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因縁は世界を越えて〜山本親分と百鬼夜行〜

#カクリヨファンタズム #猟書家の侵攻 #猟書家 #魔王『神野悪五郎』 #山本五郎左衛門

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#山本五郎左衛門


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 これはとある世界の昔話。
 ある時、2匹の大妖怪が魔王の座をかけてある勝負を行った。
 それは、世界中の勇気ある少年100人を驚かせるという物。
 件の大妖怪の1体たる猫又は印度、中国、日本と渡り歩き着実に数を稼いでいった。そして86人目として備後国に住むとある少年に狙いをつけた。
 猫又は様々な怪奇現象を起こしたり、配下の妖怪をけしかけたりして脅し続けたが、少年は平然と耐え続けた。
 そして先に音を上げたのは猫又の方だった。
 猫又は1ヶ月も続いた怪異の締めくくりとして、裃を着て少年の前に姿を現し、なぜこのようなことをしたのかを説明し、潔く自身の負けを認めた。
 さらに負けた証拠として一度振れば自分を呼び出すことが出来る木槌を少年に与え、有事の時には躊躇なく振れと言付けし、配下の妖怪達を引き連れて再び1からやり直しの旅へと出立していった。
 猫又ともう1匹の大妖怪の勝負がどちらに軍配が上がったか、この思い出を書物に書き残した少年が知ることは終ぞ無かった。
 だが、今を生きる猟兵達がその猫又の名を聞けば、UDCアースとカクリヨファンタズムという表裏一体の世界ではどうなったかを察することが出来るだろう。
 かの猫又の名は「山本五郎左衛門」。今日、東方妖怪を率いる大親分である。
 では、もう1体の大妖怪はどうなったのか。
「見やれ五郎左衛門、わちきの百鬼夜行を!」
 満月の光が降り注ぐすすき野で1体の鬼が巻物を広げる。そこに刻みこまれた文字はまるで生き物のように蠢くと浮かび上がり、全身真っ黒な百足の姿を形成し出した。
「其方の天下も今日で終わりよ! 覚悟しておれ!」

「今回のカタストロフは、猟書家が関わっているそうです」
 集まった猟兵達に向け、ルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)はホッチキスで止めた書類をめくりながら説明を始める。
「猟書家の名は『神野悪五郎』。最恐の百物語を蒐集して、自らの『物語の内容に応じた妖怪の幻影を召喚する能力』で最強の百鬼夜行『幻影百鬼夜行』を生み出そうとしているようです」
 選りすぐりの物語から召喚された妖怪の幻影達は、1体1体が超強力なカタストロフを引き起こすことが出来る。いかに大親分と言えども、この軍団に一気に攻め込まれては成す術がないだろう。
「悪五郎は現在、例の満月が上り続けているすすき野で幻影を生み出し続けています。おそらく機を見て一気に攻め込んでくる気でしょう」
 しかし幻影百鬼夜行にも弱点は存在した。
 それは「正の感情に弱い」ことだ。
 幻影であるが故に彼らの存在は不安定で、出現直後であればそれこそ「賑やかなお月見をしている様を見聞きする」程度でも消滅させられてしまう。
「なので、皆様には例のすすき野で食事などをして満月を楽しんでいただき、幻影百鬼夜行を封殺してもらいます。……それとこれも重要なのですが」
 ルウは書類から手を離し、腕を組んだ。
「悪五郎はなぜか山本親分に固執している気立てがあるようでして。そこで今回デコイ役として山本親分に協力を依頼し、承認していただいております。もし押し切れない時は彼女の手を借りることも出来ますので、決して無理はしないでくださいね」


平岡祐樹
 お疲れ様です、平岡祐樹です。

 今シナリオでは全篇通じて「東方親分」こと「山本五郎左衛門」さんが同行いたします。呼ばれれば援護してくれます。呼ばれなければ戦場の片隅でのんびり一人酒しつつ高みの見物をしてます。

 心のこもった言葉で妖怪を説得し、骸魂から分離させてきた彼女は暴力沙汰を好みませんが、いざとなれば一肌脱いで猟兵達の手助けをしてくれるでしょう。大体の実力は各MSの記した「大祓百鬼夜行④」をご確認ください。

 今シナリオでは、「幻影百鬼夜行の威嚇や攻撃を気にしないようにしつつ、お月見を全力で楽しむ」と判定にボーナスがつきますので、プレイングの参考にしていただけると幸いです。
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第1章 日常 『襲われてるけどお月見しよう』

POW   :    身体を張って攻撃を受け止めつつ、気にしていないふりをして月見を楽しむ

SPD   :    幻影を無視しつつ、賑やかな歌や踊りでお祭り気分を盛り上げる。

WIZ   :    幻影を掻い潜り、お月見にふさわしいお菓子やお酒を用意する。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

宴・段三郎
WIZ行動

なんじゃ山ン本ぉ!
エンパイアの山ン本と随分姿がちげえのう!
なにそんなとこで一人で寂しく飲んでおる
こっち来て団子食うぞぉ!

【行動】
山ン本五郎左衛門と月見をするでのう!

まずは号 『隠家』で温泉旅館をすすき野の近くに降らせるでのう!
縁側で月見をするんじゃあい!

団子大量に食うでのう!
酒も用意するでのう!
わしは飲めんがのう!

山ン本ぉ!飲めぇ!来年の豊作を祝うんじゃぁ!


なんじゃぁ?なんかよくわかんねぇ妖怪共が来たのう!お月見したいんかのう!
ほれぇ、木枯丸ぅ!一緒に遊んで楽しんでこいやぁ!(豆たぬき型妖刀の号 『木枯丸』を適当に送り)

攻撃は全て達人の智慧で避けるでの

遊んで飲んで食うの優先じゃぁ!



 すすき野の空いた場所に敷かれたござに座った五郎左衛門は自らお猪口に注いだ酒に口をつけ、ちびちびと味わう。
 視線の先では墨を浴びたように真っ黒な妖怪達が蠢き、こちらに向かって進んできていた。
「……よくもまあ、懲りない奴にゃ」
 敵のことを思ってか嘆息していると、背中から鯉口を鳴る音が響く。
 敵襲かと思って振り返った瞬間、すすき野を薙ぎ払うように大きな屋敷が現れた。
「なんじゃ山ン本ぉ! エンパイアの山ン本と随分姿がちげえのう!」
 その門を内から開いて現れた宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)は何事かとこっちを見ていた五郎左衛門に向かって大声で叫びながら歩み寄る。
「なにそんなとこで一人で寂しく飲んでおるこっち来て団子食うぞぉ!」
「おっとっと、酒が、酒がこぼれるにゃあ!?」
 そして腕を掴んで強引に立たせると、そのまま屋敷の中に引きずり込んでいった。その大声に気づいた幻影百鬼夜行も続々とその後に続いてくる。
「縁側で月見をするんじゃあい! 団子大量に食うでのう! 酒も用意するでのう! わしは飲めんがのう!」
 豪快に笑いながら段三郎は団子が大量に盛られた皿が置かれた縁側に五郎左衛門を座らせていると扉を押し破って幻影百鬼夜行が流れ込んできた。
「なんじゃぁ? なんかよくわかんねぇ妖怪共が来たのう! お月見したいんかのう! ほれぇ、木枯丸ぅ! 一緒に遊んで楽しんでこいやぁ!」
 段三郎は紅葉がついた鞘から刀を抜いて地面に置く。すると刀身は膨らみながら毛を生やし、全長20mにもなる化け狸に変貌した。
 木枯丸が物理的にも幻影百鬼夜行の壁となっている間に、段三郎はどこからともなく四合瓶を取り出す。
「賑やかなお月見をしている様を見聞きするだけでも消えるんじゃろう? なら山ン本ぉ! 飲めぇ! 来年の豊作を祝うんじゃぁ!」
「ちょ、まだ飲み終わって……にゃあ!? 止めろ止めろ止めろ酒は大事に扱うにゃー!」
 溢れさせるのが礼儀、と言ってた親戚の注ぎ方を思い出しながら行う段三郎に五郎左衛門は必死に待ったをかけた。

成功 🔵​🔵​🔴​

デス・ゲイザー
WIZ「使用技能:優しさ」

お月見ですか〜♪
いいですねぇ♪
(デスは夜を照らしてる月を眺めては用意していたお菓子をすぐ横に広げておく)

もし、他の方も一緒に楽しめるようにお菓子を多く持ってきておいて良かったですよ♪
(聞いていた妖怪にお菓子を振る舞うように多めの菓子を置いておいてまた月に目が行く、妖怪に対する「優しさ」だ)

また綺麗な月の光を浴びてお月見したいですねぇ♪



「月見ですか〜♪ いいですねぇ♪」
 そんなことを呑気に呟きながらデス・ゲイザー(「無」が生んだ癒し系目玉モンスター・f34836)はふよふよと縁側を漂う。
 そのいかにも邪悪っぽい濃厚な黒い霧の姿に段三郎は身を強張らせたが、バックベアードという新しい妖怪だか西洋妖怪だか微妙に判断がつかない存在を見慣れている五郎左衛門は特に動揺もせず表面張力で堪えている縁に口をつけ、酒を啜っていた。
 2人の姿に気づいたデスは高度を下ろし、縁側に霧を手のように伸ばしてついて頭を下げるように全身を傾けた。
「あ、山本親分さんはじめまして。私はデスといいます、よろしくお願いします」
「おお、これはこれはご丁寧にどうもですにゃ」
 そんな中、幻影百鬼夜行達が木枯丸の肉壁を押し倒して乗り越えてきた。するとデスは自分と見た目がほとんど同じな彼らに向け、用意していたお菓子をすぐ横に広げておいた。
「もし、他の方も一緒に楽しめるようにお菓子を多く持ってきておいて良かったですよ♪」
 全ての妖怪に行き届くように多めの菓子をさらに置いておいてはまた満月に目が行く。
 いくら仮初の存在で敵だと分かっていても無闇に殴りかかりはしない、それがデスの優しさである。
 根が善良であればあるほど、見た目が怖くなる。それが「ラスボス」の身体的特徴だ。
 すすき野を照らす月に目を奪われながら団子を口に運べばお菓子の箱をひっくり返そうとした枕返しの姿は立ち消え、酒を煽れば刀を掠め取ろうとしたぬらりひょんの姿が消失する。
 代わりにやって来た幼子が包装紙を破いて、中のお饅頭を頬張って笑みを浮かべた。どうやらこの子は幻影では無かったようだ。
 大量の妖怪による暗い影が晴れていき、月明かりが庭を照らす。その幻想的な風景を眺めながら、デスはお猪口を傾けて独り言ちた。
「また綺麗な月の光を浴びてお月見したいですねぇ♪」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『魔王『神野悪五郎』』

POW   :    仮初め百鬼夜行
自身の【蒐集した百物語の写本】を代償に、【その物語に応じた妖怪の幻影】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【主に呪詛や瘴気を繰り出すこと】で戦う。
SPD   :    百杯干し花見酒
【膨大な妖力を注ぎ込むこと】によって、自身の装備する【杯から桜吹雪のような弾幕を生み出し、それ】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
WIZ   :    百童肝試し
【蒐集した百物語の中の一話】を披露した指定の全対象に【生命力を蝕む恐怖の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:せつ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠大宝寺・朱毘です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「この程度の屋敷も制圧出来ないとは何事でありんすか!」
 どれだけ待っても屋敷が崩壊しないことに痺れを切らし、桃色の髪を二房に束ねた羅刹が踏み込んできた。
 彼女こそ、今回の元凶である魔王「神野悪五郎」だ。
「くぅ……せっかく集めてきたというのにこの有様。でも、わちきにはまだまだとっておきの物が残っている! 覚悟しておくんなまし!」
 そう叫んで悪五郎は袖の下から巻物を取り出し、勢いよく広げて見せた。
宴・段三郎
屋敷ちゃうわぁっ!刀じゃぁ!

【行動】
なんじゃぁおめえ!
山ン本が潰れそうじゃしおめえも飲めぇ!
丁度盃持っとるし!
お月見するんじゃろぉ!
飲めぇッ!

なんじゃぁその目はぁ!
ほれぇ山ン本ぉっ!手伝えい!
このおなご呑ますんじゃぁいッ!
だーはっはっはー!


(時過ぎていつのまにか目がトロンとして明らかに人々の酒気に当てられたのか急に真顔になって挙手し)

んあぃ! 刀鍛冶『地国』
一発芸するのじゃい!

出でい我が鞘よッ!
骸の海開けぇぃ!
(巨大な白き鳥居が、恰も最初からそこにあったかの様に出現し、中の骸の海から悍ましい妖刀、号 『化生炉』を取り出し鍛治仕事を行って宴会に相応しい能力を持った妖刀を一瞬で鍛刀し)


アドリブ歓迎



「なんじゃぁおめえ! 屋敷ちゃうわぁっ! 刀じゃぁ!」
「いや、どこからどう見ても屋敷でありんしょ!?」
 一連の流れを知らなければ知れぬことに気付けないことに対する理不尽な怒りに悪五郎は目を白黒させる。
 そんな困惑を傍に蹴り出し、段三郎は悪五郎の腰にぶら下げられた物に照準を絞った。
「山ン本が潰れそうじゃしおめえも飲めぇ! 丁度盃持っとるし! お月見するんじゃろぉ! 飲めぇッ!」
「いや、全然ピンピンしてるでありんす!?」
 その頃五郎左衛門は段三郎の後ろで我関せずと明後日の方を向きながらちびちびと酒を飲み続けていた。悪五郎の言う通り顔は赤くなっておらず、口から虹を吐き出すのはまだ当分先の話だろう。
「なんじゃぁその目はぁ! ほれぇ山ン本ぉっ! 手伝えい! このおなご呑ますんじゃぁいッ!」
 悪五郎のせいで矛先が回ってきた五郎左衛門は盃を縁側に置き、申し訳なさそうに微笑んだ。
「すまんにゃ悪五郎さん。これも儂の胃を守るためにゃ」
 4本ある尻尾のうちの1つが素早く伸び、悪五郎の手から巻物を叩き落とす。
「あっ!」
「いい盃じゃのう! これは一杯酒が入りそうじゃぁ!」
 その間に段三郎は盃を掠め取ると持っていた瓶の蓋を開け、全部一気に入れる勢いでそれを逆さまにする。悪五郎が気づいた時にはすでに遅く、膨大な妖力を注ぎ込むことで敵を一掃する桜吹雪を巻き起こす盃は酒で満杯になっていた。
 このままでは桜吹雪を起こせない。悪五郎は意を決して盃に口をつけて一気に煽った。
「おお、山ン本と違って小気味良い一気飲みじゃ! もっと飲め飲め!」
「あ、こ、この小童……!!」
 しかし空にした盃を口から離した瞬間に、まるでわんこそばの如く酒が注ぎ込まれた。
 一度飲んでしまった手前、引き下がるわけにもいかず悪五郎は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながらも再び飲み干した。
 そんなやり取りを何十度も続けている間に、酒精に当てられたのか一滴も飲んでいないはずの段三郎は顔を赤らめさせながら手を挙げた。
「んあぃ! 刀鍛冶『地国』一発芸するのじゃい!」
 そうして新たな刀の鯉口を切れば突然庭に巨大な白き鳥居が、恰も最初からそこにあったかの様に出現する。
「刀が……鳥居に!?」
「出でい我が鞘よッ! 骸の海開けぇぃ!」
 悪五郎が驚く中、鳥居が繋げる骸の海に段三郎が手を突っ込むと中から一本の刀が姿を見せる。
 あらゆる物質を鍛刀出来る大太刀は屋敷の中に充満する宴会の空気を打ち、その雰囲気に相応しい一本の金属の刃を具現化させた。
「だーはっはっはー!」
 月明かりを反射して輝くその姿をまじまじと眺めた段三郎は満足気に大声で嗤った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!



「どうですか、今宵の月は」
 五郎左衛門が振り返ると座敷の奥から徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)が来ていた。
「おやおや徳川さん。お仕事はいいんですかにゃ?」
「何、これも立派なお仕事の1つですよ」
 家光は隣に座ると持ってきた瓢箪の栓を抜き、目を細める五郎左衛門の盃にお酌をする。
 大祓百鬼夜行では対峙してない2人であるが、その後の戦後処理などで顔を何度も合わせたのかその間にぎこちなさはなかった。
「徳川……? へぇ、主さん徳川なんざんす? じゃあとっておきのお話がありんす」
 そんな会話を又聞きしていた悪五郎は口角をあげると袖の中の巻物の1つを広げる。
「『妖刀村正伝説』。徳川の者なら当然ご存知でありんしょう?」
 徳川家の人間の死や負傷に尽く関わり、その部下である大名や旗本は不吉かつ叛意だと帯刀するのを避け、逆に倒幕を目指す者はその象徴として愛用するようになった刀。それが村正。
 その概要を悪五郎が語ると巻物の字が一ヶ所に集まり、一本の刀と化す。悪五郎は勢いよく引き抜くとその切っ先を家光へ向けた。
「つまり、この妖刀村正は主さん徳川の天敵! 死にたくなければすぐに離れなさいな!」
「……はぁ」
 しかし当の家光は呆然とするのみだった。
 なぜなら村正は三河にほど近い伊勢に拠点を構え、鑑賞用ではなく戦場で活用されることを考えた実直な武器を打つことで家康を始めとする三河武士に愛された一派だからだ。何より家光が差している刀の1つも村正が打った物だ。
 家康やその家族が血を流したという話も「松平・徳川家領内の武器に向かって石を投げたら村正に当たる」くらいに普及していた故の話だろうから、別に特段おかしな話ではない。
 さらに言えばこの妖刀村正伝説というのは家康が死んでから100年以上後に登場し出した話。カクリヨファンタズムでは過去でもサムライエンパイアにとっては遠い未来、家光が呆気に取られるのも無理はなかった。
 この困惑を、恐怖のあまり動けないのだと勘違いした悪五郎は勝ちを確信した笑みを浮かべながら斬りかかった。
 だが相手が攻めてきてもなおボーッと座ってるほど太平の世の長は甘くない。
 自分の村正を抜く際に指を這わせることで鳴らした音によって悪五郎の集中力を削いだ家光はその手から妖刀村正をはね飛ばす。
「この世界では有名な話のようですが……少なくとも僕の知る村正ではないことだけは、お伝えしておきますよ」
 宙を舞った真っ黒な妖刀村正は月明かりの中で霧散していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイカ・ヴァンスタイン(サポート)
フェアリーの聖者×プリンセス、9歳の女です。

戦闘は苦手で援護や救助、支援など中心です。
武器は人間大の人形(銃火器持)ですので、運搬作業も可能です。
普段は悪戯(許せる範囲)で遊ぶ※戦闘とは別です。

普段の口調は「マイペース(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」
苦しい時は「愛想笑い(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」です
幼いので殆どひらがなで喋ってます。

・ユーベルコードは必要に応じて、多少の怪我は厭わず積極的に行動(支援中心)します。
・他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。公序良俗に反する行動はしません。悪戯も笑って許される範囲までです。
・あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 刀の腹で叩かれて真っ赤になった手の甲を押さえつつ、悪五郎は下がりながら家光を睨みつける。
 その頭上から、くすくすと笑う声が聞こえてきた。
「だーめだよー? しょくじ中にあばれたらー」
 声の主であるレイカ・ヴァンスタイン(銀光精・f00419)は、自分より幼い子を宥めるような口振りで悪五郎に話しかける。
 それが癪に触ったのか、悪五郎は怒りと気恥ずかしさで顔を真っ赤にさせると段三郎が新たな刀に夢中になったことでようやく空になった盃を天に翳した。
「うるさい、そもそもわちきは酒盛りをしにここまで来たんじゃありんせん! くらいなさいな【百杯干し花見酒】!」
 酒で湿った盃に膨大な妖力を注ぎ込まれ、桜吹雪が噴き上がる。
 満月の元の花見酒は風流だが、それは傷を負わない時の話。花弁を模した弾幕は周囲にあった庭の枝葉を切り刻んだ。
「あー、せっかくいたいいたいのとんでけしてあげようと思ったのにー!」
 恩をかける前に仇が飛んでくることになったレイカは自分を追いかけてくる花吹雪から小さな羽を懸命に動かして逃げ出す。
 すると閉まっていた障子を蹴り倒され、和装ロリータ服を着た3体の人形が飛び出してきた。
 普段はレイカの指の動きに反応して動く人形だが、いざとなれば脳波コントロールで稼働することが可能だ。疲れるからしないだけで。
 衣服の色ごとに役割を分けられた、赤い服の「茜」が弾幕による飽和攻撃が桜吹雪を薙ぎ払い、水色の服の「葵」が悪五郎のすぐそばを撃って牽制し、本命の射撃攻撃担当の「蒼」が盃を狙ってライフルのスコープを覗き込み、盃かそれを持つ手に狙いを定める。
 しかし魔力がある限り無尽蔵に舞い続ける桜はその僅かな隙さえも与えない。
 だがそれだけの防壁を張るにはレイカを追尾することは出来ず、レイカは五郎左衛門達の待つ縁側に無事着陸した。
「はぁ……やっぱり3体分だとつかれるなー。食べ終わったらゆびでうごかそーっと……」
 人間では一口サイズのお団子もフェアリーにとっては一食分。レイカは団子を抱き抱えると豪快に齧り付く。
 頭を使った後の甘味は格別だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
残虐描写NG
WIZ

お団子とお酒をいただきながら、のんびりと……
んふふ……イイ感じに酔ってきたわぁ♪
そこの素敵なお姉様(悪五郎)、私と熱い夜を過ごしましょお♥

百童肝試しを披露されても【狂気耐性】に加え
お姉様の胸元や太ももを見て【気合い】がムラムラ……
もとい、メラメラ燃えていて恐怖なんて感じないわ♥

更に、私の誘いを拒んだ事で『歪愛・救済の華』発動。
扇情的な私の女性信者117人が現れ
無数の触手でお姉様を【捕縛】
敏感な所を【慰め】たりくすぐったりして脱力させ
振り解く事も許さない

お月見の次は
お花見とイキましょ♥

私も触手の海に飛び込み
お姉様を【誘惑・催眠術】で魅了しつつ
唇や素肌を重ね【生命力吸収】



 渇いた音と共に盃の破片が地面に散らばる。
 その様子を眺めていたドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は口の中に残るみたらし団子の残滓を手酌の酒で洗い流し、息を艶かしげに吐いた。
「んふふ……イイ感じに酔ってきたわぁ♪ そこの素敵なお姉様、私と熱い夜を過ごしましょお♥」
「はぁ? ぬしには興味がありんせん、そこを退きなんし!」
 そう言って悪五郎は再び大量の文字が書かれた巻物を勢いよく開く。
「ああ、ちょうどぬしにぴったりのお話がありんす。この世には『色情霊』という不埒な妖怪がいんす」
 この妖怪は「色情」の名がつく通り、色欲に忠実な行為をしてくる。目に見えるか否かはその妖怪の力量に寄るが、行うことには大差がない。
 そして悪五郎は、そんな見えない色情霊が引き起こした情事を高らかに語り出す。
 五郎左衛門は無言で、先程から屋敷に転がり込んできて団子を頬張っていた幼子の妖怪の耳を塞いだ。
 突然の行為に妖怪は不満そうに口を尖らせたが、五郎左衛門が苦い顔をしながら首を何度も横に振ったのを見て反抗しようとはしなかった。
「女はしばらく月の物が来なかったそうでありんすが……結局妊娠はしてなかった。果たして腹が膨らんだら、彼女は何を孕み、産んだのでしょうか……さあ、怖かったでありんしょう!」
 何の妨害もなく最後まで読み切った悪五郎は堂々と胸を張る。しかしその豊満な胸元や太ももを見て気合いがムラムラ……もとい、メラメラ燃え始めたドゥルールの前には何の効果もなかった。
「ふふ、素晴らしいお話でしたわ。……おかげでもっと体を交わしたくなってきました」
 どころか欲望を煽る形になってしまった。予想外過ぎる反応に悪五郎は目をひん剥かせる。
「はぁ!? この話を聞いて興奮するなんて……変態でありんすか!?」
 酷い反応にドゥルールが唇を尖らせながら指を鳴らすとホットパンツや体操着など扇情的な服を着た女性達がどこからともなく現れ、悪五郎の周りを取り囲んだ。
 過去のトラウマを思い出した五郎左衛門は嫌な予感がして顔を硬らせながら、そっと自分の尻尾で妖怪の目も覆い隠した。
 そしてそれは的中した。
『貴方に救いを』
『さあ、楽園へ参りましょう』
 女性達が口々にそう囁くと服の下から大量の触手が蠢き出し、人間の形が失われたかと思えば、それらは悪五郎に一気に襲いかかって四肢を拘束し、敏感な所を慰めたりくすぐりし出した。
「い、いや、やめ……」
 快楽に溺れさせる粘液が絡まる触手は悪五郎を脱力させ、振り解く事も許さない。
 そんな死の海域と化した庭へドゥルールは自ら裸になって飛び込んだ。
「ねぇ、お月見の次はお花見とイキましょ♥」
 蕩けるような笑みを浮かべるとドゥルールは悪五郎の頬を手で挟み、その中間点に向けて自分の唇をそっと添わせる。
「む、むぐうーっ!?」
 唇で塞がれた悪五郎の口からは声にならない悲鳴が上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル(サポート)
『ヒャッハー!頭ねじ切ってオモチャにしてやるでござる!!』

口調:拙者、名字+氏、~でござる、~ですぞ
属性:混沌・悪

弱きを困惑させ強きを嫌がらせの果に弄り倒す正義なんてどこ吹く風なゴーイング・マイ・ヒャッハー系

シリアスな空気だと破壊するか自分が爆発する
可愛い女の子を見れば興奮する変態
エンジョイ&エキサイティングをモットーに好きなように生きて好きなように死ぬギャグキャラ
オタクらしく戦闘中でも状況に有ったセリフやパロ技を適当にぶっ込みながら戦う様はイカレポンチすぎて敵味方問わず困惑と驚愕させることに定評がある
公言しないが空軍のパイロット



 あれから何分経っただろうか。
 肌をテカテカさせるドゥルールが触手達と共にはけていった後にははだけた着物を直す気力すら湧かず、さめざめと泣く悪五郎だけが残っていた。
「うっ……ぐすっ……もう、お嫁にいけない……」
「なーむー……ですかにゃ」
「ああ、カメラを用意してくるべきでござったな……」
 その哀れな様に五郎左衛門が思わず申し訳程度に手を合わせていると、後ろでエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)が口惜しそうな表情を浮かべながら自分の顎を撫でていた。
「……もしカメラがあったら何をする気だったにゃ」
「それは当然今晩のお……」
 冷ややかな視線を浴びながらエドゥアルトが答えていると、あらゆる声をかき消すほどの大音量で悪五郎は叫んだ。
「もう、もう、もう……! 屋敷も猟兵も五郎左衛門も全部潰れてしまえ! 行きなさいぬりかべぇぇぇ!」
 開かれた巻物から現れた、巨大な岩の壁が呪詛や瘴気を放ちながらゆっくりと倒れていく。しかしその手前を土埃を出しながら、何かが横切った。
「復活したのですな神野氏! ではさっそく……そのツインテール、グッドですな!」
「はあっ!?」
 エドゥアルトが悪五郎の元へ走った事で生じた大きな線によって勝手に消失していくぬりかべを背に、ツインテール讃歌が始まる。
「手抜きだと宣う輩がおりますが断じて違う! シンプル故に美人やかわいい顔つきでないと似合わない至高の髪型なのでござるよ! 神野氏は自分の容姿という物をよく理解しておられる! 全然見苦しくない、実にグレイトであります!」
 止まることを知らない賛辞に悪五郎は目を白黒させる。
「ですが……」
 しかしエドゥアルトは突然表情を曇らせ、首を横に振った。
「拙者、目隠れ大好き侍でござる。その髪を分けてしまう角がある限り拙者のストライクゾーンを完璧に射抜くことは出来ませぬ。……いやー、非常に残念無念!」
「いや、ぬしに別に好かれたくは……」
「故に今宵は残念賞! またのお越しをお待ちするでござるよ!」
 突然の手のひら返しに悪五郎が困惑する中、屋敷のあちこちで突然大爆発が起き出す。そしてエドゥアルトもそのうちの一つに巻き込まれて宙を舞った。
「こ、こなところいられるか! わちきは本拠地に帰らせていただくでありんすぅぅぅ!!」
 奇天烈な出来事を目の当たりにし続けた悪五郎の精神は限界を迎え、当初の目的も忘れて大泣きし、全速力で駆け出した。
 開き放しになった門を走り抜けていくその後ろ姿を、黒コゲ姿になったエドゥアルトは笑顔でサムズアップしながら見送った。

成功 🔵​🔵​🔴​


 こうして此の度の悪五郎の幻影百鬼夜行は失敗に終わった。
 しかし彼女はまた別の怪奇譚を集め、再び五郎左衛門へ挑戦状を叩きつけてくるだろう。
 その不屈の闘志は結実するのが先か、折れるのが先か……それは見届ける満月も知らない話である。

最終結果:成功

完成日:2021年12月07日


挿絵イラスト