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ドルム・ガンドラの興亡~旧約失墜 サルヴィオレ島~

#ブルーアルカディア #ドルム・ガンドラ帝国

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#ブルーアルカディア
#ドルム・ガンドラ帝国


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●青天の霹靂
 ブルーアルカディアの晴れ渡る空。その色と同じ青の長髪を持つ少女は、ある浮遊大陸の縁にて座り込んでいた。
 その目に映るものは何であるのか、窺い知ることはできない。どこか遠くを懐かしむように、少女はただ雲の海を見つめている。
「ノア様。手筈は整いました。お始めください」
 その背後に現れたのは、天馬に跨った女性騎士だ。ノアと呼ばれた少女は溜息を吐くと、面倒そうに杖を突いて立ち上がる。
「数百年も前の条約など、よく持ち出してきたものだ。そも、あれはお前たち帝国との条約ではあるまい?」
 それを聞き、女性騎士とノアとの間に不穏な空気が流れる。騎士が己の槍に手を掛けた。
「ここに来て、約定を破ると?」
「そうは言っておらぬ……ここまで出向いてやったのだ。今さら協力せんなどとは言わぬわ」
 だが、とノアが振り向いた。激しい風が一陣、吹き抜ける。
「思い違いをするなと伝えておけ。我がかつて友好を結んだのは貴様ら帝国ではなく、”あの者”個人とのものだ。
 今回の計画も、”あの者”に関わるものと聞いた故手伝ってやるに過ぎぬ」
 ゆめ忘れぬことだ――とノアが杖を構えれば、彼女を中心として、激しい風が吹き始める。
 それはすぐに風などと呼べる生易しいものではなくなっていった。暴風を経て、嵐に至る。大地に生えた草すらも毟り取り、天へと巻き上げていく。

 嵐はやがて拡大し、島の端から中心へと侵食していく。それに伴い、大陸が激しく揺れ始めた。
「な、なんだ!?」
「お父さん、家が……!」
「飛空艇を! 早く!」
「ダメです、住民全員を乗せるほどの船はここには……!」
 その島に住まう人間たちはみな直感していた。この揺れは、浮島そのものが揺れ、力を失おうとしている。
 このままでは恐らくもうすぐに、島の浮力が消滅し、ここにいる者はみな雲海に沈む。さりとて、脱出用の船も多くはない。
 我々は今日、ここで死ぬのだ……諦観に沈む者。それでも最期まで足掻こうとする者。
 いずれも皆、雲海へと沈んでいく。その日、突如発生した嵐は島を呑み込み、蹂躙し――浮島を堕とした。

●古きまじない
「……と、いうようなことが起きるらしいー……」
 グリモアベースにて。眠たげな目をした少女、ラピス・プレオネクシアが新たな依頼を持ち込んでいた。
 ブルーアルカディアのとある島、『サルヴィオレ島』。
 その島を浮かす天使核は突如、オブリビオンが放った正体不明のユーベルコードによってその力を暴走させ、雲海へと落ちていくというのだ。
 幸いにして、そのユーベルコードが完全に発動するまでに使用者のオブリビオンを妨害すれば、島が沈むことはなくなる。
 だがオブリビオン――『箱舟』ノア・アルクリアスは、自らの周囲に激しい嵐を展開する力を持つ。その嵐は彼女への攻撃を遮断し、まともに入り込む事すら困難だ。

「ところが幸運なことにー……この島にはある不思議な魔法が伝わっているー……出処は不明だがー……」
 それはどうやら、島民たちの間でおまじないのように扱われていたものらしい。風の強い日、航空の無事を祈る際に使われるもの。
 本来そのまじないは魔法を発動させる呪文であり、強い意志を持って唱えれば、使用者に強い風除けの加護を与える。どれだけの暴風の中でも動いていられる、そんな加護を。
「だがその呪文の中身までは予知できなかったー……皆には、島民を救助しつつ、彼らから呪文を教わってきてほしいー……」
 呪文によって『風除けの加護』を身に着けたなら、いよいよオブリビオンと戦うことになる。
 オブリビオンはリーダー格のノア以外にも、それを守護する騎士たちが存在するようだ。
「ドルム・ガンドラ帝国の天馬騎士団、だそうだー……なんか以前にもいたねー……」
 その目的と規模は不明ながら、ドルム・ガンドラ帝国は徐々にその活動を活発化させている。それを挫くことは、いずれ大きな意味を持つだろう。
 ラピスは猟兵たちを一瞥すると、グリモアを起動させ、転移を開始した。


玄野久三郎
 玄野久三郎です。オープニングをご覧いただきありがとうございます。
 今回のシナリオでは島民の救助と、謎多き帝国のオブリビオンの撃破を行っていただきます。

 第一章では、島を襲う大嵐から人々を救出していただきます。
 島は嵐により瓦礫が飛散したり、屋根が飛ばされたり、家が倒壊したりと大変な状態なので、危険な場所にいる人たちを安全な場所まで退避させましょう。
 島民は安心すればある程度の質問に答えてくれるので、『風除けのまじない』の呪文も教えてくれます。

 第二章では、『風除けのまじない』の効果を得て、暴風の中に入り、ドルム・ガンドラ帝国の天馬騎士団との戦闘になります。

 第三章では、『箱舟』ノア・アルクリアスとの戦闘となります。詳細は断章をお待ちください。

 プレイングの受け付けに関しましては、断章やタグなどで随時お知らせいたします。
 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『暴走する浮島』

POW   :    飛来する瓦礫から仲間を守る。

SPD   :    地形を足場にして最短距離を駆け抜ける。

WIZ   :    危険な現象への対処法を講じる。

イラスト:Hachi

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●大混乱
 吹きすさぶ豪速の嵐の中で、人々は幾多の危険に晒されていた。
「だ、誰か……! 主人が、主人が家の瓦礫に挟まれて!」
 ある者は暴風に砕かれた瓦礫に潰され、その場から動けず。
「おい、起きろ! 起きて逃げるんだ!」
 ある者は飛んできた瓦礫に頭を打たれ、昏倒する。
「た、助けて……! 飛ばされる……!」
 ある者はその嵐に身体を吸い寄せられそうになり、必死に建物に縋った。
 この激しい嵐の中にあっては、もはやまじないなど唱えている場合ではないだろう。彼らは皆、唯一の対抗手段を忘れ惑っていた。
 彼らを救うことはそのままオブリビオンの対抗にも繋がる。暴風の中、人々を救助せよ!

※プレイングの受付は、【8/19(木)8:31~8/22(日)20:00】とさせて頂きます。
 〆切時点で章の達成数に届いていなかった場合、改めて期間を延長いたします。
ランケア・アマカ
…救える命を見捨てたりしません
私だって、やってみせます

MF-L1に乗って、助けを求める人達の近くへ急行します
邪魔な瓦礫等は【疾風塵】で排除、安全なルートを確保したら避難誘導です
MF-L1は一人乗りですけど子供くらいならもう一人乗せても飛べるはず、必要なら乗せて退避しましょう
島民の人達に安心してもらえるように、救助活動は冷静かつ迅速に進めていきたいです
見える範囲に要救助者がいないようでも警戒し、取り残された人がいないか注意深く探します

戦闘より危険な状況もありそうですが、救助が全て完了するまで退くつもりはありません
救ってもらった命なんですから、救うために使うべきだと思っています


シキ・ジルモント
宇宙バイクに乗って現場へ向かう
ユーベルコードを発動して身の安全を確保、被害を受けている住人を探す
バイクであれば速く広い範囲を確認できる

住人に被害を及ぼす瓦礫はバイクごと間に割り込んで直撃を防ぐ
バイクのエネルギーを可能な限りビームシールドの防御性能に注ぎ込んだ今の状態なら問題なく防げる

救助したらバイクに引き上げて安全な場所へ運ぶ
「動けるか?乗ってくれ、安全な場所まで避難する」
移動の間に件の『風除けのまじない』を聞き出したい
ついでに、この島がこんな状況に陥っている理由も聞いてみるか
心当たりがあればでいい、まじない繋がりで言い伝えでも

避難させたらすぐ別の住人を探す
全ての住人の避難が終わるまで繰り返す



●救いの手は空を駆ける
 嵐の音の中に、エンジン音が混ざり、近付いてきた。
 セイルフローター『MF-LI』に跨るランケア・アマカ(風精銃兵・f34057)は、手にしたリボルバーを瓦礫に向ける。
「誰か! 誰か手を……!」
 その下から聞こえてくる男の悲痛な声を彼女は聞き逃さなかった。引き金を引けば、そこから一筋の竜巻が射出される。
 その暴風は瓦礫を弾き飛ばし、地に伏した男を露見させた。彼は何事かと目を白黒させ、空中のランケアと視線が合う。
「助かった、ありがとう……!」
「いえ。立てますか? 避難しましょう」
「ああ、一応は……こっちだ。あの嵐から離れよう!」
 住人の男に案内されつつ、彼女は避難の道を行く。道中に倒れた者や逃げ遅れた人間がいれば、それらにもまた救いの手を差し伸べ、共に進んだ。
 小さな少女とはいえ、その落ち着き払った態度は多くの住人に安心を与え、集団であってもパニックを防止していた。
 人は増え、彼らは協力して瓦礫を取り除きながら、時に足の折れた者に肩を貸しながら歩いた。

「大変だ! ハイザンの奥さんと娘さんがいない!」
 そんな順調な避難にもハプニングは起きた。聞けば、避難経路にある家にいるはずの家族がいなくなっていたそうだ。
 その父親曰く、恐らく農場の方へ行ったのだという。それは嵐の方向により近い場所にあった。
「……私が助けに行きます。皆さんはこのまま避難を!」
 避難はおおよそ問題なく進んでいる。この場で彼女がいなくなっても、もう問題はない。
 そう判断したランケアは速やかにセイルフローターに乗り込むと、嵐へと飛んでいく。前から来る暴風がフローターを揺らす。
 飛来する瓦礫を撃ち落とし進む。――胸に去来するのは、いつか自分が助けてもらった日のことだ。
 魔女を名乗る猟兵に助けられ、生き延びた。助けられた命だからこそ、誰かを助けるために使わねばならない。
「……! いた!」
 嵐に近付く中、土が広がる空間に差し掛かると、その中心に取り残された母娘を発見する。
 すぐに接近し、二人の様子を見る。娘は泣いているが、二人に怪我はなさそうだ。

「すぐに避難しましょう! このフローターに――」
 その時、一際大きな瓦礫が二人に向かって飛んでくるのが見えた。このままでは、と彼女はリボルバーを構える。
 しかし、瓦礫は二人に直撃するより前に、割って入った光の球によって弾き飛ばされた。
「……損害無し。間に合ったようだな」
 球はバイクのエンジン音と共に、母娘に近付いた。その正体は宇宙バイクを覆うバリアであり、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)の展開する防壁だ。
「動けるか?乗ってくれ、安全な場所まで避難する」
「は、はい……!」
「娘さんは私が保護します。安全圏まで飛びましょう!」
 シキが母親を、そしてランケアが娘をセイルフローターに乗せ、二台のバイクがその危険域を離脱していく。
 時折巻き上がる瓦礫や石は、シキのバイクの前には無力であった。ランケアもまた、身軽にそれらの飛来物を躱していく。

「……そういえば。この島には、『風除けのまじない』があると聞いたが」
 母親もだいぶ落ち着いたとみて、シキはそれを問うた。彼女は少し考えたのち、答える。
「ええ。航空の安全を祈って……『英雄よ、その盾で嵐より護りたまえ』……と」
「『英雄よ、その盾で嵐より護りたまえ』……か」
 彼がそう復唱すると、突然バイクの揺れが一気に軽減されたのを感じる。風の抵抗を感じなくなったのだ。
 なるほど、これは確かに強力な魔法だ。しかし、これが一体なんであるのか……シキは少し考えるが、判断できそうになかった。
「この島がこんな状況に陥っている理由はわかるか?」
「いえ、まったく……」
「……では、ドルム・ガンドラという帝国に聞き覚えは? 言い伝えでも構わない」
 そう聞き方を変えると、母親は何かハッとした表情を見せる。
「……この島が今の名前になるよりも前に、その……ドルム・ガンドラという国からこの島に来た人たちがいたと……」
 ここはかつて、帝国の同盟国か避難先か何かだったのだろうか? となれば、そこに屍人帝国の狙いが隠されているのかもしれない。

 頭の片隅に入れておこう。と、シキは母親を避難の住人たちの中に送り届ける。
 避難民のハイザンは、無事に戻った母と娘を抱きしめた。そして、彼女らを救ったランケアとシキに何度も深く頭を下げる。
「ありがとうございます! お二人がいなければ……家内と娘と、二度と会えなかったかもと思うと……!」
「いえ。私にできることをしたまでです」
「次は、あんたが二人を守ってやれ」
 ランケアとシキは再びそれぞれの乗り物に騎乗し、飛ぶ。まだ救うべき者はこの島に多い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「この有り様は確かにまじないに
思いを巡らす余裕はなさそうだ。」
グラビティテンペストを発動。
邪魔な瓦礫を微粒子に変え重力を利用し人々を救助。
風の影響を受けず。飛ばされない様にしする。
「今の内に安全な所に避難を。
逃げ遅れた人がいるなら俺が助けるから教えて欲しい。」
(まずは少しでも安心してもらう事。
これでは根本的な解決にはなっていないが
今命を救う事も重要だから。)

避難させられたら
「この島に嵐を起こしている奴がいる。
俺はこの嵐を止める為に此処に来た。」
「そのために教えてほしい事がある。
誰か『風除けのまじない』を知っている人はいないか。」
聞く事ができたら人々にも嵐に襲われたら
まじないを唱える様に伝える。


オリヴィア・ストラスマリス
『他猟兵との連携歓迎』

まずは住民救助ですね。彼らへの当面の物資はどうしましょうか……?

とりあえずUC発動。[ストラスマリス]のスペックを拡大して、
現場へと急行し、乗せられるだけの人員を搭乗させます。
基本私1人と幾らかの商売用の物資だけなので、
載せる配給用の食糧・生活物資を最低限にすれば
その分人が入るスペースも出来るでしょう。

搭乗が終わったら、可及的速やかに安全な場所まで
ストラスマリスで空域を突破して人々を降ろします。
途中の瓦礫程度なら外付けの砲門である程度は撃ち落とせると考えます。

その後、住民の方々に「風よけのまじない」について尋ねます。
「何でも、このような大風が来た時に唱える呪文があるとか」



●嵐を掻き分けて
 白く、丸みを帯びた機械的なフォルム。この世界における飛空艇とは異なるデザインのそんな船が、サルヴィオレ島に飛来した。
 その船『ストラトマリス』は、激しい嵐のただ中に降り立った。住民たちは正体不明の船の登場に目を見張る。
「皆様、どうぞこちらへ。安全な場所までお運びします」
 オリヴィア・ストラスマリス(銀綾・f33253)がコミュニケーターを用いて声を届けると、彼らは嵐に煽られつつ船へと走る。
 はじめこそ帝国の者なのではないかと疑う者もいたが、彼女の持つテクノロジーや船のデザインはこの世界にはないもの。少なくとも屍人帝国のものではない、と判断したようだ。
「た、助かった……! この辺りにはまだ避難できてない奴らがいるんだ!」
「はい。引き続き皆様の格納を続けます。スペースはありますので、落ち着いて船内に避難を」
 輸送船ストラトマリスは本来商売に用いる船だ。故に、今回も配給や生活支援用の物資が積まれているが、必要最小限のもの。
 ユーベルコードによって性能を引き上げた今なら、その格納可能人数は100名ほどにはなるはずだ。
「あ、危ない……!」
 それは飛来する巨大な瓦礫を見た住人の声だった。ストラトマリスめがけて、大きな家の壁が飛んでくる。
「アクセス。ストラトマリス、撃て」
 しかし、その輸送艇はオリヴィアの電脳制御下にあった。本人が近くにさえいれば、遠隔操作も可能。
 船は備え付けられた大砲をひとりでに展開。飛んできた瓦礫に砲弾を射出し、バラバラに砕く。砕かれた瓦礫は嵐に飲まれ、どこかへと吹き飛んでいった。
「……これがあれば、嵐からの離脱も可能です。皆さま、引き続き落ち着いた避難をお願いします」

 しかし、そうした万能の船にも弱点はある。次なる死角は、船とほぼ水平の角度から飛来した瓦礫だ。
「! この軌道は……」
 砲門の可動域はそこまで広くはない。空中で移動中ならば船の向きを変えて対応するのだが、地上に停泊させている今はそれも困難だ。
 このままでは激突する。内部の住人が危ない――!
「吹き荒れよ」
 ――激突の瞬間、飛んできたその瓦礫は黒い欠片となって霧散した。
「これは……?」
「悪くない船だ。これならば周辺の住人は運べるだろう」
 そこに現れたのは術師のフォルク・リア(黄泉への導・f05375)。気付けば辺りの風は凪ぎ、瓦礫は次々に霧散していく。
「それにしても酷い。この有り様では、確かにまじないに思いを巡らす余裕はなさそうだ」
「……ええ。ひとまずは彼らを安全な場所に送るところからですね」
「承知した。この辺りはしばらくの間嵐は吹かない。逃げ遅れた人がいるなら俺が助けるから教えて欲しい」
 フォルクの魔術は重力と斥力を操る。さらに無機物は何であれ微粒子へと変換できる力だ。
 それを用いれば、周辺範囲ならば平和に保つことができる。彼が近くにさえいれば、そこの安全は保障されたようなものだ。
「ありがとうございます……! この辺りに住んでる人らは全員乗りました!」
「わかりました。では……ストラトマリス、発進します」
 こうして住人とフォルク、オリヴィアを乗せ、ストラトマリスは飛び立つ。宇宙を駆ける船は風程度で脅かされることはなく、ぐんぐんと嵐から遠ざかる。

「この島に嵐を起こしている奴がいる。俺はこの嵐を止める為に此処に来た」
 安全を確保された船内で、フォルクはそう切り出した。この島は、屍人帝国による襲撃を受けていると。
「そのために教えてほしい事がある。誰か『風除けのまじない』を知っている人はいないか」
「……何でも、このような大風が来た時に唱える呪文があるとか」
 オリヴィアがそう付け足すと、住人の多くはそれに心当たりがあったようだ。一人の男が手を挙げる。
「あります。『英雄よ、その盾で嵐より護りたまえ』……と唱えると。我々の間の、無事を祈る挨拶みたいなモンですが」
 呪文と、それにより発動する魔法。それこそフォルクが求めていたものだ。出てきた甲斐があった――と、彼は意識を現実に戻す。
「もし避難した先でも嵐に襲われたら、それを唱えるといい。君らを守ってくれるはずだ」
「……? は、はい!」
 単なるおまじないが力を持っているとは考え難いもの。
 あまり腑には落ちない様子であるが、自分たちを救った英雄の言葉。彼らはきっと唱えてくれるだろう。
「そろそろ着陸します。今は島からの離脱まではできかねますが……私たちを信じて、しばらくお待ちください」
「わ、わかった。よろしく頼む……!」
 住人たちからの感謝と激励を受けて、ストラトマリスは着陸する。
 住人の避難、呪文の確保。どちらもミッションは成功だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミリアリア・アーデルハイム
風除けのまじないとは興味深い
是非とも教えて頂かねばなりませんね。
でも、まずは人々を安全な場所へ避難させなければ。

【運命の刻は来たり】
生命の敵たる者により喚ばれし嵐は
静寂の護りの内に生命を害する事能わず、
ひととき風雨を止みて
静やかに威を潜めるであろう(結界、祈り、威厳、神罰、オーラ防御、全力魔法)

さて、どの位の間嵐を防げるものでしょうね、楽観は致しかねます。

慌ててはならぬ、されど急ぎなさい。
災厄がそなたらを避けて通りますように。

他にも何か手伝えそうならそうしましょう。

ところでどなたか「風除けのまじない」についてご存じではないですか?


オファニム・スローン
凄まじい風だな……これも帝国の仕業か
瓦礫に埋もれた人々の救助活動に参加する
大丈夫ですか? 今、助けます……!
フォースレイピアで残骸を斬り落とし
デストロイアームズで吹き飛ばして
自分にはブレイズヘルムで多少の環境態勢はある
強襲装甲の推進器も噴射して嵐に少しでも抵抗しよう

助けた人は可能な限り安全な場所へ連れて行き
いや……時間の問題だろう。仕方ない
皆さん、ちょっとだけ離れて下さい
ガレオンチェンジで飛空艇に変形し
まだ助けられてない人々の元へ
乗せられるだけの人々を乗せて脱出したら
救助者の無事を確認し、安全な場所へ移動しながら
風除けのまじないの呪文について聞いてみる

大丈夫ですよ……帝国は自分達が
必ず倒します



●奇跡は何処から
「凄まじい風だな……」
 それはまさしく、災害と呼ぶに相応しいものだった。圧倒的な風は建物を破壊し、人を吹き飛ばす。
 オファニム・スローン(堕ちた天使・f33924)がそれに抵抗して立っていられるのは、仲間の形見たる兜が持つ力。
 素顔を隠すその兜は、彼に幾ばくかの環境適応能力を与えていたのだ。
「う、うぅ……」
 ふと通りがかった瓦礫の山の前で、彼は男の呻き声を聞いた。この下に人がいるらしい。
「大丈夫ですか? 今、助けます……!」
 そう言って彼が持ち出した武器はフォースセイバーと強襲用アームドフォート。
 ブルーアルカディアのガレオノイドには似付かわしくない、スペースシップワールドめいた武装は、この世界の瓦礫を叩き斬るのは十分な火力だ。
 そうして露わになった男は、その足を怪我していた。恐らく折れているのだろう、足は鬱血し、まともに歩けそうにない。
「いや、悪いな……せっかく助けてもらったんだが、足が動かねぇ」
「肩を貸します。さぁ、捕まって」
「すまんな、坊主……」
 男はオファニムの手を借りてなんとか立ち上がると、よたよたと肩を借りて歩き出す。

 とはいえ、この状況は危険だ。今瓦礫が飛んでくれば、彼と自分を護ることはできない。
 その事実を思い知らせるかのように、二人のすぐ近くに瓦礫が飛来し、四散する。あと少しずれていれば直撃だった。
「ここまで運んでくれりゃ十分だ……! お前さんは早く避難しろ。なぁに、這ってでもアレからは遠ざかるさ」
「……それはできません」
 彼を見捨てることは到底できない。……ならば。と決意を固めた瞬間に、どこかから澄んだ声が聞こえてくる。
『生命の敵たる者により喚ばれし嵐は
 静寂の護りの内に生命を害する事能わず、
 ひととき風雨を止みて
 静やかに威を潜めるであろう』
 それは予言の力を持つ四行詩。杖の代わりに地を叩く箒の担い手はミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)。
 その予言の言葉に呼応するかの如く、彼らを脅かす暴風が徐々に弱まっていく。
「……さて、どの位の間嵐を防げるものでしょうね、楽観は致しかねます」
 それは運命を操る術。されど彼女は決して傲慢ではなかった。この術がいつまでも効力を発揮しないことはわかっている。

「この風なら……!」
 しかし、ミリアリアが与えたその猶予はオファニムに活路を見出させた。
 彼はガレオノイドとしての能力を発揮し、一時的にガレオン船へと変化する。かつて星を渡ったその船が、ブルーアルカディアへと再び降り立つ。
「乗ってください。周辺の人々と一緒に、ここを離脱します!」
 飛空艇となった彼はミリアリアと足の折れた男を乗せ、風よりも素早く飛んだ。
 周囲に残る避難民を可能なだけ搭載し、嵐を抜ける。同時に、嵐はその激しさを取り戻した。
「ふぅ。間一髪でしたね。ただの自然現象だったらああはならないんですけど」
 ミリアリアは窓から風を眺め、あの嵐を魔術的に分析しようとしていた。オブリビオンの持つ能力らしいが……。
「おっと、そんなことより! どなたか「風除けのまじない」についてご存じではないですか?」
 嵐も興味深いが、それを避ける術もまた興味深い。そんなミリアリアに住人は呪文を教える。
「『英雄よ、その盾で嵐より護りたまえ』……ですか。なるほどなるほど……」
 それを唱えると、確かに飛空艇が嵐による影響をほとんど受けなくなったのが分かった。
 しかし、これほど単純な呪文に強力な魔法を発現できるとは考え難い。
「……この魔法……呪文を媒介として、どこかから飛んできている……?」
 魔力を追えば、そのような分析ができた。この島にある何かが呪文を通じて魔法を発動させているのだ。この魔法が使えるのは、おそらくこの島限定なのだろう。

「しかし、まさか急にこんなことになるとはなぁ……」
「嵐だけじゃなく、屍人帝国まで来てるんだろう? この島は大丈夫だろうか……」
「……大丈夫ですよ」
 飛空艇へと変化したオファニムは、不安げに呟く住人たちに語り掛けた。
「帝国は自分達が必ず倒します」
 それは彼らを安心させるための言葉であり、彼自身の復讐の決意を込めた言葉でもあった。
 その言葉は彼らの内に響き渡る。避難民たちはその言葉に首肯し、猟兵たちの無事を祈った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
【竜鬼】

島の皆さんを救出しないといけませんが、この暴風が邪魔ですね。
ここはとりあえず吸い込んで解決しましょう。
と、UCを使用して、左手を『風と空中を飛ぶ瓦礫のみを吸い込むブラックホール』に変換。
これからは光も逃げられないので、風を吸い込むのは訳無いです。

念の為、ビームシールドを周囲に浮遊させて、瓦礫を盾受けできるようにします。

島民救出はひかるさんにお任せしましょう。
ゴーレムがたくさんいるから人手は足りているかな。
「風と飛んでくる瓦礫は何とかしますので避難して下さい。」と島民に声掛けします。

避難が一段落付いたら、『風除けのおまじない』について聞いてみます。
嵐に対応しつつ戦うのは大変でしょうから。


荒谷・ひかる
【竜鬼】

ゴンドラ帝国の野望、何としても防がないとですね!
……あれ、違いましたっけ?

風の対処はリューさんにお任せして、わたしは救助に回ります
【風と大地と草木の精霊兵団】発動し、109体の(・ワ・)←こんな顔のゴーレムを召喚
彼らは風の精霊さんの力であらゆる環境での飛翔が可能
またこの環境では風の力が非常に強いですから、その質量も相まって安定して動けるはずです
そして一体は指揮するわたしの足として、残り108体全員で以て救助に当たります
瓦礫は身体へ取り込んで退かし、助けた人は草木の蔓でしっかり保持して飛ばされないように
そのまま安全なところがあるならそこへ、無いなら纏まって身を護りましょう


ティオレンシア・シーディア
あーもーあたし対人戦が本分なんだけどなあ…!
自分一人ならともかく天変地異相手とか専門外もいいとこじゃないのよまったく…

とにかく、一時的にでも退避して状況を把握できるスペースを作らないとねぇ。
ゴールドシーンにお願いして●活殺で結界を展開。描くのはエオロー(結界)・ソーン(障害)に風天印と准邸観音印(浄化・守護)。風を阻害し人間を守護する結界で一時的なシェルター作りましょうか。あたし専門外だからそこまで長持ちはしないでしょうけれど…それでも、「ここへ行けばひとまず大丈夫」って領域があることは、十分助けになるはずよねぇ?



●思いを馳せる
 嵐吹く島。そこに降り立つ少年少女は、見た目こそ幼くとも、これらの事態に何度も当たってきた歴戦の猟兵だ。
「ゴンドラ帝国の野望、何としても防がないとですね!」
 なびく長髪を押さえながら、荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)はそう意気込んだ。
 傍に立つリューイン・ランサード(乗り越える若龍・f13950)は困ったように苦笑する。
「……あれ、違いましたっけ」
「確か、ドルム・ガンドラですよ……」
 そんなどこか和やかな二人の雰囲気を引き裂くかのように、突如として瓦礫が飛来する。
 しかし、その瓦礫は彼らに直撃することはない。飛来したときよりも、むしろ強い勢いでリューインの左手へと吸い寄せられ――そのまま、彼の手の中に消滅した。
「問題なさそうですね。瓦礫と風はブラックホールで吸い込めます」
「わかりました! それじゃ、救助者への対処はわたしが!」
 身の安全は確保できた。ならば、とひかるは風と大地、そして草木の妖精の力を用いてゴーレムを作り出す。
 大地が隆起し、そこに草木が絡みつく。それは徐々に肉体を形成し、やがて顔を含めた全身が出来上がった。

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`/ イ~   (((ヽ
(  ノ      ̄Y\
| (\  _  | )
ヽ ヽ`(・ワ・)/ノ/
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  \トー仝ーイ
   | ミ土彡/
   )   |
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 そう。それはちょうどこんな姿をしていた。
 ……気を取り直して、彼らは風の精霊の力を借りて、風に乗って飛翔する。
 莫大な風が付近にあるこの環境下ならば、彼らは悠々と移動することができる。合計108体のマッチョゴーレムはそれぞれ自律移動し、飛行して負傷者たちの捜索に当たった。
 それらを操る司令塔はひかるだ。残り一体のゴーレムに乗って、彼女もまたリューインと共に辺りの捜索を行う。
 彼による暴風と瓦礫の吸い込み。そして念には念を入れての浮遊ビームシールドは、二人の安全をこれ以上なく保障していた。

 瓦礫を取り込みながら徐々にパンプアップしていくゴーレムたちは、見た目に反する優し気な動きで住人たちを救出し、そのまま抱える。
「風と、飛んでくる瓦礫は僕たちが何とかしますので。避難して下さい!」
 リューインがそう呼びかけると、歩けるものはゴーレムについていき、歩けないものはゴーレムに持ち上げられて避難を行う。
 しかし一方で、嵐は徐々にその範囲を拡大していた。リューインも風を吸い込み続けてはいるが、その嵐が消える様子はない。
「自然現象ならばある程度は消せてしまうはずですが……やはり、ユーベルコードだからでしょうか」
「うーん……困りましたね。ゴーレムさんたちは飛べますけど、怪我人の方を一緒に飛ばせると危なそうだし……」
「お困りの様子かしらぁ」
 二人が避難先に迷っていると、そこに現れたのはティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)だ。
「こんなこともあろうかとぉ――いやホントは専門外過ぎて困ってたんだけどぉ――役立つものを用意できたのよぉ」
 それは彼女が展開した結界であった。鉱物生命体ゴールドシーンの描くルーン文字は、その大地に風を妨げる一時的なシェルターを作り出していたのだ。
 本来対人戦を得意とする自分が、こんな便利な技を使えるようになるとは――と、彼女は感慨深く結界を眺める。

「この結界には風を防ぐ効果と共に、人間を保護し治癒する力もあるのよぉ。そのゴーレムで運べない怪我人は……」
「シェルターに一時保護しておけば、回復できますね!」
「そういう事ぉ」
 ひかるは現れた活路に微笑み、ゴーレムの持つ怪我人を結界内に安置した。徐々にだが、その傷が癒えていく。
「前線に『ここへ行けばひとまず大丈夫』って領域があれば、とっても安心できるでしょう? 落ち着いて、傷を癒してねぇ」
「あぁ、ありがとうございます……もうダメかと思いました……!」
 保護された住人たちは、それぞれが安堵の表情を浮かべていた。……今ならば、目的の情報を聞き出せそうだ。
「ところで……この島に伝わる、『風除けのおまじない』について知っている方はいますか?」
 リューインがそう尋ねると、一人の老婆が少し驚いたような顔をした。
「どこでそれを? そのおまじないはね、私のお爺さんの生きていた頃から受け継がれた呪文なのよ」
 『英雄よ、その盾で嵐より護りたまえ』。それが呪文であり、風除けの魔法を起動させる言葉だった。
「お婆さんのお爺さん? すっごく古いのねぇ、そのおまじない」
「ええ。何でも……どこかの国のすっごく強い英雄さんの逸話が元なんですって。
 その英雄さんは自分の国に迫る嵐を、その盾一つで追い返したんだとか……」
 盾。英雄。どこかの国……。ティオレンシアはそれらの言葉を頭の中で巡らせた。その逸話は、或いは……この島を襲撃するドルム・ガンドラ帝国と関係があるのだろうか?
 詳細はわからないが、歴史が好きな猟兵に共有しておけば何かの足しにはなるかもしれない。彼女は老婆の言葉を記憶しておくことにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・焔
《狐御縁》

■心情
ドルム・ガンドラ帝国か、焔も前にも関わったけど
今回も大変そうな事態になってきたね。
ともあれ、まずは人々の救出が優先だね。

■行動
フォックス・アシスト(UC)を使って、ぬいぐるみと協力して
人々を救出するよ。
【地形耐性】で足場の悪さもカバーしつつ、ぬいぐるみに瓦礫を退けて貰うね。

シホ姉と一緒に【天候操作】で嵐も少しは抑えるよう、努力してみるよ。
「シホ姉、一緒にこの嵐を静めようね!」
燦姉と爛とも一緒に神楽舞を舞って、祈りを捧げるよ。
「三人で舞ったら、楽しいね」

「ルルさんの海賊団も壮大だなぁ」

助けた人々が怪我をしていたら【医術】で応急手当をして
『風除けのまじない』についても教えて貰おう。


狐裘・爛
《狐御縁》

避難はシホに焔がいれば安心ね! こういう時に頼りになるの、憧れるなあ

じゃあ私も始めようっと。パニックに陥るのが一番大変なの。でも落ち着いてって言ってもまず聞いてもらえないよね。
はい刮目! 炎の舞を見なさい! 天に召します神さまに、パニック中の皆さん。特に燦。特に燦! えへ♪
天候操作の奉納舞アーンド《炎戯・魂魄幽囚》! この「無温の炎」を受けた人は、ゆーこと聞くのよ。天気も、人の心も意のまま気の向くままってね!
ついでに風除けの御呪いのことも教えてちょうだい! ホントは感想が欲しいけど。ね、綺麗でしょ?

余裕があれば瓦礫の片付けのお手伝いもするわね


ルルチェリア・グレイブキーパー
≪狐御縁≫

嵐の中、島民たちを救出よ!

UC【お子様幽霊たちの海賊団】で空飛ぶ海賊船を召喚
シホのUCの結界内に召喚すれば嵐も安心ね
有難う、お陰で安全に召喚出来たわ

島民たちを海賊船に乗せて避難させるわ
フフン、焔さんの言う通り私の船は壮大で頑丈でカッコいいのよ!
だから安心して避難すると良いわ

海賊船の上から双眼鏡で島を見渡して
分かったわ燦さん、逃げ遅れた人たちを見つけたら皆に知らせるわ
あっちに人が居るのよ!助けましょう!

燦さん達の神楽舞はいつ見ても綺麗なのよ
特に爛さんの舞が情熱的だわ

島民たちから『風除けのまじない』について聞くのよ
言い伝えや噂でも良いわ、この島を守る手掛かりになるかもしれないのよ


四王天・燦
《狐御縁》

風の短剣・アークウィンドが震えている
そりゃ嫌だよな
こんな酷い風が吹き荒れちゃ

シホの翼域がより早く、強固に構築されるよう、天候操作の祈りを込めた神楽舞で嵐を抑え込むぜ

爛、綺麗で美しい神楽舞だ
お天道様も惚れて願いを聞き届けてくれるさ

ルル、甲板から救助が必要な人の場所を探してよ
翼域が完成されりゃあ救助に向かうぜ

負傷者をフォックスファイア・拾式の炎で癒して回収する
時に瓦礫から脱出できねえ人には炎の力で肉体改造を施す
爺さんがムキムキになれば仰天だ

救助次第シホから預かった聖鞄に避難してもらうぜ
この鞄、良いなー
今度、原理聞いてみよっと

風除けねぇ…
使い方によってはアークウィンドの真威に至れるかな―


シホ・エーデルワイス
《狐御縁》

焔に首肯しつつ

島ごと堕とすだなんて…
誰も失わせません!


ありがとう
爛さんの綺麗な炎戯も頼りにしていますよ


燦に『聖鞄』を預ける

歩ける人は船へ
動けない人は聖鞄へ
別れて避難すれば混雑を緩和し効率良く収容できるでしょう


極力島の外周に転送してもらい
【守霊】を呼んでから
私が島の中央に背を向けて【翌域】

天候操作の祈りと燦達の神楽舞も合わさり
結界外の嵐も和らげて救助活動の時間稼ぎ

ええ焔
皆で力を合わせれば
きっと鎮まります

ルルは船を召喚できたかしら


後をお願いします


守霊には手分けして第六感と聞き耳に瞬間移動で逃げ遅れた人を捜索し
怪我人は治癒魔法で癒して避難誘導してもらう


救助完了後
皆と合流し御呪いを情報共有



●嵐の中に
 四王天・燦(月夜の翼・f04448)は手にした短剣を見た。風の力を宿す短剣、アークウィンドの刀身が小刻みに震えている。
「……そりゃ嫌だよな。こんな酷い風が吹き荒れちゃ」
 サルヴィオレ島に吹き荒れ、人々の命を奪わんとする嵐。その正体はオブリビオンが巻き起こしたユーベルコードだ。
 妖精の祝福を受けた刃にとって、それはあまりに暴力的で、あまりに破滅的だった。
「ともあれ、まずは人々の救出が優先だね」
 燦の妹、四王天・焔(妖の薔薇・f04438)は思考を整理するようにそう口にした。
 刻一刻と変化していく戦場においては、まず目標を定め、そこに向かって直進することが重要だ。シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)もそれに首肯する。
「島ごと堕とすなんて……させません。誰も失わせません!」
 ここまでの猟兵たちの活躍により、嵐から離れていた民の避難は完了し、嵐に近い住人たちの保護も完了した。
 残るは、嵐にのみ込まれた地域の人々だ。被害は最も甚大で、死を待つのみの人もその中にいるだろう。
 そこに突入し住人たちを助けるには、息の合ったコンビネーションと力が必要だ。各々が視線を見合わす。

「シホ姉、一緒にこの嵐を静めようね!」
「……ええ、焔。皆で力を合わせればきっと鎮まります」
「避難はシホに焔がいれば安心よね! 私たちは嵐を鎮めるのを頑張るわ!」
 狐裘・爛(榾火・f33271)は身の回りを飛ぶ炎と共に嵐を見た。言い換えれば、アレがそのまま猛威を振るい続ければ、シホや焔が如何に強くとも避難は難しい。
 しかしそれでも。燦と焔と一緒になら、鎮められるかもしれない。
「では……そろそろ始めましょう。出でよ、エーデルワイスの守護騎士……!」
 シホは己の分身として、人命救助用の騎士を召喚する。そして、嵐に背を向け跪いた。
「守護翼、展開……!」
 その背中から投影されるのは、島を覆わんがばかりの巨大な光の翼だ。その背に匿う者を護る果てなき翼域。
 その結界内にある者の命を護る領域。それは嵐に脅かされる者、そして立ち向かう者を強くする。
「これでいくらか嵐がマシになったのだわ。さぁ、皆乗って! 現場までひとっ飛びよ!」
 和らいだ嵐の中で、ルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)が幽霊船を召喚する。実体を伴うそれは燦、爛、焔を乗せて嵐に向かい飛び立った。

「ルルさんの海賊団も壮大だなぁ。嵐に立ち向かうなんて、大航海って感じがするね!」
「フフン、焔さんの言う通り私の船は壮大で頑丈でカッコいいのよ!」
 そこまでは言ってないけど……という言葉を苦笑と共に呑み込み、焔は嵐が近付いてきたことを確認する。
「そろそろだ! ルル、甲板から救助が必要な人の場所を探してよ!」
「分かったわ燦さん! 逃げ遅れた人たちを見つけたら皆に知らせるのよ!」
 ルルチェリアは双眼鏡を取り出し、瓦礫まみれの嵐付近を確認する。その傍ら、燦、爛、焔の三名は船を飛び降りる。
 翼域でいくらか力を押さえていても、嵐は未だ吹き荒ぶ。周囲には人々の救助に当たるシホの騎士の姿があったが、どれも強風に煽られ難航しているようだ。
 彼女らは嵐に相対し、各々が神楽鈴を構えた。古くより伝わり、神に奉納する踊り。それが神楽だ。
 人々は止まない嵐を神の御業と考え、神楽を捧げた。連綿と連なるそれはやがて魔力を帯び、力を持つ。
「刮目! 私の炎の舞を見なさい!」
 爛は狐火を巻き上げながら、激しい舞を踊る。それを補佐するように、燦と焔が静やかな踊りを添える。
「天に召します神さまに、パニック中の皆さん。特に燦。特に燦!」
「ちゃんと見てるって。綺麗で美しい神楽舞だ……お天道様も惚れて願いを聞き届けてくれるさ」
「えへ♪」
「三人で舞ったら楽しいね!」
 その舞を、果たして神は見届けたのか。――やがて舞を続ける三人に、何かの意識が流れ込む。

 ――舞――神へと捧げられる、舞――
 ――我はかつて――これと同じものを見た――嵐の神と――呼ばれ――
 ――我は人を――守る為に――否――!? 我が意志は――破壊を――
 ――英雄よ――今一度、お前と――空を――
 ――お前に、逢いたい――

「……っ!?」
 流れ込む強烈なイメージを前に、爛は弾かれるように膝を突いた。
 程度の差はあれど、三人はそれぞれ誰かの意識を垣間見ていた。その正体を考える間もなく――嵐が弱まっていく。
「やったのだわー! 燦さん達の神楽舞はいつ見ても綺麗なのよー! 爛さんの舞も情熱的だわー!」
 それを見ていたルルチェリアの空からの声で、三人は今置かれた状況をようやく理解した。
「とにかくだ。嵐が弱まった! 今一気に救助するぞ!」
「うん! さぁ狐さん、出番だよ!」
「そ……そうね!」
 焔は狐のぬいぐるみを放ち、燦と爛はそれぞれの力を籠めた炎を放つ。
 それらはシホの騎士と共に協力し、ルルチェリアの空中からの補佐を受けつつ、住人たちの救助を進める。
 恐怖に怯え泣く子供の前に現れた焔の狐のぬいぐるみは、子供に笑顔を与え、不安を拭い去る。
 パニックになった集団の胸に溶け込む爛の炎は、彼らの心を鎮め、助け合う心と秩序を取り戻させる。
 動かすことすら難しい重傷者は、シホの不思議な鞄、聖鞄の中に一時避難する。
 燦の炎を浴びた老人は突如1mばかり体格を増やし、剛腕で瓦礫を粉砕しつつ救助に回る……。
「……なんだあの……何? あの爺さん。ルル、わかる?」
「わからないのよ……あっ、建物の土台を引っぺがしたわ! 下の人を救助に……!」
 老人の高笑いが響く中、着々と救助活動は進んでいった。

「……よし! 周辺にこれ以上人はいないのだわ。船に乗って! 避難するわよ!」
 動ける人を幽霊船に積み込むと、ルルチェリアは発進した。船内では十人ほどの怪我人が収まった聖鞄を手に、燦が首を捻る。
「すごい便利だよなー……今度原理を聞いてみよ」
 不思議なのは鞄だけではない。……神楽舞の際に流れ込んできたあのイメージだ。
 おそらく嵐を巻き起こしているオブリビオン自身の記憶。その言葉に混じって伝わってくる深い悲しみ。
 焔と爛も同じものを見た。敵の能力や目的に何か繋がるだろうか……。
「ところでみんな。風除けのおまじないがこの島にあるって聞いたんだけど……知らない?」
 ねん挫した住人の足に包帯を巻きつつ、焔が船内の住人に聞いた。
「あぁ、あるよ。遠くの島に飛ぶときとか、しばらく島に帰らないときとか……『英雄よ、その盾で護りたまえ』って」
「それがおまじないなのね! わかったわ!」
 求めていた呪文は手に入った。これがあれば、嵐の中でもオブリビオンと対等に戦うことができる。
「風除けねぇ。……使い方によっては、アークウィンドの真威に至れるかな……」
 燦は震えの止まった短剣を見ながらそう呟いた。やがて地上が見えてくる。四人を迎え、手を振るシホに燦は小さく手を振り返した。

 一人の死者を出すこともなく、戦うための力を手に入れた。此度の五人の任務は、見事に達成されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『天馬騎士団』

POW   :    ランスチャージ
【ランスを構え直し、騎乗突撃形態を取る事】によりレベル×100km/hで飛翔し、【飛翔距離】×【スピード】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    スカイポジション
敵より【制空権を制覇した】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    怒れる空神の加護
自身の【盾】から【荒れ狂う突風】を放出し、戦場内全ての【射撃武器】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。

イラスト:森乃ゴリラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●侵入せよ!
 『英雄よ、その盾で護りたまえ』。
 それがこの島における風除けの呪文であった。どこかからの魔力の供給を経て、猟兵たちの身体を魔法の守りが包む。
 それと同時に、猟兵たちは風がぴたりと止んだかのように感じた。実際には未だ激しい嵐が吹いているが、その身には何の影響も齎さないのだ。
 今ならば、嵐の中心部に突入できる。
 そう歩を進める猟兵たちの前に、新たな刺客が飛来した。
「何者だ!」
「いいや、何者であろうと邪魔はさせん」
「我らドルム・ガンドラの悲願がため、この島は堕とす!」
「邪魔者は……生かしておけぬ!」

 声は複数だった。空駆ける白馬、天馬に跨った女性騎士たちが嵐の中から現れたのだ。
 この嵐を止め、墜落の危機から浮島を守るには、彼女らを破り首謀者のオブリビオンを倒さなければならない。
 嵐を物ともしない天馬のアドバンテージは、風除けの護りを得た猟兵たちにはあってないようなものだ。竜巻の中に侵入し、彼女らを撃滅せよ!

※プレイングの受付は、【8/26(木)8:31~8/29(日)20:00】とさせて頂きます。
 〆切時点で章の達成数に届いていなかった場合、改めて期間を延長いたします。
シキ・ジルモント
宇宙バイクに乗って交戦する
併せて、あらかじめユーベルコードを発動
今度は重力下での飛翔と攻撃に特化した状態へとモードを変更しておく
そのまま飛翔、風除けの加護を頼りに嵐へ突入、速度を一気に上げて敵へ急接近する

相手の攻撃手段がランスチャージなら、威力を出す為にはある程度の距離が必要だ
飛翔距離を稼げないように、こちらから接近して効果的な突撃攻撃を妨害したい

同時にバイクに装備したフォースセイバーを起動
バイクの速度と重量を合わせた突進攻撃を試みる
宙での戦闘ならこちらとしても望むところだ

素直に言うとは思わないが一応聞こう、何が目的で島を襲った
ドルム・ガンドラの者がかつてこの島を訪れた事と何か関係があるのか?


御園・桜花
「馬が1t、騎士が装具込みで100kg超、此方は積載物含め8t超。面で当たる分には勝っても、槍という点に対しては分が悪いでしょうね…」

UC「出前一丁・弐」
敵の槍と正対するのではなく、面として馬と騎士を轢き潰せるよう、天馬の下方から最高速度で一気に上昇して天馬ごと騎士を跳ね飛ばす一撃離脱戦法を取る

「発見されなければダイブアンドズームの方がダメージを出せますけれど。槍と正対しないよう、死角からの攻撃を選択するので戦法が限られてしまって…」

周囲に他の猟兵がいた場合、運転しながら高速・多重詠唱で属性攻撃の弾幕張り、仲間の攻撃補助も行う

「次は共存出来る願いで有りますよう」
戦闘後騎士達の転生願い鎮魂歌歌う


ランケア・アマカ
風除けの加護、素晴らしい効果ですね
こちらの魔力には全く干渉してこないし、便利で不思議な力です
これなら存分に戦えます

MF-L1に乗り、敵に航空戦を仕掛けます
天馬の機動性を充分に把握するまでは牽制目的の射撃を行いつつ、敵の反応に合わせて立ち回ります
暫くは速度や機動の限界稼働を避けて、相手がこちらの能力を低く見誤るようにしたいですね
敵の性能がある程度分かったら全力戦闘に移行、【疾風塵】で一騎残さず撃墜します
騎馬の戦法にも色々あるようですが、こちらも柔軟な機動で翻弄してみせましょう

制空権を譲るつもりはありません
ドルム・ガンドラ、屍人帝国は例外なく排除します



●ドッグファイト
「なるほど……風除けの加護、素晴らしい効果ですね」
 ランケアの全身を覆う加護は、彼女に与えられる嵐による影響の悉くを防いでいた。
 風の魔法を扱う者として、その力の強さははっきりとわかる。彼女自身の使う魔法には何ら干渉せず、その上で全身へと影響力を広げている。風の影響をカットするその性質は、どこか彼女の被る帽子PC-SEにも似ていた。
 その力は彼女自身だけでなく、彼女が騎乗するセイルフローターにも問題なく発揮された。これなら、空対空で戦える。
「では……行くとしようか」
 シキもまた、宇宙バイクによる空中戦に臨む猟兵の一人だ。
 敵と同じ領域で戦うことに一抹の懸念はあるものの、相手は飛行している。こちらも同じく空に向かわなければ話は始まらない。
 二台の騎乗物が唸りを上げ、空へと走る。やがて竜巻の中、天馬騎士団らが現れた。

 猟兵は数多くいれど、その全員が飛行能力を持つわけではない。
 戦争の歴史において、「空からの攻撃」に勝る力はなかなか存在しない。敵に制空権を渡すことは、すなわち苦戦を強いられることを意味する。
「空は譲りません……!」
 それを理解しているランケアは、セイルフローターを巧みに操りつつ天馬へと風の弾丸を撃つ。
 敵も歴戦の者達と見える。弾丸は或いは躱され、或いは盾に弾かれ、天馬への命中はない。
(なるほど。これが天馬の運動性能……)
 だが、それでいい。元よりそんな簡単に決着がつくとは思っていない。
 ランケアが見ていたのは、弾丸に対しての敵の対処方法だ。盾や槍での防御は想定内だが、彼女の想定を超えたのは天馬の動きだ。
 馬でありながら翼を持つ天馬は、本来の馬と違い直進のみをするわけではない。
 馬特有の水平方向への機動性と、翼による垂直方向への機動性。それらを併せ持つのがこの天馬という生物なのだ。

(――そして)
「貫くッ!」
 その天馬の性質を最も活かした攻撃方法が、敵の操る「ランスチャージ」。
 言ってしまえば槍を構えて高速で突撃するだけなのだが、それだけにやりづらい。直撃すれば大抵のものは貫かれるだろうし、発動してしまえば止めようもない。
「……だが、空中での戦闘ならこちらも慣れている」
 偶然にも、シキはそれと同じような攻撃手段を自らの宇宙バイクに搭載していた。
 装着したフォースセイバーがバイクを覆い、バイク全体を一つの刃とする。そして、可能な限りの高速で衝突する――敵と同じだ。
 一つ違うのは、相手があくまで金属の槍なのに対し、彼の武器がフォースセイバーという遥か先の文明の利器であるということ。
 高熱と高密度を誇るその武器が真価を発揮するために必要な助走距離は、槍のそれより遥かに短い。
「ぐ、貴様……ッ!」
 シキは突進しようと距離を取る騎士に接近した。彼我の距離は開かず、騎士は突撃を行えない。
「素直に言うとは思わないが一応聞こう……何が目的で島を襲った」
「……!」
「ドルム・ガンドラの者がかつてこの島を訪れた事と何か関係があるのか?」
 騎士はそれを聞くと、槍を構え、歯を食い縛る。

「我々は! 遥か昔の預け物を、取り戻しに来――ガァッ!?」
 ――天馬騎士の言葉は最後まで紡がれることなく。その身体は、下から突撃してきた車に跳ね飛ばされた。
「隙だらけです。戦場での油断は死に結びつきますよ」
 そのケータリングカーを駆るのは御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)。
 その乗騎は一見何かの冗談かのように見えるものの、積載量を含めて総重量は8トン超。天馬騎士に対して、質量で圧倒的に勝る。
 それゆえに、槍を構えた騎士との正面衝突では分が悪くとも、上や下からの奇襲ならば、一撃で葬れるだけの威力があった。
 槍を構えられない死角からの攻撃。それが為せるのは他の猟兵との協力あってのもの。単独であればなかなか難しかっただろう。
「……何か言っていたようだが……まぁ、いい」
「次は共存できる願いで有りますよう……さて、次に参りましょう」
 桜花は鎮魂の歌を捧げつつ、エンジンをかける。上へと離脱し、再びその突撃の瞬間を待った。

 桜花による突撃戦法で、敵の足並みはすっかり乱れていた。それらを観察していたランケアは、天馬の運動の限界をおおよそ測り終えた。
「十分ですね。……全力戦闘に移行します」
 手にしたリボルバーを撫でれば、その表面を刻印が走り抜ける。
 再び撃ち出された弾丸は、先ほどまでとは威力も射程も遥かに増していた。油断している天馬騎士が撃ち抜かれ、落ちていく。
「ぬ、貴様――!」
「油断大敵ですよ~!」
 仲間をやられ、一瞬意識が逸れたその瞬間。再び天より、隕石の如く桜花のケータリングカーが降り注ぎ、騎士に吶喊した。
 巨大質量による突撃は騎士の身体を天馬ごと砕き、地面へと叩き付ける。
「……チィッ! 空中戦力を増員しろ!」
 止む無く、騎士団は空中戦の人員を増やす決断を余儀なくされた。これにより、制空権は多くとも五分。
 地上の猟兵が不利となることはない……三名の戦いは、その戦果以上の効果を挙げていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ストラスマリス
『他猟兵との連携歓迎』

「強力な魔力を盾に戦った英雄の加護、なのでしょうか。それともその英雄にそういった盾にまつわる伝承が……?」

その辺の考察はまた後ほど。

風除けの護りがあるとはいえ、
この空中で射撃武器を封じられるの看過できない懸念事項ですから。

「ならば、より先に根本を封じます」

【戦闘知識】【集団戦術】で相手集団の動きの
分析、看破を試みます。
相手も相手で、一番良い所で風を使おうとするでしょう。
なら、そのタイミングを逆手に取る……!
コミュニケーターで周囲の猟兵の方々へ自分のUC発動タイミングを伝達。

盾を構えようとした瞬間にUC発動。
風よりも疾い「情報」を打ち込んで、騎士達の動きを静止させます。


フォルク・リア
「そのドルム・ガンドラの望みが何であれ、
この島を犠牲にするのと言うであれば此処で止める。
何としても。」

風除けの呪文を唱えながら
アンノウンブレスを発動して幽霊を召喚。
幽霊に念動力を使わせて石など周囲の物品を撃ち出し、
自身は呪装銃「カオスエンペラー」を使用して射撃攻撃。
敢えて敵の加護を発動させる。
幽霊の手数で絶え間なく攻撃を続けて
反撃する余裕を与えないと共に
敵に加護を途切れさせる隙を与えず
どの敵がどの程度の時間加護を使用したか把握して
使用時間が長い敵に攻撃を集中させて
レベル秒以上の使用での死亡を狙い。
一体づつ仕留める。
「蜂の巣になるか。神の加護に食い殺されるか選べ。
俺はどちらでも構わないけどな。」


ミリアリア・アーデルハイム
憧れのペガサス騎士とこの様な形で相対する事になるとは、残念ですね。
スケルトンマントで透明化
屏氷万里鏡で防御を行いつつ箒で高速飛行し、敵集団の側面に回り込み
(先制、不意打ち)

幸いにも先の嵐でこの辺りは瓦礫だらけです
材料に不足無しですね。
【錆竜召還】
その面倒な盾と槍、そしてペガサスを乗りこなす腕前を錆びつかさせていただきましょうか。
あなた方が飛んでいて下さって幸いです、無用の破壊を行わなくて済みますから。

装備の機能がある程度使用できなくなったと見れば解除

後方に回り魔法弾で攻撃しては逃げて敵の集中力を削ぎます
いよいよ危なそうとなれば、物陰で再透明化して後方に退き、
後は皆様にお任せ致しますね。



●堕ちる者たち
 猟兵たちに一様に与えられた加護。ベレーから展開した電脳世界を介せば、オリヴィアはその存在を視認することができた。
 各々の全身を覆うオーラは敵から受ける風の効果を無効化しつつ、各々の魔法の行使を阻害しない。
 それらの加護のエネルギーリソースは、この島のどこかから供給されているようだった。
「強力な魔力を盾に戦った英雄の加護、なのでしょうか。それともその英雄にそういった盾にまつわる伝承が……?」
 そもそも、呪文にある英雄と言うのがどこの誰なのかも判然としない。判断材料が少ない今、考察は後回しか。
「そのドルム・ガンドラの望みが何であれ、この島を犠牲にするのと言うであれば此処で止める。……何としても」
 フォルクは死霊を弾丸として撃ち出す呪装銃、「カオスエンペラー」を構え、空の天馬騎士へと向けた。
 引き金を引けば、どこか苦しみを抱える人間の顔のようなものが射出される。天へと向かい、騎士に迫る。
「無駄だッ!」
 騎士は盾を構える。その盾は何らかの力によって発光すると、そこから激しい風を吐き出した。弾丸はその風に巻き込まれ、吹き飛ばされる。

「空神グラグル様の加護がある限り……我らは空において無敵!」
「ふん……それはどうかな」
 様々な世界で様々な魔法を見てきた。だが、その中に果たして本当に無敵と呼べるようなものはあっただろうか?
 いいや、ない。フォルクはそれを知り、かつ見抜いていた。盾の能力の行使は、術者の生命力を削り行われているものだと。
 その弱点を突くこともできる。そして――他の猟兵の力を使えば、他の弱点を突くこともできるはずだ。
「汝、万象を再生へと導く者よ、我が招び声に応えよ!」
 散らばる瓦礫が寄り集まり、固まっていく。それはやがて塊となり、形を変え、瓦礫でできたドラゴンを作り出した。
「何……!?」
 突如自分たちの付近に出現した巨大なドラゴンに、天馬騎士たちは驚きを隠せない。
 それもそのはずだ。術者であるミリアリアは、スケルトンマントを用いて隠れつつ、彼女らのすぐ近くまで接近していたのだから。
「……憧れのペガサス騎士とこの様な形で相対する事になるとは、残念ですね」
 憧れた外の世界の空。その中を優美に駆けるペガサスの騎士。
 願わくば、敵としてでなく出会いたかったが……こうして出会った以上は割り切るほかなかった。

「行きなさい、錆竜……!」
 そのドラゴンが口を開くと、そこから透明のブレスが吐き出される。しかしそれは、天馬騎士らを傷つけることはなく、ただ通り過ぎていく。
「ふん、こけおどしか……」
 そう断じた天馬騎士だったが、次の瞬間には、己の身に起きた出来事をにわかに把握し始めていた。
 槍を構える手が重い。盾を持つ構えが鈍い。それはまるで、長い間実戦から遠ざかっていたかのような感覚。腕が、「錆びついて」いた。
 錆竜は森羅万象を錆びさせる特異なブレスを扱う。それは現実の金属だけでなく、腕という概念的なものすら錆びさせたのだ。
「ば、馬鹿な……ッ」
 そんな実力を錆びつかせた騎士が、オリヴィアによるUCの発動に気付かないのは当然の道理だった。
「敵戦力の観測、そしてユーベルコードによる弱体化を計算……分析は終わりました。介入します……!」
 放たれたのはハッキング・セル。電子存在への攻撃を拡張し、敵の存在そのものへ向けたクラッキングだ。
 それを受けて、騎士はその動きを止めた。そのまま動けずに、飛んできた瓦礫に撃ち落とされる。
「想定よりも不格好な形になったが……まぁいい」
 フォルクは使役する死霊を召喚し、彼らの持つ念動力によって瓦礫を射出した。彼自身の呪装銃と合わせて弾幕を貼る。
「神の加護とやらを誇っておいて、揃いもそろって射撃武器にやられるのもおかしな話だな」
 ある騎士は錆びついた天馬の扱いでその弾幕を避けきれずに堕ちた。
 ある騎士はクラッキングによる静止の隙を突かれ、弾丸に呪われ堕ちた。
「蜂の巣になるか。神の加護に食い殺されるか選べ。俺はどちらでも構わないけどな」
「ぐ、お、おのれェ……!」
 そしてまたある騎士は、迫り来る嵐を前に盾の加護を解除することができず……その命を神に食われ、堕ちていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
さぁて、鬱陶しい風を気にしなくてもよくなったとこで、いよいよ本番ねぇ。
この守護もいつまで保つかわからないし、できるだけ速攻でカタをつけたいところだけど。

騎兵最大の長所は質量と速度による突破力。…なら、その起点である機動力を殺しましょうか。
ミッドナイトレースに○騎乗してテイクオフ、●黙殺・妨害を起動。描くのはソーン(障害)・オセル(不動産)に帝釈天印(雷)、展開するのは撃ち落とすためのものではなく機動を限定し事故らせるための遅い弾幕。足の死んだ奴から●射殺で撃ち貫いちゃいましょ。
掠っただけでも○マヒ攻撃になる障害物が大量にバラ撒かれた状態で、UFOの機動についてこられるかしらぁ?



●空の死神
 高機動力の敵と、空中で戦うためにはどうすればいいか。
 その答えは多々あるが、ティオレンシアは略取した未来の武器、UFOに騎乗して空へと飛び出した。
 天馬騎士と同じ高度まで到達し――再び、空中での戦闘が展開される。

 ティオレンシアは、敵の動きを停滞させるルーン文字による弾幕射撃を行う。
 弾丸の一つ一つは取るに足らない速度だ。彼女のUFOでも、敵の天馬によるものでも、容易に躱せるだろう。
 だが、その数は尋常なものではない。その上、それに宿る魔力は掠っただけで動きを止められる代物だ。
「く……!」
 ティオレンシアは、細めた眼の奥で騎士を見ていた。必死に天馬の手綱を操り、制御しようとするさまを。
(避けられると分かっていても嫌よねぇ。弾幕はただそこにあるだけでも精神に効力を発揮する)
 その上、敵が騎乗するのはティオレンシアの乗るUFOのように自在に制御できる代物ではない。どれだけ操馬技術を鍛えたところで、挙動の機敏さには限界が存在する。
 それ故に、弾幕を貼りつつ縦横無尽に飛び回る彼女を誰も捕らえることはできない。そのうちに、一体の天馬が呪文に命中する。
「そこねぇ」
 命中による停滞。停滞による隙。隙による命取り。
「がっ……!」
 それを見逃すことなく、ティオレンシアは騎士の頭を打ち抜いた。撃ち出された弾丸は兜を貫き、一撃のもとに騎士を射殺する。

「この便利な風の加護も、一体いつまで続くかわからないのよねぇ。なんでも、どこかから供給されてる力だって話だし……」
 他の猟兵の調べによれば、この魔法は島のどこかにあるアーティファクトめいた何かから発されている力らしい。
 となれば、もしそれが外部へと持ち出されれば……再び厄介な嵐に吹き飛ばされてもおかしくはない。
「消えないうちに、どんどん殺しちゃいましょう?」
 ティオレンシアは銃を構え、騎士たちに向けた。次に誰を殺そうか選ぶ、死神のように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オファニム・スローン
凄いな。これが加護の力って奴か
念動力ともまた違う……これならば

人型に戻り飛び交う天馬騎士に狙いを定める
威嚇射撃で相対速度差、軌道を算出し
敵の攻撃パターンを見切る
最大戦速で推力移動し、対空戦闘開始だ!

全周を砲撃し敵を寄せ付けず
あえて射線に死角を設けて敵を誘う
確かに立派な速さだ……それでも
光の速さには程遠い! 全スラスター点火!

突撃形態ならば動きも単調な筈
相手より高度を取って重力加速度を利用させてもらうぞ
落下耐性もある……動きはぶれない
軌道計算完了、スロットルマキシマム! 
砲火を振り撒きこちらも突撃
交差の瞬間に鎧無視攻撃――レイピアの一撃で貫く!

オレが何者かだって?
オレは……お前達の、帝国の敵だ!



●刃、貫いて
 ガレオン形態から人間の姿へと戻ったオファニムは、デストロイアームとフォースセイバーを構える。
「凄いな。これが加護の力って奴か……」
 元が超技術とサイキックの世界に生きていた彼にとって、魔法というモノにはあまり馴染みはない。
 だが、念動力ともまた違う力が自らの周囲を覆い、風の影響を絶えず跳ね除け続けているのは理解できた。
 これならば戦える。風の影響なく、十全な空中での戦闘ができる。
「行くぞ、帝国……!」
 彼は外套型兵装からスタスタ―を展開し、それらに点火する。一瞬の間をおいて、彼は一息に戦闘空域へ。
「生身で空を駆けるか……何者だ?」
 彼はその騎士の言葉に応じることなく、デストロイアームに付随するガトリングガンを発砲した。
 騎士は手綱を撓らせると、天馬を高速で飛行させ、それらの弾丸から逃れる。併走飛行しながら、オファニムも弾丸を撃ち込む。
 そうしている内に彼我の距離は徐々に近づいていく。射程距離だ。そう判断したオファニムはスラスターの向きを変え、騎士に突撃した。

 刃と槍が交差し、火花を散らす。
 振り下ろしたフォースレイピアは騎士本体を切り裂くことはなく、槍によって止められていた。
「……まだだ!」
 オファニムはそこに、アームによる質量攻撃を重ねた。上からの重撃に、天馬が地上へと弾かれる。
「全スラスター点火!」
 敵を堕とし、頭上の有利を得たオファニムはスラスターに点火し、レイピアを構えた。
 それに呼応するかの如く、地上の騎士もまた槍を構え、空のオファニムに向き合う。
「舐めるなよ……空の支配者は我ら! ドルム・ガンドラが天馬騎士団だ!」
「軌道計算完了、スロットルマキシマム!」
 永遠とも思える刹那の後、二者は同時に突撃した。己の武器を前面に構え、全速力で激突する。
 レイピアと槍の切っ先が重なった。そして――レイピアの刃に貫かれ、槍が砕ける!
「何……ッ!?」
「おおおおおおおッ!」
 そのままフォースレイピアは槍を、その先にある鎧を、その先にある心臓を貫いた。騎士が血を吐き、オファニムを睨む。
「オレが何者か、と聞いたな」
 着地したオファニムは、レイピアの光刃に纏わりつく血を払う。
「オレは……お前達の、帝国の敵だ!」
 払われた血は竜巻に乗って舞い上がる。それは彼にとっての、復讐の狼煙のようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
【竜鬼】
天馬に乗った騎士達ですか。精鋭という感じがとても出ていて強そうです<汗>。
でも島を助ける為に倒さないといけないので頑張ります!(小声で)怖いけど…

風除けの呪文とUCを使用し、自身の翼で羽ばたき、ひかるさんが召喚したマッチョゴーレムさん達と共に空中戦です。

射撃武器は無効化されるので空中戦能力で接近し、右手のエーテルソードと左手の流水剣に光の属性攻撃を宿しての2回攻撃・怪力で天馬ごと騎士を斬っていきます。

相手の攻撃に対しては第六感で読んで、見切りと空中戦で回避したり、滞空させているビームシールド盾受けで防ぎます。
オーラ防御も身に纏います。

マッチョゴーレムさん達と連携して相手を追い込みます。


荒谷・ひかる
【竜鬼】
天馬騎士……強そうな感じですが、わたし達ならきっと勝てます。
リューさん、行きましょう。精霊さん達もいますから、大丈夫!(鼓舞する)

引き続き【風と大地と草木の精霊兵団】発動
111体(増えた)のマッチョ(・ワ・)ゴーレムさん達を3体1組で編成
指揮するわたしの護衛に3組9体を残し、残る34組102体で以て空中戦を仕掛けます
ゴーレム軍団の戦闘法はその質量を活かした肉弾戦、射撃無効もなんのその
敵1体に対し最低1組以上でぶつけ、数的有利と連携とパワーで敵戦力をすり潰していきます
リューさんと一緒に戦う子達は、援護と囮役を主として動き、彼の消耗と負担を減らします



●攻と防
 暴風の中、天を駆ける天馬。翼を広げ、槍を構え、それに跨る騎士。
 その姿は優美で、かつ見る者に畏怖を与えた。リューインもまた、気圧されたものの一人だ。
「精鋭という感じがとても出ていて……強そうです……!」
 ブルーアルカディアは空の世界だ。その空の世界をこうまで自由に駆けるとするならば、これらの兵は間違いなく精鋭に当たるのだろう。
 少なくとも、先の飛空艇での戦いに参加した鎧の騎士達よりは階級も実力も上だと直感できる。
 しかし、そんな彼の隣に立つひかるにとっては、それは恐怖の対象にはならなかった。
「強そうな感じですが、わたし達ならきっと勝てます。リューさん、行きましょう!」
 それは彼女が幾多の戦場を超えてきたからか。或いは、すぐ傍に頼れる恋人がいるからか。
 ともあれ、その自信がリューインを鼓舞したことは間違いない。彼もまた、ひかるの為ならば、勇気も力も湧いてくるのだから。
「精霊さん達もいますから、大丈夫!」
「はい! ……一緒に行きましょう! ……怖いけど」

 ひかるが召喚したのは、避難に救助にと大活躍したマッチョゴーレムだ。
 風と大地、そして草木の精霊の力を合体させたそれは、一つ一つが強大な力を持ちながら111体という大軍を実現する。
「MY MUSCLE ARE UNIVERSE……」
 おそらく精霊語であろう言葉を発しつつ、ゴーレムは天馬騎士たちに襲い掛かった。
「チッ、何だこいつらは……!」
「BREAK YOUR BONE……」
 三体一組でチームを組んだゴーレムに対し、天馬騎士たちは分断され、彼女ら自身の群の力を生かせない。
 空神の加護も、それそのものが飛び道具ではないゴーレムたちの肉弾戦の前には無意味の長物。退路を塞がれ、十分な突撃距離の確保も困難だ。
 猟兵が風除けの呪文を得て地の利を失った今、数的有利を抑えられて勝てる道理はない。一人、また一人と天馬騎士が斃れていく。

 ――突き出された槍を、浮遊するビームシールドが自律的に動き、受け止める。
 圧力を感じるゴーレムと共に飛びながら、リューインはエーテルソードと流水剣の二刀流で空を駆けた。
 身一つで翼で飛行し剣を振るうリューインと、天馬と共に戦う騎士とでは、近接戦闘における機動力に僅かな、しかし決定的な差があった。
 馬を空中で旋回させる間に、リューインはさらに素早く天馬騎士の背後に回る。そして、両の刃を天馬の翼に走らせる。
「馬鹿な……ッ!」
「終わりです!」
 さらに、盾を構える騎士を盾ごと切り裂き、騎士にトドメを刺した。
 それは空の戦士が地に落ちて死ぬ――という不名誉を注ぐための慈悲の一撃だったかもしれない。
 ともあれ、ゴーレムとリューイン、そしてひかるは天馬騎士らを倒し続けた。ゴーレムはそのまま騎士を撃破する場面もあれば、リューインを援護し、その一撃を入れる手助けをすることもあった。

 それらの攻防の中――ゴーレムを突破し、ひかるに迫る一体がいた。
「術師の貴様を殺せば、こいつらは消えるのだろう!」
「……っ!」
 その騎士は周囲の騎士らより位や実力の高い者であったらしい。念のためにと配備した護衛のゴーレム9体を次々に貫き、ひかるへと突撃する。
「ひかるさん――!」
「終わりだッ!」
 その勢いに思わずひかるは目を瞑る。……痛みは来ない。
 目を開けると、その槍は受け止められていた。ビームシールド、二つの剣、そしてリューインの体自体を覆うオーラの防御。
 それら三重の防御を以てして、槍の穂先は、彼の胸先で辛うじて止められていた。
「こ、怖……! しかし……!」
 リューインはビームシールドの出力を増して騎士を跳ね除ける。バランスを崩したその騎士を、十数体のゴーレムが追撃した。
 その中から騎士が落ちる。その精鋭は、怒りに天を睨みながら落ちていった。
「あ……ありがとうございます、リューさん。助かりました……!」
「い、いえ。……ひかるさんが鼓舞してくれたおかげです」
 片側が恐れ、片側が鼓舞する。片側が攻め、片側が守る。
 二人は常に互いを補うように戦っていた。その前に、オブリビオンたちの群れはもはや無力であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

狐裘・爛
《狐御縁》

天馬ねえ。まあまあいいじゃない。せいぜい私の大いなる姿の前に、傅きなさい。変身! 炎 帝 狐 っ!
私は悪魔にして神、巨大にして優美な化け狐!
燃える黄金の毛並み、無尽蔵に放つ狐火、焼いて焦がして踏み潰してあげる。抵抗なんていじらしいわ、その「爪楊枝」で刺してどうするつもりかしら

でも変身した意味は運搬とフォローがメインよ。さ、エンリョなく乗ってちょうだい
ルルが避難させてくれてるんだからね! 大切な友達は狙わせないよ
焔とシホは、惚れ惚れしちゃう連携プレーね? でも無茶したらダメだよ。援護は任せて!
燦! 変身するまでの時間は稼いでみせるわ。あの覇気、むしろ邪魔じゃないかしら


四王天・焔
《狐御縁》

SPD判定
アドリブ歓迎

■心情
天馬って、神聖なイメージがあるけど
あれも違う事無き焔たちの敵だね。
遠慮せず打ちのめすよ。

■行動
華竜の進撃(UC)を使用して戦うね。

シホ姉に【霊装】で憑依して貰って、飛翔能力を得てから
フローレで敵を纏めて攻撃していくよ。
シホ姉に飛翔を手伝って貰い
「ありがとうね、凄く助かるよ!」

燦姉から、鋼糸の一端を任せられ協力して敵を騙し討ちするね。
焔も、空中から落ちそうになったら空中浮遊で態勢を整え直し
敵に対しても空中戦や対空戦闘を駆使して戦うね。

戦闘で疲弊したら爛のUCに飛び乗って体制整え直し。
「爛のその姿もカッコいいよ!」

ルルさんも、海賊船の避難中は無理しない様にね!


ルルチェリア・グレイブキーパー
≪狐御縁≫

『英雄よ、その盾で護りたまえ』
これでもう嵐なんか平気なのだわ!

海賊船に乗った島民たちを安全な場所に降ろしてから戦いに向かうわ
勿論よ焔さん、避難は任せて!
すぐ戻るから私の出番も残しておいてね

UC【符術"霊竜降臨呪"】でとっても高い呪符を3枚使って上級竜族の霊を召喚!
燦さん、使わせて貰うわよ、強い子出なさーい!

強い子は敵に攻撃!弱い子は私を抱えて飛ぶのだわー!
翼の生えた竜族の霊なら空中戦だって得意な筈
肉弾戦で敵の放つ突風を無力化するのよ!

待たせたわね
爛さんの炎帝狐の姿が遠くから見ても綺麗だったわ♪

任せなさいシホ!
どんな敵だろうとやっつけちゃうのよ!竜族の子が!


シホ・エーデルワイス
《狐御縁》

ルル
どうか気を付けて


爛さんの炎帝狐
まるで太陽の様に神々しく綺麗です


ええ焔
神聖だから味方とは限りません

良ければ飛べるようにしますか?

こちらこそありがとう


焔に【霊装】で憑依
光学迷彩と突風への環境耐性付きオーラ防御で庇い目立たなくなる

罠を仕掛けるには見えない方が良いでしょう

あと敵の突風に
英雄よ
その盾で護りたまえ
を天候操作の祈りと共に唱える


第六感と聞き耳で敵の動きを情報収集し
私の対空中戦闘知識を元に分析
念動力による念話で適時皆に助言し鼓舞


燦がこちらに敵を蹴とばすって

爛さんありがとう
9時方向に狐火をお願いできますか?

ルルは丁度翼竜を召喚できたのね
そちらに一騎向かいました


戦後
【祝音】で皆を癒す


四王天・燦
《狐御縁》

女の子を討つのは本意じゃねーけど仕方ない

島を狙う理由に嵐の神って関係あるのかい?
カマは掛けるぜ
情報は全猟兵で共有

アタシは地上戦から入るよ
焔・シホに鋼糸デストラップの一端を預ける
予定通り制空権を取る騎士が来たら焔に声をかけ、嵐の中に潜ませた糸を張って斬るぞ
必中を期した騙し討ちに回避三倍など無意味だ

落ちてきたら呪詛符でコロっと逝かせる
痛いのはなしさ

敵UCの見せ場はこれくらいにして三変化で天狐に化けて飛ぶぜ
爛の影に隠れて獣人形態にチェンジ
上手く死角を作ってくれよ

爛の上を走り躍り掛かる
獣人・天狐に化け分けて攪乱
焔、そっちに蹴り飛ばすぞい

ルルの霊竜降臨呪三枚に悲鳴を上げる
課金しすぎどぅぁー!?



●龍狐の交わり
「あ、アレが……屍人帝国の!」
「何体いるんだ……? 恐ろしい……」
 ルルチェリアの海賊船の上で、人々は天馬騎士団を見た。神々しいその姿は、まるで神の裁きの代弁者のよう。
 動物の延長線上のような魔獣ならば知っているが、人型のそれは彼らにとっては初めて見るもの。さぞ恐ろしく映ったのだろう。
「大丈夫よ! 燦さん、焔さん、シホさんに爛さん。みんなとっても強いんだから!」
 四人はその言葉に微笑むと、空を飛ぶ船から降りる準備を始める。
「ルルさんも、海賊船の避難中は無理しない様にね!」
「勿論よ焔さん、避難は任せて! すぐ戻るから私の出番も残しておいてね!」
 そして、四人は船から飛び降りる。彼女らが地面に着くよりも先に、小規模の爆発と煙が辺り一面に広がる。
「変身! 炎 帝 狐 っ!」
 煙の中から現れたのは巨大な狐の姿だ。それは悪魔にして神、巨大にして優美な化け狐『炎帝狐』。爛の変化した姿だった。
「爛のその姿もカッコいいよ!」
「ありがと焔! さぁ、焼き尽くすわよ!」
 三人はその巨大な狐に乗り、天馬騎士らと向き合った。その巨大な襲来者は、ルルチェリアの海賊船から騎士の目を逸らすのは十分だと言えただろう。

「……天馬って、神聖なイメージがあるけど……あれも紛う事無き焔たちの敵だね」
「ええ、焔。神聖だから味方とは限りません」
 光が味方で、闇が敵。そう単純なものではないということは、オブリビオンと戦ううちに自然と身に着く知識だ。
 だが、はっきりとわかることがある。猟兵にとって、オブリビオンは敵。この天馬騎士団もまた、敵だということだ。
「では、焔。手を」
 ここから先は作戦通りに。シホは焔の手を取ると、その身体を聖霊と化し、彼女に憑依した。
 シホの憑依により、焔の背には翼が現れる。飛行する敵と戦うにあたり、翼は何より有効な武装だ。
「ありがとうね、凄く助かるよ!」
『いえ、こちらこそありがとう。焔の手を借りれば、周囲を見渡しながら指揮ができるわ』
 焔は竜槍フローレを変形させる。ドラゴンとなったその槍はみるみるうちに巨大化し、天馬騎士たちを追い立て始める。
「くっ、この獣め……!」
 その暴威を前に、騎士たちは防御を余儀なくされる。ドラゴンの牙や爪を防ぎながら後退させられていく。
『爛さん。9時方向に狐火を!』
「わかったわ!」
 爛の化けた狐は、灼熱の炎を自在に操る。その炎もまた、騎士たちを空中で追い立てて動かした。

「……今だ」
 その時、空には異変が起きていた。
 狐火とドラゴンに追い立てられた天馬騎士たちが次々に落ちていく。天馬は何かに切り裂かれたような傷を残し、落下する。
「なッ……何が……!?」
 騎士たちを切り裂いた者の正体。それは燦が手繰り、焔とシホが張った鋼の糸だった。
 天馬の高速機動でその網の中に突っ込んだ騎士たちは重傷は免れない。高度から堕ちた騎士が一人、地上に立つ燦の前に倒れた。
「……なぁ。島を狙う理由に嵐の神って関係あるのかい?」
「あ……嵐の神……だと? 知る、か……そんな、もの……!」
 息も絶え絶えの騎士の言葉に嘘は感じられない。燦は溜息を吐き、呪詛符によってその命を静かに絶った。
 ……知らないというのはどういうことだ? 嵐の神と呼ばれたのは、あの思念の主は、彼女らのボスのはず。……あまりボスと彼女らは親密な関係ではないのだろうか?
「……はぁ。女の子を討つのは本意じゃねーんだけどな」
 やりづらい仕事だ。そう愚痴る彼女は、遠くの空から三体の竜が近付いてくるのを見た。

「ルル!」
「待たせたわね! 爛さんの炎帝狐、遠くから見ても綺麗だったわ! ルルチェリア、戻ってきたわよ!」
 舞い戻った援軍に対し喜ぶ三人。その一方で、燦はどこか青ざめた顔でドラゴンを見る。
「ル、ルル……それもしかして……」
「そうよ燦さん、使わせて貰ったわ! とっても高い呪符三枚よ!」
「ささ、三枚!? 課金しすぎどぅぁー!?」
 ドラゴンの霊を召喚する呪符の価格は、一枚につきおおよそ二百万円。……その価値を知るのはルルチェリアと燦のみだった。
『ルルは丁度翼竜を召喚できたのね。そちらに一騎向かいました』
 シホの念話を捉えたルルチェリアは力強く頷く。そして一体のドラゴンが吼えた。
「援軍は来させぬ……!」
「任せなさいシホ! どんな敵だろうとやっつけちゃうのよ! 竜族の子が!」
 天馬騎士とドラゴンはしばし空中での激戦を繰り広げる。炎が舞い、羽が舞い、やがて――刹那の隙間に、竜の鉤爪が天馬を仕留めた。
 その様子に彼女たちは歓声を上げる。同時に、残る騎士たちの士気を削いでいった。

 そんな超高級ドラゴンの到来によって、彼女たちの有利だった戦況はさらに盤石なものとなる。
 炎帝狐の陰に隠れ、燦は天狐への変身を済ませていた。
 空を駆け、月明かりに紛れては、その輪郭を炎を纏う恐ろしげな獣人に変え、敵をかく乱する。騎士の背後に忍び寄り、その全身を蹴り飛ばす。
「焔、蹴っ飛ばすぞ!」
『焔さん。燦からのパスよ』
「任せて。フローレ!」
 飛んできたそれをフローレが喰らう。竜と狐の織り成す饗宴は天馬騎士にとっての悪夢となり、彼女らを蹂躙した。
「これで最後よ!」
 そして、巨大な炎帝狐が吼える。燃えるような金の毛並みから湧き出した狐火は寄り集まり、残る騎士を焼いた。
 炎の嵐の果てに、ついに天馬騎士団は全滅を迎えた。……残る敵は、この嵐の主のみ。
「……何者なんだろうな」
 その謎は、燦の胸に突き刺さって抜けない。嵐の神と呼ばれた少女の声。深い悲しみ。実にやりづらい仕事だと感じつつも、彼女は一歩前へと踏み出す。
「何者であれ……準備は万全に行きましょう。『主よ、この方にどうか慈悲と祝福をお与え下さい』」
 憑依を解除したシホは、彼女らを覆うような大きな、そして暖かな光を放つ。
 それが傷を癒す頃、嵐の主は――その姿を現した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『箱舟』ノア・アルクリアス』

POW   :    古の船
全長=年齢mの【決して沈まない箱船】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【雲海から乗船させたオブリビオンの集団】による攻撃を可能にする。
SPD   :    沈まない船
非戦闘行為に没頭している間、自身の【周辺】が【激しい嵐に覆われ】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ   :    雲海に浮かぶ船
敵より【低い位置にいる】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●嵐止み、嵐吹く
 その少女は杖を携え、竜巻の中に立っていた。
 何事か詠唱を続けていた彼女だったが、猟兵たちの接近を認めると、その言葉を止める。同時に浮島を襲っていた大嵐や揺れがすぐに収まり、凪いだ。
「随分と……懐かしい物を見た」
 彼女は小さな体躯に反し、歴戦の獣の如きプレッシャーを放っていた。
「お前たちが、今の時代の英雄なのだな」
 そう語る少女の感情は読み取れない。だがどこか、その瞳は悲しげに揺れていた。
「我が名はノア・アルクリアス。太古の昔より雲海を漂いしガレオノイド……沈まぬ船なり」
 少女は手にした杖を地面に突き立てる。すると、激しい風が浮島の下から吹き上げ――同時に、大陸のそばに、反り立つ壁が浮かび上がってくる。
 否、それは壁ではなかった。それは船だった。空の彼方まで伸びるその巨体は、もはやその全体像を目に移すことすら難しい。
「悪いが、この島を堕とすことが奴との約定。加減はせぬ。この島諸共……」
 少女が杖を構えた。同時に、再び嵐が吹き荒れる。先ほどまでとは違う、明確な害意を孕む風。
「雲の底へと、沈めてやろう」

※POW、WIZでは雲海より浮上してくるノア・アルクリアスの『戦艦形態』による攻撃が行われます。本体の少女はそのまま戦場にいます。

※SPDでは、何らかの対策を行わない限り風に吹き飛ばされ、島から落下します(落下しても死にはしませんが、基本的には戦線から離脱させられます)。

※プレイングの受付は、【9/2(木)8:31~9/5(日)20:00】とさせて頂きます。
 〆切時点で章の達成数に届いていなかった場合、改めて期間を延長いたします。
ランケア・アマカ
箱舟とは以前にも戦いましたが、やはり強敵ですね
それでも、退くわけにはいきません

やはり敵を覆う嵐の外から撃っても無駄でしょうから、何とかして嵐の内側へ向かいましょう
MF-L1の最大出力で突入します
ただ最短距離を行くのではなく気流に乗って、嵐の内側へ少しずつ確実に接近したいです
どこまで嵐に干渉できるか分かりませんが【疾風塵】も撃てるだけ使って気流を変え、突破口を開きます
内側へ抜けた時点で一発でも撃てる魔力が残っていれば充分です、箱舟に全力を振り絞って撃ち込みます

…太古のガレオノイド、敵になる前にお話できたら良かったのに
とても、残念です


オリヴィア・ストラスマリス
『他猟兵との連携歓迎』

……ガレオノイドですか。
この間の件といい、随分とかの国は「手」をお持ちのようで。

[ストラスマリス]に搭乗、電脳で風のギリギリの範囲を確認しながら、
同じ戦場で行動する猟兵の方々の支援を。
具体的にはUCを発動し、自分の艦を含む周囲へオーラの結界を付与して
もう一段階の強風対策を行いながら、ストラスマリスの砲で【援護射撃】。
逐次ノアの行動を観察して、【戦闘知識】【集団戦術】で
攻撃を与えられるタイミングを見計らいコミュニケーターで伝達します。

「落ちない日はなく、沈まない船はありません。今までは運が良かっただけ……いえ、もうオブリビオンになった段階で貴女は堕ちていた」



●最後の一発
「さて。……お主らの力、見せてもらおうか」
 ノアが杖を構える。すると彼女を台風の目として風が集い、やがて激しい嵐となる。
 ランケアはその竜巻に、弾丸を撃ち込んだ。しかし、弾丸ほどの速度であっても、嵐の壁に突入した途端吹き上げられていく。
「……やはり、単なる射撃武器では通りませんか」
 ランケアは、以前も箱舟の名を冠する者と戦ったことがある。その激闘の記憶も、間違いなく彼女の中に刻まれていた。
 太古のガレオノイド。その存在と、戦うしかないという事実は空しくもあるが、致し方ないことだ。
「問題は、どう戦うか……」
 相手は島を沈めるという正体不明のユーベルコードをも操る。千日手では、島が落ちて相手の勝ちだ。
 とはいえ、無策で突破できる壁ではない。いかにして突破するか――彼女はセイルフローターに乗り込んだ。

「……太古のガレオノイド、ですか。この間の件といい、随分とかの国は『手』をお持ちのようで」
 ガレオノイドに、ガレオンドラゴン。空での戦闘に慣れた騎士に、天馬騎士団。
 ドルム・ガンドラに集う戦力は随分と多種多様だ。オリヴィアはストラトマリスに騎乗しつつ、その風をシミュレートする。
 ストラトマリスは格納機にもなる大きな船だ。それを以てすれば、ある程度はこの嵐に抗うこともできるだろう。
「オーバー・チェイン・システム起動。コード:ウォール。障壁展開開始します」
 そこに、オリヴィアによる追加の障壁が展開される。船を中心に展開された障壁は、障壁内部への風の流入を阻んだ。
「障壁の中へ。可能な限りまで、嵐に接近します」
「助かります。……これなら、行けるかも」
 ストラトマリスは、障壁の中にランケアのMF-LIを格納する。そして、球体のオーラを盾に嵐の中心部へと近付いていく。
 暴風に煽られ、その航空は真っ直ぐには進めない。それでも、人の歩みのような速度で、少しずつ内側に入っていく。

「風速、シミュレート……現在地点が、ストラトマリスが接近できる限界です」
 障壁越しに、ランケアはノアの姿を視認した。風の壁の中に、一人佇んでいる。
 この距離ならば、MF-LIの最高速度なら突っ切れるかもしれない。ランケアは限界までエンジンを回転させてから、一気に障壁を抜ける。
「く……っ」
 それでも、直線では進めない。風に横から煽られ、少しずつ進路はズレていく。
「風に抗うか。……無駄な足掻きだというのに」
 ノアはそんなランケアを眩しそうに見上げた。怒りや恨みはなく、ただ無感情な瞳だ。
 そんなランケアを援護しようと、ストラトマリスから砲弾が撃ち込まれた。ノアにまでは届かないが、その弾丸による風圧は風を弱め、ランケアの飛行を助ける。
「落ちない日はなく、沈まない船はありません。今までは運が良かっただけ……」
 いいえ、とオリヴィアは首を振る。
「もうオブリビオンになった段階で貴女は堕ちていた」
 今一度、堕ちるときです。
 ランケアは風の弾丸を、一箇所に五発分撃ち込んだ。前の弾が後ろの弾の風除けとなり、さらにその後ろの風除けとなり。
 ――最後の一発が、ついにノアの胸元に命中する。
「……ほう」
 嵐の壁が消え去る。ノアは自らの身体から流れる血を拭い、興味深そうに笑った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御園・桜花
「それでも貴女は沈んでしまった。沈みきってオブリビオンになってしまった。栄光の沈まぬ船ではなく、これ以上堕ちても沈みよう故の沈まぬ船。オブリビオンであることを肯定する堕船。貴女の約束は、確かに何者にも代えがたい大事な約束だったのでしょう。ただそれは、歪んだ妄執と成り果てました…貴女の望みを、叶えさせるわけには参りません」

UC「出前一丁・弐」使用
栄光の船に追い縋り艦橋や主砲等全体のうちの一部分に対してダイブ&ズームやヒット&アウェイで体当たりする一撃離脱戦法繰返す
敵の攻撃は第六感と見切りで躱す
「正対するのではなく上下から又は横からなら。充分勝機があります」

「何時か転生なされますよう」
戦闘後鎮魂歌


シキ・ジルモント
英雄?一体、誰と重ねているのやら
『遥か昔の預け物』も気に掛かるが、島を落とすなら阻止する
バイクには乗らず交戦、バイクブラスターの銃口を相手側に向けて設置しておく

本体へ接近してみせてオブリビオン集団の攻撃を誘い、攻撃してきたらユーべルコードで纏めて反撃する
正面から本体へ向かったのは、相手の意識をバイクから逸らし退避を遅らせる為
注意を引き付けたら箱舟を含めた相手へ向けて、バイクブラスターを遠隔操作で発射
狙う相手がブラスターの射程範囲に収まるタイミングは戦いながら見計らう

楽ではないが『英雄』などと呼ばれたからには困難の一つや二つ乗り越えよう
かつてあの箱舟が見た者たちも、そうして戦ったのかもしれないな


フォルク・リア
「約定か。それがどれだけの重みがあるのかは
分らない。
だが、俺にとってはこの島の。此処に住む人々よりも
重いものなどありはしない。」
相手の名乗りに応える様に
「俺は死霊術士フォルク。沈まない船だろうと
無敵の戦艦だろうと。堕としてみせる。」

古代都市ルベルを発動し都市より雷の属性魔法や
空を駆ける翼竜等の幻獣を放ち戦艦を攻撃。
敵からの攻撃は魔力を物質化した盾で防御。
都市と戦艦が撃ち合う間に自身は
都市から供給される魔力と
ファントムレギオンにより纏う死霊を盾に本体に接近。
フレイムテイルから放たれる炎を
右手一点に【全力魔法】を込めて凝縮し
掴みかかると同時に爆発させる。
「必ず堕とす。この炎はその覚悟だ。」


オファニム・スローン
確かに強大な戦艦だ……でもね
インペリウム程じゃあ無いな!

人々が住まうこの場所を雲の底へ沈めるなどさせるものか!
まずはデストロイアームズで威嚇射撃と砲撃
これで敵の砲撃規模を算定する
続いてエーテルエンジンの推力移動と対空戦闘で敵艦に近付きつつ
全周から敵の死角を探し回る
人間サイズなら早々やらせはしないさ!

ターゲットは雲海から乗船させたオブリビオンの集団だ
対艦戦闘ならば兎も角、大人数の白兵戦に対抗するにはこれしかない
死角から接近し敵艦へ上陸
強襲装甲とエーテルエンジンを組み合わせれば何とかなる筈だ!
そのまま装甲を展開し全武装を開放――フルバースト・マキシマム!
沈むのはお前だ……箱舟のガレオノイドッ!



●英雄たちの戦い
「英雄……か。一体誰と重ね合わせているのやら」
 バイクから降りたシキは、銃口をノアへと向ける。
 猟兵ではあるが、英雄などと呼ばれる器ではない。人を助けはするが、殊更に救いはしない。
 だが、この一瞬だけならば。英雄と呼ばれたからには、それなりの困難を超える必要はあるだろう。
「……お前の交わした約定とやらが、どれだけの重みがあるのかはわからない。
 だが、俺にとってはこの島の。此処に住む人々よりも重いものなどありはしない」
 フォルクもまた、英雄と呼ばれる者ではない。
 だがその精神性は紛れもなく英雄のそれであり、その姿は人々を護る英雄そのものだった。
「俺は死霊術士フォルク。沈まない船だろうと、無敵の戦艦だろうと。堕としてみせる」

「……我は沈まぬ船。今を生きる英雄たちよ。過去に消えた者どもの力を見よ」
 ノアが杖で強く地を突くと、島の外周から巨大な戦艦が浮かび上がってくる。
 甲板部から梯子を通って、或いはそのまま飛び降りて現れたのは、槍や弓を手にした部族然とした集団だ。
 その巨大な戦艦に対抗すべく、フォルクもまた大規模な魔術を行使する。
 彼の背後に、巨大な建造物が現れ始める。それを覆うように城壁がせり上がり、大砲が突き出していく。
「歴史の狭間に埋もれし魔導の都。幽谷の門を潜りて今、此処に姿を現し。その深遠なる魔術の神髄を示せ」
 島に現れたその都市の幻影は、戦艦と同等の大きさをそびえさせ、敵軍を威圧した。
「……行くぞ」
「来るがいい。その城も、その背後の人間も皆……消してくれる」

 突撃する敵の集団に対し、一番槍を切ったのはオファニムだった。
 エーテルエンジンの推力で敵陣の中央まで近づくと、ミサイル、キャノン、ビームと複数の武装で彼らを砲撃した。
「人々が住まうこの場所を……雲の底へ沈めるなどさせるものか!」
 敵の部族はその未知の攻撃を前にしてもなお、その戦意を衰えさせず、オファニムを囲み込もうとする。
 それに対し、彼は高速機動とフォースレイピアによる打開力で包囲を回避。縦横無尽に戦地を駆ける。
 アレは確かに、巨大な戦艦だ。だが星を渡り、宇宙を飛んだ銀河帝国のインペリウム程ではない。
 かつての仲間は、そんな相手にも怯むことなく向かっていったのだ。ならば、オファニムもまた、真っ直ぐに戦うだけだ!

「……箱舟、ノア・アルクリアス。それでも貴女は沈んでしまった。沈みきってオブリビオンになってしまった」
 なおも集い続ける集団に突っ込んだのは桜花のトラックだ。高速移動する鋼鉄を前に、彼らは弓を射る。
「今の貴女は、栄光の沈まぬ船ではなく、これ以上堕ちても沈みようがない故の沈まぬ船。オブリビオンであることを肯定する堕船……!」
 そして、ドリフトしながら彼女は進路を変える。その先にいるのはノアの本体だ。
「ふん。言ってくれる……」
 ノアが杖を軽く動かすと、桜花のトラックを突風が襲った。真下から吹き上げる暴風に煽られ、トラックは前輪を跳ね上げ宙を舞う。
「……っ! しかし! 私の車は飛行対応済みです!」
 桜花は空中でドリフトして勢いを殺しつつ、再びノアを視界に収めた。彼女を護るように部族の者たちが集い、一斉に矢を放った。
 ガラスを破る矢の数々。だが、それが桜花まで及ぶことはない。トラックの傷は増えていくが、もう一度は突撃できる!
「貴女の約束は、確かに何者にも代えがたい大事な約束だったのでしょう。ただそれは、歪んだ妄執と成り果てました」
 アクセルを全開にして、再度突進する。インパクトの直前に車輪を横に回転させ、彼女は車の横っ腹でオブリビオンたちを薙ぎ払った。
「貴女の望みを、叶えさせるわけには参りません」
「……たとえ歪もうと、はじめのものから姿を変えようと。違えてはならぬのが約定というものだ」
 勢いの緩んだケータリングカー。割れたガラスから覗く桜花の頭部に、ノアが杖を向ける。
「その先に悲劇しか待っていないとしても。我は……」

 銃声が響く。弾丸に弾かれ、ノアの杖の向きが逸れる。
「そうはさせるか……!」
「……殺れ」
 シキは銃を構え、あえて本体の前へとその身を晒す。メインウェポンが火器である彼にとって、接近するメリットなどほとんどない。
 だが、それでもあえて、彼は現れた。案の定、ノアの周辺にいたオブリビオンは彼に襲い掛かる。
 彼は、襲い来る全ての敵の眉間に視線を走らせた。敵は十体。残弾数と同じ。これならばやれる。
 ガトリング砲のような、一つにつながった銃声が響く。恐るべき速度で弾丸を連射しながら振り抜かれたハンドガンは、寸分狂わず彼らの頭を撃ち抜いていた。
「……短筒か。だが弾丸はなくなったようだな」
 ノアはそれを見抜き、彼に杖を向ける。
「あぁ、そうだな。……だが俺の武器は銃だけじゃない」
 シキは己の身を横に逸らし、同時に――自らのバイクへと信号を送る。
 遠隔操作で、バイクは熱線を放った。元よりその銃口は、ノアへと定められている。咄嗟の障壁が焼け落ち、彼女は肩を撃ち抜かれた。
「……やってくれる」

 戦況は芳しくない。ノアは自らの分身たる戦艦を起動させ、砲門を地上へと向けた。
「古代都市ルベルよ、敵戦艦を迎え撃て」
 そこに降り注いだのは雷の魔法だった。フォルクの召喚した都市は、その防衛機構でもって戦艦へと攻撃する。
「ち……」
 こうなれば、砲塔を向ける先はあの都市以外にない。戦艦による攻撃は都市を襲い、城壁を砕く。
 都市の防衛機構は魔法だけではない。翼竜の霊が城壁より飛び出し、戦艦へ襲い掛かる。
「対空砲。撃ち落とせ」
 それらが艦へと近付く前に、対空射撃による弾幕が張られた。竜は翼を撃ち抜かれ、或いは頭を砕かれ霧散する。
 太古の船でありながら、戦艦の攻撃性能は群を抜いている。このままでは、都市の防衛機能で捌ききれない。
 ――だが、それはフォルクの計算通り。
 元より勝てるとは思っていない。彼の目的は、ノアの意識と、戦艦の攻撃を都市の霊へと集中させることなのだから。

「掴まってください!」
「あぁ。悪いな」
 その間に、フォルクはオファニムと共に甲板へと飛んだ。そこには、出撃を待つオブリビオンらが大挙する。
「沈むのはお前だ……箱舟のガレオノイドッ! フルバースト・マキシマム!」
 そこに、オファニムはすべての武装を注ぎ込んだ。装甲を展開し、デストロイアームズを全展開し、全ての火力でもって彼らを焼く。
「……! いつの間に、そこへ……!」
 ノアがそれに気づいた頃にはもう遅い。雲海から乗船したオブリビオンは全滅し、フォルクは甲板へと右手を添える。
「必ず堕とす。この炎はその覚悟だ」
 右手の手袋に、彼の、そして彼に魔力を供給する都市すべての力が注がれる。
 魔力の全てを変換し、彼の手は大爆発を起こした。床が砕け散り、戦艦が火を吐く。
「ぐあっ……!」
 その一撃に、ノアは頭を抱えた。戦艦と本体はある程度連動しているのだろう。これ以上のダメージを懸念してか、戦艦が雲海へと沈んでいく。
 魔力を使い果たした都市が消える。オファニムもまた、武装をすべて使いきった。そうしなければならない相手だった。
「……見事なものだ……英雄どもよ」
 それは、そんな全ての力を出し切った攻撃への、ノアからの賞賛に違いなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミリアリア・アーデルハイム
現在の英雄、という事は貴女はかつての・・・。その強大な魔力、同業者と拝察いたしますが、既にオブリビオンとは残念至極です。
ご健在ならば学ぶ事も多くあったでしょうに。

低く構えて箒で高速ジグザグ飛行
屏氷万里鏡を廻らせ風を結界やオーラで防ぎつつUC(ケージを使用)
UCが繋がれば箒を降ります

私とて、永劫炉の使徒たる身
その能力、例え一部としても縛らせていただきましょう。

今生きている人々を雲海へと蹴落として何とするおつもりですか。
此処に暮らす者たちはあなた方が命を賭して救った人々の末裔ではないのですか?


ティオレンシア・シーディア
うーわぁ、なぁにあれぇ…
ガレオノイドの全長は古いほど大きいってのはそりゃ知ってるけどさぁ…ちょっと限度ってものない?

これあたしじゃまともにダメージ通すのはちょっと難しそうねぇ。それじゃ、足引きに回りましょうか。
引き続きミッドナイトレースに○騎乗、●黙殺・妨害で〇弾幕バラまくわぁ。雲海スレスレなら、少なくとも「相手より高い」ってことはないでしょ。
〇捕縛足止め継続ダメージその他デバフのてんこ盛り、的が巨大な分着弾も大量。いくら「沈まない」からって「効かない」わけじゃないわよねぇ?
本来半径112メートル全方位にバラ撒く分を纏めて喰らわすんだもの、一発頭は微細でも中々馬鹿にならないでしょぉ?



●嵐の片鱗
「現在の英雄、という事は貴女はかつての……」
 ノアは古を生きたガレオノイドだ。その強大な力はある時代では神と準えられたこともあった。
 神そのものであるミリアリアにとっても、それは理解できた。目の前の少女は、「同類」だったのだと。
「ご健在ならば学ぶ事も多くあったでしょうに。既にオブリビオンとは、残念至極です」
「……たとえ健在であったとしても、お前に教えることなどあるはずもない。我が友は、過去にも未来にも一人だけだ……」
 ノアが杖で地面を突くと、雲海より、巨大な戦艦がせり上がってくる。
 それは猟兵たちに巨大な砲塔を向けていた。その攻撃力の高さは、恐らく考えるまでもない。
(……アレは、ただ攻撃力が高いというだけじゃない。あの砲塔は……)
 砲塔は猟兵たちに向けられ、同時にその背後にある住人達の居住区にも向けられていた。
 躱すことができない。アレが発射されれば、もはや受ける以外に方法がない。

「……撃たせません!」
 ミリアリアは箒を構え、飛行しながらノアへと突撃した。その傍らに浮かぶのは炉のように炎熱を光らすケージ。
 そこから放たれたのは炎の鎖だった。ノアはそれを杖で弾き、すかし、絡めて捌く。
「さすが……!」
 本当に、惜しい。健在であったなら、教えてほしいことは山ほどあっただろう。
 ノアは反撃に風の刃を射出した。ミリアリアは氷の欠片を展開し、その方向を逸らす。
 いずれも攻撃を当てることができないまま、両者の距離が詰まった。ミリアリアは乗っていた箒を手に取り、飛び降りながら振り上げる。
「……ッ」
 その予想外の攻撃に対して、ノアは杖を跳ね上げられた。ミリアリアは砂埃を上げながら着陸し、防御が緩んだノアへと振り向く。
「その能力、例え一部としても――縛らせていただきましょう」
 ケージから放たれる炎の鎖。それはついに、ノアの片腕を捕えた。同時に、島の外にある戦艦に大きな鎖が結びついた。
 ノアと戦艦は連動している。ノアを拘束すれば、戦艦もまた拘束されるのだろう。

 だが、その鎖を以てしても、戦艦の砲門はまだ動いた。鎖を軋ませ、千切りながら旋回し、砲門を向ける。
「く……!」
「まだ足りんな。あと少しだった……」
「……今生きている人々を雲海へと蹴落として何とするおつもりですか。
 此処に暮らす者たちはあなた方が命を賭して救った人々の末裔ではないのですか?」
「違う!」
 ノアが吼える。それは、彼女が初めて猟兵たちに見せた感情らしい感情だ。
「我が命を賭したのは、ただあの者の為のみ。断じて……他の者のためなどではない。そして奴は……何もこの世に残してなどいない!」
 言葉による動揺はあまり期待した成果を出しそうになかった。砲が、充填を開始する。
「駄目……!」

 ――だが、その砲から火が放たれることはなかった。ノアは戦艦に振り向く。
「なんだ……これは」
 ノアは目を閉じ、視界を戦艦のものと共有する。……そこでは、思わぬ刺客が船体に攻撃を加えていた。
 戦艦よりも下。雲海スレスレの地点から、UFOが魔法弾による連射攻撃を行っているのだ。
「チ……」
 戦艦は対艦砲を用意し、そのティオレンシアの操るUFOに狙いを澄ました。
 だが、対艦砲は所詮対艦砲。戦艦は自らよりも下を行く高速機動の乗り物への対策は行っていない。
 結果として、ティオレンシアは戦艦からの攻撃の悉くを免れた。元より、計算づくのことだが。
「いくら「沈まない」からって「効かない」わけじゃないわよねぇ? たくさん撃ち込んであげるわぁ」
 彼女は対人戦以外を不得手とするが、対人戦以外が戦えないわけではない。
 その上、戦艦とは元より人が作ったものだ。ノアもまたその構造に倣う限り、人を見通す彼女の眼からは逃れられない。

 複数の魔弾が命中し、捕縛や毒、侵食。様々な悪影響が戦艦を蝕んでいく。
「おのれ……」
 その影響はノアの本体にもまた現れた。頭を抱える彼女に、ミリアリアは再度炎の鎖を撃ち込む。
「ぐあっ……!」
 それが決定打となった。彼女に命中した鎖は戦艦をさらに縛り、雲海へと引きずり込んでいく。
「大迫力ねぇ。タイタニックってのもこんな感じだったのかしらぁ」
 目の前で沈んでいく超巨大戦艦を見て、ティオレンシアはそんな感想を抱かざるを得なかった。
 まともに戦っていればダメージを通すことすら難しかっただろう。その点では、妨害能力を持つ彼女たちとの相性は良かったと言える。
「ガレオノイドの全長は古いほど大きいってのは知ってるけどぉ……。……とっても長生きだったのねぇ、あなた」
 その長く生きた命で一体何を見てきたのか。興味はあるが、探りようはない。
 ティオレンシアは死をもたらす者であり、救済者ではない。後のことは他の猟兵に任せよう――と、UFOを反転させた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リューイン・ランサード
【竜鬼】
倒すのに骨が折れそうですね💦と思案中にひかるさんから耳打ち。
それなら僕がひかるさんの翼と盾になります。

UC使用。
ひかるさんに背中からリューインにしがみ付いてもらい、尻尾でひかるさんの身体を固定。
ひかるさんごと身体を包むオーラ防御を張り、一緒に高速飛行。

攻撃に対しては、仙術で本体と同様に動く分身を多数作り出して幻惑し、空中戦・第六感・見切りで躱し、ビームシールド盾受けで防ぐ。
そして相手と同じ又はより低い高度を維持して敵UC無効化。

時折、双剣の2回攻撃・怪力で船体を斬ったり、炎の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱で攻撃したりしつつ、ひかるさんの指示通りに移動する。

さあ、ひかるさん決めて下さい。


荒谷・ひかる
【竜鬼】
大物が出てきましたか……!
ですがこの環境なら、あの技が上手く使えるはずです。
リューさん、お願いが……(耳打ち)

リューさんの背中に掴まり精霊銃を撃ちながら、指定ポイントを通過するように飛んでもらう
なお弾(炸裂式の電撃弾と風圧弾)のうち何発かは、風で逸れたように見せかけて地面へ打ち込んでおく
準備が出来たら【風と雷の災厄結界】発動
地面へ打ち込んだ弾及び、通過際にポイントへ配置した精霊さん達に祈り、結界を構築
強風による空気の摩擦で発生した静電気は、雷の精霊さんの力となります
巨大竜巻で拘束し、555発の雷を船や本体に落として攻撃します

沈まぬ船などありません。
雲海を超え、躯の海の底で眠りなさい!



●天地雷鳴
 これは「大物」だと、浮き上がってきた巨大な戦艦を見てひかるは感じた。
 それはその名の通り絶対的な質量を指してのことでもあるし、その少女のような姿に秘めた巨大な魔力のことでもあった。
「戦艦にしても本体にしても……倒すのには骨が折れそうですね」
 リューインの目から見ても、ノア・アルクリウスは難敵であった。どちらを倒そうにも、それなりの工夫と戦力が必要となるだろう。
「リューさん、お願いが……」
 そんな彼に、ひかるは耳打ちした。その作戦を理解し、リューインはその尾で彼女を包む。
「わかりました。それなら僕がひかるさんの翼と盾になります。……掴まっていてくださいね!」
「はい! よろしくお願いします!」
 リューインは三対の翼を広げ、空へと飛んだ。携えた双剣に、周囲を巡るビームシールド。
 それらがあれば、ひかると己の身を護ることならできる。彼は剣を構え、ノアの本体へと滑空する。

「ふむ……なかなかに動けるな」
 それはノアによる風の射撃を躱し続けたリューインへの評価だった。
 ビームシールドによる防御で威力を殺し、或いは通り抜ける風の刃をギリギリで避けている。
 だがその度感じるのは、ノアの攻撃の威力の高さだ。一手でも防御をしくじれば、ズタズタに引き裂かれるだろう。
「そこっ!」
 反撃代わりに撃ち込まれるのはひかるの精霊銃だ。しかしノアの操る風は攻防一体。吹き抜ける嵐が弾丸を阻む。
 炸裂した弾丸から放たれる雷撃は風に絡め取られ、ダメージとならず。
 リューインも遠距離から炎の魔術を行使したが、風に吹き流され、明後日の方向へと飛ばされてしまう。
「遠距離戦で分が悪いなら……!」
 リューインはノアへと接近すると、二刀の剣に炎を纏わせ、高速移動の勢いのままに斬りかかる。
「通常なら悪くない狙いだが……」
 しかし、その一撃をノアは杖によって受け止めた。少女のような見た目からは考えられないほどの怪力。
 それはまるで、まさしく巨大な戦艦を相手にするかのように。リューインの剣はそこから動かなかった。
「生憎、我は戦艦の身でな……!」

「リューさん、飛んでください!」
 ノアの瞳の怪しげな光を認めると同時に、ひかるは精霊銃から風圧弾を至近距離で撃ち込んだ。
 二つの風圧が交差し、リューインは上空へ、ノアは後方へとそれぞれ弾かれた。
 ひかるの弾丸と同時に放たれたノアの風刃。離れなければ、その刃はリューインを引き裂いていただろう。
「本当に、厄介ですね……!」
「はい。……でも、お陰で仕込みは完了です!」
 ひかるは周囲の大地に埋まる弾丸の欠片に向けて祈りを捧げる。そうすれば、精霊たちが呼応し、結界を作り出す。
 暴風による結界は、空気との摩擦から稲妻を呼ぶ。稲妻は風を集め、空高くへと舞い上げる。
 それは暴君たる自然現象でありながら、彼女に付き従う精霊が呼び起こした力でもあった。雷は指向性を持ち、ノアへと落ちる!
「嵐を操る、か。だが――貴様らもまた、射程圏内だ」
 その時、島の外周から砲塔を覗かせていた戦艦がひかるたちを狙う。破壊的なエネルギーをその中に充填していく。
「撃たせません! 雲海を超え、躯の海の底で眠りなさい!」
「砕け散れ。嵐を操るのはこの我だ」
 ひかるの作り出した嵐から放たれる雷撃と、戦艦から放たれる弾丸が同時に空中でぶつかった。

 巨大な竜巻から放たれる五百を超える落雷。それらを跳ね除けながら撃ち出され続ける弾頭。
 それらが時に空中で爆発し、嵐は荒れ狂う。弾頭に逸らされた雷が地面を抉る。
 拮抗するその戦いの中、砲塔が弾丸を再装填する前の挙動をリューインは見逃さなかった。
「炎よ、駆けろ!」
 高速詠唱で放たれた炎の槍は、リロード機構を焼きつかせ、装填までの時間を確保した。敵の弾頭が途切れる。
「……見事……!」
 絶え間なく撃ち出された弾丸が途絶え、拮抗が破れる。残る百余りの雷は、ノアの本体と戦艦を打ち据えた。
「だが、沈みはせぬ。我が船は……わが想い巡る限り、雲海を漂い続けるのだから」
 町一つ消えるほどの雷撃の果て――戦艦が沈む。黒く染まる大地の中、残されたノアは皮肉げに笑っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・焔
《狐御縁》

WIZ判定
アドリブ歓迎

■心情
沈まぬ船、かぁ。
でも、この島を堕とそうとする様な悪者の船なんて
焔たちの手で沈めてあげるよ!

■行動
『英雄よ、その盾で護りたまえ』
風除けの呪文を唱えて、敵に向かうよ。

火園の紫(UC)を使用して戦うね。
敵の戦艦を破壊するように炎を放ち
焔も炎の上に立つ様に位置しながら戦闘を行う。
「焔の炎よりも、爛達の舞の方が綺麗だと、焔は思うよー」
【対空戦闘】で敵を捉えつつ、ドラゴンランスを【槍投げ】して攻撃するよ。
投げた槍は、竜形態になり自力で手元に戻って貰うね。

■戦闘後
負傷した島民は【医術】で応急手当しておくね。
「シホ姉、お手伝いするよ!」


狐裘・爛
《狐御縁》
心意気は買うけど、迷惑をかけるのはよくないと思うな。みんなを吹き飛ばそうとするなら、それに負けないくらい華やかにこの戦場を彩ってあげる!
変身を解除、普段の姿に戻って、神楽舞を行うわ! 戦闘中でもシホにきちんと聞こえるように堂々とね。感想は…戦後にゆっくりもらうわよ

戦扇を振って【大声】で【存在感】を出しながら【郷愁を誘う】【ダンス】【パフォーマンス】よ
…焔の炎っていつ見ても綺麗なのよね。これが戦闘中じゃなかったら愛でてるのに

いい感じに蒐集欲が高まったら石化術式を解放!
巨大な石くれに変えてあげるわ。もう逃がさない!
燦のお札の力と合わせてトドメの場所で拘束するね。私たちの絆、見せたげる


ルルチェリア・グレイブキーパー
≪狐御縁≫

私はルルチェリア、死霊術士よ
誰と取引したのか知らないけど、島は落とさせないわよ!

燦さんから風除けのまじないを仕込んだ符を受け取り呪文を唱える

凄い大きな艦だけど私の海賊船だって負けないのだわ
艦には船をぶつけるのよ!

UC【お子様幽霊たちの海賊団】で再び空飛ぶ海賊船を召喚
技能【集団戦術】で幽霊の子達に敵艦を砲撃銃撃するよう指示

一点集中、敵艦に風穴を開けてやりなさい!
敵艦は低い位置からの攻撃が得意よ、同じ位置で戦うのよ!
敵艦の攻撃はこちらの船で受ける、皆を守るのよー!

戦いが終わったら嵐で壊れちゃった家の修理もしないとね
島を守れても帰る家が無いのは辛いもの


シホ・エーデルワイス
《狐御縁》

嵐の原因が不沈艦とは…皮肉ね

ノアさん
この島が憎い訳でなく
乗り気でもなさそう

その人は本当に島を沈めるような破壊を望んで約定を結んだのかしら?

1章で燦達から聞いた話を思い出し
風除けの呪いを唱え

貴女の真の望みは
この呪文で謳われしドルムガンドラ帝国に関わる英雄との再会かしら?

もしそうなら英雄が守り残したものを貴女は傷つけようとしています
それは止めます!


第六感と聞き耳で攻撃を見切り
爛さん達の神楽に合わせたダンスで残像回避し
聖銃で援護射撃や燦の符を置きつつ
【終癒】で貫通攻撃


戦後

負傷した島民や破壊された家屋を【復世】で治療&修復
ルル焔ありがとう

懐かしい感じの綺麗な舞で
彼女も安らかに逝けたと思います


四王天・燦
《狐御縁》

アタシ達も自己紹介だ
懐かしい何を見たんだい?

女の子は斬りたくない
不沈艦を堕とすことでノアを止めると宣言
英雄などと大層じゃねーけど実力示してやんぜ

即席改造だが風除けのまじないを仕込んだ符を皆に渡しておく
配置を頼むよ

砲撃や先兵は神鳴の武器受けカウンターで斬る
稲荷符から火属性攻撃の狐火を飛ばして反撃
一発でかいのを狙って船底へと時限爆弾カウントダウンを投擲する
風で煽られてもシホに銃技で軌道修正してもらうよ

戦場を駆けテンペストの陣におびき寄せる
入ったらアークウィンド掲げて真威解放
沈め―否、鎮まれ!

最期に神楽舞を捧げるよ
想い出を夢見れるよう祈りを込めて

彼女が許すならアタシの船に天使核を組み込むぜ



●美しき空
「名乗られたからには、アタシも自己紹介しておかなきゃな」
 ノアの前に不敵に進み出た燦は、真剣な眼差しで彼女を見つめる。
「アタシの名は四王天・燦。なぁ……懐かしい、何を見たんだい?」
 彼女が見たビジョンは、恐らくノアが見たもの。ノアの溢れた感情。しかし、ノアがそれに答えることはない。
「私はルルチェリア、死霊術士よ。誰と取引したのか知らないけど、島は落とさせないわよ!」
「アタシも同じだ。だけど、女の子は斬りたくない……その後ろの船を落とすことで、お前を止めるぜ」
 その燦の宣言を、ノアは一笑に付した。そして、杖で地面を突くと、地鳴りと共に戦艦が浮かび上がってくる。
「やれるものならばやってみろ。我は沈まぬ船。貴様らごときに堕とせるものか」
 船体が浮上したのを確認し、ルルチェリアは大活躍の海賊船の幽霊を再度召喚する。そこに搭乗するのは焔と燦だ。
「この島を堕とそうとする様な悪者の船なんて……焔たちの手で沈めてあげるよ!」
「その意気よ、焔さん! さぁ、しっかり掴まってね!」
 海賊船は速度を増す。目指すは浮沈艦ノアの横っ腹だ。

「思った通り。船は既に、結構なダメージを受けているわ!」
 いかに沈まぬ船と言えど、相手は猟兵。これまでの戦闘で蓄積された戦艦へのダメージは生易しいものではない。
 ルルチェリアはそこに狙いをつけ、大きな凹みに向かって集中放火した。大砲が吼え、砲弾が炸裂する。
 そして、敵の迎撃能力が下方向にないのは先刻承知済み。高度を下げつつ、船底を狙い攻撃を続ける。
「焔も加勢するよ! 『英雄よ、その盾で護りたまえ』……!」
 その呪文を唱え、焔は違和感を覚える。――その魔法に、先ほどまでのような力を感じないのだ。
「焔、どうした?」
「なんだか……魔法の力が弱くなってるような……?」
 疑問はある程度残るが、それよりも優先すべきことはある。
 意識を目の前に向け、焔は手にした槍をルルチェリアの狙った箇所に向けて投擲した。
「紫色の炎よ!」
 空中で翼を広げ、加速したドラゴンランスは船底に小さな穴を開けた。そこからさらに、焔の放つ紫の狐火が延焼する。

「よしっ、このまま……!」
 と、順調に攻撃を続ける幽霊船に飛来するものがあった。嵐のような矢の大群である。
「えええっ!? こ、これはやばいのだわ!?」
 船に命中しそうなそれを、燦が刀で弾いた。その矢は、戦艦に満載された部族のような出で立ちのオブリビオンが放ったものだ。
「この船には当てさせねぇ。こいつでトドメだ……!」
 燦は身を乗り出し、船底に開いた穴に向かって時限爆弾『カウントダウン』を放り投げる。
 風に煽られたそれをシホが銃弾で跳ね飛ばせば、セット完了だ。最も脆く、最も影響の大きい船底に爆弾が入り込み――大爆発を起こす。
「っし! ビンゴ!」
 その爆発は、焔の炎と共にその爆心地を次々に移していく。火薬庫に延焼したのか、大爆発は更なる大爆発を生み、やがて戦艦は真っ二つに砕け折れた。
「……ッ!」
 炎を吐きながら、戦艦ノアが沈んでいく。それを、忌々しげに少女ノアが睨んでいた。

「……船は落ちたぜ。さぁ、ノアさんよ。負けを認めてくれないか?」
 浮島に戻った燦が優しくそう問いかける。しばらく沈黙していたノアだったが、また静かに首を振った。
「心意気は買うけど、迷惑をかけるのはよくないと思うな。どうしてみんなを吹き飛ばそうとなんてするの?」
「我にとって、この島の命など何の価値もない。それを吹き払うことが約定だ――天秤にかける必要もあるまい?」
 爛に答えるそのノアの様子。それに、これまでの戦いで見たノアの振る舞い。そこからシホは、彼女の目的を推察する。
「――その人は本当に島を沈めるような破壊を望んで約定を結んだのかしら?」
「何……?」
「『英雄よ、その盾で護りたまえ』……貴女の真の望みは……
 この呪文で謳われしドルム・ガンドラ帝国に関わる英雄との再会ではないのかしら?」
「……!」
 その反応は、その推測が事実であることを物語っていた。ノアの真の望み。そしてそれは、ドルム・ガンドラ帝国の望みにも近いものがあるはず。
「そうか……先ほどの舞を捧げたのは貴様らか……!」
「……もしそうなら、英雄が守り残したものを貴女は傷つけようとしています」
「貴様らが……何を知っていると言う。何を見た!!」
「それは、止めます……!」
 ノアが放つ風の刃と、シホの放つ光が空中で激突した。それは戦闘再開の狼煙であった。

 舞を舞うように優美な動きで、爛がノアに炎を投げつける。
 しかしノアは最低限の杖の動きでそれを捌き、風で吹き上げ、それらを無力化していく。
「さすがに強いわね……!」
 だが、この戦いはもはや終わりが近付いている。それを爛は知っていた。戦いと共に、彼女たちが仕掛けた種が花を開く。
「……!? 風が……!」
 それは、密かに仕掛けられた燦の符であった。それらが張った結界に足を踏み入れたノアを、暴風が拘束する。
 燦は風の短剣、アークウィンドを掲げる。暴風は集い、天へと伸びる。
「風よ、集いて嵐となれ。嵐よ、舞い降りて破滅の鉄槌となれ!」
「舐めるな……我は風の支配者。貴様らごときに縛れるものか……!」
 結界による風の拘束。それをノアは、拘束されながらも破ろうとした。燦自身、結界が内側から破られようとしているのを感じる。
「くっ……! あと少し……!」
「止まりなさい……!」
 爛はそこに炎を叩き込んだ。命中した炎はノアの手足を石化して拘束し、魔力操作を妨げる。
「石くれに変えてあげるわ。もう逃がさない!」
「この、程度……!!」
 それでもなお、風の支配者の名は伊達ではない。暴れる風を制御しようとする燦の手を、シホが支えた。
 魔力と風の制御が落ち着いた。燦はシホに微笑み、アークウィンドの力を解放する――!
「結界展開……テンペスト!」
 短剣を振り下ろせば、限界まで圧縮された暴風雨が彼女に降り注ぐ。
「ぐ、あ――ああああああァァッ!」
「沈め――否、鎮まれ!」
 燦の叫びは天に届いたか否か。――暴風雨の鉄槌の果てに、ついにノアは倒れた。

「……結局手荒な決着になっちゃったな。……ごめん」
 燦がノアの近くに座り込んだ。その表情と言葉を、ノアは嘲笑するように声を漏らす。
「元より、我と貴様らは敵同士……下らぬ感傷だ……まるで、奴のようだ……」
「それが……あなたが再会を望む、英雄ですか?」
「ああ……甘くて、優柔不断で、騙されやすくて……そして何より人を愛した……愚かな、唯一の、我が友……」
 ノアは自らの持っていた杖を、燦の足元に転がした。その中心に嵌め込まれているのは、加工された天使核だ。
「持っていけ……勝者の、証だ……」
「ノア……」
 燦が手にしたそれは、とても古く、そして質の高い天使核だった。――彼女は、神楽鈴を取り出す。
「……最期に舞を捧げるよ。お前が、想い出を夢見れるよう……」
 焔と爛もそれに従い、彼女に舞を奉納した。ノアは倒れたまま、それを力なく眺める。
「あぁ……英雄よ……また、我に……乗って、共に……」
 最期に彼女がこぼした涙は、風に溶けて消えていく。それと同じように、その身体もまた、風の中へと消えて流れていった。

「……さて。それでは、後片付けといきましょうか」
 戦いは終わり、シホは軽く手を叩いた。この島を襲った暴風は、甚大な被害をもたらしている。それを直さなければならない。
「シホ姉、お手伝いするよ! 怪我人の治療は任せて!」
「私も家の修理、お手伝いするわ。島を守れても、帰る家が無いのは辛いもの」
「それじゃ、私も! シホに私の舞の感想、聞きたいし!」
「ルル、焔、爛……ありがとう」
 燦は、手にしたノアの天使核を持ち上げ、見つめていた。空を閉じ込めたような美しい色の天使核だ。
「……アタシは英雄なんて大層なもんじゃないけどさ。……ちゃんと、連れていくよ」
 お前が望んだ空へ、一緒に。……決意を胸に、燦は皆の元へ合流しようと駆け出した。



●『我らは力を求める』
 ……一方、そのころ。
 ブルーアルカディアのどこかの大陸の、どこかの居城。その王の間にて、魔道士然とした一人の男が鎧姿の男と向き合う。
「これは皇帝陛下、ご機嫌麗しゅう。『奇策』のアルフレッド、ここに参上いたしました」
 鎧の男はうむ、と短く答えると、玉座に座り込んだ。アルフレッドはその前に跪く。
「ノアが堕ちたそうだ」
「……ほう、それはそれは。アレを落とすとは、随分な使い手もいたものですな」
 アルフレッドは眉を下げ、しかし同時に口角を釣り上げた。
「たった一人の友のために討ち死にとは、悲しくも泣けるお話です。……して。我が国は彼女の献身に答えることは出来たや否や?」
「お前の作戦通りに事は進んだ。あの者と勇士らとの戦いに乗じて――」
 そこに、黒い翼を持つ二人の騎士が現れる。彼らが二人で持ち支えるのは、錆び付いた、一般的なサイズの盾だ。
 だが、その内に宿す魔力は異質そのもの。まるで盾は生物かのように、周囲の魔力を吸収しては吐き出していた。

「潜入した工作兵により、『盾』は我らの手に舞い戻った」
「ほう。それが我らが英雄殿の? ……いつ見ても、忌々しいほどに力強い!」
 アルフレッドは肩を竦めると、その場を去ろうとした。その背を鎧の男が呼び止める。
「アルフレッドよ。お前は我ら帝国の意志に背を向けているな」
「……なんの事です?」
「だが覚えておくことだ。背こうとしても、我らは案外同じ方向を向いているのやもしれぬと。……お前と同じ思いを抱く者も、少なからずいるのだと」
 アルフレッドはその言葉に返事をしなかった。肩を竦めることもなく、皮肉に笑うこともない。
「――ムセウム・モルスの件の、研究を続けます。またお会いしましょう、『テウルギア』陛下」
 最後まで振り向きもせずに、アルフレッドは王の間を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月08日


挿絵イラスト