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灼滅トライエンブレム -央-

#ダークセイヴァー #第五の貴族

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#ダークセイヴァー
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#第五の貴族


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●これまでのお話
 ダークセイヴァーにて猟兵達の前に度々現れてきた謎のオブリビオン、『紋章』。それは地底都市にある特別な製造場所『祭壇』で多くの生贄を元に生み出される物だった。
 グリモア猟兵によって紋章製造の一大拠点を予知できたが、そこは強大な紋章持ちが三体も常駐する難所。
 猟兵達は二手に別れて森を抜け、祭壇である庭園に潜入、これを破壊。二体の紋章持ちの撃破にも成功する。
 そして猟兵達はいよいよ最後の祭壇へと向かうのだった。

●第五の貴族カターニア
 読み終えた本をパタンと閉じたその時になって、カターニアは異変に気が付いた。
「……モンストル? ヴェリオラ? ……紋章の気配が消えてるわ」
 ついつい読書に夢中になるのはカターニアの悪い癖だ。いつの間にか直面していた異常事態――けれど屋敷の主であるヴァンパイアは訳知り顔で一人頷く。
 彼女は世界の真実を知るもの、歴史の蒐集者。踏破した本の数々、広げた見識が現状への答えを導く。
「あたし知ってるわ、こういうのは侵入者のしわざなの。……お前達!」
「控えております、主様」
 主の呼び声に応えてメイドが姿を現した。屋敷で働く彼女達は人造のダンピール。とある魔女が創造したメイド、その複製体。
「全員、央の祭壇に集まって。で、死んで。ちょー強い紋章を作っちゃうんだから!」
「はい、既に揃っております。屋敷内の通常素材も全て運び込んでおりますわ」
「さっすがぁ! それじゃ、出来るまでこっちを読んでよっと!」
 当然のように命を捧げる従者達によって、最後の祭壇は稼働し始める――。

●央<なか>の祭壇
 祭壇を破壊して紋章持ちの配下を撃破した猟兵達はそれぞれ、屋敷への進入経路を探っていた。その最中、グリモア猟兵からの説明を思い出す。
『残念だけど、三つ目の祭壇の場所は屋敷の中ってことしか分からなかったわ。悪いんだけど、後は現場で探してちょうだい』
 不意に敵と遭遇することを考えれば散り散りに探索するのは得策ではない。紋章持ち同士の合流がなくなった以上、慎重に行動しても良いはずだが――。
 嫌な予感がする。どうやらまだまだ時間との戦いになりそうだ。

 そして猟兵達は屋敷に突入する。さて、最後の祭壇はどこだろうか。


渡来あん
 初めまして、あるいはお久しぶりです、渡来あんです。
 こちらは3部作の完結編となります。前編の確認を推奨します。
 時系列は前編の直後となりますが、特に制限はありません。

●第1章
 広大な屋敷の中での探し物です。
 祭壇は一体どこにあるのでしょうか。

●第2章
 紋章になりかけているオブリビオンとの戦いです。
 なりかけのため触手が生えていますが見た目だけです。
 生存者はいません。

●第3章
 第五の貴族との戦いです。
 断章でも描写しますが、紋章は『額』です。
 そこ以外はほぼ無敵なのでご注意を。

●補足
 『祭壇』とは儀式場と化した特定の場所を指します。
 またボスのSPDについて、こんな変身をするかも、というのがあればどうぞ。

 それでは、ご参加をお待ちしています。
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第1章 冒険 『部屋を探せ』

POW   :    片っ端から扉を開けていく

SPD   :    全体の間取りを確認する

WIZ   :    手がかりについて考える

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フォルク・リア
「ここまで来れば後は詰め。だけど。
向うもこっちの動きに
気付いていると見た方が良いか。」

死霊縋纏を発動し霊に屋敷内を捜索させ
敵は此方の侵入に気付いているとみて潜伏は
ある程度諦めて素早く屋敷内をまわる。

生贄を必要とするならそれを其処に運ぶために
広い通路が必要なはず。勿論祭壇自体の広さも。
それがどこにあるのかを屋敷の外観から類推して重点的に。
後は薔薇の香りに鳥籠、これは此処にもあるかは分らないが。

他には死麗には死の気配を探らせよう。
恐らく、死の気配自体は屋敷中に溢れているから
それがより強烈なところを重点的に探す方が良い。
人の悲鳴などが聞こえればわかりやすいけど。
それだけの気力が残っているかどうか…。



「ここまで来れば後は詰め。だけど」
 廊下の角からこっそり顔を出して向こう側を確認したフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は、屋敷の様子に不穏な気配を感じ取っていた。
 あまりにも静かすぎる。試しに覗いてみた部屋の様子からしても、特別この一角が普段人気がない場所という訳ではなさそうだ。
「向うもこっちの動きに気付いていると見た方が良いか」
 ならば何らかの理由でどこかに集まっている。その理由とやらに自分達猟兵が無関係だとは思えない、急がなければ。
 屋敷は広い。直線距離でもかなりあるのに、壁や天井によって回り道を余儀なくされては時間がいくらあっても足りない。

 なら直線距離で進めばいいではないか。

「其れは、何時でも傍にある。其れは、闇の中から覗く者」
 死霊縋纏。フォルクが呼び出した死霊は壁をすり抜け天井をすり抜け、瞬く間に屋敷全体へと広がっていく。
 この際潜伏は諦める、今は巧遅より拙速を貴ぶ時だ。死の気配の濃い場所を探させ――いくつか候補が浮かび始める。
「ヴァンパイアの屋敷だ、死は身近か。他に手がかりは……生贄を運ぶ広い通路が必要なはず。勿論祭壇自体の広さも」
 思えば庭園はそれなり以上の広さがあった。配下に任せている分でそれなのだから、主が直接管理する物がそれに劣るとは考えづらい。敷地内とはいえ外部に祭壇を晒していたのだから、こっそり隠すような性格でもなさそうだ。
 突入前に観察した屋敷の外観を脳裏に描いたフォルクは考えて、そして思い出す。屋敷は左右対称、シンメトリーだったと。
 左右の祭壇、シンプルに考えれば残りは中央。それも堂々と、広々とした場所。
 そしてとある候補を見つけ、死霊から伝わってくる感覚を理解した時。フォルクはそこだと確信して駆け出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミコト・イザナギ
【天狗狼】

…何やら先を行くダンピールが居ますね

気にかかるも後回し
ディアナさんの問いかけに珍しく頭を巡らせる

グリモア猟兵からの事前情報を思い出しましょう
敷地は左右に庭園のあるシンメトリーの建物
となれば本館もその流れを汲む筈
そして、祭壇には大勢の生贄が必要だから広い空間を必要とする

首謀者の気質も考えてみましょう
重要な儀式を二人の部下に任せていた
守りは杜撰、然しやる事は大事で
自身に心酔する部下に丸投げ
持前のカリスマと志を幸運だけで上手く運んで来た子供やもしれません
目立つ場所に出番だ!とばかりに登場したがる筈

――となれば、建物の中心、それも中央
無ければその上か下か
八咫にも調べさせましょう?
探せ、八咫


ディアナ・ロドクルーン
【天狗狼】
他にも猟兵がいるようね。それはいいとして…
屋敷内が静かすぎる。私たちが来たことに気が付いているはずなのに…
まあいいわ。静かな間に祭壇の場所をさっさと探しましょう


広いし、探し当てるのも一苦労よね…
ミコトさんは、どう?何となく勘が働かない?

グリモア猟兵の…?ああ、そう言えば…
確かに、広い空間が必要よね

であれば、屋敷の中央?中庭みたいなところがあるのかしら
それとも地下…?
首謀者までの事も考えるなんて、たいしたものね

(おもむろに剣を握りしめ、滴る雫を影の中に)
影狼を先に向かわせるわ

ふふ、冗談よ。
それで探してみましょう、目星をつけておけば動きやすいから助かるわ



「……何やら先を行くダンピールが居ますね。あれは……猟兵ですか」
 右方庭園を経由して屋敷へ突入したミコト・イザナギ(語り音の天狗・f23042)は、廊下の向こうに消えていく味方の姿を発見した。
「二つ目の祭壇は反対側だったはず。合流するということは目的地は近い、と」
 森の前で二手に別れた猟兵達。ここにいるということは向こう側も無事に祭壇を破壊できたのだろう、後は最後の一つだけだ。
「それはいいとして……屋敷内が静かすぎるわ。私たちが来たことに気が付いているはずなのに」
 ディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)もまた敵の不自然さに予感があった――戦いは近いと。
 だがやることは変わらない。吸血鬼を倒す、そのためにここまでやってきたのだ。
 とはいえ広大な屋敷、外から見ても大きかったが中から見ても破格だ。ここまで広いようだと――。
「探し当てるのも一苦労よね……ミコトさんは、どう? 何となく勘が働かない?」

 ディアナの問いかけだからかはたまた気まぐれか、ミコトは珍しく頭脳労働に励む。
「ふむ……そうですね。これまでの情報を思い出しましょう」
 確か、この屋敷の敷地はシンメトリーだったか。グリモア猟兵の説明もそうだったし、実際に見た限りでもそれらしかった。
 そしてこの類の建築様式は屋内も統一されているはずだ。実際、周囲の家具一つ一つをとっても左右対称が徹底されている。
 なら、祭壇の配置もそうなっているに違いない。
「そして祭壇には大勢の生贄が必要だから広い空間を必要とする。玄関ホール……いえ、首謀者の気質も考えてみましょうか」
 祭壇の管理をヴァンパイアでもない配下に丸投げしていた主。祭壇を外部から隠すでもなく庭園に配置するほど杜撰な守り。けれど三つの祭壇という大事業。
 ちぐはぐだ。立場に対して思慮が追い付いていない。何というか未熟、幼稚なのだ。
「……子供やもしれません。カリスマと幸運だけで事を上手く運んで来たような」

 子供なら目立つ場所に堂々と構えるはず。そこに屋敷の構造を加味すれば。
「であれば、屋敷の中央? 中庭みたいなところがあるのかしら」
「それか、その上か下かですね。……探せ」
 森でも使役した神性に再び命じるミコト。烏は窓から飛び立って屋根の上へ。
 そして振り返れば、何とディアナが剣の刃を握りしめているではないか。当然のごとく赫い雫が滴り、ぽたぽたと影に吸い込まれていく。
 彼女が何をしているのかミコトには分かる。が、それとこれは話が別だ。
「先ほど血を流したばかりでしょう……倒れますよ? 今八咫に探させていますから」
「ふふ、冗談よ。それにしても首謀者までの事も考えるなんて、たいしたものね」
「止めてください、今回は特別です」
 本当に冗談だったのだろうか――ミコトがそれを考える前に話題は変わった。あるいは変えられたのかもしれない。
「それで探してみましょう、目星をつけておけば動きやすいから助かるわ」

 そしてしばらくして。
 烏の視界は三つ目の庭園こそ捉えなかったが、屋敷の中心はしっかり見つけていた。
 窓の様子から、恐らく階をぶち抜いて作られたであろう巨大なフロア。覗き見た室内には無数の本棚が並べられている。
 なるほど図書室。歴史を収集しているという吸血鬼の拠点としてはもっともらしい。
「良い知らせと悪い知らせです。祭壇らしき箇所が見つかりました」
「それは良い知らせね。それで、悪い方は?」
「『素敵な香り』がしてきています。先ほどまで嗅いでいた、ね」
「……へぇ。そうなの」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

館野・敬輔
アドリブ連携大歓迎

2つ祭壇を壊されて気づかないとは思えないな
急ぐ方がよさそうだ
指定UC発動後、「視力、第六感」で死角に注意を払いながら
「闇に紛れる、忍び足、ダッシュ」で緩急つけて一気に庭園を駆け抜ける

もしこの庭園と屋敷が
最初から祭壇を据え付ける目的でつくられたものなら
明らかに異常な広さの部屋があるはず
それ以上に屋敷の内部構造そのものが不自然かもしれない
観察した外観を「世界知識」と照合し不自然な点を洗い出そう

この手は地下でこそこそとやるものだろうけど
庭園に祭壇があったようだから地下に隠すとも思えないな
ならば…最奥に不自然な程広い空間がないだろうか?

ある程度当たりをつけたらダッシュで向かう



 右の祭壇、右方庭園。
 左の祭壇、左方庭園。
「二つも祭壇を壊されて気づかないとは思えないな。急ぐ方がよさそうだ」
 館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は闇夜に紛れて庭園を駆け抜けていた。
 纏う魂の負荷に耐えながら敬輔は思考する。それは、屋敷内に祭壇があると聞いてから浮かんでいた一つの疑問。
「製造場所……祭壇は、初めからこの屋敷に据え付けるつもりだったのだろうか?」

 祭壇を所持することが決まってから屋敷を建てた。屋敷を建ててから祭壇の所持が決まった。一見大したことがないように見えるこれらの差異は、その実まるで違う結果になり得る。
 使用目的が最初から決まっているのなら、それに合わせて間取りを設計できる。庭園がそうだったように、通常の建築として見ても違和感がないようにすることは可能だ。
 だが逆ならどうだ。
 もし、『その場所』が本来は祭壇に適さない場所だったなら。それでも『その場所』を祭壇とすることを望んだならば、絶対に改築が必要になる。
 全て仮定の話だ。だが敬輔はその仮定に賭ける価値を見出した。

「この手のことは普通は地下でコソコソとやりそうなものだけど、庭園のことを考えるとその線は薄いな」
 だから、痕跡があるとしたら必ず発見できるはず。それを見つけるために必要なのは、この広い広い屋敷を踏破できるだけの速度だ。
 身を削りつつも黒騎士は月下を駆ける。左目が月光で輝き赤い軌跡を描く――。

 そして、とうとう。
「……間違いない、ここだ」
 見つけた!
 左右対称、シンメトリー。異世界におけるゴシック様式に酷似した、けれど僅かに異なるこの世界における建築様式。それからすればあり得ない構造を見せる一点。
 正しい姿を知るのはこの世界の住人だからこそ。賭けに勝った瞬間だった。
 窓ガラスを突き破り、猟兵は祭壇へ突入する。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『人造ダンピールのメイド達』

POW   :    アナタ様の好みを教えてくださいませ
【誘惑の口づけ】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【味と性格】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    氷炎魔剣陣…でございます
レベル×5本の【炎と氷】属性の【魔力を纏わせた魔剣】を放つ。
WIZ   :    フェアリーモードでございますわ
【背中にフェアリーの翅を生やす】事で【高速戦闘に適した状態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:善治郎

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●祭壇:中央大図書室
 その扉を開けた瞬間、あるいは窓を割った瞬間、外の庭園でも感じたように一際強く薔薇が香った。
 目に飛び込んできたのは本棚の前に積み上げられた空の鳥籠。そしてそこまで達する程の大量の血だまりと、その上に立つ『なりかけ』達だった。

「ようこそいらっしゃいました、お客様。申し訳ございませんが歓迎の用意が出来ておりません。しばしの間、私共がお相手させていただきます」
 揃いの制服に身を包み、寸分の狂いなく揃えられたお辞儀を披露するメイド達。一見まともな光景だが、体の至る所から触手を生やしていては台無しだ。
 歓迎の準備とはつまり紋章製造のことだろう。祭壇は主を倒した後で対処すればいいと思っていたが、どうやらそうもいかないようだ!
「主様へのご奉仕こそが私共の悦び、存在意義。――参ります」
風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。



 今から100年ほど前。
 かつて人類が勝利したはずのヴァンパイア達が蘇り、今度は敗北を喫してから。
 それでも細々と抵抗を繰り広げてきた者達はいた。風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)もまたその一人である。
「この俺が見覚えのない血族か。……何者だ?」
「私共は人造のダンピールでございます、お客様。ご存知なくとも無理はないかと」
 人生のほぼ全てを吸血鬼との戦いに捧げてきた顕吉をもってしても不明な敵の正体。それがまさかそのような物だとは。
 皮肉な物だ。ヴァンパイアが作りしダンピールが人に味方し、人が作りしダンピールがヴァンパイアに味方する。オブリビオンである以上仕方ないことではあるが、気分の良い物ではない。
「さあ、お客様。串刺しですか、火あぶりですか? 好みを教えてくださいませ」
「どちらも断る。この世界はヴァンパイアの物ではない、それを思い出させてやろう」

 氷炎魔剣陣。そう唱えられると共に降り注ぐ無数の魔剣の雨に対し、顕吉は真正面から突っ込んだ。その驚異的な動体視力と身体能力で剣の一本一本を見切り、最小限の動きで躱していく。そして一瞬で肉迫し。
「時に忘れ去られた者は、静かに滅びを受け入れろ」
 放たれた刃がメイドを斬り捨てる。その銘は『ドラクリヤ』、竜の息子を意味する刀。人外の膂力と速度で振るわれる剣術は一切合切を両断する。
 対応しきれないと見たメイド達が背中に翅を生やす。広間のごとき図書室内を飛び回り招かれざる客を惑わさんとする。
 けれども甘い、顕吉は壁に足をかけてそのまま一息に駆け上がった!
「冥途の土産に教えてやろう。俺の名はトルトニス・フォルトゥナトゥス、お前達を狩る者だ」
 魔剣を振り払い、翅を断ち。吸血鬼狩りは敵の眷属を討ち果たすのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マルコ・ガブリエル(サポート)
『初めまして、わたくしはマルコと申します』
『皆様を苦しめるのであれば、わたくしも情けは捨てましょう!』
『まあ、なんて美味しそう……! 宜しければ、一緒にいかがですか?』
笑顔が魅力的で朗らかな女の子です。実は故郷を滅ぼされて天涯孤独の身ですが、そうした悲壮感を仲間に感じさせることはなく、いつも明るく振る舞っています。
誰に対しても優しく、敵にさえ「できれば戦わず、穏便に事件を解決したい」と考えるような優しい性格ですが、無辜の人々を苦しめる悪い奴には心を鬼にして全力で攻撃をお見舞いします。
美味しいもの、特に焼肉をみんなで食べるのが大好きで、無事に事件解決した後はよく他の猟兵をご飯に誘おうとします。



「初めまして、わたくしはマルコと申します」
「お初にお目にかかります、マルコ様。私共が精一杯おもてなしさせていただいます」
 ペコリと頭を下げたメイド達に対し、これはどうもご丁寧にとマルコ・ガブリエル(焼肉天使・f09505)も頭を下げた。
 お互いに丁寧で礼儀正しい態度。ならば可能性はあるのではないかとマルコは話しかける。
「あの……できれば戦わず、穏便に済ますことは出来ませんか?」
 その言葉にどれだけの重みがあるか、オブリビオンのメイドは知らない。明るい笑顔を浮かべるマルコが実は滅んだ故郷の唯一の生き残りであるとどうして見抜けようか。
 悲しみがあった。苦しみがあった。それでもそれらを乗り越えたマルコは優しさを大切にするのだ。
「それはなりません。主様は皆様の殲滅をお望みですわ」
 こうして無駄に終わることも多々あるが、それでもマルコは希望を探すことを決して諦めない。
 いつか、ハッピーエンドを迎えられると信じているから。

「お客様の好みはなんでございましょう?」
「好み……焼き肉が好きです! みんなで食べるご飯は最高です!」
「まあ、それは残念ですわね。素材が余っていれば振る舞いましたのに」
 素材、その言葉にハッと辺りを見回すマルコ。目に入るのは辺りに散らばる肉片――人だったもの。
 ああ、これを素材と言い切るのであれば。そんな悪を許してはおけない。悪鬼が相手ならば、こちらも心を鬼にしなければならない。
「……そうですか。皆様を苦しめるのであれば、わたくしも情けは捨てましょう!」
 決心したマルコは、おもむろに焼肉弁当を取り出し食べ始めた。よく噛んで飲み込んだ肉が直ちに吸収され、活力となって全身の細胞を駆け巡る!
 戦闘中? 関係ない。何時いかなる時も、食事に感謝を忘れてはならない!

 そして、マッスル天使の右ストレートが炸裂した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナギ・ヌドゥー(サポート)
普段はなるべく穏やかで優し気な感じで話してます。
……そう意識しておかないと自分を抑えきれなくなりそうなので。
それでも戦闘が激しくなると凶悪な自分が出てしまいますね。
オブリビオン相手なら最初から素で対峙し、手段を選ばず殺しにいきますよ。

探索行動の時は第六感などの知覚に頼る事が多いです。

日常的な行動は、寛ぐ事に慣れてないから浮いた存在になるかもしれません……

武器は遠距離ではサイコパーム、近距離では歪な怨刃、
痛みや恐怖を与える時はソウルトーチャーを使います。

己は所詮、血に飢えた殺人鬼……
それでも最後の理性を保つ為に良き猟兵を演じなければ、とも思っています。
どうぞ自由に使ってください。



「オレはアンタ達を殺しに来た。それだけだ」
 ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)の理性は既に薄れ、凶悪な本性が現れていた。
 普段は温和な人間を演じているナギ。その理由はこれだ。意識して自分を抑えておかなければすぐに残虐さに飲み込まれてしまう。
 ナギを蝕む殺戮衝動は彼の生来の物ではない。望まない人体改造の影響――だがそれを知っていようと知らなかろうと、ナギは変わらないだろう。
 この世界への転移によって自我が戻ってからおよそ7年。今更自分と切り離して考えるには付き合いが長すぎた。

 心の奥が震える。殺戮の予感に悦んでいるのだ。
「アンタ達が与えた痛み、少しでも思い知れ」
 歪な鉈で己の腕を切り裂き、ソウルトーチャー、自律する呪獣に血を分け与える。屍肉の獣は赤い雫を貪欲に飲み干しその姿を変容させた。ああ、その悍ましき異形の咎よ。
 氷の魔剣が降り注ぐ中を獣が駆ける。不浄なる触手が雨の隙間を縫って敵を絡めとり、骨針が魔剣ごと敵を貫く。
「血、血が吸われてしまいます……お客様、お戯れ、を……」
 そしてまた一つ、干上がった死体が出来上がった。戯れ? そうだ、これは殺戮遊戯である。

 一方的な蹂躙。物語ではこういう時、どちらが悪者か分からない、などと描写するかもしれない。ではナギは悪者だろうか?
 ――否。
「こいつらは殺した、虐げた。だから殺していい」
 独り言を呟くナギは、知らない者が見れば確かに不気味かもしれない。けれどそれは彼の必死の自制心なのだ。
 殺す相手は暴力を厭わない者だけ、一線は越えない。それを自分に言い聞かせることで最後の理性を保ち続ける。
 そうしてナギは、良き猟兵は世界の敵を打ち倒す。
 例え血に飢えた鬼であろうとも、人であろうとする限りは人である――。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォルク・リア
「丁寧な出迎え痛み入る。が。
俺は客ではなくそちらからすれば賊。
歓迎は不要だよ。
こんなところで足止めされている暇はない。
とっとと主とやらのところに行かせて貰う。」
とファントムリキッドを発動。
自身の身体を液状化し空中に拡散。
敵の動きを【見切り】
光を反射させて【残像】を発生させつつ敵を幻惑し
変幻自在に姿を変えて攻撃を回避。
同時に液状の身体の性質を酸性の水弾とし
敵の密集地帯に【範囲攻撃】を行いつつ
翅に狙いを定めた【誘導弾】として攻撃。
翅を傷つける事で速度を低下させたところで
傷を負ったものから優先して水弾で集中攻撃して仕留め
一体づつ確実に数を減らす。
「その忠義が存在意義ならその全て。此処で叩き潰す。」


館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

人造だろうが関係ない
紋章になりかけているのであれば、全て切り刻むのみ
貴様らの所業は生きとし生けるもの全てを愚弄していると知れ!!

指定UCは1章から発動継続(※1章と同じ)
「属性攻撃(炎)」で炎の「衝撃波」を連射しつつ
「地形の利用、地形体制、ダッシュ」+UC効果の高速移動で血だまりに足を取られぬ様走り接近
懐に飛び込んだら「2回攻撃、怪力、鎧砕き」で一息に斬り伏せるのみ

氷炎魔剣陣は「第六感、見切り、戦闘知識」で魔剣の軌道を推測しつつ
漆黒の「オーラ防御」を「殺気」と共に展開し魔剣を逸らしながら回避

撃破後余裕があれば祭壇も破壊
…さあ出てこい、『第五の貴族』



「丁寧な出迎え痛み入るが。俺達は客ではなくそちらからすれば賊。歓迎は不要だよ」
「全くだ。窓から入る客などいるものか」
 茶番。フォルク・リア(黄泉への導・f05375)と館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)の二人はこの状況をそう切り捨てた。
 結局の所、相手の目的は紋章が完成するまでの時間稼ぎ。猟兵がそれに突き合う理由は存在しない。
「こんな所で足止めされている暇はない。とっとと主とやらのところに行かせて貰う」
「ヴァンパイアに与するのであれば、全て切り刻むのみ。貴様らの所業は生きとし生けるもの全てを愚弄していると知れ!!」

「森羅に遍く湖水の亡霊。我に宿りて、此の身を不浄の水へと変じ。仇讐討ち果たす無双の刃と成せ」
 炎を纏う魔剣がフォルクに届く寸前、彼の体がパシャリと爆ぜた。後には何も――純白のローブを始めとした装備の数々も残っていない。
 一体フォルクはどこへ行ってしまったのか? その秘密はたった今唱えた呪文にある。彼は自身に水霊を宿すことで己の存在を液状化させたのだ。
 小さな水玉が空中へと溶けるように広がっていく。追撃の魔剣はその隙間を通るのみ。ファントムリキッド、亡霊を捉えることは並の者には不可能だ。
「皆さん、手数で攻めましょう。氷炎魔剣陣を――っ!? 何ですかこれは!?」
 一人のメイドが指示を出そうとしたが、突如目に入った発光に注意を奪われた。
 キラキラと輝く光、その正体は天井のシャンデリア。ファントムリキッドが反射したのだ。思わず顔を背け一歩下がるメイド。
 彼女は気付かなかっただろう。他のメイド達もまた同様に四方からの光に押し込まれていたと。相手の狙い通りに密集されられたのだと。
「その忠義が存在意義ならその全て。此処で叩き潰す」
 そして、集まった彼女達の頭上に巨大な水膜が出現する。それは不浄の水、肉を焼き焦がす強酸。
 屋敷の中に雨が降る。屋根は役に立たない、屋敷妖精は逃げることも出来ずにその翅を濡らし溶かされていく。
 そうして動きの鈍った者は一人また一人と、亡霊の餌食となっていくのだった。

 もちろん敵もやられてばかりではない。運良く酸性雨を逃れた者達が氷の魔剣で凍らせようとするが――。

 炎の衝撃波が魔剣を飲み込み、その冷気ごと跡形もなく消滅させた。
「こちらも一人ではない……俺が相手だ」
 黒剣がかつて喰らった魂を力に替えて、敬輔が立つ。変わらず心身は苛まれ続けているが、吸血鬼の企てを潰すためならば是非もない。
 床の血だまりを一息に飛び越えオブリビオンへと肉薄する。振り下ろした刃は箒の防御を断ち切って――すかさず返す刀で敵を逆袈裟にした!
「お客様」「お静かに願います」「主様が読書中です」
「……やはり吸血鬼は傲慢だな」
 一刀一殺。一人斬り捨てては囲まれる前に離脱し次に狙いを定めていく。

 そうして敵の攻撃を避けながら移動と反撃を繰り返している内にふと気付く。敵の攻撃にどうやら穴があると。
 初めは、主の所有物である図書室を傷つけたくないのかとも思った。けれどそれは今更な話だし、メイド達自身も魔剣の炎と氷によって現在進行形で本棚を破壊している。
 ではなぜ――、降り注ぐ魔剣から逃れるべく、本棚を盾にして考える敬輔。そしてまた攻撃が弱まった。
「まさか……そうか、これが祭壇の仕掛けか!」
 ふと思いついて辺りを見渡せば、一部の本棚だけが不自然に残っている。
 理由は一つしかない。この部屋を祭壇たらしめているのがこれらの本棚なのだ!
 その証拠に、黒騎士が本棚を破壊するとメイド達が動揺したではないか!
「まず一つ。……さあ出てこい、『第五の貴族』。大事な祭壇を失うぞ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミコト・イザナギ
【天狗狼】
半端であの存在感は厄介ですね
然し、これから殺めるのが惜しい
有りの侭の忠節が美しいからこそ
その触手は余分
容赦無くサクっと斃しましょう

ディアナさんの言う通り
客を待たせる主催なんて論外
碌な教養もありませんか

さて、お時間です
アナタ方に相応しい愉しいグラン・ギニョールを始めましょう
最後まで好い嬌声で啼いてください
ね、いいでしょう、ディアナ?


UC【三摩耶形】で精力を取り戻して
自戒の天狗面の留め紐を外す
自壊しようと構うものかと暴れる

ハハハッ!!
いいね、いいよ、いいさ、いいとも!
オレの事を知ったか振るなんて
なんて傲慢
ディアナに詫びながら逝ってよ

好戦的かつ好色的な面を露わに
肉を爪で引き裂き腸を打ち抜く


ディアナ・ロドクルーン
【天狗狼】
あら…あらあら
図書室に、鳥籠、そして――出来損ないたち

素敵な図書館なのに勿体ないわね

貴女達の主はどこかしら?怖くて震えている?
ああ、持て成しの準備中と言っていたわね
そんなこと気にしなくてもいいのに

さて、お人形さん達に用はない。綺麗に壊さないと、ね

おいで影狼。数には数を
楽しく遊びましょう

一方的な虐殺を― ああ、素敵ねミコト
もっと盛大に、殺ってちょうだい、啼かせて、ちょうだい

影から湧き出る狼の数々、メイドが攻撃し消したとしても次から次へと襲わせて
摺り足で相手の間合いに滑り込み、真っ二つに斬り裂こうか


此処に積み上げられた屍と同じように重ねて
さあて…ここの主はいつまで黙っていられるでしょうね



「あら……あらあら。図書室に、鳥籠、そして――出来損ないたち。素敵な図書室なのに勿体ないわね」
 見渡して香りを嗅ぎ。読書を楽しむには余計な物が多すぎるとディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)は評価した。いっそシンプルであった方がましだとも。
「半端であの存在感は厄介ですね。然し、これから殺めるのが惜しい」
 主のために身を捧げる、その忠節は美しいとミコト・イザナギ(語り音の天狗・f23042)は思う。だからこそそこに混じった触手、余分な物はいらないとも。
「貴女達の主はどこかしら? 怖くて震えている? 本好きの割に世間知らずなのね」
「ディアナさんの言う通り。客を待たせる主催なんて論外、碌な教養もありませんか」
「お言葉ですが――」
 メイドの反論に手をかざすディアナ。元より口論する気も、歓迎される気もない。ああそうだ、それではまるで対等の立場のようではないか。
「お人形さん達に用はないの。おいで影狼。数には数を……楽しく遊びましょう」
「アナタ方に相応しい愉しいグラン・ギニョールを始めましょう。最後まで好い嬌声で啼いてください」
 ミコト達がこれから繰り広げるのは蹂躙だ。主演はミコトとディアナの二人組、メイド達など舞台装置に過ぎない。
 惨劇を塗り潰す残酷劇を今ここに。
「ね、いいでしょう、ディアナ」
「ああ、素敵ね、ミコト」

 今度は冗談ではない。冗談では済まさない。
 ディアナの影から次々と飛び出す黒狼達。其は生を蹂躙する者、闇より出でし獣。雄叫びは共鳴し滅びを歌い上げる。
 真正面から襲った狼が避けられる。左右から同時に飛び掛かった狼がそれぞれ魔剣で貫かれる。背後から牙を向いた狼が翅を食い千切る。
 完全な物量作戦。代償に流す血は先程から止まらず、頭が重くなってくる。けれどディアナは首を振り誤魔化して、自身もまた狼の群れの一員に加わっていく。
 床上の影狼に気を取られていたメイドがふとドレスの裾を捉えた。それが彼女の最後の視界。
 摺り足で滑るように間合いに入り込んだディアナ、振り下ろした赫き刀身はするりと敵を真っ二つ。仕留めた獲物に狼達が群がり細切れに解体していった。
 ふと相方の方を見やれば、自身が作り出したものと負けず劣らずの光景が。熱を帯びた吐息を漏らし、ディアナは感嘆の、喝采の声をあげる。
「ああ、ああ! もっと盛大に、殺ってちょうだい、啼かせて、ちょうだい……!」

 時は少しだけ巻き戻って。
「我欲を押し通す誓願を果さんが為、今この時、我が身を刃と為さしめん」
 ミコトは呪言を唱えていた。
 三摩耶形――庭園に引き続いての覚醒だ。留め紐を外された天狗面がからんと落ちる。一時的な賦活は代償を伴うが、露わになった素顔がそれに歪むことはない。
 自戒を捨てたのだ、自壊など構うものか。
 そして天狗は、羅刹へと戻る。

 殴り飛ばされたメイドが本棚に激突し、バサバサと崩れ落ちた本の山に埋もれた。それを成した元凶の男はなおも囲まれつつも笑みを絶やさない。
 どれだけ群れようと今のミコトには届かない。自滅待ちだけが女達の勝機、羅刹がそれを許すはずもなし。
 右手で殴る、左手で殴る、右足で蹴る――背後から抱きしめられる。
 首筋に触れられ、濡れた感触が続く。
「お客様の好みは把握いたしました。ここからはより一層の歓待をご堪能下さいませ」
「……ハハハッ!!」
 呵々大笑。振り向きざまに首を掴み返し、もう片方の手を女の腹に伸ばすミコト。
「いいね、いいよ、いいさ、いいとも! オレを知ったか振るなんて、なんて傲慢!」
 伸ばした手は好色にして好戦。その手が触れる刹那、羅刹はふと真顔になって。
「ディアナに詫びながら逝ってよ」
 ――女の腹肉を裂き、その腸を打ち抜いた!

 バラバラ、ズタズタ、数多の死体。積み上げられた命の残骸。
 祭壇は全て破壊した。配下は全て始末した。ついでに図書も残っていない。
「さあて……ここの主はいつまで黙っていられるでしょうね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『世界の真実を知るもの『カターニア』』

POW   :    その展開、知ってるもん!
【読書で得た見識の広さで、】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    想像の翼を広げちゃえ!
戦闘力が増加する【空想上の獣】、飛翔力が増加する【空想上の獣】、驚かせ力が増加する【空想上の獣】のいずれかに変身する。
WIZ   :    そのアイディア、いただきっ!
【自信が持つ本】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自信が持つ本から何度でも発動できる。

イラスト:黒江モノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はティフラム・ラルフです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●THE TRUTH 『CATANIA』
 地底都市はカターニア邸、陽光の届かないその地にて。
「あーっ、いつの間に!? もう、あいつら肝心な時に役に立たないんだから!」
 メイド達を撃破し、祭壇――図書室を完膚なきまでに破壊した猟兵達。そこへ甲高い声が響き渡った。
 見ればそこには、モンストルやヴェリオラよりもさらに幼い少女の姿が。しかし猟兵達は外見に惑わされることなく少女の強大さを理解する。
 彼女こそが屋敷の主、第五の貴族カターニアに違いない! 地上へ紋章をばら撒いていた元凶の一人だ!
「あんた達だったのね、猟兵。第4層からの乱入者如きがやってくれるじゃない」
 じろりと図書室の惨状と、それを作った面々を睨むカターニア。その額に紋章を煌めかせ、小脇に本を抱えて口を開く。
「あたし知ってるわ。あんた達ったら人間どもから持てはやされて、時には本にもなっちゃったりして。そういうのぜーんぶ、ここで負けるための前振りなのよ!」
フォルク・リア
「此処まで来ても自分の敗北を考えられないか。
それでこそ第五の貴族ではあるが。」
「さあ、始めようか。
その本にも書かれていない未来を。」

冥空へと至る影を発動。
コピーされても構わず拘鎖塞牢を使用し力を封じる。
(コピーして使うのは必ず此方より一瞬遅れる。
その隙を活かさない手はない。
コピーするのがユーベルコードのみなら
装備の力の差は生じる。先ずはそれを利用する。)
一度主導権を握ったらそれを勝利に繋げる為に連続攻撃。
デモニックロッドから闇の魔弾を撃って弾幕を張り
目晦ましすると共に【残像】を発生させて攪乱。
その隙に接近し額の紋章に
呪装銃「カオスエンペラー」を向け攻撃。
「その魂、紋章と共に此処で撃ち砕く。」



●『あなた達の戦いが』
「此処まで来ても自分の敗北を考えられないか。それでこそ第五の貴族ではあるが」
 敵のあまりの考え足らずにフォルク・リア(黄泉への導・f05375)はため息をつきたくなった。
 そもそもこの時点で敵は詰んでいる。仮に猟兵を撃退できたとして、失態を犯し配下を失っては元の立場に返り咲くことは不可能だろう。
「まあ。油断する分には構わない。その魂、紋章と共に此処で撃ち砕く」

 猟兵の持つデモニックロッドが闇の魔弾を吐き出す。張られる弾幕を、しかしカターニアは一顧だにしない。紋章が全身を防護しているからだ。
 弾幕で視界は悪いが些細なこと。たとえ敵の姿を捉え辛くても。
「あたし知ってるわ。こうして待ってればそっちから勝負に出るって」
 額を狙って飛んできた一際大きな魔力弾――冥界からの魔力を含んだそれを、本を掲げてガードするカターニア。
 やった、そう笑みを浮かべて本を開き、本から魔力が溢れ出し――。
 次の瞬間、現れた棺桶に閉じ込められるのだった。

 やった、消える棺桶に確かな手ごたえを感じるフォルク。
 カウンターを狙っているのは見て取れた。それならそれを前提に行動すればいい。
 魔弾が相手に届き防がれるまで1秒。
 相手が掲げた本を下ろして開くまで1秒。
 本から放たれる魔力がこちらに届くまで1秒。
 合計3秒もあれば次の一手を指すには十分。拘鎖塞牢は相手を拘束し、フォルクは敵に肉薄したのだ。
 そしてカオスエンペラーを敵の額に押し当て――引き金を引いた!

 銃声と共に倒れ込んだ吸血鬼が霧散し、そして復活する。厄介なしぶとさだが、その顔には狼狽が浮かんでいた。
「うそっ、一回死んだ!? なんでこうなるの!?」
 当然だ。本は、歴史書はかつて起こったことを記す物。今を生きる者としてフォルクは高らかに宣言する。
「さあ、始めようか。どの本にも書かれていない未来を」

大成功 🔵​🔵​🔵​

館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
指定UC発動は2章から継続

生憎だが、そんな前振りは存在しない
本になるとしたら、貴様が倒される記録のほうだろうよ
『第五の貴族』よ、ここで果てろ!

空想上の獣に変身されたら「落ち着き」つつ「殺気」を放って「挑発」
どうした? 獣にならねば俺らを排除できないのか?
『第五の貴族』とは名ばかりか?

挑発に乗ったら「第六感、見切り」で攻撃を回避しつつ
至近距離から「2回攻撃、属性攻撃(炎)、範囲攻撃、部位破壊」で額の紋章狙いつつ広範囲に炎の「衝撃波」発射
回避防御しようとしたら高速移動で接近し、紋章ごと頭を黒剣で叩き割る!

…「第4層からの乱入者」か
『第五の貴族』は一体何を知っている?



●『やがて世界に』
「生憎だが、そんな前振りは存在しない。本になるとしたら、貴様が倒される記録のほうだろうよ」
 カターニアがいう本とはヴァンパイアが記した物なのだろう。見せかけの希望が潰える、なるほど吸血鬼好みに違いない。
 だが、これは人々の物語だ。紡ぐのも記すのも人間だ。ダークセイヴァー出身、館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は地上に生きる人間の一人としてここに立つ。
「第五の貴族よ、ここで果てろ!」

「あんた、第4層の人間ね。何も知らないくせに言ってくれるじゃない」
 カターニアの姿がドロリと溶け落ちる。水溜りのような黒い影はグネグネと形を変え、やがて一つの獣となる。
 鷲の翼と蠍の尾を持ち、金の冠をかぶる馬。かつて誰かが想像し、そしてこう名付けた――アポリオン。
『いいわ、教えてあげる。第五の貴族を甘く見たこと、後悔しちゃえ!』
「お喋りな奴だ。さっさと俺らを排除してみせたらどうだ、貴族とは名ばかりか?」
 敬輔の挑発に空駆ける馬が突進する。致死の重量が人間を圧し潰さんと降ってくる。
 炎の衝撃波がそれを迎撃した。ダメージは無いが視界が遮られ、獣が着弾した地点には既に猟兵の姿は無い。
「こちらだ、阿呆め」
 その声に顔を上げた獣の額に、呪われし剣が突き刺さった! ああ、だが脳髄までは届いていない、すぐに突進が再び来る!
 ぐ、と獣が足に力を込めた刹那。敬輔はすかさず剣を引き抜き――今度は振り下ろし、敵の頭を叩き割ったのだった。

「しかし……『第4層からの乱入者』か。貴様は一体何を知っている?」
「はっ、やっぱり何も知らないじゃない!」
 頭を瞬時に癒し元の姿へ戻って飛び退く吸血鬼。その口が開くたび、真実の断片が零れ落ちる。
「あたしはカターニア、歴史の蒐集者にして真実の秘匿者! 地底に住んでることも知らないあんた達とは違うのよ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミコト・イザナギ
嗚呼、やはり子供でしたか
では仕方の無い事と許しましょう
お仕置きは致しますがね

…言わないで、ディアナ
オレもここまで形式通りのフラグを見たのは初めてで頭が痛いんだ

開口一番が罵声とは教育がなってないね
こういう時は、初めに堂々と名乗り上げるのが貴族というもの
――ご機嫌よう、お初にお目にかかる
ミコト・イザナギ、アナタに終わりを与えに来た第六の猟兵だよ

ディアナの援護を受けつつ攻撃を仕掛ける
然し、連戦に続く連戦に第五の貴族
人知を尽くして神頼みと行きますか

貫通攻撃を主に攻撃
僅かでもカターニアが意識を逸らしたなら暗殺
相手の攻撃には限界突破で耐えよう
瀕死になったら禍津日の玩弄を使用

――では、ご機嫌よう、麗しの少女


ディアナ・ロドクルーン
【天狗狼】
すごい、本当にあなたの読みが当たっていた。子供だわ。

遅いご登場ね、主賓が遅れるなんていけないことよ?

……ねえ、ミコト。これって何?フラグと言うやつかしら
ご丁寧にどうも…
初めましてのサヨナラよ、カターニア

大口叩くのもこれまで
さあさ始めましょう、祭壇も第五貴族も全て、全て一掃してくれる

ミコトの攻撃の援護をするのに死者の宴を使用
カターニアのUCを封じるわ

お前が今まで殺してきた者たちの声を知れ

遊色煌めく剣を振りかぶり
マヒ攻撃を絡めながら少しずつカターニアの体を削り落としていこうか

その紋章の力はいつまで持つかしら…
そう簡単には楽にさせない

紋章づくりもこれで終いよ
消えなさい



●『真の希望をもたらすでしょう』
「……ねえ、ミコト。これって何? フラグと言うやつかしら」
「……言わないで、ディアナ。オレもここまで形式通りのフラグを見たのは初めてで頭が痛いんだ」
 ミコト・イザナギ(語り音の天狗・f23042)の読み通り、屋敷の主は子供だった。それに感心すると共に、相手のあまりの小物ぶりにディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)は一瞬だけ殺意を忘れてしまう。もちろんすぐに取り戻したが。
 ともあれ、名乗られたからには名乗り返すのが筋という物。開口一番の罵声は教育がなっていないし初めに名乗り上げなかったのも減点だが、子供であれば仕方のないことと多めに見てやろう。
「ご丁寧にどうも……私はディアナ・ロドクルーン。初めましてのサヨナラよ、カターニア」
「ご機嫌よう、お初にお目にかかる。ミコト・イザナギ、アナタに終わりを与えに来た第六の猟兵だよ」
 しかし、カターニアは突如憤慨してみせた。『第五の貴族』に合わせた物言いが気に入らなかったのだろうか。
「何よ何よ、第4層の実験体とその連れが偉そうに! 第4層のこと地上とか言ってるくせに、ばっかみたい!」
 そしてそのまま、三つの祭壇を巡る最後の戦いが幕を開ける!

「お前が今まで殺してきた者たちの声を知れ」
 ディアナが呼び出した死霊達が図書室の中を縦横無尽に飛び回る。亡霊、怨霊、亡者、様々に呼ばれる彼らが憎き仇を封じこめんと殺到する。
 だが。
「こんなの平気だもん! あたし達の世界に黄昏も暁もありはしないわ!」
 地の利か相性か、死者の宴は吸血鬼に効果が薄かった。最大の三分の一程度だろうか、これではミコトを援護しきれない。

 森から庭園を抜けてここまで、連戦に次ぐ連戦。消耗は激しく、最後の敵は性格はともかく実力だけは本物だ。
「人知を尽くして神頼みと行きますか」
 頭上を飛び回る死霊に気を取られている敵の背後に回り、鋭い爪でその頭蓋に迫り。
 だが。
「あたし知ってるわ。弱い奴は奇襲が大好きなの」
 貫手は知っていたかのように躱されて、逆にミコトの胸が穿たれた――。

「あはは、いい気味! ……しつこいなあ、足りないっていってるで、しょ?」
 愚かな刺客を嘲笑する吸血鬼はふと気づく。死霊の数が多すぎる、先ほどより明らかに増えている。
 原因は言うまでもなくディアナだ。術者の人狼は誰に聞かせるでもなく呟く。
「そう、ここの死霊だけじゃ確かに足りなかった。だって……祭壇は三つある」
 右の祭壇、左の祭壇、それらも合わせて初めて罪は清算される。ヴァンパイアという強大な個を、弱い者達が群れて克服する。奇しくもそれはかつての勝利の再現のようで。
 図書室を埋め尽くす死霊達の怨念が、オブリビオンを封じ込める――!

「災厄の、神は……天津より……」
 瀕死ながらも必死に意識を保ってミコトは詠い上げる。それは神への怨嗟か礼賛か。
「我らを睥睨し、その死を嘲弄し……」
 妨害はない。相方が敵を抑えているから。今は見聞きする余裕は無くとも、ミコトはそれを知っていた。
 それがディアナという女性だから。冷淡なミコトが知りたいと思った相手だから。だから、ミコト・イザナギはディアナ・ロドクルーンを信じているのだ。
「尚も……死して見せよと……宣い給う」
 そして最後の一節を唱えきった瞬間、それは起きた。

『禍津日の玩弄(マガツヒノガンロウ)』

 それは、そう呼ぶしかない。それは、他に表現する術がない。その体がまさに息絶えんとした瞬間ミコトの体は砂塵と化し、そしてミコトが敵の頭蓋を貫いた。
「――は? え?」
「――では、ご機嫌よう、麗しの少女」

「私の分も残しておいて。少しずつ削り落とすから」
 ハロ・ライラ、ディアナが手にする夜の夢。刀身の中で煌めく月見草の遊色、それが赫に隠れたのはすぐ後のことである。

●識者は真実を葬る
 廃墟と化した図書室に第五の貴族が倒れ込む。
 紋章を破壊され殺し尽くされた吸血鬼が、徐々に灰となり散っていく。
 カターニア、世界の真実を知るもの。ダークセイヴァーの歴史を蒐集し続けた少女は、何かとても重要なことを口走っていた気がする。
 あれはどういうことだ、知っていることを話せ。猟兵達がそう詰め寄ると、消えかけのヴァンパイアはニィと厭らしく口角を上げて。
「――あは。あたし知ってるわ、こういう時なんて言うか」
 曰く、自分は真実を知っているが。

「『それを語るには、この余白は狭すぎる』」

 ――そして、真実は葬ら逵溷ョ溽悄螳溽悄螳溽悄螳溽悄螳

 真実は明かされた。世界に真の希望がもたらされる日は近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月29日


挿絵イラスト