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紋章の生まれる場所

#ダークセイヴァー #第五の貴族 #第三章プレイング〆切ました。

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#ダークセイヴァー
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#第五の貴族
#第三章プレイング〆切ました。


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●ダークセイヴァー
 人類がヴァンパイアに支配された世界。
 破滅へと突き進んでいた世界だが猟兵の出現を転機に情勢は激しく変化している。
 猟兵達の活躍に触発された人類は反抗勢力を生み出し始め、その規模は徐々に拡大。
 現在では猟兵抜きで小領主程度なら打倒しうる力を持ちつつある。
 ヴァンパイア側も無策ではなくこれまで確認されていなかった『紋章』と呼ばれる寄生虫型オブリビオンにより絶大な力を持つ個体を以て反抗勢力を砕こうとした。
 しかし、猟兵はそれをも撃破。
 逆に『紋章』を配布する者達が棲む『地底世界』の存在を察知する。
 地下世界に侵攻した猟兵達は地底都市を支配する紋章持ちのヴァンパイアを次々と撃破していく。
 そして今、遂に『紋章の製造場所』の予知が可能となったのであった。

●グリモアベース
「そういうことでね。予知により判明した紋章の製造場所を君達に破壊して欲しいという訳だ」
 そう眼前の猟兵達に話しかけるのはシーザー・ゴールドマン。
 彼が説明するその製造場所は『凍てつく闇』の結界に守られた中にあるという。
 氷点下の冷風が吹き荒び、暗闇が視界を奪う。
 およそ常人に耐えうる環境ではないが猟兵ならば話は違う。
「私が転移させた場所からまっすぐに北上すれば目的地に着く。なかなか厳しい環境ではあるが、まあ君達なら大丈夫だろう」
 そう気軽に笑うシーザー。
 結界を抜けた先には巨城があるという。
 城の付近には『凍てつく闇』の効果はなく、城内での戦闘で環境を気にする必要はないとのことだ。
「城に着いたらまず、中庭にある紋章の製造場所、紋章の祭壇を破壊して欲しい」
 理由としてシーザーは紋章の作成方法を猟兵達に語る。
 紋章は大量の人類や下級ヴァンパイアの生贄を素体として作成されるという。
 時にはさらに聖者や人狼、異端の神々といった『高級素材』を混ぜ込むことで、より強力な紋章を作ることもある。
 そうじて紋章とは夥しい命を犠牲にして作られるものだという事だ。
 そして、城の主よりも祭壇の破壊を優先する理由。
 それは生贄として集められた者達を僅かなりとも助けられる可能性があるからだ。
「君達は救える命は救うとう意思を持つ者達だと私は認識している。
 城の主を先に襲えば高確率で祭壇にいる紋章になりかけているオブリビオンの制御が外れ、生き残っている生贄の命を奪うだろう」
 それを防ぐ為だ。
 そうして祭壇を荒らせば城の主が現れる。
 紋章の作成を行うのは第五の貴族の中でも特別な存在。当然、その力も絶大だ。
 だが、特別であるが故にダークセイヴァー解放への確実な一歩ともなるだろう。
 祭壇にいるなりかけのオブリビオン。
 そして、城の主たる第五の貴族の能力を伝えてシーザーが微笑む。

「君達ならできる。ハハハ、適当ではないさ。君達自身、そう思っているだろう?」


淵賀
 初めまして&お久しぶりです。
 21回目のシナリオはダークセイヴァーの地底世界が舞台となります。
 紋章を作り出す存在の討伐。
 成功すればヴァンパイア勢力の力を大きく削ぐことになるでしょう。
 全三章構成。冒険→集団戦→ボス戦となります。
 それでは今回のシナリオに関して纏めます。

 第一章について。
 氷点下の凍てついた風が吹き荒び、暗闇により視界も閉ざされた劣悪な環境を踏破して頂きます。スタート地点よりまっすぐに北上すればいずれ目的地に着きます。
 防寒対策、暗闇対策、迷子対策などをしていると良いかもしれません。
 特に対策なく気合で乗り切ることも皆さんなら可能でしょう。

 第二章について。
 紋章が生み出されている城。その中庭が舞台となります。
 紋章の祭壇がある中庭は大量の死体と血。そしてなりかけのオブリビオンが跋扈する悍ましい場所です。中庭の片隅にはまだ生存している生贄。次の儀式を待つ犠牲者たちが存在します。彼等を守りながら戦う行動はプレイングボーナスとなります。

 第三章について。
 中庭で皆さんが大立ち回りをしていると、城の主が姿を現します。
 紋章を持つ強大な敵ですが、第三章の断章にて弱点を示唆しますので、そこを突くことでプレイングボーナスとなります。

 以上です。
 第一章のプレイングは公開時点で受付開始です。〆切はタグにてお伝えします。
 第二章、第三章の受付に関しては断章を入れた後にタグにてお伝えいたします。
 〆切も同様です。

 それではよろしくお付き合いいただければ幸いです。
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第1章 冒険 『凍える夜』

POW   :    強行突破…気合と共に歩む

SPD   :    一刻も早く抜ける為に脇目も振らずに走り抜ける

WIZ   :    魔法で暖や光などを取りながら進む

イラスト:仁吉

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サンディ・ノックス
聖者は紋章の製造者にとっても特別なのか
昔の俺のままだったら材料にされていたかもしれないな…なんだかしんみりしてしまうよ(現在も聖者なのだが、本人が認めていない)
ダークセイヴァーを救う依頼だから
黒い衣装を身にまとい気を引き締めていこう

転送された場所からひたすら北へ
対策はあえていうなら自身の地力かな
暗闇の世界で生きてきた故の暗視技能を頼りに進路を見据え
猟兵になったとき、人間性の代わりに得た特性(簡単にいうと魔法生物化)で寒さへの耐性もある程度ある
魔力を高めてオーラを展開すれば更に防げるな
それでも寒さが耐え難いなら気がすすまないけど仕方がない、UC解放・深更を使用し人間性を完全に無くして黒水晶化する



 ダークセイヴァーにいくつも存在する広大な地下空洞。
 光の射さぬ暗黒の世界であるはずだが、如何なる光源があるのか薄ぼんやりとした光はある。
 しかし、今、この地に転移した漆黒の衣装を身に纏った青年、サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)の前には光を通さぬ闇が広がっている。

 思うにこれが『凍てつく闇』の領域なのであろう。
 一歩中に踏み込めば氷点下の風が襲ってくることも予測できる。視界の利かぬ中に凍てつく烈風。常人ならば数歩も進めず命を奪われる過酷な環境だ。
 とは言えそれはサンディが歩みを躊躇する理由にはならない。
 これはダークセイヴァーを救う為の確実な一歩となる依頼なのだから。

 サンディは気を引き締めて『凍てつく闇』の領域に侵入する。
 領域に侵入した瞬間から氷点下の凍てついた風が襲う。
 しかし、サンディは歩みを止めない。
 かつて猟兵になった時、人間性の代わりに得た特性は冷風に耐えうる肉体を彼に与えていた。それに加え今は魔力を高め、自身の周囲に魔力障壁を展開している。
 この程度の冷風では足止めにならないのだ。
 光を通さぬ闇もサンディにとっては大した障害とは言えない。
 暗闇の世界、ここダークセイヴァーで戦い、生き抜いてきた彼にとって暗黒の中での行動も慣れ親しんだものだ。
 超常的とも言える感覚で進路を見据え、ひたすらに進む。

 紋章の作成。その事について思い巡らせる余裕すら彼にはあった。
 数多の生贄の犠牲の上に成り立つという紋章。
 その中でも彼が気になったのは高級素材の中に聖者が含まれていたことだ。

「昔の俺のままだったら材料にされていたかもしれないな」

 サンディは昔、聖者であった。否、今も聖者であるのだが彼自身はそれを認めない。それは彼が思い浮かべる聖者と現在の自分の在り様が異なるからかもしれないし、他に理由があるのかもしれない。
 ともかく彼は自分が聖者であることを否定する。
 それはさておき猟兵となる前のサンディであればオブリビオンに囚われ、材料として命を奪われていたかもしれない。
 そう考えれば思うところがあるし、まだ救える命があるというのならば助けたいとも改めて思う。

 更なる決意を胸にサンディの歩みは止まらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
祭壇までがそれなりに苦労するものらしい
まあ超えるか

状況は『天光』で逐一把握
全知の原理は逃さぬゆえ、迷うこともなく闇も無問題
環境含む害あるものには煌皇にて
寒気は断絶し阻み、自身の周囲には平常の環境を創造
それ以外に何かあれば纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
要らぬ余波は『無現』で否定し消去
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

特に問題なく辿り着けようが、手助けが必要な者があれば始源にて
創造と断絶の原理を付与し地震動用の環境で保護して共に抜ける

※アドリブ歓迎



 光の射さぬ闇の領域。その中を吹き荒ぶ凍てついた烈風。
 生きとし生けるものの存在を拒む様な結界の中、それらをものともせず進む長身の影があった。
 眼光鋭いその青年の名前はアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)。

 過酷な環境を悠然と、まるで麗らかな春の日に道端を歩むこと同然に進む青年。
 その秘密は彼の周囲に漂う複数の淡く青く輝く光にあった。

 暗闇を見通す光は顕理輝光『天光』。
 全てを照らし、万象を見通すと言われるその光は暗黒の中、アルトリウスが進むべき道をはっきりと照らす。

 烈風をはばむ光は顕理輝光『煌皇』。
 刃にして鎧ともなるこの光は、アルトリウスから寒気を断絶して拒み、青年の周囲に平常の空間を生み出している。

 天光と煌皇にて環境を強引に捻じ伏せたことにより生じる歪み、捻じれは否定の原理たる顕理輝光『無現』で消去。

 これらを同時に行い、なお涼しい顔をしているのがアルトリウスという青年だ。
 発動は勿論、維持も常人ならば困難であるが、それすらも淡青に輝く光の一つ、顕理輝光『超克』の権能で必要な魔力を“世界の外”から常時供給することで解決している。

「――大丈夫そうだな」

 天光の権能にて彼以外にこの地に訪れている猟兵達の動向を探る。
 必要であれば手助けをとも考えていたが流石は紋章の祭壇を破壊して、第五の貴族を討滅する為に参加した者達だ。
 脱落しそうな者は一人もいない。その事実にほんの少し口元を綻ばせる。

 ならば先を急ぐだけ。紋章の祭壇への道を拒む『凍てつく闇』の領域。
 そこに足を踏み入れる時に何の気負いもなくこぼした「まあ超えるか」という言葉を体現しつつアルトリウスは進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…紋章の祭壇ね。予想を上回る外道な製造方法だったけど、まだ助けられる命があるというならば是非も無い

…これ以上の犠牲者が出て手遅れになる前に必ず救いだしてみせるわ

事前に吸血鬼化を行い火の「精霊結晶」に血の魔力を溜めUCを発動
防御力を5倍、射程を半減した火の精霊鳥を召喚して武器(防具)改造を施し、
周囲の冷気を炎熱のオーラで防御する炎の衣に変化させて身に纏う

…来たれ、火の精、熱の精。衣となりて我が身を覆え

さらに闇の精霊を「精霊石の耳飾り」に降霊して闇の中を索敵する第六感を獲得し、
周囲の闇を暗視しながら「血の翼」を広げ空中機動の早業で城を目指して北上する

…闇を見通し、寒さを遮った。これで後は進むだけね



 数多の命を奪う悍ましい儀式が行われている紋章の祭壇。
 そこに至る事を氷点下の烈風と光を通さぬ闇で堅く閉ざす『凍てつく闇』の領域。
 その前に転移してきた一人の少女が立つ。
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)。
 主にダークセイヴァーを戦場としてヴァンパイアを狩り続けている猟兵だ。

 リーヴァルディは足を止め、少しの間その場で思案する。
 紋章、オブリビオンを強化する寄生型オブリビオン。
 もともと碌なものではないと思っていたが、多くの命を生贄とする予想を上回る外道な製造方法を知り、嫌悪感を覚える。だが、今回は一縷の救いもある。生贄の一部を助けられる可能性があるという事だ。

「まだ助けられる命があるというならば是非も無い。
 ……これ以上の犠牲者が出て手遅れになる前に必ず救いだしてみせるわ」

 決意を胸に魔力を高め、その身を吸血鬼と変ずる。

「……来たれ、火の精、熱の精。衣となりて我が身を覆え」

 そして、発せられる静かだが力のある言葉。
 その言葉に応じ、リーヴァルディ自身の血と所持する火の『精霊結晶』を触媒として巨大な火の精霊鳥が喚び出される。
 召喚された精霊鳥は彼女の意志に従ってその身を『炎の衣』にと変じ、リーヴァルディはそれを纏う。この衣を身に纏っている限り、氷点下の冷風も彼女を害することは能わない。
 その後、同じように闇の精霊を召喚。自身に降ろす事で闇を親しい友とする。これにより闇の中でも視界を奪われず、また進むべき方向を見失い迷う心配もない。

「……闇を見通し、寒さを遮った。これで後は進むだけね」

 背中に血色の魔力の翼を広げ、ふわりと宙に浮くリーヴァルディ。
 次の瞬間、紋章の祭壇を破壊する為に猛然と北上を開始するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
紋章、前々からロクでもないものだとは思ってましたけど、まさかこうも外道な方法で造られていたとは。
下級ヴァンパイアや異端の神々も混ざってはいるけれどそれはそれ。
どちらにせよ、紋章の生産主はわたしがもっとも嫌いな思考の持ち主ですね。虫唾が走る。

アマービレでねこさんを少し召喚し、更に不退の超重甲兵も展開。
超重甲兵にはねこさん達を運んでもらいつつオーラ防御を行ってもらい、ねこさん達には火属性の多重詠唱結界術を展開してもらって、暖を取りつつ敵の攻撃にも備えましょう。

暗闇対策は不要です。いつもと変わらないのですから。

城は北でしたね。
くだらない紋章造りを潰し、城の主に蘇った事を後悔させに行きましょう。



 全ての生物を凍てつかせる様な冷風が吹き荒ぶ暗黒の大地。
 その地を真っすぐに北上する一風変わった集団があった。

 にゃーにゃー。

 そんな鳴き声が聞こえてくる集団をよく見てみれば、それは百を超える機械兵の群れである。見るからに堅牢な装甲と巨大な盾を装備した重装機械歩兵。
 その軍団の行進は畏怖すら与える光景だが、それに加えてシュールな印象を与えるのは、その一体一体の上に何故か『ねこ』の姿が見えることである。

 にゃーにゃー。

 勿論、ただの『ねこ』ではありえない。よく観察すればその一匹一匹が魔法を展開しているのが分かるだろう。そう魔法猫である。

 火属性の結界。百匹を超える魔法猫がそれぞれに唱えて現出せしめた結界が幾重にも集団の周りに張り巡らされ、冷風を完全に遮っている。

「冷風対策は万全。暗闇対策は不要です。いつもと変わらないのですから」

 そう独り言つのは機械兵の軍団のほぼ中央に位置する機械兵に乗る少女だ。
 七那原・望(封印されし果実・f04836)。
 この機械兵の軍団と魔法猫の集団を喚び寄せた猟兵である。
 普段から目隠しをして過ごし、視覚以外の五感に頼って行動している彼女にとって、確かに闇は障害となりえないであろう。

「紋章、前々からロクでもないものだとは思ってましたけど、まさかこうも外道な方法で造られていたとは」

 紋章の製造方法を知り、憤りを覚える望。
 人類だけではなく下級ヴァンパイアや異端の神々も混ざってはいるらしいが、それはそれである。紋章の製造方法を考えるに、それを行っている第五の貴族は彼女がもっとも嫌いな思考の持ち主だ。正直に言えば虫唾が走る。

「くだらない紋章造りを潰し、城の主に蘇った事を後悔させに行きましょう。
 さあ、もう少しですよ、ねこさん達!」

 にゃーにゃー。

 望たちの一団が『凍てつく闇』の領域を突破するのまであと少しである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
◆心情
まさに冥府魔道への旅路、暗穴道ですね
…もとよりこの身は罪過に因って在る身です
ある意味相応しき道ではあるのでしょう

◆行動
【環境耐性】【氷結耐性】を高めた【オーラ防御】で全身を覆い防寒対策とします
暗闇は【暗視】で見通します

方角は…そうですね
文明の利器である方位磁石を用いるとしましょう

後は只管に歩き続けるだけですが…
偶に【空中浮遊】を活かして遠くを見通してみるのも良いかもしれませんね


この道を黄泉の旅路に例えるならば…
差し詰め紋章の製造場所である巨城は死者に呵責を加える地獄と言った所でしょうか?
まあ、少なくとも「この世に地獄」や「生き地獄」とは言えそうですね
尤も、其れを赦すつもりは無いのですが…



 紋章の祭壇が存在する第五の貴族の城までの道を閉ざす『凍てつく闇』の領域。
 暗闇と冷風の領域と聞いて霧島・絶奈(暗き獣・f20096)が思い浮かべるのは暗穴道だ。光の射さぬ冷たい風の吹くという地獄とこの世を繋ぐ道。

「まさに冥府魔道への旅路、暗穴道ですね。……もとよりこの身は罪過に因って在る身です。ある意味相応しき道ではあるのでしょう」

 平穏を愛する心と殺戮を嗜好する心。相反する心を内包する彼女であるから、地獄への道も相応しいと自嘲気味に考える。

「さて……」

 仮に相応しいとしても、暗穴道を抜けた先では激闘が待つ。それまでに余分な消耗はするべきではないだろう。
 絶奈はその身に宿す魔力を高め、冷気への耐性に特化した魔力障壁で全身を覆う。
 これにより冷風は障害足りえない。もう一つの障害である暗闇はもともと暗視の権能を持つ彼女には関係ない。
 後は真っすぐに北上するだけだ。文明の利器たる方位磁石を携えて歩みを始める。

 黙々と、偶に空中へとその身を浮かべて遠くを見通し、城が見えないかを確認しながら進む。只管に歩き続ける絶奈だが、冷風や暗闇と言った障害が障害足りえないので少し退屈ではある。
 その為に自然と向かっている第五の貴族の拠点を思案する。

「この道を黄泉の旅路に例えるならば……差し詰め紋章の製造場所である巨城は死者に呵責を加える地獄と言った所でしょうか?」

 数多くの生贄の犠牲の上に成り立つおぞましき紋章の製造。
 それは確かに「この世に地獄」や「生き地獄」とはいえるだろう。
 とはいえ罪なき死者には呵責を加えられるいわれはない。

「尤も……」

 その存在を赦すつもりはない。今日を限りにその地獄は消滅させる。
 決意を胸に絶奈は進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
紋章の製造場所、ですか
他に幾つあるかは知りませんが、ここはちゃんと破壊しておきたいところですね

……寒いですね
紅雪は……(と紅雪の方を見て)暑い場所より平気そうですね
この世界自体、あまり生物が多いように思えませんが……
何かいると良いですね

寒さは結界術に炎属性を合わせたもので対策
紅雪もうまくできているようですね
(といいつつ紅雪側にもわずかに影響するよう展開)

方角は魔法で算出しているので、シーザー様のいうとおり北上していきましょうか
……まだ、戦いは先ですが、警戒するに越したことはありませんね

アドリブ歓迎


蓮・紅雪
同行者:アイビス(f06280)
紋章は魔法とか儀式の類で生み出されているとは思っていたけれど……案の定だったわね(ため息)悪趣味極まりないわ。

それにしても寒いわね……暑いよりはマシだけれど。こんな環境でも生物はいるのかしら(辺りを見渡して見通せないわねと肩を竦める)
星がないと方向が判り辛くなるわね。それで――どちらへ向かうのだったかしら?
別に方向音痴というわけではないと思うのだけれど……自信はないわね(苦笑いして刀を抜く)これは得意だけれど、ね?

魔法の練習も兼ねて火属性のオーラを生成、維持を試みるわ。
先導はアイビスに任せるけれど、周りへの警戒も怠らず進みましょう。

アドリブ歓迎!



 漆黒の闇が支配し、全てを凍てつかせる烈風が吹き荒ぶ領域。
 その中に仄かに輝く二つの影が見える。
 アイビス・ライブラリアン(新米司書人形・f06280)と蓮・紅雪(新雪・f04969)。二人の猟兵である。
 彼女たちが輝いて見えるのは、冷気に対抗する為に火炎属性の魔法の障壁をその身に纏わせているからだ。とは言え完全に遮断することはできない。
 氷点下に比べれば遥かに緩和されているが、それでも――

「……寒いですね」

 先導をアイビスに任せ、少し後ろを歩く紅雪に聞かせるでもなくアイビスが呟く。
 紅雪は大丈夫でしょうか、と彼女の方を見ると辺りを見回しながら歩いている。
 炎のオーラを纏う事により輝いている彼女たち自身しか周りには光源がなく、その明かりの届く範囲しか見通せない。

「ぜんぜん、見通せないわね」

 アイビスがこちらを見ていることに気付き、肩を竦めてみせる紅雪。

「それにしても寒いわね……暑いよりはマシだけれど。
 こんな環境でも生物はいるのかしら」

 どうやら生物を探して周りを観察していたらしい。寒いわね、と言いつつもその姿は痛痒を感じているようには見えない。
 紅雪自身が言ってるように暑い場所よりは平気なのだろう。

「この世界自体、あまり生物が多いように思えませんが……何かいると良いですね」

 言いつつもアイビスはいないように感じている。零下の世界は過酷だ。
 陽の光がある世界であっても寒苦の地域で活動できる生物は稀だ。まして、ここは終日陽光の射すことなき暗黒の世界だ。
 いるとすればオブリビオン関連である様にアイビスには思えた。

「あまり期待できそうにないわね」

 紅雪自身もそれほど可能性があるとは思っていないのだろう。周りを見るのをやめ、今度は天を見上げる。勿論、見えるのは漆黒のみ。何も見えない。

「星がないと方向が判り辛くなるわね。
 それで――どちらへ向かうのだったかしら?」
「あちらです。紅雪も分かっているのでしょう?」

 紅雪の問いに迷いなく一点を指しながら訊ねるアイビス。
 転移地点からまっすぐ北上というグリモア猟兵の言葉に従って進んでいる。
 この冷風と暗黒の領域の中でも魔法で方角を算出しているので狂いはない。

「別に方向音痴というわけではないと思うのだけれど……自信はないわね」

 アイビスの言葉を苦笑して否定する。
 方角を算出するような魔法は得意ではないし、土地勘もなく目印になるものも見えない暗闇で一定方向を迷いなく直進できる自信は流石にない。
 もっとも、それができるアイビスが傍らにいるので問題と感じないし、自分の役割はこれだと刀を抜いてみせる。

「これは得意だけれど、ね?」

 その言葉にこくりと頷くアイビス。確かに紅雪は戦いの中でこそ輝くだろう。
 そんな風に会話をしながら歩み続ける二人。
 主な話題はやはり今回の目的である紋章の製造場所だろう。

「紋章は魔法とか儀式の類で生み出されているとは思っていたけれど……案の定だったわね。悪趣味極まりないわ」

 ため息まじりに紅雪が言えばアイビスも同感であると頷く。
 大量の命を犠牲に作り出す邪法。嫌悪感を抱くなという方が無理だ。

「紋章の製造場所、他に幾つあるかは知りませんが……」

 まず、この暗闇を抜けた先に存在する場所を確実に破壊しましょうというというアイビスに紅雪も力強く同意する。その為にもまずはこの領域を抜ける。
 二人は警戒を怠ることなくまっすぐに闇の中を進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月白・雪音
…紋章の製造法、そしてそれが行われる祭壇を捕捉しましたか。
単に魔力の込められたものではなく、多くの命を捧げた上での装具。
果たしてこれ迄にどれほどのヒトが犠牲となったのか…。

全てに手を差し伸べる事は叶わねど、救える命は拾わねばなりません。
極寒の環境には生来より慣れてはおります。


暗視で暗闇を見通し、野生の勘で行く先を迷うことなく定めつつUC発動、
残像を限界突破し最速にて祭壇に向けて疾走
足場が凍り付いているようであれば悪路走破も交え立ち止まることなく進む


…この世界のヒトは闇に閉ざされた空の下でなお戦い、生きることを諦めておりません。
その想いに、私も応えねばなりません。立ち止まる暇は御座いませんね。



 風が激しく吹き荒び続ける凍てついた暗黒の大地。
 寒風を切り裂くように疾駆する存在があった。
 その存在の名前は月白・雪音(月輪氷華・f29413)。猟兵の一人だ。
 虎の特徴を有するキマイラである雪音は極寒の雪原で育った。この為、凍てつく風も慣れ親しんだもの。平気という訳ではないが、この過酷な環境で活動する術を習得している。

 勿論、尋常ではない速度で疾走できているのは雪原育ちだからという理由ではない。彼女が修め極めた『武』によるものである。
 凍り付いた悪路を残像すら残して疾走する。それを可能とするのは『拳武』と名付けた『武』を極限まで練り上げてユーベルコードの域まで高めたものだ。
 また、虎の因子を有している為か研ぎ澄まされた野生の勘は進むべき道を迷いなく捉えている。

 走り続けながら雪音は紋章について考える。

「……紋章の製造法、そしてそれが行われる祭壇を捕捉しましたか。
 単に魔力の込められたものではなく、多くの命を捧げた上での装具。
 果たしてこれ迄にどれほどのヒトが犠牲となったのか……」

 オブリビオンを大幅に強化する『紋章』。厄介な存在であったが、その製造法はまさに唾棄すべきもの。
 これまで多くの紋章持ちのオブリビオンが斃されていることを雪音は知っている。
 彼女自身も倒したことがあるが、それらの背景にどれほどの犠牲者がいたことか、想像すると新たな怒りがわく。
 ただ、今向かっている製造場所にはまだ救える命があるという。
 全てを救うことはできないとしても、可能性があるのであれば必ず救い出してみせると決意を秘める。
 それに、と。
 雪音は目覚ましい伸長を見せる闇の救済者たちのことを思い浮かべる。

「……この世界のヒトは闇に閉ざされた空の下でなお戦い、生きることを諦めておりません。その想いに、私も応えねばなりません。立ち止まる暇は御座いませんね」

 速度をさらに増して雪音は極寒と暗黒の領域を駆け抜けていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『暗闇の獣』

POW   :    魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。

イラスト:飴屋

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 凍てついた闇の領域を駆け抜けた猟兵達。
 そこには武骨な巨大な城が聳え立っていた。高い城壁に周囲を深く広い水堀が張り巡らされており、籠城戦ともなれば難攻不落の拠点となるかもしれない。
 だが、今現在、城門へと続く吊橋は降ろされ、門扉も開かれている。
 まるで猟兵達を歓迎するかのようにだ。

 罠か誘いか。いずれにしても覚悟を決めて猟兵達は進む。
 巨大な城門を潜り抜ければ、そこはむせ返るほどの薔薇の香りに何かが混ざった匂いが立ち込める広大な中庭だった。
 薔薇の香りは辺り一面に咲き誇る薔薇からだが、混ざった匂いの元は何か。
 その正体はすぐに判明する。中庭全体に散らばる死骸と血だ。

 ここで悍ましき儀式が行われていたのは一目瞭然である。
 中庭の中央には禍々しき祭壇が見え、その周囲には全身から触手を生やした無数の獣が蠢いているのを確認できる。この獣たちこそなりかけの紋章であろう。
 大人しくしていたこの獣たちが一斉に猟兵達に憎悪の視線を向けて動き出す。

 居るという生き残りの生贄たちは何処か?
 猟兵達が観察すれば祭壇の奥に地下へと続く階段を発見することができる。
 直感的にあの下に生存者がいることを確信する。
 今のところ獣たちは猟兵達のみに関心を抱いているが、劣勢になれば、地下へと逃げ込むかもしれない。そうなれば惨劇を生むだろう。
 これ以上の犠牲者を出さぬ為、猟兵達には可及速やかな獣たちの殲滅が望まれる。 
霧島・絶奈
◆心情
生贄達をこの場に残しておかなかったのは愚策でしたね
次の生贄は貴方方です

◆行動
【空中浮遊】を活用し、早急に地下への入り口に布陣

姿を隠そうとも、音を消せないのであれば【聞き耳】を立てて位置を探りましょう
尤も、避ける隙間もない程の【範囲攻撃】を見舞えば良いだけではありますが…

『暗キ獣』を使用
【集団戦術】を駆使した【範囲攻撃】で敵集団を蹂躙

私自身は【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別する指向性散弾」を複数設置
【範囲攻撃】する対戦車地雷です
肉体など一溜りもありませんよ

設置を進めつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



 死を内包した濃厚な薔薇の香りが立ち込める紋章の祭壇。
 祭壇を囲むように紋章になりかけた無数のオブリビオン、暗闇の獣が蠢いていた。
 猟兵達がこの場を訪れるまでは不自然なほどに大人しくしていた獣達であったが、今は猟兵達への敵意を剝き出しにして襲い掛かってきている。

 そんな迫りくる獣達の頭上をすいと飛び越えていく影があった。
 霧島・絶奈だ。
 意表を突かれた獣達だがすぐに方向を転換。絶奈を狙う。
 彼等にしてみればわざわざ自分達の領域に飛び込んで来た様なもの。
 それに一度、飛行できると認識すれば次は対応できる。馬鹿め、という感情すらその瞳に見える。
 勿論、絶奈には多少の不利を許容してでもこれを行う理由があった。
 彼女が降り立った場所は祭壇すら越えてその奥に見えていた地下への入口。
 予想が正しければこの下に未だ生き残った生贄がいるはず。
 そして、入口に立った時、予想は確信に変わる。
 か細いながらも生命の存在を地下に感じたのだ。ならば、守らなければならない。
 周囲を見回せば暗闇の獣達は絶奈を包囲するように集まっている。

「生贄達をこの場に残しておかなかったのは愚策でしたね。次の生贄は貴方方です」

 この戦場、紋章の祭壇がある中庭には生贄の生存者はいない。あるのはその残骸、肉体の一部や血が残るのみだ。
 つまり、絶奈が全力を出すことに障害となるものはいないということである。

「闇黒の太陽の仔、叡智と狡知を併せ持つ者。私を堕落させし内なる衝動にして私の本質。嗚呼……、此の身を焦がす憎悪でさえ『愛おしい』!」

 絶奈の姿が人間の女性のそれから蒼白き燐光の霧を纏ったナニかに変じる。
 ユーベルコード『暗キ獣(ソラト)』の発現だ。
 そして、ナニかの周囲に立ち込めた蒼白き霧から姿を現す死の軍勢。
 疫病を纏う屍獣の群れと槍で装備した屍者の軍勢が湧き出し、暗闇の獣に襲い掛かる。突如として始まる集団戦。乱戦である。
 暗闇の獣は戦闘能力こそ高いものの知性は高いとはいえず、一方の死の軍勢は個々の能力こそ獣に劣るが、戦術という武器を持つ。
 死の軍勢は犠牲を出しつつも暗闇の獣と拮抗した戦いを見せる。
 尤も、犠牲が本当に犠牲なのかは不明だ。
 元々屍で或る上に、減った分だけ霧の中から新たに出現している様にも見える。
 そんな戦いが暫く続いた後。

「それではそろそろ終わりにしましょう」

 突如として絶奈の声が戦場に響く。
 そう、彼女は死の軍勢を呼び出した後、乱戦の戦場を密かに巡り、魔法の地雷網を築き上げていたのだ。絶奈の合図で無に帰還する死の軍団。
 そして、その直後に響き渡ったのは暗闇の獣達を焼き尽くし、爆散させる轟音なのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
不快な臭いですね。この辺りに散らしてるのは用済みで捨てたのか、そういう趣味なのか。
どちらにしても不愉快です。

敵が透明になろうとならなかろうとわたしにとっては関係ありません。
第六感と野生の勘で敵の位置や数、行動を見切り、しっかり回避を。

触手は嫌いなのですよ。生まれもその触手も、その存在の全てが不愉快だから、なるべく早く消えてください。

全力魔法で威力を限界突破させたフローラ・テンペスタでこの汚らわしい汚物を纏めて薙ぎ払いましょう。
同時に自律して動くセプテットを分離させ、オラトリオと共に一斉発射の乱れ撃ち。更にアマービレで呼んだねこさん達の多重詠唱全力魔法で範囲攻撃を行い、徹底的に駆除しましょう。



 美しい薔薇が咲き乱れる広大な中庭。
 中心には禍々しい祭壇があり、その周りには儀式の犠牲者の成れの果てが散らばっている。濃厚な薔薇の香りも死臭を隠しきれていない。

「不快な臭いですね。この辺りに散らしてるのは用済みで捨てたのか、そういう趣味なのか。どちらにしても不愉快です」

 嫌悪感をあらわに吐き捨てるのは七那原・望。
 視覚を閉ざしている彼女は他の五感に秀でる。必然的に嗅覚も優れ、あるいは視覚で確認するよりもはっきりとこの場で行われた惨劇を感じ取ることができているのかもしれない。

 そんな望に襲い掛かるのは犠牲者の上に立つなりかけの紋章。
 触手を全身から生やした暗闇の獣達である。
 ユーベルコードの力により、次々と透明化して爪を振るい、牙を立てようとする。
 しかし、それらが望を捉えることはない。
 そもそも常日頃から視覚に頼っていない彼女は獣達が透明化しようとも苦も無く超常的な感覚で動きを見切り、回避する。爪、牙に続いて鞭のようにしなって迫ってきた触手も確実に避けるが望の不快感は高まる。

「触手は嫌いなのですよ。生まれもその触手も、その存在の全てが不愉快だから、なるべく早く消えてください」

 死の宣告。その言葉と共に彼女の所持する装備が無数の赤と白のアネモネの花弁に変ずる。愛と希望を花言葉とする花弁はその一片一片に魔力を纏い、舞い踊るように憎悪と絶望が集約した様な暗闇の獣達に襲い掛かる。
 望のユーベルコード『フローラ・テンペスタ』の発現である。

 アネモネの花嵐に翻弄される獣達に更なる追撃が行われる。
 望がここにくる過程で喚び出した魔法を使う猫達が合唱するように魔法を合わせて放てば、花弁に変じていなかった七つの魔法の銃が宙を舞って弾丸を乱れ打つ。
 絶望を砕く魔法の光は飽和して、その輝きの中で暗闇の獣達は成す術もなく滅びていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
狩りの時間か

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
要らぬ余波は『無現』で否定し消去
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

正面から近接し白打で一撃
纏う原理を無限に回し、破壊の原理と無限量の圧を乗せ、時の原理にて無限加速して叩き込む
全知の原理が逃すことはなく、万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外は無い

無限加速した動きで目に映る敵性個体が消えるまで継続
獣にはコレでも過ぎたものだろう
味方が支援必要なら適宜そちらを優先し始末


※アドリブ歓迎



 薔薇の香りと死臭が混ざり合う紋章の祭壇場。
 触手を全身から生やした暗闇の獣達が蠢く戦場の上空に淡青の輝きを放つ光があった。アルトリウス・セレスタイトの所持する顕理輝光の一つ、『天光』である。
 光の権能は万象を見通す瞳であり、アルトリウスはこの力によって戦況を把握。
 所狭しと蠢き、彼に向って牙を剝く獣達の僅かな隙間をスルリと通り抜ける。

 もっとも逃げている訳ではない。通り抜けた先の獣に拳打を一撃。打たれた獣は脆くも崩れ去る。ただの拳打ではありえない威力、獣の身体を見れば打撃を受けた部分に消えぬ光が見えるだろう。
 この光は『天光』と同じ顕理輝光の一つ、『煌皇』の力である。刃にして鎧のこの光は如何なる原理か消えることなく獣の身体を破壊し続けるのだ。

 そうしておいて次の獲物を求めてアルトリウスは動く。
 そして、次は蹴撃を一閃。蹴りを受けた獣は先程崩れ去った獣と同様に煌皇の光に苛まれて斃れる。この一方的な有様は戦いが始まる前にアルトリウスが呟いた言葉。

「狩りの時間か」

 そう狩りそのものである。狩るのはアルトリウスであり、狩られるのは獣達。
 そこには絶対的な差が見える。怖ろしいのはこれをユーベルコードなしで実現しているということだ。
 尤もアルトリウスに言わせれば「獣にはコレでも過ぎたものだろう」である。
 天光が空に輝く戦場で煌皇の輝きが絶え間なく光り、狩りの時間は続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
地下へ続く階段の手前に陣取りユーベルコードで遠距離攻撃する方針
敵が俺達に関心を持っている状態でこの位置取りは危険もあるけれど
劣勢と感じたときに先回りされることを考えたら他に手が思いつかなかった

UC伴星・傲慢な飛輪を発動
飛輪をまずは一体に集中攻撃させ
それで倒すことができたら二体を攻撃
それでも倒すことができるなら三体…と一回の発動で倒せる最大の数をまずは見極めて
見極めたら倒せる最多の敵を屠っていく

敵の爪攻撃は魔力を高めて発生させているオーラでいなし
攻撃を受けるたびに攻撃の癖もわかってくるだろうから
癖を見切った後は回避もしていこう

劣勢になり地下に向かおうとする敵は黒剣で切り裂いてあげるよ



 数多の生命を犠牲にする事で紋章を生み出していた場所。
 紋章の祭壇での猟兵となりかけの紋章、暗闇の獣の戦いは続いている。
 乱戦が繰り広げられている戦場にあって悍ましき儀式の僅かな生存者がいる地下へと続く階段。その手前に陣取って戦う青年がいる。サンディ・ノックスだ。

 彼は戦いが始まってすぐにこの場所まで強行してきた。理由は一つ。
 生存者の安全確保である。
 暗闇の獣達は猟兵に敵意を向け、実際に襲い掛かって来ていたがいざ劣勢となれば、どう動くか分からない。
 仮に地下へと逃げ込まれれば最悪の事態を招くだろう。それを防ぐ。
 勿論、猟兵を狙う獣達はサンディを追い、必然的に階段の周囲に寄ってきているが、通さなければ問題はない。
 そして彼にはそれを成し遂げる自信があった。
 迫る獣の爪を魔力を高めて発生させた障壁でいなし、反撃で手に持つ黒剣を振るう。そうしながら発動させたのはユーベルコード『伴星・傲慢な飛輪』だ。
 暗闇の獣達、ひいては第五の貴族に対する深い悪意。
 それを根源とした魔力により漆黒の戦輪を生成すると眼前の獣ではなく、サンディから見て距離がある他の猟兵を狙っている敵に向けて投げつける。

「さあ、一撃でどれだけ刻むことができるかな?」

 放たれた漆黒の戦輪は高速で飛翔して絡みつくように暗闇の獣を切り刻む。
 その対象は一体だけではなかった。一体目を完膚なきまでに切り刻んだ後、二体目も同様にして斃す。流石に三体目を刻んでいる途中で効果を失ったが、それを眼前の敵をあしらいながらサンディは正確に把握する。

「二体と半分といったところか。意外と頑丈だね」

 その後も連続で飛輪を生成。
 階段への入り口を守りながら、次々と獣を葬るという離れ業を見せるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…今さら暗闇の獣程度に後れをとる私では無い
生き残った人達を巻き込む心配が無い以上、此方も遠慮は無用ね

火の精霊と交信した「精霊石の耳飾り」を使い闇に紛れた敵の体温を索敵して見切り、
前章で召喚した火の精霊鳥を大鎌に降霊して武器改造を施し、
大鎌を巨大剣の柄に変形させて吸血鬼化した血の魔力を溜めUCを発動

…来たれ、この世界を覆う大いなる闇よ
炎の精と一つになりて、我が敵を焼き払う刃となれ…!

限界突破して長大な"闇の炎"刃を形成して怪力任せになぎ払い、
生命力を吸収する黒炎のオーラで防御を無視して敵陣を焼き払う闇属性攻撃の斬擊波を放つ

…今は諸悪の根源を狩る。犠牲になった貴方達の葬送は後で必ず行うから



 紋章を生み出す為に凄惨な儀式が行われていた中庭。
 薔薇の香りと生贄の血肉の臭いが混ざり合う戦場で猟兵となりかけの紋章、暗闇の獣達との戦いが行われていた。激しい乱戦の中にあって舞う様に獣達を大鎌で狩るのはリーヴァルディ・カーライル。透明化することで彼女に抗しようとしている獣達を苦にした様子もなく的確に捉えている。
 何もない空間を斬ったと思えば血を吹き出した獣が姿を現すといった状況だ。

「……今さら暗闇の獣程度に後れをとる私では無い。
 生き残った人達を巻き込む心配が無い以上、此方も遠慮は無用ね」

 そう生き残りの生贄達は中庭にはおらず、地下に閉じ込められている様子である。
 その地下への入り口も他の猟兵が抑えておリ、考慮する必要はない。
 この場にいるのは狩るべき獣達だけ。
 そうであるのだからリーヴァルディが全力を出すのに問題はなにもない。
 一気に決めるべく言葉を紡ぐ。

「……来たれ、この世界を覆う大いなる闇よ。
 炎の精と一つになりて、我が敵を焼き払う刃となれ……!」

 彼女の言葉、意志に応じてまず纏っていた炎の衣が元来の姿、火の精霊鳥に戻る。
 そして、今度はリーヴァルディの持つ大鎌と融合して巨大剣の柄に変じる。
 その剣の柄をしっかりと握り、血の魔力を集約して解放、長大な『闇の炎』の刀身が出現させた。ユーベルコード『限定解放・血の教義』の権能である。

「……今は諸悪の根源を狩る。犠牲になった貴方達の葬送は後で必ず行うから」

 戦場に散らばる生贄の残骸を認めて悲し気な表情を浮かべるも、次の瞬間には決然と闇炎の大剣を横なぎに払う。
 大きく伸びた闇の炎の刀身に触れた獣はその瞬間に焼失。それだけに留まらず余波で周囲に広がった斬撃波はその範囲内にあった獣達を悉く焼き払うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)

(奥に階段を見つけて)
……次の場所はあそこですか
しかし簡単には通してくれなさそうですね
(頷いて)誘導して戦いましょう

まず炎属性の魔法弾を当てて、私の方へ注意を向けます
階段から離れたところへ誘導しUC発動
結界術や本棚を利用して距離を離します
そして迫った紅雪と連携する形で攻撃を仕掛けます

紅雪が珍しく火を扱っていますね……
氷でも出してあげましょう
(といって氷属性の魔法を使って攻撃も行う)

……見方を変えれば、確かに私たちも悪者だと思いますよ
さて、次へいきましょうか

アドリブ歓迎


蓮・紅雪
想像はしていたけれど、酷い有様ね(顔をしかめて見渡し)
あそこの階段は……何があるのかしら。もし生存者がいたら更なる惨事ね。うまく誘導して戦いましょう。
それにしても耐え難いにおいね(心底嫌そう)
素早く終わらせましょう。

アイビスが誘導してくれた隙にUCで敵の背後へ回り込むわ。挟み撃ちで一網打尽にできるでしょう?
衝撃波を撃ち出して追従し、斬撃を見舞うわ。
予め妖刀に炎を纏わせておけば焼き払うことも可能ね。
まあ、火属性って苦手なのだけれど……ないよりは幾分マシかしら。

血を吸った薔薇の花弁を舞い上がらせて……まるで私たちが悪者みたいね?
(笑って)冗談よ。早く終わらせて帰りましょう。

アドリブ歓迎!



 第五の貴族の居城。そこに足を踏み入れた時から漂っていた濃厚な薔薇の香り。
 そして、それに混ざる異臭。
 それが何かを薄々感じながら足を早めるアイビス・ライブラリアンと蓮・紅雪。
 彼女達が紋章の祭壇である中庭に足を踏み入れた時にその正体がはっきりと分かる。死臭だ。かつて生贄だったもの。その残骸があちらこちらに散らばっていた。
 それらを踏みにじる様に蠢くなりかけの紋章であるオブリビオン、暗闇の獣達。

「想像はしていたけれど、酷い有様ね」

 顔を顰めて吐く紅雪の声には嫌悪感がある。想像はしていたが勿論、受け入れられる事ではない。だが、冷静さはいささかも失っておらず、中庭を見渡し獣達の隙間から階段の存在を認める。

「あそこの階段は……何があるのかしら」
「生贄には生き残りがいるということですが、見渡す限り生存者はいません。
 ですから、あの階段の先にいるのではないでしょうか?」

 紅雪の疑問にアイビスが答える。その意見は正しいと感じる。
 獣達は憎悪と敵意をこちらに向け、襲い掛からんとしているが戦闘になり、その推移次第では階段の下に潜り込む可能性もある。
 その時、もしも予想通り生存者がいたら?

「もし生存者がいたら更なる惨事ね。うまく誘導して戦いましょう」
「早く助け出したいですが簡単には通してくれなさそうですね。
 はい、誘導して戦いましょう」
「それにしても耐え難いにおいね。素早く終わらせましょう」

 心底嫌そうな紅雪の言葉を合図に二人は二手に分かれる。
 初手はアイビス。連続して炎の魔法弾を獣達に放ち派手に注意を引きつつ、敢えて階段とは逆方向に離れる。それを逃がすものかと追う獣達。
 一方の紅雪はアイビスに獣達の注意が集中した瞬間を逃さずにユーベルコード『妖剣解放』を発動。高速移動を可能として、後背に回り込む。

 紅雪を見失った事にも気づかずアイビスを追う獣達だが、階段からある程度の距離が離れたところで突如として地中からせり出てきた本棚に閉じ込められる。
 アイビスのユーベルコード『知識の迷宮』の発動だ。

「出口はこちらにある一つだけ。これで階段の方に行く心配はありませんね。
 ……もっとも、もう後退もできないのですが」

 アイビスの言葉通り、本棚で出来た迷宮に閉じ込められたと同時に獣達の後方が爆炎をあげて吹き飛ぶ。勿論、それは紅雪の仕業だ。

「ふふ、よく燃えるわね。
 まあ、火属性って苦手なのだけれど……ないよりは幾分マシかしらね」

 爆炎の正体は妖刀から発した衝撃波。
 紅雪は妖刀に炎を纏わせることで放つ衝撃波に火の属性を付与したのだ。

「紅雪が珍しく火を扱っていますね……私は氷でも出してあげましょう」

 紅雪の炎を見てアイビスが呟き、自身は氷結魔法で獣達への攻撃を始める。
 突如、閉鎖空間に閉じ込められたと思えば、前後からの炎と氷の挟撃。
 暗闇の獣達にとってはたまったものではなく、右往左往しながら駆逐されていく。
 やがて、紅雪とアイビスは迷宮の中央で合流したがその時には動く獣はいない。
 俄かに訪れた静寂の中、直前までの戦闘の余波で飛んでいた、薔薇の花弁が二人に舞い落ちてくる。生贄の血、そしていま獣達の血をも吸った薔薇の花弁は紅い。
 それを受けた二人は見ようによっては血まみれにも見える。

「血を吸った薔薇の花弁を舞い上がらせて……まるで私たちが悪者みたいね?」

 アイビスの様子。そして、彼女の瞳に映る自分を見て可笑しそうに笑う紅雪。
 すぐに「冗談よ」と続ける。

「……見方を変えれば、確かに私たちも悪者だと思いますよ。
 さて、次へいきましょうか」

 しかし、思うところがあるのだろう。アイビスは否定をせずに受け入れる。
 オブリビオンの立場、価値観から見ればそれに敵対する自分たちは悪と言えるだろう。ただ、それは自分たちの行動を変える理由にならないというだけだ。

「そうね、早く終わらせて帰りましょう」

 アイビスの気持ちは紅雪にも誤解なく伝わる。
 残るは城の主、惨劇の主たる第五の貴族を倒すだけである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月白・雪音
…流石に第五の貴族の精鋭、こちらの動きは掴まれているようですね。
されど滅すべきものあらば進むのみ。
ヒトの匂いはあの地下への道の先に纏まっています、通すわけには参りませんね。


UC発動にて、残像で即座に地下への道の近くへ
野生の勘、見切りにて的確に急所を見極め
怪力、グラップル、部位破壊で一撃一殺にて咆哮を放つ前に仕留める
群れを統率する個体が存在するようなら優先的に狙う

隙を見てアイテム『氷柱芯』を飛ばし敵に巻き付け怪力にて振り回し、
敵そのものを武器に周囲を一掃しつつ祭壇を破壊する
地下に逃げようとする個体が居れば残像にて追い掛け討伐


…或いは、彼らも我々でなくば救えなかった人々。
憤懣やる方ないものです。



 紋章の祭壇がある第五の貴族の居城。
 通常であれば閉ざされていて然るべき門扉は開け放たれており、猟兵達は何の障害も受けずに薔薇が咲き乱れる死臭に満ちた中庭に辿り着いた。

「こちらの動きは掴まれているようですね」

 そう考えたのは月白・雪音。
 この手ごたえのなさは城の主が敢えて自分達を招き入れたとしか思えない。悪辣な罠の存在も疑ったが、ここまで何もなかったことを考えれば自信故だろうか。

「されど滅すべきものあらば進むのみ」

 第五の貴族が何を考えているか正解はまだ分からないが、眼前にはなりかけの紋章である暗闇の獣達が蠢く。ならば雪音が行うのは獣達の殲滅であろう。
 しかし、この場には守るべき存在、生贄の生き残りもいるはず。それは何処か。
 獣の因子を有する雪音の鋭敏な感覚はそれが祭壇の奥にある、地下へと続く階段の先にあることを教える。その事を把握した後の彼女の行動は迅速だった。
 即座に自身が修得した武術の極み『拳武』を発動すると残像を残して地下への入口へと駆ける。

「ヒトの匂いはこの地下への道の先に纏まっています、通すわけには参りませんね」

 入口を背に決意を表す。
 雪音がその超スピードで動き回ればそれを捉えることは暗闇の獣達には困難だ。
 だが、彼女は今、入口を守る為に足を止めた。獣達には好機に思えただろう。
 しかし、それが間違いであることはすぐに判明する。
 雪音を襲う獣の動きは完全に見切られ、攻撃は捌かれ、態勢を崩されたところに一撃一殺が加えられる。正確無比でいて迅速果断な攻撃。
 暗闇の獣は得意の咆哮を上げることすらできずに急所に一撃を受けて絶命する。

 群れを統率する個体がいればそれを優先して斃し、戦局を優位にする。
 そう考えて獣達を倒しながら観察するが、どうもその様な存在はいないようである。それならば、と『氷柱芯』と呼ばれるワイヤーアンカーを取り出した雪音。
 暗闇の獣の一体に巻き付けて拘束すると、尋常ではない怪力で振り回す。
 いわば獣の巨体を星球としたモーニングスターとでもいうべきか。超重量兵器と化したそれで獣達を薙ぎ倒していく。
 地下への入口を守りながらも縦横無尽の動きを見せた雪音の活躍もあり、やがて獣達は全滅する。

「……或いは、彼らも我々でなくば救えなかった人々。憤懣やる方ないものです」

 動かなくなった獣の死骸を見る雪音の目には哀愁があった。
 そう、暗闇の獣達はなりかけの紋章。つまりは生贄達の成れの果てである。
 彼女の言う通り救えなかった人々とも言えるだろう。この怒りは城の主たる第五の貴族にぶつけ必ず打倒する。それを以て手向けとすることを心に誓うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『黒鋼公シュヴァルツ』

POW   :    存分に愉しませてくれ
自身の【戦闘を楽しみたい欲求】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    貴様の力を見せてみよ
【猟兵の攻撃を受け止め続けた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
WIZ   :    この程度、児戯に等しい
【自身の細剣】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自身の細剣から何度でも発動できる。

イラスト:紺屋サキチ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はセシリア・サヴェージです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 黒鋼公
 紋章の祭壇がある城の主は黒鋼公シュバルツと呼ばれる吸血鬼だ。
 強大な戦闘能力を誇る自他ともに認める戦闘狂である。
 そんな男が城に籠って紋章の製造に勤しんでいた理由は分からない。
 だが、猟兵達が城に障害なく入られたのはあるいは戦闘を望む彼の思惑があったのかもしれない。

 紋章の祭壇
 なりかけの紋章である暗闇の獣を完全に駆逐した猟兵達。
 中庭の中央に鎮座していた祭壇はすでに跡形もなく破壊されている。
 地下に降りた猟兵達は弱りながらも確かにまだ息のある生贄達を発見している。
 生き残った者達の保護、中庭全体に散らばる犠牲者の死骸の供養。
 それらを考える猟兵達だが、その前にもう一仕事残っていることは分かっている。
 この城の主の討伐である。

 決戦
 中庭の奥、主城の方から一人の男が歩いてくる。人間の姿をしているが内包する魔力と纏う威圧感が男が第五の貴族であることを猟兵達に教える。
 男、シュバルツが破壊された祭壇、全滅した獣達の死骸を見て笑う。

「見事なものだ。お前達ならば良い素材になるだろう」

 上機嫌に見えるシュバルツの言葉には真実と嘘がある。
 見事なものと讃えたのは真実。強敵との戦いは彼に悦びを与えてくれる。
 良い素材と言ったのは嘘。実のところ紋章の製造自体にさしたる興味はない。
 その証拠に彼の所持する紋章は『辺境伯の紋章』。
 基礎能力を大幅に上昇させるものの特に特殊なギミックはないことを転移前にグリモア猟兵から伝えられていた。
 もっとも、シュバルツは紋章なしでも強大な吸血鬼であり、単純な能力の向上が一番厄介とも言える。能力向上の無効化を狙うのであれば、彼の胸元に光る宝石にみえる『辺境伯の紋章』をまず狙うべきかもしれない。

「言葉はいるまい。それでは始めるか」

 この地での最終決戦の幕が上がる。
七那原・望
えぇ、下衆と交わす言葉なんてないです。

まずは深淵の招来を展開。このユーベルコードなら仮にコピーされて使われても状況は何一つ変化しないから関係ありません。
常に光の無い世界で生きているわたしにとって、この空間はただ自分の力を後押しするものに過ぎません。

第六感と野生の勘で敵の行動を見切り、闇に紛れつつ気配を消して、音もなく接近。敵の足元から敵の顎を貫通する様にオラトリオの刃を伸ばし不意打ち。直後に背後から7種のセプテットのパーツの内の一丁で背後から零距離射撃を決めて暗殺しましょう。

本当はもっと苦しめたかったけれど、戦闘狂を喜ばすつもりはありません。
屈辱と憤りに苛まれながら無様に死んでくださいね。



 数多の犠牲者の命を糧に紋章を製造する祭壇。その破壊は既に成った。
 僅かながらも生存者の保護にも成功しており、後は祭壇の主を打倒するだけだ。

 祭壇の主、黒鋼公シュヴァルツ。胸元に光る紋章は『辺境伯の紋章』。
 これにより、大幅に力を増した存在が牙を剥く。

「えぇ、下衆と交わす言葉なんてないです」

 言葉はいらないと告げたシュヴァルツに辛辣な言葉を放つのは七那原・望。
 彼女は言葉と共にユーベルコード『深淵の招来』を展開する。
 権能により、光を呑み込む漆黒の霧が湧き出て、戦場を侵食していく。

 その様子を面白そうに眺めるシュヴァルツ。自身の周囲まで迫った霧を細剣を一閃して切り裂くと彼のユーベルコードの権能により『深淵の招来』の性質を理解する。

「成程、この霧は戦場を闇にする為だけのものか。
 常闇の世界の吸血鬼に暗中での戦いを挑むとは余程自信があると見える」
「常に光の無い世界で生きているわたしにとって、この空間はただ自分の力を後押しするものに過ぎません」

 その言葉を最後に気配を消す望。完全な暗黒となった戦場で戦いが始まる。
 光なきを苦とせず闇に紛れて気配を消す望に対してシュヴァルツは彼女が動く、空気の僅かな振動を捉えて剣を振るう。暗黒の中で振るわれる正確無比な剣閃。
 しかし、望は超常的な勘でもって察知して回避する。
 
「――ほう」

 感嘆の声を上げるシュヴァルツ。彼としては完全に捉えたタイミングであった。
 やはり、これは戦場を覆う闇、深淵の闇の効果が大きいであろう。
 深淵に深く適合する望にとってこの闇はただ体を隠すだけではなくあらゆる意味で味方なのだ。お返しとばかりに繰り出されるオラトリオの刃。しかし、これは吸血鬼の細剣で弾かれる。
 それからしばらく一進一退の戦いが続くが。

「そろそろ終わりかな?」
「……」

 徐々に望を捉え始めたシュヴァルツの剣閃。
 まだ、大した傷を与えていないが完全に捉えるのは遠くないと確信する吸血鬼。

「なかなか愉しめたよ」

 勝利の宣言。
 しかし、次の瞬間、シュヴァルツの身体は背後からの一撃を受けて弾け飛ぶ。
 何があったのか?
 望の装備に『銃奏・セプテット』という七つの異なる銃で構成された超大型合体銃がある。分離も自立行動すら可能なこの銃を深淵の闇のあちらこちらに設置しておいたのだ。銃を動かせばシュヴァルツには見切られる。だが、動かないものを暗闇で察知するのは至難。
 望は戦いながら巧みに動き、シュヴァルツの背が丁度、銃口の前に来るように誘導したのだ。

「本当はもっと苦しめたかったけれど、戦闘狂を喜ばすつもりはありません。
 屈辱と憤りに苛まれながら無様に死んでくださいね」

 背後からの一撃で大きく態勢を崩した吸血鬼に容赦のない全力攻撃が行われる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…黒鋼公、果たしてお前に私の業を愉しむ余裕があるかしら?

…自信があるならば受けきってみせるがいい。お前を討ち果たす私の力を…!

過去の戦闘知識と経験から敵UCの特性を見切りUCを発動
自身を"闇の雷"化して無数の「写し身の呪詛」の残像に武器改造を施し、
黒雷の魔力を溜めた分身達を魔槍に変化させて敵の注意を引き付け、
その隙に黒雷槍に肉体改造した本体が雷速の早業で切り込み紋章を貫く雷属性攻撃を行い、
体勢を崩した敵を全周囲から空中機動する無数の黒雷槍で乱れ撃ち、
限界突破した黒雷のオーラで防御を貫き生命力を吸収する追撃を行う

…お前が犠牲にした多くの人達の為にも、お前を赦す訳にはいかない。消えなさい、永遠に…



 中庭に現れた祭壇の主、黒鋼公シュヴァルツ。
 黒鋼公の短い言葉、そして態度からリーヴァルディ・カーライルはこの吸血鬼の本質が戦いに悦楽を見出す戦闘狂であることを見抜いていた。

 吸血鬼や異端の神々。時には他の世界のオブリビオンとも戦い続けてきた彼女に蓄積された経験と知識はこの手の敵が好んで使うユーベルコードにも当たりをつけさせる。

「……黒鋼公、果たしてお前に私の業を愉しむ余裕があるかしら?」

 それを引き出すべく挑発。
 それを百も承知でリーヴァルディの言葉に目を細めて口角を上げる吸血鬼。

「自信があるならば受けきってみせるがいい。お前を討ち果たす私の力を……!」
「ハハハ、良いだろう。挑発に乗ろうじゃないか……存分に愉しませてくれ」

 戦闘狂の吸血鬼、シュヴァルツは元来相手に先手を譲り、それを真正面から受け切って粉砕することを好む。そんな彼にとって彼女の言葉は期待と喜びだ。
 紋章で増幅された第五の貴族の力をもってすれば先の先をとることも可能であろうが彼はそれを選択しない。
 両手を大きく広げ、構えも何もない動作でリーヴァルディの動きを待つ。
 まさに彼女の思惑通りだ。後は吸血鬼の想定を上回れるか否かである。

「……限定解放」

 ユーベルコード『限定解放・血の魔装』。
 超絶的な攻撃力と耐久力を得る代償に10秒以上続けると理性を失っていき、最悪そのまま意識が戻らなくなる危険なユーベルコードだ。
 だが威力は絶大。第五の貴族を相手に勝利を掴むにはリスクを覚悟しなければいけない。

 発動と同時に『闇の雷』と化すリーヴァルディはそれと同時に呪法『写し身の呪詛』より無数の分身を創り出す。本来ならば戦闘力を持たない残像を操る呪術であるが今は違う。限定解放したことで有り余った魔力を注ぎ込まれたことで残像は黒雷の魔槍へと姿を変え、黒鋼公目掛けて飛翔する。
 雨の様に降り注ぐ魔槍をことごとく手に持った細剣で捌くシュヴァルツ。
 決して剣を振るうに適した態勢ではないのにその動きは洗練されている。

「どうした、この程度か?」

 笑いながら口を開いたシュヴァルツには確かに油断があった。
 降り注ぐ魔槍とは比べ物にならない速度、まさに雷光の速さで一本の黒雷の槍が吸血鬼を貫く。闇の雷と化したリーヴァルディ自身が変じた魔槍だ。
 驚き、目を見張る吸血鬼。魔槍はただ貫いただけではない。正確に紋章をも貫いているのだ。

「お前が犠牲にした多くの人達の為にも、お前を赦す訳にはいかない。消えなさい、永遠に……」

 態勢を崩した吸血鬼に無尽蔵にも思える黒雷槍の乱撃が降りかかる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
では退場しろ

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
要らぬ余波は『無現』にて否定し消去
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

絢爛を起動
目の前の空気を起点に戦域の空間を支配
因果の原理によりオブリビオンとその攻撃以外へは無害とし、破壊の原理を直に斬撃として解放
空間内全てを同時に、隙間なく、終わりなく、「その場に直に現れる斬撃」で斬断する

万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない
受けたとて止まると思わんことだ
剣と命が要らんのなら試すが良い
その余裕があるかどうかは知らぬがな

※アドリブ歓迎



 言葉はいらぬと嘯く第五の貴族、黒鋼公シュヴァルツ。
 傲岸不遜な吸血鬼に対してアルトリウス・セレスタイトが放った言葉は簡潔だ。

「では退場しろ」

 この一言である。そして言葉だけではなく、黒鋼公を実際にこの世界から退場させようとアルトリウスが間合いを詰める。
 身に纏う幾つもの光、顕理輝光の一つ、万象を見通す『天光』にてシュヴァルツの動きを見切り、吸血鬼の攻撃を捌きながら同じく顕理輝光の一つ、刃にして鎧の『煌皇』にて攻める。
 シュヴァルツの知見の埒外の原理に基づくアルトリウスの攻撃、それを黒鋼公もまた己の身体能力を頼りに捌く。

「変わった動きだが……どうした、私を退場させるのではないのか?」
「これからさせて貰う……煌めけ」

 戦いの中、至近距離にいるアルトリウスとシュヴァルツ。
 その中間の空気を起点にアルトリウスのユーベルコード『絢爛』が発動する。
 それは半径百メートルを超える空間を完全支配する奇跡。空間内に限ってはアルトリウスの原理が他の全てを優先する。そして、今、彼が選択した原理は『破壊』。
 破壊は斬撃として解放され、彼が支配する空間全てに満ち、黒鋼公を襲う。

「――おお!」

 これには流石の黒鋼公も防戦一方だ。
 同時に、隙間なく、そして絶え間なく襲う斬撃は吸血鬼を容赦なく削る。

「万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない。
 受けたとて止まると思わんことだ、剣と命が要らんのなら試すが良い。
 その余裕があるかどうかは知らぬがな」

 シュヴァルツのユーベルコードには自身の細剣で受け止めたユーベルコードをコピーするものがある。当然、今もこの『絢爛』をコピー。
 相殺せんと放ってはいるが、それは空間の支配権をアルトリウスと奪い合う事を意味する。だが、このユーベルコードの性質が黒鋼公の知らない原理を元にしている以上、その理解度はどうしてもアルトリウスに軍配が上がる。
 結果として破壊の斬撃を止めることは黒鋼公にはできないのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
命中率を重視したUC解放・宵で真っ向勝負
相手は強敵だし、紋章とUCの効果によって苦戦すると思う
それでも小細工をするよりは勝ち目があると思うんだ
そう思うのはUCの特性が理由
自分の望む戦いが出来るなら喜んで不利な行動を取ってくれそう
すなわち、胸元の紋章を狙いやすくなるのではという推測
…賭けといえるかもしれない
でもどうせ苦戦するなら、やりたい戦いをしたいんだ
真っ向勝負を望む者には真っ向勝負で答えるのが俺の主義

怪力を剣に乗せ斬り結び
攻撃は魔力を高めて発生させたオーラで防御
それでも受けた負傷は激痛耐性で耐えて動きを鈍らせないようにする

彼の真意は問わない
非道な行動だけど役目を果たしていただけな気がするから



 第五の貴族、黒鋼公シュヴァルツ。『辺境伯の紋章』による強化もあり、絶大な戦闘力を持つこの吸血鬼を前にサンディ・ノックスは考える。

 戦場を見渡せば今も残る犠牲者の残骸。ここで行われていた悍ましい儀式の主催者が目の前の吸血鬼である。
 だが、祭壇を破壊したことに特に興味を持った様子もないこの男に対してサンディは不思議と悪態をつく気にはならなかった。また、その真意を問う気にもなれない。
 非道な行動ではあるが黒鋼公は役目を果たしていただけな気が何となくしたのだ。

 とはいえ倒すべき敵であることには何ら変わりはない。今まで数多くの戦いを潜り抜けてきた経験が苦戦は免れない、小細工は通じないとサンディに囁く。
 それならば、全力を尽くした真っ向勝負を挑む、それこそが一番勝ち目があると判断する。
 それに目の前の男は真っ向からの闘争を望んでいることが感じられる。
 真っ向勝負を望む者には真っ向勝負で答えるのがサンディの主義だ。
 決意と共に黒剣を強く握る。

「準備は良いかね?」

 その様子を見て黒鋼公は声をかける。勿論、サンディの思考は刹那のものだ。ごく短い時間で思考し、決断した。だが、その決断は黒鋼公に伝わったようだ。

「ああ、俺のやりたい戦いをする。それでお前を倒す」
「やってみるといい」

 吸血鬼はサンディの宣言に何処か嬉し気に応じて細剣を構える。

「さぁ、宴の時間だよ」

 サンディの選択したユーベルコードは『解放・宵』。彼が猟兵として目覚めたその日から黒剣の力を増すこの奇跡の業であらゆる敵を倒してきた。
 疾風の様な動きで間合いを詰め、黒剣を振るえば、黒鋼公は細剣でそれを受け止め弾く。弾かれた次の瞬間には鋭い刺突を放たれるもサンディはそれを魔力障壁で受ける。細剣は障壁を容易く貫くが僅かに勢いを落とし、その僅かな遅滞を逃さず直撃を回避する。そして、その回避動作をそのまま次の攻撃に移行させたサンディの斬撃、それをまた弾く黒鋼公と、瞬く間に目まぐるしく攻守が入れ変わる。

「ハハハ、やるな」

 喜色を露わにばっと両手を広げる黒鋼公。隙だらけのこの動作はユーベルコード発動のトリガーだ。敢えて不利な動作をすることで身体能力がさらに増大する。
 サンディは既に『解放・宵』の力で増大化した黒剣の力を以て戦闘の均衡を保っている。黒鋼公にさらに増強されれば敗色が濃厚となろう。
 だが、この瞬間はサンディが待ち望んでいた瞬間でもあった。敢えて晒された隙、それに乗じることを狙っていたのだ。
 胸元に輝く『辺境伯の紋章』を狙い渾身の一撃を放つ。サンディの狙いに即座に気付き逸らそうとする黒鋼公。この攻防は刹那の差で黒剣が紋章を貫くことによりサンディに軍配が上がるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月白・雪音
…戦への高揚、闘争への渇望。それは私自身の中にも有するモノです。
故に否定は致しません。

されど、それでも。今の私には理解致しかねる感覚です。
力とは『振るう』のではなく律し『使う』もの、そしてそれを行使せぬ精神の在り様こそ我が武の真髄。
ただ振り翳すのみの力など、幼子の振るう棒切れと何の違いが在りましょうか。


UC発動、怪力、グラップルを用いた格闘戦にて戦闘展開
落ち着きの技能の限界突破、無我の至りにて極限まで業を練り、
怪力、残像、部位破壊での最高速度、最大威力のただ一撃を以て
攻撃を『受け止め続けさせる』ことなく紋章の破壊を狙う

敵の攻撃は野生の勘、見切りにて予測し
回避あるいは上記の一撃を以てカウンター



 紋章の効果もあり絶大な力を持つ黒鋼公シュヴァルツ。
 猟兵達との戦いの中、浅くない傷を幾つも負ってなお、その動きが精彩を欠くはない。戦意に関しては衰えるどころか益々盛んだ。

「ハハハ、素晴らしい。想像以上だ」
「……戦への高揚、闘争への渇望。それは私自身の中にも有するモノです。
 故に否定は致しません」

 激しい戦いを繰り広げながらも哄笑する黒鋼公を前に月白・雪音は思わず声をかける。虎の特徴を有するキマイラである彼女は獣の闘争本能を心に持つ。
 故に戦闘に悦楽を見い出す黒鋼公の気持ちは想像できない訳ではない。

「ほう?」
「されど、それでも。今の私には理解致しかねる感覚です。
 力とは『振るう』のではなく律し『使う』もの、そしてそれを行使せぬ精神の在り様こそ我が武の真髄。
 ただ振り翳すのみの力など、幼子の振るう棒切れと何の違いが在りましょうか」

 武の真髄。
 超絶的な戦闘能力を誇る吸血鬼を相手に雪音は無手でありながら互角の動きを見せている。身体能力は吸血鬼が上回るが彼女の修めた武術がそれを可能としている。
 武術とは体を鍛え技を磨くだけのことではない。培われた凪の如き精神。
 一手誤れば死もあり得る極限の戦場においてなお平静を保つ、この精神が雪音を支えている。

「ハハハ、成程。武の真髄か。その力を認めよう。こうして私と渡り合えているのだからな」

 雪音の言葉を黒鋼公は素直に認める。現実として自分と打ち合っている。それが可能なものはオブリビオンでも多くはない。

「だが、私には関係ないな。私が剣を振るうのは愉しいからだ。
 それ以上でもそれ以下でもない」

 黒鋼公に言わせれば自分との戦いが成立するのであれば幼子が無思慮に振るう棒切れでもいいのだ。戦いに淫する黒鋼公に律することを学び、生来の殺戮衝動さえ完全にコントロール下に置いている雪音の真意を理解することは出来ない。
 そのことを悟った雪音は言葉を重ねるのを止め、全神経を集中する。黒鋼公は雪音との戦闘の中、徐々にその動きの鋭さを増している。
 雪音の動きを戦いながら学んでいるともとれるが、それがユーベルコードの権能であることを雪音は見抜いていた。

(このまま長引くと不利。一撃で決めます……)

 紋章の祭壇、生贄、第五の貴族、戦いにおいて雑念となりうる心を完全に消し去り無我の境地に至る。そして極限まで業を練り、『一撃』を放つ機会を待つ。

 そして――

 黒鋼公の強打の一振り。その際、それを紙一重で掻い潜った雪音は最高速度、最大威力の至高の一撃を紋章ごと黒鋼公に叩きつけるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
◆心情
ええ、ええ…
存分に愉しみましょう、この『逢瀬』を

◆行動
【罠使い】の技を活かし「魔法識別型と時限式のサーメート」を【衝撃波】に乗せて周囲一帯に散布

散布後に『反転』

敢えて不利な行動を取る事で戦闘力を増すそうですね
現時点に於ける不利な行動とは「私に狙われる程の速さを維持する」事…
貴方は獣の獲物です

戦闘力を犠牲に敢えてゆっくり動くならばそれも良いでしょう
尤も、先程撒いたサーメートに丸焼きにされる覚悟があるなら…ですが
時限と近接信管とでどうぞ存分に踊って下さい
私に狙われる程の速度で…

【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



 戦いを愉しむ戦闘狂。これは何も黒鋼公シュヴァルツだけの特権ではない。
 黒鋼公と今、干戈を交えている猟兵、霧島・絶奈にとっても親しい感覚だ。
 だから彼女は笑みを浮かべて言う。

「ええ、ええ……存分に愉しみましょう、この『逢瀬』を」
「ハハハ、逢瀬か。面白い表現だ」

 黒鋼公も笑みを浮かべて答える。表情だけ見れば友好的な二人だが、何をしているかといえば殺し合い。激しい闘争である。

「これは如何です?」

 黒鋼公の剣撃を避けて大きく飛び退った絶奈が衝撃波を放つ。否、衝撃波だけではなくそれに乗って何かも同時に飛翔したのを黒鋼公は見逃さない。
 その何かは黒鋼公の方だけではなく四方に飛散していく。
 強壮な吸血鬼が紋章の力によって益々強大化した存在である黒鋼公にとって衝撃波自体は大した脅威ではない。だが、同時に飛ばされた何かは不明。
 自分の方に飛来したその何かを接近すら許さずに斬り裂く。すると同時に激しい灼炎が爆発的に発生した。

「成程」

 灼熱の炎の温度は直撃すれば自分でさえ脅威であると黒鋼公は悟る。
 それが周囲一帯に撒き散らされた訳だ。だが、問題ない。自分が絶奈へと距離を詰めれば、爆発させれば彼女自身がそれを味わう事となる。
 自爆覚悟で来るかもしれないがそれはそれで面白いと考える黒鋼公。

「此れは私の始祖が生命の実を選んだ可能性。其は善悪という枷を喰らい、飢えを満たした……そして私もヒトを捨て、『獣』に成り果てる……」
「……!?」

 距離を詰める為の一歩を踏み出さんとした瞬間。絶奈に異変が起こる。
 ユーベルコード『反転』。これにより彼女は人型の異形に変じる。
 だがそれだけではない。異形の身体から絶えず霧が噴き出しているのだ。
 その霧に触れた地面が腐るのを黒鋼公は見る。
 異形となった絶奈に理性はない。超絶的な攻撃力と耐久力を得る代償に、速く動く物を無差別に襲う存在となり果てる、それが『反転』の権能である。

 それでも黒鋼公は攻める。細剣を苛烈に振るい、絶奈を斬りつける。
 当然、異形と化した絶奈も反撃する。その一撃は第五の貴族の力をも超える威力だ。互いに傷つくことを恐れない消耗戦。
 だが周囲を覆う濃霧。
 絶奈には効かず黒鋼公だけを蝕む腐敗の霧の分、不利である。
 一度、大きく飛び退る黒鋼公。
 短い戦いで絶奈が絶大な戦闘能力の代償に理性を失っていること、それにも関わらず的確な反撃を行ってくるのは黒鋼公の動き、速度に反応しているということを看破する。ならば敢えて緩慢な動きをしてゆっくりと切り刻めばよい。
 そこまで考えて、先ほど絶奈が放った爆発炎上する物体が自身に近づいてきていることに気づく。

「そういうことか」

 今の絶奈は理性を失っている。先ほど放った際に自動で自分を狙う様に設定しているのだろう。あれを触れずに破壊するような動きをすれば絶奈が反応して襲ってくる。それではとゆっくりと行動すれば灼熱の炎から逃れることはできないだろう。
 灼熱の炎に焼かれて果てるか腐りながらも斬り合って滅びるか。
 戦闘を愉しむ男の意思はすぐに決まった。
 今まで以上の速度を以て絶奈に突撃する黒鋼公。
 滅びるならば剣を振るい、その中でということだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蓮・紅雪
同行者:アイビス(f06280)
珍しく人の悪い冗談を言うわねアイビス(笑って)

愉しそうなのは結構だけれど、結局紋章に頼っているじゃない。そんなものがなくとも十分な力があるのでしょう?
強者と戦えるのは嬉しいわ。ただ……(辺りを見渡してため息)悪趣味な人は嫌いよ。

先に放った不可視の刃に追い縋って一撃見舞うわ。
防がれる前提だから、相手の動きを見る前に飛び退きましょう。アイビスの攻撃が着弾するはずよ。
UC解放。
高速で敵の周りを跳びながらアイビスの魔弾を妖刀で撃つわ。
予測しづらい攻撃でしょう?
直接斬り結ぶのは嫌な予感がしたのよね。
飛び道具で紋章ごと狙ってあげる。

アドリブ歓迎!


アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
失礼ながら……シーザー様に似た方ですね?
とはいえかの御仁と比べるまでもないのですが
さて。やれますか、紅雪?

正面から見えにくい風属性の魔法で紋章狙い
合わせて死角狙いの魔力弾を断続的に
UCは主に上からの攻撃、紅雪の盾、敵の移動制限に使用

……あの魔力弾を弾くのですね、紅雪
ちょっと力込めてしまったと思うのですが……

ここで紋章が作られることはなくなったでしょう
さて、帰りましょうか、紅雪

アドリブ歓迎



 猟兵達と第五の貴族、黒鋼公シュヴァルツの戦いも終わりに近づいていた。戦いの余波により儀式の場、紋章の祭壇があった中庭も荒れ果てて崩壊状態だ。
 その戦場で対峙する黒鋼公と二人の猟兵、蓮・紅雪とアイビス・ライブラリアン。
 幾つもの強力な攻撃をその身に受け、黒鋼公の消耗は激しい。だが、それでも楽し気な様子は崩れず、劣勢となった今も戦闘を愉しんでいる様子が見て取れる。

「失礼ながら……シーザー様に似た方ですね?」

 その様子に何となく既視感を覚え、少し考えて自分達をこの戦場へと送り込んだグリモア猟兵の名を出す。
 その言葉を聞いて噴き出すように笑う紅雪。

「珍しく人の悪い冗談を言うわねアイビス」

 確かに紅雪も良く知るあの男は戦いを愉しんでいる。だが、多くの生贄の命で紋章を作るような者と似ていると言われたらどんな顔をするだろうか。
 ちょっと想像してみたが浮かんだのはいつも通りの微笑だ。少なくとも怒りはしないだろう。

「とはいえかの御仁と比べるまでもないのですが」
「そうね……愉しそうなのは結構だけれど、結局紋章に頼っているじゃない。
 そんなものがなくとも十分な力があるのでしょう?」

「ハハハ、耳が痛いな。だが、紋章も所詮は道具だ。便利な道具だから使う。おかしいことではあるまい?」

「そうかもしれないわね。私も強者と戦えるのは嬉しいわ。ただ……悪趣味な人は嫌いよ」

 紋章は便利な道具だから使うという理屈は分かる。紅雪も強者との戦いを楽しむ気質があるので、それに文句はない。
 だが、その道具の製造方法は悪趣味を極める。崩壊した中庭にあっても見渡せば生贄の残骸が残っているのが見える。

「さて。やれますか、紅雪?」

 これ以上の問答に意味はないとアイビス。勿論よ、と紅雪が答えたのを皮切りに戦闘が再開する。
 まず、アイビスが紋章狙いの不可視の風弾を放つ。それに加え変則的な軌道をを描き、敵の死角から狙う魔力弾をほぼ同時にだ。
 二種の効果の異なる魔法弾の同時行使を容易く操るのはレトロウィザードの面目躍如と言えるだろう。
 紅雪もそれに合わせて駆ける。
 最初に着弾したのは風弾。だが、それは簡単に黒鋼公の細剣に切り裂かれて消える。だが、黒鋼公が風弾を斬ったと同時に紅雪が妖刀を振るう。
 タイミングは完璧。しかし、これまでの戦いで黒鋼公の反応速度が常軌を逸しているのは分かっている。紅雪は結果を見る前に後ろに大きく飛ぶ。
 案の定、紅雪が寸前までいた場所を細剣が薙いだ。
 ここまでで実のところ風弾も紅雪の一撃も囮である。
 紅雪が飛び退いた瞬間に本命の魔力弾が死角から黒鋼公に襲い掛かるが――それすらも一歩引き、余裕のある動作でまるで来るのが分かっていたかの如く弾き飛ばす。

「……あの魔力弾を弾くのですね、紅雪。
 ちょっと力込めてしまったと思うのですが」

 防がれる可能性は考慮していたが実際に目の当たりにすると複雑だ。
 実は防げない可能性の方が高いと思っていたし……

「ふふ、良いじゃない。ここからは全力よ、アイビス」

 言って『妖剣解放』を発動する紅雪。
 妖刀の怨念が彼女を覆うと神速で黒鋼公との斬り合いを始める。
 突く、薙ぐ、払う。凄まじい速度で振られる紅雪の妖刀。だが黒鋼公の細剣はそれに完全に対応して弾く。
 演舞の様な戦いが繰り広げられるが、ここにはアイビスもいる。
 黒鋼公が攻めに転じようとすれば機先を制して本棚が上空から高速で落ちてくる。それを躱せば、その動作を読んでいたように紅雪が斬りつけ、反撃しようとすればまた本棚に阻まれる。

 アイビスのユーベルコード『図書館召喚』による本棚の落下。
 これは黒鋼公に向けられる剣であり、紅雪を守る盾でもある。二人の完璧な連携は黒鋼公も目を見張る。
 連携はそれだけにとどまらない。
 アイビスは本棚を降らせつつも死角を狙う魔弾を継続的に射出。
 黒鋼公は煩わしげに対処するが、紅雪が避けられた魔弾を妖刀で弾くことで予測不能の弾道を演出。
 これには流石に全ては対処できずに徐々に黒鋼公にダメージが蓄積していく。

 途中、アイビスの『図書館召喚』をコピーして発動させたりして逆転を狙う黒鋼公だが、このユーベルコードは図書館に適応した者に味方する。つまりは司書であるアイビスを有利にするだけであった。

 そうしている間に戦闘は分水嶺を越える。動きの鈍る黒鋼公に速度を増す紅雪。
 最期は彼女の放った渾身の衝撃波が紋章ごと黒鋼公を両断したのであった。



 激しい戦いの末に第五の貴族打倒を成し遂げた猟兵達。
 ある者は祭壇の破壊を確認し、ある者は生贄の生き残りを連れて帰還の途に就く。
 そんな中、紅雪が隣に立つアイビスに話しかける。

「黒鋼公、最期の瞬間まで愉しそうだったわね。なんだか複雑な気分だわ」
「そうですね。とは言えここで紋章が作られることはなくなりました。帰りましょう、紅雪」
「ふふ、そうね」

 二人も並んで帰路につき、紋章の生まれる場所での戦いの幕が閉じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月03日


挿絵イラスト