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静かな夕暮れ、アカネ色の海〜夏のキラメキ

#カクリヨファンタズム #お祭り2021 #夏休み #季節もの #心情系 #夏のキラメキ

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●夏の夕暮れ
 ゆうやけこやけのあかねいろ。
 薄紫のあっちの空は、白い月が輝いて。
 だいだい色のこっちの空は、オレンジ色の太陽が雲をアカネに染めている。
 差し込む夕日とながくて色濃い影たちが、その日の終わりを思わせる。
 暮れなずむこの景色は、けれどきっとそのままで、変わらない。
 耳をすませば、ざざぁ、ざぁ、と波の歌が聞こえるだろう。

 どこかノスタルジアさえ感じるこの浜辺は、この『カクリヨファンタズム』の一画にひっそりとあった。
 同じビーチだというのに『水着コンテスト』の会場から少し離れただけでこの変わり様。
 ここは『カクリヨファンタズム』。
 地球と骸の海の狭間の世界。そして猟兵たちが『大祓百鬼夜行』を止めるため駆け抜けた世界。

 あの戦いは終わったのだ。
 ならば今は楽しもう――。

 花火を楽しんだり、薄暗がりで空を見上げたり。
 仄かな灯りを頼り海に飛び込むのも楽しいかもしれない。
 そして、赤く染まる雲の合間を飛んでみるのも、きっと美しい。

●静かに、おだやかに。そんな夏の海は如何でしょう
「皆さん、『大祓百鬼夜行』と『水着コンテスト』、どちらもお疲れさまでした」
 グリモア猟兵のユーノ・エスメラルダ(f10751)は出会った猟兵たちへ労いの言葉をかけた。
 コンテストが終わった会場のビーチ……しかし賑わいはまだ残っており二次会が始まる勢いさえある。何故ならば。
「このビーチは、新し親分『バズリトレンディ』さんが作った場所なのですが……水着コンテストの締めとして、『妖怪花火』というものが用意された様なのです」
 そうユーノが説明する傍らで早速花火が打ち上がる。
 それは時に美しく、時におどけて飛び散った。
「あれが妖怪花火です。……大きさや形状は様々で、花火の残り火に乘ったり。爆発も安全だったり、いろいろと不思議な花火みたいです」
 そう説明をしつつ、ユーノはある提案を行った。
「実は、このビーチに静かな場所を見つけまして。もしも『ゆっくり過ごしたい』方がいましたら場所を共有したいと思いまして」

 ――賑やかな祭りの最中、喧騒を離れて過ごすのも悪くないかもしれない。

 場所を教えてもらった後、猟兵たちはそれぞれの過ごし方を思い描く。
 この夏の日を、どう過ごそう。


ウノ アキラ
 はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
 夕暮れの静かな海辺が好きです。ウノ アキラです。
 このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。

●お得情報
 執筆は主に土日になるので、プレイングの受け付けは主に【毎週木曜の8時30分から土曜の昼頃まで】になりますことをご了承ください。
 他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。

 また執筆能力の限界により12名を超えると書ききれなくなるため、その際は不採用率が上がりますことをご了承ください。

●依頼について
 カクリヨファンタズムの依頼となります。戦闘なしの季節イベント系です。
 基本的に、特に指定がなければひとりで過ごす描写になると思います。
 水着はプレイングで言及がなければ基本的にリプレイでも特には触れません。しかしアドリブ指定があればアドリブとして描写する事があります。

 このフレームのシナリオではリプレイにグリモア猟兵が登場して構わないそうなので、プレイングで絡まれたら内容に応じてユーノ・エスメラルダ(f10751)が登場します。

 ユーベルコードは使用できますが、無差別な攻撃は行わないでください。
 未成年の飲酒を始めとした公序良俗に抵触しそうなものはマスタリングしますのでご了承ください。

 よろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW   :    妖怪花火で空へGO!

SPD   :    妖怪花火の上で空中散歩

WIZ   :    静かに花火を楽しもう

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●夕日の海
 教えてもらった場所へ向かってみると、あるポイントから急に夕方となることに驚くだろう。
 まるで昼と夜の狭間の時間。
 意図して作られたのか、それとも偶然生まれた歪みなのか……理由は解らないが、この辺りだけ周囲の喧騒が遠くなりドラマのワンシーンにありそうな、夕日の沈む海の絶景が現れている……。
エドゥアルト・ルーデル
&&&

エスメラルダ氏を誘って浜へ行きますぞ!美少女と絡む機会を逃さないのが拙者だ
絶景の砂浜とかいう絶好のロケーション!そこで花火で遊んでキャッキャウフフ!こりゃもうフラグが立つしか無いでござろう!

…アレは何って?急に出てきたので簀巻きにして樽に詰め込んだ知らない人でござるよ
妖怪に頼んで花火を詰めてあるんだ、点火すれば空に昇って盛大に炸裂するでござる
安全らしいし打ち上げても大丈夫っしょ、拙者も前の世界でよくやったし

花火しようぜ!線香花火に手持ち花火、打ち上げ花火にアハトアハトなんでも好きなもの言ってくだされ!準備は万全なので目一杯楽しむでござるよ!
最後は安全らしい打ち上げ花火で拙者も打ち上がる



●とある夏の一ページ
 大きな戦いも終わり、水着コンテストも無事に終わったさらに後の祭り騒ぎ。
 その喧噪から離れた静かな海辺にエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は現れた。
 両手をアーティスティックに掲げて海から垂直浮上した彼の姿は一種の芸術として海上に溶け込んでいる。
「美少女と絡む機会を逃さないのが拙者だ」
 エドゥアルトは真剣な表情で宣言する。
「絶景の砂浜とかいう絶好のロケーション! そこで花火で遊んでキャッキャウフフ! こりゃもうフラグが立つしか無いでござろう!」
 静かに上陸する彼の目的は明確。
「エスメラルダ氏を誘って浜へ行きますぞ!」

 という訳で、エドゥアルトに誘われたユーノ・エスメラルダ(深窓のお日様・f10751)は水着姿で夕日の浜辺にやってきた。
「お誘い、ありがとうございます! ……ところで、その樽は……?」
 結ったツインテ―ルを傾けて頭に「?」マークを浮かべるユーノ。
 その問いにエドゥアルトはこう答えた。
「……アレは何って? 急に出てきたので簀巻きにして樽に詰め込んだ知らない人でござるよ。妖怪に頼んで花火を詰めてあるんだ、点火すれば空に昇って盛大に炸裂するでござる」
 拉致監禁じみた内容にユーノは戸惑う。
「え……、その、知らない方は大丈夫なのですか……?」
 と心配をするが。
「妖怪花火は安全らしいし打ち上げても大丈夫っしょ、拙者も前の世界でよくやったし」
「そうなのですね……?」
 ……と丸め込まれた。
 この知らない人はユーベルコードで召喚された存在なので犯罪性はないと思う。
 でも説明に『自身と五感を共有し』とあるけど大丈夫なのだろうか……大丈夫かなたぶん。

 エドゥアルトは「花火で遊んでキャッキャウフフ」を達成するべく、若干早口に会話を進める。
「花火しようぜ! 線香花火に手持ち花火、打ち上げ花火にアハトアハトなんでも好きなもの言ってくだされ! 準備は万全なので目一杯楽しむでござるよ!」
 サラッと8.8cm高射砲を出したのは照れ隠しなのか素なのか。
 ともあれ、夕暮れの薄闇で二人は手持ちの花火を楽しんでいった。
「エスメラルダ氏、こうやって振ると光の残像で絵が描けるでござ……熱っつぅ!? 安全じゃなかったの!?」
 と悪い事を教えたりしつつ、エドゥアルトはこの時間を過ごした。

「最後はやっぱ打ち上げ花火でござるよ! 安全らしいし拙者も打ち上がるぜ!」
 ユーノが呆気にとられてる間にエドゥアルトと知らない人が空に打ち上がった。
 宵闇の空に、まばゆい大輪が咲くと一瞬の輝きはゆっくり落下しながらきらめいていく。
 楽しい時間が過ぎるのは早いもの。この時間もこれで終わりとなる。
 最後にひとつ、その後に着地を失敗したエドゥアルトが金髪水着少女の膝枕を受けるイベントが発生したとかしないとか。
 これは、そんなひと夏の思い出の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
&&&【白百合*4】

ユーノ、いい場所見つけたね。ここは静かでのんびり出来そう。

服装は若紫のチュニックにベージュの膝丈キュロットパンツ。

レジャーシートを広げて。瑞穂、反対側お願い。
クーラーボックスから冷たい物を色々出して配る。

遠い空には妖怪花火が上がってるね。ニコルもあっち行ったのよね。
こっちに来るって言ってたけど――わ、真っ直ぐ来た!? 受け止められそうなものは、レジャーシート!?
ど、どうにかキャッチ! ああもう、ニコル、無茶しないでよ!

お茶で一服したら、ちょっと気分転換。
童心に返ったように、波打ち際をサンダル脱いで、ぴちゃぴちゃ歩いてみる。
作りたての砂浜だけあって、水も砂も綺麗なもんだわ。


秋津洲・瑞穂
&&&【白百合*4】今年の水着+薄地のパーカー

昼間と夕方とが隣り合っているのね。
神域のようでもないし、不思議な場所ねぇ。

ここは静かでいいわ。のんびりしましょ。
レジャーシート? うん、じゃ引っ張るわよ。
あとは軽食のバスケットがこっちに――

「狐火! 落下点でクッションに、温度下げて!」

ビーチに敷かれた狐火クッションの上でシートを拡げ、
ニコルを受け止める体勢に。火事現場かここはっ。

「……ニコル、麦茶飲む?(手渡し」

ってことで改めて腰を落ち着け。
荷物を整理して軽食配って一段落、はいユーノの分。
ほっと一息ついたら、とりとめもないお喋りを。

砂が温かいわー……(仔ぎつね化(クリスティアーネに
張り付いて寝落ち


クリスティアーネ・アステローペ
&&&【白百合】Wis
今年の水着の上に一枚羽織って

昼夜の境、誰そ彼時、そういうのともちょっと違うような面白い切り取り方ねえ
どっちの賑わいからも外れた場所でもあるのかしら。いい場所を教えてくれてありがとう、ユーノ

花火と一緒にニコルが―――
あれかしら?随分はしゃいで大きく跳んで…直に、くる…わね?
仕方ないわね。ユーノ、そっちの隅引っ張ってもらえる?直撃よりはましでしょう
「お帰りなさいニコル。楽しかった?」
楽しめたのなら問題なし、ね

潮騒、でしたっけ。波の音
あまり聞く機会はない音ですけど…嫌いじゃあないわね
座ってのんびりしていたらあら、瑞穂が
しょうがないわね、こっちにおいでなさいな(仔狐膝に移動させ


ニコル・ピアース
【白百合の苑】
妖怪花火、せっかくだし挑戦してみましょう。
花火掴んだまま上空高くまで飛んで、
そのまま大きく開いた花火の上で、
トランポリンみたいに跳ねまわって。

楽しかったですね、そろそろ移動を。
他のみんなはビーチの方にいると言ってましたね。
ちょっと遠いし、とりあえずはビーチ方面へ。
花火の上で飛び跳ねて大きく反動付けて、一気に大ジャンプ!

落ちた場所の近くにいるといいんですが。
ん? おお、いましたねえ。場所もぴったり合っててラッキー!
おーい、みんなー!

無事に合流出来ましたねえ。
飲み物ですか、ちょうど遊んで喉も乾いてたし、貰いますね。
さて、確か静かでゆっくりした場所でしたよね。
のんびりしましょうか。



●夕闇の空に上がる大輪
 なんやかんやと大きな戦いがあったカクリヨファンタズムも落ち着いて。心機一転とはじまった水着コンテストも無事に終わったなら、後は終わりを惜しむのみ。

 昼と夜の狭間の浜辺で花火がドンと鳴り響いた。

 薄闇で咲く火の大輪は、沈みかけの太陽に劣らない輝きを空に咲かせる。
 咲いた火花は、時間を名残惜しむようにくるくると巻きながら空をうねり。そして落下した。
 打ち上がるのは『妖怪花火』。
 通常の花火と異なる、不思議なソレが一番星と共に宵を飾った。
「お、本当に乗れますね」
 ニコル・ピアース(蛮鬼・f06009)は、そんな妖怪花火と共に打ち上がっていた。
 花火の球に掴まってひゅるると上がったニコルは、ドカン、と大きな音と共に広がった火花の上に着地して感触を確かめる。
 大きな音も不思議と耳が痛くならなず、ふわっと広がる火花も、上に乗ってもびくともせず羽のようにふわりとゆるやかに落下している。

 次の花火が打ち上がると、ニコルは落ち行く火花を飛び移りながら、弾みをつけて新たな火花へ飛び乗った。
 雲の様な高さから見える景色は、とても見晴らしが良い。
 そんな景色の中、ニコルは足場を飛び移るゲームをしているかの様に火花から火花へと飛び移っていく。
 スリングショットの様な水着の大胆な肢体が、汗に濡れて艶めかしく夕闇に踊った。
 口数の少ない彼女だが、表情からは空中アスレチックを楽しんでいる様子がうかがえる。
「ふう、楽しかったですね。そろそろ移動を」
 適度な運動で流れた汗を拭い、ニコルは周囲を見渡した。
 共に来ていた【白百合】の仲間を探すが遠くに来てしまったのか、薄暗いためか、見当たらない。
「ちょっと遠いですかね。とりあえずはビーチ方面へ……」
 ニコルは、花火の上で反動をつけた。
 いちど大きく飛び跳ねれば、落下速度を保とうとする火花は反動を跳ね返すように着地したニコルをトランポリンのように、跳ね上げる!
 大きく飛び跳ねたニコルは、弧を描いて落下しながら地上に目をこらして呟いた。
「落ちた場所の近くにいるといいんですが」

●狭間の浜辺で
 一方で、こちらは【白百合】の残りの三人である村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)、秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)、クリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)の三人と+αの、ユーノ・エスメラルダ(深窓のお日様・f10751)。
 瑞穂は水兵さんのようなデザインのツーピースの可愛らしい水着に薄地のパーカーを羽織り、クリスティアーネは腰の横の大きなリボンか特徴的な薄い青紫のビキニに薄い上着を羽織っていた。
 そして、ゆかりは露出を抑えた若紫のチュニックにベージュの膝丈キュロットパンツという服装。

 クーラーボックスとレジャーシートを抱えて、ゆかりは周囲を見渡した。
「ユーノ、いい場所見つけたね。ここは静かでのんびり出来そう」
「えへ、ありがとうございます。みんなでのんびり休むことができれば、ユーノは嬉しいです!」
 そんな会話をしつつ、ゆかりはこのあたりがいいかしらとレジャーシートを広げ始めた。
 それを瑞穂が。
「レジャーシート? うん、じゃ引っ張るわよ」
 と手伝っていく。

 そんな二人に準備を任せ、クリスティアーネは空を見上げていた。
「昼夜の境、誰そ彼時、そういうのともちょっと違うような面白い切り取り方ねえ」
 そのつぶやきに、ユーノが反応をする。
「カクリヨファンタズムは過去の思い出や追憶が浮かぶ世界ですので。この世界ならではの、流れ着いた思い出や追憶が影響しているのかもしれません」
 この浜辺は新し親分『バズリトレンディ』が作ったものではあるが、そういう影響があるのかもしれない。
 その言葉に瑞穂も感想を漏らした。
「そういえばここ、昼間と夕方とが隣り合っているのね。神域のようでもないし、不思議な場所ねぇ」

 茜色に輝く海と空がある一方で、向きを変えれば宵闇の空が広がっている。
 その宵闇からは大きな音がして、花火の大輪が星や月と共に空を彩っていた。
 レジャーシートを敷き終えたゆかりは、ひと息いれつつ遠くの花火を見上げる。
「遠い空には妖怪花火が上がってるね。ニコルもあっち行ったのよね。こっちに来るって言ってたけど」
 夕日に劣らない真紅の髪の、マイペースな彼女は今どこにいるのだろうかとゆかりは目を凝らした。

●合流の白百合
「あとは軽食のバスケットがこっちに――」
 そんな中、レジャーの準備を手伝っていた瑞穂が半ば勘のように飛来する存在を察知する。
 暗視による夜目で見上げてみれば、見えるのは……。
「あれニコルかしら? 随分はしゃいで大きく跳んで――……直に、くる……わね?」
 クリスティアーネの言葉とどちらが早いか。
 瑞穂はユーベルコード【フォックスファイア】を放って合体させた。
「狐火! 落下点でクッションに、温度下げて! ごめん、これ借りる」
 と、いちど敷いたレジャーシートを引っ張ると瑞穂は狐火の上へふわりと乗せる。
 その動きに、ゆかりも何が起こるのか気づいて。
「え――わ、真っ直ぐ来た!? 受け止められそうなものは、レジャーシート!?」
 と、狐火の上のシートの裾を持つ。
 クリスティアーネも裾を持つとユーノに呼びかけた。
「仕方ないわね。ユーノ、そっちの隅引っ張ってもらえる? 直撃よりはましでしょう」
「え? あ、はい!?」
 のほほんとしていたユーノも急かされてシートの端をもてば、出来上がったのは落下してくるニコルをシートで受け止める体勢。
 その状況はまさに瑞穂が言う様に。
「火事現場かここはっ」
 高所から飛び降りる避難者を受け止めるような状況だ。
 一方で落下中のニコルは。
「おお、いましたねえ。場所もぴったり合っててラッキー! おーい、みんなー!」
 と手を振っていた。

 猟兵は丈夫なので問題は無し。
 かくして無事に合流を果たした【白百合】の面々。
 受け止めた衝撃で砂まみれになって波打ち際の岩陰で洗い流すシーンもありつつ、改めてレジャーシートをセッティングして全員一息つくのだった。

●安らぎの時
「どうにかキャッチ出来たからいいものの。もう、ニコル、無茶しないでよ!」
 クーラーボックスから冷えた飲み物を出しつつ抗議するゆかり。
「……ニコル、麦茶飲む?」
 と手渡す瑞穂も、どこか含むところがある笑顔である。
 一方でクリスティアーネやユーノは。
「お帰りなさいニコル。楽しかった?」
「花火、楽しかったですか?」
 と気にする様子はない。
 そして当の降って来たニコルは。
「楽しかったですよ。飲み物ですか、ちょうど遊んで喉も乾いてたし、貰いますね」
 と、麦茶を受け取ると美味しそうに飲み干していた。

 そんなこんなで、瑞穂が持ってきたおにぎり、たくあん、だまごやき、サンドイッチなどの軽食をつまみつつゆったりと時間が過ぎていく。
「確かに静かでゆっくりした場所ですね」
 と足を伸ばして姿勢を楽にするニコル。
 クリスティアーネは波の音に耳を傾けていた。
「潮騒、でしたっけ」
 寄せては返すさざ波が砂を運んではさらっていた。
 その動きが複雑な気泡の旋律と砂のささやきを交えたハーモニーを作り出し、うまれた不規則なささやきが癒しを与えてくる。
「波の音、あまり聞く機会はない音ですけど……嫌いじゃあないわね」
 クリスティアーネが波の音に聞き入っていると、ころりと足元に寄りかかる子狐が一匹。
 それは先ほどまでとりとめもないお喋りに花を咲かせていた、瑞穂が変身した姿だ。
 お菓子や服などのおしゃべりに疲れたのか、瑞穂は夕方の海風の涼しさと砂の温かさにウトウトしていた。
「しょうがないわね、こっちにおいでなさいな」
 クリスティアーネは瑞穂をひょいと抱えると、膝の上で抱きかかえるのだった。

 子狐の毛並みをそっと撫でながら、クリスティアーネが視線をあげれば波打ち際にはゆかりとユーノが裸足で歩いていた。
「ずぞぞって、砂が、おもしろいです!」
「ふふ。ユーノはこういうの初めて?」
「はい。室外の経験があまりありませんので。ワクワクしています」
 波が砂をさらう感触にユーノは興味津々だった。
 それに付き添うゆかりも波から逃げてみたり、波を蹴飛ばしてみたり。
 つられるように過ごしていた。

 静かな夕暮れの浜辺。
 日が沈まない永遠の黄昏時はゆっくりと過ぎていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月08日


挿絵イラスト