繁栄は蝕甚か、エースの価値
●序して始まり休まれど:||
世界はこんなにも美しいのに、いつだって美しさの下には目を背けたくなるような醜さがある。
人とは弱いものだからどうしようもなく他者を信じることができない。どこからが自分で、どこまでが他人なのか。それがわからない。わからないからこそ、自分と他人の間に壁を作るのだ。
「けれど、それでも人は歩むだろう。そういうものだと僕は知っている」
『フュンフ・エイル』は黒い瞳で前を見つめていた。
亜麻色の髪が風になびき、共に立つ青いキャバリエ『熾盛』は『憂国学徒兵』たちと共に『グリプ5』を建国した立役者として、その姿を知られていた。敵からは悪魔の如き存在として。味方からは勝利を齎す天使として。
そのパイロットである『フュンフ・エイル』もまた同じだ。その名は英雄と仇敵の二つの意味を持つ。
相反する感情の二つを同時にぶつけられても『フュンフ・エイル』は微笑んでいたのを私は覚えている。
どうして其処まで強くなれるのかと聞いたことが在る。私が名前を捨てて、彼と共に歩んできたのは、それを知りたいと思ったからだ。
「これは僕の、いや、俺の強さじゃあない。借り物なんだ。憧れた強さだけれど俺の中に育まれたものが、俺の歩みを止めることを許さない。決して諦めるなと言う叫ぶ心がまだ在る。理由が輝くのなら、どんな最期が来ようと俺は――」
わかっている。
その言葉の最期を私は知っている。だから、私も抗い続けるのだ。どれだけなじられてもいい。親が子の幸せを案じなくてどうする。
「私は母親をやるんだ」
『ヌル・ラーズグリーズ』――かつての『憂国学徒兵』のクローンである『ラーズグリーズ』の『7人』全てに恨まれたとしても。
自分はやり通してみせる。それが約束だから――。
●蝕
小国家『グリプ5』の郊外、そこは最早難民キャンプと呼ぶには相応しくない。
一つの区画として城壁が組み上げられ、『グリプ5』の一つの街へと変わっていた。小国家『フィアレーゲン』からの亡命者と『グリプ5』の住民たちで生み出された新たなる城塞区画となっていたのだ。
かつて『グリプ5』と『フィアレーゲン』は対立していた国家であった。
けれど、幸いにも彼等は敵対者であったわだかまりを徐々に拭い去り、『フィアレーゲン』の難民たちは受け入れてくれた『グリプ5』のために城塞区画となった区画の防衛に勤しんでいた。
新たに設置されたプラントから次々と物資が生み出され、生産能力が上がっていることも加味しても、彼等の関係は良好であった。
「『クリノ・クロア』! こっちだ! そうそう、上手いもんだ!」
そう言って叫ぶのは、作業を指示する現場監督であった。
かつてオブリビオンマシンによって意志を歪められた少年『クリノ・クロア』は、今日も元気に城塞区画の拡張と防壁の強化を作業用キャバリアでもって働いている。
そんな彼の元に『ツェーン』と呼ばれる少女がやってくる。
「『クロア』、お弁当。お昼にしようよ」
彼女もまた『フィアレーゲン』においてキャバリアのエースパイロットとして、オブリビオンマシンに取り込まれた少女であった。
猟兵達によって救われた彼女は、今、キャバリアには乗っていない。
メカニックとして作業用キャバリアを整備する立派な整備士として働いているのだ。
「ありがとう、『ツェーン』。でも、プラントから出てくる資材は、今日これでおしまいだから、これが終わったら……――ッ!?」
そう言葉を紡いだ『クリノ・クロア』の言葉が途切れる。
次の瞬間、凄まじい轟音が城塞地区に響き渡る。
爆煙が立ち上り、『クリノ・クロア』の乗る作業用キャバリアがオーバーフレームを吹き飛ばされる光景を人々は見た。
「なん、だ!? これは!?」
『クリノ・クロア』は見た。
プラントから今日最後の資材が搬出されるはずだった入り口から溢れ出る無数の触手のようなコードの群れを。
それが自分の操縦する作業用キャバリアのオーバーフレームを剥ぎ取るようにして吹き飛ばしたのだ。
「うごめいている……これっ、コクピットを!」
コードが蠢き、作業用キャバリアのコクピットブロックのハッチを引き剥がしていく。それはまるで人間を傷つけようとしているのではなく、捕食する何かのようでもあった。
引き剥がされたハッチの向こうにコードが蠢き、己を品定めするのを『クリノ・クロア』は見た。
だが、その触手の如きコードが己に放たれるより早く、一機の作業用キャバリアがコードを掴んで引き剥がす。
「おい! ぼさっとしてんなよ! 坊主! 動けるんなら逃げろ!」
「『クロア』! こっち!」
それは嘗てのエース『アイン』の駆る作業用キャバリアであった。間一髪であったが、今何がこの城塞地区で起こっているのか、その全容を知ることの出来ない人々の悲鳴が『グリプ5』に新たな争いの種を呼び込む――。
●悪意
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はクロムキャバリア、『グリプ5』、その難民キャンプであった場所で起こります」
彼女の言葉に猟兵達に緊張が走る。
どうやら、新たなプラントを難民キャンプのあった郊外に設置し、城塞として機能させることで難民たちを受け入れ始めていたのだが、そのプラントがオブリビオン化してしまったのだという。
「はい。オブリビオン化したプラントは幸いにして一基。ですが、そのプラントから続々と無数の自立型オブリビオンマシンを生産し続けるようになったのです」
更に悪いことには、その自立型オブリビオンマシンは城塞地区の人々を生体コアにしようと触手でもって襲い始めているのだという。
放っておけば、彼等を人質に取られ、数という暴力で『グリプ5』は滅ぼされてしまうだろう。
そうなる前にオブリビオン化したプラントを破壊しなければならない。それは一基のプラントを失うということを示している。
「難民を受け入れた『グリプ5』……しかし、この世界の生産資源の要たるプラントを破壊しなければならないのは苦渋の決断です。プラントを修理する技術は喪われていますし……どうにもならないことかもしれませんが、人命には替えられません」
ナイアルテは苦々しい思いであったことだろう。
今や城塞地区は溢れる無数の無人オブリビオンマシンで強固な防衛を敷かれている。これを突破し、早くオブリビオン化したプラントを破壊しなければ、城塞地区だけではなく、『グリプ5』の市街地にまで類が及んでしまう。
「どうか、お願いいたします。これ以上生命が喪われることのないように……皆さんの力でプラントを破壊し、オブリビオンマシンを排除してください」
一歩進んでまた二歩戻るが如きオブリビオンの暗躍。
しかし、それを嘆いている暇などない。喪われう生命があるというのならば、それを救わねばならないのだから――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はクロムキャバリアにおいてオブリビオン化したプラントから生産され続ける自律無人オブリビオンマシンを撃破し、プラントを破壊しなければならないシナリオです。
キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。
●第一章
冒険です。
オブリビオン化したプラントから生み出された無人のオブリビオンマシンは、そのコクピットブロックから触手のようなコードを生き物のようにうごめかして、人々を捕らえ、生体ユニットにして取り込もうとしています。
城塞地区は嘗ての『フィアレーゲン』の難民の方々は勿論のこと、多くの非戦闘員が存在しています。
彼等が取り込まれれば、人質として使われる以上にオブリビオンマシンの生体コアとして生命を奪われてしまうことになります。
これを救いつつオブリビオン化したプラントに近づかなければなりません。
●第二章
集団戦です。
オブリビオン化したプラントの周囲に展開した無人の自立型オブリビオンマシンの軍団と戦うことになりますが、生み出されたオブリビオンマシンは所謂高級量産機と呼ばれるタイプになります。
無人であれど、インストールされている自律AIは、高度なものであり、有象無象の無人機ではないことが伺えます。
これと戦いながらオブリビオン化したプラントを破壊しなければなりません。
●第三章
集団戦です。
オブリビオン化したプラントを破壊したことにより、オブリビオンマシンの生産は止まりましたが、未だ残っているオブリビオンマシンを撃破しなければなりません。
ですが、前章の量産機よりもさらに性能を向上させたモデルが厄介なことに残っています。
対人に特化した機体ですので、放置すれば即座に虐殺が始まるものと思っていいでしょう。
それでは戦乱続く世界、クロムキャバリアにおける皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『生体ユニットを求めるデビルキャバリア』
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POW : 力づくで触手コードを引きちぎる
SPD : 動き回って触手コードから逃げ回る
WIZ : 頭を使って触手コードを避ける
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「早く逃げろ! ボサボサしてると取り込まれるぞ!」
作業用キャバリアを操縦していた『アイン』が叫ぶ。
如何に『エース』と言えど、作業用キャバリアである。卓越した操縦技術があっても性能差を覆すことは容易ではない。しかし、それでも『エース』の中の『エース』、『フュンフ・エイル』の再来とまで言われた彼女は襲いかかるコードを躱し、人々を守っていた。
「ぼさっとすんなつってんだろうが! せっかく八人兄弟から九人兄弟になったんだ。一人も欠けさせるつもりは私にはねぇぞ、『ツェーン』!」
走れ、と叫ぶ彼女が守っていたのは『ツェーン』と呼ばれる少女と、傷を負った『クリノ・クロア』であった。
少年は額から血を流しているせいか、ふらつく足で走っている。それを支える少女『ツェーン』もまた彼を捨てて行くことなどできなかったのだ。
しかし、そんな彼等を嘲笑うかのようにプラントからは次々と無人の自律オブリビオンマシンが溢れ出す。
そのコクピットブロックからコードをうごめかせ、人々を生体コアとして取り込むことによって猟兵に対するカウンターとして機能させるつもりなのだろう。
人を滅ぼし、同時に救済に駆けつける猟兵をも牽制する戦略をもって、意図的に生み出されたオブリビオンマシンの群れは、『グリプ5』の城塞地区に残っていた作業用キャバリアでは歯が立たず、そして非戦闘員ばかりであったこの地区を蹂躙するには十分すぎる戦力であった。
「でもっ、『アイン』も! こんなところで死んだら嫌だ!」
「チッ……! そういうあまちゃんな所、誰の影響だよ……」
作業用キャバリアの脚部がコードに絡め取られ、ぎりぎりと引きずられる。それを作業アームで切断し、難を逃れたが、アンダーフレームの一部を欠損しては機動性は半減する。
こうなってしまえば、機体を捨てるしかない。
けれど、『アイン』はそうしなかった。自分がここで抵抗すれば、『ツェーン』と『クリノ・クロア』が逃げる時間は稼げると思ったのだろう。
座して作業アームを振るう『アイン』の意図を『ツェーン』は知るからこそ叫ぶのだ。
誰か助けて、と。
それはまさに世界の上げた悲鳴そのものであったことだろう。
煌めくは転移の輝き。
世界を跨いででもやってくる彼女が憧れた存在の到来を示すものであったのだから――。
菫宮・理緒
『フィアレーゲン』の人たちが、やっと安定した生活になってきったていうのに、
プラントがオブリビオン化なんて……。
裏で蠢いてる人たちがいるのかどうかは別にして、今は目の前の人たちを助けないと!
【ネルトリンゲン】をだして、プラント近くの人たちには中に避難してもらおう。
空を飛んで逃げるまではできないけど、お家よりは安全だからね。
もちろん狙われるとは思うけど簡単にはやられないよ。
【モーフィング換装】で速度を半分にして防御力をアップ。
【M.P.M.S】やその他火力システムも使って防御を固めるね。
『希』ちゃん、攻撃は他の猟兵さんや『アイン』さんたちにお任せして、
避難してきた人を絶対に守りきるよ!
嘗ては小国家同士が敵対していたこともあった。
けれど、それらは暴走衛生『殲禍炎剣』による小国家同士の分断とオブリビオンマシンの暗躍があればこそである。
本来の人々は戦乱より平和も求める。
平和の意味も知らず、いかなるものかもわからぬまま人々は明日を求めて戦い続けた。
その歴史が百年以上続く戦乱そのものであるのならば、小国家『グリプ5』の郊外に出来上がりつつ在った難民キャンプが城塞地区へと姿を変えたのは、彼等の歩み寄りが結実した証に他ならない。
だというのにプラント事態がオブリビオン化するという未曾有の事態に彼等は成すすべもなかったであろう。
外側からの敵の襲来は予見できたとしても内側から無尽蔵に物資を生み出し、オブリビオンマシンを量産するオブリビオンプラントなど、誰も予想できなかった。
「『フィアレーゲン』の人たちが、やっと安定した生活になってきたっていうのに、プラントがオブリビオン化なんて……」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はミネルヴァ級戦闘空母『ネルトリンゲン』の艦橋から『グリプ5』の外側に築き上げられた城塞地区を見下ろす。
敵対していたというわだかまりを徐々に拭い、此処まで人は歩み寄ることができるのだと証明したはずなのに、それを水泡に帰すような行いをオブリビオンは常に行う。
戦乱の火種を、平和という名の安寧を蝕む不和を生み出すのだ。
「裏でうごめいている人がいるのかどうかは別にして、今は目の前の人たちを助けないと!」
如何に戦闘空母であったとしても、高速で空を飛んで離脱することはできない。
せいぜい飛行船程度の高度と速度を維持しなければ、暴走衛生『殲禍炎剣』によって高高度の砲撃に晒されてしまう。
そうなっては『ネルトリンゲン』であっても撃墜は免れないだろう。
それでも理緒は己がやらなければならないというように逃げ惑う非戦闘員たちの元に降り立つ。
「こっちに避難して! まだ十分に時間とスペースに余裕はあるから、慌てないで!」
理緒が叫ぶが、それでも混乱と恐怖に染まった人々には届かない。
彼等は何度も国を、荒野を、住む場所を追われてきたのだ。息をついた瞬間に襲い来る脅威を前にして冷静を保つことなどできなかっただろう。
我先にとネルトリンゲンの格納スペースに殺到する人々。
彼等を落ち着かせるよりも理緒は己がすべきことを知る。襲い来る無人のオブリビオンマシンから放たれる無数のコード。
それは人々を襲い、己の生体コアとして取り込もうとする悪意そのものであった。
「させない!『希』ちゃん! モーフィング換装(モーフィングカンソウ)――火器管制システムも全部動員して、みんなを護って!」
ミサイルランチャーから放たれる電脳魔術の障壁が、襲い来るコードから非戦闘員たちを護る。
自分に出来ることは護ることだけだ。
戦うことは難しい。けれど、今一番必要なことをは護ることだ。理緒は『ネルトリンゲン』のハッチを解放しつつ、人々を襲う触手の如きコードから人々を護る。
電脳障壁に阻まれるコードを、作業用キャバリアを駆る作業員たちが引きちぎり、非戦闘員たちの経路を護ってくれている。
「ありがとう。でも、あなた達をも無理をしないで」
理緒はAIである『希』に作業用キャバリアを駆る彼等を護るように支持し、ネルトリンゲンでもって敵の攻撃を防ぎ続ける。
この事件の根源であるオブリビオン化したプラントの破壊。
それが成すことができるまでは、この人々を襲うコードを放つオブリビオンマシンは排除できないだろう。
やっと得た安寧。
違う国の人びとが歩み寄り、手を取り合うことのできた事実をなかったことにしようとするオブリビオンマシンの策略を打ち砕くべく、理緒は己の持てる力を振り絞って、ユーベルコードの輝きでもって守るための戦いを続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
国境の壁を越えて人々が手を結んだ矢先に、この事件!
オブリビオンマシンを嫌なタイミングで発生させる黒幕がいるのは間違いないわね。アインからの事情聴取はどうなったのかしら?
まあ、それは後。まずはオブリビオンマシンの抑えが必要ね。
飛鉢法で多少の高度を取って。
「結界術」「範囲攻撃」影の「属性攻撃」「仙術」「道術」で、金光陣広域展開!
黄金の光で出来た影でオブリビオンマシンを攻撃させる。影を攻撃すれば自身に損傷が跳ね返ることも理解出来るかどうかよね。
この区域のオブリビオンマシンは、全部影で押さえ込むわ。
これで、コードで人間を取り込んでる場合じゃなくなるはず。
黒鴉召喚で式を打って、避難誘導をしていくわ。
小国家『グリプ5』の新たに設けられた城塞地区。
それは『フィアレーゲン』からの難民たちを受け入れていた郊外の地区であった。プラントが移動され、設置されたのは人の善意からであったことだろう。
表向きは難民たちに敵対する小国家との緩衝材としてであったけれど、真に彼等に必要だったのは身を守る防壁ではなく仕事であった。
仕事を生み出すということは容易ではない。
けれど、戦乱の時代が続くクロムキャバリアにおいて、仕事というものは幾らでも湧いてでてくるのは皮肉であった。
仕事さえあれば、人々は他者を評価することができる。
確実な数字が現れてくるのであれば、それを担保に嘗ての敵対者であったという事実を払拭することができる。
「それが現実的な、けれど皮肉なことだってわかっているけれど」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は歯噛みした。
彼女が憂いていたのは、このような事態であった。
オブリビオン化したプラントより増産されていく無人の自律オブリビオンマシン。そのコクピットから伸びるコードは、触手のように人々を襲うのだ。
生体コアとして、そして猟兵への人質として。
理に適った行い。そして、このタイミングである。
国境という最も人と人とを隔てる見えぬ壁を取り払い、手を取り合って城塞地区を生み出したのは、この争乱の世界にあって尊ぶべきものであったはずなのに。
それでも事件は起こってしまう。
「オブリビオンマシンを嫌なタイミングで発生される黒幕がいるのは間違いないわね」
鉄鉢と共に飛ぶゆかりは、コードの群れを見やり呻く。
あまりにも効果的なタイミングで事件を次々と発生させるやり方は、人の心を高いところまで持ち上げてから落とすような真似でしかない。
『アイン』もまたこの城塞地区にて身分を隠して労働に従事していたのは、本来彼女がスパイとして暗躍していた事実を隠すためである。
彼女から得られた情報で、何か進展はなかったのだろうかとゆかりは思ったが、今はそれどころではない。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。光り輝くほどに影はより深く。濁気に沈む愚人の影よ、克己せよ。汝らの現し身に牙を剥け。疾!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝き、金光陣(キンコウジン)が敷かれる。
それは金光が作るオブリビオンマシンの影であった。
偽物であれど、その偽物に与えられた攻撃は、本体に返ってくる恐るべきユーベルコードである。
しかし、オブリビオンマシンのコードは人々ばかりを狙う。
決して影出できた偽物を攻撃することはない。だから、ゆかりは偽物たちでもって人々からオブリビオンマシンを遠ざけるようにして引き剥がしていくのだ。
暴れるオブリビオンマシンの腕や武器が偽物たちにふれるたびに、本体たちの機体に損傷が走っていく。
「とは言え、広すぎる。城塞地区、大仰なものを作ったのはいいけれど」
カバーが難しい。
ゆかりは、偽物達に協力してもらい、彼女のユーベルコードの範囲内のオブリビオンマシンたちを抑え込んでいく。
その間にゆかりがすることは式神による避難誘導だ。
猟兵が駆けつけ、戦場となった城塞地区と『グリプ5』の間を往復してくれている。其処まで自分が守れば、オブリビオンマシンを倒すだけでいい。
「一刻も早く非戦闘員を避難させないといけないっていうのに……!」
ゆかりは見ただろう。城塞地区の中心に座すオブリビオン化したプラントを。
そこから溢れるようにして次々とオブリビオンマシンが這い出してきている。
凄まじい数だ。けれど、それでもやらねばならない。
人びとが手を取り合ったのならば、それをほどかせるわけにはいかない。
か細い光であっても、それを紡ぐ者を喪っては、どれだけ希望が在っても意味がない。希望の光は、それを宿す人々の瞳に映らねば、未来を紡ぐことすらできないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
プラントに直接手を出してくるなんて……
縁も所縁もない国だとか、そんな事言ってる場合じゃない!
プロトミレスに搭乗、
転移出現した機竜と機体ごと融合合体しスーパーロボット『アルカレクス・ドラグソリス』に。
避難民を追う敵の前に立ちふさがり、機竜のしっぽ部分が変形した『ドラグキャリバー』を地面に突き立て、UC【陽皇剣エクス・ドラグキャリバー】を使う!
「敵」を超重力と竜の紅炎で退け、
逃げる人々には負傷と精神異常を癒す光を。
ここは私が抑えるから、早く後ろに下がりなさい!
抜けてくる敵の攻撃や迂回を試みる敵は『Eフィールド』の防壁結界と、機体から『スケイル』を分離し広域展開後、反射レーザーの制圧射撃で対応するわ
クロムキャバリアが戦乱の時代が抜け出せぬのは、オブリビオンマシンが人知れずキャバリアと入れ替わり、火種を撒き散らすからである。
人の心を狂わせ、歪ませ、平和の意味すら知らぬ人々を生み出していく。
そうすることでクロムキャバリアは百年続く戦乱を維持し続けている。
誰かを信じれば裏切られる。
単純だが、あまりにも悪辣な手法でもってオブリビオンはマシンのみならず、人々の心をへし折っていく。
裏切られることが常の世界。
誰もが他者を信じられぬのであれば、人の心は荒む一方である。それが世界の滅び。
「プラントに直接手を出してくるなんて……!」
プラントはクロムキャバリアの世界にあっては資源を生み出す遺失した技術でもって造られたものである。
もはや新たに作り出すことは叶わず、そのプラントを奪い合って争いが起きる始末である。
そのプラント事態をオブリビオン化してしまわれては、そこから生産されるのは資源ではなくオブリビオンマシンである。
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は縁も所縁もない国であるとか、そんな事を言っていられなかった。
縁ならば、今此処で結ばれた。
自身の過去を思い出す。
己を襲った悲劇を。彼女が駆るキャバリア、『プロトミレス』が共にある所以。
「そんな事言ってる場合じゃない!」
彼女の心の叫びと共に機竜『ドラグレクス』が転移し、『プロトミレス』を核として合体し『アルカレクス・ドラグソリス』へと姿を変じる。
降り立ち咆哮を上げる機竜の姿にオブリビオンマシンたちは注意を引かれたようであたが、それでも生体コアとして非戦闘員たちを追うコードは止まらない。
それをアルカは陽皇剣エクス・ドラグキャリバー(エクス・ドラグキャリバー)を大地に突き立て、超重力を解き放つ。
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
煌めく力は、非戦闘員を追いすがっていたコードを大地に沈め、オブリビオンマシンの動きを阻害する。
「ドラグキャリバー、あなたがただ敵を斬るだけの剣でなく、絶望と闇夜を断つ剣である事を……今、此処に示せ!!」
煌めくユーベルコードは、12の竜の紅炎となって解き放たれ、オブリビオンマシンを吹き飛ばす。
爆炎が上がり、人々は自分たちを救った機竜の姿を見上げただろう。
呆然と、巨大なるキャバリア『アルカレクス・ドラグソリス』を見つめるほかない。彼らにとっては、オブリビオンマシンとの見分けは付かない。
けれど、それでも知ったのだ。
あのアイセンサーに煌めくユーベルコードの輝きは勇気を以てもたらされた力であり、光であると。
「ここは私が抑えるから、早く後ろに下がりなさい!」
アルカは即座にプラントから増産されてくるオブリビオンマシンを腕部より放たれるエネルギーフィールドで押し留め、装甲から分祀された結晶ユニットが穿つ。
「数が多い……! 単純に!」
アルカは圧倒的な物量の前に押し切られるようにして、機竜の足が後退しそうに鳴るのを押し止める。
自分が此処で退いてしまえばどうなるかなど明白である。
非戦闘員たちは生体コアにされて生命を吸い上げられるだろう。喪われる生命がまた一つ戦乱の歴史に積み上げられていくだけだ。
かつて滅んだ故国のように。
歪められ、人の欲望のままに全てを破滅に導かれてしまう。
「そんなことさせるわけには!」
機竜が咆哮し、結晶ユニットからエネルギーフィールドによって反射され、拡散されたレーザーがオブリビオンマシンたちを貫き、爆散させる。
爆炎の中、機竜の咆哮が轟く。
それはアルカの嘗ての過去を塗りつぶす、怒りを代弁する咆哮であった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
んん?
プラントの暴走…何かネットワーク経由で暴走させられたのか
それとも物理的に細工されたのか…
制限が無いならもっと中枢を狙うけど…まあ考えても仕方ないか
たまには呼ばれて飛び出て人助けってのも、悪くないかな
●
まあ、手数でいこう手数で
ちまちまやってちゃキリが無いね
EX:I.S.T[BK0001]に騎乗【断章・不死鳥召喚〈超越進化〉】起動
プラントへ移動しながら道中触手プレイされてる人は不死鳥の翼でコードを絶ちきり、周囲のコードも『ブレス攻撃』で『焼却』
本体の方にも突っ込ませて撃退しておこう
けどまあ、人助けばかりして祭りに遅れてもだし
10羽程連れて、残り適当に危なそうな人助けとくよう指示して本丸に行こ
プラントのオブリビオン化。
それは一言で表現するには、あまりにも悪辣なる手段であったことだろう。
クロムキャバリアにおけるオブリビオン事件は全てオブリビオンマシンによって引き起こされている。
キャバリアがいつのまにかオブリビオンマシンと入れ替わり、搭乗者の心を歪めているからこそ、戦乱の火種は尽きること無く百年続く戦争状態を維持し続けてきたのだ。
そこにプラントがオブリビオン化されてしまう事件が起こった。
「んん?」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は違和感を感じていたのだろう。
この世界のオブリビオンは全てオブリビオンマシン。
言うまでもなくプラントはマシンではない。いや、広義で言えばマシンに当てはまるのかもしれない。
暴走した衛生『殲禍炎剣』の詳細はわからず、あれもまたオブリビオン化したものであるのかもわからない。
「プラントの暴走……何かネットワーク慶友で暴走させられたのか、それとも物理t系に細工されたのか」
玲の頭の中にはいくつもの考えが浮かんでは消えて行く。
全ては憶測に過ぎない。
けれど、この事件を仕組んだ黒幕がいるのならば、その黒幕が真に目的としているのはなんだろうか。
『グリプ5』の国力を削ぐためか。
それとも。
「……まあ、考えても仕方ないか。たまには呼ばれて飛び出て人助けってのも、悪くないかな」
ジャジャジャジャーンとは言わないけれど、と玲はリズムに乗るように戦場と成った城塞地区へと降り立つ。
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
見つめるのは、いつか見た少年『クリノ・クロア』に肩を貸し、人々を取り込もうとしているオブリビオンマシンのコードから逃げる『ツェーン』の姿であった。
「おっとピンチ姫――偽書・焔神起動。断章・不死鳥召喚の章、深層領域閲覧。システム起動」
断章・不死鳥召喚〈超越進化〉(フラグメント・フェニックスドライブ・エクステンド)によって招来せしめたのは蒼炎で構成された不死鳥であった。
その数は実に百を越える。
「ちまちまやってちゃキリがないね」
転移と同時に玲はI.S.T運用補助用の特殊バイクを駆り、戦場を一気に駆け抜ける。
城塞地区は未だ非戦闘員たちが多く存在している。
猟兵達の活躍で多くが逃げおおせているが、それでもまだオブリビオンマシンに取り込まれんとしている人々はいるのだ。
それを玲の放った蒼炎の不死鳥たちが翼でもって切り裂き、一瞬で開放するのだ。触手プレイだとか、そういうマニアックなことを思っていたのは秘密である。
玲の放つ蒼炎は遠くからでも『ツェーン』の瞳に映ったことだろう。
「あれ……! あの人……!」
いつか見た刀身の煌めきと同じであった。
玲は軽く目配せして、特殊バイクの後輪を滑らせながら、彼女たちに迫るコードを蹴散らし、再び疾走していく。
語る言葉はあったのかもしれない。
何か言うべきであったのかもしれない。
けれど、それ以上に玲は祭りに遅れてしまっては元も子もないと、蒼炎の不死鳥たちを解き放つ。
自身の手が届かないのであれば、己の力を分散させる。手広く網目のように広がっていく蒼炎の不死鳥たち。
十羽ほど手元に残しつつ、玲は蒼炎を纏うようにしながら凄まじい速度で迫るオブリビオンマシンのコードを切り裂き、道を切り開く。
「後は適当に危なそうな人たちを助けといて、私は――」
彼女の瞳が煌めく。
そう、彼女が目指すべきはたった一つ。
「本丸に行く!」
この事件の現況たるオブリビオン化したプラント。
その破壊である――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
【心境】
「…けるな…ふざ…るな。ふざ…けんな!」
プラントがオブビリオン化だとッ
撃てというのか!プラントを…ッ!!!!!
【行動】
あああああああああああああああッ
今は考えない。まずは人々を救助。しっかりしよユーリー。
レスヴァント!!非戦闘員を『索敵』その位置を『情報収集』!!
オブリビオンマシンを撃破しつつ、発見した非戦闘員を一か所に集める。
彼等の脱出はこいつを使う。
異世界で手に入れたデルフィナス号を遠隔で『飛空艇操作』
殲禍炎剣からの攻撃を受けないように低空から侵入させる。
こいつに乗って。脱出も手がある。
セーフティーフィールド!!
最大船速『限界突破』で90秒もあれば安全域まで避難できるはずだ。
クロムキャバリアに置いてプラントとは人々の生命線である。
遺失技術によって生み出されたプラントは破壊されれば、復元は不可能。だからこそ、小国家はプラントを奪い合って争いを続けるのだ。
流れなくていい血が大量に流れた。
プラントと国力はイコールで結ばれている。
しかも、数は限られているとなれば、奪い合うしかない。分け合うことを忘れた人々は、平穏や平和を望みながらも奪い合うことを宿命付けられているようなものであった。
「……けるな……ふざ……るな。ふざ……けんな!」
ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)の怒号が響き渡る。
プラントがオブリビオン化するという事実。
それは即ち、今後も絶対数の限られるプラントが減る可能性があるということを示していた。
数が減れば争いは激化する。
他人よりも良い暮らしを。
今日よりも素晴らしい明日を。
そう望めば望むだけ争いは激化していく。それは終わらない戦争を意味している。最後の一人になるまで人々は争うだろう。
「撃てというのか! プラントを……ッ!!!!!」
彼女は白いキャバリア『レスヴァント』を駆り、戦場となった城塞地区を征く。
今回の事件に置いてオブリビオン化したプラントは破壊しなければならない。それは苦渋の決断であったことだろう。
けれど、破壊しなければオブリビオンマシンを無尽蔵に生み出してしまう。
そうなればプラントを失う以上におぞましい結果が待ち受けるだろう。天秤にかけるまでもない。けれど、心の中の葛藤が収まるわけでもないのだ。
「ああああああああああああッ」
これがオブリビオンマシンを糸引く黒幕の策略だというのならば、悪辣そのものである。
だからこそ、ユーリーは己の気持ちを切り替える。
今は考えない。
まずすべきことが今目の前に山積している。
オブリビオンマシンのコクピットから放たれるコードが人々を襲っている。
生体コアとして取り込み、生命を吸い上げようとしている光景が目の前に広がっている。己に言い聞かせるのだ。しっかりしろと。
「『レスヴァント』!!」
その呼びかけに己の乗騎が応える。
モニターに映る無数の非戦闘員の反応。その位置を索敵し、一瞬で表示する。戦うことしかできないのだとしても、それでも答えを出すことができる。
戦場を駆け抜け、オブリビオンマシンを打ち抜きながらユーリーは非戦闘員たちをすくい上げていく。
「こいつに乗って。脱出も手がある」
ユーリーの目の前にあったのは、異世界で手に入れた飛空艇『デルフィナス号』であった。
飛行船とは異なるが、地上に張り付いて生きることを敷いられている人々にとっては奇異なる存在であったことだろう。
「で、でも、上からの砲撃が……」
非戦闘員たちは暴走衛生『殲禍炎剣』のことを言っているのだろう。
けれど、それは心配するに及ばず。
「わずかな時間でも大丈夫」
ユーリーの瞳がユーベルコードに輝く。セーフティフィールドに覆われた『デルフィナス号』が空へと舞い上がる。
多くの非戦闘員を救出し、収容した飛空艇は空高くへと飛び立つ。本来ならば『殲禍炎剣』の砲撃を受ける高度と速度。
だが、天空よりの砲撃に寄って『デルフィナス号』が撃墜されることはなかった。特殊粒子が放出され知覚されないのだ。
「最大船速!」
ユーリーの言葉とともに飛空艇が城塞地区をあっという間に飛び越えて『グリプ5』の市街地へと降り立つ。
わずかに時間であっても『殲禍炎剣』に狙わないというのは、戦い以上に必要なことであったのかもしれない。
ユーリーは『レスヴァント』を駆り、戦場へと舞い戻る。
今は考えたくない。ただひたすらに諸悪の根源を突き止めることだけを目的とし、無心で無人のオブリビオンマシンを打倒していくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
複数のディスポーザブル02をAI操縦で敵オブリビオンマシン破壊にあたらせる。自身はメガスラスターで推力移動、戦場を駆け跳び、人々へ敵機のいない方向へ逃げるよう声を掛けます!
…!貴女達は…!!逃げてください!
ツェーンとクリノ・クロア、面識はないけれど、アイン。見覚えのある顔に少し何を話したものか、と考え即座にコードの破壊を優先、敵機のいない方を差して逃げるように伝えます!!生体コアにされかけているならば、
やらせない、壊させない、壊してやるッ!!
【機械式の絆】プラント産キャバリアなら動力はエネルギーインゴットの筈、敵機と自身を繋げ、遠隔操縦で操り人質に、コアにされる人々を解放させ、02で破壊する!
六本腕の異形なるキャバリアが『グリプ5』の城塞地区を闊歩する。
それは本来同じオブリビオンマシンであれど、オブリビオン化したプラントより生み出される無人マシンに組み付き破壊していく。
オブリビオンマシンにとっては理解し難いものであったことだろう。
彼等は生体コアを求めて、非戦闘員を絡め取ろうとコードを伸ばす。
けれど、六本腕の異形キャバリアたちは、それを防ぐように多腕でもってコードを引きちぎり、人々を護っているのだ。
ギチギチとオブリビオンマシンたちが苛立つように関節を鳴らす。
何故邪魔をするのだというように無機質なるアイセンサーが煌めく。しかし、そのアイセンサーが見たのは、メガスラスターを装備し飛ぶ朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の姿であった。
「こちらへ! 敵機はこれより先にいません!」
そう非戦闘員たちを誘導する小枝子は、六本腕の異形キャバリアたちの操縦をAIに任せ、人々の避難誘導に務めていた。
彼女が今しなければならないことは戦うことだ。
けれど、非戦闘員たちを掬うこともまた戦いである。
詭弁であると思われるかもしれない。けれど、これが自分の生き方である。不器用ながらも人を救うために戦う。
手の隙間からこぼれ落ちた生命は救えない。
だからこそ、今手を伸ばせる場所にある生命は救わねばならぬという思いが、彼女の足を止めないのだ。
「……! 貴女達は……!! 逃げてください!」
小枝子はメガスラスターの推力でもってコードに襲われんとする人々を救う。
コードを断ち切り、駆けつけた先にあったのは、負傷した少年の肩を担ぐ少女の姿であった。
『ツェーン』と『クリノ・クロア』、彼等の姿を認めて小枝子は言葉に詰まる。
何を言えばいいだろうか。
けれど、それでも小枝子は迫るコードを破壊することを優先する。
語る言葉はあるはずだった。
けれど、それでも言葉が出てこなかった。
今自分が何をしないといけないかわかっていたからだ。
「あ、ありがとう……! 気をつけて、無理をしないで、あなたも!」
『ツェーン』の言葉が小枝子の背中を押すのだ。
無理をしないで、気をつけて。
たったその一言二言が己の背中を強く押す。それだけのことなにと笑われるかもしれない。けれど、多くの人々がオブリビオンマシンより放たれるコードに寄って生体コアにされようとしているのならば。
ならば、なんとする。
「やらせない、壊させない」
彼女には、戦場に共に在ったがゆえに紡がれた機械式の絆(メカニカルボンド)がある。
煌めくユーベルコードは念動力に変わって、解き放たれる。
オブリビオンマシンもまたエネルギーインゴットで動くというのならば、この念動力から逃れることはできない。
「――壊してやるッ!!」
きらめくユーベルコードによってオブリビオンマシンと己が繋がる。すでに生体コアとして取り込まれた人々が在るオブリビオンマシンを見つめ、コードを解き放つ。
「それは、お前たちのエネルギー源じゃあない! まだ生きている! 生きて、生きて、そして!」
自分たちが見ることのできなかった景色を見ることが出来る人だというように小枝子は叫ぶ。
壊すことでしか守れないのならば、己は力を振るうだろう。
六本腕の異形のキャバリアが人々を解放したオブリビオンマシンに襲いかかる。コードを引きちぎり、エネルギーインゴットの収められた装甲を引き剥がし、腕を突き立てる。
爆風が吹き荒れる中、小枝子は叫ぶのだ。
破壊すると――。
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう!
私はクノイチ、世に潜み…胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!(アンブッシュ【VR忍術】広範囲影縛りの術!
もうこの口上で皆さんは私とおわかりでは!?
お久しぶりでーす!サージェでーす!
この場はこのクノイチにお任せてください!
かもんっ!『ファントムシリカ』!
クノイチ的に触手は絶許!
燃やしても凍らせても潰しても復活してきますから!
なので『一撃で消滅させます』!
キャバリアサイズで、とう!
【VR忍術】反物質生成の術!
説明しま……にゃーっ?!(説明する前に対消滅爆発を起こした現場
いやー、慣れないことはしちゃダメですねーあっはっは
あ、住民は巻き込んでませんからね!
『グリプ5』、その城塞地区となった郊外は、かつては難民キャンプであった。
敵対していた小国家『フィアレーゲン』からの亡命者たちを即座に国内に入れることはできなかった。
それは例え、国が滅んだことを理屈では理解していても、感情が拒絶するからだ。
どれだけ理屈を並べられても、承服しかねることがある。
人間とはそういうものであり、それが愚かだというのならば、人はその愚かさゆえに感情を豊かにしていく。
許すことのできないという感情があるからこそ、許すことができる。
人々は時間がわだかまりを解消し、手を取り合うように歩み寄った。
それがこの城塞地区であったのだ。けれど、それはオブリビオンマシンの悪辣さに寄って今、潰えようとしていた。
「お呼びとあらば参じましょう! 私はクノイチ、世に潜み……」
「胸が目立ち過ぎているんだよなぁ……」
「そんなことないもん!?」
前口上を先回りされてしまったサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は驚愕に打ち震える。
さっそうと登場し、格好良く人々を救わんとしていたのに、先回りされて目立つ胸を指さされるサージェ。
いや、わりと余裕があるなと思わないでもなかったが、サージェはそれでもよかったのだ。
この前口上を聞いて、自分がやってきたと少しでも心が軽くなるのであれば、それは彼女にとってプラスのことであった。
「はいはい、もうおわかりですね! 私です。お久しぶりのサージェでーす!」
一人だけ空気が違う。
そんな気がしないでもなかったが、駆けつけた猟兵たちが多かったお陰もあるのだろう。
彼女の言葉、立ち振舞は城塞地区に溢れるオブリビオンマシンという不安を払拭するには十分なものであった。
「この場はクノイチにおまかせください! かもんっ!『ファントムシリカ』!」
虚空より現れるキャバリア『ファントムシリカ』の白と紫を基調とした装甲が煌めく。
彼女の力の象徴であり、このクロムキャバリアにおいては馴染みにある戦術兵器であった。溢れるオブリビオンマシンが次々とコードを放ち、人々を襲わんとしている。
「クノイチ的に触手は絶許! 無条件で捕らえられてしまったり、電磁索にビリビリやられる主役機の宿命と同じでありますから!」
なので、とサージェの瞳がユーベルコードに輝く。
「VR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)! メモリセット! チェックOK! 参ります! 反物質生成の術!」
今なんかとんでもないことを言った気がする。
なんて?
はん、ぶっしつ……?
「説明しま……にゃーっ?!」
極小のものを生み出したとしてもその爆発はとんでもないことになる。のりで再現した術であったが、その威力は凄まじく数多のコードとオブリビオンマシンを巻き込んで爆炎を上げる。
白と紫の装甲がすすに汚れてしまう程度で済んでしまうのが、VR忍術の良いところである。
あくまでいめぇじであるから。
げほっ、と『ファントムシリカ』が咳き込むところまでギャグである。
しかし、それでもサージェのユーベルコードはオブリビオン化したプラントへの道を切り開く。
「いやー、成れないことをはしちゃダメですねーあっはっは」
笑い事ではないし、この直後にお尻をばりぃってやられたのは言うまでもない。
やってることはえげつないのだが、こういうコントじみたオチが付くところがクノイチの良いところである。
いや、クノイチといってもサージェ限定であろう。
他のクノイチがクレームを入れかねないので。しかし、これだけのとんでもない爆風の中でも非戦闘員を巻き込まぬところがVR忍術の凄まじいところである。
便利すぎるのも考えものだなと、思いつつサージェはコクピットの中で白猫又のお仕置きに涙するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
※ロシナンテⅣ搭乗
非戦闘員への攻撃を確認
保護を目的とした使用承認を要請…!
電脳魔術で電脳禁忌剣をキャバリアサイズに巨大化
魔法の杖の如く素粒子干渉能力を行使
剣先で人々を狙うコードを指し無害な花びらに変換
素粒子干渉能力で人々を護る防壁を地面より隆起させつつ(地形破壊、地形の利用、盾受け)コードを放つ機体に推力移動で接近し剣で両断
…この数では手が回り切りませんね
あれは…アイン様達!
損傷したアイン機や破壊した機体に干渉
素粒子レベルで組み換えデータの揃ったロシナンテⅣクラスの戦闘用キャバリアに新生(ハッキング、防具改造、武器改造)
こんな無法の力を行使できる程の状況です
手が足りません、協力を願います!
城塞地区は混乱の極みに達していた。
非戦闘員たちは溢れるようにして迫るコードから逃げ惑い、抵抗を試みた作業用キャバリアは無人の自律オブリビオンマシンによって破壊される。
オブリビオンマシンの目的はあくまで非戦闘員たちであった。
彼等を生体コアとして取り込み、生命を吸い上げるのみならず、必ず現れるであろう猟兵達へのカウンターとして、盾にするつもりなのだ。
その目論見を知るからこそ、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は己の存在意義を違えることはなかった。
「非戦闘員への攻撃を確認。保護を目的とした使用承認を要請……!」
手にした電脳禁忌剣のセーフティを解除する。
使い所を間違えない。己は機械であるからこそ、過ちを許さない。矛盾はあれど、その矛盾を抱えたまま存在し続けることこそが、己の存在義であるというのならば、手にした剣は人々を守るために使う。
「取り込まれた人々……彼等を救うためならば」
御伽噺の騎士のようにはなれない。けれど、それを求める矛盾。されど、手にした電脳禁忌剣、銀河帝国未配備A式形相操作兵装(アレクシアウェポン・パーティカルドミネーション)が己の駆るキャバリア『ロシナンテⅣ』のサイズへと変貌する。
振るう刃は敵を穿つためではない。
その電脳禁忌剣は、剣にして杖。
輝くユーベルコードの光は、素粒子への干渉によって、人々を取り込まんとしているオブリビオンマシンのコードを花びらへと変換し、無効化していく。
「無効化しても尚迫りますか……! ならば!」
『ロシナンテⅣ』が大地へと剣を突き立て、再び素粒子に鑑賞し、大地を障壁と変え、逃げ惑う人々をコードから守るのだ。
人びとが逃げるだけの時間を稼ぐためにトリテレイアは『ロシナンテⅣ』と共に戦場を駆ける。
道中数多のオブリビオンマシンを打倒したが、それでもこの数は驚異であった。
「……この数では手が回りませんね」
トリテレイアは冷静に戦況を分析していた。
オブリビオン化したプラントから溢れるオブリビオンマシン。
明らかに数がこちらの戦力と釣り合わない。膨大な数で持ってこちらを圧殺するつもりなのだろう。
作業用キャバリアで抵抗をする者たちもいるようであるが……。
「あれは、『アイン』様!」
トリテレイアはセンサーに引っかかったアンダーフレームを破壊されながらも抵抗を続ける作業用キャバリアを見つける。
脚部を喪っても尚、作業用キャバリアでオブリビオンマシンと対等以上に渡り合うのは、彼女以外ありえないだろう。
「あ? なんだ……その機体、あの騎士野郎か……!」
その言葉にトリテレイアは頷く。
彼女の機体状況は良いとは言えない。けれど、己の剣は電脳魔術を手繰る電脳禁忌剣にして、魔法の杖。
素粒子レベルにまで干渉したユーベルコードは彼女の作業用キャバリアを組み替えていく。
「何を……!?」
「無礼は承知の上! 慣れぬ機体でありましょうが!」
電脳魔術によって組み上げられた新たなるキャバリア。欠損した脚部は復元され、作業用キャバリアであった頃の面影は其処にはなかった。
あったのは奇しくも青いキャバリア。騎士のごとき外観を持っていたのは、己の持つデータ、『ロシナンテⅣ』のデータを流用したからであろうか。
「こんな無法の力を行使できるほどの状況です。手が足りません、協力を願います!」
「言われるまでもねぇ……慣熟訓練なんざ必要ねーよ! 行くぜ、機械騎士!」
『アイン』は新生された機体の背に負った武装コンテナをパージし、展開された武装を手に取る。
すでに運用がトリテレイアの想定とは異なるものであった。
もはや、似て非なる機体となった『アイン』の駆るキャバリアと共にトリテレイアは、戦場を駆け抜ける。
熾烈に輝く星。
ゆえに名を『熾星』とでも名付けるべきか。
二体の騎士がオブリビオンマシンを蹂躙し、プラントへと迫る。
それは、人びとにとって希望の光となる、二つの流星であった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・カンナビス
依頼内容はプラントの破壊、及び敵兵力の排除。了解。
政治的状況はどうでもいいですが。
軍事的状況に関しては、甘いと言わせて頂きましょう。
この私が人質に怯えて被害を拡大するとお思いですか。
ま、この場は敵軍と市民との間に空隙を作ることが最優先です。
火力・装甲を出力強化した蹂躙戦モードのコンバットキャリアで、
敵軍と市民との境目に割って入り、敵軍側に向けて鎧無視攻撃/
範囲攻撃/プラズマキャノンを連射して群れを粉砕します。
同時に2回攻撃(二回目)/プラズマライフルで進路前方の
市民に群がる敵を排除。
前と横との両面戦闘をしながら前進し、敵味方の間に空隙を
作っていきます。キャリアの分厚い装甲を抜くのは無理ですよ。
プラントがオブリビオン化するという事態は、これまでなかった異常なる事態であったことだろう。
遺失技術によって造られたプラントは、替えが効かぬものである。
壊れてしまえば、二度とそれを取り戻すことはできない。
それゆえに小国家はプラントを求めて争いを続けるのだ。分け合うのではなく奪い合う。
いつだって資源は有限である。
例え、それが資源を生み出す大元であるプランtおであっても同様であることを今回のオブリビオン化は示していた。
「依頼内容はプラントの破壊、及び敵兵力の排除。了解」
そう無機質に呟いたのはノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)であった。
彼女の大型装輪式戦闘車はキャバリア整備台を積んだ車両でるが、キャバリアの火器をそのまま使える利点があった。
事件の起こった城塞地区は町中であれど、人々が未だ逃げ惑っているし、迫るオブリビオンマシンから放たれるコードは、今も尚人々を生体コアとして取り込もうとうごめいている。
「政治的状況はどうでもいいですが。軍事的状況に関しては、甘いと言わせて頂きましょう」
ノエルは呟く。
戦闘車両をオブリビオンマシンと人々の間に割って入らせ、懸架されたプラズマキャノンを連射する。
自律する無人オブリビオンマシンと言えど、大口径の粒子ビーム砲の連射を受けては無事では済まない。
爆炎を上げるオブリビオンマシンを乗り越えるようにして新たに迫るオブリビオンマシンの群れ。
確かにオブリビオン化したプラントというのは厄介極まりないものである。
それが非戦闘員を人質にするように生体コアとして取り込もうとするのは、猟兵にとっては不利なものであった。
けれど、ノエルにとってはそうではない。
彼女は人質に怯えて被害を拡大することはないといい切った。
放たれるプラズマキャノンは、割って入った人々の盾となり、進路方向を切り開くように群がるオブリビオンマシンを穿ち続ける。
「敵軍と市民との間に空隙を作ることが最優先。言わずともわかっていますよね」
今が逃げるときだとノエルは人々に呼びかける。
コンバットキャリアの装甲は分厚い。
如何にコードであってもこれを引き剥がすのは困難であったことだろう。だからこそ、ノエルは己のコンバットキャリアを盾にするのだ。
これ以上人質を取られることのないように。
そして、この戦況を覆すために。
人々の逃げる経路を確保するため、プラズマキャノンの咆哮が粒子ビームを撃ち放ち続ける。
敵の群れを粉砕すれば、コンバットキャリアが動き出す。
目指す先はプラントだ。
敵の数はさらに多くなっている。どこまでも無尽蔵に資源を生み出すことのできるプラントだからこそ為し得ることのできた物量戦術。
圧倒的なオブリビオンマシンの群れは、ノエルにとっては有象無象であろう。
けれど、数で圧砕できるほどの数が備えられるというのであれば、ノエルはコンバットキャリアに座す己の機体を見やる。
その時こそ己の機体の出番であろう。
「判断を誤ることなどない。敵を穿ち、プラントを破壊する。依頼内容は至ってシンプル」
ならば、何の問題も無いのだというようにノエルはその視線をプラントにムエルのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
ああ、彼奴らですか
まぁ美人も多いですしそれもありでしょう
「アインちゃんも可愛かったよねー☆」
即座にUC発動
今回は合体なし
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達と竜達に付与
光学迷彩で存在を隠し熱源も隠蔽
【戦闘知識・情報収集・視力】
一般人とアイン達の状況把握
更に救出が必要なポイントも捕捉
アイン達もとんでもない腕前ですね
流石エースって奴か
【念動力・弾幕・スナイパー・空中戦】
飛びながらアイン達を援護射撃
ダイウルゴス軍
【捕食・二回攻撃・盗み・盗み攻撃・切断】
必要時は複数で飛び掛かりマシンに食らいついて破壊や分解
ばらばらにして撃滅
居たら捕まった一般人を怪我させない様に強奪
色々面倒くさい状況ですよね全く
小国家『グリプ5』の城塞地区に迫る状況は未だ逼迫したものであった。
城塞地区に設置されたプラントがオブリビオン化することによって齎された被害は甚大なものである。
溢れるオブリビオンマシンが城塞地区に築き上げられたものすべてを破壊するのは言うに及ばず、まず第一にプラントがオブリビオンマシンだけを生産し続けているというのが猟兵達の歩みを押し留めるものであった。
圧倒的な物量。
それは数で劣る猟兵たちにとっては看過できなものであった。
「ああ、彼奴らですか。まあ美人も多いですし、それもありでしょう」
そんなふうにカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の言葉はのんびりとしたものであったし、己の機体である『メルクリウス』の言葉もまたのんびりとしたものであった。
「アインちゃんも可愛かったよねー☆」
本来なら、そんな時間はそうはないのだが、彼等は帝竜眼「ダイウルゴス」(ブンメイヲシンリャクシユウゴウスルモノ)によって召喚された『小型ダイウルゴス』たちと共に光と水の属性による付与でもって存在と熱源を隠して、城塞地区に潜んでいたのだ。
光学迷彩は完璧であり、本来なら熱源感知で引っかかるところが水の属性に寄って熱源さえもカバーしてしまう。
存在の隠蔽は完璧であり、城塞地区に解き放った『小型ダイウルゴス』たちによって、戦場の状況を正しくカシムは理解していた。
「一般人は多くが猟兵の手助けで城塞地区から脱出し始めてるようですね……そして、と」
カシムが注目していたのは『アイン』であった。
彼女の乗っていた作業用キャバリアはアンダーフレームを損失していたが、猟兵の手助けもあって機体事態を新生し、青い騎士のようなキャバリアとなって戦場を駆け抜けていた。
機体の性能以上に彼女の技量が凄まじい。
星のように煌めき、戦場を駆ける姿は流星のようであった。
「『アイン』もとんでもない腕前ですね。さすが『エース』ってやつか」
ならば、自身も負けてはいられないと飛翔する『メルクリウス』から援護射撃をする。
さらに『小型ダイウルゴス』たちは軍と呼ぶに相応しい威容でもって戦場を席巻し、捕食し、切断し、オブリビオンマシンをお破壊しては分解し、撃滅していくのだ。
すでに生体コアとして取り込まれていた人々でさえ、カシムは無事に強奪するように確保し運び出していく。
「色々面倒臭い状況ですよね全く」
「でもでもそれでもやらないといけないんだよー☆」
そんなやり取りをしながらも操作は違えることはない。
これだけ厄介な状況であっても、未だ希望は潰えない。
猟兵たちが駆けつけ、人々の希望を繋いでいく。平和には程遠い戦乱の時代であれど、猟兵は知っている。
果ての見えない状況であっても、そんな時だからこそか細い希望であっても産前と輝くことを。
それを示すように『小型ダイウルゴス』たちが無尽蔵にオブリビオンマシンを生産する以上に破壊を繰り返していく。
圧倒的な侵略速度。
それこそが帝竜の名を冠する存在意義。
「ま、それでもすりつぶしていくんですがね」
どれだけオブリビオンマシンの裏で糸引くものが居たのだとしても、物量で己に対抗しようとしたことが愚策であると知らしめるようにカシムは、その瞳をユーベルコードの輝きでもって満たし、戦場を蹂躙していくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
テラ・ウィンディア
オブビリオンプラントかぁ…
この世界の生命線であるプラントさえお部ビリオンになるなんてキナ臭すぎるな
【戦闘知識】
襲撃状況と一般人の立ち位置
救出に必要な陣形を冷徹に分析
UC発動
30機
一般人やアイン達の護衛や支援
50機
【属性攻撃・弾幕・貫通攻撃・重量攻撃・遊撃・砲撃】
重力属性を武装に付与
ドリルビット&ガンドライド展開
重力弾の弾幕を展開して無人機を圧壊
ドリル攻撃で貫通粉砕
重力波砲で殲滅
残りと本体
【二回攻撃・早業・串刺し】
剣による斬撃で切り裂き
槍で串刺しにして破壊し
一般人が捕まっていたら丁寧にコックピットを抜き出して救出
あんたらがエースって奴か
今度おれも胸を貸してもらうぞっ
言いながらも殲滅は続く
「オブリビオンプラントかぁ……」
それはクロムキャバリアにおいて、迫った危機を端的に示したものであったことだろう。
テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は今回の事件のことを考える上で、これがキナ臭いものであることを自覚していた。
プラントは人々の生命線である。
無尽蔵に自然を生産できる遺失技術によって生み出されたプラント。
新たにプラントを作り出すことができない以上、小国家においてプラントこそが国力そのものである。
だからこそ、このクロムキャバリアにおいてプラントは重要な存在であり、喪ってはならぬものであった。
そのプラントがオブリビオン化する。
この世界にあってオブリビオンマシンこそが、過去の化身。だというのに、プラント事態がオブリビオン化し、あまつさえはオブリビオンマシンを増産し続けるというのは、あまりにも異常なる事態であったことだろう。
「けれど、やらないといけないんだ。ウィザードモード…起動!我招くは嵐の夜!冥府へ導く魔女達の群れよ!今こそ狩りの時間だ!存分にその力を示せっ!!!」
煌めくユーベルコードの輝き。
それは、魔女達の騎行『ガンドライド』(アラシノヨル)。
己の駆る三界神機『ヘカティア』を複製し、百機を越える『ヘカティア』が戦場に居並ぶ。
敵はプラントより生産され、溢れるようにして城塞地区を埋め尽くしている。
ここまで圧倒的な速度で生み出されるオブリビオンマシンは猟兵達であっても数で押されてしまうことだろう。
ゆえにテラは冷静に戦況を見定める。
「ただ、戦うだけじゃ駄目だ……非戦闘員を救い出しなおかつ敵を殲滅する……なら」
テラは『ヘカティア』と共に戦場を走り出す。
すでに多くの猟兵たちが駆けつけている。
無数の『ヘカティア』を文体に分け、三割を逃げる非戦闘員たちの護衛や支援に。
50機をドリルビットとガンドライドを展開させ、無数の砲撃で持って重力の力を解き放つ。
重力の弾丸はオブリビオンマシンを圧潰させ、放たれるドリルビットの一撃は装甲すら紙のように引き裂き、貫通粉砕し、殲滅していく。
「これなら、コードを伸ばす隙など与えない……!」
テラは『ヘカティア』と共に真っ直ぐにプラントへと進む。
己達の進撃を阻むオブリビオンマシンを切り裂き、槍で貫きながら、生体コアにされた人々を救出していく。
「人質にするつもりだったんだろうけど!」
コクピットを丁寧に抜き出し、オーバーフレームとアンダーフレームだけになったオブリビオンマシンを爆散させる。
「頼もしいな、猟兵ってやつは。その調子で頼むぜ!」
その横を青い騎士のようなキャバリアが飛ぶ。それは『アイン』と呼ばれたエースであった。
彼女の駆る機体は、いつのまに入れ替わっているが、それは他の猟兵が用意したものだった。
まるで流星のように駆け抜けていく姿をテラは見上げる。
「あんたが『エース』って奴か。今度おれも胸を貸してもらうぞっ」
「そういうのは、この状況を切り抜けてからな!」
テラはその背に続き、プラントを目指す。
互いにフォローしながら、進む戦場に敵はいない。殲滅と呼ぶに相応しい戦いぶりで、テラと『アイン』はプラントに至る道を塞ぐオブリビオンマシンたちを排除する。
だが、それでもなお、次々と増産されるオブリビオンマシンの群れ。
それはどうしようもなく膨大な数であり、これまで非戦闘員たちを襲っていたオブリビオンマシンとは別格なる存在であることを知らしめる。
そのオブリビオンマシンたちのアイセンサーが輝き、明確な敵意でもってテラたち猟兵を歓迎するように居並ぶのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『MCK04N-パラティヌス』
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POW : RXキャバリアソード/EPキャバリアシールド
自身の【補助CPUを停止、搭乗者への制御負担】を代償に、【力量に応じ近接戦闘力を向上した状態の機体】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【砲火を潜り抜ける運動性と近接武装】で戦う。
SPD : RBXSランスライフル
レベル分の1秒で【近接突撃/射撃モードに切り替え】【ビーム】を発射できる。
WIZ : EPオプションバックユニットスラスター
【作戦に応じた追加兵装(通常はミサイル)】を向けた対象に、【射撃攻撃を行った後、追撃の突撃】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:イプシロン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達の活躍で非戦闘員を襲っていたオブリビオンマシンは排除することができた。
さらに城塞地区に残っていた非戦闘員たちは『グリプ5』の市街地へと退避し、人的な被害は皆無。まさに奇跡とも言うべき現状を勝ち取ることができた。
しかしながら、未だプラントは稼働し続けている。
オブリビオン化したプラントが生み出すのはオブリビオンマシンだけである。
新たに新造されたオブリビオンマシンはこれまでの機体とは一線を画する存在。所謂高級量産機『MCK04N-パラティヌス』 と呼ばれる存在であった。
無人であったとしても、自律する動きは『エース』のもの。
そう、その機体のAIに組み込まれたモーションデータは『フュンフ・ラーズグリーズ』のものであった。
かつて『セラフィムリッパー』と呼ばれる最新鋭機がオブリビオンマシンと成り果て、暴走した事件があった。
その折に得られた彼のモーションデータは、今ここに来て最悪の形でオブリビオンマシンに受け継がれることになっただろう。
『アイン』は舌打ちする。
猟兵によって新生された機体『熾星』と似た外観を持つ、かつての『セラフィムリッパー』は、近接、中距離、遠距離にまでオールレンジで戦うことのできる高性能機。
そのモーションデータに『フュンフ・ラーズグリーズ』のデータが流用されているのならば。
「全機が『フュンフ』並ってことか……まあ、しゃーねぇよな。弟の不始末は姉が取るもんだ」
それに、と『アイン』は笑う。
たかが、モーションデータ。そこに乗っているパイロットがいないのであれば、恐れるには足りないのだと――。
ユーリー・ザルティア
【心境】
「…非戦闘員の救助を終了した…。あとは…あとはッ!!」
ARICA…レスヴァントの回収よろしく。
ボクは…ちょっと狂戦士になってくる。
理性なんて…今は邪魔!!
【行動】
レスヴァントから飛び降りたらクイーンザルディアを召喚。そっちに乗り込む。
ユーリー、少し寝ていなさい。ユーディー・サルディア出るッ!!
アストライアの『威嚇射撃』で牽制しつつ、『悪路走破』『ダッシュ』で近接しイニティウムで『切断』する
ユーリーと違い、余は接近戦の方が好きでな。
敵の攻撃を『瞬間思考力』で『見切り』回避。『カウンター』で切り返す。
幾らエースの動作データを持っていようと…所詮ただの機械か。
小国家『グリプ5』の城塞地区を巡る戦いは、苛烈を極めた。
無人オブリビオンマシンは、生体コアとして人々を利用するためにコードを張り巡らし、迫りくる猟兵の盾となさしめようとしていた。
けれど、猟兵達の活躍に寄って、それは事なきを得た。
しかしながら、未だオブリビオン化したプラントより溢れ出るオブリビオンマシンの数は未だ減ることはない。
これを止めるためにはプラントを破壊するしかない。
だからこそ、ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は腸が煮えくり返るような思いであった。
プラントはクロムキャバリアに生きる人々にとってなくてはならないものである。
一つのプラントが停止するだけで小国家の生活に滞りを見せてしまうし、それが致命的な打撃と成って小国家でさ滅びてしまう。
「……非戦闘員の救助を終了した……後は……後はッ!!」
ユーリーの瞳がユーベルコードに輝く。
其処に在ったのは、彼女の怒りだけであったことだろう。
AIである『ARICA』に『レスヴァント』の機体を任せ、彼女はコクピットより飛び出す。
その顔は最早ユーリーのものではなかった。
仮想人格である『ユーリー・ザルティア』のは立ち消え、其処に在ったのは封印された人格である皇女『ユーディ・ザルティア』のものであった。
虚空より現れるサイキックキャバリア『クイーンサルディア』が彼女を包み込んでいく。
ユーリーはもう我慢の限界だった。
人格に与えられたストレスが、負荷が、彼女の心を限界に導いていた。だからこそ、彼女は己が狂戦士になることを望んだ。
ユーベルコードの輝きに寄って得られるのは、彼女の理性の消失。
今は邪魔でしかない。
「ユーリー、少しネていなさい。ユーディー・サルディア出るッ!!」
解き放たれたように『クリーンサルディア』が惨状に降り立つ。
手にしたアサルトライフルが威嚇のように弾丸を放つ。牽制射撃であったが、それらを躱す『パラティヌス』の動きは悪くなった。
『グリプ5』の『エース』の前身たる『フュンフ・ラーズグリーズ』のモーションデータを組み込んでいる無人のオブリビオンマシン『パラティヌス』は手にしたランスを射撃モードに切り替え、ビームの弾丸で持って迫る『クイーンサルディア』を阻むのだ。
彼等の防衛目標はプラント。
それに『クイーンサルディア』を近づけされば、己達の敗北であるとよく理解した動きだった。
けれど、『ユーディー』は違う。
「遅い。型通りの動きばかりで」
放たれるアサルトライフルの牽制射撃につられて、こちらに射撃を行ったのが運の尽きである。
彼女の操縦技術は牽制射撃であっても、その間隙を縫うようにして戦術軌道を持って、一直線に駆けているかのように『パラティヌス』へと最短距離で突っ込む。
手にしたキャバリアブレードの一閃が『パラティヌス』のコクピットブロックを両断し、一撃のもとに葬り去る。
「『ユーリー』とは違い、余は近接戦の方が好きでな。『フュンフ・ラーズグリーズ』と言ったか……戦術機動は悪くないが!」
それは未だ『エース』ならざる時に『フュンフ・ラーズグリーズ』のモーションデータである。
ならばこそ、『ユーディー』の的ではない。
一瞬の駆け引きでもって、彼女に勝る敵はいない。
放たれる斬撃は、まるで『クイーンサルディア』が舞い踊る様に放たれ、あらゆる攻撃を瞬間的に見切り、斬撃の嵐を放つ。
「余の敵ではないよ」
「――ッ!!」
次々と『パラティヌス』がかく座していく。
『クイーンサルディア』の周囲には、過たずコクピットブロックを両断された『パラティヌス』が積み重なり、それを山と成す。
そのいただきで『クイーンサルディア』は玉座につくように、破壊の痕に座すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
避難、できたみたいだね。よかった。
それならここからは【ネルトリンゲン】で城塞地区を守りつつ援護だね!
『希』ちゃん、防衛は任せるね。わたしは……。
『フュンフ』さん並みの『パイロット』にキャバリアで攻撃されたら、わたしに勝ち目はないかもだけど、
『データ』ならわたしの領域。
負けるつもりはないかな。
【ストラクチュアル・イロージョン】を使って、ウイルスを流し込んでモーションデータを壊させてもらうよ。
プログラムそのものにバグを起こさせて、
できれば同士討ちを狙っていこう。
そこまでは無理だったときも、『フュンフ』さんの動きはできなくなるだろうし、
ただのキャバリアなら『アイン』さんやみんなの負けはないよね!
城塞地区からの避難を完了した戦闘空母『ネルトリンゲン』は、この事件での役割を十二分に果たしていただろう。
非戦闘員たちを戦場から退避させるのは、その数だけでも凄まじいものがあった。
けれど、十二分なスペースを持つ『ネルトリンゲン』であれば、一度に退避させる非戦闘員の数は格段違う。
他の猟兵たちが戦っている間、何往復もした『ネルトリンゲン』の活躍は目立たないものであったかもしれないが、『ネルトリンゲン』がなければ非戦闘員全てを救うことは叶わなかっただろう。
「避難、できたみたいだね。よかった。これより『ネルトリンゲン』は、城塞地区と市街地の境界線を守備しつつ、ここに固定。『希』ちゃん、防衛は任せるね」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は『ネルトリンゲン』の艦橋に座し、電脳魔術を展開する。
タッチスクリーンがデバイスから浮かび上がり、彼女の指が凄まじい速度でタップされていく。
ポップアップされていくいくつものウィンドウに目を疾走らせ、理緒は己に出来る戦いをする。
プラントより無尽蔵に生み出されてくるオブリビオンマシンは無人機であり、その自律を『フュンフ・ラーズグリーズ』のモーションデータによって驚異的な性能を持って、猟兵達に質と数でもって押し切ろうとしている。
「なら、わたしは……」
確かに『フュンフ・ラーズグリーズ』並のパイロットにキャバリアで攻撃されれば、理緒には勝ち目はなかったかもしれない。
けれど、彼等を自律させているのは、彼のモーション『データ』でしかない。
ならば、電脳魔術を手繰る理緒の戦場は其処ではない。
「『データ』ならわたしの領域」
彼女が目を走らせ、次々とプログラムを組んでいく。
今まさにここで彼女おが生み出しているのは、ストラクチュアル・イロージョン――ウィルスである。
神速のプログラミングでもって生み出されたウィルスは戦場に飛ぶ。
『パラティヌス』たちがモーションデータを共通してあつかっているのならば、そこにネットワークが介在しているはずである。
その脆弱性をつくのだ。
「負けるつもりはないかな。どれだけ優れたモーションデータだって、データには違いない。なら、わたしの戦いでなら!」
輝くユーベルコードはウィルスの力を活性化させる。
染み込んだウィルスが『パラティヌス』の中にあるデータを改ざんし、バグを引き起こしていく。
動きが明らかに鈍くなっている。
手にしたランスからビームが乱射され、狙いの定まらない射撃は味方をも巻き込んでいく。
しかし、すぐにバグを、ウィルスを修正し、駆除しようとする機構が働いたのだろう。彼女のウィルスは、瞬く間に耐性を保たれていく。
「でも、タイムリミットまでそんなにないよ」
僅かな時間であっても関係ない。
この僅かな時間に他の猟兵たちが『パラティヌス』たちを排除して、プラントへと迫るだろう。
そうなった時こそ、彼女の勝利である。
何も彼女自身がオブリビオンマシンを打倒する必要はない。
ただ、彼等を弱体化させればいい。
「やっぱり完全には脆弱性を克服できていないみたいだね。『フュンフ』さんの動きはできなくなるんなら、ただのオブリビオンマシン」
そんなモノたちに『アイン』や他の猟兵たちが負けるわけはない。
理緒はそう信じる彼等の戦いを『ネルトリンゲン』から見つめる。
彼女の戦いは、此処に在る。
誰かのためにと紡ぐ戦いがあるからこそ、人はどこまでも強くなれる。流星のように戦場を駆け抜ける『アイン』の駆る『熾星』が彼女の想いに応えるように、次々と『パラティヌス』を撃破していくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
非戦闘員の避難は無事に完了と。これであたしも全力で戦えるわ。
フュンフがオブリビオンマシンに乗っていたときの記憶を思い出してと。
飛鉢法で低空を飛びながら、プラントごとオブリビオンマシンを潰してやる。
「結界術」「全力魔法」酸の「属性攻撃」「範囲攻撃」「仙術」「道術」で紅水陣をプラントを中心に広域展開。
陣が張れたなら、建物の陰などを利用してオブリビオンマシンの反撃をやり過ごす。
瞬殺出来ないのがこの陣の欠点なのよね。でもその代わり、装甲の薄いところから容赦なく溶かしていく。
周辺の被害は仕方ない。
敵機からの攻撃が弱まったなら、プラントへ向けて不動明王火界咒を飛ばしましょう。
これ以上はやらせはしないわ。
幸いであったのは、オブリビオンマシン『パラティヌス』のモーションデータに使われていたのが、『セラフィムリッパー』に搭乗していた時の『フュンフ・ラーズグリーズ』のものであったことだろう。
未だ『エース』の原石であった頃の彼の技量事態は、機体性能に任せたものであった。
だからこそ、『熾盛』を駆る彼のモーションデータが盗用されていない。
ゆえに村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は思い出していた。
初めて『セラフィムリッパー』を駆る『フュンフ・ラーズグリーズ』との戦いを。
最新鋭機に乗る彼は駄々っ子そのものだった。
まだまだ子供だったのだ。
それも無理なからぬことであった。
15にも満たぬ子供に戦争をしろと言われれば、普通はああなる。オブリビオンマシンによって心を歪められてはいるものの、それでも彼の技量は原石そのもの。
ゆえに、ゆかりは恐れるには足りないと判断していた。
「避難は無事に完了したことであるし、これであたしも全力で戦えるわ」
その瞳がユーベルコードに輝く。
鉄鉢に乗って、低空飛行をしながら戦場を見下ろす。
高級量産機『パラティヌス』の陣形は見事なものであった。『エース』には届かぬまでも、その可能性を感じさせる動き。
生半可な攻撃では躱されて、突撃を受けてしまうだろう。
だからこそ、ゆかりは紅水陣(コウスイジン)を張り巡らせる。
戦場全体を赤い靄の中に落とし、プラントを破壊しようというのだ。けれど、プラントを中心に張り巡らせるためには、近づかなければならない。
当然ながらプラントに近づけば近づくほどに『パラティヌス』の防衛の層は厚くなる。
「ここが限界ね。でも、陣はプラントに届く。古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。魂魄までも溶かし尽くす赤き世界よ、我が呼びかけに応え、世界を真紅に塗り替えよ。疾っ!」
輝くユーベルコードが展開され、紅い靄にプラントとオブリビオンマシンが沈む。
物陰に隠れて『パラティヌス』をやり過ごした彼女にとって、身を隠すのは合理的なものであった。
「瞬殺出来ないのがこの陣の欠点なのよね」
そう、相手が生物であれば皮膚からただれていくため、攻撃もできないが、敵が機械、痛覚を保たぬのであれば、機体が動かなくなるまで攻撃を仕掛けてくるだろう。
そうなっては、強酸の雨も即効性が薄い。
周囲への被害もあるのだが、それはもう仕方ないとゆかりは割り切っていた。少しでもオブリビオン化したプラントの壁面を削がねばならない。
全てを破壊することはできなくても、もろくすることはできる。
ゆかりは強酸の雨に撃たれながらも、尚動く『パラティヌス』たちを見やる。
「まだ近づけさせてはくれないのだろうけれど、それでも十分弱ったでしょう!」
手にした白いカードから放たれれる炎が『パラティヌス』たちを焼き滅ぼす。
強酸に溶けた装甲が、炎に煽られ、ひび割れて砕けていく。
さらにそこに陣の効果が追い打ちを掛ければ、無理に動いたのがたたって、足元からオブリビオンマシンは瓦解していく。
「それでも諦めが悪いのは、『フュンフ』譲りってわけね!」
それでも尚放たれるミサイルの群れをゆかりは鉄鉢に乗って回避し、爆炎の華を空中に咲かせる。
「余計な手間を取らせて!」
放たれる炎がミサイルを撃ち落とし、『パラティヌス』を、そしてプラントへと迫る。
壁面の一部が崩れおち、その内部を露出させる。
けれど、それでもまだ後ひと押したりない。プラント事態が強固な装甲に覆われているせいもあるだろう。
遺失技術と呼ばれるには十分過ぎる強度。
その喪われたはずの技術の高さを垣間見ながら、ゆかりは、オブリビオンマシンを弱らせ、潰し続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『こちら特空機1型スターインパルス!攻撃行動に入るぜ!!』
パルスマシンガンでの【先制攻撃】と同時に叫ぶぜ
『人々の未来を日常を奪う…このやり口…ぜってぇ許さねぇ!!』
幾重にも【オーラ防御】のオーラをまとい、特式機甲剣『シラヌイ』による【なぎ払い】や【鎧砕き】によって、オブリビオンマシンの防衛を砕きつつ隙をつくって背部に背負ったハイペリオンランチャー・ドラゴンストライクとユーベルコード【極限竜闘技『マキシマムドラグバースト』】の破壊光線をオブリビオンプラントに向けて放つぜ!!
小国家『グリプ5』に新たに造られた城塞地区。
それは嘗ての敵対小国家『フィアレーゲン』からの亡命者たちで作り上げられた城壁からなる地区であった。
国を喪った者たちを受け入れることは容易ではない。
ただ物を与えればいいだけではない。人は糧だけで生きる存在ではないからだ。
人が生きるためには意義が必要になる。
必要とされるだけの理由が。だからこそ、人は生き甲斐を見つけるためにもがくのだろう。
ゆえに彼等には仕事が与えられる。
郊外の難民キャンプでいつまでも座しているわけにはいかない。『グリプ5』の市民たちとのわだかまりもまだ解けてはいなかった。
だからこそ、仕事が橋渡しになる。
人々は与えられるだけの間柄に信頼を築くことはできない。だからこそ、自身立ちの手で何かを成す者を信頼する。
「だっていうのに、オブリビオンマシンの野郎どもが!」
ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は忌々しげに呟いた。
敵対していた者同士がいがみ合うことをせず、その確執を流したというのに、オブリビオンマシンは常に戦乱の火種を撒き散らす。
その火種は容易に炎となって人の生命を焼くのだ。
「こちら特空機1型スターインパルス! 攻撃行動に入るぜ!!」
その叫びとともにオブリビオン化したプラントより溢れ出るオブリビオンマシン『パラティヌス』へと突撃する。
出力を上げ、貫通力を増したパルスマシンガンの弾丸が『パラティヌス』たちの盾に撃ち込まれる。
しかし、『エース』のモーションデータを得ている『パラティヌス』たちの防御は巧みであった。
おのれたちの装備する盾をうまく使い、面で弾丸を捉えるのではなく、盾の曲線でもって弾くようにして防御するのだ。
「上手く捌きやがる……! だが、人々の未来を、日常を奪う……このやり口……ぜってぇ許さねぇ!!」
プラントより次々と増産され、援軍として現れる『パラティヌス』を止めるには、どうしたってプラントへと居たり、破壊しなければならない。
しかし、『パラティヌス』の防衛は十分すぎるものであった。
「防衛の層まで厚いってか……! だがよ!」
ガイは覚悟を決める。
幾重にもオーラの防御を機体に纏わせ、特殊超合金製の片刃剣を構える。数では敵わない。
かといって、無策で突撃すれば囲まれて袋叩きに成ってしまう。
彼が出来ることは多くはなかったかもしれない。
けれど、やらなければ誰かが明日泣くことになる。それを許せぬと彼の瞳がユーベルコードに輝き、『パラティヌス』の一群へと突撃する。
放たれるキャバリアソードの一撃をいなし、受け止め、ガイはおのれの機体『スターインパルス』の力を信じるのだ。
例え、おのれの機体が保たなくとも、後に続く猟兵達がいる。
彼等を信じるからこそ、『スターインパルス』のハイペリオンランチャーが展開し、拳が組まれる。
ユーベルコードの輝きは、今此処に来て最高潮に達する。
「魂の昂りよ!!竜の咆哮とともに全てを破壊し、すべてを消し飛ばせ!!」
放たれるは巨大破壊光線の一撃。
極限竜闘技『マキシマムドラグバースト』(リミテッドドラグアーツ・マキシマムドラグバースト)と呼ばれるユーベルコードによって放たれる破壊光線の一撃は『パラティヌス』を巻き込んで、一直線にプラントへと叩き込まれる。
先行した猟兵が堅牢なる装甲を溶かし、弱体化していたからこそ、破壊光線の一撃は威力を減ずる事無く叩き込まれる。
プラントは人の生活の基礎となるものだ。
なくてはならないものである。けれど、オブリビオン化したことで、破壊しなければならない。
そこに迷いはあっただろうか。
いや、ない。
一欠片とてガイにはなかった。明日を望むためには、破壊してでも進まねばならぬ道があることを知るからである。
放たれた一撃はプラントの壁面を完全に砕き、明日を望む人々のために振るわれたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
生産拠点が敵で、しかも戦況への対応もしてくるとなると、時間がない
アルカレクスから融合を解いて再度プロトミレスに戻り、『ステララディウス』で威嚇射撃やレーザー誘導弾を織り交ぜ攻撃、攻撃は動き回って《残像》で撹乱しつつ、瞬間思考で見切って回避。
時折隙をついて実体剣『ルーナグラディウス』で《切り込ん》で《切断》を狙うけど、突破を優先。
プラントが「見える」場所にまでたどり着ければ、
後は守りの硬さはもう関係ない。
――【XXX-01Dα ルクス・ソリス集束モード】
高空へと転移し、(殲禍炎剣対策に移動はせず)待機中のドラグレクスからの「上空からのビーム砲撃」を、私の眼が敵を捉える限り何度でも、降らせてやるわ
プラント本体に意志はない。
ただ資源を生み出し続けるだけの遺失技術の粋を集めたもの。まるで魔法と違わぬ科学力の高まりに寄って生み出された資源生産の要。
それがオブリビオン化することによって、オブリビオンマシンのみを生産するものへと変わり、そしてこちらの存在を認識しているかの如く生み出すオブリビオンマシンの性能が向上している。
オブリビオンマシン『パラティヌス』は所謂高級量産機と呼ばれるたぐいの機体であった。
攻防に優れバランスの良い機体。防衛拠点を守るという意味ではこれ以上にない機体を生産してきたものである。
先行した猟兵達によって数は減らされているが、機体が逐次増産されるとあれば、悠長に構えている時間はないとアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は感じていた。
巨竜の如き機竜と合体を解いた『プロトミレス』を駆り、キャバリアライフルから放つ弾丸が『パラティヌス』たちへと迫る。
『エース』のモーションデータを搭載された『パラティヌス」たちは、その射撃が威嚇、牽制に過ぎぬことを理解しているように立ち回っている。
手にしたランスが射撃モードに切り替わり、アルカの駆る『プロトミレス』へと弾丸を放つ。
近づけばランスの鋭い一撃が飛んでくるのだ。
「やはり『エース』の動き。無駄がない……けれど!」
『プロトミレス』が残像を伴ってランスの刺突の一撃を躱す。
手にした実体剣の一撃でランスの穂先を切り飛ばし、返す刃で袈裟懸けに『パラティヌス』を両断する。
「とはいえ、数が多い……!」
猟兵達の目的はプラントの破壊である。
ここで『パラティヌス』に足止めされていては、本来の目的さえおぼつかなくなってしまうだろう。
だからこそ、アルカはおのれの視界にプラントを納める距離まで駆け抜ける。
突破を優先した『プロトミレス』に迫る『パラティヌス』の猛攻。
銃弾が飛び交う中、剣閃が走る。集団に圧殺するかのような『パラティヌス』たちは、おのれ達の損害を気にする必要はない。
プラントさえぶじであるのならば、次々に生産されるのだ。
自爆同然のような突進に『プロトミレス』が押される。
「……くっ、見えた! なら後は守りの硬さはもう関係ない――XXX-01Dα ルクス・ソリス集束モード(ルクス・ソリス)」
アルカの瞳がユーベルコードに輝き、彼女が見たプラントへとマーキングかされる。
合体を解除した機竜『ドラグレクス』の咆哮が聞こえる。
「あなたの居場所はもう“見えている”……後はお願いするわ、ドラグレクス。私たちの敵に、光の裁きを」
放たれるは、『ドラグレクス』による超精密砲撃。
狙いを過つことのない絶対なる一撃は、ビームの光条となって空より走り、プラントの堅牢なる装甲を溶解させていく。
先行した猟兵達の攻撃に寄ってもろくなっているとは言え、未だ貫くことはできない。
けれど、それでも後に繋ぐことができる。
「一撃で駄目なら何度でも」
アルカの瞳がユーベルコードという名の意志に輝いている。
何度でも。
諦めることを知らぬ不屈の闘志でもってアルカの瞳はプラントと『パラティヌス』を捉える。
機竜『ドラグレクス』の砲撃が雨のように降り注ぎ、破壊を齎す。
そう、諦めることはない。
おのれの中にある悲劇。それを齎した者、オブリビオンの名を知る限り、彼女の戦いは終わらぬのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
後は、戦うだけ…ディスポーザブル!
ディスポーザブル01を呼び出し、搭乗操縦。UCで自身を、機体を強化。
ホーミングレーザー射撃でし、砲火を潜り抜け迫る敵機達の機動を、瞬間思考力で見切り、
「その程度!ツェーンにもクリノ・クロアにも、及ばないッ!!」
エースを精確に模倣しようとも、嘗て相対した彼等に比べれば、意志持たぬキャバリアに負けるわけにはいかない!!
カウンター、プレスブロウの吹き飛ばし重量攻撃、殴ると見せて拳を発射、敵機を纏めて殴り飛ばして破壊。
もっとだ、もっと、これが壊れ失せるまで戦ってみせろ!!
継戦能力、残る敵機の近接武装を01の装甲で受け止め、パワークローで貫通攻撃。シールドごと穿ち壊す!
城塞地区における非戦闘員の避難は終わった。
猟兵達の活躍により、人的な被害は皆無。
そして、残るはオブリビオン化したプラントと其処から生み出されれるオブリビオンマシンの排除のみである。
ならば、己が何をするべきかをもう、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は理解していた。
「後は、戦うだけ……ディスポーザブル(タタカッテタタカッテタタカッテ)!」
その言葉と共に虚空より現れるのは堅牢なる装甲を持つキャバリアであった。
戦う意志が尽きることがないかぎり、彼女の生き方は変わらない。
成すべきことは変わらない。
それはどんなに時が経っても風化することのない一つの信念であったことだろう。
その瞳が輝き、小枝子の言葉に応じるようにジェネレーターの出力が上がっていく。
自覚なき悪霊。
それが小枝子という猟兵である。
「この生命が壊れ失せるまで」
己の肉体への負荷など知ったことではない。放たれるホーミングレーザーがオブリビオンマシン『パラティヌス』へと迫る。
しかし、『パラティヌス』には『エース』たる『フュンフ・ラーズグリーズ』のモーションデータが搭載されている。
その動きは機体の運動性を十二分に引き出すものであり、ホーミングレーザーを盾で受け流しながらディスポーザブルへと迫るのだ。
だが、小枝子もまた歴戦の猟兵である。
一瞬で敵の機動を読み切り、『パラティヌス』の機動へと先回りする。
「その程度! 『ツェーン』にも『クリノ・クロア』にも、及ばないッ!!」
狂える悪霊が吠える。
それは嘗て戦った『エース』たちと目の前の動きをもしただけの存在との差異を知るがゆえに。
意志もたぬ動きだけを再現した機体など小枝子にとっては無味乾燥なるものであったことだろう。
接近戦に持ち込んだ瞬間、『パラティヌス』がキャバリアブレードの一撃を振り下ろす。しかし、その一撃をカウンターのように放たれた拳が粉砕する。
「『エースを正確に模倣しようとも、嘗て相対した彼等に比べれば、意志保たぬキャバリアに負けるわけにはいかない!!」
しかし、放たれた拳の一撃はそれだけにとどまることをしない。
インパクトの瞬間に放たれた衝撃波が『パラティヌス』の胴を撃ち貫く。
それは重力兵器であるプレスブロウの一撃。
機動性を誇る『パラティヌス』にとって、小枝子の駆るディスポーザブルの動きは本来鈍重そのものであった。
けれど、彼女は踏み込みの所作のみでそれを凌駕する。
「もっとだ、もっと、これが壊れ失せるまで戦ってみせろ!!」
小枝子が咆哮する。
そこにあったのは、もはや悪霊でもなんでもない。
ただの戦鬼そのものであった。
群がる『パラティヌス』たちの猛攻を重装甲で受け止め、拳とパワークローの一撃で粉砕する。
つかみ、投げ放ち、穿ち、砕く。
戦場に響き渡る破壊の音。
それだけが小枝子の心を慰める。脳裏のどこかで響く声が聞こえる。
戦って、戦って、戦って……。
その果に何があるのかを小枝子は未だ知らず。
けれど、戦うことでだれかの明日を救うことが出来るのならば、小枝子は己の力を振るうことをやめないだろう。
ユーベルコードが輝く。
それは悪霊であったとしても、小枝子という猟兵の生命の煌めきであったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
※引き続き『ファントムシリカ』に乗って参戦
おーまた出てきましたねー
触手よりマシですかねキャバリアの形をしている分
性能がフュンフさん並みというのが面倒ですが
どうにかなるでしょなるなる
それじゃいっきますよー!
接近戦はパイロットに負担がかかる……っていないな!?
シリカ待って壊さないので!?
接近戦が最適解ですから今回?!
遠距離攻撃に一応気を付けつつ接近!
そしてフローライトダガー二刀流からの【疾風怒濤】
「手数こそ正義!参ります!」
攻撃回数重視でとにかく攻撃を叩き込んでいきましょう
ファントムクォーツユニット起動して
幻影でめくらまし&かく乱を忘れずに
攻撃食らうとシリカにひっかかれちゃいますからね!
オブリビオンマシン『パラティヌス』は次々とオブリビオン化したプラントより生み出されていく。
猟兵たちが一体を破壊するより早く増産される機体は、まるで昆虫を思わせるようでもあった。
巣穴を刺激したことによりわらわらと溢れ出てくるような奇妙さ。
全ての機体に差異はなく、搭乗者による動きのゆらぎ一つ無い光景は、人にとっては怖気を走らせるものであったことだろう。
「おーまたでてきましたねー触手よりはマシですかね。キャバリアの形をしている分」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)はクノイチ的にそんな事を考えていた。
触手はクノイチの天敵。
いや、コードなんですけど、とシリカが突っ込むがサージェは聞いていない。
「性能が『フュンフ』さん並というのが面倒ですが、どうにかなるでしょなるなる」
ならん。
そんなふうにシリカが爪をにゅってさせるが、サージェは聞かないふりをした。
どのみち戦って破壊しなければ、オブリビオンマシンは人々を襲ってしまうのだ。ここで退いてはクノイチ魂が廃るというものである。
「それじゃ、いっきますよー!」
紫と白を基調としたキャバリア『ファントムシリカ』が戦場を駆け抜ける。
オブリビオンマシン『パラティヌス』は攻防に優れ、高い運動性を有した機体である。
手にした盾とキャバリアソードをたぐり、動く姿は『フュンフ・ラーズグリーズ』のモーションデータを搭載しているだけあってなめらかなものであった。
けれど、サージェは敢えて接近戦に挑む。
シリカに壊さないでよ、と言われながらもサージェは接近戦を挑む。にゅっとまた爪が伸びているのがとても気になる。
「シリカ待って壊さないので!? 接近戦が最適解ですから、今回?!」
慌ててサージェが言い訳、もとい、戦術を展開する。
下手に射撃をされて流れ弾が当たるより、余程いいだろうとサージェは説得しつつ、敵の遠距離攻撃を殺すように懐に飛び込むのだ。
手にしたフローライトダガーが緑色の燐光を放ちながら、軌跡を描く。
「そにっくぶろー!!」
疾風怒濤(クリティカルアサシン)の如き二刀流による超高速連撃。
それは彼女のユーベルコードであり、高級量産機である『パラティヌス』の装甲を切り刻んでいく。
目にも留まらぬ超高速連撃は、斬撃の嵐となって『パラティヌス』の全身を刻んでいく。
「手数こそ正義! 参ります!」
敵が数で勝るのならば、こちらは攻撃の手を休めない超高速戦闘を繰り出すまでである。
ファントムクオーツが起動し、『ファントムシリカ』の機体が幻影と共に戦場を駆け抜ける。
その光景はまさに幻影の戦機そのものであったことだろう。
『パラティヌス』は幻影に翻弄され、互いに同士討ちを始めてしまう。本来、パイロットがいるのならば、起こり得ない同士討ちであった。
けれど、オブリビオンマシン『パラティヌス』は無人機。
それゆえに互いのことを気にかける必要はない。それを利用し、サージェは敵機を翻弄し続け、駆け抜けざまに放たれるフローライトダガーの斬撃が確実に『パラティヌス』の数を減らしていくのだ。
「べ、べつに攻撃食らうとシリカに引っかかれるから、ヒット・アンド・アウェイしているわけじゃないんですからね!」
いや、絶対にそれが本音だゾ。と謎の言い訳を残しながら、サージェはオブリビオンマシンの群れを殲滅し続け、プラントへ至る道を切り開くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
えーと…アインに迫るぐらいくそ強いエースのデータを利用した機体とかめちゃくちゃすぎねーか?
「大丈夫だよご主人サマ!あくまで動きをまねただけ!応用している訳じゃないよ!だよねアインちゃん☆」
【戦闘知識・情報収集・視力】
敵陣の動きと過去の戦いの記録のフュンフのデータとの差異を解析
「何より…」
僕らが後れを取るわけにはいかねーよなぁっ!
UC発動
お前ら相手には過ぎた技だが…エースの残影という事で特別です!
【空中戦・属性攻撃・弾幕・念動力・スナイパー】
暴走衛星の影響外の高度を保ちつつ念動力を纏い複雑かつ超高速で飛び回り超高熱熱線で蹂躙
【二回攻撃・切断・薙ぎ払い】
更に鎌剣で切り裂き破壊の限りを尽くす!
オブリビオン化したプラントより生み出されるオブリビオンマシンの全てに『フュンフ・ラーズグリーズ』のモーションデータが組み込まれていた。
その動きは確かに『エース』に次ぐ実力を持つ者のものであった。
集団戦ともなれば、その動きは顕著であった。
かえって無人機であるからこそ生かされるものであったのかもしれない。
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、その光景をみて、厄介なことに成ったとため息をついていた。
「えーと……『アイン』に迫るぐらいくそ強い『エース』のデータを利用した機体とかめちゃくちゃすぎねーか?」
彼の言葉も尤もである。
言ってみれば、数十、数百の『エース』が戦場を闊歩しているようなものである。
これが並の量産機であればまだいい。
相手にするのは高級量産機と呼ばれる『パラティヌス』である。
運動性にも優れ、攻防自在たる機体。それを相手取るのはカシムにとって、面倒なことこの上ないものであった。
「大丈夫だよご主人サマ! あくまで動きをまねただけ! 応用している訳じゃないよ! だよね『アイン』ちゃん☆」
『メルクリウス』がアバターであろうニワトリの姿でカシムの頭の上に立つ。
「そういうこった。泣き言は後からにしろ。ついで、後でも聞かねーからな」
そんな『アイン』の機体が駆け出している。
猟兵により新生された機体『熾星』は、慣熟訓練も終えていないであろうに、『アイン』は手足のように扱っている。
そんな彼女が泣き言は聞かないと言っているのだ。
ならば、カシムは覚悟を決める。自分だってやらねばならぬことぐらい理解しているのだ。
敵陣のうg気と過去の戦いの記録をさかのぼっていく。
『フュンフ・ラーズグリーズ』と言う『エース』。確かに『エース』と呼ばれるまでに成長したパイロットであるが、モーションデータに使われているのは、オブリビオンマシンに乗っていた頃の未熟な『エース』のものである。
だからこそ、そこに活路はあるのだ。
確かに泣き言を言ったのかもしれない。けれど、それは気休めの冗談みたいなものだ。
当事者である『アイン』がやる気なのだ。やらねば男が廃る。
「何より……」
そう、何よりである。カシムの瞳がユーベルコードに輝く。
神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)が起動する。それは『メルクリウス』の加速装置を起動させ、神速の機体とも呼ばれる『メルクリウス』の速度をさらに三倍にまで引き上げる力。
「僕らが遅れを取るわけにはいかねーよなぁっ!」
疾走る『メルクリウス』の残影は、『パラティヌス』のセンサーに影すら残さなかった。
『メルクリウス』が駆け抜けた後にあるのは、オブリビオンマシンの残骸だけ。
彼の前に敵はあれど、彼の通った後に敵はなし。
機体に刻まれた傷跡は、熱線の痕。
残像すら残さぬ速度で持って放たれた超好熱熱線の蹂躙は、誰の目にも止まることはなかっただろう。
「お前ら相手には過ぎた技だが……『エース』の残影ということで特別です!」
『メルクリウス』のアイセンサーが煌めく。
加速装置によって引き上げられた最高速度は、まさに神速そのもの。
駆け抜ける『メルクリウス』を捉えることもできず、本来の『パラティヌス』の強みである集団戦も機能していない。
接近に気がついた瞬間には、鎌剣の一撃が、首を切り落としているのだ。
蹂躙という言葉がまさにしっくり来る斬撃の嵐。
それはまさに一瞬の出来事であったことだろう。『アイン』の称賛する声さえも遠く聞こえるような気がした。
「さっすがご主人サマ☆」
この加速した世界の中で、カシムに唯一ついてこれる者がいたのだとしたら、『メルクリウス』だけであったことだろう。
その力を十全に発揮し、『メルクリウス』は誇るように鎌剣を掲げ、プラントを守る『パラティヌス』の一群を霧散させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
テラ・ウィンディア
エースのデータを模倣した敵か!
ならば血が騒ぐな!
【戦闘知識】
冷徹にその動きを見据え分析
癖や攻撃モーションのパターンを把握
更に敵陣とプラントの位置も捕捉
【空中機動・見切り・第六感・残像・オーラ防御・武器受け】
高速で飛び回りながら敵の攻撃を回避
避けきれないのはオーラ展開や武器で受け止め回避
UC発動
【弾幕・属性攻撃・貫通攻撃】
ガンドライドとドリルビット展開
ガンドライドで火炎弾を乱射
【二回攻撃・早業・串刺し】
剣と槍による連続斬撃から突き刺し
敵を破壊しつくしながらもプラントを捕捉
上空へと上がり被害を最小限に
すまないな
だがこうするしかないんだ
【重量攻撃・砲撃】
プラントに向けてマイクロブラックホール発射!
『エース』と呼ばれるパイロットがクロムキャバリアには存在している。
卓越したキャバリア操縦の技術を持ち、その存在が戦場に現れれば勝利を齎す。
それが『エース』である。
ならばこそ、強者との戦いを求め、相対する強敵を前にして恐れではなく高ぶる気持ちを抑えることのできない者であれば、目の前に広がる『パラティヌス』と呼ばれる高級量産機を如何なる気持ちで見つめていただろうか。
「『エース』のデータを模倣した敵か! ならば血が騒ぐな!」
テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は心躍らせていた。
『エース』という存在を知っている。
彼女はいつか『アイン』にも胸を借りる思いであったが、いち早く『エース』の技量持つ存在と相対できることに高鳴る胸を止められないでいた。
けれど、彼女の瞳は冷静に敵の動きを分析していた。
高ぶれど、心の中にあるのは冷静そのものである。
彼女は戦いを求め、己の技量を高めることに喜びを見出すのかもしれない。けれど、その熱に浮かされて自身と戦場を見誤ることはないのだ。
「なるほど……確かに綺麗な動き……だけど、それだけだな!」
三界神機『ヘカテイア』の中に搭載された魔術動力炉が重たい音を立てて起動する。重力を操る力を持つ機体は、浮遊し、一気に城塞地区を飛ぶ。
放たれるランスの銃撃を躱し、テラは動きを見切っていく。
躱しきれない攻撃があったとしても、展開されたオーラで弾く。『エース』と呼ばれた存在のモーションデータだけを持ってきても強者たり得ないことをテラは知った。
「リミッター解除…グラビティリアクターフルドライブ…!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
敵はただの模倣者。
決して『エース』ではない。ならば、テラの敵などではないのだ。展開されたガンドライドとドリルビットが『ヘカティア』の周囲に浮かび、己の敵を穿つ。
『パラティヌス』はたしかに手強いキャバリアなのだろう。
けれど、画一化されたモーションのせいで、動きを見切れば恐れるには足りない。
結局の所、パイロットによる動きのゆらぎが無い分、先読みするのが容易いのだ。
「その程度で『エース』を量産したつもりか、オブリビオン!」
一直線に『ヘカティア』が駆け抜ける。凄まじい速度で飛び、手にした剣と槍が『パラティヌス』を貫き破壊して、プラントを目指すのだ。
未だプラントはオブリビオンマシンを生産し続けているが、多くの猟兵が道を作ってくれた。
それを塞ぐようにして溢れ出るオブリビオンマシンの尽くをテラと『ヘカティア』が撃滅していく。
「プラント……確かに人々には必要なもの。明日のためには、なくてはならないもの……」
爆風の中飛び上がった『ヘカティア』のアイセンサーとテラの瞳がプラントを見据える。
猟兵に寄って堅牢なる装甲は損害を受けている。
けれど、まだ破壊できていない。
「すまないな。だがこうするしかないんだ――ブラックホールキャノン…起動…!」
それは冥界の炎『ギガスブレイカー』(キョジンヲウチヤブルモノ)。
超重力を操る『ヘカティア』だからこそ為せる力。
圧縮された魔力が生み出す超重力の弾丸は、暗獄の力をもって解き放たれ、プラントへと撃ち込まれる。
周囲の『パラティヌス』を巻き込みながら、破壊の力を撒き散らし、堅牢なる装甲を根こそぎ削ぎ落とす。
人々にとってプラントは喪ってはならぬもの。
けれど、今の猟兵達にオブリビオン化したものを元に戻すことはできない。今は破壊こそが最善。
テラは苦々しい思いと共に放った一撃がプラントに甚大なる被害を齎す様を見下ろすしかなかった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・カンナビス
綺麗な動きですね。
ドライブソースコードの最適化が進んでいるのでしょう。
航空機のフライトコントロールと違い、キャバリアは
変数が多すぎて最適化しづらく、パターン選択だけで
済まされがちです。
そこをしっかり開発するとこうなるわけです、が。
キャバリアを肉体の一部として扱う故に最適化が異常に早い、
その能力でソースコード開発のためのテストパイロットを
務めていた私の、全力を尽くした作品がエイストラです。
どれほど優秀な素材であろうと、人間の自然脳を用いる
パイロットのデータでは、決して追い付きません。
何よりも――「選択と決断」が凡庸では鉄屑と一緒です。
そっちのデータはコピー採取不可能ですから。
先制攻撃/指定UC。
猟兵達のオブリビオン化したプラントへの攻撃が始まっている。
砲火が結ばれ、戦場に爆発が巻き起こる。
これが戦場の常であるが、そこには人が介在するがゆえにゆらぎが生じる。それを見るに耐えぬと思うか、それとも不規則さにこそ美しさを見出すかは人それぞれであろう。
破壊されても、破壊されても、プラントより生産され起動しつづける『パラティヌス』には『エース』のモーションデータが搭載されている。
それは『フュンフ・ラーズグリーズ』と呼ばれるパイロットのデータであった。
データにより同一の存在となった『パラティヌス』の集団で戦う姿は、ノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)にとって綺麗なものであると映っただろう。
「ドライブソースコードの最適化が進んでいるのでしょう」
彼女は冷静に『パラティヌス』の動きを分析していた。
「航空機のフライトコントロールと違い、キャバリアは変数が多すぎて最適化しづらく、パターン選択だけで済まされがちです」
けれど、そこを踏まえた上で開発すると目の前の『パラティヌス』のようにぐんたいアリのような整然とした集団へと変貌するのだ。
それは並のパイロットであれば対抗することさえ難しかっただろう。
しかも、自機の損壊を厭わぬ無人機。
ならば、それは圧倒的な悪魔の軍隊とも呼ぶべき存在。
「ですが……」
ノエルはキャバリア『エイストラ』と共に戦場に立つ。
どれだけデータで最適化した動き、無駄のない連携を行うのだとしても、キャバリアを肉体の一部、延長線として扱うゆえに最適化されたソースコードを開発するために己という存在がいる。
彼女が全力を尽くした作品とも言うべき機体が『エイストラ』である。
「どれほど優秀な素材であろうと、人間の自然農を用いるパイロットのデータでは、決して追いつけません」
フォックストロット。
彼女と『エイストラ』の動きはまるで社交ダンスを踊るように『パラティヌス』たちを翻弄する。
どれだけ戦術に長け、正確な動きをするのだとしても、呼吸をずらすようにして動く『エイストラ』を捉えることはできない。
空を切る攻撃をノエルは見やる。
どれもこれもが模倣。
その斬撃に生身のゆらぎがない。
『エース』に次ぐ能力を持っていた頃の『フュンフ・ラーズグリーズ』の模倣では、己を捉えることはできなのだとノエルは正しく認識していた。それ以上に――。
「何よりも――『選択と決断』が凡庸では鉄くずと一緒です」
生身のパイロットだからこそ、得られるもの。
それをデータ化することはできないであろうし、ノエルは息を吐き出す。
つまらないとも思っただろう。
画一化された動き。
まるで反射的に対応しているだけに過ぎない『パラティヌス』の動き。どれも単調。ダンスの相手を務めるには何もかもが足りない。
すれ違いざまに放たれる弾丸が次々と『パラティヌス』を貫き、破壊していく。
戦場にあって、彼女の機体に傷を付けるには値しない模倣者たち。その残骸が、積み上げられ、ノエルはプラントへの道を拓く。
「鉄屑と踊る趣味はありません。次に必要な経験則、そして課題。それを踏襲する暇すら与えることはありませんよ」
ノエルの言葉と共に銃弾が撃ち込まれ、また一機『パラティヌス』が戦場に沈むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
……オブリビオン化したプラントからオブリビオンマシンが生まれる…ね
…オブリオンマシンで世界が埋め尽くされそうだなこれ…
…幸いなのは生み出されている物が「無人機」だと言うところか…
…AIが集団戦を仕掛けるなら…当然データのやりとりは行われているわけだ…
…浸透破壊術式【ベルゼブブ】を潜ませた魔法陣を敵に認識させて【浮かびて消える生命の残滓】で生命をもたせたウィルスを感染させてAIの機能を停止させてしまおう…
…電子戦用の防壁があってもウイルスには人間以上の知性を持たせているので自力攻略出来る…
…データリンクを介してどんどん感染を広げて行くよ…
…後は…勿体ないけどプラントは破壊するしかないかな…
小国家『グリプ5』の郊外は、嘗ての敵対国『フィアレーゲン』からの亡命者たちの難民キャンプが設立されていた。
彼等はわだかまりを解きほぐし、徐々にであるが互いの感情を織り合わせていった。そのために必要だったのは存在意義であり、仕事であったのだろう。
郊外をいつまでも郊外のまま、難民キャンプとして放置しておくことはできなかった。
だからこそ、プラントを一基設置し城塞地区として国の一部として取り込むことにしたのだ。
未だ感情のわだかまりはある。
そう簡単に拭えるものではない。それはわかっている。けれど、それでも歩み寄ることができるからこそ、人々は多くを乗り越えてきたのだ。
けれど、オブリビオン化したプラントは、それを容易に吹き飛ばす。
まるで何事もなかったように、道端の雑草を踏みつけるような自然さで持って、人々の善意を燃やすのだ。
「……オブリビオン化したプラントからオブリビオンマシンが生まれる……ね」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、それがあまりにも厄介なことであると理解していた。
プラントは無尽蔵に資源を生み出す遺失技術の粋を集めたものである。
本来なら人々の生活を支えるものであるが、オブリビオンマシンだけを生産するように成ったのならば、どうなるかなどわかりきっている。
「オブリビオンマシンで世界が埋め尽くされそうだなこれ……」
幸いなのは無人機だけであるということだろう。
高級量産機『パラティヌス』。その動きは画一化されてはいるものの、モーションデータは『エース』である『フュンフ・ラーズグリーズ』のものである。
それは全ての機体が『フュンフ・ラーズグリーズ』と同じ動きをし、集団の質を向上させる。
「……AIが集団戦を仕掛けるなら……当然データのやりとりは行われているわけだ」
逐次アップデートするつもりなのならば、当然ネットワークで機体同士をリンクさせて、戦術を練り上げていることだろう。
メンカルは其処にこそ付け入る隙が在ると判断した。
浸透破壊術式『ベルゼブブ』を潜ませた魔法陣を展開し、メンカルは己の姿を『パラティヌス』へと認識させる。
生身単身でキャバリアに相対するのは、クロムキャバリアに生きる者ではありえぬ選択であったことだろう。
超常の人である猟兵であるからこそ、為せること。
それ以上に、メンカルの瞳に輝くのはユーベルコードである。
「造られし者よ、起きよ、目覚めよ。汝は蜻蛉、汝は仮初。魔女が望むは刹那を彩る泡沫の夢」
詠唱と共に生み出されるのは、生命をもたせたウィルス。
ネットワークに侵入し、その浮かびて消える生命の残滓(メメント・モリ)でもってAIを繋ぐネットワークの機能を停止させる力である。
「……認識したね」
ただそれだけでいいのだ。
こちらを敵として認識した瞬間、メンカルの生み出したウィルスは浸透破壊術式を含んだままAIのネットワークに侵入し、その根底を破壊しようとするのだ。
たとえ、電子戦用の防壁が在ったのだとしても関係がない。
どれだけセキュリティを強化し、ファイアウォールを展開しようとしても遅い。人間以上の知性を持つメンカル謹製のウィルスは自己でもって障壁を解析し、進化し、攻略していく。
「データリンクしていたのが運の尽きさ。これを止めるにはデータリンクを切るしかない……けれど、切ってしまえば、他の一群と連携できなくなる……後は他の猟兵たちが切り崩してくれる」
メンカルにとっては意志保たぬ存在など容易いものである。
次々と動きを止め、メンカルの前で擱座していく『パラティヌス』たち。
それを見上げ、メンカルはプラントの破壊を思う。
「……勿体ない」
そう、プラント破壊など本来は不利益しかも足らさない。
このクロムキャバリアにおいて資源を無尽蔵に生み出すプラントは、諍いの種であると同時に生きるために必要なものだ。
それをオブリビオン化したからと言って破壊するのは……あまりにも下策。
けれど、オブリビオンマシンしか生産しなくなったというのであれば、それ以上の悲劇が生み出されてしまう。
一般人にはただのキャバリアにしか見えないオブリビオンマシン。
その認識の差が歯がゆい。
メンカルはそれでも破壊するしかないと判断した。多くの明日が喪われる未来を回避し、それでもより良い明日を掴み取るために――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
うーん無難に手堅い装備
まあでも結局エースの動きを模倣しても、所詮は真似事
本物の動きには至らない…かなあ?
まあこれが量産出来て、安全に運用出来ればそりゃ良いんだろうけど
ちょっとフラグ立て過ぎたのが原因かな?
お約束お約束
●
EX:I.S.T[BK0001]には引き続き騎乗
そして【Code:P.D】起動
12体雷龍、最大サイズで召喚
バイクで戦場を駆け、戦況を『情報収集』しながら龍を運用
攻撃は回避しつつ、余波は『オーラ防御』でシールド
龍達は基本2対1になるように敵機と対峙させ、雷の『ブレス攻撃』や雷の牙や爪で『串刺し』にして各個撃破していこう
エースの動きをしてるからって人型以外の経験なんてそう無いでしょ?
「うーん無難に手堅い装備」
それがオブリビオンマシン『パラティヌス』への第一印象であった。
月夜・玲(頂の探究者・f01605)の好みとは逸れるものがあったのかもしれない。そこに『フュンフ・ラーズグリーズ』のモーションデータが組み込まれているという事実は、少しの興味をかきたてるものであったかもしれないが、前のめりになるかと問われれば、それは違うものであったことだろう。
「まあでも結局『エース』の動きを模倣しても、所詮は真似事。本物の動きには至らない……かなあ?」
技術者としての分析が、それを驚異とはみなせないでいる。
玲にとって、あれがもしも量産でき、安全に運用されるのであれば、それは小国家にとって有益なことであろう。
けれど、それは成らない。
プラントはオブリビオン化しているし、小国家にとってプラントとはキャバリアだけを生産させるためのものではないからだ。
人が生きるためには食料も電力も、あらゆるものが必要になる。
「ちょっとフラグ立てすぎたのが原因かな? お約束お約束」
玲は模造神器を運用補助するための特殊バイクにまたがったまま、頷く。
結局どれだけ事件の黒幕が裏で手を回したのだとしても、猟兵に感知された時点目論見は御破算となる運命であったのだ。
例え、これがその目論見の中の段階を踏む程度のものでしかなかったのだとしても、確実に猟兵は知という剣でもって敵の喉元に切っ先を突きつけることになるだろう。
それを黒幕は未だ知らぬのだ。
「カートリッジロード、プログラム展開。雷龍召喚――Code:P.D(コード・プラズマ・ドラゴン)」
玲の瞳がユーベルコードに輝く。
エナジーカートリッジが消耗され、雷で構成された全長5mにも及ぶ龍を召喚せしめる。
それはまさにオブリビオンマシン『パラティヌス』たちにとっては、青天の霹靂のような光景であったことだろう。
これまで猟兵たちが駆るキャバリアに対する対抗措置は蓄えられていた。
けれど、玲の召喚せしめた雷龍たちは違う。
人型と戦うのと、モンスターの如き龍と戦うのとでは勝手が違う。
「ま、そうだよね。キャバリアが人型であることが多い以上、その経験値は限られる……人型以外と戦うなんて経験そうないでしょ」
雷龍たちが『パラティヌス』へと迫る。
二体でもって一体の『パラティヌス』を蹂躙していく。
特殊バイクに搭載したエナジーカートリッジがまた一つ消耗されていく。
「強いんだけど、消耗の速さがなー……もっと燃費良くならないものかな」
同時に12体。さらに最大サイズで召喚すれば、こんなものかと思わないでもない。それでもエナジーカートリッジが消耗するのは、それだけで玲の懐が寒くなる要因でもある。
今月のクレジット的なあれやそれやどれは大丈夫だろうかと要らぬ心配をしそうになる。
けれど、玲は特殊バイクと共に全速力で突っ切っていく。
敵が自分の姿に釘付けに成ればなるほどに雷龍たちの攻撃は『パラティヌス』たちを捉えやすくなるだろう。
陽動と撃滅。
それを繰り返す玲は、また一つエナジーカートリッジが消耗し、特殊バイクから排出されていくのを見やり、出費の大きさに頭を悩ませる。
「その上、プラントまで破壊しないといけないってのがなぁ……手堅い装備の機体を生み出す手管といい、ジリジリこっちを追い詰める作戦なのかな」
黒幕の思惑がどうであれ、玲はこの戦いを切り抜けるしか無いと知る。
どのみち敵は、姿を表さないだろう。
本当に邪悪なる者は己の姿を隠し続ける。勝利を確信し、弱者を装いながら強者を食い物にしていく。
そんな存在を玲は薄っすらと感じながら迫る脅威を振り払い続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
(戦闘要員しか戦場に存在しない故に機能ロック、電脳空間に戻る電脳剣に頭下げ)
Ⅳのベース機であるパラティヌスとは
施設を破壊しかねぬ大火力でなく接近戦に長けた機体…防衛にはうってつけですね
アイン様、一機ずつ相手どるのは手間です
元を叩く為にプラントへ肉薄しましょう
(電脳剣通常駆動の簡易電脳魔術でキャバリアサイズに巨大化したUCを取り出し)
互いの機体を補助ブースターとして使い、一息に敵軍を蹴散らします
推力ベクトルの微調整は…貴女であれば心配は無用ですね
さあ、参りましょう!
機械槍の突撃で防衛部隊に風穴を開け
この世界の貴女には思う所あるやもしれませんが…
アイン様はプラントを
私は貴女の背をお預かりします!
電脳禁忌剣は、危機的状況でなければ本来の力を発揮しないものである。
それは非戦闘員たちが危機に陥り、絶体絶命の状況であるからこそアンロックされ、本来の力を齎す。
ゆえに、今城塞地区には戦う者しか存在しない。
騎士として護るべき者のいない戦場にあっては、電脳禁忌剣の力は過ぎたるものである。
トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は電脳空間に収められる剣に一礼し、『ロシナンテⅣ』を駆る。
未だオブリビオン化したプラントより生産され続けるオブリビオンマシン『パラティヌス』は、本来近接戦闘に長け、攻防に優れた高い運動性を持つ機体である。
こと防衛という目的に至っては、それはうってつけであると彼は理解していたい。
「『アイン』様、一機ずつ相手取るのは手間です。元を叩く為にプラントへ肉薄しましょう」
トリテレイアはすでに戦場を駆け抜けている青い流星の如き機動を見せる『アイン』の駆る『熾星』の姿を見やる。
彼女はすでに『熾星』を己のものとし、扱いにくい機体を十全に操縦している。ならばこその提言であった。
「あ? んだよ、それは……?」
「暴れ馬ならぬ暴れ槍ですが……」
キャバリアサイズに巨大化した艦船強襲用超大型突撃機械槍(ロケットブースターランス・ウォーマシンカスタム)は、『アイン』の目にも明らかに異様なる存在として目に映ったことだろう。
キャバリアよりも巨大な槍。
それは一機では支えることはできず、おそらく城塞などの頑強なる存在を貫くものなのだろう。
それを一機で制御するのはほぼ不可能。
だからこそ、トリテレイアは『アイン』に協力を求めたのだ。
「はっ! これで全部まとめて吹っ飛ばすってことかよ。気に入った!」
「ならば、参りましょう!」
互いの機体を補助ブースターとして扱う。それがトリテレイアの目論見であった。ただいたずらに艦船強襲用超大型突撃機械槍を放っても『パラティヌス』たちの妨害でプラントを貫くことは阻止されるだろう。
ならばこそ、補助ブースターとして己達のキャバリアが姿勢を制御し、確実にプランを破壊する一撃となさしめるのだ。
「推力ベクトルの微調整は――」
「言うまでもねぇ! いくぞ!」
互いのタイミングを合わせ、艦船強襲用超大型突撃機械槍と共に飛ぶ機体。
目指すはプラント。
多くの猟兵達の働きによってもろく、そして穿たれてきた堅牢なる装甲。一点集中で穿たれ続けてきた装甲はもう後ひと押し。
迫る『パラティヌス』たちがそれを阻止せんと迫るが、艦船強襲用超大型突撃機械槍を止めることはできない。
近づく端から『ロシナンテⅣ』と『熾星』のサブアームによる射撃で打ち倒されていく。
「この世界の貴女には思う所があるやもしれませんが……」
「言うなよ。憎まれ役は私で十分だ。あんたらはよくやってくれてる。いや、感謝すべきなんだろうさ。だからさ――!」
『ロシナンテⅣ』が離れ、『熾星』の背中を護るように追いすがる『パラティヌス』たちを撃滅する。
「私は貴女の背中をお預かりします!」
大地に降り立つ『ロシナンテⅣ』。その背後で青い流星がプラントへと不可逆なる一撃を見舞う。
プラントが揺れる。
爆発が内部から引き起こされ、堅牢なる装甲さえもひしゃげさせる。
もう後戻りはできない。
一基のプラントが破壊され、『グリプ5』の人々の生活は困窮へと歩を進めるだろう。
けれど、それをしなければさらなる災厄が訪れることを猟兵達は知る。
オブリビオンマシンは一般の者たちには認識できない。今回の事件だってそうだろう。
だからこそ、トリテレイアは固く約束するしかない。
例え、明日が今日よりも困難なものであったとしても。それでも続く未来は、平和へと続くのだということを――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『MCK04SC-パラティヌス・スローター』
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POW : BSフレイムガン&RS-Sグレネードランチャー
【耐熱塗装を施した機体が装備する銃火器】から【対人用の広域火炎放射】か【対装甲榴弾】を放ち、【酸欠と火傷】もしくは【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : RBXSランスライフル&Sマイン&EPジャミング
【連射ビームと共に対人殺傷用鉄片と妨害電波】を降らせる事で、戦場全体が【情報封鎖されたキャバリアによる虐殺現場】と同じ環境に変化する。[情報封鎖されたキャバリアによる虐殺現場]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ : RSレッグガン&RS-Fポイズンソー
自身の【脚部対人機銃を掃射、精密狙撃の精度】を代償に、【複数の対人・対キャバリア用無人ユニット】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【対装甲機械刃と自爆、戦場に散布する毒ガス】で戦う。
イラスト:イプシロン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達の攻撃に寄ってオブリビオン化したプラントは、『アイン』の駆る『熾星』の一撃でもって完全に破壊された。
オブリビオン化したプラントは破壊しなければならない。
けれど、それは猟兵だけが認識できることだ。
一般人たちにはオブリビオンマシンも、オブリビオン化したプラントも認識できない。
それが世界の理であることは理解している。
人々にとって説明がなければいたずらに破壊を齎したのは猟兵であるということになる。
プラントという己達の生活の礎を破壊する存在。
どれだけ『アイン』や上層部たちが説明したのだとしても、『グリプ5』という小国家に災いを齎したのが、猟兵や『フィアレーゲン』からの亡命者達であるという風にわずかでも映ってしまう。
それが黒幕の策動、その一部であるというのなら悪意以外の何者でもない。
だが、それ以上にオブリビオンマシンを裏で手繰る者の悪意は人々に向けられる。
「――チッ……最後っ屁とでも言うのかよ」
『アイン』は破壊したプラントの中から、最後に増産されたオブリビオンマシンの群れを見る。
形は『パラティヌス』そのもの。
だが色と装備が違う。浮かぶユニットや武装はあらゆるものが対人仕様。
人間を殺すためだけに造られた武装を身にまとい、『パラティヌス・スローター』が起動する。
彼等の目的は一目瞭然であった。
城塞地区を抜け、市街地へと侵攻する。その対人兵器の全てでもって『グリプ5』の要である人々を虐殺せんとするのだ。
今、ここに悪意の瞳が灯る。
あらゆる生命に破滅を。
死を振りまき、『フュンフ・エイル』の築いたもの全てを否定する悪意が、牙をむく――。
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『これが策のうちであろうと…俺は人々を守る!!』
【オーラ防御】でスターインパルスの防御を固め、【フェイント】と【残像】を織り交ぜつつ突撃する。パルスマシンガンでの【制圧射撃】と特式機甲剣『シラヌイ』での【なぎ払い】や【鎧砕き】を叩き込む
『あいにく…炎には慣れてんでな!!この程度…ぬるい!!』
ユーベルコード【ドラゴニック・オーバーエンド】を発動!オブリビオンマシンを殴りつぶす!!
オブリビオン化するプラント。
それが例え、この事件の裏にて糸引く存在の目論見どおりに事が運んでいるのだとしても、猟兵はやってきたことだろう。
恐れを知らぬわけではない。
恐れを知り、そして喪われる生命の重さを知るからこそ、猟兵は危険な戦場を疾走る。
事件の黒幕には理解できないだろう。
今も尚姿を表さず、ただ密かに事を成し遂げようと暗躍する者。
「これが策のうちであろうと……俺は人々を護る!!」
ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)はキャバリア『スターインパルス』と共に戦場を駆け抜ける。
オブリビオン化したプラントは破壊された。
けれど、最後に生産されたオブリビオンマシン『パラティヌス』は、これまで相手をしてきた『パラティヌス』とは違う存在であった。
色や外観が違うのはもとより、その性質、目的が違う。
『パラティヌス』が対キャバリア戦を想定しているのはわかる。
このクロムキャバリアにおいてキャバリアこそが戦術兵器の花形。だからこそ、どのキャバリアもキャバリアとの戦闘をすることに重きを置いている。
けれど、最後に生産された機体は違う。
『パラティヌス・スローター』――対人を想定に入れ、虐殺を旨とする機体が城塞地区を抜け、市街地へと入ったのならば何が起こるのかなど想像に難くない。
「城塞地区の避難が完了していたのは、不幸中の幸いってやつだな……!」
ガイは『スターインパルス』と共に突撃する。
オーラを重ね、吹き荒れる火炎放射器の炎を残像を伴いながら突っ切るのだ。
対人であれば、その炎は十分な威力を持っていただろう。
けれど、鋼鉄の巨人たるキャバリアにはそうではない。あくまで人を殺すための兵器。
キャバリアも、それに変わりはないだろう。
けれど、一方的な虐殺を忌み嫌うのが人の性であるというのならば、ガイは、その性にこそ希望を見出すのだ。
「この戦乱の世界を生き抜くためには――!」
確かに強さがなければ生きていけないだろう。
けれど、それ以上に大切なものがある。パルスマシンガンでの牽制射撃の後に、特殊超合金の片刃剣を奮って『パラティヌス・スローター』の一機を切り裂く。
「あいにく……炎には慣れてんでな!! この程度……ぬるい!!」
輝くユベルコードがキャバリア『スターインパルス』の拳に集約する。
その一撃はオブリビオンマシンを殴りつけ、紅蓮の炎と漆黒の雷纏いし二頭のドラゴンが後を追うようにして『パラティヌス・スローター』を飲み込んでいく。
爆散する機体を背に、『スターインパルス』は疾走る。
もはやプラントからオブリビオンマシンが生み出されることはない。
けれど、未だ数を残している『パラティヌス・スローター』を放置しておけば、一機だけでも市街地に入った瞬間、虐殺が起こってしまう。
「そうはさせるかよ!」
溢れるユーベルコードの輝きは、ガイの怒りであったことだろう。
これほどの虐殺非道。
悪逆なる行いを赦してはおけないのだ。
振るう拳と二頭のドラゴンが戦場を縦断していく。
それは『グリプ5』の市民たち全ての心の中にある、より良い明日をかげらせる暗雲を切り裂く輝きであったことだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
対人武装を満載した虐殺用オブリビオンマシンなんて、市街地へは進ませないわ。ここで叩く!
引き続き飛鉢法で宙を動きながら。
復興後のことを考えてる余裕は無さそう。
「結界術」「全力魔法」風の「属性攻撃」「衝撃波」「仙術」「道術」で風吼陣。
広範囲に剣を孕んだ暴嵐を形成し敵機をまとめて切り裂く。
市民の避難が終わっていたのだけが幸いね。『アイン』を巻き込まないよう微調整。
敵機の火炎放射は「オーラ防御」と「火炎耐性」で凌ぎましょう。
そもそも風吼陣の中で、火炎放射だの榴弾だのの狙いを付けられると思わないでね。
榴弾は極力回避。どうせ当たってへ飛んでいくけど、あたしのところへ届いたら薙刀で打ち返しましょうか!
オブリビオン化したプラントより最後に生産されたオブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』は対人において最大の効果を発揮するキャバリアであった。
あらゆる武装が対人に特化したものであり、一機でも『グリプ5』の市街地に入り込めば、虐殺が起こることは容易に想像できた。
ここ、城塞地区がもしも、猟兵に寄って完全に避難が済んでいなかったのだとしたら。
今頃、この城塞地区は阿鼻叫喚の地獄絵図へと変貌していたことだろう。
火炎放射器に機銃、殺人鉄片など、あらゆる武装で持って人々を殺し、一つの生命の存在すらも許さなかったはずだ。
猟兵が城塞地区の人々を一人残らず避難させたことは、この状況の中にあって、一つの幸いであったことだろう。
「対人武装を満載した虐殺用オブリビオンマシンなんて……」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は目の前の光景に歯噛みする。
無事に城塞地区の人びとが避難できていたから良かったようなものだ。
もしも、避難が遅れていたり、完了していなかった場合、猟兵達は彼等を護るために戦うだろう。
それは足枷となって猟兵たちを苦しめる。
そこまで考えて黒幕は猟兵たちを呼び寄せたのだとしたら、その目的は小国家の破壊にほかならないだろう。
人の間に亀裂を走らせ、戦乱に次ぐ戦乱でもって人の心を疲弊させ、ささくれさせていく。
その悪辣をゆかりは赦してはおけなかった。
「市街地へは進ませないわ、ここで叩く!」
鉄鉢にのってゆかりは飛ぶ。
城塞地区の復興のことを彼女は勘定に入れてはいなかった。
その余裕がなかったというのもあるのだろう。輝く瞳に寄ってユーベルコードが発現する。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天上までも響き渡る破壊の風よ。その身に宿せし無限の剣刃により触れるもの悉くを裁断せよ。疾!」
自身を中心として、無数の刃をはらむ暴風圏が形成されていく。
それは、風吼陣(フウコウジン)。
広範囲に広がる暴風は、火炎放射を行う『パラティヌス・スローター』の炎をかき消しながら、風の刃でもってオブリビオンマシンを切り裂いていく。
その中を『アイン』の駆る『熾星』が飛ぶようにして進んでいく。
彼女を巻き込まぬようにとしていたゆかりにとって、それはあまりにも無謀であった。
「『アイン』! 下がりなさい!」
その言葉に彼女は耳を貸すことはなかった。
怒り心頭であるのだろう。けれど、彼女の戦術機動は風の刃を躱して飛んでいる。ゆかりがコントロールしているとは言え、向こう見ずな戦い。
彼女をたしなめようとしてもゆかりは、己を狙う『パラティヌス・スローター』の猛攻にさらされる。
対人を目的に造られた機体であるのならばこそ、生身単身でいるゆかりを狙うのは道理であった。
火炎放射の炎がゆかりを襲う。
それをオーラの力でもって防ぐが、そもそも暴風の中で威力の弱まった炎でもって自身をどうにかしようというのが間違いなのだ。
「無駄よ! 今更榴弾なんて、狙いを付けることもできないでしょう!」
放たれた榴弾の一撃をゆかりは薙刀で払い、そのまま一直線に空へと飛び上がり、鉄鉢の推力と共に薙刀の一閃を『パラティヌス・スローター』に放つ。
頭上より股下まで一刀のもとに両断された『パラティヌス・スローター』が爆散する中、ゆかりは暴風の中を飛ぶ。
未だ『パラティヌス・スローター』は完全に殲滅できたわけではない。
一機たりとて、そして一人たりとて犠牲にせぬこと。
それが猟兵に残された最善であると知るからこそ、ゆかりは己の力の続く限り絶陣を維持し続け、オブリビオンマシンの悪意を振り払うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
(クイーンザルディア発動状態のまま続投)
【心境】
「はん。黒幕が誰かは知らぬが…。これは相当性根が腐ってるとしか言いようのないな。」
悪魔の証明。プラントが失われた今、プラントの破壊する理由が証明できない。かといって証明などする時間もなかった。
まったく胸糞悪いものだ。なあユーリー…。
【行動】
敵の機動を『瞬間思考力』で先読みし、『ダッシュ』で回避しながら『カウンター』でイニティウムで敵機を『切断』する。
数が多いな。ダークマンティスの『レーザー射撃』を『範囲攻撃』モードでまとめて吹き飛ばそう。
まてよ、『ハッキング』『情報収集』
敵機を何機か動けなくしたら何か情報が残っていないか確認してみるか。
猟兵以外にオブリビオンマシンを認識することは出来ない。
オブリビオンマシンとキャバリア、その外観の違いはなく、どれだけ一般の人々にオブリビオンマシンの脅威を説いたところで認識でぬものを理解できるわけがない。
それゆえにクロムキャバリアにおいて戦乱は収まらない。
人の不和を持って、戦禍の火種を撒き散らす。
それがオブリビオンマシンである。
だからこそ、オブリビオン化したプラントの証明を猟兵はできない。
何故、破壊するのかと一般市民達は叫ぶだろう。ただキャバリアを過剰に作ってしまっただけではないかと。
人は不安になれば己の見たいもの、聞きたいものだけを知る。
それ以外の情報を断ち切り、不安と恐怖に駆られるままに内に、内にこもろうとする。
「はん。黒幕が誰かは知らぬが……これは相当性根が腐ってるとしか言いようがないな」
悪魔の証明であるとユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)――、否、ユーディー・ザルティアは呟いた。
オブリビオン化したプラントを破壊する理由を人々に猟兵は証明するすべがない。破壊した後では、どれだけの危険性があるのかも実証できない。
かといって、証明するだけの時間などなかったのだ。
事態は一刻を争っていた。
喪われる生命がなかったこと幸いでしか無い。
「だが、それでも不信と不安、そして恐怖だけが『グリプ5』の人々には残る。まったく胸糞悪いものだ。なあユーリー……」
それでも捨て置くことはできない。
サイキックキャバリア『クイーンザルティア』が戦場を駆ける。
対するオブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』は対人に特化した機体である。
ならばこそ、妨害電波と殺人鉄片、そしてビームの乱射の中を先読みし、躱して飛ぶ。
疾駆する機体は凄まじい速度で『パラティヌス・スローター』へと迫り、キャバリアブレードの一撃でもって、悪意溢れる機体を両断する。
「数が多いな……『ダークマンティス』」
背面に装備された超巨大荷電粒子ビームの砲門が地面と水平に並ぶ。充填されたエネルギーが奔流となって戦場を走り、凄まじい熱量で持って『パラティヌス・スローター』を薙ぎ払っていく。
吹き飛ばされていく『パラティヌス・スローター』の殆どは蒸発していったが、それでも爆発を避けた機体が大地に擱座している。
「……まてよ」
ユーディーは気がつく。
もしも、だ。もしも、生み出されたオブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』が今までの『パラティヌス』と同じ様にネットワークでつながり、情報を更新していたのだとしたら。
何か情報が残っているかもしれない。『クイーンザルティア』からハッキングし、機体の内部に残っている情報を精査していく。
だが、何も残っていない。空振りだったかと思った瞬間、『クイーンザルティア』に割り込む何かがあった。
「これは意外だったね。統一帝国の皇女とは。私も少しは世話になったことの在る身。一応は礼を尽くそう。一度目は見逃すがね。二度目はないと思ってくれたまえ」
甘やかな声であった。
どこにでもいて、どこにもいない。
そんな雰囲気すら感じさせる声。それは、ユーディーにとっては耳障りな声であったことだろう。
何者だと言う言葉を遮るようにして声は言う。
「帝国の名を持つ小国家の皇女殿下ならば、名乗ろうか。かつては、『サスナー第一帝国』、『バンブーク第二帝国』をもって『フュンフ・エイル』に滅ぼされた者とでも。私はね、ただ滅ぼしたいだけなんだ。自分を滅ぼしたものが築き上げたものを全て」
自分の愉悦のためだけに。
最も『フュンフ・エイル』が嫌がるやり方で、と。
「ほざけよ、小者が」
次の瞬間、通信が途切れる。その残滓、追跡はできなかったけれど、ユーディーは知るのだ。
真に悪辣鳴るものは隠れ潜み、自分で手をくださない。もしも、手を下すことがあったのならば、それは己の勝利が確定した時のみ。
未だ戦乱の幕切れは遠く。
されど、悪意だけが今も尚育つ戦場に彼女はまだ立っている――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・カンナビス
硬衝撃波で吹き飛ばしたら手っ取り早いのですが、
混戦状況では少々危険ですね。
火炎も榴弾も、情報封鎖も毒ガスも脅威にはなりません。
とはいえ硬衝撃波なしで掃討を急ぐとなると、ふむ。
普段使わない制圧射撃プログラムを使いますかね……。
ロードOSS、ランOSS、オントリガー。さて、と。
では突撃を。
索敵/ダッシュ/推力移動/操縦/先制攻撃で敵の只中に飛び込み、
貫通攻撃/プラズマライフル及び鎧無視攻撃/プラズマキャノンの
重連射をもって全周囲掃討射撃を実行。
第六感/見切り/軽業による敵弾回避、オーラ防御(と称する
ガーディアン装甲の近接防御機能)で爆風など吹き飛ばし、
火炎放射は環境耐性/火炎耐性でOK。
遅いです。
全てを吹き飛ばすことができたのならば、どんなに楽であろうか。
あらゆる問題の全てを即座に解決できるだけの力。
オブリビオン化したプラントは破壊されたが、最後に生産されたオブリビオンマシンは『パラティヌス』と同じ外観を持ちながら、色も性質も違うものであった。
赤い『パラティヌス』は『パラティヌス・スローター』と呼ばれる対人兵装を持つオブリビオンマシンであった。
城塞地区の非戦闘員の避難が完全に完了していたことは不幸中の幸いというほかない。
もしも、避難が完了していなかったのならば、この城塞地区は今頃血に染まっていたことだろう。
火炎放射器による炎、殺人鉄片による蹂躙、情報封鎖に毒ガスといったあらゆる対人兵装に寄って人々は殺し尽くされていたことだろう。
「硬衝撃波で吹き飛ばしたら手っ取り早いのですが、この混戦状況では……少々危険ですね」
ノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)は、現状を把握する。
他の猟兵の機体を巻き込むのは彼女にとって本意ではない。
とは言え、キャバリアに乗っている彼女にとって、『パラティヌス・スローター』の武装はどれも脅威ではなかった。
けれど、彼女の機体『エイストラ』の持つ硬衝撃波を使っての掃討をしないとなると、彼女はわずかに考える。
「普段使わない制圧射撃プログラムを使いますかね。ロードOSS、ランOSS、オントリガー。さて、と」
では、突撃をとノエルの瞳がユーベルコードに輝く。
機体に備えられた全ビーム兵器の照準が彼女の瞳に寄ってロックされる。
全ては『パラティヌス・スローター』を破壊するため。
的確な索敵と機体の推力移動。
敵に先制される前に一群の中に飛び込み、プラズマライフルとプラズマライフルカノンの重連射でもって全方位に射撃を実行する。
トリガーをひく。
そこに重さはない。敵は無人機であるし、歯ごたえがあるとは感じていなかった。
「広範囲の炎……」
反射的に動いていた。
『パラティヌス・スローター』の放つ火炎放射器の炎は、『エイストラ』の装甲をかすめることさえしなかった。
躱す必要もなかったかもしれないとノエルは思ったことだろう。
何もかもが遅い。
鈍重過ぎるとさえ思った。なぜなら、彼等の兵装は全て速度ある敵を叩くものではない。
「対人兵装というのはこれだから」
自分たちよりも小さな相手を殺す武装。脚部に備えられた機銃一つとってもそうだ。弱いものを虐げるためだけの武装。
殺人鉄片も、毒ガスもそうだ。
ただ生命を殺すためだけの武器。そこにキャバリアを打倒するために生み出されたプラズマライフルの弾丸が負けるわけがないのだ。
「一機でも撃ち漏らせば、市街地に入られる。それこそ目的であるのならば」
やはり、ノエルには脅威には思えなかったことだろう。
キャバリアが己の身体の延長線上にある彼女にとって、この世界の全てが遅いとかじる。
発せられる言葉も遅れて聞こえる。
トリガーを引くというよりもトリガーを引くと意識した瞬間にプラズマの弾丸が『パラティヌス・スローター』たちを穿つ。
「――遅いです」
ため息が出るほど退屈な相手。
ノエルは、己の周囲に点在した『パラティヌス・スローター』の一部を尽く打倒し、残骸を積み重ねていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
……“殲禍炎剣を討とうという無謀な試み”も“暴走したプラント”も、
邪魔しなければ死人が出て、邪魔すればオブリビオンを知らない人々からは恨まれる様になってる
本当に、嫌がらせが段々上手くなっているみたいね
再度アルカレクスへと融合合体、
サイズ差にEフィールドでの防護結界、エネルギー偏向装甲に自己修復機能もあるから多少の被弾は無視、サイズ差と出力任せで突っ込み、
足止めを図る敵機をドリルに変形した腕で殴り飛ばし、ドラグキャリバーで叩き切り、
離脱を図るもの含めてより多くの敵を捉えたら【BS-BXステラ・プルウィア】での一掃を狙う
……それでも私は、“私達”は、
あのマシンを討ち、もう繰り返させはしないだけよ
オブリビオンの目論見はいつも悪辣なものである。
言いようのない怒りが己の身体の中から湧き上がってくるのをアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は感じたことだろう。
「……“殲禍炎剣を討とうという無謀な試み”も“暴走したプラント”も、邪魔しなければ死人が出て、邪魔をすればオブリビオンを知らない人々から恨まれるようになってる」
今回の事件を経て、アルカは再認識したのだ。
黒幕がどんな人物であれ、やり口が用意周到すぎる。
事件を起こせば猟兵がやってくることを見越した上で、オブリビオンマシンが勝っても負けても、黒幕の望む方向へと事態が転ぶように成っているのだ。
「本当に、嫌がらせが段々うまくなっているみたいね」
歯噛みする。
けれど、今はそんな暇もない。
彼女にはやらなければならないことが未だ山積しているからだ。
オブリビオン化したプラントが最後に生み出した対人兵装を積んだ『パラティヌス』、その名を『パラティヌス・スローター』と呼ばれる機体が未だ城塞地区を跋扈している。
これらを取り除かなければ、『グリプ5』と『フィアレーゲン』からの亡命者たちの間に再び湧き上がるわだかまりをどうにかするどころではないのだ。
「『ドラグレクス』!」
キャバリア『プロトミレス』と共に機竜と合体し、融合した『アルカレクス・ドラグソリス』へと変貌した巨竜の如き姿でもって彼女は睥睨する。
『パラティヌス・スローター』たちが放つ榴弾は尽くがエナジーフィールドとエネルギー偏向装甲によって防がれ、よしんば装甲に傷をつけられたとしても、自己修復機能で問題にはならない。
「足止めなんて今更……!」
その巨竜の如き姿でもって、ジェネレーターから出力される力を振るう。
回転衝角へと変形させた巨腕が振り抜かれ、『パラティヌス・スローター』の機体を穿つ。
さらに竜尾が変形したドラグキャリバーの一撃が一刀のもとに両断するのだ。
「市街地に逃げ込む……いえ、市街地でこそ虐殺を行うつもりね! させるものですか!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝き、『アルカレクス・ドラグソリス』の機体に配された結晶が光を湛える。
「全敵ロック……天より降り注げ、星の雨(ステラ・プルウィア)!」
放たれる無数のホーミングレーザーが、彼女の瞳に捉えた市街地へと向かう『パラティヌス・スローター』たちを捉える。
レーザーが彼等のスラスターや脚部を撃ち抜く。
かく座しても尚、その兵装を展開しようとする彼等の元に『アルカレクス・ドラグソリス』が空より舞い降り、強靭なる脚部で持って踏みつけ破壊する。
爆炎の中、飛び交う殺人兵装を振り払い、結晶部からホーミングレーザーを解き放ち、尽くを撃ち落としては破壊する。
きっとこの光景は何も知らぬ『グリプ5』の市民たちには、いたずらに破壊を齎す存在にしか見えないことだろう。
一般市民達はオブリビオンマシンをオブリビオンマシンとして認識できない。
であるからこそ悲劇は起こる。
争乱が引き起こされ、平和とは程遠い日々が続く。誰もが望んだ闘争ではない。誰だって平和を求めている。
けれど、それが最も遠いものであるとアルカは知っている。
「……それでも私は、“私達”は、あのマシンを討ち、もう繰り返させはしないだけよ」
彼女の決意は固い。
そうだ。そのとおりなのだ。
彼女は望まない。己に起こった悲劇を。他の誰にも味あわせたくない。だからこそ、戦うのだ。
例え、人々に謗られようとも、それでもよりよい未来に繋がる明日を求めて――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
悪意を向けられる?
そんなのは別にかまわないよ。それが生きている人なら、ね。
わたしたちは『イレギュラー』だもん。
ただ『フィアレーゲン』の人たちにまで、させたくはないかな。
恨むならわたしたちを恨んでね。実際にやったのはわたしたたちだし。
さて恨まれても、それでもオブリビオンマシンに『グリプ5』をやらせるわけにはいかないよね。
対人兵器なら【ネルトリンゲン】で十分耐えられるはず。空母に戻って街を護るよ!
『希』ちゃん、【ネルトリンゲン】急速発進。壁になるよ。
発進と同時に【フレーム・アドバンス】で敵の速度を鈍らせて、みんなの援護もしつつ、【M.P.M.S】で弾幕を張るね。
グリプ5には近づかせない、よー!
人は悪意に弱い生き物である。
それに耐えることができるのだとしても、すべての人がそこまで強いわけではない。
だからこそ、人は己の身を守るために善意で武装する。
悪性こそが人の本質であるというのならば、心を鎧わねば生きていくことだって難しい。
オブリビオンマシンの背後で事を手繰る黒幕は、それを理解していた。
どれだけ強力な力を持つ存在であったとしても、心までもが強靭であるわけがない。
例え、強靭な心を持っていたとしても百の悪意を、百で足りなければ千の。千で足りなければ万の悪意を育み蝕むことを成す存在が、クロムキャバリアには居る。
「悪意を向けられる。そんなのは別に構わないよ」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)にとって、それはなんてことのないものであった。
仮に猟兵がプラントを破壊したことで『グリプ5』の市民たちから悪感情を抱かれるのだとしても、理緒にとってそこは問題ではなかった。
生きている以上、誰かを憎むこともあるだろう。
けれど、彼女は思うのだ。
それもまた当然であろうと。なにせ、自分たちは『イレギュラー』である。世界を移動する存在。世界にとっては異物そのものであろう。
世界に選ばれた戦士である猟兵であっても、それは変わらない。
「けど、『フィアレーゲン』の人たちにまで、させたくはないかな」
彼女が心配していたのは亡国である『フィアレーゲン』より亡命してきた人々であった。
彼等は漸くにして『グリプ5』との間にあったわだかまりを解消しはじめていたのだ。まるで見計らったかのようなタイミングでオブリビオンマシンが事件を起こしたことは、理緒にとって理不尽そのものであった。
だからこそ、理緒はもしも、恨みが生まれるのであれば、己達を恨めばいいとさえ思っていたのだ。
「恨まれても、それでもオブリビオンマシンに『グリプ5』をやらせるわけにはいかないよね」
彼女は戦闘空母『ネルトリンゲン』の艦橋で迫る『パラティヌス・スローター』の一群を見やる。
あの『パラティヌス・スローター』の武装の殆どは対人兵装ばかりであった。
人々を虐殺することだけを目的とした兵装であるのならば『ネルトリンゲン』に傷をつけることはできないだろう。
「『希』ちゃん、『ネルトリンゲン』急速発進。敵が市街地に入る前に、壁になるよ」
理緒のやるべきことは一つだ。
あの『パラティヌス・スローター』が市街地に入れば、虐殺が引き起こされてしまう。たった一機であっても、それを鎮圧するまでにどれだけの生命が喪われるかわかったものではない。
だからこそ、理緒の瞳がユーベルコードに輝く。
『ネルトリンゲン』の艦橋から外部カメラで確認した『パラティヌス・スローター』たちをトリミングし同期プログラムを走らせる。
それは彼女のユーベルコードであり、電脳魔術でもある。
現実と電脳空間を同期させることによって、その動きを遅らせたり、停止させることができるのだ。
「みんなの援護! けど、わたしだってやるときはやるんだから。『グリプ5』には近づかせない、よー!」
『ネルトリンゲン』より放たれるミサイルランチャーが、次々と展開された無人殺戮機構であるユニットを撃ち落としていく。
人を殺すためだけの兵器。
それを展開し、毒ガス散布すら行ってしまう兵器は一つ残らず撃ち落とされていく。
取りこぼすことがないのは、理緒のユーベルコードのお陰であろう。
動きを全て電脳空間と繋ぎ、動悸させては全ての動きを遅らせる。
「色んな人達が努力して、歩み寄って、それで全部がなかったことになってならないけれど、それでも必死に明日を生きているんだから!」
それを邪魔することは赦してはおけない。
理緒は、誰かのために戦うからこそ、ユーベルコードを振るう。
『フィアレーゲン』からの亡命者たちと『グリプ5』の市民たちの間には、また再び溝が出来ただろう。
けれど、知っているのだ。
これまで彼等がどんなに挫けそうになっても必ず手を差し伸べる者たちがいたからこそ、今日という日まで人の歩みは止まらなかったのだと――。
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
※引き続き『ファントムシリカ』に乗って参戦
さっせるかー!
(市街地に向かおうとするパラティヌス・スローターを
横から全力ドロップキック!)
ええ、全力で邪魔しますよー
人と人の想いがぶつかるのならその結果は致し方なしとも思えますが
オブリビオンマシンの思惑だけは許すわけにはいかないのです!
というわけでシリカ!
ここだけは無理します!
あっえっとその!こわさないので!たぶん壊れないので!
セラフィナイトスピアで障壁張るので!
火炎放射も対装甲榴弾もなんのその!
全部弾き返して
「強き一撃は悪意をも砕く! 参ります!」
【疾風怒濤】の攻撃力重視でどかーん!と
一撃必殺決めます!
どうして私はばりぃされたんですかね?(いたい
オブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』は、クロムキャバリアの世界において、キャバリアが戦場の主役であるのに対し、対人武装を積み込んだ機体である。
対人機銃はもとより、毒ガス、情報封鎖、回転鋸の付いた対人ユニットなど、どれもが人に対してのみ有効な武装であった。
今も振るわれている広範囲に渡る火炎放射器の炎もそうだ。
キャバリアの装甲であれば、炎は防げる。表面装甲を融解させ、剥離させるほどの火力はない。
けれど、それ以上に脅威だったのは一体でも市街地に入り込めば、一瞬で数多の生命が喪われるということであった。
オブリビオンマシンが猟兵を打倒する必要はない。
ただ市街地へと突破し、『グリプ5』の市民の生命を奪いさえすれば、猟兵達に対する信頼は地に失墜する。
「さっせるかー!」
だが、その企みはサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)の駆る『ファントムシリカ』のアンダーフレーム、その脚部による全力のドロップキックに寄って阻まれる。
凄まじい轟音を立て、機体と機体がぶつかる。
それはサージェなりの宣言であった。
「ええ、全力で邪魔しますよー」
バーチャルキャラクターであるサージェにとって人と人とのぶつかりは日常茶飯事であった。
対戦ゲームなど例を上げればきりがない。
人と人の想いがぶつかるのなら、その結果は致し方なしとも思えるが、オブリビオンマシンによる思惑は赦してはおけないのだ。
「というわけでシリカ! 此処だけは無理し……ってぎにゃー!?」
早速サージェの褐色肌に縦線が疾走る。
な、なんで!? とサージェは涙目になって白猫又のシリカに訴える。何か悪いことをしただろうかとさえ思ったのだ。
まだ壊してないし、多分壊れないと思ったのだ。
「盛大にドロップキック。そういうのやめてって言ってるでしょ」」
にゅっと爪が伸びている。
あ、これはさっきのドロップキックの分なんだとサージェは思ったが、これからの行動如何によっては、さらにばりぃっとされることになるのかと戦々恐々である。
「あっえっとその! こわさないので! 多分壊れないので!」
ね! とセラフィナイトスピアでもって障壁を張り、火炎放射の炎や榴弾を防ぐ。もう必死であった。
全部弾き返しながら、サージェは敵よりもシリカのほうを気にしてしまう。
一挙手一投足全てが見られている。
少しでも乱暴な操縦をしようものなら、いつでもばりぃってされる構えである。目の前のオブリビオンマシンを同行する前に、まずはシリカの審査を切り抜けなければならないのは、皮肉以外の何ものでもなかった。
「け、けれど! 強き一撃は悪意をも砕く! 参ります!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
おなじみの、そにっくぶろー! である。手にしたセラフィナイトスピアの前面にユーベルコードが輝き、その超高速連続攻撃が『パラティヌス・スローター』へと叩き込まれる。
凄まじい連撃は、機体の四肢を砕き、最後の一撃で無人のコクピットを貫く。
爆散する『パラティヌス・スローター』の横を疾風怒濤(クリティカルアサシン)の如く駆け抜けるサージェ。
それは、戦場にあって目にも留まらぬ速度であったことだろう。
未だにサージェはドロップキックをしたせいでシリカのじとっとした視線を感じつつ、未だ見ぬお仕置きという名のばりぃ! に怯えながら、それでも『パラティヌス・スローター』を撃破し、オブリビオンマシンの齎す悪意の闇を振り払い続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(引き続き試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に騎乗)
…遺失技術に頼るとこういう時に困る…修理もそうだけど原因究明がし辛い…
…あのプラントが新しく設置したものなら最初から何か仕掛けられていた可能性も考えないとな…
…最優先は毒ガスの対処だな…【我が手に傅く万物の理】を発動…周囲の無機物をリスト化…
…毒ガスの構成要素を分析…医療製薬術式【ノーデンス】で中和剤を作って散布…無力化しよう…
…更に自爆用の火薬も構成要素を弄って無力化…
後は無人ユニットとスローターを雷撃術式を飛ばして撃ち落としてしまうか…
…さて…リスト内のプラントの残骸の中に不審な素材が引っかかれば良いのだけど…どうだろうな…
プラントはクロムキャバリアにおいて唯一無二なる技術である。
けれど、それらを修繕、製造するという技術は喪われて久しい。遺失技術が生活の基盤と成っているからこそ、このクロムキャバリアの世界にあってはプラントの奪い合いで戦争が起こる。
もしも、人びとが分け合うことを覚えていたのならば、戦争は起こらなかったかもしれない。
そして、無尽蔵に資源を生産することのできるプラントがあればこそ、人々は歩み寄ることもできたのかもしれなかった。
けれど、そうはならなかったのだ。
「……遺失技術に頼るとこういう時に困る……修理もそうだけど、原因究明がし辛い……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は試作型術式騎兵『ツィルニトラ』を駆り、破壊されたプラントを見やる。
あのプラントが新しく設置されたものであるのならば、最初から何かが仕掛けられていた可能性もありえるだろう。
そもそもあのプラントは『フィアレーゲン』からの難民者たちのいた難民キャンプの中心に備えられていた。
生み出された資源でもって郊外の難民キャンプを壁で多い城塞地区へと変える。そうして徐々に『グリプ5』の市民との距離を縮めていけば、きっとわだかまりは消える。
そのはずだったのだ。
「……後で考えよう。最優先は毒ガスの対処だな……撒き散らされたら、除染作業が面倒だ……」
そう、プラントが破壊される今際の際に生み出された『パラティヌス』は対人武装を積み込んだ『パラティヌス・スローター』と呼ばれる機種であった。
積み込まれた武装の数々は全てが対人仕様のものばかり。
キャバリアを破壊すると言うよりも、その地区に住む人間の虐殺だけを目的に製造された機体であった。
「数多の元素よ、記せ、綴れ、汝は見識、汝は目録。魔女が望むは森羅万物全て操る百科の書」
メンカルのユーベルコード、我が手に傅く万物の理(マテリアル・コントロール)を持って、周囲の無機物をリスト化し、放たれた毒ガスの構成成分を分析していく。
さらに医療製薬術式『ノーデンス』でもって中和剤を作って散布し、除染を行っていく。
どれだけ毒ガスでもって周囲が汚染されたとしても、中和剤さえあれば、戦いが終わった後の復興がスムーズに行えるはずだ。
「さて、自爆用の火薬も構成要素をいじって無力化したことだし……」
後はと、メンカルは雷撃術式を飛ばして無人ユニットと『パラティヌス・スローター』を打ちのめす。
彼女にとって、それは難しいことではなかった。
例え、どれだけ対人仕様になっていたのだとしても、それらを無効化されては、『パラティヌス・スローター』は貧弱な武装しかもたぬキャバリアに他ならない。
雷撃術式を防ぐ手立てのないオブリビオンマシンは次々と爆散するしか無いのだ。
「……リスト内のプラントの残骸の中に不審な素材が引っかかれば良いのだけど……どうだろうな」
メンカルはユーベルコードに寄ってリスト化された無機物を見やる。
特に目立つ要素はない。
けれど、メンカルは一つ考える。
『グリプ5』と言えど、プラントの数には限りがある。
これまで『グリプ5』も小国家として成り立たせるために必要であったプラントはギリギリであったはずなのだ。
なのに、その一つを難民とは言え、嘗ての敵国のために分け与えるだろうか。
ましてや、彼等の居住地である難民キャンプの中心に。
「……考えれば、あり得ない」
そう、ありえないのだ。人びとがどれだけ誰かのために何かをすることに意義を見出したとしても、此処はクロムキャバリアである。
彼等がなんのために争ってきたのかを考えれば、簡単なことだった。
「……プラントのために戦争をしていたのに、プラントを分け与える……」
は、とメンカルは無機物をリスト化してもわからぬことにこそ、今回のプラントがオブリビオン化したことの真があることを知る。
「……どこからか持ってきた、としか考えられない。プラントが余るということはない。けれど、小国家が滅んでいたのならば」
そう滅びた小国家は一つ。
この『グリプ5』の周辺にある小国家は『フルーⅦ』、『フォン・リィゥ共和国』、『シーヴァスリー』、『八咫神国』。
『フィアレーゲン』は滅びたが、全てのプラントは『シーヴァスリー』に接収されている。
残る四つの国の内、もっとも政情が荒れているのは何処か。
そう、『八咫神国』と『フルーⅦ』。
『フルーⅦ』は持ち直しているが、『八咫神国』は完全に瓦解している。そこから持ってきた、もしくは齎されたのならば。
「……その時点で黒幕の手が入っていた。真っ黒だな、『八咫神国』……」
大方瓦解する国から亡命する際に手土産で持ってきた国の上層部が居たのかもしれない。
メンカルは未だ事件が終わっていないことを確信し、この小国家の中の隅々にまで入り込んだ闇を垣間見たのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
ロシナンテⅣとして運用する機体を『パラティヌス』と決めた際、かの機種の存在は耳にしましたが
…『戦闘兵器』の持つ本質をまざまざと見せつけられるようです
UCの動作を完全にキャバリアで再現
サブアームのライフルで回りの敵を牽制しつつ
踊るように、しかし不規則に
敵手を戸惑わせる一見不合理な戦闘機動でビームの雨を掻い潜り肉薄
突き出すランスを弾き、三連斬で瞬きの前に四肢斬り落とし
止めの一撃で動力部を両断
それを繰り返し敵部隊を殲滅
騎士も、猟兵も、キャバリアも
願わくば必要なき方が良い“力”です
ですが“悪意”ある限り
どのような形であれ、私達は戦い続けなくてはなりません
善き明日を迎える為に
そうでしょう? アイン様
トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)がクロムキャバリアにおいて、キャバリアを用意し、運用するために選んだ機体を『パラティヌス』に定めた時、彼は『パラティヌス』という機体にいくつかのバリエーションがあることを知っていた。
対人武装を積み、破壊ではなく虐殺という行為によって小国家を制圧する機体『パラティヌス・スローター』があることを知っていた。
けれど、それで彼がどうにかできたわけではないし、『グリプ5』の現状を防ぐことができかと言われれば、答えは否である。
「……『戦闘兵器』の持つ本質をまざまざと見せつけられるようです」
情報封鎖された城塞地区。
あらゆる電波を妨害するジャミングでもって猟兵達と『グリプ5』の上層部は連絡を取ることができない。
今この現状を見られたとして、猟兵達はプラントを悪戯に破壊しただけにしか見えないだろう。
例え『フィアレーゲン』の難民たちが真実を語ったのだとしても、目の前に破壊されたプラントがある事実は変わらない。
「……悪辣な。どちらに転んでも、私達の勝利とは言い難い……!」
トリテレイアは、この絵図を描いた黒幕の策動の深さを知る。
『ロシナンテⅣ』のサブアームによって懸架されたライフルから弾丸を放ち、『パラティヌス・スローター』を牽制する。
踊るように、しかし不規則なる動きで持って敵機を惑わせ、偽・銀河帝国騎士熟練戦闘技巧(インペリアルナイツバトルアーツ・イミテイト)は、その力を発露させる。
硝煙弾雨の中を踏破するかの如き巧みな足運びは、キャバリアという巨大な兵器をしても反映されるものである。
幻惑するような挙動は無人機である『パラティヌス・スローター』たちにとっても、対処のしようがないものであったことだろう。
「遅い!」
放たれたランスの一撃を大盾で弾き、剣の三連撃が瞬く間に『パラティヌス・スローター』の四肢を切り落とし、コクピットを剣の切っ先が貫くのだ。
敵部隊の数も猟兵達の戦いによって減ってきている。
けれど、それ以上にトリテレイアが気になったのは、『アイン』であった。
彼女の駆る『熾星』は、己と機体のベースを同じくするものであったが、それでも彼女の操縦技術と、性質のせいであろうか、別物と言っていい形になっている。
「騎士も、猟兵も、キャバリアも、願わくば必要なき方が良い“力”です」
トリテレイアは思うのだ。
力は必要であれど、その必要とされる場がなければいいと。
力必要な場には必ず悲劇がある。悲劇があるということは、誰かが泣いているということだ。ならばこそ、トリテレイアは、その悲劇を生み出す大元を断ち切りたいと願う。
「ですが“悪意”ある限り、どのような形であれ、私達は戦い続けなければなりません」
『ロシナンテⅣ』の剣が『パラティヌス・スローター』の機体を袈裟懸けに切り裂く。
一閃の後に爆発が引き起こされ、アイセンサーの煌めきが迸るだろう。
「平和の意味を知らぬのならば、私達がそれを作ればいい。だからこそ、戦わねばならない」
『アイン』の『熾星』が戦場を疾走る。
トリテレイアと同じ思いであったことだろう。
善き明日を迎えるために。
共に戦場に立っているということは、志を同じくするということである。
だからこそ、トリテレイアは言うのだ。
「そうでしょう? 『アイン』様」
「ああ、そのとおりだよ。私は私の兄弟たちが明日を笑って迎えられるようにする。そのために今まで生きてきたし、これからもそうするために生命を使う」
彼女は戦争犯罪者として名を連ねている。
暗躍していたのもそうだ。
彼女の弟妹を手にかけてしまったのもまた、オブリビオンマシンに関わる事件であったからであろう。
「『ドライ』、『フィーア』……私が救えなかった彼奴等のためにも」
「ならばこそ、共に戦いましょう。それができるだけの“力”が此処にあるのですから」
トリテレイアは共に並び立つ騎士として、戦場を疾走る。
たった一つの取りこぼしもないようにと、己の持てる力でもって、悪意を切り裂く刃となるのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
確かにちょっと…いや、かなり入れ込み過ぎたかな1つの国に…
ま、それについては後で考えるとして…
さて、普通の人には普通の機体もオブリビオンマシンも区別が付かない
じゃあ何が黒幕に対して嫌がらせになるか考えると…
世界観が違う、生身の人間が暴れてやる事かな
●
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【光剣解放】起動
1120本の光剣を伴い敵機の撃破に向かおう
光剣は100本1組で運用
敵機を狙いつつ無人機が射出されたらそいつも纏めて『串刺し』
毒ガスが散布されたら『天候操作』、上昇気流で『吹き飛ばし』て対処
私も『オーラ防御』で機銃から身を守りつつ『斬撃波』で敵の頭部を狙って行動の阻害をしてようか
『グリプ5』を巡る一連の事件。
全てにオブリビオンマシンが関わっていることは言うまでもない。けれど、その黒幕とも言うべき存在が描いた絵図は、まさに今ここに結実している。
どうあがいても猟兵の存在が人々の心に悪感情を募らせる方向へと向かっている。
「確かにちょっと……いや、かなり入れ込みすぎたかな、一つの国に……」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は二振りの模造神器を抜き払う。
『グリプ5』を取り巻く小国家は多い。
そのうちの一つ『フィアレーゲン』は滅亡し、新たなる小国家『シーヴァスリー』の台頭を招いた。
『フルーⅦ』は体制が入れ替わり、不安定な政情となっているし、『八咫神国』もまた瓦解寸前に至っている。
中立を保っている『ファン・リィゥ共和国』は未だ座して動かない。
明らかにパワーバランスが悪くなっている。
今や『グリプ5』を凌ぐ勢いを持つ『シーヴァスリー』は、その国としての有り様すら全容を見せることはない。
「ま、それについては後で考えるとして……」
玲は抜き払った模造神器をユーベルコードに輝かせる。
光剣解放(セイバー・リリース)によって生み出された光の剣が千を越える数でもって空に浮かぶ。
それは非現実的な光景であったであろうし、オブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』にとってもありえぬ戦力差であった。
「機能解放、光剣よ舞い踊れ!」
玲が戦場に駆け出す。
彼女が疾走る傍を飛ぶ光剣が群れをなしてオブリビオンマシンを刺し穿ち、破壊していく。
百で一つの群れとなる光剣が十を越える。
百の光剣に狙われた『パラティヌス・スローター』が猛攻を前に耐えることなどできようはずがない。
「――……だが、それでも君らは間に合わぬよ」
何処かで甘やかな声が聞こえた気がした。
けれど、玲はそれを無視する。なんやかんやと黒幕気取っている者が何を考えているかなど彼女にはお見通しであった。
黒幕が何を嫌がるのか。
そう、黒幕が『グリプ5』、もとい『フュンフ・エイル』に対して悪辣さを持って当たろうとするのならばこそ、玲はそれが嫌がることをすると決めたのだ。
「毒ガスなんて無意味、上昇気流を操作してやればこの通りさ」
模造神器が青く輝き、毒ガスを放たれても全てが空の彼方に巻き上げられ霧散していく。
さらに放たれた機銃の弾丸すらも玲は生身単身で防いで見せるのだ。
その光景はきっと市街地に退避し、城塞地区を見下ろす『フィアレーゲン』の人々も見たであろう。
同時に、『ツェーン』と呼ばれる少女も見ていた。
彼女が憧れためちゃくちゃな存在。キャバリアしかないと思っていた己の人生に、メカニックという新たな道標を示してくれた存在。
その力を彼女は見ていた。芽生えるものがあった。
「……やっぱり、すごい」
玲が放つ斬撃波の一撃が『パラティヌス・スローター』の頭部を切り裂く。
それを甘やかな声の主は忌々しい気持ちで見ていたことだろう。
彼が描いた絵図の中で唯一思い通りにならなかったことがある。
それは――『ツェーン』がキャバリアに乗らない未来があったということ。もしも、玲がいなければ、彼女が『ツェーン』に道を示さなければ、黒幕の描く絵図は、もっと完璧なものであったことだろう。
何気ない一言であったのかもしれない。
けれど、それは確かに未来を変えたのだろう。
憧れの瞳にユーベルコードの輝きが反射している。玲の戦う姿、己の研究開発し、為し得た力によって外敵を振り払う姿は、クロムキャバリアという巨大人型兵器が戦場の主役となる世界において、まさに異質そのもの。
「世界観が違うって言うなら正解だよ。キャバリア以上の生身の人間、超常の人がいるってことが」
オブリビオンマシンの存在を否定する。
振り抜いた模造神器と、光剣の群れが空を染め上げる中、玲は笑う。笑って戦う。どんなに悲惨な未来が待っていたとしても、笑うのが大人であると言わんばかりに少女に見せるのだ。
「どん詰まりの未来だって、こんなにもまだ笑えるってことをさ」
大人が笑わないでどうする。
玲は、『パラティヌス・スローター』の残骸の上で、『ツェーン』に笑いかけるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
「ご主人サマ!アレやろう!」
ばか野郎!またあの地獄をやれってか!?
「でも対人らしいから囮になるよ!」
くっ!仕方ねぇ!
おいアイン達!僕の護衛頼む!
此から「囮」を展開する!
【視力・戦闘知識】
敵の進行防止と己のUC展開に足る位置の把握
UC発動
幼女ハザード発生!(囮…?)
「「ひゃっはー☆」」
10師団は主とアイン達の護衛
残り突撃
残り
【属性攻撃・弾幕・空中戦・念動力】
空を飛び念動障壁で攻撃を防ぎ凍結光線で一斉射撃
【二回攻撃・切断・盗み・盗み攻撃】
鎌剣持って群がり切り刻みバラバラに
金目のものは強奪
【情報収集】
機体を捉え通信機器等を調べつつ
下手すると黒幕もカオスに巻き込む(!?)
地獄の宴が始まってしまった…!
対軍撃滅機構『戦争と死の神』(メルシーハルノヨウジョマツリ)――それはカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が戦うことができなくなるかわりに、凄まじい軍勢を呼び込むユーベルコードの名である。
「ご主人サマ! アレやろう!」
「ばか野郎! またあの地獄をやれってか!?」
カシムと『メルクリウス』はコクピットの中で問答していた。
本来ならそんな時間はないのだけれど、それでもカシムが言いよどみ、煮え切らない態度を撮っているのは、そのユーベルコードが混沌の鍋の中へと自身を叩き込むことになるからであろう。
「でも対人兵装あるらしいから囮になるよ!」
『メルクリウス』の言葉にも一理ある。
オブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』は数を減らしてはいるのだとしても、対人武装を積み込んだ虐殺用の機体である。
一体でも『グリプ5』の市街地に入り込めば、一瞬で数多の生命が喪われてしまうだろう。
それは猟兵にとっての敗北である。
だからこそ、彼女はお取りを提言し、カシムもそれが最善であろうと判断したのだ。
「くっ! 仕方ねぇ! おい『アイン』達! 僕の護衛を頼む。此処から『囮』を展開する!」
「急に何言って――」
当然の通信に『アイン』も面食らったようである。
けれど、次なる言葉を紡ぐ前にカシムのユーベルコードが瞳に輝く。
溢れ出るは目を疑うような光景であった。
「ひゃっはー☆」
それは小さな幼女とも言うべき『メルクリウス』自身を千を越える師団だった。キャバリア武装を手に、召喚された幼女メルシーたちが戦場へと飛び出していく。
「なんだなんだ!? なんだよこれは!?」
『アイン』の戸惑いも理解できるものである。
機体がまったく動けなくなる代わりに幼女メルシーたちという数の暴力でもって『パラティヌス・スローター』を破壊するのだ。
僅かな師団が護衛に付いてはいるが、そんなこと些細なことであるというように戦場に溢れる幼女メルシーが『パラティヌス・スローター』を蹂躙していく。
鎌剣をもって群がり、バラバラに解体し、金目のものは全て強奪していく。
空を飛び、念動障壁であらゆる攻撃を防ぎ、冷凍光線で持って氷漬けにしていく姿は、まさに蹂躙と呼ぶに相応しい光景であったことだろう。
「機体の通信機器を調べておけ。黒幕に繋がるものがあるかもしれん」
しかし、カシムは考える。
こんな混沌のごとき戦場に黒幕が一端を見せるだろうか。いや、自分なら絶対出てこない。
幼女たちがキャバリアに群がり解体していくという悪夢。
いや、地獄の宴とも言うべき光景を前にして一歩を踏み出すことの出来る存在などそう多くはないだろう。
「ご主人サマ、やっぱりなんもなーい。ネットワークにつながってるだけっぽーい☆」
そんな呑気な声が聞こえてくる。
彼女たちはたしかにカシムのために働いてくれている。けれど、どこまでバラバラに刻み、あらゆる金品に交換できそうなものを奪っていく姿は強盗そのものであったことだろう。
「ネットワークは調べられるか? 何処につながってるかだとか……!」
なんとしても黒幕の尻尾を掴んでおきたい。
カシムはダメ元で幼女メルシーに尋ねる。彼女たちから返ってきたのは、意外な人子であった。
「わかんないけどー、『梅』の『3』ってどういう意味ー?」
カシムは考える。
『梅』の『3』。花の名前と数字。
それが何を意味するのか。いや、考えなくてもわかる。
「『シーヴァ』『スリー』……! 黒幕がつながってるのは『シーヴァスリー』か……!」
そう、『フィアレーゲン』を滅ぼした小国家『シーヴァスリー』。この事件の裏で糸を退いているのは、『シーヴァスリー』である。
黒幕がそこにいるのかどうかはまではわからない。
けれど、確実に事態は終焉へと近づいている。それをカシムは感じ、後で幼女メルシーたちにご褒美をねだられ倒され、疲弊するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
ディスポーザブル01を操縦。兵士に難しい事は分からない
悪意など、知った事じゃない。
眼の前に敵がいる。殺そうとしている。なら戦え!それが兵のする事だ!!
RXSハルバードを構え【燎原の劫火】
超能力瞬間移動で、残像を残し、ハルバードが届く距離に移動。『壊れろ』
超能力念動力で機体の運動性を無理矢理向上させ、高速でハルバードを振り抜き切断鎧無視攻撃『壊れろ!』
瞬間思考力、他敵機を認識、怪力と操縦技術でハルバードを操り早業でなぎ払い。『壊れろ!!』
人工魔眼が焼けつきそうな程、更に闘争心を燃やし、瞬間移動、高速機動で攻撃を避け、壊して、敵機を、継戦能力のあらん限りを持って壊して回る。
『壊れろォオオオ!!!』
「兵士に難しいことはわからない」
そう呟いたのは、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)であったが、彼女の瞳が燃えるような輝きを放っていたのをオブリビオンマシンは見ただろうか。
人工魔眼と呼ばれる超能力や、超人的新対応力を付与する痛みや恐怖を消し去る特殊な機関を埋め込んだ彼女の眼窩は、今まさに限界性能まで引き上げられ、燃えるような輝きを放っていた。
炎の色そのもの。
それはオブリビオンマシンに根源的な恐怖を抱かせるには十分なものであったことだろう。
彼女の駆るキャバリア、『ディスポーザブル01』がハルバードを構える。
その姿、その色は、まさに燎原の劫火(マージナル・ユースレス・レックレス)。
『壊れろ』
決して絶えることのない怒りに満ちた輝き。
『壊れろ!』
オブリビオンマシンを、悪意を赦してはならぬと彼女の背中を押す何者かが彼女の耳元でささやくのだ。
『壊れろ!!』
悪意など知ったことではない。
目の前に敵がいる。生命を殺そうとしている。奪おうとしている。
理不尽に、無造作に、無感動に。
ならば戦えと小枝子の耳元で叫ぶ誰かがいる。それが兵のすることであると。瞬間、『ディスポーザブル』の機体が超能力に煌めき、虚空に姿を消す。
オブリビオンマシン『パラティヌス・スローター』は、己達のセンサーに狂いがないことを驚愕した。
圧倒的な超スピードでもなんでもない。
超能力によるテレポート。極限まで高められた人工魔眼の力によってのみ齎される小枝子の力は、『パラティヌス・スローター』の背後を取っていた。
振るわれるハルバードの一撃が、その機体を一撃のもとに破壊する。
さらに残像すら伴う凄まじい速度で持って、振るわれた斬撃は防御すら無意味であった。
「―――ッ!?」
横薙ぎの一撃は、隣り合っていた二体の『パラティヌス・スローター』すらも容易に切断せしめ、コクピットブロックを完全に破壊していた。
人工魔眼が焼き付く。
痛みが身体を疾走る。けれど、それでも小枝子は構わなかった。
闘争心が満ち溢れ、燃えていく。
瞬間移動、高速機動でもって目まぐるしく戦場を駆け抜ける彼女の姿は、赤い残光をセンサーから迸らせる炎そのmのであった。
躱し、たたき、切り裂き、己の持てる全てでもって破壊していく。
「壊れろォオオオ!!!」
それは小枝子の喉から溢れた方向であった。
どれだけ悪意が世界を満たそうとも、己の成すべきことは変わらないと叫ぶ一人の兵士。
その存在は本来、この絵図を描いた黒幕にとっては取るに足らぬ存在であったことだろう。
けれど、彼女はまだ此処に在る。
己の存在意義を持って、戦場にこだまする咆哮を轟かせる。
即ち、『破壊』である。
悪意を齎す者全てを破壊することこそ、己の意義。
ならばこそ、彼女は力を振るうのだ。己の身を焼き焦がすほどの闘争心で持って、突き進む。
どれだけ過去の化身が己の道行きを阻むのだとしても。
それは止めるに値しない障害である。
全ては破壊し、切り開くものであればこそ、小枝子は、己の身体の限界を超えた稼働でもって、全ての『パラティヌス・スローター』を破壊し、機体から立ち上るオーバーヒートの白煙と共に勝利を知らしめるように、悪意すら食らう獣の咆哮を轟かせるのであった――。
大成功
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