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ヒーローズアース――オーストラリア南東部にあるタスマン海、そこに面するニューサウスウェールズ州の州都シドニーは世界でも有数のオフィス街という側面を持っている。多くの人々が日々日常を忙しく生きるその場所で、それは不意に起きた。
「な、なんだぁ!?」
ゴォ! と突然燃え上がる地面。その地面は絶え間なき炎と生命力に溢れた場所へと変わっていった――そう、まさにセンターオブジアースのように。
「ひ、なんだ、これは――!」
「おい、あれ!」
「「「GAOOOOOH!」」」
「「「BAOOOOOM!」」」
「「「THEEEEEEND!」」」
それは、まさにかのクライング・ジェネシス――その量産型軍団であった。量産型クライング・ジェネシスの軍団は胸部の簡易型『骸の海発射装置』から『過去』を放ち続け、シドニーを原初の世界へと変えようとしていた。
そう、それこそがアシュラレディの恐るべき計画の第一歩であった……。
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「ヒーローズアースで面倒事が起きておるようじゃ」
ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)はそう切り出すと、細かい説明を始めた。
「おぬしらに頼みたいのは、現在シドニーで行われておる量産型クライング・ジェネシス軍団の対処じゃ」
かつてのオブリビオン・フォーミュラに似た形状と能力を持つ量産型クライング・ジェネシスの大群は胸部の簡易型『骸の海発射装置』から『過去』を放ち続け、シドニーをセンターオブジアースのような「絶え間なき炎と生命力に溢れた場所」へと変ようとしている。事実、種族神がここに踏み入ると、神々の時代の世界法則が蘇りその姿はまるで「暴走時」のように変わり、能力も一時的に増大するのだという。
「アシュラレディも、裏で暗躍しておる。おそらくは戦う事となるじゃろう。まずはシドニーヘ向かい、量産型クライング・ジェネシス軍団の対処を頼むぞい」
波多野志郎
神様、その雄姿は……! どうも波多野志郎です。
今回はヒーローズアースで、アシュラレディの思惑を止めていただきます!
なお、このシナリオ内、もし猟兵達の中に「種族:神」のキャラクターがいると姿が「暴走ジ」、真の姿に変わるのでそれを念頭に置いてプレイングを書いていただければ幸いです。
それでは、大都市シドニーでお待ちしております。
第1章 集団戦
『量産型クライング・ジェネシス』
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POW : GAOOOOOH!
全身を【原初の炎に包まれた姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : BAOOOOOM!
【簡易型骸の海発射装置】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【相手と同じ姿と能力の幻影】で攻撃する。
WIZ : THEEEEEEND!
【簡易型骸の海発射装置から放つ『過去』】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『神々の時代』の火で包み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:yuga
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィラデルフィア・シャイントピア
【アドリブOK・通常時は陽気なアメリカン口調だが、真の姿になると威厳ある冷徹な口調になる】
【真の姿は黒いドレスに黒い羽、輝く黒髪のいかにも邪悪そうな女神の姿】
世界を飲み込もうとする力…でもまがい物のあなたが本物の神に叶うのかしらね?
私もまた、世界を飲み込もうとした邪悪なる神なのだからね。
【戦闘】
世界を飲み込む力を持つのが、あなただけだと思わないことね。
(戦闘においては禍々しい色をした月のエネルギーを左腕から続々と放つ
相手が塗りつぶした地形を上書きするように次々と)
さぁ、本物の邪神の力を見せてあげましょう。
(自分のフィールドが広まったときにさらなる攻撃を仕掛ける。)
その地形は原初の泥に満ちた沼。
陰白・幽
どっかで見たことある人?な気がするけど、あんな感じで叫んでいたかな?……まあとりあえずボコボコにすればいっか〜
とりあえず敵の攻撃は変なのを撃ってくるみたいだから躱しやすいように距離をとって動くよ〜。遠くから二つの龍錨を叩きつける感じで攻撃していくよー。余裕があったら龍錨の鎖をジェネシスさんに巻き付けて動けないようにしていけたらいいと思うよ。
敵のUCを使ってきたらこっちも猫流星で攻撃するよ〜、幻影だとしてもボクなら降ってくる攻撃を受けたらついつい寝ちゃうと思うんだよ〜。ついでにジェネシスさんにもダメージと、眠気で動きを鈍らせるのを狙っていくよ〜
今日は空から安眠をお届けだよ〜
●過去へと還る炎
オーストラリア南東部にあるタスマン海、そこに面するニューサウスウェールズ州の州都シドニー。観光客も多く訪れるこの街は、世界でも有数のオフィス街という側面を持っている。
「ひ、なんだ、これは――!」
「おい、あれ!」
「「「GAOOOOOH!」」」
「「「BAOOOOOM!」」」
「「「THEEEEEEND!」」」
そこに姿を現し、量産型クライング・ジェネシスの軍団は胸部の簡易型『骸の海発射装置』からシドニーを原初の世界へと変えようと『過去』を放ち続けていた。
「どっかで見たことある人? な気がするけど、あんな感じで叫んでいたかな~?」
雑居ビルの屋上からクライング・ジャネシス軍団を見下ろして陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)が呟く。トン、と幽は一歩前に踏み出した。そこは虚空、ただ重力に即座に捕らわれて落下する!
「……まあとりあえずボコボコにすればいっか〜」
「THEEEEEEND!」
その幽へクライング・ジェネシスの一体が簡易型骸の海発射装置から放つ『過去』を放ち迎撃しようとする。それを幽は鎖の付いた錨、龍錨をブンブン! と振り回して『過去』を弾くとクライング・ジェネシスへと投げつけた。ドォ! と吹き飛ばされるクライング・ジェネシス、その勢いを利用して幽はビルの壁へと――タン、と壁に着地すると疾走した。
「世界を飲み込もうとする力……でも、まがい物のあなたが本物の神に叶うのかしらね? 私もまた、世界を飲み込もうとした邪悪なる神なのだからね」
そして、始原の炎に包まれたシドニーのオフィス街にフィラデルフィア・シャイントピア(シャイン&シャドウ・f16459)が降り立った。普段なら陽気な雰囲気でハイテンションかつ英語交じりの口調で話す豪快な女性だが、今は違う。
「世界を飲み込む力を持つのが、あなただけだと思わないことね」
「「「GAOOOOOH!」」」
黒いドレスに黒い羽、輝く黒髪――邪悪な女神の姿をしたフィラデルフィアは威厳ある冷徹な声色でその左手で周囲を薙ぎ払った。とっさに自身を原初の炎で包み防御するクライング・ジェネシス軍団――それを塗り潰すように、フィラデルフィアのレフティ・ムーンライトグラビティが放たれた。
「今日は空から安眠をお届けだよ〜」
そして、幽の猫流星(ニャンホォール)によって無数の寝心地がいいニャンマクラーがシドニーのオフィス街に降り注いでいく。ぽよんぽよんと降ってくるニャンマクラーに、クライング・ジェネシス軍団達の一部がくらりくらりとその場で船を漕ぎ始めた。今すぐ眠りたいと思うほどの寝不足に襲われたからだ。
「BAOOOO……」
「GAOOOOOH!」
眠気に勝てなかったクライング・ジェネシス達が、ニャンマクラーを手にその場に寝転がっていく。頭の下に敷いて枕に使う者、抱き枕にする者、なかなかにシュールな光景だがそこへ、龍錨の鎖でグルグル巻きにされた一体のクライング・ジェネシスがハンマーのように振り下ろされていった。
「さぁ、本物の邪神の力を見せてあげましょう」
原初の炎を自身の領域で塗り潰しながら、フィラデルフィアは進む。まさにそこは、原初の泥に満ちた沼だ。神、邪神と呼ぶにふさわしい威厳を持って、原初の炎に包まれた姿で動けないクライング・ジェネシスを原初の泥へと飲み込んでいく――炎を解けば押し潰され、解かなければ沈んでいくだけ。もはや、クライング・ジェネシス軍団に選択肢はなかった。
その中を、ゆっくりとフィラデルフィアは歩いていく。それはまさに世界を飲み込む邪神の、神話のような光景だった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
深山・鴇
【逢魔ヶ時】
量産型ねぇ、骸の海発射装置とは穏やかじゃないな
っと、逢真君はその姿か、いいねぇカッコいいじゃないか
(雀くらいの小さいサイズは見たことがあるが、大きいのはなかったので楽し気)
あるぜ、なんなら耐性を上げもするが? ああ、なるほど。それなら必要ないか。
君が空を行くなら、俺は陸から行くとしよう
(空へ舞う逢真君を眩し気に見上げて笑い、己は地上から走り出す)
ああ、君の病毒は無敵だからなぁ!
承った、並んだ敵首全部刎ねてみせようか
(弱まった防御の隙をついて、UCを使用した美濃による居合で攻撃。一度で通らねば二度三度と同じ軌跡を描いて斬り落とす)
期待には応えられたかい、逢真君
それなら重畳ってものだ
朱酉・逢真
【逢魔ヶ時】
心情)おやおや一品物が量産品に…ひひ、《過去》もいろいろあるよで何より。俺もこっちの…鳥のナリか。こっちのほうが多少は頑丈なンよな。病毒の出力も上がるし…何より自前で飛べる。深山サンや、自前の耐性はおありかえ。毒はある…よしよし。ンなら重ねて結界かけりゃなんとかならァ。いやね、戦場全体を毒で満たすからさァ。気をつけとくれよゥ。
行動)上へ行こう。原初の炎? はン、その程度で俺の毒が防げるかよゥ。
残念だったなァ《過去》の坊や。こちとらコレに関しちゃ自信しかねェのよ。サ・深山さん。あとはトントンと刎ねちまっとくれ。
(ほぼ無敵の防御を、無敵の毒で破り弱らせます)
ああ、十二分だとも。
●逢魔ヶ時が神話に還る
シドニー、世界有数のオフィス街は、今ではもはや見る影もない。このままでは『過去』に飲まれて消えるだけ――だが、それを許さない者達がここに確かにいた。
「量産型ねぇ、骸の海発射装置とは穏やかじゃないな」
燃え上がる原初の炎でタバコに火を着け、深山・鴇(黒花鳥・f22925)は一服を楽しんでみる――が、煙草の味は変わらない。そんなものかと紫煙を燻らせていると、不意に視界が陰った。頭上に大きな何がが通ったからだ。
「おやおや一品物が量産品に……ひひ、《過去》もいろいろあるよで何より」
朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)だ。普段なら雀のサイズだが、今は違う――雄々しき猛禽、そう呼ぶのにふさわしいサイズとなっていた。
「っと、逢真君はその姿か、いいねぇカッコいいじゃないか」
「俺もこっちの……鳥のナリか。こっちのほうが多少は頑丈なンよな。病毒の出力も上がるし……何より自前で飛べる」
楽しげに笑う鴇に、逢真はビルの屋上に止まっていう。そして、慎重に翼を畳んで問いかけた。
「深山サンや、自前の耐性はおありかえ?」
「あるぜ、なんなら耐性を上げもするが?」
「毒はある……よしよし。ンなら重ねて結界かけりゃなんとかならァ。いやね、戦場全体を毒で満たすからさァ。気をつけとくれよゥ」
バサリと翼を広げ、逢真が再び飛び立った。それを見送り、鴇は笑って言う。
「ああ、なるほど。それなら必要ないか。君が空を行くなら、俺は陸から行くとしよう」
鴇はまるで八咫烏の伝承のように飛ぶ逢真に導かれるように、駆け出した。
シドニーのその大通りは、もはや人の姿は無かった。それがわかるからこそ、原初の炎に埋められたそこへ逢真が迫る。
「原初の炎? はン、その程度で俺の毒が防げるかよゥ」
羽根が、燃える世界に幻想的に降り注いでいく。夜天の寵愛(ギフト)――それは病毒に戯ぶ神の本領だ。まるで彗星のように戦場を飛び、逢真は己の権能を解き放つ。例え量産型のクライング・ジェネシス達がその身を原初の炎で覆おうと、その無敵を無敵の病魔で食い破る!
「「「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――!?」」」
「残念だったなァ《過去》の坊や。こちとらコレに関しちゃ自信しかねェのよ。サ・深山さん。あとはトントンと刎ねちまっとくれ」
「ああ、君の病毒は無敵だからなぁ! 承った、並んだ敵首全部刎ねてみせようか」
そこへ飛び込むのは、神にさえ届き得る刃。鴇は赤い鞘に納められたままの美濃を居合の抜刀、クライング・ジェネシス達の首を一刀の元に切り落とす!
だが、一刀で断ち切れぬ者もいた。だからこそ、鴇は美濃を繰り返し振る。一度で駄目なら二度、二度で駄目なら三度――クライング・ジェネシスが放つ『過去』を掻い潜り、ただ首だけを求め放つ。
「期待には応えられたかい、逢真君」
「ああ、十二分だとも」
「それなら重畳ってものだ」
笑い合う鴇と逢真、打ち倒す敵はまだまだ残っている――神と剣豪は天と地で共に疾走り、『過去』を滅ぼしていった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱雀・慧華
真の姿:20代の姿
膝下まである金髪に水色混じりの青い瞳
純白のドレスに大きな翼
性格も根本的には変わらない
ごきげんよう、クライング・ジェネシス
早速だけど戦おっか
あまり得意じゃないんだけど
翼を広げての【空中戦】を主体に
★ローラーシューズに魔力を込めて飛行速度上昇
通り道に虹を作り視界を妨害しつつ空中を駆け回る
攻撃は★ティアマトの杖から放つ水の【属性攻撃】で相殺狙い
多少長期戦になっても構わない
狙うのは確実な隙
【指定UC】発動
地形の炎ごと飲み込むつもりで絵の具の雨を降らせ
★七色空描筆で一筆描き出来そうなあらゆるものを空間に描き
今回は質より物量、ってね!
一斉にぶつかれー!
【アート】を操り体当たりさせます!
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
原初の世界に変えさせてなるものか…!
破壊神もどき共め…!
さぁ行くぞ…私は…処刑人だッ!
己の腕を妖刀で切り裂き【鮮血の海】で超高温の血の海を放出
敵が放つ過去を[地形破壊]で洗い流そう
そして血の海で敵群を足元から[焼却]して溶かしてやろう
[オーラ防御と火炎耐性]纏い
血の海を[水上歩行とダッシュ]で突っ走り走破
鉄塊剣抜き振るい敵群を[怪力と鎧砕き]で攻撃して殲滅してやろう!
終わりを齎してやるぞ…破壊神もどきめ…
ワタシは処刑人だッ!!!地に伏して、血に溺れて死ねッ!!!
[闘争心]を剥き出し叫んで敵群を[威圧]
[殺気と覚悟で恐怖を与えて]やろうぞ…!
●世界は還る、されど刻はそれを許さず――
――『現在』が『過去』に塗り潰されていく。その光景に、仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)は憤りを隠せなかった。
「原初の世界に変えさせてなるものか……! 破壊神もどき共め……!」
アンナの怒りの先は、量産型クライング・ジェネシス軍団だ。彼等が行なうその行為は『現在』への冒涜。ひいては『過去』を弄ぶ行為に他ならない。それをアンナは許せなかった。
「さぁ行くぞ……私は……処刑人だッ!」
アンナが原初の炎による海に、駆け出した。クライング・ジェネシスは胸の簡易型骸の海発射装置から放つ自身と同じ姿の幻影で、アンナを迎撃する――だが、アンナは己の腕を妖刀で切り裂き、唱えた。
「我が血で此の地を洗い流してやろう……!」
鮮血の海(プール・オブ・ブラッド)は、原初の世界を地獄の炎を噴き出す超高温の血の海へと塗り替えていく。そこに踏み入ったクライング・ジェネシス達が、地獄の炎に触れて燃やされていった。
「「「THEEEEEEND!」」」
近づけば燃やされる、だから遠距離から放った骸の海――それを防いだのは、舞い降りた純真なる天使だった。
「ごきげんよう、クライング・ジェネシス。早速だけど戦おっか、あまり得意じゃないんだけど」
膝下まである金髪に水色混じりの青い瞳、純白のドレスに大きな翼――朱雀・慧華(純真天使・f17361)の真の姿だ。ティアマトの杖から放たれた水の魔力が、骸の海による原初の炎をかき消していく。原初と原初、相殺し合うその中を水上歩行とダッシュでアンナが駆け抜けた。
「終わりを齎してやるぞ……破壊神もどきめ……ワタシは処刑人だッ!!! 地に伏して、血に溺れて死ねッ!!!」
錆色の乙女を渾身の力で振るい、クライング・ジェネシスを破壊していく。一体、二体、三体――七体目で原初の炎に包まれた姿で受けきったクライング・ジェネシスが出るが、そのままアンナは力任せで一撃で吹き飛ばした。
「今回は質より物量、ってね!」
翼を広げて大自然のローラーシューズで加速を得て、慧華が舞い上がっていく。原初の炎を眼下に見下ろし、慧華は七色空絵具(ナナイロスカイスケープ)を周囲へと展開した。
「皆の夢も私に見せて!」
慧華によって描かれたのは、雨だ。慧華の共有する夢の楽園(シェアドリーム)は、空一面に雨模様を描き、そして告げた。
「一斉にぶつかれー!」
「「「GAOOOOOH!?」」」
慧華の号令一下、豪雨が降り注ぐ。雨が原初の炎を消化し、描かれた雷と暴風がクライング・ジェネシス達を質量で破壊していった。クライング・ジェネシス達も原初の炎に包まれる事で耐えようとするが、保たない。それほど、圧倒的な天使の力だった。
その光景は、まさに正しい時の流れのようだった。時計の針は戻せても、時間は逆しまに戻らないのだ――誰もが知っている、世界の摂理。処刑人はその摂理に逆らう者を討ち、純粋なる天使は覆される世界を認めない。
だからこそ、シドニーは本来の姿を徐々に取り戻していった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
葛葉・アリス
今更神々の時代とか言われてもね…
私もなんだかんだ言っても、今のこの姿が気に入ってはいるのよ?
今更蒸し返されても迷惑なんだけど、ね
まぁ、いいわ
量産型は量産型らしく、雑魚となって消えるがいい
※真の姿:今の幼女の姿から成長したと思わしき20歳前後の美女、衣装は色彩などは今と共通ながら露出度が上がっている
さぁ、この姿での私の力
今回限りの特別よ
少しだけ本領を発揮する神の力、味合わせてあげる
【世界情報更新】世界の書き換えを始めましょう
量産型が放つ『過去』を『現在』へと書き換えて原初の炎を抑えつつ
現れる幻影を世界に存在しないものとして世界のテクスチャから消去
奴の身体のデータを書き換え、存在を消し去ってあげる
●もはや、求められぬがゆえに神は――
クライング・ジェネシス達は、猟兵達によって駆逐され続けていた。追い込まれていく量産型――その前に、葛葉・アリス(境界を操る幼き女神・f23419)が歩み出た。
「今更神々の時代とか言われてもね……私もなんだかんだ言っても、今のこの姿が気に入ってはいるのよ? 今更蒸し返されても迷惑なんだけど、ね」
「「「THEEEEEEND!」」」
ドドドドドドドドドドドドドドドッ! と反射的にクライング・ジェネシス達は胸部の簡易型『骸の海発射装置』から骸の海を射出していく。その着弾点から燃え上がる原初の炎――その炎の揺らめきの中でアリスは告げた。
「まぁ、いいわ。量産型は量産型らしく、雑魚となって消えるがいい」
原初の炎の中から姿を現れたのは、六歳ほどに見える少女の姿ではなかった。人間換算の年の頃なら、二十歳ほどか。神としての姿を現したアリスは、両手をかざし左右に開く――すると、原初の炎がモーゼの伝承における海のように割れた。
「さぁ、この姿での私の力。今回限りの特別よ、少しだけ本領を発揮する神の力、味合わせてあげる」
「「「THEEEEEEND!」」」
クライング・ジェネシス達が、再び骸の海を撃ち込んでいく。アリスはそれに、細くしなやかな指先を向けた。
「さぁ、世界の書き換えを始めましょう?」
「「「――!?」」」
アリスの電脳神の権能:世界情報更新(ワールド・カスタマイズ・プログラム)、それは世界を数値化し、パラメータを改変すること――クライング・ジェネシス達が撃ち込んだ『過去』を『現在』へと瞬く間に書き換えると、原初の炎が消えていく!
アリスは、ただ真っ直ぐに歩き出す。この世界にあってはならないものを、ただ修正する――その姿は、まさに厳格なる世界の理を示す女神にふさわしいものだった……。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『戦神アシュラ』
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POW : 戦女神光臨
【悪の『戦女神』としての神性 】に覚醒して【戦いのためだけに造られた武器への無敵状態】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 阿修羅三眼装
【額の第三の眼を開く 】事で【目にした者の戦闘行動を封じる『終戦神』】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 阿修羅破界撃
対象の攻撃を軽減する【神気を纏った『戦勝神』形態 】に変身しつつ、【六刀本来の姿たる全てを断つ『破壊神』の刃】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:otomo
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●阿修羅は還る――
「『猟兵(イェーガー)』、やはりアタシの読みは間違えてはいなかったね」
原初の炎が残る一角に降り立ち、アシュラレディ――否、戦神アシュラは吐き捨てる。自身がかつての力を取り戻していることを自覚するが、足りない。もっと、もっとだ――そのために邪魔な者達がいる!
「世界の外からやってきた、新種の侵略生命体! なおもアタシの邪魔をするというなら、力で振り払わせてもらおうか!」
猟兵、恐るべき、警戒に値する敵。だからこそ、戦神アシュラは、己の全力を持ってして迎撃を決意した……。
朱酉・逢真
【逢魔ヶ時】
心情)出たな戦神特有の面倒な"規則(*ルール)"。UDCアースにおけるポン刀はだいたい観賞用だが、サムエン生まれじゃガチ戦闘用よなァ…。ならよ、兄さんや。刀じゃなくても戦えるかい?
行動)〈黯〉より召喚、"処刑用剣"。ギロチンより前に使われてたモンだ、首を落とすやつだな。そうさ処刑用だ、戦うためのもんじゃアない。結界で覆って頑丈にすりゃ実用性は問題ナシさ。深山さんの近くに俺の影が落ちてるだろ、そっから突き出すさ。俺は戦わンがね。遠く上を飛んでるさ。深山さんが戦ってっときに女神サマの眼前を〈鳥〉が横切ったり、抜けた羽根がちらつくかもしれんが…鳥ならよくあること。戦闘行動じゃない。だろ?
深山・鴇
【逢魔ヶ時】
そうなるとこいつは使えないってことか(美濃を鞘に仕舞って)
さてどうするかな、足技だけでも戦えんってことはないが……ん?
刀じゃない……剣か、なるほど処刑用のね
(受け取って、剣の切っ先から柄まで眺め)
切っ先がないのは刺突の必要がないからか
(何度か右手で振るって、感触を確かめて)
行けるさ、君が斬れというならなんだって斬ってやるとも
かみさまが見ているとあっちゃ、無様は晒せんからな
刀とは違うが斬る為の道具ならなんとでもなる
(刀を持つのと遜色ない動きで駆け、敵と切り結ぶ。時折蹴りも挟みつつ飛んでくる鳥に視界を奪われた隙を突いてUCを使用)
これはかみさまの慈悲ってやつだよ
(首を狙って斬り込む)
朱雀・慧華
わー、強そうなおねーさん
神様同士、楽しもうね
ふふと微笑みつつ
★杖から水魔法の【属性攻撃】
執拗に顔面を狙いつつ、一度でも濡らせたら即座に氷魔法に切り替え
お顔凍らせたら額の目も開けないよね
【空中戦】で自由に動き回りながら回避重視に攻撃
隙が出来たら【指定UC】発動
★七色空絵筆で空中に素早くお魚さん達を描いて空間を掌握し
範囲内にいる対象…つまりアシュラさんも空に浮かばせちゃう
もしスピードや反応速度が上がっても
空飛べないなら意味無いし
私自身はただ絵描いてるだけだしー?
というわけで余裕ができたらイルカやアシカなんかも量産
お姉さんが遊んでくれるってー
なんて、お魚さん達にアシュラさんヘディングさせて遊ばせます
フィラデルフィア・シャイントピア
【真の姿を維持:アドリブOK】
否定するつもりはないわ。
まさに私は侵略者として生まれたのだから。
だから、他の侵略行為はお断りよ。
【戦闘】
光と影を一つとし、全てを飲み込む真なる闇を…
ユーベルコードを発動させることで内に眠る闇の力を開放する。
あなたは私の速さについて行けるかしらね?
(悠然と立ちながら、その動きは超高速。)
たとえその腕がどれほど多かろうと
すべてを交わすことは出来ないでしょうね。
(超高速で阿修羅の周囲を回転し、
無数の光と闇のエネルギー弾が全方位から発射される。)
仇死原・アンナ
…今度は本物の神か……
戦神め……今度こそ闇に葬ってやる…!
ワタシは…処刑人だッ…!!!
【御伽の国の処刑人】で赤装束に変身
武器を強化し[オーラ防御]纏いて敵と相手しよう
敵の攻撃を鉄塊剣による[武器受けでのジャストガード]で防ごう
攻撃を食らっても[激痛耐性]で耐えよう
[破魔と呪詛]纏う鉄塊剣と妖刀振るい反撃し神気を削ぎ落し
鉄塊剣での[鎧砕きと武器落とし]で破壊神の刃を砕き
妖刀での[鎧無視攻撃と部位破壊]で六本の腕を[切断]しよう
神であろうと殺してやる…ワタシは処刑人だからだ…
一つの鋭利な拷問具をするりと取り出し
敵の喉元にめがけ深く[串刺し傷口をえぐり]
とどめを刺してやろう…!
葛葉・アリス
※前章から引き続き真の姿:今の幼女の姿から成長したと思わしき20歳前後の美女、衣装は色彩などは今と共通ながら露出度が上がっている
さて、こんな無粋な姿にさせてくれたのは、あなたが原因ね?
どうもありがとう……もちろん皮肉よ
お礼はあなたの身体を切り刻むことでさせてもらうわ
【幻想雷鳴神剣】を用意
天に力を送るとあたり一面に雷鳴が響き稲妻が落ちるわ
その稲妻の1本を手にとって剣となし、奴と切り結ぶ
奴のスピードは剣から放たれる雷で殺しつつ、着実にその身体に神罰を刻んでいきましょう
あなたが望んだ本当の神の力、その身に受けて死になさい
これで元の姿に戻れるかしら
今となっては幼子の姿もお気に入りだからね
陰白・幽
うむー、神様か〜……色々と凄い人?なのかもだけど世界を守るためには頑張らなくちゃなんだよね。よし、頑張るぞ〜
武器を使った攻撃は効きにくそうだから……今回はニャンマクラ〜に頑張ってもらうよ〜。鎖とかは攻撃じゃなくて移動とか、時間稼ぎのために使用する感じで行くよ〜
にゃんまくら〜をしっかりと持って一気に距離を詰めて、尻尾を使って回し蹴りの要領で攻撃して体制を崩すのを狙っていくよ〜。好きができたらさらに至近距離まで入り込んで猫眠拳を使った全力の一撃を狙っていくよ〜。
神様だって万能じゃないんだよね、きっと眠たくなることもあるだろうし、ニャンマクラ〜でおやすみだよ〜
●原初の戦神
オフィス街であるシドニー。猟兵達の活躍によって、多くの地が元の姿を取り戻していた。しかし、まだ終わっていない。原初の炎が残る一角に降り立ち、アシュラレディ――否、戦神アシュラは視線を上げた。
そこにいたのは、普段の幼女の姿から成長したと思わしき20歳前後の美女。葛葉・アリス(境界を操る幼き女神・f23419)だ。
「さて、こんな無粋な姿にさせてくれたのは、あなたが原因ね? どうもありがとう……もちろん皮肉よ。お礼はあなたの身体を切り刻むことでさせてもらうわ」
「ほざくわね。侵略者に堕ちた神もどきが」
「否定するつもりはないわ。まさに私は侵略者として生まれたのだから――だから、他の侵略行為はお断りよ」
そして、その横に黒いドレスに黒い羽、輝く黒髪のいかにも邪悪そうな女神の姿へ戻ったフィラデルフィア・シャイントピア(シャイン&シャドウ・f16459)が降り立った。同じく朱雀・慧華(純真天使・f17361)が天使の翼を羽ばたかせ現れる。
「わー、強そうなおねーさん。神様同士、楽しもうね」
「ふん、いいわ。教えて――いえ、思い出させてあげる」
戦神アシュラは悪の『戦女神』としての神性へと覚醒――戦女神光臨と共に、原初の炎に満ちた足場を蹴る。
「神の在り方、神の本当の意味をね――!」
「……今度は本物の神か……戦神め……今度こそ闇に葬ってやる……! ワタシは……処刑人だッ……!!!」
空中――戦神アシュラの蹴り足を、仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)は鉄塊剣を振り下ろし受け止めた。
「死が来るぞ……さぁ踊れ……死から逃れる事は出来ない!」
アンナが御伽の国の処刑人(ドレスアップ・デスパレード)によって奇抜な赤装束の鎧デスパレードアーマーを身にまとい、地獄の炎が吹き上がる! 戦神アシュラはその炎の勢いに後退、着地した。
「ハ、ハハ! 久方ぶりの全開だ! 討ち滅ぼすぞ、新種の侵略生命体ども!」
●戦いという名の自己主張
「出たな戦神特有の面倒な"規則(*ルール)"。UDCアースにおけるポン刀はだいたい観賞用だが、サムエン生まれじゃガチ戦闘用よなァ……」
戦女神光臨の最中では、戦いのためだけに造られた武器は戦女神に届かない――朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)の言葉に深山・鴇(黒花鳥・f22925)が美濃を鞘に仕舞いながら答えた。
「そうなるとこいつは使えないってことか。さてどうするかな、足技だけでも戦えんってことはないが――」
「ならよ、兄さんや。刀じゃなくても戦えるかい?」
逢真が黯(エク・チュアフ)によって生み出したのは、一本の剣だった。それを手に、鴇がこぼす。
「刀じゃない……剣か」
「ギロチンより前に使われてたモンだ、首を落とすやつだな」
「なるほど処刑用のね」
剣の切っ先から柄まで眺める鴇に、逢真が告げる。黯(エク・チュアフ)とは人類史にて殺傷を目的に作成・使用された物を生み出す場合、より精巧に召喚される――その見事な刃がどれだけ多くの命を史上奪ってきたか? その美しさが物語っていた。
「切っ先がないのは刺突の必要がないからか」
「そうさ処刑用だ、戦うためのもんじゃアない。結界で覆って頑丈にすりゃ実用性は問題ナシさ」
「行けるさ、君が斬れというならなんだって斬ってやるとも」
ヒュオン、と右腕で何度も振るい、鴇が逢真に言ってのける。切っ先の丸い切断専用の処刑用剣を手に鴇が疾走。その頭上に逢真が続いた。
ギ、ギギギギギギギギン! と地獄の炎――戦いのためだけに造られた武器ではない業火に包まれた武器で、アンナが戦神アシュラと打ち合う。そこへ陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)も駆け込んだ。
「うむー、神様か〜……色々と凄い人?なのかもだけど世界を守るためには頑張らなくちゃなんだよね。よし、頑張るぞ〜」
ぶん、と幽が振り回す白いソレを戦神アシュラは訝しげに見て――咄嗟に後方へのけぞった。一本の剣でニャンマクラ〜を受け止めた戦神アシュラは、吐き捨てるように言う。
「なに!? 武器ではないの、それは!?」
「ニャンマクラ〜、だよ〜?」
「答えになってないのよ!」
跳ね上がる戦神アシュラの上段回し蹴り、それを幽は鎖を伸ばし街灯に引っ掛けると引っ張って大きく跳躍――そこに鴇が飛び込んだ。
「かみさまが見ているとあっちゃ、無様は晒せんからな。刀とは違うが斬る為の道具ならなんとでもなる」
ギギン! と鴇の処刑用剣と戦神アシュラの剣が激突する。刀と違い突きという動きがないが、それを補って余りある鋭さがある。戦神アシュラはそれを掻い潜り刀で鴇の足を突き刺そうとするが、上空から舞い降りた逢真の羽根がちらつきその視界を覆った。
「く――!?」
その刹那がすべてを分ける。足を引いた鴇の後ろ回し蹴りを紙一重で戦神アシュラは受け止め、吹き飛ばされた。
「えい!」
その戦神アシュラの顔に、ティアマトの杖から海流を生み出した慧華の魔法が迫る。ゴォ! と燃え上がらせた戦神の炎が海流と激突し、ジュア! と視界を埋め尽くす水蒸気となって相殺された。
「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「おっと、それは届かないよ」
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ! と戦神アシュラの炎が弾丸となって慧華を襲う。だが、天使の翼を広げた慧華の笑みは崩れない。見事な滑空による回避で、炎弾をやり過ごしていった。
「雷とは神の力。電とは神の炎。万物は電子によって描かれ、電脳の中にあり。私は雷電を支配する者。我が神剣、我が神罰にて滅びるがいい」
ズドン! とアリスの電脳神の権能:幻想雷鳴神剣(パーフェクト・サンダー・サーベル)によって天へと送られた彼女の神の力によって無数の雷光が落ちる。それをかいくぐる戦神アシュラ――そこへ、フィラデルフィアが道を塞ぐように回り込んだ。
「光と影を一つとし、全てを飲み込む真なる闇を……」
太陽と月が融合した日食のオーラを身にまとい、フィラデルフィアは無数の光と闇のエネルギー弾を放っていく。悠然と立ちながら、その速度は早い――フィラデルフィアは言い放った。
「あなたは私の速さについて行けるかしらね?」
「ほざいてなさい!」
ヒュガガガガガガガガガガガガ! と放たれるエネルギー弾に、戦神アシュラは第三の目を開き、超高速となった剣撃でエネルギー弾を切り裂いていった。
●過去と現在の神の在り方を――
原初の炎に包まれたシドニーの中で、激しい激突が繰り返されていた。それはまさに神話の再現だ。神と呼ばれし者、否、神としか呼べない強大なる者が確かに在った時代。その戦いでさえ、日常であったあの日――。
「ふふ、いい。実に懐かしいわ! これでこそよ!」
阿修羅破界撃によって神気を纏った『戦勝神』形態となった戦神アシュラが六刀本来の刃で襲いかかる! それをアンナと鴇、幽の三人が真っ向から迎撃した。アンナの地獄の炎による妖刀が受け流し、鴇の処刑用剣の切り上げが弾き、幽のニャンマクラ〜が受け止めて――。
「やっぱり納得いかないわ! それ!」
「かわいいよ〜?」
「だからよ!」
威力を重視するだけでは届かない、戦神アシュラは忌々しげに舌打ちし後方へ下がる。ならば、やはり手数で――阿修羅三眼装を使用しようとした、その時だ。
「お顔凍らせたら額の目も開けないよね」
「ッ!?」
ガキン! と慧華の妨害に、戦神アシュラの動きが止まる! その瞬間、慧華の具現化される夢(シェイピングドリーム)が戦神アシュラの足元へイルカやアシカを大量に生み出し――!
「お姉さんが遊んでくれるってー」
イルカとアシカが空中へ戦神アシュラを跳ね上げた瞬間、周囲に生み出した魚達が更に襲いかかり空高くへと運んでいく――高層ビルへ鎖を巻きつけた幽がそれを追いかけ、先回り。ニャンマクラ〜を振り上げた、待ち構えていた。
「神様だって万能じゃないんだよね、きっと眠たくなることもあるだろうし、ニャンマクラ〜でおやすみだよ〜」
幽の猫眠拳(ニャンミンケン)の振り下ろしが、戦神アシュラを今度は地面へと叩きつける! 意識が朦朧として受け身も取れずに戦神アシュラは落下、カハッと肺の中の空気を一気に吐き出し、戦神アシュラは慌てて立ち上がり――そこへ、フィラデルフィアの光と闇のエネルギー弾が全周囲から囲んでいた。
「たとえその腕がどれほど多かろうと、すべてを交わすことは出来ないでしょうね」
「ガ――ッ!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド! と連続して起きる爆発に翻弄され、戦神アシュラは動けない。そこへ雷を一本手に、アリスが駆け込んだ。
「あなたが望んだ本当の神の力、その身に受けて死になさい」
「舐める、な、あああああああああああああ!!」
ギギギギギギギギギギギギギギギギン! とアリスのサンダーサーベルと戦神アシュラの六刀が激突する。戦神の一撃の間に割り込む、無数の斬撃。まさに電光と化したアリスの速度が、一本、また一本と戦神アシュラの刀を弾き飛ばしていく!
「神であろうと殺してやる……ワタシは処刑人だからだ……」
アンナのアサエモン・サーベルが閃き、舞い散る薔薇の花弁と共に戦神アシュラの六本の腕を切り落としていった。その最中、鴇が踏み込む――その動きに合わせ、戦神アシュラは空中から落下してきた刀の一本を口で受け止め、横回転する動きで斬撃を放とうとした。
「ぐッ!?」
だが、その視界を一羽の――否、一柱の『鳥』が横切った。逢真だ。
「鳥ならよくあること。戦闘行動じゃない。だろ?」
「おのれ――」
視界を塞がれた一瞬、動きが遅れる――そこへ、アリスがサンダーサーベルを投擲。戦神アシュラの動きを完全に止めた。
「とどめを刺してやろう……!」
「これはかみさまの慈悲ってやつだよ」
地獄の炎をまとう鋭いアンナの拷問器具が首を貫き、鳥の影から踏み出した鴇の処刑用剣が横一閃に振り抜かれた。
それが、完全な止めとなる。宙を舞った首が、頭を失った身体が、地に落ちる前にかき消えていく。それを合図とするように、原初の炎が波のように引いていった。
「今となっては幼子の姿もお気に入りだからね」
真の姿から普段の幼女の姿へ戻り、アリスは小さくこぼす。過去は過去、現在は現在――世界がそうであるように、神もまた移り変わるものなのだ。
ここに、過去に還ろうとした戦神は倒れ、現在を生きる神と人が勝利した……。
大成功
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