祭りの喧騒と熱気から、少し離れた静かな一角。
ビーチベッドや茣蓙に柔らかなビーズクッションなど、楽な形で楽しめる場所がいくつも用意されている。
流星の欠片の様なランプがいくつも置かれた幻想的な此処は、新し親分衆の用意した妖怪花火が美しく見えるという隠れスポットの一つだ。
夏の盛りの夜は暑い。
折角の夜の為、此処には最高に冷えた一杯が待っている。
カロンと氷は踊り、シュワと泡の舞うドリンク類は甘やかなものからアルコールまで、色も味も取り取り揃えてある。細やかなアミューズグールやプティフールが小さなカウンターに揃っており、万全の状態で今か今かとお客様を待っていた。
さぁ、グラスを持って。
素敵な今宵に、君と乾杯を。
●夜に花を見る
「暑いですね……でも、今年の夏はとても楽しゅうございます」
ふふふ、と嬉しそうに笑った壽春・杜環子(懷廻万華鏡・f33637)が、猟兵達の顔を見てパッと思いついたかのように手を打ち合わせると、手元の籠から小さなチラシを差し出した。
明らかに即興で手書きのソレに“靜夏の夜の誘い”の文字。
「花火をゆっくり眺めませんか?」
ドリンクや軽いフード類、そしてビーチベッドや茣蓙などの用意された快適空間でゆっくり花火を見上げながら冷たいドリンクを楽しめる場所なのだという。
静かな隠れビーチゆえ、あまりはしゃぎすぎるのはお勧めしないが――……。
「こちらでは、静かにはしゃぐ?と申しましょうか……そういう楽しみ方が良いかと存じまする」
熱気に楽しんだ自身を冷ましたり、ゆっくりと羽を伸ばすのに向いていることだろう。
はしゃいで楽しむだけが、夏休みではないのだから。
“大人の休息”には静けさも必要だから――……ようこそ、靜夜ビーチへ。
皆川皐月
お世話になっております、皆川皐月(みながわ・さつき)です。
夏だー!わー……と、静かにゆったりしっとりなオトナタイムします。
●シナリオの流れ
夏に夏を楽しみます。
●靜夏ダイナー
《限定メニュー》
・アミューズグール(省略記号:★)
えびのスイートチリ&ブロッコリーフリッター
和風ライスコトッケ ローストキノコ添え
ミニチーズパイ&ブラックペッパークッキー
の、三種類一皿。
・プティフール(省略記号:▲)
柚子ソルベ&酢橘ゼリーのミニパルフェ
抹茶と煎茶ミニシュー(2個)
木苺の寒天寄せ
の、三種類一皿。
・花火の一皿(省略記号:■)
火華の欠片(琥珀糖)
夜一掬い(葡萄寒天)
夏のこえ(ミニ鯖サンド)
の、三種類一皿。
ドリンク類は様々あります。
アルコール類は勿論、ソフトドリンク各種揃えています。
●妖怪花火について
乗れます。
飛びます。
歩けます。
ちゃんと普通にも見られます。
●お席について
茣蓙&ビーズクッション(🌊)
ビーチベッド(🏖)
ご希望は()内の記号でお知らせください。
未記入の場合雰囲気で皆川が決めます。
●注意
複数人でご参加される場合、互いの【ID】または【旅団名】などをご記載いただけますと助かります。
また失効日も揃えて頂けますとなお嬉しいです。
●おすすめ
マスターページに文字数を省略できるマークについての記載があります。
もしよろしければご利用くださいませ。
今回は一章限りですが、ゆっくりお楽しみくださいませ。
プレイングにて🌸又は苗字:壽春、又は名前:杜環子とご指定頂きますと、
壽春・杜環子(懷廻万華鏡・f33637)がご一緒させていただくことも可能です。
基本的にジュースを啜りつつ花火にぴょこぴょこ喜んで背景のあたりにおります。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み2021』
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POW : 妖怪花火で空へGO!
SPD : 妖怪花火の上で空中散歩
WIZ : 静かに花火を楽しもう
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マキナ・エクス
アドリブ歓迎
【WIZ】■/🌊
席に座ってドリンクやフードをつまみつつ本を読んで過ごす。花火があがったらそれをのんびり眺める。
ふう…水着コンテストもひと段落だね。
せっかくの隠れスポットだのんびりとしていくとしよう。
しかし、最近はいろいろなところに訪れたりして忙しかったからこういうゆったりとした時間を過ごすのはなんだか久しぶりな気もするね。
茣蓙とビーズクッションの相性は最高だね。ふふっ、なんだかダメになってしまいそうだ。
いい思い出になりそうだ。のんびり楽しませてもらおう。
●靜夏の夜に一つの幸福な結末
夏の暑さに耐えた体をぐうっと伸ばす。
「ふう……水着コンテストもひと段落だね」
ぐるりと首を回して肩を回して少し解すと、じんわりとした昼間の余韻も解れてゆく気がして、マキナ・エクス(物語の観客にしてハッピーエンド主義者・f33726)はつい口角を上げていた。
座った折り触れた茣蓙の感覚は存外冷たく爽やかで、喧騒から離れたこの場所は一人で休むには本当にうってつけ。かろん、と氷がうたうグラスを傾ければ、甘すぎずどこか清涼な桃の香りを緑茶が追って、喉を抜けた心地よさにマキナは目を細める。
本に会うものを――と言ったマキナへ出されたのは、ワイングラスに氷と共に注がれた“白桃冷茶”。シンプルに鮮やかな若緑のこれは背のビーズクッションに体を沈めながら傾けるのも、本を手にしても飲みやすく、マキナはとても気分が良い。
「カウンターでリクエストの甲斐があったというものだね」
くるりとグラスを回せば、かろん、こりん、と氷がおどる。脇のミニテーブルにグラスを置いて、勧められた花火の一皿のサンドウィッチを摘まむ。
焼かれたサバの香ばしさも然ることながら、脂ののった身に嫌味は無く山椒マヨがぴりりと心地よいではないか。
「はぁ……しかし、こういう時間も久しぶりだ。忙しいのは悪くは無いが、うん」
たまには全力で羽を伸ばすのも悪くは無い。
指先を布巾で拭いながら、ビーズクッションに体を沈めた、その時―――……。
ヒューー……ドンッ!ドン!
「綺麗だ」
こういう時はたまやだったか、かぎやだったか……本の一節で見たそれも、今は彼方。
ふふ、と零れた笑みそのままにマキナは白桃緑茶で唇を潤した。
大成功
🔵🔵🔵
乱獅子・梓
【不死蝶/2人】◎🌊
わいわいと賑やかな祭りも勿論楽しいが
こういう静かな時間も良いもんだな…
洒落たハワイアンカクテルをくいっと飲み
大人な時間を堪能……と思っていたら
急にキューキューガウガウ鳴いて抗議してくる仔竜達
ちょ、コラ!静かにしなさいお前達!
周りを気にして必死にしーっと促す
さては腹が減ったんだなお前達…
ちょうど俺も小腹が空いてきたところだ
せっかくだし、限定メニューとやらを注文しようか
焔と零も食べたがっていることだし
俺はしっかりと食べ応えがありそうなアミューズグールで
仔竜達に一口分ずつ与えつつ、自分も頂く
おぉ、このクッキー甘くないんだな
ビールによく合いそうだ
今度自分でも作ってみようか
灰神楽・綾
【不死蝶】◎🌊
そうだねぇ…(トロピカルジュースを飲み
静かな空間に鳴り響く花火の音が心地良くて
ビーズクッションの気持ち良さも相まってこのまま眠れちゃいそう
あはは、焔と零には大人の時間は退屈だったかな?
ああ、なるほど
長く一緒にいると焔と零が何をおねだりしているかも
梓にはお見通しなんだねぇ
じゃあ俺も行く行くー
カウンターに並ぶ美味しそうな料理に目を輝かせる
チーズパイやパフェにも心惹かれるけど…
名前も見た目もとっても素敵なこれにしようっと
花火の一皿を指差し
琥珀糖、「食べる宝石」と言われているそうだけど
まさにその言葉がぴったりな美しさ
食べるのが勿体ないなぁ…と思いながら一つ一つ大事に味わう
●靜夏の夜に不死蝶の羽搏きを
喧騒から離れれば、人というのは何故か体を伸ばしたくなる。
乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)の手中でグラス満たす青の名は“ブルー・ハワイ”。鮮やかな色に反して甘く香るラムとパイナップルやレモンの甘酸っぱさは夏の海岸らしい一杯だ。
「はぁー……うま、っとぉ!?」
「キュイッ、キュ、キュー?ルルル」
「ウルル……ガウッ!ガウ、グルル」
小さなビーズクッションを堪能していたはずの小竜二匹が突然起き上がると、カクテルの美味しさを堪能する梓をよじ登りおいしい?おいしいの?とくんくんしながら迫る一匹に、ぶうぶうと猛抗議して目を吊り上げる一匹。まるで性格が正反対な幼い子供のように、食べたい飲みたいの大騒ぎ。
「あっ、ちょ、コラ!静かにしなさいお前達!」
「……ああ、なるほど。長く一緒にいると焔と零が何をおねだりしているかも分かるんだね」
おやおや、と微笑まし気に一人と二匹を見た灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は緩やかに目を細めれば、小竜の駄々捏ねをなんとか両手に抱えて抑え込んだ梓は叱るような言葉の割に、ひどく甘い顔をしていた。
「お前達、腹が減ってたのか。ちょうど俺も小腹が空いてるし……」
「梓はお見通しなんだねぇ。あっ、俺も俺もー」
目移りをしてカウンターで選んだ梓は“アミューズ・グール”の一皿。両肩に乗る小竜達の視線の熱さに梓が笑えば、並んで見ながら“花火の一皿”を選んだ綾も、本当に人の子供のように梓へ絡む小竜達の姿に釣られて笑顔になる。
押さえていた席へ戻って、乾杯を。
綾のグラスはハイビスカスティーをベースにしたトロプカルサンセットティーで満ちていた。
刻んだマンゴーにパイナップルとオレンジジュース、ハイビスカスティーを加えた甘ずっぱくも爽やかな一杯に、一口目は琥珀糖を。
「食べる宝石って名前、ぴったりだ」
「じゃ、俺達も」
しゃくりと齧ったのは二人とも同時。
琥珀糖は甘酸っぱい林檎味で綾を楽しませ、梓のブロッコリーのフリッターは熱々。
「……わ、甘酸っぱい!」
「あっつ、……わ、うま。ほら、おいで」
期待に胸を膨らませていた小竜達は梓が呼んだ瞬間に飛びつくと、小さな手でいただきます!と大喜び。ほんの少し刺激的なスイートチリにぱちぱちと瞬きし、サクサクのフリッターにぴょこぴょこ跳ねる。
穏やかな一時にそれぞれが笑顔になった時、ヒューっと光が空を昇る。
「あ、」
……―――ドンッ!
「綺麗だね」
「だな」
花火が互いの顔を照らす。
爆ぜた空の光に過ぎた夏の熱を感じながら、もう一度乾杯を。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
狐裘・爛
《狐御縁》
水着はハートをあしらった黒
恥ずかしがるなんてもったいないわ!
胸を張りましょ、焔……わっ。おお……た、確かに? 攻めてるわねぇ。ここどうなってるの? へーふーん
▲
ん、んんー! さっぱりした寒天寄せってのもオツね。何より見た目が綺麗
あむっ?! あっおいし♪
じゃなくて燦、もう……私に食べさせてほしいの? あーんってしなさいほらあーん! ふふっ
ルルは全部美味しそうに食べるわね。つられて食べすぎちゃう
縁リボンの話は小耳に挟んだわ。リボンを持ってない方がいたら握らせて、花火にのぼらない方がいたら誘って引っ張りあげるから。強引? まあアレね。こういう時にはしゃいで楽しめるのが大人ってものよ!
シホ・エーデルワイス
≪狐御縁≫
◎
そうね
騒げる方が良いかもと思いましたが
皆さん楽しんでるようで良かったです
水着は今年のコンテストの白ビキニ
恥かしくてカバーアップとパレオで隠すも
燦に見つめられ紅潮
でも喜んでくれて嬉しい
ありがとう
焔はスタイルの良さが際立つ大胆な水着で吸血鬼らしい力強さも感じます
そうね
堂々としましょう
▲
ルル
シューも食べてみる?
私はエビを頂こうかしら
このエビもプリプリした食感で美味しいです
燦と爛さんが食べさせ合う姿にモヤモヤしていると
爛さんにリボンを握らされ引っ張り上げられホッとする
ありがとう
ちょっと強引な方が助かります
落ちたテフラさんを助けようと飛び出し
宙吊りになっている所を抱えて皆の元へ戻る
もふもふ♪
四王天・燦
🏖■
焔と対のシスター水着にサングラスかけてビーチベッドで皆の傍にいるよ
大人げなくアダルトなオーラをルルに見せつけてドヤ顔してます
シホ似合ってるぜ
んふー、薄布がドキっとしちゃうね
じーっと見つめるのでした
爛、ミニシューちょーだい
琥珀糖を一つあげるから―と爛の唇に琥珀糖を押し付ける
女子会らしくあーんするよ
花火の上で、こんなの用意してみました―と一本の長いリボンを取り出すよ
皆で持てば縁の繋りみたいでしょ
花火の上で焔に耳打ち
お隣の花火に飛び移って神楽舞を見せようぜ
舞の最中、うっかりテフラに繋がるリボンを引いて転落させ…
大丈夫だミスリル糸を縫い込んでる!
踏ん張りつつ、シホに引き上げてーと騒ぐぜ
四王天・焔
《狐御縁》
SPD判定の行動
アドリブ歓迎
■心情
静かな雰囲気のビーチ、素敵だなぁ。
皆でワイワイ騒ぐのも良いけど、たまにはこういうのんびりとした感じも良いね。
■行動
水着は2021年の水着コンテストで着た、ヴァンパイア風の水着を着用。
「やっぱり皆に水着を披露するのは恥ずかしいなぁ」
焔はソフトドリンクを飲みながらゆっくりとしておこうね。
アップルジュース飲んで涼みたい!
シホお義姉ちゃんも、恥ずかしがらなくても凄く水着似合っていて可愛いよ。
燦お姉ちゃんも、一緒に神楽舞見せてみるのも面白そうだね。
ルルチェリア・グレイブキーパー
≪狐御縁≫
今年の夏はフリフリのピンクのビキニよ!(その上にラッシュガード)
ぐぬぬ、私だって数年後には皆みたいに大人っぽくなるもん
★
お酒は飲めないけど、素敵なアミューズやお菓子が私を癒してくれるわ
もぐもぐ……チーズパイが食べ出したら止まらないのよ
シューをくれるの?有難うシホ!じゃあ、私のお皿のと交換ね
もごもご……後味が爽やか、お茶のいい香りがして美味しいわ
そうそう、爛さんも一緒にお腹いっぱい食べるのよ
今日だけならきっと大丈夫よ
妖怪花火に皆と乗るのよ
上から見る花火も綺麗
リボンの縁?良いわね、私も持つわ
花火の上で燦さんと焔さんの神楽舞
なんだか幻想的だわ
ギャー!テフラさん!しっかりするのよー!
テフラ・カルデラ
≪狐御縁≫
◎
🏖
もふっと水着姿で登場なのですっ!
今年の水着はケモモード前提のデザインなのです♪
メニュー…色々あって迷いますが、■のミニ鯖サンドを選びますっ!
はむっ…んん~…とてもおいしいのですよ~♪
花火を歩く…普通なら有り得ない話なのに、実際にできちゃうのがすごいですね…
リボン…縁が繋がっているという形…とても素敵なのですよ♪
今はケモモードなので他の人に合わせながらかるーく花火を登っていきます
燦さんと焔さんの神楽舞に見とれていたら不意に引っ張られて…
ひゃわぁぁ!?落ちて…ない?リボンにミスリル糸を仕込んであったようで何とか引き上げられて助かりました…
こ…これもまた思い出ってことでっ!
●靜夏の夜に狐御縁を結ぶ
折角のお気に入りを纏った夜なのだから、最後まで楽しくいかなくちゃ!
ビーチベッドに横たわれば海を凪ぐように吹いた夜の風が存外涼しい。
「静かな雰囲気のビーチ、素敵だなぁ」
うーん、と腕を伸ばした四王天・焔(妖の薔薇・f04438)の今年の水着は非常に大胆なヴァンパイアイメージのデザインだ。こういう雰囲気も楽しみたいね、と微笑む焔の言葉に頷いた狐裘・爛(榾火・f33271)が胸を張って頷きにこりと笑う。
「そうよ、恥ずかしがるなんてもったいないわ! 胸を張りましょ、ほむ……焔?」
「んー……やっぱり皆に水着を披露するのは恥ずかしいなぁ」
「おお……た、確かに? 攻めてるわねぇ。ここ、どうなってるの?」
爛の言葉に数度瞬いた後、ふわふわの耳にそっと焔が耳打ち。
「へー、ふーん」
ほむほむほうほうなーるほど。と焔の水着の秘密に爛が好奇心に尻尾をふわふわ揺らす隣では、四王天・燦(月夜の翼・f04448)がビーチベッドに横たわるとすらりと長い脚を組み長い脚を組み、大人っぽい余裕の微笑みを浮かべている。
掛けたサングラスから宝石の様な金瞳を覗かせた視線の先に、今年は大人っぽい水着を選んだ少女達が居る。先に恋人の燦の視線に気が付いたシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が赤くなった頬を押えて恥じらえば、当の燦は愛しい恋人にご満悦だ。
「そんなに見つめないで、燦」
「私は恥ずかしくないわ!今年の夏は大人っぽくフリフリのピンクのビキニよ!」
ラッシュガード着であるけれど。
じいっとルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)見つめながら、わざとらしく足を組み直して成熟した大人の体型を見せつける燦の視線が刺されば、ルルチェリアが頬を膨らませてぷんぷん怒り顔。
「ぐぬぬ、私だって数年後には皆みたいに大人っぽくなるもん!」
「はい、はい……っと、シホはちゃーんと似合ってるぜ?」
昨年と一転して爽やかな白ビキニに透けるフリルのカバーアップと爽やかに透ける青のパレオは十分にシホの魅力を引き出している。
ありがとうと微笑むシホは、幸せな空気を纏っていた。
じっと、空を見上げる赤い星の様な瞳のうさぎが一羽。上がる花火にそわそわと耳を揺らすのはテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)だ。楽しそう、と飛び込んでみたい気持ちはあるけれど、今はまだ。
まずは楽しかった昼間を祝福する乾杯から!
ティン、と薄いグラスがぶつかり合って奏でる音は涼やかに、トロピカルで爽やかなパイナップルとレモンのウェルカムドリンクに舌鼓を打ち、パリッと焼き目の覗く鯖サンドをテフラは一口。
「はむっ…んん~…とてもおいしいのですよ~♪」
「わあ、この林檎ジュースもおいしい!」
焔のオーダーした林檎ジュースは目の前で生絞りされ、砂糖無しの純粋な林檎の甘さが口いっぱいに広がってゆく。のど越し爽やかで嫌味もべた付きも無いジュースに焔の三本のふわふわ狐尻尾が大喜びする傍ら、子供には少し刺激的な山椒を和えたマヨネーズも挟まれた鯖サンドにテフラも大喜びな隣でテーブル囲むルルチェリアも、チーズパイのサクサクととろりとしたチーズの絶妙な塩味に耳をピコピコ尻尾をぱたぱた。
「……チーズパイが食べ出したら止まらないのよ」
「ルル、シューも食べてみる? 私も……あ、エビいただくね」
それも美味しいです!と頷くルルチェリアにシホが微笑み口にしたエビは、プリっとした半生食感に絡むスイートチリ特有の酸味とぴりりとした辛みが癖になる。向かいで木苺の寒天寄せを食んだ爛が、弾けた木苺の甘みと酸味に絡まった寒天の間を取って絡まる美味しさに瞳を見開いた。
「ん、んんー! さっぱりした寒天寄せってのもオツね。何より見た目が綺麗」
「ねえ爛、そっちのミニシューちょーだい。琥珀糖を一つあげるからー」
あーんと燦の差し出す宝石の様な琥珀糖。
淡いランプの明かりに照らされ、本物のよう――と、差し出す燦の悪戯な微笑みに爛も笑うと摘まんだ抹茶のシューを差し出した。
「燦ったら……私に食べさせてほしいの? あーんってしなさいほらあーん! ふふっ」
賑やかな女子会も佳境に入れば、空いたグラスを丁度良いタイミングとして“花火に乗ろう”!の提案に全員が同意。
上手く花火に乗るためには打ち上げ場へ……。
ドーン! と上がる花火の音、所謂根本のような打ち上げ場へ近付く毎に耳の奥から頭を揺さぶるような振動と爆音がテフラのわくわくを加速させる。
「これ、花火の上で皆で持てば縁の繋りみたいでしょ?」
そう声上げた燦が取り出した長い長いリボン。繋がったそれを順に持って、笑い合えば“狐の御縁”の完成だ。
――リボンを握ったまま、上がる花火を見つめていたシホの頭を過るのは先程の爛と燦の光景。
「……はあ、」
ああもう、とかぶりを振ったシホを並んでいたテフラが心配そうに振り返る。
「シホさん、大丈夫ですか?」
「ありがとうテフラさん、大丈夫です」
ちょっと強がるのは、お姉さんだから。せーのっ、と手を引いて飛び込んだ花火の中、打ちあがった先で見たの近いこと――……でも、煌々とした星も月も手は届かないくて――。
「わあ、燦さんも焔さんも綺麗!」
上がった声に振り向いた先、いつの間にか飛び移った燦と焔が優美に待っている。シホが大好きな燦の神楽舞。あまりに優美で、きっとシホが神様なら連れ去ってしまいそうな――……。
くん、と不意に握っていたリボンが張る。
「っ、わ!」
咄嗟に握れば、悲鳴。
「ひゃわぁぁ!?」
「ギャー!テフラさん!しっかりするのよー!」
シホから二つ先の花火、テフラとルルチェリア付近から悲鳴が響く。夜に落ちてゆくうさぎの姿に誰かが叫びかけた時、シホの耳慣れた声が響いた。
「ごめん!大丈夫だ、ミスリル糸を縫い込んでる!……シホ!」
「っ、はい!」
咄嗟にリボンを引き寄せ掴んだ燦が叫ぶ。
不謹慎ながら、咄嗟に燦が呼ぶ名前は自分なのだと――そう理解してシホは背の白翼で羽搏いた。ぎゅっと受け止めたテフラのふわふわ感で、全てを隠して。
無事を喜びあって、また花火に飛び込もう。
今度はきっと誰もがリボンを握って、思い切り笑いあえるはずだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夜鳥・藍
WIZ
ちょっと一味違う過ごし方ができると聞いたけど。
あとちょっとで二十歳になるとはいえまだ未成年だしいいかしら?
🌊
席はビーズクッションがいいかな。沈んでみたいし。
あ、あのランプ素敵。どこで売ってるのかしら?
メニューは……あんまり食べられない方だし迷うけど……(通りすがった姿に声かけ)あ!あの杜環子さん。いきなりで申し訳ないですけどおすすめって分かりますか?
メニューもですけど、飲み物もメニュー決めてからの方がいいんですよね?
メニュー記載しますがおすすめあればそちらに変更可です。
飲み物もおすすめあれば幸いです。
★)えびのスイートチリ&ブロッコリーフリッター
▲)抹茶と煎茶ミニシュー
■)火華の欠片
●靜夏の夜と宙の瞳
カウンターに立ち並ぶカラフルなアルコールに憧れてしまうのは、もう少しで成人するゆえか。
大人の自分はどんな風にお酒を味わうのだろう?そんな想像を胸に、空いていたビーズクッションへ飛び込んだ夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)がゆっくりと沈んでゆく。
ずぶずぶと埋まってゆくけれど、丁度いい位置で止まる不思議さについ顔が緩んでしまう。
「ふう……あ、あのランプ素敵」
所々に置かれたとげとげした金平糖の様なランプたちを見つめれば、ついそんな言葉が出てしまう。ふうっと、藍の鼻を美味しそうな食欲そそる香りが掠める。
「わあ、美味しそう……あっ!あの、杜環子さんっ」
「はい……?あ、こんばんは。夜鳥様」
ようこそ、と微笑む壽春・杜環子(懷廻万華鏡・f33637)を偶然見つけた藍が咄嗟に呼び止めれば、杜環子は見知った顔に微笑んだ。
「いきなりで申し訳ないんですけど……おすすめ、って分かりますか?」
ドリンクも決めてしまった方がいいんですよね?と藍がそわりとすれば、微笑んだ杜環子がこっそりこそこそ“苦手な食べ物を避けて、お好きなものだけも大丈夫ですよ”と耳打ち。
所謂アレルギー対策も兼ねているのだと言えば、なるほどと藍も合点がいく。
「じゃあ……これと、これと、これを。ドリンクは、この組み合わせに合いそうなの、とか」
藍のチョイスはえびのスイートチリ&ブロッコリーフリッター、抹茶と煎茶ミニシュー、火華の欠片の三種類。甘味多めの選び方に、ふむと唸った杜環子がにこりと笑って。
「では、お口がさっぱりする、こちらのレモン、パイナップル、シークワーサージュースをブレンドしたトロピカルドリンクを」
口をさっぱりさせる酸味の中に甘みを秘めた夏の一杯に頷いた藍の注文決定。
お席まで、杜環子が微笑めばさり気無い会話が静かに続く。ご無事でよかった、お疲れ様です、いつもありがとうございます――……なんて、会った時しか言えない言葉がいくつも並んだこの夜に。
ドンッ――とあがった花火に二人は微笑む。
いつもありがとう――そう感謝を込めた杜環子からの一皿と一杯を貴女へ。
大成功
🔵🔵🔵
ユルグ・オルド
◎★ 綾/f01786
宵の更にくらがりへと
踏み入れるだけで
冷えた気がすんだからまァ不思議
調子外れの鼻歌と酒瓶にグラスと座り込み
寝る気満々じゃん
起こさねえからと茶化して笑って
夢に落ちる前に杯の音だけ夏に贈ろう
ンでまあ豪勢に並べたなあ
宝箱引っ繰り返した王様横目に
チーズパイがうまい
やっぱしょっぱい方がよくない?
悪戯に攫った手を追って琥珀糖を一欠片
舌の上で砕けるのと同じに
光の破片が散らばって
焼き付けた端から映り込む
そら結構な高嶺の華じゃアない
手が届かないトコもそっくりだわァ
焦れる心地で杯がすすむのも
煙だけ残して夜に消えるところなんて、
まさしくだと笑う声も夜と乾す
都槻・綾
◎★▲■
f09129/ユルグさん
花火がよく見えるよう
ともしび少ない場所を選んだなら
すっかり棲み処で寛ぐみたいに
片肘ついて横になっても許されるかしら
なぁに
此れなら
眠くなっても倒れる心配が無いもの
澄まし顔で宣い
さぁ、乾杯
夏を祝おう
欠けた器が故に幾らでも味わえる底無しの腹のお陰で
一皿のみを選び切れず
ついつい全てを手に取ってしまったものの
肴が進まぬ訳も無く
海老に柚子、琥珀糖、あれこれ
酒との相性を語らいながら
しれっとユルグさんの皿からも摘み取る
天に踊る華やかな大輪はまるで美姫
咲いて散り行く儚いいのちのようでもあるけれど
衣を解く妓のようでもあるでしょう、艶やかねぇ、
なんて
悪戯な囁きも笑みも
暗がりの中の戯れ
●靜夏の夜に刃と香炉の語らいを
宵の宵へゆく。
夜の影の内というのは、こうも涼しい物かと笑ったユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)が借りてきた茣蓙を敷きビーズクッションを乗せてしまえば即席の楽園が完成する。
「なんか冷えた気がしてまァ不思議……というわけだから、」
「ええ、」
同じく茣蓙にビーズクッションを置いて既に半ば埋まっている都槻・綾(絲遊・f01786)の瞳はとろんとしていた。寝る気満々じゃん、というユルグの言葉に淡く頷く綾の瞳は割と本気で眠気にぐらぐら。
「起こさねえからね?」
「なぁに、此れがあるから心配無いもの」
ぽんぽんと綾の手が撫でたビーズクッションにふっと吹き出したユルグがいたのは仕方がない。すりすりとビーズクッションに頬擦りしそうな綾の手に、眠ってしまう前にユルグは小さなグラスを持たせ、持ち込んだ今宵の一杯を注ぐ。
“それじゃァ、乾杯”。
酒が進めば眠るよりも喋る方ないしは――……。
「ンでまあ豪勢に並べたなあ」
「器が欠けているもので」
これは所謂ヤドリガミジョークというやつかもしれない。
パッと見て人の形ながら、二人の大本は刃と香炉。全く違う物なれど、人型で語らえば不思議と気が合い交わす言葉が軽快になってゆく。
「ん、チーズパイうまい」
「いいですねぇ」
あっこいつ、とユルグが言うより綾の指先の方が早い。
既に自身の皿はを開けて、むぐむぐと食んではグラス傾け酒を味わい笑っていた。
「ふむ、存外琥珀糖というのも悪くない」
「へぇ、いいな」
しゃり、と琥珀糖の硬い外皮を綾が食んだ直後、ユルグの指先が迷いなく琥珀糖を攫ってゆく。少し喉焼く酒精冷ましに柚子ソルベの冷たさと酢橘ゼリーの酸味が効くとなれば、一口。二人揃って顔を酸っぱくし、どちらともなく笑っていた。
大した会話など、無くていいのだ。
大仰な話題など求められず、ただ“これ美味しい”“じゃあ一口”一言二言に美味い酒と肴があれば事足りる。
少し欲を出してよいのなら――……。
ヒューッ………――ドンッ、ド ドン。
空の大輪があれば十分。
「おや、咲きましたねぇ。まるで美姫だこと」
「そら結構な高嶺の華じゃアない」
軽口とて肴だ。
気づけばユルグの盃は乾いている。
「ん?ふふ……衣を解く妓のようでもあるでしょう、艶やかねぇ――なんて」
「手が届かないトコもそっくりだわァ」
目を細め空を見たまま語る綾を、ユルグは見ていた。
言葉に主語は無く、誰彼と言わず、煙に巻きそうな目の前の香炉へ言葉を投げる。
夜宵宵に戯れて。
肉の内にある心の臓震わす大花火を頼りに、きみをみる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
呉羽・伊織
【翳】🌊★◎
(常の軽い調子は鳴りを潜め――
珍しく静かな一面を覗かせながら
ひっそり花火や飲食を楽しんで)
…
ソレには触れない約束デショ!
(…いたハズがっ
不意の言葉に思わず雰囲気壊しかけ
誤魔化す様にグラス傾け取り繕い)
(自棄酒チガウヨ?)
コホン――ま、今日は元からお前を呼ぶつもりだったから良いんだよ
ほら、賑やかなトコだとお前落ち着かないだろ?
でも静かな隠れスポットならさ
偶にはゆっくり一息つけるかと思ったワケ
――ウン、ホントダヨ?
ソレよかその琥珀糖一つとこのパイ交互して!
(緩く笑いはぐらかしつつ――悪くはなさげな景近の様子に、ほっとして)
――お互い、今日ぐらいは心休まる夜を得たって、罰は当たらないさ
百鬼・景近
【翳】🌊■◎
(特別語らうでもなく
花火の音だけが響く中
静かに食事や景色を味わって暫し――)
……
ねぇ、どうしてまた俺に声を?
こういう場なら、君は真先に浪漫を求めに行くものと――
(彼がいつも譫言の様に口にする水着美人だとか
そういうものとは真逆も真逆な男なので
思わずぽつり)
……ああ、御免
花火が咲いて散るより早く、君の夢(美女との夏夜)は砕け散っていたと?
(急に自棄酒の様に煽るものだから出来心で少し冗談交え)
そっか
じゃあそういう事にしておこう
(最後に嘘臭い一言が付いたけど、今宵は、噫、本当か
――心遣い察し、微かに表情緩めて返し)
交換もご自由に
空の花火も良いけれど
皿の花火も見事なもので
――そうだね
有難う
●靜夏の夜に翳二人
ただ、息をして夜を見ていた。
凪いだ海を繰り返し撫でる波の音に深呼吸して沈み込む柔らかなクッションの心地よさだけを求めて、呉羽・伊織(翳・f03578)がグラスを傾けた、その時――。
「……ねぇ、どうしてまた俺に声を?こういう場なら、君は真先に浪漫を求めに行くものと――」
「……ソレには触れない約束デショ!」
“いつもの君なら、水着美人とか―……”と呟いた百鬼・景近(化野・f10122)の言葉に、伊織は咽た。げほごほ咽て、整うまでしばらく。再び無理やり煽った酒が、伊織の喉をじわりと熱く通り過ぎる。
「……ああ、御免。花火が咲いて散るより早く、君の夢は砕け散っていたと?」
伊織の言葉で言うならば所謂“美女との熱い一夜”と景近が口にすれば、がしがしと後頭部を掻きバツが悪そうな顔をした伊織が大きな溜息を一つ。
「コホン――ま、今日は元からお前を呼ぶつもりだったから良いんだよ」
ワザとらしい咳払いの後に恥ずかしそうに視線泳がせた伊織の言葉に、逆に目を見張ったのは景近だ。
だが、口を開きかけた景近を見ずに恥ずかしさからか、伊織が焦ったようにもごもごと畳みかけてしまう。
「ほら、賑やかなトコだとお前落ち着かないだろ?でも静かな隠れスポットならさ、偶にはゆっくり一息つけるかと思ったワケ!」
「そっか」
「――ウン、ホントダヨ?」
ふぅん、と訝し気な景近に焦った伊織はとうとう片言に。
あとは何と言ったら――そう頭を抱えて、いっそ変なポーズでもしそうな伊織に、景近はただ瞳を緩やかに細めた。
分かったよ、知ってるよ……そう景近の口から伝えることは簡単だ。だが、言い訳をする伊織へ、ほんの少しの意地悪を。暗くて視界が悪いから、上がる口角に気付かれなくて丁度いい。
「あーっ、ソレよかその琥珀糖一つとこのパイ交互して!」
「ん」
いいよ、と景近の差し出された琥珀糖を伊織が頬張った時、しゃくりと葉がかみ砕いた直後、二人の間の空をヒューッと音が奔る。
「おっ」
「あ、」
――ドンッ ドン、パラララ……。
上がった花火が弾けて散った。
一つの花火を皮切りに、二つ三つと上がれば視線は花火へと集まって、ねえと景近の声に、なに、と伊織が言う。
「有難う」
ドン、と上がった花火の明かりが口角あげた景近を見せたのは、一拍子。
だが伊織には十分、求めた夏のひと時がそこにあった。
宵宵の夜は、まだ続く。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
丸越・梓
◎
壽春さえ良ければ共に
良ければエスコートさせてほしい
砂や波に彼女が足を取られることあれば難なく支え
ダイナーに壽春の気になるものがあれば頼み
花火を眺め
壽春の好きなものや趣味等ゆっくり談笑出来たらと
…俺は仕事ばかりで趣味らしい趣味も中々ないが
読書や料理等共通するものあれば嬉しく
なくても彼女の活き活きとした表情に和みながら話に興味示す
寒くはないかと問うて
彼女が大丈夫と微笑えば安堵を
身体を冷やしてしまったのなら(着ていたもので申し訳ないが)シャツをそっと肩へ
何においても壽春の体調や感情を最優先に行動
壽春へ礼を伝えたい
グリモア猟兵の力を行使してくれること
此度時間を割いてくれたこと
最大限の敬意を以て
誠実に
●靜夏の夜に零の魔王は万華鏡と共に
白い脚が波を蹴る。
危ないから、と壽春・杜環子(懷廻万華鏡・f33637)の手を取った丸越・梓(零の魔王・f31127)の視界は、ぴょこぴょこ耳のように揺れる杜環子の髪が占めていた。
ゆらゆら尻尾のように揺れる簪の房飾りに、持った星のランプに僅かに照り返す銀の簪は猫の爪のよう。それが何故か面白くて、梓はふと笑ってしまう。
「丸越様?」
「いや、なんでも」
きょとんと見上げた杜環子の目が丸くて、笑った口元を隠せば身長差のせいか杜環子からはそれ以上伺えなくなってしまう。話の見えぬ杜環子が頬膨らますと、するりと梓の手を抜けた。
「っ、……壽春っ!?」
ハッと梓が手を伸ばせば、足首まで海につけた杜環子が振り返り様、掬った海を投げた。飛んだ雫が梓の頬を掠め驚いた顔をすれば、笑った杜環子は悪戯が成功したような顔。
「これはお返しというものですのよ」
「そうか、なら――」
お返しだ!そう言って梓の掬った海は、片手で十分な量。子供のように遊ぶなどいつ振りか、上がった口角そのままに気が済む頃には一発目の花火が上がっていた。一休みに選んだのは、杜環子の珍しがったビーズクッションと茣蓙の席。
「丸越様丸越様、こんなに形が無いのにこれは如何としたものなのでしょう?」
「難しいことは無いさ、これはこうしてしまえばいいんだ」
梓が座る位置より少し後ろに置いて背を預ければ、ビーズクッションが背に合わせて形を変える。その姿に倣って杜環子も真似をすれば、初めての感触に目を輝かせた。
「……不思議な感触ですこと!面白いものです!」
「それは良かった。喉が渇いただろう、ほら」
ありがとうございます、と杜環子が受け取ったのは桃のジュースだ。今が旬だと言った梓の言葉に頷いて選んだそれと、杜環子が可愛いと目を輝かせた白ワインのサングリアで乾杯を。
「壽春は好きなものはあるか?」
「わたくしの好きなものですか?ふむ……わたくし、楽しいことが好きです。それと、丸越様のように楽しそうな方を見るのも好きですの」
帰って来た想像とは違う言葉に、つい梓は目を見開いた。花火が上がる。ドン、と響いた音と耳を掠める波の音に夏を噛みしめて梓と杜環子の何気ない話が続いていた時、ふと杜環子が小首を傾げる。
「丸越様は、“趣味”というものや好きなもの、というのはございますの?」
「……その、俺は仕事ばかりで趣味らしい趣味というのは――」
「まぁ、お仕事。お休みには趣味はしますの?」
ずい、と尋ねられれば今度は梓がビーズクッションに沈んでしまう。
そう、思えば趣味というより休みの日に纏めて掃除、作り置きの料理、積んだ本を読んでみる――それくらい、と言葉を濁せば、本という言葉に杜環子の瞳が輝いた。
「丸越様も“彼ら”とお話を?ふふ、偶にまだ物心無い子もおりますが、あの子達はとても物知りで――」
「彼ら?」
ええ!と頷いた杜環子の本性はヤドリガミ。本を彼らと呼ぶのは話から察するに古い本のことなのだろう。そう言葉を想像して繋げば梓にもよく理解ができた。
と、楽し気に杜環子が話す内にビュウ、と強い風が吹く。
「ひゃっ……夏の夜というのは、存外冷えますのね」
初めて知りました、と腕を擦る姿に梓は反射的に羽織っていたシャツを杜環子へ掛けていた。
「丸越様が冷えてしまわれますわ」
「俺は大丈夫だ。……これは、壽春への感謝だ。いつも力を貸してくれて、ありがとう」
梓は杜環子と話したいことは山とあった。何気ないこと、楽しかったこと、驚いたこと――……だが、何より大切なのは話をする杜環子自身。元気でなくば何も話せない。
それと、梓がどうしても心から伝えたかったのは感謝だ。
話している内にどこかで――……と思っていたのに、まさかこのタイミングとは。目の前からくすくすと笑う声の後、ありがとうございますと杜環子が微笑む。
どういたしまして――そう答えた梓の表情も和らいでいた。
花火が空に咲く。
祭りの静かな夜は穏やかながら楽しく過ぎてゆく。
大成功
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