アポカリプス・ランページ②〜ミートハンマー作戦
●グリモアベース、ブリーフィングルーム
「猟兵諸君、待ちに待った戦争の時間よ。」
猟兵たちの前に現れたのはグリモア猟兵イザベラ・ラブレス(デカい銃を持つ女・f30419)であった。
「今回の戦争はこれまでのどれよりも規模がデカいわ。なんせ北米大陸丸々一つ貸し切り、さらにオブリビオン・ストームの元凶、フィールド・オブ・ナインの存在まで確認されているわ。東奔西走でカタストロフを阻止しつつ、フィールド・オブ・ナインにも対処しなきゃいけない。要は速さが命ってこと。」
だからブリーフィングも要点を絞ってパパッとやるわ。そういうとイザベラはモニターを操作し、次の画面に切り替えた。
「さて、緒戦の舞台は西海岸、旧カリフォルニア州アナハイム。通称『ブラッドルビーランド』。大昔は大層栄えてたようだけど今じゃ趣味の悪いクソッタレな…失礼、ヴォーテックス一族のテリトリーになっているわ。悪名高き人間牧場のある土地と言えばわかりやすいかしら?」
ヴォ―テックス一族はアポカリプスヘルでも最も有力なオブリビオン集団であり、猟兵達の重要目標である。つい先日、旧アカプルコにて猟兵達の活躍により討たれた狂人教祖クライストが記憶に新しい事だろう。
「ターゲットは肉塊女帝、ブラッドルビー・ヴォーテックス。人間牧場の元締めにしてブラッドルビーランドの主ね。そしてここでいいニュース。どうやらこっちを迎え撃つ気満々で自ら出張ってきてるみたい。探す手間が省けたわね。しかも的はデカい上にトロい。目を瞑ってでも弾丸を当てられるほどイージーだわ。」
イザベラはモニターに映る肉塊女帝を指鉄砲で撃つ仕草をしながら軽口をたたく。確かにモニターに映るのは肉塊女帝の名に偽りない肥満体。否、肥満体を超えた体高5メートルの肉塊である。こんなので素早く動き回られたらそれこそホラーであろう。
「で、次が悪いニュース。ヤツの攻撃手段は手駒の生きた奴隷を使ったものばかり。奴隷とはいえ生きた人間、彼らを傷つけるような戦いは猟兵として避けるべきね。」
猟兵が一般人を傷つけるという事、それは将来現地の人々と猟兵の間に禍根を残すことにも繋がるだろう。
「奴隷を傷つけるな、でも奴隷使いのバケモノは倒せ。それもなるべく早く。正直なところ難題を吹っ掛けてる自覚はあるわ。でも貴方たちは猟兵。無理難題を解決してしまうヒーローにしてジョーカー。だからこそ遠慮なく吹っ掛けさせてもらうわ。むしろ緒戦のコレで手間取る様ならアポカリプスヘルの未来は暗いわね。」
まるで猟兵達を挑発するような口調。しかしここで時間を取られるのは惜しいのは事実だ。そしてそれを理解した上でイザベラの挑発を受けた猟兵達は「やってやろうじゃねえかコノヤロウ!」と目をぎらつかせる者達ばかりであり、それを見たイザベラはとても満足気な表情を浮かべた。
「ヤツに女帝なんて称号は過ぎたものだわ。ただのクソッタレな肉塊(チャンク)に変えてきて。」
Good hunting Jaeger(猟兵諸君、良い狩りを)!
そう猟兵に告げるとイザベラは猟兵たちの転送を開始した。
マーシャル後藤
お久し(1か月)ぶりでございます、マーシャル後藤でございます。
ついに始まりましたアポカリプスヘルが舞台の「アポカリプス・ランページ」。
本シナリオでは非道なる奴隷使い、肉塊女帝を相手にした戦いが繰り広げられます。
●戦場情報
旧米合衆国カリフォルニア州・アナハイム、ひび割れたアスファルト敷きの大通りでの戦闘となります。
周囲には崩壊を免れた廃墟が幾つか、燃え盛る障害物が点在しています。
●敵情報『ブラッドルビー・ヴォーテックス』
身長5メートル、肥満体のオブリビオンです。本体自体の戦闘力は高くはない。一方で奴隷の使役に長けており、「人間椅子」や「肉の盾」を用いた戦闘を得意とします。奴隷たちは人間牧場にて心を壊され、ブラッドルビーに従順で忠実な駒と成り果てています。
●プレイングボーナス
奴隷を傷つけないように戦う。
プレイング募集はOP承認直後から開始となります。
また、必要成功数に達した時点でシナリオ完結とさせていただきます。
それでは皆さんのホットなプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『ブラッドルビー・ヴォーテックス・奴隷使』
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POW : アタイこそが最高の女帝!
【奴隷にした人間達 】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[奴隷にした人間達 ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 行きな、アタイの椅子ども!
自身の【移動速度 】を代償に、1〜12体の【戦闘用の肉体改造を施した椅子担ぎ奴隷】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ : 肉の壁になりな!
全身を【奴隷の壁 】で覆い、自身が敵から受けた【敵意】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:桜木バンビ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
遠からんものは音に聞け!
近くば寄って目にも見よ!
女帝様のご出陣である!
来たぞ来たぞ女帝が来たぞ。
女帝に捕まりゃ牧場送り。
気に入られたら肉奴隷。
一生マトモにゃ生きられぬ。
逃げろや逃げろ、どこまでも。
もっとマシな地獄へと。
旧アナハイム、現ブラッドルビーランド。
その最奥に鎮座する「夢の国」から一台の山車が大通りへと現れた。
「オラぁっ!もっと腰を入れて担ぎな!アタイの美尻が悲鳴を上げたらタダじゃ置かないよっ!」
否!それは山車に非ず!
一脚の巨大な椅子に鎮座する巨大な肉塊であった!
その激と鞭の向かう先は椅子の真下の奴隷たち。拷問と調教の末に心を折られ、女帝の不興を買うまいと従順に侍る無力な者共は女帝の脚として黙々とアスファルトの上を進んでいた。
アハト・アリスズナンバー
ブラッドルビー・ヴォーテックス。アリスズナンバーシリーズの作成をする際に資金源になったとかなってないとか。どんな人なんでしょうね。やり手のウーマン?女社長?
チェンジで。
ユーベルコード起動。光速移動で一気に肉薄し、椅子担ぎの人間に手を出すことなく肉薄します。
騎乗を応用してマウントを取り、防御できない肉の鎧無視のハッケイ連打暴力です。あってよかった酔拳の技術。
こっちに奴隷が来るようなら、睨みつけて威厳と恐怖を与えおびえさせときます。奴隷たちに傷一つ与えませんよ。その分この肉ダルマに受けてもらいますので。
オラ目え覚ませ。まだ残ってんだ。
白石・明日香
ふ~ん、豚か。殺処分決定だな!
奴隷たちを気づけないで行く技を持ってないから急いで豚の元へ急行するしかない!
ダッシュで敵目掛けて接近、集結する奴隷たちを踏み台にして空中戦の要領で飛び石よろしく豚へ接近する。
嫌なのか?ならば豚らしく豚小屋へ送ってるよ。
奴隷たちの動きを見切って掴まれないように細心の注意を払いながら豚の間合いに入る。
煩いな、豚と話す気はないんだよ!!
間合いに入ったら怪力、属性攻撃(炎)、2回攻撃、鎧無視攻撃で叩き切る!
それは悲鳴なのか?面白いからもう少し聞かせろ。
●やはり「これ」に限る
「チェンジで。」
これはブラッドルビーの姿を視界に捉えたアハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)の第一声である。
「噂ではアリスズナンバー作成の資金源がアレだったと聞いていたのでやり手のビジネスウーマンなんじゃないかと思ってましたが…なんですかアレ。チェンジで。」
まるでデリバリーサービスに不満をあらわにした顧客の如く不満を捲し立て、どぶろくをグビグビと呷り二度目のチェンジを宣言するアハト。
「まぁ要するにただのデカい豚だろ?不良品の豚は殺処分って昔から相場は決まってる。」
白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)もアハトに応えるように続き、拳をパキリポキリと鳴らし剣を抜いた。
「その通りですね。それじゃあパパッと終わらせましょう。では…どちらから先に行きます?」
「…ジャンケンで決めるか。」
「ハッ!どうやら来たようだね猟兵ィ!奴隷ども!出番だよっ!」
アハトと明日香の接近に気がついたブラッドルビーは目を見開き、その巨体を持ち上げた。その下では彼女が立ち上がり椅子の重心ずれを修正しようと奴隷たちが踏ん張っていた。
「オオオオオオッ!」
ブラッドルビーの号令に反応した奴隷たちはまるで勇猛な戦士の如く飛び出して行く。しかしそれは肉塊女帝の奴隷であるが故の蛮行。主の怒りが自身へ向かわぬようとの保身。苦痛から逃れるための必死の特攻である。
「ほい、到着。」
「…ハァッ!?」
だがブラッドルビーが号令を出すよりも早く、アハトは攻撃の準備を終えていた。
「なっ!テメェ!?さっきまで向こうにいたハズ!?」
「馬鹿め、それは残像です。」
驚くブラッドルビーの問いに淡々と事実を述べるアハトは実際光の速さで距離を詰めて来たのである。
「では時間も掛けられませんので。せーの。」
アハトは段々腹に足をめり込ませてブラッドルビーに肉薄すると、その胸部めがけて「常識的な速さの拳撃」を繰り出した。
「~~~~ッッッ!!ゴバァッ!?」
せっかく用意した奴隷たちに守らせることもできずまともに攻撃を受けたブラッドルビーは悶絶する。腹に足をめり込まされた事以上に拳撃の威力が贅肉を突き抜け臓腑全体に響いた。
「お、発勁が効いてるみたいですね。では続けて、ホイホイホイホイ。」
続けざまに右、左、右、左。休む間もなく拳を撃ち込まれる度に全身を突き抜ける苦痛に顔をゆがませるブラッドルビー。しかも倒れようにも椅子の背もたれが邪魔で身動き取れず。
「な…ナメるんじゃねぇ!」
意識が飛ぶような暴力に曝されるも、流石はヴォーテックス一族の看板を背負っているだけはある肉塊女帝。手に持ったパイプを力任せにブン回しアハトへの反撃とした。
「よっしゃ!選手交代だな!」
「ナイスタイミングです。」
ブラッドルビーの反撃をかわし飛び退いたアハトと入れ替わるが如く突っ込んできた明日香は奴隷たちを踏み台にしながらブラッドルビーへと接近する。
「グ……チィッ!二度も同じ手にノせられるかってんだっ!」
肉塊女帝の意を察したのか明日香の足元から次々と奴隷の腕が明日香を捕らえようと伸びてくる。もしかしたらこの地獄から解放してくれるかもしれない、そんな事すら考える余裕がないゆえに。
だが相手は百戦錬磨の猟兵、数で勝ろうとも小手先程度の足止めなど届くはずもなく。
「煩いな、豚と話す気はないんだよ!!」
気が付けば明日香の射程圏、明日香の両の手に握られた二振りの剣が火を纏い、肉塊女帝を切り裂いた。
「ギ、ギャアアアアアアアア!」
「そら、もう一丁!」
悲鳴を上げるブラッドルビーに追い打ちをかける明日香。そのまま賽の目に切り刻むが如き勢いである。
「ガアアアアアアアア!お…ど、奴隷共ォ!ゴイヅらを……ギャアアア!?」
そしてブラッドルビーは奴隷たちに猟兵を攻撃する様に支持をしようとするも、絶え間なく襲う激痛に悲鳴を上げ続ける。
一方奴隷たちは肉塊女帝を助けようにも身動き取れず。なぜなら。
「お?発勁喰らいたいですか?お?お?」
目の前でフリッカーを繰り返すアハトがいるのだ。近付けるわけがない。
明らかに肉塊女帝よりも格上の存在。強き存在に服従すべしと調教された存在達は本能と理性の狭間にて右往左往するしかなかった。
なお攻撃の順番を決めるジャンケンは、アハトがグー、明日香がチョキだったそうだ。
大成功
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馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第四『不動なる者』盾&まとめ役な武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:黒曜山(剣形態)
不愉快な相手である、が。だからこそ我らは戦う。
悪霊である我らは、生きる者らの味方であるがゆえに。
さて、あの女帝だけを攻撃するには…わしならば指定UCでの置き斬撃かの。
女帝の未来位置は、黒曜山で逐一わかるしの。気づいたとて、それを含んだ未来が写される。
つまりは、女帝のみを斬る攻撃である。
防御には四天霊障による結界術…今回は衝撃吸収のみ。ゴムに体当たりしたみたいなものだ。
負けられぬのだよ。オブリビオンには、負けられぬのだ。
枯井戸・マックス
◇心情
不条理に人々の自由と平和を踏みにじる者は容赦しない
「レディを傷つけるのは気乗りしないが、何事にも例外はあるもんだ。手加減抜きでいくぜ」
牡羊座の星座武装ラリホーンサックスを召喚しユーベルコード発動
音波に肉壁は通用しないだろ?
奴隷にされた人々には眠りによる一時の安息を、ブラッドルビーには血液が煮えたぎる地獄の苦しみを与えよう【催眠術、音の属性攻撃】
奴隷をかき分けて行動しようとするなら、【第六感】でその動きを察知してマンデリンの【クイックドロウ】による牽制射撃だ
これ以上もう誰も傷つけさせはしない
「集めた奴隷の壁も、眠ってしまえば動きを阻害する足枷にしかならんだろう?自分の業に埋もれて沈みな!」
大豪傑・麗刃
なるほど奴隷を傷つけないように戦えと。要は奴隷を避けて敵さん本体だけに傷をつければよいわけだな。私の武器は刀なので、奴隷を全部よけて接近できればボスのみにダメージは行く。あとは速度で奴隷を上回れば良さそうだと。
えっと。
きみの名前はドレッドモヒーくんだっけ。でもドレッドでもモヒカンでもないのだ。
違った?ごめんごめんヴォーっと立ってるくん。名前に反して座ってるけど。
よろしい。
奴隷をつれたきみに対するにふさわしい戦い方をしようではないか。
(赤いマントを両手に持って構える)
ドーレイ!!
……
たぶんボスは笑わないし、奴隷はそも笑う余裕がない。
よって速度が1/5になり、容易に奴隷全員回避してボスをざっくり。
●三人が…ボケる!奏でる!そして斬る!
「さて。奴隷を傷つけず、肉塊女帝を倒す。この作戦に各々異論は無いな。」
「あぁ、それでオーケイだ。」
「右に同じくー。」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の問いかけ二人の猟兵、枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)と大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)が答える。
「まぁ相手はレディだが、自由と平和はを奪うような存在だ。ならば例外的な扱いにしても大丈夫だろう。」
「然り。今を生きる者を害する実に不愉快な化生。であれば斬る理由はそれで十分だ。それにオブリビオンに負けるわけにはゆかぬ。」
「まぁとりあえずサクッと行ってみようじゃあないか!まずはわたしが一番槍をいただこう。」
((すでに他の猟兵が一番槍を終わらせてるんだよなぁ。)終わらせてるんだがなぁ。)
そういうと三人の猟兵はブラッドルビーを倒すべく得物を構えた。
「あー、テステス。本日は快晴也、本日は快晴也ー!ド・レ・ミ・レ・ドー♪」
麗刃はブラッドルビーと奴隷達の正面に立つと声の調子を確認する様に大声を張り上げる。
「グギギ……次は何、だい…?」
その様子をブラッドルビーは苦痛に顔を歪めながら見ると、奴隷たちを自身の周囲に並べさせ迎撃の準備を整えた。初撃こそ喰らってしまったが二度も同じ轍は踏むまいと。
「えー、さて。……あれ?」
麗刃は何かを喋ろうとしたが途端に黙り首をかしげる。
「おーい、君の名ってなんだったっけー?」
君の名は?と麗刃はブラッドルビーに訊ねた。当の本人も奴隷も「なんのこっちゃ?」と呆然としている。
「あぁ!いやゴメン思い出した。そうだ、ドレッドモヒーくん!」
「いや、違うが……。」
「え、違う?…あー。たしかにモヒカンじゃあないね。すまんすまん、ヴォーっと立ってるくん!」
「テメェ、相当死に急いでるみてぇだね!」
そしてブラッドルビーはようやく気が付いた。馬鹿にされているのだと。
「ふっ、残念ながらスーパー大剣豪の麗刃ちゃんは向こう百年は死ぬ予定はないのだ。まぁ名前を間違えた非礼は詫びよう。メンゴ!」
だが麗刃劇場の勢いは衰えない。既にブラッドルビーの顔面は馬鹿にされた苛立ちでルビーを超えてトマト位に真っ赤に染まっていた。
「それじゃあ早速勝負だ。今回は奴隷をつれたきみにふさわしい戦い方を用意してきた。是非堪能してくれたまえ!」
そうして麗刃が懐から取り出したるは一枚の赤い布。正確にはマントである。それを両手に持ち己の身体の横に構える様は、まるでスペインの闘牛士「マタドール」の如きであった。
「…ドーレイッ!」
「あー、オーレと奴隷をかけてるのか。」
「成程。ぎゃぐ、というやつか。」
「まぁとりあえず言われた通りに笑っておこうか。」
「「はっはっはっは。」」
「終始フザケ通しやがって…!奴隷共っ!ヤツの茶番を終わらせてやんなぁ!」
「オオオオオッ!」
血管がダース単位で千切れてそうなブラッドルビーは奴隷たちを麗刃と背後の義透、マックスへと向かわせるべく号令をかけ、奴隷たちは愚直に突っ込んでいった。
「どうやら動き始めたみたいだな。それではわしらも征くとするか。」
「おう、こっちは直ぐにでも始めさせてもらうぜ。」
そして攻撃の頃合いを見計らっていた義透とマックスも行動を開始した。
マックスは取り出した白羊宮ラリホーンサックスのマウスピースに口を当てるとハイテンポなスウィングを奏で始めた。軽快なメロディながら、しかしどこか穏やかな旋律をも感じられる不思議な音色である。
そしてこの演奏に乗せられた音波が次第にその効果を発揮し始めた。
「おぉ、奴隷たちがみんなスヤスヤと眠り始めたのだ!まぁズタ袋のせいで寝顔は見えないけど。」
「これ、わざわざ寝顔を見ようとするでない。今だけは良い夢心地を味合わせるのも人の情けよ。」
周囲で眠りこける奴隷を見渡しながら、しかし僅かな気力で眠気を堪え突っ込んでくる奴隷を避けつつ会話する麗刃と義透。避けるといっても麗刃のギャグパワーで速度が1/5まで低下している動きなど避けるのに大した事もないであろうが。
「まぁ肉まん大帝くんは別みたいだがね。…あとだね、馬県さん。」
「うん?」
「わたし、結構エグいことしちゃったんじゃないかなーって…。」
「ギイィィヤアァァァァァ!?」
奴隷たちがすやすやと眠る一方でブラッドルビーは苦しみもがいていた。体の奥底から全身に隈なく走る激痛、しかもそれはギャグパワーの影響下で痛覚すらも1/5の速度で伝達している。
つまり痛みの体感時間が通常の5倍である。
「グゥゥエエエエエエ!?」
そして悲鳴も5倍である。
「全く聞いてられんのぅ…位置予測もいらん気がするがとっとと斬るか。」
「承知なのだ!」
相手は激痛にもがくのみ、しかも遅く、そして周囲の護衛を担う奴隷も無事無力化。三下オブリビオンを倒すよりも容易き状況ではあるが念には念を。
義透は黒曜山を抜き放ち、ブラッドルビーの周囲に無数の斬撃を発生させ。
麗刃も刀を構えて真正面から大上段の一撃を振り抜いた。
肉塊女帝が文字通りの「肉塊」と化すのも時間の問題であろう。
大成功
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毒島・雅樂
先ず、他に来てる面子との連携は問題ないぜ。
妾としても援護する感じで動く方が今回は動き易そうだしな。尤も…単独でも負ける気は更々ねェけどサ。
仮にも女帝を名乗るンならもう少し外見を…と言っても詮無いかねェ。
それはさて置き。「奴隷を助け」「女帝サマを滅相する」コトを両方こなさないといけねェのが猟兵の辛いトコ。…と、ま、戯言はこの程度にシて。
一網打尽にするのなら妾のUCが威力を発揮するトコだねェ。
多少は苦シいが奴隷にゃ呼吸困難になって貰うと同時に戦場全体に煙を撒いて敵サンの視覚を阻害。後は忍び寄って、肉塊の胸に脇差を突き立てりゃ拍手喝采で緞帳が下りるって寸法さね。
ウルル・マーナガルム
『自信のほどは如何ですか? ウルル』
大きくて遅い標的でしょ?
いくら人の壁で守られてたって
弾丸一つ分の隙間があれば十分だもん
そんなの無理難題の内に入らないよ
なるべく高い所に陣取りたいな
消音器つけてるし
見つかっても平気だって思うけど
念のためドローンを散開させて
真逆の位置から銃声を再生
跳弾も使って
ドローンのいる方向から狙撃されてるように見せかけるよ
ハティはホログラム起動
ボクの映像を纏って
敵の足元で囮役をよろしく
『7.62mmの火力では、分厚い脂肪に阻まれる可能性があります』
じゃ、弾丸が体の中に届くまで
同じ所に狙撃を集中させて
弾をどんどん押し込んであげるね
さて、致命傷まであと何発かな?
メアリー・ベスレム
「屠殺ごっこ」を「狩り」だなんて!
ちょっと大げさだと思わない? ねえ、豚の女王様?
そうわざとらしく怒らせて
群がる奴隷達を【ジャンプ】【踏みつけ】跳び越える
殺しはしないから、これぐらいなら良いでしょう?
女王様が間合いに入ったら【小さな悲鳴】を起動する
回転数はもちろん最大で。その分、耳障りな音も最悪で
メアリの耳はまともに聞こえなくなってしまうけれど
きっと、女王様の命令だって届き難くなるでしょう?
もともと無理やり従わせていた相手だもの
この状況でどこまでまともに戦えるかしら?
罵声も悲鳴も命令も
あなたの声は何一つ
もう誰にも届かない
ほら、もっとお腹から声を出さなきゃ!
手伝ってあげるとそのお腹を【部位破壊】
●女帝、死すべし
「ガガ…ギググ……クソックソッ!手前ェ達が!使えねぇ!何でアタイが!苦しまなきゃ!」
立て続けに猟兵達から激痛、苦痛を味合わせられ、しかしまだ息のあるブラッドルビーは激昂し奴隷たちへ叱責と折檻を与える。全くの逆ギレである。
「うっ!うぅ…!」
しかし奴隷はそれを逆ギレと理解したうえで受け入れる。自身に飛び火させないためにも。それが彼らの地獄における唯一の安息であるがゆえに。
「さて、そろそろ終いにする頃合いだねぇ?」
「ええ、ええ!豚の女王様のパレエドは遂に終局!最後は女王様のソロパートが相応しいと思うわ!それにしても屠殺(slaughter)を狩り(hunt)だなんて!フフフッ!」
毒島・雅樂(屠龍・f28113)とメアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)は怒りに視野が狭くなっている肉塊女帝へと近づいてゆき、護衛の奴隷たちは彼女らを足止めせんと迫っていた。
「おっと、奴隷もなんとかせにゃだったか。『奴隷を助け』『女帝サマを滅相する』コトを両方こなさないといけねェのが猟兵の辛いトコ。…まぁ戯言はこれくらいにしておいてと。」
そういうと雅樂は煙管を口に運び一息に吸うとその紫煙を口から吐き出した。竜神の並外れた肺活量から繰り出される紫煙は次第に竜の姿をとり、奴隷たちへ向けて身をくねらせながら前進する。
「妾の紫煙はちと苦しいだろうが、まぁヤツの折檻にも耐えてきたなら大丈夫だろうさ。」
彼女の言う通り、紫煙が通った後にはうめき声をあげながら苦しむ奴隷が次々と倒れ込んでいった。
「まぁ凄い!竜の煙が女王様までの道になるのね!それじゃあ次は私の番ね。」
それを見たメアリーは喜々とした声をあげるとうずくまる奴隷たちの上を軽やかに飛びながらブラッドルビーの目の前まで迫った。
「こんにちは豚の女王様!そしてさようなら!」
一方的に話すメアリーに気づいたはいいものの、奴隷を折檻するのに夢中になっていたブラッドルビーは対応することはできない。
そしてメアリーは振り上げた肉切り包丁――であったモノ、言うなれば回転鋸――をブラッドルビーに振り下ろした。
「――――――――ァッ!!!!!!」
ブラッドルビーの肩から袈裟を斬るように振り抜かれた鋸刃は耳障りな音を立て皮膚、脂肪、筋肉、臓腑を斬り、抉り、吹き飛ばす。
しかしブラッドルビーの生命力は凄まじかった。凄まじいゆえに情人であれば絶命必至の激痛の中顔をゆがませ何かを叫んでいた。
「ごめんなさい!私を含めて誰も聞こえてないと思うわ!ほら、お歌を歌う様に、もっとお腹に力を入れて!」
「~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!!!」
メアリーは鋸刃を腹部へ押し込み、更に臓腑を抉り抜く。ブラッドルビーは口から大量の血を吐き出し、その血がメアリーへと飛ぶ。
「アアアアアアアアアアアアア!!!」
「あら、今度は聞こえたわ。」
ブラッドルビー、一矢報いるべくその巨大な両腕をメアリーに叩き付けるべく振るう。メアリー、あわや万事休す!
「そうはいかせねぇよ!」
しかしその時、周囲を覆う紫煙を突き抜けて雅樂の脚がブラッドルビーの腕を蹴り払った。
「そしてこいつは妾からのサービスだ、ありがたく受け取っておきなぁ!」
そして脇にメアリーを抱えると脇差を引き抜きブラッドルビーの切り裂かれた胸に突き立てるとすぐさま飛び退いた。
「仕上げは任せたよ!」
『ここまでお膳立てをされて仕損じたら格好がつきませんね。自信のほどは如何ですか? ウルル。』
「フラグでも立たない限り問題なしだよ。むしろグリモア猟兵さんが言ってたくらいにはイージーだね。」
大通りの側に立つ、元は公社のビルと思しき廃墟の屋上でウルル・マーナガルム(グリムハンター・f33219)はスコープを覗きながら猟犬ロボット・ハティの問いかけに答える。その先にあるのはブラッドルビーのこじ開けられ胸に深々と突き刺さった雅樂の短刀の柄である。
「7.62mmが肉の壁で心臓に届かないっていう懸念も消えたからね。これで本当にお終いにするよ!」
そういうと立射の姿勢からブラッドルビー、ではなく。その近くの廃墟の壁面めがけて撃ち出した。
「じぃじ直伝のリコシェの妙技、狩人の弾丸は獲物を逃がさないんだから!」
リコシェ、即ち跳弾。しっかり脇差の柄の底を打つように入射角を補正した7.62mmの跳弾が肉塊女帝にとどめを刺すべく飛んでゆき、
「クゾ……ごのアダイが……ごんなザイゴなんで……」
肉塊女帝の心の臓を打ち砕き、ただの肉塊と化したヴォーテックスの一人は玉座から転げ落ちた。
大成功
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