宝石の花束は血に染まらず
「それは、本気で仰っているので?」
テーブルが叩かれ、乗っかっていた茶器が音を立てる。対面に座る女性は平然と手の内に避難させていた茶器の中身を啜った。
「ええ。私達は銀河帝国が斃れ、先代が亡くなった時に廃業しましたの。また、弟妹達もすでに全く関係ない職で働いております故、詮索しないでいただきたく。……期待に沿えなくて申し訳ありませんが」
「……そうですか。私達の傘下に戻らなかったこと、後悔しますよ」
「後悔も何も、我が家にはもうあなた方の求める物を提供出来ない、というだけの話です。お引き取りください」
テーブルを叩いた者は苦々しげな表情を浮かべながら踵を返して部屋を出て行く。
1人残された女性は茶器を皿の上に戻すと小さくため息をついた。
「過去の歴史は闇に葬れたと思っていたのに……ひょんなところからまた明るみに出てしまうのですね」
「皆様、バトラー・サファイアの動向が判明しました」
そう言うとルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)はとある漿船の見取り図をテーブルの上に広げた。
「漿船『グロッシュラー』。こちらで行われる結婚披露宴に乱入し、そこにいる方々を皆殺しにする算段のようです」
この披露宴は貴族同士の結婚、ということもあり参加する者は貴族籍の者が多い。
バトラー・サファイアは冷静沈着な女性執事にして暗殺者である。貴族が集まる場所ならば普通の使用人として潜り込め、酒に酔った対象を殺すのは赤子の手を捻るのと同じくらいだろう。
「新郎新婦の家に傷を与えるだけでなく、要職に就く方やその跡継ぎも殺せる。下手すればお家断絶……なんてこともあるかもしれませんね」
船ごとのコミュニティで生活している彼らだが、このような事件が起きてしまえば間違いなくスペースシップワールドに激震が走ることとなる。
それを防ぐにはバトラー・サファイアを転移した場所から一歩も動かせないことが重要となる。
「『転送装置』。プリンセス・エメラルドが持つ、任意の漿船の特定の場所に人物を送り込める能力を使ってバトラー・サファイアはグロッシュラーに乗り込んできます。つまり、相手がどこに現れるのかをこちらが把握することが重要です」
とはいえプリンセス・エメラルドは本来はるか前に亡くなった存在だ、現在生きている者がその場所を覚えている可能性は低い。
だが微弱ながら「意志」を持ち、住人のクリスタリアン「とのみ」テレパシーで意思疎通ができる特性を持つ漿船はきっとその場所を覚えているだろう。
彼らの力を借り、いち早く転送場所を特定し、迎撃の準備をする。それが今回の最善策だ。
「グロッシュラーに住むのは『スカルン家』という古くからある貴族の家で、今回の新婦の生家だそうです。おそらくその親戚筋の方々も多く集まっているでしょうから、そこから話を聞き出すのが得策だと思われます」
そう言ってルウは懐から封筒の束を取り出す。
「今回の件を受け、知人にその披露宴への招待状を準備してもらいました。準備が出来た方から受け取って、現地に向かってください」
平岡祐樹
お疲れ様です。平岡祐樹です。
今案件ではとある漿船で開かれる結婚式の二次会を猟書家「バトラー・サファイア」の魔の手から守り切ることが目的となります。
今案件にはシナリオボーナス「クリスタリアンや漿船の協力を仰ぐ」がございます。
住民から伝承等の手がかりをもらい、バトラー・サファイアが乗り込んでくる転移場所を推理しましょう。
また第1章で要請をしていれば、その場にいるクリスタリアンや漿船が船内の武装を使って援護してくれます。また一方で、安全のためにわざと遠ざけることも可能です。
この判断は、自分の戦闘スタイルに合わせて考慮していただけると幸いです。
第1章 日常
『楽しくパーティー』
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POW : 思い切り騒ぐ!
SPD : 会場運営を手伝う!
WIZ : 皆を盛り上げる!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神咲・七十
アドリブ・連携お任せ
こういう場所は、割と苦手なのですが……
まぁ、でも聞いて回らないことには始まりませんし何とか頑張りますか。
転移装置って初期に近い時代からあるのなら、やっぱりこの船の中でも特に古い区画か場所にありますよね?
(そんな感じで出された食べ物を食べながら、この船の歴史も一緒に聞いて当てはまりそうな場所を聞いて回って)
あうぅ…人見知りなの忘れてたのでメッセージボードが足りか分からなくなってきました。
う~ん、でも地図も一緒に描いて貰えれば、聞き直す手間も減りますしこれはこれで良かった部分もあるのでしょうか?
「こういう場所は、割と苦手なのですが……まぁ、でも聞いて回らないことには始まりませんし何とか頑張りますか」
皿一杯に盛った菓子類を摘みつつ、神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)は煌びやかな部屋を見回した。
転移装置が初期に近い時代からあるのなら、この船の中でも特に古い区画か場所にあるはずだ。
神咲は肩にかけていたボードを捲ると年配のウェイターに突き出す。そこに書かれていたのは「この船を案内してもらえませんか?」というお願いだった。
「はい。かしこまりました」
ウェイターは平然と了承すると、近くにいた同僚に業務を引き継いでから神咲に連れ添った。
「この船はスカルン家が生まれてから共に過ごしてきた船で、これまで模様替えこそあれど、増築や改築をしたことは一度もないそうです」
元の形からずっと変わらない、というのは多くの人々から賞賛されることだろう。だが今回に限ってはあまり嬉しくない情報だった。
神咲はケーキを口の中に放り込みつつ、真っ新なボードを書き殴る。
「……転送装置という物に聞き覚えは無いですね。私は古株の方ですが……少なくとも旦那様や奥様の口からそのような物があると教えられたことはございません」
何度かの質問を経て、はぐらかしているのではなく本当に知らないことを理解した神咲は片っ端から船内を見回ることを提案した。
「よろしいですが……流石にお嬢様からの招待とはいえ、住居区域への案内は出来ませんのでご容赦ください」
そこまで無茶は言いません、という文言を書こうとした神咲はボードの残り枚数が少ないことに気づき、顔を青ざめさせる。
「あ、あうぅ……人見知りなの忘れてたのでメッセージボードが足りるか分からなくなってきました」
「……もしよろしければ簡単な地図をお書きしましょうか?」
「う~ん」
苦笑いを浮かべながら発せられたウェイターからの提案に神咲は唸って悩む。しかし地図も一緒に描いて貰えれば、聞き直す手間も減る。散々迷った末に神咲はボードを託した。
そしてボードに素早く描かれていく様子を見て神咲はそのあまりの正確さに目を細めた。
「……これはこれで良かった部分もあるのでしょうか?」
成功
🔵🔵🔴
ロザリア・ムーンドロップ(サポート)
グリモア猟兵として猟書家事件を追っていることもあり、自身も何か手伝いができないかと考えています。
「この事件を解決すれば、また一歩世界の平和に近づきますね!」
「せっかく取り戻した平和を脅かすなんて許せません!」
UCは『ムーンロザリア・スタイルチェンジ』と『HMT』を指定していますが、他のを使ってもらっても構いません。
技能・装備はご自由に。
基本的に頑張り屋。事件が多種多様であることはわかっているので「こういうことをしないといけないこともありますよね!」で大体乗り切ります。
ぷるぷるしたもの(スライムとか)はとても興味を示します。
ただしエロ・グロ系はNGで。
戦後依頼でも書けると思ったら書いていいです。
「これはカフェラテを振る舞う雰囲気ではないですね」
ワイン片手に行われる会食を遠巻きに眺めながらロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)はグロッシュラーの中を進む。
しかしその姿を呼び止めるどころか、気づける者はいない。ツインテールが煌めく魔法少女となったロザリアは空を彩る流れ星の加護を得て、高速で動き回っていたからだ。
まるでダンスを踊るようなステップを踏みながら、風を起こさずディーラーや招待客、料理人の間を縫うように走っていき、しらみ潰しに転送装置らしき存在の有無を確認していく。
その最中だった、その声が耳に入ったのは。
「あらあら、あの子かしらカーバンクルが言ってたのは」
自分の姿を誰かが見つめ続けているかのような、嫌な予感をおぼえながらロザリアは広間を駆け抜ける。曲がり角で足と息を止めて様子を伺うが、視線の主が追いかけてくることはなかった。
「何だったんでしょう……ですがカーバンクルさんを呼び捨てにしたということは関係者の方でしょうか……?」
この宴の招待状を融通してくれたという同僚の姿を脳裏に描きつつ、ロザリアは再び走り出す。
その後ろ姿を見送った、宝石の肌に負けないほどの真紅のドレスに身を包んだクリスタリアンは小首を傾げていた。
「別に一言二言話すくらいなら別に構わないと言うのに。それだけ邪魔したくない、ってことかしら」
「おく、大奥様。いかがなされましたか?」
「なんでもないわ」
今回のパーティーの主役である妹と区別するため、ディーラー役となった使用人が呼びなれない呼称を使う。
大奥様、と呼ばれたクリスタリアンは扇子を開いて微笑みを抑えられなかった口元を隠した。
「ここは『猟兵』様のお手並みを拝見させていただくといたしましょう。披露宴の余興とならないことを期待しておりますよ?」
成功
🔵🔵🔴
エリー・マイヤー(サポート)
どうもエリーです。
手が必要そうなので、手を貸しに来ました。
【念動力】で解決できる事なら、お任せください。
遠くから押したり引いたり掴んだりとか、
持ち上げたり回したり投げたりできますよ。
包み込んで動きを封じたり、破裂させて攻撃したりもできます。
微弱な念動力をばら撒けば、ソナー代わりにも使えます。
後はスプーンを曲げに曲げて、コルク抜きにしたりとかですかね?
タネなし手品で子供を喜ばせるとか、朝飯前です。
子供は煙草の臭いで逃げる気もしますが…
まぁ、それはさておき、状況に応じて色々できますよ。
あ、運動は苦手なので、
殴り合いとか派手な運動は期待しないでくださいね。
たぶん息切れして倒れちゃいますよ。
「こうも広いと、探すのも大変ですね……」
喫煙所にてエリー・マイヤー(被造物・f29376)はタバコを取り出し、火をつける。
煌びやかな披露宴で煙草を吸うのは御法度だ。探している間我慢し続けたエリーであったが、体力の限界が近づくと同時に大人しく一時撤退を決めたのだ。
「隣、いいかい?」
「どうぞ?」
続けて入ってきたクリスタリアンの男性の場所を作るために奥に進み、煙を吐く。
薄い灰色の煙が天井に吸われていく中で男はタキシードの中から小さな紙の箱を出してから、あらゆるポケットを弄り出す。
眉間に皺を寄せ、静かに慌てている様を見かねたエリーは形見であるライターの火をつけた。
「火、いりますか?」
「あ、これはすまない。どうもどうも……」
申し訳なさそうな笑みを浮かべながら男は箱の中から煙草を取り出し、その先端を火に近づける。
そして燃え移った瞬間、男の煙草は弾け飛び、中から1枚の紙がひらひらと舞い落ちた。
突然の出来事に固まったエリーに、男は笑いを殺しながら一方的に話し出した。
「ウチの姉貴からの伝言だ。『ここにお望みの物があります。披露宴の余興とならないことを期待しておりますよ?』だとよ? 驚かせて悪かったな」
そう言って男は喫煙所から出て行く。吸いにきたのではなく、確実にエリーを狙ってやって来たのだろう。
「手品で驚かされるとは、やってくれましたねあの男……!」
灰皿に押しつけて火を消し、エリーは床に落ちた紙を拾い上げる。
そこには転送装置の場所と、それが置かれた経緯が読みやすい字で綴られていた。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『バトラー・サファイア』
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POW : ナイブスストーム
【サファイアでできた無数の暗器】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : アカンプリッシュメント・オブ・アサシン
レベル分の1秒で【麻酔針】を発射できる。
WIZ : サファイア・フラッシュ
【サファイアの肌】から【蒼く眩い閃光】を放ち、【目を眩ませること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠エリル・メアリアル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
あらゆる宇宙船を迎え入れる玄関口。その一角に転送装置は座していた。
全てはプリンセス・エメラルドの威光を知らしめるため。
この船にやってきた者達が必ず目に触れる場所で、彼らとは全く別の方向から現れる。
同じ玄関口でありながら下々の者とは違うルートを使える、というのは一種のステータスであったのだ。
またそのカラクリを大っぴらには決してしないことで、エメラルドは我々の持つ宇宙船のレーダーでは捉えられない宇宙船を保持しているのではないか、エメラルド自身の能力で完全に覆い隠しているのではないか、などなど想像は噂となり、噂は噂を呼び込み、本来よりもより大きな存在へと昇華されていく。
そのために、プリンセス・エメラルドはグロッシュラーの搭乗口に転送装置を置いた。
そしてそこにバトラー・サファイアの姿が音もなく現れる。
「さて、裏切り者にはその報いをしっかりと受けていただきましょう」
冷徹な仕事人は手袋を伸ばし、ゆっくりと歩き慣れた通路へと踏み出していった。
御形・菘(サポート)
※語尾に「のじゃ」は不使用
はっはっは、妾、推参!
敵は決してディスらんよ、バトルを彩るもう一人の主役なのでな!
強さも信念も、その悪っぷりも誉める! だが妾の方が、もっとスゴくて強い!
バトルは常に中継配信+後で編集しての動画配信
いかにカッコ良く魅せるか、見映えの良いアクションが最優先!
とはいえ自身の不利は全く気にせんが、共にバトる仲間にまで不利を及ぼす行動はNG!
戦法は基本的に、テンションをアゲてボコる! 左腕とか尾で!
敵の攻撃は回避せず、受けて耐える! その方がカッコ良いからのう!
はーっはっはっは! さあ全力で来るがよい、妾も全力で応えよう!
「はーっはっはっは! 待っておったぞバトラー・サファイア!」
響いてきた声にサファイアは足を止め、素早く視線を上げる。するとその方向から御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が落ちてきた。
音と振動を起こしながら着地した菘はギザギザの歯を剥き出しにしながらサファイアを指差す。
「お主がここに来ることは何処の誰かは分からんが教えてもらったぞ! 大人しく撤退するか、妾と拳を交えるか、選ばせてやろう!」
転送装置のあるこの部屋には既に大量のドローンが飛び回っており、サファイアの姿は全艦に放映されている。少なくともこれで変装せずに使用人に紛れて暗殺を行うことは不可能になったであろう。
しかしサファイアは動揺せず、肩を竦めるのみだった。
「ああ、主人から聞いたことがあります。やけに声が大きい、目立ちたがり屋の蛇女がいたと」
そう呟いた瞬間、サファイアの全身から蒼く眩い閃光が放たれる。菘が反射的に目を閉じてしまうと、サファイアの囁き声が右耳のそばから聞こえてきた。
「そのよく回る口、二度と大声が出ないようにしてあげましょう」
首に激痛が走る。しかし菘は動じず、歯を食いしばりながら巨大な左腕を振るった。
サファイアは素早く菘の背中を蹴り、吹っ飛ばされる前に自ら距離を取る。渾身のラリアットを避けられた菘は唇を尖らせながら首に刺さった刃物を抜いた。
「ふっ、この程度でくたばるほど妾はヤワではないぞ?」
そして見た者の戦意をへし折る禍々しきオーラを放ちながら、手の中で刃物をへし折った。
「化け物が……」
「化け物? いーや、邪神よ」
首元のマイクが壊れてないことを確認した菘はサファイアの氷点下の呟きに笑顔で返す。
「その素早さ、急所を瞬時に見抜く目、どれも流石である! だがその程度で妾を止められると思うな!」
「そうですか。なら私は逃げましょう」
そして再び転送装置の周りは青い閃光に包まれた。
成功
🔵🔵🔴
ルドルフ・ヴァルザック
「難しいことはよく分からんが、とにかく倒してしまって構わんのだな?!」
・自由の槍ランツェ・デル・フライハイトを居丈高に振り回して敵の前に立ちはだかる。自分の威光をこの宇宙にも知らしめるために
・ルドルフには武術の心得は無いが、根拠のない虚栄心と自身が無敵であるという思い込みは、図らずも「オーラ防御」を発生させたり、ユーベルコードを発動させたり、致命傷をかすり傷にする「幸運」を呼び寄せるだろう
・へっぴり腰の「ランスチャージ」で暗殺者に「貫通攻撃」を仕掛ける。当たらなくとも、ぶつかった建造物が倒れバトラー・サファイアに思わぬダメージを与えるかもしれない(幸運によって)
「ハァ、ハァ、そろそろ観念せい」
再びの閃光の中でサファイアは菘を置き去りにし、出入口の方へ音もなく走り出す。しかしその間に茶色い皮鎧を身につけたルドルフ・ヴァルザック(自称・竜を屠る者・f35115)が割り込んできた。
「難しいことはよく分からんが、とにかく倒してしまって構わんのだな?!」
ルドルフは自分の威光をこの宇宙にも知らしめるため、自由の槍「ランツェ・デル・フライハイト」を居丈高に振り回して敵の前に立ちはだかる。
しかしその体勢は上体をかがめて、尻を後ろにつき出した、非常に頼りない物だった。
それもそのはず、ルドルフに武術の心得は無く、不遜な態度をとるその本性は趨勢次第では敵前逃亡も辞さない臆病な性格であった。
「文字通りの肉壁ですか」
その哀れな様を鼻で笑ったサファイアはどこからともなく自分と同じ名を冠する宝石で出来た暗器を両手一杯に取り出し、走る勢いを生かして一気に投擲した。
「う、うおおおおおおっ!」
だがルドルフの根拠のない虚栄心と自身が無敵であるという思い込みはその身を守った。
避けるのではなく「真っ直ぐ突進する」という予想外の動きをしたことで受けるはずだった致命傷はかすり傷程度となり、ルドルフの突進は鈍らせることはない。
だがサファイアは舌打ちこそすれど慌てはせず、その槍の一撃を落ち着いて避けた。
躱されたルドルフは急停止してその場で槍を振り回すことなんて出来ず、そのままグロッシュラーの壁に激突した。
「……何をしたかったんだあの男」
眉間に皺を寄せながらサファイアは邪魔者がいなくなった出入口へと再び足を向けようとする。しかしその時には転送装置と外周通路を隔てる扉は閉まっていた。
『なっ……おいグロッシュラー、この扉を開けろ今すぐにだ』
『ただ今金属体を用いた襲撃を確認しました。対象が排除されるまで他のお客様の安全のため開放することは出来ません』
サファイアは猟兵達に聞こえないようテレパシーを使って即座に命令するが、グロッシュラーは淡々と拒否した。
「ハァ、ハァ、そろそろ観念せい」
ろくな準備運動もせずに全力疾走をしたルドルフが息を切らしながら槍を構え直す中、振り向かれたサファイアの目には怒気が一瞬だけ過ぎった。
成功
🔵🔵🔴
火土金水・明
「大きな戦争も終わって平和に向けて歩んでいる世界に、再び争いを起こそうとする猟書家の存在を許すことはできませんね。」「あなたの計画は邪魔をさせてもらいます。」
【POW】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【銀色の一撃】で、『バトラー・サファイア』を攻撃します。相手の攻撃に関しては【勇気】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げる事です。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
カツン、カツン、とヒールが金属の床を叩く音が響く。
「大きな戦争も終わって平和に向けて歩んでいる世界に、再び争いを起こそうとするあなた方猟書家の存在を許すことはできませんね」
新手の声にサファイアが怪訝な視線を向けた先では火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)はゆっくりと銀の剣を鞘から抜いていた。
「あなたの計画は邪魔をさせてもらいます」
「……出来る物ならやってみなさい」
サファイアは再び暗器を取り出し、一息に自分の周りに投じていく。
銀とサファイアで彩られた刃の弾幕を軽やかにステップを踏んで避けた明の姿は一歩一歩サファイアに近づいていく度に薄れていった。
「残念、それは残像です」
余裕そうに嘯く明のいる方向とは違う所で起きた暗器の砕ける音と微かな風音を聞きつけたサファイアは咄嗟に振り返る。するとそこにはいつの間にかすぐ後ろに迫っていた明が銀の剣を振りかぶっていた。
放たれた斬撃を手元に残していた暗器で受け止める。しかし細い鉱石の刃はその重い一撃に耐えることすら出来ずに分断され、その奥にあるサファイアの身を包む燕尾服も大きく裂かれた。
だが同時に明がいたはずの後ろにひいていたことで、クリスタリアン特有の透き通った青色をしている肌に傷が刻まれることも、背中に致命的な一撃を喰らうことも無かった。
「おや、一応残像の方から声を発するように細工をしてたのですが……バレてしまっていたようですね」
「あなたは我々の間では色んな意味で有名なのですよ……あちこちで好き勝手なされていますので」
燕尾服の無事な部分を伸ばし、なるべく肌の露出を減らそうとするサファイアからの言葉に明は思わず笑みを漏らす。
「猟書家の皆様に知られているとは光栄ですね。では、この後私が言う言葉もご存じで?」
「ええ、『少しでもダメージを与えて次の方に』でしょう?」
「御明察です。では」
明は有言実行すべくサファイアとの距離を詰め、再び銀の剣を振るう。
今度は残像を用いない正面からの突入にサファイアは息を飲みつつ、市場に出したら高値がつくであろう暗器を使い捨てのように雑に扱いながらなんとか凌いでいった。
成功
🔵🔵🔴
バルタン・ノーヴェ(サポート)
「ご安心くだサーイ! ワタシが来マシタ!」
ご用命あらば即参上! アドリブ連携歓迎デース!
普段の口調:片言口調で(ワタシ、アナタ、デス、マス、デスネ、デショーカ? デース!)
得意な技能:【一斉発射・焼却・武器受け・残像・カウンター・受け流し】
各種武装の中から、ボスに適切なものを選択して用いてくだサーイ!
刀も銃器も、内蔵兵器や換装式ウェポンも、何でもOKデス!
アタック重視でもディフェンス重視でも対応可能デース!
斬り込み、爆撃、弾幕を張ったり、パリィ盾したり、臨機応変に立ち回りマース!
どのユーベルコードを使用しても問題はありマセーン!
オブリビオンを倒して、ミッションクリアのために力をお貸ししマース!
サファイアとの距離が離れたためか、グロッシュラーの扉が再び開かれる。
「ご用命あらば即参上! ここで雇われメイドの登場デース!」
その先で待っていたのはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)であった。ついさっきまで披露宴に従事していた故に、合流が遅れてしまったのだ。
「もう参加者の皆さんはお帰りになられマシタ。あとはサファイアさんあなただけデスヨー!」
「……そうか。だがまだ家主はいるのだろう? その首とグロッシュラーを廃棄すれば、プリンセスは満足されるだろう」
ワープドライブが導入されていることが当たり前となりつつある今、目的地の近くにたどり着きゆっくりと航行する以外で船の動く姿を見ることは難しい。
そのことを知っているかどうか不明であるが、サファイアは船の姿がない宇宙を横目で確認してから答えを返した。
「それはいけません、襲撃者はしっかりお払いせねばなりませんネー!」
予め分かっていたことに、初めて聞いたかのようなリアクションを取りながらバルタンは口角を上げながら自らの愛剣を構える。
「剣? なぜメイドがそんな物を……? もう家業から足を洗ったのではないのか」
「家業? 何のことやらサッパリデース!」
怪訝な表情を浮かべながら明から距離を取ったサファイアに向かってバルタンが一気に突っ込んでいく。
その行手を阻もうとまた、大量の暗器がばら撒かれたがバルタンの振るう剣の前にあっという間に真っ二つにされていった。
「いい加減、腹を括ったらいかがデス? この程度の暗器じゃワタシ達は止められまセーン!」
「ワタシ達……まさかあなたも」
「ザッツライト!」
正体を察したサファイアに向け、バルタンの刃が振るわれる。間一髪で避けたサファイアであったが、その後に布の切れ端が力無く漂い落ちた。
成功
🔵🔵🔴
クレア・フォースフェンサー
裏切り者にはその報いを、ですか
貴方の目的は漿船内のクリスタリアンの抹殺だと聞いていましたが、必ずしもそうではないのでしょうか
こちらは、貴方のような漿船内の異物の全てを排除することが目的です
大人しく帰っていただいても良いのですが、貴方は執事
エメラルドの元に戻ったら、またすぐに仕事を言いつけられるのでしょうね
執事もたまには休みが必要です
今ここで、骸の海に還してさしあげます
光剣で暗器を捌きながら接近
攻撃を数回行い、敵の動きを見切ります
敵がこちらの攻撃を躱したと考えた瞬間に刀身を伸ばし、その存在そのものを絶ちましょう
貴方は暗殺者でしょう?
敵が自分を出迎えていることが分かった時点で帰るべきでしたね
「裏切り者にはその報いを、ですか。貴方の目的は漿船内のクリスタリアンの抹殺だと聞いていましたが、先程のお言葉から察するに必ずしもそうではないのでしょうか」
首を傾げながら、クレア・フォースフェンサー(認識番号・f09175)は先程の斬撃で露わになった腹部を摩るサファイアに語りかける。
見た目も名前も一緒な老人口調の武芸者が別にいるらしく、ここに案内してくれた人狼は会った時に目を白黒させていたが、サファイアの目にそのような感情の揺らぎは見えなかった。
件の者と会ったことがないのか、単なるポーカーフェイスか、それとも単純に興味が無いのか。
「こちらは、貴方のような漿船内の異物の全てを排除することが目的です。大人しく帰っていただいても良いのですが、貴方は執事。エメラルドの元に戻ったら、またすぐに仕事を言いつけられるのでしょうね」
柄を強く握りしめた瞬間、先端から鋭い光の刃が展開される。その切先をサファイアに向けつつ、クレアは言い放った。
「執事もたまには休みが必要です。今ここで、骸の海に還してさしあげます」
「その厚意は断らせていただくと同時に否定させていただこう。……プリンセスは配下の者を使い捨てにされるような御仁ではない」
そう言い切ったサファイアはもう何度目になるか分からない、大量の暗器を全体に放つ。
「そうですか……それにしても今こそあの光の使い時だと思いますが、充電に時間がかかるのでしょうか? まあ、こちらにとっては好機でありますが」
迫り来る暗器を光剣で捌きながら接近したクレアはそのままサファイアに切りかかる。
人は違えど、似たような殺陣を三度も繰り返していると流石に慣れてきたのかサファイアの捌き具合も洗練された物になってきていた。
「なるほど、確かに十分な休養は得られてらっしゃるようです。ですが」
何度かの打ち合いでサファイアの動きを見切ったクレアはサファイアがこちらの攻撃を躱したと瞬間に親指を動かす。
「このような不意打ちはいかがですか?」
すると光の束が伸び、奥に下がっていたサファイアの左腕を捉えた。
左腕が壊れた暗器を握りしめながら全くの欠片も生じさせず床に落ちる。
「貴方は暗殺者でしょう? 敵が自分を出迎えていることが分かった時点で帰るべきでしたね」
クレアは綺麗に削がれた肩口を押さえて睨みつけるサファイアを鼻で笑った。
大成功
🔵🔵🔵
神咲・七十
アドリブ・連携お任せ
さて、後は転送装置の部屋から他の場所へ行かせないようにして戦えばいいんですよね。
う~ん、他へ行かせないようにするとなるとやっぱり閉じ込めるのが早いですよね~♪
(漿船に、合図をしたら部屋の明かりを全て消して貰えるようにお願いして、消えた後にUC『万花変生』を使用。)
暗闇の中だとどうなっているか分かりずらいですよね。
でも、だからと言って光らない方がいいですし、動くのもやめた方がいいです。
(どちらかをサファイアが行ったら、それに反応するように自立行動する食物植物を大量にけしかけて部屋の一角に誘導し、一緒に出した巨大なドーム状の植物の中にサファイアを閉じ込め)
貴女を襲い、閉じ込めてる二種類の植物達は共生しているんです。
大きい方を襲えば、小さい方が守り、その逆なら貴女を弱らせる瘴気をだして仕留め易くするといった具合にね
(外からそう言って、植物達の攻撃に隷属化させる力を持たせて、サファイアを敗北させて、隷属化しようとする)
一緒になる人たちを邪魔しようとする報いを受けましょうね♪
「う~ん、他へ行かせないようにするとなるとやっぱり閉じ込めるのが早いですよね~♪」
人と話す必要がないためか、扉のそばの壁にリラックスした様子で寄りかかっていた神咲が指を鳴らす。
すると宇宙と船の内部の間を遮っていた透明な壁を覆うシャッターが下ろされ、中を照らしていたライトが一気に消えた。
ほんの一瞬で間近の手も見えない空間と化した部屋にサファイアと、それを囲む猟兵達の呼吸音だけが聞こえてくる。そんな中で神咲の声はよく響いた。
「暗闇の中だとどうなっているか分かりずらいですよね。でも、だからと言って光らない方がいいですし、動くのもやめた方がいいです」
その言葉にサファイアは眉間に皺を寄せた。
わざと真っ暗闇にしたということは目が利くか、暗視機能のあるゴーグルなどを身につけている者が自分に襲いかかってくるのだろう、と容易に想像がつく。
その刺客に対してサファイアが光ればその目が潰されることで、動きが鈍った上にサファイアに自分達の現在地を知られてしまう。
動かれれば、偶然振りかぶった所に突っ込まれてしまってせっかくの闇討ちが失敗してしまうリスクが生じる。
それなのに相手はあえて強調してきた……つまりサファイアがそれをすることを望んでいるのだ。
間違いなく明言された対抗策を打てば相手の思う壺だ。しかしこのまま膠着状態にあり続けば敵の増援が来ることはあってもプリンセスが援軍を送ってくれることはない。さらに左手が使えなくなってしまった今、この猟兵達による肉壁を乗り越えたところでスカルン家を皆殺しにすることは厳しい。
ならば、自分の身を犠牲にしてあの金髪の手の内をここで明かすべきだと、サファイアは覚悟を決めた。
全ては、未来での勝利のために。
「そうか。ならば乗ってやろうではないか」
サファイアの青き肌が瞬き、黒が蒼に塗り潰されると同時にサファイアは走り出す。
「あーあ、やっちゃいましたね」
その瞬間、神咲が撒いた罠が芽吹いた。
自立行動する食物植物達がサファイアの光に導かれ、押し寄せていく。サファイアはそのうちの1体を踏み潰したが、中から噴き出した液がついた瞬間に音と煙を立ててズボンとその奥にある鉱石の肌が溶け出した。
歯を食いしばったサファイアはこれ以上の負傷を避けるために植物達の防御線が薄い所を狙って動き出す。
しかしそれは突破口ではなく、深みに陥らせる罠であった。部屋の一角に誘導される形になったサファイアの周りに突然巨大な植物の茎が生え出す。
サファイアは咄嗟に暗器で切りかかったが小さな刃で刈られるほど細くない茎はアーチを描いて隣の別の茎と交じり合い、大量の食物植物ごとサファイアを巨大なドームの中に封じ込めた。
「はい、皆さんもう動いて大丈夫ですよ〜。ご協力ありがとうございました」
拍手をした神咲の声で他の猟兵達は一斉に息を吐く。変な動きをしたら自分達もサファイアと同じ目に遭うことを知らされていた故だった。
神咲はきつく締め付けられた草のドームに耳を当て、中にいるサファイアに聞こえるように囁く。
「貴女を襲い、閉じ込めてる二種類の植物達は共生しているんです。大きい方を襲えば、小さい方が守り、その逆なら貴女を弱らせる瘴気をだして仕留め易くするといった具合にね」
「う、あぁ……っ!」
植物にいいようにされているのか、サファイアのか細い声が聞こえてきた。神咲は人を食ったような笑みを浮かべて、植物達に魔力を付与した。
「一緒になる人たちを邪魔しようとする報いを受けましょうね♪」
それは屈服した相手を隷属させ取り込む甘美な毒。それを浴びたサファイアの悲鳴は1オクターブ以上上がり、不意に途切れた。
ドームの中を覗くと、右往左往している植物達の下敷きになっていたはずのサファイアの姿がなかった。おそらくプリンセス・エメラルドが操縦権を握っているという、転移装置とやらを起動されてしまったのだろう。
「逃げられちゃいましたか……。上手くいけば隷属化出来ると思ったんですけど」
残念ですね、と神咲は肩をすくめて植物の養分となってすでに朽ち果てたサファイアの左腕を見やった。
成功
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