたのは、ネズミどもの作戦指揮所と――その遥か後方にて確認された拠点。
 どうやら刺客と協同しているらしいレジスタンスどもは、こちらの隙を窺うばかりに少ない戦力を割って広域に展開しているようだ。
 戦況、敵の情報が明るみに出つつある今、我が戦車軍団が迅速な機動戦によってその急所を粉砕し、策源地となる拠点を蹂躙して回るのは、赤子の手をひねるが如く容易いだろう――。 

●分断
「世界も、明日生きていく奴がいなけりゃあ続く意味すら薄れる」
 そう告げて、継ぎはぎだらけの体は過酷な戦地へと足を進めていく。
「そいつを勝利と呼ぶ気はない」
 友軍の援護も無ければ逃げ道だってロクにない敵地の奥深く。
 戦場をさすらう死人――レイ・オブライト(steel・f25854)は単身にて軍勢と対峙する。
 ――オレも『捨て駒』のが性に合う、親玉に仕掛ける奴は任せた、と。
 義勇軍の各部隊とは別方向に向かう話をつけて。
『こっちが騒がしい間に後退やら救護に励みな』
 向かったのはロンメルの腹心たるオブリビオン幹部率いる師団。
 ロンメルがその本隊の背中を預け守らせる、最も有力にして有能な敵部隊だった。

「まずは分断だ」
 大地を砕くゴッドハンドの拳が、大地を震わし進撃する戦車軍団の前に亀裂を生じさせ。
 戦車軍団の進撃が停止、もうもうと一帯を覆う砂煙が晴れかけたころ、
「……大歓迎だな」
 そこでようやく、荒野に立つただ一人の男を敵と気付いたのか、砲火が轟き砲弾の雨が飛来する。
 破壊のためだけに生まれた金属と爆薬の兵器――だがそれは男が纏う覇気に触れると中空に縫い留められ、オーラと念動力にて弾頭の彼我を反転させて。
「お返しだ」
 流れるようなコンビネーション。
 左、右、左……と連続して拳が繰り出され、とどめに一際巨大な砲弾を脚撃にてはじき返す。
 さすがに狙いをつけられるでもなく、砲弾は敵陣にて炸裂するもその直接的戦果は限定的だったが。
「通信障害程度でも集団だからこそ痛手。だろう?」
 帯電させておいたそれの破片は部隊の中に広く散布され、生じた放電現象がアンテナに干渉すれば、一時的な通信の不調を誘発して。
 整然とした隊列を失い迷走する敵部隊を眺め、やれやれとため息が一つ。
 拳がひしゃげ、砕けた骨が皮膚を突き破って根元から千切れた右腕。血だまりに転がるそれを辛うじて動く左腕に抱え、引きずって動かす死体は。痛むようなそぶりも見せず、
「こいつは礼だ」
 Gust(ディヴァウアー・ダークネス)――レイのユーベルコードは溢れる血肉を、膨大な電流が形作る光の槍に変化させ、敵陣へと放った。
 空気を焼き焦がしながら放物線を描いて飛ぶ槍は、混乱の比較的薄い一帯へと突き刺さり――そこで行く先を得た膨大なエネルギーが破壊をまき散らし、周辺を薙ぎ払う。

「よぉ、あんたイカレてんな!」
「……」
 当たりどころが良かったのだろうか、統率を失って硬直する敵軍を割って逃げてくる兵士が一人。
 粗野な荒くれ者が多い義勇軍の中では落ち着きのある兵士で、聞けばゴッドハンドのトーマスという名の男だった。
「……何だ。獲物を横取りしたか?」
「冗談が上手いな。まぁ、危うくこっちまで消し炭にされるかと焦ったが」
 どうやら有力な部隊の合流を阻止するべく伏していたらしい兵士は、そう言って肩をすくめて。
「おかげでノルマ達成だ。宝くじの一等を当てるより薄い勝ち目だったが、これでロンメルの右腕はバキバキに骨折したようなもんだな」
 あんたはそれよりもっと酷いことになってるみたいだが、と片眉を吊り上げおどけて見せる。
「そのうち治る……今日は早いようだ」
 うごめく肉の破片が再生を開始し、レイの肉体が徐々に修復されていく。
「そいつは良かった。それじゃ、ついでにもう一仕事、いけそうかい?」
「ああ」
 短く応えが返り。
 命を守る戦いを――その衝動に従い、動き出した死者の肉体はロンメルの本隊を追って走り出す。





 No refuge could save the hireling and slave.
 From the terrors of flight or the gloom of the grave.

 And the star-spangled banner in triumph doth wave.
 O'er the land of the free and the home of the brave!

(敗走の恐怖と死の闇の前では どんな慰めも傭兵や奴隷達の救いたりえず
 勝利の歓喜の中、星条旗は翻る 自由の地 勇者の故郷の上に!)

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「知略…ゲェムは常敗無勝な私に、知略…」

「そ、それでも現地の拠点の方々がお亡くなりになるのは見逃せません」

「確か戦車は、水平方向より下には攻撃しづらい構造の筈でしたから…穴を掘りましょう!戦車の前半分だけ落ちるような幅の穴なら、砲塔だってばっきり折れるでしょうし、抜け出せなくなるはずです!上を乗り越えた後続車両は、その先でまた穴に落ちて貰う形で」

現地戦力に接触し戦車の大きさ確認後UC「ノームの召喚使用」
深さは5m程度で戦車の前半分が落ちる幅の落とし穴を戦車の進行方向に見えないように何本も掘って貰う

敵の攻撃は第六感で躱し
自動車が走行可能な地面なら車で
無理なら走って穴方向へ誘導
戦車部隊の足止めする



●戦車前進
「全軍の動きが鈍い……しかも、未だに後方を切り崩されているだと? ええい、刺客どもめ。まさか、ここまで私を追い込むとはな」
 機能不全に陥り始めた戦車軍団の動きに、ロンメルはいらだった様子で呟いて。
「だが、それでも勝つのは私だ。見ていろ。最前線で培った私の用兵と、我が最強の精鋭部隊の力を!」
 機動力、火力、防御力がバランス良くそろった、現代でも最強の一角に数えられる陸上兵器。男はその特性を知り尽くし、大胆不敵な用兵によっていくつもの勝利を積み重ね今の地位を築いてきたのだ。

「パンツァー・フォー! ロンメル親衛隊、出るぞ! 猛虎の身に集るネズミどもを駆逐するのだ!」

 ロンメルの神経が隅々まで行き渡ったかのような、阿吽の呼吸。
 軍人宰相の分身ともいえる、最強の戦車隊が意気軒高に進撃を開始する。

●最期の時に
「知略……ゲェムは常敗無勝な私に、知略……」
 あわあわと落ち着かない様子で目を泳がせるのが御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)。良く見ると常勝無敗……ではない。その恐るべき戦績が不安の原因なのだろう。
「そ、それでも現地の拠点の方々がお亡くなりになるのは見逃せません」
 と、今回の戦場にもその不安を押し殺してやってきたのだが……。
「確か戦車は、水平方向より下には攻撃しづらい構造の筈でしたから……穴を掘りましょう!」
 桜花は敵兵力にも存在する一般的なキャタピラを備えた戦車の特徴をあげ、その対策を考えて。
「戦車の前半分だけ落ちるような幅の穴なら、砲塔だってばっきり折れるでしょうし、抜け出せなくなるはずです! 上を乗り越えた後続車両は、その先でまた穴に落ちて貰う形で」
 うんうん、と満足そうにうなずき早速その対策を実行に移す。

「おいでおいで、土小人。私の手助けをしておくれ。代わりに石をあげましょう。ざらざら渡す石ビーズ、その分手助けをしておくれ」
 彼女はユーベルコード『ノームの召喚(ノームノショウカン)』によって大地の精霊を呼び出し、作業の指示を出していく。ノームたちは枯れてひび割れ、砂埃が舞う荒れた大地に、しばし呆然として悲しそうな表情を見せていたが。
『ヨッホホーイ♪』
 その数秒後には何事もなかったかのように、桜花の指示に従い落とし穴を掘り始めた。
 落とし穴の深さは5m程度で、戦車の前半分が落ちる幅。それを戦車の進行方向に見えないように――これは土の精霊が上手く地中を空洞化させて掘ってくれた。
 そうして同じものを時間の許す限り何本も掘って貰い、これで一安心かと思った所でその報告が飛び込んできたのだ。

「ロンメルの本隊がこちらに向かっている、と?」
「肯定します。発起点は隠匿と偽装を重ねていましたが、ロンメル側の偵察に捉まったと予想」
 軍服の金髪幼女が無表情で指揮通信所の危機、そして後方に存在する拠点の危機を伝えてくる。
 敵も広範囲に戦力を展開しており、ロンメルの本隊以外に有力な部隊は見当たらない、というのは朗報ではあったが……。その代わりに、友軍からの来援も期待できそうにない、とのこと。
「ロンメルさんも戦力は散っているんですね……それなら、他の猟兵さんたちがそろそろ……」
 と、楽観的な思考を口にしようとして。

 ――桜花は、気づいてしまった。とんでもないその事実に。

「いえ。何かが、おかしい……ま、ま、まさか……っ!?」

 今回の猟兵たちの作戦の目的は、『ロンメル・ヴォーテックスの暗殺』だったのだが……
 そう、もうおわかりだろう……。

 そう! 猟兵たちは誰も!! ロンメルを狙いに行っていないのである!!!

 義勇兵の安否を気遣う猟兵たちがロンメルの撃破を譲り合った結果、猟兵の実力ならばそろそろゴール出来そうな段階になっても、誰もロンメルを殴りに行くものがいない状況が発生してしまったのだ。

「あわ、あわわわ……」

 遠く、大地を揺らして鋼に鎧われた頑強な精鋭たちが迫っていた。
 ノームの落とし穴が時間を稼いでくれるとしても、そう長くは持たないだろう。
 桜花は一縷の望みをかけて、指揮所に残っていたいかにも大物そうな義勇軍の兵士に目をやった。マシューという名の初老の男だ。そのマシューは桜花に向けて余裕たっぷりに頷いて、
「ふっ。君が何を考えているか分かるぞ。だが私はただのヤブ医者だ。戦いは得意じゃあない」
 駄目そうだ! そして金髪幼女に至っては、拳銃を取り出して「大丈夫、私にはこれがあります。いつでも、私は人類とアメリカの栄光のためにこの身を……」などとぶつぶつ呟いている始末。
「ええい、時間を稼ぎますから、お二人はさっさと逃げてください!」
 涙目で半ばやけくそになりながら、桜花は愛車の改造キャンピングカーに飛び乗って発進させる。

 砲弾が降り注ぐ中、ほとんど直感だけを頼りにハンドルを切って攻撃を躱すも、やがて不整地の走行にハンドルを取られ、爆発に巻き込まれて横転してしまい。
「ううぅ……」
 そうして車内から這い出した桜花がよろよろと立ち上がり、目にしたのは。
 鋼の殺戮者たちによる蹂躙と砲弾の雨――ではなく。

「ん゛あ゛あ゛ー。この野郎。しつこいんだよ全くぅ……」

 何か、禿げ頭の知らないおじさんが、ロンメルと思しき白目をむいた軍人を引きずってこちらに歩いてくる姿だった。
 するとすかさず凶悪な顔をしたノームたちが駆け寄って、まだ微かに息があるらしいロンメルに止めを刺してしまい。

「……悪しきモノは滅びました!」

 桜花はこういう時どういう顔をしていいかも分からなかったが、とりあえず叫んで締めた。
 こうして、猟兵たちの活躍と知らないおじさんと大地の精霊によって、偉大なる軍人宰相はその最期を迎えたのだった!





 Oh, thus be it ever when freemen shall stand
 Between their loved ones and wild war's desolution.

 Blest with victory and peace, may the heav'n-rescued land.
 Praise the pow'r that hath made and preserved us a nation.

(愛する者を戦争の荒廃から 絶えず守り続ける国民であれ
 天に救われた土地が 勝利と平和で祝福されんことを願わん
 国家を創造し守り賜うた力を讃えよ)





●ep
「おそい。おそいぞ、ハゲ……」
「おいおい、勘弁してくれぇ。パパ頑張っただろう?」
「パパじゃない。……ハゲ」
「お帰りって言ってくれよぅ。疲れたんだよぉ……」
「ハゲ、ハゲ。…………やっぱりハゲ! 早く帰るぞっ!!」





 Then conquer we must when our cause it is just.
 And this be our motto: "In God is our trust!"

 And the star-spangled banner in triumph shall wave,
 O'er the land of the free and the home of the brave!

(肝に銘せよ 我々の大義とモットーは
「我等の信頼は神の中に有る」ということを
 勝利の歓喜の中、星条旗は翻る)





 こうして、猟兵と義勇軍は統率を失った敗残の戦車軍団を各個撃破で散々に打ち破り。
 周辺の拠点の指導者やエース格の者たちにも被害を出さず、完全な勝利を手にして。

「私は神を信じない。だから、神に感謝はしない」
 そう言った名もなきフラスコチャイルドの幼女は、あなたへと見事な敬礼を見せ。
「人類と、貴方たちの厚意に感謝を――」
 心も感情も持たないかのような無表情の中で、うっすらと微笑んでいたのだった。




 O'er the land of the free and the home of the brave!

 ――自由の地 勇者の故郷の上に!

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年09月07日


挿絵イラスト