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アポカリプス・ランページ③〜灼熱地獄を超えろ

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ③

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#アポカリプス・ランページ③


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●焦土と化した街
 メラメラと炎が燃え盛り、もくもくと黒煙が立ち上っている。
 カリフォルニア州エルドラド郡。かつてはその名の通り巨大な黄金鉱脈を擁する都市が存在した場所は、一面に広がる炎によって灼熱地獄と化していた。
 そんな地獄の中を赤い燃料タンクを背負った男たちが、奇声を上げ、ノズルから燃料をぶちまけながら、走り回っている。

「ギャハハハハ!!燃えろぉ!燃えろぉ!!」
「プレジデントの命令だぁ!炎を絶やすなぁ!」
「燃やせ!燃やせ!燃やし尽くせえええ!!」

 レイダーたちによって撒き散らかされた燃料により、街を覆い隠すように炎の壁が作り出されていく。
 彼らを排除しない限り、街の中に入ることはできないだろう。

●灼熱地獄を突破せよ
「皆様、暑いのは得意でしょうか。わたくしは見た目の通り得意ですが…そうでない方にとっては、少々酷な依頼となるかもしれませんわね」

 燃え盛る地獄の炎の左腕を持つグリモア猟兵のオーキッド・シュラインは、アポカリプスヘルでの戦争へと赴く猟兵たちの前で、依頼の概要説明を始めた。

「今回、皆様に行ってもらう場所は、カリフォルニア州エルドラド群にあるとある街ですわ。そこには最強格のソーシャルディーヴァ『プレジデント』の大規模通信サーバが、隠匿されています。ですので、皆様には、この街に吶喊して、ちょいとサーバーを破壊してきて貰いたいのですわ」

 オーキッドはそう言うと、火鏡のグリモアを操作して街の様子を映し出した。
 そこにはメラメラと燃え盛る炎の壁に包まれたかつて街だったものの姿と、それを楽しそうに燃やし続けるレイダーたちの姿が映っていた。

「…見ての通り、この街は炎に包まれています。プレジデントがサーバーを隠すために放った火に、延々と油を注ぎ続けるお馬鹿さんたちが居るからですわ。ですので、皆様には、このフュエルスピッターを排除しつつ、街の中へと突入していただきます」

 暑いのが苦手な方には酷とオーキッドが言ったのはこう言う事だ。
 何かしら工夫をして【燃え盛る炎に耐えて戦う】必要がある。

「大変な思いをするかと思いますが、戦いを制し、大規模サーバを破壊することが出来れば、プレジデントと戦う際に優位を得られるでしょう。アポカリプスヘルとそこに暮らす人々を守るためにも是非とも突破してくださいませ」

 オーキッドはそう言うと、燃え盛る炎の転移門を作り出した。

「では、いってらっしゃいませ」

 手を振り見送りをするグリモア猟兵を背に、猟兵たちは燃え盛る街へと向かう。


しろべびさん
 しゃちーーーっすーーしろへびさんですわー🐍。
 というわけでー、戦争シナリオです。
 とてもとてもお久しぶりですので、採用数は恐らく控えめですわ。
 可能な限りは頑張りますので良かったらどうぞ。

 =============================。
 プレイングボーナス……燃え盛る炎に耐えて戦う。
 =============================。

 参考までに。
 ★…ネタを盛ってもOK。好きにして。
 ☆…アドリブましまし。でもシリアスな感じ。
 〇…アドリブは多少ならばOK。
 ×…アドリブ少な目、プレイングに忠実に。
 他の方と一緒に書かないで欲しい場合は、『ソロ』と書いて下さいませ。
 それではみなさんのプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『レイダー・フュエルスピッター』

POW   :    フュエルバースト
自身の【持つ燃料タンク1つ】を代償に、【タンクを投げつけ膨大な爆発力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって持つ燃料タンク1つを失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    フュエルイグニッション
【ノズルから発射した燃料】が命中した対象を燃やす。放たれた【燃料は外れても地形に残留、衝撃で発火。】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    スティッキーフュエル
【ノズル】から【可燃性を失った代わり粘性を高めた燃料】を放ち、【対象の身体に絡みつかせること】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:麻風

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルドラ・ヴォルテクス
○【アドリブOK】

【ナタラージャ】
暴れ狂えタービュランス。
(暴風の機構剣を発動)

俺の得物は嵐の剣、相手が悪かったな。
(風を巻き起こし、炎を払い、暴圧で破壊する)

数で来るなら、ユーベルコード、高速の九連撃で一切合切を吹き飛ばし、チャンドラハースで喉を裂く。
熱をそのまま飲み込めば、どうなるか自明だろう。

敵を殲滅し尽くすまで、俺は何度も躍り狂おう、ナタラージャの太刀は何度でも、息つく間も無く振るい贖われる。



●灼熱地獄を超えろ① ―嵐の剣士と放火魔軍団―
 そこには一面の赤と黒が広がっていた。
 炎、黒煙、炎、黒煙、炎、黒煙、炭化した建物。
 ガソリン特有の刺激臭が鼻を突き、乾いた熱波が体中の水分を干上がらせる。
 周囲の気温は500℃を超えていた。これは火災現場と同様の気温だ。
 そんな灼熱地獄の街に1人の猟兵が現れた。

「キ火火火っ!おい、生肉がわざわざ焼かれに来やがったぜ」
「ギャハハハハ!建物焼くのにも飽きてきた頃だぜぇ!」

 燃え盛る街に突如現れた人影を目ざとく見つけたレイダー・フュエルスピッターたちは、奇声を上げると青いプラスチックカバーの給油ノズルを手に、人影の元へと走り出した。
 レイダーである彼らには、自分たち以外の存在はすべて燃やして楽しい生肉だ。
 故に、彼らは想像していない。

 ――彼ら自身が狩られるべき獲物であると。――

「おうおう兄ちゃん、イケメンだな。俺たちがもっと格好良くしてやるぜ」
「全身ケロイド状になって死ねえ!」
「イケメンは消毒だあああ!!」

 レイダーたちは、突然現れた青年に対して一方的に話しかけると、容赦なく給油ノズルのトリガーを引いた。
 焼け焦げる肉の匂い、悲鳴、熱と痛みで苦しむ姿、それらを想像し、彼らの口角が醜く吊り上がる。
 しかし、彼らの想像した光景は訪れることはなかった。

「暴れ狂えタービュランス」

 ルドラ・ヴォルテクス(終末の剣“嵐闘雷武“・f25181)は、そう告げると暴風剣タービュランスの機構を解放し、力強く剣を振るった。
 剣から生じた暴風がレイダーたちの噴出した燃料を、周囲の炎ごと吹き飛ばす。

「俺の得物は嵐の剣、相手が悪かったな」
「チッ!格好つけやがって糞が!!」
「おい!数で囲んでぶち殺すぞ!てめえら来やがれ!!」

 必殺の燃料攻撃を当然のように防いだルドラの言葉と表情に、プライドを傷つけられたレイダーたちは激昂。顔を真っ赤にしつつ、仲間を呼び出す。

「戦いは数が多いほど有利だ。馬鹿でも分かることだぜぇ!」
「じゃあ、死ねやこらぁ!」

 怒声を上げてレイダーたちはルドラへと襲い掛かる。
 こちらは多勢、あちらは無勢。有利なのはどっちだ?こっちだ。
 レイダーたちはそう確信して、フラスコチャイルドの青年に、燃料攻撃を仕掛けようとノズルを構えた。
 しかし、有象無象がいくら集まったところで、一騎当千の猟兵には届かない。

「一切合切、鏖殺し、灰塵と化せ!」

 ルドラの生命ジェネレーターが輝き、彼の能力が一時的に跳ね上がる。
 UC【鏖殺の殺戮舞踏(ナタラージャ)】。その能力は生命ジェネレーターが輝く間、【自身が使用可能な武器及び能力】の攻撃回数が9倍になるという強力なもの。
 蒼刃がきらめき、目にも止まらぬ速さで九連撃が叩き込まれる。
 悲鳴を上げる間もなく、敵の一団が肉片へと姿を変えた。

「な…何が起こったんだ…んぐっ!」

 少し離れていた位置にいた為に1人だけ生き残ってしまったレイダーが、驚愕で目をむいた。
 一体何が起こったのだろうかと、考えている彼の喉に鋭い痛みが走る。

「--!!」

 いつの間にか目の前まで来ていたルドラのチャンドラハースによって、喉を縦に裂かれていた。
 声にならない声を上げて、レイダーの男は裂かれた傷痕を手で押さえながら、後ずさりを始める。

「熱をそのまま飲み込めば、どうなるか自明だろう」
「!!!」

 最後の1人が膝から崩れ落ちた。喉から直に入った熱で肺を焼かれたのだ。
 彼は地面にうつ伏せるように倒れ伏すと、2,3痙攣した後、ピクリとも動かなくなり、やがて躯の海へと帰って行った。

「これで一通り片付いたか。いや…存外人数が多いな。それだけここに隠されている大型サーバーとやらが重要という訳か」

 レイダー・フュエルスピッターの一団を倒し、一息を吐こうとしたルドラの耳に複数の足音と、甲高い奇声が響く。
 燃え盛る街を防衛する別の一団が来たようだ。

「敵を殲滅し尽くすまで、俺は何度も躍り狂おう、ナタラージャの太刀は何度でも、息つく間も無く振るい贖われる」

 ルドラはそう告げると、タービュランスとチャンドラハースを手に、レイダー・フュエルスピッターを殲滅するべく駆け出していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メルフローレ・カノン


戦争に勝利するために、まずは目前の敵を撃破ですね。

炎に包まれた街に突貫しましょう。
[火炎耐性]は用意しましたが、足りないでしょうから
[オーラ防御]も合わせて炎に耐えます。
[属性攻撃]で武器に氷を纏わせ炎を振り払いましょう。

立ちはだかるレイダーは殴り倒して進みます。
私の得物はメインがメイス、サブが剣です。
[怪力][力溜め]の上で、[2回攻撃][なぎ払い]で攻撃します。
もちろん、要塞もサーバーも同じく叩いて壊しにかかります。
「全力で行きますよ!」

【神の見えざる手】で、念動力で敵を吹き飛ばし
燃料の油を吹き飛ばせば、炎も少しはマシになるでしょうか。
「神よ、その奇跡の御手を、暫しお貸しください……」



●灼熱地獄を超えろ② -清楚な修道女と放火魔軍団-
 メラメラと赤い炎が揺らめき、廃墟となった街を燃やしている。
 アメリカ西海岸特有の乾燥した風によって煽られ、勢いを増す炎は、燃料を常に供給されていることもあり、一向に消え去る気配はない。元々山火事が多い地方なのだ。自然鎮火は望めないだろう。
 ならば、覚悟を決めてこの灼熱地獄を乗り越えるしかない。

「戦争に勝利するために、まずは目前の敵を撃破ですね」

 白と水色を基調とした清楚な印象を与える修道服を身に纏ったクレリックの少女、メルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)は、目の前に広がる灼熱地獄にも怯まずにそう呟くと、炎に包まれた街へと一歩踏み出した。
 周囲の気温は500℃以上。おおよそ火災現場と同じくらいだ。レイダーたちがばら撒いた燃料が爆発すれば瞬間的には1000℃を超えることもあるだろう。

「修道服や革鎧に炎避けの加護をかけてきましたがそれでも暑いですね」

 氷を纏わせたメイスで炎を散らしながら、メルフローレが呟いた。
 事前に対策していた火炎耐性とオーラ防御の力で、彼女が体感している気温は、真夏日の日中といった感じのレベルまで落ちている。
 暑いには暑いが、戦闘に支障をきたすことはないだろう。
 暑さに耐えながら、プレジデントが隠匿した大規模通信サーバーを求め、廃墟の街を進んでいく。

 さて、街に入って5分か10分くらい経った頃だろうか。
 彼女の視界に何人分かの人影が現れた。

「火火火ッ!何だぁ、可愛い姉ちゃんがいるじゃねえか」
「ヒャッハー!女だぁ!!」
「駄目だろぉ?こんなところに一人で来ちゃあ?ヒャハハハ!」

 ガラの悪いチンピラのような台詞を吐きながら、9人組のレイダーたちはクレリックの少女に近づいていく。
 普通に考えればこんな所に仕立てのいい服を着た美少女が、1人で歩いているなんてことは、怪しいことこの上ないのだが、あいにく彼らはアホなので、そんなことには気づかない。
 カモがネギと鍋を背負ってやってきたくらいにしか思っていない。

「出ましたね、フュエルスピッター」

 対するメルフローレの方は戦闘準備万端だ。
 立ちはだかるレイダーも要塞もサーバーも全部殴り倒す。それが今回の戦争における彼女の方針だからである。
 故に、クレリックの少女は、メイン武器であるメイスを構えると、力強く大地を蹴り、敵の元へとすぐに駆け出す。

「全力で行きますよ!」

 渾身の力で横薙ぎにフルスイングされたメイスが、ガラの悪いチンピラのような口調で話しかけてきたレイダーたちの横っ腹を直撃した。

「へぶっ!」
「ぐえっ!」

 手前にいた3人が、可憐な少女から放たれたとは思えないような攻撃に吹き飛ばされ、炭化した壁へと衝突。そのまま崩れ落ちた石片の中に消えていった。

「嘘だろ、おい…」
「どんな怪力だよ。ええー…」
「もう一撃です!」

 メルフローレは、慌てて後ずさりを始める敵へ向け、もう一歩踏み込み、先ほどとは逆の方向から、メイスを横薙ぎに振るう。

「「「げふぅ!」」」

 こちらの攻撃も綺麗に決まり、3体のレイダーが壁の沁みへと姿を変えた。
 残る敵の数は3人だ。

「ちいい!こうなったら燃やせ!燃やせ!」
「レイダーなめんじゃねええ!!」
「おりゃあああ!!」

 追い詰められたレイダーたちは装備していた赤い燃料タンクを両手に持つと、サッカーのスローイングの要領で振りかぶり、メルフローレに向けて投擲する。
 彼らにとっては、とてもとても貴重な燃料タンクを投げるのだ。その威力は馬鹿にはできない。
 まあ、当たればの話ではあるが…

「神よ、その奇跡の御手を、暫しお貸しください……」

 眼を閉じて胸の前で手を組みながら少女が神に祈りをささげる。
 すると、まるで目には見えない神の手が少女の周りに現れて、放物線の軌道を描いて落下する燃料タンクを優しく受け止め、彼女に害がない方へと放り投げると、彼女を害そうとしたレイダーたちに殴りかかった。

「「「な、何が起こって‥‥ぐわああああ!!」」」

 神の手によるラッシュにより、ぼっこぼこにされた残りの3人は、どこかへと吹き飛んでいった。
 これにて戦闘は終了だ。
 放火魔の数が減り、気持ち、気温が涼しくなったようにも感じられる。

「では、引き続き、サーバーを探しに行きましょう」

 氷属性を宿したメイスを手に、クレリックの少女は燃え盛る街のさらに奥へと足を踏み入れていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三上・チモシー

イェーイ! あっちもこっちも炎だらけ!
テンション上がるね!
お湯沸かし放題だね、お茶淹れ放題だね!

え、炎?
へーきへーき、自分、鉄瓶だから(火炎耐性)
火にかけられるとか、鉄瓶的には日常茶飯事だから

あー、でも炎は全然平気だけど、爆発はあんまり好きじゃないなぁ
爆発する前に、【熱湯注意】でまとめて攻撃しちゃおう!
イェーイ、熱湯大サービス!
暑いっていいよね!
敵が残ってたら、思いっきり怪力パンチ! えいっ☆



●灼熱地獄を超えろ③ ―鉄瓶のヤドリガミは熱(暑)さに強い!―
 メラメラと赤い炎が燃え盛る。
 フィールド・オブ・ナインが1席。最強格のソーシャルディーヴァである『プレジデント』が大規模サーバーを隠したとされる街は、灼熱地獄と化していた。
 辺り一面には石油系の燃料が燃えたと思われる匂いが充満し、ありとあらゆるものが燃え、黒く炭化している。
 気温は500~1000℃。酷い火災現場とほぼ同様の状態だ。
 真っ当な生命が活動していいような温度ではなく、耐火装備なしでの行動は自殺行為に等しい。
 軽く息を吸うだけで、肺が焼け、息をするのもままなくなるだろう。
 そんな酷い環境の中で、とても元気に走り回るものが居た。

「イェーイ! あっちもこっちも炎だらけ!テンション上がるね!お湯沸かし放題だね、お茶淹れ放題だね!」

 南部鉄瓶のヤドリガミの三上・チモシー(カラフル鉄瓶・f07057)は、灼熱地獄の中でも平気そうな顔をしながら駆けまわっていた。
 むしろ、テンションが上がっているようだった。
 本人曰く…

「え、炎?へーきへーき、自分、鉄瓶だから。火にかけられるとか、鉄瓶的には日常茶飯事だから」

 とのことである。
 そう言えば、サムライエンパイアの『灼熱の山陽道』でも平気な顔で大火鉢蜂と戯れていましたね、おぬし。
 鉄瓶という火にかけられるべきものであるが故に、炎熱に強く、こう言った環境では本来以上の力を発揮できるのかもしれない。
 灼熱地獄の中でサーバーを探すという任務においては、これ以上ない人材だろう。
 特に暑さに苦労することもなく、チモシーは街の奥へと歩を進めていく。

「ヒャッハー!プレジデントの命令だぁ!燃やせ、燃やせぇ!」
「火を絶やすんじゃねえぞ!ヒャッハー!!」

 街の奥へと歩を進めたチモシーの目の前に、熱心に放火活動に勤しむレイダーたちが現れた。背中に背負った燃料タンクからノズルを使って燃料をぶちまけ、爆発を起こしながら炎を広げている。

「あー、でも炎は全然平気だけど、爆発はあんまり好きじゃないなぁ」

 そんな彼らの姿を目撃したチモシーのテンションが少し下がる。
 炎は平気だが、爆発は今一なようだ。
 まあ…爆破されるのが好きというのは、かなり特殊な性癖だろう。
 これ以上、余計なことをされる前にさっさと倒すのが吉である。

「イェーイ、熱湯大サービス!暑いっていいよね!」
「な、なんだお前って、あっつ!あっつぅうう!!」
「あばばばば!!」
「ぎゃああああ!!お湯が耐火スーツの中に入ったアアアああ!!」

 チモシーが手にした鉄瓶の注ぎ口から熱湯が吹き出し、放火作業に夢中になっていたフュエルスピッターたちに襲い掛かった。
 首筋や袖口、服の隙間といったちょっとした合間から染み出した熱湯は、耐火スーツの内側に入ると、耐火加工されていないインナーを濡らし、その熱量を以て、レイダーたちの肌を焼いていく。
 液体というのはこうやって内部に沁みて浸透しいくので恐ろしい。
 もしも、何もないところであるならば、熱湯に晒された衣服を脱いで冷ますことも出来るのだが、あいにく、ここは彼らが作り出した灼熱地獄の中。耐火スーツを脱いでしまったら、自分たちの出した炎の熱で体を焼くことになる。
 故に彼らが出来ることは、熱湯で体を焼かれるのに耐えるか、ゴロゴロと地面を転がるくらいしかない。

「ありゃま、熱いのは苦手だったのかな?」

 熱湯攻撃によって倒れ伏した敵を眺めながらチモシーが呟く。
 まあ無理もないだろう。彼らは、放火は好きだが、炎に特別な耐性を持った生き物として生まれたものではないし、そういう改造も受けていないからだ。
 チモシーのように火にかけられたり、お湯を入れられるべき存在ではないのだ。

「よ…よくも…」

 倒れ伏していた敵の中の1人がよろよろと立ち上がる。
 熱湯の入り込んだ量が少なかったのか、それとも気合と根性か、あるいは両方か。最後の力を振り絞り、赤い燃料タンクを投げつけようとするが…

「えいっ☆」

 チモシーの怪力パンチを食らって、あえなくKOとなった。
 斯くして、チモシーとレイダーとの遭遇戦はチモシーの圧勝で終わった。
 炎攻撃をメインとするレイダーと、炎がほとんど効かない鉄瓶のヤドリガミとは相性が悪すぎたのだ。

「それじゃあ、もっと奥に探索に行こうかな!」
 
 チモシーは明るい声で言うと、激しく炎が燃え盛る街の中心へと駆けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鍋島・小百合子
SPD


そのような炎でわらわの勇を覆せれると思うたか?
火に餡蜜を注ぐが如く甘いわ!

「爆裂鎮火とはこういう物であろう?遠慮は要らぬ!受け取るが良い!」
戦場に燃え拡がる炎は火炎耐性を持って耐え凌ぎながら進軍
敵が出す炎の燃料をその身に背負っていると予想してこちらはUC「心火焔硝矢」発動
己が勇気を振り絞って生み出せし火矢で敵を狙い撃つ(視力、スナイパー、乱れ撃ち、弾幕、属性攻撃併用)
火には火ぞ
それを遊びに使うならば自分に返ってくると思うがよい
敵の放つ燃料はできるだけ浴びぬよう回避
燃料の付着した跡はできるだけ離れ、通常の矢を番いては射放ち誘爆を試みる
発つ鳥後を濁さずようにな



●灼熱地獄を超えろ④ ―女武者、放火魔を勇気で射抜く―
 メラメラと燃え盛る炎、もくもくと立ち上がる黒煙。
 ツンと鼻につくような石油系燃料の匂いが辺り一面に充満している。
 アメリカ西海岸特有の乾燥した風と、ヒュエルスピッターによって供給される燃料が、自然鎮火を許さない。
 灼熱地獄となったかの地の気温は、火災現場と同じく500℃を超えている。呼吸をすれば、肺が熱で焼かれ、息をすることも出来なくなるだろう。
 おおよそ、生物が生きられる環境ではない。
 灼熱地獄を作り出したレイダーたちは、相も変わらずに放火活動に勤しんでいる。

「ヒャッハー!燃えろ、燃えろぉ!!」
「ギャハハハハ!ああ、この燃料の燃える匂いが最高だぜぇ」
「あー…どっかで人間奪って焼き殺してぇ」
「これだけ燃やせば、誰もプレジデントのサーバーに近づけないねーだろ!!」

 下卑た笑い声を上げながら、レイダーたちは青いカバーのノズルから燃料を噴出し、街に火を放ち続けている。
 プレジデントから提供された耐火装備に身を包み、安全な状態から火を放つ。
 彼らは慢心しきっている。こんな所に来られるものは存在しないと。ここは、彼らだけの遊び場であると。
 そんな彼らに天誅を与えるべく、1人の猟兵が現れた。

「そのような炎でわらわの勇を覆せれると思うたか?火に餡蜜を注ぐが如く甘いわ!」

 武者甲冑姿のまさしく「女武者」と言うに相応しい風体の猟兵、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)の凛とした声が、焦土と化した街に響いた。

「ああ?火に餡蜜だぁ!」
「餡蜜ってなんだぁ?」
「わかんねえけど、馬鹿にされたのは分かったわ」

 小百合子の声に反応したレイダーたちは一斉に彼女の方へと向き直る。
 言っていることは、よく分かっていないようだが、馬鹿にされているという事は直感的に理解したらしい。
 すぐさま、怒りで顔を真っ赤にしつつ、給油ノズルを銃のように構える。

「爆裂鎮火とはこういう物であろう?遠慮は要らぬ!受け取るが良い!」
「お断りじゃボケェ」

 小百合子が弓に矢を番えながら駆け出すと、もう誰もいなくなった場所目掛けて、レイダーたちは燃料をぶちまける。
 石油系燃料特有のツンとした匂いがあたりに広まり、勢いよく地面に落ちた燃料の水飛沫が周囲に広がり、飛沫の一部が元々あった炎に当り引火して、地面の温度をさらに高める。

(装備に施した火炎耐性のおかげで、多少足元に火が燃え広がろうと、移動には支障はないのぅ。敵が燃料を打ち出す給油口の管は…やはり、背負った箱に繋がっておるな。ならば…)

 燃える街を駆けながら、小百合子は敵を冷静に観察する。
 背中の箱は管で繋がっているので射出用。腰にある2つの赤い箱は投擲用の燃料箱だと予想を立てる。
 そして、狙うべき場所を定めた女武者は、矢をつがえていた弓を引き絞り、狙いを定める。

「我は燃やす己が胸の内にある勇炎の心…貫け!」

 詠唱台詞を唱えるとつがえていた矢が蒼い炎の矢へと置き換わる。
 UC【心火焔硝矢】。その効果は心の中にある勇気を振り絞る事により、11,664mまでの視認している対象を、勇気の発現にて生みだした火矢で攻撃するというものだ。

「火には火ぞ。それを遊びに使うならば自分に返ってくると思うがよい」

 そう告げた小百合子は、強く引き絞った弓で心火焔硝矢を射る。
 青い光の尾を曳いて進む炎の矢は、寸分も違う事なく、レイダーたちの背負った燃料タンクを貫き、中の燃料に引火した。

「「「「ぎゃあああああああ!!俺たちが焼かれるなんてぇええ!!」」」」

 青い炎に包まれたヒュエルスピッターたちは、大きな叫び声をあげると、ゴロゴロと地面を転がった。
 火を弄び、おもちゃにした罰が下ったのだ。
 彼らはしばらくのたうち回っていたが、やがて動かなくなり、灰となって躯の海へと消えていった。

「後は、あいつらの後始末をするかの。発つ鳥後を濁さずようにな」

 そう言うと小百合子は少し離れた場所から、レイダーたちが燃料を放ったと思われる場所に矢を射かけて、爆発させていった。
 こうしておけば、後続の猟兵たちも歩きやすくなるだろう。

「これで良し。では先に進むとしようかの」

 燃料が沁みた地面を一通り射かけ、爆破処理を済ませた小百合子は、サーバーを探すべく、さらに街の奥へと歩を進めていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

穂村・理恵
分かってはいましたけれど、異世界にもアメリカってあるんですね
わあ、ここがアメリk……本当にアメリカなんですかここ……?


今の私は炎ならある程度耐性(火炎耐性4)ありますし、それに……
(UC【吸熱炎霊】)
この子たちがいてくれます!

炎霊達と一緒に周囲の炎と熱を取り込みながら行きます。
熱を食べれば食べるほど炎霊たちは大きくなるので、味方が動きやすくなるよう、可能な限り炎を取り込み強化を図ります

相手と遭遇した場合は、髪の一部を竜の翼に変化させて移動力を上げ、普通の炎じゃなく精神に作用する情動を焼く炎、『紫焔』の持つ《精神攻撃・継続ダメージ》の力を炎霊達と私に纏わせてみんなで攻撃です!

※アドリブ他歓迎です



●灼熱地獄を超えろ⑤ -魔法少女vs放火魔軍団-
 気持ちがいいくらいの快晴の青空、浮かぶ白い雲。
 枯れ木や岩が転がり、ひび割れたやせた土が広がる荒野。
 そんな中に一際目を引く赤があった。
 ごうごう、ごうごうと、燃え盛る炎、もくもくと立ち上がる黒煙。
 街が燃えていた。かつては多くの人々が暮らし、楽しい思いも辛い思いもしてきた生活の営みの中心だったものが、あっけなく燃えていた。
 大規模サーバーを隠したい。そんな身勝手なエゴのために。

「分かってはいましたけれど、異世界にもアメリカってあるんですね。わあ、ここがアメリk……本当にアメリカなんですかここ……?」

 初めて来たアポカリプスヘルの惨状を見て、穂村・理恵(普通の武装変身魔法少女・f26637)は、あっけに取られたような表情で呟いた。
 ヒーローズアースのアメリカとは似ても似つかない、目を疑いたくなるような惨状が広がっている。
 世界間のギャップに大きく戸惑う理恵。
 だが、このままぼーっとしているわけにはいかない。何故ならば彼女は魔法少女としてこの世界を救いに来たのだから。

「今の私は炎ならある程度耐性ありますし、それに…この子たちがいてくれます!」

 そう笑顔で言った彼女の周囲には炎で出来た動物たちが集まっている。
 吸熱炎霊(フレイムイーター)。
 理恵のユーべルコードによって呼び出される動物の形をした炎で、周囲の熱や炎を食らい大きくなるという。
 まさにこの炎に包まれた街を攻略するのには、うってつけの存在だ。

「じゃあ、行こう!みんな!」

 吸熱炎霊を引き連れてた少女は、燃え盛る街の中へと突入していった。

 燃え盛る街での探索は順調そのものだった。
 炎霊たちに熱や炎を食わせて成長させつつ、奥へ奥へと歩を進めていく。
 本来ならば障害となって立ちはだかるものが、全部餌になっているのだ。苦戦なんてしようがない。
 そんな彼女たちの前に、突然ヒュエルスピッターの軍団が現れる。

「てめえか!俺たちが撒いた炎を消して回っているのは!」
「炎を絶やしたら【プレジデント】様に怒られるだろぉ?」
「ぜってええ、許さねえからな!」

 廃墟ビルから次々と飛び降りてきたレイダーたちが怒鳴り声を上げた。
 どうやら待ち伏せをしていたらしい。
 炎や熱を食らい巨大化した炎霊を連れているのだ、まあ目立つのは仕方がない。

「敵が来たね。さあ行こう、みんな!」

 大きく成長した炎霊たちに視線を投げかけると、彼らは大きく頷いた。
 準備万端だ。いつでも任せてと言っているように理恵は感じた。
 そして、視線を敵の方へと戻し、その存在を正面からとらえて、少女は駆ける。

「行きますよー!紫焔の力をみんなに!」

 理恵は髪の一部を竜の翼へと変化させ移動速度を上昇させると、そのまま仲間の炎霊たちに、精神に作用し、情動を焼く炎、『紫焔』を分け与えた。
 レイダーたちは、灼熱地獄の中でも活動できるように全身を耐火装備で覆っている。そのため、通常の炎攻撃は通りが悪くなっている。
 その点、精神に作用する『紫焔』は、その耐性を潜り抜けるため、効果は高い。極めて有効性が高い1手と言えるだろう。

 対するレイダーたちも炎を食らう炎霊たちへの対抗手段を用意していた。

「この燃料はなぁ、燃焼度を落とした代わりにすげえ粘性が上がって、相手を絡めとれるんだぜぇ。ヒャッハー、固まれよ、炎の化け物共!」
「みんな、避けて!」

 理恵の掛け声に反応して、炎霊たちは燃料を躱した。
 粘性が高い分、通常の燃料に比べて速く遠くまで飛ばないのだ。
 なので、躱そうと思えば簡単に避けられる。
 炎霊たちのような炎が効きにくい相手用の装備ではあるのだが…自分でネタ晴らしをしてしまってはどうしようもない。 

「ノズルから出てくる真っ黒い燃料にだけ気を付けて、一斉攻撃をしましょう」
 
 理恵の言葉に炎霊たちが頷き、一斉攻撃が始まった。
 紫焔を纏う炎の獅子は敵の首筋に食らいつき、紫焔を纏うヘビが、レイダーたちの足元に巻き付いて、魔法少女の一撃がヒュエルスピッターたちを吹き飛ばしていく。

「「「「ぬわあああああああああああ!!」」」」

 精神を焼き尽くされたレイダーたちは、地面に倒れ伏して動かなくなると、その身を光の粒子へと変えて、躯の海へと帰って行った。

「さあ、この調子でレイダー退治と大規模サーバー探しと行きましょう」

 吸熱炎霊たちを引き連れて、魔法少女(ヒーロー)となってしまった少女は、依然として炎に包まれたままの街を進んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蒼・霓虹

只でさえトンでもなく暑いのに、火に油をそそぐ所業ですね……これは困りました、世紀末らしいですけど

でも、こう言うのなら遠慮はしなくても良いですよね?彩虹さん

[POW]●プレボ込み
【高速詠唱】UC発動

【火炎耐性&激痛耐性】で備え【属性攻撃(冷気)】を込めた【オーラ防御】を展開し備え

〈彩虹(戦車龍形態)〉さんを【悪路走破&推力移動&空中浮遊】で【操縦】し辺りを駆け回り【第六感】で【瞬間思考力&見切り】で攻撃を回避しながら

【高速詠唱】で〈アクアネオンストライク〉の【砲撃&レーザー射撃】の【弾幕&範囲攻撃】を【属性攻撃(冷気)】を込め、燃料タンクごと敵を凍結させましょう

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]



●灼熱地獄を超えろ⑥ -竜神少女vs放火魔軍団-
 茶褐色の枯れた大地が広がる荒野の中心で大きな炎が立ち昇っていた。
 一つの街をそのまま薪にした悪趣味な焚火は一向に消える気配は見えない。
 アメリカの西海岸は乾燥した風が吹くため、山火事が多い地域だ。ヒーローズアースや、UDCアースにおけるカリフォルニア州でも年に何件か、山火事の事例が上がっている。
 レイダー・ヒュエルスピッターが、絶えず燃料を投下していることもあり、自然鎮火は見込めない。プレジデントのサーバを破壊し、ヒュエルスピッターをすべて排除しなければ、炎に包まれた街の火は消えることがないだろう。
 そんな灼熱地獄のような街の中を、大規模サーバの破壊を目指して猟兵がまた1人、足を踏み入れていくのであった。

「只でさえトンでもなく暑いのに、火に油をそそぐ所業ですね……これは困りました、世紀末らしいですけど」

 猟機人・彩虹(戦車龍形態)に搭乗した蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)は、目の前にある巨大な炎の山を見ながらため息を吐いた。
 彩虹に搭載されているセンサーによって計測された気温は500℃を超えている。
 これは火災現場の気温とほぼ同等くらいの温度である。
 猟兵のような埒外の生物でもなければ、息をするだけで肺が焼け、呼吸困難となって死んでしまうような危険な温度である。
 故に、この街へと踏み込むには念入りな火炎および高熱対策が必須となる。

「冷気を込めたオーラの防壁を張って、少しでも暑さ対策をしていきましょう」

 彩虹を覆うようにオーラを展開すると、地獄のような暑さがぐっと和らいだ。
 これならば地獄のような暑さの中でも問題なく行動できるだろう。

「では、行きましょうか。彩虹さん」

 虹龍の虹の力が顕現した意思を持つ戦車を駆り、竜神の少女が燃え盛る街を進んでいく。

 街の中は赤と黒の2つの色しかなかった。
 炎の赤と、煤や炭や煙の黒。
 かつては人々の生活の営みがあった場所は、完全に機能を停止していた。
 今のこの場所は、レイダーたちの幼稚な遊び場だ。

「ギャハハハハ!燃えろ、燃えろぉ!!」
「ゲラゲラゲラ!もう鉄筋しか残個ってないでやんの」
「どれだけ高い火柱を上げられるか勝負しねえ?」

 ヒュエルスピッターの下卑た笑い声が燃えカスの街に響く。
 彼らには欠片ほどの罪悪感も道徳観もない。今楽しければいいという刹那的な快楽に身を任せ、暴力的な衝動のまま火を放つ暴力装置だ。

「やめなさい、あなた達。ここはもう居ない誰かにとって大事な思い出があった筈の場所です。こんな風に辱めていいはずがありません」

 見るに見かねた霓虹が、彩虹の上から声を掛ける。
 だがしかし、自己中心的な彼らには、彼女の言葉も馬耳東風である。

「ああ?何だ?俺たちは仕事でやってんだよ!」
「っつーか何?わざわざ焼かれにやってきたわけ?」
「でも、こう言うのなら遠慮はしなくても良いですよね?彩虹さん」

 何を言っても聞く耳を持たないだろうと結論付けた霓虹は、彩虹に確認を取る。
 彩虹がこくりと頷く。彩虹もまた霓虹と同じ思いを持っていた。
 ならばもう、戦うしかないだろう。

「喧嘩を売ってくるなら倍値で買うぜぇ!!」
「ギャハハハハ!!久々に建物以外のものを燃やせるぜぇ!」

 下卑た笑い声を上げながら燃料タンクを投げつけるレイダーたち。
 この世界では貴重な燃料を犠牲にしたこの攻撃は、強大な爆発力を持つ。まともに当たればただでは済まないだろう。

「そんな大ぶりな攻撃、当たりませんよ」

 霓虹は戦車龍形態の彩虹のスラスターを吹かせると、持ち前の第六感と瞬間思考で燃料タンクの落下コースと爆発範囲を見切り、余裕をもって躱せるようなコースで戦場を駆け抜ける。
 直後、爆音とともに爆風が広がり土煙と黒煙が立ち昇った。

「おっ…やったか!」
「おい馬鹿ヤメロ。それはフラグだぞ」

 レイダーたちは死亡フラグを立てながら、キョロキョロと周囲を見渡している。
 自分たちの放った燃料タンクの爆発によって彼女らの姿を見失ったのだ。

「彩虹さん、準備は良いですか?フォーチュンMAX起動っ!強襲「猟機戦龍・彩虹」っ!』」

 レイダーたちが竜神の少女を見失っているうちに、彼女らは反撃の準備を整える。
 高速で詠唱台詞を唱えつつ、UC用のマジックカードを彩虹へと挿入。
 彩虹を虹色に輝く猟機戦龍形態へと強化をしつつ、さらに攻撃用のマジックカードをコックピットに搭載されたカードリーダーに読み込ませていく。

「虹水宝玉〈ネオンアクアストライク〉!これで頭を冷やしてください!」

 UCの効果で強化された砲塔から、虹色の絶対零度の水流を圧縮し放たれる宝玉型魔法弾が放たれる。
 美しく輝く虹色の弾幕は、土煙の奥にいるレイダーたちを捕らえ、絶対零度の冷気を解放し、彼らの自慢の燃料タンクごと、凍り付かせていく。

「これで、少しでも炎が収まってくれるといいんですけど」

 ネオンアクアストライクの冷気と水流で少しだけ鎮火された街を眺めつつ、竜神の少女は炎に包まれた街のさらに奥へと進んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レーヴァ・アークルージュ


ふーん、中々大規模な魔術術式……いや、科学技術かな?
どっちにしても、私にとっては独壇場だね
そう呟くと同時、レイダーのみを焼き尽くす炎が高速拡散する
『アンティーカ・プロメテウス』、その炎は広域に拡散する事に長ける
更に言えば、私の体も狐の獣人から深紅の毛並みに体表を覆う紅蓮の劫火が灯されている巨大な九尾の狐となっている
大魔王、アルダワのオブリビオン・フォーミュラと化すのがこのUCの真骨頂
九尾の狐として四足疾走で燃え盛る炎を意に介さず戦場を駆けていく
今の私は焔の属性に特化した大魔王
こんなちょっと熱いくらいダメージにならないよ
そう叫んで咆哮し、レイダーを焼き尽くしていく



●灼熱地獄を超えろ⑦ -炎の大魔王顕現-
 轟轟と爆音を上げながら廃墟の街が燃えていた。
 プレジデントの大規模サーバーを隠す。そのために用意された盛大かつ悪趣味な焚火は、アメリカ西海岸の乾燥した風と、ヒュエルスピッターたちの甲斐甲斐しい努力…という名の放火活動によって維持されており、強い熱量を周囲に放っている。
 レイダーたちが燃料供給をする限り、この炎は自然鎮火することはないだろう。
 この地の気温は、火災現場と同様で500℃を超えている。
 炎や熱に対する対策かはたまた炎熱に対する異常な耐性がないと、とてもではないがやっていけない環境だ。
 今回、この灼熱地獄にやってきた猟兵は、後者の猟兵であった。

「ふーん、中々大規模な魔術術式……いや、科学技術かな?どっちにしても、私にとっては独壇場だね」

 レーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)がそう呟くと同時、レイダーのみを焼き尽くす炎『アンティーカ・プロメテウス』が、高速で拡散していった。
 
「ぎゃあああ!!」
「この炎どこから…ってか、プレジデントの耐火装備を貫通して…!?」
「ひいいい!!燃料タンクに引火するぅ!!」

 レイダーたちの末期の悲鳴が遠く聞こえる。
 今回の依頼におけるヒュエルスピッターたちは、過酷な炎熱環境で働く報酬として、プレジデントから耐火装備を与えられている。
 それは、火災現場のようなとても厳しい炎熱環境の中で、放火遊びに興じられる程、強力な耐性を持っていた。
 だがしかし、深紅の毛並みに体表を覆う紅蓮の劫火が灯されている『巨大な九尾の狐』、『大魔王』、『アルダワのオブリビオン・フォーミュラ』と化したレーヴァの炎を防ぐには、いささか役者不足と言えよう。

「それじゃあ、さっそく、レイダー退治と行こうかな」

 炎の大魔王と化した少女はそう言うと、四足疾走で燃え盛る街を駆けていく。

「うげええええ!!なんか燃えているやべえのが来たぞ!!」
「う…うろたえるんじゃねえ、俺たちに焼き尽くせねえものはねーんだよ!」
「うおおお!!死ねえええ!!」

 運悪く、炎の大魔王に見つかってしまったレイダーたちは、絶叫を上げながら、渾身の力を振り絞り、虎の子の燃料タンクを放り投げた。
 UC【ヒューエルバースト】。その効果は自身の【持つ燃料タンク1つ】を代償に、【タンクを投げつけ膨大な爆発力】を籠めた一撃を放つというものだ。さらに、この燃料タンクが重要であれば、あるほど、威力が高まる。
 今回、彼らがレーヴァに投げつけたのはノズルに繋がっている背中のタンクだ。そう、彼らのメイン武器を代償としている。これが無くなれば攻撃手段の7割が失われるという非常に大きな代償だ。その威力は計り知れない……のだが…。

 ドオオン!!という爆音が響き、大きな爆発が起こった。黒煙が立ち昇り、砂ぼこりが舞い上がった。
 地面に飛び散る燃料は、衝撃と熱で引火して炎の絨毯を作り出している。

「「「や…やったか!?」」」

 どう考えても死亡フラグな台詞を吐きつつ、砂ぼこりを注視するレイダーたち。
 彼らの表情は、すぐに絶望へと染まることとなった。

「今の私は焔の属性に特化した大魔王。こんなのちょっと熱いくらいダメージにならないよ!」

 まるで何もなかったかのように、九尾の狐が土煙を裂いて駆ける。
 レイダーたちにとっては非常に残念なことに、渾身の爆撃は、大魔王に対してほとんどダメージを与えられなかったようだ。
 まあ、ちょっと熱かったと言ってもらえるだけでも頑張りました賞ものだ。

「「「そ、そんな馬鹿ぎゃあああああ!!!」」」

 咆哮と共に放たれたブレスが、主兵装を失ったレイダーたちを焼き尽くしていく。
 大魔王の前で立てた死亡フラグはものの見事に回収された。

「さあ、どんどん行こう!」

 燃えて炭になったレイダーたちの亡骸の消滅を見届けた炎の大魔王は、次の獲物を仕留めるべく、未だに燃え続ける炎の街を四足疾走していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シノギ・リンダリンダリンダ

……サーバーがあるのに炎使うのっていいんですかね?
まぁいいです
炎に耐えればいいんですよね。だったらこれしかないです

【ザ・タイタン・オブ・カリビアン】を召喚
巨大海賊ロボの肩に乗れば、炎なんて効きません
あとはなぎ払うのみ

ロボの能力を装甲を5倍、移動力を半分に設定
炎に耐えつつ、その場からDX海賊ビームを連射します
とにかく弾幕です制圧射撃です蹂躙です

はははは!!!!焼き払え!!!!!あれこれって結局火の海にしちゃって……
まぁ細かい事はいいですよね!!ついでにサーバーもぶっ壊せるでしょう!
敵がまとまってる所やサーバーにはDC海賊錨をブチ落とします!
やれー!正義の悪の巨大ロボ!!!!



●灼熱地獄を超えろ⑧ ―おシノギちゃんは蹂躙して気持ちよくなりたい―
 1つの街を薪にした悪趣味で無駄に盛大な焚火遊びは、アメリカ西海岸の特有の乾燥した風と、レイダー・ヒュエルスピッターたちの努力という名の放火活動によって、順調にその勢いを増していた。
 かの地の平均気温は500℃を超えている。住宅火災が起こった時の室温とほぼ同等の温度である。耐火装備を持ってこない限り、とてもじゃないが活動できない。
 とても暑い。ひたすら暑い。死ぬほど暑い。やってられないほど暑い。地獄。
 それほど過酷な環境の中で、世界を救うというよりも、どちらかと言えば、敵を蹂躙して気持ちよくなりに来たとある猟兵は、果たして気持ちよくなったまま帰れるのだろうか。
 これはその闘いの記録である。

「……サーバーがあるのに炎使うのっていいんですかね?まぁいいです」

 燃える街並みを少し離れた場所から見上げているシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)は、至極真っ当なことを呟いた。
 彼女が言うように、サーバーというものは非常に繊細な機械であり、稼働しているだけでかなりの熱を放出する。そのため、サーバーのある部屋は、オーバーヒートを防ぐために、基本的には冷房がガンガンにかけられていて、キンキンに冷やされているのが一般的だ。
 そう考えると、サーバーを守るために火を放つのはおかしい。
 突き詰めて考えていけば、プレジデントの策を見破れるかもしれない…のだが、面倒になって思考を放棄する。
 何故ならば、彼女は敵を蹂躙して気持ちよくなりに来たのだから。

「炎に耐えればいいんですよね。だったらこれしかないです。さぁ、その鋼の拳と錨となんかのビームで全てを焼き払ってください!蹂躙せよ!ザ・タイタン・オブ・カリビアン!!」

 割と雑な感じの詠唱台詞が高々と唱えられ、呼び出された海賊船が巨大海賊ロボ【ザ・タイタン・オブ・カリビアン】へと姿を変えていく。
 今どきの海賊船はロボにもなれるらしい。海賊ってすげー。
 能力設定は装甲5倍で移動力半減。敵の攻撃を無効化して気持ちよくなりつつ、巨大ロボのリーチで移動力のデバフを無効化する作戦だ。

「巨大海賊ロボの肩に乗れば、炎なんて効きません。あとはなぎ払うのみ」

 ザ・タイタン・オブ・カリビアンの肩に乗ったシノギは、意気揚々と燃え盛る街へと吶喊していくのであった。

 ズシーン!ズシーン!ズシーン!
 聞きなれない地響きがレイダーたちの耳に届いた。
 何事かと思って、音の方へと振り向くと、そこには巨大な人影が目に入る。

「な…な、なんじゃあ、あれえええ!!!」
「げえええ!!ロボだあああ!!ロボが出たぞおおおお!!」
「な、なんで海のない荒野に海賊がアアアあああ!!」

 突然現れた巨大ロボに驚き、恐慌状態になる海賊たち。
 その姿はまるで怪獣映画のモブのよう。
 彼らにできることは、見つからないように建物の中に隠れ…ああ、自分たちで燃やしちゃった所為で隠れる場所はありませんね。
 彼らにできる残されたことは、最強の武器である背中の燃料タンクをぶつけるか、諦めて逃げ迷うかの2択しかない。

「はははは!!!!焼き払え!!!!!あれこれって結局火の海にしちゃって……まぁ細かい事はいいですよね!!ついでにサーバーもぶっ壊せるでしょう!やれー!正義の悪の巨大ロボ!!!!」

 巨大ロボに搭載された砲塔からDX海賊ビームが乱射される。
 ビームが当たった所から超高熱の爆風が拡散し、少し遅れてからドゴオオンという爆音が響き渡る。
 ヒュエルスピッターたちが行った破壊活動とは比較にならないほどの破壊が燃え盛る街へと齎され、爆発に巻き込まれたレイダーたちは、断末魔の悲鳴を上げることもなく絶命していく。
 さらに、ここら辺にサーバーがあるんじゃないかなぁという山勘の元に放たれた巨大な錨がかつては大型の商業ビルだったものを破壊。地面に大きなクレーターを作りながら、瓦礫の山へと変えていった。
 まさに無双。やりたい放題。どっちが悪なのか分からない。
 いや…まあ、海賊だしいいのだろうか。

「はははは!!いいぞぉ、もっとやれ正義の悪の巨大ロボ!!!!。あーっはっはっは!あー…暑い。滅茶苦茶…暑い。暑いんですけど…。えっ、なにこれ…」

 高笑いをしていたシノギのテンションがぐっと下がる。
 まあ、暑いだろうね。暖められた空気は上に昇るものなので。直火状態である地表と比べれば、ロボの上は涼しくはあるのだが、それでも地面から上がってくる熱風が足元から常に吹き続けている状態なのは変わらない。

「誰ですか…こんな火の海を作ったのは…。私ですね。知っていました。まぁいいです。結構気持ちよく蹂躙できましたし…。アイス食べたいですし。帰りましょう」

 巨大海賊ロボで大暴れをして気持ちよくなって満足したシノギは、そう言えばグリモア猟兵が居た部屋に大きな冷蔵庫があったなぁと思い出すと、何味のアイスを食べようかと期待に胸を膨らませながら、グリモアベースに帰還するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン


隠蔽に炎とは、『プレジデント』の通信サーバーは性能に優れているようですね
もっとも、この世界での基準での話ですが

恒星の熱に晒される故郷の無重力の戦場
そこへ無改造で投入されるウォーマシンの本領発揮と参りましょう
(環境耐性、装甲の表面へ熱を逃がす防具改造)

投げ込まれるタンクを頭部格納銃器でのスナイパー射撃で撃ち抜き迎撃
怪力盾受けで爆風を受け流しつつ、脚部スラスターの推力移動で爆炎へ突入
剣を振るい敵を排除

…こうも炎と爆発が多いとサーバーの捜索にも手間です!

肩部格納銃器を展開しUCを乱れ撃ち
敵の排除と分子運動低下による強引な消火で進路切り拓き

サーバーの通信をハッキングし情報収集
隠匿された場所を捜索



●灼熱地獄を超えろ(終)-機械騎士とプレジデントの策-
 アメリカカリフォルニア州エルドラド群のとある地方都市。
 そこは、最強格のソーシャルディーヴァであるプレジデントが大規模サーバーを隠匿するために炎に包まれた廃墟の街だ。
 ありとあらゆる建物が煤によって黒く染まり、あちらこちらにかつては建物だった物の残骸が広がっている。
 猟兵たちが大暴れしたこともあり、レイダー・ヒュエルスピッターたちの数は減り、炎の勢いは弱まって来ているが、それでも気温は高く、生身の生物は存在を許されないとても厳しい環境だ。

「隠蔽に炎とは、『プレジデント』の通信サーバーは性能に優れているようですね。もっとも、この世界での基準での話ですが」

 煤けた黒の街の中で、一際目立つ白銀の騎士甲冑、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は、プレジデントの大規模サーバーの性能に少し疑問を持っているようだった。
 サーバーに限らず大型の機械は駆動する際に熱を発する。特に通信サーバーのような繊細かつ複雑な演算をする機械は、冷却という問題が常に付きまとう。
 彼の出身世界であるSSWのような高度な機械文明が進み、宇宙空間のような過酷な環境での起動を想定するサーバーならば、高度な炎熱耐性が備わるのかもしれない。
 だがしかし、過酷な荒野の世界とはいえ、炎の中でも安定稼働できるようなサーバーが果たして必要になるのかというと疑問符が頭に浮かぶ。
 サーバーはグリモア猟兵が言う通りこの街にある筈なのだが、何かが引っかかる。
 そんなことを考えていると、トリテレイアの目の前にレイダーの一団が現れた。

「ああ?また侵入者かよ。ってか全身鉄だし」
「んだよ、生肉を燃やしたかったんだが。ちぇー」
「まあ、建物をぶっ壊すよりはマシだろ?」

 レイダーの一団は、青いカバーの給油ノズルを銃のように構えながら、じりじりと取り囲むようにトリテレイアに近づく。
 彼らのリーチに届いたら一気に攻撃を仕掛ける算段だ。

「恒星の熱に晒される故郷の無重力の戦場。そこへ無改造で投入されるウォーマシンの本領発揮と参りましょう」

 そう告げたトリテレイアは長剣を抜刀し、盾を構える。
 じりじりと近づいてくるレイダーたちは、腰に装備した燃料タンクに手を伸ばす。

「「「食らえええ!!」」」

 赤い燃料タンクが放物線を描いて宙を舞う。
 燃料タンクに詰まった燃料は衝撃に弱く非常に爆発しやすい。当たれば危険だ。
 対するトリテレイアは頭部の格納銃器を展開し、迎撃を試みる。

「そこです!」

 効率よく誘爆できる燃料タンクのみにターゲットを絞り、銃器で狙撃を試みる機械騎士。
 弾丸は狙った通りの位置とタイミングで飛び、燃料タンクを爆破させる。そして、破裂したタンクの爆風と衝撃により、2つ目、3つ目のタンクが連鎖爆発し、爆音とともに爆風が広がり、大きく土煙が舞った。

「「「やったか!」」」
「残念ですが、この程度の爆撃など、SSWの戦場では日常茶飯事です」

 土煙を突き破るようにして大盾を構えた白銀の騎士が駆ける。
 絶妙な角度と力加減で突き出された盾により爆炎と爆風をいなしたトリテレイアの機体には、彼らの攻撃によるダメージはない。
 そして、スラスター加速の勢いをそのままに長剣を振り抜き一閃。レイダーたちの胴体を背後の燃料タンクごと、一刀両断に切り捨てた。

「残敵排除完了。引き続きサーバーの探索と行きましょう」

 センサーの感知対象の比率を生物から電波へと大きく傾ける。
 僅かな電波でも取りこぼさないようにと感度を高めながら周囲を探索すると、僅かに反応が見られた。

「…一瞬、反応がありました。場所は…地下ですか」

 機械騎士は足元に視線を投げかけながら、情報の整理を始める。

(『地表』を焼く炎、建物を『破壊』していたレイダー。サーバーは『熱に弱い』。『オブリビオンストーム』がある『アポカリプスヘル』。地下からの反応)

 トリテレイアの電子頭脳が高速で計算を始めやがて1つの結論にたどり着く。

「成程、分かりました。サーバーが隠されていた場所の入口がどこにあるのか」

 そう言うと、トリテレイアはとある場所を目指して歩いて行った。

「…こうも炎と爆発が多いとサーバーの捜索にも手間です!」

 トリテレイアがたどり着いた場所は、かつて大学があったとされる場所だった。
 他の場所よりも念入りに破壊されたであろうその場所は、依然として強い炎が燃え盛り続けている。

「レイダーたちはここを隠すために、街中で放火をして建物を壊していたのでしょうね。焼いて破壊された瓦礫の中に、本命を隠すために」

 そう言いながら肩部格納銃器を展開し【超低温化薬剤封入弾頭】を乱れ撃ち分子運動低下による強引な消火で進路切り拓いていく。
 燃え残った瓦礫を怪力でどかすと、そこには四角く空いた大穴が見つかった。

「ありました。地下へと続くエレベーターの跡」

 そう言うと機械騎士は地面に長剣を深く打ち込み、ワイヤーアンカーを剣に巻き付けて固定。固定されたワイヤーアンカーを命綱にして穴の底へと降りていく。

「…思った通り、気温がどんどん落ちています。恐らくはこれは一石二鳥な罠なのでしょうね。戦機の私でなければ危険でした」

 穴の奥へ行くほど、どんどん気温が下がっていく。
 宇宙のような過酷な環境での戦闘を想定したウォーマシンでなければ、温度差で体がおかしくなっていたのかもしれない。

「大規模サーバーを動かすには相応の冷房設備が必要。…そもそもの話、オブリビオンストームという危険な現象がある地上にサーバーを設置する馬鹿はいません」

 仮に地表にサーバーを置くという事になれば…強化されるのは砂塵への耐性だ。
 炎熱への耐性に技術進化していくのはおかしい。
 エレベーターの天井と扉をけ破り、中に侵入する。

「つまり…プレジデントの大規模サーバーの隠し場所は地下です」

 機械騎士の目の前には暗くて長い廊下が広がっている。
 その全容はいまだ不明だ。
 だが、彼は確信している。この奥にプレジデントの大規模サーバーがあると。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月04日


挿絵イラスト