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先はどん詰まり。既に詰みであったとしても

#アポカリプスヘル #クライスト・ヴォーテックス #ヴォーテックス一族

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「これは……。」
 男が眠っていた瞳をゆっくりと開ける。
「これは啓示か。それとも経験か。」
 男は見た、と言うよりも感じた感覚を吟味し、精査し、思考する。
「どちらにせよという物か。事態は既に覆す事の出来る場所にない。」
 男が感じたそれは破滅の予感。思い込みや勘違い等ではなく、確かに迫りくる凶刃に直面したかのような間違えようの無い確信。
「ヴォーテックス・シティに忍び込み、俺達の対立を煽るネズミ共……。」
 あいつ等だ。ああ、ならば納得じゃないか。その行動力、戦闘力、『俺』はとっくに襲われていたのだ。だが…。
「黙って殺されるなぞ冗談じゃない。死ぬのは御免だ。」
 死ぬのは御免だが、同時に逃げるなぞ認められない。
「俺はクライスト・ヴォ―テックスだ。」
 男は体を起こし、中空を睨みながら呟く。
「『フィールド・オブ・ナイン』よ。見ているか。聞いているか。知っているか。」
 返される言葉は何もない。だが、男は続ける。
「ならば、とくと見、聞き、知れ。お前達を信仰し、お前達を蘇らせる為にオブリビオン教団を作り上げた俺の戦いを。」


「ハーローハワユゥ―。お酒足りてるー?」
 ああ、酔っぱらいがけらけら笑ってる。
「えーっとねー、今日はあれぇー。クラースとヴァ―てーっくすー、だよー。」
 どうやら巷で一世を風靡した狂人教祖の予知らしい。
「それでねぇー、あー…………更地にしてきて。」
 解体工のご依頼だろうか。
「わたしぃーがー、見たのはー。一面緑が広がる中にあるー、白い建物~。」
 白い建物は狂人教祖の居る『白い城塞』と言う奴だろう。それにしてもアポカリプスヘルに一面の緑とは珍しい。
「その緑ぜーんぶ、麻薬のざいりょー。」
 カルト教団らしい緑であった。
「だからさらちー。燃やす場合は煙を吸わないようにねー。」
 なぜきゃっきゃと楽しそうなのか。
「で、きみ達がやる事はー、その麻薬畑の監督達を蹴散らしてー、城塞内の警備員を蹴散らしてー、奥にいる教祖をぶちのめす事~。いつものお仕事だねー。」
 それだけであれば単純明快だ。それだけであれば、ではあるが。
「でもさぁ~? 教団員達が着てるさぁ~白い服が厄介なんだー。近接攻撃を弾いちゃうんだってー。意味わかんないねー。しかも全員が特性銃器を支給されてるとかー。」
 困っちゃうよねーと同意を求めてくる。
「どうするかはきみ達にー……ああ、そうだ。麻薬畑には奴隷の人たちもいるからそっちも君達に任せるよ。どうするか、わね。」
 そう言うと、みょーんとグリモアを展開押させながら酔っ払いが誘う。
「行き先はぁー、元海岸リゾート地ぃ。御行きの方はぁ~?」


みしおりおしみ
 当に雌雄は決しているけれど純戦にしやすいし、なんか殴りやすそうだなと言う理由だけでピックアップ! ごめんねクライスト!
 はい。
 と言うわけで、変なシナリオばかり作ったので単純に殴るシナリオです。
 とは言え特殊な部分があるので纏めておきます。
 ・敵は全章『白塗りの服』を着ており近接攻撃を弾いてしまいます。
 近接のルールを明確にする為に『10m以内からの攻撃』とします。
 要は、10m以内からの銃撃であれば弾かれますし、10m外から丸太で殴るであれば弾かれないみたいな感じです。
 え、10m以内から防護を無視して殴りたい? いいんじゃない!強引なの好きだよ!

 ・特性銃器の携帯。
 集団敵は特性の銃器を携帯しています。それはUCとは関係なしに弾幕を張ってくるので気を付けてください。痛いです。

 ・麻薬畑の奴隷。
 一般人。

 さ、カルト潰しです。
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第1章 集団戦 『黒き風の使徒』

POW   :    解っていただけませんか……残念です
【モーニングスター】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    オブリビオン・ストームこそが神の意志なのです
【「黒き風の教団」の教義と説法】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    黒き風の元で生まれ変わりましょう
技能名「【言いくるめ】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


かつて海を望むリゾート地であったアカプルコ・デ・フアレス。
 かつては観光地であり賑わいを見せていたであろうそこも、今や白塗りの城砦を有するオブリビオン教団の街、『クライスト・シティ』と化していた。
 そんな場所の、遠目からであればその緑が一目で見て取れるその一角。
 そこが今回の場所だ。
 瓦礫を排除し、畑として拓いた一面の緑。
 この世界でそんなものを作る事が出来たその代償は、近づけばいやでも目に飛び込んでくる。
 死体。死体。死体。死骸と呼んでしまいそうになるような乱雑な扱いのそれが、畑のそこかしこに転がっている。
 労働力兼、肥料。
 ここに連れてこられた普通の人々の行きつく先はそれだと、物語っていた。
 今現在もその麻薬畑では、白塗りの服を纏ったオブリビオンに人々は監視され働かされている。


【オブリビオン】
 オブリビオンは白塗りの衣と銃器(アサルトライフル系)で武装しています。
 また、3人ほどで纏まって行動しており、それを進んで崩そうとはしません。
 戦闘は銃器を主に使用し、自ら接近はしません。
 銃器の扱いが下手と言う事もありません。
ヴィリー・フランツ
連携OK SPD 心情:教義に「あなたの隣り人を愛せよ」の一文は無いようだ。
取り敢えず戦闘の障害となる奴隷を退かさにゃならんな。

手段:「通してもらうぜ、尼さん」
各種装備を積んだ軍用大型トラックに乗ってフェンスを突き破り畑に突撃、先ずは手近な監視の尼さんを吹き飛ばす、流石に10tの衝撃迄は防げんだろう。
適当な場所で停車、車両の影にに隠れながら紙巻煙草を吸って精神統一。
この騒ぎで尼さん達が集まって来るからな、ブルパップ式小銃を構えながら相手の射撃位置を確認、機を見て【複数射撃】を発動、見える範囲の奴の掃射を試みる。

掃除が済んだら付近の奴隷には逃げろと伝える、この車両が動くなら乗っても構わんぞ。



「穏やかな日ですわ。」
「少々暑くはあるけれど、いい天気ですね。」
「今日も黒き風とクライスト・ヴァーテックス様に感謝を。」
 口元に手を当てて笑いながらされる、黒き風の使徒たちの会話。その会話だけを聞けば、出てくる単語はともかくとして平和な普通の修道女たちの会話と言ってもよさそうであった。
 けれど、その全員が大きな銃を携え、足元には死体が転がる光景は決して『普通』の世界ではなかった。
 その時、使徒の一人がピクリと反応し、顔を上げると遠くに目をやる。
「どうしましたの?」
「エンジン音…。」
 微かに耳に届いたエンジン音。まだ遠い、けれど近づいて来ている。
(…はぐれ戦車?)
 使徒は銃の扱いなどの訓練はされたものの、エンジン音でそれが何か判別する様な事は出来なかった。
 けれど、この世界には生きた人間を殺そうとする暴走戦車など困った物が存在しているから、今回もそういった類かと警笛を口に咥えながら銃を持つ手に力を入れ警戒を強める。
「通してもらうぜ、尼さん。」
 そして、それは…ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)が操る軍用大型トラックは大麻畑の周囲を囲むフェンスを突き破り、明確な意思を持って使徒に向けて突っ込んだ。
「轢きやすい所に居て助かったな。」
 迷いなく真っ直ぐに、アクセルを踏み込んで軍用トラックで使徒にぶつかる。
 使徒達は避けようと動き出したものの、驚愕で初動が遅れた為に真正面から防御姿勢すら取れずに吹き飛ばされ、幾つかの緑を薙ぎ倒しながら離れた場所に落ちて見えなくなった。
 使徒達の想定は暴走戦車など、ようはオブリビオンであった。そうであったなら狙いはあくまで人であり、同じオブリビオンである自分は狙われない。だから、見通しがいい場所に出た。そして、それが自分に向けて突っ込んでくるなど想定していなかった。それがこの結果である。
 ヴィリーは使徒達を轢き飛ばすと、ハンドルを少し回しながらブレーキを踏み込み、タイヤで緑の畑を耕しながら停車させた。
「はっ、流石に10tの衝撃迄は防げなかったな。」
 とは言え、おそらく衝撃だけだ。ダメージは如何程かは知らないが大した物では無いだろう。ヴィリーは大型トラックから降りると、使途から身を隠す為にその影に身を寄せる。
 鋭い警笛の音と連続する発砲音。雨の様に銃弾がトラックに衝突する音。
「猟兵っ! 応援が来次第囲むよ!」
 相手がなんであるかの周知、早い行動の決定。ちらと顔を覗かせ使徒の様子を窺うと、身を低くし植物に身を隠しているのかその姿は確認できなかった。
 奇襲だったがそれほど混乱していない。
ヴィリーは「ほぉ…。」と軽く感心しながら煙草を取り出すと火を点け……ふー、と煙を吐き出し一服する。
 何も問題はない。
「黒き風、オブリビオンストーム! そしてそれを齎したフィールド・オブ・ナインこそが、この世界に変容を御与え下さる神とその御業! 黒き風による破壊とその先の進化を広める事が我らの教義! 黒き風の妨げとなり、神の意思に反する猟兵は即刻殺すのです!」
 トラックの向こうから声が響いた。味方を鼓舞する説法だ。
 なら、応援が着いたのだろう。
 襲撃時にすぐにそれを行わなかった。そして今になって戦闘力を上げるそれを使った。つまり、増援の到着を待っていて、着いたから行った。
 まったく、襲撃の合図をしている様なものじゃないか。
 ヴィリーは煙草を弾き捨てると、ブルパップ式小銃を取り出すと軽く跳び、トラックの屋根に手をかける。そして片腕で軽々と体を持ち上げ屋根に飛び乗ると、機械の様な淀みない動作で射撃体勢に入り、トリガーに指をかける。
 集中が時間の進みを遅々と遅らせる。
 撥ねた使徒の『姿』は確認できていなかったが、あれだけバカスカ撃っていれば射線から居場所の当たりは容易に付けられる。
 そしてこうして高所から答え合わせをしてしまえば、ほら。
「ビンゴ。」
 使徒がこちらに銃口を向けきるよりも早く、左から右へ銃口を動かしながらバーストで引き金を引く。
「……-。」
 銃口を右まで動かし終えた時、止めていた息をゆっくりと吐きだす。
 周囲の銃声はぴたりと止んでいた。
 撃ち漏らし無し。無駄弾無し。
 銃口を左から右へ、その一巡でもって一掃せしめた。
「分かってはいたが、教義に『あなたの隣り人を愛せよ』の一文は無いようだな。」
 そう呟きながら屋根から飛び降りると、トラックの撃たれていた側を確認した。
「酷いなこれは。」
 エンジンがある部分はより装甲があったからよかっものの、かなりの数の貫通が見られた。
 数と時間があったなら、廃車になっていたかもしれない状態だった。
 とは言え、それはもしもであって現実は問題なく動く状態だ。
 屋根から見た時に見えた、頭を抱え蹲る奴隷に声をかける。
「おい、もう頭を抱える必要はないぞ。近くの仲間を集めて逃げろ。あれを動かせる奴がいるなら乗って逃げろ。」
 トラックを示しながら促せば、奴隷は感謝を示しながら転がる様に駆けだした。
 ヴィリーはそれを見送ると、白い城塞に視線をやる。
「さて、とりあえず此処の障害は取り除いたが……。」
 どうなるか…。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミリア・ペイン
こんな奴隷みたいな扱いされて辛かったでしょうに…死者は後できちんと弔ってあげないと、ね
…さて、外道な災魔共にはお仕置きしてあげなくちゃ

【WIZ】《黒き怨恨の炎》
弾幕には弾幕で対抗するわ
炎の威力が下がり過ぎない様に分裂させ周囲に展開、炸裂させて相殺狙い
その間に別の炎を纏めて、隙を見せた奴から順にぶち当てていきましょ
腕付近を狙えば更に銃の精度も落とせるかしら?【部位破壊】

銃撃は【オーラ防御】で凌ぎ、目が慣れたら【見切り】で回避

言いくるめに対しては【挑発】してボロクソに罵ってやるわ
「あーもう、うっさいわね…お前達みたいな下衆の声なんて虫唾が走って不快なだけなのよ。便所の蝿相手にでも布教活動してれば?



 ミリア・ペイン(死者の足音・f22149)は一面に拡がる、腰から下あたりまでの高さの緑の中で足を止めた。
 捨て置かれた死体の他に、地面から真っ直ぐに突き出た土に汚れた白い手。
 視線をずらしていけばそれが一定の間隔で生えている事が分かった。
 肥料代わりの人の死体。
 埋めた場所の目印代わりだ。
「こんな奴隷みたいな扱いされて辛かったでしょうに…死者は後できちんと弔ってあげないと、ね。」
 ミリアはすでに固く冷たくなった白い手の甲を、つつと色白の細い指で撫でながら労る様に呟くと、数秒だけ黙祷する様に目をつぶり、終えると立ちあがった。
 遠くで警笛の音がする。それは連鎖する様に警笛の音が伝播していき、全体に警戒が伝えられる。
 そして表情に乏しいまま、
「…さて、外道な災魔共にはお仕置きしてあげなくちゃ。」
 そう、怨念の籠った声が紡がれた。

 使徒がミリアを見つけるのに時間はかからなかった。
 と言うよりも、ミリアに隠れる気などなく堂々と無数の青黒い火を伴い進んでくれば、いやでも目に入るという物だ。
 使徒にとってそれが何かとか誰かなど、考える必要はなく一斉に銃を構え引き金を引いた。
 瞬く発火炎。耳に刺さる連なる銃声。
 けれど、それがもたらす結果はくぐもった気の抜ける音を生み出すだけであった。
 使徒達が銃口をミリアに向けると同時に、ミリアの前方に炎が集まり、炎に放たれた銃弾が触れるたびに炸裂しその威力を殺し防いでいた。
 真正面から防ぐ。攻撃が意味をなさない。その間もミリアの足は前へと進む。
 その光景に使徒の一人が指示を求めるかのように、視線をミリアから逸らす。
「ねぇ…聞こえるでしょ? 亡者があなた達を求める声が。」
 『死者の足音』から気を逸らすなど、階段から足を踏み外すようなものだ。
「ぃっ!」
 ミリアの声に使徒が意識をそちらへ戻そうとした時、銃が異様な熱を持ち取り落としてしまった。
 手が熱を持ち赤い。使徒が落とした銃に目をやれば、青黒い炎が銃を取り巻いていた。
「――ッ!」
 他の使徒が何か声を上げた気がしたが、その声が届く前に炎が巻き上げる怨嗟の様な音がそれをかき消した。
「一人。」
 指さしていた手を下ろしながらミリアが呟く。
 増援が来るかもしれないが、今ここには使徒はあと二人。
 銃は、無限に撃てるわけではない。撃っていれば弾が切れる。弾倉を変えるにしても隙が出来る。二人では、カバーしきれるとは思えない。
 逃げる? 走れば狙いなど付けられない。当たらないと分かれば全ての炎を向けてくるだろう。狙いが付けられる速度では、途中で弾が切れて…。
「黒き風よ……。貴女も「うっさいわね…お前達みたいな下衆の声なんて虫唾が走って不快なだけなのよ。」
 使徒が言葉を投げるのを、ミリアが圧し潰す様に言葉で制する。
 その表情は相変わらず感情が伺えないが、その言葉は攻撃的なまでの拒絶で満ちていた。
「布教するなら便所の蝿相手にでも布教活動してれば?」
 言いくるめなど、初めから対話の扉を閉めている相手には効く以前の問題なのだ。
 死者の足音はもうすぐ近く。
 そしてカチン、と。死を告げる音が、弾薬が切れた音がなる。
 ミリアがゆっくりと手を上げ、その指で死を告げる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナターシャ・フォーサイス
信仰を蓑に好き放題ですか。
楽園の使徒としては、これほど見過ごすことのできない状況もそうないでしょう。
であるならば、使徒として真なる救済を齎しましょう。

天使達を呼び、【焼却】【範囲攻撃】の聖なる光で、畑を焼き尽くします。
炎と煙に巻かれるのは道理…ですが。
我らが光翼が、それを浄化し無に帰すでしょう。

そうして残るのは…貴女は使徒ですか。
教義も救いもない、ならば語る言葉も持たず。
…そも、何を言われようと私の信ずるものは変わらぬのですけどね。

奴隷の方々に流れ弾が当たらぬよう、天使達を盾とします。
【高速詠唱】【全力魔法】【範囲攻撃】【2回攻撃】の聖なる光を以て、貴女もまた楽園へと導きましょう。



「信仰を蓑に好き放題ですか。」
 ナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)は、オブリビオン教団が作り出す光景を見て、そう解釈した。
「楽園の使徒としては、これほど見過ごすことのできない状況もそうないでしょう。
であるならば、使徒として、真なる救済を齎しましょう。」
 フォーサイスはその顔に変わらない柔和な微笑みを湛え、自身の信仰を示す。

 光芒が幾筋も伸びる。そしてその光に添うようにして緑が火に変わってゆく。
 そしてそれは時間もかからずに黒に、灰に変わり宙に煙を舞わすのみとなる。
「ここに来ましたか。状況は…他の場所も似た様なものなのでしょうね。ですが、ここから脱け出す為に周囲の者を集めていたと言うのに、違わず出会うとは……それが猟兵なのですか。」
 二十数程度の集まっていた使徒の内の一人が、煙を嫌ってか白い服を口元まで引き上げながらファーサイスの出現に呟く。
 その顔に畑を燃やされた怒りなどは無く、どこか諦念めいたものがあった。
「…貴女は使徒ですか。」
 対するフォーサイス。気負う事もなく、悠然としたままに、背に光り輝く天使達を伴い歩を進める。
 天使のその数は、兵団と言いたくなるほどの、数える気にもならない規模であり使徒の数とは比べるまでもなかった。
 なにより、その周囲に焼けた煙が寄り付かない。と言うよりも、近づいた煙が消えている?
 その天使の半分ほどを畑へ散らし、奴隷を見つけ運び出す様に示しながらフォーサイトが口を開く。
「教義も救いもない、ならば語る言葉も持たず。」
「ない? 教義も、救いも。黒き風は行き過ぎたこの世界を振出しに戻す装置。過去を清算し、0に戻す。そうすれば、きっと、未来しかなくなるわ。こんなになってから何十年………何年?何日? ああ、もう…救いがないなんて言わないで。」
 ふむ、とフォーサイトは首を傾げた。特に反論も聞く気はなかった、戦いの端を発する為の言葉であったのだが思ったよりも反応があった。とはいえ…
「…そも、何を言われようと私の信ずるものは変わらぬのですけどね。」
 そう、変わりはしない。その信仰も、在り方も。
「はは、狂信者が。」
 その使徒の言葉が聞こえていないのか、それとも聞こえていて気にしていないのか反応を示す事無く、杖を頭上へと掲げる。
「皆が楽園へ至れるよう、道示すことも我らが責。聖なる光を以て、貴女もまた楽園へと導きましょう。」
 杖に光が集まり、輝きが増す。
「…我らは黒い風に帰るしかないから。ああ、けれど、同類の信仰に幸があらんことを。」
 そして、杖からまばゆい白い光が放たれ、視界を埋め尽くす。
 数秒それが続き、収まる時には痕跡さえ残す事無く使徒たちは消えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

地鉛・要
・アドリブ連携可

心情:麻薬とかまためんどくさいモノ栽培してんな……
まあ、その苦労も今日で全部無に帰すわけだけど

行動:虫対策の囲いか何かしらがあった場合*戦争機構から取り合えずロケランを取り出して一発撃って、離れた場所でUCで「薬物耐性の付いた飢えた大型の雑食蟲の群れ」を召喚。指定対象は「人間以外」の建物、オブリビオン、麻薬の全て。
極めて発見され難いらしいけど、何処まで被害が出たら気が付くか。

まあ、言葉の通じない虫に説得も信仰も通じはしないと思うけど、高速で動き回る虫相手に弾幕張って1マガジンで銃と体が無くなる前に10匹倒せると良いね。


天都狐・華夜
主戦場から600m程離れた戦域を見渡せる小高い丘にスナイパーネスト(狙撃ポジション)を設置、隠蔽を施し潜みます。
狙う場所は、戦闘に関わる全ての場所。
慈悲はない。
慈悲と言える行為は、速やかに彼・彼女たちを安寧の闇に返す事なのだから。
銃を抱き、ユーベルコードの詠唱を静かに唱える。



 白の城塞から離れた場所、凡そ600mほどであろうか。
 その距離の、ちょうどよく緑の畑を一望できる未だ崩れていない建物の屋根の上。
 その場所で地鉛・要(夢幻の果てにして底・f02609)はどこかから椅子とか持ってきて座りながら、悠々と珈琲とか飲んでいた。
「麻薬とかまためんどくさいモノ栽培してんな……。」
 手軽な救いを欲しがる人が居るのなら、麻薬と宗教を合わせればあら不思議と言いたくなるほど簡単に人は集まる。楽よりも苦が多いであろうこの世界なら、なおさらであろう。薬の一時の平穏は、信仰に至る。
「まあ、その苦労も今日で全部無に帰すわけだけど。」
 物も信者も教祖も全て。この世界に珍しい緑多い光景だけれど、オブリビオンが作った緑なのだから茶色い景色が正常だ。
 地鉛が横に声をかける。

「観測は問題ないか?」
「風向き気温、その他もろもろ問題ないです。」
 同じ屋根の上にもう一人、天都狐・華夜(ロジックエラー・f01491)が屋根に伏せバイポットを立てたスナイパーライフルを構え、そこに居た。
「なら、始めるか。適当に燻り出したりが俺。」
「駆除が私。」
 地鉛が一つ、靴の踵で地面を鳴らす。
 日が傾いたわけでもないのに、地鉛の影が白の城塞の方向へと伸びる。
 そして、ざらりざらりと何かが湧き出し向かってゆく。

「なにか居ませんあそこー。」
「居る気がしますねぇ。」
 使徒二人が不自然に揺れる遠くの植物を見ながら話していた。
「見えますかー?」
「見えませんねぇ。」
「撃ってみますかー?」
「撃ってみますかぁ。」
 一人が銃を構え、一射。数発の弾が飛び、草を揺らす。
「……どうですかー?」
「分かりませんねぇ。居る気はするんですけどぉ。」
 二人は首を傾げながらぼーっと不自然に揺れる様子を見つめる。
「揺れると言うかー、減ってませんかー?」
「あー、確かに減ってる気がしますねぇ。…何してるんですかぁ?」
「おくすりおいしー。」
 そんな事を言っている間にも、彼女たちが言う通り畑の外縁から緑は消えていき土が剥き出しになって行っていた。
「これってぇ…。」
 切迫感が生まれない物の、おかしいとは感じる。
 下がろうと踵を返そうとした瞬間、視界が空を仰いだ。
「え……。」
 後に遅れて銃声が耳に届いた。
(狙撃…。)
 ようやっとそれが襲撃されていたのだと自覚できた。けれど、そう思った時には意識が黒く染まってしまっていた。

「地鉛さんの蟲、弾かれるんですね。そのまま物量で押し潰してますけど。」
 ライフルのスコープを除きながら天都狐が呟く。
「ふん? つまりあの白い服の効果は召喚であるなら召喚者じゃなく、『攻撃をする』召喚物に反応する訳か。」
 珈琲に口を付けながら目を細めて見やるも遠い。
「そうみたいですね。」
 そんな会話の最中にも天都狐は引き金を引いていく。その度に一人一人と使徒は確実に倒れていく。
 スコープの中に蟲に襲われる光景が入る。
 一匹が白い服に弾かれるも、後続が弾かれた蟲を押しやり無理やり押し倒し次々にその上に乗っていく。
 それだけであれば、白服の弾く力があり潰される事はない。
 しかし白い服に近い物は、その白服の力と上に乗る蟲の重みに耐えきれずに押し潰される。潰れたそれは『攻撃者』ではなくただの物となり、弾かれずに落ちる。
 それが続き、蟲の死骸により弾く力が作動せずに、圧し掛かる全ての蟲の重みを直に受けてしまい圧し潰される。
「見ていて気持ちのいいものでは無いですね。」
 狙いを逸らせば虫を認識したのか銃を乱射しながら逃げる使徒の姿。
「高速で動き回る虫相手に弾幕張って、1マガジンで銃と体が無くなる前に10匹倒せると良いね。」
 天都狐の横で寛ぎながら地鉛が口にする。
 見えているのか…?
 撃つ。撃つ。撃つ。
 そうしていると使徒の姿が見えなくなる。
 蟲も探しているが新たには見つからないらしく方々を駆けまわっている。
 一仕事の終わり。天都狐は立ち上がり体を伸ばす。
「踊らぬ舞を踊りましょう。あなたの死を以って幕は上がる。」
 狂人教祖…。


「あ、終わったのか。」
 やっぱり見えていないのか?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジミー・モーヴ
殴りやすそう~って死体蹴りかます性根が気に入った!(何

戦闘
「よ、ちょっと邪魔するぜ」
放置死体被って紛れて転がっとく
巡回が来たら伏射狙撃
なるべく頭部を一撃で

「うんうん、そうだな。そうかもな」<神の意志
宗教、酒、ドラッグ、縋りたかったなら何でもいいけどよ
寄る辺を求めたにしても
よりによって変なおっさん組織に嵌っちまうたぁ、運がなかったな


銃やら装備品、白い服も剥ぎ取って頂いとくか(絵面

「ちょっといいか」
奴隷に麻薬の集積所等確認
畑、死体含め燃やす
おっさん教よりゃマシだろ、骸の海に持ってっとけ

奴隷にゃ情報料として分捕り品(服や銃)と水・食料提供
「あー、これから中でドンパチ始まるから…精々逃げ隠れしてろ」



「ははっ、そうだよなこの世界ってのはこういうもんだ。俺みたいな映画であっけなく死んじまう脇役が五万と転がってる。だろ?」
 そう潜めた声でジミー・モーヴ(人間の脇役の泥棒・f34571)が同意を求めたのは傍に転がる茶色に変色し始めた死体であった。
 今、ジミーは畑に無数に転がる死体の下に紛れ転がっていた。
 無論服や見えている肌などは汚し、死体の下に隠れる様にしながら巡回する使徒を待っている……間に暇になって死体に話しかけているのだった。
「あのおっさんってどうなのさ。知ってるか? あのクラリストだかラリラリストだかって言うおっさん。教祖だか何だか知らないが縋る相手としてどうなんだって思っちまうよ。俺は……。」
 ジミーが言葉を止め息を潜める。足音がする。
 来た。三人で会話しながら歩いている。ここに居るのは基本的に奴隷だから、異常がない限り警戒なんてしていない。
 BANG.
 伏せたまま、死体の下に隠していたアサルトライフルを使徒へと向け引き金を引く。なに、警戒すらしていない相手の頭を弾くなんて、射撃訓練みたいなものだ。
 頭から赤い花を噴出させながら倒れてゆく使徒を見送る事無く、次の目標に狙いを定める。目が合った。
(お、早い。良い訓練受けてるなー。)
「神の意志に背くっ…!」
「うんうん、そうだな。そうかもな。」
 使徒が何か叫んでいたが、適当な相槌を返しながらまた引き金を引けばそれも収まった。
「ホント…宗教、酒、ドラッグ、縋りたかったなら何でもいいけどよ。」
 ああ、どれもいい夢を見せてくれるだろうさ。現実見るとひでぇだろうが。
「だけどよぉ、寄る辺を求めたにしても、よりによってあんな変なおっさん組織に嵌っちまうたぁ、運がなかったな。」
 脇役になっちまったんだから。みたび、銃口が瞬く。
「さってと。剥くか。」
 死体中から起き上がると使徒たちの死体に近づき、その装備品を剥いていく。
「銃と…多分この白い服はあのおっさんが消えればなくなるんだろうが、使えるか。」
 ジミーは三丁の銃、三枚の服を手に取ると背を低くしながら畑の中を何かを探す様に歩き始める。
 そして、目的の物を見つけたのか器用に素早く近づくと、その肩に手を回した。
「ちょっといいか?」
 奴隷。ジミーはその肩にまるで長年の友人の様に腕を回し軽い口調で話しかけた。
 一方の奴隷はと言うと、突然の事に口から心臓が飛び出しそうな程に驚いたのか、目を白黒させながらも声は抑えていた。
「でさー、この草集めてる場所ってどこ? もしかして白い城塞の中とか? だったらまぁ道中だからいっかって感じなんだけど。」
 そう奴隷から知ってることを聞き出すと、持っているもの…分捕った服やら銃やらを情報料として渡し、ついでに水と食料もおまけで渡した。
「あー、これから中でドンパチ始まるから…精々逃げ隠れしてろ。ついでにこの畑も燃えるから。」
 そう言い残すとさっさと返事も待たずにジミーはその場を後にした。
 そして、数分も経たないうちにジミーは宣言通りに畑に火を放った。
「ガソリンとか無いし燃えるかと思ったけど、意外とよく燃えるな。はっ、骸の海に持ってっとけ。お楽しみは自由だろうからな。」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『『対物突撃兵』スクラップメーカー』

POW   :    対物剣術「斬撃による解体」
【ヒートブレード】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    ディスマントルアタック
【ヒートブレードを用いた連続攻撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を更地にするまで破壊し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    対人剣術「怒涛の連撃」
自身の【背負っているバッテリーパックのランプ】が輝く間、【ヒートブレード】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 白の城塞。
 その内部は屋敷と言うにはあまりにも広い空間であった。
 戦車ですら悠々と入れるであろう廊下や、天井の高い部屋。
 大型デパートのエントランスであろうかと言うほどの吹き抜け。
 少々…狂人教祖が何所に居るのか探すのが億劫になる広さ。
 猟兵は各々動くのか、合流するのか、どちらにせよその途上でそれと出会った。
 仮面をつけた軍服のオブリビオン。背負ったバッテリーパックが目立つその敵は…『スクラップメーカー』。
 壁や扉を背に立つそれは、通常であればヒートブレードを持っているはずだが、その両の腕に一機ずつ電磁加速式のガトリングガンを備えていた。
「教祖様から…屋敷を汚す許可は出されている。越えて…みせろ。」
 モーターが回転する音が響く。


 近接攻撃を弾く白い服は変わりません。
 オブリビオンのUCのヒートブレードは『電磁加速式ガトリングガン』へ変更されています。
:オブリビオンはツーマンセルで存在します。
また、オブリビオン同士は互いが10m外に出ないように行動します。
ナターシャ・フォーサイス
越えて見せろと仰るなら、そのように。
そも、貴方がたも導かれるべき魂であるなら、使徒としての責も果たすのですけどね。
楽園への道は、今此処に。
遍く総てを、導いて差し上げましょう。

閉鎖空間で飛び道具は、場合によっては危険な代物ですが…
我々の力をもってすれば、どうとでもできること。
【召喚術】で召喚能力を強化し、天使達を呼びましょう。
数には数を。天使達を盾とし、更に【結界術】で結界を張りましょう。
これで跳弾も怖くありませんね。
あとは、そう…
天使達と共に、光を束ねましょう。
【高速詠唱】【多重詠唱】【全力魔法】【範囲攻撃】の光を以て、穢れた白を塗り潰すのです。

どうか貴方がたへも、楽園の加護のありますよう。



「越えて見せろと仰るなら…そのように。」
 スクラップメーカーの挑発なのか挑戦なのか判然とはしない言葉に、ナターシャは笑顔で了承した。
 その柔和な様は挑発でも何でもなく、ただ訊ねられたから当たり前の様に笑顔で答えた…と言う様子であった。
「そも、貴方がたも導かれるべき魂であるなら、使徒としての責も果たすのですけどね。」
 これ自体、彼女にとっては戦闘ではなく、彼女自身の信仰の遵守や教義の遂行と言った方が近いからかもしれない。
 ともかくとして、ナターシャは隠れる事も恐れを見せる事無く、白い道を歩む。
 スクラップメーカーはその言葉に、姿に、何も答える事は無く、火線を開く。
 雨の様に放たれる電磁加速された赤熱した弾丸。それが四門となれば、作られる音は怒涛など越え、濁流の様な途切れの無い音の氾濫であった。
 ナターシャはただ、杖で床を一つ鳴らす。
 ガトリングガンから伸びる四本の線は、ナターシャに届く前に四方へと散った。
 ナターシャの前に盾持つ天使が並び、脅威を弾いていた。
 けれど、その脅威は『鉄屑造り』が持つ兵器。先の銃など比ぶべくも無い。
 盾が揺れ、削れ、押されている。
 とは言え、それは射撃を受けているもののみ。その後ろにも天使は控えているから…。
 スクラップメーカーのバッテリーパックのランプが赤く光る。
 ガトリングガンの回転は加速し、バッテリーパック自体から異音が漏れ始める。
 削り切れぬとリミッターを解除したのだ。
 増大した弾丸の嵐に盾の揺れは増し、そのままでは数秒と経たずに勢いに盾を押し上げられる事だろう。
 けれど、間違いなくスクラップメーカー自身もただでは済んでいない。
 盾持つ天使を全員崩し切れたとして、装置も腕も無事であるとは思えない。
 出来たとしても、相打ち。おそらく、それが覚悟の表れ。
 ナターシャは、微笑みを浮かべ言祝ぐ。
「まだ見ぬ楽園、その一端。我らが同胞を導くため、闇と罪を祓い、救い誘いましょう。」
 真剣に、覚悟を持って、想いを向けてきているのならば、彼らの信仰いかんに関わらずそれを流す様に終わらせるのはいいのだろうか。
 受け止めて見せて、そして光を以て、穢れた白を塗り潰すのだ。
 ナターシャの目前に、花弁の様な光の欠片で形成された光輪現れる。
 それに手を伸ばせば、招かれる様に光輪が近づき、手を包み、身体を包む。
 そして背後へ通り過ぎた時そこには、機械の大天使へ姿を変えたナターシャが立っていた。
 大天使の羽根が青く輝く。
 盾持つ天使の前方にヘキサの結界が生まれ、通り抜ける弾丸の速度が鈍る。
 また、大天使の結界により、天使の持つ盾そのものも強化され青い光を纏う。
 もう、押される事は無い。
「楽園への道は、今此処に。遍く総てを、導いて差し上げましょう。」
 ナターシャが両の掌を重ね合わせる。その中心に光が集まる。
 背後に集う天使達も、祈りを捧げ始める。
「どうか貴方がたへも、楽園の加護のありますよう。」
 祈りと共に手を開けば、純白の光が白を埋め尽くし、そして銃声は消えさった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
(wiz・連携OK)
心情:クソ!最後の最後で強固なディフェンスラインか、だがタッチダウンまで後少しだ!

手段:「ヤベェ、全員隠れろぉ!!?」

先ずは物陰に隠れる事に全力を尽くす!なるべく太い柱や厚い壁の後ろにだ、さもなきゃ壁もろとも胴体に大穴だ。
あんなもんと真っ向から撃ち合うなんて冗談じゃねぇ!

隠れたら紙巻煙草で一服、精神を落ち着かせる、あの弾幕じゃ出た途端に蜂の巣だ、となると少し奇策を試みる。

【スーサイダードローン】を召喚、10隊ずつ編隊を組ませリニアガトリング野郎の正面、左右、頭上、後方と多方向から突入させ特攻を試みる、無駄に広い室内で助かったぜ。

操縦はゴーグル型HMDの映像から行う。


ミリア・ペイン
雑兵が…お前達が束になったところで私は止められないわ
片っ端から地獄に送ってあげる

【WIZ】《黒き怨恨の炎》
足を止めない様に動き回りつつ【オーラ防御】を纏い距離を取るわ
2体同時、又は多数の敵に攻撃出来る様【2回攻撃】で炎を切らさず周囲に展開

【呪詛】を込めた【挑発】で冷静さを奪えば銃の精度も落ちる?

『お前達の武器、本来の得物じゃないわね?付け焼き刃の戦術で私を倒そうだなんて笑わせないで
雑魚は消えなさい

隙を見せた方から【先制攻撃】でバッテリーランプを破壊【部位破壊】
炎を纏め更に【念動力】で死角に配置、本体を四方八方から爆撃よ

この屋敷を汚すのはお前達の血肉よ、教祖に献上できて良かったわね



「ヤベェ、全員隠れろぉ!!?」
 ぞわりと首筋を撫でる様な感覚と共に高鳴り回転音にヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)は叫びながら屋敷を支える太い柱の背後へと飛び込む。
 偶然居合わせたミリア・ペイン(死者の足音・f22149)も、その声に促される様に柱の陰へと走った。
 瞬間、柱に隠れた二人の横を、赤い光の線にすら見える弾丸の雪崩が通り過ぎ、そして柱を穿ち壊す音が振動と共に伝わり始めた。
 四門合わせ、一秒で二百を優に超える弾丸の嵐。
 初めの数瞬で視線の向こうの壁は、見るも無残なえげつない弾痕だらけの壁と化していた。
「クソ! 最後の最後で強固なディフェンスラインか、だがタッチダウンまで後少しだ!」
 下手に顔を出せばその瞬間蜂の巣……いや頭が一欠片残っていたら運がいい方であろう。
 とりあえず落ち着こうとヴィリーが煙草を取り出し火を点けていると、ミリアが声を上げた。
「お前達の武器、本来の得物じゃないわね? 付け焼き刃の戦術で私を倒そうだなんて笑わせないで。雑魚は消えなさい。」
 それは心にひたりと染みる様な、舌に呪詛を乗せた挑発。
 冷静さを少しでも無くすかと投げたそれに、スクラップメーカーは何も答えず、銃口もその振動以上のブレを作る事も無く、その様は機械の様であった。
 が、柱を削る音…微かにあった弾丸が柱を穿つ僅かな隙間が消え去り、完全に連なった音へと変わった。
 おそらく、柱の向こうのスクラップメーカーのバッテリーパックのランプに危険を知らせる光が灯っている事だろう。
 付け焼刃の戦術と言われたから、ならばと詰めに掛かっているのだろうか。
 事実、このままでは隠れている柱もそうかかる事無く崩れ、瓦礫に押しつぶされるか、その前に弾雨に飲まれるか、そのどちらか。このまま何もせずにいれば、だが。
「あんなもんと真っ向から撃ち合うなんて冗談じゃねぇ。」
 ヴィリーが吸っていた煙草の煙を吐き出しながら口を歪める。上へと。
「となると…奇策だよな?」
 ちょうどよくバッテリーパックに無理を言わせ始めたのだ。壊れでもしたらさぞ危ない事だろう。
 ヴィリーがミリアへと合図を送る。何かは伝わらずとも、何か行動を起こす事だけ伝わればいい。
 ゴーグル型HMDを装着し、起動する。
「無駄に広い室内で助かったぜ。ドローン展開、行ってこい!」
 その声と共に大量に侵入してくる小型ドローン。数百はあるそれが全て自爆装置を付けた物であった。
 スクラップメーカーはそれに対処する為に、銃身を細かく動かし弾丸をばらまく。それだけでかなりの数が落ちた……が、壁を背にした室内であったとしてもそれは蝗害にガトリングガンで対処している様なものだ。
 どれだけの連射力があろうと抜けるものが出てくる。そして、
「真上まで抜かれたら、もう対処できないよなあ?」
 1%でも抜けた時点で策は成功している。
 弾雨を通り抜けたドローンが、真上からスクラップメーカーへと急降下し…爆発する。
 数度の爆発音。それと共に爆発の煙に飲まれ銃撃が途切れる。
 だが、煙の中で赤い双眸が揺れる。
 バッテリーパックが異常を来しているのか小さな破裂音や電気が弾ける音がするが、それでもガトリングガンを構える音が聞こえた。
「雑兵が…お前達が束になったところで片っ端から地獄に送ってあげる。」
 ドローンは致命的な傷とはならなかったが、致命的な間隙を作った。
 ミリアが黒き怨恨の炎を二つの巨大な炎にまで纏め上げ、放つのには十全な時間であった。
 炎がスクラップメーカーを飲み込み、その身を爆炎に包む。
「――———————っ!!」
 仮面越しのくぐもった悲鳴が響く。
 共にバッテリーパックも悲鳴を出す様に破裂音が大きくなり、そして大きな爆発音が響いた。
 二人が柱から顔を覗かせると、そこには焦げた跡と爆発痕。
「この屋敷を汚すのはお前達の血肉よ、教祖に献上できて良かったわね。」
 おそらく、そこらにスクラップと共に散っている者に向けてミリアは吐き捨てる様に、文字通り言葉を捨てた。
 ヴィリーはと言うと、戦闘中自分の背後がどうなっていたのかを確認して、ただ溜息をついた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

地鉛・要
アドリブ連携可

心情:ガトリング持ちが室内で戦うとかまた面倒だが……まあいいや。新調した武器の試運転を試すか。
今度は弾かれない様に服の外から皮膚の下へ……

行動:UCは条件が攻撃ヒットなので常時発動させた状態にして離れた位置で隠れて鎮圧用サイコビットを複数発進させ、障害物の影に隠しながら乱射
威力は気にせず掠るだけで十分HIT数が増えれば増えるだけUCの効果が増すからな。HIT数が足りなければ影業を針の様に伸ばして当てよう。そこ其処からさらに増えるしな

寄生虫で動けなくなったところをトドメを刺すか、刺さないかはお任せ
殺して欲しいなら殺してやるのが救いかな?



「ガトリング持ちが室内で戦うとかまた面倒だが……まあいいや。新調した武器の試運転でもするか。」
 地鉛・要(夢幻の果てにして底・f02609)が気配を感じ、微かに覗き込んだ部屋の中には何とも物々しい門番が立っていた。
 覗いた扉の向こう、20mほど先の反対の扉の両隣に両の腕にガトリングガンを保持した兵士が二人、物言わず静かに立っていた。
 数は少なくとも、閉所でガトリングガンの制圧力を遺憾なく発揮されれば面倒でしかない。
 だからまぁ、面と向かい戦う事は早々に考えから外した。
 件の新調した武器、鎮圧用サイコビットを取り出し、幾つか発進させ扉の陰から出ない様に配置させる。
 そして地鉛は壁から離れると…サイコビットからエネルギーバウンド弾を部屋の中へ乱射した。
 スクラップメーカーは襲撃へ即応し、扉の周辺へと向けガトリングガンを斉射し始める。壁に十分な厚みがあるだろうに、弾丸は貫通し綺麗な穴が次々に開いていく。
 そんな中でも、偶然弾丸が当たり撃墜されるまでサイコビットは部屋の中へと乱射し続け、幾つかのエネルギー弾が命中していた。
 ところで、地鉛自身それで倒せるとは思っていない。
 先の戦いで蟲が弾かれていた事を確認したので、その対処法は考え付いていた
 簡単だ。
「今度は弾かれない様に服の外から皮膚の下へ……。」
 外に出して弾かれるなら、中に召喚すればいい。
 とは言え直接無条件に召喚は出来ない。
 掠り傷であれ、傷をつける事。
 条件は整っていた。
 じわり、とスクラップメーカーの口元が湿る。全身が暗色で統一された装備である為分かりにくいが、身体の各所から出血が発生していた。
 肌の露出が皆無な為確認できないが、おそらく肌が見えていれば…その皮下で何かが蠢いている様子が至る箇所に存在するのが見て取れただろう。
 スクラップメーカーは……足を前に出した。
 バックパックのランプが点灯し連射力が増大する。
 敵は見えないが、倒れる前に発見して排除する。その忠節でもって行動する。
 ただ、まぁ、既に至る所を食い破られ歩いた跡に二本の血の跡を付けている状態で、部屋が広すぎるのが悪い。
 扉…と言うには既にその残骸は無く、貫通痕で巨大な穴が開いたそこまで辿り着く事無く地面に這いつくばる事になった。
 一人が倒れれば、二人目もすぐであった。
 ガトリングガンは停止し、血は流れるばかり。皮下を蠢く感覚は終わる事は無く、また新しくどこかが食い破られた。
「トドメを刺すか、刺さないか…。」
 地鉛が覗いてみれば、既にまともに狙いを付けられる状態ではないように見えたが、万が一もあるだろうし完全に死ぬまで放置するのも考えた。
 とは言え、
「殺して欲しいなら殺してやるのが救いかな?」
 どうせそれを口にしないだろうが、今なら避ける事も容易だろう。
 大回りしてよればより安全だ。
 なにより………待つのは面倒だ。
 そう思考に決着をつけると、地鉛は行動に移すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『狂人教祖『クライスト・ヴォーテックス』』

POW   :    この俺が「聖書(バイブル)」だ
【クライスト・マシンガンの連射】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    ロンギヌスが槍だと、誰が決めた?
【痛みを感じないかの如き狂信的突撃】で敵の間合いに踏み込み、【ハンマーを利用したアクロバット】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    知ってたか? テキーラはこう使うんだ
レベル×1個の【テキーラと火薬を混ぜた純白】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ああ……来たか。当然だ。貴様等ならここまで来るだろうさ。」
 恐らく、最奥。その白一色の大広間にクライスト・ヴォ―テックスは居た。
 窓も無く、装飾も無い、必要最低限の無機質な部屋。
 そこで銀の巨槌を手に、貴方達を待っていた。
「既に失陥しているとしても、やってみせよう。フィールド・オブ・ナインよ。
 クライスト・ヴォ―テックスはこの試練に挑もう。」


白い大広間:広いです
特に身を隠すのに十分な耐久性を持つ物はありません。

白い服は変わらず
ヴィリー・フランツ
SPD 連携OK
心情:手こずらせやがって、だが終わりだよ。
お前の大麻畑も、お前の王国も全てな、後は罪を告白し贖罪するだけだ。

手段:「アディオス、エスタファドル!(訳:アバヨ、詐欺師野郎!)」
基本は小銃での射撃、奴も機関銃程度は持ってるみたいだし、問題は銃撃戦をするには遮蔽物が無い事だな、幸いここも広いから足を止めず動き回りながら狙いを散らすしかねぇな。
●相手UC対策:痛みを感じねぇって…マリファナ吸って痛覚が死んだか?
なら45口径軍用自動拳銃の出番だ、10mのデッドラインを越える前に【抜き打ち】で足を止めてやる!
肉体へのダメージはなくても衝撃だけは防げないのは外の尼さんで実証済みだ。



「手こずらせやがって、だが終わりだよ。お前の大麻畑も、お前の王国も全てな、後は罪を告白し贖罪するだけだ。」
 焦る様子も、驚いた様子もなく、こちらに射る様な視線を向けるクライスト・ヴォ―テックスへ向けヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)が言い捨てる。
「笑わせるな、猟兵。終わりを決めるのは俺であり、俺がいる限りクライスト・シティはここにある。そして、俺に告白する罪などない。」
 言うや否や、狂人教祖はハンマーを短く持ちフェイントや小細工などなく真っ直ぐにヴィリーへ向けて突っ込む。
 狂人教祖も今までの敵同様、白い服を纏っている。10m内にまで詰め寄られてしまえば圧倒的に不利。
 とはいえ、取れる対策は単純なものだ。
(幸いここも広いから、足を止めず動き回る。そんで撃ち続ける。)
 ブルパック式小銃を構え背後に移動しながら引き金を引き絞る。
 少なくとも近づけば有利とは言え、近づくまでに銃弾で撃たれれば嫌がり少しは回避行動をとる……と思っていた。
 狂人教祖は片腕で頭部だけを守り、怯む事無く銃弾が連続で体に突き刺さる中、ヴィリーへ真っ直ぐに突撃してきた。
「痛みを感じねぇって…マリファナ吸って痛覚が死んだか!?」
 その行動と、腕の向こうに垣間見える被弾していると言うのに揺らがない瞳に、ヴィリーは苦笑いが漏れる。
 後退では距離を作り続けるのは難しいと判断し、ヴィリーは狙いよりも動く速度を優先し駆け始める。
 しかし、大広間が広いとは言え、室内であり壁がある。
 相手が銃撃で怯んだり、牽制出来るのならば話は別だが真っ直ぐ突っ込んでくるとなれば10m内に入る事無く逃げ続ける事は難しい。
 真っ直ぐ狂人教祖へ飛んだ弾丸が、弾かれた。
 その瞬間、狂人教祖は足を撓め、力を溜め、一足で距離を詰める。
「さっきマリファナで痛覚は死んだかと言っていたな? 否だ。あんな物俺は使った事などない。必要もないからな。俺のこれは信仰だ。」
 その言葉と共にハンマーが突き出される。頭の部分ではなく、その逆。短く持ったが故に長さがある石突が、片手で槍の様に突き出される。
 ヴィリーが首を横に振った瞬間、元あった空間を風切り音と共に石突が突き刺す。
 息を休める暇もなく、ハンマーの柄が上へと回る。
 柄が上に行くと言う事はつまり、ハンマーの頭が下から上へと振り上げられる。
「くっ…!」
 連撃を避ける…も、ハンマーが小銃にかすり弾き飛ばされる。
 しかし狂人教祖の動きはそこで止まらない。
 ハンマーを上へ振り上げた勢いのまま手を滑らせ、今度は柄を長く持ち替える。
 短く持った怯ませる為の一撃ではなく、威力を込めた致命の為の一撃。
「おぉっっ!!」
 決死で、体ごと投げ出し全力でヴィリーは跳んだ。
 背後で響く轟音に冷たい汗が伝うものの、すぐに体勢立て直し距離を作り身構える。
 狂人教祖は、流石にすぐに追撃には移れなかったのか、ハンマーを引き上げていた。
 小銃は…取りに迎える場所にない。
 狂人教祖が再び突っ込んでくる。
(小銃を無くした今、見えるのは拳銃のみ。近づくのは容易……)
(…みたいなこと考えてるんだろうな。)
 ヴィリーは動かない。狂人教祖があと一歩で10mに入る刹那、ハンマーの衝撃とは違う轟音が響く。狂人教祖が仰け反り、たたらを踏む。
「アディオス、エスタファドル!(アバヨ、詐欺師野郎!)」
 その轟音は銃声に似ていたが、それにしては大きかった。
 そして、ヴィリーの手には拳銃。ただし、45口径もの。
 狂人教祖が踏み込む刹那で、抜き打ちしたのだ。
「おい、痛みを感じないのはお前の信仰だと言ったな? それが止められた気分はどうだ?」
 赤く染まる肩を手で押さえる狂人教祖を尻目に、ヴィリーは小銃の下まで移動しそれを拾い上げる。
「折角だからもう一度言ってやるよ。手こずらせやがって、だが終わりだよ…全てな。」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナターシャ・フォーサイス
貴方が教祖ですか。
偽りの信仰を掲げる偽りの聖者。
…なれば、使徒としてすべきことはひとつ。
真なる信仰、真なる楽園をお見せしましょう。

【結界術】【オーラ防御】で守護結界を張り、【召喚術】で天使を呼びましょう。
貴方のその力は、天使の加護が封じるでしょう。

これより此処は、まだ見ぬ楽園が一端。
貴方もまた、我らが楽園へ至る時が来たのです。
この鎌も、天使達も、全て総て、貴方のためのもの。
仇成すのなら、守護結界で防ぎましょう。
そうして、天使達と共に紡ぐ【高速詠唱】【多重詠唱】【全力魔法】【浄化】の聖なる光を束ね、楽園への標としましょう。
どうか貴方にも、楽園の加護のあらんことを。



「貴方が教祖ですか。偽りの信仰を掲げる偽りの聖者。」
 それは狂人教祖にとって、不遜と言える言葉。
「偽りだと…?」
 痛みを無視し、肩がどれほど動くか確かめながらその言葉を投げかけたナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)を狂人教祖が見やる。
「…なれば、使徒としてすべきことはひとつ。真なる信仰、真なる楽園をお見せしましょう。」
 ナターシャの戦う者の顔でもなく、かといって別段説得しようとしている訳でもない様子に、狂人教祖は頭を掻きながらも、もう片方の手で地面にスキットルからテキーラをぶちまける。
「あー、なんだ小娘。お遊戯なら隅っこでやってろって言うところだが、猟兵だからな。死んでオブリビオンストームの一端になれ。この世界がオブリビオンストームに飲まれた先に楽園があるのだから。」
 狂人教祖が足を振り上げ、床に撒かれたテキーラに叩きつけられる。
 硬質な音が響き、火花が散ると共に拡がるテキーラを舐める様に白い炎が地面に拡がる。……しかし。
「あ?」
 本来であれば、狂人教祖はその白い炎を自在に操る事が出来るはずだが、当たり前の化学現象以上の事が何も起こらない。
「これより此処は、まだ見ぬ楽園が一端。貴方のその力は、天使の加護が封じました。」
 不審に炎を見下ろす狂人教祖の顔に、ナターシャの言葉と共になにか不愉快さを感じる肌をちりちりと焦がす様な光が差す。
 狂人教祖が顔を上げれば、ナターシャの背後から光が差し、その周囲に光り輝く天使が空間から生まれ出でていた。
 大広間自体が白一色と言うのも手伝い、広間全体が光を放っているかのように光が満ちる。その光景だけを切り出し、ナターシャと狂人教祖でどちらがこの広間の主なのかと問われれば、果たしてどれほどの人が本来の主を指さすだろうか。
「貴方もまた、我らが楽園へ至る時が来たのです。この鎌も、天使達も、全て総て、貴方のためのもの。仇成すのなら祓いましょう、歩むのならば導きましょう。」
 ナターシャが微笑み、狂人教祖へ手を差し出す。
「……。」
 狂人教祖は答えない。しかし近づく。
「……。」
 ナターシャは表情を変える事無く、待つ。狂人教祖が近づく。
「…。」
 そして、狂人教祖が足を止めた。それは、およそ10m。白い服の加護、それが効果を発揮するギリギリの距離。不愉快な、肌を焦がす様な感覚が消えていた。
「はっ。」
 狂人教祖の口から空気が漏れる様に声が漏れ、そして次第に大きくなりそれは哄笑と化した。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハ!! ああそうか小娘そうか貴様は本物か!
訂正しよう撤回しようそうか貴様はお遊戯などではないのだなああまったく本物か!
思い込み思い上がりにして独善! 盲目蒙昧にしてその啓蒙は暗迷となる!
自分お眼鏡に叶わない物は全て排斥か! この光の様に! 偽りだと銘打って! 自身を真なると役付けて! そうか貴様は異端の狂信か!!」
 そう言い終わるや否や、狂人教祖はハンマーを振り回し勢いをつけ、叩きつけた。
 が…それはナターシャに、天使に届く前に結界に阻まれるも、結界は大きく軋む音と罅割れる音を響かせた。
「仇成すのなら、守護結界が私達を守ります。」
 ナターシャは微笑みを浮かべたまま、変わらぬ調子でそれだけを答えた。
 狂人教祖の言葉に何を思ったのか、それとも何も思わなかったのか、伺い知れはしない。
 狂人教祖はハンマーを下ろしながらも、未だ可笑しいのかくつくつと笑いながら自ら距離を離していく。
「そうかそうかなるほどこれもフィールド・オブ・ナインの試練と言うわけか。俺の信仰を試しているのだな。それとも俺自身を顧みろと言う訳か? この時この瞬間にこんな出会いを作るのはあまりにも出来過ぎではないか! ああ、そうだ。間違いなくこれは授けられた試練なのだ。」
 ぶつぶつと言葉を羅列しながら歩み、ぴたりと止まるとナターシャへ振り替える。
「やってみろ、異端の狂信者。貴様の信仰を見せてみろ。それが俺の試練となる。」
 白い服の加護が発動しないその距離で、クライスト・ヴォ―テックスは両手を広げ挑発する。
「俺の楽園はオブリビオンストームの先にある、貴様の楽園に導けると言うのならやって見せるがいい。」
 ナターシャはその挑発に乗ったのか、それとも導けと言われたから導く為にそうするだけなのか、鎌を捧げ持つ。
「聖なる光を束ね、楽園への標としましょう。」
 その言葉と共に、天使達も翼を広げ、一斉に祈りを捧げ始める。
 鎌に光が集い、楽園の光が輝きを増す。
「どうか貴方にも、楽園の加護のあらんことを。」
 大広間の白い床よりも、壁よりもなお白く、漂白された純白の光が視界を埋め尽くす。狂人教祖はそれを全身で受け…輝きに飲まれる中、大笑を響かせた。
 輝きが収まるとそこには床に膝をつき、肩で息をする狂人教祖の姿があった。
「くっ…は……はははは。そうだ、試練とはこうでなければ。こうでなければ…。俺の信仰を視ろ、フィールド・オブ・ナインよ。」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジミー・モーヴ
「ナカシマ? ナカシマじゃないか! 久しぶり! 俺だ! 俺だよおれおれ!」

野球やろうぜ!
っと遠目から【手榴弾各種】からスタングレネードやら破片手榴弾やら適当にぶん投げ。
……うんうん、大して効かないだろうが。

とりあえず
「やったか!?」
と、フラグをコツコツ積み上げてUC【疫病神のいざない】の不幸を稼いでいこうかと。

「おいばかやめろっ。俺をだれだと思ってる!? おれみたいな聖人君子にそんな……」
「か、金ならやる! 命だけは助けてくれぇ!」
ニヤニヤ笑いながら煽る。こっちの被弾は……気にしてはいけない!

近接距離はスラッグ弾と通常の(チョーク絞れない)ショットガン弾頭ランダムで吹き飛ばし(できたっけ?)時間稼ぎと間合い取り。
あとはもし即席のIED(時限式)が作れたら手榴弾に紛れてばらまいとけば、いつかドカンと爆発してくれるだろう。いつかは知らんけど。

「お前さんからすりゃ理不尽なちゃぶ台返し食らったようなもんだろうが、まぁ諦めるこったな。精々、あっちでお前さんに付いてきちまった奴らの面倒でも見とけ」


地鉛・要
・アドリブ連携可
心情:やーっと見つけた。露店で変なアクセサリーを売ってそうな感じのファッション野郎ー
まあ、終わった身でありながらそれでも諦めない気概は買うけど……悪いが俺はまともに戦ってやれるほど器用じゃないのよな。まことに残念ながら
いやほんと、使えるUCで遠距離向きで派手なのが無くてな……だからきっちり人間みたいに殺してやる

行動:即UCを発動。付与する属性は足が取られやすいようにドジっ子と……あとはまあなんか適当に
影業で立体的に動いて10m以上を取る動きをしながら戦争機構から取り出した銃火器でひたすら引き打ち&爆撃



「やーっと見つけた。露店で変なアクセサリーを売ってそうな感じのファッション野郎ー。」
「ナカシマ? ナカシマじゃないか! 久しぶり! 俺だ! 俺だよおれおれ!」
 大広間に響いたのは先の二人とは違った、なんとも…言ってしまえば気の抜けた様な物だった。
 一方は街中で親しくもない探し人を見つけた様な、もう一方は騙す気が毛ほども無い詐欺師が小馬鹿にするようなテンションであった。
 特にその顔になんの感慨も感情も浮かべていない地鉛・要(夢幻の果てにして底・f02609)と一目見ていけ好かないと思えるようなニヤつきを浮かべるジミー・モーヴ(人間の脇役の泥棒・f34571)。
 偶然であるのかどうなのか二人とも服装を含め『黒』の印象が強く、この白い大広間とは対照的であり、濃い存在感を作り出していた。
 まるで白に一滴垂らされた黒い水の様に…。
「なんだ貴様ら…。狂信者の次は矜持も何も無さそうな奴らか。」
 戦士の様な隠れた気迫も、狂信者の様な愚直であれ見える信念も感じられない。
 だが、敵なのだろう。一方はこの場でなければそこらの奴隷同様見もしなかったであろうが、猟兵なのだから。両者の不真面目さが逆に警戒を強めさせる。
 クライストは警戒し見極める様にしながら距離を詰める。
「まあ……。」
 地鉛が何か言いかけた瞬間に、ジミーが勢いよく何かを狂人教祖に投げつけた。
「野球しようぜ!」
 その言葉だからと言うには名前に濁点が無かったような気もするが、それはきっとエチケット。それよりも何よりも投げた物が問題であった。
 投げつけたそれの数は一つどころではなく、パイナップル、スタグレ、テルミット……いわば各種手榴弾の盛り合わせで、どう考えてもゲーム開始のサイレンではなく開戦の狼煙が派手に煌びやかに騒々しく大広間に反響した。
 ジミーが網膜を焼く閃光を防ぐ為の腕を下ろした時、狂人教祖が立っていた場所は粉塵と床を舐める炎の煙が立ち込めその姿を隠していた。
 未だ耳の中で音が反響する中で、ジミーが拳を握り叫ぶ!
「やったか!?」
 ………。はい、答えは一秒前。イチ、ゼロ。
「笑わせるではないか…。」
 狂人教祖が煙を突き破り、炎を踏みにじりジミーへと真っ直ぐに突き進んでくる。
 その姿は焼けたのかただの汚れか、黒く薄汚くはなったがその目に陰りは窺えない。
「ちょっ、俺に一直線かよ! 俺よりもあっちの方が強そうだから…っておい!」
 ジミーが途中で偶々偶然並んで来ることになった人物を見れば、いつの間にか近くにはおらず、離れた壁際に立っていた。
 もちろん地鉛の事ではあるが、手榴弾を投げまくってるあたりから実は距離を離していた。スタングレネードとか近距離で使うものじゃないからね。
「弱い物から間引く。それもまた戦いの定石だろう。」
 狂人教祖はジミーの言葉に躊躇う様子など当たり前の様になく、そのハンマーを初めから殺す気で振り下ろす。
「おいばかやめろっ。俺をだれだと思ってる!? おれみたいな聖人君子にそんな……。」
「俺が聖人だ。」
 ジミーの言葉など聞かず繰り出され続ける蹴り、張り手、石突の突き、スイング、など攻撃の乱打。
「待て待て待てすまなかった待ってくれ待ってくれって! 家の冷蔵庫の中に好物がとってあるんだよ! 無事に帰れたら食べようって! あんたもわかるだろ? 謝るよ許してくれよ!」
 避ける。避ける。時に紙一重に、時に大袈裟に。
 必死な言葉だけの命乞いを並べたてながら、凡そ一撃喰らえばそれでゲームセットまで一直線に連れていかれそうな猛撃を、風圧だけで肌に裂傷が生まれる中避け続ける。
 『だけ』。言葉だけ。そう、言葉だけは必至な様子だ。
 避けながら逃げている間もジミーはショットガンをやたらと撃ちまくり、手榴弾をばらまき、間違いなく何か策がある様にその衝撃を利用し時間稼ぎをしている。
 そしてその顔には必死さなど微塵もなくニヤニヤ笑い、上がり調子の口調はあまりにも挑発が含まれていて、内容も相まって抑える気の無い含み笑いが勘違いのしようも無く煽っているのだと示していた。
「か、金ならやる! 命だけは助けてくれぇ!」
「貴様っ…!」
 狂人教祖がハンマーを横に薙ぎ払った時………勢い余ってかハンマーが手からすっぽ抜けた。
 ハンマーは勢いのまま弧を描いて飛んでゆく。
 狂人教祖は一瞬、呆気にとられた。そんなこと今迄一度たりともしたことがない失敗だ。敵の前で武器を間違えて投げてしまうなど。疲れ? それとも確かに先の戦いで手痛いダメージは受けていたがそれで? いや、ありえない。そうだとしてもそんな失敗は侵さない。
 呆気から現実に意識が戻った時、身体が傾いている事に気づいた。
 重い物を振り回している時に、それがすっぽ抜ければバランスを崩す。自明だ。
 すぐに対処すれば立て直せるだろうが、遅れればどうなるか。
 つまりそう、狂人教祖は足を絡ませて顔から床に突っ込んだ。転んだのだ。
 遠くでハンマーが壁に当たり床に落ちる音が響いた。
「あれ―? もしかして今日俺調子がいい? このまま勝てちまいそうだな?」
 その様を見て、ジミーは嘲笑う。
「ありえん……!」
 狂人教祖がジミーに跳びかかろうとしたが、今度は首から下げていた黄色い布に足を取られ再度床に額を叩きつける。
「何をしたぁ…!」

 地鉛はその様を対岸の火事の様に壁に背を付け眺めていた。
「まあ…。」
 初めに言いかけた言葉、その続きを口にする。
「終わった身でありながらそれでも諦めない気概は買うけど……悪いが俺はまともに戦ってやれるほど器用じゃないのよな。まことに残念ながら。」
 青いウミウシの様な存在、シーニーを指でこそばせながら呟く。
「いやほんと、派手なのが無くてな……だからきっちり人間みたいに死んでくれ。」
 そう、今の状況は決して偶然などではない。言ってしまえばこの二人のUCの悪魔的相乗効果と言ったところだ。
 地鉛の『ネタキャラへの誘い』と、ジミーの『疫病神のいざない』と言うなんだそれはと言う二つのUCの。
 前者は、対象に萌え要素や萌え属性の特徴やステータスを生やす。今回で言えばドジっ子などを。
 後者は、死亡フラグを言う事により、端的にいえば相手を不幸にし自分を幸運にする。
 特に事前に作戦を練ったわけでもないのになんだこれは。
 だが、ふたりのUCを知らなかったとはいえ、ジミーを狙った時点で狂人教祖はおそらく負けが決定したのであろう。
 先に地鉛を狙っていれば、狙われないジミーは死亡フラグを立てる速度は格段に減り戦いやすくもなったであろう。
 ドジだけであれば、その理性と思考を狂信で律したであろう。
 不幸だけであれば、その痛みを感じぬ突撃で越えて見せただろう。
 しかし二つのUCに絡みつかれた思考は正常さを失い、そして熱されたまま冷静さを失いお笑いの様にその場で立ち上がろうとしては転んでを繰り返す。
「……あれは人間みたいな死に方になるか?」
 まるでお笑いの様な光景に地鉛の頭につい疑問が浮かぶ。対岸の火事視点だから思うがあまりにも憐れな光景であった。酔っ払いを見ている気分になってくる。
 だから、おもむろにロケランを取り出すと狂人教祖へぶっ放した。
 ジミーは抜け目がないのか地鉛へも意識を向けていたようで、ロケランを認識した時点で狂人教祖から慌てて距離を取っていた。
 そして、着弾。
 狂人教祖は何が起きたのかも分からず宙を舞う。
 また、その爆風に巻き込まれジミーが自身のUCとの兼ね合いで手榴弾と一緒に撒いていたIEDも連鎖して爆発していく。……まるで導火線の様に一つの場所に向けて。
 その爆発の連鎖は確かな速度を持って、狂人教祖のハンマーが落下した場所へと向かい、そのハンマーを飛ばす。さらにハンマーが落下しかけたところに『偶然』にも爆発が起き、横方向への勢いがつく。
 勢いよく回転しながら飛んでいったハンマーは、『不幸』にも宙を舞っていた狂人教祖の頭部に命中し、叩き潰した。
 こう言うのを何て言うんだったか。そう、神にも見放された、だろうか。
 その一周回って喜劇じみた不幸に、ジミーも流石に失笑を禁じ得ない。
「お前さんからすりゃ理不尽なちゃぶ台返し食らったようなもんだろうが、まぁ諦めるこったな。」
 こんなもん諦めるしかねぇもんな、と馬鹿にした様に、ではなく完全に馬鹿にして。
「精々、あっちでお前さんに付いてきちまった奴らの面倒でも見とけ。」
 そう言うとさっさとその場を後にする…と見せかけて麻薬が残っていれば処理しておこうと城塞を探索しに向かった。
 地鉛は…二、三、拍手する。
「まさかこっちはほとんど何もせず終わるとはな。」
 まぁ、長居する必要もない。ただ一つ気になる事は…。
「あれは人間みたいな死に方に含まれるのか?」
 だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月20日


挿絵イラスト