Christ the Crisis
照りつける太陽、青波打ち寄せる白き砂浜。立ち並ぶ白亜の高層建築群。
南国のリゾート地を思わせるその街は、しかし、濃密な死の匂いに満ちた地上の地獄。
力なき人々は殺戮の為の機械兵器や、洗脳の為の麻薬の生産に従事させられ、支配する者達の戯れによって命を奪われる。
「嗚呼、悲しきかな。彼は今、大いなる黒き風を齎せし神の身許へ召される好機を失ったのです。尊き労働奉仕を放棄し、神の膝元たるこの都市よりの脱走を試みたが為に……」
今し方、この修道女の振るった棘鉄鎚に頭蓋を砕かれた男のように。
修道女の語るは説法。己らの信ずる狂った教えに基づく、人々の自由なる意志の否定。
「皆様は、どうか彼の如き愚行に走ることなく、奉仕を続けるようお願いしますね? そうすれば、きっといつか。黒き風が、皆様に永遠の安寧を齎してくれることでしょう──」
力ある言葉は人々の反抗の意志を砕き、隷属を促す。
此処はクライストシティ、かつてアカプルコ・デ・フアレスと呼ばれた、狂える信仰の都市である。
そんなクライストシティの中心部には、かつては存在しなかった巨大な建造物が鎮座する。
全てが白一色で統一されたその建物は、しかし清浄さなどは一切感じさせず。只々、異様なる狂気と威圧感を以て、その威容を誇示していた。
その最深部、床も壁も、調度の全ても、一切が白に染め上げられた執務室にて。
「……あのアジトもやられたか」
髭面のその男は、届いた報告を確認し眉を顰める。
「間違い無い、奴らの仕業だ。となると……奴らがここを嗅ぎつけるのも、時間の問題だな」
陥落したそのアジトは、ここクライストシティからそう遠くない位置にあった。これが『兄妹』達の仕業であればまだ良いが、しかし──男は理解していた。己ら一族の本拠にて破壊活動を繰り返し、抗争の裏で暗躍する輩共。奴らが、この街のすぐ近くまで迫っている事実を。
「冗談じゃない、死ぬのは御免だ」
男は歯噛みする。敵は多勢、そして神出鬼没。ならば本拠たるこの地──『白の城塞』にて迎え撃つより他に無い。
「そして──」
男は天井を仰ぎ、目を閉じる。瞼の裏に浮かぶ、有象無象を巻き込み砕き壊してゆく黒き竜巻の姿。オブリビオン・ストーム。この世界に、己らの楽土を齎した恵み。
「──そろそろ、ご利益の一つくらいはくれても良いんじゃないか?」
なあ、偉大なる『フィールド・オブ・ナイン』よ。
男──ヴォーテックス一族が一員、『狂人教祖』クライスト・ヴォーテックスは、夢想じみてその謎めいた名を呟いた。
●
「皆様、ついにヴォーテックス一族の一人の本拠地が判明致しました!」
グリモアベースに集った猟兵達を前に、グリモア猟兵、愛天・真澄(愛神の使徒・f32265)の語り口にも力が籠る。
これまで断続的に続いてきた、ヴォーテックス一族の抗争に乗じた彼らのアジトへの襲撃。その積み重ねの末、彼ら一族の本拠の一つを割り出すことに成功したというのだ。
「敵は『狂人教祖』クライスト・ヴォーテックス。彼は己の名を冠した街、クライストシティ──かつてアカプルコ・デ・フアレスと呼ばれた街に座しています」
それはかつてのメキシコ合衆国南部に存在していた都市。UDCアースにおいては海岸リゾート地として知られる街だ。しかし。
「アポカリプスヘルにおけるかの街は、クライストの興せしオブリビオン教団の総本山。各地の拠点などから拉致された人々が強制労働を強いられ、些細なきっかけで命を奪われる――そんな理不尽が日常となった街です」
沈痛げに瞳を伏せる真澄。なれど、その瞳はすぐに開かれて。
「其を終わらせる手段は只一つ。クライストを討ち、彼に連なるオブリビオン教団を壊滅させることです」
決然と告げるその声音は、即ち其を成し遂げて欲しいとの願い。
応えた猟兵達が頷けば、真澄は笑みと共に頷き、任務概要の説明へと移ってゆく。
「クライストは、かの街の中心部に立つ『白の城塞』に立て籠もり、皆様を待ち受けています。どうやら、己の脅威たる存在が迫っていると理解しているようですね」
故に、猟兵達もこの城塞に乗り込むこととなるが。
「クライストシティの市街地には、オブリビオン教団の一般信徒である『黒き風の信徒』が多数おります。まずは、彼女達の排除をお願いしたく」
彼女達は猟兵と見れば即座に攻撃を仕掛けてくる。単独では然程強いオブリビオンではないが、注意すべき点が幾つかある、と真澄は言う。
「彼女達は白い修道服を身に着けて戦いに臨むのですが――この白い服には、近接攻撃を無効とする力が備わっているようなのです」
何らかの武器であれ、猟兵自身の肉体を介した攻撃であれ。近づいて仕掛ける類の攻撃では一切の傷がつかぬという、特殊な力を持った衣服なのだという。
「幸い、距離を取っての攻撃には耐性が働かないようですが――敵もそれを見越した備えをしています」
まず、敵も銃器で武装しているということ。それも、ある程度の誘導性能を備えた特殊な弾丸を放つ銃器であるという。
「更に、戦場となる市街地には、奴隷として連れて来られた人々も数多く居られます。基本的には、自発的に逃げてくださるはずではありますが――」
修道女たちのユーベルコードによって洗脳され、彼女達の肉盾をさせられる可能性もある。その場合の備えはあった方が良いだろう。
「また、城塞突入後は、教団の戦闘員たる武闘家のオブリビオンが迎撃に現れます」
彼女達は肉体を機械化して強化した『機拳流』を名乗る武闘家達。勿論格闘術を得意とするが、機械化された肉体には銃火器さえも仕込んでいるという。
「加えて、彼女達も近接攻撃を無効化する白き衣を纏っています」
ただし弱点もある、と真澄は言う。
「彼女達は『華麗に容赦なく敵を倒す者』に対し見入ってしまうという性質を持ちます。どうやら、オブリビオン教団の教義において畏敬すべき存在とされているようですね」
その為『魅せる』ような戦い方ができれば、敵の隙を誘うことが可能かもしれない、とのことだ。
「因みに、先の修道女もなのですが、白き衣の対近接防御は絶対ではありません。何等かの工夫があれば、近接攻撃にて仕留めることも可能です」
近接無効は、衣服に籠められた何らかの力によるものでは、と真澄は推測する。
「そして、クライスト・ヴォーテックスは、恐らく最奥部の執務室か、その手前の庭園区画にいるものと思われます」
彼は特に特筆すべき力を持っていないが、基本的な実力が非常に高い。油断なく当たるべき敵であることは間違いない。
「敵は強力ですが、皆様のお力ならば決して倒せぬ敵ではありません。どうか、彼を打ち倒し、かの教団に苦しめられている人々を解放してあげてくださいませ」
両の手を組み、乞い願う真澄。猟兵達が頷けば。
「ありがとうございます……それでは、これより皆様の転送を開始致します」
真澄の頭上に輝くグリモアの輝きが、猟兵達にかの狂信都市への道を開くのであった。
五条新一郎
神は只、己の心の裡にこそ。
五条です。
さて此度はアポカリプスヘルにて、ヴォーテックス一族が一人との決戦をお送り致します。
●目的
『狂人教祖『クライスト・ヴォーテックス』』の撃破。
●戦場
アポカリプスヘル、クライストシティ。
かつてアカプルコ・デ・フアレスと呼ばれていた都市。かつて海岸リゾート地であった名残りで、ホテルや別荘の廃墟が多く存在します。
第一章は市街地での戦闘となります。全体的には開けた地形になっています。
第二章は『白の城塞』内部となります。城塞といっても中には広大な庭園が広がっていたり建物内もかなり大きな設計になっており、戦車やキャバリアでも進入可能な程です。
●第一章
市街地にて『黒き風の信徒』との「集団戦」です。
彼女達はイラストでの着衣を白一色にした装束を着ており、その力で近接攻撃を無効化します。
●第二章
城塞内部にて『邪流拳法『機拳流』の武術家』との「集団戦」です。
此方もイラストの着衣を白一色にしたかのような衣を纏い近接攻撃を無効化します。
●第三章
『クライスト・ヴォーテックス』との「ボス戦」です。
●プレイングについて
OP公開直後よりプレイングを受け付けます。募集状況はタグにて告知予定。
第一章は「一般人の安全を確保する」、第二章は「華麗に容赦なく敵を攻撃する」じちでプレイングボーナスがつきます。
●補足
本シナリオは8/31(水)いっぱいでの完結を目指し運営して参ります。
その為、普段よりプレイング募集期間が短めになります。ご注意ください。
それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『黒き風の使徒』
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POW : 解っていただけませんか……残念です
【モーニングスター】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : オブリビオン・ストームこそが神の意志なのです
【「黒き風の教団」の教義と説法】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ : 黒き風の元で生まれ変わりましょう
技能名「【言いくるめ】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
イラスト:水野ましも
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルトリウス・セレスタイト
これもフォーミュラですら無いのだろう
速やかに終えるまで
戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給
手近な個体へ白打で一撃
纏う原理を無限に回し、破壊の原理と無限量の圧を乗せ、時の原理にて無限加速して叩き込む
万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外は無い
形なき加護とて例の外に漏れぬ
諸共に終わらせてしまえば良い
最初の一体を討った後は無限加速した動きで目に映る敵性個体が消えるまで継続
有象無象にユーベルコードなど不要だろう
が、被洗脳者がいるなら纏めて魔眼・停滞で初期化し解除しておく
※アドリブ歓迎
クライストシティ、海岸。
かつてこの街がアカプルコ・デ・フアレスと呼ばれていた頃には海岸レジャーを楽しむ人々で溢れていただろう砂浜は、今や只々腐りゆくばかりの屍が至る所に積み上げられた、凄惨たる光景を其処に晒していた。
そんな砂浜の只中に、蒼き光が差す。其を纏う黒と銀の男と共に。
「―――」
グリモアベースよりの転移を果たしたその男、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)はそんな酸鼻たる光景を見渡し、一時、目を伏せる。静かなるその表情に過ぎる感情は窺い知れない。或いは、彼自身にも。
いずれにせよ、感傷に浸っている時間は無い。彼が再びその眼を開くまでは数瞬も無し。そしてその時には既に、彼の姿は海岸より消えていた。
市街地へと至ったアルトリウスの目に、飛び迫る銃弾が映る。なれど全ては彼を逸れるように飛び去り、その身に擦れ痕一つ残しはしない。
「来ましたね! 偉大なる黒き風齎せし神に弓引く異端者達!」
銃弾の出処へ視線を向ければ、白い修道服に身を包んだ修道女の一団が、揃ってその手の銃器をアルトリウスへと向けて並び立つ姿。
「さあ、奉仕の使命を負いし方々! 今こそ真の務めを果たす時です!」
更に別の修道女が呼ばわれば、周囲の路地から這い出すように、みすぼらしき装いの人々が姿を現す。虚ろな目をしたその人々は、この街で奴隷とされる一般人。
「かの敵を捕らえ、神罰を下す助けをなさい! 果たされれば、皆様は必ずや至上の楽園へと至れることでしょう!」
朗々と語る修道女の言葉に操られるかのように、人々はよろめきながらアルトリウスへ近づいてゆく。ユーベルコードによる洗脳を受けているか。
「ならば、速やかに終えるまで」
呟いたアルトリウスの姿が消える。その場にいる誰の目にもそう見えた。だが其は高速移動。時の原理を励起しての無限加速が齎す業。そしてその至る先は。
「ぁ……え……?」
修道女の一人の表情が驚愕に固まる。何故、あの男が己の眼前にいる? 何故、己の肉体は砕けようとしている? 己の衣には、神の加護が宿るというのに――
「諸共に終わらせれば良い」
修道女の腹に徒手の一撃を打ち込んだアルトリウスが、彼女の疑問に応えるかの如く呟く。其は只の拳打ではない。励起させた破壊の原理を、時の原理による無限加速から打ち込んだものだ。
破壊の原理が作用するは形あるものに限らぬ。形なき加護に対してさえ終わりを刻む。それが原理というものだ。
結果、修道女は纏う衣と諸共に破壊され。塵すら残すことなく、その場より消失を遂げるのであった。
「――!」
残る修道女達も、其に驚愕の反応を示す以外の行動は許されていなかった。時の原理を廻すことによる無限加速からの、破壊の原理による一撃。其の繰り返しの果て、主観に於いてはまさに一刹那にも満たぬ間に。残る修道女達の全員が、其の場より存在を消し飛ばされるに至った。
「お、おお……修道女様方……!?」
一瞬にして齎されたその結果を前に、洗脳された人々が嘆きの声を上げる。跪き、泣きだす者さえもいる。
「―――」
アルトリウスの藍の瞳が、そんな彼らの様相を捉える。直後、顕現するは原理の魔眼。世界を識り、事象を終わらせるもの。其が人々を捉え、見据えて。
「歪め」
一言、告げれば。嘆き悲しんでいた人々は、一様に困惑の反応を示す。原理の魔眼は一切の事象を初期化する。其を以て、洗脳を解除したが為だ。
そして、彼らの精神を解放せしめたアルトリウスの姿は、其処には既に無い。
(――この奥にいるという男も。フォーミュラですらないのだろう)
ならば、速やかに終えるまで。白き城塞の滑らかなる白壁を見据え、その意志を固めるのであった。
成功
🔵🔵🔴
岩社・サラ
アドリブ連携歓迎
今回の作戦は激しい銃撃戦が予想されますし武器と弾薬の準備が重要ですね。
なので召喚したクレイゴーレムの背中に銃器を取り付け敵の銃撃を防ぎつつ状況にあった武器を使っていきましょう。
敵の銃弾は誘導弾の性質もあるようなので一箇所に留まらずにゴーレムを盾にしつつ移動しながら戦っていきます。
敵は洗脳された方を盾とするようなのでグレネードランチャーに非致死性の閃光弾を装填し気絶攻撃を行い無力化して対処。
無力化したら武器をカービンに持ち替えてUCを発動、集中力を高めつつ敵の急所を素早く撃ち抜いていきます。
手荒な方法ですが一般人を無力化し敵を瞬時に排除していけば被害を抑えることができるでしょう。
クライストシティの市街地を行く、大小二つの影。小さい方の影は妙齢の女性。紫の瞳を油断なく巡らせ、周囲を警戒する。岩社・サラ(人間の戦場傭兵・f31741)、多様な武器や技術の遣い手たる猟兵である。
「居ました! 異端者が二……いえ、一人!」
「片方は疑似生命ですか! なんたる冒涜!」
傍らの路地へと目を向けたその時、丁度そこから駆けてきた白き修道女の一団と目が合う。手に手に銃器を構え、一目散に駆け迫る一団。その最前の二人が、構えた自動小銃をサラ目掛けて発砲してきた。
「っと! 来ましたか!」
サラの方も即座に動く。身を翻し、傍らの大きな影――粘土や泥岩で肉体形作られた人型に身を隠す。彼女の一族に伝わる土魔法にて生み出されたクレイゴーレムだ。
ばら撒かれる小銃弾は空中で緩やかにカーブし、全てが一点――サラを目掛けて殺到する。なれどその間に立ちはだかるは土塊巨人。石や岩をも含む堅固な肉体は、小銃弾を浴びせられても大した傷を負わぬ。
攻勢を凌いだサラ、反撃に転じる。ゴーレムの背に懸架された銃器群、移動式ウェポンラックとでも言うべきそこから一丁を引き出し、路地の出口の傍らの壁へ駆け寄る。
「異端者め! 覚悟――ッ!?」
そして路地から修道女達が飛び出してきたその瞬間、彼女達を雨霰の如き散弾が襲う。サラの構えるショットガンから撃ち出されたものだ。セミオートにて放たれる散弾が形作る弾幕は、圧倒的な圧力を以て修道女達を襲い、一瞬にして白き衣を襤褸布と変える。其を纏った者達と諸共に。
「――すぐに次が来ますね。走りましょう」
今の銃声を聞きつけ、敵が集まってくる。そう判断したサラはゴーレムに指示を下しつつ駆け出す。ゴーレムも指示に従い、巨体を躍動させて走り行く。
ゴーレムを遮蔽に銃弾を躱し、拳銃やカービンライフル、ショットガンを巧みに使い分けて、散発的に現れる修道女を撃ち倒し。前進すること暫し。大きな交差点へと差し掛かったサラの前に、修道女達が立ちはだかる。
「これ以上の狼藉は許しませんよ!」
「皆様、あの異端者を捕えて黒き風の贄と捧げるのです! さすれば、我々もまた至上の楽園へと導かれるでしょう!」
否、修道女達だけではない。彼女らに混じって、奴隷とされている人々の姿もある。粗末な打撃武器を手に、サラへ向けて虚ろな視線を向けてくる。
(あの様子……洗脳されていますね。彼らを盾に銃撃戦を挑むつもりですか)
その布陣を前に、サラは眉根を寄せる。このまま応戦すれば確実に彼らを巻き込む。そして敵は躊躇なく彼らを巻き込んで攻撃してくるだろう。
だが、打つ手はある。サラがゴーレムの背から引き出してきたのはグレネードランチャー。即座に構え、ポンピングを交えて数度発砲する。放たれた数発の榴弾は放物線を描き、それぞれが敵群の最前列へと機先を制するが如く着弾し――
直後、迸った眩い光が刹那、戦場を席捲した。
光が退けば、其処に残るは眩しさに悶えつつも膝を折らぬ修道女達と、意識失い倒れた奴隷の人々。閃光弾による一般人の無力化。それこそがサラの取った策であった。
そして既にサラは次なる行動に出ていた。グレネードランチャーに代わり構えるはカスタマイズを施したカービンライフル。態勢を立て直そうとする修道女達へ狙いを定め。見据える紫瞳に、ユーベルコードの光が走る。
引鉄を引く。放たれた弾丸は狙い違わず修道女のこめかみを撃ち抜き、以て致命の傷を負わせる。第二射、小銃を構えんとしていた修道女の眉間を捉える。貫通力の増した弾丸はそのまま頭蓋を貫き、脳を抉り。後頭部より突き抜けると共に、修道女は崩れ落ちる。
絶え間なく撃ち出される銃弾は一射一殺。銃声の一発ごとに、修道女が一人倒れ、骸の海へと還ってゆく。その場の一団が全滅するまで、長い時間はかからなかった。
「手荒ではありましたが、無事うまくいきましたね」
倒れた一般人の人々を見ても、特段大きな怪我はしていないように見受けられる。であれば問題は無いだろう。
再びゴーレムを伴って、サラは駆けてゆく。街の中心に鎮座する、白き城塞へと。
成功
🔵🔵🔴
シズホ・トヒソズマ
アドリブ・連携歓迎
住民を人質にもするとは見過ごせませんね
これはきついお仕置きをしないといけないですかね
人形は全身のマインドテンタクルで◆早業◆操縦
まずは誘導弾対策
デザイアキメラで◆オーラ防御
事前に◆武器改造で電磁バリアにして銃弾をバリアに引き寄せて防御です
次は言いくるめによる肉盾対策
これはバルに任せましょう
ナノマシンをばら撒いておきそれを使っての軌道変化弾で人質を回避した銃弾でシスターを◆スナイパー
さて注目を引き付けた所で本命の服対策です
UC発動
最大射程101mのタール液発生でシスター達をタールでぴっちり拘束
口も塞いで言いくるめも封じます
全身包むのは攻撃に在らず
後はトドメか
快楽のまま拘束放置で
「皆さん! 私達と共にかの異端者へと神罰を下しましょう!」
「楽園の扉はすぐそこです! かの敵を捕えた方にこそ、扉は開くことでしょう!」
奇妙な教義を朗々と並べたてながら、オブリビオン教団の修道女達は奴隷たる街の人々を扇動する。人々は虚ろな瞳でよろめき出で、彼女達の前へと並んでゆく。まるで彼女達の盾となるかのように。
「住民を人質にもするとは……」
そんな彼女達と対峙するは、紫のボディスーツに全身を包んだ女性。周囲に何体もの人形を展開し戦闘態勢を取るシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は、敵のやり方に内心にて憤る。これはきついお仕置きが必要である、と。
「我らの教えを否定する異端者よ! これが神の裁きです!」
シズホの内心など知らぬ修道女達は、一斉に彼女目掛けて自動小銃を発砲。放たれた弾丸は湾曲軌道を描き、シズホを目掛けて飛び迫る。
(この数、単純に回避するのは厳しいですね……ならば)
迫る弾雨を前としたシズホの分析に従い、背より生えたる触手が蠢き。その先の糸に繋がれた人形の一体を動作させる。口元と腕を覆う紫衣の少女人形『デザイア・キメラ』だ。
デザイア・キメラを中心として、その周辺にバリアが発生。シズホの身を包まぬそのバリアだが、彼女を狙ってホーミングしていたはずの弾丸は悉くバリアに向けて引き付けられ、そして衝突して燃え尽きる。
「な……っ?」
予想外の弾丸の挙動に、修道女達にも驚きが広がる。展開されたそのバリアは電磁バリア、以て磁力を発生させ、弾丸を引き寄せて主の身を守ったのである。修道女達は尚も発砲を続けるが、結果は同じ。
「良いですよデザイア! 次はバル、お願いしますよ!」
守りを確立すれば次は攻撃だ。シズホの指示と糸繰りに応え、『バル』と呼ばれた兵士型の人形が跳躍。両手の銃を、修道女達目掛けて発砲する。
だが、放たれた弾丸の先にいるのは奴隷達。このままでは彼らを撃ち抜き死に至らしめてしまう――そう見えた直後。弾丸が、奴隷の身を躱すように軌道を変え、隣の奴隷との間をすり抜ける。対峙したその直後からバルが散布していたナノマシン、其を用いての軌道変化弾だ。
居並ぶ奴隷達の間を巧みにすり抜け、修道女へと的確に命中していく弾丸。全く予想外の方向から着弾するそれらに、修道女達の間には隠しきれぬ動揺が広がる。
「そして、これが本命です!」
そこを突くのは、シズホが発動したユーベルコード。戦場の至る処に転がる瓦礫が、紫色に変色しながらタールじみて溶け崩れたかと思うと――それら全てが一斉に、修道女達目掛けて集結するかの如くに襲いかかった。
「きゃーっ!? こ、これはっ!?」
「ね、ねばねばして取れませ……むぐぐぅっ!?」
抵抗を試みる修道女達だが、粘性と弾性溢れるその液体は一度彼女達の身体に取り付けば剥がれることなく絡みつき。やがて広がってその身を包みだし、顔までをも包み言葉も封じて。数秒後には、全身を丸ごと包み込んで拘束してしまった。
その液体の正体は溶けたラバー液。敵の身体に絡みつき、包み込んで凝固することにより、その動きを封じる代物だ。そして、それだけではない。
「むぅぅっ、んむぅぅぅぅっ♪」
「ふぅぅ、うんっ、んんぅぅぅぅ♪」
ボディラインも露な形に全身を包まれ拘束された修道女達、そこから漏れるは悩ましげな呻き。このラバー、包み込んだ対象に快楽を与える効果もあるのだ。
「どうですか、ぴっちりと全身を包まれる快感は!」
何処か楽しげに、或いは少しだけ羨ましげに言ってのけるシズホ。彼女にもそういう趣向があるのだろうか。奴隷達の困惑げな視線が彼女に刺さる。つまり洗脳が解けたらしい。
「そのまま力尽きるまで快楽を味わうがいいでしょう!」
この状態なら最早彼女達は何もできない。そう判断したシズホ、奴隷達に逃げるよう促して、自らも敵の居城を目指し駆け出してゆく。
成功
🔵🔵🔴
夜都守・寧闇
オブリビオンストームの神とやら、ちょっと私と権能が被ってるんじゃないのか?
まぁそれは別にいいんだ。権能被りなんて八百万いればよくあることだしな
だからこれは、人類側へのただのお節介というやつだ
神の意志、か。そうか。それがそいつの意志というのならそうなのであろうよ
ならば私も神の意志を提示しよう
──眠れ。眠りの中、閉じた瞼の裏にこそ救いはある
UC使用。使徒たちを闇に捕らえ、眠りに堕とす
寝ていれば人質の意味もあるまい
今のうちに逃げてもらおう
「オブリビオン・ストームは神の意志! 其を阻む異端者に裁きを!」
「全てを委ね、受け入れるのです! さすれば楽園への道は開かれるでしょう!」
口々にオブリビオン教団の教義を謳う修道女達。其に操られるかのように、街のそこかしこから這い出し集う、洗脳された奴隷達。
それらの様相を前に、黒衣の少女は片手を目元に翳しながら思案する。
「オブリビオン・ストームの神とやら、ちょっと私と権能が被ってるんじゃないのか?」
否、見目こそ少女であっても彼女は神。夜都守・寧闇(闇の神・f31410)である。闇の属性の領分たる『夜』『眠り』『死』といった領域を司る彼女、破壊と死を司ると見えるオブリビオン・ストームを齎せし神とは微妙に領分が被っている、と感じている模様。
(まぁそれは別にいいんだが)
とはいえ、その辺りで対抗心や敵愾心を抱いているわけではない。三十と六の世界に神は数多。なれば権能が被ることも珍しくはない、そう考えるが故に。
此度彼女が猟兵として初めての任務に赴いたは、ただただ、人類に対するただのお節介。それだけである。
「ともあれ、これが神の意志、か」
改めて、寧闇は己の周囲の状況を確認する。よろめきながらも迫る、洗脳された奴隷達。前方、ライフルを構えて寧闇を狙う修道女達。人身を弄び、靡かぬ者には粛清を。それが神の意志なのであろうか。
(それがそいつの意志というのなら、そうなのであろうよ)
寧闇は其を否定はしない。信仰が異なればそういうこともあろう。なれど、その行いそのものを捨て置きはしない。故に。
「ならば、私も神の意志を提示しよう」
その手に抜くは一振りの神剣。常世見剣。掲げ、振り下ろせば、溢れ出すは漆黒の闇。瞬く間に一帯を覆った闇は修道女達を捕らえ、徐々に深さを増してゆく。
「――眠れ。眠りの中、閉じた瞼の裏にこそ救いはある――」
唱える言葉は子守歌じみて、修道女達の意識を鈍らせる。やがて力尽きた者はその場に倒れ、寝息を立て始める。眠りに落ちたのである。『闇』と『眠り』を司る神たる寧闇の権能。その発露。
そうして、全ての修道女達が眠りに落ちるまで、長い時間はかからなかった。
「――さて、お前達?」
其を確かめた寧闇、周囲に集まりつつあった奴隷の人々に声をかける。人々の反応は一様に困惑。無理からぬ話ではある。
「疾く、この地より逃げるが良い。斯様な地に留まり続ける理由など無いはずだ」
修道女達は動かない。逃げるならば今であると。寧闇の呼びかけに、人々は頷き。街の入口を目指して駆け出していった。
それらを見届けた寧闇は振り返り、見上げる。有り得ない程に真っ白な、クライストの座せし白き城塞を。
成功
🔵🔵🔴
ニノン・トラゲット(サポート)
『容赦なんてしませんから!』
『アレ、試してみちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!
七星・桜華(サポート)
『天魔御剣流免許皆伝、だからこそ更なる高みへと。』
『一か八かの勝負?そんな事しなくても私達の勝ちだね!!』
『勝った後は派手に騒ぐんだ!誰一人として倒れないようにね!!』
敵の数が多い場合は敵の強さで一体づつ倒すか複数を纏めて狙うかを第六感や野生の勘と言われる直感で即決する、また見切りの速さも早い。
闘う姿は舞っているかの動きで敵を魅了する、上空の敵が相手でも空中戦もできる。
攻守において残像を使い殺気や覇気が残像にまで残る程の濃密加減。
頑丈な敵が相手でも鎧等を無視した内部破壊系攻撃を当たり前のように使いこなす。
長期戦になっても敵の消耗と自身の回復に生命力を吸収して凌ぐ。
戦闘では先の先、後の先問わず。
猟兵達の攻勢の前に、次々と打ち倒され数を減らしてゆく、オブリビオン教団の修道女達。
奴隷としてこの街に囚われていた人々も逃げ出し、人気の無くなったクライストシティの大通りを、二人の猟兵が駆けてゆく。
「あそこです! あそこに城塞の入口が!」
アルダワ魔法学園の制服を纏った白猫ケットシー、ニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)が声を上げる。敵の本拠たる白の城塞、その偉容は街に入った直後から目にできていたが、入り口に至るまでには少なくない数の教団員達との戦闘を余儀なくされた。そして。
「心得た。それでは一気に押し通――いや、跳べ!」
褐色な見事の肢体を躍動させ駆ける今一人、七星・桜華(深紅の天魔流免許皆伝・f00653)が、応を返しかけて即座に警告へ切り替える。同時に左へと跳躍。一拍遅れてニノンは右へ。その直後、空間を切り裂く何条もの火線。
「ここまでです異端者め! この神聖たる領域には一歩も踏み入れさせません!」
「これこそは神の与え給うた試練! その身命に代えてでも、あの異端者共に神の裁きを!」
城塞の正門を固めるかのように、修道女達が銃を構えて陣を組む。その前方、彼女達の身を守るかの如く立ちはだかるは奴隷達。逃げ損ねて捕まり洗脳されたと見える。
恐らくは彼らを肉盾として猟兵達の攻撃を制限し、その隙を銃で狙う戦術なのだろう。だが。
「味な真似を! けれど、その程度で私を止められると思わないことだね!」
桜華は即座に疾走を再開、それまで以上の速度を以て修道女達の防衛線へと迫る。修道女達も反撃とばかりに各々の銃を向けるが。
「神様のお仕置きを受けるのは、あなた達ですよっ!」
ニノンが宣言すると共に彼女達を携えたロッドで指し示せば。直後、上空から降り落ちた雷撃が修道女達の陣の中心で炸裂。かの信徒達を散らし、吹き飛ばす。
「ぐっ、落雷などとはまやかしの神力……!」
「神の力とは即ち黒き風! 偽りの神になど、私達は……!」
それでもオブリビオンたる修道女達は立ち上がり、駆け迫る桜華へと各々の携える銃を立て続けに発砲。何十発という鉛弾の雨が、疾走する桜華を目掛け殺到するが。
「そんな攻撃で! 私を捉えられると思わないことだね!」
弾丸が貫く桜華の肉体は悉くが幻。彼女の疾走速度は、今や戦場に幾つもの残像を残す程にまで至り。そして殺気すら残留する残像を前に、修道女達の狙いは散ってしまう。
「さあ、今度はこっちの番だ!」
奴隷達を跳躍にて跳び越え、空中で身を捻ると共に、携えた刀の一振りに手をかける。捻った身が地上を向いたその瞬間。鞘から白光が迸り、引き抜かれるは崩滅鬼刃・千子村正。振り下ろされたその刃から迸る闘気が、爆発的な勢いで戦場へと吹き荒れて。奴隷達には一切影響を与えることなく、修道女達を城塞の門より奥へと吹き飛ばしてみせた。
追撃せんとばかり、吹き飛ばされた修道女達を追う桜華。その後から駆けてきたニノン共々、敵の本拠たる城塞への突入を果たした。
「くっ、異端者をこの城塞に踏み込ませるなんて……!」
「皆さん、今こそ好機です!後ろからかの異端者を捕らえ――」
愕然としつつも、体勢を立て直して銃を構え、人質たる奴隷達に猟兵達を背後から襲うよう指示を発する。応えた奴隷達が追いかけてくる中、桜華は尚も加速して火線を回避。敵修道士へと迫る。一方のニノンは。
「その前に! あなた達を全員吹っ飛ばしてあげますからっ!」
愛らしい容姿に比して勇ましき声でニノンは叫ぶ。同時、掲げたロッドから光が迸り、戦場たる城塞の城門広場の至る処で爆発が発生。次々と吹き飛ばされてゆく信徒達。ニノンの言動通りの展開となってゆく。
「うぐ……っ! で、ですが私達には、私達には信仰の力が……!」
爆発で傷つきながらも、立ち上がるや否や軽機関銃を乱射する修道女達。だが後方にはニノンの展開した障壁。奴隷達と己等を明確に別つ壁。
「残念だけど、そんながらんどうの攻撃じゃ、私達を止めることはできない」
巧みな脚捌きで弾丸の合間をすり抜け、一気に修道女達に肉薄する桜華。そして得物たる刀を振り上げて。
「その修道服――斬らせてもらうよ!」
そして振り下ろす。纏う修道服は魔力で近接距離からの打撃の一切を無効にすると言われていたが。それは絶対ではない。破る手段も幾つか存在するのだ。
桜華のこの攻撃もその一つ。鎧の上からでも衝撃を通す刃の一斬にて、修道女の身が崩れる。
「これで、終わりです!」
そして最後はニノンの放った爆発魔法。以て、オブリビオン教団の信徒達は全滅の憂き目を見たのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『邪流拳法『機拳流』の武術家』
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POW : 機拳流奥義・戯岩斗拳(ギガントパンチ)
【機械化した右腕の一撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 機拳流禁忌・王刃悪狼怒(オーバーロード)
【体内に埋め込んだ加速装置を暴走させる】事で【オーバーロード状態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 機拳流秘伝・魔心眼(マシンガン)
【機械化した左眼で見た対象の動きを解析して】対象の攻撃を予想し、回避する。
イラスト:内藤ゆう
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
白の城塞の中へと突入を果たした猟兵達。外観同様、白一色に染まった壁や天井は無機質ながらとても広く、成程戦車やキャバリアで立ち入ることも叶いそうな程だ。
そんな城塞の回廊を駆けること暫し。
「神の教えに反する異端者め!」
「我らの拳を以て誅伐してくれる!」
猟兵達の行く手を阻むように現れるは、白いチャイナドレスめいた衣を纏った女性――『機拳流』の格闘家達だ。四肢は機械化され、金属質の輝きを帯びる。成程、これならば殴り合いにも耐えそうではある……が。
一斉に右手を前に突き出す拳士達。直後、彼女達の機械の腕が展開されたと思えば――その腕には、重厚な輝きを放つ機関銃。これを以ての遠距離戦を挑もうというのか。
彼女達を蹴散らして、目指すはクライスト・ヴォーテックス。クライストシティの戦い、第二幕の開幕である。
岩社・サラ
格闘家としての性質を持ちつつ機関銃による攻撃もしてくる敵ですか……厄介ですね。
「華麗に容赦なく敵を倒す者に見入ってしまう」という特性があるようですし弱点を利用して戦っていきましょう。
容赦のない攻撃、つまり圧倒的な火力で敵を粉砕するような攻撃が重要になりそうですし、UCでミサイルランチャーを封印し腕が武器と一体となったゴーレムを召喚、対戦車ミサイルで苛烈な攻撃を加えていきます。
華麗というのは苦手な分野ではありますが、安全な場所から相手を撃ち抜いていくよりは接近して攻撃するほうが華麗ではありそうですし、ショットガンや拳銃を装備してミサイルによる攻撃で混乱した敵に接近し射撃戦を仕掛けに行きましょう。
機拳流の格闘家達は、その機械化した腕より迫り出した機関銃を構え、猟兵達へ銃口を向ける。此方が動けばすぐにでも発砲せんとする構えだ。
(格闘家としての性質を持ちつつ、機関銃による攻撃もしてくる敵ですか……厄介ですね)
鈍色に輝く銃口を見据え、岩社・サラ(人間の戦場傭兵・f31741)は分析する。格闘術と銃器により遠近双方に対応する敵、正攻法では苦戦を免れ得まい。だが。
(ここは、彼女達の弱点を利用して戦っていきましょう)
彼女達の弱点――『華麗に容赦なく敵を倒す者に見入ってしまう』性質。グリモア猟兵から説明のあったその性質を活かして戦うべきか。サラは結論づける。
「ならば――召喚開始」
サラが目を見開くと共に、担いだ武装の一つ――ミサイルランチャーが姿を消す。それは召喚の代償。溢れる魔力が床へと流れ、サラの前で渦を巻いてその中心に輝きを生ずる。
「何をする気か知らないが!」
「やらせなどするものか!」
サラの行いが成就するより先に、と拳士達は腕の機関銃を発砲開始。だが、放たれた弾丸がサラの元へ到達するより先に、その行いは成就していた。
魔力の渦の中心に現れた漆黒の姿。殺到する銃弾、その全てを受け止めて、そして弾き飛ばす。サラの元へは一発とて到達していない。
「召喚完了――間に合いましたね」
其処に現れた存在――其は鋼鉄の肉体を有するスティールゴーレム。先程まで使役していたクレイゴーレムより更に堅固なる肉体は銃弾を寄せ付けず、更に。
「攻勢に出ます――撃て!」
サラが命ずればゴーレムは唸りを上げて咆哮し、右腕を展開。開かれたそこから放たれる無数のミサイルが、拳士信徒達を目掛けて次々襲い掛かってゆく。
「なっ!? く、この、うわぁぁぁ!!」
拳士達も無論黙ってやられはしない、腕の機関銃を以て迎撃を試みるも落とせたのは一部。着弾したミサイルが次々爆発、本来対戦車用である苛烈なまでの火力を以て拳士達を吹き飛ばす。
「ぐっ、なんて火力、ぐふぁっ!?」
爆撃を何とか凌いだ拳士の身に、無数の散弾が穿たれる。崩れ落ちる彼女の前に、サラの姿は在った。ゴーレムのミサイル砲撃の合間に距離を詰めていたのだ。
「今のうちに、仕留めさせて貰います」
砲撃の猛威に混乱している間に、と。サラの構えたショットガンが火を噴くたびに、拳士が一人蜂の巣となって倒れてゆく。
「こ、これは……!?」
そんなサラの戦いぶりを目にした格闘信徒達、驚愕と共にサラの動きへ食い入るような視線を受ける。その視線の強さ、サラの意識に確と伝わる程。
(……どうやら、華麗な戦いというのはこのような形で良いようですね)
華麗、という概念には苦手意識のあるサラ。後方から安全に戦うより接近して攻撃する方が華麗と言えそう、という理由でショットガンを軸とした接近戦を挑んでいたが、どうやら方向性は正しかったらしい。
(ならば、このまま攻めていくとしましょうか)
己に見入る拳士達が我に返るまで、可能な限り。尚もミサイルを乱れ撃つゴーレムを背に、ショットガンを振るって拳士達を撃ち倒してゆく。
大成功
🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
拳を握る時間を得られるかどうか
試す猶予は僅かだぞ
戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
要らぬ余波は『無現』にて否定し消去
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給
破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無
高速詠唱を『刻真』『再帰』にて無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、周囲全方向へ斉射
更に射出の瞬間を無限循環し殲滅まで一切止まらず継続
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす
変わった趣味を持っていると聞くが
これならば文句もあるまい
※アドリブ歓迎
「「な……っ!?」」
機拳流の拳士達は、一様にその表情を驚愕で硬直させる。戦場たる真白き広間に青き光が走ったかと思えば、仲間の一団の姿が一瞬で跡形もなく消え去ったからだ。まるで、最初から存在していなかったかのように。
「―――」
代わってその場に在ったのは、蒼き燐光を身に纏う黒と銀の男。アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)である。
「お前が……これを……!?」
「我らの同胞を、一瞬で……!?」
その姿を認めた拳士達は、一様に彼の力が齎した結果を確かめるように問う。その様はまさしく、同胞を瞬時に消滅せしめた業に魅入られたかの様子。
(――変わった趣味を持っていると聞いたが)
そんな彼女達の姿を前に、アルトリウスは藍の瞳を瞬かす。華麗に無慈悲なる死を齎すものに惹かれる、とグリモア猟兵は言っていたが。無慈悲ではあろうが華麗とは言い難い己の業に、ここまでの反応を示すか。些少ながらに驚きを覚えたようで。
(尤も。必要以上に見せつけてやる義理も無い)
彼女達は討つべきオブリビオン。アルトリウスにとってはそれ以上でも以下でもない。ならば。
「戦の業には多少自身があるようだが」
無感情に、己を見る拳士達へ告げる。其れは宣告。己を仕留めきれねば、死ぬのは彼女達である、と。
「拳を握る時間を得られるかどうか。試す猶予は僅かだぞ」
「!」
「言ってくれる!」
宣告を受け、機械拳士達は一様に戦闘態勢を取る。拳を握り構えを取る者、機械化された腕部より銃器を展開する者。だが、その時既にアルトリウスの行動は完了していた。
元より超速の詠唱は、時の原理と無限の原理によって幾重にも重なり瞬時に果たされる。刹那にも満たぬ間に、広間の天井は蒼く煌めく星々めいた魔弾で埋め尽くされていた。
「行き止まりだ」
即ち時間切れ。撃ち出される魔弾は広間を埋め尽くすように全方位へと放たれ、更に循環の原理を以て魔弾の生成と射出とが無限に繰り返される。
「「あ――」」
拳士達は見た。視界を埋め尽くす蒼き流星群を。死をも飛び越えた、絶対の消滅を齎す蒼光の雨を。あまりにも恐ろしく、そして美しい輝きを――
そして次の瞬間。広場に集っていた機械拳士達は、一人残らず、この世界から消え去り果てたのである。
魔弾の嵐が止み、一人残ったアルトリウスは、直前まで拳士達が立っていた空間を眺め渡し。
「これならば、文句はあるまい」
餞別めいて呟き、歩み出す。城塞の、更なる奥へ。
成功
🔵🔵🔴
弥久・銀花(サポート)
敵が集団の場合は罠に掛けて一網打尽、或いは私が囮になって頃島までエスコートしますね
ユーベルコードのワイルドエールで敵に突っ込んだり、縦穴を掘って敵を落としたり
無視できない煽り攻撃で楽しく罵倒しながら他の人の近くまで誘引したりします
(ですが例によって奇襲には弱いので、場合によってはあっさりと敗北します、触手とかエッチなトラップとかには特によく引っ掛かります)
夜都守・寧闇
うん、神の教えに反するもなにも、私が神…
まぁいいか
機械化改造、銃器による遠距離戦、速度の増大
たしかに厄介だ。厄介だが…
戦場全体を文字通り塗り替えてしまえば、どうしようもあるまい?
UCを使い、闇で場を満たす
拳士たちは眠りに落ちるだろう
とはいえまだ油断はしない
眠りから覚めるのが早い可能性もあるからな
すかさず二撃目を放つ準備をしておこう
「来たな! 神の教えを穢す異端者め!」
城塞内の通路を進むうち、信者たる機械拳士に遭遇した夜都守・寧闇(闇の神・f31410)は、不思議そうに瞳を瞬かせた。
「……うん、神の教えに反するもなにも、私が神……」
「神を僭称する冒涜者! 益々赦し難い!」
言いかけた寧闇の言葉を、拳士の怒声が遮る。事実、寧闇は種族として神ではあるのだが。
「無駄でしょうね。あなたは確かに神ですが、彼女達の信じる神ではありませんから」
右目のみの視線を拳士達から寧闇に向けつつ、弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)がフォローめいて告げる。
「彼女達は己に都合の良い神を妄想しているだけ。だから目の前に本物の神がいても信じない」
そして再び拳士達に向ける視線は冷たく鋭く。その敵意と、戦意の程を覗わせる。
「成程。ならば見せてやるとしようか、神の力というものを」
納得した寧闇、その手に一振りの剣を抜く。常世見剣、彼女の権能たる闇の力の一端を宿す神剣。
「愚かしき異端者め! ならば受けるがいい、神の加護を受けし我らの力!」
猟兵達が戦闘態勢に入ったと見たか、拳士達が一斉に機械化された腕の機構を展開。迫り出した機関銃を、二人の在る空間へ乱射してきた!
「何の!」
なれど銀花はその只中へ飛び込んでゆく。オーラの流れをその身に纏い、銃弾の悉くを逸らして肉体へと届かせない。
「ほう、これは良い! 私も利用させて貰うとしようか!」
その後を追う形で寧闇も駆ける。銀花の後ろには弾丸は飛来せず、よって寧闇に迫る銃弾は殆ど無い。偶に飛来する弾丸も、彼女ならば容易く躱せる程度だ。
「――斬ります!」
拳士の一人の懐へと潜り込んだ銀花、携えたる刀を抜刀。白嵐玉椿、美しき銀刃が空間の白に負けず輝き、白の戦衣纏う信徒の身へと振り抜かれ――
「無駄だ! 神の加護受けたる衣は無敵!」
だが、斬れない。生半なオブリビオンの装甲ならば薄紙の如く斬り裂く銀花の刃は、然し信徒の衣に切れ目一つ入れられず。
「受けよ粛清の一撃! はいやぁっ!」
「くっ!」
反撃とばかり繰り出された拳を、銀花は辛うじて跳び退き躱す。
「機械化改造とは厄介なものだな……」
その一連の攻防を見届け、寧闇は呟く。筋力、反応速度、運動性。その全てが向上したが故の攻撃力や速度の増大。更には身体に仕込んだ銃器による遠距離戦さえも可能とする。
その上で、近接攻撃を無効とする衣を纏う。成程、雑兵といえど厄介極まりない敵だ。
「だが、手が無いわけではない」
我に策あり、とばかり寧闇は不敵に笑む。そして白一色の戦場を見渡せば。
「この戦場を、文字通り塗り替えてしまえば。どうしようもあるまい?」
宣告と共に、携えた常世見剣を掲げる。直後、刀身より闇が溢れ出し、瞬く間に戦場を満たして夜に染め上げる。
「な!? これ……は……」
拳士達は驚愕の声を上げるがやっと。続く反応は鈍く、やがては全く反応を見せなくなる。闇は夜。夜は眠りの時。其は眠り与える闇神の慈悲。拳士達は一人残らず、その場にて眠りに落ちたのである。
「ええ、永遠に、ですね」
眠り、動かぬ拳士のもとへ、銀花が愛刀を手に歩み寄る。闇に煌めく銀の刃。突き下ろせば、切っ先は白き衣の護りをすり抜け、その信徒に致命を齎す。然るべき位置を刺し貫けば、突破は叶うということだ。
そうして一人一人、止めを刺して骸の海へと送り還してゆく銀花。だが繰り返す合間に、呻き声が聞こえる。生き残っている拳士が、目覚めようとしていた。
「やはり寝覚めも早いか。備えておいて良かったな」
だが、寧闇の動くのが早かった。機械化改造ゆえに要する睡眠の量も少ない、そう踏んで備えていたが故だ。
「今度こそ深く眠るが良い。次の目覚めは、平穏の内にあるようにな」
再び展開される闇。拳士達は再び眠りへと落ち、銀花の刃によって骸の海へと送られる。
そうして、この領域の拳士達も全滅していったのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シズホ・トヒソズマ
アドリブ連携OK
次はサイボーグな格闘家ですか
遠距離は効いて華麗にやればいいのなら、アレしかないですね!
今回は人形操作はバルに絞ります
UCでバルの能力を3倍
ナノマシンで周囲の空間を把握
敵のスピードに◆見切り反応し即座に◆早業で◆操縦
近距離での射撃なので威力は望めませんがその反動で体を動かし糸で繋がる私も回避
人形操りのテクで舞うように銃撃をし敵の攻撃を回避する
そう、いわゆるガンカタです!
魅せれたようなら、地を蹴り服対策で距離を取ってからバルで◆スナイパー射撃
弾道変化弾で急所を狙います
あるいは、服の留め具だけをスナイプして服をバラバラにし、そこをヘッドショット、なんてのも魅せにはいいかもですね
城塞の奥まで進攻してきた猟兵達。道中警備の機械拳士も排除し、次の広間を抜ければその先は庭園――城塞の主たるクライスト・ヴォーテックスの居所まで後少し。
だが。
「不遜なる異端者め! これ以上の狼藉は罷りならんぞ!」
その広間には、残る戦力の殆どをかき集めてきたか、機械拳士の一大部隊が揃い、腕より展開した機関銃を猟兵達に向けていた。
「流石に守りが硬いですね」
進み出るのはシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)。扇状に布陣した敵の陣容、射撃主体という点も併せれば無傷で切り抜けるは少々厳しいとも見える。
「ですが、遣りようはあります」
シズホの指が閃くと共に、一体の人形が彼女の前へ跳び出てくる。軍装風の少女人形『バル』。市街地の戦いでは他にも複数の人形を操り戦っていたシズホだが、此度はバル一体に操作対象を絞っていた。即ち。
「さあ、全力でいきますよ、バル!」
その一体の操縦に集中する事により、性能を最大限に引き出す業。全力での操作を受けたバルが跳躍し、シズホが駆け出す。
「その不敬、悔い改めよ!」
シズホが動いたと見れば、機械拳士達は一斉に構えた機関銃を発砲。数百発という弾丸が空間を満たし、シズホとバルに襲い掛かる。
「何の!」
だがシズホには見えている。バルが散布したナノマシンにより、この広間の事象は全て把握できている。舞うように身体を捻り翻し、弾雨の中を駆け抜けて。そして。
「裁きを受けよ!」
目前に姿を現した拳士。身に埋め込んだ加速装置を最大限に稼働せしめる事で限界を超えた速度を実現、常人ならば反応不可能な速度でシズホのもとまで踏み込んできたが。
「お断りします!」
シズホには見えていた。糸を繰り、横合いからバルの銃撃を放つ。
命中、なれど拳士の攻撃姿勢は崩れず。しかし銃撃の反動によるバルの動作は糸を経由してシズホにも伝わる。以て、反動を利して身を翻し、迫る拳を回避し。
バルの銃撃が更に二度。白き衣に弾痕が穿たれ、白に黒ずんだ赤が混じる。倒れ伏す拳士、骸の海へと還りゆく。
その反動も利用してシズホとバルは揃って跳躍、扇状に布陣した拳士部隊へ次々弾丸を放ってゆく。飛来する弾丸の合間をすり抜け、自らの弾丸を返して仕留める、舞踏めいて華麗なる一人と一体の動作。
「あ……あれ、は……」
「なんと、美しい……」
その流麗さと無慈悲な攻撃、拳士達はいつしか魅入り、機関銃の論理トリガーも鈍る。加速装置を起動した拳士も、その機動力を落としていた。
「では仕上げといきましょうか、バル!」
拳士達がすっかり己らの動きに魅入られている。そう見たシズホは十指を猛烈な勢いで動かし。応えるバルが空中で蜻蛉を切りながら弾丸を乱れ撃つ。
だがそれはその全てが緻密な狙いをつけられた射撃。狙い違わず――敵が回避行動を取ろうとその後に追従し――敵の急所を撃ち抜き、仕留めてゆく。
「……なっ!? こ、これは、み、見るな……!?」
そのうちの一発が、残った拳士のうちの一人、着衣の留め具へと命中。以て白の衣は解け落ち、彼女の鍛えられつつも確かな肉感を有する肢体が露わとなって。あられもない姿に、思わず周囲の拳士達の意識も剥く。
「心配せずとも、もう二度と見ません、よ!」
裸体を晒された拳士と、そこに視線を向けてしまった拳士。両者纏めて、その頭を撃ち抜かれ。全てが斃れ、骸の海へと還ってゆく。
以て、猟兵達は防衛ラインの突破に成功。扉を開き、その先の庭園へと足を踏み入れてゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『狂人教祖『クライスト・ヴォーテックス』』
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POW : この俺が「聖書(バイブル)」だ
【クライスト・マシンガンの連射】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : ロンギヌスが槍だと、誰が決めた?
【痛みを感じないかの如き狂信的突撃】で敵の間合いに踏み込み、【ハンマーを利用したアクロバット】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ : 知ってたか? テキーラはこう使うんだ
レベル×1個の【テキーラと火薬を混ぜた純白】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
イラスト:鹿人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達は、白き城塞の奥に広がる庭園へと足を踏み入れた。
其処は椰子等の南国らしい木々が植わり、色鮮やかな花々が咲き。建物と建物の間を、白く舗装された道が結び、その周囲の地面を刈り込まれた芝が覆う。
往時は海岸リゾート地として知られた、この都市の名残を残すかの如き領域。とても、荒廃世界に暴虐を為す一族の一員の本拠とは思えないが。
「――来やがったな、クソ鼠共」
最奥の建物から、まさにその一族の一員たるその男が姿を現した。
髭面にサングラスという装いは、彼の肩書とは些か不調和ではあるが。腕から覗く奇妙なタトゥや、随所に身に着けた奇妙な意匠の装飾類は、成程『狂人教祖』の肩書を覗わせる。
そう、彼こそがクライスト・ヴォーテックス。この城塞の主にして、アポカリプスヘルに最大勢力を布くヴォーテックス一族の一員である。
「俺達兄弟のシマで随分と好き勝手してくれやがったようだが。お前らのやってきたことは全て『無駄』だ」
睥睨するかの如き姿勢で言い放つ教祖。
「嵐は起こる。全ては滅びる。この世界でお前らと、お前らの助けようとしていた連中の築いてきたものも、全部な」
その語り口は徐々に熱を帯び、陶然としてくる。あたかも、カルトの教祖が己の教義を語るかのように。
「跪け。祈れ。我らが神に。この世界に黒き嵐の恵み齎した『フィールド・オブ・ナイン』に」
そして口にするは謎めいた神の名前。フィールド・オブ・ナイン。それは彼の言う通りの――アポカリプスヘルの荒廃の元凶たるオブリビオン・ストームを齎した存在なのか、或いは。
「世界に、黒き嵐の祝福あれ。其を拒むというのなら――」
両手を広げて天を仰ぎ、陶然と唱えるクライスト。その姿勢のまま、鋭い眼光が猟兵達を見据え。そして。
「――神に代わって、この俺が裁きを下してやろう!」
傍らに携えた銀色の鎚を手に取り、宣告する。呼応するかのように、庭園に一際強い風が吹く。
かの敵を打ち倒し、狂える邪教諸共に滅ぼすべし。いざ、決戦の時である。
※クライストには近接攻撃も普通に通じます。
架空・春沙(サポート)
『断罪します』
人狼の女性
ピンク掛かった銀髪と同色の狼耳・狼尻尾、緋色の瞳
スタイルが良い
服装:ぴっちりスーツ
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
罪有る者には「冷徹(私、あなた、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。
・性格
通常は明るく人懐っこい女性ですが
罪有る者に対しては冷徹に、処刑人として断罪しようとします
・戦闘
大鎌「断罪の緋鎌」を振るって戦います
ユーベルコードはどれでもいい感じで使います
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
アレクサンドラ・ヒュンディン(サポート)
人狼の力持ち×ミュータントヒーローです
普段の口調は「私、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?」、気にいったら「私、あなた、~さん、ね、よ、なの、なの?」
性格は内気で人と目を合わせるのが苦手ですが、人嫌いなわけではなく事件解決には積極的です
戦闘スタイルは力任せで、ダメージはライフで受けるタイプです
日常や冒険の場合、食べ物があるとやる気が増します
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「裁きを下すのは、あなたではありません」
進み出た一人の猟兵が、クライストの宣言を斬って捨てる。桃色がかった銀の髪に、同色の耳と尻尾を具える、人狼の女性。
「汝に咎あり。その罪、断罪します」
緋色の刃持つ大鎌を突きつけ、架空・春沙(緋の断罪・f03663)は宣告する。
「この世界で懸命に生きる人達の努力を、無駄などとは言わせません」
続いて進み出てくるは、白の髪に同色の耳と尻尾を有する、同じく人狼の少女。その声音は淡々としつつも、確かな意志を滲ませる。
「そして、それを踏み躙るようなあなた達の行いも。許しはしません」
両腕の拘束具から鋭き鉤爪を展開し、アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)は狂人教祖を睨み据える。
「この世界は黒き風の破壊と恵みによって成る。其は大いなるフィールド・オブ・ナインの意志の賜物――」
然し。そんな二人の意志など聞いて居らぬかのように。クライストは天を仰ぎ朗々と語る。謎めいた神を中心とした己の教義を。
「拒む事は即ち、この世界そのものへの反逆と知れ!」
そして一際語気を強めると同時。春沙とアレクサンドラへと浴びせかけられる無数の鉛玉。クライストの左手にはいつの間にかマシンガン。そこから放たれた銃弾だ。
「くっ!」
「うぅ……っ!」
咄嗟に回避行動を取る二人だが、不意打ちの掃射攻撃を全て躱すには至らず。数発が彼女達の肌を掠め紅い痕跡を残してゆく。そして、クライストにとってはそれで充分だった。
「俺は神の意志を代弁する者。俺の言葉は神の言葉。つまり俺こそが法(ルール)、俺こそが聖書(バイブル)だ」
命中を確かめたクライストは傲岸に言い放つ。今この場においては、己の言葉が全てを決めると。
「神の名の下に命ずる――『汝ら、神の代弁者に抗うことなかれ』!」
「「………!!」」
告げられたその命が、圧力を以て己の身にのしかかるのを二人は感じる。宣告されたルールに逆らえば、ダメージというペナルティを齎すユーベルコード。
(齎される傷は、決して小さくはないでしょう。動くタイミングを計らねば……)
春沙は思案する。敵に告げられたルールは即ち『抵抗禁止』。守るだけならば容易なルール、その上クライストは強力なオブリビオンだ。ペナルティを受ければそのまま行動不能に陥る可能性もある。
「さあ、断罪の時間だ。抗わず、裁きの鉄鎚を受け入れろ。そうすれば、黒き嵐がお前達に祝福を寄越してくれるだろうよ」
鉄鎚を担ぎ、神を騙る教祖は二人へ歩み寄る。春沙は動かず、彼の歩みを見据える。鉄鎚を用いるならば、己とアレクサンドラ、両者を同時に裁くことは出来ないだろう。どちらへ先に断罪を下しに来るか――
「――まずはお前だな。事もあろうに神の代弁者へ裁きを下そうなどと。不遜にも程がある」
クライストは春沙の前に立つ。やはりそう来たか。眼前の教祖を見据えながら、逆転の手を模索する。敵もルールを反故とされる可能性は想定しているのか、春沙の挙動への警戒が見える。
振り上げられる鉄鎚。春沙は眼前の狂人教祖を睨み据える。そして思考を加速する。この状況で反撃の一手を繰り出すには――
「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その時。庭園に雄叫びが轟いた。痛みに苦悶するかのような、それをも捻じ伏せるような闘志の滲むような雄叫びが。その主は、無論。
「倒す……あなたを倒す……! がぁおぉぉぉぉぉぉ!!」
アレクサンドラである。両手を前脚の如く扱い、獣の四足走行じみて地を蹴り駆ける。全身の皮膚が裂け、滂沱と溢れる血が辺りへ散るが、アレクサンドラは止まらない。
元より、多少の負傷は承知の上。己が倒れるより先に、叶う限りのダメージを叩き込む。それがアレクサンドラの戦い方。少しばかり、最初の負傷が大きくなっただけだ。
その疾走は瞬く間に、狂人教祖の背へ迫り。飛び掛からんと、地面を蹴って――
「ふん、クソ狗め。来るならここだと思ったぜ!」
だが、そのタイミングでアレクサンドラが仕掛けてくるのはクライストも想定の内。跳躍するアレクサンドラを叩き落とさんと、振り向きざまに頭上へ掲げていた鉄鎚を横薙ぎに――
「ぐっ!?」
だが果たせない。振りかけた鉄鎚が、何かに引っ掛かって中途で止まる。見れば、鉄鎚の柄に絡む緋色の柄。それは断罪の緋鎌、即ち――
「――やっと、隙を見せましたね」
春沙もまた、この機に動いた。地に突き立てた緋鎌を以て、クライストの攻撃を阻止。その柄を濡らす更なる赤は、ルール違反の代償として引き裂かれた傷より噴き出した、春沙自身の血液。飛びかけた意識を精神力の限りで繋ぎ留め、振られかけた鉄鎚を押し留める。一瞬でも良い、その一瞬さえあれば――充分だった。
「がぅぅぅぅぅっ!!」
「ぐあぁぁぁ!?」
狂人教祖の肩口に突き刺さるのは、アレクサンドラの歯。小さくも強靭なその牙は、ユーベルコードの作用で以て長く伸び、そして枝分かれし、深く、深く突き刺さってゆく。
「が…っ!? この、離せ、クソ狗が……っ!」
「はなさ、ない……がうぅぅぅっ……!!」
背中からしがみつかれれば、引き剥がすのは容易ではない。その間にもアレクサンドラの牙は鋸刃までをも形成し、クライストの肩の肉を引き裂いて。
「さあ、改めて断罪の時です。悪しき神の代弁者よ」
もがくクライストの前に、緋鎌を構えて春沙が立つ。その身はズタズタに引き裂かれ、今にも倒れかねぬ様相を見せるが。己の為すべき務め――断罪を果たす、その意志を以て肉体を支え、攻撃姿勢を取る。
「ぐ、ま、待て……! こ、こいつごとやる気かお前は……!?」
背後のアレクサンドラを示し、攻撃を思い留まらせんとするクライスト。だが無論、春沙の狙うはクライストただ一人。アレクサンドラまで巻き込む愚など為さぬ。
「汝、罪有り。――執行します」
そして振るわれた緋鎌は、アレクサンドラが噛みついているのとは逆の肩へと命中。刃は深々と刺さり、肉も骨も無残な程に引き裂いてみせたのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シズホ・トヒソズマ
アドリブ連携歓迎
例えどんな嵐が吹こうと、ここの人達は懸命に踏ん張っているんです。
それを助ける為にも、その嵐の勢いをアンタを倒す事で削いであげます。
UCを発動
竜神親分から削いだ力を使用
私自身に成長する電気と速度を得る状態を付与
ですが最大電力と速度に至るには少し時間がかかります
その間は人形で凌ぎます!
◆早業で人形を◆操縦
デザイアキメラの◆オーラ防御でガード
素早く回り込まれたらシュヴェラの重力操作で動きを鈍らせその隙に◆空中浮遊で回避
電力と速度が充分になったら人形と共に加速
バルの軌道変化◆スナイパー◆電撃属性弾で狙い撃ち
電気による筋肉麻痺は
痛みを感じない精神でもどうもできません
と更にヘッドショット
アルトリウス・セレスタイト
神に祈れ
祈りの時間は短いぞ
戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
要らぬ余波は『無現』にて否定し消去
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給
絢爛を起動
目の前の空気を起点に戦域の空間を支配
因果の原理によりオブリビオンとその攻撃以外へは無害とし、破壊の原理を直に斬撃として解放
空間全てを同時に、隙間なく、終わりなく、「その場に直に現れる斬撃」で斬断する
万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない
信仰に殉ずるか、命をとって神を捨て逃げ去るか
好きに選ぶが良い
逃げるのが間に合うのならな
※アドリブ歓迎
「ちぃ……っ、クソが……!」
先の猟兵との交戦を経て、浅からぬ傷を負ったクライスト・ヴォーテックス。砕けた肩に何らかの薬物を仕込んだと思しきアンプルを突き刺せば、骨が、肉が徐々に再生し、繋がりを取り戻し。以て態勢を立て直す。尤も、先の猟兵に与えられた負傷の誤魔化しに過ぎぬが。
そして彼が顔を上げた、まさにその時。視界に仄見える、蒼き燐光。
「神に祈れ。祈りの時間は短いぞ」
其はアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)が纏う、原理示す光。何の兆しも無く現れた黒と銀の男は、静かに、淡々と。眼前の狂人教祖を睥睨するかのように見据えていた。
「ハ――」
教祖は嗤う。懐から一本のテキーラ瓶を取り出す。祈りすらも捨てたか。否。
「神を拝み倒すばかりが祈りだと思ってんなら、とんだ心得違いってモンだ」
テキーラ瓶を放り投げる。腰より抜くは機関銃。アルトリウス目掛け発砲しながら、射角を徐々に上へ。アルトリウス、否定の原理を以て銃弾を阻む。
「――テキーラってのはこう使うモンだ、ってな!」
上向いた射線の先にテキーラ瓶。其を銃弾が撃ち抜けば、溢れ出すは純白の炎。瞬く間に空間を満たし、アルトリウスを押し包む。
「―――」
アルトリウスは動かない。否、動く必要が無い。荒れ狂う白き炎は、アルトリウスに届くことなく――消えた。
「何……!?」
驚愕を隠せぬクライスト。否定の原理は望まぬ干渉を拒むばかりではない。望まぬ余波をも否定し、直ちに消し去るものである。
「――っとと、助かりました。これで動きやすくなります」
其は己の為ではない。行き合ったもう一人の猟兵の行動を助ける為。己の前面にキマイラ少女人形を浮かべ、以て生じた障壁で身を守っていたシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)が礼を告げる。
「ハッ、もう一人いやがったか! まぁ良い、一人ずつ潰して壊して、神への供物としてやろうじゃねぇか!」
二対一の状況でも狂人教祖は口元を笑みの形に歪め。携えた鉄鎚を振りかざし、シズホを目掛けて吶喊してゆく。
「と、来ましたか……! すみません、助けてもらって何ですが、もう一つ協力願えますか!」
情報が確かなら、あの突撃に生半な迎撃は通用しない。呼びかけにアルトリウスの意識が向くのを認め、シズホは続ける。
「今から最大限の攻撃を繰り出せるように準備しますので、それまで時間を稼いで頂きたく!」
言うが早いか、シズホはユーベルコードを行使。携えたからくり人形から姿を現すのは、金髪金瞳、黄金の衣と紫電を纏った少年。龍神親分『碎輝』、その力の片鱗が、シズホの身に宿ろうとしていたのだ。
「――分かった。やってみよう」
其を目にしたアルトリウス、彼女の意図を察する。以て駆け迫らんとする狂人教祖へ向き直れば、一言、告げる。
「煌めけ」
直後、空間に満ちるは無数の斬痕。そこに生じ、存在し続け、接触するもの全てを斬り裂く斬撃。破壊の原理の具象が、クライストの在る空間を一瞬で満たした。
「ぐおおおおおお!!?」
突如、全身を無数の刃に斬り刻まれる痛み。全身から鮮血が噴出する。何の前触れも無き攻撃の前に、クライストは苦悶の叫びを上げる。
「――む」
後は斃れるまで斬撃を維持するのみ。そう見定めていたアルトリウスの眉が跳ねる。迫るクライストの疾走に、些かも衰えが見えぬ。
「黒き嵐は救い也、黒き嵐の吹く限り、我ら永遠を生きるもの也……!」
妄信めいて叫びながらクライストは駆ける。否、実際に彼はこう信仰しているのだ。己の教義を唱え続けるその姿、まさに教祖を名乗るに相応しき狂える有様。
「黒の嵐に抱かれて、生まれ変わってみろってなぁ!」
そして眼前のアルトリウス目掛けて鉄鎚を振り下ろす。なれど否定の原理は一切の物理干渉を否定する。故に恐れるに足りぬ――そう判ずるアルトリウスであったが。
「………!」
銀色の鎚が己の身をすり抜けた、そこで気付く。この攻撃、運命に干渉する類の業か、と。
「後十秒! それがテメェの余命だ!」
鉄鎚を振り下ろした勢いを利して跳躍したクライストが嗤う。同時に空中で鉄鎚を横薙ぎに振るい身体を回転、空中からアルトリウス目掛け飛び迫る。
「―――」
思案するアルトリウス。あの攻撃は命中したと本人が思えば命中した事になってしまう。そして、己の操る原理にても干渉し得ぬ楔を、己の運命に撃ち込んでくるのだ。
躱すだけならば楽、なれどそれは己が任じた務めの放棄を意味する。しかし無論、受けるまでの義理は無い。ならば取るべき手段は一つだ。
立て続けに繰り出される回転打撃を、紙一重で跳び退き躱す。明確なる回避を示すべく、殊更に早いタイミングにて。
「ハッ! どうした、逃げてばかりか!」
更なる回転打撃を繰り出しつつ、嘲ってみせるクライスト。
「誰も運命には逆らえやしねぇ! そして運命とは黒き嵐! 抗うだけ無駄、頭を垂れて受け入れ――」
畳みかける言葉が、突如中途で途切れる。回転の中に撃ち込まれてきたのは、紫電棚引く数発の銃弾。そして其が齎す結果は。
「――れれれれれれれ」
痺れ震え痙攣する狂人教祖の肉体。痛みを意に介さぬ状態と言えど、電流による筋肉の麻痺という物理的な状態の変化までは無視できない。
「ありがとうございます、おかげで充分に電力と速度が得られました」
いつの間にか、アルトリウスの隣にはシズホの姿。傍らには、銃を構える少女人形『バル』の姿。シズホ共々、その身には迸る紫電が纏われる。
ユーベルコードを以て碎輝の成長する電流の力を得た彼女、然しそれ故に真価を発揮するには『成長』する時間を必要とする。故にアルトリウスに時間稼ぎを依頼したのである。
「問題ない。決めてやるが良い」
尚もクライストの周囲には無数の斬撃が展開しその身を斬り刻んでいるが、これらはオブリビオンならぬものへは一切干渉しない。故にアルトリウスは促す。稼いだ時間を利した決着を。
「勿論です!」
頷き、バルを伴い疾走するシズホ。電流に痺れ動けぬ狂人教祖のもとへ。
「例えどんな嵐が吹こうと、この世界の人達は懸命に踏ん張っているんです!」
断続的に放たれる紫電がクライストへと浴びせられ、その肉体を痺れさせ続ける。この状況ならば、仕掛けられる。
「そんな人達を助ける為にも、理不尽な嵐の勢い、削いであげます――」
バルが拳銃を構える。狙うは教祖の頭部。痙攣で細かく動いているが、照準に支障は無し。目標、捕捉。
「アンタを倒すことでね!」
発射。放たれた二発の弾丸は、見事に狂人教祖の頭部を捉え。其の頭蓋を、穿ってみせた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
岩社・サラ
カルトというのはどの世界でも変わりはありませんね。速やかに排除しましょう。
しかし相手の技は面倒ですね。
痛みを無視して繰り出される突撃というのは頭に銃弾を撃ち込んだ程度では止まらないでしょうし相応の火力で対処しましょう。
対策としてUCを発動して爆発物を仕掛け相手の突撃を強引に止めましょう。
突撃を止めればハンマーによる接近戦には持ち込めないでしょうしね。
もちろん策もなく爆発物を仕掛ければバレてしまうので、相手が技を使う前にグレネードランチャーによる攻撃を行い爆風で相手の視界を奪った瞬間に目立たないように設置することにします。
敵の動きを止めたら銃器や白兵武器を使った接近戦でとどめを刺しに行きましょう
夜都守・寧闇
そいつに祈ってやる義理が無いな
だがまぁギブアンドテイクというし、フィールドオブナインとやらが私に祈るならば考えてやらんでもない
ちなみに人の子の大人たちの間において考えるというのはつまり以下略
知っているに決まっておろう
懐かしいな、ロンギヌスのハンマー
人の子は伝聞が苦手だからな、どこかで槍に入れ替わったんだろうが
私は勿論知っているとも
クライストの攻撃を見切ってかわしながら
神に代わって裁きを下す、といったな
大変結構
であれば我は慈悲をくれてやろう
闇に還り眠るといい
(UC使用)
「―――無駄だ」
ゆらり、と起き上がる髭面の男。クライスト・ヴォーテックス。その身はズタズタに引き裂かれ、夥しく溢れる血が総身を真紅に染め上げていた。
「――無駄だ、無駄だ。俺が死のうと、神の意志は変わらない。黒き嵐は止まらない」
蔑むように、哀れむように。対峙する猟兵達を睥睨する。
「祈れ、我らが神に――フィールド・オブ・ナインに。神の意志に――オブリビオン・ストームに、全てを委ねろ。それが唯一絶対の救済だ」
砕けかけた肩も意に介さぬかの如く、両手を広げ朗々と語ってみせる狂人教祖。なれど、斯様な戯言を是とする猟兵達ではない。
「カルトというのはどの世界でも変わりはありませんね」
いっそ大仰な教祖の語りを冷ややかに眺めながら、岩社・サラ(人間の戦場傭兵・f31741)は肩を竦める。
「そもそも、そいつに祈ってやる義理が無いしな」
その隣で夜都守・寧闇(闇の神・f31410)もまた同じく。そもそも寧闇もまた神、寧ろ祈られる側だ。故に。
「だがまぁ、同じ神の誼だ。そのフィールド・オブ・ナインとやらが私に祈るというなら考えんでもない」
即ちギブ&テイク。相互に拝み合うべし。そんな妥協案じみた申し出を切り出してみせるが。
「お前如き小神と我らの神が同列だと?笑わせるな」
一蹴するクライスト、傍らの鉄鎚を担ぎ。
「愚昧な小神と無知なる輩。纏めて、俺が裁きを下してやろう――」
そして身構える。その姿、重傷を負った身とは思えぬ程に力強く。
「――この『ロンギヌス』で以てな!」
叫ぶが早く、クライストは駆け出す。向かう先の二人を見据える眼を、狂的なまでの輝きにぎらつかせて。
「その鉄鎚がロンギヌスなどとは!」
携えていたカービンライフルを撃ち放ちながら、サラは彼の宣言したその名に疑問を呈する。ロンギヌスといえば、かの救世主の処刑に用いられた槍である筈だが。
「ロンギヌスが槍などと、誰が決めた!」
迫るライフル弾を意にも介さぬかのように、吼えるクライスト。サラの巧みな狙いから放たれた弾丸は、心臓や喉、額など致命的箇所を複数捉え、見事に撃ち抜いてみせたが。狂えるかの男は、倒れるどころか勢い衰える事もなく爆走を続け。
「裁きを、受けろ!!」
そして振り下ろされた鉄鎚。跳躍し躱す二者。クライストはその反動を利して跳躍、尚も二人を狙う。
「ふ、懐かしいな、ロンギヌスのハンマー」
数多の血を吸って来たことを窺わせる赤黒い殴打面を見据えながら、ふと思い出したように寧闇が呟く。
「え、知っているのですか?」
驚いたように問うサラに、当然と返す寧闇。
「人の子は伝聞が苦手だからな、何処かで槍に入れ替わったんだろうが――」
私は勿論知っているぞ? と改めてクライストの顔に視線を移しながら、寧闇は応える。
が、何故かクライストの眼には僅かに狼狽が見える。上空から更なる鎚撃を繰り出さんとする動きに迷いは無いが、寧闇が披露したよもやのロンギヌスの真実に動揺しているのだろうか。
「――いずれにせよ、かの敵は止めねばなりませんね」
サラはライフルに代わってグレネードランチャーを抜き、構える。ヘッドショットを決めて尚止まらぬ狂的な信仰心、止めるには更なる大火力が必要だ。
「落ちなさい!」
降下してくるクライスト目掛けて発砲、放たれた榴弾は狙い違わずかの教祖へと直撃、大爆発と共に爆炎と黒煙が彼を覆う。
「やったか!?」
あれだけの爆発をまともに受ければ、と蟠る炎と煙を見上げる寧闇。だがサラの表情は硬い。
「――ワケが無ぇだろうが!!」
危惧に応えるかのように。爆炎を斬り裂くように飛び出してきたクライスト。そのまま鉄鎚を袈裟懸け気味に振り下ろす。
「ぐぅ……っ!!」
咄嗟に腕で防ぐサラ、だが齎される衝撃は彼女の身を容易に吹き飛ばす凄まじいもので。防御に用いた腕の骨が砕けたのが分かる。
「お前等の罪! 決して赦されるものじゃあ無いと知れ! 現在と過去の狭間で、この痛みを永遠に――」
着地するや鉄鎚を振った勢いにて身を一回転せしめたクライスト、その動作から流れるままに鎚を振り上げ。永劫の苦しみという裁きを齎す鉄鎚を、サラ目掛けて振り下ろさんと、踏み込んで――
直後。彼の足元から、眩い閃光が走り。爆音と爆炎と爆煙が、戦場を席捲した。
「な、何だ今のは……!? あいつの足元から、爆発……?」
咄嗟に身を守った寧闇、未だ爆煙晴れぬ戦場を見渡す。つい一瞬前までクライストがいた位置の地面が、擂鉢状に抉れていた。
「……うまく、いきましたね」
横合いから声。見れば、サラがよろめきながらも歩み寄ってきていた。片腕は先のクライストの攻撃に加え今の爆発で半ば千切れそうになり、着衣もボロボロとなっていたが、無事な側の手には拳銃を握り、未だ継戦の意志を示す。
「ぐ、うう……」
そして前方、黒煙の先から呻き声。吹き飛ばされ、突撃の勢いを完全に殺されたクライストが、鎚を支えに何とか立ち上がらんとする。その片足は完全に吹き飛び、最早立ち上がれる状態ではない。だが。
「畜生……神よ……フィールド・オブ・ナインよ……」
譫言めいて口にするは、己の奉ずる神の名前。この世界にオブリビオン・ストームを齎したとされる、謎めいた存在の名前。
「まだか……まだ、足りないっていうのか……俺に、何が……」
奉ずる神に救いを求めるかのような、その姿を認め。寧闇が進み出る。
「神に代わって裁きを下さんとし、神に縋り救いを求めるか」
その姿に、神たる寧闇は何かを感じたようで。辺りに、爆煙によるものでない闇が湧き上がる。闇と、其に連なる事象を操る、寧闇の権能。その顕現。
「であれば、我は慈悲をくれてやろう。お主の求める形ではないだろうがな」
闇がクライストを包めば、彼の身より力が抜けていく。永久の眠りに誘う闇。苦痛よりの解放。
「違う……違う……! 俺は……俺は、まだ……」
最早鎚を握る事もできず、地に伏すクライスト。それでも尚立ち上がらんと、地に手をつき身を持ち上げんとしていたが。
「いいえ、これで終わり、です」
歩み寄っていたサラが、その手の9mmコンバットオートを彼の頭に向け。乾いた発砲音を数度、庭園に響かせる。
「―――」
頭蓋が砕け、脳漿を辺りに散らせさえもした無残な有様を晒し、最早呻きも、身じろぎもしなくなった狂人教祖。完全な絶命に至った肉体が、四肢の末端から崩れだす。骸の海へと還りだしたのだ。
「然し、此奴程の輩がこうまで崇める神か。一体、如何なる奴なのやら」
其を見届けながら呟く寧闇。フィールド・オブ・ナイン。クライストの言が正しければ、この世界の荒廃の元凶と言って良い存在であるが。
「さて。彼の妄想の中だけの存在であれば良いのですが――」
応えるサラだが、その胸中には一つの確信めいた予感があった。彼が崇めたかの存在は、恐らく、確かに在るのだろう――と。
以て、猟兵達はヴォーテックス一族の一角『狂人教祖』クライスト・ヴォーテックスの打倒に成功。
アポカリプスヘルにて暴虐の嵐を巻き起こすかの一族に、少なからぬ打撃を与えてみせたのである。
そして。決戦の時は、そう遠くはないだろうと。猟兵達の胸には、そんな予感が去来していたとか、いなかったとか――
大成功
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